JP2008251711A - 導電パターン材料の作製方法、及び導電パターン材料 - Google Patents

導電パターン材料の作製方法、及び導電パターン材料 Download PDF

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Abstract

【課題】基板に対する密着性が高く、十分な導電性を有する導電パターンを備え、該導電パターンの存在しない領域における耐マイグレーションに優れた導電パターン材料、及び該導電パターン材料の作製方法を提供すること。
【解決手段】(a1)基板上に、該基板表面に直接結合し、且つ、カルボン酸基を有するポリマーからなるポリマー層を形成する工程と、(a2)前記カルボン酸基に無電解めっき触媒又はその前駆体を付与する工程と、(a3)少なくとも無電解めっきを行い、めっき膜を形成する工程と、(a4)該めっき膜をパターン状にエッチングする工程と、(a5)前記(a4)工程によりめっき膜が除去された領域に存在する前記ポリマー層中のカルボン酸基をアンモニウム塩化した後、熱分解させる工程と、をこの順に有することを特徴とする導電パターン材料の作製方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、導電パターン材料の作製方法、及び導電パターン材料に関し、より詳細には、金属配線基板に好適な導電パターンの形成方法、及び導電パターン材料に関する。
従来より、絶縁性基板の表面に金属パターンによる配線を形成した金属配線基板が、電子部品や半導体素子に広く用いられている。
かかる金属パターン形成方法としては、主に、「サブトラクティブ法」が使用される。このサブトラクティブ法とは、基板表面に形成された金属膜上に、活性光線の照射により感光する感光層を設け、この感光層に像様露光し、その後現像してレジスト像を形成し、次いで、金属膜をエッチングして金属パターンを形成し、最後にレジストを剥離する方法である。
この方法により得られる金属パターンにおいては、基板表面に凹凸を設けることにより生じるアンカー効果により、基板と金属膜との間の密着性を発現させている。そのため、得られた金属パターンの基板界面部の凹凸に起因して、金属配線として使用する際の高周波特性が悪くなるという問題点があった。また、基板表面に凹凸化処理するためには、クロム酸などの強酸で基板表面を処理するが必要であるため、金属膜と基板との密着性に優れた金属パターンを得るためには、煩雑な工程が必要であるという問題点があった。
この問題を解決するため、基板の表面にプラズマ処理を行い、基板表面に重合開始基を導入し、その重合開始基からモノマーを重合させて、基板表面に極性基を有する表面グラフトポリマーを生成させるという表面処理を行うことで、基板の表面を粗面化することなく、基板と金属膜との密着性を改良させる方法が提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。しかしながら、この方法によれば、グラフトポリマーが極性基を有することから、温度や湿度変化により水分の吸収や脱離が生じ易く、その結果、形成された金属膜や基板が変形してしまうという問題を有していた。また、この方法を適用して得られた金属パターンを金属配線基板の配線として使用する際、基板界面部分に極性基を有するグラフトポリマーが残存し、水分やイオン等を保持しやすくなるため、配線間の耐イオンマイグレーション性に懸念があり、用途に合わせた改良が望まれていた。
Advanced Materials 2000年 20号 1481−1494
本発明は、上記従来の技術の欠点を考慮してなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、基板に対する密着性が高く、十分な導電性を有する導電パターンを備え、該導電パターンの存在しない領域における耐マイグレーションに優れた導電パターン材料、及び該導電パターン材料の作製方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題に鑑みて鋭意検討した結果、以下に示す手段により上記目的を達成しうることを見出した。即ち、本発明は以下の通りである。
本発明の導電パターン材料の作製方法の第1の態様は、(a1)基板上に、該基板表面に直接結合し、且つ、カルボン酸基を有するポリマーからなるポリマー層を形成する工程と、(a2)前記カルボン酸基に無電解めっき触媒又はその前駆体を付与する工程と、(a3)少なくとも無電解めっきを行い、めっき膜を形成する工程と、(a4)該めっき膜をパターン状にエッチングする工程と、(a5)前記(a4)工程によりめっき膜が除去された領域に存在する前記ポリマー層中のカルボン酸基をアンモニウム塩化した後、熱分解させる工程と、をこの順に有することを特徴とする。
以下、この第1の態様を、本発明の導電パターン材料の作製方法(1)として説明する。
本発明において、前記(a3)工程が、無電解めっきを行った後に、更に電気めっきを行って、めっき膜を形成する工程であることが好ましい態様である。
また、前記(a5)工程におけるカルボン酸基のアンモニウム塩化が、芳香族アミン塩構造が形成されることが好ましい。
更に、前記(a5)工程が、前記(a4)工程によりめっき膜が除去された領域に存在する前記ポリマー層中のカルボン酸基を多価金属イオン塩に変換させた後、アンモニウム塩化し、熱分解させる工程であることが好ましい。
また、本発明の導電パターン材料の作製方法の第2の態様は、(b1)基板上に、該基板表面に直接結合し、且つ、カルボン酸基を有するポリマー層を形成する工程と、(b2)該カルボン酸基に無電解めっき触媒又はその前駆体を付与する工程と、(b3)無電解めっきを行い、めっき膜を形成する工程と、(b4)めっき膜上にパターン状のレジスト層を形成する工程と、(b5)電気めっきにより、前記レジスト層の非形成領域に金属パターンを形成する工程と、(b6)前記レジスト層を剥離する工程と、(b7)前記(b3)工程で形成しためっき膜のうち、前記レジスト層で保護されていた領域のめっき膜を除去する工程と、(b8)前記(b7)工程によりめっき膜が除去された領域に存在する前記ポリマー層中のカルボン酸基をアンモニウム塩化した後、熱分解させる工程と、をこの順に有することを特徴とする。
以下、この第2の態様を、本発明の導電パターン材料の作製方法(2)として説明する。
本発明の導電パターン材料は、基板と、該基板表面に直接結合し、且つ、カルボン酸基を有するポリマーからなるポリマー層と、該ポリマー層の内部及び上部に形成されたパターン状のめっき膜と、を有し、該パターン状のめっき膜の非形成領域における前記ポリマー層中のカルボン酸基が、熱分解により疎水化されてなることを特徴とする。
この導電パターン材料は、本発明の導電パターン材料の作製方法(1)、又は、本発明の導電パターン材料の作製方法(2)により得ることができる。
本発明によれば、基板に対する密着性が高く、十分な導電性を有する導電パターンを備え、該導電パターンの存在しない領域における耐マイグレーションに優れた導電パターン材料、及び該導電パターン材料の作製方法を提供することができる。
≪導電パターンの形成方法(1)≫
本発明の導電パターンの形成方法(1)は、(a1)基板上に、該基板表面に直接結合し、且つ、カルボン酸基を有するポリマーからなるポリマー層を形成する工程と、(a2)前記カルボン酸基に無電解めっき触媒又はその前駆体を付与する工程と、(a3)少なくとも無電解めっきを行い、めっき膜を形成する工程と、(a4)該めっき膜をパターン状にエッチングする工程と、(a5)前記(a4)工程によりめっき膜が除去された領域に存在する前記ポリマー層中のカルボン酸基をアンモニウム塩化した後、熱分解させる工程と、をこの順に有することを特徴とする。
<(a1)工程>
本工程では、基板上に、該基板表面に直接結合し、且つ、カルボン酸基を有するポリマーからなるポリマー層を形成する。
このポリマー層は、一般的に、表面グラフト重合と呼ばれる手段を用い、基板上にグラフトポリマーを生成させることで形成される。
表面グラフト重合とは、一般に、固体表面を形成する高分子化合物鎖上に活性種を与え、この活性種を起点として別の単量体を更に重合させ、グラフト(接ぎ木)重合体を合成する方法である。
本発明では、基板表面に、カルボン酸基を有する重合性化合物を接触させ、そこにエネルギーを付与することで、基板表面に活性点を発生させて、この活性点と重合性化合物の重合性基とが反応し、表面グラフト重合反応が引き起こされる。
また、エネルギーを付与し基板表面に活性点を発生させてから、カルボン酸基を有する重合性化合物を、その基板表面に接触させてもよい。
この接触は、カルボン酸基を有する重合性化合物を含有する液状組成物中に、基板を浸漬することで行ってもよいが、取り扱い性や製造効率の観点からは、後述するように、前記液状組成物を基板表面に塗布する、又は、その塗膜を乾燥させてグラフトポリマー前駆体層を形成する方法を用いることが好ましい。
また、基板の両面にグラフトポリマーを生成させる場合には、上記のような表面グラフト重合を用いて表裏同時にグラフトポリマーを生成させてもよいし、片面に対して先ずグラフトポリマーを生成させた後に、もう片面に対してグラフトポリマーを生成させてもよい。
本発明を実現するための表面グラフト重合法としては、文献記載の公知の方法のいずれも使用することができる。例えば、新高分子実験学10、高分子学会編、1994年、共立出版(株)発行、p135には、表面グラフト重合法として、光グラフト重合法、プラズマ照射グラフト重合法が記載されている。また、吸着技術便覧、NTS(株)、竹内監修、1999.2発行、p203,p695には、γ線、電子線などの放射線照射グラフト重合法が記載されている。
光グラフト重合法の具体的方法としては、特開昭63−92658号公報、特開平10−296895号公報、及び特開平11−119413号公報に記載の方法を使用することができる。
プラズマ照射グラフト重合法、放射線照射グラフト重合法においては、上記記載の文献、及びY.Ikada et al,Macromolecules vol.19,page 1804(1986)などの記載の方法にて作製することができる。具体的には、PETなどの高分子表面をプラズマ若しくは電子線にて処理し、表面にラジカルを発生させ、その後、その活性表面とノマーとを反応させることによりグラフトポリマーを得ることができる。
