JP2018104530A - ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリアミド樹脂が固有に備える耐衝撃性および剛性を大きく損なうことなく保持した、成形時の流動性に優れたポリアミド樹脂組成物を提供すること。【解決手段】(A)ポリアミド40.0〜98.9質量%及び(B)下記の要件(B−1)〜(B−3)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体1.0〜40.0質量%、下記の要件(C−1)〜(C−3)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体を0.1〜20.0質量%含むポリアミド樹脂組成物。(B−1)230℃、2.16kg荷重で測定されるメルトフローレート(MFR)が0.1〜200(g/10分)である。(B−2) 極性基を有するビニル化合物由来の骨格単位の含有量MBが0.01〜10.0質量%である。 (B−3)エチレン由来の骨格単位50〜95モル%と、炭素原子数3〜8のα−オレフィン由来の骨格単位5〜50モル%とを含む(エチレン由来の骨格単位とα−オレフィン由来の骨格単位の合計量を100モル%とする)。(C-1)100℃における動粘度が1〜5000mm2/秒である。(C−2) エチレン由来の骨格単位30〜80モル%と、炭素原子数3〜20のα−オレフィン由来の骨格単位20〜70モル%とを含む(ただし、エチレン由来の骨格単位と炭素原子数3〜20のα−オレフィン由来の骨格単位との合計量を100モル%とする)。 (C−3)示差走査熱量計(DSC)による融点(Tm)が観測されない。【選択図】なし

Description

本発明は、特定の要件を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体を含むポリアミド樹脂組成物及びこれから得られる成形体に関する。
ポリアミド樹脂は、その優れた物性によりエンジニアリングプラスチックとして大きな需要が期待されている。しかし、ポリアミド樹脂は、一般的に耐衝撃性や剛性等の機械強度と、成形時の流動性とのバランスが未だ十分とはいえず、改良が種々検討されている。
ポリアミド樹脂の耐衝撃性を改良する方法としては、例えばα,β−不飽和カルボン酸をグラフトしたエチレン・α−オレフィン共重合体をポリアミド樹脂に配合する方法が特許文献1に提案されている。しかし、提案されているポリアミド樹脂組成物では、耐衝撃性を向上させようとすると、剛性や流動性が低下する傾向が認められている。
ポリアミド樹脂の流動性を改善する方法としては、例えば、分子量の低いポリアミド樹脂を用いたり、流動性改質剤(可塑剤やワックス類)を用いる方法がある。しかし、衝撃強度の低下や成形時のガスやシルバーストリーク、ピンホール発生の問題があり、この方法の適用には制限がある。例えば、特許文献2には、液状エチレン・α−オレフィンランダム共重合体を用いて流動性を改善したポリアミド樹脂組成物の開示があるが、衝撃強度が不十分となる傾向が認められた。
さらに、ポリアミドを構成するジアミン成分として特定のジアミンを用いることによって、機械的強度、成形性、表面外観に優れたポリアミド樹脂組成物が得られることが特許文献3及び4に開示されているが、その効果も未だ十分とはいえない。また、ポリアミド樹脂にホモポリプロピレンや特定の酸変性ポリオレフィンを配合することによって耐衝撃性と耐熱性とのバランスに優れたポリアミド樹脂組成物が得られることが特許文献5に開示されているが、ここでは柔軟性や成形性(射出成形時のスパイラルフロー性)に関しては十分検討されていない。
したがって、ポリアミド樹脂が固有に備える機械的強度(耐衝撃性および剛性)をできるだけ損なうことなく保持し、さらに成形時の流動性(射出成形時のスパイラルフロー性)に優れたポリアミド樹脂組成物の創出が望まれていた。
特開平9−087475号公報 特開平4−239566号公報 特開2008−095066号公報 特開2011−148267号公報 特開2015−010100号公報
本発明の目的は、上記の各問題点を解決すること、すなわちポリアミド樹脂が固有に備える耐衝撃性および剛性等の機械強度と、成形時の流動性とのバランスに優れたポリアミド樹脂組成物を提供することにある。
本発明は、以下の事項により特定される。
[1] ポリアミド(A)40.0〜98.9質量%、
下記要件(B−1)〜(B−3)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体(B)1.0〜40.0質量%、および、
下記要件(C−1)〜(C−3)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体(C)0.1〜20.0質量%を含むポリアミド樹脂組成物。
(B−1) 230℃、2.16kg荷重で測定されるメルトフローレート(MFR)が0.1〜200g/10分である。
(B−2) 極性基を有するビニル化合物由来の骨格単位の含有量MBが0.01〜10.0質量%である。
(B−3) エチレン由来の骨格単位50〜95モル%と、炭素原子数3〜8のα−オレフィン由来の骨格単位5〜50モル%とを含む(ただし、エチレン由来の骨格単位とα−オレフィン由来の骨格単位との合計量を100モル%とする)。
(C−1)100℃における動粘度が1〜5000mm2/秒である。
(C−2) エチレン由来の骨格単位30〜80モル%と、炭素原子数3〜20のα−オレフィン由来の骨格単位20〜70モル%とを含む(ただし、エチレン由来の骨格単位と炭素原子数3〜20のα−オレフィン由来の骨格単位との合計量を100モル%とする)。
(C−3)示差走査熱量計(DSC)による融点(Tm)が観測されない。
[2] 前記エチレン・α−オレフィン共重合体(C)がさらに下記要件(C−4)を満たす、前記[1]に記載のポリアミド樹脂組成物。
(C−4) 極性基を有するビニル化合物由来の骨格単位の含有量MCが0〜5質量%であり、かつ、前記MBとの関係がMB>MCである。
[3] 前記エチレン・α−オレフィン共重合体(C)がさらに下記要件(C−5)を満たす、前記[1]または[2]に記載のポリアミド樹脂組成物。
(C−5) エチレン・α−オレフィン共重合体(C)のJIS K2249に準拠し測定した密度DCが820〜900kg/m3であり、かつ、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)のASTM D1505に準拠して測定した密度DBとの差|DB−DC|が40kg/m3以下である。
[4] 前記要件(B−2)における極性基がカルボキシル基であることを特徴とする前記[1]〜[3]の何れかに記載のポリアミド樹脂組成物
[5] 前記要件(B−2)における、極性基を有するビニル化合物由来の骨格単位が、マレイン酸または無水マレイン酸由来の骨格単位であることを特徴とする前記[1]〜[4]の何れかに記載のポリアミド樹脂組成物。
[6] 前記[1]〜[5]の何れかに記載のポリアミド樹脂組成物と、該ポリアミド樹脂組成物100質量部に対して1〜100質量部の無機フィラーとを含むフィラー含有ポリアミド樹脂組成物。
[7] 前記[1]〜[5]の何れかに記載のポリアミド樹脂組成物又は前記[6]に記載のフィラー含有ポリアミド樹脂組成物からなる成形体。
