JP6967108B2 - 高流動性ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

高流動性ポリアミド樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、ポリアミド樹脂組成物に関し、さらに詳しくは、成形体の耐衝撃性と鏡面光沢度とのバランス、あるいは耐衝撃性と成形時流動性のバランスに優れたポリアミド樹脂組成物及びこれから得られる成形体に関する。
ポリアミド樹脂は、その優れた物性によりエンジニアリングプラスチックとして大きな需要が期待されている。しかし、ポリアミド樹脂は、一般的に耐摩擦・摩耗性などの機械的強度や耐衝撃性が未だ十分とはいえず、この性能の改良が種々検討されている。ポリアミド樹脂の耐衝撃性を改良することができれば、自動車等輸送機部品、一般機械部品、精密機械部品、電子・電気機器部品、レジャースポーツ用品、土木建築用部材等の様々な分野でのニーズに応えることができる。
ポリアミド樹脂のアイゾット衝撃強度などの耐衝撃性を改良する方法として、α,β−不飽和カルボン酸をグラフトしたエチレン・α−オレフィン共重合体をポリアミド樹脂に配合する方法が提案されている(特許文献1〜3)。しかし、これらの公報に提案されているポリアミド樹脂組成物では、耐衝撃性を向上させようとすると、一定荷重下のたわみ温度に代表される耐熱性が低下してしまうことを本願発明者は確認している。
また、ドアハンドル、フェンダー又はドアミラースティのような自動車用外装部材にポリアミド樹脂を用いる場合は、材料に高強度・高剛性が要求されるので、樹脂にガラス繊維等の無機充填材を高充填したものを射出成形することが多い。しかし、無機充填材を高充填すると、ポリアミド樹脂組成物自身の流動性が低下し易くなる。その結果、成形品の表面に無機充填材が浮いたような外観となったり、金型転写性の低下によって光沢度が低下したりする。またウエルドラインが目立ち、ウエルド外観が問題となり易い。
成形品の表面外観を改善する方法として、例えば、分子量の低いポリアミド樹脂を用いたり、流動性改質剤(可塑剤やワックス類)を用いる方法がある。しかし、これら方法には衝撃強度の低下や成形時のガスやシルバーストリーク、ピンホール発生の問題があるので、適用には制限がある。さらに、ポリアミドを構成するジアミン成分として特定のジアミンを用いることによって、機械的強度、成形性、表面外観に優れたポリアミド樹脂組成物を得る方法が開示されている(特許文献4及び5)。しかし、この方法の効果は未だ十分ではない。また、ポリアミド樹脂にホモポリプロピレンや特定の酸変性ポリオレフィンを配合することによって耐衝撃性と耐熱性のバランスに優れたポリアミド樹脂組成物を得る方法も開示されている(特許文献6)。しかし、ここでは柔軟性や成形性(射出成型時のスパイラルフロー性)に関しては十分検討されていない。
したがって、ポリアミド樹脂が固有に備える機械的強度(耐衝撃性)をできるだけ損なうことなく、柔軟性が付与された成形体であって、しかも成形性(射出成型時のスパイラルフロー性)や外観(表面光沢)に優れたポリアミド樹脂組成物が従来から望まれていた。
特開昭55−9662号公報 特公昭62−13379号公報 特開平9−87475号公報 特開2008−95066号公報 特開2011−148267号公報 特開2015−10100号公報
本発明の目的は、上記の各問題点を解決すること、即ちポリアミド樹脂が固有に備える耐衝撃性をできるだけ損なうことなく、柔軟性や成形性(成形時の流動性)に優れたポリアミド樹脂組成物を提供することにある。
本発明は、以下の事項により特定される。
[1]ポリアミド(P)50〜99質量%、及び、
下記の要件(1)〜(3)を満たす酸変性ポリオレフィン(Q)1〜50質量%
を含むポリアミド樹脂組成物。
(1) 230℃、2.16kg荷重で測定されるメルトフローレート(MFR)が50〜200(g/10分)である。
(2) 酸変性量が0.1〜2.0質量%である。
(3) エチレン起因骨格単位10〜95モル%と、プロピレン起因骨格単位0〜80モル%と、炭素原子数4〜8のα−オレフィン起因骨格単位3〜40モル%とを含むエラストマー(エチレン起因骨格単位とプロピレン起因骨格単位とα−オレフィン起因骨格単位の合計量は100モル%である)のマレイン酸又はその無水物による変性体(q1)を含む。
[2]酸変性ポリオレフィン(Q)が、以下の変性体(q1A)及び変性体(q2)を含み、変性体(q2)の含有量が酸変性ポリオレフィン(Q)の3〜30質量%である[1]記載のポリアミド樹脂組成物。
変性体(q1)の一態様であって、プロピレン起因骨格単位を含むエラストマーのマレイン酸又はその無水物による変性体(q1A)
