JPH08269231A - 被メッキ用樹脂組成物 - Google Patents

被メッキ用樹脂組成物

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JPH08269231A
JPH08269231A JP7096140A JP9614095A JPH08269231A JP H08269231 A JPH08269231 A JP H08269231A JP 7096140 A JP7096140 A JP 7096140A JP 9614095 A JP9614095 A JP 9614095A JP H08269231 A JPH08269231 A JP H08269231A
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plating
resin composition
aluminum borate
resin
examples
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JP7096140A
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Takashi Mizoguchi
隆 溝口
Kiyotoshi Iwafune
聖敏 岩船
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COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Cosmo Oil Co Ltd
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COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Cosmo Oil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、メッキ特性および電気特性に優れ
た熱可塑性の被メッキ用樹脂組成物、特に、射出成形技
術を利用した3次元回路基板や電子部品(絶縁材料、コ
ネクター、配線基板、ハウジング等)の製造に適した樹
脂組成物を提供する。 【構成】 熱可塑性樹脂にホウ酸アルミニウムを配合し
てなる。このホウ酸アルミニウムは、アスペクト比が1
0以下で、平均粒径が0.01〜100μmであること
が好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、メッキ特性に優れ、か
つ優れた電気特性を有する被メッキ用樹脂組成物に関
し、特に、電子部品(絶縁材料、コネクター、配線基
板、ハウジング等)に有用な熱可塑性の被メッキ用樹脂
組成物に関する。より詳しくは、熱可塑性であり、しか
もメッキ特性が優れていることから、射出成形技術を利
用した3次元回路基板や電子部品(射出成形回路部品:
Molded interconnect devic
e<MID>、射出成形回路基板:Molded ci
rcuit boad<MCB>)の製造に適した被メ
ッキ用樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】メッ
キ特性に優れた熱可塑性樹脂(すなわち、被メッキ用樹
脂)組成物は、射出成形や押出成形が容易であることか
ら、3次元成形が可能であり、従来から、様々な電子・
電気部品、自動車部品、機械部品や装飾品に多用されて
いる。
【0003】従来の被メッキ用樹脂組成物は、配合され
る無機フィラーの形状やサイズの改善、あるいはメッキ
技術の進歩により、充分なメッキ特性が得られるように
なっている。一方、電子部品、例えば、プリント配線基
板、コネクター、絶縁基板に用いられる被メッキ用の熱
可塑性樹脂組成物は、メッキ特性だけでなく、電気特性
に対しても厳しい性能が要求される。
【0004】ここで、メッキ特性とは、メッキされた樹
脂組成物とメッキした金属との結合状態の良否、すなわ
ち該樹脂組成物と金属メッキ膜との密着性を言い、この
密着性が良好であることをメッキ特性に優れると言う。
また、優れた電気特性とは、樹脂絶縁材料とくに高周波
用絶縁材料に要求される特性、すなわち低い誘電率、低
い誘電正接を有することを言う。
【0005】ところで、すでに報告または市販されてい
