JP4708859B2 - 薄層トランジスタ、それを用いたアクティブマトリックス型表示装置、及び、液晶表示装置 - Google Patents
薄層トランジスタ、それを用いたアクティブマトリックス型表示装置、及び、液晶表示装置 Download PDFInfo
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Description
即ち、本発明の目的は、基板との密着性と導電性に優れ、簡易に形成された電極を有する、電極の高解像化が実現された薄層トランジスタ、及び、前記本発明の薄層トランジスタを備えてなる電気的特性に優れたアクティブマトリックス型表示装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、駆動用LSIチップをチップオングラス(COG)により実装する場合の問題点であった駆動用LSIチップのドライバ入出力配線の導電性が改良され、高解像度で配線が形成されてなる液晶表示装置を提供することにある。
即ち、本発明の薄層トランジスタは、ゲート電極、ソース電極、及び、ドレイン電極の少なくとも一つが、固体表面に直接化学結合したパターン状のグラフトポリマーに導電性物質を付与してなる導電層からなることを特徴とする。
本発明の薄層トランジスタは、より具体的には、エネルギー付与によりラジカルを発生しうる固体表面上に、ラジカル重合可能な不飽和化合物を接触させてパターン状にエネルギーを付与し、該固体表面上にパターン状のグラフトポリマーを生成した後、該グラフトポリマー生成領域に導電性材料を付与して得られる導電を、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極のいずれかとして用いるものであり、エネルギー付与によりラジカルを発生しうる固体として、光開裂によりラジカル重合を開始しうる重合開始部位と基材結合部位とを有する化合物を表面に結合させてなる固体を用いることが好ましい態様である。
前記パターン状のエネルギー付与としては、マスクパターンを用いたパターン露光であっても、レーザ走査露光によるパターン露光であってもよい。
また、導電層の形成にあたっては、導電性等の電気的特性の観点からは、グラフトポリマー生成領域に無電解メッキ触媒もしくはその前駆体を付与し、無電解メッキを行うことが好ましく、その際の無電解メッキは、トリアルカノールアミン、特に、トリエタノールアミンを含有する無電解メッキ浴を用いて行うことが好ましい態様である。
本発明の薄層トランジスタの形式は任意であり、例えば、基板上に絶縁層、ドレイン電極、ソース電極、半導体層、ゲート電極を順次設けてなるトップゲート型であっても、基材上に、ゲート電極、ゲート絶縁膜、半導体膜、ソース・ドレイン電極を順次備えてなるボトムゲート型であってもよい。
本発明の請求項10に係る液晶表示装置は、パネル基板の周辺部に駆動用LSIチップをチップオングラス(COG)により実装してなる液晶表示装置であって、該駆動用LSIチップのドライバ入出力配線として、固体表面に直接化学結合したパターン状のグラフトポリマーに導電性物質を付与してなる配電を用いることを特徴とする。
また、COGによるLSIの実装においても、基板表面に直接のみならず、従来用いられていたITO配線上にも、TFTにおける各種電極を形成したのと同様の手法により、高解像度で、密着性と導電性に優れた配線を簡易に形成することができ、LSIの高性能化に寄与しうる。
また、本発明によれば、駆動用LSIチップをチップオングラス(COG)により実装する場合の問題点であった駆動用LSIチップのドライバ入出力配線の導電性が改良され、高解像度の配線が形成されてなる液晶表示装置を提供することができる。
本発明の薄層トランジスタは、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極などの少なくとも1つの電極として、ガラスに代表される絶縁基材、絶縁層などの固体表面上にグラフトポリマーをパターン状に直接結合させて、該グラフトポリマーに導電性材料を付着させてなる導電層を用いることを特徴とする。
本発明のTFTにおける各種電極を形成する導電層は、ガラス基材、絶縁層などの固体表面上にグラフトポリマーをパターン状に直接結合させる工程(以下、適宜、「グラフトポリマー生成工程」と称する。)と、グラフトポリマーに導電性材料を付着させる工程(以下、適宜、「導電性材料付着工程」と称する。)と、の2つのプロセスを経ることで得られる導電層からなる。
以下、本発明におけるこの2つのプロセスについて、固体としてガラス基板を用いた場合を例に挙げて順次説明する。
本工程においては、ガラス基材上にパターン状にグラフトポリマーを生成させることができれば、如何なる方法を用いてもよい。
グラフトポリマーは、一般に、エネルギー付与によりラジカルを発生しうる固体表面上に、ラジカル重合可能な不飽和化合物を接触させてパターン状にエネルギーを付与することで得られ、この具体的態様としては、以下に述べる種々の態様が挙げられる。
以下、この態様について述べる。
ここで、光開裂によりラジカル重合を開始しうる重合開始部位(以下、単に「重合開始部位(Y)」と称する。)は、光により開裂しうる単結合を含む構造である。
この光により開裂する単結合としては、カルボニルのα開裂、β開裂反応、光フリー転位反応、フェナシルエステルの開裂反応、スルホンイミド開裂反応、スルホニルエステル開裂反応、N−ヒドロキシスルホニルエステル開裂反応、ベンジルイミド開裂反応、活性ハロゲン化合物の開裂反応、などを利用して開裂が可能な単結合が挙げられる。これらの反応により、光により開裂しうる単結合が切断される。この開裂しうる単結合としては、C−C結合、C−N結合、C−O結合、C−Cl結合、N−O結合、及びS−N結合等が挙げられる。
