JP2008260272A - 積層体、グラフト膜形成方法、グラフトパターン形成方法、金属パターン形成方法、プリント配線基板、薄層トランジスタ、装置、及びフォトマスク - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材と、ラジカル重合開始部位と該基材に直接化学結合可能な部位とを有する化合物が前記基材に化学結合してなる重合開始層と、ラジカル重合可能な不飽和部位を有する化合物、及び、加熱又は露光によりラジカルを発生しうる化合物を含有するグラフトポリマー前駆体層と、をこの順に有することを特徴とする積層体、該積層体に対し、360nm〜700nmの波長の全面露光又は像様露光を行い、前記ラジカル重合可能な不飽和部位有するポリマーを前記重合開始層表面に直接結合してグラフトポリマーを生成させることを特徴とするグラフト膜形成方法、グラフトパターン形成方法。
【選択図】なし
Description
その中でも、固体表面に直接結合してなるグラフトポリマーによる表面修飾は、i)固体表面とグラフトポリマーとの間に強固な結合が形成されるという利点を有すること、ii)グラフトポリマーの構造を制御することにより、グラフトポリマーに対する親和性が高い様々な物質を吸着させることが可能となり、更に、表面に種々の機能を付与することができること、が知られている。
この表面グラフト重合法では、固体表面に活性種を生成させるために光を照射するが、露光エネルギーが低い光の照射に可視光レーザーなどを用いた場合には、連鎖重合が効率的に行われず、所望の表面修飾ができないといった問題が生じる場合がある。
そのため、低エネルギーの露光によっても、効率的にグラフトポリマーを生成させる技術が望まれていた。
高精細で導電性に優れた微細配線は、真空成膜法などの気相法により形成されることが一般的であるが、この方法では、広い面積にわたって膜厚や膜質が均一な金属膜を成膜することが困難であり、信頼性の高い配線、電極などを形成しうる方法が切望されていた。更に、大面積のパネルに気相法で金属膜を製膜する場合、巨大な真空成膜装置とガス供給設備などの付帯設備が必要となり、莫大な設備投資が必要になるといった問題も発生する。また、スパッタ装置、CVD装置などの真空成膜装置は、真空ポンプを駆動する電力、基板加熱を行なう電力、プラズマを発生させる電力等多くの電力を必要とするが、当然ながら装置の巨大化に伴いこれら製造装置の消費エネルギーが増大するといった問題も発生する。
なお、この技術においても、導電性粒子を高密度で吸着させる点から、固体表面にグラフトポリマーを効率的に、且つ、高密度に生成させる方法が求められているのが実状である。
Langmuir. 2006. 22. 8571-8575
即ち、本発明の第1の目的は、グラフトポリマーを高感度で生成しうる積層体、及び該積層体を用い、高感度でグラフト膜又はグラフトパターンを形成する方法を提供することにある。
本発明の第2の目的は、前記グラフトパターン形成方法を用い、基材との密着性に優れる金属パターンを形成する金属パターン形成方法を提供することにある。
本発明の第3の目的は、前記金属パターン形成方法により形成された金属パターンを有するプリント配線基板、薄層トランジスタ、フォトマスク、該プリント配線基板を備えた装置、及び該薄層トランジスタを備えた装置を提供することにある。
すなわち、
本発明の積層体は、基材と、ラジカル重合開始部位と該基材に直接化学結合可能な部位とを有する化合物が前記基材に化学結合してなる重合開始層と、ラジカル重合可能な不飽和部位を有する化合物、及び、加熱又は露光によりラジカルを発生しうる化合物を含有するグラフトポリマー前駆体層と、をこの順に有することを特徴とする。
また、本発明における重合開始層及びグラフトポリマー前駆体層中の加熱及び露光によりラジカルを発生しうる化合物が、ハロオキソ酸塩、トリハロメチルトリアジン類、アシロキシムエステル、ビイミダゾール化合物、及びチタノセン化合物からなる群から選択された1種以上であることが好ましい。中でも、トリハロメチルトリアジン類、ビイミダゾール化合物、及びハロオキソ酸塩からなる群から選択された1種以上であることが好ましく、ハロオキソ酸塩が特に好ましい。
また、重合開始層は、加熱及び露光によりラジカルを発生しうる化合物を0.1質量%以上20質量%以下の範囲で含むことが好ましい。
また、本発明の積層体において、グラフトポリマー前駆体層が、ラジカル重合可能な不飽和部位を有する化合物を複数種含有することも好ましい態様の一つである。
なお、この態様において、無電解めっきを行った後に、更に電気めっきを行うことが好ましい。
本発明の薄層トランジスタは、本発明の金属パターン形成方法により形成された金属パターンを有する。
また、本発明の装置は、本発明のプリント配線基板、又は、薄層トランジスタを備えたものである。
更に、本発明のフォトマスクは、本発明の金属パターン形成方法により形成された金属パターンを用いたフォトマスクである。
また、本発明のグラフトパターン形成方法を用い、基材との密着性に優れる金属パターンを形成する金属パターン形成方法を提供することができる。
更に、本発明の金属パターン形成方法により形成された金属パターンを有するプリント配線基板、薄層トランジスタ、フォトマスク、該プリント配線基板を備えた装置、及び該薄層トランジスタを備えた装置を提供することができる。
まず、本発明の積層体について詳細に説明する。
本発明の積層体は、(A)基材と、(B)ラジカル重合開始部位と該基材に直接化学結合可能な部位とを有する化合物が前記基材に化学結合してなる重合開始層と、(C)ラジカル重合可能な不飽和部位を有する化合物、及び、加熱又は露光によりラジカルを発生しうる化合物を含有するグラフトポリマー前駆体層と、をこの順に有する。
以下、本発明の積層体を構成する(A)基材、(B)重合開始層、及び(C)グラフトポリマー前駆体層について、順に説明する。
本において用いられる基材は、用途に応じた機能や物性を有し、更に(B)重合開始層や(C)グラフトポリマー前駆体層を形成しうる程度の保形性を有していれば、特に制限されるものではなく、基材の構成材料としては、有機材料、無機材料、或いは有機材料と無機材料とのハイブリッド材料のいずれでもよい。
具体的には、基材としては、PET、ポリプロピレン、ポリイミド、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂などの有機材料や、ガラス、石英、ITO等の無機材料が用いられる。
なお、基材がガラス基板である場合、例えば、ケイ素ガラス基板、無アルカリガラス基板、石英ガラス基板、ガラス基材表面にITO膜を形成してなる基板等が用いられる。
本発明における(B)重合開始層は、ラジカル重合開始部位と基材に直接化学結合可能な部位とを有する化合物が基材に化学結合して形成される。なお、この重合開始層は、360nm〜700nmの波長のレーザー露光により、ラジカルを発生するものであることが好ましい。
なお、この重合開始層の膜厚は、使用するラジカル重合開始部位と基材に直接化学結合可能な部位とを有する化合物により異なるが、1nm〜1μmが好ましい範囲である。
以下、重合開始層を構成する、(b−1)ラジカル重合開始部位と基材に直接化学結合可能な部位とを有する化合物(以下、適宜、「基材結合性ラジカル重合開始剤」と称する。)について説明する。
本発明における基材結合性ラジカル重合開始剤は、分子の一部に、露光によりラジカルを発生する部位(ラジカル重合開始部位)と、基材と直接化学結合可能な部位(以下、基材結合部位と称する場合がある。)と、を有していればその形態は限定されず、低分子化合物であってもよいし、高分子化合物であってもよい。
具体的には、例えば、(1)分子の一方の末端にラジカル重合開始部位を有し、他方の末端に基材結合部位を有する低分子化合物、(2)分子の一方の末端にラジカル重合開始部位を有し、他方の末端に基材結合部位を有するホモポリマー、(3)ラジカル重合開始部位を有するモノマーと、基材結合部位を有するモノマーとを共重合して得られたコポリマーが挙げられる。
また、基材結合性ラジカル重合開始剤中の基材結合部位としては、シランカップリング基、環状エーテル基、イソシアネート基、カルボキシル基など、その部位単体で基材と直接化学結合を形成可能な官能基に加え、例えば、水酸基のように、ジイソシアナートなどの架橋剤の併用することで基材と結合しうる官能基(つまり、架橋剤との組み合わせにより基材と結合しうる架橋性基)等が挙げられる。
ここで、光開裂によりラジカルを発生しうる部位(以下、単に「光開裂型ラジカル重合開始部位(Y)」と称する。)は、光により開裂しうる単結合を含む構造である。
この光により開裂する単結合としては、カルボニルのα開裂、β開裂反応、光フリー転位反応、フェナシルエステルの開裂反応、スルホンイミド開裂反応、スルホニルエステル開裂反応、N−ヒドロキシスルホニルエステル開裂反応、ベンジルイミド開裂反応、活性ハロゲン化合物の開裂反応、などを利用して開裂が可能な単結合が挙げられる。これらの反応により、光により開裂しうる単結合が切断される。この開裂しうる単結合としては、C−C結合、C−N結合、C−O結合、C−Cl結合、N−O結合、及びS−N結合等が挙げられる。
