JP4920318B2 - 導電性パターン形成方法、及びワイヤグリッド型偏光子 - Google Patents
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近年、この導電性パターンの形成方法の一つとして、デジタルデータに基づくパターンが容易に形成することができる点や耐久性、製造適正、大面積化の点から、グラフトポリマーを利用する方法が提案されている。
具体的には、例えば、光開裂によりラジカル重合を開始しうる光重合開始部位と基材結合部位とを有する化合物を基材に結合させ、その化合物の一部をパターン状に失活させた後、該基材上にラジカル重合可能な不飽和化合物を接触させて、全面露光を行い、残存した光重合開始部位の光開裂により発生したラジカルを基点としてグラフトポリマーを生成させ、該グラフトポリマーに対して、金属塩又は金属イオンを付与し、該金属イオン又は該金属塩中の金属イオンを還元して金属を析出させて、導電性パターンを得る方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
また、上記の方法で生成したグラフトポリマーに対して、導電性材料を付着させることで、導電性パターンを得る方法も知られている(例えば、特許文献2参照。)。
これら方法によれば、数μm程度のライン幅及びスペース幅を有する導電性パターンを、容易に形成することができる。
このワイヤグリッド偏光子では、金属線の間隔であるピッチが入射光に対して十分に短い時、入射光のうち、金属線に直交する電場ベクトルを有する成分は通過し、金属線と平行な電場ベクトルを有する成分は反射される。そのため、例えば、入射光が500nm程の可視光の場合、良好な偏光度を得るためには、入射光の1/5程度のピッチサイズ(即ち100nmのピッチサイズ)で金属線が形成されていることが好ましく、ラインアンドスペースの幅としては50nm程度であることが望まれる。
このような超微細な金属線を有するワイヤグリッド偏光子としては、例えば、特許文献3に、共鳴エンハンストンネリングという物理現象を利用し、ピッチ、及びワイヤ幅を、それぞれ130nm、52nmとしたものが開示されている。しかしながら、このワイヤグリッド偏光子を得るためには、66nmの厚みを有する金属細線と33nmの厚みの誘電細線とが交互に6〜18積層されたワイヤに置き換る手法が用いられ、このような高度な技術が要求されることから、多大なコストも必要となるという問題があった。
つまり、上記のように、ラインアンドスペースの幅が1μm以下、特に、ワイヤグリッド偏光子として好ましいラインアンドスペースの幅が50nm程度の金属線(導電性パターン)を、簡易な方法で形成する方法は、未だ達成されていないのが現状である。
即ち、本発明の目的は、超微細な導電性パターンを容易に形成しうる導電性パターン形成方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、偏光度に優れたワイヤグリッド型偏光子を提供することにある。
即ち、本発明の導電性パターン形成方法は、光開裂によりラジカル重合を開始しうる光重合開始部位と基材結合部位とを有する化合物を基材に結合させる工程と、パターン露光を行い、露光領域の該光重合開始部位を失活させる工程と、前記基材上にラジカル重合可能な不飽和化合物を接触させた後、該ラジカル重合可能な不飽和化合物が光吸収しない波長の光のみで全面露光を行い、前記パターン露光時における非露光領域に残存した該光重合開始部位に光開裂を生起させ、ラジカル重合を開始させることでグラフトポリマーを生成させる工程と、該グラフトポリマーに導電性素材を付与して、導電性発現層を形成する工程と、をこの順に行うことを特徴とする。
本発明の導電性パターン形成方法において生成されるグラフトポリマーは、その分子中に極性基を有することが好ましく、特に、側鎖に極性基を有することが好ましい。また、この極性基としては、イオンに解離しうるイオン性基であることが好ましい。更に、本発明におけるグラフトポリマーの生成領域は、親水性領域であることが好ましい。
また、本発明に導電性パターン形成方法は、好ましくは1μm以下の線幅を有する導電性発現層を形成することが好ましい態様である。
これらの結果、ラインアンドスペースの幅がそれぞれ1μm以下の導電性パターンを得ることができる。
また、このワイヤグリッド型偏光子は、可視光に対する優れた偏光度を得るために、金属線(導電性パターン)のラインアンドスペースの幅がそれぞれ10〜1000nmの範囲であることが好ましい。
その後、得られたグラフトポリマーパターンに応じた導電性発現層が形成されることで、超微細で、且つ、高精度の導電性パターンを形成することができる。
そのため、本発明の導電性パターン形成方法を用いて、偏光度に優れたワイヤグリッド型偏光子を提供することができる。
本発明の導電性パターン形成方法は、光開裂によりラジカル重合を開始しうる光重合開始部位と基材結合部位とを有する化合物を基材に結合させる工程(以下、適宜、「光開裂化合物結合工程」と称する。)と、パターン露光を行い、露光領域の該光重合開始部位を失活させる工程(以下、適宜、「重合開始能失活工程」と称する。)と、前記基材上にラジカル重合可能な不飽和化合物を接触させた後、該ラジカル重合可能な不飽和化合物が光吸収しない波長の光のみで全面露光を行い、前記パターン露光時における非露光領域に残存した該光重合開始部位に光開裂を生起させ、ラジカル重合を開始させることでグラフトポリマーを生成させる工程(以下、適宜、「グラフトポリマー生成工程」と称する。)と、該グラフトポリマーに導電性素材を付与して、導電性発現層を形成する工程(以下、適宜、「導電性発現層形成工程」と称する。)と、をこの順に行うことを特徴とする。