即ち、芳香族ケトン基、フェナシルエステル基、スルホンイミド基、スルホニルエステル基、N−ヒドロキシスルホニルエステル基、ベンジルイミド基、トリクロロメチル基、ベンジルクロライド基、などである。
このため、表面に光開裂化合物(Q−Y)が導入された基材を用いてグラフトポリマーを生成させる場合には、エネルギー付与手段として、重合開始部位(Y)を開裂させうる波長での露光を用いることが必要である。
このとき、溶液中又は分散液の光開裂化合物(Q−Y)の濃度としては、0.01質量%〜30質量%が好ましく、特に0.1質量%〜15質量%であることが好ましい。接触させる場合の液温としては、0℃〜100℃が好ましい。接触時間としては、1秒〜50時間が好ましく、10秒〜10時間がより好ましい。
また、以下の方法にてパターン状にグラフトポリマーを生成させることもできる。
まず、光開裂化合物(Q−Y)が導入された基材表面に、予め、グラフトポリマーを生成させたくない領域に沿ってパターン露光を行い、基材表面に結合している化合物(Q−Y)を光開裂させて重合開始能を失活させることで、基材表面に、重合開始可能領域と重合開始能失活領域とを形成する。そして、重合開始可能領域と重合開始能失活領域とが形成された基材表面に、重合性化合物を接触させた後、全面露光することで、重合開始可能領域にのみにグラフトポリマーが生成し、結果的に、パターン状にグラフトポリマーが生成される。
さらに、<3>光開裂によりラジカル重合を開始しうる光重合開始部位を共有結合により固体表面にパターン状に設け、それを基点としてグラフトポリマーを生成させる方法も好ましく挙げられ、このような固体表面を得るためには、光開裂によりラジカル重合を開始しうる光重合開始部位と基材結合部位とを有する化合物を基材に結合させ、その後、パターン露光を行い、露光領域の該光重合開始部位を失活させる方法や、光開裂によりラジカル重合を開始しうる重合開始部位と基材結合部位とを有する化合物を固体表面にパターン状に結合させる方法などが挙げられる。
低分子のラジカル発生剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーのケトン、ベンゾイルベンゾエート、ベンゾイン類、α−アシロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、トリクロロメチルトリアジンおよびチオキサントン等の公知のラジカル発生剤を使用できる。また通常、光酸発生剤として用いられるスルホニウム塩やヨードニウム塩なども光照射によりラジカル発生剤として作用するため、本発明ではこれらを用いてもよい。
高分子ラジカル発生剤としては特開平9−77891号段落番号〔0012〕〜〔0030〕や、特開平10−45927号段落番号〔0020〕〜〔0073〕に記載の活性カルボニル基を側鎖に有する高分子化合物などを使用することができる。このような高分子ラジカル発生剤のうち、側鎖にラジカル発生部位を有する高分子化合物を含有するものが、前記(b)基材に相当する。
ラジカル発生剤の含有量は、基材の種類、所望のグラフトポリマーの生成量などを考慮して適宜、選択できるが、一般的には、低分子ラジカル発生剤の場合、0.1〜40重量%の範囲であり、高分子ラジカル発生剤の場合、1.0〜50重量%の範囲であることが好ましい。
増感剤は、ラジカル発生剤に対して、50〜200重量%程度の量で含有させることが好ましい。
前記2つの対応では、基材自体にラジカル発生剤を含有させることが必要であったが、ラジカル発生能を有する層を、任意の支持体表面に形成することにより、「露光によりラジカルを発生しうる基材」を形成することも可能であり、このような方法として、(c)架橋剤と側鎖にラジカル発生部位を有する高分子化合物とを含有する塗布液を支持体表面に塗布、乾燥し、被膜内に架橋構造を形成させてなる基材を用いる方法が挙げられる。
(c)の態様においては、任意の支持体上に、側鎖に重合開始能を有する官能基及び架橋性基を有するポリマーを架橋反応により固定化してなる重合開始層を形成することで、「露光によりラジカルを発生しうる基材」とする。
これらのなかでも、最も好ましいのは、先に詳述した「エネルギー付与によりラジカルを発生しうる固体として、光開裂によりラジカル重合を開始しうる重合開始部位と基材結合部位とを有する化合物を表面に結合させてなる固体」を用いる態様である。
次に、本発明において用いられる重合性化合物について説明する。
本発明においてグラフトポリマーの生成に用いられる重合性化合物としては、モノマー、マクロモノマー、或いは重合性基を有する高分子化合物のいずれも用いることができる。これらの重合性化合物は公知のものを任意に使用することができる。
これらのうち、本発明において特に有用な重合性化合物としては、後述する導電性材料付着工程において使用される態様により、適宜、選択される。つまり、生成したグラフトポリマーに対し導電性素材を効率よく、容易に、高密度で、保持させるために、導電性素材と直接相互作用を形成しうる官能基、又は、導電性素材を効率よく保持するために用いる材料と相互作用を形成しうる官能基を有する重合性化合物を用いることが好ましい。
以下、導電性素材と直接相互作用を形成しうる官能基、及び、導電性素材を効率よく保持するために用いる材料と相互作用を形成しうる官能基を、総じて相互作用性基として説明する。
この相互作用性基としては、例えば、極性基が挙げられる。この極性基の中でも、親水性基が好ましく、より具体的には、アンモニウム、ホスホニウなどの正の荷電を有する官能基、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、ホスソン酸基などの負の荷電を有する官能基、その他にも、例えば、水酸基、アミド基、スルホンアミド基、アルコキシ基、シアノ基などの非イオン性基が挙げられる。