即ち、芳香族ケトン基、フェナシルエステル基、スルホンイミド基、スルホニルエステル基、N−ヒドロキシスルホニルエステル基、ベンジルイミド基、トリクロロメチル基、ベンジルクロライド基などである。
このため、光開裂化合物(Q−Y)により形成された重合開始層を有する基材の場合、グラフトポリマーを生成させる場合には、エネルギー付与手段として、重合開始部位(Y)を開裂させうる波長での露光を用いることが必要である。
なお、光開裂化合物(Q−Y)中の基材結合部位(Q)が、架橋剤の併用することで基材と結合しうる官能基である場合には、上記溶液又は分散液として、更に、該当する基材結合部位(Q)の官能基に対応した、一般的な市販の架橋剤を添加させたものを用いればよい。
架橋剤の添加量としては、重合開始層を形成する際に用いられる化合物の総量に対して、0.1モル%〜1000モル%の範囲であることが好ましい。
なお、この方法は、光開裂化合物(Q−Y)に限らず、他の基材結合性ラジカル重合開始剤を基材表面に結合させる際に用いることができる。
本発明における重合開始層には、更に、(b−1)基材結合性ラジカル重合開始剤とは異なる、(b−2)加熱又は露光によりラジカルを発生しうる化合物(以下、単に「ラジカル発生剤」と称する場合がある。)を含有させることができる。
(b−2)ラジカル発生剤としては、低分子ラジカル発生剤や、ラジカル発生部位を有する高分子化合物(高分子ラジカル発生剤)が挙げられる。
中でも、増感反応効率の点から、ハロオキソ酸塩、トリハロメチルトリアジン類、アシロキシムエステル、ビイミダゾール化合物、及びチタノセン化合物からなる群より選択される1種以上であることが好ましく、中でも、トリハロメチルトリアジン類、ビイミダゾール化合物、及びハロオキソ酸塩からなる群から選択された1種以上であることが好ましく、ハロオキソ酸塩が特に好ましい。
一般的には、重合開始層中に0.1質量%以上20質量%以下の範囲で含まれていることが好ましく、0.1質量%以上10質量%以下の範囲で含まれていることがより好ましい。
例えば、後述のように、本発明の積層体を用いてグラフトパターンを形成する場合、重合開始層のパターンの非形成領域にはラジカル発生剤が残存することになるため、この非形成領域に吸収が存在することが好ましくない態様であれば、該ラジカル発生剤の吸収について加味する必要がある。具体的には、重合開始層中の吸収を1以下、好ましくは0.5以下とすることが望ましい。
なお、本発明における吸収値は、一般的な吸収測定器により、露光波長の吸収強度を測定することで求められる。
本発明における重合開始層は、更に、感度を高めるために、(b−1)基材結合性ラジカル重合開始剤に加え、(b−3)増感剤を含有することが好ましい。
増感剤は、光により励起状態となり、ラジカル発生部位に作用(例えば、エネルギー移動、電子移動等)することにより、ラジカルの発生を促進することが可能である。
具体的には、例えば、公知の多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えば、インドカルボシアニン、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、アクリドン類(例えば、アクリドン、クロロアクリドン、N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドン、N−ブチル−クロロアクリドン等)、クマリン類(例えば、3−(2−ベンゾフロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−ベンゾフロイル)−7−(1−ピロリジニル)クマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−メトキシベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジメチルアミノベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3,3'−カルボニルビス(5,7−ジ−n−プロポキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−(2−フロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジエチルアミノシンナモイル)−7−ジエチルアミノクマリン、7−メトキシ−3−(3−ピリジルカルボニル)クマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジプロポキシクマリン等が挙げられ、この他に、特開平5−19475号、特開平7−271028号、特開2002−363206号、特開2002−363207号、特開2002−363208号、特開2002−363209号等の各公報に記載のクマリン化合物など)が挙げられる。
より具体的には、トリアジン系の重合開始剤と、360nm〜700nmの波長に極大吸収を有する増感剤との組合せが好ましく挙げられる。
塩基性核を有する増感剤は、その分子内に塩基性核を有する色素であれば特に制限はなく、グラフトポリマーを生成させる際に用いられる露光波長(例えば、可視光線、可視光レーザー等)に合わせて適宜選択することができる。
本発明においては、360nm〜700nmの波長のレーザー露光に対応するため、増感剤の極大吸収波長は700nm以下であることが好ましく、500nm以下であることがより好ましく、450nm以下であることが特に好ましい。
前記塩基性核を有する色素がシアニン系色素の場合は、メチン基の数は1個が好ましく、ヘミシアニン系色素の場合は、メチン基の数は5個以下が好ましい。また、スチリル系色素の場合で、アニリン母核を有している場合には、メチン鎖の数は4個以下が好ましい。
また、前記塩基性核は、芳香族基が置換した塩基性核、又は3環以上縮環した塩基性核である場合が好ましい。
ここで、塩基性核の縮環数は、例えば、ベンゾオキサゾール核は2であり、ナフトオキサゾール核は3である。また、ベンゾオキサゾール核がフェニル基で置換されても、縮環数は2である。3環以上縮環した塩基性核としては3環以上縮環した多環式縮環型複素環塩基性核であればいかなるものでも良いが、好ましくは3環式縮環型複素環、及び4環式縮環型複素環が挙げられる。
具体的には、例えば、メロシアニン色素、3核メロシアニン色素、4核メロシアニン色素、ロダシアニン色素、オキソノール色素などが挙げられ、これらの中でも、メロシアニン色素、ロダシアニン色素が好ましく、メロシアニン色素がより好ましい。
前記酸性核が、非環式であるとき、メチン結合の末端は、マロノニトリル、アルカンスルフォニルアセトニトリル、シアノメチルベンゾフラニルケトン、シアノメチルフェニルケトン、マロン酸エステル、及びアシルアミノメチル置換したケトン類等の活性メチレン化合物などの基であることが好ましい。
「蛍光性白化剤」("fluorescent whitening agent")としても知られる前記蛍光増白剤は、紫外〜短波可視である300nm〜450nm付近の波長を有する光を吸収可能であり、かつ400nm〜500nm付近の波長を有する蛍光を発光可能な無色ないし弱く着色した化合物である。蛍光増白剤の物理的原理及び化学性の記述は、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, Sixth Edition, Electronic Release, Wiley-VCH 1998に示されている。基本的には、適する蛍光増白剤は炭素環式又は複素環式核を含んでなるπ−電子系を含有する。
蛍光増白剤としては、非イオン性核を有する化合物が好ましい。前記非イオン性核としては、例えば、スチルベン核、ジスチリルベンゼン核、ジスチリルビフェニル核、及びジビニルスチルベン核から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
前記非イオン性核を有する化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、ピラゾリン類、トリアジン類、スチルベン類、ジスチリルベンゼン類、ジスチリルビフェニル類、ジビニルスチルベン類、トリアジニルアミノスチルベン類、スチルベニルトリアゾール類、スチルベニルナフトトリアゾール類、ビス−トリアゾールスチルベン類、ベンゾキサゾール類、ビスフェニルベンゾキサゾール類、スチルベニルベンゾキサゾール類、ビス−ベンゾキサゾール類、フラン類、ベンゾフラン類、ビス−ベンズイミダゾール類、ジフェニルピラゾリン類、ジフェニルオキサジアゾール類、ナフタルイミド類、キサンテン類、カルボスチリル類、ピレン類及び1,3,5−トリアジニル−誘導体などが挙げられる。これらの中でも、スチリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基から選択される少なくとも1種を有するものが好ましく、更にジスチリルベンゼン類、ジスチリルビフェニル類、又はエテニル基、芳香環基、複素環基からなる2価の連結基で連結されたビスベンゾオキサゾール類、ビスベンゾチアゾール類、などが特に好ましい。