光グラフト重合法は、上記記載の文献の他に、特開昭53−17407号公報(関西ペイント)や、特開2000−212313号公報(大日本インキ)記載のように、フィルム基板の表面に光重合性組成物を塗布し、その後、ラジカル重合化合物を接触させ光を照射させて、グラフトポリマーを得ることができる。
〔カルボン酸基を有する重合性化合物〕
本発明に用いられるカルボン酸基を有する重合性化合物には、後述の疎水化工程にて、疎水性に変換しうるカルボン酸基を有する重合性化合物を用いることが必要である。
つまり、本発明におけるカルボン酸基は、無電解めっき触媒又はその前駆体との相互作用性を有し、且つ、疎水性に変換しうるものである。
本発明において使用できるカルボン酸基としては、アルキルカルボン酸基、芳香族カルボン酸基など多くの種類のカルボン酸基が使用することができるが、後述する(a5)工程においてアンモニウム塩化される点を踏まえると、より強酸性のカルボン酸基が好ましい。
本発明におけるカルボン酸基を有する重合性化合物としては、上記のようなカルボン酸基を有するモノマー、マクロモノマー、カルボン酸基及び重合性基を有するポリマーなどが用いられる。
カルボン酸基を有するモノマーとしては、具体的には、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、3−ビニルプロピオン酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、ビニル安息香酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、β―カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、2−(2−カルボキシプロピオネート)エチル(メタ)アクリレートなどやそれらのアルカリ金属塩、及びアミン塩が挙げられる。
また、上記のカルボン酸基を有するモノマーは、以下に示すようなカルボン酸基を有しないモノマーと併用してもよい。
例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−モノメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、アリルアミン、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などの、スルホン酸基、アミノ基、水酸基などの官能基を有するモノマーが挙げられる。
また、カルボン酸を有する重合性化合物として、以下に説明する、カルボン酸基及び重合性基を有するポリマー(以下、適宜、カルボン酸基含有重合性ポリマーと称する。)も使用することができる。
本発明において使用できるカルボン酸基含有重合性ポリマーとしては、上記のようなカルボン酸基を有するモノマーを1種以上用いて得られるホモポリマー、コポリマーに、重合性基を導入したものが用いられる。
導入する重合性基としては、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基などのエチレン付加重合性不飽和基が挙げられる。
このようなカルボン酸基含有重合性ポリマーを合成する際には、前述のカルボン酸基を有するモノマーや、カルボン酸基を有しないモノマーを用いることができ、更にその他のモノマーを用いることができる。
また、カルボン酸基含有重合性ポリマーを合成する際に、前述のカルボン酸基を有するモノマーと、他のカルボン酸基を有するモノマーやその他のモノマーと、を併用する場合、めっき触媒又はその前駆体の吸着性や電気特性を加味すると、全モノマー中、50mol%以上が、カルボン酸基を有するモノマーであることが好ましく、より好ましくは60mol%以上である。
このようなカルボン酸基含有重合性ポリマーは、以下に示す合成方法を用いることで合成することができる。
合成方法としては、i)カルボン酸基を有するモノマーと重合性基を特定位置に有するモノマーとを共重合する方法、ii)カルボン酸基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)カルボン酸基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、二重結合を導入(重合性基を導入する)方法が挙げられる。
上記3手法の中で好ましいのは、合成適性の観点から、ii)、iii)の方法である。
前記i)の合成方法で用いられる重合性基を有するモノマーとしては、以下の化合物などが挙げられる。
Figure 2008251711
前記ii)の合成方法で用いられる二重結合前駆体を有するモノマーとしては下記式で表される化合物などが挙げられる。
Figure 2008251711
上記式中、Aは重合性基を有する有機団、R〜Rは水素原子、及び/又は、1価の有機基、X、Zは脱離反応により除去される脱離基であり、ここでいう脱離反応とは、塩基の作用によりZが引き抜かれ、Xが脱離するものである。Xはアニオンとして、Zはカチオンとして脱離するものが好ましい。
具体的には以下の化合物を挙げることができる。
Figure 2008251711
また、前記ii)の合成方法において、二重結合前駆体を二重結合に変換するには、下記に示すように、X、Zで表される脱離基を脱離反応により除去する方法、つまり、塩基の作用によりZを引き抜き、Xが脱離する反応を使用する。
Figure 2008251711
上記の脱離反応において用いられる塩基としては、アルカリ金属類の水素化物、水酸化物又は炭酸塩、有機アミ化合物、金属アルコキシド化合物が好ましい例として挙げられる。アルカリ金属類の水素化物、水酸化物、又は炭酸塩の好ましい例としては、水素化ナトリウム、水素化カルシウム、水素化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。有機アミン化合物の好ましい例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルメチルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン、N−メチルジシクロヘキシルアミン、N−エチルジシクロヘキシルアミン、ピロリジン、1−メチルピロリジン、2,5−ジメチルピロリジン、ピペリジン、1−メチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ピペラジン、1,4−ジメチルピペラジン、キヌクリジン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]−オクタン、ヘキサメチレンテトラミン、モルホリン、4−メチルモルホリン、ピリジン、ピコリン、4−ジメチルアミノピリジン、ルチジン、1、8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセン(DBU)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルエチルアミン、Schiff塩基などが挙げられる。金属アルコキシド化合物の好ましい例としては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシドなどが挙げられる。これらの塩基は、1種或いは2種以上の混合であってもよい。
また、前記脱離反応において、塩基を付与(添加)する際に用いられる溶媒としては、例えば、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、水などが挙げられる。これらの溶媒は単独或いは2種以上混合してもよい。
使用される塩基の量は、化合物中の特定官能基(X、Zで表される脱離基)の量に対して、当量以下であってもよく、また、当量以上であってもよい。また、過剰の塩基を使用した場合、脱離反応後、余剰の塩基を除去する目的で酸などを添加することも好ましい形態である。
前記iii)の合成方法において、カルボン酸基を有するポリマーと反応させる重合性基を有するモノマーとしては、カルボン酸基を有するポリマー中の官能基の種類によって異なるが、以下の組合せの官能基を有するモノマーを使用することができる。
即ち、(ポリマーの官能基、モノマーの官能基)=(カルボン酸基、カルボン酸基)、(カルボン酸基、エポキシ基)、(カルボン酸基,イソシアネート基)、(水酸基、カルボン酸基)、(水酸基、エポキシ基)、(水酸基、イソシアネート基)等を挙げることができる。ただし、ポリマー中にカルボン酸基を必ず含んでいるため合成上の簡便さからカルボン酸基を利用して重合性基を有するモノマーと反応させることが好ましい。
具体的には以下のモノマーを使用することができる。
Figure 2008251711
また、本発明におけるカルボン酸基含有重合性ポリマー中のカルボン酸基はカルボン酸塩構造に変換してもよい。カルボン酸塩構造としてはアルカリ金属塩構造が好ましく、更に好ましくはナトリウム塩構造である。
また、カルボン酸基をカルボン酸塩構造に変換する試薬としては、無機塩基、有機塩基を使用することができるが、好ましくは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムである。
このようにして合成されたカルボン酸基含有重合性ポリマーの有用な重量平均分子量は、500〜50万の範囲で、特に好ましい範囲は5000〜25万である。
また、カルボン酸基を有する重合性化合物としては、カルボン酸基を有するマクロモノマーも用いることができる。
このマクロモノマーは、上記に示されるカルボン酸基を有するモノマーを用いて公知の方法にて作製することができる。具体的には、本発明に用いられるマクロモノマーの製造方法は、例えば、平成1年9月20日にアイピーシー出版局発行の「マクロモノマーの化学と工業」(編集者 山下雄也)の第2章「マクロモノマーの合成」に各種提案されている。
これらのマクロモノマーの有用な重量平均分子量としては、250〜10万の範囲で、特に好ましい範囲は400〜3万である。
このようなカルボン酸基を有する重合性化合物を基板表面に接触させる際には、上述のように、カルボン酸基を有する重合性化合物を含有する液状組成物を調製して、それを用いればよい。また、カルボン酸基を有する重合性化合物を含有する液状組成物を塗布して、乾膜してもよい。
このようなカルボン酸基を有する重合性化合物を含有する液状組成物を調製する際に用いられる溶剤は、主成分であるカルボン酸基を有する重合性化合物が溶解可能ならば特に制限はなく、また、この液状組成物には、必要に応じて、界面活性剤を添加してもよい。