以下、グラフトポリマー生成工程において好適に用いられる相互作用性基を有する重合性化合物について具体的に説明する。
このようなマクロモノマーの有用な重量平均分子量は、500〜50万の範囲であり、特に好ましい範囲は1000〜5万である。
このような高分子化合物の有用な重量平均分子量は、500〜50万の範囲で、特に好ましい範囲は1000〜5万である。
好ましい合成方法は、合成適性の観点から、ii)相互作用性基を有するモノマーと重合性基前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により重合性基を導入する方法、iii)相互作用性基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、重合性基を導入する方法である。
また、上記ii)の合成方法に用いられる重合性基前駆体を有するモノマーとしては、2−(3−クロロ−1−オキソプロポキシ)エチルメタクリレー卜や、特開2003−335814号公報に記載の化合物(i−1〜i−60)が使用することができ、これらの中でも、特に下記化合物(i−1)が好ましい。
使用できる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールモノメチルエーテルの如きアルコール系溶剤、酢酸の如き酸、アセトン、シクロヘキサノンの如きケトン系溶剤、ホルムアミド、ジメチルアセトアミドの如きアミド系溶剤、などが挙げられる。
また、得られるグラフトポリマーからなる膜(グラフトポリマー膜)は、膜厚が0.1〜2.0g/m2の範囲にあることが好ましく、0.3〜1.0g/m2が更に好ましく、最も好ましくは、0.5〜1.0g/m2の範囲である。
本工程において、グラフトポリマーを生成させるためのパターン露光、重合開始能を失活させるために行うパターン露光、更には、グラフトポリマーを生成させるために行う全面露光、マスクパターンを介した全面露光は、いずれも、前記重合開始能を生起させるか、あるいは、重合開始部位(Y)において開裂を生じさせることのできる露光であれば特に制限はなく、紫外線による露光でも、可視光による露光でもよい。更に、露光には波長分布を有する光源を利用してもよく、特定の波長の光源を用いてもよい。
高精細パターン露光としては、具体的には、i線ステッパー、g線ステッパー、KrFステッパー、ArFステッパーのようなステッパー露光などが挙げられる。
本工程においては、パターン状に生成されたグラフトポリマーに導電性材料を付着させて、パターン状の導電性発現層を形成する。具体的な方法としては、以下の4つの態様がある。
第1の態様としては、グラフトポリマーの相互作用性基(イオン性基)に対し導電性粒子を吸着させて導電性粒子吸着層を形成する方法である。
第2の態様としては、グラフトポリマーの相互作用性基に対し無電解メッキ触媒又はその前駆体を吸着させた後、無電解メッキを行いメッキ膜を形成する方法である。
第3の態様としては、グラフトポリマーの相互作用性基に対し金属イオン又は金属塩を吸着させた後、該金属イオン又は金属塩中の金属イオンを還元させて金属微粒子分散膜を形成する方法である。
第4の態様としては、グラフトポリマーの相互作用性基に対し導電性モノマーを吸着させた後、重合反応を生起させて導電性ポリマー層を形成する方法である。
以下、上記第1〜第4の態様について説明する。
導電性材料付着工程の第1の態様は、以下に説明する導電性粒子を、上記グラフトポリマーが有する相互作用性基、特に好ましくはイオン性基に対し、その極性に応じて、イオン的に吸着させて導電性粒子吸着層を形成する方法である。この方法により、導電性粒子吸着層からなる導電層が形成される。
ここで吸着させた導電性粒子はグラフトポリマーの相互作用性基と相互作用を形成して単分子膜状態や多層状態で固定されることで導電性粒子吸着層を形成するため、基板と導電性粒子吸着層との密着性に優れると共に、充分な導電性を発現できるという利点を有する。
これらの導電性粒子は1種のみならず、必要に応じて複数種を併用することができる。また、所望の導電性を得るため、予め複数の材料を混合して用いることもできる。
本発明において得られるグラフトポリマーが、カルボキシル基、スルホン酸基、若しくはホスホン酸基などの如きアニオン性を有する相互作用性基を有する場合は、グラフトポリマーの相互作用性基は選択的に負の電荷を有するようになり、ここに正の電荷を有する(カチオン性の)導電性粒子を吸着させることができる。
負に帯電した導電性粒子としては、クエン酸還元で得られた金若しくは銀粒子を挙げることができる。
塗布、浸漬のいずれの場合にも、過剰量の導電性粒子を供給し、相互作用性基(イオン性基)との間に十分なイオン結合による導入がなされるために、溶液又は分散液とグラフトポリマー生成面との接触時間は、10秒から24時間程度であることが好ましく、1分から180分程度であることが更に好ましい。
また、これらの導電性粒子は、耐久性の点や導電性確保の観点から、グラフトポリマーの相互作用性基に吸着し得る最大量結合されることが好ましく、その場合、分散液の分散濃度は、0.001〜20質量%程度が好ましい。
ここで、加熱工程における温度としては、50℃〜500℃が好ましく、更に好ましくは100℃〜300℃、特に好ましくは、150℃〜300℃である。
導電性材料付着工程の第2の態様は、上記グラフトポリマーが有する相互作用性基に対し、グラフトポリマーの相互作用性基に対し無電解メッキ触媒又はその前駆体を吸着させた後、無電解メッキを行いメッキ膜を形成する方法である。この方法により、メッキ膜からなる導電性発現層が形成される。
このように、メッキ膜は、グラフトポリマーの相互作用性基に吸着している触媒や前駆体に対し無電解メッキされて形成されることから、メッキ膜とグラフトポリマーとが強固に結合しており、その結果、基板とメッキ膜との密着性に優れると共に、メッキ条件により導電性を調整することができるという利点を有する。