前記トリアジン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、エチレンビスメラミン、プロピレン−1,3−ビスメラミン、N,N’−ジシクロヘキシルエチレンビスメラミン、N,N’−ジメチルエチレンビスメラミン、N,N’−ビス[4,6−ジ−(ジメチルアミノ)−1,3,5−トリアジニル]エチレンジアミン、N,N’−ビス(4,6−ジピペリジノ−1,3,5−トリアジニル)エチレンジアミン、N,N’−ビス[4,6−ジ−(ジメチルアミノ)−1,3,5−トリアジニル]−N,N’−ジメチルエチレンジアミン、などが挙げられる。代表的な蛍光増白剤の例を下記構造式(1)〜(7)に挙げる。
本発明における(C)グラフトポリマー前駆体層は、(c−1)ラジカル重合可能な不飽和部位を有する化合物(以下、単に、「重合性化合物」と称する場合がある。)、及び、(c−2)加熱又は露光によりラジカルを発生しうる化合物(以下、単に「ラジカル発生剤」と称する。)を含有する。
以下、(C)グラフトポリマー前駆体層を構成する(c−1)及び(c−2)成分について説明する。
本発明において用いられる(c−1)重合性化合物としては、モノマー、マクロモノマー、或いは重合性基を有する高分子化合物のいずれも用いることができる。これらの重合性化合物は公知のものを任意に使用することができ、用途に応じて、種々の相互作用性基を有する重合性化合物を用いることができる。
この相互作用性基としては、例えば、極性基が挙げられる。この極性基の中でも、親水性基が好ましく、より具体的には、アンモニウム、ホスホニウなどの正の荷電を有する官能基、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、ホスホン酸基などの負の荷電を有する官能基、その他にも、例えば、水酸基、アミド基、スルホンアミド基、アルコキシ基、シアノ基などの非イオン性基が挙げられる。
以下、金属パターンを形成する際に好適に用いられる相互作用性基を有する重合性化合物について具体的に説明する。
このようなマクロモノマーの有用な重量平均分子量は、500〜50万の範囲であり、特に好ましい範囲は1000〜5万である。
このような高分子化合物の有用な重量平均分子量は、500〜50万の範囲で、特に好ましい範囲は1000〜5万である。
好ましい合成方法は、合成適性の観点から、ii)相互作用性基を有するモノマーと重合性基前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により重合性基を導入する方法、iii)相互作用性基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、重合性基を導入する方法である。
また、上記ii)の合成方法に用いられる重合性基前駆体を有するモノマーとしては、2−(3−クロロ−1−オキソプロポキシ)エチルメタクリレー卜や、特開2003−335814号公報に記載の化合物(i−1〜i−60)が使用することができ、これらの中でも、特に下記化合物(i−1)が好ましい。
このように、(C)グラフトポリマー前駆体層に、(c−1)重合性化合物を複数種含有する場合には、その組み合わせは特に限定されず、目的に応じて、適宜、決定すればよい。
本発明における「低分子モノマー」とは、分子量600以下のものを意味する。
低分子モノマーとしては、ラジカル重合可能な不飽和部位(重合性基)を1つ以上有し、且つ、分子量が上記の範囲を満たしていればよく、前述の、相互作用性基を有する重合性化合物としてのモノマーであってもよいし、汎用のラジカル重合性化合物であってもよい。
低分子モノマー中の重合性基については、特に制限は無く、汎用のラジカル重合性化合物中の重合性基であればいずれも使用可能であるが、例えば、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、スチリル基などが挙げられる。これらの中でも、主たる重合性化合物とラジカル重合性が近いものを選択することが好ましい。例えば、主たる重合性化合物が(メタ)アクリロイル基を有している場合は、(メタ)アクリロイル基を有する低分子モノマーを用いることが望ましい。
例えば、前述のように、重合性基を有する高分子化合物として、相互作用性基を有する高分子化合物を使用する際には、低分子モノマー中にも、前述のような相互作用性基を有することが好ましい。特に、本発明の積層体を金属パターン形成方法に適用する場合を考慮し、低分子モノマー中、相互作用性基として、金属イオン又は金属塩を吸着する部位を導入してもよい。金属イオン又は金属塩を吸着する部位の例としては、極性基が挙げられる。この極性基の中でも、酸基や水酸基などの親水性基が好ましく、より具体的には、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、ホスホン酸基などの負の荷電を有する官能基が挙げられる。中でも、金属イオン又は金属塩に対する吸着能の観点から、カルボキシル基、ホスホン酸基が好ましい。このような金属イオン又は金属塩を吸着する部位を導入することにより、本発明の積層体を金属パターン形成方法に適用する際、吸着可能な金属量を増加させることができるため、得られた金属パターンの導電性や、遮光能の向上に繋がる。
本発明における(C)グラフトポリマー前駆体層には、更に、(c−2)加熱又は露光によりラジカルを発生しうる化合物(ラジカル発生剤)を含有させる。
(c−2)ラジカル発生剤としては、前述の重合開始層中に添加される(b−2)ラジカル発生剤と同様のものに用いられ、その好ましい例も同様である。
例えば、(B)重合開始層中の(b−1)基材結合性ラジカル重合開始剤、(b−2)ラジカル発生剤、(C)グラフトポリマー前駆体層中の(c−2)ラジカル発生剤が直接吸収する波長の光を露光源として用いる場合、重合開始層表面まで光が到達することが必要となるので、グラフトポリマー前駆体層に添加する(c−1)ラジカル発生剤の吸収が3以下であることが好ましく、更に2以下であることが望ましい。添加する(c−1)ラジカル発生剤、また、グラフトポリマー前駆体層の膜厚に依存するが、固形分濃度として、0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは0.5質量%以上10質量%以下である。
本発明における(C)グラフトポリマー前駆体層には、更に、(c−3)増感剤を含有させることができる。
(c−3)増感剤としては、前述の重合開始層中に添加される(b−3)増感剤と同様のものに用いられる。
また、(C)グラフトポリマー前駆体層中の(c−3)増感剤の含有量は、前述のように、重合開始層表面まで光が到達することを考慮して、適宜、決定される。
ここで用いられる溶剤は、各成分を溶解或いは分散することが可能であれば特に制限はないが、水、水溶性溶剤などの水性溶剤が好ましく、これらの混合物や、溶剤に更に界面活性剤を添加してもよい。
使用できる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールモノメチルエーテルの如きアルコール系溶剤、酢酸の如き酸、アセトン、シクロヘキサノンの如きケトン系溶剤、ホルムアミド、ジメチルアセトアミドの如きアミド系溶剤、などが挙げられる。
また、(C)グラフトポリマー前駆体層の厚みは、0.01μm〜20μmの範囲であることが好ましく、0.05μm〜10μmの範囲であることがより好ましく、0.1μm〜5μmの範囲であることが更に好ましい。
本発明の積層体は、グラフトポリマー前駆体層中のラジカル発生剤の働きにより、高感度にグラフトポリマーが生成する。
本発明のグラフト膜形成方法は、本発明の積層体に対し、360nm〜700nmの波長の全面露光を行い、ラジカル重合可能な不飽和部位有する化合物を重合開始層表面に直接結合してグラフトポリマーを生成させることを特徴とする。
また、本発明のグラフトパターンの形成方法は、本発明の積層体に対し、360nm〜700nmの波長の像様露光を行い、ラジカル重合可能な不飽和部位有するポリマーを重合開始層表面に直接結合してグラフトポリマーを生成させることを特徴とする。
全面露光工程及びパターン露光において、グラフトポリマーを生成させるための露光は、いずれも、重合開始層中の基材結合性ラジカル重合開始剤や、グラフトポリマー前駆体層中のラジカル発生剤や増感剤に作用し、ラジカルを発生させることのできる露光であり、具体的には、360nm〜700nmの波長の光であることが好ましい。増感剤の選択、また、レーザー露光装置などの製造の観点から、より好ましくは360nm〜550nmの範囲である。
全面露光工程には、レーザー光源による全面走査露光、若しくは高圧水銀灯などの定常光を用いることができる。