この方法を用いることで、基材上に所望の導電性パターンを形成することができ、特に、超微細の導電性パターンを形成することができる。
ここで、本発明における「超微細」とは、少なくとも導電性発現層(導電性パターン)の幅が1000nm以下であるものを指し、好ましくは、ラインアンドスペースの幅がそれぞれ10〜1000nmの範囲のものであり、ラインアンドスペースの幅がそれぞれ10〜500nmの範囲であることがより好ましい。
本発明における「超微細の導電性パターン」については、原子間顕微鏡(AFM)や電子顕微鏡(SEM)にて観察することにより確認することができる。
具体的には、アクリルアミドの水溶液における、320nmの光の吸光係数は0.005であり、アクリル酸の水溶液における、320nmの光の吸光係数は0.18である。
以上のことから、グラフトポリマー生成工程における全面露光は、320nm以上の波長の光のみで行われることが好ましい。
また、上記の吸光係数は、市販の紫外可視吸収スペクトロメーターにより測定することができる。
図1(a)に示されるように、基材表面には当初より官能基(図中、Zで表される)が存在する。ここに、基材結合部位(Q)と、光開裂によりラジカル重合を開始しうる重合開始部位(Y)と、を有する化合物(Q−Y)を付与し、基材表面に接触させる。これにより、図1(b)に示されるように、基材表面に存在する官能基(Z)と、基材結合部位(Q)と、が結合して、基材表面に化合物(Q−Y)が導入される〔光開裂化合物結合工程〕。その後、この化合物(Q−Y)が導入された面に、図1(b)の矢印のようにパターン露光を行う。これにより、重合開始部位(Y)は、露光エネルギーにより光開裂する。その結果、図1(c)に示されるように、化合物(Q−Y)の露光部は、重合開始部位(Y)が失活して、重合開始能失活部位(S)となる〔重合開始能失活工程〕。
その後、図1(d)に示されるように、モノマー等の公知のグラフトポリマー原料を接触させた状態で、図1(d)の矢印のように、ラジカル重合可能な不飽和化合物が光吸収しない波長の光のみで全面露光を行う。これにより、図1(e)に示されるように、重合開始部位(Y)が残存している領域において、化合物(Q−Y)の重合開始部位(Y)を起点としてグラフトポリマーが生成する〔グラフトポリマー生成工程〕。
図1においてZで表示される基は、基材表面に存在する官能基であり、具体的には、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。これらの官能基はシリコン基板、ガラス基板における基材の材質に起因して基材表面にもともと存在しているものでもよく、基材表面にコロナ処理などの表面処理を施すことにより表面に存在させたものであってもよい。
この光により開裂する単結合としては、カルボニルのα開裂、β開裂反応、光フリー転位反応、フェナシルエステルの開裂反応、スルホンイミド開裂反応、スルホニルエステル開裂反応、N−ヒドロキシスルホニルエステル開裂反応、ベンジルイミド開裂反応、活性ハロゲン化合物の開裂反応などを利用して開裂が可能な単結合が挙げられる。これらの反応により、光により開裂しうる単結合が切断される。この開裂しうる単結合としては、C−C結合、C−N結合、C−O結合、C−Cl結合、N−O結合、及びS−N結合等が挙げられる。
一方、重合開始部位(Y)が露光により開裂してラジカルが発生しても、ラジカルの周辺に重合可能な化合物が存在しない場合には、そのラジカルは使用されず失活してしまい、その結果、重合開始能自体が失活することとなる。その結果、このような領域はグラフトポリマー非生成領域となる。
例示された如き化合物(Q−Y)を基材表面に存在する官能基Zに結合させる方法としては、化合物(Q−Y)を、トルエン、ヘキサン、アセトンなどの適切な溶媒に溶解又は分散し、その溶液又は分散液を基材表面に塗布する方法、又は、溶液又は分散液中に基材を浸漬する方法などを適用すればよい。このとき、溶液中又は分散液の化合物(Q−Y)の濃度としては、0.01質量%〜30質量%が好ましく、特に0.1質量%〜15質量%であることが好ましい。接触させる場合の液温としては、0℃〜100℃が好ましい。接触時間としては、1秒〜50時間が好ましく、10秒〜10時間がより好ましい。
また、一般的には、平板状の基材が用いられるが、必ずしも平板状の基材に限定されず、円筒形などの任意の形状の基材表面にも同様にグラフトポリマーを導入することができる。
また、ワイヤグリッド型偏光子などの光学材料として用いられる導電性パターンを得る場合には、基材として、ガラス、石英、PETフィルム、アセテートフィルム等の透明なものを用いることができる。
基材の厚みは、使用目的に応じて選択され、特に限定はないが、一般的には、10μm〜10cm程度である。
このグラフトポリマー生成工程では、重合開始可能領域と重合開始能失活領域とを有する基材を、所望とするグラフトポリマーの材料となる、ラジカル重合可能な不飽和化合物(例えば、親水性モノマーなど)を接触させた後、全面露光を行い、重合開始可能領域の重合開始基を活性化させてラジカルを発生させ、そのラジカルを起点として、ラジカル重合可能な不飽和化合物との間で、グラフト化反応を生起、進行させる。その結果、重合開始可能領域にのみ、グラフトポリマーが生成する。
