JP2003345038A - 導電性パターン - Google Patents

導電性パターン

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JP2003345038A
JP2003345038A JP2002152426A JP2002152426A JP2003345038A JP 2003345038 A JP2003345038 A JP 2003345038A JP 2002152426 A JP2002152426 A JP 2002152426A JP 2002152426 A JP2002152426 A JP 2002152426A JP 2003345038 A JP2003345038 A JP 2003345038A
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Japan
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hydrophilic
group
conductive
compound
graft
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Application number
JP2002152426A
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English (en)
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Koichi Kawamura
浩一 川村
Takeyoshi Kano
丈嘉 加納
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造適性に優れ、且つ、耐久性と導電安定性
とに優れた導電性パターンを提供する。 【解決手段】 親水性グラフト鎖が存在する表面を有す
る支持体上に、光活性基を有する疎水性化合物を含有す
る組成物を接触させ、画像様にエネルギーを付与して、
該疎水性化合物を固定化して親/疎水性領域を形成し、
該親水性領域に導電性材料を吸着させてなることを特徴
とする。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は導電性パターンに関
し、特に、単一の回路形成からなる配線基板、或いは、
広い面積の導電性領域を要する配線基板として好適に用
いられる導電性パターンに関する。 【0002】 【従来の技術】従来、種々の導電性パターンが配線基板
として使用されている。これらの導電性パターンの形成
方法として代表的なものは、絶縁体上に真空蒸着などの
公知の方法により形成された薄膜の導電性材料を設け、
それをレジスト処理し、パターン露光により予め作成し
たレジストの一部を除去し、その後、エッチング処理を
行なって所望のパターンを形成するものであり、少なく
とも4つの工程を必要とし、ウエットエッチング処理を
行う場合には、その廃液の処理工程も必要となるため、
複雑な工程をとらざるをえなかった。また、他のパター
ン形成方法としては、フォトレジストを用いた導電性パ
ターン形成方法なども知られている。この方法は、フォ
トレジストポリマーを塗布したり、ドライフィルム上の
フォトレジストを貼付した基材を、任意のフォトマスク
を介してUV露光し、格子状などのパターンを形成する
方法であり、高い導電性を必要とする電磁波シールドの
形成に有用である。近年、マイクロマシンの開発の進行
や超LSIの一層の小型化に伴い、これらの配線構造も
ナノ単位の微細なものを要求されるようになってきてお
り、従来の金属エッチングでは微細化に限界があり、ま
た、細線部の加工中の断線なども懸念される。このた
め、配向が制御された緻密なパターンを形成する方法が
望まれていた。 【0003】一方、近年、ディジタル化されたデーター
からマスクなどを介さずに直接、パターン形成する方法
が注目され、種々提案されてきている。このようなデジ
タル化されたパターン形成方法を利用すれば、微細なパ
ターンが任意に形成されることが期待される。このよう
な方法のひとつとして、自己組織化単分子膜を用いる方
法が挙げられる。これは、界面活性分子を含む有機溶剤
に基板を浸漬したときに自発的に形成される分子集合体
を利用するもので、例えば、有機シラン化合物とSiO
2、Al23、基板との組合せや、アルコールやアミン
と白金基板との組合せが挙げられ、光リソグラフィー法
などによるパターン形成が可能である。このような単分
子膜は微細パターンの形成を可能とするが、限られた基
板と材料との組み合わせを用いる必要があるために、実
際の応用への展開が困難であり、実用に適する微細配線
のパターン形成技術は未だ確立されていないのが現状で
ある。 【0004】さらに、軽量、フレキシブル、環境対応と
いう観点から導電性ポリマーのパターンを使用した有機
トランジスターなどの研究がされてきているが、このよ
うな有機材料を用いた支持体の特徴は、軽く、薄く、柔
軟性があり、大きな面積の素子を容易に(室温での印刷
と同様の技術などで)作成できるところにある。これら
の特徴を、新しく開発されつつある有機半導体の、電気
特性および光特性と組み合わせることにより、現在の情
報技術において、もっとも必要とされている、情報パー
ソナル化のための技術、たとえば、簡単な情報処理機能
と人に優しい入出力機能とを持つウェアラブル携帯端末
などを作る技術に、新しい展開を生み出す事が期待でき
る。しかし、いずれも耐久性、大面積化、導電安定性、
製造適正のなどの実用な観点からは十分なものではなか
った。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術の欠点
を考慮してなされた本発明の目的は、製造適性に優れ、
且つ、耐久性と導電安定性とに優れた導電性パターンを
提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者等は鋭意検討の
結果、光活性基を有する疎水性化合物が、露光、加熱等
のエネルギー付与により、親水性グラフト鎖が存在する
支持体上に固定化されることに着目し、その特性の利用
により上記目的が達成されることを見いだし、本発明を
完成するに至った。即ち、本発明の導電性パターンは、
親水性グラフト鎖が存在する表面を有する支持体上に、
光活性基を有する疎水性化合物を含有する組成物を接触
させ、画像様にエネルギーを付与して、該疎水性化合物
を固定化して親/疎水性領域を形成し、該親水性領域に
導電性材料を吸着させてなることを特徴とする。 【0007】本発明の導電性パターンは、親水性グラフ
ト鎖が存在する表面上に、光活性基を有する疎水性化合
物を含有する組成物を接触させてなるものであり、該疎
水性化合物含有組成物を塗布法により基板上に接触させ
て疎水性化合物含有層を形成することができるため、製
造が容易である。この導電性パターン形成材料にエネル
ギーを付与することで、疎水性化合物中の光活性基が分
解されてラジカルを発生し、表面に存在する親水性グラ
フト高分子中の活性点と直接結合し、親水性表面と疎水
性化合物とが強固に固定される。さらに、疎水性化合物
中の光活性基同士も架橋反応を起こして硬膜するため、
膜強度が向上し、耐久性に優れた疎水性領域が形成され
る。 【0008】一方、エネルギーを付与されない未露光領
域は、水で洗浄することで未反応の疎水性化合物が容易
に除去され、親水性表面が露出して親水性領域となる。
この親水性表面には、運動性の高い親水性グラフト鎖が
存在しており、優れた親水性が発現される。また、該親
水性グラフト鎖が支持体基板と強固に結合しているた
め、耐久性に優れるものと考えられる。 【0009】ここで、本発明に用いられる導電性材料は
選択的に親水性領域に吸着する性質を有しているため、
親水性領域には導電性材料が吸着して導電性領域とな
り、疎水性領域には導電性材料が吸着されず非導電性領
域となり、導電性パターン(回路)が形成される。本発
明に用いられる導電性材料は、上記親水性グラフト鎖が
有する官能基とイオン的に強固に吸着し、単分子膜或い
はポリマー層を形成するため、導電性領域が形成された
部分が耐久性及び導電安定性に優れるものと考えられ
る。 【0010】 【発明の実施の形態】本発明の導電性パターンは、親水
性グラフト鎖が存在する表面上に、光活性基を有する疎
水性化合物を含有する組成物を接触させ、画像様にエネ
ルギーを付与することで親/疎水性領域を形成し、該親
水性領域に導電性材料を吸着させてなることを特徴とす
る。まず、本発明の導電性パターンに用いられる親水性
グラフト鎖が存在する表面の構成について説明する。 【0011】〔親水性グラフト鎖が存在する表面〕本発
明における親水性グラフト鎖が存在する表面とは、親水
性グラフト鎖が直接支持体の表面に結合しているもので
もよく、また、支持体表面に親水性グラフト鎖が結合し
やすい中間層を設けてその上に親水性化合物がグラフト
されているものでもよい。さらに、本発明における親水
性表面には、親水性グラフト鎖が幹高分子化合物に結合
したポリマー、若しくは、親水性グラフト鎖が幹高分子