高精細パターン露光としては、具体的には、i線ステッパー、g線ステッパー、KrFステッパー、ArFステッパーのようなステッパー露光などが挙げられる。
本発明のグラフトパターンの形成方法(2)は、光開裂によりラジカルを発生しうるラジカル発生部位と基材結合部位とを有する化合物を支持体に結合させる工程(以下、化合物結合工程と称する。)と、パターン露光を行い、露光領域の該ラジカル発生部位を失活させる工程(以下、失活工程と称する。)と、前記基材上に、重合性化合物を接触させた後、全面露光を行い、前記パターン露光時における未露光領域に残存した該ラジカル発生部位に光開裂を生起させ、ラジカル重合を開始させることでグラフトポリマーを生成させる工程(以下、グラフトポリマー生成工程と称する。)と、をこの順に行うことを特徴とする。
続いて、この方法で得られた光開裂によりラジカルを発生しうるラジカル発生部位と基材結合部位とを有する化合物(光開裂化合物(Q−Y))が導入された基材に対して、失活工程が施される。
つまり、失活工程では、光開裂化合物(Q−Y)が導入された基材に対し、予め、グラフトポリマーを生成させたくない領域に沿ってパターン露光を行い、露光領域のラジカル発生部位(Y)を光開裂させてラジカル発生能を失活させることで、基材表面に、ラジカル発生領域とラジカル発生能失活領域とを形成する。
ここで、失活工程におけるパターン露光は、グラフトパターンの形成方法(1)におけるパターン露光を適用することができる。
なお、基材表面に、重合性化合物を接触させる方法としては、基材を、重合性化合物を含有する液状組成物中に浸漬することで行ってもよいが、取り扱い性や製造効率の観点からは、基材表面に、重合性化合物をそのまま接触させるか、重合性化合物を含有する液状組成物を塗布して塗膜を形成する方法、更には、その塗膜を乾燥して、重合開始層表面にグラフトポリマー前駆体層を形成することにより行うことが好ましい。
また、本発明のグラフトパターンの形成方法(1)又は(2)により、基材上にグラフトポリマーがパターン状に直接結合されたグラフトパターンを作製することができる。
なお、得られるグラフトポリマーからなる膜(グラフトポリマー膜)は、膜厚が0.1g/m2〜2.0g/m2の範囲にあることが好ましく、0.3g/m2〜1.0g/m2が更に好ましく、最も好ましくは、0.5g/m2〜1.0g/m2の範囲である。
上記のようにして得られた、本発明のグラフト膜形成方法より得られたグラフト膜、本発明のグラフトパターン形成方法により得られたグラフトパターンは、生成したグラフトポリマーの有する相互作用性基により、様々な表面修飾が可能となる。
例えば、基材上に結合したグラフトポリマーが、極性基、親水性基、イオン性基を有する場合、導電性素材を付着させるなどの手段の導電性付与工程を施すことにより、導電膜や金属パターンを形成することができる。
本発明の金属パターン形成方法は、以下の2つの態様がある。
即ち、本発明の金属パターン形成方法の第1の態様は、本発明のグラフトパターン形成方法にて生成したグラフトポリマーに金属イオン又は金属塩を吸着させた後、該金属イオン又は金属塩中の金属イオンを還元し金属粒子を析出させる工程を有することを特徴とする。
また、本発明の金属パターン形成方法の第2の態様は、本発明のグラフトパターン形成方法にて生成したグラフトポリマーに無電解めっき触媒又はその前駆体を吸着させた後、無電解めっきを行いめっき膜を形成する工程を有することを特徴とする。
以下、この2態様について説明する。
第1の態様では、グラフトポリマーの相互作用性基に対し金属イオン又は金属塩を吸着させた後、該金属イオン又は金属塩中の金属イオンを還元させて金属微粒子分散膜を形成する方法である。
より具体的には、この第1の態様は、以下に説明する金属イオン又は金属塩を、上記グラフトポリマーが有する相互作用性基、特に好ましくはイオン性基に対し、その極性に応じて、イオン的に吸着させた後、該金属イオン又は金属塩中の金属イオンを還元させて金属単体を析出させて金属微粒子分散膜を形成する方法である。なお、金属単体の析出態様によって、金属微粒子分散膜は金属薄膜になる場合もある。この方法により、金属微粒子分散膜からなる導電性発現層が形成される。
ここで、金属微粒子分散膜を形成する、析出された金属微粒子は、グラフトポリマーの相互作用性基と相互作用を形成し、吸着しているため、基材と金属微粒子分散膜との密着性に優れると共に、充分な導電性を発現できるという利点を有する。
まず、本態様において用いられる金属イオン及び金属塩について説明する。
本発明において、金属塩としては、グラフトポリマーの生成領域に付与するために、適切な溶媒に溶解して、金属イオンと塩基(陰イオン)に解離されるものであれば特に制限はなく、M(NO3)n、MCln、M2/n(SO4)、M3/n(PO4)(Mは、n価の金属原子を表す)などが挙げられる。金属イオンとしては、上記の金属塩が解離したものを好適に用いることができる。具体例としては、例えば、Ag、Cu、Al、Ni、Co、Fe、Pdが挙げられ、中でも、Ag、Cuが好ましい。
金属塩や金属イオンは1種のみならず、必要に応じて複数種を併用することができる。また、所望の導電性を得るため、予め複数の材料を混合して用いることもできる。
金属イオン又は金属塩をグラフトポリマーに付与する際、(1)グラフトポリマーがイオン性基を有する場合には、そのイオン性基に金属イオンを吸着させる方法を用いる。この場合、上記の金属塩を適切な溶媒で溶解し、解離した金属イオンを含むその溶液を、グラフトポリマーの生成領域に塗布するか、或いは、その溶液中にグラフトポリマーが生成した基材を浸漬すればよい。金属イオンを含有する溶液を接触させることで、前記イオン性基には、金属イオンがイオン的に吸着することができる。これら吸着を充分に行なわせるという観点からは、接触させる溶液の金属イオン濃度は1質量%〜50質量%の範囲であることが好ましく、10質量%〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。また、接触時間としては、10秒から24時間程度であることが好ましく、1分から180分程度であることが更に好ましい。
グラフトポリマーが相互作用性基として親水性基を有する場合には、グラフトポリマー膜は高い保水性を有するため、その高い保水性を利用して、金属塩が分散した分散液をグラフトポリマー膜中に含浸させることが好ましい。分散液の含浸を充分に行なわせるという観点からは、接触させる分散液の金属塩濃度は1質量%〜50質量%の範囲であることが好ましく、10質量%〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。また、接触時間としては、10秒から24時間程度であることが好ましく、1分から180分程度であることが更に好ましい。
かかる方法においても、上述と同様に、グラフトポリマー膜が有する高い保水性を利用して、分散液又は溶液をそのグラフトポリマー膜中に含浸させることができる。分散液又は溶液の含浸を充分に行なわせるという観点からは、接触させる分散液の金属イオン濃度、或いは金属塩濃度は1質量%〜50質量%の範囲であることが好ましく、10質量%〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。また、接触時間としては、10秒から24時間程度であることが好ましく、1分から180分程度であることが更に好ましい。
特に、この(3)の方法によれば、グラフトポリマーの有する相互作用性基の特性に関わらず、所望の金属イオン又は金属塩を付与させることができる。
続いて、グラフトポリマー(膜)に吸着又は含浸して存在する金属塩、或いは、金属イオンを還元しるために用いられる還元剤について説明する。
本発明において用いられる還元剤は、金属イオンを還元し、金属単体を析出させる物性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、次亜リン酸塩、テトラヒドロホウ素酸塩、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、ジアルキルアミノボラン(ジメチルアミンボランなど)などが挙げられる。
これらの還元剤は、用いる金属塩、金属イオンとの関係で適宜選択することができるが、例えば、金属イオン、金属塩を供給する金属塩水溶液として、硝酸銀水溶液などを用いた場合にはテトラヒドロホウ素酸ナトリウム、ホルムアルデヒド、ジアルキルアミノボランが、二塩化パラジウム水溶液を用いた場合には、ヒドラジンが、好適なものとして挙げられる。
グラフトポリマーの相互作用性基が、負の電荷を有する極性基や、カルボキシル基、スルホン酸基、若しくはホスホン酸基などの如きアニオン性のイオン性基である場合は、グラフトポリマー膜が選択的に負の電荷を有するようになることから、ここに正の電荷を有する金属イオンを吸着させ、その吸着した金属イオンを還元させることで金属単体を析出される。