プロピレン起因骨格単位90モル%以上と、エチレン又は炭素原子数4〜8のα−オレフィン起因骨格単位10モル%以下とを含むランダムポリプロピレンのマレイン酸又はその無水物による変性体(q2)
[3]酸変性ポリオレフィン(Q)が、変性体(q1)の一態様であって、プロピレン起因骨格単位を含まず、エチレン起因骨格単位75〜95モル%と、炭素原子数4〜8のα−オレフィン起因骨格単位5〜25モル%とを含むエラストマーのマレイン酸又はその無水物による変性体(q1B)を含む[1]記載のポリアミド樹脂組成物。
[4][1]記載のポリアミド樹脂組成物100質量部に対して、無機フィラー1〜100質量部をさらに含むフィラー含有ポリアミド樹脂組成物。
[5][1]〜[3]の何れか記載のポリアミド樹脂組成物からなる成形品。
[6][4]記載のフィラー含有ポリアミド樹脂組成物からなる成形品。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂が固有に備える耐衝撃性が大きく損なわれることなく、優れた柔軟性や成形性(成形時の流動性)が付与されたポリアミド樹脂組成物である。
[ポリアミド(P)]
本発明に用いるポリアミド(P)は特に限定されず、本発明の効果を損なわない範囲において従来知られる各種のポリアミド樹脂を制限なく使用できる。例えば、アミノ酸ラクタム、あるいはジアミンとジカルボン酸との重縮合反応により得られる溶融成形可能なポリアミド樹脂を使用できる。ポリアミド(P)の具体例としては、以下の樹脂が挙げられる。
(1)炭素原子数4〜12の有機ジカルボン酸と炭素原子数2〜13の有機ジアミンとの重縮合物、例えばヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との重縮合物であるポリヘキサメチレンアジパミド[6,6ナイロン]、ヘキサメチレンジアミンとアゼライン酸との重縮合物であるポリヘキサメチレンアゼラミド[6,9ナイロン]、ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸との重縮合物であるポリヘキサメチレンセバカミド[6,10ナイロン]、ヘキサメチレンジアミンとドデカンジオン酸との重縮合物であるポリヘキサメチレンドデカノアミド[6,12ナイロン]、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンとの重縮合物である半芳香族ポリアミド(PA6T、PA9T、PA10T、PA11T)、ビス−p−アミノシクロヘキシルメタンとドデカンジオン酸との重縮合物であるポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカン。上記有機ジカルボン酸としては、例えばアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、フェニレンジオキシジ酢酸、オキシジ安息香酸、ジフェニルメタンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などが挙げられる。上記有機ジアミンとしては、例えばヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナンジアミン、オクタンジアミン、デカンジアミン、ウンデカジアミン、ウンデカンジアミン、ドデカンジアミンなどが挙げられる。
(2)ω−アミノ酸の重縮合物、例えばω−アミノウンデカン酸の重縮合物であるポリウンデカンアミド[11ナイロン]。
(3)ラクタムの開環重合物、例えばε−アミノカプロラクタムの開環重合物であるポリカプラミド[6ナイロン]、ε−アミノラウロラクタムの開環重合物ポリラウリックラクタム[12ナイロン]。
中でも、ポリヘキサメチレンアジパミド[6,6ナイロン]、ポリヘキサメチレンアゼラミド[6,9ナイロン]、ポリカプラミド[6ナイロン]が好ましい。
また本発明では、例えばアジピン酸とイソフタル酸とヘキサメチレンジアミンとから製造されるポリアミド樹脂なども使用できるし、さらに6ナイロンと6,6ナイロンとの混合物のように2種以上のポリアミド樹脂を配合したブレンド物も使用できる。
ポリアミド(P)の275℃、2.16kg荷重で測定されるメルトボリュームレイト(MVR)は、好ましくは1〜200cm/10min、より好ましくは1〜150cm/10min、特に好ましくは1〜125cm/10minである。このようなポリアミド(P)を用いることにより、ポリアミド樹脂が固有に備える耐衝撃性が十分発現する傾向にあり、流動性に優れた酸変性ポリオレフィン(Q)と混合しても耐衝撃性が大きく損なわれることがない。その結果、耐衝撃性と鏡面光沢度とのバランス、あるいは耐衝撃性と成形時流動性のバランスに優れるという本発明の効果がより顕著になる。
[酸変性ポリオレフィン(Q)]
