JP2018190537A - 積層電池および積層電池の製造方法 - Google Patents

積層電池および積層電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本開示は、回り込み電流を低減した積層電池を提供することを主目的とする。【解決手段】本開示においては、正極集電体、正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層および負極集電体をこの順に有するセルを厚さ方向に複数有し、上記複数のセルが電気的に並列接続された積層電池であって、上記複数のセルは、条件(i):上記複数のセルの全ての上記正極集電体は、Ti、Ti合金、FeおよびFe合金の少なくとも一種である、および、条件(ii):上記複数のセルの全ての上記負極集電体は、Ti、Ti合金、FeおよびFe合金の少なくとも一種である、の少なくとも一方の条件を満たす、積層電池を提供することにより、上記課題を解決する。【選択図】図1

Description

本開示は、積層電池に関する。
正極集電体、正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層および負極集電体をこの順に有するセルを厚さ方向に複数有する積層電池が知られている。例えば特許文献1には、正極集電体と正極合材層とを備えた正極層、固体電解質層、および負極集電体と負極合材層とを備えた負極層からなる単位セルを複数有するリチウムイオン二次電池が開示されている。さらに、特許文献1には、全固体電池の安全性を評価する方法として、釘刺し試験が開示されている。
特開2016−207614号公報
上述したように、全固体電池の安全性を評価する方法として、釘刺し試験が知られている。釘刺し試験は、導電性の釘を全固体電池に刺し、電池内で内部短絡が生じたときの変化(例えば温度変化)を観察する試験である。
本発明者等が、複数の全固体電池セルが電気的に並列接続された積層電池に対する釘刺し試験を詳細に検討したところ、短絡部の抵抗(短絡抵抗)が小さいセルと、短絡抵抗が大きいセルとが混在するという新たな知見を得た。短絡抵抗が小さいセルと、短絡抵抗が大きいセルとが混在すると、短絡抵抗が大きいセルから短絡抵抗が小さいセルに電流が流れ込む。以下、これを「回り込み電流」という場合がある。回り込み電流が発生すると、短絡抵抗が小さいセル(電流が流れ込んだセル)の温度が上昇し、その結果、電池材料の劣化を引き起こしやすい。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、回り込み電流を低減した積層電池を提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本開示においては、正極集電体、正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層および負極集電体をこの順に有するセルを厚さ方向に複数有し、上記複数のセルが電気的に並列接続された積層電池であって、上記複数のセルが、条件(i):上記複数のセルの全ての上記正極集電体が、Ti、Ti合金、FeおよびFe合金の少なくとも一種である、および、条件(ii):上記複数のセルの全ての上記負極集電体が、Ti、Ti合金、FeおよびFe合金の少なくとも一種である、の少なくとも一方の条件を満たす、積層電池を提供する。
本開示によれば、複数のセルが条件(i)および条件(ii)の少なくとも一方を満たすことから、回り込み電流を低減した積層電池とすることができる。
上記条件(i)において、上記複数のセルの少なくとも一つの上記正極集電体はTiであっても良い。
上記開示において、上記Fe合金は、SUSであっても良い。
上記開示において、上記複数のセルの少なくとも一つの上記負極集電体は、CuまたはCu合金であっても良い。
また、本開示においては、上述した積層電池を製造する積層電池の製造方法であって、上記複数のセルは、条件(iii):上記複数のセルの少なくとも一つの上記正極集電体は、表面に酸化物層を有するSUSである、および、条件(iv):上記複数のセルの少なくとも一つの上記負極集電体は、表面に酸化物層を有するSUSである、の少なくとも一方の条件をさらに満たし、上記酸化物層を、200℃〜500℃の範囲内の熱処理により形成する熱処理工程を有する、積層電池の製造方法を提供する。
本開示によれば、上記範囲内の熱処理によりSUSの表面に酸化物層を形成し、それを集電体として用いることで、回り込み電流が低減した積層電池を得ることができる。
本開示の積層電池は、回り込み電流を低減できるという効果を奏する。
本開示の積層電池の一例を示す概略断面図である。 釘刺し試験を説明する概略断面図である。 セルの位置と、短絡抵抗との関係を示すグラフである。 回り込み電流を説明する等価回路である。 釘刺し試験を説明する概略断面図である。 2積層セルの製造方法を例示する概略断面図である。 釘刺し試験における電圧プロファイルを例示するグラフである。 接触抵抗試験の試験方法を説明する概略断面図である。 実験例1および比較実験例1〜3における接触抵抗試験の結果である。
