JP2018090881A - 不織布めっき物 - Google Patents

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Abstract

【課題】不織布基材の表面およびその表面の内部における一部分に金属が被覆されることにより、不織布基材自身が有する柔軟性を損なうことなく、また高温環境下に晒されても金属被覆が膨れることなく、そして両表面の導通も有する不織布めっき物を提供する。【解決手段】不織布基材の表面およびその表面の内部における一部分に、高分子微粒子とバインダーを含むめっき下地層を設け、該めっき下地層上に無電解めっき法による金属めっき膜を設ける不織布めっき物。前記高分子微粒子が、0.01S/cm以上の導電率を有する、導電性高分子微粒子或いは0.01S/cm未満、好ましくは0.005S/cm以下の導電率を有するπ−共役二重結合を有する有する還元性高分子微粒子であり、10〜100nmの平均粒子径を有する高分子である、不織布めっき物。【選択図】図1

Description

本発明は、不織布めっき物に関する。
従来より金属被覆された不織布は、例えば電磁波シールド材や回路部材として使用されていた。また、金属被覆された不織布の主な製造方法は、不織布基材に対してスパッタリング法や無電解めっき法を用いる方法であった。
ところが、スパッタリング法により金属被覆された不織布は、図3に示すように不織布全体おいて金属が被覆されるため、不織布自身が有する柔軟性を損ねてしまう問題があった。
また、無電解めっき法により金属被覆された不織布は、例えば特許文献1に記載されている(1)4−アルキル−3−カルボン酸エステルポリピロール、(2)パラジウムコロイド、及び(3)有機溶媒を含有する無電解めっき用塗料組成物を、例えば図2の(b)に示すようにパターン状に塗布後、無電解めっき液と接触させて図2の(c)に示すように不織布めっき物を形成する方法が挙げられる。
特開2013−1955号公報
しかしながら、特許文献1記載の方法では、図2の(c)に示すように不織布基材のパターン状に塗布された表面、およびその表面の内部における全ての部分において、金属めっき膜が被覆されるため、不織布自身が有する柔軟性を損ねてしまう問題があった。
更に、不織布基材の内部における繊維間に存在する隙間を金属めっき膜が埋めてしまうため、例えば回路形成時の半田リフロー工程において高温環境下に晒されると、無電解めっき用塗料膜中の成分がガス化し、そのガスが不織布基材中から外へ移動できず、結果、被覆された金属めっき膜の一部が膨れてしまう問題もあった。
そこで、本発明は、上記課題を解決し得る、即ち、本発明は、不織布基材の表面およびその表面の内部における一部分に金属が被覆されることにより、不織布基材自身が有する柔軟性を損なうことなく、また高温環境下に晒されても金属被覆が膨れることなく、そして両表面の導通も有する不織布めっき物を提供することを目的とする。
本発明者等は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、
本発明の不織布めっき物は、不織布基材の表面およびその表面の内部における一部分に、高分子微粒子とバインダーを含むめっき下地層を設け、該めっき下地層上に無電解めっき法による金属めっき膜を設けた不織布めっき物であることを特徴とする。
本発明により、不織布基材自身が有する柔軟性を損なうことなく、また高温環境下に晒されても金属被覆が膨れることなく、そして両表面の導通も有する不織布めっき物を提供できる。
本発明の不織布めっき物を製造する際の説明図である。 特許文献1記載の無電解めっき用塗料組成物を不織布基材にパターン状に塗布して、無電解めっき法により金属めっき膜を設けた不織布めっき物を製造する際の説明図である。 スパッタリング法により不織布基材に、金属を被覆させた不織布めっき物を製造する際の説明図である。
更に詳細に本発明を説明する。
本発明の不織布めっき物は、不織布基材の表面およびその表面の内部における一部分に、高分子微粒子とバインダーを含むめっき下地層を設け、該めっき下地層上に無電解めっき法による金属めっき膜を設けた不織布めっき物であることを特徴とする。
