JP2000230102A - 低誘電性樹脂組成物 - Google Patents
低誘電性樹脂組成物Info
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Abstract
れた電気特性を有し、特に電子部品(配線基板、コネク
ター、ハウジング、絶縁材料等)に有用な高周波用の低
誘電性樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 シクロヘキサジエン系ポリマーと、Si
O2の純度が93%以上のシリカ10〜70質量%とを
含むことを特徴とする。シクロヘキサジエン系ポリマー
は、1,2付加体と1,4付加体との混合体であって、
1,2付加体のモル分率が20〜80モル%であること
が好ましく、シリカは、アスペクト比1〜10で、平均
粒径0.01〜100μmであることが好ましい。
Description
れ、かつ、幅広い温度領域で優れた電気特性を有する低
誘電性樹脂組成物に関し、特に、電子部品(配線基板、
コネクター、ハウジング、絶縁材料等)に有用な低誘電
性樹脂組成物に関する。
比誘電率と誘電正接が幅広い温度領域で低く、かつ、変
動することがないため、高周波用の3次元回路基板や電
子部品(射出成形回路部品:Molded inter
connection device<MID>、射出
成形回路基板:Molded circuit boa
d<MCB>)等に利用可能な低誘電性樹脂組成物に関
する。
KHz〜300GHzの電波(電磁波)のことで、高周
波信号を用いる具体的な商品としては携帯電話、PH
S、ポケベル、衛星端末、ナビゲーションシステム、G
PS、無線LAN、ITS等が挙げられる。
加、伝達時間の短縮に対応して、伝送信号の高周波化が
進んでいる。単位時間当たりの伝達情報量は、信号の周
波数に比例して多くでき、結果として、伝送速度を速く
することが可能となる。しかし、信号の周波数と信号エ
ネルギーの損失との間には、数1に示す関係があり、高
い周波数の信号は伝送損失が大きくなるといった欠点が
ある。この損失は、一般に誘電損失と言われ、数1に示
す周波数と絶縁体の比誘電率、誘電正接の関数で表され
る。
の比誘電率及び誘電正接とに比例して大きくなる。よっ
て、高周波信号を利用し、かつ、できるだけ誘電損失を
低減するためには、極力、低比誘電率、低誘電正接の絶
縁体を用いる必要がある。
超高周波信号の利用検討が進み、優れた電気特性(低比
誘電率、低誘電正接)を有し、かつ、電子部品の小型
化、高密度化、低コスト化の要請に伴い、射出成形や押
出成形のような成形加工性が容易なメッキ特性に優れた
樹脂が必要とされており、本発明者らも、メッキ特性と
優れた電気特性を併せ持つ樹脂組成物を、特開平8−2
69231号、同9−137068号の各公報で報告し
ている。
電率、誘電正接)は、周囲の環境、例えば温度変化によ
り樹脂の比誘電率と誘電正接が変動し、電子部品や電子
機器自体の電気的な性能が変動する。外的変化が余りに
大きい場合には、電気特性が低下することがあるため、
電子部品や電子機器に使用する樹脂の電気特性の温度依
存性が重視される。つまり、高周波用樹脂としては、広
い範囲の温度において、比誘電率と誘電正接が変動する
ことなく安定した低い値を示し、かつ優れたメッキ特性
を併せ持つ多機能な樹脂が必要とされる。
れ、かつその電気特性の温度による変動が極めて少ない
という複数の機能を兼ね備えた高周波用の低誘電樹脂組
成物を、比較的低コストで提供することを目的とする。
脂組成物は、シクロヘキサジエン系ポリマーと、SiO
2の純度が93%以上のシリカ10〜70質量%とを含
むことを特徴とする低誘電性の樹脂組成物であって、優
れたメッキ特性と、優れた電気特性とを併せ持つと同時
に、その電気特性の温度による変動が極めて少ないもの
である。
周波用絶縁材料に要求される特性、すなわち低い比誘電
率、低い誘電正接を有することを言う。より具体的に
は、高周波帯100KHz〜300GHzにおける比誘
電率が3.5以下、好ましくは3.0以下、同周波数帯
における誘電正接が0.01以下、好ましくは0.00
5以下であることを指す。比誘電率が3.5より大きい
樹脂、あるいは誘電正接が0.01より大きい樹脂を、
高周波で使用する電子部品や電気絶縁材料に用いると、
信号の損失が大きくなるため、製品の性能(特性)が低
下し、製品設計、製造、加工等で無理を生じることが多