本発明によれば、ポリアミド樹脂が固有に備える耐衝撃性および剛性等の機械強度と、成形時の流動性とのバランスに優れたポリアミド樹脂組成物を提供することができる。
図1は、実施例および比較例におけるポリアミド樹脂組成物の曲げ弾性率に対するアイゾッド衝撃強度をプロットした図である。 図2は、実施例および比較例におけるポリアミド樹脂組成物のスパイラルフローに対するアイゾッド衝撃強度をプロットした図である。
[ポリアミド(A)]
本発明に用いるポリアミド(A)は特に限定されず、本発明の効果を損なわない範囲において従来知られる各種のポリアミド樹脂を制限なく使用できる。例えば、アミノ酸ラクタム、あるいはジアミンとジカルボン酸との重縮合反応により得られる溶融成形可能なポリアミド樹脂を使用できる。ポリアミド(A)の具体例としては、以下の樹脂が挙げられる。
(1)炭素原子数4〜12の有機ジカルボン酸と炭素原子数2〜13の有機ジアミンとの重縮合物、例えばヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との重縮合物であるポリヘキサメチレンアジパミド[6,6ナイロン]、ヘキサメチレンジアミンとアゼライン酸との重縮合物であるポリヘキサメチレンアゼラミド[6,9ナイロン]、ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸との重縮合物であるポリヘキサメチレンセバカミド[6,10ナイロン]、ヘキサメチレンジアミンとドデカンジオン酸との重縮合物であるポリヘキサメチレンドデカノアミド[6,12ナイロン]、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンとの重縮合物である半芳香族ポリアミド(PA6T、PA9T、PA10T、PA11T)、ビス−p−アミノシクロヘキシルメタンとドデカンジオン酸との重縮合物であるポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカン。
上記有機ジカルボン酸としては、例えばアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、フェニレンジオキシジ酢酸、オキシジ安息香酸、ジフェニルメタンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などが挙げられる。上記有機ジアミンとしては、例えばヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナンジアミン、オクタンジアミン、デカンジアミン、ウンデカジアミン、ウンデカンジアミン、ドデカンジアミンなどが挙げられる。
(2)ω−アミノ酸の重縮合物、例えばω−アミノウンデカン酸の重縮合物であるポリウンデカンアミド[11ナイロン]。
(3)ラクタムの開環重合物、例えばε−アミノカプロラクタムの開環重合物であるポリカプラミド[6ナイロン]、ε−アミノラウロラクタムの開環重合物ポリラウリックラクタム[12ナイロン]。
以上に例示したポリアミド(A)の中でも、ポリヘキサメチレンアジパミド[6,6ナイロン]、ポリヘキサメチレンアゼラミド[6,9ナイロン]、ポリカプラミド[6ナイロン]、ポリラウリックラクタム[12ナイロン]が好ましい。
ポリアミド(A)の融点は好ましくは150℃〜260℃、より好ましくは150〜250℃である。融点が上記上限値以下であることは、成形時にエチレン・α−オレフィン共重合体(C)の分解や揮発が抑制される点において好ましい。また、融点が上記下限値以上であることは、樹脂の衝撃強度の点において好ましい。
また本発明では、ポリアミド(A)として、例えばアジピン酸とイソフタル酸とヘキサメチレンジアミンとから製造されるポリアミド樹脂なども使用できるし、さらに6ナイロンと6,6ナイロンとの混合物のように2種以上のポリアミド樹脂を配合したブレンド物も使用できる。
[エチレン・α−オレフィン共重合体(B)]
本発明に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、下記の要件(B−1)〜(B−3)を満たすことを特徴とする。
(B−1) 230℃、2.16kg荷重で測定されるメルトフローレート(MFR)が0.01〜200g/10分である。
前記メルトフローレート(MFR)は、好ましくは0.1〜100g/10分、より好ましくは0.1〜10g/10分である。エチレン・α−オレフィン共重合体(B)のMFRをこの範囲内に制御することによって、耐衝撃性と成形時流動性のバランスに優れたポリアミド樹脂組成物が得られる。
なお、分子量が低いほどMFRは高くなる。エチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、MFRが最大値である200g/10分である場合も、後述するエチレン・α−オレフィン共重合体(C)において100℃における動粘度が最も高い(5000mm2/秒)共重合体よりも分子量は高い。エチレン・α−オレフィン共重合体(C)のMFRは測定できない。すなわちエチレン・α−オレフィン共重合体(B)とエチレン・α−オレフィン共重合体(C)とは異なることが明らかである。
(B−2)極性基を有するビニル化合物由来の骨格単位の含有量MB(以後、単に変性量MBともいう)が0.1〜10.0質量%である。
変性量MBは、好ましくは0.2〜3.0質量%、より好ましくは0.3〜1.5質量%である。変性量MBが少な過ぎると成形体の耐衝撃性が低下する場合がある。一方、変性量MBが多過ぎると、通常の変性方法では変性時の極性モノマーや有機過酸化物の仕込み量を増加させる必要が生じるが、このような変性方法では、変性ポリオレフィンであるエチレン・α−オレフィン共重合体(B)中にゲル等の異物が混入する場合がある。変性量MBは後述するようにFT−IRにてカルボニル基に帰属される波数1780cm-1ピーク強度に基づき、別途作成した検量線から求められる。
極性基はカルボキシル基が好ましく、極性基を有するビニル化合物由来の骨格単位としてはマレイン酸またはその無水物に由来する骨格単位であることが好ましい。
(B−3) エチレン由来の骨格単位50〜95モル%と、炭素原子数3〜8のα−オレフィン由来の骨格単位5〜50モル%とを含む(ただし、エチレン由来の骨格単位とα−オレフィン由来の骨格単位の合計量を100モル%とする)。
上記においてエチレン由来の骨格単位は好ましくは60〜92モル%、より好ましくは70〜90モル%、さらに好ましくは75〜88モル%、特に好ましくは80〜88モル%である。炭素原子数3〜8のα−オレフィン由来の骨格単位は好ましくは8〜40モル%、より好ましくは10〜30モル%、さらに好ましくは12〜25モル%、特に好ましくは12〜20モル%である。それぞれの骨格単位がこのような範囲にあると、共重合体(B)の柔軟性が良好で取扱いが容易であり、さらには耐低温衝撃性及び柔軟性に優れた成形体を提供し得るポリアミド樹脂組成物を得ることができる。
炭素原子数3〜8のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、3−エチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、1−オクテン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン及びこれらの組み合わせが挙げられる。なかでもプロピレン、1−ブテン、1−オクテンが特に好ましい。
