JP4348256B2 - 導電性パターン材料の製造方法 - Google Patents
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Description
また、他の導電性パターン形成方法としては、フォトレジストを用いた方法が知られている。この方法は、フォトレジストポリマーを塗布したり、ドライフィルム上のフォトレジストを貼付した基材を、任意のフォトマスクを介してUV露光し、格子状などのパターンを形成する方法であり、高い導電性を必要とする電磁波シールドの形成に有用である。
しかしながら、近年、マイクロマシンの開発の進行や超LSIの一層の小型化に伴い、これらの配線構造もナノ単位の微細なものを要求されるようになってきており、従来の金属エッチングでは微細化に限界があり、また、細線部の加工中の断線なども懸念されている。
このことから、高解像度で、かつ、断線がない導電性パターンを形成しうることに加え、更に、導電性パターンの耐久性について更なる改良が望まれているのが現状である。
即ち、本発明の目的は、高解像度で、断線がなく、更に、耐久性に優れる導電性パターンを備えた導電性パターン材料の製造方法を提供することにある。
該グラフトポリマーが有する導電性粒子と相互作用しうる官能基に、導電性粒子を吸着させて導電性粒子吸着層を形成する工程と、
該導電性粒子吸着層にエネルギーを付与することにより、該導電性粒子吸着層中に架橋構造を形成する工程と、
を有することを特徴とする導電性膜の製造方法である。
本発明の作用は明確ではないが以下のように推測される。
本発明においては、導電性粒子吸着層中に架橋構造を形成したことで、グラフトポリマーの相互作用性基に吸着した導電性粒子は、更に、架橋構造中に内包され、物理的に固定化されることとなる。これにより、本発明に係る導電性粒子吸着層は、グラフトポリマーの相互作用性基の存在に起因する導電性粒子の保持性に加えて、導電性粒子吸着層中の架橋構造の存在に起因する固定化により導電性粒子の保持持続性が著しく向上するものと考えられる。
基材上に、導電性粒子と相互作用しうる官能基(相互作用性基)及び架橋性基を有するグラフトポリマーをパターン状に直接結合させる工程(以下、適宜「グラフトポリマーパターン形成工程」と称する)と、
該グラフトポリマーが有する導電性粒子と相互作用しうる官能基に、導電性粒子を吸着させて導電性粒子吸着層を形成する工程(以下、適宜「導電性粒子吸着層形成工程」と称する)と、
該導電性粒子吸着層にエネルギーを付与することにより、該導電性粒子吸着層中に架橋構造を形成する工程(以下、適宜「架橋構造形成工程」と称する)と、
を有することを特徴とする。
以下、本発明における各工程について順次説明する。
本発明においては、先ず、グラフトポリマーパターン形成工程において、基材上にグラフトポリマーパターンを形成する。
本発明におけるグラフトポリマーは、表面グラフト重合法により形成されたものであることが好ましい。
表面グラフト重合法とは、一般に、固体表面を形成する高分子化合物鎖上に活性種を与え、この活性種を起点として別の単量体を更に重合させ、グラフト(接ぎ木)重合体を合成する方法である。
光グラフト重合法の具体的方法としては、特開昭63−92658号公報、特開平10−296895号公報、及び特開平11−119413号公報に記載の方法を使用することができる。
光グラフト重合法は、上記記載の文献の他に、特開昭53−17407号公報(関西ペイント)や、特開2000−212313号公報(大日本インキ)記載のように、フィルム基材の表面に光重合性組成物を塗布し、その後、ラジカル重合化合物を接触させ光を照射させて、グラフトポリマーを得ることができる。
本発明では、基材表面に下記に示す相互作用性基を有する重合性化合物及び架橋性基を有する重合性化合物を接触させ、パターン状にエネルギーを付与することで、該基材表面の露光部に活性点を発生させて、この活性点と重合性化合物の重合性基とが反応し、表面グラフト重合反応が引き起こされる。
これら重合性化合物の基材表面への接触は、該重合性化合物を含有する液状組成物中に基材を浸漬することで行ってもよいが、取り扱い性や製造効率の観点からは、該重合性化合物を含有する液状組成物を基材表面に塗布することで行われることが好ましい。
本発明において、基材上に直接結合させるグラフトポリマーは、相互作用性基及び架橋性基を有するグラフトポリマーであり、そのポリマー構造中に相互作用性基と架橋性基とを有していることで、導電性粒子の吸着及び架橋構造形成の両機能を発揮することができる。