[不織布基材]
本発明の不織布基材としては、特に限定されないが、例えば目付が4〜40g/mであり、かつ繊維径が3〜8μmの不織布基材が好ましく用いられる。
また、不織布基材の目付および繊維径が上述の範囲外のもので得られた不織布めっき物であると、例えば不織布基材自身が有していた柔軟性が損なわれる、或いは高温下に晒すと金属被覆(以下、「金属めっき膜」ともいう。)が膨れる、或いは不織布めっき物の両表面の導通を有することができなくなる虞がある。
また、本発明の不織布基材を構成する繊維としては、例えば木質繊維、ガラス繊維、ポリエステル繊維、ビニロン繊維、レーヨン繊維、液晶ポリマー繊維などが挙げられる。
なお、不織布基材の製造方法は、メルトブロー法、スパンボンド法、スパンレース法等が挙げられる。
[めっき下地層]
本発明のめっき下地層は、前記不織布基材の表面およびその表面の内部における一部分に対して設けた高分子微粒子とバインダーを含む層である。
ここでいう「表面およびその表面の内部」とは、次のように定義される。
先ず、ここでいう「表面」とは、後述するめっき下地層を形成する塗料を、不織布基材に塗布した表面を指す。したがって、不織布基材の表面全て対して塗布した場合は、不織布基材の表面全てを指す。一方で、不織布基材の表面における一部、すなわち不織布基材の表面に対してパターン状に塗布した場合は、不織布基材の表面に対してパターン状に塗布した面を指す。
次に、ここでいう「その表面の内部」とは、後述するめっき下地層を形成する塗料を、不織布基材の表面に塗布した下部分であり、かつ不織布基材の厚み方向の部分を指す。
したがって、「その表面の内部における一部分」とは、図1(b)に示すように、後述するめっき下地層を形成する塗料を、不織布基材の表面に塗布した下部分であり、かつ不織布基材の厚み方向の部分において、めっき下地層が形成されている部分と、めっき下地層が形成されていない部分の両方が存在し、最終的には図1(c)に示すように、金属めっき膜が形成されている部分と、金属めっき膜が形成されていない部分が存在する。
また、めっき下地層における高分子微粒子とバインダーの質量比は、高分子微粒子:バインダー=1:0.1〜1:60が好ましい。
めっき下地層における高分子微粒子とバインダーの質量比が、例えば高分子微粒子:バインダーの質量比が上述の範囲を逸脱すると、不織布基材との密着性が低下したり、或いは金属めっき膜の析出性が低下する場合がある。
なお、めっき下地層における高分子微粒子は、高分子微粒子上に触媒金属が吸着され、結果的に、導電性の高分子微粒子となる。したがって、めっき下地層を形成する際は、該樹脂層上に、例えば導電性高分子微粒子とバインダーを含む塗料、或いは、還元性高分子微粒子とバインダーを含む塗料のいずれかを塗布し、適宜後述する脱ドープ処理を行って、触媒金属を吸着させ、結果的に、導電性の高分子微粒子となる。
(導電性高分子微粒子)
上記の導電性高分子微粒子とバインダーを含む塗料における導電性高分子微粒子とは、導電性を有する粒子であって、具体的には、0.01S/cm以上の導電率を有する粒子である。
また、導電性高分子微粒子としては、球形の微粒子であるものが挙げられ、その平均粒径(レーザー回析/散乱法により求められる値)は、10〜100nmとするのが好ましい。
導電性高分子微粒子としては、導電性を有するπ−共役二重結合を有する高分子であれば特に限定されないが、例えば、ポリアセチレン、ポリアセン、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン及びそれらの各種誘導体が挙げられ、好ましくは、ポリピロールが挙げられる。
導電性高分子微粒子は、π−共役二重結合を有するモノマーから合成して使用する事ができるが、市販で入手できる導電性高分子微粒子を使用することもできる。
(還元性高分子微粒子)
上記の還元性高分子微粒子とバインダーを含む塗料における還元性高分子微粒子としては、0.01S/cm未満の導電率を有するπ−共役二重結合を有する高分子であれば特に限定されないが、例えば、ポリアセチレン、ポリアセン、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン及びそれらの各種誘導体が挙げられ、好ましくは、ポリピロールが挙げられる。