以下、本開示の積層電池および積層電池の製造方法について、詳細に説明する。
A.積層電池
図1は、本開示の積層電池の一例を示す概略断面図である。図1に示す積層電池100は、正極集電体4、正極活物質層1、固体電解質層3、負極活物質層2および負極集電体5をこの順に有するセル10(10A、10B〜10H〜10N)を厚さ方向に複数有する。さらに、複数のセル10は、電気的に並列接続されている。並列接続の方法は特に限定されないが、例えば、図1に示すセル10Aおよびセル10Bは、負極集電体5を共有する形で並列接続されている。なお、隣り合う2つのセルは、正極集電体4または負極集電体5を共有していても良く、共有していなくても良い。後者の場合、例えば、正極集電体4または負極集電体5を2層構成とすることで、隣り合う2つのセルが、両者の間に、正極集電体4または負極集電体5を個別に有することになる。
また、複数のセル10は、
条件(i):複数のセル10の全ての正極集電体4は、Ti、Ti合金、FeおよびFe合金の少なくとも一種である、および、
条件(ii):複数のセル10の全ての負極集電体5は、Ti、Ti合金、FeおよびFe合金の少なくとも一種である、
の少なくとも一方の条件を満たすことを一つの特徴とする。
本開示によれば、複数のセルが条件(i)および条件(ii)の少なくとも一方を満たすことから、回り込み電流を低減した積層電池とすることができる。上述したように、本発明者等が、複数のセルが電気的に並列接続された積層電池に対する釘刺し試験を詳細に検討したところ、短絡抵抗が小さいセルと、短絡抵抗が大きいセルとが混在するという新たな知見を得た。
この新たな知見について、図2を用いて説明する。図2に示すように、複数のセル10(10A、10B〜10H〜10N)が電気的に並列接続された積層電池100に対して、釘110を突き刺す。この際、セル10ごとに、短絡抵抗R(R、R〜R〜R)を求める。このような詳細な検討の結果、例えば図3に示すように、短絡抵抗が小さいセルと、短絡抵抗が大きいセルとが混在するという知見が得られた。
短絡抵抗が小さいセルと、短絡抵抗が大きいセルとが混在すると、短絡抵抗が大きいセルから短絡抵抗が小さいセルに電流が流れ込む。例えば図4に示すように、セル10Aおよびセル10Hが電気的に並列接続され、セル10Aの短絡抵抗Rがセル10Hの短絡抵抗Rよりも小さい積層電池に短絡が生じると、オームの法則に基づき、セル10Hからセル10Aに向かう回り込み電流Iが発生する。回り込み電流Iが発生すると、ジュール発熱によりセル10Aの温度が上昇し、その結果、電池材料の劣化を引き起こしやすい。
短絡抵抗が小さいセルと、短絡抵抗が大きいセルとが混在する理由は、完全には明らかではないが、以下のように推測される。積層電池の表面側(例えば図3における位置P)では、例えば図5に示すように、セル10に釘110を刺すことにより、正極集電体4および負極集電体5が接触する状態、ならびに、正極活物質層1および負極集電体5が接触する状態が生じると推測される。
一方、積層電池の中央側(例えば図3における位置P)では、釘が、各部材の破片を巻き込みながら進入することで、正極集電体および負極集電体が接触しない状態、および、正極活物質層および負極集電体が接触しない状態が生じると推測される。「接触しない状態」としては、例えば、両者の間に固体電解質層の破片が存在する状態、および、両者の間に空隙が存在する状態等が想定される。その結果、積層電池の中央側では、短絡抵抗が大きくなる。
なお、積層電池の釘刺し面とは反対の表面側(例えば図3における位置P)における短絡抵抗の挙動は、積層電池の構成によって変化する可能性があるが、後述する参考例1、2では、いずれも短絡抵抗が小さくなった。その理由としては、釘が、各部材の破片をより多く巻き込みながら進入することで、正極集電体および負極集電体が、電子伝導性が高い破片により電気的に接続された状態になるためであると推測される。
これに対して、本開示においては、正極集電体および負極集電体の少なくとも一方に、特定の材料を用いることで、正極集電体および負極集電体の接触抵抗(特に高圧状態における接触抵抗)を大きくできる。その結果、回り込み電流を低減した積層電池とすることができる。なお、本開示においては、正極集電体および負極集電体について、単に集電体と総称する場合がある。
また、短絡抵抗が小さいセルと、短絡抵抗が大きいセルとが混在するという課題は、単電池では生じない課題であり、積層電池に特有の課題であるといえる。さらに、典型的な全固体型の積層電池は、全ての構成部材が固体であるため、釘刺し試験の際に積層電池に加わる圧力は非常に高くなる。例えば、釘が通過する部分において100MPa以上、特に、釘の先端部では400MPa以上の高い圧力が加わるため、高圧状態での短絡抵抗の管理が重要となる。これに対して、液系電池では、電極内に電解液が浸透する空隙があるため、釘刺し試験の際に電池に加わる圧力は大幅に低くなる。すなわち、液系電池の技術に基づいて、高圧状態での短絡抵抗を管理することを着想することは困難である。
