JP2008256754A - グラフトポリマーパターン形成方法、導電性パターン形成方法、及び有機el表示装置 - Google Patents

グラフトポリマーパターン形成方法、導電性パターン形成方法、及び有機el表示装置 Download PDF

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弘司 佐藤
Teppei Ogawa
哲平 小川
Masaya Nakayama
昌哉 中山
Tsutomu Hida
勉 飛田
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Abstract

【課題】基材との密着性に優れたグラフトポリマーパターンを、基材表面の所望の領域にのみ簡便に形成しうるグラフトポリマーパターン形成方法、エッチング工程を行うことなく微細な導電性パターンの形成が可能であり、且つ、基材界面の凹凸が少ない場合であっても基材との密着性に優れた導電性パターンを形成しうる導電性パターン形成方法を提供する。
【解決手段】(a)基材上に光硬化性樹脂組成物層を形成する工程、(b)該光硬化性樹脂組成物層上に、重合性の二重結合を有する化合物を含有する光反応性層を形成する工程、及び、(c)該光反応性層をパターン状に露光して、露光した領域にグラフトポリマーを生成させて、グラフトポリマーパターンを形成する工程を有することを特徴とするグラフトポリマーパターン形成方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、グラフトポリマーパターン形成方法、該方法を適用した導電性パターン形成方法、及びそれにより得られた導電性パターンを配線として有する有機EL表示装置に関する。特に、プリント配線基板、ガラス基板配線、有機EL用配線などに有用な導電性パターン形成方法、及び該方法により得られた配線を有する有機EL表示装置に関する。
従来の導電性パターン形成方法としては、主に「サブトラクティブ法」、「セミアディティブ法」、「フルアディティブ法」による金属パターン形成方法が知られている。サブトラクティブ法とは、基板上に形成された金属の層に、活性光線の照射により感光する感光層を設け、この感光層に像様露光し、現像してレジスト像を形成し、ついで、金属をエッチングして導電性パターンを形成し、最後にレジストを剥離する方法である。この方法で使用される金属基板は、基板と金属層との密着性を持たせるために、基板界面を凹凸処理してアンカー効果により密着性を発現させていた。その結果、出来上がる導電性パターンの基板界面部が凹凸になってしまい、電気配線として使用する際、高周波特性が悪くなるという問題点があった。更に、金属基板を形成する際に、基板を凹凸処理するため、クロム酸などの強酸で基板を処理するという煩雑な工程が必要であるという問題点があった。
この問題を解決する為に、基板表面にラジカル重合性化合物をグラフトして表面改質を行うことで、基板の凹凸を最小限にとどめ、かつ、基板の処理工程を簡易にする方法が提案されている(例えば、特許文献1、非特許文献1参照。)。しかし、この方法で作製した金属基板をサブトラクティブ法によりパターン化しても、サブトラクティブ法に特有の問題点がある。それは、サブトラクティブ法により高細線幅の金属パターンを形成するためには、レジストパターンの線幅よりもエッチング後の線幅が細くなる、いわゆるオーバーエッチング法が有効であるが、オーバーエッチング法により、微細導電性パターンを直接形成しようとすると、線のにじみやかすれ、断線等が発生し易くなという問題である。このため、良好な微細導電性パターンを形成するという観点からは、30μm以下の導電性パターンの形成は難しかった。また、パターン部以外のエリアに存在する導電性膜をエッチング処理によって除去するため無駄が多く、また、そのエッチング処理によって生じる金属廃液の処理に費用がかかるなど、環境、価格面でも問題があった。
この問題を解決するために、セミアディティブ法と呼ばれる導電性パターン形成方法が提案されている。セミアディティブ法では、先ず、基板上にめっき等により薄くCr等の下地金属層を形成し、該下地金属層上にレジストパターンを形成する。続いて、レジストパターン以外の領域の下地金属層上にめっきによりCu等の金属層を形成した後、レジストパターンを除去することにより配線パターンを形成する。更に、配線パターンをマスクとして下地金属層をエッチングし、レジストパターン以外の領域にのみ導電性パターンを形成する。この方法は、30μm以下の細線パターンの形成が容易であり、めっきにより必要な部分にのみ金属を析出させるため、環境、価格面でも有効である。しかしながら、この方法では、基板と導電性パターンの密着性を持たせるために基板表面を凹凸処理する必要があり、その結果、出来上がる導電性パターンの基板界面部が凹凸になってしまい、電気配線として使用する際、高周波特性が悪くなるという問題点があった。
また、フルアディティブ法と呼ばれる導電性パターン形成方法も提案がなされている。フルアディティブ法では、基板上にレジストパターンを形成し、レジストパターン以外の領域に、めっきにより金属を析出させ、その後にレジストパターンを除去する。この手法も、エッチングレスの手法であるために30μm以下の細線パターンの形成が容易である。しかし、セミアディティブ法と同様の問題点を有しており、細線パターンが形成でき、基板界面の凹凸が少なく、エッチング廃液の少ない、新たな導電性パターン形成手法が望まれていた。
一方、グラフトポリマーパターン形成方法としては、例えば、特許文献2に記載の方法が挙げられる。
この方法は、支持体上に、重合開始剤と重合性不飽和結合を有する化合物とを含む層を形成し、これを画像様に露光し、現像して、画像様の重合開始層とした後、その画像様の重合開始層に、重合性基を有する化合物を接触させ、光を照射することにより、該重合開始層上にグラフトポリマーを生成させる方法である。
このように、重合開始層を画像様に形成することで、微細で鮮明なグラフトポリマーパターンを形成することができるが、その形成工程の簡易化が更に望まれているのが現状である。
特開昭58−196238号公報 特開2004−258521号公報 Advanced Materials 2000年 20号 1481−1494
本発明は、従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
本発明の第1の目的は、基材の表面形状に関わらず密着性に優れた高解像度のグラフトポリマーパターンを、基材表面の所望の領域にのみ簡便に形成しうるグラフトポリマーパターン形成方法を提供することにある。
本発明の第2の目的は、エッチング工程を行うことなく微細な導電性パターンの形成が可能であり、且つ、基材界面の凹凸が少ない場合であっても基材との密着性に優れた導電性パターンを形成しうる導電性パターン形成方法を提供することにある。
本発明の第3の目的は、基材との密着性に優れた導電性パターンを配線として備えた、低電圧、高効率、高寿命な有機EL表示装置を提供することにある。
本発明者等は、鋭意検討の結果、グラフトポリマーパターンの形成に際して、グラフトポリマー生成の起点となる光硬化性樹脂組成物層と、グラフトポリマーの原料となる重合性の二重結合を有する化合物を含有する光反応性層と、を積層した状態のところに、パターン露光を行うと両層が共に感応することになり、その結果、高精細で且つ基材との密着性に優れたグラフトポリマーパターンを簡便に形成しうることができる点を見出した。また、形成されたグラフトポリマーパターンが無電解めっき触媒又はその前駆体を含むことで、基材界面の凹凸が少ない場合であっても、無電解めっきにより高精細で基材との密着性に優れた導電性パターンが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、前記課題を達成するための手段は以下の通りである。
<1> (a)基材上に光硬化性樹脂組成物層を形成する工程、(b)該光硬化性樹脂組成物層上に、重合性の二重結合を有する化合物を含有する光反応性層を形成する工程、及び、(c)該光反応性層をパターン状に露光して、露光した領域にグラフトポリマーを生成させて、グラフトポリマーパターンを形成する工程を有することを特徴とするグラフトポリマーパターン形成方法である。
<2> 前記(a)基材上に光硬化性樹脂組成物層を形成する工程の前に、基材表面を活性化する処理を行うことを特徴とする前記<1>に記載のグラフトポリマーパターン形成方法である。
<3> 前記光硬化性樹脂組成物層の厚みが、0.05μm〜5μmであることを特徴とする前記<1>又は前記<2>に記載のグラフトポリマーパターン形成方法である。
<4> 前記光硬化性樹脂組成物層がエポキシ樹脂組成物を用いて形成されることを特徴とする前記<1>〜前記<3>のいずれか1に記載のグラフトポリマーパターン形成方法である。
<5> 前記エポキシ樹脂組成物が、下記一般式(b1)、(b2)、又は(b3)で表される光カチオン重合開始剤を含有することを特徴とする<4>に記載のグラフトポリマーパターン形成方法である。
Figure 2008256754
上記一般式(b1)、(b2)、及び(b3)中、R201、R202及びR203は、各々独立に有機基を表し、R204〜R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。また、Xは、非求核性アニオンを表す。
<6> 前記エポキシ樹脂組成物が光カチオン重合開始剤を含有し、該光カチオン重合開始剤の含有量が0.5質量%以上10質量%である前記<4>に記載のグラフトポリマーパターン形成方法である。
<7> 前記エポキシ樹脂組成物が光ラジカル発生剤を含有することを特徴とする前記<4>〜前記<6>のいずれか1に記載のグラフトポリマーパターン形成方法である。
<8> 前記光ラジカル発生剤が、高分子型の光ラジカル発生剤であることを特徴とする前記<7>に記載のグラフトポリマーパターン形成方法である。
<9> 前記光反応性層の厚みが0.1μm〜1.5μmであることを特徴とする前記<1>〜前記<8>のいずれか1に記載のグラフトポリマーパターン形成方法である。
<10> 前記基材が、SiO、SiON、若しくはITOを有していてもよいエポキシ樹脂基材、ポリイミド基材、ガラス基材、PET基材、又はPEN基材であることを特徴とする前記<1>〜前記<9>のいずれか1に記載のグラフトポリマーパターン形成方法である。
<11> 前記グラフトポリマーパターンの厚みが、0.01μm〜2μmであることを特徴とする前記<1>〜前記<10>のいずれか1に記載のグラフトポリマーパターン形成方法である。
<12> 前記重合性の二重結合を有する化合物が、モノマー、マクロマー、及び重合性の二重結合を有する高分子化合物からなる群より選択される1種以上の化合物であることを特徴とする前記<1>〜前記<11>のいずれか1に記載のグラフトポリマーパターン形成方法である。
<13> (a)基材上に光硬化性樹脂組成物層を形成する工程、(b’)該光硬化性樹脂組成物層上に、重合性の二重結合を有する化合物と無電解めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有する化合物、或いは、重合性の二重結合と無電解めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基とを分子内に有する化合物を含有する光反応性層を形成する工程、(c)該光反応性層をパターン状に露光して、露光した領域にグラフトポリマーを生成させて、グラフトポリマーパターンを形成する工程、(d)該グラフトポリマーパターンが形成された領域に無電解めっき触媒又はその前駆体を付与する工程、及び、(e)無電解めっきを行い、グラフトポリマーパターンが形成された領域に導電性パターンを形成する工程、を有することを特徴とする導電性パターン形成方法である。
<14> 前記(a)基材上に光硬化性樹脂組成物層を形成する工程の前に、基材表面を活性化する処理を行うことを特徴とする前記<13>に記載の導電性パターン形成方法である。
<15> 前記光硬化性樹脂組成物層がエポキシ樹脂組成物を用いて形成されることを特徴とする前記<13>又は前記<14>に記載に記載の導電性パターン形成方法である。
<16> 前記エポキシ樹脂組成物が光ラジカル発生剤を含有することを特徴とする前記<15>に記載の導電性パターン形成方法である。
<17> 前記光ラジカル発生剤が、高分子型の光ラジカル発生剤であることを特徴とする前記<16>に記載の導電性パターン形成方法である。
<18> 前記基材が、SiO、SiON、若しくはITOを有していてもよいエポキシ樹脂基材、ポリイミド基材、ガラス基材、PET基材、又はPEN基材であることを特徴とする前記<13>〜前記<17>のいずれか1に記載の導電性パターン形成方法である。
<19> 前記グラフトポリマーパターンの厚みが、0.01μm〜2μmであることを特徴とする前記<13>〜前記<18>のいずれか1に記載の導電性パターン形成方法である。
<20> 前記重合性の二重結合を有する化合物が、モノマー、マクロマー、及び重合性の二重結合を有する高分子化合物からなる群より選択される1種以上の化合物であることを特徴とする前記<13>〜前記<19>のいずれか1に記載の導電性パターン形成方法である。
<21> 前記<13>〜前記<20>のいずれか1に記載の導電性パターン形成方法により形成した導線を備えることを特徴とする有機EL表示装置である。
<22> 絶縁基板と、該絶縁基板上に設けられた画素電極配線と、該画素電極配線上に順次積層された有機層及び陰極層と、を少なくとも備えてなり、該画素電極配線に接続する補助配線が前記<13>〜前記<20>のいずれか1に記載の導電性パターン形成方法により形成された補助配線であることを特徴とする有機EL表示装置である。
本発明によれば、基材の表面形状に関わらず密着性に優れた高解像度のグラフトポリマーパターンを、基材表面の所望の領域にのみ簡便に形成しうるグラフトポリマーパターン形成方法を提供することができる。
また、本発明によれば、エッチング工程を行うことなく微細な導電性パターンの形成が可能であり、且つ、基材界面の凹凸が少ない場合であっても基材との密着性に優れた導電性パターンを形成しうる導電性パターン形成方法を提供することができる。
更に、本発明によれば、基材との密着性に優れた導電性パターンを配線として備えた、低電圧、高効率、高寿命な有機EL表示装置を提供することができる。
以下、本発明のグラフトポリマーパターン形成方法、該グラフトパターン形成方法を適用した導電性パターン形成方法、及びそれにより得られた導電性パターンを配線として有する有機EL表示装置について詳細に説明する。
[グラフトポリマーパターン形成方法、導電性パターン形成方法]
本発明のグラフトポリマーパターン形成方法は、(a)基材上に光硬化性樹脂組成物層を形成する工程、(b)該光硬化性樹脂組成物層上に、重合性の二重結合を有する化合物を含有する光反応性層を形成する工程、及び、(c)該光反応性層をパターン状に露光して、露光した領域にグラフトポリマーを生成させて、グラフトポリマーパターンを形成する工程を有することを特徴とする。
本発明の導電性パターン形成方法は、本発明のグラフトポリマーパターン形成方法を適用してなるものであり、(a)基材上に光硬化性樹脂組成物層を形成する工程、(b’)該光硬化性樹脂組成物層上に、重合性の二重結合を有する化合物と無電解めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有する化合物、或いは、重合性の二重結合と無電解めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基とを分子内に有する化合物を含有する光反応性層を形成する工程、(c)該光反応性層をパターン状に露光して、露光した領域にグラフトポリマーを生成させて、グラフトポリマーパターンを形成する工程、(d)該グラフトポリマーパターンが形成された領域に無電解めっき触媒又はその前駆体を付与する工程、及び、(e)無電解めっきを行い、グラフトポリマーパターンが形成された領域に導電性パターンを形成する工程、を有することを特徴とする。
本発明のグラフトポリマーパターン形成方法においては、基材上に光硬化性樹脂組成物層と光反応性層が積層した積層体に対して、所望のパターン状に露光することで、光硬化性樹脂組成物層の硬化反応とグラフトポリマーの生成反応が生じる。また、光硬化性樹脂組成物層の未硬化領域と、グラフトポリマーの未生成領域は、現像により除去されることで、基材上には、パターン露光に応じた高精細のグラフトポリマーパターンが形成されることになる。
以上のことから、本発明のグラフトポリマーパターン形成方法によれば、一度のパターン露光により、高解像度のグラフトポリマーパターンを、基材表面の所望の領域にのみ簡便に形成することができる。
本発明における光反応性層は、基板上に直接接していないため、仮に、光反応性層の所望されない領域において層中の重合性化合物が反応してしまった場合であっても、基材と結合することはなく、光硬化性樹脂組成物層と共に現像除去されることになる。そのため、基材の所望されない領域にグラフトポリマーが生成してしまう問題が生じないといった効果を有する。