以下に、グラフトポリマー生成工程において好適に用いられる、ラジカル重合可能な不飽和化合物について具体的に例示する。
重合性不飽和基を有する親水性ポリマーとは、分子内に、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基などのエチレン付加重合性不飽和基が導入されたラジカル重合性基含有親水性ポリマーを指す。このラジカル重合性基含有親水性ポリマーは、重合性基を主鎖末端及び/又は側鎖に有することを要し、その双方に重合性基を有することが好ましい。以下、重合性基を(主鎖末端及び/又は側鎖に)有する親水性ポリマーを、ラジカル重合性基含有親水性ポリマーと称する。
合成方法としては、(a)親水性モノマーとエチレン付加重合性不飽和基を有するモノマーとを共重合する方法、(b)親水性モノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、(c)親水性ポリマーの官能基とエチレン付加重合性不飽和基を有するモノマーとを反応させる方法、が挙げられる。これらの中でも、特に好ましいのは、合成適性の観点から、(c)親水性ポリマーの官能基とエチレン付加重合性不飽和基を有するモノマーとを反応させる方法である。
また、(c)の方法で用いられる親水性ポリマーとしては、これらの親水性モノマーから選ばれる少なくとも一種を用いて得られる親水性ホモポリマー若しくはコポリマーが用いられる。
本発明において用い得るマクロモノマーの製造方法は、例えば、平成1年9月20日にアイピーシー出版局発行の「マクロモノマーの化学と工業」(編集者 山下雄也)の第2章「マクロモノマーの合成」に各種の製法が提案されている。
本発明で用い得る親水性マクロモノマーで特に有用なものとしては、アクリル酸、メタクリル酸などのカルホキシル基含有のモノマーから誘導されるマクロモノマー、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルステレンスルホン酸、及びその塩のモノマーから誘導されるスルホン酸系マクロモノマー、(メタ)アクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルカルボン酸アミドモノマーから誘導されるアミド系マクロモノマー、ヒドロキシエチルメタクリレー卜、ヒドロキシエチルアクリレート、グリセロールモノメタクリレートなどの水酸基含有モノマーから誘導されるマクロモノマー、メトキシエチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレートなどのアルコキシ基若しくはエチレンオキシド基含有モノマーから誘導されるマクロモノマーである。また、ポリエチレングリコール鎖若しくはポリプロピレングリコール鎖を有するモノマーも本発明のマクロモノマーとして有用に使用することができる。
これらの親水性マクロモノマーのうち有用なものの分子量は、250〜10万の範囲で、特に好ましい範囲は400〜3万である。
親水性モノマーとしては、アンモニウム、ホスホニウムなどの正の荷電を有するモノマー、若しくは、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、ホスホン酸基などの負の荷電を有するか負の荷電に解離しうる酸性基を有するモノマーが挙げられるが、その他にも、例えば、水酸基、アミド基、スルホンアミド基、アルコキシ基、シアノ基などの非イオン性の基を有する親水性モノマーを用いることもできる。
例えば、(メタ)アクリル酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、イタコン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、アリルアミン若しくはそのハロゲン化水素酸塩、3−ビニルプロピオン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、ビニルスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、スチレンスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−スルホエチレン(メタ)アクリレート、3−スルホプロピレン(メタ)アクリレート若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート若しくはそれらの塩、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート若しくはそのハロゲン化水素酸塩、3−トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリレート、3−トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N,N−トリメチル−N−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピル)アンモニウムクロライドなどを使用することができる。また、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−モノメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド、ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなども有用である。