本発明に用いる酸変性ポリオレフィン(Q)は、下記の要件(1)〜(3)を満たすことを特徴とする。
(1) 230℃、2.16kg荷重で測定されるメルトフローレート(MFR)が50〜200(g/10分)、好ましくは60〜190(g/10分)である。MFRをこの範囲内に制御することによって、成形体の耐衝撃性と鏡面光沢度とのバランス、あるいは耐衝撃性と成形時流動性のバランスに優れたポリアミド樹脂成形体が得られる。
(2) 酸変性量が0.1〜2.0質量%、好ましくは0.1〜1.0質量%、より好ましくは0.2〜0.8質量%である。酸変性量が少な過ぎると成形体の耐衝撃性が低下する場合がある。一方、酸変性量が多過ぎると、通常の変性方法では変性時の極性モノマーや有機過酸化物の仕込み量の増加で対応する必要が生じるが、このような変性方法では酸変性ポリオレフィン中にゲル等の異物が混入する場合がある。
(3) エチレン起因骨格単位10〜95モル%、好ましくは10〜90モル%と、プロピレン起因骨格単位0〜80モル%と、炭素原子数4〜8のα−オレフィン起因骨格単位3〜40モル%とを含むエラストマー(エチレン起因骨格単位とプロピレン起因骨格単位とα−オレフィン起因骨格単位の合計量は100モル%である)のマレイン酸又はその無水物による変性体(q1)を含む。この変性体(q1)に用いるエラストマー中のプロピレン起因骨格単位の含有量は0〜80モル%なので、プロピレン起因骨格単位を含むエラストマーを用いる場合と含まないエラストマーを用いる場合の双方が包含される。そして、これらの好ましい態様は各々異なる。
変性体(q1)がプロピレン起因骨格単位を含むエラストマーのマレイン酸又はその無水物による変性体(q1A)である場合は、酸変性ポリオレフィン(Q)は、以下の変性体(q1A)及び変性体(q2)を含むことが好ましい。また、変性体(q2)の含有量は、酸変性ポリオレフィン(Q)の3〜30質量%であることが好ましい。
変性体(q1)の一態様であって、プロピレン起因骨格単位を含むエラストマーのマレイン酸又はその無水物による変性体(q1A)
プロピレン起因骨格単位90モル%以上と、エチレン又は炭素原子数4〜8のα−オレフィン起因骨格単位10モル%以下とを含むランダムポリプロピレンのマレイン酸又はその無水物による変性体(q2)
一方、変性体(q1)がプロピレン起因骨格単位を含まないエラストマーのマレイン酸又はその無水物による変性体である場合は、酸変性ポリオレフィン(Q)は、変性体(q1)の一態様であって、プロピレン起因骨格単位を含まず、エチレン起因骨格単位75〜95モル%と、炭素原子数4〜8のα−オレフィン起因骨格単位5〜25モル%とを含むエラストマーのマレイン酸又はその無水物による変性体(q1B)を含むことが好ましい。
以下、変性体(q1A)、変性体(q1B)及び変性体(q2)について説明する。
[変性体(q1A)]
変性体(q1A)は、プロピレン起因骨格単位を含むエラストマーを用いた場合の変性体(q1)である。変性体(q1A)に用いるエラストマー(r1A)は、好ましくは下記要件(b1)及び(b2)を満たすものであり、より好ましくは下記要件(b3)〜(b5)を更に満たし、特に好ましくは下記要件(b6)〜(b7)をも更に満たすプロピレン系共重合体である。
(b1)示差走査熱量計(DSC)で測定される融点が120℃未満であるか又は融点が観測されず、好ましくは融点が100℃以下であるか又は融点が観測されない。ここで、融点が観測されないとは、−150〜200℃の範囲において、結晶融解熱量が1J/g以上の結晶融解ピークが観測されないことをいう。なお、融点とは、23℃±2℃で72時間以上の状態調節を実施した後の試験体を、−40℃まで冷却してから昇温速度10℃/minで測定したときに得られるDSC曲線上で検出された融点である。後述するランダムポリプロピレンの融点のDSC測定法と異なることに留意すべきである。
変性体(q1A)の柔軟性と、後述するランダムポリプロピレンの変性体(q2)との相溶性の観点から、酸変性前のエラストマー(r1A)は、プロピレンとエチレンと炭素原子数4〜20のα−オレフィンとの三元共重合体であり、好ましくは下記要件(b2)を満たすものである。
(b2)通常、プロピレン起因構成単位51〜80モル%と、エチレン起因構成単位10〜24モル%と、炭素原子数4〜8のα−オレフィン起因構成単位3〜25モル%とを含み、好ましくはプロピレン起因構成単位60〜80モル%と、エチレン起因構成単位10〜20モル%と、炭素原子数4〜8のα−オレフィン起因構成単位3〜23モル%とを含み、より好ましくはプロピレン起因構成単位65〜80モル%と、エチレン起因構成単位11〜19モル%と、炭素原子数4〜8のα−オレフィン起因構成単位4〜21モル%とを含む共重合体である。