また、グラフトポリマーの相互作用性基が、特開平10−296895号公報に記載のアンモニウム基などの如きカチオン性基のイオン性基である場合は、グラフトポリマー膜が選択的に正の電荷を有するようになり、金属イオンはそのままの形状では吸着しない。そのため、相互作用性基のイオン性基に起因する親水性を利用して、グラフトポリマー膜に、金属塩が分散した分散液、又は、金属塩が溶解した溶液を含浸させ、その含浸させた溶液の中の金属イオン又は金属塩中の金属イオンを還元させることで金属単体を析出させる。
以上のように、金属単体が析出することで、金属微粒子分散膜が形成される。
このように、金属単体が析出した状態を上記の顕微鏡で観察すると、グラフトポリマー膜中にぎっしりと金属微粒子が分散していること確認される。この時、析出された金属微粒子の大きさとしては、粒径1μm〜1nm程度である。
なお、本発明においては、この析出した金属粒子をめっき触媒として用いて、後述のような無電解めっきを行ってもよい。
加熱処理工程における加熱温度としては、100℃以上が好ましく、更には150℃以上が好ましく、特に好ましくは200℃程度である。加熱温度は、処理効率や基材の寸法安定性などを考慮すれば400℃以下であることが好ましい。また、加熱時間に関しては、10分以上が好ましく、更には30分〜60分間程度が好ましい。
加熱処理による作用機構は明確ではないが、一部の近接する金属微粒子同士が互いに融着することで導電性が向上するものと考えている。
第2の態様は、グラフトポリマーが有する相互作用性基に対し、グラフトポリマーの相互作用性基に対し無電解めっき触媒又はその前駆体を吸着させた後、無電解めっきを行いめっき膜を形成する方法である。この方法により、めっき膜からなる導電性発現層が形成される。
このように、めっき膜は、グラフトポリマーの相互作用性基に吸着している触媒や前駆体に対し無電解めっきされて形成されることから、めっき膜とグラフトポリマーとが強固に結合しており、その結果、基材とめっき膜との密着性に優れると共に、めっき条件により導電性を調整することができるという利点を有する。
本態様において用いられる無電解めっき触媒とは、主に0価金属であり、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Coなどが挙げられる。本発明においては、特に、Pd、Agがその取り扱い性の良さ、触媒能の高さから好ましい。0価金属を相互作用性領域に固定する手法としては、例えば、グラフトポリマーの相互作用性基と相互作用するように荷電を調節した金属コロイドを、グラフトポリマー表面に供する手法が用いられる。一般に、金属コロイドは、荷電を持った界面活性剤又は荷電を持った保護剤が存在する溶液中において、金属イオンを還元することにより作製することができる。金属コロイドの荷電は、ここで使用される界面活性剤又は保護剤により調節することができ、このように荷電を調節した金属コロイドを、グラフトポリマーが有する相互作用性基と相互作用させることで、グラフトポリマーに金属コロイド(無電解めっき触媒)を付着させることができる。
無電解めっき触媒又はその前駆体が付与された基材に対して、無電解めっきを行うことで、無電解めっき膜が形成される。
無電解めっきとは、めっきとして析出させたい金属イオンを溶かした溶液を用いて、化学反応によって金属を析出させる操作のことをいう。
本工程における無電解めっきは、例えば、無電解めっき触媒が付与された基材を、水洗して余分な無電解めっき触媒(金属)を除去した後、無電解めっき浴に浸漬して行なう。使用される無電解めっき浴としては、一般的に知られている無電解めっき浴を使用することができる。
また、無電解めっき触媒前駆体が付与された基材を、無電解めっき触媒前駆体がグラフトポリマーに付着又は含浸した状態で無電解めっき浴に浸漬する場合には、基材を水洗して余分な前駆体(金属塩など)を除去した後、無電解めっき浴中へ浸漬される。この場合には、無電解めっき浴中において、前駆体の還元とこれに引き続き無電解めっきが行われる。ここで使用される無電解めっき浴としても、上記同様、一般的に知られている無電解めっき浴を使用することができる。
また、上記金属に合わせて最適な還元剤、添加物がある。
例えば、銅の無電解めっきの浴は、銅塩としては、銅イオンを提供しうるものであれば特に限定されず使用することができる。例えば、硫酸銅(CuSO4)、塩化銅(CuCl2)、硝酸銅(Cu(NO3)2)、水酸化銅(Cu(OH)2)、酸化銅(CuO)、塩化第1銅(CuCl)等がある。浴中に存在する銅イオンの量は一般に0.005M〜0.1M、好ましくは0.01M〜0.07Mである。還元剤としては、銅イオンを金属銅に還元できるものならば、特に限定されないが、ホルムアルデヒド及びその誘導体、並びにパラホルムアルデヒドのような重合体、或いはその誘導体や前駆体が好適である。還元剤の量は、ホルムアルデヒドに換算して0.05M以上、好ましくは0.05M〜0.3Mの範囲内である。
無電解めっき浴のpHは一般に12.0〜13.4(25℃)、望ましくは12.4〜13.0(25℃)の範囲内である。添加剤として、銅イオンの安定剤であるEDTA、ロッシェル塩、トリアルカノールアミンなどが含まれているが、ガラス基材とめっき膜の密着性の点からトリアルカノールアミンが好ましい。これら安定剤の添加量は、銅イオンの1.2倍〜30倍、好ましくは1.5倍〜20倍である。また、浴中に存在する安定剤の絶対量は、0.006〜2.4M、特に0.012〜1.6Mの範囲内であることが望ましい。
また、浴の安定化やめっき皮膜の平滑性を向上させるための添加剤としてポチエチレングリコール、フェロシアン化カリウム、ビピリジン等が挙げられる。浴中に存在するこれら添加剤の濃度は0.001〜1M、特に0.01〜0.3Mの範囲内であることが好ましい。
本態様における電気めっきの方法としては、従来公知の方法を用いることができる。なお、電気めっきに用いられる金属としては、銅、クロム、鉛、ニッケル、金、銀、すず、亜鉛などが挙げられ、導電性の観点から、銅、金、銀が好ましく、銅がより好ましい。
この金属パターンは、電子材料の配線や電極として好適に用いることができ、薄層トランジスタなどへの応用に好適である。
なお、上記の2つの態様を、全面にグラフトポリマーが生成しているグラフト膜に対して適用した場合には、全面に導電性が付与され、導電膜を形成することができる。
上記のようにして得られた、本発明のグラフト膜形成方法により得られたグラフト膜、本発明のグラフトパターン形成方法により得られたグラフトパターンは、基材上に結合したグラフトポリマーが、極性基、親水性基、イオン性基を有する場合、染料を付着させるなどの手段を用いることにより、着色膜や着色パターンを形成することができる。
ここで用いられる染料は、電荷を有するものが好ましく、更に、特定の分子間相互作用により吸着が可能である構造を有するものが好ましい。
具体的には、グラフトポリマーがアニオン性の官能基を有する場合には、カチオン性のメチレンブルーなどを用い、グラフトポリマーがカチオン性の官能基を有する場合には、アニオン性のエリスロシンなどを用いることで、染料がグラフトポリマーの官能基に吸着し、所望の着色膜や着色パターンを形成することができる。
本発明のプリント配線基板、又は薄層トランジスタは、本発明の金属パターン形成方法を用いて形成された金属パターンを有することを特徴としている。
本発明の薄層トランジスタは、前記金属パターン形成方法を用いて形成された金属パターンである、ゲート電極、ドレイン電極、ソース電極又は金属配線を有することが好ましい。
薄層トランジスタが本発明の金属パターン形成方法を用いて形成される金属パターンを備えることにより、高精細でかつ導電性に優れた微細配線を広い面積にわたって、膜厚、膜質が均一に形成することができる。これにより、信頼性の高い配線、電極を有する薄層トランジスタとすることができる。
本発明の装置は、本発明のプリント配線基板又は薄層トランジスタを備えたことを特徴とする。
このような装置としては、液晶表示装置(LCD)、フィールドエミッション表示装置(FED)、電気泳動表示装置(EPD)、プラズマ表示装置(PDP)、エレクトロクロミック表示装置(ECD)、エレクトロルミネッセント表示装置(ELD)などのフラットパネルディスプレイが挙げられる。
本発明のプリント配線基板又は薄層トランジスタを備えた装置とすることにより、所望の解像度で基板との密着性も良好であり、装置の小型化、高集積化を達成することができる。
本発明の装置としては、前記プリント配線基板又は薄層トランジスタを備えたこと以外は、特に限定されず、公知の構成要素を有することができ、中でも、表示装置であるが好ましい。
本発明のフォトマスクは、本発明の金属パターン形成方法により形成された金属パターンを用いたことを特徴としている。
本発明のフォトマスクは、遮光部が金属パターンにより形成されたものである。この遮光部(金属パターン)は、膜厚、膜質が均一であり、広い面積にわたって形成され、更には、基材(ガラス基板)との密着性にも優れることから、遮光性能、及び環境適合性に優れたフォトマスクを得ることができる。
なお、本発明のフォトマスクの遮光部は、その遮光性能の点から、銀からなる金属パターンであることが好ましい態様である。