1.積層電池の構成
本開示の積層電池は、正極集電体、正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層および負極集電体をこの順に有するセルを厚さ方向に複数有する。積層電池に含まれる総セル数は、例えば、3以上であり、10以上であっても良く、30以上であっても良く、50以上であっても良い。一方、総セル数は、例えば、200以下であり、150以下であっても良く、100以下であっても良い。
さらに、複数のセルは、条件(i):複数のセルの全ての正極集電体は、Ti、Ti合金、FeおよびFe合金の少なくとも一種である、条件(ii):複数のセルの全ての負極集電体は、Ti、Ti合金、FeおよびFe合金の少なくとも一種である、の少なくとも一方の条件を満たす。
ここで、TiおよびFeは、それぞれ、Ti単体およびFe単体を意味する。一方、Ti合金およびFe合金は、それぞれ、Tiを主成分とする合金およびFeを主成分とする合金を意味する。Fe合金の一例としては、ステンレス鋼(SUS)が挙げられ、SUS304が好ましい。
条件(i)において、複数のセルの全ての正極集電体は、Ti、Ti合金、FeおよびFe合金の一種であっても良く、二種以上であっても良い。同様に、条件(ii)において、複数のセルの全ての負極集電体は、Ti、Ti合金、FeおよびFe合金の一種であっても良く、二種以上であっても良い。例えば、複数のセルの全ての集電体は、TiおよびTi合金の少なくとも一種と、FeおよびFe合金の少なくとも一種とであっても良い。
また、条件(i)において、複数のセルの少なくとも一つの正極集電体はTiまたはTi合金であっても良い。同様に、条件(ii)において、複数のセルの少なくとも一つの負極集電体はTiまたはTi合金であっても良い。TiまたはTi合金は、例えばSUSに比べて、通常使用時は抵抗を小さくできる(電子伝導度を高くできる)と同時に、短絡時には接触抵抗を大きくできるという優れた効果を有する。全ての正極集電体に対する、TiまたはTi合金である正極集電体の割合は、例えば50%以上であり、70%以上であっても良く、90%以上であっても良い。全ての負極集電体に対する、TiまたはTi合金である負極集電体の割合は、例えば50%以上であり、70%以上であっても良く、90%以上であっても良い。
また、条件(i)において、複数のセルの少なくとも一つの正極集電体はFe合金であることが好ましい。同様に、条件(ii)において、複数のセルの少なくとも一つの負極集電体はFe合金であっても良い。Fe合金は、SUSであることが好ましい。また、SUSは、表面に酸化物層を有することが好ましい。さらに、酸化物層は、SUSの酸化被膜であることが好ましい。酸化物層の厚さは、例えば10nm以上であり、20nm以上であっても良い。全ての正極集電体に対する、表面に酸化物層を有するSUSである正極集電体の割合は、例えば50%以上であり、70%以上であっても良く、90%以上であっても良い。全ての負極集電体に対する、表面に酸化物層を有するSUSである負極集電体の割合は、例えば50%以上であり、70%以上であっても良く、90%以上であっても良い。
また、複数のセルが、条件(i)を満たす場合、負極集電体として、任意の負極集電体を用いることができる。中でも、複数のセルの少なくとも一つの負極集電体は、CuまたはCu合金であることが好ましい。全ての負極集電体に対する、CuまたはCu合金である負極集電体の割合は、例えば50%以上であり、70%以上であっても良く、90%以上であっても良い。
また、本開示においては、100MPaの圧力下における正極集電体および負極集電体の接触抵抗が、複数のセルの全てにおいて、0.037Ω・cm以上であっても良く、0.047Ω・cm以上であっても良く、0.103Ω・cm以上であっても良い。一方、100MPaの圧力下における正極集電体および負極集電体の接触抵抗が、複数のセルの全てにおいて、0.277Ω・cm以下であっても良い。
また、釘刺し試験後の積層電池において、最も短絡抵抗が小さいセルの短絡抵抗をRMinとし、最も短絡抵抗が大きいセルの短絡抵抗をRMaxとする。例えば、負極活物質として金属活物質(特にSiまたはSi合金)を用いた場合、RMax/RMinの値は、100以下であることが好ましく、5.0以下であることがより好ましい。なお、釘刺し試験の条件は、後述する参考例1、2に記載した条件で行う。
2.セル
本開示におけるセルは、正極集電体、正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層および負極集電体をこの順に有する。セルは、典型的には、Liイオン伝導を利用したセル(Liイオンセル)である。また、セルは、充放電可能なセル(二次電池)であることが好ましい。
(1)正極集電体および負極集電体