化合物に結合し、かつ、架橋しうる官能基が導入された
ポリマーを用いて、塗布或いは塗布架橋により支持体表
面上に配置されたものや、末端に架橋性基を有する親水
性グラフト鎖と架橋剤とを含む組成物を用いて、塗布或
いは塗布架橋により支持体表面上に配置されたものも包
含される。 【0012】本発明における親水性化合物の特徴は、親
水性グラフト鎖の末端または側鎖が支持体表面若しくは
支持体表面層に直接化学的に結合し、親水性を示すグラ
フト部分が実質的に架橋されていない構造を有すること
にある。この構造により親水性を発現するグラフト部分
の運動性が制限されたり、強固な架橋構造内に埋没され
ることがなく、高い運動性を保持できる特徴を有する。
このため、通常の架橋構造を有する親水性ポリマーに比
較して、優れた親水性が発現されるものと考えられる。
このような親水性グラフト鎖の分子量は、Mw500〜
500万の範囲であり、好ましい分子量はMw1000
〜100万の範囲であり、さらに好ましくはMw200
0〜50万の範囲である。 【0013】本発明においては、(a)親水性グラフト
鎖が直接支持体表面若しくは支持体表面上に設けた中間
層の上に結合しているものを「表面グラフト」と称し、
(b)親水性グラフト鎖がポリマー架橋膜構造の中に導
入されているものを用いる場合は「親水性グラフト鎖導
入架橋親水層」と称する。また、本発明では支持体若し
くは支持体上に中間層を設けた材料を「基材」と称す
る。 【0014】(a)表面グラフトの作製方法 基材上にグラフト鎖からなる親水性基を有する表面を作
製する方法としては、基材とグラフト鎖とを化学結合に
て付着させる方法と、基材を基点として重合可能な2重
結合を有する化合物を重合させグラフト鎖とする2つの
方法がある。 【0015】まず、基材とグラフト鎖とを化学結合にて
付着させる方法について説明する。この方法において
は、グラフト鎖の末端または側鎖に基材と反応する官能
基を有する化合物を使用し、この官能基と、基材表面の
官能基とを化学反応させることでグラフトさせることが
できる。基材と反応する官能基としては、基材表面の官
能基と反応し得るものであれば特に限定はないが、例え
ば、アルコキシシランのようなシランカップリング基、
イソシアネート基、アミノ基、水酸基、カルボキシル
基、スルホン酸基、リン酸基、エポキシ基、アリル基、
メタクリロイル基、アクリロイル基等を挙げることがで
きる。グラフト鎖の末端または側鎖に反応性官能基を有
するポリマーとして特に有用な化合物は、トリアルコキ
シシリル基をグラフト鎖の末端又は側鎖に有する親水性
化合物、アミノ基をグラフト鎖の末端又は側鎖に有する
親水性化合物、カルボキシル基をグラフト鎖の末端又は
側鎖に有する親水性化合物、エポキシ基をグラフト鎖の
末端又は側鎖に有する親水性化合物、イソシアネート基
をグラフト鎖の末端又は側鎖に有する親水性化合物であ
る。また、この時に使用される親水性化合物としては、
親水性であれば特に限定はないが、具体的には、ポリア
クリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレンスルホン
酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンス
ルホン酸及びそれらの塩、ポリアクリルアミド、ポリビ
ニルアセトアミドなどを挙げることができる。その他、
以下の表面グラフト重合で使用される親水性モノマーの
重合体、若しくは親水性モノマーを含む共重合体を有利
に使用することができる。 【0016】基材を基点として重合可能な2重結合を有
する化合物を重合させ、グラフト鎖を形成させる方法
は、一般的には表面グラフト重合と呼ばれる。表面グラ
フト重合法とは、プラズマ照射、光照射、加熱などの方
法で基材表面上に活性種を与え、基材と接するように配
置された重合可能な2重結合を有する化合物を重合によ
って基材と結合させる方法を指す。 【0017】本発明を実施するための表面グラフト重合
法としては、文献記載の公知の方法をいずれも使用する
ことができる。例えば、新高分子実験学10、高分子学
会編、1994年、共立出版(株)発行、P135に
は、表面グラフト重合法として光グラフト重合法、プラ
ズマ照射グラフト重合法が記載されている。また、吸着
技術便覧、NTS(株)、竹内監修、1999.2発
行、p203、p695には、γ線、電子線等の放射線
照射グラフト重合法が記載されている。光グラフト重合
法の具体的方法としては、特開昭63−92658号公
報、特開平10−296895号公報及び特開平11−
119413号公報に記載の方法を使用することができ
る。プラズマ照射グラフト重合法、放射線照射グラフト
重合法においては、上記記載の文献、及びY.Ikad
a et al,Macromolecules vo
l.19、page 1804(1986)などに記載
の方法を適用することができる。具体的には、PETな
どの高分子表面を、プラズマ、若しくは、電子線にて処
理して表面にラジカルを発生させ、その後、その活性表
面と親水性官能基を有するモノマーとを反応させること
によりグラフト表面、即ち、親水性基を有する表面を得
ることができる。光グラフト重合は、上記記載の文献の
ほかに、特開昭53−17407号公報(関西ペイン
ト)や、特開2000−212313号公報(大日本イ
ンキ)に記載されるように、フィルム基材の表面に光重
合性組成物を塗布し、その後、水性ラジカル重合化合物
とを接触させて光を照射することによっても実施するこ
とができる。 【0018】親水性グラフト表面を形成するのに有用な
化合物は、重合可能な2重結合を有しており、かつ、親
水性の性質を兼ね備えていることが必要である。これら
の化合物としては、分子内に2重結合を有していれば、
親水性ポリマーでも、親水性オリゴマーでも、親水性モ
ノマーでも、これらいずれの化合物をも用いることがで
きる。特に有用な化合物は親水性モノマーである。本発
明で有用な親水性モノマーとは、アンモニウム、ホスホ
ニウムなどの正の荷電を有するモノマー、若しくは、ス
ルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、ホスホン酸基
などの負の荷電を有するか負の荷電に解離し得る酸性基
を有するモノマーが挙げられるが、その他にも、例え
ば、水酸基、アミド基、スルホンアミド基、アルコキシ
基、シアノ基、などの非イオン性の基を有する親水性モ
ノマーを用いることもできる。 【0019】本発明において、特に有用な親水性モノマ
ーの具体例としては、次のモノマーを挙げることができ
る。例えば、(メタ)アクリル酸若しくはそのアルカリ
金属塩及びアミン塩、イタコン酸若しくはそのアルカリ
金属塩及びアミン酸塩、アリルアミン若しくはそのハロ
ゲン化水素酸塩、3−ビニルプロピオン酸若しくはその
アルカリ金属塩及びアミン塩、ビニルスルホン酸若しく
はそのアルカリ金属塩及びアミン塩、スチレンスルホン
酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−スル
ホエチレン(メタ)アクリレート、3−スルホプロピレ
ン(メタ)アクリレート若しくはそのアルカリ金属塩及
びアミン塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパン
スルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、
アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモ
ノ(メタ)アクリレート若しくはそれらの塩、2−ジメ
チルアミノエチル(メタ)アクリレート若しくはそのハ
ロゲン化水素酸塩、3−トリメチルアンモニウムプロピ
ル(メタ)アクリレート、3−トリメチルアンモニウム
プロピル(メタ)アクリルアミド、N,N,N−トリメ
チル−N−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキ
シプロピル)アンモニウムクロライド、などを使用する
ことができる。また、2−ヒドロキシエチル(メタ)ア
クリレート、(メタ)アクリルアミド、N−モノメチロ
ール(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロール(メ
タ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニ
ルアセトアミド、ポリオキシエチレングリコールモノ
(メタ)アクリレートなども有用である。 【0020】(b)親水性グラフト鎖導入架橋親水層の
作製方法 本発明における親水性グラフト鎖が導入された架橋親水
層は、一般的にグラフト重合体の合成法として公知の方
法を用いてグラフト鎖を作製し、それを架橋することで
作製することができる。具体的には、グラフト重合体の
合成は“グラフト重合とその応用”井手文雄著、昭和5
2年発行、高分子刊行会、及び“新高分子実験学2、高
分子の合成・反応”高分子学会編、共立出版(株)(1
995)に記載されている。 【0021】グラフト重合体の合成は、基本的に、1.
