JP4579048B2 - 金属膜形成方法、それを用いた金属パターン形成方法及び金属膜 - Google Patents
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Description
即ち、本発明の目的は、多大なエネルギーを必要とせず製造が可能で、基板との密着性に優れ、且つ、基板との界面における凹凸が小さい金属膜を簡便な工程により形成しうる金属膜形成方法及び金属パターン形成方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、簡便な工程で、多大なエネルギーを用いることなく製造された、基板との密着性に優れ、且つ基板との界面における凹凸が小さい金属膜を提供することにある。
即ち、本発明の金属膜形成方法は、 (a)基板に、無電解メッキ触媒またはその前駆体と相互作用する官能基、及び、主鎖より8元素以上離れた位置に重合性基を有するポリマーを直接化学結合させてポリマー層を形成するポリマー層形成工程と、(b)該ポリマー層に無電解メッキ触媒またはその前駆体を付与する触媒付与工程と、(c)無電解メッキを行い、ポリマー層上に金属膜を形成する金属膜形成工程と、を有することを特徴とする。
なお、この金属膜形成方法においては、(c)無電解メッキを行った後に、さらに、(d)電気メッキを行うことができる。
また、これらのいずれかの工程で金属膜を形成した後、さらに、(e)乾燥工程を実施することができる。
本発明の方法に用いられる基板としては、1GHzにおける誘電正接が0.01以下である絶縁性樹脂からなる基板、又は、該絶縁性樹脂からなる層を基材上に有する基板であることが好ましい。また、基板の好ましい他の態様としては、1GHzにおける誘電率が3.5以下である絶縁性樹脂からなる基板、又は、該絶縁性樹脂からなる層を基材上に有する基板が挙げられる。
さらに、前記(a−2)工程が、前記重合開始層が形成された基板上に、無電解メッキ触媒またはその前駆体と相互作用する官能基、及び、主鎖より8元素以上離れた位置に重合性基を有するポリマーを接触させた後、エネルギーを付与することにより、前記基板表面全体に当該ポリマーを直接化学結合させる工程であることが好ましい。
また、本発明における基板とは、以下に詳述するグラフトポリマーが、その上に直接化学的に結合しうるものを指す。例えば、基材上に重合開始層等の中間層を設けてその上にポリマー層を形成する場合であれば、基板とは基材及び該基材上に設けられた中間層を包含したものを指し、また、基材上にポリマー層を直接生成する場合であれば、基板とは基材そのものを指す。
また、本発明の請求項10に記載の金属膜は、基板に、無電解メッキ触媒またはその前駆体と相互作用する官能基、及び、主鎖より8元素以上離れた位置に重合性基を有するポリマーが直接化学結合してなるポリマー層を有し、該ポリマー層の内部、及び、上部に無電解メッキ層を有することを特徴とする。
本発明の金属膜は、基板との密着性が0.2kN/m以上であることが好ましい。
また、前記ポリマー層は、無電解メッキ触媒及び無電解メッキにより析出した金属から選ばれる少なくとも1種の微粒子を25体積%以上分散含有する領域を、前記ポリマー層と前記金属膜との界面から前記基板方向に0.05μm以上有することが好ましい。
本発明においては、ポリマー層形成に用いられるポリマーの重合性基がポリマー主鎖より8元素以上離れた位置に存在しているため、重合性基の運動性が向上していることから、ポリマー主鎖より7元素以下の位置に存在するポリマーと比較して、少量のラジカル量でもより重合反応が進行しやすくなり、少量のエネルギーで効率よくグラフト化が進行し、グラフトポリマーからなるポリマー層を形成することが可能である。
また、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基、及び、重合性基を有するポリマーを用いて基板に表面グラフトポリマーを導入することから、基板にモノマー溶液を塗布しエネルギー付与する方法と比較して、モノマー溶液を塗布する場合に必要な、基板上に液状モノマーの厚みを均一に保持するという煩雑な工程を実施することなく、基板上に均一な固体状の塗膜として形成させてエネルギー付与することができるために、膜厚が均一なポリマー層を容易に形成することができ、その工程の簡易性から、大量生産も可能となる。
本発明の金属膜が形成される基板は表面グラフトにより表面改質されており、金属膜の基板との界面が、基板に直接結合しているポリマーとの間でハイブリッド状態を形成するため、基板表面が平滑であっても金属膜と基板との密着性が高いものと考えられる。
また、この金属膜形成方法により得られた金属膜を用いた金属パターン形成方法を提供することができる。
本発明の金属膜は、簡便な工程で、多大なエネルギーを用いることなく製造され、基板との密着性に優れ、且つ基板との界面における凹凸が小さいという効果を奏する。
[金属膜]
本発明の金属膜は、無電解メッキ触媒またはその前駆体と相互作用する官能基、及び、主鎖より8元素以上離れた位置に重合性基を有するポリマーを直接化学的に結合したポリマー層を有し、該ポリマー層に無電解メッキ触媒又はその前駆体を付与した後、無電解メッキを行うことで設けた金属膜である。即ち、基板を粗化することなく形成されるため、基板表面が平滑でありながら、基板と金属膜との密着性に優れることを特徴とする。
ポリマー層中に存在する微粒子の状態をさらに詳細に説明するに、このようなポリマー層(グラフト膜)中においては、金属膜とポリマー層との界面から基板方向に、無電解メッキ触媒及び/又は無電解メッキにより析出した金属を含む微粒子が、界面側に高密度で分散している。このときの微粒子分散状態において、金属膜とポリマー層との界面近傍に、微粒子が25体積%以上含まれている領域が存在することが、金属膜の密着力発現の観点から好ましく、更に好ましくは30体積%以上、より好ましくは40体積%以上、特に50体積%以上含まれる領域が存在することが好ましい。