また、還元性高分子微粒子としては、0.005S/cm以下の導電率を有する高分子微粒子が好ましい。
還元性高分子微粒子は、π−共役二重結合を有するモノマーから合成して使用する事ができるが、市販で入手できる還元性高分子微粒子を使用することもできる。
また、還元性高分子微粒子としては、球形の微粒子であるものが挙げられ、その平均粒径(レーザー回析/散乱法により求められる値)は、10〜100nmとするのが好ましい。
本発明のめっき下地層における高分子微粒子としては、上記導電性高分子微粒子又は還元性高分子微粒子が挙げられ、これら高分子微粒子は、通常、有機溶媒に分散された分散液として使用されるが、これら高分子微粒子は、分散液中における分散安定性を維持するために、固形分として該分散液の質量の10質量%以下(固形分比)となるようにするのが好ましい。
そして、高分子微粒子を分散する有機溶媒としては、例えば、酢酸ブチル等の脂肪族エステル類、トルエン等の芳香族溶媒、メチルエチルケトン等のケトン類、シクロヘキサン等の環状飽和炭化水素類、n−オクタン等の鎖状飽和炭化水素類、メタノール、エタノール、n−オクタノール等の鎖状飽和アルコール類、安息香酸メチル等の芳香族エステル類、ジエチルエーテル等の脂肪族エーテル類及びこれらの混合物等が挙げられる。
(バインダー)
本発明のめっき下地層は、高分子微粒子と共にバインダー含んだ層であってもよい。バインダーとしては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリ(N−ビニルカルバゾール)系樹脂、炭化水素系樹脂、ケトン系樹脂、フェノキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチルセルロース系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ABS系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、アルキド系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂等が挙げられる。
また、本発明のめっき下地層を形成する塗料は、導電性高分子微粒子(或いは、還元性高分子微粒子)とバインダー樹脂に加えて、無機フィラー、溶媒等を含み得る。更には、黒色インク又は暗色インクを加えることも可能であり、用途や塗布対象物等の必要に応じて、分散安定剤、増粘剤、インキバインダ等の樹脂を加えることも可能である。
無機フィラーとしては、カーボン粒子が挙げられ、カーボン粒子としては、例えば、カーボンブラック等が挙げられる。カーボン粒子としては、平均1次粒子径が1ないし100nmの範囲となるものが好ましい。
溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えば酢酸ブチル等の脂肪族エステル類、トルエン等の芳香族溶媒、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、シクロヘキサン等の環状飽和炭化水素類、n−オクタン等の鎖状飽和炭化水素類、メタノール、エタノール、n−オクタノール等の鎖状飽和アルコール類、安息香酸メチル等の芳香族エステル類、ジエチルエーテル等の脂肪族エーテル類及びこれらの混合物等が挙げられる。また、メチルセルソルブ等の多価アルコール誘導体溶媒、ミネラルスピリット等の炭化水素溶媒、ジヒドロターピネオール、D−リモネン等のテルペン類に分類される溶媒を用いることもできる。なお、バインダーを若干溶解する成分を含んだ溶媒を用いて、めっき下地層を形成するのがよい。
[製造方法]
本発明における不織布めっき物の製造方法は、例えば以下の方法が挙げられる。
1)不織布基材上に、高分子微粒子(導電性高分子微粒子又は還元性高分子微粒子)と、バインダーとを含む塗料を塗布して、不織布基材の表面およびその表面の内部における一部分にめっき下地層を形成する工程(a)、