正極集電体は、上述した正極活物質層の集電を行い、負極極集電体は、上述した負極活物質層の集電を行う。正極集電体に含まれる金属元素は、上述した通りである。正極集電体の形状としては、例えば、箔状、メッシュ状が挙げられる。正極集電体の厚さは、例えば、0.1μm以上であり、1μm以上であっても良い。正極集電体が薄すぎると、集電機能が低くなる可能性がある。一方、正極集電体の厚さは、例えば、1mm以下であり、100μm以下であっても良い。正極集電体が厚すぎると、電池のエネルギー密度が低くなる可能性がある。
負極集電体に含まれる金属元素は、上述した通りである。負極集電体の形状としては、例えば、箔状、メッシュ状が挙げられる。負極集電体の厚さは、例えば、0.1μm以上であり、1μm以上であっても良い。負極集電体が薄すぎると、集電機能が低くなる可能性がある。一方、負極集電体の厚さは、例えば、1mm以下であり、100μm以下であっても良い。負極集電体が厚すぎると、電池のエネルギー密度が低くなる可能性がある。
(2)負極活物質層
負極活物質層は、負極活物質を少なくとも含有し、必要に応じて、固体電解質材料、導電化材およびバインダーの少なくとも一つを含有していても良い。
負極活物質は、特に限定されないが、例えば、金属活物質、炭素活物質、酸化物活物質が挙げられる。金属活物質としては、例えば、金属単体、金属合金が挙げられる。金属活物質に含まれる金属元素としては、例えば、Si、Sn、In、Al等が挙げられる。金属合金は、上記金属元素を主成分として含有する合金であることが好ましい。Si合金としては、例えばSi−Al系合金、Si−Sn系合金、Si−In系合金、Si−Ag系合金、Si−Pb系合金、Si−Sb系合金、Si−Bi系合金、Si−Mg系合金、Si−Ca系合金、Si−Ge系合金、Si−Pb系合金が挙げられる。なお、例えばSi−Al系合金とは、少なくともSiおよびAlを含有する合金を意味し、SiおよびAlのみを含有する合金であっても良く、さらに別の金属元素を含有する合金であっても良い。Si−Al系合金以外の合金についても同様である。金属合金は、2成分系合金であっても良く、3成分系以上の多成分系合金であっても良い。
一方、カーボン活物質としては、例えば、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、高配向性グラファイト(HOPG)、ハードカーボン、ソフトカーボン等が挙げられる。また、酸化物活物質としては、例えば、LiTi12等のチタン酸リチウムが挙げられる。
負極活物質の形状としては、例えば粒子状が挙げられる。負極活物質の平均粒径(D50)は、例えば10nm〜50μmの範囲内であり、100nm〜20μmの範囲内であっても良い。負極活物質層における負極活物質の割合は、例えば50重量%以上であり、60重量%〜99重量%の範囲内であっても良い。
固体電解質材料は、特に限定されないが、例えば、硫化物固体電解質材料、酸化物固体電解質材料等の無機固体電解質材料が挙げられる。硫化物固体電解質材料としては、例えば、LiS−P、LiS−P−LiI、LiS−P−LiI−LiBr、LiS−P−LiO、LiS−P−LiO−LiI、LiS−SiS、LiS−SiS−LiI、LiS−SiS−LiBr、LiS−SiS−LiCl、LiS−SiS−B−LiI、LiS−SiS−P−LiI、LiS−B、LiS−P−Z(ただし、m、nは正の数。Zは、Ge、Zn、Gaのいずれか。)、LiS−GeS、LiS−SiS−LiPO、LiS−SiS−LiMO(ただし、x、yは正の数。Mは、P、Si、Ge、B、Al、Ga、Inのいずれか。)が挙げられる。なお、上記「LiS−P」の記載は、LiSおよびPを含む原料組成物を用いてなる硫化物固体電解質材料を意味し、他の記載についても同様である。
特に、硫化物固体電解質材料は、Li、A(Aは、P、Si、Ge、AlおよびBの少なくとも一種である)、およびSを含有するイオン伝導体を備えることが好ましい。さらに、上記イオン伝導体は、オルト組成のアニオン構造(PS 3−構造、SiS 4−構造、GeS 4−構造、AlS 3−構造、BS 3−構造)をアニオンの主成分として有することが好ましい。化学安定性の高い硫化物固体電解質材料とすることができるからである。オルト組成のアニオン構造の割合は、イオン伝導体における全アニオン構造に対して、70mol%以上であることが好ましく、90mol%以上であることがより好ましい。オルト組成のアニオン構造の割合は、ラマン分光法、NMR、XPS等により決定することができる。
硫化物固体電解質材料は、上記イオン伝導体に加えて、ハロゲン化リチウムを含有していても良い。ハロゲン化リチウムとしては、例えば、LiF、LiCl、LiBrおよびLiIを挙げることができ、中でも、LiCl、LiBrおよびLiIが好ましい。硫化物固体電解質材料におけるLiX(X=I、Cl、Br)の割合は、例えば、5mol%〜30mol%の範囲内であり、15mol%〜25mol%の範囲内であっても良い。
固体電解質材料は、結晶性材料であっても良く、非晶質材料であっても良い。また、固体電解質材料は、ガラスであっても良く、結晶化ガラス(ガラスセラミックス)であっても良い。固体電解質材料の形状としては、例えば粒子状が挙げられる。