また、特にプラズマディスプレイ(PDP)、やLCD等の大サイズガラス基板を用いる分野におけるフォトマスクとしても好適である。
4−シアノ−4’−ヒドロキシビフェニル29.3gをN,N−ジメチルアセトアミド75mLに溶解し、炭酸カリウム22.8gを添加した。80℃の加温し、11−ブロモ−1−ウンデセン38.8gを滴下、全量を滴下後に100℃に昇温し、3時間反応させた。その後、反応用液に蒸留水250mLを加え、析出した固体を濾取、アセトニトリルで再結晶を行い、白黄色固体を得た。
この白黄色固体20.0gをトリクロロアセトニトリル150mLに溶解し、臭化アルミニウム1.54gを添加した。ここへ塩化水素ガスを4時間バブリングし、更に4時間静置した。溶媒を減圧除去し、酢酸エチルで抽出、シリカゲルカラムで精製し、黄色固体を得た。
この黄色固体10.0gをTHF20mLに溶解、氷浴を用い0℃に冷却、ヘキサクロロ白金酸六水和物1.0mgを添加、トリクロロシラン30mLを加えた。室温で12時間撹拌、その後溶媒を減圧除去し、黄色固体(基材結合性ラジカル重合開始剤の例示化合物T1、前記構造)を得た。
N−[4−[4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−4−ヒドロキシベンズアミド(富士フイルム製)40.0gをTHF200mLに溶解。トリエチルアミン15.8mL、ピリジン0.60mLを添加し、氷浴にて0℃に冷却。無水メタクリル酸12.3gを滴下、室温で12時間撹拌、その後溶媒を減圧除去し、油状物を得た。この油状物をヘキサンで晶出、アセトニトリルで洗浄し、黄色固体を得た。
次に、この黄色固体8gをN,N−ジメチルアセトアミド67.4mLに溶解、グリシジルメタクリレート1.91g、ベンジルメタクリレート7.12g、AIBN116mg添加し、70℃に加温、6時間反応させた。その後、反応溶液にTHF50mLを加え、ヘキサンで最沈殿することにより、基材結合性ラジカル重合開始剤の例示化合物T2(前記構造)を得た。
上記合成例2:基材結合性ラジカル重合開始剤T2で得られた黄色固体10.0gをN,N−ジメチルアセトアミド84.0mLに溶解、2−ヒドロキシエチルメタクリレート4.37g、ベンジルメタクリレート5.92g、AIBN138mg添加し、70℃に加温、6時間反応させた。その後、反応溶液にTHF50mLを加え、ヘキサンで最沈殿することにより、基材結合性ラジカル重合開始剤の例示化合物T3(前記構造)を得た。
イルガキュア2959(チバガイギ製)9.00gをTHF30mLに溶解し、p−メトキシフェノール20mgと2−メタクリロイルオキシエチルイソシアナート6.28g、ジブチルチンジラウレート81mgを添加し、50℃、4時間反応させた。溶媒を減圧除去し、酢酸エチル―ヘキサンを用い再結晶し、白色固体を得た。
次に、この白色固体10gをメチルエチルケトン50mLに溶解し、グリシジルメタクリレート15.7g、AIBN140mg添加し、70℃に加温、6時間反応させた。その後、反応溶液をヘキサンで最沈殿することにより、基材結合性ラジカル重合開始剤の例示化合物T6(前記構造)を得た。
ポリアクリル酸(平均分子量25,000)30gをN,N−ジメチルアセトアミド200mLに溶解し、2−エチル−4−エチル−イミダゾール0.9g、ジターシャリーペンチルハイドロキノン50mg、下記構造のモノマーA27gを添加し、窒素気流下、100℃、5時間反応させた。
その後、反応液を50gとり、氷浴中で4N NaOHを11.6mL加え、酢酸エチルで再沈を行い、濾取後に水で洗浄、乾燥し、下記構造の親水性ポリマーP1を得た。
ポリアクリル酸(平均分子量25,000)18gをN,N−ジメチルアセトアミド300mLに溶解し、ハイドロキノン0.41gと2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート3.53gとジブチルチンジラウレート0.25gを添加し、窒素気流下、65℃、4時間反応させた。
その後、反応液を1N水酸化ナトリウム水溶液でカルボキシル基を中和し、酢酸エチルで再沈を行い、濾取後に洗浄、乾燥し、下記構造の親水性ポリマーP2を得た。
2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(東京化成製)10.2gをTHF200mLに溶解した。そこへ、トリエチルアミン31.6mL、ピリジン1.20mLを添加し、氷浴にて0℃に冷却した。続いて、無水メタクリル酸24.6gを滴下して、室温で12時間撹拌し、その後、溶媒を減圧除去し、得られた油状物を、シリカゲルカラムを用いて精製し、下記構造のモノマーB14.3gを得た。
(重合開始層形成工程)
ガラス基板(日本板硝子)に、UVオゾンクリーナー(UV42、日本レーザー電子社製)を用いて5分間UVオゾン処理を行った。その基板表面に前記例示化合物T1のメチルエチルケトン1質量%溶液をスピンコートした。スピンコーターは、まず300rpmで5秒間、次に750rpmで20秒間回転させた。その後、ガラス基板を100℃で10分間加熱し、表面をメチルエチルケトンで洗浄、エアーガンで乾燥し、重合開始層を形成した。重合開始層が形成されたガラス基板を基材A1とした。
前述の方法で合成した親水性ポリマーP1:0.5gを、蒸留水4.2mL、N,N−ジメチルアセトアミド0.05mL、アセトニトリル1.5mL、炭酸水素ナトリウム0.3gの混合溶液に溶解し、更に、増感剤である下記化合物S1:0.03g、過ヨウ素酸ナトリウム7mgを加え、塗布液を調製した。この塗布液を、基材A1の重合開始層表面にスピンコートした。スピンコーターは、まず300rpmで5秒間、次に750rpmで20秒間回転させた。その後この基板を80℃で5分間乾燥した。
得られたグラフトポリマー前駆体層の膜厚は0.9μmであった。このようなグラフトポリマー前駆体層が形成されたガラス基板を基材A2とした。
グラフトポリマー前駆体層を備えた基材A2(積層体)を、405nmの発信波長を有するレーザー露光機で所定のパターンに従って光量50mJ/cm2で露光した。露光後、1質量%炭酸ナトリウム水溶液に1分間浸漬し現像を行い、エアーガンで乾燥した。
これにより、グラフトポリマーが重合開始層表面にパターン状に形成された基材A3を得た。
(重合開始層形成工程)
ガラス基板(日本板硝子)に、UVオゾンクリーナー(NL−UV42:日本レーザー電子社製)を用いて5分間UVオゾン処理を行い、その基板表面に前記例示化合物T2のメチルエチルケトン1質量%溶液に下記化合物S2をT2に対し20質量%添加したものをスピンコートした。スピンコーターは、まず300rpmで5秒間、次に750rpmで20秒間回転させた。その後、ガラス基板を170℃で1時間加熱し、表面をメチルエチルケトンで洗浄、エアーガンで乾燥し、重合開始層を形成した。重合開始層が形成されたガラス基板を基材B1とした。
前述の方法で得られた親水性ポリマーP2:0.5gを、蒸留水4.2mL、N,N−ジメチルアセトアミド0.05mL、アセトニトリル1.5mL、炭酸水素ナトリウム0.3gの混合溶液に溶解し、更に、増感剤(前記化合物S1):0.03g、過ヨウ素酸カリウム7mgを加え、塗布液を調製した。この塗布液を、基材B1の重合開始層表面にスピンコートした。スピンコーターは、まず300rpmで5秒間、次に750rpmで20秒間回転させた。その後この基板を80℃で5分間乾燥した。
得られたグラフトポリマー前駆体層の膜厚は0.9μmであった。このようなグラフトポリマー前駆体層が形成されたガラス基板を基材B2とした。
グラフトポリマー前駆体層を備えた基材B2(積層体)を、405nmの発信波長を有するレーザー露光機で所定のパターンに従って光量20mJ/cm2で露光した。露光後、1質量%炭酸ナトリウム水溶液に1分間浸漬し現像を行い、エアーガンで乾燥した。
これにより、グラフトポリマーが重合開始層表面にパターン状に形成された基材B3を得た。
(重合開始層形成工程)
ガラス基板(日本板硝子)に、UVオゾンクリーナー(NL−UV42:日本レーザー電子社製)を用いて5分間UVオゾン処理を行い、その基板表面に前記例示化合物T3:0.05g、2,4−トリレンジイソシアナート12mgをメチルエチルケトンに溶解し1質量%溶液にしたものをスピンコートした。スピンコーターは、まず300rpmで5秒間、次に750rpmで20秒間回転させた。その後、ガラス基板を120℃で10分間加熱し、表面をメチルエチルケトンで洗浄、エアーガンで乾燥し、重合開始層を形成した。重合開始層が形成されたガラス基板を基材C1とした。
前記親水性ポリマーP1:0.5gを、蒸留水4.2mL、N,N−ジメチルアセトアミド0.05mL、アセトニトリル1.5mL、炭酸水素ナトリウム0.3gの混合溶液に溶解し、更に、増感剤(前記化合物S1):0.03g、過ヨウ素酸ナトリウム7mgを加え、塗布液を調製した。この塗布液を、基材C1の重合開始層表面にスピンコートした。スピンコーターは、まず300rpmで5秒間、次に750rpmで20秒間回転させた。その後この基板を80℃で5分間乾燥した。