また、ポリマー層中において、このように微粒子が高密度で存在する領域としては、ポリマー層と金属膜との界面から基板方向へ深さ0.05μm以上で存在することが好ましく、0.1μm以上がより好ましく、更に0.2μm以上が好ましく、特に0.3μm以上の深さまで存在することが好ましい。
一般的に、金属膜においては、基板との界面における凹凸が少なくなることで、パターン状にエッチングすることで、高周波特性に優れた金属パターンを得ることができる。ここで、高周波特性とは、特に伝送損失が低くなる特性であり、更には、伝送損失の中でも導体損失が低くなる特性である。
一方、本発明の金属膜は、基板界面が、金属膜と基材に直接化学結合しているポリマー層とのハイブリッド状態であるために、金属膜の基板との界面における凹凸が少なくても、優れた密着性を維持することが可能となり、高周波特性に優れた金属パターンが得られる。
このように、本発明の金属膜は、基板との界面における凹凸を最小限に留めつつ、基板と金属膜との密着性を維持することが可能となった。
[金属膜の形成方法]
本発明の金属膜の形成方法は、基板に、(a)無電解メッキ触媒またはその前駆体と相互作用する官能基、及び、主鎖より8元素以上離れた位置に重合性基を有するポリマーを直接化学結合させてポリマー層を形成するポリマー層形成工程と、(b)該ポリマー層に無電解メッキ触媒またはその前駆体を付与する触媒付与工程と、(c)無電解メッキを行い、ポリマー層上に金属膜を形成する金属膜形成工程と、を有することを特徴とする。
以下、上記(a)〜(c)の各工程について順次説明する。
〔(a)ポリマー層形成工程〕
(a)工程では、基板上に、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基(以下、適宜、「相互作用性基」と称する。)を有し且つ該基材と直接化学結合するポリマーが導入される。
本発明における(a)工程は、(a−1)基材上に重合開始剤を含有する重合開始層が形成された基板を作製する工程と、(a−2)該重合開始層が形成された基板上に、無電解メッキ触媒またはその前駆体と相互作用する官能基、及び、主鎖より8元素以上離れた位置に重合性基を有するポリマーを直接化学結合させる工程であることが好ましい。
本発明における基板表面へのポリマーの導入は、一般的な表面グラフト重合と呼ばれる手段を用いる。グラフト重合とは、高分子化合物鎖上に活性種を与え、これによって重合を開始する化合物を更に重合させ、グラフト(接ぎ木)重合体を合成する方法である。特に、活性種を与える高分子化合物が固体表面を形成する時には、表面グラフト重合と呼ばれる。
光グラフト重合法の具体的方法としては、特開昭63−92658号公報、特開平10−296895号公報及び特開平11−119413号公報に記載の方法を使用することができる。より多くの表面グラフトポリマーを生成する観点からは、光グラフト重合法が好ましく、簡便な装置で形成可能である点でUV光を用いるのが好ましい。
重合開始層は、重合性化合物と重合開始剤とを含む層として形成することが好ましい。
本発明における重合開始層は、必要な成分を、溶解可能な溶媒に溶解し、塗布などの方法で基板表面上に設け、加熱又は光照射により硬膜することで、形成することができる。
重合開始層に用いられる化合物は、基材との密着性が良好であり、且つ、活性光線照射などのエネルギー付与により表面グラフトポリマーを生成するものであれば特に制限はなく、多官能モノマーや分子内に重合性基を有する疎水性ポリマーに重合開始剤を混合したものが用いることができる。
このような疎水性ポリマーとしては、具体的には、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリぺンタジエンなどのジエン系単独重合体、アリル(メタ)アクリレー卜、2−アリルオキシエチルメタクリレー卜などのアリル基含有モノマーの単独重合体;
更には、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエンなどのジエン系単量体又はアリル基含有モノマーを構成単位として含む、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリルなどの二元又は多元共重合体;
不飽和ポリエステル、不飽和ポリエポキシド、不飽和ポリアミド、不飽和ポリアクリル、高密度ポリエチレンなどの分子中に炭素−炭素二重結合を有する線状高分子又は3次元高分子類;などが挙げられる。
なお、本明細書では、「アクリル、メタクリル」の双方或いはいずれかを指す場合、「(メタ)アクリル」と表記することがある。
重合性化合物の含有量は、重合性層中、固形分で10〜100質量%の範囲が好ましく、10〜80質量%の範囲が特に好ましい。
重合開始層には、エネルギー付与により重合開始能を発現させるための重合開始剤を含有する。ここで用いられる重合開始剤は、所定のエネルギー、例えば、活性光線の照射、加熱、電子線の照射などにより、重合開始能を発現し得る公知の熱重合開始剤、光重合開始剤などを目的に応じて、適宜選択して用いることができる。中でも、光重合を利用することが製造適性の観点から好適であり、このため、光重合開始剤を用いることが好ましい。
光重合開始剤は、照射される活性光線に対して活性であり、表面グラフト重合が可能なものであれば、特に制限はなく、例えば、ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤などを用いることができるが、反応性の観点からはラジカル重合開始剤が好ましい。