る被メッキ用の樹脂および樹脂組成物は、誘電率、誘電
正接が高い。例えば、特開昭56−136841、特開
平5−230276、特開平1−98637号等で報告
されている被メッキ用の樹脂は、優れたメッキ特性を有
し極めて工業的価値の高いものであるが、電気特性が悪
い。その結果、その用途が限定され、例えば、高周波帯
域で使用される電子部品等には、信号損失が大きくなる
ため、使用が困難である。
【0006】一方、樹脂成形品と金属メッキ膜との密着
強度は、樹脂表面の物理的性質、すなわち表面粗さに大
きく依存することが知られている。特に、樹脂成形品の
表面に適当なサイズの穴(投錨用の穴−以下、「アンカ
ー穴」と言う)を均一に形成することで、メッキ密着強
度は著しく向上する(アンカー効果)。
【0007】樹脂成形品の表面にアンカー穴を形成する
ための方法としては、酸やアルカリまたは有機溶剤等に
よる化学エッチングが用いられることが多い。よって、
被メッキ用の樹脂は、熱可塑性樹脂にアルカリ水溶液や
酸または有機溶剤等に可溶な特定の無機フィラーを配合
させた樹脂組成物である。このような特定の無機フィラ
ーを配合した樹脂組成物による成形品を、特定の溶剤
(酸、アルカリ、有機溶剤)で化学エッチングして無機
フィラーを溶出または脱離することにより、成形品の表
面にアンカー穴を形成することが容易に可能である。
【0008】従来技術では、上記の特定の無機フィラー
として、炭酸カルシウム、ガラス、炭酸マグネシウム、
酸化マグネシウム、ピロリン酸カルシウム、硫酸バリウ
ム、炭酸バリウム、酸化亜鉛、その他多数種を利用して
いる。
【0009】しかし、従来技術で報告されている上記無
機フィラーを樹脂に配合すると、樹脂の電気特性が悪化
すると言う欠点がある。具体的には、前述したように、
誘電率や誘電正接の上昇などが挙げられる。
【0010】誘電率や誘電正接の上昇は、電子部品、特
に電気絶縁材料、その中でも高周波信号用の電子部品に
利用する場合に、信号損失が大きくなることから、問題
となっている。ここで言う、高周波信号とは1GHz以
上の周波数帯のことで、高周波信号を用いる具体的な商
品としては携帯電話、ポケベル、衛星端末、ナビゲーシ
ョンシステム等がある。
【0011】従来技術では、優れたメッキ特性と優れた
電気特性(低誘電率、低誘電正接)とを両立させた樹脂
組成物の報告はない。
【0012】なお、射出成形による電子部品の製造技術
は、電子部品の小型化、高密度化が可能であることか
ら、近年、注目されている。
【0013】本発明は、以上の諸点を考慮し、射出成形
に適した熱可塑性樹脂組成物であって、しかも優れたメ
ッキ特性と、優れた電気特性とを併せ持つ被メッキ用樹
脂組成物を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の被メッキ用樹脂組成物は、熱可塑性樹脂に
ホウ酸アルミニウムを配合してなることを特徴とする。
このとき、ホウ酸アルミニウムは、アスペクト比10以
下、かつ平均粒径0.01〜100μmであることが好
ましい。
【0015】さらに、本発明の被メッキ樹脂組成物は、
周波数帯100KHz〜300GHzにおける誘電率が
4.0以下、同周波数帯における誘電正接が0.01以
下であることが好ましい。
【0016】本発明における熱可塑性樹脂としては、市
販の熱可塑性樹脂の類に代表される樹脂が挙げられる。
具体的には、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン
(PP)、ポリスチレン(PSt)、ポリメチルメタク
リレート(PMMA)、ABS樹脂、AS樹脂などの汎
用樹脂、ポリアセテート(POM)、ポリカーボネート
(PC)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリア
ミド(PA、すなわちナイロン)、ポリエチレンテレフ
タレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(P
BT)などのエンジニアリングプラスチック、ポリフェ
ニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルスルホン
(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエー
テルエーテルケトン(PEEK)、ポリケトン(P
K)、ポリイミド(PI)、ポリシクロヘキサンジメタ
ノールテレフタレート(PCT)、ポリアリレート(P
AR)、各種液晶ポリマー(LCP)等が挙げられる。
【0017】また、本発明における熱可塑性樹脂には、
上記樹脂に加えて、高分子多成分系、すなわち2種類以
上の熱可塑性樹脂を物理的または化学的に所定の組成比
でブレンドしたポリマーアロイやポリマーブレンド、変
性物も含む。
【0018】好ましい高分子多成分系の組み合わせの例
として、例えば2成分系では、PPE/PS、PPE/
PC、PPE/PA、PPE/PET、PPE/PB
T、PPE/PEI、PPE/PPS、PPE/PE
S、PPE/PEEK、PPE/PCT、PPE/LC
P、PEI/PC、PEI/PEEK、PEI/LC
P、PEI/PET、PEI/PBT、LCP/PA
R、LCP/PEEK、LCP/PET、LCP/PB
T、LCP/PC、LCP/PCT、LCP/PEEK
等が挙げられる。
【0019】3成分系では、PPE/PC/PS、PP
E/PEI/PC、PPE/PEI/PS、PEI/P
PE/LCP、PEI/PC/LCP PEI/PEE
K/LCP等が挙げられる。
【0020】上記のポリマーアロイおよびポリマーブレ
ンドには、相溶性の向上等の目的で、第3成分として相
溶化剤等が配合されていてもかまわない。具体的な相溶
化剤としては、エポキシ変性MMA−MMA共重合体、
エポキシ変性St−St共重合体、エポキシ変性St−
MMA共重合体、エポキシ変性MMA−St共重合体、
St−無水マレイン酸共重合体、St−MMA共重合
体、無水マレイン酸−ビニル系共重合体等が挙げられ
る。ただし、ここで言う共重合体とは、ランダム共重合
体、ブロック共重合体、交互共重合体およびグラフト共
重合体を指す。
【0021】さらに、本発明における熱可塑性樹脂に
は、樹脂の基本的な性能、例えば機械的特性、電気的特
性、耐熱性、成形加工性、流動性、難燃性、耐紫外線
性、耐薬品性、成形品の外観等の改善、あるいは着色、
光沢付与等の目的で各種添加剤が配合されていても良
い。添加剤としては、可塑剤、熱安定剤、酸化安定剤、
架橋剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光沢付与剤等が挙げら
れる。
【0022】本発明における無機フィラーすなわちホウ
酸アルミニウムは、一般式nAl・mB
(n、mは1〜100の整数)で示される。
【0023】また、このホウ酸アルミニウムは、長軸方
向の長さと単軸方向の長さとの比、すなわちアスペクト
比が10以下、好ましくは3以下の粉末状または球状フ
ィラーで、かつ平均粒径が0.01〜100μm、好ま
しくは0.1〜50μmの範囲にあることが望ましい。
【0024】アスペクト比が1に近いほど、言い換えれ
ば、フィラー形状が真円(球)に近いほど、メッキ特性
は向上する。ホウ酸アルミニウムのアスペクト比は、高
すぎると、具体的には10より大きいと、アンカー穴の
形状が繊維状となり、メッキ密着強度が著しく低下す
る。
【0025】また、平均粒径が0.01μm未満である
と、無電解メッキ用の触媒付与(成形品の表面に無電解
メッキ用の触媒を吸着させること)が困難となり、充分
なメッキ密着強度が得られないばかりか、均一な表面の
メッキ膜が得られない。一方、平均粒径が100μmを
越えると、アンカー穴のサイズが必要以上に大きくな
り、充分なアンカー効果が得られず、メッキ膜と樹脂の
間の物理的結合強度が弱くなる。
【0026】また、ホウ酸アルミニウムの配合量は、熱
可塑性樹脂とホウ酸アルミニウムの合計を100重量部
とした場合、樹脂30〜95重量部に対しホウ酸アルミ
ニウムを5〜70重量部、好ましくは樹脂40〜90重
量部に対しホウ酸アルミニウムを10〜60重量部とす
ることが望ましい。ただし、ホウ酸アルミニウムの分散
性や樹脂に対する親和性を向上させる目的で、例えば、
カップリング剤等を配合してもかまわない。
【0027】このカップリング剤の好ましい例として
は、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリス(β−メト
キシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビ
ニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピル
トリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘ
キシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシ
プロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピ
ルメチルジエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)
−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−
(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキ
シシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N
−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、
γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロ
ロプロピルトリメトキシシラン、ジ(3−トリエトキシ
シリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプ
ロピルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリ
メトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン、N−2(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリ
メトキシシラン、ビニルトリ(2−メトキシエトキシ)
シラン、3−メタアクリロイルオキシプロピルトリメト
キシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキ
シシラン等のシラン系カップリング剤;トリイソステア
ロイルイソプロピルチタネート、ジ(ジオクチルフォス
フェート)ジイソプロピルチタネート、ジドデシルベン
ゼンスルフォニルジイソプロピルチタネート、ジイソス
テアリルジイソプロピルチタネート等のチタネート系カ
ップリング剤;等が挙げられる。
【0028】カップリング剤は、電気特性やメッキ特性
が悪くならない範囲の量で使用することができ、通常
は、ホウ酸アルミニウム100重量部に対し、0.00
01〜1重量部の範囲が好ましい。
【0029】また、ホウ酸アルミニウムの分散性や樹脂
に対する親和性の改善、あるいはホウ酸アルミニウムの
熱安定性や酸化安定性の向上を目的として、公知の方法
によりホウ酸アルミニウムに表面処理を施してもよい。
【0030】本発明の樹脂組成物は、前述した特定の無
機フィラーとしてホウ酸アルミニウムを配合するもので
あるが、電気特性およびメッキ特性が低下しない範囲
で、他の無機フィラーを併用しても良い。
【0031】併用可能な無機フィラーの例としては、ガ
ラス粉末、ガラス短繊維、ガラス繊維、ガラスバルー
ン、シラスバルーン、チョップドストランド、カーボン
繊維、カーボンブラック、カーボン粉末、アラミド、チ
タン酸カリウム、ホウ酸マグネシウム、炭酸カルシウ
ム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシ
ウム、硫酸アルミニウム、ピロリン酸塩、窒化珪素、窒
化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化珪素、アルミナ、ア
ルミナ繊維、シリカ、マイカ、タルク、ケイ藻土、クレ
ー、火山灰、石灰石、ベントナイト、酸化チタン、酸化
マグネシウム、酸化カルシウム、2硫化モリブデン等が
挙げられる。
【0032】本発明の樹脂組成物は、一般的な複合材料
製造技術を利用して製造することができるが、工業的に
は溶融混練法で製造することが、生産性、経済性の面か
ら好ましい。具体的には、2軸押出機や単軸押出機を用
いた混練による製造、ラボプラストミルに代表されるバ
ッチ式の加熱溶融混練機による製造が可能である。
【0033】本発明の樹脂組成物は、熱可塑性であり、
射出成形、押出成形、プレス成形が可能である。