上述のラジカル重合可能な不飽和化合物を溶解、分散するための溶媒としては、該化合物や必要に応じて添加される添加剤が溶解可能ならば特に制限はない。
例えば、親水性モノマー等の親水性の化合物が適用される場合であれば、水、水溶性溶剤などの水性溶剤が好ましく、これらの混合物や、溶剤に更に界面活性剤を添加したものなどが好ましい。水溶性溶剤は、水と任意の割合で混和しうる溶剤を言い、そのような水溶性溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリンの如きアルコール系溶剤、酢酸の如き酸、アセトンの如きケトン系溶剤、ホルムアミドの如きアミド系溶剤などが挙げられる。
また、疎水性モノマー等の疎水性の化合物が適用される場合であれば、メタノール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノールの如きアルコール系の溶剤、メチルエチルケトンの如きケトン系の溶剤、トルエンの如き芳香族炭化水素系の溶剤などが好ましい。
露光に用いられる光源としては、紫外光、深紫外光、可視光、レーザー光等が挙げられ、具体的には、紫外光、i線、g線、KrF、ArFなどのエキシマレーザーが用いられる。中でも、好ましくは、i線、g線、エキシマレーザーである。
本発明の導電性パターン形成方法を用いれば、超微細な導電性パターンの形成が可能であり、高精細のパターン露光を施すことにより、露光に応じた高精細な導電性パターンが形成される。高精細な導電性パターン形成のための露光方法としては、光学系を用いた光ビーム走査露光、マスクを用いた露光などが挙げられ、所望のパターンの解像度に応じた露光方法をとればよい。
特に、ラインアンドスペースの線幅が1000nm以下の超微細な導電性パターンを形成する際のパターン露光としては、具体的には、i線ステッパー、g線ステッパー、KrFステッパー、ArFステッパーのようなステッパー露光や、二光束干渉露光機による露光などが挙げられる。
本発明において、所望されないホモポリマーの生成を抑制し、且つ、前記重合開始部位(Y)において開裂を効率的に生じさせる点から、グラフトポリマー生成工程の全面露光は、320〜700nmの範囲の波長の光のみで行われることが好ましく、320〜400nmの範囲の波長の光のみで行われることがより好ましい。このような範囲の波長の露光には、例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプなどを適用することができる。
また、この全面露光は、酸素の影響を低減させるため、窒素などの不活性雰囲気下や真空下で行われるか、基材上にラジカル重合可能な不飽和化合物を含む溶液や分散液を接触させた後、グラフト重合反応を生起させるための光、即ち、本発明においては、例えば、320nm以上の波長の光が透過する材質、例えば、ガラス、石英、透明プラスチック製の板やフィルム等で、当該溶液や分散液を覆ってもよい。これら、溶液や分散液を覆う部材は、上記の320nm未満の波長の光をカットするカットフィルターとして機能してもよい。
また、露光エネルギーとしては、100mJ/cm2以上であることが好ましく、500mJ/cm2以上であることがより好ましい。
本工程では、生成されたグラフトポリマーに導電性素材を付与して、導電性発現層を形成する。具体的な方法としては、以下の4つの態様が挙げられ、得られる導電性パターンの用途に応じて、これらの態様を適宜選択すればよい。
第1の態様としては、グラフトポリマーに対し金属イオン又は金属塩を吸着させた後、該金属イオン又は金属塩中の金属イオンを還元させて金属微粒子分散膜を形成する方法である。
第2の態様としては、グラフトポリマーに対し導電性粒子を吸着させて導電性粒子吸着層を形成する方法である。
第3の態様としては、グラフトポリマーに対し無電解メッキ触媒又はその前駆体を吸着させた後、無電解メッキを行い、メッキ膜を形成する方法である。
第4の態様としては、グラフトポリマーに対し導電性モノマーを吸着させた後、重合反応を生起させて導電性ポリマー層を形成する方法である。
以下、これらの4つの態様について詳細に説明する。
導電性発現層形成工程の第1の態様は、以下に説明する金属イオン又は金属塩を、グラフトポリマーが有する極性基、特に好ましくはイオン性基に対し、その極性に応じて、イオン的に吸着させた後、該金属イオン又は金属塩中の金属イオンを還元させて金属単体を析出させて金属微粒子分散膜を形成する方法である。なお、金属単体の析出態様によって、金属微粒子分散膜は金属薄膜になる場合もある。この方法により、金属微粒子分散膜からなる導電性発現層が形成される。
ここで、金属微粒子分散膜を形成する、析出された金属微粒子は、グラフトポリマーの極性基と相互作用を形成し、吸着しているため、基材と金属微粒子分散膜との密着性に優れると共に、充分な導電性を発現できるという利点を有する。
まず、本態様において用いられる金属イオン及び金属塩について説明する。