なお、相互作用性基を有する重合性化合物及び架橋性基を有する重合性化合物は共に、モノマー、マクロマー、重合性基を有するポリマーのいずれの態様でも構わないが、重合性の観点から、モノマーであることが特に好ましい。
本発明におけるグラフトポリマーの形成に際しては、相互作用性基を有するモノマーと架橋性基を有するモノマーとを、少なくとも1種づつ用いる必要があるが、本発明の効果を損ねない範囲で、更に、それ以外の他の共重合モノマーを用いてもよい。
なお、導電性粒子の吸着に関する事項及び架橋構造形成に関する事項の詳細は、後述する「導電性粒子吸着層形成工程」及び「架橋構造形成工程」の説明において詳述する。
グラフトポリマーが有する相互作用性基は、グラフトポリマーに吸着させる導電性粒子に応じた相互作用性を有する官能基である。
本発明において、相互作用性基は導電性粒子を吸着しうる官能基であるが、導電性粒子が吸着していない場合には、架橋反応に用いられる構造を有する官能基として機能してもよい。
即ち、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−モノメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド、ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどが有用である。
グラフトポリマーが有する架橋性基は、相互作用性基やグラフトポリマーが有する他の官能基と反応し、共有結合を形成する反応性基であり、例えば、水酸基、メチロール基、グリシジル基、イソシアネート基、アミノ基等の官能基が挙げられる。
架橋性基を有するモノマーの具体例としては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレートなどの水酸基を有するもの;N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、メチロールステアロアミドなどのメチロール基を有するもの;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどのグリシジル基を有するもの;2−イソシアネートエチルメタアクリレート(例えば、商品名:カレンズMOI,昭和電工)などのイソシアネート基を有するもの;2−アミノエチルアクリレート、2−アミノエチルメタアクリレートなどのアミノ基を有するものなどが挙げられるれる。
水溶性溶剤は、水と任意の割合で混和し得る溶剤を言い、そのような水溶性溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリンの如きアルコール系溶剤、酢酸の如き酸、アセトンの如きケトン系溶剤、ホルムアミドの如きアミド系溶剤、などが挙げられる。
この液状組成物を基材表面に塗布し、液状組成物塗布層を形成する場合の塗布量は、導電性粒子の十分な吸着性、及び均一な塗布膜を得る観点から、固形分換算で0.1〜10g/m2が好ましく、特に0.5〜5g/m2が好ましい。
本工程にてグラフトポリマーパターンを形成する際には、上述のように、基材表面に相互作用性基を有するモノマー及び架橋性基を有するモノマーを接触させ、パターン状にエネルギーを付与する。ここで用いられるエネルギー付与手段としては、基材表面に活性点を生じさせることが可能であれば、特に制限はないが、コスト、装置の簡易性の観点から、活性光線を照射する方法を用いることが好ましい。
この活性光線としては、赤外線、可視光線、紫外線、放射線など様々なものが用いられるが、これらの中でも、高精細なパターン露光に好適なことから、紫外線が好ましく用いられる。また、放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などが用いられる。更に、g線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用することができる。これらの光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等が好適なものとして挙げられる。
パターン状のエネルギー付与として活性光線の照射を用いる場合、デジタルデータに基づく走査露光、リスフィルムやマスクフィルムを用いたパターン露光のいずれもを用いることができる。
本発明に用いられる基材としては、寸度的に安定な板状物であり、必要な可撓性、強度、耐久性等を満たせばいずれのものも使用でき、使用目的に応じて適宜選択される。