使用できる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールモノメチルエーテルの如きアルコール系溶剤、酢酸の如き酸、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンの如きケトン系溶剤、ホルムアミド、ジメチルアセトアミドの如きアミド系溶剤、水などが挙げられる。
必要に応じて溶剤に添加することのできる界面活性剤は、溶剤に溶解するものであればよく、そのような界面活性剤としては、例えば、n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの如きアニオン性界面活性剤や、n−ドデシルトリメチルアンモニウムクロライドの如きカチオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル(市販品としては、例えば、エマルゲン910、花王(株)製など)、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(市販品としては、例えば、商品名「ツイーン20」など)、ポリオキシエチレンラウリルエーテルの如き非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
基板表面に液状組成物を塗布法にて接触させてグラフトポリマー生成を行う場合や、グラフトポリマー前駆体層を形成する態様を用いる場合には、その塗布量としては、充分な塗布膜を得る観点からは、固形分換算で0.1〜10g/mが好ましく、特に0.5〜
5g/mが好ましい。
本発明において、前述のようなカルボン酸基を有する重合性化合物から得られるグラフトポリマーは、上記のようなカルボン酸基を有する重合性化合物の1種による単独重合体であってもよいし、2種以上による共重合体であってもよい。つまり、例えば、カルボン酸基含有重合性ポリマーとカルボン酸基を有するモノマーとを併用してなる共重合体であってもよい。また、本発明の効果を損なわない限り、他の重合性化合物との共重合体であってもよい。
〔エネルギー付与〕
基板表面に活性点を発生させるためのエネルギー付与方法としては、例えば、加熱や露光等の輻射線照射を用いることができる。
エネルギー付与手段の具体例としては、例えば、UVランプ、可視光線などによる光照射、ホットプレートなどでの加熱、更には、グロー放電処理等が挙げられる。ここで、光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、等がある。また、g線、i線、Deep−UV光も使用される。
エネルギー付与に要する時間としては、目的とするグラフトポリマーの生成量及びエネルギー付与手段により異なるが、通常、10秒〜5時間の間である。
また、本発明において、生成したグラフトポリマーからなる層の膜厚は、無電解めっき触媒を十分に吸着させるという観点から、0.1〜3μmの範囲であることが好ましく、0.5〜2μmの範囲であることがより好ましい。
〔基板〕
次に、本発明において用いられる基板について説明する。本発明における基板は、寸度的に安定な板状物であり、必要な可撓性、強度、耐久性等を満たせばいずれのものも使用でき、使用目的に応じて適宜選択される。
基板として具体的には、ポリイミド樹脂、ビスマレインイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、エポキシ樹脂、液晶ポリマー、ポリテトラフルオロエチレン樹脂などを成型したものや、シリコーン基板、紙、プラスチックがラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙若しくはプラスチックフィルム等を挙げることができる。
また、本発明で得られる導電膜を用いてプリント配線板を作製する場合には、基板として絶縁性樹脂を用いることが好ましい。
このような絶縁性樹脂としては、ポリフェニレンエーテル又は変性ポリフェニレンエーテル、シアネートエステル化合物、エポキシ化合物などの樹脂が挙げられる。これらの樹脂の1種以上を含む熱硬化性樹脂組成物により形成される基板が好ましく用いられる。これらの樹脂を2種以上組み合わせて樹脂組成物とする場合の好ましい組み合わせとしては、ポリフェニレンエーテル又は変性ポリフェニレンエーテルとシアネートエステル化合物、ポリフェニレンエーテル又は変性ポリフェニレンエーテルとエポキシ化合物、ポリフェニレンエーテル又は変性ポリフェニレンエーテルとシアネートエステル化合物とエポキシ化合物などの組み合わせが挙げられる。
このような熱硬化性樹脂組成物により基板を形成する場合には、シリカ、タルク、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムからなる群より選ばれる無機充填剤を含まないことが好ましく、また、臭素化合物又はリン化合物を更に含む熱硬化性樹脂組成物であることが好ましい
また、その他の絶縁性樹脂としては、特開2006−193780号公報に記載の、1,2−ビス(ビニルフェニレン)エタン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、クラレ製の「ベクスター」、ポリ4フッ化エチレン(PTFE)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、シアネートエステル樹脂、ビス(ビスフェニレン)エタン樹脂を用いることができる。
[基板表面或いは中間層]
本発明における基板は、上述のように、グラフトポリマーが化学的に直接結合できるような表面を有するものである。本発明においては、基板の表面自体がこのような特性を有していてもよく、このような特性を有する中間層を基板表面に設けてもよい。
中間層としては、特に、光グラフト重合法、プラズマ照射グラフト重合法、放射線照射グラフト重合法によりグラフトポリマーを合成する場合には、有機表面を有する層であることが好ましく、特に有機ポリマーの層であることが好ましい。また、有機ポリマーとしてはエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド系樹脂、メラミン系樹脂、フォルマリン樹脂などの合成樹脂、ゼラチン、カゼイン、セルロース、デンプンなどの天然樹脂のいずれも使用することができる。光グラフト重合法、プラズマ照射グラフト重合法、放射線照射グラフト重合法などではグラフト重合の開始が有機ポリマーの水素の引き抜きから進行するため、水素が引き抜かれやすいポリマー、特に、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ樹脂などを使用することが、特に製造適性の点で好ましい。
[重合開始能を発現する層]
本発明においては、グラフト重合の際に活性点を効率よく発生させるという観点から、基板表面に設けられる中間層としては、エネルギーを付与することにより重合開始能を発現する化合物を含有する層(重合開始能を発現する層)であることが好ましい。この重合開始能を発現する層としては、重合性化合物及び重合開始剤を含有する重合開始層と、側鎖に重合開始能を有する官能基及び架橋性基を有するポリマー(以下、特定重合開始ポリマーと称する。)を架橋反応により固定化してなる重合開始層と、の2つの態様が存在する。
この2つの態様の重合開始能を発現する層について順次説明する。
(重合性化合物及び重合開始剤を含有する重合開始層)
本発明における重合開始層は、重合性化合物及び重合開始剤等の必要な成分を、それらを溶解可能な溶媒に溶解し、塗布などの方法で基板表面上に設け、加熱又は光照射により硬膜し、形成することができる。
(a)重合性化合物
重合開始層に用いられる重合性化合物は、基板との密着性が良好であり、且つ、活性光線照射などのエネルギー付与により、カルボン酸基を有するモノマーやポリマーが付加し得るものであれば特に制限はないが、中でも、分子内に重合性基を有する疎水性ポリマーが好ましい。
このような疎水性ポリマーとしては、具体的には、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリぺンタジエンなどのジエン系単独重合体、アリル(メタ)アクリレー卜、2−アリルオキシエチルメタクリレー卜などのアリル基含有モノマーの単独重合体;
更には、前記のポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリペンタジエンなどのジエン系単量体又はアリル基含有モノマーを構成単位として含む、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリルなどとの二元又は多元共重合体;
不飽和ポリエステル、不飽和ポリエポキシド、不飽和ポリアミド、不飽和ポリアクリル、高密度ポリエチレンなどの分子中に炭素−炭素二重結合を有する線状高分子又は3次元高分子類;などが挙げられる。
なお、本明細書では、「アクリル、メタクリル」の双方或いはいずれかを指す場合、「(メタ)アクリル」と表記することがある。
重合性化合物の含有量は、重合開始層中、固形分で0〜100質量%の範囲が好ましく、10〜80質量%の範囲が特に好ましい。
(b)重合開始剤
本発明における重合開始層には、エネルギー付与により重合開始能を発現させるための重合開始剤を含有することが好ましい。ここで用いられる重合開始剤は、所定のエネルギー、例えば、活性光線の照射、加熱、電子線の照射などにより、重合開始能を発現し得る公知の熱重合開始剤、光重合開始剤などを目的に応じて、適宜選択して用いることができる。中でも、熱重合よりも反応速度(重合速度)が高い光重合を利用することが製造適性の観点から好適であり、このため、光重合開始剤を用いることが好ましい。
光重合開始剤は、照射される活性光線に対して活性であり、重合開始層に含まれる重合性化合物と、カルボン酸基を有するモノマーやポリマーと、を重合させることが可能なものであれば、特に制限はなく、例えば、ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤などを用いることができる。
そのような光重合開始剤としては、具体的には、例えば、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンの如きアセトフェノン類;ベンゾフェノン(4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、の如きケトン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルの如きベンゾインエーテル類;ベンジルジメチルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの如きベンジルケタール類、などが挙げられる。
重合開始剤の含有量は、重合開始層中、固形分で0.1〜70質量%の範囲が好ましく、1〜40質量%の範囲が特に好ましい。
重合性化合物及び重合開始剤を塗布する際に用いる溶媒は、それらの成分が溶解するものであれば特に制限されない。乾燥の容易性、作業性の観点からは、沸点が高すぎない溶媒が好ましく、具体的には、沸点40℃〜150℃程度のものを選択すればよい。
具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、3−メトキシプロパノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテートなどが挙げられる。
これらの溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。そして塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50質量%が適当である。
重合開始層を基板上に形成する場合の塗布量は、充分な重合開始能の発現、及び、膜性を維持して膜剥がれを防止するといった観点からは、乾燥後の質量で、0.1〜20g/mが好ましく、更に、1〜15g/mが好ましい。
上記のように、基板表面上に上記の重合開始層形成用の組成物を塗布などにより配置し、溶剤を除去することにより成膜させて重合開始層を形成するが、このとき、加熱及び/又は光照射を行って硬膜することが好ましい。特に、加熱により乾燥した後、光照射を行って予備硬膜しておくと、重合性化合物のある程度の硬化が予め行なわれるので、基板上にグラフトポリマーが生成した後に重合開始層ごと脱落するといった事態を効果的に抑制し得るため好ましい。ここで、予備硬化に光照射を利用するのは、前記光重合開始剤の項で述べたのと同様の理由による。
加熱温度と時間は、塗布溶剤が充分乾燥し得る条件を選択すればよいが、製造適正の点からは、温度が100℃以下、乾燥時間は30分以内が好ましく、乾燥温度40〜80℃、乾燥時間10分以内の範囲の加熱条件を選択することがより好ましい。
加熱乾燥後に所望により行われる光照射は、光源として、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。また、g線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。引き続き行われるグラフトパターンの形成と、エネルギー付与により実施される重合開始層の活性点とグラフト鎖との結合の形成を阻害しないという観点から、重合開始層中に存在する重合性化合物が部分的にラジカル重合しても、完全にはラジカル重合しない程度に光照射することが好ましく、光照射時間については光源の強度により異なるが、一般的には30分以内であることが好ましい。このような予備硬化の目安としては、溶剤洗浄後の膜残存率が10%以上となり、且つ、予備硬化後の開始剤残存率が1%以上であることが、挙げられる。
(特定重合開始ポリマーを架橋反応により固定化してなる重合開始層)
本発明における重合開始層は、特定重合開始ポリマーを含んで構成されていてもよい。この特定重合開始ポリマーは、側鎖に重合開始能を有する官能基及び架橋性基を有するポリマーである。このため、その特定重合開始ポリマーにおいて、重合開始基がポリマー鎖に結合しており、且つ、そのポリマー鎖が架橋反応により固定化された形態の重合開始層を形成することができる。このような重合開始層の表面にグラフトポリマーを生成させる場合、例えば、カルボン酸基を有するモノマーを含有する溶液を接触させても、その溶液中に重合開始層中の開始剤成分が溶出することを防止することができる。また、重合開始層の形成に際しては、通常のラジカルによる架橋反応のみならず、極性基間の縮合反応や付加反応を使用することも可能であるため、より強固な架橋構造を得ることができる。その結果、重合開始層中の開始剤成分が溶出することをより効率良く防止することができ、重合開始層表面と直接結合をしていないホモポリマーの副生が抑えられることにより、重合開始層表面には直接結合したグラフトポリマーのみが生成されることになる。
ここで用いられる特定重合開始ポリマーは、特開2004−161995号公報の段落番号〔0011〕〜〔0158〕に記載にものが挙げられる。特定重合開始ポリマーの特に好ましいものの具体例としては、以下に示すものが挙げられる。
Figure 2008251711
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−重合開始層の成膜−
本発明における重合開始層は、上述の特定重合開始ポリマーを適当な溶剤に溶解し、塗布液を調製し、その塗布液を基板上に塗布などにより配置し、溶剤を除去し、架橋反応が進行することにより成膜する。つまり、この架橋反応が進行することにより、特定重合開始ポリマーが固定化される。この架橋反応による固定化には、特定重合開始ポリマーの自己縮合反応を使用する方法、及び架橋剤を併用する方法があり、架橋剤を用いることが好ましい。特定重合開始ポリマーの自己縮合反応を使用する方法としては、例えば、架橋性基が−NCOである場合、熱をかけることにより自己縮合反応が進行する性質を利用したものである。この自己縮合反応が進行することにより、架橋構造を形成することができる。
また、架橋剤を併用する方法に用いられる架橋剤としては、山下信二編「架橋剤ハンドブック」に掲載されているような従来公知のものを用いることができる。
特定重合開始ポリマー中の架橋性基と架橋剤との好ましい組み合わせとしては、(架橋性基,架橋剤)=(−COOH,多価アミン)、(−COOH,多価アジリジン)、(−COOH,多価イソシアネート)、(−COOH,多価エポキシ)、(−NH,多価イソシアネート)、(−NH,アルデヒド類)、(−NCO,多価アミン)、(−NCO,多価イソシアネート)、(−NCO,多価アルコール)、(−NCO,多価エポキシ)、(−OH,多価アルコール)、(−OH,多価ハロゲン化化合物)、(−OH,多価アミン)、(−OH,酸無水物)が挙げられる。中でも、架橋の後にウレタン結合が生成し、高い強度の架橋が形成可能であるという点で、(官能基,架橋剤)=(−OH,多価イソシアネート)が、更に好ましい組み合わせである。
本発明における架橋剤の具体例としては、以下に示す構造のものが挙げられる。
Figure 2008251711
このような架橋剤は、重合開始層の成膜の際、上述の特定重合開始ポリマーを含有する塗布液に添加される。その後、塗膜の加熱乾燥時の熱により、架橋反応が進行し、強固な架橋構造を形成することができる。より詳細には、下記のex1.で示される脱水反応やex2.で示される付加反応により架橋反応が進行し、架橋構造が形成される。これらの反応における温度条件としては、50℃以上300℃以下が好ましく、更に好ましくは80℃以上200℃以下である。
Figure 2008251711
また、塗布液中の架橋剤の添加量としては、特定重合開始ポリマー中に導入されている架橋性基の量により変化するが、架橋度合や、未反応の架橋成分の残留による重合反応への影響の観点から、通常、架橋性基のモル数に対して0.01〜50当量であることが好ましく、0.01〜10当量であることがより好ましく、0.5〜3当量であることが更に好ましい。
また、重合開始層を塗布する際に用いる溶媒は、上述の特定重合開始ポリマーが溶解するものであれば特に制限されない。乾燥の容易性、作業性の観点からは、沸点が高すぎない溶媒が好ましく、具体的には、沸点40℃〜150℃程度のものを選択すればよい。
具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、3−メトキシプロパノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテートなどが挙げられる。
これらの溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。そして塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50重量%が適当である。
重合開始層の塗布量は、表面グラフト重合の開始能や、膜性の観点から、乾燥後の重量で、0.1〜20g/mが好ましく、更に、1〜15g/mが好ましい。
[重合開始能を有する基板]
更に、本発明においては、基板自体が重合開始能を有していてもよい。このような基板としては、例えば、骨格中に重合開始部位を有するポリイミドを含む基板が好適である。
このような基板としては、特開2005−3070140合公報の〔0018〕〜〔0078〕に記載のポリイミド基板を用いることができる。
このような基板を構成する、骨格中に重合開始部位を有するポリイミドの具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2008251711
Figure 2008251711
以上のようにして、基板上にポリマー層を形成した後、(a2)、(a3)、(a4)、及び(a5)工程がこの順に行われる。
<(a2)工程>
本工程においては、上記のようにして形成されたポリマー層中のカルボン酸基に、無電解めっき触媒又はその前駆体を付与する。
これにより、グラフトポリマーが有しているカルボン酸基と、無電解めっき触媒又はその前駆体と、が相互作用して、吸着することになる。
〔無電解めっき触媒〕
本工程において用いられる無電解めっき触媒とは、主に0価金属であり、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Coなどが挙げられる。本発明においては、特に、Pd、Agがその取り扱い性の良さ、触媒能の高さから好ましい。0価金属をカルボン酸基に吸着させる手法としては、例えば、カルボン酸基と相互作用するように荷電を調節した金属コロイドを、グラフトポリマーが生成された面に適用する手法が用いられる。一般に、金属コロイドは、荷電を持った界面活性剤又は荷電を持った保護剤が存在する溶液中において、金属イオンを還元することにより作製することができる。金属コロイドの荷電は、ここで使用される界面活性剤又は保護剤により調節することができ、このように荷電を調節した金属コロイドを、グラフトポリマーが有するカルボン酸基と相互作用させることで、グラフトポリマーに金属コロイド(無電解めっき触媒)を吸着させることができる。