本発明において、金属塩としては、グラフトポリマーに付与するために、適切な溶媒に溶解して、金属イオンと塩基(陰イオン)に解離されるものであれば特に制限はなく、M(NO3)n、MCln、M2/n(SO4)、M3/n(PO4)(Mは、n価の金属原子を表す)などが挙げられる。金属イオンとしては、上記の金属塩が解離したものを好適に用いることができる。具体例としては、例えば、Au、Ag、Cu、Al、Ni、Co、Fe、Pdが挙げられ、形成された導電性パターンの用途に応じて適宜選択すればよい。
金属塩や金属イオンは1種のみならず、必要に応じて複数種を併用することができる。また、所望の導電性を得るため、予め複数の材料を混合して用いることもできる。
金属イオン又は金属塩をグラフトポリマーに付与する際、(1)グラフトポリマーがイオン性基を有する場合には、そのイオン性基に金属イオンを吸着させる方法を用いる。この場合、上記の金属塩を適切な溶媒で溶解し、解離した金属イオンを含むその溶液を、グラフトポリマーが生成した基材に塗布するか、或いは、その溶液中にグラフトポリマーが生成した基材を浸漬すればよい。金属イオンを含有する溶液を接触させることで、前記イオン性基には、金属イオンがイオン的に吸着することができる。これら吸着を充分に行なわせるという観点からは、接触させる溶液の金属イオン濃度は1〜50質量%の範囲であることが好ましく、10〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。また、接触時間としては、10秒から24時間程度であることが好ましく、1分から180分程度であることが更に好ましい。
グラフトポリマーが極性基として親水性基を有する場合には、グラフトポリマー膜は高い保水性を有するため、その高い保水性を利用して、金属塩が分散した分散液をグラフトポリマー膜中に含浸させることが好ましい。分散液の含浸を充分に行なわせるという観点からは、接触させる分散液の金属塩濃度は1〜50質量%の範囲であることが好ましく、10〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。また、接触時間としては、10秒から24時間程度であることが好ましく、1分から180分程度であることが更に好ましい。
かかる方法においても、上述と同様に、グラフトポリマー膜が有する高い保水性を利用して、分散液又は溶液をそのグラフトポリマー膜中に含浸させることができる。分散液又は溶液の含浸を充分に行なわせるという観点からは、接触させる分散液の金属塩濃度、或いは、溶液の金属イオン濃度は1〜50質量%の範囲であることが好ましく、10〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。また、接触時間としては、10秒から24時間程度であることが好ましく、1分から180分程度であることが更に好ましい。
特に、(3)の方法によれば、グラフトポリマーの有する極性基の特性に関わらず、所望の金属イオン又は金属塩を付与させることができる。
続いて、グラフトポリマー(膜)に吸着又は含浸して存在する金属塩、或いは、金属イオンを還元しるために用いられる還元剤について説明する。
本発明において用いられる還元剤は、金属イオンを還元し、金属単体を析出させる物性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、次亜リン酸塩、テトラヒドロホウ素酸塩、ヒドラジンなどが挙げられる。
これらの還元剤は、用いる金属塩、金属イオンとの関係で適宜選択することができるが、例えば、金属イオン、金属塩を供給する金属塩水溶液として、硝酸銀水溶液などを用いた場合にはテトラヒドロホウ素酸ナトリウムが、二塩化パラジウム水溶液を用いた場合には、ヒドラジンが、好適なものとして挙げられる。
グラフトポリマーの極性基が、負の電荷を有する極性基や、カルボキシル基、スルホン酸基、若しくはホスホン酸基などの如きアニオン性のイオン性基である場合は、グラフトポリマー膜が選択的に負の電荷を有するようになることから、ここに正の電荷を有する金属イオンを吸着させ、その吸着した金属イオンを還元させることで金属単体を析出される。
また、グラフトポリマーの極性基が、特開平10−296895号公報に記載のアンモニウム基などの如きカチオン性基のイオン性基である場合は、グラフトポリマー膜が選択的に正の電荷を有するようになり、金属イオンはそのままの形状では吸着しない。そのため、極性基のイオン性基に起因する親水性を利用して、グラフトポリマー膜に、金属塩が分散した分散液、又は、金属塩が溶解した溶液を含浸させ、その含浸させた溶液の中の金属イオン又は金属塩中の金属イオンを還元させることで金属単体を析出させる。
以上のように、金属単体が析出することで、金属微粒子分散膜が形成される。
このように、金属単体が析出した状態を上記の顕微鏡で観察すると、グラフトポリマー膜中にぎっしりと金属微粒子が分散していること確認される。この時、析出された金属微粒子の大きさとしては、粒径1μm〜1nm程度である。
加熱処理工程における加熱温度としては、100℃以上が好ましく、更には150℃以上が好ましく、特に好ましくは200℃程度である。加熱温度は、処理効率や基材の寸法安定性などを考慮すれば400℃以下であることが好ましい。また、加熱時間に関しては、10分以上が好ましく、更には30分〜60分間程度が好ましい。
加熱処理による作用機構は明確ではないが、一部の近接する金属微粒子同士が互いに融着することで導電性が向上するものと考えている。