光透過性を必要とする透明基材を選択する場合には、例えば、ガラス、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)等が挙げられる。
また、透明性を必要としない導電性パターン材料の基材としては、ポリイミド樹脂、ビスマレインイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、エポキシ樹脂、液晶ポリマー、ポリテトラフルオロエチレン樹脂などを成型したものや、シリコーン基板、紙、プラスチックがラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙若しくはプラスチックフィルム等を挙げることができる。
表面に樹脂が被覆されている基材としては、表面に樹脂フィルムが貼着された積層板、プライマー処理された基材、ハードコート処理された基材などが代表例に挙げられる。また、表面層が樹脂層からなる複合材としては、裏面に接着剤層が設けられた樹脂シール材、ガラスと樹脂との積層体である合わせガラスなどが代表例に挙げられる。
例えば、導電性パターン中の導電性粒子の単位面積当たりの吸着量をより向上させるために、表面積を増加させてより多くのイオン性基の導入を図る目的で、基材表面を予め粗面化することが可能である。
基材を粗面化する方法としては基材の材質に適合する公知の方法を選択することができる。具体的には、例えば、基材が樹脂フィルムの場合には、グロー放電処理、スパッタリング、サンドブラスト研磨法、バフ研磨法、粒子付着法、粒子塗布法等が挙げられる。また、基材がガラス板などの無機材料の場合には、機械的に粗面化する方法が適用できる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。
本発明における基材は、上述のように、グラフトポリマーが化学的に直接結合できるような表面を有するものである。本発明においては、基材の表面自体がこのような特性を有していてもよく、このような特性を有する中間層を基材表面に設けてもよい。
本発明においては、基材表面に、エネルギーを付与することにより重合開始能を発現する化合物として、重合性化合物と重合開始剤を添加し、中間層或いは基材表面として重合開始能を発現する層を形成することが、グラフト重合の際に活性点を効率よく発生させるという観点から好ましい。
重合開始能を発現する層(以下、適宜、重合性層と称する)は、必要な成分を、それらを溶解可能な溶媒に溶解し、塗布などの方法で基材表面上に設け、加熱又は光照射により硬膜し、形成することができる。
重合性層に用いられる重合性化合物は、基材との密着性が良好であり、且つ、活性光線照射などのエネルギー付与により相互作用性基を有するモノマー及び架橋性基を有するモノマーが付加し得るものであれば特に制限はないが、中でも、分子内に重合性基を有する疎水性ポリマーが好ましい。
このような疎水性ポリマーとしては、具体的には、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリぺンタジエンなどのジエン系単独重合体、アリル(メタ)アクリレー卜、2−アリルオキシエチルメタクリレー卜などのアリル基含有モノマーの単独重合体;
更には、前記のポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリペンタジエンなどのジエン系単量体又はアリル基含有モノマーを構成単位として含む、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリルなどとの二元又は多元共重合体;
不飽和ポリエステル、不飽和ポリエポキシド、不飽和ポリアミド、不飽和ポリアクリル、高密度ポリエチレンなどの分子中に炭素−炭素二重結合を有する線状高分子又は3次元高分子類;などが挙げられる。
なお、本明細書では、「アクリル、メタクリル」の双方或いはいずれかを指す場合、「(メタ)アクリル」と表記することがある。
重合性化合物の含有量は、重合性層中、固形分で0〜100質量%の範囲が好ましく、10〜80質量%の範囲が特に好ましい。
本発明における重合性層には、エネルギー付与により重合開始能を発現させるための重合開始剤を含有することが好ましい。ここで用いられる重合開始剤は、所定のエネルギー、例えば、活性光線の照射、加熱、電子線の照射などにより、重合開始能を発現し得る公知の熱重合開始剤、光重合開始剤などを目的に応じて、適宜選択して用いることができる。中でも、熱重合よりも反応速度(重合速度)が高い光重合を利用することが製造適性の観点から好適であり、このため、光重合開始剤を用いることが好ましい。