また、本発明においては、グラフトポリマーが有する官能基を選択することにより、種々の機能性材料を付着させることができることから、得られたグラフトポリマーパターンは、高精細さが要求される各種のパターン形成(例えば、導電性パターン形成)などに好適に用いることができる。
本発明の導電性パターン形成方法は、グラフトポリマーパターンが形成された領域に、選択的に無電解めっき又はその前駆体を付与し、続いて無電解めっきを行うため、基材界面の凹凸が少ない場合であっても、従来のレジストパターンを用いたエッチング処理によるパターン形成方法と比較して、基材と導電性膜との密着性に優れた高解像度の導電性パターンを容易に得ることができる。更に、本発明の導電性パターン形成方法は、エッチング廃液がでないといった利点をも奏する。
更に、本発明の導電性パターン形成方法は、プリント配線基板、ガラス基板配線、有機EL表示装置における配線などの各種の配線形成に好適に用いることができる。本発明の導電性パターン形成方法は、基板の粗化処理をすることなく配線を形成できることから、配線パターンを有する基板表面の凹凸を最小限に留めることができ、且つ、配線(導電性パターン)が形成されている領域は、基板表面とグラフトポリマーとが光硬化性樹脂組成物層が硬化してなる樹脂層を介して強固に密着しているため、形成された配線と基板との密着性が高いものとなる。また、前述のように、基材の所望とされない領域にグラフトポリマーが生成することがないため、本発明の導電性パターン形成方法により形成された配線は、その配線間において優れた高周波特性を発揮しうる。
本発明においては、光硬化性樹脂組成物層を硬化させる前に光反応性層を付与した場合、両層を夫々形成している化合物が混合し、密着性や導電性が低下することや、パターン形成後、非パターン形成部分に、光硬化性樹脂組成物が残存することといった、懸念点があったが、本発明では、密着性に優れた高解像度のグラフトポリマーパターンの形成方法を提供することができる。
以下、本発明のグラフトポリマーパターン形成方法、及び、本発明の導電性パターン形成方法における各工程について順次説明する。
〔(a)工程〕
本工程は、基材上に光硬化性樹脂組成物層を形成する工程である。
a−1.基材
(a)工程に用いうる基材としては、例えば、SiO、SiON、若しくはITOを有していてもよいエポキシ樹脂基材、ポリイミド基材、ガラス基材、PET基材、PEN基材、三酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリテトラフルオロエチレン、シクロオレフィンポリマー、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキシド、液晶ポリマー、ベンゾシクロブテン樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、アラミド樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、シアネート樹脂などを用いることができる。
基材としては、一般的には、平板状の基材(各種の基板)が用いられるが、必ずしも平板状の基材に限定されず、円筒形などの任意の形状の基材を用いることもできる。
なお、本発明において「基材表面」という場合には、基材自体の表面の他、基材上に形成された構成要素(例えば、電極)など、特定組成物の付与対象となる基板上の領域をも含む。
本発明における基材としては、上記した各基材の中でも、SiO、SiON、若しくはITOを有していてもよいエポキシ樹脂基材、ポリイミド基材、ガラス基材、PET基材、及びPEN基材、等を好適に用いることができる。
なお、本発明においては、光ラジカル発生剤パターン形成工程の前に、基材表面を活性化する処理(基材活性化処理)を、所望により実施することができる。基材表面の活性化処理としては、UVオゾン処理や、ピランハ液(硫酸/30%過酸化水素=1/1vol混合液)に浸漬させる処理が挙げられる。
a−2.光硬化性樹脂組成物層
本発明において形成される光硬化性樹脂組成物層は、現像可能な光硬化性樹脂組成物を用いて得られるものである。
この光硬化性樹脂組成物としては、現像可能なものであることが好ましく、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合により硬化する樹脂組成物が挙げられるが、中でも、基剤及び/又はグラフトポリマーとの密着性の点から、光カチオン重合により硬化するエポキシ樹脂組成物(以下、適宜、光硬化性エポキシ樹脂組成物と称する。)が好ましい。
この光硬化性樹脂組成物は、モノマー、重合開始剤、現像性バインダーを含んで構成される。特に、この組成物には、グラフト重合を効率よく進行させるために光ラジカル発生剤を添加するのが好ましい。更に、必要に応じて、増感剤、溶剤を含んでもよい。
以下、光硬化性樹脂組成物を構成する各成分について説明する。
(モノマー)
光硬化性樹脂組成物におけるモノマーとしては、公知のオキシラン化合物やオキセタン化合物を使用することができる。例えば、特開2000−169552号公報、特開2001−220526号公報、特開2002−317139号公報、特開2005−2191号公報に記載のオキシランやオキセタンを有するモノマーを挙げることができる。
また、低粘度化、高速硬化、硬化物の脆性に優れているモノマーとして、特願2005−346098号明細書の段落番号〔0010〕〜〔0019〕に記載の、分子内にオキシランとオキセタンを有する化合物を使用することもできる。
具体例には、下記一般式(I)で表される化合物を用いることが好ましい。
Figure 2008256754
一般式(I)中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、Lは炭素以外の2価の原子又は連結基を表す。X及びYはそれぞれ独立にアルキレン基又は単結合を表す。
一般式(I)において、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、該置換基の例としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族炭化水素基、複素芳香族基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルバモイル基、ウレイド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アミノ基、ハロゲン原子、フッ化炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基等が挙げられ、これらの置換基は、更に上述の置換基によって置換されていてもよく、また、これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。又は、R〜Rは各々の置換基の末端部が任意に結合して環を形成してもよい。該環は脂肪族炭化水素環であることが好ましく、該環には上述した置換基が置換していてもよい。R〜Rとしては、水素原子、アルキル基であることが好ましい。
一般式(I)において、R〜Rで表されるアルキル基は直鎖でも分岐を有していても、環状になっていてもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、更に好ましくはメチル基又はエチル基であり、特に好ましくはメチル基である。
一般式(I)において、R〜Rで表されるアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基等;アルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロパルギル基等;芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等;複素芳香族基としては、例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基等;ヘテロ環基としては、例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等;アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等;アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等;アルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等;アリールチオ基としては、例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等;アルコキシカルボニル基としては、例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等;アリールオキシカルボニル基としては、例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等;スルファモイル基としては、例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等;アシル基としては、例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等;アシルオキシ基としては、例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等;
アミド基としては、例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等;カルバモイル基としては、例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等;ウレイド基としては、例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等;アルキルスルホニル基としては、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等;アリールスルホニル基としてはフェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等;アミノ基としては、例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等;ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等;フッ化炭化水素基としては、例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等;シリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等が挙げられる。
一般式(I)において、Lは炭素以外の2価の原子又は連結基を表し、例えば、酸素(−O−)、硫黄(−S−)、窒素(−NR−)などの2価の原子又は連結基が挙げられる。ここで、Rは水素原子又はアルキル基を表す。アルキル基の好ましい例は上記R〜Rの場合と同義である。さらに好ましくは酸素(−O−)、硫黄(−S−)である。
一般式(I)において、X及びYは、それぞれ独立にアルキレン基又は単結合を表し、該アルキレン基としては炭素数1〜10のアルキレン基であることが好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基であることがさらに好ましく、炭素数1〜3のアルキレン基であることが特に好ましい。
X−L−Yで表される基の主鎖を構成する原子の数が3又は4であることが更に好ましい。ここで、「主鎖を構成する原子」には、X、L又はYに置換しうる置換基を構成する原子はもちろん、X、L又はY中の水素原子をも含まない。例えば、アルキレン基の場合、主鎖を構成する原子とはアルキレン基を構成する炭素原子のみをいい、アルキレン基を構成する水素原子は含まない。
一般式(I)で表される化合物の25℃における粘度は1〜10mPa・sが好ましく、1〜8mPa・sがより好ましい。一般式(I)で表される化合物の粘度は、例えばRE80型粘度計(商品名、東機産業株式会社製)を用いて測定することができる。
以下に、一般式(I)で表される化合物の具体例(I−1〜I−19)を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されない。
Figure 2008256754
本発明に係る上記一般式(I)で表される化合物は、公知の合成法、例えば、米国特許第3,457,193号やMacromolecules,2003,36,1522−1525に記載の方法により合成可能である。
また、光硬化性エポキシ樹脂組成物に用いられるモノマーとしては、所謂、エポキシ樹脂と称される、1分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物を使用することができる。1分子中にエポキシ基2個以上を有するエポキシ化合物としては、エポキシ基を2個以上、好ましくは2〜50個、より好ましくは2〜20個を1分子中に有するエポキシ化合物である。エポキシ基は、オキシラン環構造を有する構造であればよく、例えば、グリシジル基、オキシエチレン基、エポキシシクロヘキシル基等を示すことができる。このような多価エポキシ化合物は、例えば、新保正樹編「エポキシ樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社刊(昭和62年)等に広く開示されており、ここに記載の化合物を用いることが可能である。
エポキシ樹脂(エポキシ化合物)として、より具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、3官能型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA含核ポリオール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリオキザール型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂などが挙げられる。
これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
これらのモノマーの添加量としては、硬化物のTgの低下を抑える点、また、現像不良を抑制する点から、全組成物中、20質量%〜80質量%が好ましく、40質量%〜70質量%が特に好ましい。
(重合開始剤)
本発明における光硬化性樹脂組成物は、重合開始剤として光カチオン重合開始剤を用いることが好ましい。
光カチオン重合開始剤とは、活性光線又は放射線の照射により酸を発生してカチオン重合を開始する化合物をいい、公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
光カチオン重合開始剤は、以下に挙げるものを1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。光硬化性エポキシ樹脂組成物における光カチオン重合開始剤の含有量は、酸の発生量、硬化性等の観点から、0.1質量%〜20質量%が好ましく、0.5質量%〜10質量%の範囲であることがより好ましい。
光カチオン重合開始剤としては、例えば、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネートを挙げることができる。
また、これらの光カチオン重合開始剤、又は、それと同等の作用を有する基若しくは化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物、例えば、米国特許第3,849,137号、独国特許第3914407号、特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号等に記載の化合物を用いることができる。
更に米国特許第3,779,778号、欧州特許第126,712号等に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
本発明に使用しうる光カチオン重合開始剤として好ましい化合物としては、下記一般式(b1)、(b2)、(b3)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2008256754
一般式(b1)において、R201、R202及びR203は、各々独立に有機基を表す。
は、非求核性アニオンを表し、好ましくはスルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、ビス(アルキルスルホニル)アミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオン、BF 、PF 、SbF や以下に示す基などが挙げられ、好ましくは炭素原子を有する有機アニオンである。