幹高分子から枝モノマーを重合させる、2.幹高分子に
枝高分子を結合させる、3.幹高分子に枝高分子を共重
合させる(マクロマー法)、の3つの方法に分けられ
る。これらの3つの方法のうち、いずれを使用しても本
発明における親水性表面を作製することができるが、特
に、製造適性、膜構造の制御という観点からは「3.マ
クロマー法」が優れている。マクロマーを使用したグラ
フト鎖の合成は前記の“新高分子実験学2、高分子の合
成・反応”高分子学会編、共立出版(株)1995に記
載されている。また山下雄他著“マクロモノマーの化学
と工業”アイピーシー、1989にも詳しく記載されて
いる。具体的には、アクリル酸、アクリルアミド、2−
アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、N−
ビニルアセトアミドなど、上記の有機架橋親水層として
具体的に記載した親水性モノマーを使用して文献記載の
方法に従い親水性マクロマーを合成することができる。 【0022】本発明で使用される親水性マクロマーのう
ち特に有用なものは、アクリル酸、メタクリル酸等のカ
ルボキシル基含有のモノマーから誘導されるマクロマ
ー、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン
酸、スチレンスルホン酸、及びその塩のモノマーから誘
導されるスルホン酸系マクロマー、アクリルアミド、メ
タクリルアミド等のアミド系マクロマー、N−ビニルア
セトアミド、N−ビニルホルムアミド等のN−ビニルカ
ルボン酸アミドモノマーから誘導されるアミド系マクロ
マー、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエ
チルアクリレート、グリセロールモノメタクリレート等
の水酸基含有モノマーから誘導されるマクロマー、メト
キシエチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコ
ールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレー
ト等のアルコキシ基若しくはエチレンオキシド基含有モ
ノマーから誘導されるマクロマーである。また、ポリエ
チレングリコール鎖若しくはポリプロピレングリコール
鎖を有するモノマーも本発明におけるマクロマーとして
有用に使用することができる。これらのマクロマーのう
ち有用な分子量は、400〜10万の範囲、好ましい範
囲は1000〜5万、特に好ましい範囲は1500〜2
万の範囲である。分子量が400以下では効果を発揮で
きず、また10万以上では主鎖を形成する共重合モノマ
ーとの重合性が悪くなる。 【0023】これらの親水性マクロマーを合成後、親水
性グラフト鎖が導入された架橋親水層を作製する一つの
方法は、上記の親水性マクロマーと反応性官能基を有す
る他のモノマーと共重合させ、グラフト共重合ポリマー
を合成しその後、合成したグラフト共重合体と、共重合
体の反応性官能基と反応する架橋剤とを支持体上に塗布
し、熱により反応させて架橋させ作製する方法である。
また、他の方法としては、親水性マクロマーと光架橋性
基、若しくは重合性基を有するグラフトポリマーを合成
し、それを支持体上に塗布して光照射により反応させて
架橋させ作製する方法が挙げられる。 【0024】このようにして、基材上に親水性グラフト
鎖が存在する親水性表面を設けることができる。親水性
表面を形成する層の膜厚は目的により選択できるが、一
般的には0.001μm〜10μmの範囲が好ましく、
0.01μm〜5μmの範囲がさらに好ましく、0.1
μm〜2μmの範囲が最も好ましい。基材表面の親水性
が高い場合にはグラフト鎖は基材表面を完全に覆ってい
る必要はない。公知の親水性基材表面にグラフト鎖を導
入する場合、グラフト鎖が基材の全表面積に対して0.
1%以上導入されれば、有効な親水性向上効果が発現す
る。さらに好ましくは、グラフト鎖は基材の全表面積に
対して1%以上であり、10%以上であることがより好
ましい。 【0025】〔エネルギー付与による表面グラフト重合
法〕次に、本発明における親水性表面を形成する際に用
いることができる、エネルギー付与による表面グラフト
重合法について詳細に述べる。なお、エネルギー付与に
よる表面グラフト重合法とは、上記親水性表面形成方法
の(a)に係る「表面グラフト」の好適な一例である。
エネルギー付与による表面グラフト重合法とは、基材を
構成するPETなどの支持体表面を直接、プラズマ、も
しくは電子線にて処理し、表面にラジカルを発生させて
重合開始能を発現させ、その後、その活性表面と親水性
官能基を有するモノマーとを反応させることにより、本
発明におけるグラフト鎖が存在する表面、即ち、親水性
基を有する表面を得ることができる。エネルギー付与に
よる表面グラフト重合法の好ましい態様では、支持体に
予め重合開始能を有する化合物を添加することで、この
ような活性点の形成を低エネルギーで容易に行うことが
でき、且つ、生成する活性点も多いため、簡易な方法に
より、より高い親水性を有する表面を形成することがで
きる。 【0026】光照射などによりグラフト重合を生じさせ
る方法自体は、公知の方法を適用することができる。光
グラフト重合法の具体的方法としては特開昭63−92
658号公報、特開平10−296895号公報および
特開平11−119413号公報に記載の方法を使用す
ることができる。具体的には、支持体上に重合開始剤と
重合性化合物からなる重合性組成物をあらかじめ下塗り
しておき、その上に重合性基を有する親水性化合物を接
触させ光照射する方法である。表面グラフトを作成する
方法のなかでも、エネルギー付与を光照射により行う光
グラフト重合法をとることが好ましい。 【0027】(重合性基を有する親水性化合物)エネル
ギー付与による表面グラフト重合法に用いられる重合性
基を有する親水性化合物とは、後述の親水性モノマー、
又は該親水性モノマーから選ばれる少なくとも一種を用
いて得られる親水性ホモポリマー、コポリマーに、重合
性基として、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基
などのエチレン付加重合性不飽和基を導入したラジカル
重合性基含有親水性化合物を指し、この化合物は、少な
くとも末端又は側鎖に重合性基を有するものであり、特
に末端に重合性基を有するものが好ましく、さらに、末
端及び側鎖に重合性基を有するものが好ましい。 【0028】このようなエチレン付加重合性不飽和基を
導入したラジカル重合性基含有親水性化合物は以下のよ
うに合成できる。合成方法としては、親水性モノマーと
エチレン付加重合性不飽和基を有するモノマーを共重合
する方法、親水性モノマーと二重結合前駆体を有するモ
ノマーを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結
合を導入する方法、親水性化合物の官能基とエチレン付
加重合性不飽和基を有するモノマーとを反応させる方法
が挙げられる。特に好ましいのは、合成適性の観点か
ら、親水性化合物の官能基とエチレン付加重合性不飽和
基を有するモノマーとを反応させる方法である。 【0029】上記ラジカル重合性基を主鎖末端及び/又
は側鎖に有する親水性化合物の合成に用いられる親水性
モノマーとしては、(メタ)アクリル酸もしくはそのア
ルカリ金属塩およびアミン塩、イタコン酸もしくはその
アルカリ金属塩およびアミン塩、2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−
モノメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロ
ール(メタ)アクリルアミド、アリルアミンもしくはそ
のハロゲン化水素酸塩、3−ビニルプロピオン酸もしく
はそのアルカリ金属塩およびアミン塩、ビニルスルホン
酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、2−ス
ルホエチル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン
グリコールモノ(メタ)アクリレート、2−アクリルア
ミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アシッドホスホ
オキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アク
リレートなどのカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸
基、アミノ基もしくはそれらの塩、水酸基、アミド基お
よびエーテル基などの親水性基を有するモノマーが挙げ
られる。 【0030】親水性モノマ−と共重合するアリル基含有
モノマーとしては、アリル(メタ)アクリレート、2−
アリルオキシエチルメタクリレートが挙げられる。ま
た、二重結合前駆体を有するモノマーとしては2−(3
−クロロ−1−オキソプロポキシ)エチルメタクリレー
卜が挙げられる。親水性モノマー中のカルボキシル基、
アミノ基もしくはそれらの塩、水酸基およびエポキシ基
などの官能基との反応を利用して不飽和基を導入するた
めに用いられる付加重合性不飽和基を有するモノマーと
しては、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アク
リレート、アリルグリシジルエーテル、2−イソシアナ
トエチル(メタ)アクリレートなどがある。 【0031】末端及び/又は側鎖に重合性基を持つ親水
性化合物の好ましい例として、親水性マクロモノマーが
挙げられる。エネルギー付与による表面グラフト重合法
に用いられるマクロモノマーの製造方法は、例えば平成
1年9月20日にアイピーシー出版局発行の「マクロモ
ノマーの化学と工業」(編集者 山下雄也)の第2章
「マクロモノマーの合成」に各種の製法が提案されてい
る。本方法で用いられる親水性のマクロモノマーで特に
有用なものとしては、アクリル酸、メタクリル酸などの
カルボキシル基含有のモノマーから誘導されるマクロモ
ノマー、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスル
ホン酸、ビニルスチレンスルホン酸、およびその塩のモ
ノマーから誘導されるスルホン酸系マクロモノマー、
(メタ)アクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、N
−ビニルホルムアミド、N−ビニルカルボン酸アミドモ
ノマーから誘導されるアミド系マクロモノマー、ヒドロ
キシエチルメタクリレー卜、ヒドロキシエチルアクリレ
ート、グリセロールモノメタクリレートなどの水酸基含
有モノマーから誘導されるマクロモノマー、メトキシエ
チルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールア
クリレート、ポリエチレングリコールアクリレートなど
のアルコキシ基もしくはエチレンオキシド基含有モノマ
ーから誘導されるマクロモノマーである。またポリエチ
レングリコール鎖もしくはポリプロピレングリコール鎖
を有するモノマーも本方法に用いられるマクロモノマー
として有用に使用することができる。これらのマクロモ
ノマーのうち有用な分子量は250〜10万の範囲で、
特に好ましい範囲は400〜3万である。 【0032】(上記親水性マクロモノマーとの併用に有
用な親水性モノマー)また、上記重合性基を有する親水
性マクロモノマーに、さらに、親水性モノマーを添加し
ても良い。親水性モノマーを添加することにより重合率
を上げることができる。親水性モノマーの添加量は、全
ての重合性基を有する親水性化合物中、固形分で0〜6
0質量%が好ましい。60質量%以上では塗布性が悪く