光重合開始剤は、照射される活性光線に対して活性であり、重合性層に含まれる重合性化合物と、相互作用性基を有するモノマー及び架橋性基を有するモノマーと、を重合させることが可能なものであれば、特に制限はなく、例えば、ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤などを用いることができる。
重合開始剤の含有量は、重合性層中、固形分で0.1〜70質量%の範囲が好ましく、1〜40質量%の範囲が特に好ましい。
具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、3−メトキシプロパノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテートなどが挙げられる。
これらの溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。そして塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50質量%が適当である。
加熱温度と時間は、塗布溶剤が充分乾燥し得る条件を選択すればよいが、製造適正の点からは、温度が100℃以下、乾燥時間は30分以内が好ましく、乾燥温度40〜80℃、乾燥時間10分以内の範囲の加熱条件を選択することがより好ましい。
上記態様に適用しうる重合開始能を有する化合物としては、例えば、光開裂によりラジカル重合を開始しうる重合開始部位(Q)と基材結合部位(Y)とを有する化合物(以下、適宜「光開裂化合物(Q−Y)」と称する。)等が挙げられる。
光開裂化合物(Q−Y)を基材表面に結合させるには、基材上に光開裂化合物(Q−Y)を付与し、基材表面と接触させ、基材表面に存在する官能基(Z)と、基材結合部位(Q)とを結合させて、基材表面に光開裂化合物(Q−Y)を導入すればよい。
この光により開裂する単結合としては、カルボニルのα開裂、β開裂反応、光フリー転位反応、フェナシルエステルの開裂反応、スルホンイミド開裂反応、スルホニルエステル開裂反応、N−ヒドロキシスルホニルエステル開裂反応、ベンジルイミド開裂反応、活性ハロゲン化合物の開裂反応、などを利用して開裂が可能な単結合が挙げられる。これらの反応により、光により開裂しうる単結合が切断される。この開裂しうる単結合としては、C−C結合、C−N結合、C−O結合、C−Cl結合、N−O結合、及びS−N結合等が挙げられる。
即ち、芳香族ケトン基、フェナシルエステル基、スルホンイミド基、スルホニルエステル基、N−ヒドロキシスルホニルエステル基、ベンジルイミド基、トリクロロメチル基、ベンジルクロライド基、などである。
このため、表面に光開裂化合物(Q−Y)が導入された基材を用いてグラフトポリマーを生成させる場合には、エネルギー付与手段として、重合開始部位(Y)を開裂させうる波長での露光を用いることが必要である。
このとき、溶液中又は分散液の光開裂化合物(Q−Y)の濃度としては、0.01質量%〜30質量%が好ましく、特に0.1質量%〜15質量%であることが好ましい。接触させる場合の液温としては、0℃〜100℃が好ましい。接触時間としては、1秒〜50時間が好ましく、10秒〜10時間がより好ましい。
また、以下の方法にてグラフトポリマーパターンを形成することもできる。
まず、光開裂化合物(Q−Y)が導入された基材表面に、予め、グラフトポリマーを生成させたくない領域に沿ってパターン露光を行い、基材表面に結合している化合物(Q−Y)を光開裂させて重合開始能を失活させることで、基材表面に、重合開始可能領域と重合開始能失活領域とを形成する。そして、重合開始可能領域と重合開始能失活領域とが形成された基材表面に、相互作用性基を有するモノマー及び架橋性基を有するモノマーを接触させた後、全面露光することで、重合開始可能領域にのみにグラフトポリマーが生成し、結果的に、グラフトポリマーパターンが形成される方法である。
導電性粒子吸着層形成工程においては、パターン状に生成されたグラフトポリマーの相互作用性基に導電性粒子を吸着させて、パターン状の導電性粒子吸着層を形成する。
グラフトポリマーの相互作用性基に吸着する導電性粒子は、相互作用性基としてイオン性基を挙げて説明するに、イオン性基の存在状態に応じて、規則正しくほぼ単層状態に配置されたり、長いグラフトポリマー鎖のそれぞれのイオン性基にナノスケールの微粒子が一つづつ吸着し、結果として、多層状態に配列されたりする。