炭素原子数4〜8のα−オレフィンとしては、その入手容易性から1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましく、1−ブテンが特に好ましい。各コモノマーの構成単位(モル%)は、例えば13C−NMRスペクトルの分析によって求められる。
(b3)ショアーA硬度は柔軟性の観点から、好ましくは20〜90、より好ましくは35〜60である。ショアーA硬度は、試料を190〜230℃で加熱溶融させた後15〜25℃の冷却温度でプレス成形して得られた試験体を、23℃±2℃の環境下で72時間以上保管し、A型測定器を用い、押針接触後直ちに目盛りを読むことによって得られる値である(ASTM D2240に準拠)。
(b4)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、好ましくは1.2〜3.5である。このような分子量分布を有すると、低分子量成分が少ないためべた付き感が抑制される。
(b5)アイソタクティックトライアッド分率(mm)は、好ましくは85〜99.9%、より好ましくは85〜97.5%、特に好ましくは90〜97%である。アイソタクティックトライアッド分率(mm)がこの範囲にあると、エチレンや1−ブテンなどのコモノマーを多く共重合させた場合でも、完全に結晶性が失われないため、機械物性などの観点から好適である。アイソタクティックトライアッド分率(mm)は、国際公開第2004−087775号の第21頁7行目から第26頁6行目までに記載された方法を用いて測定することができる。
(b6)ガラス転移温度(Tg)が−10℃〜−50℃の範囲内で観測されることが、機械物性の観点から好ましい。このTgは、示差走査熱量計(DSC)を用いて、上記(b1)記載の条件により求めることができる。
(b7)MFR(ASTM D1238、230℃、2.16kg荷重)は、加工性や機械物性の観点から、好ましくは0.5〜500g/10分、より好ましくは1〜100g/10分である。
酸変性前のエラストマー(r1A)の製造方法は特に限定されないが、オレフィンをアイソタクティック構造で立体規則性重合できる公知の触媒(例えば、固体状チタン成分及び有機金属化合物を主成分とする触媒、又はメタロセン化合物を触媒の成分として用いたメタロセン触媒)の存在下で、プロピレン、エチレンと他のα−オレフィンとを共重合して製造できる。好ましくは、メタロセン触媒の存在下で共重合することにより得られる。後述する本願実施例で用いた二種類のプロピレン系重合体(B)は国際公開第2006/098452号に記載されたメタロセン触媒を用いて同公報に記載された方法によって調製された。
[変性体(q1B)]
変性体(q1B)は、プロピレン起因骨格単位を含まず、エチレン起因骨格単位75〜95モル%、好ましくは75〜90モル%と、炭素原子数4〜8のα−オレフィン起因骨格単位5〜25モル%、好ましくは10〜25モル%とを含むエラストマー(r1B)のマレイン酸又はその無水物による変性体(q1B)である。炭素原子数4〜8のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン及びこれらの組み合わせが挙げられる。なかでも1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが特に好ましい。
変性前のエラストマー(r1B)は、炭素原子数4〜8のα−オレフィン含量が5〜25モル%、好ましくは10〜25モル%、より好ましくは11〜22モル%、特に好ましくは12〜20モル%である。α−オレフィン含量がこのような範囲にあると、柔軟性が良好で取扱いが容易な変性体(q1B)を得ることができる。しかも、このエラストマー(r1B)を用いると、耐衝撃性及び柔軟性に優れた成形体を提供し得るポリアミド樹脂組成物を得ることができる。
変性前のエラストマー(r1B)は、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が、好ましくは0.5〜1.4dl/g、より好ましくは0.7〜1.4dl/gである。極限粘度[η]がこのような範囲にあると、変性体(q1B)とポリアミド(P)とのブレンド性が良好になる。しかも、このエラストマー(r1B)を用いると、成形性に優れたポリアミド樹脂組成物を得ることができる。
上記のような特性を有する変性前のエラストマー(r1B)は、例えば、可溶性バナジウム化合物とアルキルアルミニウムハライド化合物とからなるバナジウム系触媒、又はジルコニウムのメタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物とからなるジルコニウム系触媒の存在下に、エチレンと炭素原子数4〜8のα−オレフィンとをランダムに共重合させることによって調製することができる。
[変性体(q2)]