2)続いて、めっき下地層上に、無電解めっき法により金属めっき膜を設ける工程(b)からなる製造方法である。
1)工程(a)
工程(a)は、不織布基材上に、高分子微粒子(導電性高分子微粒子又は還元性高分子微粒子)と、バインダーとを含む塗料を塗布して、不織布の表面およびその表面の内部における一部分にめっき下地層を形成する工程である。
なお、不織布基材の一方の表面上に、高分子微粒子とバインダーを含む塗料を塗布することにより、不織布基材の表面から内部に浸透し、最終的に不織布基材の反対面まで浸透する。その結果、工程(a)により不織布基材の両表面およびその表面の内部における一部分にめっき下地層を形成することができる。
また、不織布の表面およびその表面の内部における一部にめっき下地層を形成する際、不織布基材の目付が4〜40g/mの範囲内であると共に、不織布の繊維径が3〜8μmの範囲内であると形成し易い。
更に、高分子微粒子とバインダーとを含む塗料において、粘度は50〜200000CPSの範囲がよく、好ましくは5000〜50000CPSの範囲内であり、これらの粘度範囲であると、不織布基材の表面およびその表面の内部における一部分にめっき下地層を形成し易い。
なお、導電性高分子微粒子又は還元性高分子微粒子と、バインダーとを含む塗料を、不織布基材の一方の表面上に印刷する方法としては、例えば、スクリーン印刷法、スクリーンオフセット法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、フレキソ印刷法、インプリント印刷法、反転印刷法、インクジェット印刷法等が挙げられ、また、印刷方法は、各印刷機を用いる通常の印刷法によって行うことができ、不織布基材の表面における全面に印刷してもよいし、不織布基材の表面における一部に、すなわち不織布基材の表面に対してパターン状に印刷してもよい。
2)工程(b)
工程(b)は、めっき下地層上に、無電解めっき法により金属めっき膜を設ける工程である。
この工程において、導電性高分子微粒子を用いて形成されためっき下地層は、脱ドープ処理を行った後に、無電解めっき法により金属めっき膜が設けられ、また、還元性高分子微粒子を用いて形成されためっき下地層は、脱ドープ処理を行うことなく無電解めっき法により金属めっき膜が設けられる。
脱ドープ処理としては、パターン化されためっき下地層が形成された基材を、還元剤、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム等の水素化ホウ素化合物、ジメチルアミンボラン、ジエチルアミンボラン、トリメチルアミンボラン、トリエチルアミンボラン等のアルキルアミンボラン、及び、ヒドラジン等を含む溶液で処理して還元する方法、又は、アルカリ性溶液で処理する方法が挙げられる。
操作性及び経済性の観点からアルカリ性溶液で処理するのが好ましい。
特に、導電性高分子微粒子を含むめっき下地層は非常に薄いものであるため、緩和な条件下で短時間のアルカリ処理により脱ドープを達成することが可能である。
例えば、1M 水酸化ナトリウム水溶液中で、20ないし50℃、好ましくは30ないし40℃の温度で、1ないし30分間、好ましくは3ないし10分間処理される。
上記脱ドープ処理により、めっき下地層中に存在する導電性高分子微粒子は、還元性高分子微粒子となる。
無電解めっき法としては、通常知られた方法に従って行うことができる。
即ち、導電性高分子微粒子を用いて形成されためっき下地層については、工程(a)の後に脱ドープ処理を行い、また、還元性高分子微粒子を用いて形成されためっき下地層は工程(a)の後に脱ドープ処理を行うことなく、露出しためっき下地層が形成された基材を、塩化パラジウム等の触媒金属を付着させるための触媒液に浸漬した後、水洗等を行い、無電解めっき浴に浸漬することにより金属めっき膜を設けることができる。
触媒液は、無電解めっきに対する触媒活性を有する貴金属(触媒金属)を含む溶液であり、触媒金属としては、パラジウム、金、白金、ロジウム等が挙げられ、これら金属は単体でも化合物でもよく、触媒金属を含む安定性の点からパラジウム化合物が好ましく、その中でも塩化パラジウムが特に好ましい。