く、場合(用途)によっては使用困難となる。
変動が極めて少ないこととは、測定温度による比誘電率
と誘電正接の値の変化が小さいことを言う。より詳しく
は、測定温度範囲−50〜200℃において最も高い比
誘電率の値と最も低い比誘電率の値の差が0.5以下、
好ましくは0.3以下であること、かつ、同様に最も高
い誘電正接の値と最も低い誘電正接の値の差が0.00
5以下、好ましくは0.003以下であることを言う。
上記温度範囲における、最も高い比誘電率の値と最も低
い比誘電率の値の差が0.5より大きい場合、あるいは
同様に最も高い誘電正接の値と最も低い誘電正接の値の
差が0.005より大きい場合、温度変化により電子部
品や電子機器等製品の電気的性能が変化することがあ
る。特に高周波では、波長が短いために、低周波と比
べ、温度変化に伴う樹脂の電気特性の変化が製品の性能
に大きく影響し、その製品が有する本来の性能を充分に
得ることができない場合がある。この本来の特性とは、
例えば、基板や伝送線路における特性インピーダンスや
アンテナにおける受信・送信感度等のことで、これらの
性能が変わると、誤操作やトラブルの原因となり得る。
表面に施した無電解メッキ膜において樹脂成形品表面と
無電解メッキ膜との間の密着性が優れることを言い、具
体的には、密着強度無電解メッキ膜の密着強度が1kg
f/cm以上であることを指す。
は、1,3−シクロヘキサジエン(式1)を原料とする
重合体、あるいはその水素化物であって、ポリ(1,3
−シクロヘキサジエン)(式2)繰り返し単位、その水
素化物であるポリシクロヘキサン(式3)繰り返し単位
を樹脂構造に含む樹脂を指す。また、1,3−シクロヘ
キサジエンと少なくとも一つの2重結合を有する脂肪族
オレフィン化合物又は芳香族ビニル化合物の共重合体
と、その水素化物をも含む。脂肪族ポリオレフィンの具
体例は、エチレン、プロピレン、ブタジエン、ペンタジ
エン、塩化ビニル、フッ化ビニル、テトラフルオロエチ
レン、メチルメタクリレート等であり、芳香族ビニル化
合物の具体例は、スチレン、メチルスチレン、エチルス
チレン、クロロスチレン等である。
ン)及びポリシクロヘキサンの製造方法は、Macro
molecules 1997,30,3696〜36
97、Macromolecules 1998,3
1,982〜987、Journal of Poly
mer Science:Part B:Polyme
rPhysics,Vol.36,1657〜1668
(1998)に詳しく紹介されている。
ン)とポリシクロヘキサンの好ましい分子量は1000
0以上、より好ましくは20000以上である。分子量
が10000未満であると機械的強度や耐熱温度が低下
する傾向にある。また、ポリ(1,3−シクロヘキサジ
エン)繰り返し単位と、その水素化物であるポリシクロ
ヘキサン繰り返し単位には、その重合様式により、1,
2付加体(式4)と1,4付加体(式5)が存在し、本
発明では、1,2付加体、1,4付加体、及びそれらが
任意の割合で存在する混合体のいずれでも良いが、好ま
しくは1,2付加体がモル分率で20〜80モル%、よ
り好ましくは30〜70モル%で存在する1,2付加体
と1,4付加体との混合体である。この混合体におい
て、1,2付加体のモル分率が80モル%より多いと
(言い換えれば1,4付加体のモル分率が20モル%未
満であると)ポリマー骨格が剛直になって成形加工が困
難になり、逆に20モル%未満であると(言い換えれば
1,4付加体のモル分率が80モル%より多いと)耐熱
性が低下する傾向がある。
脂組成物は、シクロヘキサジエン系樹脂に加えて、メッ
キ性や電気特性が低下しない範囲で他の樹脂を配合して
もよい。言い換えれば、本発明の樹脂組成物は、シクロ
ヘキサジエン系樹脂を含む高分子多成分系であっても良
い。配合可能な樹脂としては、ポリエチレン(PE)、
ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ
メチルメタクリレート(PMMA)、ABS樹脂、AS
樹脂等の汎用樹脂、ポリアセテート(POM)、ポリカ
ーボネート(PC)、ポリフェニレンエーテル(PP
E)、ポリアミド(PA:ナイロン)、ポリエチレンテ
レフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート
(PBT)等のエンジニアリングプラスチック、ポリフ
ェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルスルホン
(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエー
テルエーテルケトン(PEEK)、ポリケトン(P
K)、ポリイミド(PI)、ポリシクロヘキサンジメタ
ノールテレフタレート(PCT)、ポリアリレート(P
AR)、各種液晶ポリマー(LCP)等があげられる。
ン系樹脂と、上記のような樹脂の1種以上を、物理的又
は化学的に所定の組成比でブレンドしたポリマーアロイ
やポリマーブレンド、あるいは変性物を含む。この変性
物とは、合成樹脂の反応時あるいはコンパウンディング
時に、基本的な成分の一部を他の成分と置き換えて、合
成樹脂又はコンパウンディングの性質を変えることを言
う。
等の目的で、相溶化剤等を配合することもできる。ま
た、本発明の高周波用の低誘電樹脂組成物には、樹脂の
基本的な性能、例えば機械的特性、電気的特性、耐熱
性、成形加工性、流動性、難燃性、耐紫外線性、耐薬品
性、成形品の外観等の改善や着色、光沢付与等の目的
で、各種添加剤を配合することもできる。これらの添加
剤としては、色素、可塑剤、熱安定剤、酸化安定剤、架
橋剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光沢付与剤等が挙げられ
る。
93%以上である必要があり、好ましくは96%以上、
より好ましくは98%以上である。特に、結晶シリカを
一度溶融し製造した溶融シリカが好ましい。このように
本発明では、シリカのSiO2純度は、100%に近い
方が良いが、93%以上であれば、優れた電気特性を有
する低誘電性の樹脂組成物を得ることができる。但し、
93%未満になると、樹脂組成物の電気特性が著しく低
下する。なお、SiO2純度の低いシリカはコストが廉
価となるため、本発明において、SiO2純度が93%
以上100%未満、あるいは93〜99.8%、93〜
99%、93〜97%程度のシリカを使用すれば、実用
上優れた電気特性を有する低誘電性樹脂組成物を、安価
に提供することができる。
い。具体的には、長軸方向の長さと単軸方向の長さとの
比、すなわちアスペクト比が10以下、好ましくは5以
下である。アスペクト比が1に近い程、言い換えれば真
円(球)に近い程、メッキ特性が向上する。従って、ア
スペクト比の下限値は1である。アスペクト比が高すぎ
ると、具体的には10を超えると、後述のようにシリカ
に起因して形成されるミクロポアの形状が繊維状とな
り、メッキ膜の密着強度が著しく低下する。
00μmが好ましく、より好ましくは0.1〜50μ
m、さらに好ましくは1〜30μmである。平均粒径が
0.01μm未満であると、無電解メッキ用の触媒付与
(成形品の表面に無電解メッキ用の触媒を吸着させるこ
と)が困難となり、充分なメッキ膜密着強度が得られな
いばかりか、均一な表面のメッキ膜が得られない。平均
粒径が100μmを越えると、ミクロポアのサイズが必
要以上に大きくなり、充分なミクロポア効果が得られ
ず、メッキ膜と樹脂の間の物理的結合強度が低くなり、
メッキ膜の表面が粗くなるため電気特性が低化する。
〜70質量%、好ましくは15〜60質量%、より好ま
しくは20〜50質量%とする。シリカの配合量が10
質量%未満であるとメッキ膜の密着性が著しく低下し、
70質量%を越えると、電気特性が低下するばかりか、
成形加工性等の他の性能も低下する傾向にある。
上させる目的で、例えば、カップリング剤等を配合する
こともできる。カップリング剤の好ましい例は、ビニル
トリクロロシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキ
シ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメ
トキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキ
シシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エ
チルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジ
エトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミ
ノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチ
ル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ
−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプ
トプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルト
リメトキシシラン、ジ(3−トリエトキシシリルプロピ
ル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメ
トキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラ
ン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2
(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシ
ラン、ビニルトリ(2−メトキシエトキシ)シラン、3
−メタアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラ
ン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン
等のシラン系カップリング剤;トリイソステアロイルイ
ソプロピルチタネート、ジ(ジオクチルフォスフェー
ト)ジイソプロピルチタネート、ジドデシルベンゼンス
ルフォニルジイソプロピルチタネート、ジイソステアリ
ルジイソプロピルチタネート等のチタネート系カップリ
ング剤;等である。カップリング剤は、電気特性やメッ
キ特性が低下しない範囲の量で使用することができ、通
常、シリカ100重量部に対し0.0001〜1重量部
の範囲が好ましい。また、シリカの分散性や樹脂に対す
る親和性の改善、あるいはシリカの熱安定性や酸化安定
性を向上させる目的で、公知の方法によりシリカに表面
処理を施してもよい。
てシリカを配合するものであるが、機械特性や熱特性の
向上を目的に、電気特性およびメッキ特性が低下しない
範囲で、他の無機フィラーや有機フィラーを併用しても
良い。併用可能な無機フィラーの例は、ガラス、ガラス
短繊維、ガラス繊維、ガラスバルーン、シラスバルー
ン、チョップドストランド、アラミド、チタン酸カリウ
ム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸マグネシウム、炭酸カ
ルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸
カルシウム、硫酸アルミニウム、ピロリン酸塩、窒化珪
素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化珪素、アルミ
ナ、アルミナ繊維、シリカ、マイカ、タルク、ケイ藻
土、クレー、火山灰、石灰石、ベントナイト、酸化チタ
ン、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、2硫化モリブ
デン等である。
製造技術を利用して製造することができるが、溶融混練
法で製造することが、生産性、経済性の面から好まし
い。具体的には、2軸押出機や単軸押出機を用いた混練
による製造、ラボプラストミルに代表されるバッチ式の
加熱溶融混練機による製造が好ましい。
射出成形、押出成形やプレス成形が可能である。本発明
の樹脂組成物による成形品と金属メッキ膜との密着強度
(メッキ密着強度)は、従来の被メッキ用樹脂組成物の
場合と同様に、成形品の表面(すなわち樹脂組成物の表
面)の物理的性質、すなわち表面粗さに大きく依存し、
特にメッキ前に成形品の表面に適当なサイズのミクロポ
アを均一に形成することで、ミクロポア効果により高い
メッキ密着強度を得ることができる。
用樹脂組成物による成形品の場合と同様に、化学エッチ
ングによる方法が有効である。すなわち、樹脂組成物中
の無機フィラーに対する溶剤、例えばアルカリ性や酸性
のエッチング溶液や有機溶剤等に、成形品の表面を含浸
させて、表面の無機フィラーを溶出あるいは脱離させ、
この溶出あるいは脱離した部分がミクロポアとなる。酸
性エッチング溶液の具体例は、硫酸、塩酸、クロム酸、
リン酸、酢酸、硝酸、ホウ酸等、あるいはこれらの混合
物や水溶液である。アルカリ性エッチング溶液の具体例