得られたグラフトポリマー前駆体層の膜厚は0.9μmであった。このようなグラフトポリマー前駆体層が形成されたガラス基板を基材C2とした。
グラフトポリマー前駆体層を備えた基材C2(積層体)を、405nmの発信波長を有するレーザー露光機で所定のパターンに従って光量20mJ/cm2で露光した。露光後、1質量%炭酸ナトリウム水溶液に1分間浸漬し現像を行い、エアーガンで乾燥した。
これにより、グラフトポリマーが重合開始層表面にパターン状に形成された基材C3を得た。
(重合開始層形成工程)
ガラス基板(日本板硝子)に、UVオゾンクリーナー(NL−UV42:日本レーザー電子社製)を用いて5分間UVオゾン処理を行い、その基板表面に前記例示化合物T6のメチルエチルケトン1質量%溶液をスピンコートした。スピンコーターは、まず300rpmで5秒間、次に750rpmで20秒間回転させた。その後、ガラス基板を170℃で1時間加熱し、表面をメチルエチルケトンで洗浄、エアーガンで乾燥し、重合開始層を形成した。重合開始層が形成されたガラス基板を基材D1とした。
前記親水性ポリマーP2:0.5gをN,N−ジメチルアセトアミド6.2mLに溶解し、更に、過ヨウ素酸カリウム7mgを加え、塗布液を調製した。この塗布液を基材D1の重合開始層表面にスピンコートした。スピンコーターは、まず300rpmで5秒間、次に750rpmで20秒間回転させた。その後この基板を110℃で5分間乾燥した。
得られたグラフトポリマー前駆体層の膜厚は0.9μmであった。このようなグラフトポリマー前駆体層が形成されたガラス基板を基材D2とした。
グラフトポリマー前駆体層を備えた基材D2(積層体)を、高圧水銀灯露光機(ウシオ電機社製)で所定のパターンに従って光量20mJ/cm2で露光した。露光後、1質量%炭酸ナトリウム水溶液に1分間浸漬し現像を行い、エアーガンで乾燥した。
これにより、グラフトポリマーが重合開始層表面にパターン状に形成された基材D3を得た。
(重合開始層形成工程)
ガラス基板(日本板硝子)に、UVオゾンクリーナー(NL−UV42:日本レーザー電子社製)を用いて5分間UVオゾン処理を行い、その基板表面に前記例示化合物T3:0.05g、2,4−トリレンジイソシアナート12mgをメチルエチルケトンに溶解し1質量%溶液にしたものをスピンコートした。スピンコーターは、まず300rpmで5秒間、次に750rpmで20秒間回転させた。その後、ガラス基板を170℃で1時間加熱し、表面をメチルエチルケトンで洗浄、エアーガンで乾燥し、重合開始層を形成した。重合開始層が形成されたガラス基板を基材E1とした。
前記親水性ポリマーP2:0.5gをN,N−ジメチルアセトアミド6.2mLに溶解し、更に、光重合開始剤(前記化合物S2):25mgを加え、塗布液を調製した。この塗布液をガラス基材E2表面にスピンコートした。スピンコーターは、まず300rpmで5秒間、次に750rpmで20秒間回転させた。その後この基板を110℃で5分間乾燥した。
得られたグラフトポリマー前駆体層の膜厚は0.9μmであった。このようなグラフトポリマー前駆体層が形成されたガラス基板を基材E2とした。
グラフトポリマー前駆体層を備えた基材E2(積層体)を、高圧水銀灯露光機(ウシオ電機社製)で所定のパターンに従って光量20mJ/cm2で露光した。露光後、1質量%炭酸ナトリウム水溶液に1分間浸漬し現像を行い、エアーガンで乾燥した。
これにより、グラフトポリマーが重合開始層表面にパターン状に形成された基材E3を得た。
まず、実施例6における基材F1として、実施例1で使用した、例示化合物T1がガラス基板に結合してなる重合開始層を有する基材A1を用いた。
前述の方法で合成した親水性ポリマーP1:0.5gを、1−メトキシ−2−プロパノール:3.1gに溶解し、更に、メチルエチルケトン:3.0g添加した。次に増感剤(前記化合物S1):0.03g、光重合開始剤(前記化合物S2):0.03g、1,3−ジメタクリル酸グリセロール(和光純薬製):0.25gを添加し、塗布液を調製した。この塗布液を、基材F1の重合開始層表面にスピンコートした。スピンコーターは、まず300rpmで5秒間、次に750rpmで20秒間回転させた。その後この基板を80℃で5分間乾燥した。
得られたグラフトポリマー前駆体層の膜厚は1.0μmであった。このようなグラフトポリマー前駆体層が形成されたガラス基板を基材F2とした。
グラフトポリマー前駆体層を備えた基材F2(積層体)を、405nmの発信波長を有するレーザー露光機で所定のパターンに従って光量50mJ/cm2で露光した。露光後、1質量%炭酸ナトリウム水溶液に1分間浸漬し現像を行い、エアーガンで乾燥した。
これにより、グラフトポリマーが重合開始層表面にパターン状に形成された基材F3を得た。
まず、実施例7における基材G1として、実施例1で使用した、例示化合物T1がガラス基板に結合してなる重合開始層を有する基材A1を用いた。
前述の方法で合成した親水性ポリマーP2:0.5gを、1−メトキシ−2−プロパノール:3.1gに溶解し、更に、メチルエチルケトン:3.0g添加した。次に増感剤(前記化合物S1):0.03g、光重合開始剤(前記化合物S2):0.03g、前述の方法で合成したモノマーB:0.25gを添加し、塗布液を調製した。この塗布液を、基材G1の重合開始層表面にスピンコートした。スピンコーターは、まず300rpmで5秒間、次に750rpmで20秒間回転させた。その後この基板を80℃で5分間乾燥した。
得られたグラフトポリマー前駆体層の膜厚は0.8μmであった。このようなグラフトポリマー前駆体層が形成されたガラス基板を基材G2とした。
グラフトポリマー前駆体層を備えた基材G2を、405nmの発信波長を有するレーザー露光機で所定のパターンに従って光量50mJ/cm2で露光した。露光後、1質量%炭酸ナトリウム水溶液に1分間浸漬し現像を行い、エアーガンで乾燥した。
これにより、グラフトポリマーが重合開始層表面にパターン状に形成された基材G3を得た。
(重合開始層形成工程)
ガラス基板(日本板硝子)に、UVオゾンクリーナー(NL−UV42:日本レーザー電子社製)を用いて5分間UVオゾン処理を行い、その基板表面に前記例示化合物T2のメチルエチルケトン1質量%溶液をスピンコートした。スピンコーターは、まず300rpmで5秒間、次に750rpmで20秒間回転させた。その後、ガラス基板を170℃で1時間加熱し、表面をメチルエチルケトンで洗浄、エアーガンで乾燥し、重合開始層を形成した。重合開始層が形成されたガラス基板を基材H1とした。
前述の方法で得られた親水性ポリマーP2:0.5gを、蒸留水4.2mL、N,N−ジメチルアセトアミド0.05mL、アセトニトリル1.5mL、炭酸水素ナトリウム0.3gの混合溶液に溶解し、塗布液を調製した。この塗布液を、基材H1の重合開始層表面にスピンコートした。スピンコーターは、まず300rpmで5秒間、次に750rpmで20秒間回転させた。その後この基板を80℃で5分間乾燥した。
得られたグラフトポリマー前駆体層の膜厚は0.9μmであった。このようなグラフトポリマー前駆体層が形成されたガラス基板を基材H2とした。
グラフトポリマー前駆体層を備えた基材H2(積層体)を、高圧水銀灯露光機(ウシオ電機社製)で所定のパターンに従って光量50mJ/cm2で露光した。露光後、1質量%炭酸ナトリウム水溶液に1分間浸漬し現像を行い、エアーガンで乾燥した。
しかしながら、この工程では現像に耐えうる程の膜の硬化ができず、現像時にグラフトポリマー前駆体層は全て溶解、剥離してしまった。また、原子間力顕微鏡(Nanopix1000:セイコーインスルメンツ社製)を使用して観察したが、グラフトパターンの形成は確認できなかった。
まず、比較例2における基材I1として、実施例1で使用した、例示化合物T1がガラス基板に結合してなる重合開始層を有する基材A1を用いた。
前述の方法で合成した親水性ポリマーP1:0.5gを、蒸留水4.2mL、N,N−ジメチルアセトアミド0.05mL、アセトニトリル1.5mL、炭酸水素ナトリウム0.3gの混合溶液に溶解し、更に、増感剤である前記化合物S1:0.03gを加え、塗布液を調製した。この塗布液を、基材I1の重合開始層表面にスピンコートした。スピンコーターは、まず300rpmで5秒間、次に750rpmで20秒間回転させた。その後この基板を80℃で5分間乾燥した。
得られたグラフトポリマー前駆体層の膜厚は0.9μmであった。このようなグラフトポリマー前駆体層が形成されたガラス基板を基材I2とした。
グラフトポリマー前駆体層を備えた基材I2(積層体)を、405nmの発信波長を有するレーザー露光機で所定のパターンに従って光量50mJ/cm2で露光した。露光後、1質量%炭酸ナトリウム水溶液に1分間浸漬し現像を行い、エアーガンで乾燥した。
しかしながら、この工程では現像に耐えうる程の膜の硬化ができず、現像時にグラフトポリマー前駆体層は全て溶解、剥離してしまった。また、原子間力顕微鏡(Nanopix1000:セイコーインスルメンツ社製)を使用して観察したが、グラフトパターンの形成は確認できなかった。