本態様において用いられる無電解メッキ触媒とは、主に0価金属であり、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Coなどが挙げられる。本発明においては、特に、Pd、Agがその取り扱い性の良さ、触媒能の高さから好ましい。0価金属を相互作用性領域に固定する手法としては、例えば、グラフトポリマーの相互作用性基と相互作用するように荷電を調節した金属コロイドを、グラフトポリマー表面に供する手法が用いられる。一般に、金属コロイドは、荷電を持った界面活性剤又は荷電を持った保護剤が存在する溶液中において、金属イオンを還元することにより作製することができる。金属コロイドの荷電は、ここで使用される界面活性剤又は保護剤により調節することができ、このように荷電を調節した金属コロイドを、ググラフトポリマーが有する相互作用性基と相互作用させることで、グラフトポリマーに金属コロイド(無電解メッキ触媒)を付着させることができる。
無電解メッキ触媒又はその前駆体が付与された基板に対して、無電解メッキを行うことで、無電解メッキ膜が形成される。
無電解メッキとは、メッキとして析出させたい金属イオンを溶かした溶液を用いて、化学反応によって金属を析出させる操作のことをいう。
本工程における無電解メッキは、例えば、無電解メッキ触媒が付与された基板を、水洗して余分な無電解メッキ触媒(金属)を除去した後、無電解メッキ浴に浸漬して行なう。使用される無電解メッキ浴としては、一般的に知られている無電解メッキ浴を使用することができる。
また、無電解メッキ触媒前駆体が付与された基板を、無電解メッキ触媒前駆体がグラフトポリマーに付着又は含浸した状態で無電解メッキ浴に浸漬する場合には、基板を水洗して余分な前駆体(金属塩など)を除去した後、無電解メッキ浴中へ浸漬される。この場合には、無電解メッキ浴中において、前駆体の還元とこれに引き続き無電解メッキが行われる。ここ使用される無電解メッキ浴としても、上記同様、一般的に知られている無電解メッキ浴を使用することができる。
また、上記金属に合わせて最適な還元剤、添加物がある。
例えば、銅の無電解メッキの浴は、銅塩としては、銅イオンを提供しうるものであれば特に限定されず使用することができる。例えば、硫酸銅(CuSO4)、塩化銅(CuCl2)、硝酸銅(Cu(NO3)2)、水酸化銅(Cu(OH)2)、酸化銅(CuO)、塩化第1銅(CuCl)等がある。浴中に存在する銅イオンの量は一般に0.005M〜0.1M、好ましくは0.01M〜0.07Mである。還元剤としては、銅イオンを金属銅に還元できるものならば、特に限定されないが、ホルムアルデヒド及びその誘導体、並びにパラホルムアルデヒドのような重合体、あるいはその誘導体や前駆体が好適である。還元剤の量は、ホルムアルデヒドに換算して0.05M以上、好ましくは0.05M〜0.3Mの範囲内である。
無電解メッキ浴のpHは一般に12.0〜13.4(25℃)、望ましくは12.4〜13.0(25℃)の範囲内である。添加剤として、銅イオンの安定剤であるEDTA、ロッシェル塩、トリアルカノールアミンなどが含まれているが、ガラス基板とメッキ膜の密着性の点からトリアルカノールアミンが好ましい。これら安定剤の添加量は、銅イオンの1.2倍〜30倍、好ましくは1.5倍〜20倍である。また、浴中に存在する安定剤の絶対量は、0.006〜2.4M、特に0.012〜1.6Mの範囲内であることが望ましい。
また、浴の安定化やめっき皮膜の平滑性を向上させるための添加剤としてポチエチレングリコール、フェロシアン化カリウム、ビピリジン等が挙げられる。浴中に存在するこれら添加剤の濃度は0.001〜1M、特に0.01〜0.3Mの範囲内であることが好ましい。
本態様における電気メッキの方法としては、従来公知の方法を用いることができる。なお、電気メッキに用いられる金属としては、銅、クロム、鉛、ニッケル、金、銀、すず、亜鉛などが挙げられ、導電性の観点から、銅、金、銀が好ましく、銅がより好ましい。
導電性材料付着工程の第3の態様は、以下に説明する金属イオン又は金属塩を、上記グラフトポリマーが有する相互作用性基、特に好ましくはイオン性基に対し、その極性に応じて、イオン的に吸着させた後、該金属イオン又は金属塩中の金属イオンを還元させて金属単体を析出させて金属微粒子分散膜を形成する方法である。なお、金属単体の析出態様によって、金属微粒子分散膜は金属薄膜になる場合もある。この方法により、金属微粒子分散膜からなる導電性発現層が形成される。
ここで、金属微粒子分散膜を形成する、析出された金属微粒子は、グラフトポリマーの相互作用性基と相互作用を形成し、吸着しているため、基板と金属微粒子分散膜との密着性に優れると共に、充分な導電性を発現できるという利点を有する。
まず、本態様において用いられる金属イオン及び金属塩について説明する。
本発明において、金属塩としては、グラフトポリマーの生成領域に付与するために、適切な溶媒に溶解して、金属イオンと塩基(陰イオン)に解離されるものであれば特に制限はなく、M(NO3)n、MCln、M2/n(SO4)、M3/n(PO4)(Mは、n価の金属原子を表す)などが挙げられる。金属イオンとしては、上記の金属塩が解離したものを好適に用いることができる。具体例としては、例えば、Ag、Cu、Al、Ni、Co、Fe、Pdが挙げられ、中でも、Ag、Cuが好ましい。
金属塩や金属イオンは1種のみならず、必要に応じて複数種を併用することができる。また、所望の導電性を得るため、予め複数の材料を混合して用いることもできる。