導電化材としては、例えば、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック(KB)、炭素繊維、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノファイバー(CNF)等の炭素材料が挙げられる。また、バインダーとしては、例えば、ブチレンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)等のゴム系バインダー、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ化物系バインダーが挙げられる。
負極活物質層の厚さは、例えば、0.1μm〜300μmの範囲内であり、0.1μm〜100μmの範囲内であっても良い。
(3)正極活物質層
正極活物質層は、正極活物質を少なくとも含有し、必要に応じて、固体電解質材料、導電化材およびバインダーの少なくとも一つを含有していても良い。
正極活物質は、特に限定されないが、例えば、酸化物活物質が挙げられる。酸化物活物質としては、例えば、LiCoO、LiMnO、LiNiO、LiVO、LiNi1/3Co1/3Mn1/3等の岩塩層状型活物質、LiMn、LiTi12、Li(Ni0.5Mn1.5)O等のスピネル型活物質、LiFePO、LiMnPO、LiNiPO、LiCoPO等のオリビン型活物質が挙げられる。また、酸化物活物質として、Li1+xMn2−x−y(Mは、Al、Mg、Co、Fe、Ni、Znの少なくとも一種、0<x+y<2)で表されるLiMnスピネル活物質、チタン酸リチウム等を用いても良い。
また、正極活物質の表面には、Liイオン伝導性酸化物を含有するコート層が形成されていても良い。正極活物質と、固体電解質材料との反応を抑制できるからである。Liイオン伝導性酸化物としては、例えば、LiNbO、LiTi12、LiPOが挙げられる。コート層の厚さは、例えば、0.1nm〜100nmの範囲内であり、1nm〜20nmの範囲内であっても良い。正極活物質表面におけるコート層の被覆率は、例えば、50%以上であり、80%以上であっても良い。
正極活物質層に用いられる固体電解質材料、導電化材およびバインダーについては、上記「(2)負極活物質層」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、正極活物質層の厚さは、例えば、0.1μm〜300μmの範囲内であり、0.1μm〜100μmの範囲内であっても良い。
(4)固体電解質層
固体電解質層は、正極活物質層および負極集電体の間に形成される層である。また、固体電解質層は、固体電解質材料を少なくとも含有し、必要に応じて、バインダーをさらに含有していても良い。固体電解質層に用いられる固体電解質材料およびバインダーについては、上記「(2)負極活物質層」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
固体電解質層における固体電解質材料の含有量は、例えば、10重量%〜100重量%の範囲内であり、50重量%〜100重量%の範囲内であっても良い。また、固体電解質層の厚さは、例えば、0.1μm〜300μmの範囲内であり、0.1μm〜100μmの範囲内であっても良い。
B.積層電池の製造方法
本開示の積層電池の製造方法は、上記「A.積層電池」に記載の積層電池を製造する積層電池の製造方法であって、上記複数のセルは、条件(iii):上記複数のセルの少なくとも一つの上記正極集電体は、表面に酸化物層を有するSUSである、および、条件(iv):上記複数のセルの少なくとも一つの上記負極集電体は、表面に酸化物層を有するSUSである、の少なくとも一方の条件をさらに満たし、上記酸化物層を、200℃〜500℃の範囲内の熱処理により形成する熱処理工程を有する。
本開示によれば、上記範囲内の熱処理によりSUSの表面に酸化物層を形成し、それを集電体として用いることで、回り込み電流が低減した積層電池を得ることができる。
熱処理温度は、通常、200℃〜500℃の範囲内である。熱処理温度が上記範囲内にあることで、接触抵抗を十分に大きくできる。熱処理時間は、特に限定されないが、例えば10分間以上であり、60分間以上であっても良い。一方、熱処理時間は、例えば24時間以下であり、6時間以下であっても良い。熱処理雰囲気は、酸素が存在する雰囲気であることが好ましく、大気雰囲気がより好ましい。また、熱処理装置としては、例えば、焼成炉が挙げられる。また、積層電池の組立工程としては、一般的な組立工程と同様に行うことができ、特に限定されない。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
本開示をさらに具体的に説明する。まず、参考例1、2では、従来の積層電池において、短絡抵抗が小さいセルと、短絡抵抗が大きいセルとが混在することを確認した。
[参考例1]
(正極の作製)