均一に塗布できないので不適である。末端及び/又は側
鎖に重合性基を有する親水性化合物と併用するのに有用
な、親水性モノマーとしては、アンモニウム、ホスホニ
ウムなどの正の荷電を有するモノマー、もしくは、スル
ホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、ホスホン酸基な
どの負の荷電を有するか負の荷電に解離しうる酸性基を
有するモノマーが挙げられるが、その他にも、例えば、
水酸基、アミド基、スルホンアミド基、アルコキシ基、
シアノ基などの非イオン性の基を有する親水性モノマー
を用いることもできる。エネルギー付与による表面グラ
フト重合法において、親水性マクロモノマーとの併用
に、特に有用な親水性モノマーの具体例としては、前記
親水性グラフト表面を形成するのに好適なものとして挙
げたモノマーを同様に挙げることが出来る。 【0033】このような親水性化合物を含有する組成物
に使用する溶剤は、主成分である前記親水性マクロモノ
マーや親水性モノマーなどが溶解可能ならば特に制限は
ないが、水、水溶性溶剤などの水性溶剤が好ましく、こ
れらの混合物や、溶剤にさらに界面活性剤を添加したも
のなどが好ましい。水溶性溶剤は、水と任意の割合で混
和しうる溶剤を言い、そのような水溶性溶剤としては、
例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチ
レングリコール、グリセリンの如きアルコール系溶剤、
酢酸の如き酸、アセトンの如きケトン系溶剤、ホルムア
ミドの如きアミド系溶剤、などが挙げられる。 【0034】必要に応じて溶剤に添加することのできる
界面活性剤は、溶剤に溶解するものであればよく、その
ような界面活性剤としては、例えば、n−ドデシルベン
ゼンスルホン酸ナトリウムの如きアニオン性界面活性剤
や、n−ドデシルトリメチルアンモニウムクロライドの
如きカチオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンノニル
フェノールエーテル(市販品としては、例えば、エマル
ゲン910、花王(株)製など)、ポリオキシエチレン
ソルビタンモノラウレート(市販品としては、例えば、
商品名「ツイーン20」など)、ポリオキシエチレンラ
ウリルエーテルの如き非イオン性界面活性剤等が挙げら
れる。組成物を液状のまま接触させる場合には、任意に
行うことができるが、塗布法により親水性化合物組成物
塗布層を形成する場合の塗布量は固形分換算で0.1〜
10g/m2が好ましく、特に1〜5g/m2が好まし
い。0.1g/m2未満では十分な表面親水性を得るこ
とができず、また10g/m2を超えると均一な塗布膜
が得にくいため、いずれも好ましくない。 【0035】〔支持体〕エネルギー付与による表面グラ
フト重合法において用いられる支持体とは、前述の重合
性基を有する親水性化合物の末端又は側鎖が直接または
幹高分子化合物を介して化学的に結合できるような支持
体表面を有するものである。支持体自体がこのような特
性を有していてもよく、このような特性を有する中間層
を支持体(基板)上に設けてもよい。 【0036】(支持体基板)エネルギー付与による表面
グラフト重合法に使用される支持体基板としては、プラ
スチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸
セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロー
ス、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ
プロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール
等)を用いることにより、後述の中間層が支持体を兼ね
ることもできるが、所望の他の支持体上に中間層を形成
することもできる。本発明に適用可能な支持体(基板)
としては、寸度的に安定な板状物であることが好まし
く、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートさ
れた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅
等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された
紙若しくはプラスチックフィルム等が含まれる。本発明
に使用される支持体としては、ポリエステルフィルム又
はアルミニウム板が好ましく、その中でも、前記疎水性
ポリマー含有層を兼ねることができるポリエステルフィ
ルムや、寸度安定性が良好なアルミニウム板が好適に用
いられる。なお、本発明に用いられる支持体としては、
前記エネルギー付与による表面グラフト重合法に使用さ
れる支持体基板として挙げたものを、他の親水性表面の
態様においても同様に使用することができる。 【0037】(重合開始能を発現する層)なお、エネル
ギー付与による表面グラフト重合法においては、上記支
持体表面に、エネルギーを付与することにより重合開始
能を発現する化合物として、重合性化合物と重合開始剤
を添加することが好ましい。重合開始能を発現する層
(以下、適宜、中間層と称する)は、必要な成分を、そ
れらを溶解可能な溶媒に溶解し、塗布などの方法で支持
体表面上に設け、加熱または光照射により硬膜し、形成
することができる。 【0038】(i)重合性化合物 中間層に用いられる重合性化合物は、支持体との密着性
が良好であり、且つ、活性光線照射などのエネルギー付
与により上層に含まれる、末端及び/又は側鎖に重合性
基を有する親水性化合物が付加し得るものであれば特に
制限はないが、なかでも、分子内に重合性基を有する疎
水性ポリマーが好ましい。このような疎水性ポリマーと
しては、具体的には、ポリブタジエン、ポリイソプレ
ン、ポリぺンタジエンなどのジエン系単独重合体、アリ
ル(メタ)アクリレー卜、2−アリルオキシエチルメタ
クリレー卜などのアリル基含有モノマーの単独重合体;
さらには、前記のポリブタジエン、ポリイソプレン、ポ
リペンタジエンなどのジエン系単量体またはアリル基含
有モノマーを構成単位として含む、スチレン、(メタ)
アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリルなどと
の二元または多元共重合体;不飽和ポリエステル、不飽
和ポリエポキシド、不飽和ポリアミド、不飽和ポリアク
リル、高密度ポリエチレンなどの分子中に炭素−炭素二
重結合を有する線状高分子または3次元高分子類;など
が挙げられる。なお、本明細書では、「アクリル、メタ
クリル」の双方或いはいずれかを指す場合、「(メタ)
アクリル」と表記することがある。重合性化合物の含有
量は、中間層中、固形分で0〜100質量%の範囲が好
ましく、10〜80質量%の範囲が特に好ましい。 【0039】(ii)重合開始剤 エネルギー付与による表面グラフト重合法における中間
層にはエネルギー付与により重合開始能を発現させるた
めの重合開始剤を含有することが好ましい。ここで用い
られる重合開始剤は、所定のエネルギー、例えば、活性
光線の照射、加熱、電子線の照射などにより、重合開始
能を発現し得る公知の熱重合開始剤、光重合開始剤など
を目的に応じて、適宜選択して用いることができる。な
かでも、熱重合よりも反応速度(重合速度)が高い光重
合を利用することが製造適性の観点から好適であり、こ
のため、光重合開始剤を用いることが好ましい。エネル
ギー付与による表面グラフト重合法に用い得る光重合開
始剤は、照射される活性光線に対して活性であり、中間
層に含まれる重合性化合物と、上層に含まれる末端又は
側鎖に重合性基を有する親水性化合物とを重合させるこ
とが可能なものであれば、特に制限はなく、例えば、ラ
ジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合
開始剤などを用いることができる。 【0040】そのような光重合開始剤としては、具体的
には、例えば、p−tert−ブチルトリクロロアセト
フェノン、2,2′−ジエトキシアセトフェノン、2−
ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−
オンの如きアセトフェノン類;ベンゾフェノン(4,
4′−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、2−クロロ
チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチ
ルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、
の如きケトン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテ
ル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソ
ブチルエーテルの如きベンゾインエーテル類;ベンジル
ジメチルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニル
ケトンの如きベンジルケタール類、などが挙げられる。
重合開始剤の含有量は、中間層中、固形分で0.01〜
20質量%の範囲が好ましく、0.1〜10質量%の範
囲が特に好ましい。 【0041】上記重合性化合物及び重合開始剤を塗布す
る際に用いる溶媒は、それらの成分が溶解するものであ
れば特に制限されない。乾燥の容易性、作業性の観点か
らは、沸点が高すぎない溶媒が好ましく、具体的には、
沸点40℃〜150℃程度のものを選択すればよい。具
体的には、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキ
サン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、トルエン、エ
チレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコ
ールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチル
エーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、
プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルア
セトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、
1−メトキシ−2−プロパノール、3−メトキシプロパ
ノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジ
エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレング
リコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエ
チルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテ
ルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテ
ルアセテート、3−メトキシプロピルアセテートなどが
挙げられる。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使
用することができる。そして塗布溶液中の固形分の濃度
は、2〜50質量%が適当である。 【0042】中間層を支持体上に形成する場合の塗布量
は、乾燥後の質量で、0.1〜20g/m2が好まし
く、さらに、1〜15g/m2が好ましい。塗布量0.