は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウ
ム等の水溶液、あるいはこれらの混合溶液である。有機
溶剤の具体例は、クロロホルム、ジクロロメタン、ベン
ゼン、ピリジン、ヘキサン、テトラヒドロフラン、酢酸
エチル、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、N
−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、アセトニ
トリル等である。
シリカは、アルカリ水溶液に可溶である。よって、成形
品の表面をアルカリ水溶液で化学エッチングして成形品
の表面に存在するシリカを溶出・脱離することにより、
成形品表面にミクロポアを形成することができる。この
アルカリ水溶液は、公知のもの全てが使用できるが、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の
アルカリ金属の水酸化物の水溶液がシリカの溶解性や経
済性の面で好ましい。好ましいアルカリ濃度は1〜15
N、より好ましくは3〜12Nである。アルカリ濃度が
低いとシリカの溶出に長時間を要し、アルカリ濃度が高
いと樹脂の劣化が顕著となる。化学エッチングの好まし
い温度は室温(20℃)〜120℃、より好ましくは5
0〜100℃である。エッチング温度が低いとシリカの
溶出に長時間を要し、あまり高いと樹脂の劣化が顕著と
なる。化学エッチングを行う際に、シリカの溶解速度を
向上させる目的で撹拌、超音波照射、空気バブリング等
を併用してもよい。
グにおいて、成形品の樹脂スキン層すなわち表面に存在
するシクロヘキサジエン系樹脂層を除去(プリエッチン
グ)する目的で、アルカリ水溶液以外の溶液で予め処理
することもできる。このプリエッチングには、硫酸、塩
酸、クロム酸、硝酸、リン酸、これらの混酸、あるいは
有機溶剤等が好ましく使用できる。プリエッチング方法
は、公知の方法で適用できる。
明の低誘電性樹脂組成物は、通常の被メッキ用樹脂と同
様に、無電解メッキや電気メッキを実施することができ
る。また、本発明の低誘電性樹脂組成物による成形品
は、成形品表面に所定の方法で施したメッキ膜の密着強
度が1kgf/cm以上となり、優れたメッキ性を示
す。
サジエン系樹脂は、Macromolecules 1
997,30,3696〜3697、Macromol
ecules 1998,31,982〜987、Jo
urnal of Polymer Science:
Part B:Polymer Physics,Vo
l.36,1657〜1668(1998)に報告され
ている方法に従って製造した。なお、下記の1,2付加
体と1,4付加体の比率は、モル分率を示す。 ・ポリシクロヘキサジエン(PCHD): PCHD1;平均分子量=40000 1,2付加体/1,4付加体=52/48 PCHD2;平均分子量=39000 1,2付加体/1,4付加体=21/79 PCHD3;平均分子量=42000 1,2付加体/1,4付加体=78/22 PCHD4;平均分子量=40000 1,2付加体/1,4付加体=15/85 PCHD5;平均分子量=41000 1,2付加体/1,4付加体=83/17 ・ポリシクロヘキサン(PCH)(PCHDの水素化
物) PCH1; 平均分子量=40000 1,2付加体/1,4付加体=52/48 PCH2; 平均分子量=39000 1,2付加体/1,4付加体=21/79 PCH3; 平均分子量=42000 1,2付加体/1,4付加体=78/22 PCH4; 平均分子量=40000 1,2付加体/1,4付加体=15/85 PCH5; 平均分子量=41000 1,2付加体/1,4付加体=83/17
ックス(株)製商品名“ウルテム1000” ・液晶ポリマー《LCP》住友化学工業(株)製商品名
“スミカスーパーE6000” ・ポリエーテルサルフォン《PES》住友化学工業
(株)製商品名“ピクトレックス45G”
ロヘキサジエン系樹脂とシリカを、定量フィーダーを用
い20〜60kg/時間の供給速度で、2軸押出機(神
戸製鋼社製商品名“KTX46”)に供給し、表2に示
す温度及び回転数で加熱溶融混練し、水冷後、ペレタイ
ザーによりストランドを切断してペレット(成形前材
料)を製造した。
器で150℃で5時間乾燥し、射出成形機(菱屋製鋼社
製商品名“HB140”)を用い、表2に示す成形温度