〔無電解めっき触媒前駆体〕
本工程において用いられる無電解めっき触媒前駆体とは、化学反応により無電解めっき触媒となりうるものであれば、特に制限なく使用することができる。主には上記無電解めっき触媒で用いた0価金属の金属イオンが用いられる。無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、還元反応により無電解めっき触媒である0価金属になる。無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、グラフトポリマーのカルボン酸基に吸着した後、無電解めっき浴への浸漬前に、別途還元反応により0価金属に変化させて無電解めっき触媒としてもよいし、無電解めっき触媒前駆体のまま無電解めっき浴に浸漬し、無電解めっき浴中の還元剤により金属(無電解めっき触媒)に変化させてもよい。
実際には、無電解めっき前駆体である金属イオンは、金属塩の状態でグラフトポリマーに付与する。使用される金属塩としては、適切な溶媒に溶解して金属イオンと塩基(陰イオン)とに解離されるものであれば特に制限はなく、M(NO)n、MCln、M2/n(SO)、M3/n(PO)(Mは、n価の金属原子を表す)などが挙げられる。金属イオンとしては、上記の金属塩が解離したものを好適に用いることができる。具体例としては、例えば、Agイオン、Cuイオン、Alイオン、Niイオン、Coイオン、Feイオン、Pdイオンが挙げられ、Agイオン、Pdイオンが触媒能の点で好ましい。
無電解めっき触媒である金属コロイド、或いは、無電解めっき前駆体である金属塩をグラフトポリマーに付与する方法としては、金属コロイドを適当な分散媒に分散、或いは、金属塩を適切な溶媒で溶解し、解離した金属イオンを含む溶液を調製し、その溶液をグラフトポリマーが存在する基板表面に塗布するか、或いは、その溶液中にグラフトポリマーを有する基板を浸漬すればよい。金属イオンを含有する溶液を接触させることで、グラフトポリマーが有するカルボン酸基に、イオン−イオン相互作用、又は、双極子−イオン相互作用を利用して金属イオンを吸着させること、或いは、グラフトポリマー生成領域に金属イオンを含浸させることができる。このような吸着又は含浸を充分に行なわせるという観点からは、接触させる溶液中の金属イオン濃度、或いは金属塩濃度は0.01〜50質量%の範囲であることが好ましく、0.1〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。また、接触時間としては、1分〜24時間程度であることが好ましく、5分〜1時間程度であることがより好ましい。
<(a3)工程>
本工程では、無電解めっき触媒等付与工程より、無電解めっき触媒等が付与された基板に対して、少なくとも無電解めっきを行うことで、めっき膜を形成する。
即ち、本工程における無電解めっきを行うことで、前記工程により得られたポリマー層に高密度のめっき膜(金属膜)が形成される。形成されためっき膜(金属膜)は、優れた導電性と密着性を有する。
〔無電解めっき〕
無電解めっきとは、めっきとして析出させたい金属イオンを溶かした溶液を用いて、化学反応によって金属を析出させる操作のことをいう。
本工程における無電解めっきは、例えば、前記無電解めっき触媒等付与工程で得られた、無電解めっき触媒が付与された基板を、水洗して余分な無電解めっき触媒(金属)を除去した後、無電解めっき浴に浸漬して行なう。使用される無電解めっき浴としては一般的に知られている無電解めっき浴を使用することができる。
また、無電解めっき触媒前駆体が付与された基板を、無電解めっき触媒前駆体がグラフトポリマーに付着又は含浸した状態で無電解めっき浴に浸漬する場合には、基板を水洗して余分な前駆体(金属塩など)を除去した後、無電解めっき浴中へ浸漬される。この場合には、無電解めっき浴中において、前駆体の還元とこれに引き続き無電解めっきが行われる。ここ使用される無電解めっき浴としても、上記同様、一般的に知られている無電解めっき浴を使用することができる。
一般的な無電解めっき浴の組成としては、1.めっき用の金属イオン、2.還元剤、3.金属イオンの安定性を向上させる添加剤(安定剤)が主に含まれている。このめっき浴には、これらに加えて、めっき浴の安定剤など公知の添加物が含まれていてもよい。
無電解めっき浴に用いられる金属の種類としては、銅、すず、鉛、ニッケル、金、パラジウム、ロジウム等が知られており、中でも、導電性の観点からは、銅や金が特に好ましい。
また、上記金属に合わせて最適な還元剤、添加物がある。例えば、銅の無電解めっきの浴は、銅塩としてCuSO、還元剤としてHCOH、添加剤として銅イオンの安定剤であるEDTAやロッシェル塩などのキレート剤が含まれている。また、CoNiPの無電解めっきに使用されるめっき浴には、その金属塩として硫酸コバルト、硫酸ニッケル、還元剤として次亜リン酸ナトリウム、錯化剤としてマロン酸ナトリウム、りんご酸ナトリウム、こはく酸ナトリウムが含まれている。また、パラジウムの無電解めっき浴は、金属イオンとして(Pd(NH)Cl、還元剤としてNH、HNNH、安定化剤としてEDTAが含まれている。これらのめっき浴には、上記成分以外の成分が入っていてもよい。
このようにして形成される金属膜の膜厚は、めっき浴の金属塩又は金属イオン濃度、めっき浴への浸漬時間、或いは、めっき浴の温度などにより制御することができるが、導電性の観点からは、0.5μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。また、めっき浴への浸漬時間としては、1分〜3時間程度であることが好ましく、1分〜1時間程度であることがより好ましい。
以上のようにして得られる金属膜は、運動性の高いグラフトポリマーに吸着された無電解めっき触媒に対して無電解めっきを行い形成されるものであり、めっき液はグラフトポリマーからなる層内部にも浸透すると考えられることから、金属膜と基板との界面は、グラフトポリマーと無電解めっき触媒や析出しためっき金属とのハイブリッド状態になっているものと予想される。このような金属膜を、SEMにより断面を観察すると、グラフトポリマーからなる層中に無電解めっき触媒やめっき金属の微粒子が分散しており、更に、その上に比較的大きな金属粒子が析出していることが確認された。この結果に示されるように、界面がグラフトポリマーと微粒子とのハイブリッド状態で構成されているため、基板(有機成分)と無機物(無電解めっき触媒又はめっき金属)との界面の凹凸差が500nm以下、更に、好ましい態様である100nm以下であるような平坦な状態であっても、金属膜の密着性が良好であった。
〔電気めっき〕
本発明においては、(a3)工程が、 前記(a3)工程が、無電解めっきを行った後に、更に電気めっきを行って、めっき膜を形成する工程であることが好ましい。
この電気めっきは、前述の無電解めっきにより得られためっき膜(金属膜)を電極として行われる。
無電解めっき、及び電気めっきをこの順で行うことにより、無電解めっきにより得られた、基板との密着性に優れためっき膜(金属膜)をベースとして、そこに新たに任意の厚みをもつ金属膜を容易に形成することができる。これにより、めっき膜(金属膜)を目的に応じた厚みに形成することができ、本発明において得られた導電パターンを種々の応用に適用するのに好適である。
本発明における電気めっきの方法としては、従来公知の方法を用いることができる。なお、本工程の電気めっきに用いられる金属としては、銅、クロム、鉛、ニッケル、金、銀、すず、亜鉛などが挙げられ、導電性の観点から、銅、金、銀が好ましく、銅がより好ましい。
電気めっきにより得られるめっき膜(金属膜)の膜厚については、用途に応じて異なるものであり、めっき浴中に含まれる金属濃度、浸漬時間、或いは、電流密度などを調整することでコントロールすることができる。なお、一般的な金属配線など作製する際に用いるためには、膜厚は、導電性の観点から、0.3μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。
<a4工程>
本工程では、前記(a3)工程で形成されためっき膜をパターン状にエッチングする。この工程では、「サブトラクティブ法」が用いられる・
以下、本発明の導電パターン材料の作製方法におけるエッチング工程に好適なサブトラクティブ法について説明する。
サブトラクティブ法とは、めっき膜(金属膜)上に、(i)感光性レジスト膜を形成 → (ii)パターン露光及び現像を行い、残すべき金属膜のレジストパターン形成 → (iii)エッチングすることで不要な金属膜を除去する → (iv)感光性レジスト層を剥離させて、金属膜がパターン状に残存してなる金属パターンを形成する方法である。
サブトラクティブ法に使用される金属膜の膜厚としては5μm以上であることが好ましく、5〜30μmの範囲であることがより好ましい。
(i)感光性レジスト膜形成工程
本工程において用いられる感光性レジストとしては、光硬化型のネガレジスト、又は、露光により溶解する光溶解型のポジレジストが使用できる。感光性レジストの種類としては、1.感光性ドライフィルムレジスト(DFR)、2.液状レジスト、3.ED(電着)レジストが挙げられる。これらはそれぞれ特徴があり、1.感光性ドライフィルムレジスト(DFR)は乾式で用いることができるので取り扱いが簡便、2.液状レジストは薄い膜厚の感光性レジスト膜とすることができるので解像度の良いパターンを作ることができる。3.ED(電着)レジストは薄い膜厚の感光性レジスト膜とすることができるので解像度の良いパターンを作ることができること、また、塗布面の凹凸への追従性が良く、密着性が優れている。使用する感光性レジストは、これらの特徴を加味して適宜選択すればよい。
以下、感光性レジスト膜形成方法について説明する。
1.感光性ドライフィルムは、一般的に、ポリエステルフィルムとポリエチレンフィルムにはさまれたサンドイッチ構造をしているため、導電膜の金属膜上に、ラミネータでポリエチレンフィルムを剥がしながら熱ロールで圧着する方法を用いる。