導電性発現層形成工程の第2の態様は、以下に説明する導電性粒子を、グラフトポリマーが有する極性基、特に好ましくはイオン性基に対し、その極性に応じて、イオン的に吸着させて導電性粒子吸着層を形成する方法である。この方法により、導電性粒子吸着層からなる導電性発現層が形成される。
ここで、導電性粒子はグラフトポリマーの極性基(イオン性基)に吸着して単分子膜状態や多層状態で固定されることで導電性粒子吸着層を形成するため、基材と導電性粒子吸着層との密着性に優れると共に、充分な導電性を発現できるという利点を有する。
これらの導電性粒子は1種のみならず、必要に応じて複数種を併用することができる。また、所望の導電性を得るため、予め複数の材料を混合して用いることもできる。
本発明において得られるグラフトポリマーが、カルボキシル基、スルホン酸基、若しくはホスホン酸基などの如きアニオン性を有する極性基を有する場合は、グラフトポリマーの極性基は選択的に負の電荷を有するようになり、ここに正の電荷を有する(カチオン性の)導電性粒子を吸着させることができる。
負に帯電した導電性粒子としては、クエン酸還元で得られた金若しくは銀粒子を挙げることができる。
塗布、浸漬のいずれの場合にも、過剰量の導電性粒子を供給し、極性基(イオン性基)との間に十分なイオン結合による導入がなされるために、溶液又は分散液とグラフトポリマー生成面との接触時間は、10秒から24時間程度であることが好ましく、1分から180分程度であることが更に好ましい。
また、これらの導電性粒子は、耐久性の点や導電性確保の観点から、グラフトポリマーの極性基に吸着し得る最大量結合されることが好ましく、その場合、分散液の分散濃度は、0.001〜20質量%程度が好ましい。
ここで、加熱工程における温度としては、50℃〜500℃が好ましく、更に好ましくは100℃〜300℃、特に好ましくは、150℃〜300℃である。
導電性発現層形成工程の第3の態様は、グラフトポリマーが有する極性基に対し、無電解メッキ触媒又はその前駆体を吸着させた後、無電解メッキを行い、メッキ膜を形成する方法である。この方法により、メッキ膜からなる導電性発現層が形成される。
このように、メッキ膜は、グラフトポリマーの極性基に吸着している触媒や前駆体に対し無電解メッキされて形成されることから、メッキ膜とグラフトポリマーとが強固に結合しており、その結果、基材とメッキ膜との密着性に優れると共に、メッキ条件により導電性を調整することができるという利点を有する。
本態様において用いられる無電解メッキ触媒とは、主に0価金属であり、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Coなどが挙げられる。本発明においては、特に、Pd、Agがその取り扱い性の良さ、触媒能の高さから好ましい。0価金属を相互作用性領域に固定する手法としては、例えば、グラフトポリマーの極性基と相互作用するように荷電を調節した金属コロイドを、グラフトポリマーが生成した基材に付与する手法が用いられる。一般に、金属コロイドは、荷電を持った界面活性剤又は荷電を持った保護剤が存在する溶液中において、金属イオンを還元することにより作製することができる。金属コロイドの荷電は、ここで使用される界面活性剤又は保護剤により調節することができ、このように荷電を調節した金属コロイドを、ググラフトポリマーが有する極性基と相互作用させることで、グラフトポリマーに金属コロイド(無電解メッキ触媒)を付着させることができる。
無電解メッキ触媒又はその前駆体が付与された基材に対して、無電解メッキを行うことで、グラフトポリマー生成領域に応じた無電解メッキ膜が形成される。
無電解メッキとは、メッキとして析出させたい金属イオンを溶かした溶液を用いて、化学反応によって金属を析出させる操作のことをいう。
本工程における無電解メッキは、例えば、無電解メッキ触媒が付与された基材を、水洗して余分な無電解メッキ触媒(金属)を除去した後、無電解メッキ浴に浸漬して行なう。使用される無電解メッキ浴としては、一般的に知られている無電解メッキ浴を使用することができる。
また、無電解メッキ触媒前駆体が付与された基材の場合、つまり、無電解メッキ触媒前駆体がグラフトポリマーに付着又は含浸した状態の基材を無電解メッキ浴に浸漬する場合には、基材を水洗して余分な前駆体(金属塩など)を除去した後、無電解メッキ浴中へ浸漬される。この場合には、無電解メッキ浴中において、前駆体の還元とこれに引き続き無電解メッキが行われる。ここ使用される無電解メッキ浴としても、上記同様、一般的に知られている無電解メッキ浴を使用することができる。
無電解メッキ浴に用いられる金属の種類としては、銅、すず、鉛、ニッケル、金、パラジウム、ロジウムが知られており、中でも、導電性の観点からは、銅、金が特に好ましい。
また、上記金属に合わせて最適な還元剤、添加物がある。例えば、銅の無電解メッキの浴は、銅塩としてCu(SO4)2、還元剤としてHCOH、添加剤として銅イオンの安定剤であるEDTAやロッシェル塩などのキレート剤が含まれている。また、CoNiPの無電解メッキに使用されるメッキ浴には、その金属塩として硫酸コバルト、硫酸ニッケル、還元剤として次亜リン酸ナトリウム、錯化剤としてマロン酸ナトリウム、りんご酸ナトリウム、こはく酸ナトリウムが含まれている。また、パラジウムの無電解メッキ浴は、金属イオンとして(Pd(NH3)4)Cl2、還元剤としてNH3、H2NNH2、安定化剤としてEDTAが含まれている。これらのメッキ浴には、上記成分以外の成分が入っていてもよい。