(ノズル温度)でメッキ特性評価用及び電気特性評価用
の試験片を成形した。この試験片の形状を下に示す。 ・短冊 :125×13×3.1mm;メッキ性評価用 ・円板1:φ100mm×1.6mm;1〜15MHz
電気特性評価用 ・円板2:φ100mm×0.8mm;1〜25GHz
電気特性評価用
し、ヒケ、バリ、フローマークの有無を調べ、これらが
全く無いものを○、いずれかが有るものを×とし、成形
状態として表2に併せて示した。
用い、下記の工程及び条件で試験片の表面を化学エッチ
ング処理した後、下記の工程及び条件で無電解メッキ処
理して厚さ2μmの無電解銅メッキ膜を形成し、さらに
下記の条件で電気メッキを行ってメッキ膜の厚さを40
μmとした。無電解メッキ後の試料は、通風式オーブン
中で200℃で3時間アニーリング処理を施した。
ンA220”の30g/l水溶液にて60℃で5分間処
理 水洗工程; 化学エッチング工程;CrO3/濃H2SO4(CrO
3200g/l,濃H2SO4550g/l)にて75
℃で10分間処理後、8NのKOH水溶液にて90℃で
60分間処理後、再びCrO3/濃H2SO4にて75
℃で1分間処理 水洗工程; 中和工程;5ml/lの濃HCl水溶液にて25℃で3
分間処理 2.無電解メッキ処理: コンディショナー処理工程;奥野製薬工業(株)製商品
名“コンディライザー”の150ml/l水溶液にて5
0℃で4分間処理 水洗工程; 触媒付与工程;奥野製薬工業(株)製商品名“キャタリ
ストC”を60ml/l、濃HClを150ml/lで
含む水溶液にて50℃で4分間処理 水洗工程; 活性化処理工程;30g/lの濃H2SO4水溶液にて
40℃で5分間処理 水洗工程; 無電解メッキ処理工程;奥野製薬工業(株)製商品名
“OPC−750”のA液を100ml/l、B液を1
00ml/l、C液を2ml/lで含む水溶液にて、室
温で60分間処理 3.電気メッキ条件: 硫酸銅浴;電気密度1〜20A/dm2(本例では10
A/dm2) 浴電圧1〜5V(本例では4V) 電源電圧6〜8V(本例では7V) 浴組成;CuSO4・5H2O 120〜250g/l (本例では180g/l) 濃H2SO4 30〜100g/l (本例では 80g/l) Cl−イオン 20〜80mg/l (本例では 60mg/l)
理後、成形品を通風式オーブン中で200℃で3時間ア
ニーリング処理を施し、次いでカッターナイフで1cm
巾の帯状カットを入れ、該カットの先端部を90゜の角
度にめくりあげ、該めくりあげた先端部をバネでつか
み、引き剥す力をメッキ密着強度(kgf/cm)とし
た。評価結果を表3に示す。
の成形品を、直ちに240℃の溶融ハンダ浴に入れ、1
分間そのまま放置した後、室温でゆっくり冷却し、冷却
後の成形品について、形状の変化、メッキ膜の膨れ及び
剥がれの有無を目視により観察し、次の基準で評価し、
結果を表3に併せて示した。 成形品形状の変化(変形):○・・・無し、×・・・有り メッキ膜の膨れ :○・・・無し、×・・・有り メッキ膜の剥がれ :○・・・無し、×・・・有り
び条件で比誘電率及び誘電正接を測定した。測定方法
は、IEEE Trans.,I&M.,p509〜5
14(1989)に示された方法とし、測定条件は、次
の通りとした。評価結果を表4に示す。 測定周波数:1GHz、10GHz、20GHz 測定温度 :−50℃、0℃、50℃、100℃、15
0℃ 測定方法 :トリプレート線路共振機法(損失分離法) なお、表4中、上段は比誘電率εrで、下段は誘電正接
tanδである。
例8〜9と比較例3,4では、樹脂成分及びシリカの種
類においては同等であるが、シリカの配合量が異なる。
比較例1,3はいずれも、シリカが5質量%と少ないた
め、メッキ密着強度が著しく低く、ハンダ耐熱性試験で
も異常が見られる。比較例2,4は、逆にシリカが75
質量%と多いため、成形状態に問題があり、メッキ密着
強度の低下やハンダ耐熱性にも問題がある。実施例1
1,12と比較例5は、樹脂成分の種類とシリカの配合
量は同等であるが、シリカの種類が異なる。純度の低い
シリカを使用する比較例5は、比誘電率、誘電正接が悪
い。実施例18と比較例6は、樹脂成分の種類とシリカ
の配合量は同等であるか、シリカの形状(アスペクト
比)が異なる。アスペクト比の高いシリカを使用する比
較例6は、メッキ密着強度が低く、耐熱性も低い。実施
例17と比較例7は、樹脂成分の種類とシリカの配合量
