JP2003166068A - 複合部材の製造方法及び複合部材形成用多孔質基材並びに複合部材形成用感光性化合物及び複合部材形成用組成物 - Google Patents

複合部材の製造方法及び複合部材形成用多孔質基材並びに複合部材形成用感光性化合物及び複合部材形成用組成物

Info

Publication number
JP2003166068A
JP2003166068A JP2002046321A JP2002046321A JP2003166068A JP 2003166068 A JP2003166068 A JP 2003166068A JP 2002046321 A JP2002046321 A JP 2002046321A JP 2002046321 A JP2002046321 A JP 2002046321A JP 2003166068 A JP2003166068 A JP 2003166068A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
plating
anion
photosensitive
polymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002046321A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3675768B2 (ja
Inventor
Toshiro Hiraoka
俊郎 平岡
Yasuyuki Hotta
康之 堀田
Kouji Asakawa
鋼児 浅川
Shigeru Matake
茂 真竹
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP2002046321A priority Critical patent/JP3675768B2/ja
Priority to US10/251,825 priority patent/US6835889B2/en
Publication of JP2003166068A publication Critical patent/JP2003166068A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3675768B2 publication Critical patent/JP3675768B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Chemically Coating (AREA)
  • Electroplating Methods And Accessories (AREA)
  • Manufacturing Of Printed Wiring (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 微細な配線パターンや導電パターンを低コス
トで製作する。 【解決手段】 基材表面にエネルギー線を照射する工
程、金属含有イオン等を吸着させる工程、無電解鍍金を
施す工程からなる複合部材の製造方法。及び、多孔質体
表面に感光性層形成工程、エネルギー線照射工程、鍍金
液浸透工程、通電し電解鍍金を析出させる工程からなる
複合部材の製造方法。及び、多孔質体と感光性層とから
なる複合部材形成用多孔質基材。及び、光照射によって
陰イオン交換性基を発生或いは消失する感光性基と架橋
性基含有ポリマーを有する複合部材形成用感光性組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フレキシブル基
板、多層配線基板、インターポーザー、三次元配線等の
配線基板や、アンテナ、コイル、センサー、電気化学セ
ル、マイクロマシンなど、微細な導電パターンが基材上
あるいは基材中に形成された複合部材を製造するための
複合部材の製造方法、および、それに用いる複合部材形
成用多孔質基材、並びに、複合部材形成用感光性化合
物、および、複合部材形成用感光性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】携帯電話やウェアラブルコンピュータ等
の電子機器を小型化するためには、微細な配線パターン
を低コストで製作できる方法が必須である。
【0003】更に、このような低コストな配線パターン
の製作方法は、DNAチップや各種センサー等の製造に
も欠かすことができない。
【0004】また、各種アンテナやコイルの製作におい
ては、立体的な部材に配線を三次元的に形成する必要が
ある。このような三次元配線の製作技術は、電子機器の
筐体上に配線する場合や、マイクロマシンやオプトエレ
クトロニクスデバイスの配線においても重要である。
【0005】一般に、配線パターンを形成するには、先
ず基材上にCu層を形成し、次いで、レジストパターン
をマスクした後、このCu層をエッチングすることによ
って製作する。しかしながら、この様な手法は、煩雑な
上、微細化、三次元配線化が難しい。
【0006】そこで、低コストでしかも三次元配線も可
能な配線パターンの製作方法として、露光部或いは未露
光部のみを選択的に無電解鍍金する方法がある。例え
ば、本発明者らはイオン交換性基を発生又は消失する感
光性物質を用いる手法について既に特願2001−96
683号として提案している。
【0007】この提案手法について更に詳細に述べるな
らば、基材上に形成された感光層を露光して陽イオン交
換性基のパターンを形成し、陽イオン交換性基に金属イ
オンや金属コロイド等を吸着させた後、次いで、吸着さ
せた金属イオンや金属コロイドを鍍金の触媒核として、
無電解鍍金して配線パターンを形成する方法である。
【0008】この様な手法は、レジストパターンの形成
やエッチングが不要で、プロセスが非常にシンプルであ
るため、低コスト化が可能な上に、配線パターンの微細
化、三次元化が容易である。
【0009】しかしながら、この様な手法においても大
きな問題点がある。
【0010】例えば、配線材料として重要な銅の無電解
鍍金液は一般的に非常に強いアルカリ性を示すものであ
る。これに対して陽イオン交換性基は酸性基、あるいは
その塩であるため、強アルカリ性の鍍金液中では親水性
の塩となる。
【0011】それ故、陽イオン交換性基の発生した後の
感光性層は水溶液である鍍金液に対する耐性に乏しく、
鍍金中に鍍金液に溶解したり、基材から剥離したりする
おそれがある。こうした問題は、特に鍍金核の吸着量を
増やすために、感光層中に存在する陽イオン交換性基の
量を増やすと更に深刻になる。このため強アルカリ性の
鍍金液にも良好に適用できる手法が求められている。
【0012】また、別の問題点として、基材に多孔質体
を用いる場合に、配線パターン等の導電パターンの導電
率が充分でない点がある。
【0013】例えば、多孔質体内に無電解鍍金により導
電パターンを形成する手法としては、特開昭55−16
1306号公報、特開平7−207450号公報のほ
か、米国特許第5498467号等に開示されているよ
うに、多くの手法が知られている。
【0014】しかしながら、こうした手法によって形成
した導電パターンにおいては、鍍金金属の多孔質体内へ
の充填率が充分でなく、導電パターンの導電率を高くす
ることが難しい場合が多い。何故ならば、無電解鍍金に
おいては、導電パターンとする領域の空孔内表面から一
斉に鍍金金属が析出する。このため、析出が進んで空孔
への鍍金金属の充填率が大きくなると、空孔が狭まって
しまい多孔質体外部から鍍金液が充分に補給されなくな
る。それ故、析出が途中で止まってしまい、充分な充填
率を得ることは難しい。特に、導電パターンとする領域
の辺縁部に先に鍍金が充填されて皮膜となり、領域の中
心部がほとんど鍍金されずに残ってしまい易い。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、選択的
な無電解鍍金は、低コストな上、三次元的な配線パター
ンの製作が可能であるが、触媒核の吸着量を増やすため
にイオン交換性基を増やすと、感光層が鍍金液に溶解し
てしまったり、剥離してしまうという問題点があった。
【0016】また、多孔質体内に無電解鍍金によって配
線パターン等を形成する場合に、空孔内への鍍金金属等
の充填率を高くできず、充分な導電率を得ることが難し
かった。
【0017】それ故、本発明は基材に配線パターン等の
導電部(導電パターン)が形成された複合部材の製造方
法であって、導電部の製作にあたって、充分なイオン交
換性基を導入することが可能で、かつ感光層が鍍金液に
溶解して剥離することのない方法を提供したり、また、
高い充填率で鍍金金属等を充填して、充分な導電率を有
する配線パターン等の導電部を多孔質体に形成する方法
を提供することが求められていた。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の態様であ
る複合部材の製造方法は、基材の所定の部位に導電部を
選択的に形成させる複合部材の製造方法において、前記
導電部の形成を下記のパターン形成工程、吸着工程、及
び、鍍金工程を経て行うことを特徴とするものである。感光性層形成工程: 基材表面にエネルギー線を照射す
ることにより、陰イオン交換性基が生成あるいは消失
し、かつ膨潤性の感光性層を形成する工程、エネルギー線照射工程: 前記感光性層にエネルギー線
照射し、照射部あるいは非照射部に陰イオン交換性基が
配置された、陰イオン交換性基のパターンを形成する工
程、吸着工程: 前記陰イオン交換性基のパターンに金属含
有イオン、または、金属含有化合物、または、金属コロ
イドを吸着せしめる工程、鍍金工程: 前記金属含有イオン、又は、金属含有化合
物、又は、金属コロイドを吸着せしめた陰イオン交換性
基のパターンに、無電解鍍金を施して導電パターンを形
成する工程。
【0019】本発明の第2の態様である複合部材の製造
方法は、基材の所定の部位に導電部を選択的に形成させ
る複合部材の製造方法において、前記導電部の形成を下
記の感光性層形成工程、エネルギー線照射工程、吸着工
程、鍍金工程を経て行うことを特徴とするものである。感光性層形成工程: 基材表面にエネルギー線を照射す
ることにより陰イオン交換性基が生成するアシルオキシ
ム誘導体基含有化合物あるいはアジド誘導体基含有化合
物を少なくとも有する感光性層を形成する工程、エネルギー線照射工程: 前記感光性層にエネルギー線
照射し、照射部或いは未照射部に陰イオン交換性基が配
置された、陰イオン交換性基のパターンを形成する工
程、吸着工程: 前記陰イオン交換性基のパターンに金属含
有イオン、または、金属含有化合物、または、金属コロ
イドを吸着せしめる工程、鍍金工程: 前記金属含有イオン、又は、金属含有化合
物、又は、金属コロイドを吸着せしめた陰イオン交換性
基のパターンに、無電解鍍金を施して導電パターンを形
成する工程。
【0020】また、本発明の第3の態様である複合部材
の製造方法は、絶縁性の多孔質体の所定の部位に導電部
を選択的に形成させる複合部材の製造方法において、下
記の電極設置工程、表面部分改質工程、鍍金液浸透工
程、及び、電解鍍金工程を備えることを特徴とするもの
である。電極設置工程: 前記多孔質体に電極を設置する工程、表面部分改質工程 : 前記多孔質体の一部を改質してそ
の表面エネルギーを変化させ、改質部の水に対する親和
性を、非改質部の水に対する親和性と異ならしめたパタ
ーンを形成する工程、鍍金液浸透工程 : 前記電極表面に接して選択された多
孔質体内の改質部あるいは非改質部の絶縁性の領域に選
択的に鍍金液を浸透させる工程、電解鍍金工程: 電極に通電して、電解鍍金を前記領域
内に析出させて導電部を形成する工程。
【0021】前記発明の第3の態様において、前記感光
性層は、エネルギー線照射によってイオン交換性基が生
成或いは消失される感光性層であることが好ましい。ま
た、前記イオン交換性基は、陰イオン交換性基であるこ
とが好ましい。
【0022】前記発明の第1、第2、及び第3の態様に
おいて、前記陰イオン交換性基としては、アミノ基であ
ることが好ましい。
【0023】更に、本発明の第4の態様である複合部材
形成用多孔質基材は、空孔を有する多孔質体と、該空孔
内の表面に形成されているエネルギー線の照射により陰
イオン交換性基が生成或いは消失される感光性層とから
構成されることを特徴とするものである。
【0024】前記発明の第4の態様において、前記多孔
質体の少なくとも片面が保護フィルムによって被覆され
ていることが好ましい。また、前記多孔質体に密着して
電極が設置されていることが好ましい。
【0025】また、本発明の第5の態様である複合部材
形成用感光性化合物は、光照射することによって陰イオ
ン交換性基を発生或いは消失する感光性基と、架橋性基
とを有することを特徴とするものである。
【0026】更に、本発明の第6の態様である複合部材
形成用組成物は、光照射することによって陰イオン交換
性基を発生或いは消失する感光性基を有する化合物と、
架橋性基を有する化合物とを有することを特徴とするも
のである。
【0027】前記第5の態様の複合部材形成用感光性化
合物、あるいは第6の態様の複合部材形成用組成物を用
いて、複合部材を製造するには、光照射することによっ
て陰イオン交換性基を発生或いは消失する感光性基と、
架橋性基とを同時に有する化合物、あるいは光照射する
ことによって陰イオン交換性基を発生或いは消失する感
光性基を有する化合物と、架橋性基を有する化合物との
組成物に、必要に応じて溶剤、光塩基発生剤、光酸発生
剤、酸増殖剤、触媒、架橋助剤、ラジカル発生剤、およ
び増感剤からなる群から選ばれる添加剤のうちの少なく
とも1種を配合し、複合部材形成用感光性材料として用
いることが好ましい。
【0028】
【発明の実施の形態】[I] 複合部材の製造方法(第
1の態様) 先ず、複合部材の製造方法の第1の態様における各製造
工程について述べる。
【0029】以下の説明では、本発明の第1の態様であ
る複合部材の製造方法の理解を助けるために、各工程に
ついてそれぞれ説明する。
【0030】(1) 製造工程 本発明の第1の態様である複合部材の製造方法は、以下
に示す感光層形成工程、エネルギー線照射工程、吸着工
程、及び、鍍金工程の各工程から基本的に構成されてい
る。
【0031】(A)感光性層形成工程 先ず、基材表面に、エネルギー線の照射により陰イオン
交換性基が生成あるいは消失し、かつ膨潤性の感光性層
を形成する。配線基板等を製作する場合には、絶縁性の
基材を用いる。
【0032】また、基材の形状については、特に限定さ
れず、板状、線状、筒状、球状等さまざまな形状の基材
に適用可能である。特に多孔質の基材を用いれば、多孔
質内部にも導電パターンを形成することが可能である。
【0033】感光性層を基材に形成する方法としては、
特に限定されないが、一般的には感光剤の溶液を基材に
塗布するなどして形成する。塗布する感光性層の層厚は
特に限定されないが、一般的には0.5〜1000nm
程度の間で設定され、好ましくは1〜100nm、より
望ましくは20〜50nmの範囲に設定されるのが良
い。
【0034】(B)エネルギー線照射工程 感光性層を形成した基材にエネルギー線を照射して、陰
イオン交換性基のパターンを形成する。例えば、エネル
ギー線照射によって陰イオン交換性基を生成する感光性
層を用いる場合、基材上に形成した感光性層に対してパ
ターン照射し、感光性層の照射部に陰イオン交換性基を
生成させる。パターン照射は露光マスクを用いても良い
し、レーザー光線を走査する等をしても良いし、光源か
らの光を微小なミラーをマトリックス状に多数配列した
マイクロミラーアレイで変調する等をしても良い。
【0035】多孔質基材を用いる場合、多孔質内部にも
透過して露光することによって、多孔質内部に導電パタ
ーンを形成することができる。
【0036】上記エネルギー線照射するための条件とし
ては、一般的には例えば高圧水銀灯などを光源として、
パターン通りのマスクを通して、0.1〜10000m
J/cm程度の露光量で露光することによって行う。
露光はマスクを用いても良いし、レーザー光線を走査す
る等をしても良いし、光源からの光を微小なミラーをマ
トリックス状に多数配列したマイクロミラーアレイで変
調する等をしても良い。
【0037】(C)吸着工程 次に、形成した陰イオン交換性基のパターンに、鍍金の
触媒(鍍金核)、あるいはその前駆体である、金属含有
イオン、金属含有化合物、又は、金属コロイドを吸着さ
せる。
【0038】金属含有イオン 金属含有イオンとしては陰イオンを用いる。陰イオンは
陰イオン交換性基と塩を形成し、陰イオン交換性基の対
イオンとして吸着される。
【0039】金属含有化合物 金属含有化合物としては、陰イオン交換性基と結合可能
な結合基を有する化合物を用いる。この結合基が陰イオ
ン交換性基と結合して吸着される。
【0040】金属コロイド 金属コロイドとしては、例えば負電荷に帯電しているも
のを用いる。帯電した金属コロイドは電離した陰イオン
交換性基に静電的に吸着される。
【0041】金属化 これら金属含有イオン、金属含有化合物又は金属コロイ
ドは、次工程の無電解鍍金において触媒となる。金属含
有イオンや金属含有化合物を吸着させた場合、必要に応
じて還元処理して金属イオンを金属化する。金属化する
ことによって、無電解鍍金の触媒能が向上する。
【0042】上記吸着は、一般的には例えば上記金属含
有イオン、金属含有化合物又は金属コロイドの溶液に、
陰イオン交換性基のパターンを形成した基材を浸漬する
ことによって行われる。浸漬する時間は、一般的には1
0秒から5時間程度の間で設定される。膨潤性感光性層
は、これら鍍金核の溶液によって膨潤して、感光性層中
にまで溶液が浸透する。このため感光性層の表層のみな
らず層内部に存在する陰イオン交換性基にも鍍金核を吸
着させることができる。このため鍍金核の吸着量を大き
くすることが可能なため、鍍金時間も短時間で可能な
上、形成された導電パターンの導電率も高くすることが
できる。
【0043】(D)鍍金工程 上記吸着させた金属含有イオン、金属含有化合物、又
は、金属コロイドを触媒核として銅などの無電解鍍金を
施して導電パターンを形成する。
【0044】なお、露光によりイオン交換性基を消失す
る化合物を含む感光性材料を用いれば、上記「エネルギ
ー線照射工程」において未照射部にイオン交換性基が残
留したネガ型のパターンが形成される。
【0045】また、パターン照射によって照射部に生じ
た陰イオン交換性基を選択的にフッ素化合物等と反応さ
せて陰イオン交換能を消失させ、しかる後に全面露光或
いは加熱等して、先のパターン照射時の未照射部に陰イ
オン交換性基を生じさせ、この陰イオン交換性基に金属
含有イオン、金属含有化合物、又は、金属コロイドを吸
着させて鍍金しても良い。
【0046】この手法によると2回の露光操作と加熱操
作が必要となる。このため、パターン照射によって形成
した陰イオン交換性基のパターンに直接、金属含有イオ
ン、金属含有化合物、又は、金属コロイドを吸着させて
鍍金する方法の方が、工程が単純な上に、製作した複合
部材の寸法安定性等にも優れている。
【0047】例えば配線材料としてとりわけ重要な銅の
無電解鍍金液は強アルカリ性であることが多い。従っ
て、陽イオン交換性基を用いると、強アルカリ性の鍍金
液中に感光性層が溶け出したり、剥離し易くなる。これ
に対して、陰イオン交換性基であれば、鍍金液等に対す
る耐性に優れているため、欠陥のない鍍金を行うことが
できる。
【0048】また、本発明の第1の態様の複合部材の製
造方法は、水晶やガラス、或いは、カーボン等を基材と
して用いる場合にも非常に有効である。
【0049】通常、水晶やガラス等は、基材表面にシラ
ノール基が存在する。また、カーボン基材の表面には、
通常、カルボキシル基が存在する。シラノール基やカル
ボキシル基は陽イオン交換性基として機能して、鍍金の
触媒、あるいはその前駆体となる金属カチオンや金属コ
ロイド等を吸着してしまう。
【0050】このため陽イオン交換性基に鍍金の触媒
(金属カチオン等)を吸着させて鍍金する従来法では、
基材表面のシラノール基やカルボキシル基にも鍍金の触
媒が吸着してしまう。それ故、鍍金したくない部分の基
材表面にも鍍金が異常析出し易かった。
【0051】これに対して、陰イオン交換性基に吸着す
る鍍金の触媒は、シラノール基やカルボキシル基には吸
着し難い。それ故、鍍金の異常析出を防止することがで
きる。水晶、ガラス、カーボンに限らず、基材表面には
基材が酸化されて生じる陽イオン交換性基が存在するこ
とが多い。
【0052】特に濡れ性を改善するために酸素プラズマ
処理を施した場合には基材表面に多量の陽イオン交換性
基が発生する。例えば、炭素系のポリマー基材の場合に
はカルボキシル基が生じる。鍍金の触媒を吸着させる基
として陰イオン交換性基を用いることは、鍍金の異常析
出を防止する上で非常に有効である。
【0053】更に、陰イオン交換性基であるアミノ基等
は、形成した銅やニッケル等の金属からなる導電部を腐
食し難い。鍍金の触媒を吸着させる基は基材と析出した
鍍金の間に残留する。それ故、酸性である陽イオン交換
性の基は残留すると導電部を腐食し易い。陰イオン交換
性基ではそうしたおそれが無い。陰イオン交換性基を用
いると、金属からなる導電部を形成する場合に非常に有
効である。
【0054】また、アミノ基等はエポキシ樹脂等の硬化
性樹脂を硬化させることができる。鍍金析出後、或い
は、鍍金触媒を吸着した後等に、鍍金を析出させた部位
以外にもアミノ基を発生させれば、多孔質体に含浸させ
た硬化性樹脂を基材表面と密着性良く硬化させることが
できる。矢部らも、基材表面にアミノ基のパターンを形
成して、これに鍍金の触媒を吸着させた後に無電解鍍金
する手法を開示している(日本経済新聞 1993年2
月19日朝刊掲載)。この手法では、基材としてポリテ
トラフルオロエチレン基板を用い、ヒドラジンガス雰囲
気下でエキシマレーザーを照射する。照射部のポリテト
ラフルオロエチレンがヒドラジンと反応することによっ
てアミノ基が生成する。この手法においては、感光性で
はない基材を反応させるために、高いエネルギーのエキ
シマレーザーを照射する必要がある。またヒドラジンガ
ス雰囲気下で照射するため基材をヒドラジンガスで満た
されたチャンバーに収納する必要があるため、照射装置
が高価となる上、スループットも高くできない。基材を
水溶液と接触された状態でエキシマレーザーを照射し
て、基材表面に親水性基を発生させる方法も提案されて
いるが、露光装置内で液状物質を扱うために同様な問題
がある。またエキシマレーザーなどの短波長の光はほと
んどの樹脂に吸収されるため、例えば基材として多孔質
体を用い、多孔質体内部にまで鍍金しようとしても、基
材に照射した光が吸収されてしまい、効率よく多孔質体
の内部まで照射することが難しい。対して本発明ではエ
ネルギー線を吸収する感光性層は基材表面に薄く形成さ
れているだけなので、基材が多孔質体の場合でも内部ま
で良好に照射することができる。
【0055】上記無電解鍍金の条件としては、特に限定
されないが、一般的には鍍金液の温度を20〜60℃の
間に設定し、鍍金する時間は30分から10時間の間で
設定する。
【0056】(2) 各工程の詳細な説明 次に上記本発明の複合部材の製造方法の第1の態様の各
工程の詳細について、以下に具体的に説明する。
【0057】なお以下の説明において、金属含有イオ
ン、金属含有化合物および金属コロイドの総称として、
鍍金核と称することがある。
【0058】(A)基 材 (a)基材を構成する材料 導電部が形成される基材は、特に限定されず、様々な無
機材料、或いは有機材料から構成されるものが用いられ
る。例えば、ポリマー、セラミックス、カーボン、金属
等である。
【0059】導電部として配線やビア等を形成した配線
基板等の複合部材を形成するには、基材は絶縁体が良
い。導電部が形成される絶縁性基材としては、いかなる
絶縁材料からなるものであっても良いが、具体的にはポ
リマーやセラミックス等が挙げられる。
【0060】ポリマー 前記ポリマーとしては、例えば、エポキシ樹脂や、ビス
マレイミド−トリアジン樹脂、PEEK樹脂、ブタジエ
ン樹脂等プリント配線基板の絶縁体として従来からよく
用いられる樹脂や、その他ポリエチレン、ポリプロピレ
ン等のポリオレフィン類、ポリブタジエン、ポリイソプ
レン、ポリビニルエチレン等のポリジエン類、ポリメチ
ルアクリレート、ポリメチルメタクリレート等のアクリ
ル系樹脂、ポリスチレン誘導体、ポリアクリロニトリ
ル、ポリメタクリロニトリル等のポリアクリロニトリル
誘導体、ポリオキシメチレン等のポリアセタール類、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト等や芳香族ポリエステル類を含むポリエステル類、ポ
リアリレート類、アラミド樹脂等の芳香族ポリアミドや
ナイロン等のポリアミド類、ポリイミド類、エポキシ樹
脂類、ポリp−フェニレンエーテル等の芳香族ポリエー
テル類、ポリエーテルスルホン類、ポリスルホン類、ポ
リスルフィド類、ポリテトラフルオロエチレン(PTF
E)等のフッ素系ポリマー、ポリベンゾオキサゾール
類、ポリベンゾチアゾール類、ポリパラフェニレン等の
ポリフェニレン類、ポリパラフェニレンビニレン誘導
体、ポリシロキサン誘導体、ノボラック樹脂類、メラミ
ン樹脂類、ウレタン樹脂類、ポリカルボジイミド樹脂類
等が挙げられる。
【0061】セラミックス 前記セラミックスとしては、シリカ、アルミナ、チタニ
ア、チタン酸カリウム等の金属酸化物、炭化ケイ素、窒
化ケイ素、窒化アルミニウム等が挙げられる。
【0062】これら絶縁性基材の中でも、低誘電率なこ
とからポリマー類が好ましく、耐熱性に優れることか
ら、特にポリイミド類、芳香族ポリアミド類などの液晶
性ポリマー類、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ
素系ポリマー類などを用いることが好ましい。
【0063】(b)基材の形状 特に本発明において立体的に導電部を形成する場合、す
なわち、例えば、シート状の絶縁体に平面方向のみなら
ず厚み方向にも導電部を形成する場合には、絶縁体とし
て前記絶縁体材料からなる連続空孔を有する多孔質体を
用いることにより精度の良い導電部を容易に形成するこ
とができる。
【0064】多孔質体を用いて、多孔質体の空孔内で鍍
金を析出させる。すると多孔質体に析出物が含浸した領
域からなる立体的な導電部を形成できる。この導電部
は、連続空孔が三次元的に連続な場合、多孔質体を構成
する絶縁材料と析出物とが相互貫入した、等方的に導電
性の複合体である。このような複合体からなる立体的な
形状の導電部は、三次元配線や多層配線或いは多層配線
の層間接続用のビア等として用いることができる。
【0065】多孔質体 多孔質体としては、具体的にはポリマー材料等のシート
に三次元連続空孔が形成された多孔質シートや、ポリマ
ー繊維やセラミックス繊維を三次元網目状に絡めたクロ
スや不織布等が用いられる。
【0066】具体的には、例えば、ポリプロピレン、ポ
リテトラフルオロエチレン等の結晶性ポリマーのシート
を延伸して製作したものや、ポリマーのスピノーダル分
解やミクロ相分離等の相分離現象を利用して形成したポ
リイミド等の多孔質体でも良い。
【0067】クロスや不織布としてはセラミックス繊維
やポリマー繊維から製作したものが用いられる。
【0068】セラミック繊維としては、例えば、シリカ
ガラス繊維、アルミナ繊維、シリコンカーバイト繊維、
チタン酸カリウム繊維等が用いられる。
【0069】ポリマー繊維としては、例えば、芳香族ポ
リアミド繊維、芳香族ポリエステル繊維等の液晶性ポリ
マーや高Tgポリマー繊維や、PTFE繊維等のフッ素
系ポリマー繊維、ポリパラフェニレンスルフィド繊維、
芳香族ポリイミド繊維、ポリベンゾオキサゾール誘導体
繊維等が用いられる。
【0070】上記セラミック繊維とポリマー繊維を混ぜ
ても良いし,セラミックスとポリマーの複合繊維でも良
い。
【0071】クロスよりも不織布の方が三次元的に繊維
が絡み合って、空孔径が均一であることから好ましい。
さらに不織布としては、例えばメルトブロー法によって
製作したポリマー繊維の不織布や、芳香族ポリアミド等
の液晶性ポリマーの繊維を細かく粉砕して得られる直径
が0.1〜0.3μm程度の微細な繊維を漉いた不織布
などが繊維径が微細で空孔径も均一であることから好ま
しい。これらの不織布は寸法安定性を向上させるため
に、繊維同士を溶着させたり、ポリマー等をコーティン
グすることによって、繊維同士がずれたりしないように
するのが良い。
【0072】これら多孔質体の中でも、ポリテトラフル
オロエチレンを延伸した多孔質体や、相分離現象を利用
して形成したポリイミド等の多孔質体や、液晶性ポリマ
ーの微細繊維の不織布が、三次元的に均質で異方性が少
ない多孔質構造を有し、空孔径が均一なことから好まし
い。
【0073】連続空孔の平均空孔径は0.05〜5μm
の範囲で設定されることが好ましく、更には0.1〜
0.5μmの範囲であることが望ましい。あまり空孔径
が小さすぎると鍍金液等が充分多孔質内部まで浸透せ
ず、多孔質内部を均一に鍍金することができない。また
空孔径が大きすぎると、微細な鍍金金属のパターンを形
成することが難しい上、紫外線や可視光線等で露光する
場合に露光光線が多孔質構造によって散乱されてしまい
コントラスト良くパターン露光することが難しい。また
露光光線の過度の散乱を防止し、鍍金金属が空孔内で均
一に成長するために、空孔径は均一であるのが良い。空
孔率は20〜95%の範囲に設定されることが好まし
く、更には45〜90%の範囲であることが望ましい。
あまり空孔率が小さすぎると、鍍金液等が充分浸透しな
かったり、形成され鍍金金属のパターンの導電性が低か
ったりする。あまり空孔率が大きすぎると多孔質体の強
度が充分でなく、寸法安定性も悪くなってしまう。
【0074】(c)親水性化処理 基材の表面は、鍍金液等との濡れ性を良くするために親
水性化処理するのが良い。特に、基材として多孔質体を
用い、多孔質体内部まで鍍金する場合には、鍍金液を多
孔質体の内部まで浸透させるために、親水性化処理は重
要である。
【0075】親水性化処理する方法は、特に限定されず
広く公知の手法を用いることができる。例えば、ポリビ
ニルアルコール等の親水性ポリマー等の親水性物質を塗
布する方法や、光学的、熱的、化学的処理等により表面
を改質する方法等が用いられる。
【0076】具体的には、酸素気流下、或いは、オゾン
気流下等で紫外線を照射したり、オゾン雰囲気やオゾン
溶液に暴露して基材表面を酸化する。また、例えば、大
気中、或いは、真空中の酸素などのプラズマ処理によっ
て基材表面を酸化する手法もある。また、酸やアルカリ
で処理したりしても良い。更には、特開2000−29
0413号公報に開示されているような酸化手法によっ
て親水性化しても良い。
【0077】ポリマーやガラス等に酸化処理を行うと、
カルボキシル基やシラノール基等の金属陽イオンを吸着
できる酸性基が発生する。しかしながら、前述したよう
に、陰イオン交換性基を用いる本発明の方法によれば、
これら酸性基が存在しても鍍金が異常析出するおそれは
ない。
【0078】これら親水性化処理の中でも大気中のプラ
ズマ処理が、工程が簡便なことから好ましい。
【0079】(B)感光性層 (a)陰イオン交換性基 本発明における、陰イオン交換性基とは、陰イオンを吸
着可能な基のことであり、陽イオン性の基か、塩基性の
基のことを言う。
【0080】陽イオン性の基 具体的には、陽イオン性の基としては、例えば、アンモ
ニウム基等の脂肪族系アミン、或いは、芳香族系アミン
の四級アンモニウム塩誘導体基、或いは、ピリジニウム
基やイミダゾリウム基等の含窒素複素環の四級アンモニ
ウム塩誘導体基が挙げられる。
【0081】塩基性の基 塩基性基としては、脂肪族系や芳香族系のアミノ基、ピ
リジン残基やイミダゾール残基等の含窒素複素環誘導体
基が挙げられる。
【0082】(b)膨潤性 本実施の形態における感光性層は、膨潤性を有する層で
ある。膨潤性とは、後の工程で基材上に鍍金核を吸着さ
せる際に、鍍金核吸着に用いる溶液と親和性を有し、こ
の溶液を層内に取り込んで体積膨張を起こす性質を言
う。これによって、鍍金核吸着工程において、感光性層
の内部まで充分鍍金核が浸透し、感光性層に高密度に鍍
金核が吸着するので、短時間に充分量の無電解鍍金層を
形成することができる。
【0083】(c)感光性層の形成感光性層 また、本発明における、エネルギー線照射により陰イオ
ン交換性基を生成あるいは消失する感光性層とは、基材
表面に形成された層であり、エネルギー線照射によって
陰イオン交換性基を生成あるいは消失する感光性基を有
する層である。
【0084】感光性層は、感光性基を有する感光性化合
物のみから構成することができるが、他の化合物との混
合体であっても良い。こうした感光性基を含む感光性層
の所望のパターンでエネルギー線を照射することによっ
て、照射部位にイオン交換性基を生成または消失させ
る。例えば配線基板などとして複合部材を用いる場合、
基材には電気的特性、耐熱性、機械的強度などが要求さ
れる。基材自身に感光性を持たせる場合、これらの要求
特性との両立が難しい。このため非感光性の基材表面に
感光性層を形成するのが良い。特に基材として多孔質体
を用い、多孔質体内部にまで導電部を形成する際には、
基材とは別に感光性層が形成されているのが良い。多孔
質体そのものが感光性であると、照射されるエネルギー
線を強く吸収するため、多孔質体の内部まで充分に露光
することが難しくなる。照射するエネルギー線に対して
吸収が無いか、吸収が少ない材質からなる多孔質体の表
面に薄く感光性層が形成されるのが良い。多孔質体の空
孔内表面に形成される感光性層の層厚は、好ましくは1
〜100nm、より望ましくは20〜50nmの範囲に
設定されるのが良い。あまり薄すぎると陰イオン交換性
基の量が充分でなく、充分な量の鍍金の触媒を吸着させ
ることが出来ない。また、あまり厚すぎると空孔を閉塞
してしまうおそれがある。また照射したエネルギー線が
表面付近で全て吸収されてしまって、多孔質体内部の感
光性層まで充分に感光させることができなくなってしま
う。感光性層の層厚は空孔を閉塞しないように、空孔径
と比較して充分薄くするのは言うまでもない。感光性層
の厚さは、空孔径の20%以下、好ましくは10%以下
であるのが良い。
【0085】感光性層の形成 感光性層は、感光性基と架橋性基を有する感光性化合物
や感光性基を有する化合物を含有する感光性組成物を、
基材表面にコーティングすることによって形成すること
ができる。或いは、基材表面に存在する官能基と結合で
きる基と、感光性基とを合わせ持つ分子を基材表面に結
合させて感光性層を形成しても良い。
【0086】特開平6−202343号公報には、金属
イオンを吸着するカルボキシル基を発生する基と、ガラ
ス基板表面に結合できるトリアルコキシシリル基を合わ
せ持つシランカップリング剤を用いて選択的な鍍金をす
る方法が開示されている。
【0087】しかし、この方法では、トリアルコキシ基
から発生するシラノール基にも金属イオンが吸着してし
まい、無秩序に鍍金が析出する可能性がある。しかしな
がら、陰イオン交換性基とシラノール基は電荷の極性が
逆なため、こうした無秩序な鍍金の析出は起き難い。ま
た金属イオンを吸着する陰イオン交換性基であるアミノ
基と、ガラス基板表面に結合できるトリアルコキシシリ
ル基を合わせ持つシランカップリング剤を用いて選択的
な鍍金をする方法も知られている。200nm以下の短
波長の紫外線を照射して、炭素―炭素間の共有結合を切
断して、照射部のアミノ基を消失させて潜像を形成す
る。この潜像にパラジウムコロイドを吸着させる。しか
しながらこの方法でも、シランカップリング剤で充分な
膜厚の感光性層を形成することが難しい上、高密度に架
橋してしまうため、感光性層が鍍金核溶液に対して膨潤
しない。そのため感光性層表面のみにパラジウムコロイ
ドが付着するだけで、鍍金核の吸着量が充分でない。ま
た炭素―炭素間の共有結合を短波長の紫外線で直接切断
する方法なため、露光の際の感度が悪い。また基材が多
孔質体の場合、基材内部まで露光することが難しい。し
かしながら感光性基を持つポリマーや高分子化合物から
なる感光性層であれば、膨潤しやすく、充分な量の鍍金
核を吸着させることが可能である。また本発明で述べる
ような感光性基、特にアシルオキシム誘導体基やアジド
誘導体基を感光性基として用いることによって、高感度
で潜像を形成することができる。また波長の選択の幅も
広く、多孔質体の内部にまで鍍金パターンを形成する場
合に優れている。
【0088】また、化学反応によって基材表面を改質す
ることにより感光性層を形成することもできる。
【0089】例えば、界面グラフト重合法によって、基
材表面に形成した成長点から感光性基を有する感光性グ
ラフトポリマー鎖を成長させて、基材表面を感光性グラ
フトポリマー鎖によって被覆しても良い。更には、ポリ
イミド多孔質シート等の芳香環を有するポリマーの多孔
質シート等の基材表面に官能基を導入して、導入した官
能基を化学修飾して感光性基を形成しても良い。官能基
を導入するにはフリーデルクラフツ反応等によってスル
ホン酸基等を導入しても良いし、特開2000−290
413号に開示されているような酸化手法によって水酸
基やカルボキシル基を導入しても良い。基材の材料選択
の幅が広いこと、及び、感光性層を容易に形成できるこ
とから、基材表面に感光性化合物や感光性組成物からな
る感光材料をコーティングして感光性層を形成すること
が最も好ましい。
【0090】(d)感光性基 感光性基とは、照射されたエネルギー線を吸収すること
によって単独で化学反応して陰イオン交換性基を発生す
るもの、或いは、照射により化学反応を生じて何らかの
陰イオン交換性基の前駆体を生じ、前記前駆体がさらに
周囲に存在する物質と化学反応を生じることにより陰イ
オン交換性基を生成するもの、エネルギー線照射によっ
て塩基発生剤から発生した塩基等と作用して陰イオン交
換性基を生成するもの、更にはエネルギー線照射によっ
て陰イオン交換性基を消失するもののいずれかである。
なかでも単独で化学反応して陰イオン交換性基を発生あ
るいは消失する感光性基が最も良い。なぜなら単独で反
応するために、湿度などの周囲の雰囲気の影響を受けに
くく、また感光性基を有する化合物を含む組成物を塗布
することよって感光性層を形成する際などに起こりやす
い、組成の偏りに起因する反応性のばらつきを防止する
ことが可能だからである。また照射によって生じた前駆
体が周囲の物質と化学反応して陰イオン交換性基を生ず
る場合も、周囲の物質が水などの湿気として大気中にあ
たりまえに含有される物質や、感光性層中にあらかじめ
混合などされて含有されている物質であるのがプロセス
が簡略であるため優れている。また陰イオン交換性基を
消失する感光性基よりも、生成する感光性基の方がよ
い。鍍金の反応は増幅反応なため、微量の鍍金核が存在
すれば、そこからある程度の鍍金が成長することが可能
である。よって陰イオン交換性基を消失させる場合に
は、ほぼ完全に消失させないと、鍍金したくな部分(こ
の場合にはすなわち照射部位)から鍍金が異常析出する
恐れがあり、絶縁不良などの原因となる。対して、陰イ
オン交換性基を生成する場合、たとえ反応率があまり高
くなくとも、少なくとも鍍金したくない部分(この場合
にはすなわち非照射部位)に鍍金が異常析出するおそれ
がない。
【0091】エネルギー線を吸収して単独で陰イオン交
換性基を生成する感光性基としては、例えばアミン等の
塩基性基を生成するカルバモイルオキシイミノ基などの
カルバモイルオキシム誘導体基、カルバミン酸誘導体
基、ホルムアミド誘導体基等が挙げられる。ピペリジン
誘導体のカルバミン酸誘導体は塩基が触媒となって熱的
にアミンであるピペリジン誘導体を生成する。この為、
他の塩基性基を生成する感光性基や光塩基発生剤と組み
合わせることによって、少ない露光量で多量の塩基性基
を発生することが可能である。
【0092】エネルギー線照射により化学反応を生じて
何らかの陰イオン交換性基の前駆体を生じ、前記前駆体
が更に化学反応を生じることにより陰イオン交換性基を
生成するもの、いわゆる照射による化学反応をきっかけ
とする多段階反応により陰イオン交換性基を生じる感光
性基としては、例えば、アシルオキシム誘導体基、アジ
ド誘導体基が挙げられる。
【0093】エネルギー線照射によって塩基発生剤から
発生した塩基等と作用して陰イオン交換性基を生成する
感光性基としては、ピペリジン誘導体のカルバミン酸誘
導体基等が挙げられる。
【0094】光塩基発生剤 このエネルギー線照射によって塩基発生剤から発生した
塩基等と作用して陰イオン交換性基を生成する感光性基
を用いる場合はエネルギー線照射で塩基を発生する光塩
基発生剤を添加する。エネルギー線を照射すると、光塩
基発生剤から塩基が発生し、その発生した塩基で前記保
護基が分解して陰イオン交換性基が生成する。
【0095】光塩基発生剤としては、例えば、コバルト
アミン錯体、ケトンオキシムエステル類、o−ニトロベ
ンジルカルバメート類等のカルバメート類、ホルムアミ
ド類等が用いられ、具体的には、例えば、みどり化学製
NBC−101(CAS.No.[119137−03
−0])等のカルバメート類やみどり化学製TPS−O
H(CAS.No.[58621−56−0])等のト
リアリールスルホニウム塩類が用いられる。
【0096】光塩基発生剤を用いる代わりに、光酸発生
剤と塩基性化合物を組み合わせても良い。すなわち、エ
ネルギー線照射部位においては光酸発生剤から酸が発生
して塩基性化合物を中和する。
【0097】これに対して未照射部位においては塩基性
化合物が作用して陰イオン交換性基が生成する。これに
より未照射部位にのみ選択的に陰イオン交換性基を配置
することが可能となる。
【0098】光酸発生剤 光酸発生剤としては、CFSO 、p−CHPh
SO 、p−NOPhSO 等を対アニオンとす
るオニウム塩、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、ヨー
ドニウム塩等の塩、トリアジン類、有機ハロゲン化合
物、2−ニトロベンジルスルホン酸エステル類、イミノ
スルホネート類、N−スルホニロキシイミド類、芳香族
スルホン類、キノンジアジドスルホン酸エステル類等を
用いることができる。
【0099】具体的には、光酸発生剤としては、例え
ば、トリフェニルスルフォニウムトリフレート、ジフェ
ニルヨードニウムトリフレート、2,3,4,4−テト
ラヒドロキシベンゾフェノン−4−ナフトキノンジアジ
ドスルフォネート、4−N−フェニルアミノ−2−メト
キシフェニルジアゾニウムスルフェート、ジフェニルス
ルフォニルメタン、ジフェニルスルフォニルジアゾメタ
ン、ジフェニルジスルホン、α−メチルベンゾイントシ
レート、ピロガロールトリメシレート、ベンゾイントシ
レート、ナフタルイミジルトリフルオロメタンスルホネ
ート、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテ
ニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリ
アジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−
4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、
2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニ
ル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−
s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノエチ
ル)アミノ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s
−トリアジン・ジメチル硫酸塩、2−[2−(3,4−
ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリ
クロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−ジメトキ
シフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s
−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロ
メチル)−s−トリアジン、及び、2,4,6−トリス
(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が挙げられ
る。
【0100】これら光酸発生剤と、酸により新たに自己
触媒的に酸を発生する酸増殖剤とを組み合わせて用いて
も良い。また、光酸発生性の酸増殖剤を単独で用いても
もちろん良い。酸増殖剤としては、例えば、t−ブチル
2−メチル−2−(p−トルエンスルホニロキシメチ
ル)アセトアセテートおよびその誘導体、シス−1−フ
ェニル−2−(p−トルエンスルホニロキシ)−1−シ
クロヘキサノールおよびその誘導体、3−ニトロ−4−
(t−ブトキシカルボニロキシ)ベンジルトシレートお
よびその誘導体、3−フェニル−3,3−エチレンジオ
キシプロピルトシレートなど3−フェニル−3,3−エ
チレンジオキシプロピルスルホネート誘導体、シス−3
−(p−トルエンスルホニルオキシ)−2−ピナノール
などの2−ヒドロキシビシクロアルカン−1−スルホネ
ート誘導体、1,4−ビス(p−トルエンスルホニルオ
キシ)シクロヘキサンなどの1,4−シクロヘキサンジ
オールのスルホネート誘導体、2,4,6−トリス[2
−(p−トルエンスルホニルオキシ)エチル]−1,
3,5−トリオキサンなどのトリオキサン誘導体等が挙
げられる。光酸発生性の酸増殖剤としては、3−フェニ
ル−3,3−o−ニトロフェニルエチレンジオキシプロ
ピルトシレートなどの3−フェニル−3,3−エチレン
ジオキシプロピルスルホネート誘導体が挙げられる。
【0101】塩基性化合物 光酸発生剤と組み合わされて用いられる塩基性化合物
は、光酸発生剤から放出される酸によって中和され、か
つ陰イオン交換性基の生成反応の触媒として作用するも
のであれば任意のものを用いることができ、有機化合
物、無機化合物いずれでも構わない。好ましくはアンモ
ニア、一級アミン類、二級アミン類、三級アミン類等が
挙げられる。
【0102】エネルギー線照射により陰イオン交換性基
を消失する感光性基とは、すなわち照射前には陰イオン
交換性基を有し、この陰イオン交換性基がエネルギー線
照射によって脱離するか、疎水性基に変化する基であ
る。
【0103】具体的には、例えば、Cl、PF
AsF 、SbF 、BF 、ClO 、CF
SO 、HSO 、FSO 、FPO
p−CH−C−SO 、p−NO−C
−SO 等の陰イオンを対アニオンとするジアゾニ
ウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウ
ム塩やセレノニウム塩等のオニウム塩等の構造を有する
基が挙げられる。これらは陰イオン交換反応によって金
属含有イオンや金属含有化合物を吸着することが可能で
ある。正電荷に帯電しているため、金属コロイドを吸着
することができる。またエネルギー線照射によって分解
して、非イオン性になることによって、鍍金核を吸着し
難くなる。
【0104】(e)感光性基が結合されるポリマーある
いは高分子化合物 感光性層は鍍金核を吸着させる際や鍍金の際に、アルカ
リまたは酸性の水溶液中に曝されるため、それらに溶解
し難いように陰イオン交換性基を生成あるいは消失する
感光性基がポリマーや高分子化合物等に結合されている
ものが好ましい。感光性基がポリマーや高分子化合物に
結合されていると、鍍金核溶液や鍍金液などに溶解する
ことなく、これらの溶液によって膨潤させることができ
る。すると溶液が感光性層内部にまで浸透するため、鍍
金核の吸着量や鍍金の析出量を増大させることができ
る。鍍金核の吸着量が導電部の導電率に大きく影響する
ため、鍍金溶液に膨潤することがとりわけ重要である。
溶液に溶解することなく膨潤させるためには、ポリマー
や高分子化合物はあまり高密度に架橋されておらず、か
つ溶液に対して適度な親和性を有するものが好ましい。
【0105】このようなポリマーとしては、フェノール
ノボラック樹脂、キシレノールノボラック樹脂、ピロガ
ロール樹脂、ビニルフェノール樹脂、クレゾールノボラ
ック樹脂等のフェノール系樹脂やポリアミド樹脂、ポリ
イミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、
ポリアクリル酸エステル誘導体やポリメタクリル酸エス
テル誘導体などのアクリル樹脂系樹脂、ポリシロキサン
誘導体等、樹脂分子中に架橋点の少ない長い直鎖状の部
分が豊富な樹脂が挙げられる。これらの中でも塗布性な
どの観点からフェノール系樹脂やアクリル樹脂系樹脂を
用いることが好ましい。
【0106】高分子化合物としては、芳香環および炭素
鎖よりなる高分子化合物で、好ましくは枝分かれしてい
るものがよい。
【0107】ポリマーあるいは高分子化合物の分子量は
特に限定されないが、分子量(ポリマーの場合は重量平
均分子量)が1000〜500万であることが好まし
く、2000〜5万であることがより望ましい。
【0108】ポリマーあるいは高分子化合物の分子量が
小さすぎる場合には、成膜性が悪く、鍍金液等に対する
耐溶剤性も低下するおそれがある。すなわち鍍金液等に
溶解しやすくなる。また、溶剤に対する耐性を損なうこ
となく、ポリマーあるいは高分子化合物に膨潤性を付与
することは困難である。一方、分子量が過剰に大きい場
合には、塗布用の溶媒への溶解性が低下するうえ、塗布
性も悪くなってしまう。
【0109】ポリマーあるいは高分子化合物中の感光性
基の導入量が少なすぎると充分に鍍金核を吸着させるこ
とができないし、多すぎると鍍金液等へ溶解し易くなる
うえ、製作した複合部材が吸湿し易くなり、絶縁不良等
の不具合を起こし易くなる。
【0110】陰イオン交換性基を生成したり消失したり
する感光性基のポリマーあるいは高分子化合物中への導
入率は好ましくは5〜300%、より望ましくは30〜
70%の範囲の導入率とするのが良い。ここでの導入率
とはそれぞれ以下の式で表される。
【0111】ポリマーへの感光性基の導入率(%)=
(陰イオン交換性基を生成あるいは消失する基の数)÷
(ポリマーのモノマー単位の数)×100 高分子化合物への感光性基の導入率(%)=(陰イオン
交換性基を生成あるいは消失する基の数)÷(高分子化
合物の分子量÷100)×100 耐溶剤性を高めて、鍍金液等へ溶解し難くするには、ポ
リマーや高分子化合物を架橋するのが良い。ポリマーや
高分子化合物を架橋するには、有機過酸化物等のラジカ
ル発生剤を添加して、ポリマー中の水素引き抜き反応に
よりポリマー分子間に炭素―炭素結合を生成させる等し
てもよい。またポリマーの主鎖あるいは側鎖や、高分子
化合物中に架橋性基を導入しても良い。
【0112】架橋性基 架橋性基としては、架橋性基同士が自己重合して架橋し
ても良いし、感光性層中の他の物質と結合形成して架橋
しても良い。
【0113】自己重合できる架橋性基の具体例として
は、例えば、グリシジル基のようなエポキシ基、ビニル
エーテル基、クロロメチルフェニル基、メチロール基、
ベンゾシクロブテン基、ビニル基、アクリロイル基、メ
タクリロイル基、マレイミジル基、アルコキシシリル
基、アセトキシシリル基、エノキシシリル基、及び、オ
キシムシリル基、及び、これらの誘導体基等が挙げられ
る。
【0114】これらの架橋性基は必要に応じて、光照射
や加熱、或いは、触媒を作用させることによって架橋さ
せる。
【0115】触媒としては、エポキシ基、メチロール
基、ビニルエーテル基、アルコキシシリル基、アセトキ
シシリル基、エノキシシリル基、及び、オキシムシリル
基等には酸や塩基の触媒を用い、ビニル基、アクリロイ
ル基、メタクリロイル基、マレイミジル基等の多重結合
を有する基などのラジカル重合性基にはラジカル発生剤
を用いる。ラジカル反応によって架橋する架橋性基は、
架橋によって生じた結合が、鍍金液等強アルカリ液や強
酸性液等に対する耐性に優れており好ましい。
【0116】また、ラジカル反応は常温でも速やかに反
応が進行するため、通常は加熱処理が不要である。この
ため、基材である基材の加熱処理に伴なう寸法安定性の
低下や熱劣化を防止することが可能である。
【0117】感光性層中の他の物質と結合形成して架橋
させる場合の架橋性基としては、例えば、水酸基、イソ
シアネート基、カルボン酸無水物基、マレイミジル基、
アルデヒド基、アルコキシシリル基等が挙げられる。
【0118】架橋助剤 この際、これらの架橋性基と結合して架橋結合を形成す
るために、架橋性基と結合可能な基を、1分子中に複数
有する架橋助剤が用いられる。
【0119】架橋助剤としては、例えば、水酸基にはア
ルコキシシラン類、アルミニウムアルコキサイド類、カ
ルボン酸無水物、ビスマレイミド誘導体、イソシアネー
ト化合物、多価メチロール化合物、およびエポキシ化合
物等が用いられる。イソシアネート基、カルボン酸無水
物基、アルコキシシリル基には多価アルコール等が用い
られる。
【0120】陰イオン交換性基と反応して架橋するもの
でも良い。例えば、エポキシ基、クロロメチルフェニル
基、メチロール基、アルコキシシリル基、マレイミジル
基、イソシアネート基、カルボン酸無水物基、アルデヒ
ド基等はアミノ基等と反応して架橋する。特にエポキシ
基はアミノ基が反応した後も、鍍金核を吸着する性質を
良好に保持できるため優れている。
【0121】また、単にこれらの基を1分子中に複数有
する架橋助剤を添加して、陰イオン交換性基が導入され
たポリマーを相互に架橋しても良い。これらの場合にも
適宜、酸触媒等の触媒を添加しても良い。
【0122】架橋性基としては、エネルギー線照射によ
って二量化するような以下の基を用いることもできる。
このような基は、エネルギー線の一部を吸収するが、照
射部のみを選択的に架橋することができる点で優れてい
る。例えば、シンナモイル基、シンナミリデン基、カル
コン残基、イソクマリン残基、2,5−ジメトキシスチ
ルベン残基、スチリルピリジニウム残基、チミン残基、
α−フェニルマレイミジル基、アントラセン残基、およ
び2−ピロン残基である。
【0123】架橋性基のポリマーや高分子化合物への導
入率は好ましくは1〜100%の範囲内であり、より望
ましくは10〜50%の範囲の導入率とするのが良い。
ここでの導入率とはそれぞれ以下の式で表わされる。
【0124】ポリマーへの架橋性基の導入率(%)=
(架橋性基の数)÷(ポリマーのモノマー単位の数)×
100高分子化合物への架橋性基の導入率(%)=(陰
イオン交換性基を生成あるいは消失する基の数)÷(高
分子化合物の分子量÷100)×100ポリマーや高分
子化合物中における架橋性基の導入量が少なすぎる場合
には、充分に架橋させることが困難となるので、鍍金液
等へ溶解し易くなる。一方、架橋性基が過剰に導入され
ていると、架橋した際に、鍍金核溶液などに膨潤しにく
くなる上、感光層が硬化収縮して、基材が変形したり、
基材から感光層が剥離するおそれがある。
【0125】架橋反応は、感光性層を形成した後に行う
のが良い。感光性層を形成する前に架橋してしまうと、
ポリマーや高分子化合物の溶媒への溶解性が低下して、
絶縁性基材への塗布が困難となってしまう。感光性層を
形成後、加熱、エネルギー線照射、空気中の湿気等の刺
激によって架橋反応を進行させるのが良い。
【0126】エネルギー線照射は、陰イオン交換性基を
発生あるいは消失させる際のエネルギー線照射によって
兼ねるのが良い。例えば、エネルギー線照射によって活
性化する触媒としては、光酸発生剤、光塩基発生剤、ラ
ジカル発生剤が用いられる。照射するエネルギー線とし
ては、紫外線、可視光線、赤外線等の光線や、X線、電
子線、α線、γ線、重粒子線等、特に限定されない。通
常は紫外線、可視光線、電子線等が最もよく用いられ
る。
【0127】既に説明したように、架橋反応はラジカル
反応であることが最も望ましく、ラジカル発生剤をラジ
カル重合性の架橋性化合物や架橋性基と組み合わせて用
いることが好ましい。
【0128】ラジカル発生剤 ラジカル発生剤としては、例えば、以下のような有機過
酸化物類を用いることができる。
【0129】例えば、メチルエチルケトンパーオキシ
ド、シクロヘキサノンパーオキシド、メチルシクロヘキ
サノンパーオキシド、メチルアセトアセテートパーオキ
シド、アセチルアセトンパーオキシド等のケトンパーオ
キサイド類、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)
−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビ
ス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1
−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメ
チルシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキシ−2−
メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパー
オキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパ
ーオキシ)シクロドデカン、2,2−ビス(t−ブチル
パーオキシ)ブタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−
ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(4,4
−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン
等のパーオキシケタール類、p−メンタンハイドロパー
オキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキ
サイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロ
パーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、t−ヘキ
シルハイドロパーオキシド、t−ブチルハイドロパーオ
キシド等のハイドロパーオキサイド類、α,α’−ビス
(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジ
クミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス
(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミル
パーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、2,5−
ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキ
シン等のジアルキルパーオキサイド類、イソブチリルパ
ーオキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパー
オキシド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパ
ーオキサイド、ステアロイルパーオキシド、スクシニッ
クアッシドパーオキサイド、m−トルオイルアンドベン
ゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等の
ジアシルパーオキサイド類、ジ−n−プロピルパーオキ
シジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボ
ネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオ
キシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキ
シジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシ
ジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジ
カーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)
パーオキシジカーボネート等のパーオキシカーボネート
類、α,α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイ
ソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエー
ト、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネ
オドデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエ
チルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオ
キシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカ
ノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブ
チルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメ
チルブチルパーオキシー2−エチルヘキサノエート、
2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノ
イルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−
メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、
t−ヘキシルパーオキシ 2−エチルヘキサノエート、
t−ブチルパーオキシ 2−エチルヘキサノエート、t
−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ヘキシルパー
オキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパー
オキシメレイクアシッド、t−ブチルパーオキシ 3,
5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオ
キシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m
−トルイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキ
シ イソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオ
キシ 2−エチルヘキシル モノカーボネート、t−ヘ
キシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−
2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−
ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−
m−トルイルベンゾエート、t−ブチルパーオキシベン
ゾエート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレー
ト等のパーオキシエステル類、t−ブチルパーオキシア
リルモノカーボネート、t−ブチルトリメチルシリルパ
ーオキシド、3,3’,4,4’−テトラキス(t−ブ
チルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、及び、
2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン等であ
る。特に、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパー
オキシシクロヘキシル)プロパン、及び、3,3’,
4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)
ベンゾフェノン等の多官能ラジカル発生剤は、架橋助剤
としても作用するため好ましい。また、過酸化物以外の
アゾビスイソブチロニトリル等アゾニトリル類を用いる
こともできる。
【0130】増感剤 感光性層に各種増感剤を添加しても良い。増感剤を添加
することによって感度を向上したり、用いる光源に合わ
せて感光波長を様々に変化させることが可能となる。
【0131】また、多孔質基材内部まで感光させようと
する場合、基材の吸収波長以外の波長の光等基材を透過
し易いエネルギー線で感光させるのが好ましい。
【0132】例えば、ポリイミドの多孔質基材等は多く
の場合、約500nm以下の光を吸収してしまうため、
例えば、g線やi線等では多孔質内部まで露光すること
は難しい。こうした場合でも500nm以上の波長領域
に吸収帯を有する可視光増感剤を用いることで、多孔質
内部まで良好に感光させることが可能となる。
【0133】増感剤の具体例としては、例えば、芳香族
炭化水素及びその誘導体、ベンゾフェノン及びその誘導
体、o−ベンゾイル安息香酸エステル及びその誘導体、
アセトフェノン及びその誘導体、ベンゾイン並びにベン
ゾインエーテル及びその誘導体、キサントン及びその誘
導体、チオキサントン及びその誘導体ジスルフィド化合
物、キノン系化合物、ハロゲン化炭化水素含有化合物並
びにアミン類、3−エチル−5−[(3−エチル−2
(3H)−ベンゾチアゾリリデン)エチリデン]−2−
チオキソ−4−オキアゾリジノン、5−[(1,3−ジ
ヒドロ−1,3,3−トリメチル−2H−インドール−
2−イリデン)エチリデン]−3−エチル−2−チオキ
ソ−4−オキサゾリジノン等のメロシアニン系色素、3
−ブチル−1,1−ジメチル−2−[2[2−ジフェニ
ルアミノ−3−[(3−ブチル−1,3−ジヒドロ−
1,1−ジメチル−2H−ベンズ[e]インドール−2
−イリデン)エチリデン]−1−シクロペンテン−1−
イル]エチエニル]−1H−ベンズ[e]インドリウム
パーコレート、2−[2−[2−クロロ−3−[(3
−エチル−1,3−ジヒドロ−1,1−ジメチル−2H
−ベンズ[e]インドール−2−イリデン)エチリデ
ン]−1−シクロヘキセン−1−イル]エテニル]−
1,1−ジメチル−3−エチル−1H−ベンズ[e]イ
ンドリウム テトラフルオロボレート、2−[2−[2
−クロロ−3−[(3−エチル−1,3−ジヒドロ−
1,1−ジメチル−2H−ベンズ[e]インドール−2
−イリデン)エチリデン]−1−シクロペンテン−1−
イル]エテニル]−1,1−ジメチル−3−エチル−1
H−ベンズ[e]インドリウム アイオダイド等のシア
ニン系色素、スクアリウム系シアニン色素、2−[p−
(ジメチルアミノ)スチリル]ベンゾチアゾール、2−
[p−(ジメチルアミノ)スチリル]ナフト[1,2−
d]チアゾール、2−[(m−ヒドロキシ−p−メトキ
シ)スチリル]ベンゾチアゾール等のスチリル系色素、
エオシンB(C.I.No.45400)、エオシンJ
(C.I.No.45380)、シアノシン(C.I.
No.45410)、ベンガルローズ、エリスロシン
(C.I.No.45430)、2,3,7−トリヒド
ロキシ−9−フェニルキサンテン−6−オン、ローダミ
ン6G等のキサンテン色素、チオニン(C.I.No.
52000)、アズレA(C.I.No.5200
5)、アズレC(C.I.No.52002)等のチア
ジン色素、ピロニンB(C.I.No.45005)、
ピロニンGY(C.I.No.45005)等のピロニ
ン色素、3−アセチルクマリン、3−アセチル−7−ジ
エチルアミノクマリン、3−(2−ベンゾチアゾリル)
−7−(ジエチルアミノ)クマリン、3−(2−ベンゾ
チアゾリル)−7−(ジブチルアミノ)クマリン、3−
(2−ベンズイミダゾリル)−7−(ジエチルアミノ)
クマリン、10−(2−ベンゾチアゾリル)−2,3,
6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル
−1H,5H,11H−[1]ベンゾピラノ[6,7,
8−ij]キノリジン−11−オン、3−(2−ベンゾ
チアゾリル)−7−(ジオクチルアミノ)クマリン、3
−カルベトキシ−7−(ジエチルアミノ)クマリン、1
0−[3−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−1−
オキソ−2−プロペニル]−2,3,6,7−テトラヒ
ドロ−1,1,7,7−テトラメチル−1H,5H,1
1H−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリ
ジン−11−オン等のクマリン系色素、3,3’−カル
ボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3,3’
−カルボニル−7−ジエチルアミノクマリン−7’−ビ
ス(ブトキシエチル)アミノクマリン、3,3’−カル
ボニルビス(7−ジブチルアミノクマリン)等のケトク
マリン系色素、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル
−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラ
ン、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p
−ジブチルアミノスチリル)−4H−ピラン等のDCM
系色素がある。
【0134】このような増感剤の配合割合は露光により
陰イオン交換性基を生成あるいは消失する化合物に対し
て、通常0.001〜10重量%、好ましくは0.01
〜5重量%であることが望ましい。
【0135】増感剤は感光性層中に単に混ぜ込むだけで
なく、例えば感光性基を有するポリマーの側鎖等に導入
しても良い。また感光性層が充分薄い場合には、増感剤
を含む層を感光性層上に積層しても良い。
【0136】本発明において、前述の感光性層の形成に
おいては、後述の複合部材形成用感光性化合物あるいは
複合部材形成用感光性組成物を含有する感光性材料を用
いることができる。
【0137】(C)照射するエネルギー線 照射するエネルギー線としては、紫外線、可視光線、赤
外線等の光線や、X線、電子線、α線、γ線、重粒子線
等特に限定されない。通常は紫外線、可視光線、電子線
等が最もよく用いられる。とりわけ280nm以上、好
ましくは350nm以上の紫外線および可視光線が良
い。例えば高圧水銀ランプを光源とするi線(波長=3
65nm)、g線(波長=435nm)、アルゴンイオ
ンレーザー光(例えば波長=488nm)、各種半導体
レーザー光(例えば波長=405nm)などが用いられ
る。これらのエネルギー線は照射装置が比較的簡便な
上、大気中での大面積の照射が可能である。またマスク
を用いる場合も、マスクとして一般的なポリマーフィル
ムマスクやガラスマスクを用いることが可能である。あ
まり短波長であると、マスクのガラスやポリマーフィル
ム自体に吸収されてしまう。また前述したように、多孔
質の基材の内部まで鍍金する場合、照射するエネルギー
線は多孔質基材を透過させる必要がある。耐熱性の芳香
族ポリマーからなる多孔質基材の場合、例えば250〜
260nm付近にピークを有するベンゼン環などの強い
吸収がある。このため280nm以下では、充分な透過
率を得ることが難しくなる。
【0138】(D)吸 着 鍍金核を陰イオン交換性基に吸着させるには、鍍金核の
溶液に、感光性層を形成した基材を接触させることによ
って行う。
【0139】接触の方法は基材を溶液に浸漬するのが最
もよいが、溶液を基材にスプレーする等して塗布しても
良い。
【0140】鍍金核としては、金属含有イオン、金属含
有化合物、金属コロイドが用いられる。
【0141】(a)金属含有イオン 金属含有イオンとしては、還元等して無電解鍍金の触媒
となる金、白金、パラジウム、銅、銀、ニッケル、ルテ
ニウム、ロジウム等の有機酸や無機酸、或いは、有機塩
や無機塩等が挙げられる。
【0142】金属含有イオンは陰イオン交換性基に対イ
オンとして吸着されるため、陰イオンであることが望ま
れる。
【0143】陰イオンとしては、具体的には、例えば、
(AuCl 、PtCl 2−、PtCl 2−、P
dCl 2−、PdCl 2−、CuCl 2−等が挙
げられる。通常これらの陰イオンは、有機酸や無機酸、
あるいはナトリウム塩、カリウム塩等の無機塩、アンモ
ニウム塩などの有機塩などの形で、水やアルコールなど
に溶解して用いられる。陰イオン交換性基としてアミノ
基等の塩基性基を用いる場合は、酸等を作用させてイオ
ン化してから陰イオンを吸着させるのが良い。
【0144】酸としては強酸である塩酸や硫酸等を用い
て、塩基性基の強酸との塩を発生させると良い。このと
き金属塩として、強塩基の塩であるナトリウム塩やカリ
ウム塩を用いると、強酸(塩酸や硫酸等)の塩と、強塩
基(水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等)の塩とから
強酸と強塩基との塩を速やかに生成する反応により、金
属含有イオンが陰イオン交換性基に対イオンとして反応
性良く吸着させることができる。
【0145】イオン化と吸着を同時に行うことが可能な
ことから、金属含有イオンを発生可能な有機酸や無機酸
を用いるのが良い。
【0146】有機酸や無機酸 これらの金属含有の陰イオンを発生可能な有機酸や無機
酸としては、テトラクロロ金(III)酸、ヘキサクロ
ロ白金(IV)酸、テトラクロロパラジウム(II)酸
が挙げられる。
【0147】有機塩や無機塩 有機塩や無機塩としては、テトラクロロ金(III)酸
カリウム、テトラクロロ金(III)酸ナトリウム等の
塩化金酸塩、テトラクロロ白金(II)酸カリウム、テ
トラクロロ白金(II)酸ナトリウム、ヘキサクロロ白
金(IV)酸カリウム、ヘキサクロロ白金(IV)酸ナ
トリウム、ヘキサクロロ白金(IV)酸アンモニウム、
テトラクロロ白金(II)酸アンモニウム等の塩化白金
酸塩、テトラクロロパラジウム(II)酸カリウム、テ
トラクロロパラジウム(II)酸ナトリウム、ヘキサク
ロロパラジウム(IV)酸カリウム、ヘキサクロロパラ
ジウム(IV)酸ナトリウム、テトラクロロパラジウム
(II)酸アンモニウム、ヘキサクロロパラジウム(I
V)酸アンモニウム等の塩化パラジウム酸塩、テトラク
ロロ銅(II)酸カリウム、テトラクロロ銅(II)酸
ナトリウム、テトラクロロ銅(II)酸アンモニウム等
の塩化銅酸塩、ジシアノ銀酸カリウム等の銀塩等が挙げ
られる。
【0148】(b)金属含有化合物 金属含有化合物としては、陰イオン交換性基に吸着ある
いは結合可能な結合性基を有する有機金属錯体が挙げら
れる。
【0149】具体的には、例えば、β−ジケトン誘導
体、ビピリジン誘導体、ビキノリン誘導体、フェナント
ロレン誘導体、ポルフィリン誘導体等の配位子からなる
有機金属錯体に結合性基を導入したものが用いられる。
【0150】結合性基としては、例えば、フッ素置換ア
ルキル基等に結合した水酸基やメルカプト基、フェノー
ル性水酸基、チオフェノール性水酸基等の酸性の水酸基
やメルカプト基、カルボキシル基、スルホ基(スルホン
酸基)、ホスホノ基(リン酸基)等の酸性基およびこれ
らの塩が挙げられる。これらの酸性基および塩は陰イオ
ン交換性基の対イオンとして吸着したり、エステル結合
等を形成して結合したりする。
【0151】また、アルデヒド基、エポキシ基、活性エ
ステル基、酸無水物誘導体基、マレイミド誘導体基等の
陰イオン交換性基であるアミノ基等と反応して結合する
ものも用いることができる。またアルコキシシリル基等
の金属アルコキサイド誘導体基やニトロアリールハライ
ド誘導体基等でも良い。活性エステル基としては、4−
ニトロフェニルオキシカルボニル基誘導体、カルボキシ
ル基とN−ヒドロキシスクシンイミドやN−ヒドロキシ
ベンズイミドとの活性エステル基、イミドエステル誘導
体基等が挙げられる。アルコキシシリル基としては、例
えばトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、ト
リイソプロポキシシリル基、メトキシジメチルシリル基
等が挙げられる。
【0152】通常、これらの金属含有イオンや金属含有
化合物は、水溶液やアルコール溶液等の溶液とする。こ
の溶液に陰イオン交換性基のパターンが形成された基材
を浸漬或いは塗布する等して接触させて、陰イオン交換
性基への吸着を行う。溶液は取り扱いが容易で、安全で
あることから水溶液にするのが良い。
【0153】金属含有化合物は、結合性基がカルボキシ
ル基等の酸性基の場合、強塩基との塩、すなわちナトリ
ウム塩やカリウム塩等として水溶性を付加するのが良
い。この場合、陰イオン交換性基は強酸との塩とするの
が良い。アミノ基等の陰イオン交換性基は塩酸や硫酸等
で処理して塩酸塩や硫酸塩などの強酸塩とする。これに
ナトリウム塩やカリウム塩とした金属含有化合物を作用
させると、強酸+弱塩基の塩と弱酸+強塩基の塩から強
酸+強塩基の塩と弱酸+弱塩基の塩が発生する反応によ
り、金属含有化合物を陰イオン交換性基に効率よく吸着
させることができる。
【0154】吸着された金属含有イオンや金属含有化合
物は、そのまま或いは還元して金属化することによって
無電解鍍金の触媒として用いる。
【0155】鍍金する金属よりイオン化傾向の小さな金
属のイオンは還元せずとも、鍍金液中の鍍金金属のイオ
ンによって還元される。
【0156】例えば、銅鍍金する場合、金、白金、パラ
ジウム、銀等のイオンはそのまま用いることが出来る。
銅イオンは還元して銅微粒子にしてから無電解鍍金の触
媒として用いる。
【0157】還元剤としては、ホルムアルデヒド、水素
化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボラン、トリメチ
ルアミンボラン、ヒドラジン、次亜リン酸ナトリウム等
の次亜リン酸塩等の公知の還元剤を用いることができ
る。還元剤は一般には水溶液等の溶液として、この溶液
に溶液に基材を浸漬する等して還元する。還元する前に
基材を水等で洗浄して余分の金属含有イオンや金属含有
化合物を除去しておくことが好ましい。
【0158】(c)金属コロイド 金属コロイド溶液としては、金、銀、白金、パラジウ
ム、銅、ニッケル等のコロイドの水溶液、或いは、アル
コール等の有機溶媒の溶液が用いられる。金属コロイド
は界面活性剤やポリマー等保護物質によって保護された
保護コロイドを用いるのが、金属コロイド溶液の貯蔵安
定性の点から望ましい。金属コロイドは多くの場合、正
か負に帯電しており、帯電する極性は保護物質によって
変化させることができる。
【0159】陰イオン交換性基も多くの場合、液中で帯
電するため、金属コロイドは陰イオン交換性基との静電
引力によって吸着される。金属コロイドは負に帯電して
いるものを用いるのが好ましい。
【0160】結合性基を表面に有する金属コロイドを用
いて、この結合性基を陰イオン交換性基に結合させても
よい。結合性基としては、例えば、フェノール性水酸
基、チオフェノール性水酸基、フッ素置換アルキル基等
に結合した水酸基やメルカプト基等の酸性の水酸基やメ
ルカプト基、カルボキシル基、スルホ基(スルホン酸
基)、ホスホノ基(リン酸基)等の酸性基やその塩が挙
げられる。これらの酸性基は陰イオン交換性基の対イオ
ンとして吸着したり、エステル結合等を形成して結合し
たりする。また、アルデヒド基、エポキシ基、金属アル
コキサイド誘導体基、活性エステル基、アルコキシシリ
ル基などの金属アルコキサイド誘導体基、酸無水物誘導
体基、マレイミド誘導体基、ニトロアリールハライド誘
導体基等の陰イオン交換性基であるアミノ基等と反応し
て結合するものも用いることができる。活性エステル基
としては、4−ニトロフェニルオキシカルボニル基誘導
体、カルボキシル基とN−ヒドロキシスクシンイミド、
N−ヒドロキシベンズイミドとの活性エステル基、イミ
ドエステル誘導体基等が挙げられる。アルコキシシリル
基としては、例えばトリメトキシシリル基、トリエトキ
シシリル基、トリイソプロポキシシリル基、メトキシジ
メチルシリル基等が挙げられる。
【0161】金属コロイドは還元する必要は無く、その
まま無電解鍍金の触媒として用いることができる。保護
コロイドの場合、酸やアルカリ溶液、酸化剤溶液等を用
いたエッチング等で保護物質を除去した方が触媒として
の活性は向上する。
【0162】金属コロイド溶液の具体例としてはパラジ
ウムヒドロゾルが挙げられる。パラジウムヒドロゾルは
例えば塩化パラジウム(II)と塩化ナトリウムの水溶
液に、激しく攪拌しながら界面活性剤の水溶液を加え、
続いて還元剤の水素化ホウ素ナトリウム水溶液を加えて
調製する。
【0163】界面活性剤としては特に限定されず、広く
公知のものを用いることができる。例えばステアリルト
リメチルアンモニウムクロライド等の陽イオン性界面活
性剤、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の陰イ
オン性界面活性剤、ポリエチレングリコールモノ−p−
ノニルフェニルエーテル等の非イオン性界面活性剤、両
性イオン性界面活性剤等が用いられる。負に帯電した金
属コロイドを調整するには、ドデシルベンゼンスルホン
酸ナトリウム等の陰イオン性界面活性剤を用いるとよ
い。
【0164】金属コロイドのコロイドの粒子径は特には
限定されないが、陰イオン交換性基の微細なパターンに
均一に、かつ高密度に吸着させるためには、一般的には
1〜100nm、好ましくは1〜20nmがよい。特に
多孔質体内部にまで金属コロイドを吸着させる場合に
は、粒子径は1〜10nmにするのがよい。
【0165】鍍金核の溶液の濃度は好ましくは重量比で
0.1〜30%、より望ましくは1〜15%の範囲に設
定するのが良い。濃度が小さすぎると陰イオン交換性基
に充分な量の鍍金核が吸着しなかったり、吸着速度が遅
く、吸着に時間がかかってしまう。濃度が大き過ぎる
と、陰イオン交換性基が存在する領域以外にも無秩序に
鍍金核が吸着してしまうおそれがあり、良好な複合部材
を形成することが難しくなる。鍍金核の溶液に基材を浸
漬する等して、溶液と基材を接触させる時間は特に限定
されないが、一般的は10秒から5時間程度の間で行わ
れる。
【0166】鍍金核の溶液には、基材表面への濡れ性を
良くするために、界面活性剤等を添加するのが良い。特
に基材として多孔質基材を用いる場合には、多孔質内部
まで充分溶液が浸透するように、界面活性剤を添加した
方が良い。界面活性剤としては、鍍金核の吸着を阻害し
たり、異常吸着を防ぐために非イオン性界面活性剤を用
いるのがよい。また化学変化し難いフッ素系の界面活性
剤等が良い。鍍金核の超臨界流体の溶液を用いても良
い。超臨界流体は多孔質内部等細かい構造内部にも良好
に浸透可能なため優れている。
【0167】また多孔質基材の内部にまで無電解鍍金す
る場合、金属含有イオン溶液や金属含有化合物溶液を用
いた方が良好な結果を得られる。金属コロイドは溶液中
での拡散速度が小さく、多孔質内部にまで拡散し難い。
そのため多孔質基材の表面近傍のみに鍍金する場合に適
している。
【0168】これに対して金属含有イオンや金属含有化
合物は拡散速度が大きいため多孔質内部に充分に吸着さ
せることができる。そのためビアを形成する場合等、多
孔質内部にも鍍金する必要がある場合に適している。ま
た多孔質基材でなくとも、基材表面に微細な凸凹がある
場合等は、金属含有イオン溶液や金属含有化合物溶液を
用いた方が微細な凸凹に追従して密着性よく鍍金するこ
とが出来る。
【0169】基材を鍍金核の溶液と接触させた後、洗浄
して余分な鍍金核を除去するのが好ましい。例えば、水
等の、鍍金核の溶液の溶媒と同じ溶媒で洗浄するのがよ
い。洗浄することによって、陰イオン交換性基が存在す
る領域以外に付着した鍍金核を除去し、陰イオン交換性
基が存在する領域以外に無秩序に鍍金されることを防止
することができる。
【0170】基材として多孔質基材を用いる場合は、洗
浄は特に重要である。洗浄は水等の洗浄液の入った洗浄
槽に基材を浸漬したり、洗浄液をスプレー等で吹き付け
る等する。基材として平面板等、凸凹が少なく、溶液が
たまりにくい基材を用いる場合には、単にエアナイフや
超音波振動エア等、空気や窒素等のガス流で余分な鍍金
核の溶液を吹き飛ばしても良い。また、更には、振動を
加えたり、遠心分離等の方法で溶液を振り飛ばしても良
い。
【0171】アダプター分子 通常は鍍金核を陰イオン交換性基に直接吸着させるが、
より広範な鍍金条件へ対応できるようにしたり、吸着能
を向上させるために、アダプター分子を用いることがあ
る。ここでアダプター分子とは、陰イオン交換性基と鍍
金核とを結合する分子のことを称す。アダプター分子は
分子中に陰イオン交換性基と結合するための結合性基
と、鍍金核を吸着するための吸着性基をあわせ持つ。ま
ず陰イオン交換性基にアダプター分子を結合させる。し
かる後に、結合したアダプター分子に鍍金核を吸着させ
る。
【0172】こうしたアダプター分子を用いると、主に
次の二つの利点がある。
【0173】一つ目の利点としては、鍍金核の種類や吸
着条件、鍍金液の種類や鍍金条件の選択の幅を広く出来
ることである。
【0174】例えば、吸着性基として陽イオン交換性基
を有するアダプター分子を用いれば、金属陽イオンや正
に帯電した金属コロイド等を吸着できるようになる。ま
た、吸着性基として様々な配位子を用いれば、様々な金
属含有イオンを高い吸着性と選択性で吸着することがで
きる。また、用いる鍍金核の変化や、様々な吸着条件に
対応することが可能となる。同様に鍍金工程において
も、様々な鍍金液の組成及び性状や、鍍金条件に対応可
能となる。
【0175】もちろん、従来の陽イオン交換性基にも同
様なアダプター分子を適用することは可能である。しか
しながら、陰イオン交換性基であるアミノ基等の方が結
合反応に対する高い反応性を有する。このため温和な反
応条件においても、結合性基と強固な結合を形成するこ
とが可能である。
【0176】二つ目の利点としては、鍍金核の吸着量を
増大できる点である。1分子中に多数の吸着性基を有す
るアダプター分子を用いれば、結果として陰イオン交換
性基一つ当たり、多数の鍍金核を吸着させることが可能
である。
【0177】アダプター分子の結合性基としては、フェ
ノール性水酸基、チオフェノール性水酸基、フッ素置換
アルキル基等に結合した水酸基やメルカプト基等の酸性
の水酸基やメルカプト基、カルボキシル基、スルホ基
(スルホン酸基)、ホスホノ基(リン酸基)等の酸性基
やその塩を用いることができる。
【0178】これらの酸性基は陰イオン交換性基の対イ
オンとして結合したり、エステル結合等を形成して結合
したりする。しかしながら、対イオンとして結合した場
合は、酸性やアルカリ性の条件下で解離し易い。そこ
で、より強固な共有結合による結合を形成できるアルデ
ヒド基、エポキシ基、金属アルコキサイド誘導体基、活
性エステル基、アルコキシシリル基などの金属アルコキ
サイド誘導体基、酸無水物誘導体基、マレイミド誘導体
基、ニトロアリールハライド誘導体基等の陰イオン交換
性基であるアミノ基等と反応して結合するものが好まし
い。活性エステル基としては、4−ニトロフェニルオキ
シカルボニル基誘導体、カルボキシル基とN−ヒドロキ
シスクシンイミドやN−ヒドロキシベンズイミドとの活
性エステル基、イミドエステル誘導体基等が挙げられ
る。アルコキシシリル基としては、例えばトリメトキシ
シリル基、トリエトキシシリル基、トリイソプロポキシ
シリル基、メトキシジメチルシリル基等が挙げられる。