変性体(q2)は、プロピレン起因骨格単位90モル%以上と、エチレン又は炭素原子数4〜8のα−オレフィン起因骨格単位10モル%以下とを含むランダムポリプロピレン(r−PP)のマレイン酸又はその無水物による変性体である。この変性体(q2)においてはランダムポリプロピレン(r−PP)を用いるので、特にホモポリプロピレンの変性体を用いた場合と比較して、成形体の衝撃特性と成形時流動性のバランスがさらに向上する。
炭素原子数4〜8のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどが挙げられる。中でも、1−ブテンが好ましい。エチレン又は炭素原子数4〜8のα−オレフィン起因骨格単位の量は、好ましくは0.1〜8モル%、より好ましくは0.2〜7.5モル%である。
ランダムポリプロピレン(r−PP)の示差走査熱量計(DSC)測定により得られる融点(Tm)は、好ましくは120〜170℃、より好ましくは125〜168℃である。さらに同時に測定される融解熱量(△H)は、好ましくは50mJ/mg以上である。この融点(Tm)は具体的には、示差走査熱量計(DSC)測定装置内で10分間200℃保持した後、降温速度10℃/minで−20℃まで冷却し、−20℃で1分間保持し、再度昇温速度10℃/minの条件下で測定した値である。
ランダムポリプロピレン(r−PP)は、通常はアイソタクティックポリプロピレンである。アイソタクティックであるとは、NMR法により測定したアイソタクティックペンタッド分率(mmmm分率)が好ましくは90〜99.8%、より好ましくは95〜99.8%である。mmmm分率は、例えば特開2007−186664号公報に記載されているように、13C−NMRを使用して測定される分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクティック連鎖の存在割合、換言すればプロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率であり、同公報に開示された測定法によって算出される。
ランダムポリプロピレン(r−PP)のMFR(ASTM D1238、230℃、2.16kg荷重)は、通常0.01〜400g/10分、好ましくは0.1〜200g/10分、より好ましくは0.5〜100g/10分である。ランダムポリプロピレン(r−PP)、特にアイソタクティックポリプロピレンは、チーグラー・ナッタ型触媒やメタロセン触媒を用いた公知の様々な方法によって製造できる。
[酸変性ポリオレフィン(Q)の製造方法]
酸変性ポリオレフィン(Q)は、例えば、先に説明したエラストマー(r1A)とランダムポリプロピレン(r−PP)のブレンド体に、あるいは先に説明したエラストマー(r1B)に、必要に応じて後述する添加剤を加え、マレイン酸又はその無水物をラジカル開始剤の存在下でグラフト重合させて得られる。エラストマー(r1A)とランダムポリプロピレン(r−PP)は、予め公知の溶融混練法を用いて造粒されていてもよい。
マレイン酸又はその無水物の仕込み量は、変性前のポリオレフィン100質量部に対して、通常0.010〜15質量部、好ましくは0.010〜5.0質量部である。ラジカル開始剤の使用量は、変性前のポリオレフィン100質量部に対して、通常0.0010〜1.0質量部、好ましくは0.0010〜0.30質量部である。
ラジカル開始剤としては、例えば、有機過酸化物、アゾ化合物又は金属水素化物などを用いることができる。ラジカル開始剤は、マレイン酸又はその無水物、及び変性前のポリオレフィンや他の成分とそのまま混合しても使用することができるが、少量の有機溶媒に溶解してから使用することもできる。この有機溶媒としては、ラジカル開始剤を溶解し得る有機溶媒であれば特に限定されない。
マレイン酸又はその無水物によるグラフト変性は、従来公知の方法で行うことができる。プロピレン系ポリアミド樹脂組成物を有機溶媒に溶解し、次いでマレイン酸又はその無水物及びラジカル開始剤などを溶液に加え、70〜200℃、好ましくは80〜190℃の温度で、0.5〜15時間、好ましくは1〜10時間反応させる方法が挙げられる。
また、押出機などを用いて、無溶媒で、ラジカル開始剤存在下、マレイン酸又はその無水物と、変性前ポリオレフィンとを反応させて酸変性体を製造することもできる。この反応は、通常は変性前ポリオレフィンの融点以上の温度で、通常0.5〜10分間行われることが望ましい。
[ポリアミド樹脂組成物]