好ましい、具体的な触媒液としては、0.05%塩化パラジウム−0.005%塩酸水溶液(pH3)が挙げられる。
処理温度は、20ないし50℃、好ましくは30ないし40℃であり、処理時間は、0.1ないし20分、好ましくは、1ないし10分である。
上記の操作により、めっき下地層中の還元性高分子微粒子上に触媒金属が吸着され、結果的に、導電性の高分子微粒子となる。
上記で処理された不織布基材は、金属を析出させるためのめっき液に浸され、これにより金属めっき膜が形成される。
めっき液としては、通常、無電解めっきに使用されるめっき液であれば、特に限定されない。
即ち、無電解めっきに使用できる金属、銅、金、銀、ニッケル等、全て適用することができるが、銅が好ましい。
無電解銅めっき浴の具体例としては、例えば、ATSアドカッパーIW浴(奥野製薬工業(株)社製)等が挙げられる。
処理温度は、20ないし50℃、好ましくは30ないし40℃であり、処理時間は、1ないし30分、好ましくは、5ないし15分である。
得られためっき品は、使用した基材のTgより低い温度範囲において、数時間以上、例えば、2時間以上養生するのが好ましい。
形成される金属めっき膜の厚さは、0.1〜10μmの範囲とするのが好ましく、0.3〜3.0μmの範囲とするのがより好ましい。
また、必要に応じて、無電解めっき法により形成されたパターン状の金属めっき膜上に、電解めっき法による金属めっき膜を形成してもよい。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明する。
(製造例1:めっき下地層用塗料Aの調製)
スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルナトリウム1.5mmolをトルエン50mLに溶解し、さらにイオン交換水100mLを加え、20℃に保持しつつ乳化するまで撹拌した。得られた乳化液にピロールモノマー21.2mmolを加え、30分撹拌し、次いで0.12M過硫酸アンモニウム水溶液50mL(6mmol相当)を少量ずつ滴下し、4時間反応を行った。反応終了後、有機相を回収し、イオン交換水で数回洗浄して、トルエン中に黒色の導電性ポリピロール微粒子が分散したポリピロール系分散液を得た。
次に、バインダー樹脂溶液:バイロン(VYLON)23CS(非晶質ポリエステル樹脂:東洋紡績株式会社製)と無機フィラー:粉末シリカ アエロジル200(平均1次粒子径:12nm 日本アエロジル株式会社製)とを固形分比(質量比)がバインダー:無機フィラー=4:1.15となるように配合し、プレ攪拌後、3本ロールミルにて粉末シリカを分散させて、バインダー及び無機フィラーを含む分散液を得た。
次に、上記で調製したポリピロール系分散液に、前記で調製したバインダー及び無機フィラーを含む分散液を、固形分比(質量比)がポリピロール微粒子:バインダー:シリカ=1:4:1.15となるように配合し、攪拌、脱泡を行うことにより、固形分が約30%で、粘度が30000CPSとなるようにめっき下地層用塗料Aを調製した。
(製造例2:めっき下地層用塗料Bの調製)
アニオン性界面活性剤ペレックスOT−P(花王(株)製)1.5mmol、トルエン10mL、イオン交換水100mLを加えて20℃に保持しつつ乳化するまで撹拌した。
得られた乳化液にピロールモノマー21.2mmolを加え、1時間撹拌し、次いで過硫酸アンモニウム6mmolを加えて2時間重合反応を行った。
反応終了後、有機相を回収し、イオン交換水で数回洗浄して、トルエンに分散した導電性ポリピロール微粒子を得た。ここで得られたトルエン分散液中の導電性ポリピロール微粒子の固形分は、約5.0%であった。
ここに、バインダーとしてスーパーベッカミンJ−820(DIC(株)製)を加え、固形分比で導電性ポリピロール微粒子:バインダー樹脂=1:2、かつ固形分が約5.0%で、粘度が50CPSとなるようにめっき下地層用塗料Bを調製した。
(製造例3:めっき下地層用塗料の調製C)