本発明に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、エチレン由来の骨格単位および炭素原子数3〜8のα−オレフィン由来の骨格単位のほかに、その他の構成成分に由来する骨格単位を含んでいてもよい。その他の構成成分に由来する骨格単位の含有量としては、発明の効果を阻害しない範囲であればよいが、例えば共重合体(B)全体の10モル%以下、より好ましくは5モル%以下である。その他の構成成分としては具体的には、デセン−1、ウンデセン−1、ドデセン−1、トリデセン−1、テトラデセン−1、ペンタデセン−1、ヘキサデセン−1、ヘプタデセン−1、オクタデセン−1、ノナデセン−1、エイコセン−1などの炭素数9以上のα−オレフィン、シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセンなどの炭素数3〜30、好ましくは3〜20の環状オレフィン、1,4-ヘキサジエン、1,6-オクタジエン、2-メチル-1,5-ヘキサジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン等の鎖状非共役ジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、5-ビニルノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、6-クロロメチル-5-イソプロペニル-2-ノルボルネン等の環状非共役ジエン、2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-エチリデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-プロペニル-2,2-ノルボルナジエン、1,3,7-オクタトリエン、1,4,9-デカトリエン等の非共役ジエンあるいはトリエン、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、無水マレイン酸などのα,β−不飽和カルボン酸類、およびこれらのナトリウム塩等の金属塩類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどのα,β−不飽和カルボン酸エステル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルなどの不飽和グリシジル類などの極性基含有モノマー、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、メトキシスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルベンジルアセテート、ヒドロキシスチレン、p−クロロスチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン、アリルベンゼンなどの芳香族ビニル化合物などが挙げられる。
エチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、上記要件(B−1)〜(B−3)を満たすが、好ましくはさらに下記要件(B−4)を満たす。
(B−4) エチレン・α−オレフィン共重合体(B)のASTM D1505に準拠して測定された密度DBが820〜900kg/m3である。
密度DBは、好ましくは830〜890kg/m3、より好ましくは850〜890kg/m3、特に好ましくは850〜880である。密度DBがこのような範囲にあると、共重合体(B)の柔軟性が良好で、耐低温衝撃性及び柔軟性に優れた成形体を提供し得るポリアミド樹脂組成物を得やすく好ましい。
[エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の製造方法]
本発明に用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、エチレン・α−オレフィン共重合体(r)をマレイン酸またはその無水物などの極性基を有するビニル化合物によりグラフト変性することにより得ることができる
エチレン・α−オレフィン共重合体(r)は、エチレン由来の骨格単位50〜95モル%と、炭素原子数3〜8のα−オレフィン由来の骨格単位5〜50モル%(エチレン由来の骨格単位とα−オレフィン由来の骨格単位の合計量を100モル%とする)とを含む。
エチレン・α−オレフィン共重合体(r)は、230℃、2.16kg荷重で測定されるMFRが0.01〜200g/10分、好ましくは0.1g〜100g、より好ましくは0.1〜10g/10分である。MFRがこのような範囲にあると、得られるエチレン・α−オレフィン共重合体(B)とポリアミド(A)とのブレンド性が良好になる。しかも、この条件を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体(r)を用いると、成形性に優れたポリアミド樹脂組成物を得ることができる。
上記のような特性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体(r)は、可溶性バナジウム化合物とアルキルアルミニウムハライド化合物とからなるバナジウム系触媒、又はジルコニウムのメタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物とからなるメタロセン系触媒(たとえばWO97/10295に記載されているメタロセン系触媒)などを用いる従来公知の方法により製造することができる。
エチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、先に説明したエチレン・α−オレフィン共重合体(r)に、必要に応じて後述する添加剤を加え、マレイン酸又はその無水物等の極性基を有するビニル化合物を好ましくはラジカル開始剤の存在下でグラフト重合させて得られる。
マレイン酸又はその無水物の仕込み量は、エチレン・α−オレフィン共重合体(r)100質量部に対して、通常0.010〜15質量部、好ましくは0.010〜5.0質量部である。ラジカル開始剤の使用量は、エチレン・α−オレフィン共重合体(r)100質量部に対して、通常0.0010〜1.0質量部、好ましくは0.0010〜0.30質量部である。
ラジカル開始剤としては、例えば、有機過酸化物、アゾ化合物又は金属水素化物などを用いることができる。有機過酸化物としては、ベンゾイルペルオキシド、ジクロルベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシドなどが挙げられ、上記アゾ化合物としては、アゾビスイソブチルニトリル、ジメチルアゾイソブチレートなどが挙げられる。
ラジカル開始剤は、マレイン酸又はその無水物、及び変性前のポリオレフィンや他の成分とそのまま混合しても使用することができるが、少量の有機溶媒に溶解してから使用することもできる。この有機溶媒としては、ラジカル開始剤を溶解し得る有機溶媒であれば特に限定されない。
マレイン酸又はその無水物によるグラフト変性は、従来公知の方法で行うことができる。
例えば、プロピレン系ポリアミド樹脂組成物を有機溶媒に溶解し、次いでマレイン酸又はその無水物及びラジカル開始剤などを溶液に加え、70〜200℃、好ましくは80〜190℃の温度で、0.5〜15時間、好ましくは1〜10時間反応させる方法が挙げられる。