【0034】本発明の樹脂組成物による成形品と金属メ
ッキ膜との密着強度(メッキ密着強度)は、前述した従
来の被メッキ用樹脂組成物による成形品の場合と同様
に、成形品の表面(すなわち樹脂組成物の表面)の物理
的性質、すなわち表面粗さに大きく依存し、特にメッキ
前に成形品の表面に適当なサイズのアンカー穴を均一に
形成することで、アンカー効果によるメッキ密着強度の
著しい向上を得ることができる。
【0035】上記アンカー穴の形成は、従来の被メッキ
用樹脂組成物による成形品の場合と同様に、化学エッチ
ングが有効である。
【0036】従来の化学エッチングは、前述したよう
に、被メッキ用樹脂組成物中の無機フィラーに対する溶
剤、例えばアルカリ水溶液や酸または有機溶剤等に、成
形品の表面を含浸させて、表面の無機フィラーを溶出ま
たは脱離させて行う。このときのエッチング溶液は、無
機フィラーの性質、すなわち無機フィラーの溶解性や腐
食性により選択され、例えば、炭酸カルシウム、ピロリ
ン酸塩、硫酸バリウム等をフィラーとして用いた場合に
は、酸性エッチング溶液(例えば、硫酸、塩酸、クロム
酸、リン酸、酢酸、硝酸、ホウ酸等の酸、これらの混合
物、あるいは水溶液)が一般に使用され、ガラス系やア
ルミナのフィラーの場合には、アルカリエッチング(例
えば、任意濃度の水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、
水酸化リチウム等の水溶液)が一般に使用される。ま
た、有機溶剤としては、クロロホルム、ジクロロメタ
ン、ベンゼン、ピリジン、ヘキサン、テトラヒドロフラ
ン、酢酸エチル、トルエン、N,N−ジメチルホルムア
ミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、
アセトニトリルなどが使用される。
【0037】本発明におけるホウ酸アルミニウムは、ア
ルカリ水溶液に可溶である。よって、成形品の表面をア
ルカリ水溶液で化学エッチングして成形品の表面に存在
するホウ酸アルミニウムを溶出・脱離することにより、
メッキに有効なアンカー穴が形成される。
【0038】このアルカリ水溶液としては、例えば、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等が
使用でき、これらアルカリ金属の水酸化物の水溶液がホ
ウ酸アルミニウムの溶解性および経済性の面で好まし
い。
【0039】アルカリ濃度は、1〜15N、好ましくは
5〜10Nの範囲である。アルカリ濃度が低いとホウ酸
アルミニウムの溶出に長時間を要し、逆にアルカリ濃度
が高いと樹脂の劣化が顕著となり好ましくない。
【0040】化学エッチングの温度は、室温(20℃)
〜120℃、好ましくは50〜100℃の範囲が良い。
エッチング温度が低いとホウ酸アルミニウムの溶出に長
時間を要し、逆にあまり高いと樹脂の劣化が顕著となり
好ましくない。
【0041】化学エッチングを行う際に、ホウ酸アルミ
ニウムの溶解速度を向上させる目的で、攪拌、超音波、
空気バブリング等を併用してもよい。
【0042】また、本発明の樹脂組成物による成形品の
樹脂スキン層を除去する目的で、一般的な方法、例え
ば、硫酸、塩酸、クロム酸、有機溶剤等によりプリエッ
チングしてもよい。プリエッチングには、通常用いられ
る方法が適応可能である。
【0043】以上の化学エッチング工程を除けば、本発
明における樹脂組成物は、通常の被メッキ用樹脂と同様
に無電解メッキおよび電気メッキを実施することができ
る。
【0044】本発明の樹脂組成物は、前述したように、
周波数帯100kHz〜300GHzにおける誘電率が
4.0以下、同周波数帯における誘電正接が0.01以
下であることが好ましい。上記周波数帯における誘電率
が4.0より大きかったり、または誘電正接が0.01
より大きい樹脂を電子部品や電気絶縁材料(特に、1G
Hz以上の高周波帯域で使用するこれらの部品や材料)
に用いる場合、信号の損失が大きくなるため、回路の設
計等で無理を生じることが多く、場合(用途)によって
は使用不可能になる。
【0045】
【実施例】以下の実施例および比較例で用いた樹脂は、
次の通りである。また、以下の実施例および比較例で用
いたホウ酸アルミニウムは、四国化成(株)製“アルボ
ライト”である。