EMPY:BMPY=2:1(モル比)を共重合させて得られたSSPY溶液を用意する。ここで、当該溶液の濃度は10重量%であり、溶媒はDMACである。当該SSPY溶液をNMPによって希釈し、濃度が1重量%である上記SSPY溶液を作製する(これをA液とする。赤褐色。)。一方、パラジウムコロイドが分散した水性分散溶液を用意する。ここで、当該溶液の濃度は9000重量ppmであり、溶媒は水:エタノールの重量比が50:50である溶媒である。当該パラジウムコロイドが分散した水性分散溶液をNMPで希釈し、900重量ppmのパラジウムコロイド溶液を作製する(これをB液とする。灰色。)。A液とB液の重量比が100:30となるようにA液とB液とを混合することにより、粘度が20CPSとなるようにめっき下地層用塗料Cを調製した。
(実施例1)
[工程a]
不織布基材(目付が4.1g/m、繊維径が3〜5μm)の表面上に、製造例1で調製しためっき下地層用塗料Aをスクリーン印刷機にて、パターン状に塗工し、120℃で5分間乾燥して、めっき下地層を形成した。
[工程b]
続いて、工程aで形成されためっき下地層が形成された不織布に対して、1M水酸化ナトリウム溶液に35℃で5分間浸漬して表面処理(脱ドープ処理)を行った。
続いて、0.02%塩化パラジウム−0.01%塩酸水溶液に35℃で5分間浸漬後、イオン交換水で水洗した。
続いて、無電解めっき浴ATSアドカッパーIW浴(奥野製薬工業(株)製)に浸漬して、35℃で10分間浸漬し、パターン状の銅めっき膜を形成し、不織布めっき物を得た。
得られた不織布めっき物について、銅めっき膜が形成された箇所に沿って不織布めっき物を切断し、その切断した断面を目視にて観察した。
その結果、その断面において、不織布基材の内部における金属被覆(銅めっき膜)の存在が一部であった。すなわち、不織布基材の表面(めっき下地層用塗料Aの塗布面)には金属被覆は存在するが、その不織布基材の表面の内部においては金属被覆がされていない部分も一部存在していた。
(実施例2)
不織布基材として、目付が6.0g/m、繊維径が6〜8μmのものを使用した以外は、実施例1と同様の方法にて、不織布基材上に無電解めっき法による金属めっき膜が形成された不織布めっき物を得た。
得られた不織布めっき物について、銅めっき膜が形成された箇所に沿って不織布めっき物を切断し、その切断した断面を目視にて観察した。
その結果、その断面において、不織布基材の内部における金属被覆(銅めっき膜)の存在が一部であった。すなわち、不織布基材の表面(めっき下地層用塗料Aの塗布面)には金属被覆は存在するが、その不織布基材の表面の内部においては金属被覆がされていない部分も一部存在していた。
(実施例3)
不織布基材として、目付が11.0g/m、繊維径が6〜8μmのものを使用した以外は、実施例1と同様の方法にて、不織布基材上に無電解めっき法による金属めっき膜が形成された不織布めっき物を得た。
得られた不織布めっき物について、銅めっき膜が形成された箇所に沿って不織布めっき物を切断し、その切断した断面を目視にて観察した。
その結果、その断面において、不織布基材の内部における金属被覆(銅めっき膜)の存在が一部であった。すなわち、不織布基材の表面(めっき下地層用塗料Aの塗布面)には金属被覆は存在するが、その不織布基材の表面の内部においては金属被覆がされていない部分も一部存在していた。
(実施例4)
不織布基材として、目付が14.0g/m、繊維径が6〜8μmのものを使用した以外は、実施例1と同様の方法にて、不織布基材上に無電解めっき法による金属めっき膜が形成された不織布めっき物を得た。
得られた不織布めっき物について、銅めっき膜が形成された箇所に沿って不織布めっき物を切断し、その切断した断面を目視にて観察した。
その結果、その断面において、不織布基材の内部における金属被覆(銅めっき膜)の存在が一部であった。すなわち、不織布基材の表面(めっき下地層用塗料Aの塗布面)には金属被覆は存在するが、その不織布基材の表面の内部においては金属被覆がされていない部分も一部存在していた。
(実施例5)
不織布基材として、目付が40.0g/m、繊維径が6〜8μmのものを使用した以外は、実施例1と同様の方法にて、不織布基材上に無電解めっき法による金属めっき膜が形成された不織布めっき物を得た。