また、押出機などを用いて、無溶媒で、ラジカル開始剤存在下、マレイン酸又はその無水物とエチレン・α−オレフィン共重合体(r)とを反応させて変性体を製造することもできる。この反応は、通常はエチレン・α−オレフィン共重合体(r)の融点以上の温度で、通常0.5〜10分間行われることが望ましい。
変性に利用される極性基を有するビニル化合物としては、酸、酸無水物、エステル、アルコール、エポキシ、エーテル等の酸素含有基を有するビニル化合物、イソシアネート、アミド等の窒素含有基を有するビニル化合物、ビニルシラン等のケイ素含有基を有するビニル化合物などを使用することができる。
この中でも、酸素含有基を有するビニル化合物が好ましく、具体的には、不飽和エポキシ単量体、不飽和カルボン酸及びその誘導体などが好ましい。不飽和エポキシ単量体としては、不飽和グリシジルエーテル、不飽和グリシジルエステル(例えば、グリシジルメタクリレート)などがある。上記不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、マレイン酸、フマール酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸TM(エンドシス−ビシクロ[2,2,1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸)などがある。
また、上記不飽和カルボン酸の誘導体としては、上記不飽和カルボン酸の酸ハライド化合物、アミド化合物、イミド化合物、酸無水物、及びエステル化合物などを挙げることができる。具体的には、塩化マレニル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレエートなどがある。
これらの中では、不飽和ジカルボン酸及びその酸無水物がより好ましく、特にマレイン酸、ナジック酸TM及びこれらの酸無水物が特に好ましく用いられる。
なお、上記の極性基を有するビニル化合物又はその誘導体が、エチレン・α−オレフィン共重合体(r)にグラフトする位置は特に制限されず、変性により得られたエチレン・α−オレフィン共重合体(B)の任意の炭素原子に不飽和カルボン酸又はその誘導体が結合していればよい。
[エチレン・α−オレフィン共重合体(C)]
エチレン・α−オレフィン共重合体(C)は、下記の要件(C−1)〜(C−3)を満たすことを特徴とする。
エチレン・α−オレフィン共重合体(C)は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(C−1)100℃動粘度が1〜5000mm2/秒である。
エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の100℃での動粘度は1〜5000mm2/sの範囲にあり、好ましくは1〜2500mm2/sの範囲にあり、より好ましくは4〜500mm2/sの範囲にあり、さらに好ましくは10〜200mm2/sの範囲であり、特に好ましくは20〜100mm2/sの範囲である。α−オレフィン共重合体の100℃における動粘度が上記下限値より低いと、樹脂組成物の衝撃強度および剛性が低下する場合があり、一方、α−オレフィン共重合体の100℃における動粘度が上記上限値より高くなると、粘度が高くなりすぎて成形時の流動性が低下する場合がある。言い換えると、α−オレフィン(共)重合体の100℃での動粘度が上記数値範囲内にあると、衝撃強度および剛性と成形時の流動性のバランスに優れる樹脂組成物ができる。
(C−2) エチレン由来の骨格単位30〜80モル%と、炭素原子数3〜20のα−オレフィン由来の骨格単位20〜70モル%とを含む(ただし、エチレン由来の骨格単位と炭素原子数3〜20のα−オレフィン由来の骨格単位の合計量を100モル%とする)。
炭素原子数3〜20のα−オレフィンとしては、典型例として、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、デセン−1、ウンデセン−1、ドデセン−1、トリデセン−1、テトラデセン−1、ペンタデセン−1、ヘキサデセン−1、ヘプタデセン−1、オクタデセン−1、ノナデセン−1、エイコセン−1などを例示することができる。これらα−オレフィンは1種単独で用いてもよく、あるいは、2種以上併用してもよい。
これらのα−オレフィンの中では、その入手容易性の点で、炭素数3〜10のα−オレフィンが好ましく、特にプロピレンが好ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体(C)は、エチレン由来の骨格単位が好ましくは40〜75モル%、より好ましくは40〜60モル%であり、α−オレフィン由来の骨格単位が好ましくは25〜60モル%、より好ましくは40〜60モル%である。エチレン含量が多すぎる、または少なすぎると結晶性が高くなりポリアミド樹脂との混合がしにくくなり、流動性が低下する場合がある。
エチレン・α−オレフィン共重合体(C)のエチレン含量は、13C−NMR法で測定することができ、例えば後述する方法および「高分子分析ハンドブック」(朝倉書店 発行 P163〜170)に記載の方法に従ってピークの同定と定量とを行うことができる。
エチレン・α−オレフィン共重合体(C)は、NMRで測定したブロックネス(B値)が、通常0.9以上、好ましくは1.0以上である。B値は共重合モノマー連鎖分布のランダム性を示すパラメータであり、B値が小さくなると、結晶性が高くなり、液状でなくなって硬化性樹脂との混合がしにくくなり、消泡効果が低下する。
発明に係るエチレン・α−オレフィン共重合体(C)のメチル基指標は特に限定されるものではないが、低結晶性を保つためには40〜60%が好ましく、40〜55%がより好ましく、45〜50%がさらに好ましい。
(C−3)示差走査熱量計(DSC)による融点(Tm)が観測されない。
エチレン・α−オレフィン共重合体(C)は、示差走査熱量分析(DSC)で測定される融点が観測されないことが好ましい。ここで、融点(Tm)が観測されないとは、示差走査型熱量測定(DSC)で測定される融解熱量(ΔH)(単位:J/g)が実質的に計測されないことをいう。融解熱量(ΔH)が実質的に計測されないとは、示差走査熱量計(DSC)測定においてピークが観測されないか、あるいは観測された融解熱量が1J/g以下であることである。α−オレフィン(共)重合体の融点(Tm)および融解熱量(ΔH)は、示差走査熱量計(DSC)測定を行い、−100℃まで冷却してから昇温速度10℃/minで150℃まで昇温したときにDSC曲線をJIS K7121を参考に解析し求めた。融点が観測されないと、ポリアミド樹脂との混合が容易になる点で好ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体(C)は、上記要件(C−1)〜(C−3)に加え、好ましくはさらに下記要件(C−4)〜(C−6)のうち一つ以上を満たし、より好ましくは要件(C−4)および(C−5)のいずれか一方または両方を満たす。
(C−4) 極性基を有するビニル化合物由来の骨格単位の含有量MC(以下単に変性量MCともいう)が0〜5質量%であり、かつ、上記含有量MBとの関係がMB>MCである。