1g/m 2未満では十分な重合開始能を発現できず、親
水性化合物のグラフト化が不十分となり、所望の親水性
を得られない懸念があり、塗布量が20g/m2を超え
ると膜性が低下する傾向になり、膜剥がれを起こしやす
くなるため、いずれも好ましくない。 【0043】上記のように、支持体表面上に上記の中間
層形成用の組成物を塗布などにより配置し、溶剤を除去
することにより成膜させて中間層を形成するが、このと
き、加熱及び/又は光照射を行って硬膜することが好ま
しい。特に、加熱により乾燥した後、光照射を行って予
備硬膜しておくと、重合性化合物のある程度の硬化が予
め行なわれるので、親水性化合物のグラフト化を達成し
た後に中間層ごと脱落するといった事態を効果的に抑制
し得るため好ましい。ここで、予備硬化に光照射を利用
するのは、前記光重合開始剤の項で述べたのと同様の理
由による。加熱温度と時間は、塗布溶剤が十分乾燥しう
る条件を選択すればよいが、製造適正の点からは、温度
が100℃以下、乾燥時間は30分以内が好ましく、乾
燥温度40〜80℃、乾燥時間10分以内の範囲の加熱
条件を選択することがより好ましい。 【0044】加熱乾燥後に所望により行われる光照射
は、後述のパターン形成に用いる光源を用いることがで
きるが、親水性表面の形成と、エネルギー付与により実
施される中間層の活性点とグラフト鎖との結合の形成を
阻害しないという観点から、中間層中に存在する重合性
化合物が部分的にラジカル重合しても、完全にはラジカ
ル重合しない程度に光照射することが好ましく、光照射
時間については光源の強度により異なるが、一般的には
30分以内であることが好ましい。このような予備硬化
の目安としては、溶剤洗浄後の膜残存率が10%以上と
なり、且つ、予備硬化後の開始剤残存率が1%以上であ
ることが、挙げられる。 【0045】(エネルギー付与)エネルギー付与による
表面グラフト重合法において、親水性表面の形成を行う
場合のエネルギー付与方法には特に制限はなく、基材表
面に活性点を生じさせ、重合性基を有する親水性ポリマ
ーとの結合し得るエネルギーを付与できる方法であれ
ば、いずれも使用できるが、コスト、装置の簡易性の観
点からは活性光線を照射する方法が好ましい。本方法に
おける親水性表面の形成に用いるエネルギー付与方法と
しては、全面加熱、或いは、全面露光等の輻射線照射に
よる方法が挙げられる。全面にエネルギーを付与する好
ましい露光・加熱条件は、前述の中間層に含まれる重合
開始能を発現しうる化合物の重合開始能を発現させ、開
始剤を活性化させうるという点を目安に適宜選択するこ
とができる。具体的な露光・加熱手段としては、例え
ば、赤外線レーザ、紫外線ランプ、可視光線などによる
光照射、γ線などの電子線照射、サーマルヘッド、ヒー
トロール、非接触式ヒータや熱風等を用いた加熱ゾーン
の利用などによる熱的なエネルギー付与などが適用可能
である。これらの光源としては、例えば、水銀灯、メタ
ルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、
カーボンアーク灯等がある。放射線としては、電子線、
X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。またg線、
i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レ
ーザービーム)も使用される。レーザ露光に用いるレー
ザとしては、炭酸ガスレーザ、窒素レーザ、Arレー
ザ、He/Neレーザ、He/Cdレーザ、Krレーザ
等の気体レーザ、液体(色素)レーザ、ルビーレーザ、
Nd/YAGレーザ等の固体レーザ、GaAs/GaA
lAs、InGaAsレーザ等の半導体レーザ、KrF
レーザ、XeClレーザ、XeFレーザ、Ar2等のエ
キシマレーザ等が挙げられる。なかでも、波長700〜
1200nmの赤外線を放射する半導体レーザ、YAG
レーザ等の固体高出力赤外線レーザによる露光が好適で
ある。一般的に用いられる具体的な態様としては、加熱
装置等による直接或いは間接的な全面加熱、赤外線レー
ザによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッ
シュ露光や赤外線ランプ露光などによる全面露光が好適
に挙げられる。また、活性光線の露光を行なう場合、紫
外線、可視光が好ましく、重合速度に優れるという点か
ら紫外線露光が特に好ましい。活性光線の主たる波長が
250nm以上800nm以下であることが好ましい。
紫外線露光に用いる光源としては、例えば、低圧水銀
灯、高圧水銀灯、蛍光ランプ、キセノンランプ、カーボ
ンアークランプ、タングステン白熱ランプ、太陽光など
があげられる。光照射の所要時間は目的とする親水化度
および使用する光源により異なるが、通常数秒〜24時
間である。 【0046】このように基板全面にエネルギー付与を行
うことで基材表面に発生した活性点と、重合性基を有す
る親水性化合物とが重合して、運動性の高い親水性グラ
フト鎖を有する親水性表面が形成された支持体が得られ
る。また、好ましい態様として、側鎖に重合性基を有す
る親水性化合物を添加することで、基材表面と結合した
グラフト鎖の側鎖の重合性基に、さらに親水性グラフト
鎖が結合して、枝分かれ構造を有するグラフト鎖が形成
され、運動性が高い親水性グラフトの形成密度、運動性
ともに飛躍的に向上するため、さらなる高い親水性が発
現するものである。 【0047】〔疎水性領域の形成〕 (光活性基を有する疎水性化合物)本発明の導電性パタ
ーンは、上記親水性グラフト鎖が存在する表面上に、光
活性基を有する疎水性化合物を含有する組成物を接触さ
せ、画像様にエネルギーを付与することで疎水性領域を
形成する。このような疎水性領域を形成するために用い
られる、光活性基を有する疎水性化合物を得る方法とし
ては、I)一般的な疎水性化合物に、光活性基または光
活性基を有する化合物を導入する方法と、II)光活性基
を有する高分子化合物に、疎水性基を導入する方法と、
が挙げられる。 【0048】まず、I)一般的な疎水性化合物に、光活
性基または光活性基を有する化合物を導入する方法で用
いられる、一般的な疎水性化合物としては、芳香族基、
アルキル基を有する化合物等が挙げられる。 【0049】また、以下に挙げる疎水性モノマーを重合
して得られるものを適用することも好ましい態様であ
る。そのような疎水性モノマーとしては、(メタ)アク
リレート、スチレンなどの疎水性基を有するモノマーが
挙げられ、これらの疎水性モノマーから選ばれる少なく
とも1種を用いて得られるホモポリマー、もしくは2種
以上を共重合させたコポリマー等を目的に応じて選択す
ればよい。共重合させる場合には、ランダム共重合でも
ブロック共重合でもよい。 【0050】本発明に用いられる光活性基とは、150
nm〜1200nmの領域の光照射により分解され、ラ
ジカルを発生する基を指す。具体的には、光ナイトレン
を発生するアジド基や、一般に光でラジカルを発生する
ジアゾ基、ベンゾフェノン基、トリクロロメチル基、α
−ヒドロキシアセトフェノン基、α−アルコキシアセト
フェノン基等が挙げられ、さらに、これらの光活性基を
有する化合物としては、アジド化合物、ジアゾ化合物、
トリクロロメチル−トリアジン化合物等が挙げられる。 【0051】次に、II)光活性基を有する高分子化合物
に、疎水性基を導入する方法で用いられる、光活性基を
有する高分子化合物としては、ジアゾ化合物、アジド化
合物、ベンゾフェノン型化合物等が挙げられる。また、
上記光活性基を有する高分子化合物に導入される疎水性
基としては、(メタ)アクリレート、スチレン等が挙げ
られる。 【0052】上記方法I)およびII)で合成された、光
活性基を有する疎水性化合物中の疎水性基と、光活性基
との組成比としては、1:99〜90:10が好まし
く、5:95〜60:40がさらに好ましい。なお、こ
