JP6295966B2 - 全固体電池 - Google Patents

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Description

本発明は硫化物固体電解質を含む全固体電池に関する。
硫化物固体電解質を含む全固体電池について種々の研究がなされている。例えば、特許文献1には、硫化物固体電解質材料が酸化されることによるイオン伝導度の低下を抑制し、耐久性に優れた全固体電池が開示されている。
硫化物固体電解質を含む全固体電池は高温使用時にイオン伝導度が増大し、抵抗が低下して電池内の化学反応が促進される。すなわち、例えば全固体電池が過充電となって高温になった場合、化学反応が進行して電池の温度上昇を抑え難い。或いは、電池が何らかの理由で短絡した場合、短絡電流によってジュール熱が発生し、電池温度が上昇し続けて電池に不具合を生じさせる虞がある。このように、全固体電池においては、電池が高温となった場合に電池の温度上昇を抑える工夫が必要となる。
一方、特許文献2には、非水電解液電池において、結晶水を放出可能な塩基性無機化合物をセパレータに含ませ、高温時にセパレータから結晶水を放出することで、電池の温度上昇を抑える技術が提案されている。しかしながら、当該技術は非水電解液電池に適用されるものであり、全固体電池を想定したものではない。
特開2012−094446号公報 特開2010−073528号公報
本発明は、過充電時や電池短絡時等の電池が高温となった場合において、電池の温度上昇を抑えることが可能な全固体電池を提供することを課題とする。
本発明者らが鋭意研究を進めたところ、硫化物固体電解質は水分の吸着(吸収)に伴って抵抗が顕著に上昇し、イオン伝導性が低下することを知見した。すなわち、全固体電池が高温となった場合に、硫化物固体電解質に水分を吸着させることで、電池内の化学反応の進行を抑制することができ、結果として電池内の温度上昇を抑制できることを知見した。特に、硫化物固体電解質を含むセパレータ層内に金属硫酸塩の水和物を含ませることで、電池が高温となった場合に当該水和物が結晶水を放出し、硫化物固体電解質に適切に水を吸着させて、電池内の化学反応を抑制できることを知見した。
本発明は上記の知見に基づいてなされたものである。すなわち、
本発明は、硫化物固体電解質と金属硫酸塩の水和物とを含むセパレータ層を備えた、全固体電池である。「セパレータ層」とは、全固体電池において正極及び負極の間に設けられる層であって、正負極間のイオン伝導層として機能する層である。
本発明において、金属硫酸塩の水和物がCaSO・2HOであることが好ましい。或いは、本発明において、金属硫酸塩の水和物がCuSO・3HOであることが好ましい。
本発明によれば、過充電時や電池短絡時等の電池が高温となった場合において、電池の温度上昇を抑えることが可能な全固体電池を提供することができる。
硫化物固体電解質の水分吸着率と抵抗増加率との関係を示す図である。 合材におけるCuSO・3HOの添加率と合材のリチウムイオン伝導度との関係を示す図である。 短絡試験の結果を示す図である。
本発明は、硫化物固体電解質と金属硫酸塩の水和物とを含むセパレータ層を備えた、全固体電池である。
1.セパレータ層
本発明は特定のセパレータ層を備える点に特徴を有する。セパレータ層は後述の負極と正極との間に設けられる層であって、電極間のイオン伝導層として機能するものである。本発明において、セパレータ層には硫化物固体電解質と金属硫酸塩の水和物とが少なくとも含まれており、これらの他にバインダー等が含まれていてもよい。
1.1.硫化物固体電解質
本発明に係る全固体電池において、セパレータ層には硫化物固体電解質が含まれる。硫化物固体電解質としては、例えば、LiS−SiS、LiI−LiS−SiS、LiI−LiS−P、LiI−LiO−LiS−P、LiI−LiS−P、LiI−LiPO−P、LiS−P、LiPS等を挙げることができる。硫化物固体電解質は公知の製造方法で製造した硫化物固体電解質を適宜用いることができる。例えば、硫化物固体電解質を合成する際の出発原料は特に限定されず、その合成方法も、乾式のボールミル処理や、ヘプタン等の溶剤を用いる湿式のボールミル処理のほか、機械的エネルギーを付与することにより化学反応を進行させる他のメカノケミカル処理等を適宜用いることができる。また、硫化物固体電解質は、非晶質であっても良く、結晶質であっても良い。また、硫化物固体電解質の形状についても特に限定されるものではなく、粉体状、粒子状、塊状のもの等を用いることができる。