重合開始剤の含有量は、重合開始層中、固形分で0.1〜70質量%の範囲が好ましく、1〜40質量%の範囲が特に好ましい。
具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、3−メトキシプロパノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテートなどが挙げられる。
これらの溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。そして塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50質量%が適当である。
加熱温度と時間は、塗布溶剤が充分乾燥し得る条件を選択すればよいが、製造適正の点からは、温度が100℃以下、乾燥時間は30分以内が好ましく、乾燥温度40〜80℃、乾燥時間10分以内の範囲の加熱条件を選択することがより好ましい。
本発明に使用される基材は、寸度的に安定な板状物であることが好ましく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリイミド、エポキシ等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙若しくはプラスチックフィルム等が含まれる。本発明に使用される基材としては、エポキシ樹脂又はポリイミド樹脂が好ましい。
絶縁樹脂としては、ポリフェニレンエーテル又は変性ポリフェニレンエーテル、シアネートエステル化合物、エポキシ化合物などの樹脂が挙げられる。これらの樹脂の1種以上を含む熱硬化性樹脂組成物により形成される基板が好ましく用いられる。これらの樹脂を2種以上組み合わせて樹脂組成物とする場合の好ましい組み合わせとしては、ポリフェニレンエーテル又は変性ポリフェニレンエーテルとシアネートエステル化合物、ポリフェニレンエーテル又は変性ポリフェニレンエーテルとエポキシ化合物、ポリフェニレンエーテル又は変性ポリフェニレンエーテルとシアネートエステル化合物とエポキシ化合物などの組み合わせが挙げられる。
このような熱硬化性樹脂組成物により基板を形成する場合には、シリカ、タルク、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムからなる群より選ばれる無機充填剤を含まないことが好ましく、また、臭素化合物またはリン化合物をさらに含む熱硬化性樹脂組成物であることが好ましい
さらに、クラレ製の「ベクスター」などの名称で市販品としても入手可能な液晶性ポリマーやポリ4フッ化エチレン(PTFE)に代表されるフッ素樹脂なども好ましく挙げられる。
これらの樹脂のうち、フッ素樹脂(PTFE)は高分子材料の中で最も高周波特性に優れる。ただし、Tgが低い熱可塑性樹脂であるために熱に対する寸法安定性に乏しく,機械的強度なども熱硬化性樹脂材料に比べて劣る。また形成性や加工性にも劣るという問題がある。また、ポリフェニレンエーテル(PPE)などの熱可塑性樹脂は熱硬化性樹脂などとのアロイ化を行なって用いることもできる。例えば、PPEとエポキシ樹脂、トリアリルイソシアネートとのアロイ化樹脂、あるいは重合性官能基を導入したPPE樹脂とそのほかの熱硬化性樹脂とのアロイ化樹脂としても使用することができる。
エポキシ樹脂はそのままでは誘電特性が不充分であるが、かさ高い骨格の導入などで改善が図られており、このようにそれぞれの樹脂の特性を生かし、その欠点を補うような構造の導入、変性などを行った樹脂が好ましく用いられる。
例えば、シアネートエステルは熱硬化性の中ではもっとも誘電特性の優れる樹脂であるが、それ単独で使用されることは少なく、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、熱可塑性樹脂などの変性樹脂として使用される。これらの詳細に関しては、「電子技術」 2002年第9号 p35に記載されており、これらの記載もまた、このような絶縁樹脂を選択する上で参照することができる。
絶縁性樹脂の誘電率及び誘電正接は、常法により測定することができる。例えば、「第18回エレクトロニクス実装学会学術講演大会要旨集」、2004年、p189、に記載の方法に基づき、空洞共振器摂動法(例えば、極薄シート用εr、tanδ測定器、キーコム株式会社製)を用いて測定することができる。
このように、本発明においては誘電率や誘電正接の観点から絶縁樹脂材料を選択することも有用である。誘電率が3.5以下であり、誘電正接が0.01以下の絶縁樹脂としては、液晶ポリマー、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、シアネートエステル樹脂、ビス(ビスフェニレン)エタン樹脂などが挙げられ、さらにそれらの変性樹脂も含まれる。
(a)工程におけるグラフトポリマーの生成態様としては、前述した如く、基板に直接光グラフト重合する方法を用いることができる。
本発明においては、重合開始層が形成された基板上に、無電解メッキ触媒またはその前駆体と相互作用する官能基(相互作用性基)、及び、主鎖より8元素以上離れた位置に重合性基を有するポリマーを導入する態様〔(a−2)工程〕が好ましい。更に好ましくは、重合開始層が形成された基材上に、無電解メッキ触媒またはその前駆体と相互作用する官能基、及び、主鎖より8元素以上離れた位置に重合性基を有するポリマーを接触させた後、エネルギーを付与することにより、前記基材表面全体に当該ポリマーを直接化学結合させる態様が好ましい態様である。