金属イオン又は金属塩をグラフトポリマーに付与する際、(1)グラフトポリマーがイオン性基を有する場合には、そのイオン性基に金属イオンを吸着させる方法を用いる。この場合、上記の金属塩を適切な溶媒で溶解し、解離した金属イオンを含むその溶液を、グラフトポリマーの生成領域に塗布するか、或いは、その溶液中にグラフトポリマーが生成した基材を浸漬すればよい。金属イオンを含有する溶液を接触させることで、前記イオン性基には、金属イオンがイオン的に吸着することができる。これら吸着を充分に行なわせるという観点からは、接触させる溶液の金属イオン濃度は1〜50質量%の範囲であることが好ましく、10〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。また、接触時間としては、10秒から24時間程度であることが好ましく、1分から180分程度であることが更に好ましい。
グラフトポリマーが相互作用性基として親水性基を有する場合には、グラフトポリマー膜は高い保水性を有するため、その高い保水性を利用して、金属塩が分散した分散液をグラフトポリマー膜中に含浸させることが好ましい。分散液の含浸を充分に行なわせるという観点からは、接触させる分散液の金属塩濃度は1〜50質量%の範囲であることが好ましく、10〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。また、接触時間としては、10秒から24時間程度であることが好ましく、1分から180分程度であることが更に好ましい。
かかる方法においても、上述と同様に、グラフトポリマー膜が有する高い保水性を利用して、分散液又は溶液をそのグラフトポリマー膜中に含浸させることができる。分散液又は溶液の含浸を充分に行なわせるという観点からは、接触させる分散液の金属イオン濃度、或いは金属塩濃度は1〜50質量%の範囲であることが好ましく、10〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。また、接触時間としては、10秒から24時間程度であることが好ましく、1分から180分程度であることが更に好ましい。
特に、この(3)の方法によれば、グラフトポリマーの有する相互作用性基の特性に関わらず、所望の金属イオン又は金属塩を付与させることができる。
続いて、グラフトポリマー(膜)に吸着又は含浸して存在する金属塩、或いは、金属イオンを還元しるために用いられる還元剤について説明する。
本発明において用いられる還元剤は、金属イオンを還元し、金属単体を析出させる物性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、次亜リン酸塩、テトラヒドロホウ素酸塩、ヒドラジンなどが挙げられる。
これらの還元剤は、用いる金属塩、金属イオンとの関係で適宜選択することができるが、例えば、金属イオン、金属塩を供給する金属塩水溶液として、硝酸銀水溶液などを用いた場合にはテトラヒドロホウ素酸ナトリウムが、二塩化パラジウム水溶液を用いた場合には、ヒドラジンが、好適なものとして挙げられる。
グラフトポリマーの相互作用性基が、負の電荷を有する極性基や、カルボキシル基、スルホン酸基、若しくはホスホン酸基などの如きアニオン性のイオン性基である場合は、グラフトポリマー膜が選択的に負の電荷を有するようになることから、ここに正の電荷を有する金属イオンを吸着させ、その吸着した金属イオンを還元させることで金属単体を析出される。
また、グラフトポリマーの相互作用性基が、特開平10−296895号公報に記載のアンモニウム基などの如きカチオン性基のイオン性基である場合は、グラフトポリマー膜が選択的に正の電荷を有するようになり、金属イオンはそのままの形状では吸着しない。そのため、相互作用性基のイオン性基に起因する親水性を利用して、グラフトポリマー膜に、金属塩が分散した分散液、又は、金属塩が溶解した溶液を含浸させ、その含浸させた溶液の中の金属イオン又は金属塩中の金属イオンを還元させることで金属単体を析出させる。
以上のように、金属単体が析出することで、金属微粒子分散膜が形成される。
このように、金属単体が析出した状態を上記の顕微鏡で観察すると、グラフトポリマー膜中にぎっしりと金属微粒子が分散していること確認される。この時、析出された金属微粒子の大きさとしては、粒径1μm〜1nm程度である。
加熱処理工程における加熱温度としては、100℃以上が好ましく、更には150℃以上が好ましく、特に好ましくは200℃程度である。加熱温度は、処理効率や基材の寸法安定性などを考慮すれば400℃以下であることが好ましい。また、加熱時間に関しては、10分以上が好ましく、更には30分〜60分間程度が好ましい。
加熱処理による作用機構は明確ではないが、一部の近接する金属微粒子同士が互いに融着することで導電性が向上するものと考えている。
導電性材料付着工程の第4の態様は、以下に説明する導電性モノマーを、上記グラフトポリマーが有する相互作用性基、特に好ましくはイオン性基に対し、イオン的に吸着させた後、そのまま重合反応を生起させて導電性ポリマー層を形成する方法である。この方法により、導電性ポリマー層からなる導電性発現層が形成される。
ここで、導電性ポリマー層は、グラフトポリマーの相互作用性基とイオン的に吸着した導電性モノマーを重合させてなるため、基板との密着性や耐久性に優れると共に、モノマーの供給速度などの重合反応条件を調整することで、膜厚や導電性の制御を行うことができるという利点を有する。
まず、グラフトポリマーが生成された基板を、過硫酸カリウムや、硫酸鉄(III)などの重合触媒や重合開始能を有する化合物を含有する溶液に浸漬し、この液を撹拌しながら導電性ポリマーを形成し得るモノマー、例えば、3,4−エチレンジオキシチオフェンなどを徐々に滴下する。このようにすると、該重合触媒や重合開始能を付与されたグラフトポリマー中の相互作用性基(イオン性基)と導電性ポリマーを形成し得るモノマーとが相互作用により強固に吸着すると共に、モノマー同士の重合反応が進行し、基材上のグラフトポリマーの生成領域に導電性ポリマーの極めて薄い膜が形成される。これにより、均一で、かつ、薄い導電性ポリマー層が得られる。