Figure 2008256754
好ましい有機アニオンとしては下式に示す有機アニオンが挙げられる。
Figure 2008256754
Rcは、有機基を表す。
Rcにおける有機基として炭素数1〜30のものが挙げられ、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はこれらの複数が、単結合、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SON(Rd)−などの連結基で連結された基を挙げることができる。
Rdは、水素原子、アルキル基を表す。Rc、Rc、Rcは、各々独立に、有機基を表す。Rc、Rc、Rcの有機基として、好ましくはRcにおける好ましい有機基と同じものを挙げることができ、最も好ましくは炭素数1〜4のパーフロロアルキル基である。RcとRcが結合して環を形成していてもよい。RcとRcが結合して形成される基としてはアルキレン基、アリーレン基が挙げられる。好ましくは炭素数2〜4のパーフロロアルキレン基である。
Rc、Rc〜Rcの有機基として、最も好ましくは1位がフッ素原子又はフロロアルキル基で置換されたアルキル基、フッ素原子又はフロロアルキル基で置換されたフェニル基である。フッ素原子又はフロロアルキル基を有することにより、光照射によって発生した酸の酸性度が上がり、感度が向上する。
201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、好ましくは1〜30、より好ましくは1〜20である。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
201、R202及びR203としての有機基の具体例としては、後述する化合物(b1−1)、(b1−2)、(b1−3)における対応する基を挙げることができる。
なお、一般式(b1)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、一般式(b1)で表される化合物のR201〜R203のうち少なくともひとつが、一般式(b1)で表される他の化合物のR201〜R203の少なくともひとつと直接、又は、連結基を介して結合した構造を有する化合物であってもよい。
更に好ましい(b1)成分として、以下に説明する化合物(b1−1)、(b1−2)、及び(b1−3)を挙げることができる。
化合物(b1−1)は、上記一般式(b1)のR201〜R203の少なくとも1つがアリール基である、アリールスルホニム化合物、即ち、アリールスルホニウムをカチオンとする化合物である。
アリールスルホニウム化合物は、R201〜R203の全てがアリール基でもよいし、R201〜R203の一部がアリール基で、残りがアルキル基、シクロアルキル基でもよい。
アリールスルホニウム化合物としては、例えば、トリアリールスルホニウム化合物、ジアリールアルキルスルホニウム化合物、アリールジアルキルスルホニウム化合物、ジアリールシクロアルキルスルホニウム化合物、アリールジシクロアルキルスルホニウム化合物等を挙げることができる。
アリールスルホニウム化合物のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基などのアリール基、インドール残基、ピロール残基、などのヘテロアリール基が好ましく、更に好ましくはフェニル基、インドール残基である。アリールスルホニウム化合物が2つ以上のアリール基を有する場合に、2つ以上あるアリール基は同一であっても異なっていてもよい。
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているアルキル基としては、炭素数1〜15の直鎖又は分岐状アルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等を挙げることができる。
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているシクロアルキル基としては、炭素数3〜15のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜14)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基を置換基として有してもよい。好ましい置換基としては、炭素数1〜12の直鎖又は分岐状アルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数1〜12の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基であり、最も好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基である。置換基は、3つのR201〜R203のうちのいずれか1つに置換していてもよいし、3つ全てに置換していてもよい。また、R201〜R203がアリール基の場合に、置換基はアリール基のp−位に置換していることが好ましい。
次に、化合物(b1−2)について説明する。
化合物(b1−2)は、式(b1)におけるR201〜R203が、各々独立に、芳香環を含有しない有機基を表す場合の化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含有する芳香族環も包含するものである。
201〜R203としての芳香環を含有しない有機基は、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20である。
201〜R203は、各々独立に、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ビニル基であり、より好ましくは直鎖、分岐又は環状の2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、特に好ましくは直鎖又は分岐の2−オキソアルキル基である。
201〜R203としてのアルキル基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)を挙げることができ、直鎖又は分岐の2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基がより好ましい。
201〜R203としてのシクロアルキル基は、好ましくは、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができ、環状2−オキソアルキル基がより好ましい。
201〜R203の直鎖、分岐、環状2−オキソアルキル基としては、好ましくは、上記のアルキル基、シクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
201〜R203としてのアルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基)を挙げることができる。
201〜R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、水酸基、シアノ基、ニトロ基によって更に置換されていてもよい。
化合物(b1−3)は、以下の一般式(b1−3)で表される化合物であり、フェナシルスルフォニウム塩構造を有する化合物である。
Figure 2008256754
一般式(b1−3)に於いて、R1c〜R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子を表す。R6c及びR7cは、各々独立に、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。R及びRは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、又はビニル基を表す。R1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c、及びRとRは、それぞれ結合して環構造を形成してもよい。Zcは、非求核性アニオンを表し、一般式(b1)に於けるXの非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
1c〜R7cとしてのアルキル基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、例えば炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、直鎖又は分岐のプロピル基、直鎖又は分岐のブチル基、直鎖又は分岐のペンチル基)を挙げることができる。
1c〜R7cのシクロアルキル基として、好ましくは、炭素数3〜8個のシクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基)を挙げることができる。
1c〜R5cとしてのアルコキシ基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、例えば炭素数1〜10のアルコキシ基、好ましくは、炭素数1〜5の直鎖及び分岐のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、直鎖又は分岐のプロポキシ基、直鎖又は分岐のブトキシ基、直鎖又は分岐のペントキシ基)、炭素数3〜8の環状アルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基)を挙げることができる。
1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c、及びRとRが結合して形成する基としては、ブチレン基、ペンチレン基等を挙げることができる。この環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合を含んでいてもよい。
好ましくはR1c〜R5cのうちいずれかが直鎖状若しくは分岐状アルキル基、シクロアルキル基又は直鎖、分岐、環状アルコキシ基であり、更に好ましくはR1c〜R5cの炭素数の和が2〜15である。これにより、より溶剤溶解性が向上し、保存時にパーティクルの発生が抑制される。
及びRとしてのアルキル基、シクロアルキル基は、R1c〜R7cとしてのアルキル基、シクロアルキル基と同様のものを挙げることができる。
及びRは、2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基であることが好ましい。
2−オキソアルキル基は、R1c〜R5cとしてのアルキル基、シクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
アルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基については、R1c〜R5cとしてのアルコキシ基と同様のものを挙げることができる。
、Rは、好ましくは炭素数4個以上のアルキル基、シクロアルキル基であり、より好ましくは6個以上、更に好ましくは8個以上のアルキル基、シクロアルキル基である。
一般式(b2)、(b3)中、R204〜R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。Xは、非求核性アニオンを表し、一般式(b1)に於けるXの非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
204〜R207のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。
204〜R207としてのアルキル基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)を挙げることができる。R204〜R207としてのシクロアルキル基は、好ましくは、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。
204〜R207が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜15)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基等を挙げることができる。
使用してもよい光カチオン重合開始剤として、更に、下記一般式(b4)、(b5)、(b6)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2008256754
一般式(b4)〜(b6)中、Ar及びArは、各々独立に、アリール基を表す。R206、R207及びR208は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。Aは、アルキレン基、アルケニレン基又はアリーレン基を表す。
光カチオン重合開始剤の中でも好ましいものとしては、一般式(b1)〜(b3)で表される化合物を挙げることができる。
本発明に用いうる光カチオン重合開始剤の特に好ましいものの具体例〔例示化合物(b−1)〜(b−61)〕を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2008256754
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Figure 2008256754
Figure 2008256754
Figure 2008256754
Figure 2008256754
また、特開2002−122994号公報、段落番号〔0029〕乃至〔0030〕に記載のオキサゾール誘導体、s−トリアジン誘導体なども好適に用いられる。
特開2002−122994号公報、段落番号〔0037〕乃至〔0063〕に例示されるオニウム塩化合物、スルホネート系化合物も本発明に好適に使用しうる。
(現像性バインダー)
本発明における光硬化性樹脂組成物は、現像性バインダーを含有することが好ましい。
現像性バインダーとしては、アルカリ水溶液或いは若干の有機溶剤を有する不燃性の準水アルカリ溶液での現像が可能となるように、アルカリ可溶成分であるカルボキシル基やフェノール性水酸基を有する樹脂であれば公知のものを使用することができる。
本発明における現像性バインダーの具体例としては、(メタ)アクリル酸とベンジル(メタ)アクリレートの共重合体、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等が挙げられる。
現像性バインダーの組成物中の添加量は、現像性、及び硬化物のTgの低下抑止の観点から、20質量%〜80質量%が好ましく、30質量%〜60質量%が特に好ましい。
(光ラジカル発生剤)
本発明における光硬化性樹脂組成物は、後述する(b)工程におけるグラフト重合を促進させるために、光ラジカル発生剤を含有することが好ましい。
なお、光硬化性樹脂組成物に仮に光ラジカル発生剤を添加しなくても、一部残存した光カチオン重合開始剤が、グラフト重合時に必要な光ラジカル発生剤としても機能しうるが、より効率よくグラフト重合を進行させ、光硬化性樹脂組成物層が硬化して得られる樹脂層と、グラフト重合反応により得られるグラフトポリマー層と、の密着性を高めるために光ラジカル発生剤は添加する方が好ましい。
本発明において、光硬化性樹脂組成物に含まれる光ラジカル発生剤としては、低分子であっても高分子であってもよい。
低分子の光重合開始剤としては、具体的には、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーのケトン、ベンゾイルベンゾエート、ベンゾイン類、α−アシロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、トリクロロメチルトリアジン及びチオキサントン等の公知のラジカル発生剤を使用することができる。また、通常、光酸発生剤として用いられるスルホニウム塩やヨードニウム塩なども、光照射によりラジカル発生剤として作用するため、本発明ではこれらを用いてもよい。
高分子光ラジカル発生剤としては、特開平9−77891号、特開平10−45927号、特願2006−053430号、特願2006−264706号、Photochemistry&Photobiology,Vol.5,p46(1999)等に記載の、活性カルボニル基、トリクロロメチルトリアジン、チオキサントンを側鎖に有する高分子化合物を使用することができる。
また、高分子の光ラジカル発生剤としては、例えば、下記化合物(1)〜(14)に代表されるアセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ヒドロキシアルキルフェノン類をラジカル発生部位として有している高分子ラジカル発生剤を挙げることもできる。
Figure 2008256754
Figure 2008256754