即ち、無電解メッキ触媒またはその前駆体と相互作用する官能基、及び、主鎖より8元素以上離れた位置に重合性基を有するポリマーを含有する組成物を重合開始層が形成された基材表面接触させながら、当該基材表面に生成する活性種により結合させるものである。この際使用するポリマーの重合性基が主鎖より8元素以上離れた位置に存在するポリマーを使用する。この効果は明確ではないが、ポリマー主鎖から重合性基が離れることにより運動性が高まり、少ないラジカル量でより表面グラフト重合反応が進行すると考えられる。
本発明において、基板に直接グラフトポリマーを生成させる場合に用いられる、相互作用性基を有し且つ基板と直接化学結合する化合物としては、以下のポリマーが挙げられる。
本発明において用いられる無電解メッキ触媒またはその前駆体と相互作用する官能基、及び、主鎖より8元素以上離れた位置に重合性基を有するポリマーとしては、相互作用性基を有するモノマーから選ばれる少なくとも一種を用いて得られるホモポリマー、コポリマーに、重合性基として、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基などのエチレン付加重合性不飽和基(重合性基)を導入したポリマーが用いられる。この重合性基及び相互作用性基を有するポリマーは、少なくとも側鎖に1個以上の重合性基を有し、主鎖より8元素以上離れた位置に存在するものである。主鎖より8元素以上はなれた位置に重合性基を有する側鎖構造とは例えば以下の構造が挙げられ、主鎖からの元素数としては以下のように、ポリマー主鎖と重合性基とを連結するために用いられる連結基において、置換基を構成する元素を除き、連結基における主鎖にあたる元素のみを数える。また、この連結基の主鎖にあたる部分に環構造を有する場合には、その最短部分に相当する元素を数えるものとする。
合成方法としては、i)相互作用性基を有するモノマーと重合性基を特定位置に有するモノマーとを共重合する方法、ii)相互作用性基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)相互作用性基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、二重結合を導入(重合性基を導入する)方法が挙げられ、これらの方法においては、主鎖より8元素以上離れた位置に重合性基が導入できるようなモノマーを用いる必要がある。上記3手法の中で好ましいのは、合成適性の観点から、ii)相互作用性基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)相互作用性基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、重合性基を導入する方法である。
具体的には以下の化合物を挙げることができる。
使用される塩基としては、アルカリ金属類の水素化物、水酸化物または炭酸塩、有機アミ化合物、金属アルコキシド化合物が好ましい例として挙げられる。アルカリ金属類の水素化物、水酸化物または、炭酸塩の好ましい例としては、水素化ナトリウム、水素化カルシウム、水素化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。有機アミン化合物の好ましい例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルメチルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン、N−メチルジシクロヘキシルアミン、N−エチルジシクロヘキシルアミン、ピロリジン、1−メチルピロリジン、2,5−ジメチルピロリジン、ピペリジン、1−メチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ピペラジン、1,4−ジメチルピペラジン、キヌクリジン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]−オクタン、ヘキサメチレンテトラミン、モルホリン、4−メチルモルホリン、ピリジン、ピコリン、4−ジメチルアミノピリジン、ルチジン、1、8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセン(DBU)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルエチルアミン、Schiff塩基などが挙げられる。金属アルコキシド化合物の好ましい例としては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシドなどが挙げられる。これらの塩基は、1種あるいは2種以上の混合であってもよい。
使用できる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールモノメチルエーテルの如きアルコール系溶剤、酢酸の如き酸、アセトン、シクロヘキサノンの如きケトン系溶剤、ホルムアミド、ジメチルアセトアミドの如きアミド系溶剤、水などが挙げられる。
組成物を液状のまま接触させる場合には、任意に行うことができるが、塗布法により相互作用性基含有組成物塗布層を形成する場合の塗布量は、十分なメッキ触媒またはその前駆体との相互作用性、及び、均一な塗布膜とを得る観点からは、固形分換算で0.1〜10g/m2が好ましく、特に0.5〜5g/m2が好ましい。
基材表面へのエネルギー付与方法としては、例えば、加熱や露光等の輻射線照射を用いることができる。例えば、UVランプ、可視光線などによる光照射、ホットプレートなどでの加熱等が可能である。光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、等がある。また、g線、i線も使用される。エネルギー付与に要する時間としては、目的とするグラフトポリマーの生成量及び光源により異なるが、通常、10秒〜10分の間である。
以上説明した(a)工程により、基材上に相互作用性基を有するポリマー(グラフトポリマー)を導入し、ポリマー層を形成することができる。