2.液状レジストは導電膜の金属膜上に塗布、乾燥する方法を用いる。塗布方法としては、スプレーコート、ロールコート、カーテンコート、ディップコートが用いられる。また、導電膜の両面同時に塗布するには、このうちロールコート、ディップコートを用いることが好ましい。
3.ED(電着)レジストは、感光性レジストを微細な電荷を帯びた粒子にして水に懸濁させコロイドとしたものである。そのため、導電膜の金属膜上に、ED(電着)レジストを塗布し、金属膜に電圧を与えて粒子を電気泳動させ、金属膜上に感光性レジストを析出させて、それらを相互に結合させて膜状にする方法を用いる。
(ii)パターン露光及び現像工程
本工程におけるパターン露光は、感光性レジスト膜上にマスクフィルム又は乾板を密着させて、使用している感光性レジストの感光領域の光で露光する。マスクフィルムを用いる場合には、真空の焼き枠で感光性レジスト膜とマスクフィルムとを密着させて露光する。
露光源に関しては、パターン幅が100μm程度では点光源を用いることができる。また、パターン幅が100μm以下のものを形成する場合は平行光源を用いることが好ましい。
本工程における現像には、光硬化型のネガレジストならば未露光部を、又は、露光により溶解する光溶解型のポジレジストならば露光部を溶かすものならば何を使用してもよいが、主には、有機溶剤、アルカリ性水溶液が使用され、近年は環境負荷低減からアルカリ性水溶液が使用されている。
(iii)エッチング工程
本工程では、感光性レジスト膜のない露出した金属膜を化学的に溶解することで、金属パターンを形成する。エッチング工程は、主に、水平コンベア装置で、エッチング液を上下よりスプレーして行う。
エッチング液は、酸化性の水溶液で金属膜を構成する金属を酸化、溶解する。エッチング液として用いられるものは、塩化第二鉄液、塩化第二銅液、アルカリエッチャントがある。残存した感光性レジスト膜がアルカリにより剥離してしまう可能性があることから、主には、塩化第二鉄液、塩化第二銅液が使用される。
(iv)感光性レジスト膜剥離工程
本工程では、エッチング工程が終了し、金属パターンが完成した後、残存する感光性レジスト膜を剥離する。感光性レジスト膜の剥離は、剥離液をスプレーして行うことができる。剥離液はレジストの種類により異なるが、一般的には、感光性レジスト膜を膨潤させる溶剤が用いられる。
これらの一連の工程により、本発明の導電パターン材料の作製方法(1)におけるエッチング工程が行われる。これにより、所望の導電パターン(金属パターン)が形成される。
<(a5)工程>
本工程では、前記(a4)工程によりめっき膜が除去された領域に存在する前記ポリマー層中のカルボン酸基をアンモニウム塩化した後、熱分解させる。
つまり、本工程では、金属パターンの非形成領域に存在するポリマー層中のカルボン酸基を、アンモニウム塩化した後、熱分解させることで、疎水化する。
ここで、カルボン酸基を疎水化するとは、極性変換前のカルボン酸基の親水性と比較して、水との親和性が低くなる状態へと変化させることを意味する。
本工程において、カルボン酸基を疎水性に変化させるには、まず、カルボン酸基をアンモニウム塩化し、その後、加熱することで熱分解を引き起こさせエステル化する方法が用いられる。
ここで、カルボン酸基をアンモニウム塩化する方法としては、カルボン酸基の状態にもよるが、カルボン酸フォームであれば、アミンやアンモニウム塩を直接作用させてアンモニウム塩化する方法を取ることができる。また、カルボン酸基がカルボン酸塩構造である場合は、アンモニウム塩を作用させてカチオン交換反応によりアンモニウム塩化する方法を用いることができる。
また、更に好ましい態様としては、カルボン酸基を多価金属イオン塩に変換させた後、アンモニウム塩化し、熱分解させる方法である。この方法は、カルボン酸基を多価金属イオン塩に変換させることで疎水化することができるため、一部、アンモニウム塩化処理ができなかったカルボン酸基が残存しても、ポリマー層の疎水化を保つことができるため、好ましい。
ここで使用できる多価金属イオンとしては、鉄、亜鉛、アルミニウム、カルシウムなどが上げられるが、亜鉛、アルミニウム、カルシウムが疎水化の観点で好ましい。
本発明においてカルボン酸基をアンモニウム塩化する際に使用されるアンモニウム塩化剤としては、カルボン酸基の場合は、ジメチルアニリン、ジフェニルアミン、2−アミノナフタレン、ベンジルジメチルアミン、メチルアニリン、エチルアニリン、ブチルアニリン、フェニルベンジルアミン、メチルエチルアニリン、ジエチルアニリン、ジブチルアニリン、トリフェニルアミン、ベンジルエチルアニリン、アニリノエタノール、2−(N−エチルアニリノ)エタノール、N−フェニルジエタノールアミン、N−(エトキシメチル)―N−メチルアニリン、N−エチル−o―トルイジン、N,N−ジメチル−o―トルイジン、N,N−ジメチルーMートルイジン、N−エチル−M−トルイジン、N,N−ジエチル―M―トルイジン、3−ジメチルアミノフェノール、3−ジエチルアミノフェノール、2−(N−エチルーMートルイジノ)エタノール、N,N−ジメチル−p−トルイジン、4−ターシャリーブチル―N,N―ジメチルアニリン、2,2’−(p−トリルイミノ)ジエタノール、4−(ジメチルアミノ)フェネチルアルコール、N−エチル−2,3−キシリジン、2,6−ジイソプロピルーN,Nージメチルアニリン、3−メチルジフェニルアミン、3−メトキシジフェニルアミン、3−ヒドロキシジフェニルアミン、N−エチル−ナフチルアミン、N、N−ジメチル−1−ナフチルアミン、N−フェニルー1−ナフチルアミン、2−(ジメチルアミノ)フルオレン、N−ベンジル―α―メチルベンジルアミン、Diphenhydramine、2−〔4−(1,2−ジフェニルー1−ブテニル)フェノキシ〕―N,N―ジメチルエチルアミン、N−ブチルベンジルアミン、N−(t−ブチル)ベンジルアミン、ジベンジルアミン、N−メチルフェネチルアミン、N−ベンジルー2−フェネチルアミン、ジメチルベンジルアミン、メチルジフェニチルアミン、トリベンジルアミン、3−(ジベンジルアミノ)−1−プロパノール、N−エチルー3,3’−ジフェニチルジプロピルアミン、1−メチルピロリジン、4−フェニルモルホリン、1,2,3,4―テトラヒドロキノリン、1,2,3,4―テトラヒドロイソキノリン、Julolidine、Iminodibenzyl、5,10−Dihydro−5,10−dimethylphenazine、フェノキサジン、フェノチアジン、N−メチルフェノチアジン、エチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジメチルイソプロピルアミン又はこれらの塩酸塩、臭化水素塩、硫酸塩、水酸化物塩、更に、ハロゲン化アルキルを反応させたアンモニウム塩(1級アミンからは2級アンモニウム塩、2級アミンからは3級アンモニウム塩、3級アミンからは4級アンモニウム塩が形成)が使用できる。
上記のものの中でも、熱分解性を考慮すると、トリアルキルアンモニウム塩構造を形成可能な、4級アンモニウム塩が好ましい。より具体的には、トリメチルアニリニウムクロライド、トリメチルアニリニウムブロマイド、トリメチルアニリニウムヨーダイド、トリメチルアニリニウムメチルスルフェート、トリメチルアニリニウムメチルヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリエチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリブチルアンモニウムヨーダイド、ベンジルジメチルドデシルアンモニウムブロマイド、ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムクロライド、ベンジルジメチルステアリルが挙げられる。この中でも更に好ましくは、トリメチルアニリニウム塩であり、更に、カルボン酸アンモニウム塩構造形成の観点から、ヒドロキシ塩が好ましい。
一方、カルボン酸塩構造の場合は、上記のアンモニウム塩化剤(アンモニウム塩化に用いられる試薬)の中のアンモニウム塩構造のものが使用できる。これらの中でも、熱分解性を考慮すると、トリメチルアニリニウム塩構造を形成可能な、トリメチルアニリニウム塩が好ましく、更に好ましくは、カルボン酸アンモニウム塩構造形成の観点から、ハロゲン塩が好ましい。
上述のように、アンモニウム塩化剤をカルボン酸基に対して作用させる方法としては、アンモニウム塩化剤の溶液に、金属パターンが形成された基板を浸漬する方法をもちることが好ましく、その浸漬時間は30秒から1時間が好ましい。
上記のようにアンモニウム塩化剤を作用させて形成されるアンモニウム塩化構造としては、いかなるアンモニウム塩構造であってもよいが、熱分解性などを考慮して、芳香族アミン塩構造が好ましい。
上記のようにして形成されたカルボン酸基のアンモニウム塩構造は、熱分解される。
この際の加熱温度としては、100〜250℃が好ましく、より好ましくは150〜250℃である。また、加熱時間は、10分〜3時間が好ましい。
≪導電パターン材料の作製方法(2)≫
以下に、本発明の導電パターン材料の作製方法(2)について説明する。
本発明の導電パターン材料の作製方法(2)は、(b1)基板上に、該基板表面に直接結合し、且つ、カルボン酸基を有するポリマー層を形成する工程と、(b2)該カルボン酸基に無電解めっき触媒又はその前駆体を付与する工程と、(b3)無電解めっきを行い、めっき膜を形成する工程と、(b4)めっき膜上にパターン状のレジスト層を形成する工程と、(b5)電気めっきにより、前記レジスト層の非形成領域に金属パターンを形成する工程と、(b6)前記レジスト層を剥離する工程と、(b7)前記(b3)工程で形成しためっき膜のうち、前記レジスト層で保護されていた領域のめっき膜を除去する工程と、(b8)前記(b6)工程によりめっき膜が除去された領域に存在する前記ポリマー層中のカルボン酸基をアンモニウム塩化した後、熱分解させる工程と、をこの順に有することを特徴とする。
本発明の導電パターン材料の作製方法(2)における(b1)〜(b3)工程は、前述の本発明の導電パターン材料の作製方法(1)の(a1)〜(a3)工程と同一であり、好ましい態様も同様である。
<(b4)〜(b7)工程>
本発明の導電パターン材料の作製方法(2)における(b4)〜(b7)工程は、「セミアディティブ法」を用いた金属パターンの形成方法を示したものである。