転動流動式コーティング装置(パウレック製)を用いて、大気環境において正極活物質(Li1.15Ni1/3Co1/3Mn1/30.005)にLiNbOをコーティングした。その後、大気環境において焼成を行い、正極活物質の表面にLiNbOを含有するコート層を形成した。これにより、表面にコート層を有する正極活物質を得た。
次に、ポリプロピレン(PP)製容器に、酪酸ブチルと、PVDF系バインダー(クレハ製)の5重量%酪酸ブチル溶液と、得られた正極活物質と、硫化物固体電解質材料(LiIおよびLiBrを含むLiS−P系ガラスセラミックス、平均粒径D50=0.8μm)と、導電化材(気相成長炭素繊維、VGCF、昭和電工製)とを、正極活物質:硫化物固体電解質材料:導電化材:バインダー=85:13:1:1の重量比で添加した。次に、超音波分散装置(エスエムテー製UH−50)でPP製容器を30秒間撹拌した。次に、PP製容器を振とう器(柴田科学製、TTM−1)で3分間振とうさせ、さらに超音波分散装置で30秒間撹拌し、塗工液を得た。
次に、Al箔(日本製箔製、正極集電体)を準備した。得られた塗工液を、アプリケーターを用いて、ブレード法によりAl箔上に塗工した。塗工した電極を、自然乾燥後、100℃のホットプレート上で30分間乾燥させ、正極集電体の一方の表面上に正極活物質層を形成した。次に、電池サイズに合わせて裁断し、正極を得た。
(負極の作製)
PP製容器に、酪酸ブチルと、PVDF系バインダー(クレハ製)の5重量%酪酸ブチル溶液と、負極活物質(シリコン、高純度化学製、平均粒径D50=5μm)と、硫化物固体電解質材料(LiIおよびLiBrを含むLiS−P系ガラスセラミックス、平均粒径D50=0.8μm)と、導電化材(気相成長炭素繊維、VGCF、昭和電工製)とを、負極活物質:硫化物固体電解質材料:導電化材:バインダー=55:42:2:1の重量比で添加した。次に、超音波分散装置(エスエムテー製UH−50)でPP製容器を30秒間撹拌した。次に、PP製容器を振とう器(柴田科学製、TTM−1)で30分間振とうさせ、さらに超音波分散装置で30秒間撹拌し、塗工液を得た。
次に、図6(a)に示すように、Cu箔(負極集電体5)を準備した。得られた塗工液を、アプリケーターを用いて、ブレード法によりCu箔上に塗工した。塗工した電極を、自然乾燥後、100℃のホットプレート上で30分間乾燥させた。これにより、図6(b)に示すように、Cu箔(負極集電体5)の一方の表面上に負極活物質層2を形成した。その後、同様の処理に行い、図6(c)に示すように、Cu箔(負極集電体5)の他方の表面上に負極活物質層2を形成した。次に、電池サイズに合わせて裁断し、負極を得た。
(固体電解質層の作製)
PP製容器に、ヘプタンと、ブチレンゴム系バインダー(JSR社製)の5重量%ヘプタン溶液と、硫化物固体電解質材料(LiIおよびLiBrを含むLiS−P系ガラスセラミックス、平均粒径D50=2.5μm)とを添加した。次に、超音波分散装置(エスエムテー製UH−50)でPP製容器を30秒間撹拌した。次に、PP製容器を振とう器(柴田科学製、TTM−1)で30分間振とうさせ、さらに超音波分散装置で30秒間撹拌し、塗工液を得た。
次に、Al箔(日本製箔製)を準備した。得られた塗工液を、アプリケーターを用いて、ブレード法によりAl箔上に塗工した。塗工した電極を、自然乾燥後、100℃のホットプレート上で30分間乾燥させた。次に、電池サイズに合わせて裁断し、Al箔および固体電解質層を有する転写部材を得た。
(評価用電池の作製)
得られた2つの転写部材を、それぞれ、負極集電体の両面に形成された負極活物質層上に配置し、冷間等方圧加圧法(CIP法)により、4ton/cmの圧力でプレスした。その後、転写部材のAl箔を剥離した。これにより、図6(d)に示すように、負極活物質層2上に固体電解質層3を形成した。次に、上記で得られた2つの正極を、それぞれ、負極集電体の両面に形成された固体電解質層上に配置し、冷間等方圧加圧法(CIP法)により、4ton/cmの圧力でプレスした。これにより、図6(e)に示すように、固体電解質層3上に、正極活物質層1および正極集電体4を形成した。このようにして、2積層セルを得た。さらに、得られた2積層セルを30個積層して、アルミラミネートフィルムにより封止し、評価用電池を得た。
[参考例2]
(負極の作製)
PP製容器に、酪酸ブチルと、PVDF系バインダー(クレハ製)の5重量%酪酸ブチル溶液と、負極活物質(天然黒鉛、日本カーボン製、平均粒径D50=10μm)と、硫化物固体電解質材料(LiIおよびLiBrを含むLiS−P系ガラスセラミックス、平均粒径D50=0.8μm)とを、負極活物質:硫化物固体電解質材料:バインダー=59:40:1の重量比で添加した。次に、超音波分散装置(エスエムテー製UH−50)でPP製容器を30秒間撹拌した。次に、PP製容器を振とう器(柴田科学製、TTM−1)で30分間振とうさせ、さらに超音波分散装置で30秒間撹拌し、塗工液を得た。
(評価用電池の作製)
得られた塗工液を用いたこと以外は、参考例1と同様にして2積層セルを得た。さらに、得られた2積層セルを40個積層したこと以外は、参考例1と同様にして評価用電池を得た。
[評価]
参考例1、2で得られた評価用電池に対して、以下の条件で釘刺し試験を行った。