なお、光ラジカル発生剤としては、後述の(b)工程におけるグラフト重合性の観点から、高分子型の光ラジカル発生剤を用いることが好ましい。この高分子型の光ラジカル発生剤の重量平均分子量としては、10000以上が好ましく、30000以上がより好ましい。また、重量平均分子量の上限値としては、溶解性の点から100000が好ましい。
なお、エポキシ化合物(エポキシ樹脂)が高分子型の光ラジカル発生剤を兼ねていてもよく、そのような化合物としては、以下のような化合物を挙げることができる。
なお、高分子型の光ラジカル発生剤として用いられるエポキシ化合物(エポキシ樹脂)としては、以下の(15)〜(30)で表される化合物が挙げられる。ここで、(15)〜(30)中、x、yは、モル分率を表し、x+y=100(x≠0、y≠0)である。また、この内、x=5以上50以下が好ましく、x=10以上30以下がより好ましい。
Figure 2008256754
Figure 2008256754
Figure 2008256754
Figure 2008256754
上記光ラジカル発生剤の含有量は、グラフト重合性、それに起因する密着強度の低下を抑制する点、硬化物のTg低下を抑制する点、硬化物の誘電率が高くなるといった熱特性、電気特性上の問題を防止する点から、光硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、0.1〜50質量%程度であることが好ましく、1.0〜30.0質量%程度であることがより好ましい。
(増感剤)
本発明における光硬化性樹脂組成物は、グラフト重合感度を高める目的で、光ラジカル発生剤に加えて、増感剤を用いてもよい。この増感剤としては、具体的には、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、及びチオキサントン誘導体等が用いられる。
また、本発明における光硬化性エポキシ樹脂組成物は、重合開始剤(光カチオン重合開始剤)の感度を向上させる目的で、光増感剤を添加することが好ましい。
好ましい光増感剤としては、以下の化合物類に属する増感色素であり、且つ、350nm〜450nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。
即ち、多核芳香族類(例えば、アントラセン、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)が挙げられる。
より好ましい増感色素の例としては、下記一般式(IX)〜(XIII)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2008256754
一般式(IX)中、Aは硫黄原子又はNR50を表し、R50はアルキル基又はアリール基を表し、Lは隣接するA及び隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R51、R52はそれぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団を表し、R51、R52は互いに結合して、色素の酸性核を形成してもよい。Wは酸素原子又は硫黄原子を表す。
一般式(X)中、Ar及びArはそれぞれ独立にアリール基を表し、−L−による結合を介して連結している。ここでLは−O−又は−S−を表す。また、Wは一般式(IX)に示したものと同義である。
一般式(XI)中、Aは硫黄原子又はNR59を表し、Lは隣接するA及び炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R53、R54、R55、R56、R57及びR58はそれぞれ独立に一価の非金属原子団の基を表し、R59はアルキル基又はアリール基を表す。
一般式(XII)中、A、Aはそれぞれ独立に、−S−又は−NR62−を表し、R62は、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基を表し、L、Lはそれぞれ独立に、隣接するA、A及び隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R60、R61はそれぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団であるか又は互いに結合して脂肪族性又は芳香族性の環を形成することができる。
一般式(XIII)中、R66は置換基を有してもよい芳香族環又はヘテロ環を表し、Aは酸素原子、硫黄原子又は−NR67−を表す。R64、R65及びR67はそれぞれ独立に水素原子又は一価の非金属原子団を表し、R67とR64、及びR65とR67はそれぞれ互いに脂肪族性又は芳香族性の環を形成するため結合することができる。
一般式(IX)〜(XIII)で表される化合物の好ましい具体例としては、以下に示す例示化合物(A−1)〜(A−20)などが挙げられる。
Figure 2008256754
Figure 2008256754
(溶剤)
本発明における光硬化性樹脂組成物は、適宜、溶剤を含んでいてもよい。
有機溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、メチルセルソルブアセテート、エチルセルソルブアセテート等のグリコール誘導体、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等を挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で使用してもよいし、2種以上の混合溶剤として使用してもよい。
a−3.光硬化性樹脂組成物層の形成
本工程では、上述の光硬化性樹脂組成物を用いて、基材上に光硬化性樹脂組成物層を形成する。
光硬化性樹脂組成物層を形成する方法としては、ナイフコーティング、ロールコーティング、カーテンコーティング、スピンコーティング、バーコーティング、ディップコーティング等を採用することができる。乾燥温度としては、20℃から200℃が好ましくより好ましくは50℃から100℃である。
本発明において、光硬化性樹脂組成物層の厚みは、配線形成に適用した際の基材と配線のコンタクト性の点から、0.01〜30μmの範囲であることが好ましく、0.05〜5μmの範囲であることがより好ましい。
<(b)工程、及び(b’)工程>
(b)工程では、前記(a)工程により形成された光硬化性樹脂組成物層上に、重合性の二重結合を有する化合物(以下、単に「重合性化合物」と称する場合がある。)を含有する光反応性層を形成する。
また、(b’)工程では、前記(a)工程により形成された光硬化性樹脂組成物層上に、重合性の二重結合を有する化合物(重合性化合物)と無電解めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有する化合物、或いは、重合性の二重結合と無電解めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基とを分子内に有する化合物を含有する光反応性層を形成する。
以下、この(b)工程、及び(b’)工程について、あわせて説明する。
b−1.重合性化合物
本発明において、重合性の二重結合を有する化合物(重合性化合物)としては、モノマー、マクロマー、或いは重合性の二重結合を有する高分子化合物のいずれも用いることができる。これらの化合物は公知のものを任意に使用することができる。これらのうち、本発明において特に有用な化合物は、重合性の二重結合を有し、かつ、極性官能基を有する化合物である。
この極性官能基により、形成されたグラフトポリマーに、親水性や、無電解めっき触媒又はその前駆体との相互作用性などの特性を付与することができる。極性官能基としては、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、スルホン酸基、ホスホン酸基、アミド基などの親水性基を挙げることができる。
なお、このような極性官能基を有する重合性化合物は、(b’)工程における重合性の二重結合と無電解めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基とを分子内に有する化合物として用いることができる。
(モノマー)
本工程で用いられるモノマーとしては、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、イタコン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、スチレンスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−スルホエチル(メタ)アクリレート若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−モノメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、アリルアミン若しくはそのハロゲン化水素酸塩、N−ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、ビニルチオフェン、スチレン、エチル(メタ)アクリル酸エステル、n−ブチル(メタ)アクリル酸エステルなど炭素数1〜24までのアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどを挙げることができる。
本発明においては、重合性化合物として、前述のように、モノマーのみならず、マクロマー、ポリマー(重合性の二重結合を有する高分子化合物)も好ましく使用することができる。
本発明に用いうるマクロマーは、前記モノマーを用いて公知の方法にて作製することができる。本態様に用いられるマクロモノマーの製造方法は、例えば、平成1年9月20日にアイピーシー出版局発行の「マクロモノマーの化学と工業」(編集者 山下雄也)の第2章「マクロモノマーの合成」に各種の製法が提案されている。
これらのマクロモノマーのうち有用な重量平均分子量は250〜10万の範囲で、特に好ましい範囲は400〜3万である。
(高分子化合物、ポリマー)
本発明において、重合性の二重結合を有する高分子化合物(ポリマー)とは、重合性の二重結合として、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基などのエチレン付加重合性不飽和基(重合性基)を導入したポリマーを指し、このポリマーは、少なくとも末端又は側鎖に重合性基を有するものであり、側鎖に重合性基を有するものがより好ましい。
重合性の二重結合を有する高分子化合物は重合性基の他にも、前記したようにカルボキシル基などの極性基、或いは、表面に導入しようとする機能性材料(例えば、前記した無電解めっき触媒又はその前駆体)と相互作用性可能な官能基を有することが好ましい。
重合性基を有する高分子化合物の有用な重量平均分子量は500〜50万の範囲で、特に好ましい範囲は1000〜5万の範囲である。
このような重合性基と相互作用性基(例えば、前記した極性官能基)とを有する高分子化合物の合成方法としては、i)相互作用性基を有するモノマーと重合性基を有するモノマーとを共重合する方法、ii)相互作用性基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)相互作用性基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、二重結合を導入(重合性基を導入する)方法が挙げられる。
好ましい合成方法は、合成適性の観点から、ii)相互作用性基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)相互作用性基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、重合性基を導入する方法である。
なお、本発明においてii)のグラフトポリマー合成方法に用いうる相互作用性基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、イタコン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、より具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−モノメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、アリルアミン若しくはそのハロゲン化水素酸塩、3−ビニルプロピオン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、ビニルスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン(下記構造)、スチレンスルホン酸ナトリウム、ビニル安息香酸等が挙げられ、一般的には、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基若しくはそれらの塩、水酸基、アミド基、ホスフィン基、イミダゾール基、ピリジン基、若しくはそれらの塩、及びエーテル基などの官能基を有するモノマーが使用できる。
Figure 2008256754
上記相互作用性基を有するモノマーと共重合する重合性基を有するモノマーとしては、アリル(メタ)アクリレート、2−アリルオキシエチルメタクリレートが挙げられる。
また、二重結合前駆体を有するモノマーとしては2−(3−クロロ−1−オキソプロポキシ)エチルメタクリレー卜や、特開2003−335814号公報に記載の化合物(i−1〜i−60)が使用することができ、これらの中でも、特に下記化合物(i−1)が好ましい。
Figure 2008256754
更に、相互作用性基を有するポリマー中の、カルボキシル基、アミノ基若しくはそれらの塩、水酸基、及びエポキシ基などの官能基との反応を利用して、不飽和基を導入するために用いられる重合性基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートなどがある。
ii)相互作用性基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させた後の、塩基などの処理により二重結合を導入する方法については、例えば、特開2003−335814号公報に記載の手法を用いることができる。
本発明において、重合性基と相互作用性基とを有する高分子化合物としては、相互作用性基としてシアノ基を有するポリマー(以下、「シアノ基含有重合性ポリマー」と称する。)が好ましい。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーは、例えば、下記式(1)で表されるユニット、及び、下記式(2)で表されるユニットを含む共重合体であることが好ましい。
Figure 2008256754
上記式(1)及び式(2)中、R〜Rは、夫々独立して、水素原子、又は置換若しくは無置換のアルキル基を表し、X、Y及びZは、夫々独立して、単結合、置換若しく無置換の二価の有機基、エステル基、アミド基、又はエーテル基を表し、L及びLは、夫々独立して、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。
〜Rが、置換若しくは無置換のアルキル基である場合、無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられ、また、置換アルキル基としては、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換された、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。
なお、Rとしては、水素原子、メチル基、或いはヒドロキシ基、又は臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。
としては、水素原子、メチル基、或いはヒドロキシ基、又は臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。
としては、水素原子が好ましい。
としては、水素原子が好ましい。
としては、水素原子、メチル基が好ましい。
X、Y及びZが、置換若しくは無置換の二価の有機基の場合、該二価の有機基としては、置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基が挙げられる。
置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、又はこれらの基が、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換されたものが好ましい。
置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基としては、無置換のフェニル基、若しくは、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換されたフェニル基が好ましい。