変性量MCは好ましくは0〜5質量%、より好ましくは0〜2質量%である。すなわち、本発明に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(C)は、変性体を含んでいても構わないが、変性体を含んでいないほうが好ましく、変性体を含んでいる場合、その変性度は低いことが好ましい。
また、本発明のポリアミド樹脂組成物の特性が得られる理由は、[ポリアミド樹脂組成物の特性]の項で後述するように、変性量MCが変性量MBよりも小さいことによって、得られるポリアミド樹脂組成物において、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)とポリアミド(A)との相互作用がさらに阻害しにくくなり、言い換えれば、(B)成分によるポリアミド樹脂の衝撃強度向上効果をさらに阻害しにくくなるからであると考え得る。また、ポリアミド樹脂組成物およびそれから得られる成形体において、ポリアミド(A)中に共重合体(B)が分散相を形成することが考えられ、変性量MCが変性量MBよりも小さいことによって、共重合体(C)が共重合体(B)相を選択的に膨潤させる効果をより得やすくなり、それによって組成物の剛性が損なわれ難くなると考えられる。一方で、加熱溶融しての成形時には、共重合体(C)による流動性向上の効果が発揮されるため、結果として高い衝撃強度と剛性、流動性とのバランスを達成しやすいと考えられる。
(C−5) エチレン・α−オレフィン共重合体(C)のJIS K2249に準拠し測定した密度DCが820〜900kg/m3であり、かつ、共重合体(B)のASTM D1505に準拠して測定した密度DBとの差|DB−DC|が40kg/m3以下である。
密度DCは820〜900kg/m3、好ましくは820〜870kg/m3、より好ましくは830〜850kg/m3であることが好ましい。
また、密度DCとエチレン・α−オレフィン共重合体(B)の密度DBとの差|DB−DC|は、好ましくは30kg/m3以下、より好ましくは10〜30kg/m3、特に好ましくは15〜30kg/m3である。本発明のポリアミド樹脂組成物およびそれから得られる成形体において、ポリアミド(A)中に共重合体(B)が分散相を形成することが考えられ、密度DCと密度DBとの差が上記の範囲にあることで、共重合体(B)と共重合体(C)とが相溶しやすくなるため、共重合体(C)が共重合体(B)相を選択的に膨潤させる効果をより得やすく、それによって組成物の剛性が損なわれ難くなると考えられる。一方で、加熱溶融しての成形時には、共重合体(C)による流動性向上の効果が発揮されるため、結果として高い衝撃強度と剛性、流動性のバランスを達成しやすいと考えられる。また、上記において、密度DCと密度DBとの関係がDB>DCであると、共重合体(C)による流動性向上の効果が得られやすくなり好ましい。
(C−6)エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の重量平均分子量(Mw)は1,500〜25,000の範囲であり、好ましくは1,500〜15,000、より好ましくは2,000〜6,000の範囲である。重量平均分子量が上記下限値、特に1,500より低いと、樹脂組成物の衝撃強度が低下する場合があり、一方、重量平均分子量が上記上限値、特に25,000より高くなると、粘度が高くなり成形時の流動性が低下する場合がある。言い換えると、α−オレフィン(共)重合体の重量平均分子量が上記数値範囲内にあると、衝撃強度と成形時の流動性とのバランスに優れる樹脂組成物ができるのである。
また、エチレン・α−オレフィン共重合体(C)のゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定した分子量分布(Mw/Mn)は特に限定されるものではないが、上限値は通常3であり、好ましくは2.5、更に好ましくは2である。また下限値は通常1.0であり、好ましくは1.2である。分子量分布が広くなると、つまりMw/Mnが高くなると、成形時の流動性を低下させる高分子量の成分、または衝撃強度を低下させる低分子量の成分を多く含むことになり、好ましくない。
重量平均分子量、および分子量分布は分子量既知の標準物質(単分散ポリスチレン)を用いて較正されたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定することができる。具体的な測定方法としては例えば、東ソー株式会社HLC−8320GPCを用い、分離カラムとして、TSKgel SuperMultiporeHZ−M(4本)を用い、カラム温度を40℃とし、移動相にはテトラヒドロフラン(和光純薬社製)を用い、展開速度を0.35ml/分とし、試料濃度を5.5g/Lとし、試料注入量を20マイクロリットルとし、検出器として示差屈折計を用い、標準ポリスチレンとしては、東ソー社製(PStQuick MP−M)のものを用い、汎用校正の手順に従い、ポリスチレン分子量換算として重量平均分子量(Mw)並びに数平均分子量(Mn)を算出し、これらの値から分子量分布(Mw/Mn)を算出する。
[エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の製造方法]
本発明に係るエチレン・α−オレフィン共重合体(C)は、公知の方法を制限なく用いて製造することができる。例えば、バナジウム、ジルコニウム、チタニウム、ハフニウムなどの遷移金属化合物と、有機アルミニウム化合物(有機アルミニウムオキシ化合物)および/またはイオン化イオン性化合物とからなる触媒の存在下にエチレンとα−オレフィンとを共重合させる方法が挙げられる。ジルコニウム、チタニウム、ハフニウムなどの遷移金属化合物を使用したメタロセン触媒は、連続した二つ以上のプロピレンモノマーの2,1−結合量(インバージョン)が少なくなり、硬化性組成物の低温特性が向上するため好ましい。このような方法は、例えば国際公開2000/34420号パンフレット、特開昭62−121710号公報、国際公開2004/29062号パンフレット、特開2004−175707号公報、国際公開2001/27124号パンフレット等に記載されている。
本発明において、エチレン・α−オレフィン共重合体(C)は、グラフト変性等によって何らかの極性基を付与されたものであってもよいが、未変性であることが好ましい。共重合体(C)がグラフト変性されている場合、グラフト変性についてはエチレン・α−オレフィン共重合体(B)と同様の方法が適用できるが、前述したように変性度は低いことが好ましい。
[ポリアミド樹脂組成物]