セパレータ層に含まれる硫化物固体電解質の含有量は、後述するCaSO・2HOの含有量等を考慮しつつ適宜調整可能であり、特に限定されるものではない。例えば、セパレータ層全体を100質量%として、下限が好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上あり、上限が好ましくは99質量%以下、より好ましくは95質量%以下である。
1.2.金属硫酸塩の水和物
本発明に係る全固体電池において、セパレータ層には金属硫酸塩の水和物が含まれる。
本発明において金属硫酸塩の水和物としては、電池の温度上昇に伴って結晶内の水分を放出可能なものであればよい。特にCaSO・2HOやCuSO・3HOが好ましい。例えば、CuSO・3HOは約100℃で水分を放出することから、全固体電池の使用温度範囲内においては水分の放出が起こらず硫化物固体電解質のイオン伝導性を低下させない一方、100℃程度まで過剰に温度が上昇した場合はCuSO・3HOから放出された水分によって硫化物固体電解質のイオン伝導性を低下させ、それ以上の発熱を抑制できる。
金属硫酸塩の水和物はセパレータ層全体に分散して含まれていることが好ましい。例えば、粉体状・粒子状の当該水和物がセパレータ層内に均一に分散して含まれたような形態である。
セパレータ層に含まれる金属硫酸塩の水和物の含有量は、高温時にセパレータ層において硫化物固体電解質へと十分に水分を供給することができる量であればよい。例えば、セパレータ層全体を100質量%として、下限が好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上あり、上限が好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。或いは、セパレータ層に含まれる硫化物固体電解質100質量部に対して金属硫酸塩の水和物を1質量部以上含ませることが好ましい。
1.3.その他のセパレータ層材料
本発明に係る全固体電池において、セパレータ層には上記したものに加えて、さらに硫化物固体電解質以外の固体電解質やバインダーが含まれていてもよい。硫化物固体電解質以外の固体電解質としては例えば公知の酸化物固体電解質が挙げられる。バインダーは、全固体電池において用いられる公知のバインダーを適宜用いることができる。例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム(ABR)、ブタジエンゴム(BR)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等である。セパレータ層に含まれるバインダーの含有量は、特に限定されるものではない。高出力化を図りやすくするために、固体電解質の過度の凝集を防止し且つ均一に分散された固体電解質を有する固体電解質層を形成可能にする等の観点から、固体電解質層に含有させるバインダーは5質量%以下とすることが好ましい。
上記のセパレータ層は、公知の方法を応用して容易に作製可能である。例えば、液体に上記の硫化物固体電解質や金属硫酸塩の水和物等を分散して調整したスラリーを基材に塗布・乾燥する過程を経てセパレータ層を作製することができる。この場合、硫化物固体電解質等を分散させる液体としては、無極性溶媒等の各種有機溶媒を好ましく用いることができる。例えば、ヘプタン等が好ましい。或いは、上記の硫化物固体電解質等を乾式で混合してプレス成形する過程を経てセパレータ層を作製することもできる。セパレータ層の厚さは、電池の構成によって大きく異なるが、例えば、0.1μm以上1mm以下であることが好ましく、1μm以上100μm以下であることがより好ましい。
2.セパレータ層以外の構成
本発明に係る全固体電池は、上述した特定のセパレータ層を備える点に特徴を有し、それ以外の構成については特に限定されるものではない。全固体電池において用いられている公知の電極等を採用できる。
2.1.負極
2.1.1.負極活物質