以下、この(b4)〜(b7)工程(「セミアディティブ法」)について、説明する。
セミアディティブ法とは、めっき膜(金属膜)上に、(I)感光性レジスト膜を形成 → (II)パターン露光及び現像を行い、所望の非金属パターン部にレジストパターン形成 → (III)非レジストパターン部に電気めっき → (IV)感光レジスト層を剥離させ → (V)非金属パターン部のめっき層が完全に除去できる程度に全面エッチングすることで、金属パターンを形成する方法である。
なお、上記(I)、(II)、(IV)、及び(V)の各工程は、それぞれ、前述のサブトラクティブ法における(i)、(ii)、(iv)、及び(iii)の各工程と同様の方法を用いることができる。また、上記(III)の工程は、前述の本発明の導電パターン材料の作製方法(1)の(a3)工程における電気めっき方法を適用することができる。
<(b8)工程>
本工程においては、(b7)工程によりめっき膜が除去された領域に存在する前記ポリマー層中のカルボン酸基をアンモニウム塩化した後、熱分解させる。
つまり、前述の(b1)〜(b7)工程により形成された金属パターンの非形成領域に存在するポリマー層中のカルボン酸基を、アンモニウム塩化した後、熱分解させることで、疎水化する。
なお、この工程は、前述の本発明の導電パターン材料の作製方法(1)の(a5)工程と同一であり、好ましい態様も同様である。
<防錆処理工程>
本発明においては、前述の方法により形成された金属パターンに対して、酸化を防止するための防錆処理を施すことができる。
本発明に適用可能な防錆処理としては、通常、プリント配線基板の製造時に使用されている防錆処理の方法が何れも使用可能である。例えば、亜鉛をめっきする方法、フラックスを塗布する方法、ソルダーレジストを塗布する方法などを用いることができる。
本発明の導電パターン材料の作製方法(1)及び(2)は、金属パターンの非形成領域に存在するポリマー層中のカルボン酸基を疎水化する工程を有する。そのため、この金属パターンの非形成領域の吸水性や吸湿性が低下し、耐イオンマイグレーション性に優れることとなる。
特に、本発明の導電パターン材料の作製方法によりえら得た金属パターンをプリント配線板などに適用した場合、配線間の絶縁性が向上するため、微細配線でありながらも、短絡等が発生せず、信頼性の高めることができる。
≪導電パターン材料≫
本発明の導電パターン材料は、基板と、該基板表面に直接結合し、且つ、カルボン酸基を有するポリマーからなるポリマー層と、該ポリマー層の内部及び上部に形成されたパターン状のめっき膜と、を有し、該パターン状のめっき膜の非形成領域における前記ポリマー層中のカルボン酸基が、熱分解により疎水化されてなることを特徴とする。この導電性パターン材料は、既述した本発明の導電パターン材料の作製方法(1)又は(2)により好適に得ることができる。
ここで、カルボン酸基が熱分解により疎水化された状態とは、空気中での水に対する接触角が上昇した状態を意味する。
本発明の導電パターン材料は、パターン状のめっき膜(金属パターン)が形成されていない領域のポリマー層において、カルボン酸基が疎水化されていることを特徴とする。その結果、この金属パターンの非形成領域の吸水性や吸湿性が低下し、耐イオンマイグレーション性に優れることとなる。
また、形成されたパターン状のめっき膜(金属パターン)は、基板表面に直接結合したポリマーからなるポリマー層の内部から上部にまで亘っているため、その密着性は高く、また、十分な導電性をえることができる。
このような導電性パターン材料は、プリント配線板、フレキシブルな金属配線基板の他、電磁波防止膜、アンテナなどにも用いることができる。
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔合成例1:特定重合開始ポリマーAの合成〕
300mlの三口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル(MMPG)30gを加え75度に加熱した。そこに、〔2−(アクリロイロキシ)エチル〕(4−ベンゾイルベンジル)ジメチルアンモニウム ブロミド8.1gと、2−ヒドロキシエチルメタクリレート9.9gと、イソプロピルメタクリレート13.5gと、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.43gと、MMPG30gと、の溶液を2.5時間かけて滴下した。その後、反応温度を80度に上げ、更に2時間反応させ、特定重合開始ポリマーAを15g得た。
〔合成例2:カルボン酸基含有重合性ポリマー1の合成〕
ポリアクリル酸(和光純薬製、平均分子量:25000)18gをジメチルアセトアミド(DMAc)300gに溶解し、ハイドロキノン0.41gと2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート19.4gとジブチルチンジラウレート0.25gを添加し、65℃、4時間反応させた。得られたポリマーの酸価は7.02meq/gであった。1N水酸化ナトリウム水溶液でカルボキシル基を70%中和し、酢酸エチルに加えポリマーを沈殿させ、よく洗浄し、カルボン酸基含有重合性ポリマー1を11g得た。
〔合成例2:カルボン酸基含有重合性ポリマー2の合成〕
500ml三口フラスコにN,N−ジメチルアセトアミド200g、ポリアクリル酸(和光純薬製、平均分子量:25000)30g、テトラエチルアンモニウムベンジルクロライド2.4g、ジターシャリーペンチルハイドロキノン25mg、サイクロマーA(ダイセル化学(株)社製)27gを入れ、窒素気流下、100℃、5時間反応させた。
その後、酢酸エチル/アセトニトリル=1/3溶液で再沈出を行い、固形物を取り出し、アセトニトリルで洗浄、乾燥し、カルボン酸基含有重合性ポリマー2を20g得た。
〔実施例1〕
<(a1)工程>
ポリイミドフィルム(製品名:カプトン、東レデュポン社製)を基板として用い、その基板上に、下記重合開始層塗布液1をロッドバー18番を用いて塗布し、80℃で2分間乾燥させた。
次に、この塗膜に対し、400W高圧水銀灯(UVL−400P、理工科学産業(株)製)を使用し、10分間紫外線照射し、予備硬化させた。このようにして、基板上に重合性化合物及び重合開始剤を含有する重合開始層を形成した。
〔重合開始層塗布液1〕
・アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 4g
(モル比率80/20、分子量10万)
・エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート 4g
(東亞合成(株)M210)
・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 1.6g
・1−メトキシ−2−プロパノール 16g
次に、この重合開始層が形成された基板を、アクリル酸(10質量%)及び過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO、0.01質量%)を含む水溶液に浸漬し、アルゴン雰囲気下で、1.5kW高圧水銀灯(ウシオ電機製)を使用し、5分間光照射した。光照射後、得られた基板をイオン交換水でよく洗浄し、アクリル酸によるグラフトポリマーが生成された基板を得た。
<(a2)、及び(a3)工程>
この基板を、飽和重曹水に15分浸漬、洗浄した後に、硝酸銀(和光純薬製)1質量%の水溶液に5分間浸漬した後、蒸留水で洗浄した。
その後、以下の組成からなる無電解めっき浴にて、20分間無電解めっきし、めっき膜(金属膜)を形成した。
−無電解めっき浴の組成−
・蒸留水 176g
・硫酸銅・5水和物 1.9g
・EDTA・2Na 5.54g
・NaOH 1.58g
・PEG(分子量1000) 0.019g
・2,2−ビピリジル 0.18mg
・ホルムアルデヒド水溶液 1.01g
続いて、上記で得られた金属膜を、更に、下記組成の電気めっき浴にて40分間電気めっきを行った。
−電気めっき浴の組成−
・硫酸銅・五水和物 135g
・濃硫酸 342g
・塩酸 0.25g
・カッパーグリームST−901C 9mL
(ローム・アンド・ハース電子材料(株)製)
・水 234g
<防錆処理工程>
その後、CU56(メルテックス社製)を用いて防錆処理した後に、100℃30分加熱をおこなった。
<(a4)工程>
得られた金属膜(めっき膜)の表面に、感光性ドライフィルム(富士フイルム(株)製)をラミネートし、所望の導体回路パターンが描画されたマスクフィルム(開口部が金属パターン形成領域に対応、マスク部が金属パターン非形成領域に対応)を通して紫外線露光させ、画像を焼き付け、現像を行った。次に、塩化第二鉄エッチング液を用いてレジストが除去された部分の金属膜(銅薄膜)をエッチングした。その後、ドライフィルムを剥離した。これにより、所望の金属パターン(導電パターン)が形成された基板を得た。
<(a5)工程>
得られた金属パターンを1質量%塩酸水溶液に1分浸漬、水洗し、その後、トリメチルアンモニウムヒドロキシドの0.2mol/lメタノール溶液(和光純薬製)に10分間浸漬、メタノール洗浄、水洗浄を行った。
その後、200℃で1時間加熱を行った。
以上のようにして、実施例1の導電パターン材料を得た。
〔実施例2〕
<(a1)工程>
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量176、ジャパンエポキシレジン(株)製、エピコート825)5g、トリアジン構造含有フェノールノボラック樹脂のMEKワニス(大日本インキ化学工業(株)製、フェノライトLA−7052、不揮発分62%、不揮発分のフェノール性水酸基当量120)2g、フェノキシ樹脂MEKワニス(東都化成(株)製、YP−50EK35、不揮発分35%)10.7g、重合開始剤として2−ヒドロキシ−4’−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−メチルプロピオフェノン2.3g、MEK5.3g、2−エチル−4−メチルイミダゾール0.053gを混合し、攪拌して完全に溶解させて重合開始層塗布液2を作製した。
上記重合開始層塗布液2を厚さ128μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)製、カプトン500H)上にバー塗布し、170℃で、30分乾燥させて、基材上に重合開始層を形成した。