中でも、−(CH−(nは1〜3の整数)が好ましく、更に好ましくは−CH−である。
は、ウレタン結合又はウレア結合を有する二価の有機基が好ましく、中でも、総炭素数1〜9であるものが好ましい。なお、ここで、Lの総炭素数とは、Lで表される置換若しくは無置換の二価の有機基に含まれる総炭素原子数を意味する。
の構造として、より具体的には、下記式(1−1)、又は、式(1−2)で表される構造であることが好ましい。
Figure 2008256754
上記式(1−1)及び式(1−2)中、R及びRは、夫々独立して、置換若しくは無置換の、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、又はブチレン基を表す。
また、Lは、直鎖、分岐、若しくは環状のアルキレン基、芳香族基、又はこれらを組み合わせた基であることが好ましい。該アルキレン基と芳香族基とを組み合わせた基は、更に、エーテル基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレア基を介していてもよい。中でも、Lは総炭素数が1〜15であることが好ましく、特に無置換であることが好ましい。なお、ここで、Lの総炭素数とは、Lで表される置換若しくは無置換の二価の有機基に含まれる総炭素原子数を意味する。
具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、フェニレン基、及びこれらの基が、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換されたもの、更には、これらを組み合わせた基が挙げられる。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーとしては、前記式(1)で表されるユニットが、下記式(3)で表されるユニットであることが好ましい。
Figure 2008256754
上記式(3)中、R及びRは、夫々独立して、水素原子、又は置換若しく無置換のアルキル基を表し、Zは、単結合、置換若しくは無置換の二価の有機基、エステル基、アミド基、又はエーテル基を表し、Wは、窒素原子、又は酸素原子、Lは、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。
式(3)におけるR及びRは、前記式(1)におけるR及びRと同義であり、好ましい例も同様である。
式(3)におけるZは、前記式(1)におけるZと同義であり、好ましい例も同様である。
また、式(3)におけるLも、前記式(1)におけるLと同義であり、好ましい例も同様である。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーとしては、前記式(3)で表されるユニットが、下記式(4)で表されるユニットであることが好ましい。
Figure 2008256754
式(4)中、R及びRは、夫々独立して、水素原子、又は置換若しく無置換のアルキル基を表し、V及びWは、夫々独立して、窒素原子又は酸素原子を表し、Lは、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。
式(4)におけるR及びRは、前記式(1)におけるR及びRと同義であり、好ましい例も同様である。
式(4)におけるLは、前記式(1)におけるLと同義であり、好ましい例も同様である。
前記式(3)及び式(4)において、Wは、酸素原子であることが好ましい。
また、前記式(3)及び式(4)において、Lは、無置換のアルキレン基、或いは、ウレタン結合又はウレア結合を有する二価の有機基が好ましく、これら中でも、総炭素数1〜9であるものが特に好ましい。
また、本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーとしては、前記式(2)で表されるユニットが、下記式(5)で表されるユニットであることが好ましい。
Figure 2008256754
上記式(5)中、Rは、水素原子、又は置換若しく無置換のアルキル基を表し、Uは、窒素原子又は酸素原子を表し、Lは、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。
式(5)におけるRは、前記式(1)におけるR及びRと同義であり、水素原子であることが好ましい。
また、式(5)におけるLは、前記式(1)におけるLと同義であり、直鎖、分岐、若しくは環状のアルキレン基、芳香族基、又はこれらを組み合わせた基であることが好ましい。
特に、式(5)においては、Lが、シアノ基との連結部位に、直鎖、分岐、若しくは環状のアルキレン基を有する二価の有機基であることが好ましく、中でも、この二価の有機基が総炭素数1〜10であることが好ましい。
また、別の好ましい態様としては、式(5)におけるLが、シアノ基との連結部位に、芳香族基を有する二価の有機基であることが好ましく、中でも、該二価の有機基が、総炭素数6〜15であることが好ましい。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーは、前記式(1)〜式(5)で表されるユニットを含んで構成されるものであり、重合性基とシアノ基とを側鎖に有するポリマーである。
このシアノ基含有重合性ポリマーは、例えば、以下のように合成することができる。
重合反応の種類としては、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合が挙げられる。反応制御の観点から、ラジカル重合、カチオン重合を用いることが好ましい。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーは、1)ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態とが異なる場合と、2)ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態とが同一の場合とで、その合成方法が異なる。
1)ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態が異なる場合
ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態が異なる場合は、1−1)ポリマー主鎖形成がカチオン重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がラジカル重合である態様と、1−2)ポリマー主鎖形成がラジカル重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がカチオン重合である態様と、がある。
1−1)ポリマー主鎖形成がカチオン重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がラジカル重合である態様
本発明において、ポリマー主鎖形成がカチオン重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がラジカル重合である態様で用いられるモノマーとしては、以下の化合物が挙げられる。
・重合性基含有ユニットを形成するために用いられるモノマー
本態様に用いられる重合性基含有ユニットを形成するために用いられるモノマーとしては、ビニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、4−(メタ)アクリロイルブタンビニルエーテル、2−(メタ)アクリロイルエタンビニルエーテル、3−(メタ)アクリロイルプロパンビニルエーテル、(メタ)アクリロイロキシジエチレングリコールビニルエーテル、(メタ)アクリロイロキシトリエチレングリコールビニルエーテル、(メタ)アクリロイル1stテルピオネール、1−(メタ)アクリロイロキシ−2−メチル−2−プロペン、1−(メタ)アクリロイロキシ−3−メチル−3−ブテン、3−メチレン−2−(メタ)アクリロイロキシ−ノルボルナン、4,4’−エチリデンジフェノールジ(メタ)アクリレート、メタクロレインジ(メタ)アクリロイルアセタール、p−((メタ)アクリロイルメチル)スチレン、アリル(メタ)アクリレート、2−(ブロモメチル)アクリル酸ビニル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸アリル等が挙げられる。
・シアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマー
本態様に用いられるシアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマーとしては、2−シアノエチルビニルエーテル、シアノメチルビニルエーテル、3−シアノプロピルビニルエーテル、4−シアノブチルビニルエーテル、1−(p−シアノフェノキシ)−2−ビニロキシ−エタン、1−(o−シアノフェノキシ)−2−ビニロキシ−エタン、1−(m−シアノフェノキシ)−2−ビニロキシ−エタン、1−(p−シアノフェノキシ)−3−ビニロキシ−プロパン、1−(p−シアノフェノキシ)−4−ビニロキシ−ブタン、o−シアノベンジルビニルエーテル、m―シアノベンジルビニルエーテル、p―シアノベンジルビニルエーテル、アリルシアニド、アリルシアノ酢酸や、以下の化合物等が挙げられる。
Figure 2008256754
重合方法は、実験化学講座「高分子化学」2章−4(p74)に記載の方法や、「高分子合成の実験方法」大津隆行著 7章(p195)に記載の一般的なカチオン重合法が使用できる。なお、カチオン重合には、プロトン酸、ハロゲン化金属、有機金属化合物、有機塩、金属酸化物及び固体酸、ハロゲンが開始剤として用いることができるが、この中で、活性が大きく高分子量が合成可能な開始剤として、ハロゲン化金属と有機金属化合物の使用が好ましい。
具体的には、3フッ化ホウ素、3塩化ホウ素、塩化アルミ、臭化アルミ、四塩化チタン、四塩化スズ、臭化スズ、5フッ化リン、塩化アンチモン、塩化モリブデン、塩化タングステン、塩化鉄、ジクロロエチルアルミニウム、クロロジエチルアルミニウム、ジクロロメチルアルミニウム、クロロジメチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリメチル亜鉛、メチルグリニアが挙げられる。
1−2)ポリマー主鎖形成がラジカル重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がカチオン重合である態様
本発明において、ポリマー主鎖形成がラジカル重合で行われ、側鎖に導入される重合性基の重合形態がカチオン重合である態様用いられるモノマーとしては、以下の化合物が挙げられる。
・重合性基含有ユニット形成するために用いられるモノマー
上記1−1)の態様で挙げた重合性基含有ユニット形成するために用いられるモノマーと同じものを用いることができる。
・シアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマー
本態様に用いられるシアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマーとしては、シアノメチル(メタ)アクリレート、2−シアノエチル(メタ)アクリレート、3−シアノプロピル(メタ)アクリレート、2−シアノプロピル(メタ)アクリレート、1−シアノエチル(メタ)アクリレート、4−シアノブチル(メタ)アクリレート、5−シアノペンチル(メタ)アクリレート、6−シアノヘキシル(メタ)アクリレート、7−シアノヘキシル(メタ)アクリレート、8−シアノヘキシル(メタ)アクリレート、2−シアノエチル−(3−(ブロモメチル)アクリルレート)、2−シアノエチル−(3−(ヒドロキシメチル)アクリルレート)、p−シアノフェニル(メタ)アクリレート、o−シアノフェニル(メタ)アクリレート、m−シアノフェニル(メタ)アクリレート、5−(メタ)アクリロイル−2−カルボニトリロ−ノルボルネン、6−(メタ)アクリロイル−2−カルボニトリロ−ノルボルネン、1−シアノ−1−(メタ)アクリロイル−シクロヘキサン、1,1−ジメチル−1−シアノ−(メタ)アクリレート、1−ジメチル−1−エチル−1−シアノ−(メタ)アクリレート、o−シアノベンジル(メタ)アクリレート、m−シアノベンジル(メタ)アクリレート、p−シアノベンジル(メタ)アクリレート、1―シアノシクロヘプチルアクリレート、2―シアノフェニルアクリレート、3―シアノフェニルアクリレート、シアノ酢酸ビニル、1―シアノ−1―シクロプロパンカルボン酸ビニル、シアノ酢酸アリル、1―シアノ−1―シクロプロパンカルボン酸アリル、N,N―ジシアノメチル(メタ)アクリルアミド、N−シアノフェニル(メタ)アクリルアミド、アリルシアノメチルエーテル、アリル−o―シアノエチルエーテル、アリル−m―シアノベンジルエーテル、アリル−p―シアノベンジルエーテルなどが挙げられる。
また、上記モノマーの水素の一部を、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロゲン、シアノ基などで置換した構造を持つモノマーも使用可能である。
重合方法は、実験化学講座「高分子化学」2章−2(p34)に記載の方法や、「高分子合成の実験方法」大津隆行著 5章(p125)に記載の一般的なラジカル重合法が使用できる。なお、ラジカル重合の開始剤には、100℃以上の加熱が必要な高温開始剤、40〜100℃の加熱で開始する通常開始剤、極低温で開始するレドックス開始剤などが知られているが、開始剤の安定性、重合反応のハンドリングのし易さから、通常開始剤が好ましい。
通常開始剤としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、ペルオキソ2硫酸塩、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビル−2,4−ジメチルバレロニトリルが挙げられる。
2)ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態とが同一の場合
ポリマー主鎖を形成する重合形態と側鎖に導入される重合性基の重合形態とが同一の場合は、2−1)両者がカチオン重合の態様と、2−2)両者がラジカル重合である態様と、がある。
2−1)両者がカチオン重合の態様
両者がカチオン重合の態様には、シアノ基を有するモノマーとして、前記1−1)の態様で挙げたシアノ基含有ユニット形成するために用いられるモノマーと同じものを用いることができる。
なお、重合中のゲル化を防止する観点から、シアノ基を有するポリマーを予め合成した後、該ポリマーと重合性基を有する化合物(以下、適宜、「反応性化合物」と称する。)とを反応させ、重合性基を導入する方法を用いることが好ましい。
なお、シアノ基を有するポリマーは、反応性化合物との反応のために、下記に示すような反応性基を有することが好ましい。
また、シアノ基を有するポリマーと反応性化合物とは、以下のような官能基の組み合わせとなるように、適宜、選択されることが好ましい。
具体的な組み合わせとしては、(ポリマーの反応性基、反応性化合物の官能基)=(カルボキシル基、カルボキシル基)、(カルボキシル基、エポキシ基)、(カルボキシル基、イソシアネート基)、(カルボキシル基、ハロゲン化ベンジル)、(水酸基、カルボキシル基)、(水酸基、エポキシ基)、(水酸基、イソシアネート基)、(水酸基、ハロゲン化ベンジル)(イソシアネート基、水酸基)、(イソシアネート基、カルキシル基)等を挙げることができる。
ここで、反応性化合物として、具体的には、以下に示す化合物を用いることができる。
即ち、アリルアルコール、4−ヒドロキシブタンビニルエーテル、2−ヒドロキシエタンビニルエーテル、3−ヒドロキシプロパンビニルエーテル、ヒドロキシトリエチレングリコールビニルエーテル、1stテルピオネール、2−メチル−2−プロペノール、3−メチル−3−ブテノール、3−メチレン−2−ヒドロキシ−ノルボルナン、p−(クロロメチル)スチレンである。
2−2)両者がラジカル重合である態様
両者がラジカル重合である態様では、合成方法としては、i)シアノ基を有するモノマーと重合性基を有するモノマーとを共重合する方法、ii)シアノ基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)シアノ基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、二重結合を導入(重合性基を導入する)方法が挙げられる。好ましいのは、合成適性の観点から、ii)シアノ基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)シアノ基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、重合性基を導入する方法である。
前記i)の合成方法で用いられる重合性基を有するモノマーとしては、アリル(メタ)アクリレートや、以下の化合物などが挙げられる。
Figure 2008256754