本態様における電気メッキの方法としては、従来公知の方法を用いることができる。なお、電気メッキに用いられる金属としては、銅、クロム、鉛、ニッケル、金、銀、すず、亜鉛などが挙げられ、導電性の観点から、銅、金、銀が好ましく、銅がより好ましい。
導電性発現層形成工程の第4の態様は、以下に説明する導電性モノマーを、グラフトポリマーが有する極性基、特に好ましくはイオン性基に対し、イオン的に吸着させた後、そのまま重合反応を生起させて導電性ポリマー層を形成する方法である。この方法により、導電性ポリマー層からなる導電性発現層が形成される。
ここで、導電性ポリマー層は、グラフトポリマーの極性基とイオン的に吸着した導電性モノマーを重合させてなるため、基材との密着性や耐久性に優れると共に、モノマーの供給速度などの重合反応条件を調整することで、膜厚や導電性の制御を行うことができるという利点を有する。
まず、グラフトポリマーが生成した基材を、過硫酸カリウムや、硫酸鉄(III)などの重合触媒や重合開始能を有する化合物を含有する溶液に浸漬し、この液を撹拌しながら導電性ポリマーを形成し得るモノマー、例えば、3,4−エチレンジオキシチオフェンなどを徐々に滴下する。このようにすると、該重合触媒や重合開始能を付与されたグラフトポリマーが有する極性基(イオン性基)と導電性ポリマーを形成し得るモノマーとが相互作用により強固に吸着すると共に、モノマー同士の重合反応が進行し、基材上のグラフトポリマーの生成領域に導電性ポリマーの極めて薄い膜が形成される。これにより、均一で、且つ、薄い導電性ポリマー層が得られる。
更に、導電性ポリマーとグラフトポリマーの極性基とが、陽イオンと陰イオンの関係で吸着するような素材を選択することで、極性基が導電性ポリマーのカウンターアニオンとして吸着することになり、一種のドープ剤として機能するため、導電性ポリマー層(導電性発現層)の導電性を一層向上させることができるという効果を得ることもできる。具体的には、例えば、極性基を有する重合性化合物としてスチレンスルホン酸を、導電性ポリマーの素材としてチオフェンを、それぞれ選択すると、両者の相互作用により、グラフトポリマーの生成領域と導電性ポリマー層との界面にはカウンターアニオンとしてスルホン酸基(スルホ基)を有するポリチオフェンが存在し、これが導電性ポリマーのドープ剤として機能することになる。
例えば、単一の回路形成からなる高精細(高解像度)な配線基板や、広い面積の導電性領域を要する配線基板として用いることも可能である。
また、基材にPETなどの透明フィルムを使用した場合には、パターン形成された透明導電性フィルムとして使用することができる。このような透明導電性フィルムの用途としては、ディスプレイ用透明電極、調光デバイス、太陽電池、タッチパネル、その他の透明導電膜が挙げられるが、CRTやプラズマディスプレイにつける電磁波シールドフィルターとして特に有用である。このような電磁波シールドフィルターは高い導電性と透明性とを必要とするため、導電性材料を格子状に設けることが好ましい。このような格子線幅は、20〜100μm、開口部は50〜600μm程度が好ましい。この格子は必ずしも規則正しく、直線で構成されていなくてもよく、曲線状で構成されていてもよい。
本発明の導電性パターン形成方法を用いて、基材上に平行に並んだ直線状金属線を有するワイヤグリッド型偏光子を作製する場合には、導電性発現層形成工程には、第1の態様、第2の態様、又は第3の態様を適用することが好ましい。なお、形成される金属線(導電性発現層)は、入射光の反射率が高い金属から形成されていることが好ましく、例えば、入射光が可視光であればアルミニウム、銀が好ましく、赤外光であれば、金、銀、銅などが好ましいものとして挙げられる。
更に、可視光に対し偏光度に優れるものとするために、基材上の直線状金属線(導電性発現層)は、好ましくは、ラインアンドスペースの幅がそれぞれ10〜500nmの範囲、より好ましくは、20〜300nmの範囲で形成されることが好ましい。
加えて、本発明の導電性パターン形成方法によりワイヤグリッド型偏光子を得る場合には、基材として、ガラス、石英、PETフィルム、アセテートフィルム等の光学的に透明なものを用いることが好ましい。
このようなワイヤグリッド型偏光子は、液晶表示装置、投影型の表示装置、自動車のヘッドランプ等に用いることができる。
(光開裂化合物結合工程)
石英板(日本板硝子社製、片面研磨、4インチ)を用いて、5分間UVオゾン処理を行うことで表面洗浄を行った。
次に、下記に示す重合開始部位と基材結合部位とを有する化合物P1を脱水トルエンに溶解して1.0質量%溶液を調製し、これを上記の石英板上にスピンコートした。スピンコートは、まず、300rpmで5秒回転させ、次に1000rpmで20秒間回転させた。スピンコート後、100℃で60秒間加熱し、表面をトルエン及びアセトンで洗浄した。このようにして得られた化合物P1が結合したシリコンウエハを基材A1とする。
基材A1の片面に、二光束干渉露光機(ニコン社製、LEIES193−1、193nm、pawer15mW)を用いて、幅50nmの直線が50nm毎に平行に並ぶようにパターン露光を行った。このように処理を施した基材を基材B1とする。
基材B1上に、アクリル酸水溶液(10質量%)を塗布し、その上に、320nm以上の光のみを透過するガラス板(青色ガラス、松並ガラス社製)をかぶせ、基材B1とガラス板とでアクリル酸水溶液を挟み込んだ。なお、アクリル酸水溶液の膜厚は1〜3mm程度である。