導電性粒子としては、導電性の金属粒子及び金属酸化物粒子、半導体特性を有する金属酸化物粒子及び金属化合物微粒子、及び、導電性樹脂微粒子から選択される少なくとも1種の微粒子を用いることが好ましい。
上記導電性の金属粒子及び金属酸化物粒子としては、比抵抗値が1×103Ω・cm以下の導電性金属又は金属酸化物の粉末であれば幅広く用いることができ、具体的には、例えば、銀(Ag)、金(Au)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、錫(Sn)、鉛(Pb)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)などの単体とその合金の他、酸化錫(SnO2)、酸化インジウム(In2O3)、ITO(Indium Tin Oxide)、酸化ルテニウム(RuO2)、などを用いることができる。
また、上記半導体としての特性を有する金属酸化物粒子及び金属化合物粒子を用いてもよく、例えば、In2O3、SnO2、ZnO、Cdo、TiO2、CdIn2O4、Cd2SnO2、Zn2SnO4、In2O3−ZnOなどの酸化物半導体粒子、及びこれらに適合する不純物をドーパントさせた材料を用いた粒子、更には、MgInO、CaGaOなどのスピネル形化合物粒子、TiN、ZrN、HfNなどの導電性窒化物粒子、LaBなどの導電性ホウ化物粒子などが挙げられる。
これらの導電性粒子は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、所望の導電性を得るため、予め複数の材料を混合して用いることもできる。
なお、導電性粒子は、好ましい態様として、相互作用性基に対してイオン的に吸着するため、導電性粒子の表面電荷、イオン性基の数により、粒径や吸着量が制限されることはいうまでもない。
基材上に生成されたグラフトポリマーが、カルボキシル基、スルホン酸基、若しくはホスホン酸基などの如きアニオン性を有する相互作用性基(イオン性基)を有する場合は、相互作用性基が負の電荷を有するようになるため、ここに正の電荷を有するカチオン性の導電性粒子を吸着させることで導電性粒子吸着層が形成される。
負に帯電した導電性粒子としては、クエン酸還元で得られた金若しくは銀粒子を挙げることができる。
塗布、浸漬のいずれの場合にも、過剰量の導電性粒子を供給し、グラフトポリマーの相互作用性基(イオン性基)との間に十分なイオン結合による導入がなされるために、溶液又は分散液とグラフトポリマー生成面との接触時間は、10秒から24時間程度であることが好ましく、1分から180分程度であることが更に好ましい。
また、導電性粒子は、グラフトポリマーの親水性基に吸着し得る最大量結合されることが好ましく、また、導電性確保の観点からは、導電性粒子を含む分散液の分散濃度は、0.001〜20質量%程度が好ましい。
導電性粒子吸着層の膜厚は目的により選択できるが、耐キズ性(膜強度)や透明性などの観点からは、一般的には、0.001μm〜10μmの範囲が好ましく、0.01μm〜5μmの範囲が更に好ましく、0.1μm〜2μmの範囲が最も好ましい。
架橋構造形成工程においては、前記導電性粒子吸着工程により形成された導電性粒子吸着層にエネルギーを付与することにより、該導電性粒子吸着層中に架橋構造を形成する。
上記(1)の場合としては、例えば、グラフトポリマーが、カルボキシル基を有するモノマーとグリシジル基を有するモノマーの二元重合体である場合が挙げられる。
上記(2)の場合としては、例えば、グラフトポリマーが、カルボキシル基を有するモノマーと、水酸基を有するモノマーと、イソシアネート基を有するモノマーとの三元重合体である場合や、グラフトポリマーが、カルボキシル基を有するモノマーと、N−メチロールアクリルアミド等のそれ自身が反応して架橋構造を形成しうるモノマーとの二元重合体である場合等が挙げられる。
本発明においては、加熱により架橋構造を形成させる態様であることが好ましい。具体的な例としては、グラフトポリマーが有する相互作用性基であるカルボキシル基と架橋性基であるグリシジル基との反応を挙げることができる。
また、加熱処理は、形成されるグラフトポリマーの種類によっても異なるが、50℃〜300℃で、0.1秒〜60分程度加熱することにより行われる。