本発明において、負極に含有させる負極活物質としては、例えば、カーボン活物質、酸化物活物質、及び、金属活物質等を挙げることができる。カーボン活物質としては、例えば天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、高配向性グラファイト(HOPG)、ハードカーボン、ソフトカーボン等を挙げることができる。酸化物活物質としては、例えばNb、LiTi12、SiO等を挙げることができる。金属活物質としては、例えばIn、Al、Si、及び、Sn等を挙げることができる。また、負極活物質として、リチウム含有金属活物質を用いても良い。リチウム含有金属活物質としては、少なくともLiを含有する活物質であれば特に限定されず、Li金属であっても良く、Li合金であっても良い。Li合金としては、例えば、Liと、In、Al、Si、及び、Snの少なくとも一種とを含有する合金を挙げることができる。負極活物質の形状は、例えば粒子状、薄膜状等にすることができる。負極における負極活物質の含有量は、例えば40質量%以上99質量%以下とすることが好ましい。
2.1.2.固体電解質
本発明では、上述のセパレータ層のみならず、負極にも、必要に応じて、全固体電池に使用可能な公知の固体電解質を含有させることができる。負極に固体電解質を含有させる場合、負極には、負極電位で分解しない固体電解質を含有させることが可能であり、正極に固体電解質を含有させる場合、正極には、正極電位で分解しない固体電解質を含有させることが可能である。負極や正極に含有させることが可能な固体電解質としては、上述した硫化物固体電解質の他、酸化物固体電解質等を含ませてもよい。ただし、全固体電池の性能を高めやすい形態にする等の観点から、固体電解質として硫化物固体電解質を用いることが好ましい。
2.1.3.その他の負極材料
負極には、負極活物質や固体電解質を結着させるバインダーや導電性を向上させる導電助剤が含有されていても良い。バインダーについてはセパレータ層に含まれるものと同様のものを用いることができる。また、負極には、公知の導電助剤を適宜含ませることができる。負極に含有させることが可能な導電材としては、気相成長炭素繊維、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック(KB)、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノファイバー(CNF)等の炭素材料のほか、全固体電池の使用時の環境に耐えることが可能な金属材料を例示することができる。
負極は乾式及び湿式のいずれの方法によっても作製可能である。負極の作製法については公知であるため、ここでは説明を省略する。
2.2.正極
2.2.1.正極活物質
本発明において、正極に含有させる正極活物質としては、全固体電池で使用可能な正極活物質を適宜用いることができる。そのような正極活物質としては、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiCoO、LiNiO、LiFePO、LiMn等を例示することができる。正極活物質の形状は、例えば粒子状や薄膜状等にすることができる。正極における正極活物質の含有量は、特に限定されないが、質量%で、例えば40%以上99%以下とすることが好ましい。
2.2.2.固体電解質
必要に応じて、正極にも、固体電解質を含有させることができる。正極に含有させることが可能な固体電解質としては、負極に含有させることが可能な上記固体電解質を例示することができる。
2.2.3.正極活物質を被覆する層
固体電解質として硫化物固体電解質を用いる場合、正極活物質と固体電解質との界面に高抵抗層が形成され難くすることにより、電池抵抗の増加を防止しやすい形態にする観点から、正極活物質は、イオン伝導性酸化物で被覆されていることが好ましい。正極活物質を被覆するリチウムイオン伝導性酸化物としては、例えば、一般式LiAO(Aは、B、C、Al、Si、P、S、Ti、Zr、Nb、Mo、Ta又はWであり、x及びyは正の数である。)で表される酸化物を挙げることができる。具体的には、LiBO、LiBO、LiCO、LiAlO、LiSiO、LiSiO、LiPO、LiSO、LiTiO、LiTi12、LiTi、LiZrO、LiNbO、LiMoO、LiWO等を例示することができる。正極活物質の表面をイオン伝導性酸化物で被覆する場合、イオン伝導性酸化物は、正極活物質の少なくとも一部を被覆してれば良く、正極活物質の全面を被覆していても良い。また、正極活物質の表面をイオン伝導性酸化物で被覆する方法は、特に限定されず、公知の方法で、正極活物質の表面をイオン伝導性酸化物で被覆することができる。また、正極活物質を被覆するイオン伝導性酸化物の厚さは、例えば、0.1nm以上100nm以下であることが好ましく、1nm以上20nm以下であることがより好ましい。なお、イオン伝導性酸化物の厚さは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)等を用いて測定することができる。