れらの組成比は、合成時において、上記一般的な疎水性
化合物に対する光活性基の添加量、或いは、光活性基を
有する高分子化合物に対する疎水性基の添加量を調節す
ることでコントロールすることができる。 【0053】また、本発明に用いられる光活性基また
は、光活性基を有する化合物を、上記疎水性モノマーの
重合により得られた、ポリマー構造を有する疎水性化合
物に導入する場合、その導入位置は、側鎖及び/又は末
端のいずれでもよいが、疎水性発現の観点から少なくと
も末端に有することが好ましい。ここで、光活性基を有
する疎水性化合物の具体例(疎水性化合物1〜疎水性化
合物15)を組成比と共に以下に示すが、本発明はこれ
らに限定されるものではない。 【0054】 【化1】【0055】 【化2】【0056】 【化3】【0057】このような光活性基を有する疎水性化合物
は、公知の方法で合成することができる。例として、上
記具体例の疎水性化合物(No.5)の合成例を以下に
示す。 【0058】(疎水性化合物No.5の合成)(2−ア
クリロイルオキシエチル)(4−ベンゾイルベンジル)
ジメチルアンモニウムブロミド8.3g、メチルアクリ
レート15.5g、1−メトキシ−2−プロパノール6
0gを300mlの三口フラスコに溶解し、窒素気流下
で75度に保った。撹拌しながら、ジメチル−2,2’
−アゾビス(2−メチルブロイオネート)0.43gを
10gの1−メトキシ−2−プロパノールに溶かした液
を2時間かけて滴下した。75℃でさらに4時間撹拌の
後、生じたポリマーを3000mlの水に投入し、ポリ
マーを沈殿させた。ろ過することにより22.5gのポ
リマーを得た。GPC測定により重量平均分子量は5.
5万であった。なお、その他の光活性基を有する疎水性
化合物についても、出発物質を変えることにより同様に
合成することができる。なお、その他の光活性基を有す
る疎水性化合物についても、出発物質を変えることによ
り同様に合成することができる。 【0059】上記光活性基を有する疎水性化合物は、溶
媒に溶かして、疎水性化合物含有組成物として用いる。
使用する溶剤は、主成分である前記疎水性化合物が溶解
可能ならば特に制限はないが、水、水溶性溶剤などの水
性溶剤が好ましい。これらの混合物には、溶剤のみなら
ず塗布性や付着性向上のため、さらに界面活性剤などの
公知の添加剤を併用することができる。水溶性溶剤は、
水と任意の割合で混和しうる溶剤を言い、そのような水
溶性溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、
プロパノール、エチレングリコール、グリセリンの如き
アルコール系溶剤、酢酸の如き酸、アセトンの如きケト
ン系溶剤、ホルムアミドの如きアミド系溶剤、などが挙
げられる。 【0060】必要に応じて溶剤に添加することのできる
界面活性剤は、溶剤に溶解するものであればよく、その
ような界面活性剤としては、例えば、n−ドデシルベン
ゼンスルホン酸ナトリウムの如きアニオン性界面活性剤
や、n−ドデシルトリメチルアンモニウムクロライドの
如きカチオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンノニル
フェニルエーテル(市販品としては、例えば、エマルゲ
ン910、花王(株)製など)、ポリオキシエチレンソ
ルビタンモノラウレート(市販品としては、例えば、商
品名「ツイーン20」など)、ポリオキシエチレンラウ
リルエーテルの如き非イオン性界面活性剤等が挙げられ
る。組成物を液状のまま接触させる場合には、任意に行
うことができるが、塗布法により疎水性化合物組成物塗
布層を形成する場合の塗布量は固形分換算で0.1〜1
0g/m2が好ましく、特に1〜5g/m2が好ましい。
0.1g/m2未満では十分な表面疎水性を得ることが
できず、また10g/m2を超えると均一な塗布膜が得
にくいため、いずれも好ましくない。 【0061】(エネルギー付与)本発明における導電性
パターン形成材料にパターン形成を行う場合のエネルギ
ー付与方法には特に制限はなく、光活性基を分解してラ
ジカルを発生させ、表面に存在する親水性グラフト高分
子中の活性点と結合し得るエネルギー、或いは、疎水性
化合物中の光活性基同士が架橋反応を起こし得るエネル
ギーを付与できる方法であれば、露光、加熱のいずれの
方法も使用できるが、コスト、装置の簡易性の観点から
は活性光線を照射する方法が好ましい。画像様の露光に
活性光線の照射を適用する場合、デジタルデータに基づ
く走査露光、リスフィルムを用いたパターン露光のいず
れも使用することができる。パターン形成に用いる方法
としては、加熱、露光等の輻射線照射により書き込みを
行う方法が挙げられる。例えば、赤外線レーザ、紫外線
ランプ、可視光線などによる光照射、γ線などの電子線
照射、サーマルヘッドによる熱的な記録などが可能であ
る。これらの光源としては、例えば、水銀灯、メタルハ
ライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カー
ボンアーク灯等がある。放射線としては、電子線、X
線、イオンビーム、遠赤外線などがある。またg線、i
線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レー
ザービーム)も使用される。一般的に用いられる具体的
な態様としては、熱記録ヘッド等による直接画像様記
録、赤外線レーザによる走査露光、キセノン放電灯など
の高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光などが好適
に挙げられる。コンピュータのデジタルデータによるダ
イレクトパターン形成を行うためには、レーザ露光によ
りエネルギーを付与することが好ましい。レーザとして
は、炭酸ガスレーザ、窒素レーザ、Arレーザ、He/
Neレーザ、He/Cdレーザ、Krレーザ等の気体レ
ーザ、液体(色素)レーザ、ルビーレーザ、Nd/YA
Gレーザ等の固体レーザ、GaAs/GaAlAs、I
nGaAsレーザ等の半導体レーザ、KrFレーザ、X
eClレーザ、XeFレーザ、Ar2等のエキシマレー
ザ等を使用することができる。なかでも、波長700〜
1200nmの赤外線を放射する半導体レーザ、YAG
レーザ等の固体高出力赤外線レーザによる露光が好適で
ある。この後、水で洗浄することにより、未露光部の高
分子を溶解除去する。以上のようにして、エネルギー付
与領域には、光活性基を有する疎水性化合物によって疎
水性領域が形成され、エネルギーを付与されない領域で
は、親水性グラフト鎖が存在する表面が露出して親水性
領域となる。 【0062】〔導電性材料〕本発明においては、上記で
得られた親水性領域に導電性材料を吸着させることで導
電性パターンが得られ、回路が形成される。なお、その
ような導電性材料の吸着方法としては、(A)上記親水
性領域に導電性微粒子を吸着させる方法と、(B)上記
親水性領域に導電性ポリマー層を形成する方法と、が挙
げられ、用途に応じて適宜選択して用いることができ
る。以下、これらの導電性材料の吸着方法について詳細
に説明する。 【0063】(A)導電性微粒子の吸着 本発明における導電性材料の吸着方法(A)は、以下に
説明する導電性微粒子を、上記親水性表面上の官能基
に、その極性に応じて、イオン的に吸着させる方法であ
る。ここで吸着させた分子は単分子膜に近い状態で強固
に固定されるため少量でも充分な導電性を有し、微細な
回路にも適用し得るという利点を有する。この方法に適
用し得る導電性微粒子としては、導電性を有するもので
あれば特に制限はなく、公知の導電性材料からなる微粒
子を任意に選択して用いることができる。例えば、A
u、Ag、Pt、Cu、Rh、Pd、Al、Crなどの
金属微粒子、In23、SnO2、ZnO、Cdo、T
iO2、CdIn24、Cd2SnO2、Zn2SnO4