【0179】アダプター分子の吸着性基としては、フェ
ノール性水酸基、チオフェノール性水酸基、フッ素置換
アルキル基等に結合した水酸基やメルカプト基等の酸性
の水酸基やメルカプト基、カルボキシル基、スルホ基
(スルホン酸基)、ホスホノ基(リン酸基)等の酸性基
およびその塩、あるいはクラウンエーテル誘導体、オリ
ゴエチレンオキシドやポリエチレンオキシド等のエチレ
ンオキシド誘導体、β―ジケトン誘導体、ビピリジン誘
導体、ビキノリン誘導体、フェナントロレン誘導体、ポ
ルフィリン誘導体等の金属配位子の誘導体等が挙げられ
る。鍍金核の吸着量を大きくするために、これらの吸着
性基を1分子中に複数有するのが良い。ポリマー状のア
ダプター分子の主鎖あるいは側鎖中にこれらの吸着性基
を導入したもの等も用いることができる。
【0180】これらのアダプター分子の溶液に陰イオン
交換性基のパターンを形成した基材を浸漬する等して接
触させ、アダプター分子を陰イオン交換性基と結合させ
る。その後、これまでと同様に鍍金核を吸着させる。
【0181】(E)無電解鍍金 次に、吸着させた鍍金核或いはその還元体を鍍金触媒と
して無電解鍍金を施して導電パターンを形成する。
【0182】無電解鍍金は、鍍金核或いはその還元体を
吸着させた基材を無電解鍍金液に浸漬等して接触させる
ことによって行う。
【0183】無電解鍍金液は特に限定されず、銅、ニッ
ケル、金、銀、白金等の広く公知の鍍金液を用いること
ができる。無電解鍍金は陰イオン交換性基に吸着された
鍍金核やその還元体を触媒として鍍金が進行するため、
結果として陰イオン交換性基が存在する領域のみ選択的
に鍍金することが可能となる。
【0184】鍍金核を吸着させる陰イオン交換性基のパ
ターンは、陰イオン交換性基を生成または消失する感光
性層にパターン露光して形成した陰イオン交換性基のパ
ターンを用いるのが露光を1回で済むため好ましい。し
かし、露光パターンと反転したパターンに鍍金するに
は、陰イオン交換性基を消失する感光性層を用いる他
に、露光を2回以上行う方法もある。
【0185】陰イオン交換性基を生成する感光性層を用
い、パターン露光して陰イオン交換性基のパターンを形
成する。次に、生じた陰イオン交換性基に保護基でキャ
ップして鍍金核が吸着しないようにする。次に、全面露
光して先にパターン露光した部分以外に陰イオン交換性
基を生成させる。これに鍍金核を吸着させて鍍金して、
露光パターンと反転したパターンの導電部を形成する。
【0186】陽イオン交換性基であるカルボキシル基を
用いた同様の方法が特開平6−202343号公報に開
示されている。
【0187】しかしながら、カルボキシル基は反応性が
充分でないため、強アルカリ性の鍍金液等に対する耐性
が高い保護基をキャップし難い。耐性の高い保護基をキ
ャップしようとすると、加熱が必要であったり特殊な試
薬が必要であったりして、プロセスが煩雑になり易い。
【0188】これに対してアミノ基等の陰イオン交換性
基は反応性が高いので、室温等の温和な条件で耐性の高
い保護基をキャップすることが可能である。
【0189】保護基 保護基としてキャップする化合物としては、鍍金核を吸
着しないキャップ部位と陰イオン交換性基と結合可能な
結合性基を合わせ持つ化合物が良い。
【0190】キャップ部位としては、例えば、置換また
は非置換のアルキル基、アリール基、アラルキル基等が
挙げられ、フッ素置換した基やシロキサン誘導体基等も
用いることができる。ただし、キャップ部位があまり疎
水性であると、鍍金液をはじき過ぎてしまって、パター
ンが微細な場合や、多孔質基材を用いる場合等に鍍金不
良を生じ易い。そのため鍍金液に対する適度な親和性を
有することが好ましく、水酸基、シラノール基、アルコ
キシ基、エステル基、アミド基等の極性基やこれらの極
性基が置換されているのが良い。
【0191】結合性基としては、例えば、フェノール性
水酸基、チオフェノール性水酸基、フッ素置換アルキル
基等に結合した水酸基やメルカプト基等の酸性の水酸基
やメルカプト基、カルボキシル基、スルホ基(スルホン
酸基)、ホスホノ基(リン酸基)等の酸性基やその塩が
挙げられる。これらの酸性基は陰イオン交換性基の対イ
オンとして吸着したり、エステル結合等を形成して結合
したりする。またアルデヒド基、エポキシ基、活性エス
テル基、酸無水物誘導体基、マレイミド誘導体基、アル
コキシシリル基等の陰イオン交換性基であるアミノ基等
と反応して結合するものも用いることができる。鍍金液
等に対する耐性が高い結合を形成可能なことからアルデ
ヒド基、エポキシ基、活性エステル基、酸無水物誘導体
基、マレイミド誘導体基、アルコキシシリル基等を用い
るのがよい。
【0192】[II] 複合部材の製造方法(第2の態
様) 次に、複合部材の製造方法の第2の態様の各工程につい
て述べる。この第2の態様は、前記第1の態様と比較し
て、感光性層を形成する材料が異なるものである。すな
わち、第1の態様においては、感光性層として、基材表
面にエネルギー線を照射することにより、陰イオン交換
性基が生成あるいは消失する膨潤性感光性層を用いた
が、この第2の態様においては、基材表面にエネルギー
線を照射することにより陰イオン交換性基を生成するア
シルオキシム誘導体基含有化合物、あるいはアジド誘導
体基含有化合物を少なくとも有する感光性層を用いる点
に特徴がある。そこで、この態様の説明においては、こ
の基材表面にエネルギー線を照射することにより陰イオ
ン交換性基が生成するアシルオキシム誘導体基含有化合
物、あるいはアジド誘導体基含有化合物を少なくとも有
する感光性層についてのみ説明し、他は省略する。
【0193】この実施の形態において用いているアシル
オキシム誘導体基、あるいはアジド誘導体基は、必要に
応じて増感剤などを併用することによって、280〜8
00nm程度の長波長域のエネルギー線に感光する。そ
してこの領域のエネルギー線は、基材となる材料に吸収
されることなく、多孔質の基材の内部にある感光性層を
照射することができるため、エネルギー線照射工程後の
吸着工程において、基材内部まで十分に鍍金核を吸着さ
せることができ、充分量の鍍金層を形成することができ
る。またこれらの基は、感光前は鍍金核を異常吸着して
しまいやすいアミド結合などを持たない。そのため照射
領域と非照射領域において、コントラストの高い鍍金を
行うことが可能である。また例えばオニウム塩類のよう
に、残存した感光性基から鍍金後に酸が発生して、導電
パターンを腐食したり、導電パターン間の絶縁性を低下
させたりする恐れもない。よって電気的特性や信頼性に
優れた複合部材を形成することが可能となる。さらにア
シルオキシム誘導体基はベンゾキノンなどの架橋助剤を
作用させることによって、感光部を架橋させることがで
きる。またアジド誘導体基も、ナイトレンの水素引き抜
き反応によって架橋基としても作用する。架橋助剤とし
てフェノールノボラック樹脂などを加えても良い。また
これらの感光性基は、増感剤によって容易に感光波長を
制御することができるため、基材内部まで充分にめっき
することが可能となる。
【0194】この実施の形態において用いられるアシル
オキシム誘導体基としては、例えば以下に示すようなも
のが用いられる。
【化1】 なお、式中、R1、R2はそれぞれ独立に炭素数1〜2
0の置換または非置換のアルキル基、アリール基、アラ
ルキル基を示す。
【0195】またアジド誘導体基としては、例えば以下
に示すようなものが用いられる。
【化2】 なお、式中、Rは炭素数1から20の置換または非置換
の2価の芳香環構造。具体的には例えばフェニレンなど
を示す。
【0196】これらの感光性基を含有する化合物として
は、具体的には、これらの基を側鎖あるいは主鎖などに
有するポリマー、あるいはこれらの基を複数個有する高
分子化合物が好ましい。これらのポリマーあるいは高分
子化合物としては、前述の第1の態様において説明した
ポリマーあるいは高分子化合物を用いることができる。
【0197】より好ましい感光性層の材料としては、こ
れらの感光性基を有するアクリル酸エステルあるいはメ
タクリル酸エステルと、前記架橋性基を有するアクリル
酸エステルもしくはメタクリル酸エステルの2元共重合
体であるポリマー、あるいはこれにさらに増感作用を有
する基を有するアクリル酸エステルもしくはメタクリル
酸エステルを共重合させた3元共重合体、さらには溶解
性を調節するための疎水性基などを有するアクリル酸エ
ステルもしくはメタクリル酸エステルを共重合させた4
元共重合体などが挙げられる。またアクリル酸エステル
やメタクリル酸エステルの代わりに、スチレン誘導体、
ノルボルネン誘導体、N置換マレイミド誘導体、ビニル
アルコール誘導体などを用いても良い。架橋性基として
は、グリシジル基などのエポキシ基や、ビニル基、アク
リロイル基、あるいはメタクリロイル基などのラジカル
重合性基などが良い。ポリマーの分子量としては、20
00から5万程度のものが良い。
【0198】アシルオキシム誘導体基を感光性基として
有するアクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステ
ルの一例としては例えば以下のようなものが挙げられ
る。
【化3】 なお、式中、R1は水素、メチル基。R2、R3はそれ
ぞれ独立に炭素数1〜20の置換または非置換のアルキ
ル基、アリール基、アラルキル基を示す。R2,R3の
具体例としては、メチル基、フェニル基、ナフチル基、
アンスリル基などが挙げられる。
【0199】アジド誘導体基を感光性基として有するモ
ノマー単位の一例としては、例えば以下のようなものが
挙げられる。
【化4】
【化5】
【0200】なお、式中、R1は水素あるいはメチル基
を示す。R2は炭素数1から10の炭化水素鎖を示す。
R2の具体例としては例えばメチレン、あるいはエチレ
ンが挙げられる。
【0201】また、本態様の感光性層は、膨潤性を有す
ることがさらに好ましい。これによって、前述したよう
に、20〜50nmの厚さを有することが好ましい感光
性層の内部にまで、鍍金核形成組成物を含浸できるでき
るばかりでなく、基材の内部に存在する感光性層を十分
に感光させることができるため、鍍金核を充分形成する
ことができ、その結果厚い鍍金層を形成することができ
るからである。
【0202】[III] 複合部材の製造方法(第3の
態様) 次に、複合部材の製造方法の第3の態様の各工程につい
て述べる。
【0203】以下の説明では、理解を助けるためにシー
ト状の多孔質体である多孔質シートを用いた場合を例に
説明するが、多孔質体や電極の形状や各工程の順序等本
発明がこれに限定されないことはいうまでもない。
【0204】(1) 製造工程 (A)電極設置工程 図1のように絶縁性の多孔質シート1の片面に電極2を
設置する。多孔質シートとしてはシートの表裏に貫通し
た空孔を有するハニカム状シートか三次元網目状シート
を用いる。多孔質シートの空孔内表面にはエネルギー線
の照射によって表面エネルギーが変化する感光性層を形
成するのが良い。
【0205】上記感光性層を基材に形成する方法として
は、特に限定されないが、一般的には感光剤の溶液を基
材に塗布するなどして形成する。塗布する感光性層の層
厚は特に限定されないが、一般的には0.5〜1000
nm程度の間で設定され、好ましくは1〜100nm、
より望ましくは20〜50nmの範囲に設定されるのが
良い。
【0206】また電極は多孔質シートに密着して設置さ
れる。この際、多孔質シートに密着している電極面は、
多孔質シートの裏表に貫通した空孔によって、多孔質シ
ートの反対側と通じていることが重要である。後の工程
において、この貫通した空孔を通して鍍金液を電極表面
にまで浸透させ、鍍金金属の析出を行う。電極の設置は
エネルギー線の照射後でもよい。
【0207】(B)表面部分改質工程 次に、前記多孔質体の一部を改質してその表面エネルギ
ーを変化させ、改質部の水に対する親和性を、非改質部
の水に対する親和性と異ならしめた領域のパターンを形
成する。これにより多孔質シートへの鍍金液の浸透性が
変化し、親水性の部分には鍍金液が浸透しやすくなる。
この表面改質工程として、改質手段として、エネルギー
線照射による方法、薬剤により改質する方法、部分加熱
により改質する方法、機械的手段により一部表面を改質
する方法などを採用することができる。薬剤によって改
質する方法としては、親水性物質や疎水性物質を塗布し
て、表面に親水性層や疎水性層を形成することによって
改質することができる。また基材の一部に酸化剤、還元
剤、親水性基導入反応開始剤、親油性基導入反応開始剤
などの薬剤を付与して所要の反応を生起させ、表面を改
質することができる。これらの薬剤を付与する場合、薬
剤をインクジェットで吐出するなどして、基材の必要部
分にのみ薬剤を付与しても良いし、不要部分にワックス
などのマスク剤を塗布し全面に薬剤を塗布しても良い。
また、部分加熱による方法は、酸化雰囲気下で部分的に
加熱し一部表面を酸化して表面エネルギーを変化させる
ことができる。さらに、機械的手段による改質は、基材
表面の一部を擦過して粗面化することによってその表面
エネルギーを変化させることもできる。しかしながら、
これらの方法に比較して、作業性、改質効率などの点か
ら、次のエネルギー線照射による方法が最も効率がよ
く、好ましい。
【0208】このエネルギー線照射は、多孔質シートに
エネルギー線をパターン照射して、照射部の空孔内表面
の表面エネルギーを変化させ、照射部或いは未照射部が
選択的に親水性であるパターンを形成する。これにより
多孔質シートへの鍍金液の浸透性が変化し、親水性の部
分には鍍金液が浸透しやすくなる。空孔内表面に感光性
層を形成した場合は、感光性層が感光して表面エネルギ
ーが変化する。図1では一例として、照射部の表面エネ
ルギーが変化して、鍍金液が浸透しやすい状態に変化す
る場合を示す。この場合、照射前の感光性層は鍍金液を
はじくものを用いて、未照射部には鍍金液が浸透しない
ようにする。照射によって、前記電極表面に接して選択
された多孔質体内の絶縁性の領域3に選択的に鍍金液を
浸透させる。表面エネルギーを変化させる方法は特に限
定されないが、照射前と照射後の表面エネルギーの変化
を大きくできることから、エネルギー線照射によってイ
オン交換性基を生成あるいは消失する感光性基を用いる
のが最も良い。例えば銅の電解鍍金液は一般的に酸性で
ある。そこで領域3内に塩基性のアミノ基等を発生させ
ると、アンモニウム塩を生成して親水性化する。このた
め鍍金液が染み込みやすい領域3が形成される。このよ
うに表面エネルギーを変化させることによって鍍金液が
選択的に浸透する領域を形成する方法は、プロセスが簡
便な上に微細なパターンが形成可能である。例えば鍍金
液を浸透させたくない領域の空孔内にワックスやレジス
ト等を充填したりする方法では、微細なパターンを形成
することが難しい上、鍍金後にワックスやレジストを除
去することが難しい。本発明の方法によれば、多孔質体
は終始、多孔質のままであるので、導電パターン形成後
に硬化性樹脂等を含浸させたりすることも容易である。
【0209】上記エネルギー線を照射するための条件と
しては、一般的には例えば高圧水銀灯などを光源とし
て、パターン通りのマスクを通して、0.1〜1000
0mJ/cm2程度の露光量で露光することによって行
う。露光はマスクを用いても良いし、レーザー光線を走
査する等をしても良いし、光源からの光を微小なミラー
をマトリックス状に多数配列したマイクロミラーアレイ
で変調する等をしても良い。
【0210】(C)鍍金液浸透工程 こうして領域3を形成した電極付き多孔質シートを電解
鍍金液に浸漬等することによって、領域3に鍍金液が選
択的に浸透する。領域3は電極表面に接しているので、
電極表面まで鍍金液が浸透して電解鍍金を行うことが出
来るようになる。また領域3の空孔内表面は絶縁性であ
るために、鍍金の析出は電極表面からのみ進行して順
次、空孔内を充填率高く充填していくことが可能とな
る。もし領域3内の空孔内表面が導電性であると、空孔
内表面からも鍍金の析出が起こり、領域3の外周部の空
孔が先に閉塞されてしまいやすい。このため領域3の中
心部に鍍金液が充分供給されなくなって、充填率高く鍍
金することが困難となってしまう。
【0211】上記鍍金液を浸透させる工程は、一般的に
は電解鍍金するために基材を電解鍍金槽に浸漬すれば、
直ちに電解鍍金液が浸透することによって完了する。
【0212】(D)電解鍍金工程 鍍金液が浸透した後に、電極に通電して電解鍍金を行
う。すると電解鍍金は領域3のみで選択的に進行して、
導電部4が形成される。鍍金の析出は電極表面から始ま
って順次に領域3を埋めていく。鍍金の析出が電極表面
から順次進行するため、多孔質体内の空孔を非常に高い
充填率で埋めていくことが可能となる。また通電時間を
調整する等すれば、導電部4のように多孔質シート1の
中ほどで止めることも出来るし、さらに鍍金を続けて導
電部5のように多孔質シート1を貫通させることも出来
る。さらには導電部6のように多孔質シート1の上面に
突出させることもできる。また電解鍍金は、無電解鍍金
と比較して鍍金の析出速度を速くすることが可能なた
め、導電部の形成を短時間でスループット高く行うこと
が可能である。
【0213】電解鍍金工程の際の鍍金条件は特に限定さ
れず、一般的には通常行われている公知の電解鍍金と同
様な条件を適用することができる。
【0214】(3) 各工程の詳細な説明 次に上記本発明の複合部材の製造方法の第3の態様の各
工程の詳細について、以下に具体的に説明する。
【0215】(A)基 材 (a)基材を構成する絶縁性材料 多孔質体を形成する絶縁性材料は有機材料であっても無
機材料であってもよく、また、有機材料と無機材料の複
合材料であっても良い。
【0216】有機材料 前記有機材料としては、一般的にはポリマー材料が用い
られる。
【0217】ポリマー材料としては、ポリエチレン、ポ
リプロピレン等のポリオレフィン類、ポリブタジエン、
ポリイソプレン、ポリビニルエチレン等のポリジエン
類、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレー
ト等のアクリル系樹脂、ポリスチレン誘導体、ポリアク
リロニトリル、ポリメタクリロニトリル等のポリアクリ
ロニトリル誘導体、ポリオキシメチレン等のポリアセタ
ール類、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテ
レフタレート等や芳香族ポリエステル類を含むポリエス
テル類、ポリアリレート類、アラミド樹脂等の芳香族ポ
リアミドやナイロン等のポリアミド類、ポリイミド類、
エポキシ樹脂類、芳香族ポリエーテル類、ポリエーテル
スルホン類、ポリスルホン類、ポリスルフィド類、ポリ
テトラフルオロエチレン等のフッ素系ポリマー、ポリベ
ンゾオキサゾール類、ポリベンゾチアゾール類、ポリパ
ラフェニレン等のポリフェニレン類、ポリパラフェニレ
ンビニレン誘導体、ポリシロキサン誘導体、ノボラック
樹脂類、メラミン樹脂類、ウレタン樹脂類等が挙げられ
る。
【0218】無機材料 前記無機材料としては、一般的にはセラミックス材料が
用いられる。
【0219】セラミックス材料としては、シリカ、アル
ミナ、チタニア、チタン酸カリウム等の金属酸化物、炭
化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等が挙げられ
る。
【0220】これら絶縁性基材の中でも、低誘電率なこ
とからポリマー類が好ましく、耐熱性に優れることか
ら、特にポリイミド類、芳香族ポリアミド類などの液晶
性ポリマー類、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ
素系ポリマー類などを用いることが好ましい。
【0221】(b)多孔質基材の形状 多孔質体としては、多孔質体表面に開口部を有する連続
空孔を有するものが良く、好ましくは連続空孔は三次元
網目状に形成されていることが良い。
【0222】三次元網目状に形成されることによって、
空孔内に鍍金された金属は三次元的に連続するため、強
度や導電性が優れている。
【0223】多孔質基材の空孔 連続空孔の平均空孔径は0.05〜5μmの範囲で設定
されることが好ましく、更には0.1〜0.5μmの範
囲であることが望ましい。あまり空孔径が小さすぎると
鍍金液等が充分多孔質内部まで浸透せず、空孔径が大き
すぎると微細な鍍金金属のパターンを形成することが難
しい上、紫外線や可視光線等で露光する場合に露光光線
が多孔質構造によって散乱されてしまい、コントラスト
良くパターン露光することが難しい。空孔径は均一であ
るのが良い。空孔率は20〜95%の範囲に設定される
ことが好ましく、更には45〜90%の範囲であること
が望ましい。あまり空孔率が小さすぎると、鍍金液等が
充分浸透しなかったり、形成され鍍金金属のパターンの
導電性が低かったりする。あまり空孔率が大きすぎると
多孔質体の強度が充分でなく、寸法安定性も悪くなって
しまう。
【0224】多孔質体の具体例と製法 多孔質体としては具体的にはポリマー材料等のシートに
三次元連続空孔が形成された多孔質シートや、ポリマー
繊維やセラミックス繊維を三次元網目状に絡めたクロス
や不織布等が用いられる。
【0225】多孔質シートの製法としては、特に限定さ
れず、例えば、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエ
チレン等の結晶性ポリマーのシートを延伸して製作した
ものが用いられる。また、ポリマーのスピノーダル分解
やミクロ相分離等の相分離現象を利用して形成した物で
も良く、界面活性剤を用いたエマルジョンテンプレーテ
ィング法によって形成したものでも良い。
【0226】また、Y.A.Vlasovら(Adv.
Mater.11, No.2,165,1999)や
S.A.Johnsonら(Science Vol.
283,963,1999)が報告しているような、シ
リカやポリマーのビーズの集積体のビーズ間の隙間にポ
リマーやセラミックスを充填した後にビーズを除去して
形成した多孔質シートであっても良い。
【0227】更には、例えば、S.H.Parkら(A
dv.Mater.10,No.13,1045,19
98)やS.A.Jenekheら(Science
Vol.283,372,1999)が報告しているよ
うに、ビーズの代わりに気泡や液泡の集積体を用いて製
作しても良い。
【0228】更には、B.H.Cumpstonら(N
ature,vol.398,51,1999)やM.
Campbellら(Nature,vol.404,
53,2000)が報告しているような三次元光造形法
を用いて製作しても良い。
【0229】クロスや不織布としては、セラミックス繊
維やポリマー繊維から製作したものが用いられる。
【0230】セラミック繊維としては、例えば、シリカ
ガラス繊維、アルミナ繊維、シリコンカーバイト繊維、
チタン酸カリウム繊維等が用いられる。
【0231】ポリマー繊維としては、例えば、芳香族ポ
リアミド繊維、芳香族ポリエステル繊維等の液晶性ポリ
マーや、高Tgポリマー繊維や、PTFE繊維等のフッ
素系ポリマー繊維、ポリパラフェニレンスルフィド繊
維、芳香族ポリイミド繊維、ポリベンゾオキサゾール誘
導体繊維等が用いられる。
【0232】セラミック繊維とポリマー繊維を混ぜても
良いし,セラミックスとポリマーの複合繊維でも良い。
不織布としてはメルトブロー法によって製作したポリマ
ーの不織布や、芳香族ポリアミド等の液晶性ポリマーの
繊維を細かく粉砕して得られる直径が0.1〜0.3μ
m程度の微細な繊維を漉いた不織布などが繊維径が微細
で空孔径も均一であることから好ましい。
【0233】これらの不織布は寸法安定性を向上させる
ために、繊維同士を溶着させたり、ポリマー等をコーテ
ィングすることによって、繊維同士がずれたりしないよ
うにするのが良い。異方性が少なく、構造が均質なこと
からクロスよりも不織布の方が好ましい。
【0234】もちろん多孔質体の形状としてはシート状
に限定されず、繊維状、中空糸状、筒状、球状、塊状等
様々なものが用途に応じて用いられる。
【0235】シート状の多孔質体の一例を挙げるなら
ば、フレキシブル配線基板や多層配線基板に用いるシー
ト状の多孔質体としては、例えば、厚さが10〜100
μm程度、空孔径が0.1〜0.5μm程度、空孔率が
60〜85%程度のスピノーダル分解やミクロ相分離で
製作したポリイミド多孔質シートや、延伸法で製作した
ポリテトラフルオロエチレンの多孔質シート、微細アラ
ミド繊維の不織布(アラミドペーパー)等を用いること
ができる。
【0236】(c)多孔質体の空孔内表面の濡れ性 これら多孔質体の空孔内表面に後述するような感光性層
を形成する場合、感光性層を形成する前の空孔内表面の
鍍金液に対する濡れ性は、感光性層の特性に合わせて設
定される。すなわち本発明の第3の態様の複合部材の製
造方法は、特定の領域の空孔内表面を鍍金液に対して濡
れ易くして、この領域に鍍金液を選択的に浸透させるこ
とに特徴がある。この時、他の領域の空孔内表面は鍍金
液をはじいて、鍍金液が浸透するのを防止する必要があ
る。感光性層がエネルギー線照射によって鍍金液に濡れ
るようになる場合は、空孔内表面は撥水性として鍍金液
をはじくようにした方が良い。逆に感光性層がエネルギ
ー線照射によって鍍金液をはじくようになる場合は、空
孔内表面は親水性として鍍金液が浸透し易くした方が良
い。もちろん最表層たる感光性層の表面が露光前後で鍍
金液に対する濡れ性が大きく変化すれば本発明の目的は
達せられる。しかしながら、感光性層で多孔質体の空孔
内表面を完全に覆うことが難しい場合もあり、多少なり
とも多孔質体の空孔内表面が露出する場合がある。こう
した場合、多孔質体の空孔内表面の性質が鍍金液の浸透
性に反映される。つまり空孔内表面の鍍金液に対する濡
れ性を感光性層のエネルギー線照射前の状態と合わせて
おくのが好ましい。
【0237】(B)電極の設置 電極は少なくとも部分的に多孔質体に密着して設置され
る。例えば、多孔質体がシート状の場合、シート状の電
極を貼り付ければ良い。円柱状の電極にシート状の多孔
質体を巻き付ける等しても良い。また、中空糸状の多孔
質体の中空部にワイヤー状やパイプ状の電極を挿入する
等しても良い。
【0238】電極と多孔質体は密着していれば、接着し
て固定されていても良いし、粘着等して再剥離可能な状
態で固定しても良い。また、単に押し付けただけでも良
い。
【0239】例えば、図2に示すように、回転するロー
ル状の電極7にシート状の多孔質体8をリールtoリー
ルで供給して連続的に鍍金しても良い。電極7に密着し
て巻きついた多孔質体8はそのまま鍍金液槽11に入
り、例えば、13のようなビア等の導電部を鍍金した
後、鍍金液槽11から出て電極から離れていく。ロール
状電極7はステンレス製のものが腐食等せず良い。
【0240】電極表面は平滑である方が、導電部が電極
から剥離させ易い。或いは、電極表面に凸凹等のテクス
チャーを付けて、導電部表面を凸凹にする等しても良
い。ビアの端面等を凸凹にすることによって配線等との
電気的な導通を向上させることができる。
【0241】また、更には、多孔質体内の選択された領
域の空孔内に導電性物質を充填して電極としても良い。
多孔質体電極と多孔質体が密着せず隙間があると、この
隙間で鍍金の析出が起こってしまう。電極が多孔質体に
密着していれば、鍍金の析出が多孔質体の選択された領
域内でのみ進行するため精度の良い導電パターンの形成
が可能になる。
【0242】(C)エネルギー線照射 照射するエネルギー線としては、紫外線、可視光線、赤
外線等の光線や、X線、電子線、α線、γ線、重粒子線
等、特に限定されない。通常は紫外線、可視光線、電子
線等が最も良く用いられる。とりわけ280nm以上、
好ましくは350nm以上の紫外線および可視光線が良
い。例えば高圧水銀ランプを光源とするi線(波長=3
65nm)、g線(波長=435nm)、アルゴンイオ
ンレーザー光(例えば波長=488nm)、各種半導体
レーザー光(例えば波長=405nm)などが用いられ
る。これらのエネルギー線は照射装置が比較的簡便な
上、大気中での大面積の照射が可能である。またマスク
を用いる場合も、マスクとして一般的なポリマーフィル
ムマスクやガラスマスクを用いることが可能である。あ
まり短波長であると、マスクのガラスやポリマーフィル
ム自体に吸収されてしまう。また例えば耐熱性の芳香族
ポリマーからなる多孔質基材の場合、250〜260n
m付近にピークを有するベンゼン環などの強い吸収があ
る。このため280nm以下では、充分な透過率を得る
ことが難しくなる。エネルギー線照射によって表面エネ
ルギーを変化させる方法は、特に限定されず、広く公知
の手法を用いることができる。例えば、特開平6−29
3837に開示されているような、PTFE多孔質シー
トにエキシマレーザーを照射して親水化する方法を用い
る等しても良い。しかしながら、多孔質体内部にまでエ
ネルギー線を充分透過させるには、好ましくは波長28
0nm以上で感光するような感光性層を多孔質体の空孔
内表面に形成するのが良い。
【0243】(a)感光性層 プロセスが簡便であり、かつ表面エネルギーの変化が大
きいことから、エネルギー線の照射によってイオン交換
性基を生成あるいは消失する感光性層を空孔内表面に形
成するのが良い。多孔質体自体を感光性にしてしまう
と、多孔質体によるエネルギー線の吸収が大きく、多孔
質体内部にまで照射することが難しくなる。また多孔質
体に要求される電気的特性、耐熱性、あるいは機械的強
度などの特性と、感光性とを両立させるのが難しい。対
して、エネルギー線の吸収が無いか、弱い材質からなる
多孔質体の空孔内表面に薄い感光性層を形成すれば、エ
ネルギー線は多孔質体内部まで充分に透過することが可
能になる。また多孔質体の材質自体は感光性とする必要
がないため、多孔質体の電気的特性、耐熱性、あるいは
機械的強度などを確保しやすい。感光性層はエネルギー
線の照射によってイオン交換性基を生成あるいは消失す
る基を有するのがプロセスが簡便でよい。
【0244】イオン交換性基 本発明におけるイオン交換性基とは、イオンを吸着可能
な基のことであり、イオン性の基か酸性或いは塩基性の
基のことを言う。
【0245】イオン交換性基は親水性か或いは鍍金液と
反応して親水性となり、鍍金液を浸透させ易くする。イ
オン性の基の極性や酸性か塩基性どちらを選択するか
は、電解鍍金する際の鍍金液の液性によって決定する。
【0246】イオン交換性基が強い親水性なのは、イオ
ン化しているからである。よって鍍金液中でもイオン化
できるものが良い。例えば、一般的に、銅の電解鍍金用
には硫酸銅水溶液を用いる。硫酸銅水溶液は強い酸性で
ある。このため、例えば、弱酸性基であるフェノール性
水酸基やカルボキシル基はイオン化できず親水性が充分
でない。同様にこれら弱酸性基が塩基と反応して形成さ
れる陰イオン性の基も、強酸性の鍍金液中では弱酸性基
になってしまい親水性が充分でない。これに対して、例
えば、アミノ基等の塩基性の基やアンモニウム基等の陽
イオン性の基は、強酸性の鍍金液中ではいずれもアンモ
ニウム基となり、強い親水性を示すことができる。つま
り鍍金液が酸性の場合は、陽イオン性の基あるいは塩基
性基を用いるのが良い。
【0247】一方、鍍金液がアルカリ性の場合は、陰イ
オン性の基あるいは酸性基を用いるのが良い。
【0248】陰イオン性の基或いは酸性基としては、フ
ッ素置換アルキル基等に結合した水酸基やメルカプト
基、フェノール性水酸基、チオフェノール性水酸基等の
酸性の水酸基やメルカプト基、カルボキシル基、スルホ
基(スルホン酸基)、ホスホノ基(リン酸基)等の酸性
基やその塩が挙げられる。陽イオン性の基あるいは塩基
性基としては、アミノ基、アミド基、ピリジン誘導体
基、イミダゾール残基やオキサゾール残基やチアゾール
残基等のイミダゾール誘導体基、トリアゾール誘導体残
基やその塩が挙げられる。
【0249】エネルギー線照射によって陰イオン性の基
或いは酸性基を発生する基 エネルギー線照射によって陰イオン性の基或いは酸性基
を発生する基としては、例えば、カルボン酸、スルホン
酸或いはシラノールのo−ニトロベンジルエステル誘導
体、p−ニトロベンジルエステルスルフォネート誘導体
およびナフチル或いはフタルイミドトリフルオロスルフ
ォネート誘導体等が挙げられる。
【0250】更には、カルボン酸のtert−ブチルエ
ステルの過酸化物のような過酸化エステル類を用いるこ
ともできる。また、ベンゾキノンジアジド、ナフトキノ
ンジアジド、及び、アントラキノンジアジド等のキノン
ジアジド誘導体も挙げられる。
【0251】更に、カルボキシル基、フェノール性水酸
基、シラノール基等のイオン交換性基に、酸触媒などで
脱保護可能な保護基を導入した基が挙げられる。
【0252】光酸発生剤 酸触媒によって脱保護可能な保護基が導入されたイオン
交換性基を用いる場合は、エネルギー線照射により酸を
発生する光酸発生剤を添加する。
【0253】エネルギー線を照射することによって、光
酸発生剤から酸が発生し、その発生した酸で保護基が分
解されてイオン交換性基が生成する。
【0254】カルボキシル基の保護基としては、例え
ば、tert−ブチル基、tert−ブトキシカルボニ
ル基や、テトラヒドロピラニル基等のアセタール基等が
挙げられる。また、フェノール性水酸基、シラノール基
等の保護基としてはtert−ブトキシカルボニル基等
が挙げられ、tert−ブトキシカルボニルオキシ基と
して用いられる。
【0255】こうした保護基の脱保護のために好適な光
酸発生剤としては、CFSO 、p−CHPhS
、p−NOPhSO 等を対アニオンとする
オニウム塩、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、ヨード
ニウム塩等の塩、トリアジン類、有機ハロゲン化合物、
2−ニトロベンジルスルホン酸エステル類、イミノスル
ホネート類、N−スルホニロキシイミド類、芳香族スル
ホン類、キノンジアジドスルホン酸エステル類等を用い
ることができ、具体的には、本発明の複合部材の製造方
法の第一態様の説明において述べたような光酸発生剤を
用いることができる。これら光酸発生剤と、酸により新
たに自己触媒的に酸を発生する酸増殖剤とを組み合わせ
て用いても良い。またさらには酸性基を生じるものとし
て、ポリマー側鎖等に導入した2−ヒドロキシビシクロ
アルカン−1−スルホネート残基等の酸により新たに自
己触媒的に酸性基を発生する酸増殖性基を用い、これを
光酸発生剤とを組み合わせて用いても良い。
【0256】エネルギー線照射によって陰イオン性の基
或いは酸性基を消失する基 エネルギー線照射によって陰イオン性の基あるいは酸性
基を消失する基としては、例えば脱炭酸反応を起こして
分解し得るカルボキシル基誘導体基が挙げられる。カル
ボキシル基誘導体基としては、塩基性化合物により脱炭
酸反応が進行する基が好ましい。そのような基として
は、カルボキシル基のα位又はβ位に電子吸引性基また
は不飽和結合を有するものが挙げられる。ここで、電子
吸引性基は、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、ア
リール基、カルボニル基、またはハロゲンであるものが
好ましい。
【0257】このようなカルボキシル基誘導体基あるい
はカルボキシル基誘導体基を含む感光性分子の具体例と
しては、α−シアノカルボン酸誘導体、α−ニトロカル
ボン酸誘導体、α−フェニルカルボン酸誘導体、および
β,γ−オレフィンカルボン酸誘導体、インデンカルボ
ン酸誘導体等が挙げられる。塩基性化合物として光塩基
発生剤を用いた場合には、エネルギー線照射によって塩
基が発生し、発生した塩基の作用によってカルボキシル
基が脱炭酸して消失する。
【0258】光塩基発生剤 光塩基発生剤としては、例えば、コバルトアミン錯体、
ケトンオキシムエステル類、o−ニトロベンジルカルバ
メート類等のカルバメート類、及び、ホルムアミド類等
が挙げられる。
【0259】具体的には、例えば、みどり化学製NBC
−101(CAS.No.[119137−03−
0])等のカルバメート類を用いることができる。更に
は、みどり化学製TPS−OH(CAS.No.[58
621−56−0])等のトリアリールスルホニウム塩
類を用いることもできる。
【0260】光塩基発生剤の代わりに、光酸発生剤と塩
基性化合物とを組み合わせて用いることもできる。この
場合には、エネルギー線を照射した部位においては、光
酸発生剤から酸が発生して塩基性化合物が中和される。
【0261】一方、未照射部位においては、塩基性化合
物がカルボキシル基含有化合物に作用して脱炭酸反応が
進行してカルボキシル基が消失する。これによって、照
射部位にのみ選択的にカルボキシル基を配置することが
可能となる。光酸発生剤としては既述の光酸発生剤を用
いることができる。
【0262】塩基性化合物 添加する塩基性化合物としては、光酸発生剤から放出さ
れる酸によって中和することが可能で、かつカルボキシ
ル基含有化合物の脱炭酸反応の触媒として作用するもの
であれば任意のものを用いることができる。
【0263】この塩基性化合物は、有機化合物および無
機化合物いずれでも構わないが、好ましいのはアンモニ
アや含窒素有機化合物である。
【0264】具体的には、アンモニア、1級アミン類、
2級アミン類、及び、3級アミン類等が挙げられる。
【0265】これら光塩基発生剤や塩基性化合物の含有
量は、感光性組成物中0.1〜30重量%、好ましくは
0.5〜15重量%である。
【0266】0.1重量%未満の場合には、脱炭酸反応
が充分に進まなくなり、30重量%を超えると、未露光
部に残存するカルボキシル基誘導体基の劣化を促すおそ
れがある。
【0267】また、光酸発生剤と塩基性化合物とを組み
合わせて用いる場合には、当然のことながら、光酸発生
剤から発生し得る酸の量は、塩基性化合物の塩基の量よ
りも多く、具体的には1当量以上、さらには1.2当量
以上であることが好ましい。ここで当量とは、以下の式
で表わされる量である。
【0268】当量=(光酸発生剤のモル数×1分子の光
酸発生剤から発生する酸の数×発生する酸の価数)÷
(塩基性化合物のモル数×塩基性化合物の価数)エネル
ギー線照射によって陽イオン性の基或いは塩基性基を発
生または消失する基としては、本発明の第一の複合部材
の製造方法において用いられる、エネルギー線照射によ
って陰イオン交換性基を生成あるいは消失する感光性基
と同様なものを用いることができる。
【0269】本発明において、前述の感光性層の形成に
おいては、後述の複合部材形成用感光性化合物あるいは
複合部材形成用感光性組成物を含有する感光性材料を用
いることができる。
【0270】感光性層の形成方法 感光性層は、感光性基を有する感光性分子や感光性分子
を含有する感光性組成物を、多孔質体の空孔内表面にコ
ーティングすることによって形成することができる。或
いは、シランカップリング剤のように空孔内表面に存在
する官能基と結合する基と感光性基をあわせ持つ分子を
空孔内表面に結合させて感光性層を形成してもよい。
【0271】また、化学反応によって空孔内表面を改質
することにより感光性層を形成することもできる。例え
ば、界面グラフト重合法によって、空孔内表面に形成し
た成長点から感光性基を有する感光性グラフトポリマー
鎖を成長させて、空孔内表面を感光性グラフトポリマー
鎖によって被覆してもよい。更には、ポリイミド多孔質
シート等の芳香環を有するポリマー多孔質シートの空孔
内表面に、フリーデルクラフツ反応等によってスルホン
酸基等の官能基を導入して、導入した官能基を化学修飾
して感光性基を形成しても良い。
【0272】多孔質体の材料選択の幅が広いこと、及
び、感光性層を容易に形成できることから、空孔内表面
に感光性分子や感光性組成物からなる感光材料をコーテ
ィングして感光性層を形成することが最も好ましい。
【0273】コーティングする感光性材料としては、塗
布性が良好で、鍍金液などに対する耐性に優れることか
ら、感光性基が、本発明の第1あるいは第2の態様の複
合部材の製造方法において述べたのと同様なポリマーの
主鎖、あるいは側鎖中に導入されたものがよい。
【0274】コーティングするには、例えば、感光材料
の溶液を多孔質体に含浸させてから乾燥させれば良い。
感光材料の溶液を用いる場合には、多孔質体の空孔を閉
塞しないように希釈しておくことが望まれる。その他、
溶液をコーティングする手段は特に限定されず、ディッ
ピング法、スピンコート法、スプレー法等が用いられ
る。溶液をコーティングする以外にも、蒸着法やCVD
法により感光性層を形成しても良い。
【0275】感光性層は多孔質体の空孔内表面に空孔を
閉塞することなく薄く形成されていることが好ましい。
多孔質体そのものが感光性であっても良いが、照射する
エネルギー線の吸収が強くなるため、多孔質体の内部ま
で充分に露光することが難しくなる。照射するエネルギ
ー線に対して吸収が無いか、吸収が少ない材質からなる
多孔質体の表面に薄く感光性層が形成されるのが良い。
【0276】感光性層の層厚は特に限定されないが、好
ましくは1〜100nm、より望ましくは20〜50n
mの範囲に設定されるのが良い。あまり薄すぎるとイオ
ン交換性基の量が充分でなく、充分に鍍金液を浸透させ
ることが出来ない。また、あまり厚すぎると空孔を閉塞
してしまうおそれがある。また照射したエネルギー線が
表面付近で全て吸収されてしまって、多孔質体内部の感
光性層まで充分に感光させることができなくなってしま
う。
【0277】感光性層の層厚は空孔を閉塞しないよう
に、空孔径と比較して充分薄くするのは言うまでもな
い。感光性層の厚さは、空孔径の20%以下、好ましく
は10%以下であるのが良い。
【0278】2回露光する方法 パターン露光によって形成したイオン交換性基のパター
ンに保護基をキャップした後、全面露光してパターン露
光した部分以外にイオン交換性基を生成させて親水性化
してもよい。この方法によれば、パターン露光したパタ
ーンとは反転したパターンの導電部を形成することが可
能となる。イオン交換性基としてカルボキシル基を用い
て、このような2回の露光によって親水性と疎水性のパ
ターンを形成する方法が特開平6−202343号公報
に開示されており、この手法は本発明の複合部材の製造
方法の第二の態様にも適用することが出来る。
【0279】しかしながら、カルボキシル基は反応性が
充分でないため、強アルカリ性の鍍金液等に対する耐性
が高い保護基をキャップし難い。耐性の高い保護基をキ
ャップしようとすると、加熱が必要であったり特殊な試
薬が必要であったりして、プロセスが煩雑になり易い。
また酸性の電解銅鍍金液中などでは、充分に親水性を示
すことができない。これに対して、アミノ基等の陰イオ
ン交換性基は反応性が高いので、室温等の温和な条件で
耐性の高い保護基をキャップすることが可能である。ま
た酸性の電解銅鍍金液中でもイオン化して、充分な親水
性を示すことができる。
【0280】保護基としてキャップする化合物として
は、鍍金液をはじきやすい疎水性部位と陰イオン交換性
基と結合可能な結合性基を合わせ持つ化合物が良い。
【0281】疎水性部位としては例えば、置換または非
置換のアルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げ
られ、フッ素置換した基やシロキサン誘導体基等も用い
ることができる。
【0282】結合性基としては、例えば、フェノール性
水酸基、チオフェノール性水酸基、フッ素置換アルキル
基等に結合した水酸基やメルカプト基等の酸性の水酸基
やメルカプト基、カルボキシル基、スルホ基(スルホン
酸基)、ホスホノ基(リン酸基)等の酸性基が挙げられ
る。これらの酸性基は陰イオン交換性基の対イオンとし
て吸着したり、エステル結合等を形成して結合したりす
る。
【0283】また、アルデヒド基、エポキシ基、活性エ
ステル基、酸無水物誘導体基、マレイミド誘導体基、ア
ルコキシシリル基等の陰イオン交換性基であるアミノ基
等と反応して結合するものも用いることができる。鍍金
液等に対する耐性が高い結合を形成可能なことからアル