【0046】<使用樹脂> ・PEI:ポリエーテルイミド 日本GEプラスチックス(株)製“ウルテム1000” ・PPE:変性ポリフェニレンエーテル 旭化成工業(株)製“ザイロンPXL9102” ・LCP:液晶ポリマー 住友化学工業(株)製“住化スーパーE6000” ・PA :ナイロン6 三菱化学(株)製“ノバミッド1013C” ・POM:ポリアセテート 旭化成工業(株)製“テナック3010” ・PBT:ポリブチレンテレフタレート 帝人(株)製“テイジンPBT樹脂CN−7000” ・PEEK:ポリエーテルエーテルケトン 住友化学工業(株)製“ビクトレックス45G” ・PPS:ポリフェニレンスルフィド 大日本インキ化学工業(株)製“ライトンR−4”
【0047】実施例1〜24 <被メッキ用樹脂組成物の製造>表1に示す組成比で、
所定の熱可塑性樹脂とホウ酸アルミニウム粉末をプリブ
レンドした。その後、定量フィーダーを用い40〜60
kg/時間の供給速度で2軸押出機(ペルストロフ社製
“ZE40A”)に供給し、表2に示す温度および回転
数で加熱溶解混練し、水冷後、ペレタイザーによりスト
ランドを切断してペレット(成形前材料)とした。
【0048】<成形加工>上記のペレットを恒温器で1
00〜150℃で乾燥し、射出成形機(クロックナー社
製“F−85”)を用い、表2に示す成形温度でメッキ
特性評価用ならびに電気特性評価用の試験片を作成し
た。この試験片を形状は、次の通りであった。
【0049】<試験片の形状> ・ASTM1号ダンベル:メッキ評価用 ・円板1;φ100mm×1.6mm:1〜15MHz
電気特性評価用 ・円板2;φ100mm×0.8mm:1〜25GHz
電気特性評価用
【0050】<メッキ>上記の各試験片を用い、図1に
示した要領で、試験片(図1には「成形品」と表示)の
平坦な表面を表3に示す条件で化学エッチング処理した
後、次の要領および条件にて、無電解銅メッキ処理し、
次いで電気メッキ(銅メッキ)(メッキ厚40μm)を
施した。なお、図1中、リットルは「L」と、ミリリッ
トルは「mL」と表示した。
【0051】<メッキ特性の評価方法> ・化学エッチング後の表面状態の評価 化学エッチング処理後、試験片(ASTM1号ダンベ
ル)を乾燥し、セロハンテープ(ニチバン(株)製18
mm巾)を処理表面に張り付け、加圧(約500g)し
て試験片表面に密着させた。テープを90°の角度で一
気に引き剥がし、処理面の表層のピーリング性(剥離
性)を目視で判定し、次のように評価した。
【0052】(表層の剥離性) ◎・・・表層剥離無し ○・・・表層剥離殆ど無し △・・・部分的に表層剥離有り ×・・・テープ面に殆ど付着して表層剥離した
【0053】・メッキ外観の評価 電気メッキ処理後、メッキ面の外観(メッキ膜の均一性
およびメッキ膜の膨れの有無)を目視にて判定し、次の
ように評価した。
【0054】(メッキ膜の均一性) ◎・・・均一で鏡面性良好 ○・・・均一でほぼ鏡面 △・・・一部不均一 ×・・・全体的に不均一
【0055】(メッキ膜の膨れ) ◎・・・メッキ膜の膨れ全く無し ○・・・メッキ膜の膨れ殆ど無し △・・・部分的にメッキ膜の膨れ有り ×・・・全体的にメッキ膜の膨れ有り
【0056】・メッキ膜密着強度の測定 電気メッキ処理後、カッターナイフで1cm巾の帯状カ
ットを入れ、該カットの先端部を90°の角度にめくり
あげ、該めくりあげた先端部をバネでつかみ、引き剥が
す力をメッキ密着強さ(kg/cm)とした。
【0057】<電気特性の評価> ・誘電率、誘電正接の測定 測定周波数:1MHz、10MHz、1GHz、10G
Hz、20GHz 測定温度 :25℃ 測定方法:平行板電極法(1〜15MHz) トリプレート線路共振機法(損失分離法) (1GHz〜25GHz)
【0058】以上の化学エッチング後の表層剥離性の評
価結果は表3に併せて示し、メッキ特性の評価結果は
「メッキ膜の評価」として表4に、電気特性の評価結果
は表5にそれぞれ示した。
【0059】比較例1〜14 <被メッキ用樹脂組成物の製造>表6に示す組成比で、
所定の熱可塑性樹脂と所定の無機フィラーをプリブレン
ドした。その後、定量フィーダーを用い40〜60kg
/時間の供給速度で2軸押出機(ペルストロフ社製“Z
E40A”)に供給し、表7に示す温度および回転数で
加熱溶融混練し、水冷後、ペレタイザーによりストラン
ドを切断してペレット(成形前材料)とした。
【0060】<成形加工>表7に示す条件とした以外は