前記ii)の合成方法で用いられる二重結合前駆体を有するモノマーとしては、下記式(a)で表される化合物などが挙げられる。
Figure 2008256754
上記式(a)中、Aは重合性基を有する有機団、R〜Rは、夫々独立して、水素原子又は1価の有機基、B及びCは脱離反応により除去される脱離基であり、ここでいう脱離反応とは、塩基の作用によりCが引き抜かれ、Bが脱離するものである。Bはアニオンとして、Cはカチオンとして脱離するものが好ましい。
式(a)で表される化合物としては、具体的には以下の化合物を挙げることができる。
Figure 2008256754
Figure 2008256754
また、前記ii)の合成方法において、二重結合前駆体を二重結合に変換するには、下記に示すように、B、Cで表される脱離基を脱離反応により除去する方法、つまり、塩基の作用によりCを引き抜き、Bが脱離する反応を使用する。
Figure 2008256754
上記の脱離反応において用いられる塩基としては、アルカリ金属類の水素化物、水酸化物又は炭酸塩、有機アミ化合物、金属アルコキシド化合物が好ましい例として挙げられる。アルカリ金属類の水素化物、水酸化物、又は炭酸塩の好ましい例としては、水素化ナトリウム、水素化カルシウム、水素化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。有機アミン化合物の好ましい例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルメチルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン、N−メチルジシクロヘキシルアミン、N−エチルジシクロヘキシルアミン、ピロリジン、1−メチルピロリジン、2,5−ジメチルピロリジン、ピペリジン、1−メチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ピペラジン、1,4−ジメチルピペラジン、キヌクリジン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]−オクタン、ヘキサメチレンテトラミン、モルホリン、4−メチルモルホリン、ピリジン、ピコリン、4−ジメチルアミノピリジン、ルチジン、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセン(DBU)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルエチルアミン、Schiff塩基などが挙げられる。金属アルコキシド化合物の好ましい例としては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシドなどが挙げられる。これらの塩基は、1種或いは2種以上の混合であってもよい。
また、前記脱離反応において、塩基を付与(添加)する際に用いられる溶媒としては、例えば、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、水などが挙げられる。これらの溶媒は単独或いは2種以上混合してもよい。
使用される塩基の量は、化合物中の特定官能基(B、Cで表される脱離基)の量に対して、当量以下であってもよく、また、当量以上であってもよい。また、過剰の塩基を使用した場合、脱離反応後、余剰の塩基を除去する目的で酸などを添加することも好ましい形態である。
前記iii)の合成方法において、シアノ基を有するポリマーと反応させる重合性基を有するモノマーとしては、シアノ基を有するポリマー中の反応性基の種類によって異なるが、以下の組合せの官能基を有するモノマーを使用することができる。
即ち、(ポリマーの反応性基、モノマーの官能基)=(カルボキシル基、カルボキシル基)、(カルボキシル基、エポキシ基)、(カルボキシル基、イソシアネート基)、(カルボキシル基、ハロゲン化ベンジル)、(水酸基、カルボキシル基)、(水酸基、エポキシ基)、(水酸基、イソシアネート基)、(水酸基、ハロゲン化ベンジル)(イソシアネート基、水酸基)、(イソシアネート基、カルキシル基)等を挙げることができる。
具体的には以下のモノマーを使用することができる。
Figure 2008256754
以上のようにして合成された本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーは、共重合成分全体に対し、重合性基含有ユニット、シアノ基含有ユニットの割合が以下の範囲であることが好ましい。
即ち、重合性基含有ユニットが、共重合成分全体に対し5〜50mol%で含まれることが好ましく、更に好ましくは5〜40mol%である。5mol%以下では反応性(硬化性、重合性)が落ち、50mol%以上では合成の際にゲル化しやすく合成しにくい。
また、シアノ基含有ユニットは、共重合成分全体に対し1〜95mol%で含まれることが好ましく、更に好ましくは10〜95mol%である。
なお、本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーは、シアノ基含有ユニット、重合性基含有ユニット以外に、他のユニットを含んでいてもよい。この他のユニットを形成するために用いられるモノマーとしては、本発明の効果を損なわないものであれば、いかなるモノマーも使用することができる。
ただし、前述のように重合性基をポリマーに反応させて導入する場合は、100%導入することが困難な際には少量の反応性部分が残ってしまうことから、これが第3のユニットとなる可能性もある。
具体的には、ラジカル重合でポリマー主鎖を形成する場合は、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどの無置換(メタ)アクリル酸エステル類、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、3,3,3−トリフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレートなどのハロゲン置換(メタ)アクリル酸エステル類、2−(メタ)アクリルロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアンモニウム基置換(メタ)アクリル酸エステル類、ブチル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類、スチレン、ビニル安息香酸、p−ビニルベンジルアンモニウムクロライドなどのスチレン類、N−ビニルカルバゾール、酢酸ビニル、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルカプロラクタムなどのビニル化合物類や、その他にジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−エチルチオ−エチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどが使用できる。
また、上記記載のモノマーを用いて得られたマクロモノマーも使用できる。
カチオン重合でポリマー主鎖を形成する場合は、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、エチレングリコールビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)ビニルエーテル、1,4−ブタンジオールビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、酢酸ビニル、2−ビニルオキシテトラヒドロピラン、ビニルベンゾエート、ビニルブチレートなどのビニルエーテル類、スチレン、p−クロロスチレン、p−メトキシスチレンなどのスチレン類、アリルアルコール、4−ヒドロキシ−1−ブテンなどの末端エチレン類を使用することができる。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーの分子量(Mw)は、3000〜20万が好ましく、更に好ましくは4000〜10万である。
本発明におけるシアノ基含有重合性ポリマーの具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
なお、これらの具体例の重量平均分子量は、いずれも、3000〜100000の範囲である。
Figure 2008256754
Figure 2008256754
Figure 2008256754
Figure 2008256754
Figure 2008256754
ここで、例えば、前記具体例の化合物2−2−11は、アクリル酸と2−シアノエチルアクリレートを、例えば、N−メチルピロリドンに溶解させ、重合開始剤として、例えば、アゾイソブチロニトリル(AIBN)を用いてラジカル重合を行い、その後、グリシジルメタクリレートをベンジルトリエチルアンモニウムクロライドのような触媒を用い、ターシャリーブチルハイドロキノンのような重合禁止剤を添加した状態で付加反応することで合成することができる。
また、例えば、前記具体例の化合物2−2−19は、以下のモノマーと、p−シアノベンジルアクリレートを、N、N−ジメチルアクリルアミドのような溶媒に溶解させ、アゾイソ酪酸ジメチルのような重合開始剤を用いてラジカル重合を行い、その後、トリエチルアミンのような塩基を用いて脱塩酸を行うことで合成することができる。
Figure 2008256754
本発明においては、重合性化合物として、末端のみならず、側鎖に複数の重合性基を有するマクロマー、ポリマーを用いることで、グラフトポリマーの生成密度が向上し、均一で高密度のグラフトポリマー層が形成されるため、好ましい。
このため、このような表面グラフト材料に無電解めっき触媒或いはその前駆体を付着する際にも、付着密度が向上し、優れためっき受容性領域を得ることができる。マクロマーやポリマーを重合性化合物として用いる場合には、重合性基が高密度に存在することから、重合開始剤を共存させたり、高エネルギーの電子線を用いる公知の方法を用いてグラフト生成すると、先に述べたホモポリマーの生成が著しく、また、形成されたホモポリマーの除去性もより低下することから、このような重合性化合物を用いた場合に、本発明の効果が著しいことがわかる。
また、製造方法の観点からは、ポリマーを用いて塗布法により重合性化合物を基板表面に接触させる場合には、均一な厚みの高分子塗布膜が容易に形成され、モノマー塗布の場合に必要とする塗布液保護用カバーが不要となり、重合性化合物を任意の厚みで均一に接触させることが可能となるため、形成されるグラフトポリマーの均一性が向上し、製造適性に優れるという利点をも有するものである。このような理由から、大面積、或いは大量の製造においては、重合性の二重結合を有するポリマー(高分子化合物)を用いることが製造適性上特に有用である。
b−2.無電解めっき触媒又はその前駆体を相互作用する官能基を有する化合物
本発明における(b’)工程においては、前述のような重合性化合物(特に、その分子内に無電解めっき触媒又はその前駆体を相互作用する官能基を有しない化合物である場合)に加え、無電解めっき触媒又はその前駆体を相互作用する官能基を有する化合物を用いることができる。
この無電解めっき触媒又はその前駆体を相互作用する官能基を有する化合物としては、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基若しくはそれらの塩、水酸基、アミド基、ホスフィン基、シアノ基、イミダゾール基、ピリジン基、若しくはそれらの塩、及びエーテル基などの官能基を有する化合物を挙げることができ、製造特性上特に制限されない。
b−3.光反応性層の形成
光硬化性樹脂組成物層上に、光反応性層を形成する方法としては、光硬化性樹脂組成物層が形成された基材ごと、重合性化合物等を含有する液状の組成物中に浸漬することで行ってもよいが、取り扱い性や製造効率等、更には、(b’)工程の場合は、形成された導電パターン(回路)への影響を考慮すれば、該重合性化合物を光硬化性樹脂組成物層表面にそのまま塗布するか、或いは、それを主成分として含有する液状組成物を塗布することで形成されることが好ましい。
光反応性層の形成に際しては、ホモポリマーの所望されない生成を抑制する観点から、重合開始能を有する化合物の非存在下で行われることが好ましい。即ち、光反応性層の形成が重合性化合物単体で行われる場合には、当然他の化合物が共存しないことになるが、該重合性化合物を溶剤に溶解するか、分散媒中に分散させてなる組成物を用いる場合、その組成物中には、重合開始剤などの重合反応に関与しうる他の化合物を含まないことを要する。
従って、浸漬法及び塗布法のいずれであっても、重合性化合物を含有する組成物は、好ましくは、主成分として、該重合性化合物及び溶媒又は分散媒のみからなる組成物であり、他の化合物を含む場合であっても、所望により塗布性や面状性などの液体組成物の物性の向上を目的とした界面活性剤などに限ることが好ましい。
重合性化合物を含有する組成物に使用する溶剤は、主成分である重合性化合物などを溶解或いは分散することが可能であれば特に制限はないが、水、水溶性溶剤などの水性溶剤が好ましく、これらの混合物や、溶剤に更に界面活性剤を添加してもよい。
使用できる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールモノメチルエーテルの如きアルコール系溶剤、酢酸の如き酸、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンの如きケトン系溶剤、ホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンの如きアミド系溶剤、アセトニトリル、プロピロニトリルの如きニトリル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチルの如きエステル系溶剤などが挙げられる。
この中でも、シアノ基含有重合性ポリマーを用いた組成物とする場合には、アミド系、ケトン系、ニトリル系溶剤が好ましく、具体的には、アセトン、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、プロピオニトリル、N−メチルピロリドンが好ましい。
また、シアノ基含有重合性ポリマーを含有する組成物を塗布する場合は、取り扱い安さから沸点が50〜150℃の溶剤が好ましい。なお、これらの溶剤は単一で使用しても良いし、混合して使用してもよい。
必要に応じて溶剤に添加することのできる界面活性剤としては、溶剤に溶解するものであればよく、そのような界面活性剤としては、例えば、n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの如きアニオン性界面活性剤や、n−ドデシルトリメチルアンモニウムクロライドの如きカチオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル(市販品としては、例えば、エマルゲン910、花王(株)製など)、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(市販品としては、例えば、商品名「ツイーン20」など)、ポリオキシエチレンラウリルエーテルの如き非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
また、必要に応じて可塑剤を添加することもできる。使用できる可塑剤としては、一般的な可塑剤が使用でき、フタル酸エステル類(ジメチルエステル、ジエチルエステル、ジブチルエステル、ジ−2−エチルヘキシルエステル、ジノルマルオクチルエステル、ジイソノニルエステル、ジノニルエステル、ジイソデシルエステル、ブチルベンジルエステル)、アジピン酸エステル類(ジオクチルエステル、ジイソノニルエステル)、アゼラインサンジオクチル、セバシンサンエステル類(ジブチルエステル、ジオクチルエステル)リン酸トリクレシル、アセチルクエン酸トリブチル、エポキシ化大豆油、トリメリット酸トリオクチル、塩素化パラフィンやジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンのような高沸点溶媒も使用することができる。
なお、塗布法で光反応性層を形成する場合、その塗布量は、固形分換算で0.1〜10g/mが好ましく、特に0.5〜5g/mが好ましい。
また、形成された光反応性層の膜厚は、めっき膜を形成する態様に適用する際そのめっきの付きまわりの観点から、0.5〜5μmの範囲であることが好ましく、
<(c)工程>
本工程では、(b)工程、又は(b’)で形成された光反応性層をパターン状に露光して、露光した領域にグラフトポリマーを生成させて、グラフトポリマーパターンを形成する。
〔表面グラフト重合〕
本発明におけるグラフトポリマーは、一般的に表面グラフト重合と呼ばれる手段を用いて生成される。
グラフト重合とは、高分子化合物鎖上に活性種を与え、これによって重合を開始する別の単量体を更に重合させ、グラフト(接ぎ木)重合体を合成する方法であり、特に活性種を与える高分子化合物が固体表面を形成する時には表面グラフト重合と呼ばれる。