デヒド基、エポキシ基、活性エステル基、酸無水物誘導
体基、マレイミド誘導体基等を用いるのが良い。また、
アルコキシシリル基等の金属アルコキサイド誘導体基等
でも良い。活性エステル基としては、4−ニトロフェニ
ルオキシカルボニル基誘導体、ベンズイミジルオキシカ
ルボニル基誘導体等が挙げられる。アルコキシシリル基
としては例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシ
シリル基、トリイソプロポキシシリル基、メトキシジメ
チルシリル基等が挙げられる。
【0284】(D)鍍金液の浸透 多孔質体内の照射部或いは未照射部の絶縁性の領域に選
択的に鍍金液を浸透させる方法は特に限定されず様々な
手法を用いることができる。通常は多孔質体を鍍金液に
浸漬するのが良い。
【0285】(E)電解鍍金 電解鍍金する方法や用いる鍍金液は特に限定されず、広
く公知の鍍金方法と鍍金液を用いることができる。特に
陰イオン交換性基を生成または消失する感光性層が形成
された多孔質体を用いる場合には、酸性の鍍金液を用い
るのがよい。鍍金液は通常、金属イオンや金属含有イオ
ンが含まれるものを用いるが、例えばポリマーやセラミ
ックスの微粒子が鍍金液中に分散したものを用いても良
い。また電解鍍金させる物質は金属に限らず、セラミッ
クスやポリマーなどでもよい。
【0286】多孔質体の空孔内での鍍金析出を促進し、
鍍金が多孔質体外に露出した後の鍍金析出を抑制するた
めに、レベリング剤を添加するのが良い。多孔質体内は
鍍金液の供給が充分でないため、一旦鍍金が多孔質体外
に露出した部分が優先的に鍍金されてしまい易い。レベ
リング剤を添加することによって、多孔質体内に均一に
鍍金することが可能となる。レベリング剤としては特に
限定されず広く公知のものを用いることができ、例え
ば、塩化カルシウム等から得られる塩化物イオンなどが
挙げられる。また電極に印加する極性を激しく入れ替え
るパルス鍍金を行うことによって、多孔質体外に露出し
た部分に優先的に鍍金が析出してしまうことを抑制する
ことができる。
【0287】(3) 「リールtoリール」連続工程 以上述べたような第1の態様、第2の態様、および第3
の態様の複合部材の製造方法は、帯状の基材を用いて
「リールtoリール」の連続工程で行うことが可能であ
る。図3に「リールtoリール」の連続工程で行う本発
明の第1あるいは第2の態様の複合部材の製造方法の一
例を示す。リール14から感光性層を形成した帯状の基
材を供給する。露光装置15で配線のパターンを露光し
て感光性層に配線のパターン通りの潜像を形成する。潜
像を形成した基材を塩化白金酸水溶液などの鍍金核の溶
液が入った鍍金核吸着槽16に導入して、基材上のイオ
ン交換性基に鍍金核を吸着させる。余分の鍍金核溶液を
エアーナイフ17で除去する。さらに水洗用槽18で残
留している余分の鍍金液溶液を洗浄する。余分の洗浄水
をエアーナイフで除去する。次に還元槽19に基材を導
入して、鍍金核を還元して、鍍金核を活性化させる。鍍
金核が金属コロイドの場合は特に還元槽を通す必要はな
い。余分の還元液を水洗用槽20で洗浄してから、無電
解鍍金槽21で無電解鍍金して導電部を形成する。無電
解鍍金後、水洗用槽22で余分な鍍金液を除去した後、
導電部を形成した基材を乾燥器23で乾燥してからリー
ル24に収納する。
【0288】図4には「リールtoリール」の連続工程
で行う本発明の第3の態様の複合部材の製造方法の一例
を示す。リール25からは帯状の基材として、両面を保
護フィルムで保護された感光性の多孔質シート26が供
給される。保護フィルム28はロール27によって剥が
し取られてリール29に回収される。保護フィルムを剥
がされた多孔質シートに露光装置30で配線パターンを
露光して潜像(鍍金液浸透性領域のパターン)を形成す
る。潜像が形成された多孔質シート31は、ロール状電
極32に密着して巻き付いたまま、電解鍍金液33が満
たされた電解鍍金液槽34に導入される。この際、多孔
質シートの鍍金液浸透性領域に電解鍍金液が浸透する。
さらにロール状電極32に通電されることによって、鍍
金液浸透性領域内で鍍金が析出して導電部が形成され
る。導電部が形成された多孔質シート36は、余分な鍍
金液をエアーナイフ35で除去した後、水洗用槽37に
て洗浄する。導電部が形成された多孔質シートは洗浄
後、乾燥器39で乾燥した後、リール40に収納され
る。
【0289】[IV] 複合部材形成用多孔質基材(第
4の態様) 次に、本発明の複合部材形成用多孔質基材について述べ
る。
【0290】上記、第1の態様、第2の態様、あるいは
第3の態様の複合部材の製造方法において用いられる本
発明の複合部材形成用多孔質基材としては、空孔を有す
る多孔質体と、該空孔内の表面に形成されているエネル
ギー線の照射により陰イオン交換性基が生成或いは消失
される感光性層とから構成されている。
【0291】(1) 空孔を有する多孔質体 上記空孔を有する多孔質体としては、具体的にはポリマ
ー材料等のシートに三次元連続空孔が形成された多孔質
シートや、ポリマー繊維やセラミックス繊維を三次元網
目状に絡めたクロスや不織布等が用いられる。
【0292】具体的には、例えば、ポリプロピレン、ポ
リテトラフルオロエチレン等の結晶性ポリマーのシート
を延伸して製作したものや、ポリマーのスピノーダル分
解やミクロ相分離等の相分離現象を利用して形成したポ
リイミド等の多孔質体でも良い。
【0293】クロスや不織布としてはセラミックス繊維
やポリマー繊維から製作したものが用いられる。
【0294】セラミック繊維としては、例えば、シリカ
ガラス繊維、アルミナ繊維、シリコンカーバイト繊維、
チタン酸カリウム繊維等が用いられる。
【0295】ポリマー繊維としては、例えば、芳香族ポ
リアミド繊維、芳香族ポリエステル繊維等の液晶性ポリ
マーや高Tgポリマー繊維や、PTFE繊維等のフッ素
系ポリマー繊維、ポリパラフェニレンスルフィド繊維、
芳香族ポリイミド繊維、ポリベンゾオキサゾール誘導体
繊維等が用いられる。
【0296】上記セラミック繊維とポリマー繊維を混ぜ
ても良いし,セラミックスとポリマーの複合繊維でも良
い。
【0297】クロスよりも不織布の方がより三次元的に
繊維が絡み合って、多孔質構造の異方性が少ない上、空
孔径が均一であるためことから好ましい。不織布として
は、メルトブロー法によって製作したポリマーの不織布
や、芳香族ポリアミド等の液晶性ポリマーの繊維を細か
く粉砕して得られる直径が0.1〜0.3μm程度の微
細な繊維を漉いた不織布などが、繊維径が微細で空孔径
も均一であることから好ましい。これらの不織布は寸法
安定性を向上させるために、繊維同士を溶着させたり、
ポリマー等をコーティングすることによって、繊維同士
がずれたりしないようにするのが良い。
【0298】空孔の平均空孔径は0.05〜5μmの範
囲で設定されることが好ましく、更には0.1〜0.5
μmの範囲であることが望ましい。あまり空孔径が小さ
すぎると鍍金液等が充分多孔質内部まで浸透せず、空孔
径が大きすぎると微細な鍍金金属のパターンを形成する
ことが難しい上、紫外線や可視光線等で露光する場合に
露光光線が多孔質構造によって散乱されてしまいコント
ラスト良くパターン露光することが難しい。空孔径は均
一であるのが良い。空孔率は20〜95%の範囲に設定
されることが好ましく、更には45〜90%の範囲であ
ることが望ましい。あまり空孔率が小さすぎると、鍍金
液等が充分浸透しなかったり、形成され鍍金金属のパタ
ーンの導電性が低かったりする。あまり空孔率が大きす
ぎると多孔質体の強度が充分でなく、寸法安定性も悪く
なってしまう。
【0299】親水性化処理 本発明の第1および第2の態様の複合部材の製造方法に
用いられる場合は、基材の表面は、鍍金液等との濡れ性
を良くするために親水性化処理するのが良い。特に、基
材として多孔質体を用い、多孔質体内部まで鍍金する場
合には親水性化処理は重要である。
【0300】親水性化処理する方法は、特に限定されず
広く公知の手法を用いることができる。例えば、ポリビ
ニルアルコール等の親水性ポリマー等の親水性物質を塗
布する方法や、光学的、熱的、化学的処理等により表面
を改質する方法等が用いられる。
【0301】具体的には、酸素気流下、或いは、オゾン
気流下等で紫外線を照射したり、オゾン雰囲気やオゾン
溶液に暴露して基材表面を酸化する。また、例えば、大
気中、或いは、真空中の酸素プラズマ処理によって基材
表面を酸化する手法もある。また、酸やアルカリで処理
したりしても良い。更には、特開2000−29041
3号公報に開示されているような酸化手法によって親水
性化しても良い。
【0302】ポリマーやガラス等に酸化処理を行うと、
カルボキシル基やシラノール基等の金属陽イオンを吸着
できる酸性基が発生する。しかしながら、前述したよう
に、陰イオン交換性基を用いる本発明の第1および第2
の態様の複合部材の製造方法によれば、これら酸性基が
存在しても鍍金が異常析出するおそれはない。
【0303】(2) 感光性層 上記空孔内の表面に形成されているエネルギー線の照射
により陰イオン交換性基が生成或いは消失される感光性
層とは、多孔質体の空孔内の表面に形成された層であ
り、エネルギー線照射によって陰イオン交換性基を生成
あるいは消失する感光性基を有する層である。
【0304】(a)陰イオン交換性基 上記陰イオン交換性基とは、陰イオンを吸着可能な基の
ことであり、陽イオン性の基か、塩基性の基のことであ
る。
【0305】陽イオン性の基 具体的には、陽イオン性の基としては、例えば、アンモ
ニウム基等の脂肪族系アミン、或いは、芳香族系アミン
の四級アンモニウム塩誘導体基、或いは、ピリジニウム
基やイミダゾリウム基等の含窒素複素環の四級アンモニ
ウム塩誘導体基が挙げられる。
【0306】塩基性基 塩基性基としては、脂肪族系や芳香族系のアミノ基、ピ
リジン残基やイミダゾール残基等の含窒素複素環誘導体
基が挙げられる。
【0307】(b)感光性層の形成感光性層 感光性層は、感光性基を有する感光性化合物のみから構
成することができるが、他の化合物との混合体であって
も良い。こうした感光性基を含む感光性層を所望のパタ
ーンでエネルギー線を照射することによって、照射部位
にイオン交換性基を生成または消失させる。特に本発明
の第1の態様の複合部材の製造方法に用いる場合は、感
光性層は膨潤性を有するのが、鍍金核の吸着量が多いた
め良い。
【0308】感光性層の形成 感光性層は、感光性基および架橋性基を有する感光性化
合物や、感光性分子を含有する感光性組成物を、基材表
面にコーティングすることによって形成することができ
る。或いは、シランカップリング剤のように基材表面に
存在する官能基と結合する基と感光性基を合わせ持つ分
子を基材表面に結合させて感光性層を形成しても良い。
【0309】また、化学反応によって基材表面を改質す
ることにより感光性層を形成することもできる。
【0310】例えば、界面グラフト重合法によって、基
材表面に形成した成長点から感光性基を有する感光性グ
ラフトポリマー鎖を成長させて、基材表面を感光性グラ
フトポリマー鎖によって被覆しても良い。更には、ポリ
イミド多孔質シート等の芳香環を有するポリマー多孔質
シートの基材表面に官能基を導入して、導入した官能基
を化学修飾して感光性基を形成しても良い。官能基を導
入するにはフリーデルクラフツ反応等によってスルホン
酸基等を導入しても良いし、特開2000−29041
3に開示されているような酸化手法によって水酸基やカ
ルボキシル基を導入しても良い。基材の材料選択の幅が
広いこと、及び、感光性層を容易に形成できることか
ら、基材表面に感光性分子や感光性組成物からなる感光
材料をコーティングして感光性層を形成することが最も
好ましい。
【0311】感光性層の層厚は特に限定されないが、好
ましくは1〜100nm、より望ましくは20〜50n
mの範囲に設定されるのが良い。あまり薄すぎるとイオ
ン交換性基の量が充分でなく、充分に鍍金液を浸透させ
ることが出来なかったり、鍍金核の吸着量が充分でな
い。また、あまり厚すぎると空孔を閉塞してしまうおそ
れがある。また照射したエネルギー線が表面付近で全て
吸収されてしまって、多孔質体内部の感光性層まで充分
に感光させることができなくなってしまう。
【0312】感光性層の層厚は空孔を閉塞しないよう
に、空孔径と比較して充分薄くするのは言うまでもな
い。感光性層の厚さは、空孔径の20%以下、好ましく
は10%以下であるのが良い。
【0313】(c)感光性基 感光性基とは、照射されたエネルギー線を吸収すること
によって単独で化学反応して陰イオン交換性基を発生す
るもの、或いは、照射により化学反応を生じて何らかの
陰イオン交換性基の前駆体を生じ、前記前駆体がさらに
周囲に存在する物質と化学反応を生じることにより陰イ
オン交換性基を生成するもの、更には、エネルギー線照
射によって塩基発生剤から発生した塩基等と作用して陰
イオン交換性基を生成するもの、あるいは陰イオン交換
性基を消失するもののいずれかである。なかでも単独で
化学反応して陰イオン交換性基を発生あるいは消失する
感光性基が最も良い。なぜなら単独で反応するために、
湿度などの周囲の雰囲気の影響を受けにくく、また感光
性基を有する化合物を含む組成物を塗布することよって
感光性層を形成する際などに起こりやすい、組成の偏り
に起因する反応性のばらつきを防止することが可能だか
らである。また照射によって生じた前駆体が周囲の物質
と化学反応して陰イオン交換性基を生ずる場合も、周囲
の物質が水などの湿気として大気中にあたりまえに含有
される物質や、感光性層中にあらかじめ混合などされて
含有されている物質であるのがプロセスが簡略であるた
め優れている。
【0314】エネルギー線を吸収して単独で陰イオン交
換性基を生成する感光性基としては、例えばアミン等の
塩基性基を生成するカルバモイルオキシム誘導体基、カ
ルバミン酸誘導体基、ホルムアミド誘導体基等が挙げら
れる。ピペリジン誘導体のカルバミン酸誘導体は塩基が
触媒となって熱的にアミンであるピペリジン誘導体を生
成する。この為、他の塩基性基を生成する感光性基と組
み合わせることによって、少ない露光量で多量の塩基性
基を発生することが可能である。
【0315】エネルギー線照射により化学反応を生じて
何らかの陰イオン交換性基の前駆体を生じ、前記前駆体
が更に化学反応を生じることにより陰イオン交換性基を
生成するもの、いわゆる照射による化学反応をきっかけ
とする多段階反応により陰イオン交換性基を生じる感光
性基としては、例えば、アシルオキシム誘導体基、アジ
ド誘導体基が挙げられる。
【0316】エネルギー線照射によって塩基発生剤から
発生した塩基等と作用して陰イオン交換性基を生成する
感光性基としては、ピペリジン誘導体のカルバミン酸誘
導体基等が挙げられる。
【0317】光塩基発生剤 この塩基等と作用して陰イオン交換性基を生成する感光
性基を用いる場合はエネルギー線照射で塩基を発生する
光塩基発生剤を添加する。エネルギー線を照射すると、
光塩基発生剤から塩基が発生し、その発生した塩基で前
記保護基が分解して陰イオン交換性基が生成する。
【0318】光塩基発生剤としては、例えば、コバルト
アミン錯体、ケトンオキシムエステル類、o−ニトロベ
ンジルカルバメート類等のカルバメート類、ホルムアミ
ド類等が用いられ、具体的には、例えば、みどり化学製
NBC−101(CAS.No.[119137−03
−0])等のカルバメート類やみどり化学製TPS−O
H(CAS.No.[58621−56−0])等のト
リアリールスルホニウム塩類が用いられる。
【0319】光塩基発生剤を用いる代わりに、光酸発生
剤と塩基性化合物を組み合わせても良い。すなわち、エ
ネルギー線照射部位においては光酸発生剤から酸が発生
して塩基性化合物を中和する。
【0320】これに対して未照射部位においては塩基性
化合物が作用して陰イオン交換性基が生成する。これに
より未照射部位にのみ選択的に陰イオン交換性基を配置
することが可能となる。
【0321】光酸発生剤 光酸発生剤としては、CFSO 、p−CHPh
SO 、p−NOPhSO 等を対アニオンとす
るオニウム塩、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、ヨー
ドニウム塩等の塩、トリアジン類、有機ハロゲン化合
物、2−ニトロベンジルスルホン酸エステル類、イミノ
スルホネート類、N−スルホニロキシイミド類、芳香族
スルホン類、キノンジアジドスルホン酸エステル類等を
用いることができる。
【0322】具体的には、光酸発生剤としては、例え
ば、トリフェニルスルフォニウムトリフレート、ジフェ
ニルヨードニウムトリフレート、2,3,4,4−テト
ラヒドロキシベンゾフェノン−4−ナフトキノンジアジ
ドスルフォネート、4−N−フェニルアミノ−2−メト
キシフェニルジアゾニウムスルフェート、ジフェニルス
ルフォニルメタン、ジフェニルスルフォニルジアゾメタ
ン、ジフェニルジスルホン、α−メチルベンゾイントシ
レート、ピロガロールトリメシレート、ベンゾイントシ
レート、ナフタルイミジルトリフルオロメタンスルホネ
ート、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテ
ニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリ
アジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−
4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、
2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニ
ル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−
s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノエチ
ル)アミノ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s
−トリアジン・ジメチル硫酸塩、2−[2−(3,4−
ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリ
クロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−ジメトキ
シフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s
−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロ
メチル)−s−トリアジン、及び、2,4,6−トリス
(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が挙げられ
る。
【0323】これら光酸発生剤と、酸により新たに自己
触媒的に酸を発生する酸増殖剤とを組み合わせて用いて
も良い。また、光酸発生性の酸増殖剤を単独で用いても
もちろん良い。
【0324】酸増殖剤 酸増殖剤としては、例えば、t−ブチル 2−メチル−
2−(p−トルエンスルホニロキシメチル)アセトアセ
テートおよびその誘導体、シス−1−フェニル−2−
(p−トルエンスルホニロキシ)−1−シクロヘキサノ
ールおよびその誘導体、3−ニトロ−4−(t−ブトキ
シカルボニロキシ)ベンジルトシレートおよびその誘導
体、3−フェニル−3,3−エチレンジオキシプロピル
トシレートなど3−フェニル−3,3−エチレンジオキ
シプロピルスルホネート誘導体、シス−3−(p−トル
エンスルホニルオキシ)−2−ピナノールなどの2−ヒ
ドロキシビシクロアルカン−1−スルホネート誘導体、
1,4−ビス(p−トルエンスルホニルオキシ)シクロ
ヘキサンなどの1,4−シクロヘキサンジオールのスル
ホネート誘導体、2,4,6−トリス[2−(p−トル
エンスルホニルオキシ)エチル]−1,3,5−トリオ
キサンなどのトリオキサン誘導体等が挙げられる。光酸
発生性の酸増殖剤としては、3−フェニル−3,3−o
−ニトロフェニルエチレンジオキシプロピルトシレート
などの3−フェニル−3,3−エチレンジオキシプロピ
ルスルホネート誘導体が挙げられる。
【0325】塩基性化合物 また、用いる塩基性化合物は、光酸発生剤から放出され
る酸によって中和され、かつ陰イオン交換性基の生成反
応の触媒として作用するものであれば任意のものを用い
ることができ、有機化合物、無機化合物いずれでも構わ
ない。好ましくはアンモニア、一級アミン類、二級アミ
ン類、三級アミン類等が挙げられる。
【0326】エネルギー線照射により陰イオン交換性基
を消失する感光性基とは、すなわち照射前には陰イオン
交換性基を有し、この陰イオン交換性基がエネルギー線
照射によって脱離するか、疎水性基に変化する基であ
る。
【0327】具体的には、例えば、Cl、PF
AsF 、SbF 、BF 、ClO 、CF
SO 、HSO 、FSO 、FPO
p−CH−C−SO 、p−NO−C
−SO 等の陰イオンを対アニオンとするジアゾニ
ウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウ
ム塩やセレノニウム塩等のオニウム塩等の構造を有する
基が挙げられる。これらは陰イオン交換反応によって金
属含有イオンや金属含有化合物を吸着することが可能で
ある。正電荷に帯電しているため、金属コロイドを吸着
することができる。またエネルギー線照射によって分解
して、非イオン性になることによって、鍍金核を吸着し
難くなる。
【0328】感光性層は鍍金核を吸着させる際や鍍金の
際に、アルカリまたは酸性の水溶液中に曝されるため、
それらに溶解し難いように陰イオン交換性基を生成ある
いは消失する感光性基がポリマーや高分子化合物等に担
持、或いは、結合されているものが好ましい。本発明に
おけるポリマーとは繰り返し単位を有する高分子重合体
のことを示し、高分子化合物とは、特定の繰り返し単位
を有さない高分子のことを示す。
【0329】ポリマーとしては、フェノールノボラック
樹脂、キシレノールノボラック樹脂、ビニルフェノール
樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のフェノール系樹脂
やポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹
脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアクリル酸エステル誘導
体やポリメタクリル酸エステル誘導体などのアクリル樹
脂系樹脂、ポリシロキサン誘導体等が挙げられる。これ
らの中でも塗布性などの観点からフェノール系樹脂やア
クリル樹脂系樹脂を用いることが好ましい。
【0330】高分子化合物としては、芳香環および炭素
鎖よりなる高分子化合物で、好ましくは枝分かれしてい
るものがよい。
【0331】ポリマーあるいは高分子化合物の分子量は
特に限定されないが、分子量(ポリマーの場合は重量平
均分子量)が1000〜500万であることが好まし
く、2000〜5万であることがより望ましい。
【0332】ポリマーあるいは高分子化合物の分子量が
小さすぎる場合には、成膜性が悪く、鍍金液等に対する
耐溶剤性も低下するおそれがある。すなわち鍍金液等に
溶解しやすくなる。また、溶剤に対する耐性を損なうこ
となく、ポリマーあるいは高分子化合物に膨潤性を付与
することは困難である。一方、分子量が過剰に大きい場
合には、塗布用の溶媒への溶解性が低下するうえ、塗布
性も悪くなってしまう。
【0333】またポリマーあるいは高分子化合物中の感
光性基の導入量が少なすぎると充分に鍍金核を吸着させ
ることができないし、多すぎると鍍金液等へ溶解し易く
なるうえ、製作した複合部材が吸湿し易くなり、絶縁不
良等の不具合を起こし易くなる。
【0334】陰イオン交換性基を生成したり消失したり
する感光性基のポリマーあるいは高分子化合物中への導
入率は好ましくは5〜300%、より望ましくは30〜
70%の範囲の導入率とするのが良い。ここでの導入率
とはそれぞれ以下の式で表される。
【0335】ポリマーへの感光性基の導入率(%)=
(陰イオン交換性基を生成あるいは消失する基の数)÷
(ポリマーのモノマー単位の数)×100 高分子化合物への感光性基の導入率(%)=(陰イオン
交換性基を生成あるいは消失する基の数)÷(高分子化
合物の分子量÷100)×100 耐溶剤性を高めて、鍍金液等へ溶解し難くするには、ポ
リマーあるいは高分子化合物を架橋するのが良い。ポリ
マーあるいは高分子化合物を架橋するには、有機過酸化
物等のラジカル発生剤を添加して、ポリマーあるいは高
分子化合物中の水素引き抜き反応によりポリマーあるい
は高分子化合物の分子間に炭素―炭素結合を生成させる
等してもよい。またポリマーの主鎖あるいは側鎖に架橋
性基を導入しても良い。
【0336】架橋性基 架橋性基としては、架橋性基同士が自己重合して架橋し
ても良いし、感光性層中の他の物質と結合形成して架橋
しても良い。
【0337】自己重合できる架橋性基の具体例として
は、例えば、グリシジル基のようなエポキシ基、ビニル
エーテル基、クロロメチルフェニル基、メチロール基、
ベンゾシクロブテン基、ビニル基、アクリロイル基、メ
タクリロイル基、マレイミジル基、アルコキシシリル
基、アセトキシシリル基、エノキシシリル基、及び、オ
キシムシリル基、及び、これらの誘導体基等が挙げられ
る。
【0338】これらの架橋性基は必要に応じて、光照射
や加熱、或いは、触媒を作用させることによって架橋さ
せる。
【0339】触媒としては、エポキシ基、メチロール
基、ビニルエーテル基、アルコキシシリル基、アセトキ
シシリル基、エノキシシリル基、及び、オキシムシリル
基等には酸や塩基の触媒を用い、ビニル基、アクリロイ
ル基、メタクリロイル基、マレイミジル基等の多重結合
を有する基などのラジカル重合性基にはラジカル発生剤
を用いる。ラジカル反応によって架橋する架橋性基は、
架橋によって生じた結合が、鍍金液等強アルカリ液や強
酸性液等に対する耐性に優れており好ましい。
【0340】また、常温でも速やかに反応が進行するた
め、通常は加熱処理が不要である。このため、基材であ
る基材の加熱処理に伴なう寸法安定性の低下や熱劣化を
防止することが可能である。
【0341】感光性層中の他の物質と結合形成して架橋
させる場合の架橋性基としては、例えば、水酸基、イソ
シアネート基、カルボン酸無水物基、マレイミジル基、
アルデヒド基、アルコキシシリル基等が挙げられる。
【0342】架橋助剤 この際、これらの架橋性基と結合して架橋結合を形成す
るために、架橋性基と結合可能な基を、1分子中に複数
有する架橋助剤が用いられる。
【0343】架橋助剤としては、例えば、水酸基にはア
ルコキシシラン類、アルミニウムアルコキサイド類、カ
ルボン酸無水物、ビスマレイミド誘導体、イソシアネー
ト化合物、多価メチロール化合物、およびエポキシ化合
物等が用いられる。イソシアネート基、カルボン酸無水
物基、アルコキシシリル基には多価アルコール等が用い
られる。
【0344】陰イオン交換性基と反応して架橋するもの
でも良い。例えば、エポキシ基、クロロメチルフェニル
基、メチロール基、アルコキシシリル基、マレイミジル
基、イソシアネート基、カルボン酸無水物基、アルデヒ
ド基等はアミノ基等と反応して架橋する。特にエポキシ
基はアミノ基が反応した後も、鍍金核を吸着する性質を
良好に保持できるため優れている。
【0345】また、単にこれらの基を1分子中に複数有
する架橋助剤を添加して、陰イオン交換性基が導入され
たポリマーを相互に架橋しても良い。これらの場合にも
適宜、酸触媒等の触媒を添加しても良い。
【0346】架橋性基としては、エネルギー線照射によ
って二量化するような以下の基を用いることもできる。
このような基は、エネルギー線の一部を吸収するが、照
射部のみを選択的に架橋することができる点で優れてい
る。例えば、シンナモイル基、シンナミリデン基、カル
コン残基、イソクマリン残基、2,5−ジメトキシスチ
ルベン残基、スチリルピリジニウム残基、チミン残基、
α−フェニルマレイミジル基、アントラセン残基、およ
び2−ピロン残基である。
【0347】ポリマーあるいは高分子化合物への架橋性
基の導入率は好ましくは1〜100%の範囲内であり、
より望ましくは10〜50%の範囲の導入率とするのが
良い。ここでの導入率とはそれぞれ以下の式で表わされ
る。
【0348】ポリマーへの架橋性基の導入率(%)=
(架橋性基の数)÷(ポリマーのモノマー単位の数)×
100 高分子化合物への架橋性基の導入率(%)=(陰イオン
交換性基を生成あるいは消失する基の数)÷(高分子化
合物の分子量÷100)×100 ポリマーあるいは高分子化合物への架橋性基の導入率が
少なすぎる場合には、充分に架橋させることが困難とな
るので、鍍金液等へ溶解し易くなる。一方、架橋性基が
過剰に導入されていると、架橋した際に、鍍金核溶液な
どに膨潤しにくくなる上、感光層が硬化収縮して、基材
が変形したり、基材から感光層が剥離するおそれがあ
る。
【0349】架橋反応は、感光性層を形成した後に行う
のが良い。感光性層を形成する前に架橋してしまうと、
ポリマーの溶媒への溶解性が低下して、絶縁性基材への
塗布が困難となってしまう。感光性層を形成後、加熱、
エネルギー線照射、空気中の湿気等の刺激によって架橋
反応を進行させるのが良い。
【0350】エネルギー線照射は、陰イオン交換性基を
発生あるいは消失させる際のエネルギー線照射によって
兼ねるのが良い。
【0351】エネルギー線 照射するエネルギー線としては、紫外線、可視光線、赤
外線等の光線や、X線、電子線、α線、γ線、重粒子線
等特に限定されない。通常は紫外線、可視光線、電子線
等が最もよく用いられる。
【0352】また、エネルギー線照射によって活性化す
る触媒を配合することもできる。
【0353】該触媒としては、光酸発生剤、光塩基発生
剤、ラジカル発生剤が用いられる。
【0354】既に説明したように、架橋反応はラジカル
反応であることが最も望ましく、ラジカル発生剤をラジ
カル重合性の架橋性化合物や架橋性基と組み合わせて用
いることが好ましい。
【0355】ラジカル発生剤 ラジカル発生剤としては、例えば、以下のような有機過
酸化物類を用いることができる。
【0356】例えば、メチルエチルケトンパーオキシ
ド、シクロヘキサノンパーオキシド、メチルシクロヘキ
サノンパーオキシド、メチルアセトアセテートパーオキ
シド、アセチルアセトンパーオキシド等のケトンパーオ
キサイド類、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)
−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビ
ス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1
−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメ
チルシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキシ−2−
メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパー
オキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパ
ーオキシ)シクロドデカン、2,2−ビス(t−ブチル
パーオキシ)ブタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−
ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(4,4
−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン
等のパーオキシケタール類、p−メンタンハイドロパー
オキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキ
サイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロ
パーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、t−ヘキ
シルハイドロパーオキシド、t−ブチルハイドロパーオ
キシド等のハイドロパーオキサイド類、α,α’−ビス
(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジ
クミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス
(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミル
パーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、2,5−
ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキ
シン等のジアルキルパーオキサイド類、イソブチリルパ
ーオキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパー
オキシド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパ
ーオキサイド、ステアロイルパーオキシド、スクシニッ
クアッシドパーオキサイド、m−トルオイルアンドベン
ゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等の
ジアシルパーオキサイド類、ジ−n−プロピルパーオキ
シジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボ
ネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオ
キシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキ
シジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシ
ジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジ
カーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)
パーオキシジカーボネート等のパーオキシカーボネート
類、α,α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイ
ソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエー
ト、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネ
オドデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエ
チルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオ
キシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカ
ノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブ
チルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメ
チルブチルパーオキシー2−エチルヘキサノエート、
2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノ
イルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−
メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、
t−ヘキシルパーオキシ 2−エチルヘキサノエート、
t−ブチルパーオキシ 2−エチルヘキサノエート、t
−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ヘキシルパー
オキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパー
オキシメレイクアシッド、t−ブチルパーオキシ 3,
5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオ
キシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m
−トルイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキ
シ イソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオ
キシ 2−エチルヘキシル モノカーボネート、t−ヘ
キシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−
2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−
ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−
m−トルイルベンゾエート、t−ブチルパーオキシベン
ゾエート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレー
ト等のパーオキシエステル類、t−ブチルパーオキシア
リルモノカーボネート、t−ブチルトリメチルシリルパ
ーオキシド、3,3’,4,4’−テトラキス(t−ブ
チルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、及び、
2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン等であ
る。特に、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパー
オキシシクロヘキシル)プロパン、及び、3,3’,
4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)
ベンゾフェノン等の多官能ラジカル発生剤は、架橋助剤
としても作用するため好ましい。また、過酸化物以外の
アゾビスイソブチロニトリル等アゾニトリル類を用いる
こともできる。
【0357】増感剤 感光性層に各種増感剤を添加しても良い。増感剤を添加
することによって感度を向上したり、用いる光源に合わ
せて感光波長を様々に変化させることが可能となる。
【0358】また、多孔質基材内部まで感光させようと
する場合、基材の吸収波長以外の波長の光等の基材を透
過し易いエネルギー線で感光させるのが好ましい。
【0359】例えば、ポリイミドの多孔質基材等は多く
の場合、約500nm以下の光を吸収してしまうため、
例えば、g線やi線等では多孔質内部まで露光すること
は難しい。こうした場合でも500nm以上の波長領域
に吸収帯を有する可視光増感剤を用いることで、多孔質
内部まで良好に感光させることが可能となる。
【0360】増感剤の具体例としては、例えば、芳香族
炭化水素及びその誘導体、ベンゾフェノン及びその誘導
体、o−ベンゾイル安息香酸エステル及びその誘導体、
アセトフェノン及びその誘導体、ベンゾイン並びにベン
ゾインエーテル及びその誘導体、キサントン及びその誘
導体、チオキサントン及びその誘導体ジスルフィド化合
物、キノン系化合物、ハロゲン化炭化水素含有化合物並
びにアミン類、3−エチル−5−[(3−エチル−2
(3H)−ベンゾチアゾリリデン)エチリデン]−2−
チオキソ−4−オキアゾリジノン、5−[(1,3−ジ
ヒドロ−1,3,3−トリメチル−2H−インドール−
2−イリデン)エチリデン]−3−エチル−2−チオキ
ソ−4−オキサゾリジノン等のメロシアニン系色素、3
−ブチル−1,1−ジメチル−2−[2[2−ジフェニ
ルアミノ−3−[(3−ブチル−1,3−ジヒドロ−
1,1−ジメチル−2H−ベンズ[e]インドール−2
−イリデン)エチリデン]−1−シクロペンテン−1−
イル]エチエニル]−1H−ベンズ[e]インドリウム
パーコレート、2−[2−[2−クロロ−3−[(3
−エチル−1,3−ジヒドロ−1,1−ジメチル−2H
−ベンズ[e]インドール−2−イリデン)エチリデ
ン]−1−シクロヘキセン−1−イル]エテニル]−
1,1−ジメチル−3−エチル−1H−ベンズ[e]イ
ンドリウム テトラフルオロボレート、2−[2−[2
−クロロ−3−[(3−エチル−1,3−ジヒドロ−
1,1−ジメチル−2H−ベンズ[e]インドール−2
−イリデン)エチリデン]−1−シクロペンテン−1−
イル]エテニル]−1,1−ジメチル−3−エチル−1
H−ベンズ[e]インドリウム アイオダイド等のシア
ニン系色素、スクアリウム系シアニン色素、2−[p−
(ジメチルアミノ)スチリル]ベンゾチアゾール、2−
[p−(ジメチルアミノ)スチリル]ナフト[1,2−
d]チアゾール、2−[(m−ヒドロキシ−p−メトキ
シ)スチリル]ベンゾチアゾール等のスチリル系色素、
エオシンB(C.I.No.45400)、エオシンJ
(C.I.No.45380)、シアノシン(C.I.
No.45410)、ベンガルローズ、エリスロシン
(C.I.No.45430)、2,3,7−トリヒド
ロキシ−9−フェニルキサンテン−6−オン、ローダミ
ン6G等のキサンテン色素、チオニン(C.I.No.
52000)、アズレA(C.I.No.5200
5)、アズレC(C.I.No.52002)等のチア
ジン色素、ピロニンB(C.I.No.45005)、
ピロニンGY(C.I.No.45005)等のピロニ
ン色素、3−アセチルクマリン、3−アセチル−7−ジ
エチルアミノクマリン、3−(2−ベンゾチアゾリル)
−7−(ジエチルアミノ)クマリン、3−(2−ベンゾ
チアゾリル)−7−(ジブチルアミノ)クマリン、3−
(2−ベンズイミダゾリル)−7−(ジエチルアミノ)
クマリン、10−(2−ベンゾチアゾリル)−2,3,
6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル
−1H,5H,11H−[1]ベンゾピラノ[6,7,
8−ij]キノリジン−11−オン、3−(2−ベンゾ
チアゾリル)−7−(ジオクチルアミノ)クマリン、3
−カルベトキシ−7−(ジエチルアミノ)クマリン、1
0−[3−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−1−
オキソ−2−プロペニル]−2,3,6,7−テトラヒ
ドロ−1,1,7,7−テトラメチル−1H,5H,1
1H−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリ
ジン−11−オン等のクマリン系色素、3,3’−カル
ボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3,3’
−カルボニル−7−ジエチルアミノクマリン−7’−ビ
ス(ブトキシエチル)アミノクマリン、3,3’−カル
ボニルビス(7−ジブチルアミノクマリン)等のケトク
マリン系色素、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル
−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラ
ン、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p
−ジブチルアミノスチリル)−4H−ピラン等のDCM
系色素がある。
【0361】このような増感剤の配合割合は露光により
陰イオン交換性基を生成あるいは消失する化合物に対し
て、通常0.001〜10重量%、好ましくは0.01