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド(A)40.0〜98.9質量%とエチレン・α−オレフィン共重合体(B)1.0〜40.0質量%、エチレン・α−オレフィン共重合体(C)を0.1〜20.0質量%を含む。好ましくはポリアミド(A)59.9〜97.0質量%とエチレン・α−オレフィン共重合体(B)2.0〜40.0質量%、エチレン・α−オレフィン共重合体(C)を0.1〜20.0質量%の割合で含む。より好ましくは、ポリアミド(A)70.0〜95.0質量%とエチレン・α−オレフィン共重合体(B)3.0〜20.0質量%、エチレン・α−オレフィン共重合体(C)を0.5〜10.0質量%の割合で含む。特に好ましくはポリアミド(A)75.0〜90.0質量%とエチレン・α−オレフィン共重合体(B)4.0〜15.0質量%、エチレン・α−オレフィン共重合体(C)を2.0〜10.0質量%の割合で含む。最も好ましくはポリアミド(A)79.0〜92.0質量%とエチレン・α−オレフィン共重合体(B)4.0〜13.0質量%、エチレン・α−オレフィン共重合体(C)を4.0〜8.0質量%の割合で含む。このような割合で組成することによって、耐衝撃性と成形時流動性とのバランスに優れた成形体が提供される。また成形性にも優れる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、例えば、ポリアミド(A)と、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)と、エチレン・α−オレフィン共重合体(C)と、必要に応じて配合される添加剤とを種々の従来公知の方法で溶融混合することにより調製される。具体的には、上記各成分を同時に又は逐次的に、例えばヘンシェルミキサー、V型ブレンダー、タンブラーミキサー、リボンブレンダー等に装入して混合した後、単軸押出機、多軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等で溶融混練することによって得られる。特に、多軸押出機、ニーダー、バンンバリーミキサー等の混練性能に優れた装置を使用すると、各成分がより均一に分散された高品質のポリアミド樹脂組成物が得られる。また、これらの任意の段階で必要に応じてその他の添加剤、例えば酸化防止剤などを添加することもできる。
[ポリアミド樹脂組成物の特性]
本発明のポリアミド樹脂組成物は、耐衝撃性、剛性と、流動性のバランスに優れる特性を有する。このような効果が得られる理由について発明者らは次のように推定している。
ポリアミド樹脂組成物およびそれから得られる成形体において、ポリアミド(A)中に共重合体(B)が分散相を形成して衝撃強度を付与することが考えられ、共重合体(C)は共重合体(B)相に選択的に膨潤し、ポリアミド相の剛性を損なわないことにより、組成物としての剛性が維持されるものと考えられる。一方で加熱溶融しての成形時には共重合体(C)による流動性向上の効果が発揮されるため、結果として高い衝撃強度と剛性、流動性とのバランスを達成しやすいと考えられる。
[添加剤]
本発明のポリアミド樹脂組成物には、ポリアミド(A)、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)及びエチレン・α−オレフィン共重合体(C)の他に、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、他の合成樹脂、他のゴム、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、結晶核剤、顔料、塩酸吸収剤、銅害防止剤等の添加物を、ポリアミド樹脂組成物100質量部あたり、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部含んでいてもよい。これらの添加剤は、ポリアミド樹脂組成物の調製段階で添加してもよいし、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)またはエチレン・α−オレフィン共重合体(C)の調製前、調製中、又は調製後に添加してもよい。
[フィラ―]
また、前記ポリアミド樹脂組成物100質量部に対して、無機フィラーを通常1〜100質量部、好ましくは5〜80質量部、より好ましくは10〜70質量部をさらに含むフィラー含有ポリアミド樹脂組成物としても良い。このようなフィラー含有ポリアミド樹脂組成物は、成形体の機械的強度をさらに向上させたい場合、あるいは調整された線膨張率(成形収縮率)を持つ成形体が必要な用途に有用である。
フィラーとしては、例えば、繊維状充填剤、粒状充填剤、板状充填剤等の充填剤が挙げられる。繊維状充填剤の具体例としては、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等が挙げられ、ガラス繊維の好適な例としては、平均繊維径が6〜14μmのチョップドストランド等が挙げられる。粒状又は板状充填剤の具体例としては、炭酸カルシウム、マイカ、ガラスフレーク、ガラスバルーン、炭酸マグネシウム、シリカ、タルク、粘土、炭素繊維やアラミド繊維の粉砕物等が挙げられる。なお、これらのフィラーは上記の添加剤には含まれない。
フィラーを含まない場合でも強固に接着し、金属に接着した樹脂成形物を取り去るには非常に強い力が必要である。しかしながら、成形された複合体を温度サイクル試験にかけると、フィラーを含まない樹脂の系ではサイクルを重ねることで急速に接着強度が低下する。この原因の一つは、線膨張率で金属形状物と熱可塑性合成樹脂組成物に大差があることによる。例えば、アルミニウム合金の線膨張率は金属の中では大きい方だが、それでも熱可塑性合成樹脂よりかなり小さい。フィラーの存在は熱可塑性合成樹脂組成物の線膨張率を下げ、アルミニウム合金の線膨張率、約2.5×10-5-1に近づける。
[成形体]
本発明のポリアミド樹脂組成物及びフィラー含有ポリアミド樹脂組成物は、射出成形、押出成形、インフレーション成形、ブロー成形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、プレス成形、真空成形、カレンダー成形、発泡成形などの公知の成形方法により、各種成形体に成形することができ、公知の多様な用途に適用することができる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例及び比較例で用いた原料成分は以下の通りである。
[ポリアミド(A)]
「PA12」:12ナイロン(宇部興産株式会社製、UBESTA(登録商標)3014U、溶融温度:179℃、密度(測定法ISO 1183-3):1020kg/m3
[エチレン・α−オレフィン共重合体(B)]
実施例および比較例で用いたエチレン・α−オレフィン共重合体(B−1)の物性測定方法および結果を下記する。
<MFR>
230℃、2.16kg荷重の条件でメルトフローレート(MFR)を測定した結果は、2.3g/10分であった。
<密度>
ASTM D1505に準拠して測定した密度DB は866kg/m3であった。
<変性量MB
変性量MB(無水マレイン酸含量)は1.0質量%であった。なお、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の変性量MBは、FT−IRにてカルボニル基に帰属される波数1780cm-1ピーク強度に基づき、別途作成した検量線から求めた。
[エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の調製]
エチレン・α−オレフィン共重合体(B−1)の調製方法を以下に示す。
次に示すエチレン・1-ブテン共重合体(EBR)(r−1)を用いた。
エチレン・1−ブテン共重合体(r−1)(密度(ATSM D1505)861kg/m3、MFR(ASTM D1238、230℃、2.16kg荷重):0.9g/10分、エチレンに由来する骨格含有量:81モル%、1-ブテンに由来する骨格含有量:19モル%。)