本発明では、光硬化性樹脂組成物層の露光によりエネルギーが付与された領域からラジカルが発生し、このラジカルが重合性化合物と反応することにより、表面グラフト重合が引き起こされる。
(パターン露光)
本工程においては、パターン露光が行われることで、光硬化性樹脂組成物が硬化し、且つ、グラフトポリマーが生成する。
ここで、光硬化性樹脂組成物を硬化させるための露光、及びグラフトポリマーを生成させるための露光について説明する。
露光に用いられる活性エネルギー線としては、一般的に用いられる水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等を用いてもよいし、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ、蛍光灯等の光源を用いてもよい。また、熱陰極管、冷陰極管、電子線、X線等、組成物の重合反応が進行する光源、電磁波等を用いることができる。
本発明では、水銀灯、LED、半導体レーザを光源として用いることが好ましい。LED又は半導体レーザは小型であることが特徴である。特にLEDは長寿命であり、発熱量が少なく、消費電力が小さい上、オゾンが発生しない、電源を入れると即時使用可能であるという長所を有する。また、365nm±20nmの光源がコスト面でメリットがあり、また、既存の光重合開始系を使用できるといった長所を有する。
メタルハライドランプを用いる場合、ランプは10〜1000W/cmのものを使用し、メディア面で1mW/cm〜100W/cmの照度であることが好ましい。また露光エネルギーは、0.1mJ/cm〜100J/cmであることが好ましい。
パターン露光は、同一波長の光を用いて1回の操作で光硬化性樹脂組成物の硬化とグラフトポリマーの生成を行ってもよいし、異なる波長の光を用いて2段階で光硬化性樹脂組成物の硬化とグラフトポリマーの生成を行ってもよいが、プロセス適性、コストの点から前者の方法が好ましい。
本発明における「パターン」とは、基材上の任意の位置にエネルギーを付与することにより形成されたレリーフ像のことである。そのパターンは、用途に応じて、適宜、決定されればよい。例えば、特開2001−349949号公報の図6において12で示される配線パターンに応じたものであってもよいし、特開2004−207275号公報の図5おいて11で示される導電パターンに応じたものであってもよい。
(現像)
前述のような露光後には、現像液による洗浄が行われ、未反応の光硬化性樹脂組成物及び未反応の重合性化合物が除去されて、基材上にはグラフトポリマーパターンのみが残存することになる。
この現像処理により、未露光領域や不純物は容易に除去され、露光条件に応じた高精細なグラフトポリマーパターンが形成される。
未露光部の光硬化性樹脂組成物及び未露光部の光反応性層(グラフトポリマーが生成されていない領域)を除去するために使用される現像液としては、アルカリ水、アルカリ水と水溶性の高沸点有機溶剤の混合溶液を使用することができる。
アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等を使用することができる。水溶性の高沸点溶剤としては、2−ブトキシエタノール、2,2’−ブトキシメトキシエタノール、2,2’−ブトキシエトキシエタノール等のアルコール類が好ましく使用できる。
混合溶液として使用する場合には、水溶性の沸点100℃以上の有機溶剤100〜500ml/l、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の中から選ばれるアルカリ成分1〜20g/lの混合水溶液が好ましい。水よりも沸点の高い水溶性有機溶剤を現像液に配合することで、不燃性でかつアルカリ現像液に比べて高い現像性を示す現像液を調製することができる。
グラフトポリマーパターンの厚みとして、0.01μm〜2μmの範囲であることが好ましく、0.1μm〜1.5μmの範囲が更に好ましく、最も好ましくは0.3μm〜1μmの範囲である。
このようにして、任意の基材表面に所望のパターンで、基材表面に強固に結合し、且つ、運動性に優れたグラフトポリマーを生成することができる。このようなグラフトポリマーはそれが有する極性官能基などに起因して、種々の機能性材料を付着させることができ、機能性のパターンを有する材料の製造に有用である。
また、このようなグラフトポリマーの生成領域は、極性基、或いは、無電解めっき触媒又はその前駆体との相互作用性基を有することで、後述する無電解めっきを行う場合に優れためっき受容性を有する領域となる。
本発明の導電性パターン形成方法は、本発明のグラフトポリマー形成方法を含む方法であり、(a)工程の後、(b)工程に代えて(b’)工程を行い、更に、(c)工程、(d)工程、及び(e)工程を行う。
(b)工程の一態様である(b’)工程は、基材表面に、重合性の二重結合を有する化合物と無電解めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有する化合物、或いは、重合性の二重結合と無電解めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基とを分子内に有する化合物を含有する光反応性層を形成する。この光反応性層に対して、(c)工程により、パターン露光を行うことで、無電解めっき触媒又はその前駆体が相互作用する官能基をもつグラフトポリマーを生成する。
本発明の導電性パターン形成方法においては、(c)工程により、無電解めっき触媒又はその前駆体が相互作用する官能基をもつグラフトポリマーが生成された後、該グラフトポリマーが生成したパターン状の領域に、(d)無電解めっき触媒又はその前駆体を付与する工程、及び(e)無電解めっき工程を行うことで導電性パターンが形成される。
以下、本発明の導電性パターン形成方法における(d)工程及び(e)工程について説明する。
<(d)工程、及び(e)工程>
本発明の導電性パターン形成方法における、(d)工程では、グラフトポリマーパターンが形成された領域に無電解めっき触媒又はその前駆体を付与し、(e)工程では、無電解めっきを行い、導電性パターンを形成する。
基材表面にグラフトポリマーが生成されると、グラフトポリマーパターンが形成された領域がめっき受容性領域となる。このため、(d)工程では、グラフトポリマーパターンが形成された領域に選択的に無電解めっきを施すことで、導電性パターンを形成する。
(d)工程で実施されるめっき処理は、銅めっき、ニッケルめっき等、金属の種類は特に限定されることなく、通常公知の無電解めっきを適用することができる。
無電解めっき処理を施す方法としては、具体的には、グラフトポリマーパターンが形成された領域(グラフトポリマー鎖の存在領域)に、無電解めっき触媒又はその前駆体を付与し、その後、無電解めっきを行い、パターン状に金属膜を形成する方法が挙げられる。
−無電解めっき触媒−
(d)工程において用いられる無電解めっき触媒とは、主に0価金属であり、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Coなどが挙げられる。本発明においては、特に、Pd、Agがその取り扱い性の良さ、触媒能の高さから好ましい。0価金属を前記グラフトパターン上(相互作用性領域)に固定する手法としては、例えば、グラフトパターン上のこれら無電解めっき触媒(前駆体)と相互作用する官能基(相互作用性基)と、相互作用するように荷電を調節した金属コロイドを、相互作用性領域に適用する手法が用いられる。一般に、金属コロイドは、荷電を持った界面活性剤又は荷電を持った保護剤が存在する溶液中において、金属イオンを還元することにより作製することができる。金属コロイドの電荷は、ここで使用される界面活性剤又は保護剤により調節することができ、このように電荷を調節した金属コロイドを、グラフトパターンが有する相互作用性基と相互作用させることで、グラフトパターン上に選択的に金属コロイド(無電解めっき触媒)を吸着させることができる。
−無電解めっき触媒前駆体−
(d)工程において用いられる無電解めっき触媒前駆体とは、化学反応により無電解めっき触媒となりうるものであれば、特に制限なく使用することができる。主には上記無電解めっき触媒で用いた0価金属の金属イオンが用いられる。無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、還元反応により無電解めっき触媒である0価金属になる。無電解めっき触媒である金属イオンは、基材へ付与した後、無電解めっき浴への浸漬前に、別途還元反応により0価金属に変化させて無電解めっき触媒としてよいし、無電解めっき触媒前駆体のまま無電解めっき浴に浸漬し、無電解めっき浴中の還元剤により金属(無電解めっき触媒)に変化させてもよい。
実際、無電解めっき前駆体である金属イオンは、金属塩の状態でグラフトパターンに付与して相互作用させる。使用される金属塩としては、適切な溶媒に溶解して、金属イオンと塩基(陰イオン)とに解離されるものであれば特に制限はなく、M(NO、MCl、M2/n(SO)、M3/n(PO)(Mは、n価の金属原子を表す)などが挙げられる。金属イオンとしては、上記の金属塩が解離したものを好適に用いることができる。具体例としては、例えば、Agイオン、Cuイオン、Alイオン、Niイオン、Coイオン、Feイオン、Pdイオンが挙げられ、Agイオン、Pdイオンが触媒能の点で好ましい。
無電解めっき触媒である金属コロイド、或いは、無電解めっき前駆体である金属塩をグラフトパターン上に付与する方法としては、金属コロイドを適当な分散媒に分散、或いは、金属塩を適切な溶媒で溶解し、解離した金属イオンを含む溶液を調製し、その溶液をグラフトパターンが存在する基材表面に塗布するか、或いは、その溶液中にグラフトパターンを有する基材を浸漬すればよい。金属イオンを含有する溶液を接触させることで、前記グラフトパターン形成領域の相互作用性基に、イオン−イオン相互作用、又は、双極性−イオン相互作用を利用して金属イオンを吸着させること、或いは、相互作用性領域に金属イオンを含浸させることができる。これら吸着或いは含浸を十分に行なわせるという観点からは、接触させる溶液の金属イオン濃度、或いは金属塩濃度は1〜50質量%の範囲であることが好ましく、10〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。また、接触時間としては、1分〜24時間程度であることが好ましく、5分〜1時間程度であることがより好ましい。
次に、(e)工程により、無電解めっき触媒(前駆体)が付与されたグラフトポリマーパターンが形成された領域に、無電解めっきを行うことで、グラフトポリマーパターン上に該パターンにしたがった高密度の金属膜が形成され、導電性パターンが得られる。形成された金属パターンは、優れた導電性と密着性を発揮する。
−無電解めっき−
無電解めっきとは、めっきとして析出させたい金属イオンを溶かした溶液を用いて、化学反応によって金属を析出させる操作のことをいう。
(e)工程における無電解めっきは、例えば、無電解めっき触媒がパターン状に付与された基材を水洗して余分な無電解めっき触媒(金属)を除去した後、無電解めっき浴に浸漬して行なう。使用される無電解めっき浴としては一般的に知られている無電解めっき浴を使用することができる。
また、無電解めっき触媒がパターン状に付与された基材を、無電解めっき触媒前駆体がグラフトパターンに吸着又は含浸した状態で無電解めっき浴に浸漬する場合には、基材を水洗して余分な無電解めっき触媒前駆体(金属塩など)を除去した後、無電解めっき浴に浸漬する。この場合には、無電解めっき浴中において前駆体の還元と、それに引き続いて無電解めっきが行われる。この態様に用いられる無電解めっき浴としても、上記同様、一般的に知られている無電解めっき浴を使用することができる。
一般的な無電解めっき浴の組成としては、1.めっき用の金属イオン、2.還元剤、3.金属イオンの安定性を向上させる添加剤(安定剤)が主に含まれている。このめっき浴には、これらに加えて、めっき浴の安定剤など公知の添加物が含まれていてもよい。
無電解めっき浴に用いられる金属の種類としては、銅、すず、鉛、ニッケル、金、パラジウム、ロジウムが知られており、中でも、導電性の観点からは、銅、金が特に好ましい。
また、上記金属に合わせて最適な還元剤、添加物がある。例えば、銅の無電解めっきの浴は、銅塩としてCu(SO、還元剤としてHCOH、添加剤として銅イオンの安定剤であるEDTAやロッシェル塩などのキレート剤が含まれている。また、CoNiPの無電解めっきに使用されるめっき浴には、その金属塩として硫酸コバルト、硫酸ニッケル、還元剤として次亜リン酸ナトリウム、錯化剤としてマロン酸ナトリウム、りんご酸ナトリウム、こはく酸ナトリウムが含まれている。また、パラジウムの無電解めっき浴は、金属イオンとして(Pd(NH)Cl、還元剤としてNH、HNNH、安定化剤としてEDTAが含まれている。これらのめっき浴には、上記成分以外の成分が入っていてもよい。
このようにして形成される金属膜の膜厚は、めっき浴の金属塩又は金属イオン濃度、めっき浴への浸漬時間、或いは、めっき浴の温度などにより制御することができるが、導電性の観点からは、0.1μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましい。
また、めっき浴への浸漬時間としては、1分〜3時間程度であることが好ましく、1分〜1時間程度であることがより好ましい。
本発明の導電性パターン形成方法は、表示素子における導線の形成に好適の用いることができる。以下、有機EL表示装置を例に挙げて説明する。
[有機EL表示装置]
本発明の有機EL表示装置は、本発明の導電性パターン形成方法により形成した導線を備えることを特徴とする。ここで、本発明の導電性パターン形成方法で形成しうる導線としては、パッシブパネル用補助配線、アクティブパネル用TFT引き回し配線等の導線が挙げられる。
本発明の有機EL表示装置の一つの態様は、絶縁基板と、該絶縁基板上に設けられた画素電極配線と、該画素電極配線上に順次積層された有機層及び陰極層と、を少なくとも備えてなり、該画素電極配線に接続する補助配線が本発明の導電性パターン形成方法により形成された態様である。以下、この態様の有機EL表示装置を例に、本発明の有機EL表示装置について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の有機EL表示装置10の概略構成を示す上面図である。有機EL表示装置10は、絶縁基板12上に、複数の画素電極配線14、有機層22、及び複数の陰極層24がこの順に積層されて構成されている。補助配線20は、本発明の導電性パターン形成方法により形成された配線であり、画素電極配線14に接続して構成される。
図2は、図1中のA−A線に沿った断面図である。
本発明においては、1度のパターン露光により、図2に示すように、画素電極配線14上の必要な領域のみに、光硬化性樹脂組成物層が硬化した樹脂層16と、グラフトポリマー層18と、を形成することができる。また、光硬化性樹脂組成物層の未硬化領域及びグラフトポリマーの未生成領域は、現像により除去されるため、有機EL表示装置の導電性パターン非形成領域において、光ラジカル発生剤等の存在に起因する物性変化などの影響を最小限に低減することが可能となる。
即ち、光ラジカル発生剤等の反応性化合物が、補助配線20が形成される領域以外に存在すると、画素電極配線14とその上に積層される有機層22等との導通が阻害され、駆動電圧上昇、抵抗率化、低寿命化など素子の性能劣化を招来するおそれがある。また、補助配線20と画素電極配線14との間に光ラジカル発生剤が存在した場合には、画素電極配線14と補助配線20とのコンタクトが不充分とり、コンタクト抵抗を上昇させるおそれがある。
一方、本発明においては、必要な領域以外に存在する光ラジカル発生剤等は現像により除去されることから、画素電極14とその上に積層される有機層22等の導通は阻害されることはなく、良好な素子性能を発揮しうる。また、補助電極20と画素電極配線14とは、図2中のコンタクト部26が示すように直接接触することから、コンタクト抵抗も減少させることができ、かかる点からも、低駆動電圧、高効率、高寿命な有機EL表示装置を得ることが可能となる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
[実施例1]
<基材>
ガラス基板の上に膜厚約200nmのITOをCVD法で付けた基板を、アセトン、次いで、蒸留水で洗浄・乾燥させた後、UVオゾンクリーナーで10分間処理(基材活性化処理)した。
<光硬化性樹脂組成物層形成工程>
以下の組成の光硬化性樹脂組成物を作製し、上記基材上に、300rpmで5秒、その後750rpmで20秒の条件でスピンコートした。塗布後、80℃で5分間乾燥した。
これにより、膜厚2μmの光硬化性樹脂組成物層を得た。
(光硬化性樹脂組成物1)
(A)DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート) 5.0g