充電状態:未充電
抵抗計:Hioki製RM3542
釘:SK材(φ8mm、先端角60°)
釘の速度:25mm/sec
釘刺し時の電圧プロファイルから、セルの短絡抵抗を求めた。電圧プロファイルの一例を図7に示す。図7に示すように、釘刺し時により、セルの電圧は降下する。ここで、初期電圧をVとし、釘刺し時の最小電圧をVとする。また、セルの内部抵抗を予め測定しておき、その内部抵抗をrとする。また、セルの短絡抵抗をRとする。釘刺し時の電圧降下により生じる電流が、全て短絡電流であると仮定すると、V/R=(V−V)/rの関係が成り立つ。この関係から、セルの短絡抵抗Rが算出できる。各セルの電圧プロファイルを集め、厚さ方向における短絡抵抗の変化が確認した。その結果を表1および表2に示す。なお、表1および表2における短絡抵抗の値は、第1セルの短絡抵抗を1とした場合の相対値である。また、釘刺し面に近いセルを第1セルとした。
Figure 2018190537
Figure 2018190537
表1および表2に示すように、参考例1、2では、いずれも、第1セルの短絡抵抗が第10セルの短絡抵抗よりも大きくなった。これは、釘刺し時に、ラミネートフィルムの絶縁部が巻き込まれたためであると推測される。また、参考例1では、第40セルの短絡抵抗が、第1セルまたは第10セルの短絡抵抗に比べて大きく、参考例2では、第60セルの短絡抵抗が、第1セルまたは第10セルの短絡抵抗に比べて大きかった。このように、短絡抵抗が小さいセルと、短絡抵抗が大きいセルとが混在することが確認された。
[比較実験例1]
正極集電体として、Al箔(厚さ15μm、UACJ製1N30)を準備し、負極集電体として、Cu箔(厚さ12μm、古河電工製、電解Cu箔)を準備した。
[実験例1]
正極集電体として、SUS箔(SUS304、厚さ15μm、東洋精箔製)を準備し、負極集電体として、Cu箔(厚さ12μm、古河電工製、電解Cu箔)を準備した。
[実験例2]
正極集電体として、Ti箔(厚さ10μm、竹内金属箔粉工業製TR207C−H)を準備し、負極集電体として、Cu箔(厚さ12μm、古河電工製、電解Cu箔)を準備した。
[実験例3]
正極集電体として、Al箔(厚さ15μm、UACJ製1N30)を準備し、負極集電体として、Fe箔(厚さ10μm、竹内金属箔粉工業製)を準備した。
[実験例4]
正極集電体として、Fe箔(厚さ10μm、竹内金属箔粉工業製)を準備し、負極集電体として、Cu箔(厚さ12μm、古河電工製、電解Cu箔)を準備した。
[評価]
比較実験例1および実験例1〜4で準備した正極集電体および負極集電体の接触抵抗を測定した。具体的には、図8に示すように、ベークライト板21上に負極集電体5を配置し、負極集電体5上に貫通部を有するカプトンフィルム22を配置し、カプトンフィルム22上に正極集電体4を配置した。さらに、φ11.28mmのSK材ブロック23を、平面視上、カプトンフィルム22の貫通部と重複するように、正極集電体4上に配置した。この状態で、オートグラフ24により、100MPaを加えた際の抵抗値を抵抗計(Hioki製RM3542)で測定した。その結果を表3に示す。
Figure 2018190537
表3に示すように、実験例1〜4は、比較実験例1に比べて、100MPaにおける接触抵抗が大きくなることが確認できた。特に、実験例2で使用したTiは、実験例1で使用したSUSに比べて、100MPaにおける接触抵抗が2倍以上になった。ここで、実験例1〜4および比較実験例1で用いた集電体の比抵抗を検討した。各集電体の比抵抗を表4に示す。
Figure 2018190537
表3および表4に示すように、実験例2で使用したTiは、実験例1で使用したSUSに比べて、比抵抗は小さく、接触抵抗が大きいという優れた効果を有することが確認された。すなわち、Tiは、SUSに比べて、通常使用時は抵抗を小さくできる(電子伝導度を高くできる)と同時に、短絡時には接触抵抗を大きくできるという優れた効果を有することが確認された。
[比較実験例2]
正極集電体として、Al箔(厚さ15μm、UACJ製1N30)を準備した。一方、導電化材(ファーネスブラック、平均一次粒径66nm、東海カーボン製)、フィラー(アルミナ、昭和電工製CB−P02)およびPVDF(クレハ製KFポリマーL#9130)を、導電化材:フィラー:PVDF=10:60:30の体積比となるように、N−メチルピロリドン(NMP)と混合し、ペーストを作製した。得られたペーストを、Cu箔(厚さ12μm、古河電工製、電解Cu箔)に対して、乾燥後の厚さが10μmとなるように塗工し、乾燥炉で乾燥させ、コート層を形成した。得られたCu箔を負極集電体として準備した。
[比較実験例3]
導電化材(ファーネスブラック、平均一次粒径66nm、東海カーボン製)、フィラー(アルミナ、昭和電工製CB−P02)およびPVDF(クレハ製KFポリマーL#9130)を、導電化材:フィラー:PVDF=10:60:30の体積比となるように、N−メチルピロリドン(NMP)と混合し、ペーストを作製した。得られたペーストを、Al箔(厚さ15μm、UACJ製1N30)に対して、乾燥後の厚さが10μmとなるように塗工し、乾燥炉で乾燥させ、コート層を形成した。得られたAl箔を正極集電体として準備した。一方、負極集電体としてCu箔(厚さ12μm、古河電工製、電解Cu箔)を準備した。