エチレン・1-ブテン共重合体(EBR)(r−1)10kgと、無水マレイン酸(MAH)60g及び2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン(商品名パーヘキサ25B)15gをアセトンに溶解した溶液をブレンドした。次いで、得られたブレンド物を、スクリュー径30mm、L/D 40の軸押出機のホッパーから投入し、樹脂温度200℃、スクリュー回転数240rpm、吐出量12kg/hrでストランド状に押し出した。得られたストランドを十分冷却した後、造粒することで、エチレン・α−オレフィン共重合体(B−1)を得た。
[エチレン・α−オレフィン共重合体(C)]
エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の各種物性の測定方法は以下の通りである。
<エチレン含有量(mol%)>
日本分光社製フーリエ変換赤外分光光度計FT/IR−610またはFT/IR−6100を用い、長鎖メチレン基の横揺れ振動に基づく721cm-1付近の吸収とプロピレンの骨格振動に基づく1155cm-1付近の吸収との吸光度比(D1155cm-1/D721cm-1)を算出し、予め作成しておいた検量線(ASTM D3900での標準試料を使って作成)よりエチレン含有量(質量%)を求めた。次に、得られたエチレン含有量(質量%)を用い、下記式に従ってエチレン含有量(mol%)を求めた。
Figure 2018104530
<B値>
o−ジクロロベンゼン/ベンゼン−d6(4/1[vol/vol%])を測定溶媒とし、測定温度120℃、スペクトル幅250ppm、パルス繰り返し時間5.5秒、かつパルス幅4.7・sec(45oパルス)の測定条件下(100MHz、日本電子ECX400P)、または測定温度120℃、スペクトル幅250ppm、パルス繰り返し時間5.5秒、かつパルス幅5.0・sec(45oパルス)の測定条件下(125 MHz、ブルカー・バイオスピンAVANCEIIIcryo−500)にて13C−NMRスペクトルを測定し、下記式[1]に基づきB値を算出した。ピークの帰属は前述の公知文献を参考にして行った。
Figure 2018104530
式[1]中、PEはエチレン成分の含有モル分率を示し、POはα−オレフィン成分の含有モル分率を示し、POEは全dyad連鎖のエチレン−α−オレフィン連鎖のモル分率を示す。
<100℃における動粘度(mm2/秒)>
100℃における動粘度はJIS K2283に記載の方法により測定した。
<融点>
セイコーインスツルメント社X−DSC−7000を用い、簡易密閉できるアルミサンプルパンに約8mgのエチレン−α−オレフィン共重合体を入れてDSCセルに配置し、DSCセルを窒素雰囲気下にて室温から150℃まで10℃/分で昇温し、次いで、150℃で5分間保持した後、10℃/分で降温し、DSCセルを−100℃まで冷却した(降温過程)。次いで、100℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温し、昇温過程で得られるエンタルピー曲線が極大値を示す温度を融点(Tm)とし、融解に伴う吸熱量の総和を融解熱量(ΔH)とした。ピークが観測されないか、融解熱量(ΔH)の値が1J/g以下の場合、融点(Tm)は観測されないとみなした。融点(Tm)、および融解熱量(ΔH)の求め方はJIS K7121に基づいて行った。
<密度>
密度はJIS K2249に準拠し測定した。
[エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の調製]
実施例で用いたエチレン・α−オレフィン共重合体(C−1)、(C−2)および(C−3)の調製方法を以下に示す。
(エチレン・α−オレフィン共重合体(C−1)の調製方法)
充分窒素置換した容量2リットルの攪拌翼付連続重合反応器に、脱水精製したヘキサン1リットルを張り、96mmol/Lに調整した、エチルアルミニウムセスキクロリド(Al(C251.5・Cl1.5)のヘキサン溶液を500ml/hの量で連続的に1時間供給した後、更に触媒として16mmol/lに調整したVO(OC25)Cl2のヘキサン溶液を500ml/hの量で、ヘキサンを500ml/hの量で連続的に供給した。一方重合器上部から、重合液器内の重合液が常に1リットルになるように重合液を連続的に抜き出した。次にバブリング管を用いてエチレンガスを27L/hの量で、プロピレンガスを26L/hの量で水素ガスを100L/hの量で供給した。共重合反応は、重合器外部に取り付けられたジャケットに冷媒を循環させることにより35℃で行った。
上記条件にて得られたエチレン−プロピレン共重合体を含む重合溶液を、0.2mol/lの塩酸100mLで3回、次いで蒸留水100mLで3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られたポリマーを130℃の減圧下で一晩乾燥した。得られたエチレン・プロピレン共重合体(C−1)のエチレン含有量は53.0mol%、B値は1.2、100℃動粘度は40mm2/s、融点(融解ピーク)は観測されなかった。密度DCは838kg/m3であった。すなわち、密度DCとエチレン・α−オレフィン共重合体(B−1)の密度DBとの差|DB−DC|は28kg/m3であった。
(エチレン・α−オレフィン共重合体(C−2)の調製方法)
充分に窒素置換した内容積2リットルのステンレス製オートクレーブにヘプタン910mLおよびプロピレン45gを装入し、系内の温度を130℃に昇温した後、水素2.24MPa、エチレン0.09MPaを供給することにより全圧を3MPaGとした。次にトリイソブチルアルミニウム0.4mmol、[メチルフェニルメチレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド 0.0006mmolおよびN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.006mmolを窒素で圧入し、攪拌回転数を400rpmにすることにより重合を開始した。その後、エチレンのみを連続的に供給することにより全圧を3MPaGに保ち、130℃で5分間重合を行った。少量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のエチレン、プロピレン、水素をパージした。得られたポリマー溶液を、0.2mol/lの塩酸1000mLで3回、次いで蒸留水1000mLで3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られたポリマーを80℃の減圧下で一晩乾燥した後、さらに神鋼パンテック製2−03型薄膜蒸留装置を用いて、減圧度を400Paに保持し、設定温度180℃、流量3.1ml/minにて薄膜蒸留を行い、エチレン・プロピレン共重合体22.2gを得た。さらに、このエチレン−プロピレン共重合体に対して水添操作を施した。
以上の操作により得られたエチレン・α−オレフィン共重合体(C−2)のエチレン含有量は51.9mol%、B値は1.2、100℃動粘度は40mm2/sであり、融点(融解ピーク)は観測されなかった。密度DCは838kg/m3であった。すなわち、密度DCとエチレン・α−オレフィン共重合体(B−1)の密度DBとの差|DB−DC|は28kg/m3であった。
(エチレン・α−オレフィン共重合体(C−3)の調製方法)