(B)アルカリ現像性バインダー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸) 5.0g(C)メチルエチルケトン 94.5g
(D)光ラジカル発生剤(前記例示化合物15、x=10、y=90) 2.0g
<光反応性樹脂組成物層形成工程>
〔重合性基を有する高分子化合物の塗布〕
前記のようにして形成された光硬化性樹脂組成物層表面に、重合性化合物として、アクリル基とカルボキシル基とを有する、側鎖に重合性基を持つ親水性ポリマー(P−1、下記合成例により得られたもの)を含む塗布液組成物1を、300rpmで5秒、その後、750rpmで20秒の条件でスピンコートした。塗布後、80℃で5分間乾燥した。
これにより、膜厚1.5μmの光反応性層を得た。
(塗布液組成物1)
・側鎖に重合性基を持つ親水性ポリマー(P−1) 3.1g
・水 24.6g
・1−メトキシ−2−プロパノール 12.3g
(側鎖に重合性基を有する親水性ポリマー(P−1)の合成)
ポリアクリル酸(平均分子量25、000)18gを、ジメチルアセトアミド(DMAC)300gに溶解し、そこに、ハイドロキノン0.41gと、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート19.4gと、ジブチルチンジラウレート0.25gと、を添加し、65℃、4時間反応させた。得られたポリマーの酸価は7.02meq/gであった。その後、1mol/l(1N)の水酸化ナトリウム水溶液でカルボキシル基を中和し、酢酸エチルを加えポリマーを沈殿させ、よく洗浄して、側鎖に重合性基を持つ親水性ポリマー18.4g(P−1)を得た。
<グラフトポリマーパターン形成工程>
このようにして得られた光反応性層上に、パターンマスク(NC−1、凸版印刷社製)を密着させ、1500W高圧水銀灯(UVX−02516S1LP01,ウシオ電気(株)製,254nmにおける光強度38mW/cm)を使用し、1分間全面に光照射した。
その後、1質量%炭酸ナトリウム水溶液に5分間浸漬した後、水洗し、ITO/ガラス基板にグラフトポリマーがパターン状に生成した材料を得た。
<導電性パターン形成工程>
(無電解めっき)
得られた基板を、硝酸銀(和光純薬製)1質量%の水溶液に1分浸漬した後、蒸留水で洗浄した。その後、下記組成の無電解めっき浴にて、40℃で50分間無電解めっきを行った。
(無電解めっき浴の組成)
・蒸留水 86mL
・ATSアドカッパーIW−A 5ml
・ATSアドカッパーIW−M 8ml
・ATSアドカッパーIW−C 1ml
・NaOH 0.22g
・2,2’−ビピリジル 0.2mg
無電解めっき浴のpH:12.67
(実施例2)
実施例1の光硬化性樹脂組成物1における光ラジカル発生剤を、前記例示化合物27(x=10、y=90)に代え、露光波長として254nmの代わりに365nmを使用した以外は、実施例1と同様にして導電性パターンを得た。
(実施例3)
実施例1の光硬化性樹脂組成物1の代わりに、以下の組成の光硬化性エポキシ樹脂組成物1を使用した以外は、実施例1と同様にして導電性パターンを得た。
(光硬化性エポキシ樹脂組成物1)
(A)エポキシ樹脂(日本化薬製、NC3000、エポキシ当量275) 4.0g
(B)アミノトリアジンノボラック樹脂 6.0g
(大日本インキ化学工業(株)製フェノライトLA7052、
不揮発分62質量%、不揮発分のフェノール性水酸基当量120)
(C)メチルエチルケトン 94.5g
(D)光カチオン重合発生剤(前記例示化合物:b−1) 2.0g
(実施例4)
実施例1の光硬化性樹脂組成物1の代わりに、以下の組成の光硬化性エポキシ樹脂組成物2を使用した以外は、実施例1と同様にして導電性パターンを得た。
(光硬化性エポキシ樹脂組成物2)
(A)エポキシ樹脂(日本化薬製、NC3000、エポキシ当量275) 4.0g
(B)アルカリ現像性バインダー 6.0g
(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸の共重合体、共重合比2:8、重量平均分子量25000)
(C)メチルエチルケトン 94.5g
(D)光カチオン重合発生剤(前記例示化合物:b−1) 2.0g
(実施例5)
実施例1の光硬化性樹脂組成物1の代わりに、以下の組成の光硬化性エポキシ樹脂組成物3を使用した以外は、実施例1と同様にして導電性パターンを得た。
(光硬化性エポキシ樹脂組成物3)
(A)エポキシ樹脂(日本化薬製、NC3000、エポキシ当量275) 4.0g
(B)アルカリ現像性バインダー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸)6.0g
(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸の共重合体、共重合比2:8、重量平均分子量25000)
(C)メチルエチルケトン 94.5g
(D)光カチオン重合発生剤(前記例示化合物:b−1) 2.0g
(E)光ラジカル発生剤(前記例示化合物15、x=10、y=90) 2.0g
(実施例6)
実施例1の光硬化性樹脂組成物1の代わりに、以下の組成の光硬化性エポキシ樹脂組成物4を使用し、露光波長として254nmの代わりに365nmを使用した以外は、実施例1と同様にして導電性パターンを得た。
(光硬化性エポキシ樹脂組成物4)
(A)エポキシ樹脂(日本化薬製、NC3000、エポキシ当量275) 4.0g
(B)アルカリ現像性バインダー 6.0g
(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸の共重合体、共重合比2:8、重量平均分子量25000)
(C)メチルエチルケトン 94.5g
(D)光カチオン重合発生剤(前記例示化合物:b−1) 2.0g
(E)増感剤:9,10−ジブトキシアントラセン 2.0g
(実施例7)
実施例6の光硬化性エポキシ樹脂組成物4の代わりに、以下の組成の光硬化性エポキシ樹脂組成物5を使用した以外は、実施例6と同様にして導電性パターンを得た。
(光硬化性エポキシ樹脂組成物5)
(A)エポキシ樹脂(日本化薬製、NC3000、エポキシ当量275) 4.0g
(B)アルカリ現像性バインダー 6.0g
(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸の共重合体、共重合比2:8、重量平均分子量25000)
(C)メチルエチルケトン 94.5g
(D)光カチオン重合発生剤(前記例示化合物:b−1) 2.0g
(E)増感剤:9,10−ジブトキシアントラセン 2.0g
(F)光ラジカル発生剤(前記例示化合物27、x=10、y=90) 2.0g
(実施例8)
実施例3において、ITO/ガラス基板の代わりに、膜厚約200nmのSiONを有するPEN基板(ポリエチレンナフタレート:帝人社製テオネックスQ65FA)を用いた以外は、実施例3と同様にして導電性パターンを得た。
(実施例9)
実施例4において、ITO/ガラス基板の代わりに、膜厚約200nmのSiONを有するPEN基板(ポリエチレンナフタレート:帝人社製テオネックスQ65FA)を用いた以外は、実施例4と同様にして導電性パターンを得た。
(実施例10)
実施例5において、ITO/ガラス基板の代わりに、膜厚約200nmのSiONを有するPEN基板(ポリエチレンナフタレート:帝人社製テオネックスQ65FA)を用いた以外は、実施例5と同様にして導電性パターンを得た。
(実施例11)
実施例6において、ITO/ガラス基板の代わりに、膜厚約200nmのSiONを有するPEN基板(ポリエチレンナフタレート:帝人社製テオネックスQ65FA)を用いた以外は、実施例6と同様にして導電性パターンを得た。
(実施例12)
実施例7において、ITO/ガラス基板の代わりに、膜厚約200nmのSiONを有するPEN基板(ポリエチレンナフタレート:帝人社製テオネックスQ65FA)を用いた以外は、実施例7と同様にして導電性パターンを得た。
<評価>
−表面粗さ−
実施例1〜実施例12に使用した基板の平均粗さ(Rz)を原子間力顕微鏡(AFM)で測定したところ、いずれも0.1μm以下であった。
−剥離強度−
このようにして得られた実施例1〜実施例12の導電性パターンについて剥離強度を測定した。
剥離強度は、JIS K 5400(1990年版)に準拠して、碁盤目テープ剥離試験を行い、評価した。その結果、いずれの導電性パターンも全く剥離することはなかった。
−膜厚−
実施例1〜実施例12の導電性パターンの膜厚については、原子間力顕微鏡(AFM)で測定した。
−表面抵抗値−
表面抵抗値は、JISK7194(1994年版)に準拠し、表面抵抗計(ロレスタ−EP、型番MCP−T360、三菱化学社(株)社製)を用いて四探針法により測定した。なお、測定した導電性パターンL/Sは10/10μm、20/20μm、30/30μmである。
これらの測定結果を表1に示す。
Figure 2008256754
表1に示す結果から明らかなように、実施例1〜実施例12の導電性パターン形成方法により、表面平滑性の高い基板上に、剥離強度及び導電性に優れた導電性パターンを形成できることが確認された。なお、膜厚、表面抵抗値ともに、導電性パターンのL/Sサイズに関わらず同一の値を示した。
[実施例13]
以下に示すように、実施例13の有機EL表示装置を作製した。なお、以下の説明における有機EL表示装置の各構成要素の符号は、図1又は図2に示される各符号にそれぞれ対応するものである。
<画素電極配線付き基板の作製>
膜厚約200nmのSiONを有するPEN基板(ポリエチレンナフタレート:帝人社製テオネックスQ65FA)上に、公知の技術を用いてITO(150nm)からなる画素電極配線の形成・パターニングを行った。具体的には、(1)スパッタITO成膜→(2)レジスト塗布→(3)マスク露光→(4)現像→(5)ウエットエッチング→(6)レジスト剥離、以上の6工程を行うことにより、所定の位置にITOからなる画素電極配線を形成してなる画素電極配線付き基板を作製した。
<補助配線の形成>
画素電極配線付き基板上に、基材活性化処理を行った後、実施例5の光硬化性樹脂組成物と光反応性組成物を用いて、本発明の導電性パターン形成方法の各工程を実施することにより、図2に示す如き断面を有する補助配線を形成した。具体的に、絶縁基板12上に画素配線電極14を形成し、この絶縁基板12に対して基材活性化処理を行った後、該画素配線電極14表面に、光硬化性エポキシ樹脂組成物3からなる光硬化性樹脂組成物層と、光反応性層と、を積層した。その後、所望のパターン露光を行い、樹脂層16と無電解めっき触媒等との相互作用性基を有するグラフトポリマー層18を形成し、そこに無電解めっき及び電解めっきを行うことにより、補助配線20を形成した。
なお、図2において、形成された補助配線20の側端部と画素配線電極14とが接する領域が両者のコンタクト部26となる。
<有機EL素子の作製>
図2に示すように、補助配線20を形成した画素電極配線14付き基板12上の画素領域部に、2TNATA(膜厚140nm)からなる正孔注入層、NPD(膜厚10nm)からなる正孔輸送層、t(na)py 1質量%をドープしたAlq(膜厚30nm)からなる発光層、Alq(膜厚20nm)からなる電子輸送層を、順次シャドウマスクを用いて真空蒸着して有機層22を形成した。更に、有機層22上に、LiF(膜厚0.5nm)からなる電子注入層(不図示)、及びAl(膜厚200nm)からなる陰極24をシャドウマスクにて真空蒸着により形成した。
図2において、画素配線電極14表面に有機層22及び陰極24が積層されてなる領域が有機EL素子における画素領域となる。
<封止>
最後に、有機層成膜エリアの全体を覆うように封止用フイルムをラミネートすることにより、有機EL素子の封止を行った。
以上により、図1に示すような構成を有する有機EL表示装置10を作製した。
この有機EL表示装置は、良好な緑発光の表示特性を示した。また、有機EL表示装置の駆動電圧は、14Vであった。
本発明の有機EL表示装置の一態様を示す概略構成図である。 図1中のA−A線に沿った断面図である。
符号の説明
10 有機EL表示装置
12 絶縁基板
14 画素電極配線
16 樹脂層
18 グラフトポリマー層
20 補助配線
22 有機層
24 陰極

Claims (16)

  1. (a)基材上に光硬化性樹脂組成物層を形成する工程、
    (b)該光硬化性樹脂組成物層上に、重合性の二重結合を有する化合物を含有する光反応性層を形成する工程、及び、
    (c)該光反応性層をパターン状に露光して、露光した領域にグラフトポリマーを生成させて、グラフトポリマーパターンを形成する工程を有することを特徴とするグラフトポリマーパターン形成方法。
  2. 前記(a)基材上に光硬化性樹脂組成物層を形成する工程の前に、基材表面を活性化する処理を行うことを特徴とする請求項1に記載のグラフトポリマーパターン形成方法。
  3. 前記光硬化性樹脂組成物層の厚みが、0.05μm〜5μmであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のグラフトポリマーパターン形成方法。
  4. 前記光硬化性樹脂組成物層がエポキシ樹脂組成物を用いて形成されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のグラフトポリマーパターン形成方法。
  5. 前記エポキシ樹脂組成物が、下記一般式(b1)、(b2)、又は(b3)で表される光カチオン重合開始剤を含有することを特徴とする請求項4に記載のグラフトポリマーパターン形成方法。
    Figure 2008256754
    (一般式(b1)、(b2)、及び(b3)中、R201、R202及びR203は、各々独立に有機基を表し、R204〜R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。また、Xは、非求核性アニオンを表す。)
  6. 前記エポキシ樹脂組成物が光カチオン重合開始剤を含有し、該光カチオン重合開始剤の含有量が0.5質量%以上10質量%である請求項4に記載のグラフトポリマーパターン形成方法。
  7. 前記エポキシ樹脂組成物が光ラジカル発生剤を含有することを特徴とする請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載のグラフトポリマーパターン形成方法。
  8. 前記光ラジカル発生剤が、高分子型の光ラジカル発生剤であることを特徴とする請求項7に記載のグラフトポリマーパターン形成方法。
  9. 前記光反応性層の厚みが0.1μm〜1.5μmであることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のグラフトポリマーパターン形成方法。
  10. (a)基材上に光硬化性樹脂組成物層を形成する工程、
    (b’)該光硬化性樹脂組成物層上に、重合性の二重結合を有する化合物と無電解めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有する化合物、或いは、重合性の二重結合と無電解めっき触媒又はその前駆体と相互作用する官能基とを分子内に有する化合物を含有する光反応性層を形成する工程、
    (c)該光反応性層をパターン状に露光して、露光した領域にグラフトポリマーを生成させて、グラフトポリマーパターンを形成する工程、
    (d)該グラフトポリマーパターンが形成された領域に無電解めっき触媒又はその前駆体を付与する工程、及び、
    (e)無電解めっきを行い、グラフトポリマーパターンが形成された領域に導電性パターンを形成する工程、
    を有することを特徴とする導電性パターン形成方法。
  11. 前記(a)基材上に光硬化性樹脂組成物層を形成する工程の前に、基材表面を活性化する処理を行うことを特徴とする請求項10に記載の導電性パターン形成方法。
  12. 前記光硬化性樹脂組成物層がエポキシ樹脂組成物を用いて形成されることを特徴とする請求項10又は請求項11に記載に記載の導電性パターン形成方法。
  13. 前記エポキシ樹脂組成物が光ラジカル発生剤を含有することを特徴とする請求項12に記載の導電性パターン形成方法。
  14. 前記光ラジカル発生剤が、高分子型の光ラジカル発生剤であることを特徴とする請求項13に記載の導電性パターン形成方法。
  15. 請求項10〜請求項14のいずれか1項に記載の導電性パターン形成方法により形成した導線を備えることを特徴とする有機EL表示装置。
  16. 絶縁基板と、該絶縁基板上に設けられた画素電極配線と、該画素電極配線上に順次積層された有機層及び陰極層と、を少なくとも備えてなり、該画素電極配線に接続する補助配線が請求項10〜請求項14のいずれか1項に記載の導電性パターン形成方法により形成された補助配線であることを特徴とする有機EL表示装置。
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