更に、導電性ポリマーとグラフトポリマーの相互作用性基とが、陽イオンと陰イオンの関係で吸着するような素材を選択することで、相互作用性基が導電性ポリマーのカウンターアニオンとして吸着することになり、一種のドープ剤として機能するため、導電性ポリマー層(導電性発現層)の導電性を一層向上させることができるという効果を得ることもできる。具体的には、例えば、相互作用性基を有する重合性化合物としてスチレンスルホン酸を、導電性ポリマーの素材としてチオフェンを、それぞれ選択すると、両者の相互作用により、グラフトポリマーの生成領域と導電性ポリマー層との界面にはカウンターアニオンとしてスルホン酸基(スルホ基)を有するポリチオフェンが存在し、これが導電性ポリマーのドープ剤として機能することになる。
以上説明した、4つの態様により、本発明の薄層トランジスタの各種電極となる導電層が形成される。
電極としては、ゲート電極、ソース電極、及び、ドレイン電極のいずれに用いられてもよく、すべてが本発明に係る導電層からなるものであってもよい。また、薄層トランジスタの構成も任意であり、基板上に絶縁層、ドレイン電極、ソース電極、半導体層、ゲート電極を順次設けてなるトップゲート型であっても、基材上に、ゲート電極、ゲート絶縁膜、半導体膜、ソース・ドレイン電極を順次備えてなるボトムゲート型であってもよい。
まず、基板上にこの導電層をゲート電極として形成し、その後、順次、該ゲート電極上に、ゲート絶縁膜、半導体膜、ソース・ドレイン電極を形成することで、本発明の薄層トランジスタ(TFT)を得ることができる。
ゲート電極を形成する金属層(導電層)110は、以下に詳述するようにガラス基板112上に形成されたパターン状のグラフトポリマーにメッキ法により形成されたCu膜(厚み2.5μm)によって構成されている。この導電層110のシート抵抗は、0.1Ω/□である。ゲート電極110上には、SiNxから成るゲート絶縁膜114がCVDにより形成されている。さらにその上には、チャネル層116をなすa−Si膜、コンタクト層118としてn+型のa−Si膜、Alからなるソース電極120及びドレイン電極122、ITOからなる画素電極124、SiNxからなる絶縁保護膜126が形成されている。
なお、ここでは、逆スタガ構造(ボトムゲート構造)のTFTを示したが、スタガ構造(トップゲート構造)のTFTに本発明のゲート電極を適用することもできる。本発明に係る導電層を所望のパターンで形成することで、TFTのみならず、2端子のダイオードなど他の非線形素子を構成することも可能である。
ここでは、導電層の形成方法として第2の態様における無電解メッキ方法を用いた一例を示したが、これに限定されず、例えば、第1の態様、第3の態様及び第4の態様により得られた導電層も、上述のTFT構造におけるゲート電極として好適に使用できることはいうまでもない。
図2(A)は、本発明に係る導電層をドレイン電極、ソース電極として用いたトップゲート型TFT素子を備えるアレイ基板200の一態様を示す平面図であり、(B)は、その概略断面図である。
図2(A)に示されるように、このアレイ基板200においては、ゲート電極(Y電極)202とデータ電極(X電極)204とがマトリックス状に配置されており、その交点に本発明のTFT206が配置されている。また、透明導電膜(ITO)からなるサブ画素電極208がTFT206のソース電極210(又はドレイン電極)に接続され、さらにデータ蓄積のためのキャパシタCs212用の電極がサブ画素電極208上の一部分に設けられている。アレイ基板200の周辺にはサブ画素電極208を外部へ取り出す電極、すなわちパッド電極214、216が設けられ、外部の電子回路等との接続がなされ、データ信号や制御信号等が供給される。
この絶縁層SiOx222を本発明における固体表面として、前記ボトムゲート型のTFTにおけるゲート電極を形成したのと同様の方法で、グラフトポリマーに導電性材料をメッキ法により形成してなるパターン状の導電層を形成し、それをドレイン電極224とソース電極210に用いる。
アクティブマトリクス型のTFTを用いたLCDの表示部は、以下に詳述するように、マトリックス状に配置された表示電極にTFTを接続形成したアレイ基板(TFT基板)200と、図示しない共通電極を有する基板(対向基板)とが、液晶を挟んで貼り合わせることで完成される。
図1あるいは図2に示した本発明のTFT素子は、アクティブマトリクス基板に好適であるが、このアクティブマトリックス基板を用いることで、例えば、液晶表示装置(LCD)を作成することができる。
アクティブマトリクス型LCDは、アクティブマトリクス基板と対向基板との間に、電気光学媒体である液晶が挟持された構造を有する。アクティブマトリクス基板は、一般的に、ガラス基板上にマトリクス状に配列された複数のアクティブ素子(TFT)と、このTFTに隣接配置された画素電極、さらにこれら複数の画素電極間に縦横に延在している走査線(走査電極)と信号線(データ電極)を備えており、これらの最上層部に配向膜をそなえている。
対向基板は、ガラス基板上にカラーフィルター(RGB)、対向電極(ITO)、配向膜をそなえている。そして、上記アクティブマトリクス基板と対向基板とは、配向膜が互いに向かい合うように配置され、両基板の間隙に液晶が充填される。また、上記両基板の外側には偏光板が配置される。
このようなアクティブマトリクス型LCDのアクティブマトリックス基板として、前記本発明のTFTを備えたアクティブマトリックス基板を用いることで、表示特性に優れたアクティブマトリックス型表示装置を得ることができる。