In23−ZnOなどの酸化物半導体微粒子、及びこれ
らに適合する不純物をドーパントさせた材料を用いた微
粒子、MgInO、CaGaOなどのスピネル形化合物
微粒子、TiN、ZrN、HfNなどの導電性窒化物微
粒子、LaBなどの導電性ホウ化物微粒子、また、有機
材料としては導電性高分子微粒子などが好適なものとし
て挙げられる。 【0064】−親水性化合物結合タイプの親水性基の極
性と導電性微粒子との関係− 本発明において得られる親水性領域がカルボキシル基、
スルホン酸基、もしくはホスホン酸基などの如きアニオ
ン性を有する場合は、パターン部分が選択的に負の電荷
を有するようになり、ここに正の電荷を有する(カチオ
ン性の)導電性微粒子を吸着させることで導電性の領域
(配線)が形成される。 【0065】このようなカチオン性の導電性微粒子とし
ては、正電荷を有する金属(酸化物)微粒子などが挙げ
られる。表面に高密度で正荷電を有する微粒子は、例え
ば、米澤徹らの方法、すなわち、T.Yonezaw
a,Chemistry Letters.,1999
page1061,T.Yonezawa,Lang
umuir 2000,vol16,5218および米
澤徹,Polymerpreprints,Japan
vol.49.2911(2000)に記載された方
法にて作成することができる。米澤らは金属−硫黄結合
を利用し、正荷電を有する官能基で高密度に化学修飾さ
れた金属粒子表面が形成できることを示している。 【0066】一方、得られる親水性領域が特開平10−
296895号公報に記載のアンモニウム基などの如き
カチオン性基を有する場合は、パターン部分が選択的に
正の電荷を有するようになり、ここに負の電荷を有する
導電性微粒子を吸着させることで導電性の領域(配線)
が形成される。負に帯電した金属粒子としてはクエン酸
還元で得られた金もしくは銀粒子を挙げることができ
る。 【0067】本発明に用いられる導電性微粒子の粒径
は、0.1nmから1000nmの範囲であることが好
ましく、1nmから100nmの範囲であることがさら
に好ましい。粒径が0.1nmよりも小さくなると、微
粒子同士の表面が連続的に接触してもたらされる導電性
が低下する傾向がある。また、1000nmよりも大き
くなると、親水性表面と粒子との密着性が低下し、導電
性領域の強度が劣化する傾向がある。 【0068】これらの微粒子は、親水性表面の親水性基
に吸着し得る最大量結合されることが耐久性の点で好ま
しい。また、導電性確保の観点からは、分散液の分散濃
度は、0.001〜20重量%程度が好ましい。 【0069】導電性微粒子を親水性基に吸着させる方法
としては、表面上に荷電を有する導電性微粒子を溶解又
は分散させた液を、像様に親水性領域が形成された支持
体表面に塗布する方法、及び、これらの溶液又は分散液
中に、像様に親水性領域が形成された支持体を浸漬する
方法などが挙げられる。塗布、浸漬のいずれの場合に
も、過剰量の導電性微粒子を供給し、親水性基との間に
十分なイオン結合による導入がなされるために、溶液又
は分散液とパターン形成材料表面との接触時間は、10
秒から24時間程度であることが好ましく、1分から1
80分程度であることがさらに好ましい。 【0070】導電性微粒子は1種のみならず、必要に応
じて複数種を併用することができる。また、所望の導電
性を得るため、予め複数の材料を混合して用いることも
できる。 【0071】(B)導電性ポリマー層の形成 本発明における導電性材料の吸着方法(B)は、以下に
説明する導電性ポリマーの前駆体である導電性モノマー
を、上記親水性表面上の官能基にイオン的に吸着させ、
そのまま重合反応を生起させ、高分子層(導電性ポリマ
ー層)を形成する方法である。このようにして得られた
導電性ポリマー層は、強固で耐久性に優れ、モノマーの
供給速度などの条件を調整することで非常に薄い膜も形
成することができ、さらに薄膜であっても均質で、且
つ、膜厚が均一であるという利点を有する。この方法に
適用し得る導電性ポリマーとしては、10-6s・cm-1
以上、好ましくは、10-1s・cm-1以上の導電性を有
する高分子化合物であれば、いずれのものも使用するこ
とができるが、具体的には、例えば、置換および非置換
の導電性ポリアニリン、ポリパラフェニレン、ポリパラ
フェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリフラン、ポ
リピロール、ポリセレノフェン、ポリイソチアナフテ
ン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアセチレン、ポリ
ピリジルビニレン、ポリアジン等が挙げられる。これら
は1種のみを用いてもよく、また、目的に応じて2種以
上を組み合わせて用いてもよい。また、所望の導電性を
達成できる範囲であれば、導電性を有しない他のポリマ
ーとの混合物として用いることもできるし、これらのモ
ノマーと導電性を有しない他のモノマーとのコポリマー
なども用いることができる。 【0072】このような導電性ポリマーを用いて、導電
性ポリマー層を形成する方法には特に制限はないが、均
一な薄膜を形成し得るという観点からは、以下に述べる
ような導電性を有するモノマーを用いる方法が好まし
い。まず、前記親水性領域が形成された支持体を、過硫
酸カリウムや、硫酸鉄(III)などの重合触媒や重合開
始能を有する化合物を含有する溶液に浸漬し、この液を
撹拌しながら導電性ポリマーを形成し得るモノマー、例
えば、3、4−エチレンジオキシチオフェンなどを徐々
に滴下する。このようにすると、該光活性基を有する親
水性ポリマー中の官能基と導電性ポリマーを形成し得る
モノマーとが相互作用により強固に吸着すると共に、モ
ノマー同士の重合反応が進行し、支持体上の親水性領域
に導電性ポリマーの極めて薄い膜が形成され、これが導
電性ポリマー層となる。 【0073】支持体表面における重合反応を利用すれ
ば、例えば、PETの如き樹脂などの支持体表面に直接
導電性ポリマーの薄膜を形成することもできるが、支持
体との相互作用を形成し得ない導電性ポリマー膜は容易
に剥離してしまい、実用上問題のないレベルの膜強度を
有する薄膜を形成することはできない。 【0074】本発明においては、導電性モノマー自体が
光活性基を有する親水性ポリマーの官能基と静電気的
に、或いは、極性的に相互作用を形成することで強固に
吸着するため、それらが重合して形成されたポリマー膜
は、親水性表面との間に強固な相互作用を形成している
ため、薄膜であっても、擦りや引っ掻きに対しても充分
な強度を有するものとなる。さらに、導電性ポリマーと
親水性の官能基とが、陽イオンと陰イオンの関係で吸着
するような素材を選択することで、親水性の官能基が導
電性ポリマーのカウンターアニオンとして吸着すること
になり、一種のドープ剤として機能するため、導電性パ
ターンの導電性を一層向上させることができるという効
果を得ることもできる。具体的には、例えば、親水性基
としてスチレンスルホン酸を、導電性ポリマーの素材と
してチオフェンを選択すると、両者の相互作用により、
親水性表面と導電性ポリマー層との界面にはカウンター
アニオンとしてスルホン酸基(スルホ基)を有するポリ
チオフェンが存在し、これが導電性ポリマーのドープ剤
として機能することになる。 【0075】親水性領域表面に形成された導電性ポリマ
ー層の膜厚には特に制限はないが、0.01μm〜10
μmの範囲であることが好ましく、0.1μm〜5μm
の範囲であることがより好ましい。導電性ポリマー層の
膜厚がこの範囲内であれば、充分な導電性と透明性とを
達成することができる。0.01μm以下であると導電
性が不充分となる懸念があるため好ましくない。 【0076】以上の導電性パターン形成方法で得られ
た、導電性パターンは、強度と耐久性に優れ、単一の回
路形成からなる配線基板、或いは、広い面積の導電性領