充分窒素置換した容量2リットルの攪拌翼付連続重合反応器に、脱水精製したヘキサン1リットルを張り、96mmol/Lに調整した、エチルアルミニウムセスキクロリド(Al(C251.5・Cl1.5)のヘキサン溶液を500ml/hの量で連続的に1時間供給した後、更に触媒として16mmol/lに調整したVO(OC25)Cl2のヘキサン溶液を500ml/hの量で、ヘキサンを500ml/hの量で連続的に供給した。一方重合器上部から、重合液器内の重合液が常に1リットルになるように重合液を連続的に抜き出した。次にバブリング管を用いてエチレンガスを47L/hの量で、プロピレンガスを47L/hの量で水素ガスを20L/hの量で供給した。共重合反応は、重合器外部に取り付けられたジャケットに冷媒を循環させることにより35℃で行った。
上記条件にて得られたエチレン−プロピレン共重合体を含む重合溶液を、0.2mol/lの塩酸100mLで3回、次いで蒸留水100mLで3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られたポリマーを130℃の減圧下で一晩乾燥した。得られたエチレン・プロピレン共重合体(C−3)のエチレン含有量は54.9mol%、B値は1.2、100℃動粘度は2,100mm2/s、融点(融解ピーク)は観測されなかった。密度DCは853kg/m3であった。すなわち、密度DCとエチレン・α−オレフィン共重合体(B−1)の密度DBとの差|DB−DC|は13kg/m3であった。
[実施例1]
12ナイロン85質量部と、エチレン・α−オレフィン共重合体(B−1)12質量部と、エチレン・α−オレフィン共重合体(C−1)3質量部を、ヘンシェルミキサーを用いて混合してドライブレンド物を調製した。次いで、このドライブレンド物を245℃に設定した2軸押出機(L/D 40、30mmφ)に供給し、ポリアミド樹脂組成物のペレットを調製した。得られたポリアミド樹脂組成物のペレットを80℃で1昼夜乾燥した後、下記条件で射出成形を行ない、物性試験用試験片を作製した。
(射出成形条件)
シリンダー温度:245℃
射出圧力:400kg/cm2
金型温度:80℃
続いて、下記の方法により、ポリアミド樹脂組成物の物性評価を行なった。
(1)曲げ試験
厚み1/8インチの試験片を用い、ASTM D790に従って、5mm/分の速度で試験し、曲げ弾性率(FM;kg/cm2)を測定した。なお、試験片の状態調製は、乾燥状態で23℃の温度で2日行なった。
(2)アイゾット衝撃試験
厚み1/8インチの試験片を用い、ASTM D256に従って、−40℃でノッチ付きアイゾット衝撃強度を測定した。なお、試験片の状態調製は、乾燥状態で23℃の温度で2日行なった。
(3)流動性(スパイラルフロー)
シリンダー温度280℃、射出圧力100MPa、金型温度80℃とした50t型締力の射出成形機にて、3.8mmφ半円のスパイラル状の溝を持った金型に射出成形し、流動距離を測定した。
[実施例2]
実施例1におけるエチレン・α−オレフィン共重合体(B−1)を10質量部およびエチレン・α−オレフィン共重合体(C−1)を5質量部用いた以外は実施例1と同様にポリアミド樹脂組成物を調製した。結果を表1に示した。
[実施例3]
実施例2におけるエチレン・α−オレフィン共重合体(C−1)にかえてエチレン・α−オレフィン共重合体(C−2)を5質量部用いた以外は実施例2と同様にポリアミド樹脂組成物を調製した。結果を表1に示した。
[実施例4]
実施例2におけるエチレン・α−オレフィン共重合体(C−1)にかえてエチレン・α−オレフィン共重合体(C−3)を5質量部用いた以外は実施例2と同様にポリアミド樹脂組成物を調製した。結果を表1に示した。
[比較例1〜比較例3]
表1に記載したポリアミド樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様にポリアミド樹脂組成物を調製した。これらの結果を表1に示した。
Figure 2018104530
図1に、実施例1〜4および比較例2、3におけるポリアミド樹脂組成物の曲げ弾性率に対するアイゾッド衝撃強度をプロットした図を示す。図2に、実施例1〜4および比較例2、3におけるポリアミド樹脂組成物のスパイラルフローに対するアイゾッド衝撃強度をプロットした図を示す。

Claims (7)

  1. ポリアミド(A)40.0〜98.9質量%、
    下記要件(B−1)〜(B−3)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体(B)1.0〜40.0質量%、および、
    下記要件(C−1)〜(C−3)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体(C)0.1〜20.0質量%を含むポリアミド樹脂組成物。
    (B−1) 230℃、2.16kg荷重で測定されるメルトフローレート(MFR)が0.1〜200g/10分である。
    (B−2) 極性基を有するビニル化合物由来の骨格単位の含有量MBが0.01〜10.0質量%である。
    (B−3) エチレン由来の骨格単位50〜95モル%と、炭素原子数3〜8のα−オレフィン由来の骨格単位5〜50モル%とを含む(ただし、エチレン由来の骨格単位とα−オレフィン由来の骨格単位との合計量を100モル%とする)。
    (C−1)100℃における動粘度が1〜5000mm2/秒である。
    (C−2) エチレン由来の骨格単位30〜80モル%と、炭素原子数3〜20のα−オレフィン由来の骨格単位20〜70モル%とを含む(ただし、エチレン由来の骨格単位と炭素原子数3〜20のα−オレフィン由来の骨格単位との合計量を100モル%とする)。
    (C−3)示差走査熱量計(DSC)による融点(Tm)が観測されない。
  2. 前記エチレン・α−オレフィン共重合体(C)がさらに下記要件(C−4)を満たす、請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
    (C−4) 極性基を有するビニル化合物由来の骨格単位の含有量MCが0〜5質量%であり、かつ、前記MBとの関係がMB>MCである。
  3. 前記エチレン・α−オレフィン共重合体(C)がさらに下記要件(C−5)を満たす、請求項1または2に記載のポリアミド樹脂組成物。
    (C−5)エチレン・α−オレフィン共重合体(C)のJIS K2249に準拠し測定した密度DCが820〜900kg/m3であり、かつ、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)のASTM D1505に準拠して測定した密度DBとの差|DB−DC|が40kg/m3以下である。
  4. 前記要件(B−2)における極性基がカルボキシル基であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のポリアミド樹脂組成物
  5. 前記要件(B−2)における、極性基を有するビニル化合物由来の骨格単位が、マレイン酸または無水マレイン酸由来の骨格単位であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5の何れか一項に記載のポリアミド樹脂組成物と、該ポリアミド樹脂組成物100質量部に対して1〜100質量部の無機フィラーとを含むフィラー含有ポリアミド樹脂組成物。
  7. 請求項1〜5の何れか一項に記載のポリアミド樹脂組成物又は請求項6に記載のフィラー含有ポリアミド樹脂組成物からなる成形体。
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