(b)工程においては、上記(a)ポリマー層形成工程により基材上に導入された相互作用性を有するポリマー層に、無電解メッキ触媒又はその前駆体が付与される。
本工程において用いられる無電解メッキ触媒とは、主に0価金属であり、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Coなどが挙げられる。本発明においては、特に、Pd、Agがその取り扱い性の良さ、触媒能の高さから好ましい。0価金属を相互作用性領域に固定する手法としては、例えば、グラフトポリマーが有する相互作用性基と相互作用するように荷電を調節した金属コロイドを、グラフトポリマーに適用する手法が用いられる。一般に、金属コロイドは、荷電を持った界面活性剤又は荷電を持った保護剤が存在する溶液中において、金属イオンを還元することにより作製することができる。金属コロイドの荷電は、ここで使用される界面活性剤又は保護剤により調節することができ、このように荷電を調節した金属コロイドを、グラフトポリマーが有する相互作用性基と相互作用させると、相互作用性基は主に極性基である為に、グラフトポリマーに選択的に金属コロイド(無電解メッキ触媒)を吸着させることができる。
本工程において用いられる無電解メッキ触媒前駆体とは、化学反応により無電解メッキ触媒となりうるものであれば、特に制限なく使用することができる。主には上記無電解メッキ触媒で用いた0価金属の金属イオンが用いられる。無電解メッキ触媒前駆体である金属イオンは、還元反応により無電解メッキ触媒である0価金属になる。無電解メッキ触媒前駆体である金属イオンは、基材へ付与した後、無電解メッキ浴への浸漬前に、別途還元反応により0価金属に変化させて無電解メッキ触媒としてもよいし、無電解メッキ触媒前駆体のまま無電解メッキ浴に浸漬し、無電解メッキ浴中の還元剤により金属(無電解メッキ触媒)に変化させてもよい。
(c)工程では、無電解メッキ触媒又はその前駆体を付与されたポリマー(グラフトポリマー)に、無電解メッキが行われることで、グラフトポリマーが生成した基板上に、高密度の金属膜が形成される。形成された金属膜は、優れた導電性、密着性を有する。
無電解メッキとは、メッキとして析出させたい金属イオンを溶かした溶液を用いて、化学反応によって金属を析出させる操作のことをいう。
本工程における無電解メッキは、例えば、無電解メッキ触媒が付与された基板を、水洗して余分な無電解メッキ触媒(金属)を除去した後、無電解メッキ浴に浸漬して行なう。使用される無電解メッキ浴としては一般的に知られている無電解メッキ浴を使用することができる。
また、無電解メッキ触媒前駆体が付与された基板を、無電解メッキ触媒前駆体がグラフトポリマーに吸着又は含浸した状態で無電解メッキ浴に浸漬する場合には、基板を水洗して余分な前駆体(金属塩など)を除去した後、無電解メッキ浴中へ浸漬される。この場合には、無電解メッキ浴中において、前駆体の還元とこれに引き続き無電解メッキが行われる。ここで使用される無電解メッキ浴としても、上記同様、一般的に知られている無電解メッキ浴を使用することができる。
無電解メッキ浴に用いられる金属の種類としては、銅、すず、鉛、ニッケル、金、パラジウム、ロジウムが知られており、中でも、導電性の観点からは、銅、金が特に好ましい。
また、上記金属に合わせて最適な還元剤、添加物がある。例えば、銅の無電解メッキの浴は、銅塩としてCuSO4、還元剤としてHCOH、添加剤として銅イオンの安定剤であるEDTAやロッシェル塩などのキレート剤、トリアルカノールアミンなどが含まれている。また、CoNiPの無電解メッキに使用されるメッキ浴には、その金属塩として硫酸コバルト、硫酸ニッケル、還元剤として次亜リン酸ナトリウム、錯化剤としてマロン酸ナトリウム、りんご酸ナトリウム、こはく酸ナトリウムが含まれている。また、パラジウムの無電解メッキ浴は、金属イオンとして(Pd(NH3)4)Cl2、還元剤としてNH3、H2NNH2、安定化剤としてEDTAが含まれている。これらのメッキ浴には、上記成分以外の成分が入っていてもよい。
また、メッキ浴への浸漬時間としては、1分〜6時間程度であることが好ましく、1分〜3時間程度であることがより好ましい。
<電気メッキ工程>
本発明の金属膜の形成方法においては、前記(c)工程による無電解メッキの後、形成された金属膜を電極とし、さらに(d)電気メッキを行ってもよい(電気メッキ工程)。これにより基板との密着性に優れた金属膜をベースとして、そこに新たに任意の厚みをもつ金属膜を容易に形成することができる。この工程を付加することにより、金属膜を目的に応じた厚みに形成しうるため、本発明の金属膜を種々の応用に適用するのに好適である。
本発明における電気メッキの方法としては、従来公知の方法を用いることができる。なお、本工程の電気メッキに用いられる金属としては、銅、クロム、鉛、ニッケル、金、銀、すず、亜鉛などが挙げられ、導電性の観点から、銅、金、銀が好ましく、銅がより好ましい。
(e)乾燥工程
乾燥工程における乾燥処理は如何なる手段であってもよく、具体的には、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、減圧加熱乾燥、送風乾燥などの手段により行うことができる。これらの中でも、乾燥に起因するポリマー層の変質を抑制するという観点からは、常温又はその近傍の温度条件で乾燥処理を行うことが好ましい。具体的には、前記(c)工程又は前記(d)工程終了後に、金属膜形成後の材料を、常温下に保存する自然乾燥、常温条件下での減圧乾燥、及び常温送風乾燥の各乾燥処理が好ましい。