は同等であるが、シリカの粒径が異なる。粒径の大きい
比較例7は、メッキ密着強度が低く、耐熱性も低い。P
CDHとPCHにおいて、1,2付加体の割合が少ない
比較例8,10は、耐熱性が低い。逆に、PCDHとP
CHにおいて、1,2付加体の割合が多い比較例9,1
1は、耐熱性は問題ないが、成形状態が悪く、メッキ密
着強度も低い。樹脂成分としてポリエーテルイミド(P
EI)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルサルフ
ォン(PES)を用いた比較例12〜14は、成形性、
メッキ性、ハンダ耐熱性では問題ないが、電気特性が著
しく悪い。
ジエン系ポリマーに、安価なシリカを配合することによ
り、メッキ特性に優れるのみならず、比誘電率と誘電正
接が幅広い温度領域で低く、しかも変動することがない
ため、高周波用の3次元回路基板や電子部品等として良
好に利用し得る低誘電樹脂を提供することができる。
Claims (3)
- 【請求項1】 シクロヘキサジエン系ポリマーと、Si
O2の純度が93%以上のシリカ10〜70質量%とを
含むことを特徴とする低誘電性樹脂組成物。 - 【請求項2】 シクロヘキサジエン系ポリマーが、1,
2付加体と1,4付加体との混合体であって、1,2付
加体のモル分率が20〜80モル%であることを特徴と
する請求項1の低誘電性樹脂組成物。 - 【請求項3】 シリカが、アスペクト比1〜10で、平
均粒径0.01〜100μmであることを特徴とする請
求項1又は2記載の低誘電性樹脂組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11034893A JP2000230102A (ja) | 1999-02-12 | 1999-02-12 | 低誘電性樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11034893A JP2000230102A (ja) | 1999-02-12 | 1999-02-12 | 低誘電性樹脂組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000230102A true JP2000230102A (ja) | 2000-08-22 |
Family
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Family Applications (1)
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---|---|---|---|
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---|---|
JP (1) | JP2000230102A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2001056116A1 (en) * | 2000-01-28 | 2001-08-02 | Otsuka Chemical Co., Ltd. | Connector |
JP2001294724A (ja) * | 2000-04-17 | 2001-10-23 | Asahi Kasei Corp | 樹脂材料 |
JP2007334775A (ja) * | 2006-06-16 | 2007-12-27 | Fujitsu Ltd | 回路解析装置、回路解析方法および回路解析プログラム |
WO2012172917A1 (en) * | 2011-06-15 | 2012-12-20 | Canon Kabushiki Kaisha | Thermoplastic composite material and molded article |
JP2013249330A (ja) * | 2012-05-30 | 2013-12-12 | Canon Inc | 成形体およびその製造方法 |
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-
1999
- 1999-02-12 JP JP11034893A patent/JP2000230102A/ja active Pending
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