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド(P)50〜99質量%と酸変性ポリオレフィン(Q)1〜50質量%、好ましくはポリアミド(P)60〜98質量%と酸変性ポリオレフィン(Q)2〜40質量%、より好ましくはポリアミド(P)70〜98質量%と酸変性ポリオレフィン(Q)2〜30質量%、特に好ましくはポリアミド樹脂(P)75〜98質量%と酸変性ポリオレフィン(Q)2〜25質量%[ただし、成分(P)と成分(Q)は合計して100質量%]の割合で用いることによって得られる。このような割合でポリアミド(P)及び酸変性ポリオレフィン(Q)を用いることによって、耐衝撃性と成形時流動性のバランスに優れた成形体が提供される。また成形性にも優れる。
さらに本発明のポリアミド樹脂組成物は、後述する実施例に示すように、低せん断速度γ1=12.16(1/s)及び高せん断速度γ2=1216(1/s)における溶融粘度η1及びη2が比較的低い。しかもη1とη2の比X(=η1/η2)、すなわちせん断速度を速くした場合の溶融粘度の低下の割合、が比較的大きい。したがって、本発明のポリアミド樹脂組成物は流動性に優れると共に、特に高せん断速度の条件下での成形(例えば成形速度が速く成形サイクルが短い成形)においても有用である。さらに、低せん断速度における溶融粘度η1が低過ぎることがないので、例えば射出成形時のノズル部の糸引きの問題が生じにくく歩留まりに優れている。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、例えば、ポリアミド(P)と、酸変性ポリオレフィン(Q)と、必要に応じて配合される添加剤とを種々の従来公知の方法で溶融混合することにより調製される。具体的には、上記各成分を同時に又は逐次的に、例えばヘンシェルミキサー、V型ブレンダー、タンブラーミキサー、リボンブレンダー等の混合装置に装入して混合し、単軸押出機、多軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等で溶融混練することによって得られる。特に、多軸押出機、ニーダー、バンンバリーミキサー等の混練性能に優れた装置を使用すると、各成分がより均一に分散された高品質のポリアミド樹脂組成物が得られる。また、これらの任意の段階で必要に応じてその他の添加剤、例えば酸化防止剤などを添加することもできる。
[その他の添加剤]
本発明のポリアミド樹脂組成物には、ポリアミド(P)及び酸変性ポリオレフィン(Q)の他に、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、他の合成樹脂、他のゴム、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、結晶核剤、顔料、塩酸吸収剤、銅害防止剤等の添加物を、ポリアミド樹脂組成物100質量部あたり、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部含んでいてもよい。これらの添加剤は、ポリアミド樹脂組成物の調製段階で添加してもよいし、酸変性ポリオレフィン(Q)の調製前、調製中、又は調製後に添加してもよい。
また、ポリアミド樹脂組成物100質量部に対して、無機フィラーを通常1〜100質量部、好ましくは5〜80質量部、より好ましくは10〜70質量部の割合でさらに含むフィラー含有ポリアミド樹脂組成物としても良い。このようなフィラー含有ポリアミド樹脂組成物は、成形体の機械的強度をさらに向上させたい場合、あるいは調整された線膨張率(成形収縮率)を持つ成形体が必要な用途で有用である。
フィラーとしては、例えば、繊維状充填剤、粒状充填剤、板状充填剤等の充填剤が挙げられる。繊維状充填剤の具体例としては、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等が挙げられ、ガラス繊維の好適な例としては、平均繊維径が6〜14μmのチョップドストランド等が挙げられる。粒状又は板状充填剤の具体例としては、炭酸カルシウム、マイカ、ガラスフレーク、ガラスバルーン、炭酸マグネシウム、シリカ、タルク、粘土、炭素繊維やアラミド繊維の粉砕物等が挙げられる。
フィラーを含まない場合でも強固に接着し、金属に接着した樹脂成形物を取り去るには非常に強い力が必要である。しかしながら、成形された複合体を温度サイクル試験にかけると、フィラーを含まない樹脂の系ではサイクルを重ねることで急速に接着強度が低下する。この原因の一つは、線膨張率で金属形状物と熱可塑性合成樹脂組成物に大差があることによる。例えば、アルミニウム合金の線膨張率は金属の中では大きい方だが、それでも熱可塑性合成樹脂よりかなり小さい。フィラーの存在は熱可塑性合成樹脂組成物の線膨張率を下げ、アルミニウム合金の線膨張率、約2.5×10−5−1に近づける。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例及び比較例で用いた原料成分は以下の通りである。
ポリアミド樹脂(P)