加温を行うことなく水分を可能な限り除去する観点からは、これらの乾燥処理を、1時間以上、さらには24時間以上実施することが好ましい。乾燥処理条件は、必要とされる密着性などを考慮して適宜選択すればよいが、具体的には、金属膜形成後の材料を、例えば、25℃前後の温度雰囲気下で1〜3日程度、1〜3週間程度、或いは、1〜2ヶ月程度保存して乾燥する方法、通常の真空乾燥機による減圧下に1〜3日程度、或いは、1〜3週間程度、保存して乾燥する方法等が挙げられる。
また、乾燥中における銅等からなる金属膜表面の酸化防止のために、酸化防止剤を金属膜表面に塗布することが好ましい。酸化防止剤としては、一般的に使用されるものが適用でき、例えば、アジミドベンゼン等が使用できる。
上記手法で作成した金属膜は不要部分をエッチングで取り除くことで金属パターンを形成することができる。この時のエッチング方法としては、プリント配線基板の製造時に使用されている方法が何れも使用可能であり、湿式エッチング、ドライエッチング等が使用可能であり、任意に選択すれば良い。作業の操作上、湿式エッチングが装置などが簡便で好ましい。エッチング液として、例えば塩化第二銅、塩化第二鉄等の水溶液を使用することができる。
〔基板1の作製〕
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量176、ジャパンエポキシレジン(株)製、エピコート825)5g、トリアジン構造含有フェノールノボラック樹脂のMEKワニス(大日本インキ化学工業(株)製、フェノライトLA−7052、不揮発分62%、不揮発分のフェノール性水酸基当量120)2g、フェノキシ樹脂MEKワニス(東都化成(株)製、YP−50EK35、不揮発分35%)10.7g、重合開始剤として下記化合物(1)2.3g、MEK5.3g、2−エチル−4−メチルイミダゾール0.053gを混合し、攪拌して完全に溶解させて重合開始層塗布液1を作製した。
ポリイミドフィルム(製品名:カプトン500H、東レデュポン社製)の上に下記の重合開始層塗布液2をロッドバー18番を用いて塗布し、80℃で2分間乾燥させた。
次に、この塗布されたフィルムを、400W高圧水銀灯(UVL−400P、理工科学産業(株)製)を使用し、10分間照射し、予備硬化させて、基材上に重合開始層を形成した。得られた重合開始層の膜厚は6.5μmであった。
・アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 4g
(モル比率80/20、分子量10万)
・エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート 4g
(東亞合成(株)M210)
・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 1.6g
・1−メトキシ−2−プロパノール 16g
<ポリイミド前駆体(ポリアミック酸)の合成>
窒素下にてN−メチルピロリドン(30ml)中にジアミン化合物として、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル(28.7mmol)を溶解させ室温にて約30分間撹拌した。この溶液に3,3’,4,4’’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(28.7mmol)を0℃にて加え5時間撹拌した。反応液を再沈してポリイミド前駆体1を得た。生成物は1H−NMR、FT−IRによりその構造を確認した。
上記手法で合成したポリアミック酸をDMAc(和光純薬(株)社製)に溶かし、30質量%の溶液とし重合層塗布液3を得た。ガラス基板に該溶液をロッドバー#36を用いて塗布、100℃で5分間乾燥、250℃で30分間加熱して固化させ、ガラス基板から剥がすことでポリイミド基材を得た。
ポリイミドフィルム(製品名:カプトン500H、東レデュポン社製)の上に、下記の重合開始層塗布液4をロッドバー18番を用いて塗布し、110℃で10分乾燥・架橋反応させた。得られた重合開始層の膜厚は9.3μmであった。
・下記重合開始ポリマーA 0.4g
・TDI(トリレン−2,4−ジイソシアネート) 0.16g
・赤外線吸収剤(IR125 和光純薬製) 0.2g
・メチルエチルケトン(MEK) 1.6g
300mlの三口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル(MFG)30gを加え75℃に加熱した。そこに、[2−(Acryloyloxy)ethyl](4−benzoylbenzyl)dimethyl ammonium bromide8.1gと、2−Hydroxyethylmethaacrylate9.9gと、isopropylmethaacrylate13.5gと、ジメチル−2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.43gと、MFG30gと、の溶液を2.5時間かけて滴下した。その後、反応温度を80℃に上げ、更に2時間反応させ、下記特定重合開始ポリマーAを得た。なお、下記の構造式に付されている数値は、各繰り返し単位におけるモル共重合比を示す。
(特定グラフト前駆体ポリマー1の合成方法)
(モノマーAの合成)
500mlの三口フラスコに、ジエチレングリコールモノメタクリレート78.4gを入れ、アセトン250mlを加え、撹拌した。ピリジン39.2g、p−メトキシフェノール0.1gを添加した後に、氷水を入れた氷浴にて冷却した。混合液温度が5℃以下になった後に、2−ブロモイソブタン酸ブロミド114.9gを滴下ロートにて3時間かけて滴下した。滴下終了後、氷浴を外してさらに3時間撹拌した。反応混合液を水750mlに投入し、1時間撹拌した。水混合液を分液ロートを用いて、酢酸エチル500mlで3回抽出した。有機層を1M塩酸500ml、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液500ml、飽和食塩水500mlで順次洗浄した。有機層に硫酸マグネシウム100gを入れ、脱水乾燥した後、濾過した。溶媒を減圧留去し、モノマーA 120.3gを得た。