特開2000−269512公報に記載のように、ドライバー回路やロジック回路などの様に、さらなる高速動作性能を求められる電気回路には、従来のアモルファスシリコン膜を利用したTFTに代わり、結晶シリコン膜(ポリシリコン膜、多結晶シリコン膜等)を利用したTFTが必要とされる。本発明に係る導電層は、重合開始能を有するものであれば、あらゆる固体表面に任意の形状で所望の高精細導電層パターンを形成しうることから、結晶シリコン膜上においても、容易に任意の形状の導電層を形成しうることから、結晶シリコン膜を固体表面として形成した導電層をソース電極、ドレイン電極とすることで、本発明のTFTは、ドライバー回路用のTFTとしても好適に使用される。
次に、本発明の第3の態様である液晶表示装置において、本発明に係るグラフトポリマーパターンを用いた導電パターン(配線)を用いた例を説明する。
この態様は、前記TFTのゲート電極を形成したのと同様にして作製した金属配線(導電パターン)を、単純マトリクス型LCDの周辺端子部の低抵抗化に応用した例である。
近年、LCDパネルヘの駆動LCIの実装方法として、基板上にチップを配置して実装するCOG(チップオングラス(Chip on glass))実装がしばしば導入されている。
図3は、パネル基板の周辺部に駆動用LSIチップをチップオングラス(COG)により実装してなる本発明の液晶表示装置の模式図である。図3に示すように、LCDパネル基板30の周辺部32に実装される駆動用LSIチップ34A、34B、34C(ここでは模式的に3つのチップを配置した例を示す)は、ドライバ入出力配線36により接続される。
このドライバ出力配線36は、ITO配線膜表面に、グラフトポリマーをパターン状に形成し、該グラフトポリマーに前記TFTの場合と同様にしてメッキ法によりCu金属膜を形成して金属配線36とし、この金属配線36により導電性を向上させ、低抵抗化を達成したものである。また、ここで30は液晶パネル、38はFPC(フレキシブル・プリンティッド・サーキット)を示す。
ここでは、単純マトリクス型LCDを例に説明したが、これに限らずITO配線やその他金属配線の低抵抗化が必要な用途に、本発明に係る導電パターン(配線)の形成を広く適用できることは言うまでもない。
本発明のTFT或いは液晶表示装置は、ドライ成膜に代わって、湿式成膜による電極或いは配線の形成が求められる場合や、表示面積の大面積化が求められる場合に極めて有用である。また、本発明のアクティブマトリックス型表示装置は、フラットパネルディスプレイのみならず、フラットパネル型イメージセンサにも適用することができ、本発明のTFT素子を組み込んだアクティブマトリクス基板は種々の液晶表示装置に好適に使用しうる。
なお、以下に、先に図1を用いて説明した本発明のTFTにおけるゲート電極の製造方法について詳細に説明する。
(合成例1:化合物Aの合成)
前記例示化合物1の合成は、以下の2つのステップにより行われる。それぞれのステップのスキームを挙げて説明する。
1.ステップ1(化合物aの合成)
DMAc50gとTHF50gの混合溶媒に1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 24.5g(0.12mol)を溶かし、氷浴下でNaH(60% in oil) 7.2g(0.18mol)を徐々に加えた。そこに、11−ブロモ−1−ウンデセン(95%)44.2g(0.18mol)を滴下し、室温で反応を行った。1時間で反応が終了した。反応溶液を氷水中に投入し、酢酸エチルで抽出し、黄色溶液状の化合物aを含む混合物が得られた。この混合物37gをアセトニトリル370mlに溶かし、水7.4gを加えた。p−トルエンスルホン酸一水和物1.85gを加え、室温で20分間撹拌した。酢酸エチルで有機相を抽出し、溶媒を留去した。カラムクロマトグラフィー(充填剤:ワコーゲルC−200、展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=1/80)で化合物aを単離した。
合成スキームを以下に示す。
δ=1.2−1.8(mb,24H),2.0(q,2H),3.2(t,J=6.6,2H),4.9−5.0(m,2H)5.8(ddt,J=24.4,J=10.5,J=6.6,1H.),7.4(t,J=7.4,2H),7.5(t,J=7.4,1H),8.3(d,1H)
化合物a5.0g(0.014mol)にSpeir catalyst(H2PtCl6・6H2O/2−PrOH、0.1mol/l)を2滴加え、氷浴下でトリクロロシラン2.8g(0.021mol)を滴下して撹拌した。さらに1時間後にトリクロロシラン1.6g(0.012mol)を滴下してから室温に戻した。3時間後に反応が終了した。反応終了後、未反応のトリクロロシランを減圧留去し、化合物Aを得た。
合成スキームを以下に示す。
δ=1.2−1.8(m,30H),3.2(t,J=6.3,2H),7.3−7.7(m,3H),8.3(d,2H)
ポリアクリル酸(平均分子量25,000)18gをDMAc(ジメチルアセトアミド)300gに溶解し、そこに、ハイドロキノン0.41gと2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート19.4gとジブチルチンジラウレート0.25gを添加し、65℃で4時間反応させた。得られたポリマーの酸価は7.02meq/gであった。1mol/lの水酸化ナトリウム水溶液でカルボキシル基を中和し、酢酸エチルに加えポリマーを沈殿させ、よく洗浄し、重合性基を有する親水性ポリマーPを得た。
TFT形成に用いるガラス基板(日本板硝子)を、終夜、ピランハ液(硫酸/30%過酸化水素=1/1vol混合液)に浸漬した後、純水で洗浄した。その基板を、窒素置換したセパラブルフラスコ中に入れ12.5wt%の化合物Aの脱水トルエン溶液に1時間浸漬した。取り出し後、トルエン、アセトン、純水で順に洗浄した。得られた基版を基板A1とする。