2.2.4.その他の正極材料
正極には、全固体電池の正極に含有させることが可能な公知のバインダーを用いることができる。そのようなバインダーとしては、負極に含有させることが可能な上記バインダー等を例示することができる。さらに、正極には、導電性を向上させる導電助剤が含有されていても良い。正極に含有させることが可能な導電助剤としては、負極に含有させることが可能な上記導電助剤等を例示することができる。
正極は乾式及び湿式のいずれの方法によっても作製可能である。正極の作製法については公知であるため、ここでは説明を省略する。
2.3.負極集電体及び正極集電体
負極集電体や正極集電体は、全固体電池の集電体として使用可能な公知の金属を用いることができる。そのような金属としては、Cu、Ni、Al、V、Au、Pt、Mg、Fe、Ti、Co、Cr、Zn、Ge、Inからなる群から選択される一又は二以上の元素を含む金属材料を例示することができる。
以上の通り、本発明に係る全固体電池は、セパレータ層内に硫化物固体電解質とともに金属硫酸塩の水和物が含まれている。セパレータ層以外の構成については従来と同様とすることができ、例えば、特開2014−086225号公報のような構成を採用できる。尚、金属硫酸塩の水和物がセパレータ層に含まれる場合、金属硫酸塩の水和物が充放電時の電気化学反応に直接的に寄与することはないと考えられる。すなわち、金属硫酸塩の水和物自体が電気化学反応を生じさせることを意図したものではない。
金属硫酸塩の水和物は電池が高温となった時に硫化物固体電解質へと水分を放出・供給し、硫化物固体電解質のイオン伝導性を低下させるものである。すなわち、電池内の温度が所定温度以上となると、金属硫酸塩の水和物から水分(結晶水)が放出され、硫化物固体電解質に水分が吸着・吸収される。硫化物固体電解質は水分の吸着に伴って抵抗が上昇し、イオン伝導性が低下し、電池内の電気化学反応の進行が抑制され、結果として、電池の温度上昇を抑えることができる。
尚、従来においては、例えば結晶水の放出に伴う「吸熱反応」を利用した電池内の温度上昇抑制方法は知られていたが(特許文献2)、本発明のように硫化物固体電解質に水分を供給して、電池内の電気化学反応を意図的に抑えることについては、何ら知られておらず、この点において本発明は従来技術と明らかに異なる。本発明に係る全固体電池は、例えば、過充電時や電池短絡時において電池内の電気化学反応を抑制して温度上昇を抑えることが可能であり、安全性に優れた電池といえる。
以下、実施例に基づいて、本発明に係る全固体電池について詳述するが、本発明は以下の具体的な形態に限定されるものではない。
1.硫化物固体電解質の水分吸着率と抵抗増加率との関係
硫化物固体電解質(20LiI・80(0.75LiS・0.25P)、作製法については特開2012−048973号や特開2014−102987号公報等を参照可能)に水分を吸着させ、硫化物固体電解質の水分吸着率と抵抗増加率とを測定した。結果を図1に示す。
図1に示す結果から明らかなように、硫化物固体電解質は水分の吸着に伴い、抵抗が顕著に上昇し、イオン伝導性が低下した。よって、硫化物固体電解質を含む全固体電池において電気化学反応を抑制するには、硫化物固体電解質の水分吸着率を増大させることが有効であることが分かった。例えば、CaSO・2HOやCuSO・3HO等の金属硫酸塩の水和物をセパレータ層に含ませた場合、電池が高温となった時に当該水和物から硫化物固体電解質へと水分を適切に放出・供給することができ、電池内の電気化学反応を抑制して、温度上昇を抑制することができるといえる。
2.評価用セルの作製及び伝導度評価
2.1.評価用セルの作製
CuSO・5HOをホットプレート上で100℃にて1時間加熱し、脱水させ、CuSO・3HOを得た。硫化物固体電解質25gにCuSO・3HOを0g、2.5g(硫化物固体電解質100質量部に対して10質量部、添加率10%)、5g(同添加率20%)、7.5g(同添加率30%)又は10g(同添加率40%)秤量して混合し、合材を得た。