「PA66」:6,6ナイロン(デユポン社製、Zytel(登録商標)101L、溶融温度263℃、ビカット軟化温度238℃、密度1140kg/m、MVR80cm/10min)。PA66のメルトボリュームレイト(MVR)は、ASTM D1238に準拠して275℃、2.16kg荷重の条件で測定した。
ランダムポリプロピレン(r2)
「r-PP」:ランダムポリプロピレン(エチレン含量3.0モル%、1−ブテン含量1.0モル%、MFR(230℃)7g/10分、融点140℃)
酸変性前のエラストマー(r1A)
国際公開第2006/98452号に開示された方法に準拠して、プロピレン・エチレン・ブテン共重合体(PBER(r1A))を調製した。樹脂の性状は次の通りであった。プロピレンに由来する骨格含有量68モル%、エチレンに由来する骨格含有量13モル%、1-ブテンに由来する骨格含有量19モル%、mm92%、MFR7(g/10分)、Mw/Mn 2.1、Tg−29℃。
酸変性前のエラストマー(r1B)
三井化学製のエチレン・1-ブテン共重合体(EBR)の3種類(r1B−1)〜(r1B−3)を用いた。なお、EBR(r1B−1)の酸変性体のみ実施例で用い、その他のEBR(r1B−2)〜(r1B−3)の酸変性体は比較例で用いた。エチレン・1-ブテン共重合体4種類の性状は以下の通りである。
(r1B−1)エチレン含量85モル%、MFR(230℃)55g/10分
(r1B−2)エチレン含量85モル%、MFR(230℃)3.0g/10分
(r1B−3)エチレン含量81モル%、MFR(230℃)1.5g/10分
酸変性ポリオレフィン(Q)の各種物性の測定方法は以下の通りである。
(測定用プレスシートの作製)
200℃に設定した神藤金属工業社製油圧式熱プレス機を用い、10MPaで圧力シート成形した。0.5〜3mm厚のシート(スペーサー形状:240×240×2mm厚の板に80×80×0.5〜3mm、4個取り)の場合、余熱を5〜7分程度し、10MPaで1〜2分間加圧した後、20℃に設定した別の神藤金属工業社製油圧式熱プレス機を用い、10MPaで圧縮し、5分程度冷却して測定用試料を作成した。熱板は5mm厚の真鍮板を用いた。上記方法により作製したサンプルを用いて各種物性評価試料に供した。
(ショアーA硬度)
ASTM D2240に準拠して測定した。
(MFR)
230℃、2.16kg荷重の条件でメルトフローレート(MFR)を測定した。
[酸変性ポリオレフィン(Q)の調製]
実施例で用いた酸変性ポリオレフィン(Q−1)〜(Q−2)、及び比較例で用いたグラフト変性樹脂(Q−1’)〜(Q−3’)の調製方法を以下に示す。
(Q−1の調製方法)
r-PP20質量%及びPBER(r1A−1)80質量%からなるポリプロピレン系組成物(C−1)10kgと、無水マレイン酸(MAH)60g及び2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン(商品名パーヘキサ25B)15gをアセトンに溶解した溶液をブレンドした。次いで、得られたブレンド物を、スクリュー径30mm、L/D=40の2軸押出機のホッパーから投入し、樹脂温度200℃、スクリュー回転数240rpm、吐出量12kg/hrでストランド状に押し出した。得られたストランドを十分冷却した後、造粒することで、酸変性ポリオレフィン(Q−1)を得た。得られた酸変性ポリオレフィン(Q−1)の物性結果を表1に示す。なお、酸変性ポリオレフィン(Q)の変性度(無水マレイン酸含量、表1ではMAH(wt%)と表記)は、FT−IRにてカルボニル基に帰属される波数1780cm−1ピーク強度に基づき、別途作成した検量線から求めた。
(Q−2の調製方法)
ポリプロピレン系組成物(C−1)の代わりに、エチレン・1−ブテン共重合体(r1B−1)を用いた以外は、Q−1の調製方法と同様にして酸変性ポリオレフィン(Q−2)を得た。得られた(Q−2)の物性結果を表1に示す。
(Q−1’の調製方法)
ポリプロピレン系組成物(C−1)の代わりに、エチレン・1−ブテン共重合体(r1B−2)を用い表1に示す配合に変更した以外は、Q−1の調製方法と同様にして耐衝撃性改良剤(Q−1’)を得た。得られた(Q−1’)の物性結果を表1に示す。
(Q−2’の調製方法)
ポリプロピレン系組成物(C−1)の代わりに、エチレン・1−ブテン共重合体(r1B−3)を用い表1に示す配合に変更した以外は、Q−1の調製方法と同様にして耐衝撃性改良剤(Q−2’)を得た。得られた(Q−2’)の物性結果を表1に示す。
(Q−3’の調製方法)
ポリプロピレン系組成物(C−1)の代わりに、エチレン・1−ブテン共重合体(r1B−3)を用い表1に示す配合に変更した以外は、Q−1の調製方法と同様にして耐衝撃性改良剤(Q−3’)を得た。得られた(Q−3’)の物性結果を表1に示す。
Figure 0006967108
[実施例1]