〜5重量%であることが望ましい。
【0362】増感剤は感光性層中に単に混ぜ込むだけで
なく、例えば感光性基を有するポリマーの側鎖等に導入
しても良い。また感光性層が充分薄い場合には、増感剤
を含む層を感光性層上に積層しても良い。
【0363】本発明において、前述の感光性層の形成に
おいては、後述の複合部材形成用感光性化合物あるいは
複合部材形成用感光性組成物を含有する感光性材料を用
いることができる。
【0364】(4) 保護フィルム 多孔質基材は部材表面をポリマーや金属の保護フィルム
によって包まれていることが望ましい。例えば、シート
状の多孔質体の場合、2枚の保護フィルムに挟まれてい
る状態が良い。保護フィルムによって多孔質体内部への
酸素や湿気の侵入を防止し、感光性層の劣化を防止し、
多孔質体の保存安定性を大幅に改善することが可能であ
る。ドライフィルムレジスト等も通常、保護フィルムで
ラミネートされるが、多孔質体はこうしたドライフィル
ムレジスト等と比較して、外気に接する表面積が大きい
ために、感光性層が酸素や湿気あるいは空気中の酸や塩
基等の影響を受け易い。
【0365】保護フィルムは多孔質体の保存安定性の向
上に非常に効果的である。多孔質体の空孔内には乾燥し
た窒素やアルゴンガス等を充填しておくのが好ましい。
遮光性の保護フィルムを用いて感光性層の異常な感光を
防止しても良い。保護フィルムは通常はエネルギー線照
射前或いは照射後に除去して、その後の鍍金工程を行
う。
【0366】保護フィルムとしては、通常5〜30μm
程度のポリエチレンテレフタレート等のポリマーフィル
ムやアルミニウムやステンレス等の金属箔あるいはポリ
エチレンテレフタレート等のポリマーフィルムの表面に
シリカゲルやアルミニウム蒸着膜等を形成した複合フィ
ルムが用いられる。金属等の導電性の保護フィルムは電
解鍍金時の電極を兼ねることができる。
【0367】また、シート状の多孔質基材を用いてリー
ルtoリール法で連続的に行う場合、こうした保護フィ
ルムはキャリアフィルムとしての役割も果たすことが可
能であり、多孔質体の寸法安定性を向上させる。
【0368】キャリアフィルムとして用いる場合、裏と
表の2枚の保護フィルムの内、片方の1枚だけ除去し
て、残りの1枚は残して以後の吸着工程や鍍金工程を行
なえばよい。このような保護フィルムは粘着によって多
孔質体に貼り付けられていると、容易に剥がすことが可
能であり好ましい。
【0369】[V] 複合部材形成用感光性化合物(第
5の態様)、感光性組成物(第6の態様) 次に、本発明の複合部材形成用感光性化合物、及び感光
性組成物について述べる。
【0370】上記本発明の第1、第2、および第3の態
様の複合部材の製造方法において用いられる本発明の複
合部材形成用感光性化合物は、主鎖又は側鎖に光照射す
ることによって陰イオン交換性基を発生或いは消失する
感光性基と架橋性基とを有するポリマーあるいは高分子
化合物であり、本発明の複合部材形成用組成物は、感光
性基を有する化合物、ポリマーあるいは高分子化合物
と、架橋性基を有する化合物、ポリマーあるいは高分子
化合物との混合物からなる組成物である。本発明におけ
るポリマーとは繰り返し単位を有する高分子重合体のこ
とを示し、高分子化合物とは、特定の繰り返し単位を有
さない高分子のことを示す。また化合物とは、前記高分
子化合物より分子量の小さい化合物を示す。これらの感
光性化合物および感光性組成物を使用して複合部材を製
造する際には、これらの感光性化合物あるいは感光性組
成物に溶剤、酸発生剤、塩基発生剤、増感剤、界面活性
剤などの成分を添加し、成膜性などの特性を改善した感
光材料として用いることができる。
【0371】(1) 複合部材形成用感光性化合物 (a)感光性基 感光性基とは、照射されたエネルギー線を吸収すること
によって単独で化学反応して陰イオン交換性基を発生す
るもの、或いは、照射により化学反応を生じて何らかの
陰イオン交換性基の前駆体を生じ、前記前駆体がさらに
周囲に存在する物質と化学反応を生じることにより陰イ
オン交換性基を生成するもの、エネルギー線照射によっ
て塩基発生剤から発生した塩基等と作用して陰イオン交
換性基を生成するもの、さらにはエネルギー線照射によ
って陰イオン交換性基を消失するもののいずれかであ
る。なかでも単独で化学反応して陰イオン交換性基を発
生あるいは消失する感光性基が最も良い。なぜなら単独
で反応するために、湿度などの周囲の雰囲気の影響を受
けにくく、また感光性基を有する化合物を含む組成物を
塗布することよって感光性層を形成する際などに起こり
やすい、組成の偏りに起因する反応性のばらつきを防止
することが可能だからである。また照射によって生じた
前駆体が周囲の物質と化学反応して陰イオン交換性基を
生ずる場合も、周囲の物質が水などの湿気として大気中
にあたりまえに含有される物質や、感光性層中にあらか
じめ混合などされて含有されている物質であるのがプロ
セスが簡略であるため優れている。
【0372】エネルギー線を吸収して単独で陰イオン交
換性基を生成する感光性基としては、例えばアミン等の
塩基性基を生成するカルバモイルオキシム誘導体基、カ
ルバミン酸誘導体基、ホルムアミド誘導体基等が挙げら
れる。ピペリジン誘導体のカルバミン酸誘導体は塩基が
触媒となって熱的にアミンであるピペリジン誘導体を生
成する。この為、他の塩基性基を生成する感光性基と組
み合わせることによって、少ない露光量で多量の塩基性
基を発生することが可能である。
【0373】エネルギー線照射により、単独で陰イオン
交換性基を生成する感光性基の具体例 カルバモイルオキシム誘導体基としては、例えば以下に
示すようなものが用いられる。
【化6】 なお、式中、R1は炭素数1〜20の置換または非置換
のアルキル基、アリール基、アラルキル基、R2は炭素
数1〜20の置換または非置換のアリール基を示す。R
1の具体例としては、メチル基、フェニル基、ナフチル
基、アンスリル基など。R2の具体例としては、フェニ
ル基、ナフチル基、アンスリル基などが挙げられる。
【0374】また、カルバミン酸誘導体基としては、例
えば以下に示すようなものが用いられる。
【化7】
【0375】以下に示すようなカルバミン酸誘導体基も
用いることができる。
【化8】 なお、式中、R1は炭素数1〜20の置換または非置換
のアリール基を示す。
【0376】ホルムアミド誘導体基としては、例えば以
下に示すようなものが用いられる。
【化9】 なお、式中、Rは炭素数1から20の置換または非置換
の2価の芳香環構造。具体的には例えばフェニレンなど
を示す。
【0377】エネルギー線照射により化学反応を生じて
何らかの陰イオン交換性基の前駆体を生じ、前記前駆体
が更に化学反応を生じることにより陰イオン交換性基を
生成するもの、いわゆる照射による化学反応をきっかけ
とする多段階反応により陰イオン交換性基を生じる感光
性基としては、例えば、アシルオキシム誘導体基、アジ
ド誘導体基が挙げられる。
【0378】エネルギー線照射により化学反応を生じて
何らかの陰イオン交換性基の前駆体を生じ、前記前駆体
が更に化学反応を生じることにより陰イオン交換性基を
生成する感光性基 アシルオキシム誘導体基としては、例えば以下に示すよ
うなものが用いられる。
【化10】 なお、式中、R1、R2はそれぞれ独立に炭素数1〜2
0の置換または非置換のアルキル基、アリール基、アラ
ルキル基を示す。
【0379】アジド誘導体基としては、例えば以下に示
すようなものが用いられる。
【化11】 なお、式中、Rは炭素数1から20の置換または非置換
の2価の芳香環構造を示す。具体的には例えばフェニレ
ンなどが挙げられる。
【0380】エネルギー線照射により陰イオン交換性基
を消失する感光性基とは、すなわち照射前には陰イオン
交換性基を有し、この陰イオン交換性基がエネルギー線
照射によって脱離するか、疎水性基に変化する基であ
る。
【0381】具体的には、例えば、Cl、PF
AsF 、SbF 、BF 、ClO 、CF
SO 、HSO 、FSO 、FPO
p−CH−C−SO 、p−NO−C
−SO 等の陰イオンを対アニオンとするジアゾニ
ウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウ
ム塩やセレノニウム塩等のオニウム塩等の構造を有する
基が挙げられる。これらは陰イオン交換反応によって金
属含有イオンや金属含有化合物を吸着することが可能で
ある。正電荷に帯電しているため、金属コロイドを吸着
することができる。またエネルギー線照射によって分解
して、非イオン性になることによって、鍍金核を吸着し
難くなる。
【0382】陰イオン交換性基がエネルギー線照射によ
って脱離するか、疎水性基に変化する感光性基 ジアゾニウム塩誘導体基としては例えば以下のようなも
のが用いられる。
【化12】 なお、式中、Rは炭素数1から20の置換または非置換
の2価の芳香環構造を示す。具体的には例えばフェニレ
ンを示す。また、置換基としては、具体的には例えばニ
トロ基、メトキシ基、モルホリノ基、塩素などが挙げら
れる。Aは、Cl、PF 、AsF 、SbF
、BF 、SnCl 2−、FeCl 、Bi
Cl 2−、ClO 、CFSO 、HS
、FSO 、FPO 、p−CH−C
−SO 、p−NO−C−SO 等の
陰イオンを示す。
【0383】エネルギー線照射によって塩基発生剤から
発生した塩基等と作用して陰イオン交換性基を生成する
感光性基としては、ピペリジン誘導体のカルバミン酸誘
導体基等が挙げられる。
【0384】(b)架橋性基 架橋性基としては、架橋性基同士が自己重合して架橋し
ても良いし、感光性層中の他の物質と結合形成して架橋
しても良い。
【0385】自己重合できる架橋性基の具体例として
は、例えば、グリシジル基のようなエポキシ基、ビニル
基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニルエーテ
ル基、クロロメチルフェニル基、メチロール基、ベンゾ
シクロブテン基、マレイミジル基、アルコキシシリル
基、アセトキシシリル基、エノキシシリル基、及び、オ
キシムシリル基、及び、これらの誘導体基等が挙げられ
る。
【0386】これらの架橋性基は、光照射や加熱、或い
は、触媒を作用させることによって架橋させる。
【0387】(c)ポリマーおよび高分子化合物 本発明の複合部材形成用感光性化合物においては、鍍金
核を吸着させる際や鍍金の際に、感光性層がアルカリま
たは酸性の水溶液中に曝されるため、それらに溶解し難
いように陰イオン交換性基を生成あるいは消失する感光
性基や架橋性基がポリマーや高分子化合物に担持、或い
は、結合されている。
【0388】上記ポリマーとしては、フェノールノボラ
ック樹脂、キシレノールノボラック樹脂、ビニルフェノ
ール樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のフェノール系
樹脂やポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル
樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアクリル酸エステル誘
導体やポリメタクリル酸エステル誘導体などのアクリル
樹脂系樹脂、ポリシロキサン誘導体等が挙げられる。こ
れらの中でも塗布性などの観点からフェノール系樹脂や
アクリル樹脂系樹脂を用いることが好ましい。
【0389】上記高分子化合物としては、芳香環および
炭素鎖よりなる高分子化合物で、好ましくは枝分かれし
ているものがよい。
【0390】ポリマーや高分子化合物の分子量は特に限
定されないが、重量平均分子量が1000〜500万で
あることが好ましく、2000〜5万であることがより
望ましい。
【0391】ポリマーや高分子化合物の分子量が小さす
ぎる場合には、成膜性が悪く、鍍金液等に対する耐溶剤
性も低下するおそれがある。すなわち鍍金液等に溶解し
やすくなる。また、溶剤に対する耐性を損なうことな
く、ポリマーあるいは高分子化合物に膨潤性を付与する
ことは困難である。一方、分子量が過剰に大きい場合に
は、塗布用の溶媒への溶解性が低下するうえ、塗布性も
悪くなってしまう。
【0392】(d)感光性基および架橋性基の導入量 ポリマー中の感光性基の導入量が少なすぎると充分に鍍
金核を吸着させることができないし、多すぎると鍍金液
等へ溶解し易くなるうえ、製作した複合部材が吸湿し易
くなり、絶縁不良等の不具合を起こし易くなる。
【0393】陰イオン交換性基を生成したり消失したり
する感光性基のポリマーあるいは高分子化合物への導入
率は好ましくは5〜300%、より望ましくは30〜7
0%の範囲の導入率とするのが良い。ここでの導入率と
はそれぞれ以下の式で表される。
【0394】ポリマーへの感光性基の導入率(%)=
(陰イオン交換性基を生成あるいは消失する基の数)÷
(ポリマーのモノマー単位の数)×100 高分子化合物への感光性基の導入率(%)=(陰イオン
交換性基を生成あるいは消失する基の数)÷(高分子化
合物の分子量÷100)×100 架橋性基のポリマーあるいは高分子化合物への導入率は
好ましくは1〜100%の範囲内であり、より望ましく
は10〜50%の範囲の導入率とするのが良い。ここで
の導入率とは以下の式で表わされる。
【0395】ポリマーへの架橋性基の導入率(%)=
(架橋性基の数)÷(ポリマーのモノマー単位の数)×
100 高分子化合物への架橋性基の導入率(%)=(陰イオン
交換性基を生成あるいは消失する基の数)÷(高分子化
合物の分子量÷100)×100 ポリマーあるいは高分子化合物への架橋性基の導入量が
少なすぎる場合には、充分に架橋させることが困難とな
るので、鍍金液等へ溶解や膨潤し易くなる。一方、架橋
性基が過剰に導入されていると、鍍金核溶液などに膨潤
しにくくなる上、架橋した際に、感光層が硬化収縮し
て、基材が変形したり、基材から感光層が剥離するおそ
れがある。
【0396】複合部材形成用感光性化合物 以上に記載した本発明の複合部材形成用感光性化合物と
しては、より好ましくは、前記感光性基を有するアクリ
ル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルと、前記架
橋性基を有するアクリル酸エステルもしくはメタクリル
酸エステルの2元共重合体であるポリマー、あるいはこ
れにさらに増感作用を有する基を有するアクリル酸エス
テルもしくはメタクリル酸エステルを共重合させた3元
共重合体、さらには溶解性を調節するための疎水性基な
どを有するアクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エ
ステルを共重合させた4元共重合体などが挙げられる。
アクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの代わり
に、スチレン誘導体、ノルボルネン誘導体、N置換マレ
イミド誘導体、ビニルアルコール誘導体などを用いても
良い。
【0397】感光性基を有するモノマー単位としては、
例えば以下の一般式で示されるカルバモイルオキシ誘導
体基を感光性基として有するモノマー単位が用いられ
る。
【化13】 なお、式中、R1は水素あるいはメチル基。R2は炭素
数1〜20の置換または非置換のアルキル基、アリール
基、アラルキル基、R3は炭素数1〜20の置換または
非置換のアリール基を示す。R2の具体例としては、メ
チル基、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基など。
R3の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アン
スリル基などが挙げられる。
【0398】また、感光性基を有するモノマー単位とし
ては、例えば以下の一般式で示されるカルバミン酸誘導
体基を感光性基として有するモノマー単位が用いられ
る。
【化14】
【化15】 なお、式中、R1は水素あるいはメチル基を示す。
【0399】また、感光性基を有するモノマー単位とし
ては、例えば以下の一般式で示されるホルムアミド誘導
体基を感光性基として有するモノマー単位も用いられ
る。
【化16】 なお、式中、R1は水素あるいはメチル基を示す。
【0400】また、感光性基を有するモノマー単位とし
ては、例えば以下の一般式で示されるアシルオキシム誘
導体基を感光性基として有するアクリル酸エステルある
いはメタクリル酸エステルモノマー単位も用いられる。
【化17】 なお、式中、R1は水素、メチル基を示す。また、R
2、R3はそれぞれ独立に炭素数1〜20の置換または
非置換のアルキル基、アリール基、アラルキル基を示
す。R2,R3の具体例としては、メチル基、フェニル
基、ナフチル基、アンスリル基などが挙げられる。
【0401】また、感光性基を有するモノマー単位とし
ては、例えば以下の一般式で示されるアジド誘導体基を
有するモノマー単位も用いられる。の例。
【化18】
【化19】 なお、式中、R1は水素あるいはメチル基を示す。ま
た、R2は炭素数1から10の炭化水素鎖を示す。R2
の具体例としては例えばメチレン、あるいはエチレンが
挙げられる。
【0402】また、感光性基を有するモノマー単位とし
ては、例えば以下の一般式で示されるスルホニウム基を
感光性基として有するアクリル酸エステルあるいはメタ
クリル酸エステルモノマー単位も用いられる。
【化20】 なお、式中、R1は、水素、メチル基を示す。R1、R
2は、それぞれ独立に炭素数1〜20の置換または非置
換のアルキル基、アリール基、アラルキル基を示す。R
2,R3の具体例としては、メチル基、フェニル基、ナ
フチル基、アンスリル基などが挙げられる。Aは、C
、PF 、AsF 、SbF 、BF
ClO 、CFSO 、HSO 、FS
、FPO 、p−CH−C−SO
、p−NO−C−SO 等の陰イオンを示
す。
【0403】架橋性基を有するモノマー単位としては、
例えば以下の一般式で示されるものが用いられる。
【化21】
【化22】 なお、式中、それぞれR1は水素あるいはメチル基を表
す。
【0404】
【化23】
【化24】
【化25】 なお、式中、R1,R2はそれぞれ独立に水素、メチル
基を表す。
【0405】
【化26】 なお、式中、R1,R2は、それぞれ独立に水素、メチ
ル基を表す。
【0406】増感作用を示す基を有するモノマーとして
は、例えば以下の一般式で示されるものが用いられる。
【化27】
【化28】
【化29】
【0407】なお、式中、それぞれR1は、水素あるい
はメチル基を、R2はそれぞれ炭素数1〜20の置換ま
たは非置換のアリール基を示す。R2の具体例として
は、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基などが挙げ
られる。
【0408】疎水性基を有するモノマーとしては、例え
ばエステル部位として、炭素数1から20の置換または
非置換のアルキル基、アリール基、アラルキル基を有す
るアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルや、スチ
レン誘導体などが用いられる。
【0409】各種モノマーの共重合比としては、感光性
モノマーの共重合体比は10%以上が良く、好ましくは
30から90%が良い。架橋性モノマーを含まない場
合、感光性モノマーの共重合体比は30から60%とす
るのが良い。架橋性モノマーの共重合体比は5から30
%程度が良く、その場合、感光性モノマーの共重合体比
は60から90%が良い。
【0410】複合部材形成用感光性化合物の具体例 複合部材形成用感光性化合物の具体例としては例えば以
下のようなものが挙げられる。
【0411】具体例1 下記化学式(30)で示されるような光照射によって陰
イオン交換性基(アミノ基)を生成する感光性基と、架
橋性基であるグリシジル基などを側鎖に有するポリマー
【化30】 (重量平均分子量1万から5万程度、(a+b)/(a
+b+c)=0.2〜0.9程度、a/(a+b)=
0.1〜0.6程度、R1、R2はそれぞれ独立にメチ
ル基、フェニル基など炭素数1〜12程度の置換または
非置換のアルキル基、アリール基、アラルキル基を示
す。) このポリマーは感光性基から発生したアミノ基が、グリ
シジル基の架橋反応の触媒として作用する。またアミノ
基がグリシジル基と反応して生じる二級あるいは3級の
アミノ基も陰イオン交換基として機能することができ
る。
【0412】具体例2 下記化学式(31)で示されるような光照射によって陰
イオン交換性基(アミノ基)を生成する感光性基を側鎖
に、架橋性基であるビニル基を側鎖に、炭素―炭素二重
結合を主鎖中に有するポリマー
【化31】 (重量平均分子量1万から5万程度、(a+b)/(a
+b+c+d)=0.2〜0.9程度、a/(a+b)
=0.1〜0.6程度、c/(c+d)=0.1〜0.
2程度、R1,R2はそれぞれ独立にメチル基、フェニ
ル基など炭素数1〜12程度の置換または非置換のアル
キル基、アリール基、アラルキル基を示す。) このポリマーはラジカル発生剤、特にBTTBなどの多
官能ラジカル発生剤を添加して用いるのが良い。
【0413】具体例3 下記化学式(32)で示されるような光照射によって陰
イオン交換性基(スルホニウム基)を消失する感光性基
と、グリシジル基などを側鎖に有するポリマー
【化32】 (重量平均分子量1万から5万程度、m/(m+n)=
0.2〜0.9程度) このポリマーは感光性基が光照射によって陰イオン交換
性基を消失すると同時にトリフルオロメタンスルホン酸
を発生する。この酸がグリシジル基の架橋反応の触媒に
もなる。
【0414】具体例4 下記化学式(33)で示されるような光照射によって陰
イオン交換性基(スルホニウム基)を消失する感光性基
と、アルコキシシリル基を側鎖に有するポリマー
【化33】 (重量平均分子量1万から5万程度、m/(m+n)=
0.2〜0.9程度、R6はメチル基、エチル基、ブチ
ル基、イソプロピル基、フェニル基など炭素数1〜6程
度の置換または非置換のアルキル基、アリール基、アラ
ルキル基など。)このポリマーは感光性基が光照射によ
って陰イオン交換性基を消失すると同時にトリフルオロ
メタンスルホン酸を発生する。この酸がアルコキシシリ
ル基の架橋反応の触媒にもなる。これらの中でも特に、
ラジカル架橋性である具体例2のポリマーが良い。
【0415】(2) 複合部材形成用感光性組成物 本発明の複合部材形成用感光性組成物は、上記の陰イオ
ン交換性基を発生あるいは消失する感光性基を有する化
合物、ポリマーあるいは高分子化合物と、上記架橋性基
を有する化合物、ポリマーあるいは高分子化合物を含有
することを特徴とする組成物である。この複合部材形成
用感光性組成物において、感光性基、架橋性基、化合
物、ポリマー、および高分子化合物としては、前記複合
部材形成用感光性化合物において説明したものと同等の
ものを用いることができる。塗布性や鍍金液などに対す
る耐性が優れていることから、感光性基や架橋性基はポ
リマーあるいは高分子化合物に導入されているのがよ
い。感光性基を有するポリマーあるいは高分子化合物と
しては、具体的には、前記感光性基を有するアクリル酸
エステル、メタクリル酸エステル、スチレン誘導体、ノ
ルボルネン誘導体、N置換マレイミド誘導体などのホモ
ポリマーあるいは共重合体、複数の感光性基を有するポ
リエステルあるいはポリエーテル高分子化合物などを挙
げることができる。また、架橋性基を有するポリマーあ
るいは高分子化合物としては、前記架橋性基を有するも
のが挙げられ、具体的には、エポキシ樹脂、ポリブタジ
エン樹脂、シリコーン樹脂、複数の架橋性基を有するポ
リエステルあるいはポリエーテル高分子化合物などを挙
げることができる。該感光性基を有するポリマーあるい
は高分子化合物の構成割合が感光性組成物中に1〜99
重量%、好ましくは20〜95重量%含有するものであ
る。
【0416】(3) 複合部材形成用感光性材料 本発明の複合部材形成用感光性化合物および複合部材形
成用感光性組成物は、さらに必要に応じて、下記の光塩
基発生剤、光酸発生剤、酸増殖剤、触媒、架橋助剤、ラ
ジカル発生剤、増感剤等の成分を配合して複合部材形成
用感光性材料とすることができる。また一般的には、こ
の材料を溶剤に溶解して溶液とし、この溶液を基材に塗
布して乾燥して感光性層を形成する。溶剤としては、こ
の感光性材料を構成する成分を溶解するものであれば種
類を問わないが、例えば有機溶媒としては、テトラヒド
ロフラン(THF)、グライム、ジグライムなどのエー
テル類、酢酸エチル、乳酸エチル、アセト酢酸エチル、
プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートな
どのエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチ
ルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン
類、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピ
ルアルコールなどのアルコール類、トルエン、クメン、
石油エーテルなどを用いることができる。水を用いても
良い。この感光性材料の濃度は、0.1〜30%の範囲
で用いることができる。濃度がこれより高いと、塗布が
困難になり、一方、これより低いと、塗布膜厚が薄くな
り、塗布作業の効率が低下する。
【0417】光塩基発生剤 複合部材形成用感光性化合物の感光性基として、ピペリ
ジン誘導体のカルバミン酸誘導体基などの、塩基の作用
によって陰イオン交換性基を生成する感光性基を用いる
場合は、エネルギー線照射で塩基を発生する光塩基発生
剤を添加する。エネルギー線を照射すると、光塩基発生
剤から塩基が発生し、その発生した塩基の作用により陰
イオン交換性基が生成する。
【0418】光塩基発生剤としては、例えば、コバルト
アミン錯体、ケトンオキシムエステル類、o−ニトロベ
ンジルカルバメート類等のカルバメート類、ホルムアミ
ド類等が用いられ、具体的には、例えば、みどり化学製
NBC−101(CAS.No.[119137−03
−0])等のカルバメート類やみどり化学製TPS−O
H(CAS.No.[58621−56−0])等のト
リアリールスルホニウム塩類が用いられる。
【0419】光塩基発生剤を用いる代わりに、光酸発生
剤と塩基性化合物を組み合わせても良い。すなわち、エ
ネルギー線照射部位においては光酸発生剤から酸が発生
して塩基性化合物を中和する。
【0420】これに対して未照射部位においては塩基性
化合物が作用して陰イオン交換性基が生成する。これに
より未照射部位にのみ選択的に陰イオン交換性基を配置
することが可能となる。
【0421】光酸発生剤 光酸発生剤としては、CFSO 、p−CHPh
SO 、p−NOPhSO 等を対アニオンとす
るオニウム塩、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、ヨー
ドニウム塩等の塩、トリアジン類、有機ハロゲン化合
物、2−ニトロベンジルスルホン酸エステル類、イミノ
スルホネート類、N−スルホニロキシイミド類、芳香族
スルホン類、キノンジアジドスルホン酸エステル類等を
用いることができる。
【0422】具体的には、光酸発生剤としては、例え
ば、トリフェニルスルフォニウムトリフレート、ジフェ
ニルヨードニウムトリフレート、2,3,4,4−テト
ラヒドロキシベンゾフェノン−4−ナフトキノンジアジ
ドスルフォネート、4−N−フェニルアミノ−2−メト
キシフェニルジアゾニウムスルフェート、ジフェニルス
ルフォニルメタン、ジフェニルスルフォニルジアゾメタ
ン、ジフェニルジスルホン、α−メチルベンゾイントシ
レート、ピロガロールトリメシレート、ベンゾイントシ
レート、ナフタルイミジルトリフルオロメタンスルホネ
ート、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテ
ニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリ
アジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−
4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、
2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニ
ル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−
s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノエチ
ル)アミノ]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s
−トリアジン・ジメチル硫酸塩、2−[2−(3,4−
ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリ
クロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−ジメトキ
シフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s
−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロ
メチル)−s−トリアジン、及び、2,4,6−トリス
(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が挙げられ
る。
【0423】これら光酸発生剤と、酸により新たに自己
触媒的に酸を発生する酸増殖剤とを組み合わせて用いて
も良い。また、光酸発生性の酸増殖剤を単独で用いても
もちろん良い。
【0424】酸増殖剤 酸増殖剤としては、例えば、t−ブチル 2−メチル−
2−(p−トルエンスルホニロキシメチル)アセトアセ
テートおよびその誘導体、シス−1−フェニル−2−
(p−トルエンスルホニロキシ)−1−シクロヘキサノ
ールおよびその誘導体、3−ニトロ−4−(t−ブトキ
シカルボニロキシ)ベンジルトシレートおよびその誘導
体、3−フェニル−3,3−エチレンジオキシプロピル
トシレートなど3−フェニル−3,3−エチレンジオキ
シプロピルスルホネート誘導体、シス−3−(p−トル
エンスルホニルオキシ)−2−ピナノールなどの2−ヒ
ドロキシビシクロアルカン−1−スルホネート誘導体、
1,4−ビス(p−トルエンスルホニルオキシ)シクロ
ヘキサンなどの1,4−シクロヘキサンジオールのスル
ホネート誘導体、2,4,6−トリス[2−(p−トル
エンスルホニルオキシ)エチル]−1,3,5−トリオ
キサンなどのトリオキサン誘導体等が挙げられる。光酸
発生性の酸増殖剤としては、3−フェニル−3,3−o
−ニトロフェニルエチレンジオキシプロピルトシレート
などの3−フェニル−3,3−エチレンジオキシプロピ
ルスルホネート誘導体が挙げられる。
【0425】塩基性化合物 光酸発生剤と併せて用いられる塩基性化合物は、光酸発
生剤から放出される酸によって中和され、かつ陰イオン
交換性基の生成反応の触媒として作用するものであれば
任意のものを用いることができ、有機化合物、無機化合
物いずれでも構わない。好ましくはアンモニア、一級ア
ミン類、二級アミン類、三級アミン類等が挙げられる。
【0426】架橋触媒 架橋触媒は、含有する複合部材形成用感光性化合物が有
する架橋性基に応じて選択される。例えばエポキシ基、
メチロール基、ビニルエーテル基、アルコキシシリル
基、アセトキシシリル基、エノキシシリル基、及び、オ
キシムシリル基等の架橋性基には酸や塩基の触媒を用
い、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等の
架橋性基にはラジカル発生剤を用いる。
【0427】例えば、水酸基、イソシアネート基、カル
ボン酸無水物基、マレイミジル基、アルデヒド基、アル
コキシシリル基等の、他の物質と結合形成して架橋する
架橋性基を用いる場合には、これら架橋性基同士を結合
するための架橋助剤が添加される。
【0428】架橋助剤 架橋助剤としては、これらの架橋性基と結合して架橋結
合を形成するために、架橋性基と結合可能な基を、1分
子中に複数有するものが用いられる。
【0429】架橋助剤としては、例えば、水酸基にはア
ルコキシシラン類、アルミニウムアルコキサイド類、カ
ルボン酸無水物、ビスマレイミド誘導体、イソシアネー
ト化合物、多価メチロール化合物、およびエポキシ化合
物等が用いられる。イソシアネート基、カルボン酸無水
物基、アルコキシシリル基には多価アルコール等が用い
られる。
【0430】ラジカル発生剤 含有する複合部材形成用感光性化合物が有する架橋性基
が、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、マ
レイミジル基等の多重結合を有する基などのラジカル重
合性基である場合には、ラジカル発生剤が添加される。
ラジカル発生剤としては、例えば、以下のような有機過
酸化物類を用いることができる。
【0431】例えば、メチルエチルケトンパーオキシ
ド、シクロヘキサノンパーオキシド、メチルシクロヘキ
サノンパーオキシド、メチルアセトアセテートパーオキ
シド、アセチルアセトンパーオキシド等のケトンパーオ
キサイド類、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)
−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビ
ス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1
−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメ
チルシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキシ−2−
メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパー
オキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパ
ーオキシ)シクロドデカン、2,2−ビス(t−ブチル
パーオキシ)ブタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−
ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(4,4
−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン
等のパーオキシケタール類、p−メンタンハイドロパー
オキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキ
サイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロ
パーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、t−ヘキ
シルハイドロパーオキシド、t−ブチルハイドロパーオ
キシド等のハイドロパーオキサイド類、α,α’−ビス
(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジ
クミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス
(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミル
パーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、2,5−
ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキ
シン等のジアルキルパーオキサイド類、イソブチリルパ
ーオキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパー
オキシド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパ
ーオキサイド、ステアロイルパーオキシド、スクシニッ
クアッシドパーオキサイド、m−トルオイルアンドベン
ゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等の
ジアシルパーオキサイド類、ジ−n−プロピルパーオキ
シジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボ
ネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオ
キシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキ
シジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシ
ジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジ
カーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)
パーオキシジカーボネート等のパーオキシカーボネート
類、α,α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイ
ソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエー
ト、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネ
オドデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエ
チルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオ
キシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカ
ノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブ
チルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメ
チルブチルパーオキシー2−エチルヘキサノエート、
2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノ
イルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−
メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、
t−ヘキシルパーオキシ 2−エチルヘキサノエート、
t−ブチルパーオキシ 2−エチルヘキサノエート、t
−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ヘキシルパー
オキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパー
オキシメレイクアシッド、t−ブチルパーオキシ 3,
5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオ
キシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m
−トルイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキ
シ イソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオ
キシ 2−エチルヘキシル モノカーボネート、t−ヘ
キシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−
2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−
ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−
m−トルイルベンゾエート、t−ブチルパーオキシベン
ゾエート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレー
ト等のパーオキシエステル類、t−ブチルパーオキシア
リルモノカーボネート、t−ブチルトリメチルシリルパ
ーオキシド、3,3’,4,4’−テトラキス(t−ブ
チルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、及び、
2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン等であ
る。特に、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパー
オキシシクロヘキシル)プロパン、及び、3,3’,
4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)
ベンゾフェノン等の多官能ラジカル発生剤は、架橋助剤
としても作用するため好ましい。また、過酸化物以外の
アゾビスイソブチロニトリル等アゾニトリル類を用いる
こともできる。
【0432】増感剤 各種増感剤を添加しても良い。増感剤を添加することに
よって含有する複合部材形成用感光性化合物が有する感
光性基の感度を向上したり、用いる光源に合わせて感光
波長を様々に変化させることが可能となる。
【0433】特に多孔質基材内部まで感光させようとす
る場合、基材の吸収波長以外の波長の光等基材を透過し
易いエネルギー線で感光させるのが好ましい。
【0434】例えば、ポリイミドの多孔質基材等は多く
の場合、約500nm以下の光を吸収してしまうため、
例えば、g線やi線等では多孔質内部まで露光すること
は難しい。こうした場合には、500nm以上の波長領
域に吸収帯を有する可視光増感剤を用いることで、多孔
質内部まで良好に感光させることが可能となる。
【0435】増感剤の具体例としては、例えば、芳香族
炭化水素及びその誘導体、ベンゾフェノン及びその誘導
体、o−ベンゾイル安息香酸エステル及びその誘導体、
アセトフェノン及びその誘導体、ベンゾイン並びにベン
ゾインエーテル及びその誘導体、キサントン及びその誘
導体、チオキサントン及びその誘導体ジスルフィド化合
物、キノン系化合物、ハロゲン化炭化水素含有化合物並
びにアミン類、3−エチル−5−[(3−エチル−2
(3H)−ベンゾチアゾリリデン)エチリデン]−2−
チオキソ−4−オキアゾリジノン、5−[(1,3−ジ
ヒドロ−1,3,3−トリメチル−2H−インドール−
2−イリデン)エチリデン]−3−エチル−2−チオキ
ソ−4−オキサゾリジノン等のメロシアニン系色素、3
−ブチル−1,1−ジメチル−2−[2[2−ジフェニ
ルアミノ−3−[(3−ブチル−1,3−ジヒドロ−
1,1−ジメチル−2H−ベンズ[エ]インドール−2
−イリデン)エチリデン]−1−シクロペンテン−1−
イル]エチエニル]−1H−ベンズ[エ]インドリウム
パーコレート、2−[2−[2−クロロ−3−[(3
−エチル−1,3−ジヒドロ−1,1−ジメチル−2H
−ベンズ[エ]インドール−2−イリデン)エチリデ
ン]−1−シクロヘキセン−1−イル]エテニル]−
1,1−ジメチル−3−エチル−1H−ベンズ[e]イ
ンドリウム テトラフルオロボレート、2−[2−[2
−クロロ−3−[(3−エチル−1,3−ジヒドロ−
1,1−ジメチル−2H−ベンズ[e]インドール−2
−イリデン)エチリデン]−1−シクロペンテン−1−
イル]エテニル]−1,1−ジメチル−3−エチル−1
H−ベンズ[e]インドリウム アイオダイド等のシア
ニン系色素、スクアリウム系シアニン色素、2−[p−
(ジメチルアミノ)スチリル]ベンゾチアゾール、2−
[p−(ジメチルアミノ)スチリル]ナフト[1,2−