親水性ポリマーP(0.5g)を純水4.0gとアセトニトリル2.0gの混合溶媒に溶かし、グラフト形成層用塗布液を調製した。そのグラフト形成層用塗布液を、スピンコーターで基板A1に塗布した。スピンコーターは、まず300rpmで5秒間、その後1000rpmで20秒間回転させた。グラフト形成層塗布後の基板A1は、100℃で2分間乾燥した。乾燥後のグラフト形成層の膜厚は2μmであった。
グラフト形成層を塗布したガラス基板表面に、ゲート電極形成領域に適合するように作製されたパターンマスクを密着させるようにクリップで留め、露光機(UVX−02516S1LP01、ウシオ電機社製)で1分間露光した。露光後マスクを取り外し、純水で充分洗浄した。
以上のようにして、ゲート電極形成領域にのみにグラフトポリマーが生成されたパターン形成基板を形成した。
得られたパターン形成基板を、硝酸パラジウム(和光純薬製)0.1質量%の水溶液に1時間浸漬した後、蒸留水で洗浄した。その後、下記組成の無電解メッキ浴にて20分間無電解メッキし、表面に金属膜(導電層1)を形成し、ゲート電極を形成してなる基板1を得た。ゲート電極を構成する導電層の膜厚は0.2μmであった。
・OPCカッパ―H T1(奥野製薬(株)製) 6mL
・OPCカッパ―H T2(奥野製薬(株)製) 1.2mL
・OPCカッパ―H T3(奥野製薬(株)製) 10mL
・水 83mL
・硫酸銅 38g
・硫酸 95g
・塩酸 1mL
・カッパ−グリームPCM(メルテックス(株)製) 3mL
・水 500mL
実施例1で用いたUV露光機(UVX‐02516S1LP01)に代えて、364nmのレーザー発信するUV露光機(Orbotech社製、LDI装置DP‐100)を使用して364nmの波長をもちいて露光を行ったほかは、実施例1と同様にして、無電解メッキにより金属膜(導電層3)を作製した。このようにしてゲート電極を形成してなる基板3を得た。ゲート電極を構成する導電層の膜厚は1.5μmであった。
実施例1、2で用いた無電解メッキ液1に代えて、下記の無電解メッキ液2を使用した他は、実施例1と同様の無電解メッキ方法により金属膜(導電層4)を作製した。このようにしてゲート電極を形成してなる基板4を得た。ゲート電極を構成する導電層の膜厚は1.8μmであった。
水 300g
硫酸銅(II)五六和物 4.5g
卜タエタノールアミン 8.04g
フェロシアン化カリウム 6.7mg
2、2’―ビピリジル 3.5mg
水酸化ナトリウム 2.7g
ホルムアルデヒド液(36.0〜38.0%) 5.4g
実施例1で用いた無電解メッキ液1に代えて、下記の無電解メッキ液3を使用したて金属膜(導電層5)を作製した。このようにしてゲート電極を形成してなる基板5を得た。ゲート電極を構成する導電層の膜厚は1.5μmであった。
水 200g
硫酸銅(Il)五六和物 2.9g
(+)一酒石酸ナトリウムカリウム四六和物 21.3g
水酸化ナトリウム 1.65g
ホルムアルデヒド液(36.0〜88.0%) 5.5ml
全体が250mlになるように水を添加
114 ゲート絶縁膜
118 半導体膜
120 ソース電極
122 ドレイン電極
200 アレイ基板
206 TFT素子
208 サブ画素電極
210 ソース電極(導電層)
218 石英基板
224 ドレイン電極(導電層)
220 ゲート電極
222 SiOx絶縁層
30 LCDパネル基板
34A、34B、34C 駆動用LSIチップ
36 ドライバ入出力配線
38 FPC(フレキシブル・プリンテッド・サーキット)
Claims (10)
- ゲート電極、ソース電極、及び、ドレイン電極の少なくとも一つが、固体表面に直接化学結合したパターン状のグラフトポリマーに導電性物質を付与してなる導電層からなることを特徴とする薄層トランジスタ。
- 前記導電層が、エネルギー付与によりラジカルを発生しうる固体表面上に、ラジカル重合可能な不飽和化合物を接触させてパターン状にエネルギーを付与し、該固体表面上にパターン状のグラフトポリマーを生成した後、該グラフトポリマー生成領域に導電性材料を付与して得られる導電層であることを特徴とする請求項1に記載の薄層トランジスタ。
- 前記導電層が形成される固体が、酸化珪素であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の薄層トランジスタ。
- 前記パターン状のエネルギー付与が、マスクパターンを用いたパターン露光であることを特徴とする請求項2に記載の薄層トランジスタ。
- 前記パターン状のエネルギー付与が、レーザ走査露光によるパターン露光であることを特徴とする請求項2に記載の薄層トランジスタ。
- 前記導電層が、前記グラフトポリマー生成領域に無電解メッキ触媒もしくはその前駆体を付与し、無電解メッキを行うことで形成される導電層であることを特徴とする請求項2に記載の薄層トランジスタ。
- 前記無電解メッキを行う際に、無電解メッキを、トリアルカノールアミンを含有する無電解メッキ浴を用いて行うことを特徴とする請求項6に記載の薄層トランジスタ。
- 前記薄層トランジスタがトップゲート型又はボトムゲート型であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の薄層トランジスタ。
- 前記請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の薄層トランジスタを備えたこと特徴とするアクティブマトリックス型表示装置。
- パネル基板の周辺部に駆動用LSIチップをチップオングラス(COG)により実装してなる液晶表示装置であって、該駆動用LSIチップのドライバ入出力配線として、固体表面に直接化学結合したパターン状のグラフトポリマーに導電性物質を付与してなる配線を用いることを特徴とする液晶表示装置。
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