上記、反応液にp−メトキシフェノール 0.59gを入れ、N,N−ジメチルアセトアミド800gを加え、氷水を入れた氷浴にて冷却した。混合液温度が5℃以下になった後に、1、8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン(DBU)180.8gを滴下ロート用いて、滴下した。滴下終了後、氷浴を外してさらに8時間撹拌した。反応液に水49gにメタンスルホン酸114mlを溶解させた液を添加し、4時間攪拌した。攪拌の後、水再沈を行って特定グラフト前駆体ポリマー1を濾取し、水で洗浄、乾燥して13g得た。この特定グラフト前駆体ポリマー1は、前記合成法より明らかなように、主鎖より9元素離れた位置に重合性基を有するポリマーである。
1000ml三口フラスコにN,N−ジメチルアセトアミド280gを入れ、窒素気流下、75℃まで加熱した。2−ヒドロキシエチルメタクリレート 130.1g、メタクリル酸29.27g、V−601(和光純薬製)0.98gのN,N−ジメチルアセトアミド80g溶液を、2.5時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃まで加熱し、更に3時間撹拌した。その後、室温まで、反応溶液を冷却した。
上記、反応液にジターシャリーペンチルハイドロキノン 0.43g、ジブチルチンジラウレート0.53g、カレンズMOI(昭和電工(株)製)26.3g、N,N−ジメチルアセトアミド70gを加え、55℃、6時間反応を行った。その後、反応液にメタノールを54.3g加え、更に2時間反応を行った。反応終了後、水により再沈を行い、下記構造単位からなる特定グラフト前駆体ポリマー2を濾取、水で洗浄、乾燥し21g得た。この特定グラフト前駆体ポリマー2は、以下の構造に明らかなように、主鎖より11元素離れた位置に重合性基を有するポリマーである。
500ml三口フラスコにN,N−ジメチルアセトアミド200g、ポリアクリル酸(和光純薬製 分子量:25000)30g、2−エチル−4−エチル−イミダゾール0.9g、ジターシャリーペンチルハイドロキノン 25mg、下記モノマーB 27gを入れ、窒素気流下、100℃、5時間反応させた。
基板1に、下記組成からなる塗布液をロッドバー#18を用いて塗布した。なお、得られた膜の膜厚は、0.8μmだった
・特定グラフト前駆体ポリマー1 0.25g
・メタノール 3.0g
次に、基板に1.5kW高圧水銀灯を使用し30秒間露光を行った。その後に得られた膜を飽和重曹水にて洗浄し、上記重合性基含有ポリマーがグラフト化された基板Aを得た。
得られた基板Aを、硝酸銀(和光純薬製)1質量%の水溶液に5分間浸漬した後、蒸留水で洗浄した。その後、以下の組成からなる無電解メッキ浴にて、20分間無電解メッキしし、金属膜1を作製した。
・蒸留水 176g
・硫酸銅・5水和物 1.9g
・EDTA・2Na 5.54g
・NaOH 1.58g
・PEG(分子量1000) 0.019g
・2,2−ビピリジル 0.18mg
・ホルムアルデヒド水溶液 1.01g
実施例1で得られた金属膜1を、更に、下記組成の電気メッキ浴にて20分間電気メッキし、金属膜2を作製した。
・硫酸銅・五水和物 135g
・濃硫酸 342g
・塩酸 0.25g
・カッパーグリームST−901C 9mL
(ローム・アンド・ハース電子材料(株)製)
・水 234g
基板1に、下記組成からなる塗布液をロッドバー#18を用いて塗布した。なお、得られた膜の膜厚は、0.7μmだった
・特定グラフト前駆体ポリマー2 0.25g
・シクロヘキサノン 3.0g
次に、基板に1.5kW高圧水銀灯を使用し30秒間露光を行った。その後に得られた膜を飽和重曹水にて洗浄し、上記重合性基含有ポリマーがグラフト化された基板Bを得た。
得られた基板Aを、実施例1と同様な手法で無電解メッキ、及び、電気メッキを行い金属膜3を作製した。
基板1に、下記組成からなる塗布液をロッドバー#18を用いて塗布した。なお、得られた膜の膜厚は、0.8μmだった
・特定グラフト前駆体ポリマー3 0.25g
・水 2.0g
・AR 1g
次に、基板に1.5kW高圧水銀灯を使用し30秒間露光を行った。その後に得られた膜を飽和重曹水にて洗浄し、上記重合性基含有ポリマーがグラフト化された基板Cを得た。
得られた基板Cを、実施例1と同様な手法で無電解メッキ、及び、電気メッキを行い金属膜4を作製した。
実施例1の基板1に代えて基板2を用いた以外は同様の手法を用いて金属膜を得た後、実施例2と同じ手法で電気メッキを行い、金属膜5を得た。
〔実施例6〕
実施例5の基板2に代えて基板3を用いた以外は同様の手法を用いて金属膜6を得た。
〔実施例7〕
実施例6の基板2に代えて基板4を用いた以外は同様の手法を用いて金属膜7を得た。
(モノマーBの合成)
500mlの三口フラスコに、2−ヒドロキシエチルメタクリレート58.6gを入れ、アセトン250mlを加え、撹拌した。ピリジン39.2g、p−メトキシフェノール0.1gを添加した後に、氷水を入れた氷浴にて冷却した。混合液温度が5℃以下になった後に、2−ブロモイソブタン酸ブロミド114.9gを滴下ロートにて3時間かけて滴下した。滴下終了後、氷浴を外してさらに3時間撹拌した。反応混合液を水750mlに投入し、1時間撹拌した。水混合液を分液ロートを用いて、酢酸エチル500mlで3回抽出した。有機層を1M塩酸500ml、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液500ml、飽和食塩水500mlで順次洗浄した。有機層に硫酸マグネシウム100gを入れ、脱水乾燥した後、濾過した。溶媒を減圧留去し、モノマーC 102gを得た。