次に、ガラス板上から、露光機(UVX−02516S1LP01、ウシオ電機社製、63mW/cm2、主たる発光波長:254nm、365nm)を用いて、5分間全面露光を行った。その後、ガラス板を取り除き、露光面を純水で充分洗浄した。続いて、露光面を超音波洗浄器にて15分間洗浄した。以上のようにして、パターンC1を形成した。
ここで、アクリル酸の水溶液における、320nmの光の吸光係数は0.18であり、365nmの光の吸光係数は0であった。
パターンC1を有する基材を、硝酸銀(和光純薬製)15質量%の水溶液に1分間浸漬した後、蒸留水で洗浄した。その後、100mlの蒸留水に当該基板を浸漬し、その蒸留水中に、0.2mol/lのテトラヒドロホウ素酸ナトリウムを30ml滴下することにより、吸着している銀イオンを還元したところ、パターンC1の表面に均一なAg金属膜(金属微粒子分散膜)が形成された。これにより、Ag金属膜からなる導電性パターンが形成された導電性パターン材料を得た。
この導電性パターン材料の表面を電子顕微鏡(JEOL JEM−200CX)にて50万倍で観察したところ、線幅(ライン幅)50nm、空隙幅(スペース幅)50nmの良好な導電性パターンが形成されていることが判明した。
実施例1で用いたパターンC1を有する基材を、以下のようにして得られた正電荷を有するAg粒子分散液中に1時間浸漬し、その後、流水で表面を十分洗浄して余分なAg粒子分散液を除去し、パターンC1のみにAg粒子が吸着したAg粒子吸着膜(導電性粒子吸着層)を得た。これにより、Ag粒子吸着膜からなる導電性パターンが形成された導電性パターン材料を得た。
過塩素酸銀のエタノール溶液(5mmol/l)50mlにビス(1,1−トリメチルアンモニウムデカノイルアミノエチル)ジスルフィド3gを加え、激しく撹拌しながら水素化ホウ素ナトリウム溶液(0.4mol/l)30mlをゆっくり滴下してイオンを還元し、4級アンモニウムで被覆された銀粒子の分散液を得た。この銀粒子のサイズを電子顕微鏡で測定したところ、平均粒径は5nmであった。
実施例1及び実施例2により得られた導電性パターン材料について、下記のようにして導電性の評価を行った。
三菱化学製の表面抵抗計(ロレスタ、4深針法)を用いて、得られた導電性パターンの表面導電性を測定した。その結果、実施例1は100Ω/□であり、実施例2は100Ω/□であった。
このように本発明の導電性パターン形成方法により得られた導電性パターンは、優れた導電性を示していた。
実施例1及び実施例2により得られた導電性パターン材料について、ワイヤグリッド型偏光子としての性能評価を行った。
得られたワイヤグリッド型偏光子の金属線(導電性パターン)が形成されている面から波長405nmの固体レーザー光、及び波長635nmの半導体レーザー光を、該ワイヤグリッド型偏光子に対して垂直に入射し、その偏光分離性能(偏光度)を測定した。
入射光405nm、635nmにおける透過光の偏光度を下記表1に示す。
実施例1におけるグラフトポリマー生成工程において、320nm以上の波長の光のみを透過するガラス板に代えて、石英板を用いて全面露光を行った以外は、実施例1と同様の方法で、Ag金属膜からなる導電性パターンが形成された導電性パターン材料を得た。
なお、ここで使用した石英板は、320nm未満の波長の光をも透過しうるものである。
ここで、アクリル酸を水に20質量%で溶解した溶液における、254nmの光の吸光度は4以上であり、アクリル酸の水溶液における、254nmの光の吸光係数は20以上であった。
この導電性パターン材料の表面を電子顕微鏡(JEOL JEM−200CX)にて50万倍で観察したところ、全面に粒子が付着しており、ラインアンドスペースの線幅が50nmの超微細な導電性パターンは確認できなかった。
Claims (5)
- 光開裂によりラジカル重合を開始しうる光重合開始部位と基材結合部位とを有する化合物を基材に結合させる工程と、
パターン露光を行い、露光領域の該光重合開始部位を失活させる工程と、
前記基材上にラジカル重合可能な不飽和化合物を接触させた後、該ラジカル重合可能な不飽和化合物が光吸収しない波長の光のみで全面露光を行い、前記パターン露光時における非露光領域に残存した該光重合開始部位に光開裂を生起させ、ラジカル重合を開始させることでグラフトポリマーを生成させる工程と、
該グラフトポリマーに導電性素材を付与して、導電性発現層を形成する工程と、
をこの順に行うことを特徴とする導電性パターン形成方法。 - 前記全面露光が320〜700nmの範囲の波長の光のみで行われることを特徴とする請求項1に記載の導電性パターン形成方法。
- 前記全面露光が320〜400nmの範囲の波長の光のみで行われることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の導電性パターン形成方法。
- 1μm以下の線幅を有する導電性発現層を形成する請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の導電性パターン形成方法。
- 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の導電性パターン形成方法により得られた、基材上に平行に並んだ直線状金属線を有するワイヤグリッド型偏光子。
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