エネルギー付与が光照射により行われる場合であれば、光照射手段としては、例えば、低圧〜高圧までの各種水銀灯、メタルハライトランプ、キセノンランプなどの紫外〜可視域までの光源を用いることができる。
架橋構造が形成された導電性粒子吸着層の質量増加率は、30%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、5%以下であることが特に好ましい。
なお、このような導電性粒子吸着層が設けられた基材が、架橋率を見積もる際に用いられる溶剤に対し親和性がない場合には、基材ごと溶剤に浸漬させても、架橋構造が形成された導電性粒子吸着層の質量増加率を算出することができる。
〔1.グラフトポリマーパターン形成工程〕
PET(188μm、東レ社製)を基材として用い、その表面に下記の光重合性組成物をロッドバー18番を用いて塗布し、80℃で2分間乾燥し、膜厚6μmの中間層を形成した。
・アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 2g
(共重合モル比率80/20、平均分子量10万)
・エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート 4g
・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 1.6g
・1−メトキシ−2−プロパノール 16g
次に、中間層上に、アクリル酸/グリシジルメタクリレート(モル比:80/20)の5質量%のモノマー水溶液を5ml滴下し、その上に石英板をかぶせて、そのモノマー水溶液を均一に中間層と石英板の間に挟み込んだ。その石英板上に、パターンマスク(NC−1、凸版印刷社製)を密着させるようにクリップで留め、次に、パターンマスク上から、露光機(UVX−02516S1LP01、ウシオ電機社製)を用いて5分間露光した。以上のようにして、基材表面にアクリル酸とグリシジルメタクリレートとの共重合体からなるグラフトポリマーがパターン状に結合した基材を得た。
このグラフトポリマーパターンが得られた基材を基材Aとする。
この基材Aを、以下のようにして得られた正電荷を有するAg粒子分散液中に浸漬し、その後、流水で表面を充分洗浄して余分な粒子分散液を除去し、導電性粒子が吸着してなる導電性粒子吸着層を得た。
過塩素酸銀のエタノール溶液(5mmol/l)50mlにビス(1,1−トリメチルアンモニウムデカノイルアミノエチル)ジスルフィド3gを加え、激しく撹拌しながら水素化ホウ素ナトリウム溶液(0.4mol/l)30mlをゆっくり滴下してイオンを還元し、4級アンモニウムで被覆された銀粒子の分散液を得た。この銀粒子のサイズを電子顕微鏡で測定したところ、平均粒径は5nmであった。
導電性粒子吸着層が形成された基材Aを、ホットプレート(型式:T2B.Bamstead社製)を用いて、140℃で5分加熱を行い、グラフトポリマーが有するカルボキシル基とグリシジル基を架橋させて、導電性粒子吸着層中に架橋構造を形成した。
以上のようにして、実施例1の導電性パターン材料Aを得た。
〔1.グラフトポリマーパターン形成工程〕
(合成例1:化合物Aの合成)
前記例示化合物1の合成は、以下の2つのステップにより行われる。それぞれのステップのスキームを挙げて説明する。
DMAc50gとTHF50gの混合溶媒に1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン24.5g(0.12mol)を溶かし、氷浴下でNaH(60% in oil)7.2g(0.18mol)を徐々に加えた。そこに、11−ブロモ−1−ウンデセン(95%)44.2g(0.18mol)を滴下し、室温で反応を行った。1時間で反応が終了した。反応溶液を氷水中に投入し、酢酸エチルで抽出し、黄色溶液状の化合物aを含む混合物が得られた。この混合物37gをアセトニトリル370mlに溶かし、水7.4gを加えた。p−トルエンスルホン酸一水和物1.85gを加え、室温で20分間撹拌した。酢酸エチルで有機相を抽出し、溶媒を留去した。カラムクロマトグラフィー(充填剤:ワコーゲルC−200、展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=1/80)で化合物aを単離した。
合成スキームを以下に示す。
δ=1.2−1.8(mb,24H),2.0(q,2H),3.2(t,J=6.6,2H),4.9−5.0(m,2H)5.8(ddt,J=24.4,J=10.5,J=6.6,1H.),7.4(t,J=7.4,2H),7.5(t,J=7.4,1H),8.3(d,1H)