前述の実施例1〜7、及び比較例1、2において、グラフトポリマーを生成させる際の露光量を下記表1のように変更し、露光エネルギーとグラフトポリマーの生成に関して、以下のように評価した。
グラフトポリマーの生成状態を、メチレンブルーによるグラフトポリマー染色後の目視による観察に加え、原子間顕微鏡AFM(ナノピクス1000、セイコーインスツルメンツ社製、DFMカンチレバー使用)で観察した。また、同時に、原子間力顕微鏡AFMを用いてグラフトポリマーからなる膜(グラフトポリマー膜)の膜厚を測定し、該膜厚とグラフトポリマー前駆体層の膜厚とを比較した。結果を下記表1に示す。
なお、評価指標としては以下の通りである。
○: グラフトポリマー前駆体層と同等又はそれ以上の厚さのグラフトポリマー膜が生成している
△: グラフトポリマー膜は生成するが、その膜厚がグラフトポリマー前駆体層の膜厚に満たない若しくは不均一(部分的に基材に対する密着が低下している箇所があり、密着力の均一性が低いことを意味する。)
×: グラフトポリマー膜が生成されない
(無電解めっき触媒付与工程)
前記実施例2で得られた基材B3を、硝酸銀1質量%水溶液に1分間浸漬し、その後、水で洗浄してエアーガンで乾燥した。
その後、下記組成の市販無電解めっき浴ATSアドカッパーIW(pH:12.7)に90分間浸漬して無電解めっきを行った。無電解めっき後、水で洗浄してエアーガンで乾燥した。
水 258mL
ATSアドカッパーIW−A 15mL
ATSアドカッパーIW−M 24mL
ATSアドカッパーIW−C 3mL
金属パターン部の表面導電性をロレスタ−FP(LORESTA−FP:三菱化学(株)製)を用いて四探針法により測定したところ、7μΩ・cmであり、導電性は良好であった。
(金属イオン吸着工程)
前記実施例2で得られた基材B3を、硝酸銀1質量%水溶液に1分間浸漬し、その後、水で洗浄してエアーガンで乾燥した。
その後、下記組成のグリオキシル酸水溶液(pH=12.5)に1分間浸漬して銀イオンを還元し金属粒子を形成させ、水で洗浄してエアーガンで乾燥した。
水 100mL
水酸化ナトリウム 1.0mg
グリオキシル酸 1.0mL
(金属イオン吸着工程)
前記実施例2で得られた基材B3を、硝酸銀1質量%水溶液に1分間浸漬し、その後、水で洗浄してエアーガンで乾燥した。
次に、下記組成のホルムアルデヒド水溶液(pH=13.0)に1分間浸漬して銀イオンを還元し金属粒子を形成させ、水で洗浄してエアーガンで乾燥した。
水 100mL
水酸化ナトリウム 1.4mg
ホルムアルデヒド 1.0mL
その後、下記組成の無電解めっき浴(pH:7.0)に20分間浸漬して無電解めっきを行った。無電解めっき後、水で洗浄してエアーガンで乾燥した。
水酸化ナトリウム−硝酸緩衝溶液 988mL
硝酸銀 2.0g
コハク酸イミド 5.9g
グリオキシル酸 3.7g
また、金属パターン部の表面導電性をロレスタ−FP(LORESTA−FP:三菱化学(株)製)を用いて四探針法により測定したところ、40μΩ・cmであり、導電性は良好であった。
(無電解めっき触媒付与工程)
前記実施例2で得られた基材B3を、硫酸ニッケル1質量%水溶液に1分間浸漬し、その後、水で洗浄してエアーガンで乾燥した。
その後、無電解めっき浴(ニッケル−クロム:林メッキ工業所製)に10分間浸漬して無電解めっきを行った。無電解めっき後、水で洗浄してエアーガンで乾燥した。
また、金属パターン部の表面導電性をロレスタ−FP(LORESTA−FP:三菱化学(株)製)を用いて四探針法により測定したところ、100μΩ・cmであり、導電性は良好であった。
(金属イオン吸着工程)
実施例6で得られた基材F3を、硝酸銀1質量%水溶液に2分間浸漬し、その後、水で洗浄してエアーガンで乾燥した。
続いて、基材F3を、下記組成のジメチルアミンボラン水溶液(pH=12.1)中に1分間浸漬し、銀イオンを還元して金属粒子を析出させた。その後、基材F3は水で洗浄して、エアーガンで乾燥させた。
・水 100mL
・水酸化ナトリウム 400mg
・ジメチルアミンボラン 295mg
(金属イオン吸着工程)
実施例7で得られた基材G3を、硝酸銀10質量%水溶液に1分間浸漬し、その後、水で洗浄してエアーガンで乾燥した。
次に、下記組成のホルムアルデヒド水溶液(pH=13.0)に1分間浸漬して銀イオンを還元し金属粒子を形成させ、水で洗浄してエアーガンで乾燥した。
水 100mL
水酸化ナトリウム 1.4mg
ホルムアルデヒド 1.0mL
Claims (20)
- 基材と、
ラジカル重合開始部位と該基材に直接化学結合可能な部位とを有する化合物が前記基材に化学結合してなる重合開始層と、
ラジカル重合可能な不飽和部位を有する化合物、及び、加熱又は露光によりラジカルを発生しうる化合物を含有するグラフトポリマー前駆体層と、
をこの順に有することを特徴とする積層体。 - 前記重合開始層が、加熱又は露光によりラジカルを発生しうる化合物を更に含有することを特徴とする請求項1に記載の積層体。
- 前記加熱又は露光によりラジカルを発生しうる化合物が、ハロオキソ酸塩、トリハロメチルトリアジン類、アシロキシムエステル、ビイミダゾール化合物、及びチタノセン化合物からなる群から選択された1種以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の積層体。
- 前記加熱及び露光によりラジカルを発生しうる化合物が、トリハロメチルトリアジン類、ビイミダゾール化合物、及びハロオキソ酸塩からなる群から選択された1種以上であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記加熱及び露光によりラジカルを発生しうる化合物がハロオキソ酸塩であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記グラフト前駆体層が、前記加熱及び露光によりラジカルを発生しうる化合物を0.1質量%以上20質量%以下の範囲で含むことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記重合開始層が、前記加熱及び露光によりラジカルを発生しうる化合物を0.1質量%以上20質量%以下の範囲で含むことを特徴とする請求項2〜請求項6のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記ラジカル重合可能な不飽和部位を有するポリマーが、金属イオン又は金属塩を吸着する部位を更に有することを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記ラジカル重合可能な不飽和部位を有するポリマーが、無電解めっき触媒又はその前駆体を吸着する部位を更に有することを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記グラフトポリマー前駆体層が、前記ラジカル重合可能な不飽和部位を有する化合物を複数種含有することを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の積層体。
- 請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の積層体に対し、360nm〜700nmの波長の全面露光を行い、前記ラジカル重合可能な不飽和部位を有する化合物を前記重合開始層表面に直接結合してグラフトポリマーを生成させることを特徴とするグラフト膜形成方法。
- 請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の積層体に対し、360nm〜700nmの波長の像様露光を行い、前記ラジカル重合可能な不飽和部位を有する化合物を前記重合開始層表面に直接結合してグラフトポリマーを生成させることを特徴とするグラフトパターン形成方法。
- 請求項12に記載のグラフトパターン形成方法にて生成したグラフトポリマーに金属イオン又は金属塩を吸着させた後、該金属イオン又は金属塩中の金属イオンを還元し金属粒子を析出させる工程を有することを特徴とする金属パターン形成方法。
- 請求項12に記載のグラフトパターン形成方法にて生成したグラフトポリマーに無電解めっき触媒又はその前駆体を吸着させた後、無電解めっきを行い、めっき膜を形成する工程を有することを特徴とする金属パターン形成方法。
- 前記無電解めっきを行った後に、更に電気めっきを行うことを特徴とする請求項14に記載の金属パターン形成方法。
- 請求項13〜請求項15のいずれか1項に記載の金属パターン形成方法により形成された金属パターンを有するプリント配線基板。
- 請求項13〜請求項15のいずれか1項に記載の金属パターン形成方法により形成された金属パターンを有する薄層トランジスタ。
- 請求項16に記載のプリント配線基板を備えた装置。
- 請求項17に記載の薄層トランジスタを備えた装置。
- 請求項13〜請求項15のいずれか1項に記載の金属パターン形成方法により形成された金属パターンを用いたフォトマスク。
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