66ナイロン[デユポン社製、商品名ザイテル101L]80質量部と、酸変性ポリオレフィン(Q−1)20質量部とを、ヘンシェルミキサーを用いて混合してドライブレンド物を調製した。次いで、このドライブレンド物を245℃に設定した2軸押出機(L/D=40、30mmφ)に供給し、ポリアミド樹脂組成物のペレットを調製した。得られたポリアミド樹脂組成物のペレットを80℃で1昼夜乾燥した後、下記条件で射出成形を行ない、物性試験用試験片を作製した。
(射出成形条件)
シリンダー温度:245℃
射出圧力:400kg/cm
金型温度:80℃
続いて、下記の方法により、ポリアミド樹脂組成物の物性評価を行なった。結果を表2に示す。
(1)引張り試験
厚み1/8”の試験片を用い、ASTM D638に従って、降伏点強度、破断伸び測定した。なお、試験片の状態調製は、乾燥状態で23℃の温度で2日行なった。
(2)曲げ試験
厚み1/8”の試験片を用い、ASTM D790に従って、曲げ弾性率(FM;kg/cm)を測定した。なお、試験片の状態調製は、乾燥状態で23℃の温度で2日行なった。
(3)アイゾット衝撃試験
厚み1/8”の試験片を用い、ASTM D256に従って、23℃でノッチ付きアイゾット衝撃強度を測定した。
(4)流動性
シリンダー温度280℃、射出圧力100MPa、金型温度80℃とした50t型締力の射出成形機にて、3.8mmφ半円のスパイラル状の溝を持った金型に射出成形し、流動距離を測定した。
(5)外観(グロス)
シリンダー温度280℃、射出圧力80MPa、金型温度80℃とした70t型締力の射出成形機にて、100mm×100mm、厚さ3mmの角板を成形し、60°鏡面光沢度をJIS Z8741に準拠し測定した。
(6)溶融粘度
ポリアミド組成物の溶融粘度を、東洋精機製のキャピラリーレオメーター(キャピログラフ1B)を使用して測定した。測定に使用したオリフィスの形状はD=1mm、L/D=30であり、バレルの温度設定は290℃とした。ポリアミド組成物のペレットをバレル内に投入し6分間滞留させた後、所定の速度でピストンを押し込んだ。ピストンの押込み速度を変化させることで、低せん断速度γ1=12.16(1/s)及び高せん断速度γ2=1216(1/s)における溶融粘度をそれぞれη1及びη2とした。そして、η1とη2の比X(=η1/η2)を算出した。
[実施例2]
66ナイロン80質量部と、酸変性ポリオレフィン(Q−1)20質量部を用いた以外は実施例1と同様にポリアミド樹脂組成物を調製した。結果を表2に示す。
[実施例3]
酸変性ポリオレフィン(Q−1)の代わりに、酸変性ポリオレフィン(Q−2)を用いた以外は実施例1と同様にポリアミド樹脂組成物を調製した。結果を表2に示す。
[実施例4]
66ナイロン80質量部と、酸変性ポリオレフィン(Q−2)20質量部を用いた以外は実施例1と同様にポリアミド樹脂組成物を調製した。結果を表2に示す。
[比較例1〜比較例7]
表3に記載した各成分を用いた以外は実施例1と同様にポリアミド樹脂組成物を調製した。これらの結果を表3に示す。
Figure 0006967108
Figure 0006967108
本発明のポリアミド樹脂組成物は耐衝撃性と成形時流動性のバランスに優れるので、樹脂材料にそのような物性が求められる各種分野にエンジニアリングプラスチックとして産業上極めて有用である。

Claims (4)

  1. 6,6ナイロンであるポリアミド(P)50〜99質量%、及び、
    下記の要件(1)〜(3)を満たす酸変性ポリオレフィン(Q)1〜50質量%
    を含むポリアミド樹脂組成物。
    (1) 230℃、2.16kg荷重で測定されるメルトフローレート(MFR)が50〜200(g/10分)である。
    (2) 酸変性量が0.1〜2.0質量%である。
    (3) エチレン起因骨格単位10〜95モル%と、プロピレン起因骨格単位0〜80モル%と、炭素原子数4〜8のα−オレフィン起因骨格単位3〜40モル%とを含むエラストマー(エチレン起因骨格単位とプロピレン起因骨格単位とα−オレフィン起因骨格単位の合計量は100モル%である)のマレイン酸又はその無水物による変性体(q1)の一態様であって、プロピレン起因骨格単位を含まず、エチレン起因骨格単位75〜95モル%と、炭素原子数4〜8のα−オレフィン起因骨格単位5〜25モル%とを含むエラストマーのマレイン酸又はその無水物による変性体(q1B)を含む。
  2. 請求項1記載のポリアミド樹脂組成物100質量部に対して、無機フィラー1〜100質量部をさらに含むフィラー含有ポリアミド樹脂組成物。
  3. 請求項1記載のポリアミド樹脂組成物からなる成形品。
  4. 請求項2記載のフィラー含有ポリアミド樹脂組成物からなる成形品。
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