続いて、形成された重合開始層上に、下記組成からなる塗布液をスピンコーターにて塗布し、乾燥した。
−塗布液の組成−
・前記カルボン酸基含有重合性ポリマー1 0.25g
・水 2.0g
・アセトニトリル 1g
・ジメチルアセトアミド 0.08g
次に、基板表面に対し1.5kW高圧水銀灯を使用し、40秒間露光を行った。その後に得られた膜を飽和重曹水にて洗浄し、上記カルボン酸基含有重合性ポリマー1が基板上に表面グラフト重合してなるポリマー層を有する基板を得た。
<(a2)〜(a4)工程>
ポリマー層が形成された基板に対し、実施例1の(a2)〜(a4)工程、更には防錆処理工程を行って金属パターンを形成した。
<(a5)工程>
得られた金属パターンを1質量%硝酸亜鉛水溶液に5分浸漬し、水洗した。その後、トリメチルアニリニウムヒドロキシドの0.2mol/lメタノール溶液(和光純薬製)に10分間浸漬、メタノール洗浄、水洗浄を行った。
その後、200℃、1時間加熱を行った。
以上のようにして、実施例2の導電パターン材料を得た。
〔実施例3〕
<(a1)工程>
ポリイミドフィルム(製品名:カプトン、東レデュポン社製)を基板として用い、その表面に、下記の重合開始層塗布液3をロッドバー18番を用いて塗布し、110℃で10分乾燥・架橋反応させた。
(重合開始層塗布液3)
・上記特定重合開始ポリマーA 0.4g
・TDI(トリレン−2,4−ジイソシアネート) 0.16g
・メチルエチルケトン(MEK) 1.6g
次に、この重合開始層が形成された基板に、下記組成からなる塗布液をスピンコーターにて塗布し、乾燥した。
−塗布液の組成−
・前記カルボン酸基含有重合性ポリマー2 0.25g
・炭酸水素ナトリウム 0.16g
・水 2.0g
・アセトニトリル 1g
・ジメチルアセトアミド 0.08g
次に、基板表面に対し1.5kW高圧水銀灯を使用し、40秒間露光を行った。その後に得られた膜を1wt%炭酸ナトリウム水溶液にて洗浄し、上記カルボン酸基含有重合性ポリマー2が基板上に表面グラフト重合してなるポリマー層を有する基板を得た。
<(a2)〜(a4)工程>
ポリマー層が形成された基板に対し、実施例1の(a2)〜(a4)工程、更には防錆処理工程を行って金属パターンを形成した。
<(a5)工程>
得られた金属パターンを1質量%硝酸亜鉛水溶液に5分浸漬し、水洗した。その後、トリメチルアニリニウムクロライド(アルドリッチ製)の水溶液に10分間浸漬、水洗浄を行った。
その後、200℃、1時間加熱を行った。
以上のようにして、実施例3の導電パターン材料を得た。
〔実施例4〕
<重合開始能を有するポリイミド基板の作製>
(ポリイミド前駆体化合物(ポリアミック酸)の合成)
窒素下にて、窒素下にてN−メチルピロリドン(30ml)中にジアミン化合物として、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(5.75g)を溶解させ室温にて約30分間撹拌した。この溶液に3,3’,4,4’’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(9.25g)を0℃にて加え5時間撹拌した。反応液を再沈してポリイミド前駆体(ポリアミック酸)を13g得た。
(ポリイミドフィルムの作製)
上記手法で合成したポリイミド前駆体を、DMAc(和光純薬(株)社製)に溶解し30質量%の溶液とした。ガラス基板に、該溶液をロッドバー#36を用いて塗布、100℃で5分間乾燥後、250℃で30分間加熱して固化させ、ガラス基板から剥がすことで、骨格中に重合開始部位を有するポリイミドからなる基板を得た。
<(b1)工程>
得られた基板に、下記組成からなる塗布液をスピンコーターにて塗布し、乾燥した。
−塗布液の組成−
・前記カルボン酸基含有重合性ポリマー1 0.25g
・水 2.0g
・アセトニトリル 1g
・ジメチルアセトアミド 0.08g
次に、基板表面に対し1.5kW高圧水銀灯を使用し、40秒間露光を行った。その後に得られた膜を飽和重曹水にて洗浄し、上記カルボン酸基含有重合性ポリマー1が基板上に表面グラフト重合してなるポリマー層を有する基板を得た。
<(b2)、(b3)工程>
ポリマー層が形成された基板に対し、実施例1の(a2)、及び(a3)工程を行って無電解めっきによるめっき膜を形成した。
<(b4)工程>
形成されためっき膜(金属膜)に、ドライフイルムレジストをラミネートし、得られた膜にミカサ社製UV露光機で線幅と空間の巾がL/S=5um/25umのパターン、L/S=10um/20umのパターン、10mm/10mmのパターンを露光した。露光後、1%NaCO浴で現像し、レジストパターンを形成した。
<(b5)工程>
レジストパターンを形成後の材料を、下記の電気めっき浴で0.5mA/cmの電流量で10分間、電気めっきし、その後30mA/cmの電流量で電気めっきを行った。
<電気めっき浴の組成>
・硫酸銅 38g
・硫酸 95g
・塩酸 1mL
・カッパ−グリームST901(メルテックス(株)製) 3mL
・水 500g
<防錆処理工程>
その後、実施例1の防錆処理工程と同様にして、防錆処理を行った。
<(b6)、及び(b7)工程>
次いで、1%NaOH浴を用い、50℃でレジストを剥離後、メルテックス社製ソフトエッチング液を10倍に希釈した液で、40℃20分処理して、レジストに覆われていた部分のめっき膜(金属膜)を除去した。
<(b8)工程>
更に、レジストに覆われていた部分のめっき膜(金属膜)を除去した後、実施例2の(a5)工程と同様にして、カルボン酸基の疎水化を行った。
以上のようにして、実施例4の導電パターン材料を得た。
〔表面接触角の測定〕
実施例1〜4において、(a5)工程、又は(b8)工程よりカルボン酸基の疎水化を行う前後で、ポリマー層の表面接触角を以下のようにして測定した。
表面接触角接触角測定装置(Dataphysics社製 OCA20)を用いて、ポリマー層上に5ulの蒸留水をシリンジから自動滴下し、ポリマー層断面方向の画像をCCDカメラによってパソコンに取り込み、画像解析によりポリマー層上の水滴の接触角度を数値計算した。結果を表1に示す。
〔評価〕
1.導電性の評価
実施例1〜4で得られた導電パターン材料の金属パターン部の表面抵抗(Ω/□)を4探針法にて測定することで、導電性を評価した。結果を表1に示す。
2.密着性試験
幅5mmになるように実施例1〜4と同様の方法で金属パターンを作製した。その後、120℃の環境下で5時間保存した後に、JIS C 6481(1994年度版)に基づき、90度剥離実験を行うことで、密着性を評価した。結果を表1に示す。
3.耐マイグレーション性の評価
L/S=75/125μmの櫛形電極(図1を参照)を実施例1〜4と同様の方法でそれぞれ作製した。
その後、得られた櫛型電極に対しソルダーレジストでカバーした後、マイグレーション評価装置(エスペック社製:AMI−025−P)内で、温度125℃、湿度85%RH、2atomの雰囲気下、200時間、5Vをかけて試験を行った。試験中、線間抵抗をモニターリングして耐マイグレーション性を評価した。試験中、線間抵抗がE4Ω以上ならば○、下回れば×と評価した。結果を表1に示す。
Figure 2008251711
表1に示されるように、実施例1〜4の方法により得られた導電パターン材料の金属パターンは、マイグレーションは見られなかった。
また、表1に明らかなように、(a5)工程、又は(b8)工程を経ることにより、ポリマー層の表面接触角が上昇しており、(a5)工程、又は(b8)工程により、カルボン酸基の疎水化が行われたことがわかる。
耐マイグレーション評価に用いた櫛型電極の形状を示す概略図である。

Claims (6)

  1. (a1)基板上に、該基板表面に直接結合し、且つ、カルボン酸基を有するポリマーからなるポリマー層を形成する工程と、
    (a2)前記カルボン酸基に無電解めっき触媒又はその前駆体を付与する工程と、
    (a3)少なくとも無電解めっきを行い、めっき膜を形成する工程と、
    (a4)該めっき膜をパターン状にエッチングする工程と、
    (a5)前記(a4)工程によりめっき膜が除去された領域に存在する前記ポリマー層中のカルボン酸基をアンモニウム塩化した後、熱分解させる工程と、
    をこの順に有することを特徴とする導電パターン材料の作製方法。
  2. 前記(a3)工程が、無電解めっきを行った後に、更に電気めっきを行って、めっき膜を形成する工程である請求項1に記載の導電パターン材料の作製方法。
  3. 前記(a5)工程におけるカルボン酸基のアンモニウム塩化により、芳香族アミン塩構造が形成されることである請求項1又は請求項2に記載の導電パターン材料の作製方法。
  4. 前記(a5)工程が、前記(a4)工程によりめっき膜が除去された領域に存在する前記ポリマー層中のカルボン酸基を多価金属イオン塩に変換させた後、アンモニウム塩化し、熱分解させる工程である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の導電パターン材料の作製方法。
  5. (b1)基板上に、該基板表面に直接結合し、且つ、カルボン酸基を有するポリマー層を形成する工程と、
    (b2)該カルボン酸基に無電解めっき触媒又はその前駆体を付与する工程と、
    (b3)無電解めっきを行い、めっき膜を形成する工程と、
    (b4)めっき膜上にパターン状のレジスト層を形成する工程と、
    (b5)電気めっきにより、前記レジスト層の非形成領域に金属パターンを形成する工程と、
    (b6)前記レジスト層を剥離する工程と、
    (b7)前記(b3)工程で形成しためっき膜のうち、前記レジスト層で保護されていた領域のめっき膜を除去する工程と、
    (b8)前記(b7)工程によりめっき膜が除去された領域に存在する前記ポリマー層中のカルボン酸基をアンモニウム塩化した後、熱分解させる工程と、
    をこの順に有することを特徴とする導電パターン材料の作製方法。
  6. 基板と、該基板表面に直接結合し、且つ、カルボン酸基を有するポリマーからなるポリマー層と、該ポリマー層の内部及び上部に形成されたパターン状のめっき膜と、を有し、
    該パターン状のめっき膜の非形成領域における前記ポリマー層中のカルボン酸基が、熱分解により疎水化されてなることを特徴とする導電パターン材料。
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