得られた不織布めっき物について、銅めっき膜が形成された箇所に沿って不織布めっき物を切断し、その切断した断面を目視にて観察した。
その結果、その断面において、不織布基材の内部における金属被覆(銅めっき膜)の存在が一部であった。すなわち、不織布基材の表面(めっき下地層用塗料Aの塗布面)には金属被覆は存在するが、その不織布基材の表面の内部においては金属被覆がされていない部分も一部存在していた。
(実施例6)
不織布基材(目付が11g/m、繊維径が6〜8μm)の表面上に、製造例1で調製しためっき下地層用塗料Bをバーコーター#4を用いて、全面に塗工し、120℃で5分間乾燥して、めっき下地層を形成した以外は、実施例1と同様の方法にて、不織布基材上に無電解めっき法による金属めっき膜が形成された不織布めっき物を得た。
得られた不織布めっき物について、銅めっき膜が形成された不織布めっき物を切断し、その切断した断面を目視にて観察した。
その結果、その断面において、不織布基材の内部における金属被覆(銅めっき膜)の存在が一部であった。すなわち、不織布基材の表面には金属被覆は存在するが、その不織布基材の表面の内部においては金属被覆がされていない部分も一部存在していた。
(比較例1)
[工程a]
不織布基材(目付が11.0g/m、繊維径が6〜8μm)の表面上に、製造例3で調製しためっき下地層用塗料Cをバーコーター#4を用いて、全面に塗工し、120℃で5分間乾燥して、厚みが500nmのめっき下地層を形成した。
[工程b]
続いて、無電解めっき浴ATSアドカッパーIW浴(奥野製薬工業(株)製)に浸漬して、35℃で10分間浸漬し、銅めっき膜を設けた不織布めっき物を得た。
得られた不織布めっき物について、銅めっき膜が形成された不織布めっき物を切断し、その切断した断面を目視にて観察した。
その結果、その断面において、金属被覆(銅めっき膜)が存在した。すなわち、金属被覆がされていない部分は存在しなかった。
(比較例2)
不織布基材(目付が11.0g/m、繊維径が6〜8μm)に対して、 銅をスパッタリングして、銅めっき膜を設けた不織布めっき物を得た。
得られた不織布めっき物について、銅めっき膜が形成された不織布めっき物を切断し、その切断した断面を目視にて観察した。
その結果、その断面において、金属被覆(銅めっき膜)が存在した。すなわち、金属被覆がされていない部分は存在しなかった。
[試験例1]
実施例1〜6、および比較例1〜2で得られた不織布めっき物について、両面導通、柔軟性、金属被覆の膨れ(耐熱性)の各評価を行い、その結果を表1に示した。なお、評価方法および評価基準は以下の通りとした。
<両面導通>
[評価方法]
得られた不織布めっき物から10cm×10cm角に切断して試験試料を得た。
次に、得られた試験試料の両面(金属被覆された部位同士)にテスターを当て、任意の10点を測定した。
[評価基準]
○:10点全てにおいて導通した。
△:1〜9点において導通した。
×:10点全てにおいて導通しなかった。
<柔軟性>
[評価方法]
得られた不織布めっき物から10cm×10cm角に切断して試験試料を得た。
次に、得られた試験試料を、直径5mmの樹脂製円柱状物に巻き付け、直ぐに剥がす操作を10回繰り返した後、不織布めっき物の両面(金属被覆された部位同士)にテスターを当て、任意の10点を測定した。
[評価基準]
○:10点全てにおいて導通した。
△:1〜9点において導通した。
×:10点全てにおいて導通しなかった。
<金属被覆の膨れ(耐熱性)>
[評価方法]
得られた不織布めっき物を、260℃のオーブンに10分間入れた後、金属被覆の膨れ有無を目視にて観察した。
[評価基準]
○:金属被覆の膨れなし。
×:金属被覆の膨れあり。

Claims (1)

  1. 不織布基材の表面およびその表面の内部における一部分に、高分子微粒子とバインダーを含むめっき下地層を設け、該めっき下地層上に無電解めっき法による金属めっき膜を設けた不織布めっき物であることを特徴とする不織布めっき物。
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