上記、反応液に4−ヒドロキシTEMPO 0.82gを入れ、N,N−ジメチルアセトアミド800gを加え、氷水を入れた氷浴にて冷却した。混合液温度が5℃以下になった後に、1、8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン(DBU)180.8gを滴下ロート用いて、滴下した。滴下終了後、氷浴を外してさらに8時間撹拌した。反応液に水49gにメタンスルホン酸114mlを溶解させた液を添加し、4時間攪拌した。攪拌の後、水による再沈を行い比較ポリマー1を濾取、水で洗浄、乾燥し17g得た。この比較ポリマー1は、前記合成法より明らかなように、主鎖より6元素離れた位置に重合性基を有するポリマーである。
500ml三口フラスコにN,N−ジメチルアセトアミド200g、ポリアクリル酸(和光純薬製 分子量:25000)30g、メチルーエチルーイミダゾール0.9g、ジターシャリーペンチルハイドロキノン 25mg、グリシジルメタクリレート19.6gを入れ、窒素気流下、100℃、5時間反応させた。その後、反応液を50gとり、氷浴中で4NNaOHを12.8mL加え、酢酸エチルによる再沈を行い、下記構造単位からなる比較ポリマー2を濾取、水で洗浄、乾燥し3.1g得た。この比較ポリマー2は、下記構造より明らかなように、主鎖より7元素離れた位置に重合性基を有するポリマーである。
実施例1の特定グラフト前駆体ポリマー1を比較ポリマー1に代えた以外は同様の手法を用いて金属膜を得た後、実施例2と同じ手法で電気メッキを行い、金属膜8を得た。
〔比較例2〕
実施例1の特定グラフト前駆体ポリマー1を比較ポリマー2に代えた以外は同様の手法を用いて金属膜を得た後、実施例2と同じ手法で電気メッキを行い、金属膜9を得た。
(断面形状観察)
金属膜2を、ミクロトーム(ライカ製)を用いてダイヤモンドカッター(製品名:スミナイフ)にてカットし、きれいなメッキ断面を有する試料を調整した。得られた試料をSEMで観察したところ、ポリマー層中の金属膜との界面近傍に、無電解メッキ触媒、無電解メッキにより析出した金属の1種以上からなると考えられる微粒子が高密度で存在することが確認された。
実施例2〜7、比較例1〜2で得られた金属膜2〜9については、幅1cmにカッターで傷をつけ、端を剥がし、JIS C 6481に基づき90度剥離実験を行った(実験器:テンシロン剥離機、(株)オリエンテック製)。
実施例1で得られた金属膜1については、その表面に、銅板(幅:1cm、厚み:0.1mm)をエポキシ系接着剤(アラルダイト、チバガイギー製)で接着し、140℃で4時間乾燥した後、JIS C 6481に基づき90度剥離実験を行った。結果を下記表1に示す。
Claims (10)
- (a)基板に、無電解メッキ触媒またはその前駆体と相互作用する官能基、及び、主鎖より8元素以上離れた位置に重合性基を有するポリマーを直接化学結合させてポリマー層を形成するポリマー層形成工程と、(b)該ポリマー層に無電解メッキ触媒またはその前駆体を付与する触媒付与工程と、(c)無電解メッキを行い、ポリマー層上に金属膜を形成する金属膜形成工程と、を有することを特徴とする金属膜形成方法。
- 前記無電解メッキを行った後に、さらに、(d)電気メッキを行うことを特徴とする金属膜形成方法。
- 前記基板が、1GHzにおける誘電正接が0.01以下である絶縁性樹脂からなる基板、又は、該絶縁性樹脂からなる層を基材上に有する基板であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の金属膜形成方法。
- 前記基板が、1GHzにおける誘電率が3.5以下である絶縁性樹脂からなる基板、又は、該絶縁性樹脂からなる層を基材上に有する基板であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の金属膜形成方法。
- 前記(a)ポリマー層形成工程が、(a−1)基材上に重合開始剤を含有する重合開始層が形成された基板を作製する工程と、(a−2)該重合開始層が形成された基板上に、無電解メッキ触媒またはその前駆体と相互作用する官能基、及び、主鎖より8元素以上離れた位置に重合性基を有するポリマーを直接化学結合させる工程と、を有することを特徴とする請求項1に記載の金属膜形成方法。
- 前記(a−2)工程が、前記重合開始層が形成された基板上に、無電解メッキ触媒またはその前駆体と相互作用する官能基、及び、主鎖より8元素以上離れた位置に重合性基を有するポリマーを接触させた後、エネルギーを付与することにより、前記基板表面全体に当該ポリマーを直接化学結合させる工程であることを特徴とする請求項5に記載の金属膜形成方法。
- 前記(c)金属膜形成工程の後に、さらに、(e)乾燥工程を有することを特徴とする請求項1、請求項3乃至請求項6の何れか1項に記載の金属膜形成方法。
- 前記(d)電気メッキ工程の後に、さらに、(e)乾燥工程を有することを特徴とする請求項2に記載の金属膜形成方法。
- 請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の金属膜形成方法により形成された金属膜をパターン状にエッチングすることを特徴とする金属パターン形成方法。
- 基板に、無電解メッキ触媒またはその前駆体と相互作用する官能基、及び、主鎖より8元素以上離れた位置に重合性基を有するポリマーが直接化学結合してなるポリマー層を有し、該ポリマー層の内部、及び、上部に無電解メッキ層を有することを特徴とする金属膜。
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