[評価]
実験例1および比較実験例1〜3で準備した正極集電体および負極集電体の接触抵抗を測定した。接触抵抗を測定方法は、上述した通りであるが、加える圧力を0.1MPa〜100MPaまで変化させた。その結果を表5および図9に示す。
Figure 2018190537
表5および図9に示すように、0.1MPa(低圧状態)と、100MPa(高圧状態)では、接触抵抗の傾向が全く異なることが確認された。具体的に、0.1MPa(低圧状態)では、接触抵抗が、比較実験例2、比較実験例3、実験例1、比較実験例1の順に高いが、100MPa(高圧状態)では、接触抵抗が、比較実験例2および実験例1がほぼ同じで最も高く、次いで、比較実験例3、比較実験例1の順になった。回り込み電流の低減には、高圧状態において接触抵抗が高いことが重要であるが、その傾向は、低圧状態における接触抵抗(例えば、比抵抗から想定される接触抵抗)に基づいて想定しにくい。また、図9に示すように、実験例1で使用したSUSは、低圧状態から高圧状態に変化した場合であっても、接触抵抗の低下割合が小さいという優れた効果を有することが確認された。
[実験例5]
SUS箔(SUS304、厚さ15μm、東洋精箔製)に対して、200℃、1時間、大気雰囲気の条件で熱処理を行い、表面に、酸化物層(SUSの酸化被膜)を形成した。得られたSUS箔を正極集電体として準備し、負極集電体として、Cu箔(厚さ12μm、古河電工製、電解Cu箔)を準備した。
[実験例6]
SUS箔(SUS304、厚さ15μm、東洋精箔製)に対して、500℃、1時間、大気雰囲気の条件で熱処理を行い、表面に、酸化物層(SUS酸化被膜)を形成した。得られたSUS箔を正極集電体として準備し、負極集電体として、Cu箔(厚さ12μm、古河電工製、電解Cu箔)を準備した。
[実験例7]
SUS箔(SUS304、厚さ15μm、東洋精箔製)に対して、700℃、1時間、大気雰囲気の条件で熱処理を行い、表面に、酸化物層(SUS酸化被膜)を形成した。得られたSUS箔を正極集電体として準備し、負極集電体として、Cu箔(厚さ12μm、古河電工製、電解Cu箔)を準備した。
[評価]
実験例1、5〜7で準備した正極集電体および負極集電体の接触抵抗を測定した。接触抵抗を測定方法は、上述した通りである。その結果を表6に示す。
Figure 2018190537
表6に示すように、SUSの表面に酸化物層を形成することで、接触抵抗が大きくなり、回り込み電流を低減できることが示唆された。特に、200℃および500℃で熱処理した実験例5、6は、700℃で熱処理した実験例7よりも接触抵抗が高くなった。実験例7では、鋭敏化(SUS中のCおよびCrが結合することで、Cr欠乏層が生成し、耐食性が低下する現象)が生じた可能性がある。
1 … 正極活物質層
2 … 負極活物質層
3 … 固体電解質層
4 … 正極集電体
5 … 負極集電体
10 … セル
100 … 積層電池
110 … 釘

Claims (5)

  1. 正極集電体、正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層および負極集電体をこの順に有するセルを厚さ方向に複数有し、前記複数のセルが電気的に並列接続された積層電池であって、
    前記複数のセルは、
    条件(i):前記複数のセルの全ての前記正極集電体は、Ti、Ti合金、FeおよびFe合金の少なくとも一種である、および、
    条件(ii):前記複数のセルの全ての前記負極集電体は、Ti、Ti合金、FeおよびFe合金の少なくとも一種である、
    の少なくとも一方の条件を満たす、積層電池。
  2. 前記条件(i)において、前記複数のセルの少なくとも一つの前記正極集電体はTiまたはTi合金である、請求項1に記載の積層電池。
  3. 前記Fe合金が、SUSである、請求項1または請求項2に記載の積層電池。
  4. 前記複数のセルの少なくとも一つの前記負極集電体は、CuまたはCu合金である、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の積層電池。
  5. 請求項1に記載の積層電池を製造する積層電池の製造方法であって、
    前記複数のセルは、
    条件(iii):前記複数のセルの少なくとも一つの前記正極集電体は、表面に酸化物層を有するSUSである、および、
    条件(iv):前記複数のセルの少なくとも一つの前記負極集電体は、表面に酸化物層を有するSUSである、
    の少なくとも一方の条件をさらに満たし、
    前記酸化物層を、200℃〜500℃の範囲内の熱処理により形成する熱処理工程を有する、積層電池の製造方法。
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