d]チアゾール、2−[(m−ヒドロキシ−p−メトキ
シ)スチリル]ベンゾチアゾール等のスチリル系色素、
エオシンB(C.I.No.45400)、エオシンJ
(C.I.No.45380)、シアノシン(C.I.
No.45410)、ベンガルローズ、エリスロシン
(C.I.No.45430)、2,3,7−トリヒド
ロキシ−9−フェニルキサンテン−6−オン、ローダミ
ン6G等のキサンテン色素、チオニン(C.I.No.
52000)、アズレA(C.I.No.5200
5)、アズレC(C.I.No.52002)等のチア
ジン色素、ピロニンB(C.I.No.45005)、
ピロニンGY(C.I.No.45005)等のピロニ
ン色素、3−アセチルクマリン、3−アセチル−7−ジ
エチルアミノクマリン、3−(2−ベンゾチアゾリル)
−7−(ジエチルアミノ)クマリン、3−(2−ベンゾ
チアゾリル)−7−(ジブチルアミノ)クマリン、3−
(2−ベンズイミダゾリル)−7−(ジエチルアミノ)
クマリン、10−(2−ベンゾチアゾリル)−2,3,
6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル
−1H,5H,11H−[1]ベンゾピラノ[6,7,
8−ij]キノリジン−11−オン、3−(2−ベンゾ
チアゾリル)−7−(ジオクチルアミノ)クマリン、3
−カルベトキシ−7−(ジエチルアミノ)クマリン、1
0−[3−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−1−
オキソ−2−プロペニル]−2,3,6,7−テトラヒ
ドロ−1,1,7,7−テトラメチル−1H,5H,1
1H−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリ
ジン−11−オン等のクマリン系色素、3,3’−カル
ボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3,3’
−カルボニル−7−ジエチルアミノクマリン−7’−ビ
ス(ブトキシエチル)アミノクマリン、3,3’−カル
ボニルビス(7−ジブチルアミノクマリン)等のケトク
マリン系色素、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル
−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラ
ン、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p
−ジブチルアミノスチリル)−4H−ピラン等のDCM
系色素がある。
【0436】光塩基発生剤、光酸発生剤、酸増殖剤、触
媒、架橋助剤、ラジカル発生剤、などの成分の配合割合
は、複合部材形成用感光性化合物に対して、それぞれ
0.1〜30重量%、好ましくは1〜15重量%である
ことが望ましい。また、増感剤の配合割合は複合部材形
成用感光性化合物に対して、通常0.001〜10重量
%、好ましくは0.01〜5重量%であることが望まし
い。
【0437】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるも
のではない。
【0438】評価方法 以下に示す実施例及び比較例における評価は、以下に示
す方法によって行った。
【0439】[鍍金不良評価]鍍金不良や鍍金の異常析
出の有無の評価は、形成した鍍金のパターンを光学顕微
鏡および走査型電子顕微鏡で観察することにより行っ
た。
【0440】[導電性評価]導電性の評価は、形成した
鍍金のパターンの抵抗値を四端子法により測定すること
により行った。
【0441】(実施例1)実施例1では、本発明の第1
あるいは第2の態様の複合部材の製造方法の一例とし
て、露光によりアミノ基を発生する感光性ポリマーを用
いて、多孔質シートに銅パターンを形成する方法を説明
する。
【0442】ポリマー1の合成 露光により陰イオン交換性基であるアミノ基を発生する
感光性ポリマーとして下記化学式(34)で示されるラ
ンダム共重合体であるポリマー1を用いた。
【0443】
【化34】 ポリマー1はアゾビスイソブチロニトリル(以下AIB
Nと称す)をラジカル重合開始剤として用いたラジカル
重合法により下記の如き重合方法により合成した重量平
均分子量3万のものである。
【0444】まず、乾燥してアルゴンガスで置換した1
00mlのナスフラスコに、下記化学式(35)で示さ
れるモノマー1:1g、下記化学式(36)で示される
モノマー2:3g、AIBN:0.1gを乾燥テトラヒ
ドロフラン(以下THFと称す)14gに溶解した溶液
を攪拌子と共に入れた。
【0445】
【化35】
【化36】 溶液はフラスコに入れた後、1分間アルゴンガスでバブ
リングして脱気した。アルゴン気流下、ゆっくり攪拌し
ながら60℃で40時間加熱した。加熱後、室温に戻し
てからメタノール溶媒に再沈した。再沈後、ガラスフィ
ルターで沈殿を濾別した。濾過物を真空乾燥して、白色
粉末としてポリマー1を得た。
【0446】感光性層の形成 合成したポリマー1の5重量%THF溶液に親水化処理
したポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂多孔
質シート(平均空孔径0.2μm,膜厚20μm)を浸
漬した。浸漬により多孔質シートに充分溶液が浸透して
から引き上げて、自然乾燥して多孔質シートの空孔内表
面にポリマー1をコーティングした。コーティング後も
多孔質シートの空孔が閉塞されておらず多孔質状態を保
持していた。
【0447】露 光 平行露光器(キャノン(株)製PLA501)で、ライ
ン幅20μm、スペース30μmの配線パターンのマス
クを介して光量2J/cm2の条件で露光して、露光部
にアミノ基が生成したパターン潜像を形成した。
【0448】鍍金核の吸着 パターン潜像を形成した多孔質シートを10wt%塩化
白金酸水溶液に30分間浸漬して、アミノ基に塩化白金
酸イオンを吸着させた。吸着後、蒸留水で洗浄して余分
の塩化白金酸水溶液を除去した。洗浄後、水素化ホウ素
ナトリウム0.01M水溶液に5分間浸漬後、蒸留水で
洗浄した。
【0449】鍍 金 更に、無電解銅鍍金液PS−503に40℃で3時間浸
漬して銅鍍金を施し、ライン幅20μm、スペース30
μmのマスク通りのCu配線パターンが形成された配線
シートとして用いることのできる複合部材を得た。また
50μm径のビアパターンのマスクを用いて同様の手法
で鍍金を行いビアが形成された配線シート(ビアシー
ト)として用いることのできる複合部材を得た。
【0450】評 価 製作した配線シート、ビアシートは、感光性組成物層の
剥がれに起因する鍍金不良等も観察されず、良好な配線
およびビアのパターンを有する複合部材を作成すること
ができた。
【0451】用 途 これらの配線シート4枚とビアシート3枚を交互に積層
した後、1,2−ポリブタジエン(分子量8000)1
00重量部に5重量部のジクミルパーオキサイドを加え
た樹脂液を含浸後、170度で1時間加熱して硬化させ
て多層配線基板を製作した。
【0452】(比較例1)上記実施例1の比較例とし
て、ポリマー1に代えて、以下のように陽イオン交換性
基を発生するポリマーを用いて配線シートの製作を試み
た。まず光酸発生剤としてのナフタルイミド・トリフル
オロメタンスルホネートを、ポリメチルメタクリレート
−ポリテトラヒドロメタクリレート(60mol%:4
0mol%、Mw=40000)のランダムコポリマー
に対して1重量部添加した。樹脂と光酸発生剤の固形分
との合計が1重量部になるようにアセトン溶液にして、
感光性組成物を調製した。実施例1と同様の多孔質シー
トを用い、前述の感光性組成物をディップ法にて多孔質
シートにコーティングした。 塗布後、この多孔質シー
トに対して、実施例1と同様の露光装置およびマスクを
用いて露光し、露光部に潜像を形成させた。その後、ホ
ットプレート上で加熱することにより脱保護反応を促進
させて、露光部に陽イオン交換性基であるカルボキシル
基を生成させた。 潜像が形成されたシートを、0.5
Mに調整した硫酸銅水溶液に5分間浸漬後、蒸留水によ
る洗浄を3回繰り返した。続いて、水素化ホウ素ナトリ
ウム0.01M水溶液に30分間浸漬後、蒸留水で洗浄
した。洗浄後、実施例1と同様の無電解銅鍍金液PS−
503に40度で3時間浸漬し、銅鍍金を行い配線シー
トを作製した。作製した配線シートは、一部感光性層の
多孔質シートからの剥がれに起因すると思われる鍍金パ
ターンの欠損がみられた。
【0453】(実施例2)実施例2も本発明の第1ある
いは第2の態様の複合部材の製造方法の一例として、基
材に微細アラミド繊維の不織布からなる多孔質シートを
用いた例を説明する。
【0454】不織布の製造 直径0.2から0.3μmの微細アラミド繊維(ダイセ
ル化学社製、商品名ティアラ)を漉いて厚さ50μmの
不織布を製作した。
【0455】親水性化処理 この不織布を脱脂後、メタノールで洗浄してから、N−
ヒドロキシフタルイミド5mmol、コバルトアセチル
アセトナト(II)0.05mmol、及び酢酸30m
lの混合液中に浸漬し、酸素雰囲気下(1atm)、7
5℃で4時間静置して酸化して親水性化処理した。親水
性化処理後、洗浄した。
【0456】コーティング ポリマー1の5重量%THF溶液に親水性化処理した不
織布を浸漬した。浸漬により不織布に充分溶液が浸透し
てから引き上げて、自然乾燥して不織布の繊維表面にポ
リマー1をコーティングした。コーティング後も不織布
の空孔が閉塞されておらず多孔質状態を保持していた。
【0457】露 光 平行露光器(キャノン(株)製PLA501)で、ライ
ン幅100μm、スペース200μmの配線パターンの
マスクを介して光量200mJ/cm2の条件で露光し
て、露光部に陰イオン交換性基であるアミノ基が生成し
たパターン潜像を形成した。
【0458】鍍金核の吸着 パターン潜像を形成した不織布を、0.1Nの塩酸水溶
液に10分間浸漬した。塩酸によりアミノ基がアンモニ
ウム塩に変化する。浸漬後、水洗してから、下記化学式
(37)で示される錯体1の水溶液に浸漬した。錯体1
は結合性基としてカルボキシル基のナトリウム塩を有す
る。この結合性基が陰イオン交換性基であるアンモニウ
ム塩基に吸着する。
【0459】
【化37】 錯体1の水溶液に30分間浸漬して、アミノ基に錯体1
を吸着させた。吸着後、蒸留水で洗浄して余分の錯体1
を除去した。洗浄後、水素化ホウ素ナトリウム0.01
M水溶液に5分間浸漬後、蒸留水で洗浄した。
【0460】鍍 金 更に、無電解銅鍍金液PS−503に40度で3時間浸
漬して銅鍍金を施し、ライン幅100μm、スペース2
00μmのマスク通りのCu配線パターンが形成された
配線シートとして用いることのできる複合部材を得た。
【0461】評 価 配線パターンは幅100μmの配線が不織布の露光面側
に厚さ約20μmで形成されていた。未露光部には鍍金
の異常析出は観察されなかった。これにエポキシ樹脂を
含浸して、加圧しながら窒素気流下120度で1時間加
熱して硬化させて配線基板を製作した。製作した配線基
板は十分な曲げ強度を有し、配線のシート抵抗値は約
1.5mΩ/□以下と充分な導電率を有していた。
【0462】(実施例3)実施例3も本発明の第1ある
いは第2の態様の複合部材の製造方法の一例として、基
材にメルトブロー法により作製したPPS繊維の不織布
からなる多孔質シートを用いた例を説明する。
【0463】不織布の製造 メルトブロー法により製作した直径1〜2μm程度のP
PS繊維からなる厚さ50μmの不織布を製作した。
【0464】親水性化処理 この不織布をプラズマ照射器(キーエンス社製)にて大
気中プラズマ処理して親水性化処理した。
【0465】配線パターンの形成 親水性化処理後、実施例2と同様にして100μm幅、
厚さ約20μmの配線を有する配線基板を製作した。
【0466】評 価 この配線基板は、十分な曲げ強度を有し、配線のシート
抵抗値は約1.5mΩ/□と充分な導電率を有してい
た。
【0467】(実施例4)(表面配線とビアの一括形
成) 実施例4では、本発明の第1あるいは第2の態様の複合
部材の製造方法の一例として、露光によりアミノ基を発
生する感光性ポリマーを用いて、多孔質シートに表面配
線とビアとを一回の露光により一括形成する方法を説明
する。
【0468】感光性層の形成 実施例1で用いたのと同様のポリマー1の5重量%TH
F溶液に親水化処理したPTFE多孔質シート(平均空
孔径0.2μm,膜厚30μm)を浸漬した。浸漬して
多孔質シートに充分溶液が浸透してから引き上げて、自
然乾燥して多孔質シートの空孔内表面にポリマー1をコ
ーティングした。コーティング後も多孔質シートの空孔
が閉塞されておらず多孔質状態を保持していた。
【0469】露 光 平行露光器(キャノン(株)製PLA501)を用い
て、ライン幅50μm、スペース50μmの配線パター
ンと、直径50μmのビアパターンが形成されたマスク
を介して、光量2J/cm2の条件で露光した。マスク
として、ビアパターン部の透過率を100%、配線パタ
ーン部の透過率を10%としたハーフトーンマスクを用
いた。この露光により配線パターン部は多孔質シートの
表面付近のみ感光し、ビアパターン部は多孔質シートを
貫通して感光する。
【0470】鍍金核の吸着 露光した多孔質シートを10wt%塩化金酸水溶液に3
0分間浸漬して、アミノ基に塩化金酸イオンを吸着させ
た。吸着後、蒸留水で洗浄して余分の塩化金酸水溶液を
除去した。洗浄後、水素化ホウ素ナトリウム0.01M
水溶液に5分間浸漬後、蒸留水で洗浄した。
【0471】鍍 金 更に、無電解銅鍍金液PS−503に40度で3時間浸
漬して銅鍍金を施し、ライン幅50μm、スペース50
μm、厚さ10μmのCu表面配線と、直径50μmの
Cuビアとが形成された配線シートとして用いることの
できる複合部材を得た。
【0472】評 価 このCu表面配線のシート抵抗値は約2mΩ/□と充分
な導電率を有していた。この複合部材を両面配線基板等
のコア配線基板の両面に貼り付けると、ビルドアップ配
線基板を製作することができる。
【0473】(実施例5)(塩基増殖性感光性ポリマー
を用いた例) 実施例5では、本発明の第1の態様の複合部材の製造方
法の一例として、露光によりアミノ基を発生するポリマ
ーと、アミノ基により自己増殖的にアミノ基を発生する
塩基増殖性ポリマーとを組み合わせた感光性ポリマーを
用いて、多孔質シートに銅パターンを形成する方法を説
明する。
【0474】感光性層の形成 ポリマー1と下記化学式(38)で示される塩基増殖性
ポリマー2との重量比で1:2の混合物の5重量%溶液
に親水性化処理したPTFE多孔質シート(平均空孔径
0.2μm,膜厚20μm)を浸漬した。浸漬によりP
TFE多孔質シートに充分溶液が浸透してから引き上げ
て、自然乾燥して、多孔質シートの空孔内の表面にポリ
マー1をコーティングした。コーティング後も多孔質シ
ートの空孔が閉塞されておらず多孔質状態を保持してい
た。
【0475】
【化38】 露 光 平行露光器(キャノン(株)製PLA501)で、ライ
ン幅100μm、スペース200μmの配線パターンの
マスクを介して光量200mJ/cm2の条件で露光し
た。露光後、130度で5分間加熱処理して、露光部に
陰イオン交換性基であるアミノ基が生成したパターン潜
像を形成した。
【0476】鍍金核の吸着 パターン潜像を形成した多孔質シートを、実施例2で用
いたのと同様な塩酸水溶液および錯体1の水溶液に浸漬
した。錯体1は結合性基としてカルボキシル基のナトリ
ウム塩を有する。この結合性基がアミノ基に吸着する。
【0477】錯体1の水溶液に30分間浸漬して、アミ
ノ基に錯体1を吸着させた。吸着後、蒸留水で洗浄して
余分の錯体1を除去した。洗浄後、水素化ホウ素ナトリ
ウム0.01M水溶液に5分間浸漬後、蒸留水で洗浄し
た。
【0478】鍍 金 更に、無電解銅鍍金液PS−503に40度で3時間浸
漬して銅鍍金を施し、ライン幅100μm、スペース2
00μmのマスク通りのCu配線パターンが形成された
配線シートとして用いることのできる複合部材を得た。
【0479】評 価 配線パターンは幅100μmの配線が多孔質シートの裏
表に貫通して形成されていた。未露光部には鍍金の異常
析出は観察されなかった。これにエポキシ樹脂を含浸し
て、加圧しながら窒素気流下120度で1時間加熱して
硬化させて配線基板を製作した。製作した配線基板は十
分な曲げ強度を有し、配線のシート抵抗値は約1.5m
Ω/□と充分な導電率を有していた。
【0480】(実施例6)(陰イオン交換性基を消失す
る感光性ポリマーを用いた例) 実施例6では、本発明の第1の態様の複合部材の製造方
法の一例として、陰イオン交換性基を消失する感光性基
を有する感光性ポリマーを用いて、多孔質シートに銅パ
ターンを形成する方法を説明する。
【0481】ポリマー3の合成 感光性層を形成するポリマーとして、それぞれ下記化学
式(39)(40)で示されるモノマー3、モノマー4
およびメチルメタクリレートの共重合ポリマー3を合成
した。モノマー3は光照射によって陰イオン交換性基
(スルホニウム基)を消失する基を有し、モノマー4は
三次元的に架橋可能な基であるポリヘドラルオリゴシル
セスキオキサン誘導体基を有する。
【0482】
【化39】
【化40】 共重合体ポリマー3の合成は、3種類のモノマーの混合
物を脱気したテトラヒドロフラン(THF)に溶解した
混合溶液に、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソ
ブチロニトリル(AIBN)を加えて、アルゴン雰囲気
下、重合することによって行った。ポリマー3の重量平
均分子量=17万。各モノマーのポリマー3中における
重量分率は次の通り。モノマー3=17%、モノマー4
=22%、メチルメタクリレート=61%。
【0483】感光性層の形成 合成したポリマー3の5重量%THF溶液に親水化処理
したPTFE多孔質シート(平均空孔径0.2μm,膜
厚20μm)を浸漬した。浸漬して多孔質シートに充分
溶液が浸透してから引き上げて、自然乾燥して多孔質シ
ートの空孔内表面にポリマーをコーティングした。コー
ティング後も多孔質シートの空孔が閉塞されておらず多
孔質状態を保持していた。
【0484】露 光 平行露光器CANON PLA501で、ドット径=2
00μmのドット状の遮光部を有するドットアレイパタ
ーン(ドットピッチ=500μm)のマスクを介して光
量800mJ/cm2の条件で露光した。露光部の陰イ
オン交換性基(スルホニウム基)は分解して陰イオン交
換能を失うため、未露光部のみ陰イオン交換性基が配置
されたパターン潜像が形成できた。
【0485】鍍金核の吸着 パターン潜像を形成した多孔質シートを実施例2で用い
たのと同様な錯体1の水溶液に浸漬した。錯体1は結合
性基としてカルボキシル基のナトリウム塩を有する。こ
の結合性基が陰イオン交換性基であるスルホニウム基に
吸着する。
【0486】錯体1の水溶液に30分間浸漬して、陰イ
オン交換性基であるスルホニウム基に錯体1を吸着させ
た。吸着後、蒸留水で洗浄して余分の錯体1を除去し
た。洗浄後、水素化ホウ素ナトリウム0.01M水溶液
に5分間浸漬後、蒸留水で洗浄した。
【0487】鍍 金 蒸留水で洗浄後、無電解銅メッキ液PS−503に40
度で3時間浸漬して銅メッキを施し、ドット径=200
μm、ドットピッチ=500μmのドットアレイ状に多
孔質シートの表裏両面に貫通して銅が析出した異方性導
電シートとして用いることのできる複合部材を得た。作
製した複合部材は、感光性組成物層の剥がれに起因する
メッキ不良なども観察されず、良好な銅パターンが形成
されていた。
【0488】(実施例7)(陰イオン交換性基を消失す
る感光性ポリマーを用いた例) 実施例7では、本発明の第1の態様の複合部材の製造方
法の一例として、陰イオン交換性基を消失する感光性基
を有する感光性ポリマーを用いて、樹脂基板上に銅パタ
ーンを形成する方法を説明する。
【0489】ポリマー4の合成 感光性層を形成するポリマーとして、下記化学式(4
1)で示されるポリマー4を用いた。ポリマーの側鎖の
スルホニウム基は陰イオン交換性基として機能し、露光
によって陰イオン交換能を消失する。
【0490】
【化41】 ポリマー4は以下のようにして合成した。還流管を装着
した300mlナスフラスコ中、キシリレンジクロライ
ド10gのメタノール溶液(0.75M)に15gのテ
トラヒドロチオフェンを加え、50度で20時間攪拌し
た。攪拌後、溶媒を留去した。メタノールに少量の水を
混合した混合溶媒少量に残留物を溶解し、0度のアセト
ン中に再沈した。沈殿を0度のアセトンで洗浄した後、
真空乾燥し、白色沈殿を得た。
【0491】アルゴン気流下、得られた白色沈殿3.5
1gを脱気した水50mlに溶解し、氷冷下、0.1M
水酸化ナトリウム水溶液50mlを5分間かけて滴下し
た。滴下後、氷冷下で1時間攪拌した。攪拌後、1Mの
塩酸水溶液を加え、pH6程度に中和した。中和後、反
応液を半透膜(商品名スペクトラ/ポア3、Mw350
0)に充填し、アルゴンガスを吹き込んで脱気した水で
三日間透析した。透析後、ポリマー4の水溶液が淡黄色
液体として得られた。
【0492】感光性層の形成 表面粗化したガラス繊維強化ビスマレイミド―トリアジ
ン樹脂基板上に得られたポリマー4の水溶液を塗布し
た。塗布はスピンコーティング法により回転数3000
rpmで行った。塗布後、室温で風乾して、基板表面に
ポリマー4の薄膜を形成した。
【0493】露 光 ポリマー4の薄膜を形成したビスマレイミド―トリアジ
ン樹脂基板にライン幅=200μmのライン状の遮光部
を有する配線パターン(ラインピッチ=500μm)の
マスクを介して光量7J/cm2の条件で露光した。露
光部の陰イオン交換性基(スルホニウム基)は分解して
陰イオン交換能を失うため、未露光部のみ陰イオン交換
性基が配置されたパターン潜像が形成できた。
【0494】鍍金核の吸着 パターン潜像を形成したビスマレイミド―トリアジン樹
脂基板を10重量%塩化金酸ナトリウム水溶液に30分
間浸漬して、スルホニウム基に塩化金酸イオンを吸着さ
せた。吸着後、蒸留水で洗浄して余分の塩化金酸ナトリ
ウム水溶液を除去した。洗浄後、水素化ホウ素ナトリウ
ム0.01M水溶液に5分間浸漬後、蒸留水で洗浄し
た。未露光部は生成した金の微粒子の表面プラズモン吸
収に起因する紫色を呈した。
【0495】鍍 金 蒸留水で洗浄後、無電解銅鍍金液PS−503に40度
で3時間浸漬して銅鍍金を施した。銅鍍金後、窒素気流
下、200度で30分間加熱処理して、ライン幅=20
0μm、ラインピッチ=500μmのライン状にビスマ
レイミド―トリアジン樹脂基板上に銅が析出した配線基
板として用いることのできる複合部材を得た。この加熱
工程において、ポリマー4の残存するスルホニウム基は
脱離して、腐食の恐れのない非イオン性で、かつ耐熱性
のポリパラフェニレンビニレン、あるいはその酸化物へ
と変化する。
【0496】評 価 作製した複合部材は、感光性組成物層の剥がれに起因す
るメッキ不良なども観察されず、良好な銅パターンが形
成されていた。また配線のシート抵抗値は約1.5mΩ
/□と充分な導電性を示した。さらに配線の基板に対す
る引き剥がし強度も1N/cm以上と良好であった。
【0497】(実施例8)(シランカップリングタイプ
の感光性化合物を用いた例) 実施例8では、本発明の第2の態様の複合部材の製造方
法の一例として、1分子中に、基板表面の官能基と結合
する基と感光性基とを併せ持つ感光性化合物を用いて、
ガラス基板上に銅パターンを形成する方法を説明する。
【0498】感光性層の形成 下記化学式(42)で示される感光性化合物と、トリイ
ソプロポキシアルミニウムとを重量比で80:1の割合
で混合した感光性組成物の溶液を調整した。
【0499】
【化42】 調整した感光性組成物溶液を、常法により清浄にしたガ
ラス基板上に、スピンコーティング法により塗布した。
塗布後、ホットプレート上でガラス基板を100℃で1
分間加熱して、塗布膜を乾燥させて感光性層を形成し
た。得られた感光性層の厚さは5nm程度であった。感
光性化合物から発生するシラノール基はガラス表面のシ
ラノール基と脱水縮合反応によりシロキサン結合を形成
する。
【0500】露 光 感光性層を形成したガラス基板に、ライン幅=200μ
m(ラインピッチ=500μm)の配線パターンのマス
クを介して光量50mJ/cm2の条件で露光して、露
光部にアミノ基が生成したパターン潜像を形成した。
【0501】鍍金核の吸着 パターン潜像を形成したガラス基板を10wt%塩化白
金酸水溶液に30分間浸漬して、アミノ基に白金錯イオ
ンを吸着させた。吸着後、蒸留水で洗浄して余分の塩化
白金酸水溶液を除去した。洗浄後、水素化ホウ素ナトリ
ウム0.01M水溶液に5分間浸漬後、蒸留水で洗浄し
た。
【0502】鍍 金 蒸留水で洗浄後、無電解銅鍍金液PS−503に40度
で5時間浸漬して銅鍍金を施した。ライン幅=200μ
m、ラインピッチ=500μmのライン状にガラス基板
上に銅が析出した配線基板として用いることのできる複
合部材を得た。
【0503】評 価 作製した複合部材は、感光性組成物層の剥がれに起因す
るメッキ不良なども観察されず、良好な銅パターンが形
成されていた。また配線のシート抵抗値は約8mΩ/□
と配線として利用可能な導電性を示した。
【0504】反転パターンの形成 上述のパターン潜像を形成したガラス基板にフッ素化合
物(3−パーフルオロヘキシル−1,2−エポキシプロ
パン)を接触させ、80度で10分間加熱した。これに
よりフッ素化合物は露光部に発生したアミノ基と結合を
形成して吸着する。フッ素化合物が吸着した部分は撥水
性に変化する。吸着後、光量200mJ/cm2の条件
で全面露光した。これによりフッ素化合物が吸着した部
分以外にアミノ基を発生させた。全面露光後、ガラス基
板を10重量%塩化金酸ナトリウム水溶液に30分間浸
漬して、アミノ基に塩化金酸イオンを吸着させた。吸着
後、蒸留水で洗浄して余分の塩化金酸ナトリウム水溶液
を除去した。洗浄後、水素化ホウ素ナトリウム0.01
M水溶液に5分間浸漬後、蒸留水で洗浄した。蒸留水で
洗浄後、無電解銅鍍金液PS−503に40度で5時間
浸漬して銅鍍金を施した。最初に露光した際のマスクパ
ターンとは反転した、ライン幅=300μm、ラインピ
ッチ=500μmのライン状にガラス基板上に銅が析出
した配線基板として用いることのできる複合部材を得
た。
【0505】(実施例9)(電解鍍金) 実施例9では本発明の第3の態様の製造方法の一例とし
て、露光により陰イオン交換性基であるアミノ基を発生
する感光性ポリマーを用いて、電解鍍金により多孔質シ
ートに配線やビアを形成する方法を説明する。
【0506】感光性層の形成 実施例1で用いたのと同様のポリマー1の5重量%TH
F溶液に親水化処理したPTFE多孔質シート(平均空
孔径0.2μm,膜厚20μm)を浸漬した。浸漬して
多孔質シートに充分溶液が浸透してから引き上げて、自
然乾燥して多孔質シートの空孔内表面にポリマー1をコ
ーティングした。コーティング後も多孔質シートの空孔
が閉塞されておらず多孔質状態を保持していた。
【0507】露 光 平行露光器(キャノン(株)製PLA501)を用い
て、ライン幅50μm、スペース50μmの配線パター
ンと、直径50μmのビアパターンが形成されたマスク
を介して、光量1.2J/cm2の条件で露光して、露
光部にアミノ基が生成したパターン潜像を形成した。
【0508】電解鍍金 露光した多孔質シートを導電性粘着テープを介して厚さ
0.5mmの銅電極に貼り付けた。これを電解鍍金液に
浸漬して銅板を対向電極として印加電圧6Vで電解鍍金
した。電解鍍金液は硫酸銅と塩化カルシウムの混合溶液
を用いた。電解鍍金液は酸性であるために、露光部に生
成したアミノ基は、強い親水性を示すアンモニウムイオ
ンに変化する。このため露光部に選択的に鍍金液が浸透
していた。電解鍍金により鍍金液が浸透した露光部にの
み銅が析出して、ライン幅50μm、スペース50μm
のCu配線と、直径50μmのCuビアとが形成された
配線シートや異方性導電シートとして用いることのでき
る複合部材を得た。
【0509】評 価 Cu配線やCuビアの部分の断面を走査型電子顕微鏡で
観察したところ、多孔質シートの空孔はほぼ完全に銅に
よって充填されていた。
【0510】(実施例10)実施例10では本発明の第
3の態様の製造方法の一例として、露光により陰イオン
交換性基であるスルホニル基を消失する感光性ポリマー
を用いて、電解鍍金により多孔質シートに配線やビアを
形成する方法を説明する。
【0511】ポリマー5の合成 実施例6で用いたのと同様なモノマー3と、ポリメチル
メタクリレート(PMMA)の共重合体ポリマー5を合
成した。共重合体ポリマー5の合成は、2種類のモノマ
ーの混合物を脱気したテトラヒドロフラン(THF)に
溶解した混合溶液に、重合開始剤として2,2’−アゾ
ビスイソブチロニトリル(AIBN)を加えて、アルゴ
ン雰囲気下、重合することによって行った。ポリマー3
の重量平均分子量=3万。各モノマーのポリマー5中に
おける重量分率は次の通り。モノマー3=32%、メチ
ルメタクリレート=68%。
【0512】感光性層の形成 合成したポリマー5の5重量%THF溶液に親水化処理
したPTFE多孔質シート(平均空孔径0.2μm,膜
厚20μm)を浸漬した。浸漬して多孔質シートに充分
溶液が浸透してから引き上げて、自然乾燥して多孔質シ
ートの空孔内表面にポリマーをコーティングした。コー
ティング後も多孔質シートの空孔が閉塞されておらず多
孔質状態を保持していた。
【0513】露 光 平行露光器CANON PLA501で、ドット径=2
00μmのドット状の遮光部を有するドットアレイパタ
ーン(ドットピッチ=500μm)のマスクを介して光
量1.2J/cm2の条件で露光した。露光部の陰イオ
ン交換性基(スルホニウム基)は分解して疎水性に変化
する。対してドット状の未露光部に存在する陰イオン交
換性基は親水性であり、鍍金液が浸透することができ
る。
【0514】電解鍍金 露光した多孔質シートを直径2cmのステンレス製の円
柱に密着して巻き付けて固定した。これを電解鍍金液に
浸漬して銅板を対向電極として印加電圧6Vで電解鍍金
した。電解鍍金液は硫酸銅と塩化カルシウムの混合溶液
を用いた。電解鍍金液は、スルホニウム基が存在する未
露光部に選択的に浸透した。ステンレス電極に通電する
と、電解鍍金により鍍金液が浸透した未露光部にのみ銅
が析出して、ドット径=200μmのドットアレイパタ
ーン(ドットピッチ=500μm)のCuビアとが形成
された配線シートや異方性導電シートとして用いること
のできる複合部材を得た。
【0515】評 価 Cu配線やCuビアの部分の断面を走査型電子顕微鏡で
観察したところ、多孔質シートの空孔はほぼ完全に銅に
よって充填されていた。
【0516】(実施例11)実施例11では本発明の第
3の態様の複合部材の製造方法の一例として、ロール状
の電極を用いて、多孔質シートに連続的に銅パターンを
形成する方法を説明する。
【0517】多孔質シートの準備 実施例9と同様にして、パターン潜像が形成された多孔
質シートを準備した。
【0518】多孔質シートは幅5cm、長さ1mの帯状
とした。
【0519】ロール状電極を用いた電解鍍金 ロール状電極を用いて、潜像が形成された多孔質シート
に連続的に電解鍍金した。図5に用いた電解鍍金装置の
模式図を示す。潜像が形成された多孔質シートはリール
41から引き出されて、電解鍍金槽43に導入される。
電解鍍金槽43には電解鍍金液44が満たされている。
多孔質シートは回転するロール状電極45に巻き付いて
密着したまま電解鍍金液中に浸漬される。ロール状電極
45と銅製の対極46には通電されており、ロール状電
極45に密着した多孔質シートの鍍金液浸透性領域(本
実施例の場合は露光部)に鍍金が析出して導電部が形成
される。導電部が形成された多孔質シート47は検査用
ロール48によって多孔質シートの裏表で導電部が貫通
しているかどうかを検査する。検査用ロールは一対の表
面が導電性ゴムで被覆されたロールからなる。二つのロ
ールは多孔質シートを挟み込むように配置され、それぞ
れ多孔質シートの表面と裏面に接触する。二つのロール
間の導電率を測定することによって、導電部が多孔質シ
ートの表裏に貫通して形成されていることを確認する。
検査後、水洗用槽49に導入され、残留した電解鍍金液
が洗い落とされる。洗浄後、導電部が形成された多孔質
シートはリール50に巻き取られる。
【0520】ロール状電極45としては、直径2cm、
長さ10cmのステンレス製の円柱を用いた。ロール状
電極45の表面と対極46の表面との間の距離は1cm
とした。電解鍍金液は実施例9と同様のものを用いた。
多孔質シートを送る速度は検査用ロール48による検査
結果を元に調整した。その結果、ライン幅50μm、ス
ペース50μmのCu配線と、直径50μmのCuビア
とが形成された配線シートや異方性導電シートとして用
いることのできる複合部材を得た。
【0521】評 価 Cu配線やCuビアの部分の断面を走査型電子顕微鏡で
観察したところ、多孔質シートの空孔はほぼ完全に銅に
よって充填されていた。
【0522】(実施例12)実施例12では本発明の複
合部材形成用感光性化合物の一例として、陰イオン交換
性基を発生する感光性基と架橋性基とを有する感光性ポ
リマーを用いた、本発明の第1あるいは第2の態様の複
合部材の製造方法について説明する。
【0523】感光性ポリマーおよび感光性組成物 それぞれ下記化学式(43)および(44)で示される
感光性のポリマー6およびポリマー7を用いた。ポリマ
ー6およびポリマー7はいずれもラジカル重合法により
合成した。
【0524】
【化43】
【化44】 ポリマー6 重量平均分子量Mw=31000、a:b:c=2:
5:1ポリマー7 重量平均分子量Mw=22000、a:b:c:d=
6:14:5:1 ポリマー7は5重量%のBTTBを添加して用いた。
【0525】銅パターンの形成 感光性層を形成するポリマーとして、ポリマー6、ある
いはポリマー7とBTTBの組成物を用いたほかは、実
施例1と同様にしてCu配線パターンを形成したとこ
ろ、いずれも問題なくCu配線パターンが形成された複
合部材を形成することができた。
【0526】またポリマー6、あるいはポリマー7とB
TTBの組成物を用い、塩化白金酸水溶液に浸漬した
後、水洗してから、アセトンによる超音波洗浄を2分間
行った他は実施例1と同様にしてCu配線パターンを形
成したところ、やはりいずれも問題なくCu配線パター
ンが形成された複合部材を形成することができた。
【0527】ところが比較例として、ポリマー1を用
い、塩化白金酸水溶液に浸漬した後、水洗してから、ア
セトンによる超音波洗浄を5分間行った他は実施例1と
同様にしてCu配線パターンを形成したところ、配線の
所々に感光性層の剥離に起因すると考えられるCu配線
パターンの欠損が顕微鏡観察により確認できた。
【0528】これより、架橋性基を有するポリマー6あ
るいはポリマー7は、ポリマー1と比較して溶剤(この
場合はアセトン)に対する耐久性が向上していることが
わかった。
【0529】ポリマー6あるいはポリマー7は本発明の
第3の態様の複合部材の製造方法にも用いることができ
る。
【0530】(実施例13)実施例13では本発明の複
合部材形成用感光性化合物の一例として、陰イオン交換
性基を消失する感光性基と架橋性基とを有する感光性ポ
リマーを用いた、本発明の第1の態様の複合部材の製造
方法について説明する。
【0531】感光性ポリマーおよび感光性組成物 それぞれ下記化学式(45)および(46)で示される
感光性のポリマー8およびポリマー9を用いた。ポリマ
ー8およびポリマー9はいずれもラジカル重合法により
合成した。
【0532】
【化45】
【化46】 ポリマー8 重量平均分子量Mw=34000、m:n=7:3ポリマー9 重量平均分子量Mw=21000、m:n:l=6:
5:1 ポリマー9は5重量%のBTTBを添加して用いた。
【0533】銅パターンの形成 感光性層を形成するポリマーとして、ポリマー8、ある
いはポリマー9とBTTBの組成物を用いたほかは、実
施例6と同様にしてCu配線パターンを形成したとこ
ろ、いずれも問題なくCu配線パターンが形成された複
合部材を形成することができた。
【0534】またポリマー8、あるいはポリマー9とB
TTBの組成物を用い、錯体1の水溶液に浸漬した後、
水洗してから、アセトンによる超音波洗浄を2分間行っ
た他は実施例6と同様にしてCu配線パターンを形成し
たところ、やはりいずれも問題なくCu配線パターンが
形成された複合部材を形成することができた。
【0535】ところが比較例として、ポリマー5を用
い、錯体1の水溶液に浸漬した後、水洗してから、アセ
トンによる超音波洗浄を5分間行った他は実施例6と同
様にしてCu配線パターンを形成したところ、配線の所
々に感光性層の剥離に起因すると考えられるCu配線パ
ターンの欠損が顕微鏡観察により確認できた。ちなみに
ポリマー5を用いた他は実施例6と同様にして作製した
ところ、こうしたCu配線パターンの欠損は認められな
かった。
【0536】これより、架橋性基を有するポリマー6あ
るいはポリマー7は、ポリマー5と比較して溶剤(この
場合はアセトン)に対する耐久性が向上していることが
わかった。
【0537】ポリマー8あるいはポリマー9は本発明の
第3の態様の複合部材の製造方法にも用いることができ
る。
【0538】(実施例14)実施例14では本発明の複
合部材形成用感光性材料の一例として、陰イオン交換性
基を生成する感光性基であるアジド誘導体基を有する感
光性ポリマーと、架橋助剤として、アジド基が感光して
生成するナイトレンと反応して架橋するフェノールノボ
ラック樹脂を含有する感光性材料を用いた、本発明の第
1あるいは第2の態様の複合部材の製造方法について説
明する。
【0539】感光性ポリマーおよび架橋助剤 下記化学式(47)で示される感光性のアジド基含有ポ
リマーを用いた。アジド基含有ポリマーは部分アセチル
化ポリビニルアルコールから合成した。フェノールノボ
ラック樹脂は分子量6500のものを用いた。
【0540】
【化47】
【0541】ポリマー 重量平均分子量Mwが、24000で、m:nの比が、
6:4のものを用いた。銅パターンの形成 感光性層を形成する際に、アジド基含有ポリマーとフェ
ノールノボラック樹脂の重量比で9:1の混合溶液を塗
布した他は、実施例1と同様にしてCu配線パターンを
形成したところ、同様にCu配線パターンが形成された
複合部材を形成することができた。アジド基含有ポリマ
ーあるいはこのポリマーとフェノールノボラック樹脂と
の混合物は、本発明の第3の態様の複合部材の製造方法
にも用いることができる。
【0542】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の複合部材
の製造方法の第1あるいは第2の態様によれば、感光性
層が形成された基材を、露光して鍍金するだけの簡単な
プロセスで、多層配線基板等として用いることのできる
微細な配線等の導電パターンを製作することが可能であ
る。この際、感光性層が鍍金液に溶解して剥離すること
がなく、充分な量の鍍金の触媒を吸着することが可能で
ある。このため鍍金により形成された導電部の導電率を
向上させることができる。更に鍍金の異常析出や導電部
の腐食を防止することができる。このため導電率が良好
で信頼性の高い配線基板などを提供することが可能であ
る。
【0543】また、本発明の複合部材の製造方法の第3
の態様によれば、導電部の金属の充填率を充分に高くし
て、導電率を向上させることができる。
【0544】本発明の複合部材形成用多孔質基材と複合
部材形成用感光性化合物および複合部材形成用感光性組
成物は、上記複合部材の製造方法に用いることができ
る。
【0545】更に本発明の複合部材の製造方法はいずれ
も「リールtoリール」で連続的に各工程を行うことも
できるため、製造時のスループットを高くすることがで
きる等の利点もあり、その産業的価値は非常に大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1の(a)〜(e)は、本発明の第3の態様
の複合部材の製造方法の製造過程を示す図である。各過
程における基材の断面図を示す。
【図2】本発明の複合部材の製造方法の第3の態様にお
いて、ロール状の電極を用いて製造する製造装置の断面
図である。
【図3】「リールtoリール」の連続工程で本発明の複
合部材の製造方法の第1あるいは第2の態様を行う際の
製造装置の一例。
【図4】「リールtoリール」の連続工程で本発明の複
合部材の製造方法の第3の態様を行う際の製造装置の一
例。
【図5】ロール状電極で本発明の複合部材の製造方法の
第3の態様を連続的に行う際の製造装置の一例。
【符号の説明】 1 多孔質シート 2 電極 3 鍍金液浸透性領域 4 電解鍍金により析出してきた導電部 5 多孔質シートを貫通して形成された導電部 6 多孔質シート上面に突出して形成された導電部 7 ロール状電極 8 鍍金液浸透性領域が形成されたシート状多孔質体 9 鍍金液浸透性領域 10 電解鍍金液 11 電解鍍金液槽 12 析出してきた導電部 13 シート状多孔質体に貫通して形成された導電部 14 感光性層が形成された感光性の多孔質シートを供
給するリール 15 露光装置 16 塩化白金酸水溶液などの溶液が入った鍍金核吸着
槽 17 残存液を除去するためのエアーナイフ 18 水洗用槽 19 鍍金核を還元して金属化するための還元槽 20 水洗用槽 21 無電解鍍金槽 22 水洗用槽 23 乾燥器 24 導電部を形成した多孔質シートを収納するリール 25 両面を保護フィルムで保護された感光性の多孔質
シートを供給するリール 26 両面を保護フィルムで保護された感光性の多孔質
シート 27 保護フィルムを剥がし取るためのロール 28 剥がし取られた保護フィルム 29 剥がし取った保護フィルムを回収するためのリー
ル 30 露光装置 31 露光されて潜像が形成された多孔質シート 32 ロール状電極 33 電解鍍金液 34 電解鍍金液槽 35 鍍金液を除去するためのエアーナイフ 36 導電部が形成された多孔質シート 37 水洗用槽 38 水洗水を除去するためのエアーナイフ 39 乾燥器 40 導電部が形成された多孔質シートを収納するリー
ル 41 潜像が形成された多孔質シートを供給するリール 42 潜像が形成された多孔質シート 43 電解鍍金用槽 44 電解鍍金液 45 ロール状電極 46 対極 47 導電部が形成された多孔質シート 48 検査用ロール 49 水洗用槽 50 導電部を形成した多孔質シートを収納するリール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C25D 7/00 C25D 7/00 J H05K 1/03 610 H05K 1/03 610H 3/18 3/18 C E (72)発明者 浅川 鋼児 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 真竹 茂 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 Fターム(参考) 4K022 AA02 AA04 AA13 AA15 AA16 AA18 AA23 AA24 AA32 AA34 AA36 AA37 AA41 AA42 BA01 BA03 BA08 BA14 BA18 BA35 CA06 CA08 CA12 CA20 CA21 CA26 CA27 DA01 4K024 AA03 AA09 AA10 AA11 AA12 AB01 AB08 BA01 BA12 BA15 BB11 BC01 BC03 BC04 BC08 BC10 CB10 DA06 DA10 EA02 FA23 GA16 5E343 AA03 AA12 AA17 AA18 AA37 AA39 BB24 CC72 DD33 ER04 GG11