域を要する配線基板として、広い用途が期待される。さ
らに、支持体にPETなどの透明フィルムを使用した場
合には、パターン形成された透明導電性フィルムとして
使用することができる。このような透明導電性フィルム
の用途としては、ディスプレイ用透明電極、調光デバイ
ス、太陽電池、タッチパネル、その他の透明導電膜が挙
げられるが、CRTやプラズマディスプレイにつける電
磁波シールドフィルターとして特に有用である。このよ
うな電磁波シールドフィルターは高い導電性と透明性と
を必要とするため、導電性材料を格子状に設けることが
好ましい。このような格子線幅は、20〜100μm、
開口部は50〜600μm程度が好ましい。この格子は
必ずしも規則正しく、直線で構成されていなくてもよ
く、曲線状で構成されていてもよい。本発明において
は、このような任意の導電性パターンを容易に形成しう
るため、目的に応じた種々の設定が可能である。 【0077】 【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらに制限されるものではない。 【0078】〔実施例1〕 (基材の作成)膜厚0.188mmのPETフィルム
(東洋紡(株)M4100)の上に中間層として下記の
重合性組成物をロッドバー17番を用いて塗布し80℃
で2分間乾燥させた。次にこの塗布されたフィルムを4
00W高圧水銀灯(UVL−400P、理工科学産業
(株)製)を使用し、10分間照射した。中間層として
使用した組成物としては次の組成である。 ・アリルメタクリレート/メタクリル酸重合体 (モル比率80/20、分子量10万) 4g ・エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート (東亜合成(株)M210) 4g ・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 1.6g ・1−メトキシ−2−プロパノール 16g 【0079】(親水性表面の形成)上記基材をアクリル
アミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド(質量比
60:40,10wt%)、および次亜塩素酸ナトリウ
ム(NaClO4、0.01wt%)を含む水溶液に浸
漬し、アルゴン雰囲気下で400w高圧水銀灯を使用し
30分間光照射した。光照射後得られたフィルムをイオ
ン交換水で良く洗浄し、基材上に、アクリルアミド、N
−メトキシメチルメタクリルアミドがグラフトされた親
水性表面を得た。 【0080】(親/疎水性領域の形成)本発明に係る光
活性基を有する疎水性化合物(No.1)の10wt%
の水溶液を上記親水性表面上にロッド10番の塗布バー
を使用して塗布し、80℃で5分間乾燥し、導電性パタ
ーン形成材料を得た。次に黒色のパターンが印刷された
リスフィルムを通して400Wの高圧水銀灯の光を5分
間照射した。その後未露光部分を水をつけた綿でこする
ことにより除去し、リスフィルムに従った親/疎水性領
域を得た。 【0081】(導電性材料の吸着)次に、この親/疎水
性領域が形成されたフィルムを、以下のようにして得ら
れた正電荷を有するAg粒子分散液中に浸漬し、その
後、流水で表面を十分洗浄して余分な微粒子分散液を除
去し、導電性パターン1を得た。 <Ag粒子分散液の調製>過塩素酸銀のエタノール溶液
(5mM)50mlにビス(1,1−トリメチルアンモ
ニウムデカノイルアミノエチル)ジスルフィド3gを加
え、激しく撹拌しながら水素化ホウ素ナトリウム溶液
(0.4M)30mlをゆっくり滴下してイオンを還元
し、4級アンモニウムで被覆された銀粒子の分散液を得
た。この銀粒子のサイズを電子顕微鏡で測定したとこ
ろ、平均粒径は5nmであった。 【0082】導電微粒子を吸着させた導電性パターン1
の表面を透過型電子顕微鏡(JEOL JEM−200
CX)にて10万倍で観察したところ、いずれの表面に
おいても、未露光部領域のみに吸着したAg微粒子に起
因する緻密な凹凸形状が形成されていることが確認され
た。 【0083】〔導電安定性の評価〕得られたAg微粒子
のパターン部分の表面導電性をLORESTA−FP
(三菱化学(株)製)を用いて四探針法により測定した
ところ、10Ω/□を示した。また、パターン形成され
たフィルム全面の透過率を測定したところ58%であっ
た。このことから、透明性が高く、導電性に優れた導電
性パターンが形成されていることがわかる。 【0084】〔耐磨耗性の評価〕導電微粒子を吸着させ
た導電性パターン1の表面を水で湿らせた布(BEMC
OT、旭化成工業社製)を用いて手で往復30回こすっ
た。こすった後に、前記と同様にして透過型電子顕微鏡
(JEOL JEM−200CX)にて、その表面を1
0万倍で観察したところ、こすり処理を行なう前と同
様、未露光部領域のみに微粒子に起因する緻密な凹凸形
状が観察され、表面の緻密な凹凸形状がこすりにより損
なわれなかったことが確認された。 【0085】(実施例2)実施例1で作成した親/疎水
性領域が形成されたフィルムを、アントラキノン−2−
スルホン酸ナトリウム・一水和物1.23g、5−スル
フォサチリチル酸ナトリウム・水和物7.20g、及
び、三塩化鉄・6水和物4.38g、を125mlの水
に溶解した溶液に浸漬し、撹拌しながらピロール0.7
5mlと水125mlの溶液を加えた。一時間後、該フ
ィルムを取り出し、水洗し、次にアセトンで洗浄するこ
とで、該フィルムの表面にポリピロール層が形成された
実施例2の導電性パターン2を得た。 【0086】〔評価〕得られた導電性パターン2を、実
施例1と同様の方法で導電安定性の評価及び耐磨耗性の
評価を行った。導電安定性の評価では、導電性ポリマー
層部分の表面導電性は950Ω/□を示し、導電性に優
れた導電性パターンが形成されていることが分かった。
耐磨耗性の評価では、こすりの後も未露光部領域のみに
導電性ポリマーによると考えられる樹脂膜の存在が観察
され、剥離なども見られなかったことから、ポリマー層
がこすりにより損なわれなかったことが確認された。以
上、実施例によれば、本発明の導電性パターンは、導電
性材料として導電性微粒子または導電性ポリマーのいず
れを用いた場合でも、優れた導電性安定性と、耐磨耗性
が容易に得られることが確認された。 【0087】 【発明の効果】本発明の導電性パターンは、製造適性に
優れ、且つ、耐久性と導電安定性とに優れているという
効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05K 3/18 H05K 3/18 C Fターム(参考) 2H025 AA13 AA19 AB15 AC01 AD03 BA03 BA08 BD40 BD43 BH04 DA36 FA39 2H096 AA26 AA27 BA02 BA03 CA05 FA05 5E343 AA02 BB23 BB24 BB25 BB71 CC22 CC52 CC71 DD33 ER04 ER18 ER42 GG06 GG11

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 親水性グラフト鎖が存在する表面を有す
    る支持体上に、光活性基を有する疎水性化合物を含有す
    る組成物を接触させ、 画像様にエネルギーを付与して、該疎水性化合物を固定
    化して親/疎水性領域を形成し、 該親水性領域に導電性材料を吸着させてなる導電性パタ
    ーン。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20200129779A (ko) * 2019-05-10 2020-11-18 한국과학기술연구원 발열부재 및 이를 포함하는 유연한 형상 적응형 2d 맥신 히터

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