得られた合材を200℃の炉中(アルゴン雰囲気)で3秒加熱した。
加熱処理前の合材及び加熱処理後の合材それぞれを、断面積1cmの絶縁容器内でプレスし、ペレット化した。ペレット上下に金属棒を接触させ、上下が短絡しないように治具を用いて所定圧力で固定し、評価用セルを作製した。尚、評価用セル作製時にペレットの厚さを膜厚計で測定した。
2.2.伝導度評価
作製した評価用セルを25℃に調整後、交流インピーダンス測定で抵抗を測定した。抵抗の逆数を厚さで規格化することで、加熱前後の合材の伝導度を求めた。結果を図2に示す。
図2に示す結果から明らかなように、CuSO・3HOを含む合材は、加熱処理後、リチウムイオン伝導度が大きく低下した。例えば、硫化物固体電解質100質量部に対してCuSO・3HOを30質量部含ませた合材にあっては、加熱処理後、約160倍に抵抗が増加した。
3.全固体電池の作製及び伝導度評価
3.1.正極合材スラリーの作製
平均粒径D50が5μmのLiNi1/3Co1/3Mn1/3(日亜化学工業社製)50gと、VGCF(昭和電工社製)1gと、硫化物固体電解質17gと、バインダーと、溶媒とを混合して正極合材スラリーを得た。尚、LiNi1/3Co1/3Mn1/3の表面は予めLiNbOで被覆するものとした(特開2010−073539号公報を参照)。
3.2.負極合材スラリーの作製
グラファイト(三菱化学社製)36gと硫化物固体電解質25gと溶媒とを混合し負極合材スラリーとした。
3.3.セパレータスラリーの作製
上述した方法でCuSO・3HOを得た。硫化物固体電解質25gとバインダー1gと溶媒とを混合したセパレータスラリー(比較例)、及び、硫化物固体電解質25gとバインダー1gと溶媒とに加え、CuSO・3HOを7.5gさらに混合したセパレータスラリー(実施例)をそれぞれ用意した。
3.4.全固体電池(積層電池)の作製
Al箔表面に正極合材スラリーを塗工・乾燥して裁断し正極を得る一方、Cu箔表面に負極合材スラリーを塗工・乾燥して裁断し負極を得た。得られた正極及び負極の間にセパレータ層が配置されるように比較例又は実施例に係るセパレータスラリーを塗工・乾燥し、プレスして単電池を作製した。単電池を8層積層し、集電タブをセル端子と超音波溶接し、ラミネートフィルム内に真空封入することで0.5Ah級の全固体の積層電池を得た。
作製した積層電池を電池電圧4.55VまでCCCV充電し、3VまでCCCV放電し(充放電電流:0.3046mA)、再度4.55VまでCCCV充電を実施し、積層電池の調整を行った。
3.5.短絡試験(釘刺し試験)
積層電池を事前に満充電し、温度を60℃にした状態で釘刺し試験機に設置した。釘刺し試験機において10mm/秒の速度にて電池中央に釘を刺し、放電挙動、発熱温度を観測した。結果を図3に示す。
図3に示す結果から明らかなように、比較例に係る積層電池にあっては、短絡後に178℃まで電池の温度が上昇したのに対し、実施例に係る積層電池にあっては、短絡後の温度上昇が154℃までに抑制できた。また、比較例に係る積層電池よりも実施例に係る積層電池のほうが放電時間が長いことから、実施例に係る積層電池において抵抗の上昇が起きているものと推定された。この効果は、CuSO・3HO以外の金属硫酸銅の水和物(例えば、CaSO・2HO等)を用いた場合であっても、同様に奏されるものと考えられる。
以上の通り、硫化物固体電解質を含む全固体電池においては、金属硫酸塩の水和物をセパレータ層に含ませた場合に、電池が高温となった時に当該水和物から硫化物固体電解質へと水分を適切に放出・供給することができ、硫化物固体電解質のイオン伝導度を低下させて電池内の電気化学反応を抑制することができ、結果として電池の温度上昇を抑制することができることが分かった。
本発明に係る全固体電池は、例えば過充電時の温度上昇を抑えることができ、安全性に優れる。本発明に係る全固体電池は、車載搭載用等の大型電源、電子機器搭載用の小型電源として広く利用可能である。

Claims (3)

  1. 硫化物固体電解質と金属硫酸塩の水和物とを含むセパレータ層を備えた、全固体電池。
  2. 前記金属硫酸塩の水和物がCaSO・2HOである、請求項1に記載の全固体電池。
  3. 前記金属硫酸塩の水和物がCuSO・3HOである、請求項1に記載の全固体電池。
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