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材の所定の部位に導電部を選択的に形成
    させる複合部材の製造方法において、前記導電部の形成
    を下記の感光性層形成工程、エネルギー線照射工程、吸
    着工程、鍍金工程を経て行うことを特徴とする複合部材
    の製造方法。 感光性層形成工程: 基材表面にエネルギー線を照射す
    ることにより、陰イオン交換性基が生成あるいは消失
    し、かつ膨潤性の感光性層を形成する工程、 エネルギー線照射工程: 前記感光性層にエネルギー線
    照射し、照射部或いは未照射部に陰イオン交換性基が配
    置された、陰イオン交換性基のパターンを形成する工
    程、 吸着工程: 前記陰イオン交換性基のパターンに金属含
    有イオン、または、金属含有化合物、または、金属コロ
    イドを吸着せしめる工程、 鍍金工程: 前記金属含有イオン、又は、金属含有化合
    物、又は、金属コロイドを吸着せしめた陰イオン交換性
    基のパターンに、無電解鍍金を施して導電パターンを形
    成する工程。
  2. 【請求項2】基材の所定の部位に導電部を選択的に形成
    させる複合部材の製造方法において、前記導電部の形成
    を下記の感光性層形成工程、エネルギー線照射工程、吸
    着工程、鍍金工程を経て行うことを特徴とする複合部材
    の製造方法。 感光性層形成工程: 基材表面にエネルギー線を照射す
    ることにより陰イオン交換性基が生成するアシルオキシ
    ム誘導体基含有化合物あるいはアジド誘導体基含有化合
    物を少なくとも有する感光性層を形成する工程、 エネルギー線照射工程: 前記感光性層にエネルギー線
    照射し、照射部或いは未照射部に陰イオン交換性基が配
    置された、陰イオン交換性基のパターンを形成する工
    程、 吸着工程: 前記陰イオン交換性基のパターンに金属含
    有イオン、または、金属含有化合物、または、金属コロ
    イドを吸着せしめる工程、 鍍金工程: 前記金属含有イオン、又は、金属含有化合
    物、又は、金属コロイドを吸着せしめた陰イオン交換性
    基のパターンに、無電解鍍金を施して導電パターンを形
    成する工程。
  3. 【請求項3】前記感光性層が、膨潤性を有することを特
    徴とする請求項2に記載の複合部材の製造方法。
  4. 【請求項4】絶縁性の多孔質体の所定の部位に導電部を
    選択的に形成させる複合部材の製造方法において、前記
    導電部の形成を下記の電極設置工程、表面部分改質工
    程、鍍金液浸透工程、電解鍍金工程を経て行うことを特
    徴とする複合部材の製造方法。 電極設置工程: 前記多孔質体に電極を設置する工程、 表面部分改質工程: 前記多孔質体の一部を改質してそ
    の表面エネルギーを変化させ、改質部の水に対する親和
    性を、非改質部の水に対する親和性と異ならしめたパタ
    ーンを形成する工程、 鍍金液浸透工程: 前記電極表面に接して選択された多
    孔質体内の改質部、あるいは非改質部の絶縁性の領域に
    選択的に鍍金液を浸透させる工程、 電解鍍金工程: 電極に通電して、電解鍍金を前記領域
    内に析出させて導電部を形成する工程。
  5. 【請求項5】前記表面部分改質工程が、多孔質体にエネ
    ルギー線を照射して、照射部の空孔内表面の表面エネル
    ギーを変化させ、照射部或いは未照射部が選択的に親水
    性である改質部を形成するエネルギー線照射工程である
    ことを特徴とする請求項4に記載の複合部材の製造方
    法。
  6. 【請求項6】前記多孔質体の空孔内表面は、多孔質体を
    構成する物質とは異なる、エネルギー線の照射によって
    表面エネルギーが変化する感光性物質からなる感光性層
    が形成されてなることを特徴とする請求項5に記載の複
    合部材の製造方法。
  7. 【請求項7】空孔を有する多孔質体と、該空孔内の表面
    に形成されているエネルギー線の照射により陰イオン交
    換性基が生成或いは消失される感光性層とから構成され
    ることを特徴とする複合部材形成用多孔質基材。
  8. 【請求項8】前記多孔質体がシート状であって、シート
    の片面或いは両面が少なくとも部分的に粘着性であるこ
    とを特徴とする請求項7に記載の複合部材形成用多孔質
    基材。
  9. 【請求項9】光照射することによって陰イオン交換性基
    を発生或いは消失する感光性基と、架橋性基とを有する
    ことを特徴とする複合部材形成用感光性化合物。
  10. 【請求項10】光照射することによって陰イオン交換性
    基を発生或いは消失する感光性基を有する化合物と、架
    橋性基を有する化合物とを有することを特徴とする複合
    部材形成用組成物。
JP2002046321A 2001-09-21 2002-02-22 複合部材の製造方法及び複合部材形成用多孔質基材並びに複合部材形成用感光性化合物及び複合部材形成用組成物 Expired - Fee Related JP3675768B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002046321A JP3675768B2 (ja) 2001-09-21 2002-02-22 複合部材の製造方法及び複合部材形成用多孔質基材並びに複合部材形成用感光性化合物及び複合部材形成用組成物
US10/251,825 US6835889B2 (en) 2001-09-21 2002-09-23 Passive element component and substrate with built-in passive element