化合物a5.0g(0.014mol)にSpeir catalyst(H2PtCl6・6H2O/2−PrOH、0.1mol/l)を2滴加え、氷浴下でトリクロロシラン2.8g(0.021mol)を滴下して撹拌した。更に1時間後にトリクロロシラン1.6g(0.012mol)を滴下してから室温に戻した。3時間後に反応が終了した。反応終了後、未反応のトリクロロシランを減圧留去し、化合物Aを得た。
合成スキームを以下に示す。
δ=1.2−1.8(m,30H),3.2(t,J=6.3,2H),7.3−7.7(m,3H),8.3(d,2H)
基材としてのガラス基板(日本板硝子(株)製)を、終夜、ピランハ液(硫酸/30%過酸化水素=1/1vol混合液)に浸漬した後、純水で洗浄した。その基材を、窒素置換したセパラブルフラスコ中に入れ12.5質量%の化合物Aの脱水トルエン溶液に1時間浸漬した。取り出し後、トルエン、アセトン、純水で順に洗浄した。このように、表面に光開裂化合物が導入された基材を得た。
光開裂化合物が導入された基材の片面に、パターンマスク(NC−1、凸版印刷社製)を密着させるようにクリップで留め、露光機(UVX−02516S1LP01、ウシオ電機社製)で1分間パターン露光を行った。これにより、重合開始可能領域と重合開始能失活領域とが形成された基材を得た。
次に、重合開始可能領域と重合開始能失活領域とが形成された基材表面に、アクリル酸/グリシジルメタクリレート(モル比:80/20)の5質量%のモノマー水溶液を5ml滴下し、その上に石英板をかぶせて、そのモノマー水溶液を均一に中間層と石英板の間に挟み込んだ。その石英板上から、露光機(UVX−02516S1LP01、ウシオ電機社製)を用いて5分間、全面を露光した。以上のようにして、基材表面にアクリル酸とグリシジルメタクリレートとの共重合体からなるグラフトポリマーがパターン状に結合した基材を得た。
このグラフトポリマーパターンが得られた基材を基材Bとする。
この基材Bに対し、実施例1と同様の、2.導電性粒子吸着層形成工程、及び、3.架橋構造形成工程を行い、実施例2の導電性パターン材料Bを得た。
実施例1、2のクラフトポリマー生成工程のグラフトポリマー形成において、アクリル酸とグリシジルメタクリレート(80/20モル比)とからなるグラフトポリマーを生成させる代わりに、アクリル酸のみからなるグラフトポリマーを生成させ、かつ、架橋構造形成工程を行わなかった以外は、実施例1、2と同様にして、それぞれ、比較例1、2の導電性パターン材料C、Dを得た。
(導電性パターンの確認)
実施例及び比較例にて作製された導電性パターン材料A〜Dの導電性粒子吸着層(導電性パターン)を、透過型電子顕微鏡(JEOL JEM−200CX)にて10万倍にして確認したところ、いずれも、ライン幅8μm/スペース幅8μmの微細な配線が形成されていることが確認された。
実施例及び比較例にて作製された導電性パターン材料A〜Dの導電性粒子吸着層(導電性パターン)の表面導電性をLORESTA−FP(三菱化学(株)製)を用いて四探針法により測定した。測定結果を下記表1に示す。
実施例及び比較例にて作製された導電性パターン材料A〜Dをそれぞれ飽和食塩水に10分間浸漬し、浸漬前後の表面導電性を比較することにより、導電性粒子の保持耐久性を評価した。ここで、表面導電性の測定方法は、導電性の評価における表面導電性の測定方法と同様である。なお、浸漬前の表面導電性は、上記表面導電性の評価の結果とする。測定結果を下記表1に示す。
一方、アクリル酸のみからなるグラフトポリマーを生成して導電性粒子吸着層を形成して、その導電性粒子吸着層に架橋構造を形成しなかった、比較例1、2の導電性パターン材料C、Dは、飽和食塩水浸漬前は、実施例と同程度の表面導電性を示しているが、飽和食塩水浸漬後では、表面導電性が著しく低下しており、導電性粒子の脱離が発生しているものと推測される。
Claims (1)
- 基材上に、導電性粒子と相互作用しうる官能基及び架橋性官能基を有するグラフトポリマーをパターン状に直接結合させる工程と、
該グラフトポリマーが有する導電性粒子と相互作用しうる官能基に、導電性粒子を吸着させて導電性粒子吸着層を形成する工程と、
該導電性粒子吸着層にエネルギーを付与することにより、該導電性粒子吸着層中に架橋構造を形成する工程と、
を有することを特徴とする導電性パターン材料の製造方法。
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