実施例1〜24と同様にして、メッキ特性評価用ならび
に電気特性評価用の試験片を作成した。。
【0061】 <メッキ、メッキ特性の評価および電気特性の評価>基
本的には実施例1〜24と同様としたが、化学エッチン
グの際の溶剤の種類、温度、時間等は、従来技術で報告
されている条件(具体的には表8に示す条件)とした。
【0062】以上の化学エッチング後の表層剥離性の評
価結果は表8に併せて示し、メッキ特性の評価結果は
「メッキ膜の評価」として表9に、電気特性の評価結果
は表10にそれぞれ示した。
【0063】「メッキ特性の評価・比較」実施例1〜2
4は、市販の樹脂および調整ポリマーアロイに、所定の
サイズおよび形状のホウ酸アルミニウムを配合した例で
ある。なお、実施例22〜24は、実施例1〜21とは
形状(アスペクト比、平均粒径)の異なるホウ酸アルミ
ニウムを樹脂(PEI)に配合した例であり、比較例4
〜14は、従来技術で報告されている無機フィラーを樹
脂に配合した例である。
【0064】メッキ密着強度は用途によって異なるが、
実用的な観点からは約1kg/cm以上であることが必
要である。表3から明らかなように、実施例1〜21で
は、KOH水溶液によるアルカリエッチング後の表層剥
離性試験で、いずれの試験片においても殆ど剥離は見ら
れず、良好な結果が得られた。また、表4から明らかな
ように、実施例1〜21では、いずれの試験片において
も、密着強度1kg/cm以上であった。ただし、アス
ペクト比が大きい繊維状のホウ酸アルミニウムを使用し
た実施例22および実施例23、平均粒径の大きい粒状
ホウ酸アルミニウムを使用した実施例24では、表3〜
表4から明らかなように、メッキ特性が実施例1〜21
に比べて余り良好でない。
【0065】一方、表8〜表9から明らかなように、ガ
ラス繊維を使用した比較例1では、化学エッチング後の
ピーリング試験で表層の剥離が見られ、メッキの密着強
度が低く、メッキ面の外観も悪い。
【0066】これに対し、表8〜表9から明らかなよう
に、従来技術で報告されている無機フィラーを配合した
比較例2〜14では、化学エッチング後の表層の剥離は
見られず、メッキ密着強度も1kg/cm以上であり、
メッキ特性の面からは充分な性能を示した。
【0067】「電気特性の評価・比較」表5から明らか
なように、実施例1〜24のホウ酸アルミニウム(粒
状)を配合した試験片の誘電率は、各周波数帯で4.0
以下、良いものは3.0以下の値を示した。また、全て
の試験片で誘電正接は0.01以下であり、ホウ酸アル
ミニウムを配合した本発明の樹脂組成物が優れた電気特
性を持つことが判る。
【0068】これに対し、表10から明らかなように、
比較例では、いずれの試験片においても、誘電率、誘電
正接ともに高く、実施例と比べ、電気特性が著しく悪い
ことが判る。
【0069】
【表1の1】
【0070】
【表1の2】
【0071】
【表2】
【0072】
【表3】
【0073】
【表4】
【0074】
【表5の1】
【0075】
【表5の2】
【0076】
【表6の1】
【0077】
【表6の2】
【0078】
【表7】
【0079】
【表8】
【0080】
【表9】
【0081】
【表10の1】
【0082】
【表10の2】
【0083】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の被メッキ
用樹脂組成物によれば、良好なメッキ特性を有するとと
もに、優れた電気特性をも有し、特に高周波帯域で使用
する電子部品等の材料として有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における試験片の化学エッチン
グの要領を説明するための図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂にホウ酸アルミニウムを配
    合してなることを特徴とする被メッキ用樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ホウ酸アルミニウムが、アスペクト比1
    0以下、かつ平均粒径0.01〜100μmであること
    を特徴とする請求項1記載の被メッキ用樹脂組成物。
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