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001289617 2001-09-21
JP2001-289617 2001-09-21
JP2002046321A JP3675768B2 (ja) 2001-09-21 2002-02-22 複合部材の製造方法及び複合部材形成用多孔質基材並びに複合部材形成用感光性化合物及び複合部材形成用組成物

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004137200A Division JP2004247759A (ja) 2001-09-21 2004-05-06 複合部材の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003166068A true JP2003166068A (ja) 2003-06-13
JP3675768B2 JP3675768B2 (ja) 2005-07-27

Family

ID=26622718

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002046321A Expired - Fee Related JP3675768B2 (ja) 2001-09-21 2002-02-22 複合部材の製造方法及び複合部材形成用多孔質基材並びに複合部材形成用感光性化合物及び複合部材形成用組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3675768B2 (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009065388A (ja) * 2007-09-05 2009-03-26 Toshiba Corp 無線装置及びアンテナ装置
WO2009084371A1 (ja) 2007-12-27 2009-07-09 Fujifilm Corporation めっき触媒吸着方法、金属層付き基板の製造方法及びそれらに用いるめっき触媒液
JP2010182865A (ja) * 2009-02-05 2010-08-19 Nitto Denko Corp 配線回路基板の製造方法
JP2011251534A (ja) * 2003-12-05 2011-12-15 Conductive Inkjet Technology Ltd 基板上の固体層の形成
JP2012097319A (ja) * 2010-11-01 2012-05-24 Eamex Co 高分子電解質複合体の製造方法
JP2014240527A (ja) * 2005-12-13 2014-12-25 メコ イクウィップメント エンジニアズ ベスローテン フェンノートシャップ 基板の互いに反対側に位置した側面上に存在するトラックを相互接続する方法
JP2015017326A (ja) * 2013-06-28 2015-01-29 ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. 5員複素環式窒素化合物を含有する無電解メタライゼーション触媒
JP2018090881A (ja) * 2016-12-07 2018-06-14 アキレス株式会社 不織布めっき物
JP2021082718A (ja) * 2019-11-20 2021-05-27 株式会社タッチパネル研究所 電子写真用トナーによる金属パターンの作製方法
CN114990503A (zh) * 2022-06-30 2022-09-02 业成科技(成都)有限公司 镀膜方法、镀膜设备和电子设备

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011251534A (ja) * 2003-12-05 2011-12-15 Conductive Inkjet Technology Ltd 基板上の固体層の形成
JP2014240527A (ja) * 2005-12-13 2014-12-25 メコ イクウィップメント エンジニアズ ベスローテン フェンノートシャップ 基板の互いに反対側に位置した側面上に存在するトラックを相互接続する方法
JP2009065388A (ja) * 2007-09-05 2009-03-26 Toshiba Corp 無線装置及びアンテナ装置
WO2009084371A1 (ja) 2007-12-27 2009-07-09 Fujifilm Corporation めっき触媒吸着方法、金属層付き基板の製造方法及びそれらに用いるめっき触媒液
JP2010182865A (ja) * 2009-02-05 2010-08-19 Nitto Denko Corp 配線回路基板の製造方法
JP2012097319A (ja) * 2010-11-01 2012-05-24 Eamex Co 高分子電解質複合体の製造方法
JP2015017326A (ja) * 2013-06-28 2015-01-29 ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. 5員複素環式窒素化合物を含有する無電解メタライゼーション触媒
JP2018090881A (ja) * 2016-12-07 2018-06-14 アキレス株式会社 不織布めっき物
JP2021082718A (ja) * 2019-11-20 2021-05-27 株式会社タッチパネル研究所 電子写真用トナーによる金属パターンの作製方法
JP7460047B2 (ja) 2019-11-20 2024-04-02 株式会社電気印刷研究所 電子写真用トナーによる金属パターンの作製方法
CN114990503A (zh) * 2022-06-30 2022-09-02 业成科技(成都)有限公司 镀膜方法、镀膜设备和电子设备
CN114990503B (zh) * 2022-06-30 2023-12-12 业成科技(成都)有限公司 镀膜方法、镀膜设备和电子设备

Also Published As

Publication number Publication date
JP3675768B2 (ja) 2005-07-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6835889B2 (en) Passive element component and substrate with built-in passive element
US6709806B2 (en) Method of forming composite member
US6899999B2 (en) Method of manufacturing composite member, photosensitive composition, porous base material, insulating body and composite member
JP3766288B2 (ja) 複合部材の製造方法及び電子パッケージ
EP0260514B1 (en) Photoselective metal deposition process
US4981715A (en) Method of patterning electroless plated metal on a polymer substrate
JPH07166372A (ja) 選択的金属化法
KR100887251B1 (ko) 도전성 패턴재료의 제조방법
EP0273376B1 (en) Embedded catalyst receptors for metallization of dielectrics
US5696207A (en) Fluroropolymeric substrates with metallized surfaces and methods for producing the same
US20090269606A1 (en) Method for forming metal film and method for forming metal pattern
EP0273374A2 (en) Method for making multilayer circuits using embedded catalyst receptors
JP3675768B2 (ja) 複合部材の製造方法及び複合部材形成用多孔質基材並びに複合部材形成用感光性化合物及び複合部材形成用組成物
JP3548130B2 (ja) 複合部材の製造方法、感光性組成物および多孔質基材
JP4348256B2 (ja) 導電性パターン材料の製造方法
PT985333E (pt) Processo de modificação de superfícies
JP3871649B2 (ja) 複合部材、複合部材の製造方法、および複合部材形成用材料
JP2004247759A (ja) 複合部材の製造方法
US7081304B2 (en) Surface conductive resin, process for forming the same and wiring board
JP2006108702A (ja) 複合部材の製造方法、感光性組成物、複合部材製造用の絶縁体、複合部材、多層配線基板及び電子パッケージ
EP0729293B1 (en) Selective metallization process
JP3742872B2 (ja) 光固定された微粒子を触媒とする無電解メッキ法
JP4121743B2 (ja) 誘電体の金属化方法
JP3813839B2 (ja) フレキシブル配線基板
JP2006526889A (ja) ポリマー支持体材料およびセラミック支持体材料の構造化された金属被覆の方法、および当該方法に用いられる活性化可能な化合物

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040225

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040303

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040506

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20040528

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050419

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050426

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090513

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090513

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100513

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110513

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110513

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120513

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120513

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130513

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130513

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140513

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees