JP2000133045A - 複合誘電体材料及びこの複合誘電体材料を使用した誘電体アンテナ - Google Patents

複合誘電体材料及びこの複合誘電体材料を使用した誘電体アンテナ

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JP2000133045A
JP2000133045A JP10299827A JP29982798A JP2000133045A JP 2000133045 A JP2000133045 A JP 2000133045A JP 10299827 A JP10299827 A JP 10299827A JP 29982798 A JP29982798 A JP 29982798A JP 2000133045 A JP2000133045 A JP 2000133045A
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oxidizing agent
dielectric material
composite dielectric
antenna
soluble
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JP10299827A
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English (en)
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Kiyoyasu Sakurada
清恭 櫻田
Atsushi Harada
淳 原田
Koji Kimura
幸司 木村
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気特性が良く、加工性および成形性に優
れ、かつ、比重が小さい複合誘電体材料及び誘電体アン
テナを得る。 【解決手段】 誘電体アンテナ1は、直方体形状のアン
テナ基体2、入力電極4、放射電極5およびグランド電
極6にて構成されている。アンテナ基体2の材料として
は、シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体
に、酸化剤不溶性セラミックス、酸化剤可溶性ゴム状弾
性体及び酸化剤可溶性無機充填剤の中から少なくともい
ずれか一つを混合してなる複合誘電体材料が用いられ
る。複合誘電体材料は、スチレン系重合体と酸化剤可溶
性ゴム状弾性体との合計が37〜95体積%、酸化剤不
溶セラミックスが0〜35体積%、酸化剤可溶性ゴム状
弾性体がスチレン系重合体と酸化剤可溶性ゴム状弾性体
との合計に対して0〜50体積%、酸化剤可溶性無機充
填剤が0〜45体積%のものが適している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複合誘電体材料及
びこの複合誘電体材料を使用した誘電体アンテナに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、携帯電話等の移動体通信機器
や無線LANに用いられる表面実装型誘電体アンテナと
して、誘電体セラミックス単体や樹脂単体からなるもの
が提案されている。例えば、特開平9−98015号公
報には、アンテナ基体がセラミックス単体や樹脂単体か
らなる表面実装型誘電体アンテナが開示されている。ま
た、特開平9−221573号公報には、シンジオタク
ティック構造を有するスチレン系重合体、無機充填剤、
ゴム状弾性体、熱可塑性樹脂からなる複合材料からなる
めっき性を有する成形体が開示されている。さらに、特
開平9−263663号公報、特開平10−17739
号公報には、シンジオタクティック構造を有するスチレ
ン系重合体に、相溶剤としてゴム状弾性体であるスチレ
ン系ブロックポリマを配合した成形体が開示されてい
る。さらにまた、特開平10−45936号公報には、
めっき性を有するシンジオタクティック構造を有するス
チレン系重合体の発泡体の製造方法が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、携帯
電話等の移動体通信機器の軽量化および小型化に伴っ
て、誘電体アンテナも軽量化および小型化の要求が高ま
っている。しかしながら、従来の誘電体セラミックス単
体からなるアンテナや樹脂単体からなるアンテナには、
それぞれ次のような不具合があった。
【0004】すなわち、誘電体セラミックス単体からな
るアンテナでは、アンテナ基体の成形工程や焼成工程等
に時間がかかるばかりでなく、加工性および成形性に劣
り、複雑な形状のアンテナを作成するのが困難であっ
た。また、誘電率を大きくすることで、アンテナを小型
化することができるが、アンテナにはサイズ効果があ
り、小さくしすぎるとアンテナ特性を極端に低下させる
ので、アンテナの小型化には限界がある。従って、アン
テナの軽量化にはアンテナの材質の比重が重要となる。
しかしながら、誘電体セラミックスは比重が大きく、ア
ンテナの軽量化に対応できないという問題もあった。一
方、樹脂単体からなるアンテナでは、樹脂の比重が小さ
く、成形性および加工性に優れているが、比誘電率が小
さいため、アンテナの小型化に対応することができない
という問題があった。
【0005】そこで、本発明の目的は、電気特性が良
く、加工性および成形性に優れ、かつ、比重の小さい複
合誘電体材料及びこの複合誘電体材料を使用した誘電体
アンテナを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用】前記目的を達成
するため、本発明に係る複合誘電体材料は、シンジオタ
クチック構造を有するスチレン系重合体に、酸化剤不溶
性セラミックス、酸化剤可溶性ゴム状弾性体及び酸化剤
可溶性無機充填剤の中から少なくともいずれか一つを混
合してなることを特徴とする。「酸化剤」は、複合誘電
体材料からなる成形体の表面にめっき膜を形成する工程
において、成形体表面を粗面化するために使用される薬
剤を意味する。酸化剤としては、クロム酸系の酸化剤等
が用いられる。
【0007】さらに、酸化剤不溶性セラミックスとして
は、例えばペロブスカイト系酸化物常誘電体、ペロブス
カイト系酸化物強誘電体及びその混合物の中の少なくと
もいずれか一つが用いられる。酸化剤可溶性ゴム状弾性
体としては、例えばジエン系ゴム及び熱可塑性ゴムの中
の少なくともいずれか一つが用いられる。酸化剤可溶性
無機充填剤としては、例えば周期律表IIaもしくはI
Ib族元素の酸化物、炭酸塩、硫酸塩、燐酸塩及び珪酸
塩からなる群の中の少なくともいずれか一つが用いられ
る。
【0008】また、スチレン系重合体と酸化剤可溶性ゴ
ム状弾性体との合計は37〜95体積%である。酸化剤
不溶性セラミックスは0〜35体積%である。酸化剤可
溶性ゴム状弾性体は、スチレン系重合体と酸化剤可溶性
ゴム状弾性体との合計に対して0〜50体積%である。
酸化剤可溶性無機充填剤は0〜45体積%である。
【0009】以上の構成により、シンジオタクチック構
造を有するスチレン系重合体は低tanδでかつ比重が
小さいため、複合誘電体材料は、セラミックス単体から
なる誘電体材料より軽量になる。しかも、この複合誘電
体材料は、セラミックス単体からなる誘電体材料より加
工性及び成形性に優れている。一方、セラミックスは比
誘電率が大きいため、スチレン系重合体とセラミックス
等からなる複合誘電体材料を用いた誘電体アンテナは、
樹脂単体からなる誘電体材料を用いた誘電体アンテナよ
り小型となる。また、酸化剤に不溶のセラミックスを採
用することにより、複合誘電体材料を酸化剤に浸漬して
もセラミックスが溶け出さないため、複合誘電体材料の
物性が安定化する。さらに、ゴム状弾性体は、複合誘電
体材料にゴム弾性を与えてめっき膜ピール強度を向上さ
せると共に、複合誘電体材料に発生する内部応力を分散
させる。そして、ゴム状弾性体や無機充填剤の材料とし
て、酸化剤可溶のものを採用することにより、複合誘電
体材料の成形体表面にめっき膜を形成する工程におい
て、成形体表面の粗面化が促進され、めっき膜のアンカ
ー効果が向上する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、添付の図面を参照して本発
明に係る複合誘電体材料及びそれを使用した誘電体アン
テナの実施の形態を説明する。
【0011】本発明に係る誘電体アンテナの一つの実施
形態を図1に示す。該誘電体アンテナ1は、直方体形状
のアンテナ基体2、入力電極4、放射電極5およびグラ
ンド電極6にて構成されている。アンテナ基体2の材料
としては、シンジオタクチック構造を有するスチレン系
重合体(以下、SPSと記す)に、酸化剤不溶性セラミ
ックス、酸化剤可溶性ゴム状弾性体及び酸化剤可溶性無
機充填剤の中から少なくともいずれか一つを混合してな
る複合誘電体材料が用いられる。ここで、「酸化剤」と
は、後述するように、アンテナ基体2の表面にめっき膜
を形成する工程において、アンテナ基体2の表面を粗面
化するための薬剤である。SPSを使用するのは、汎用
のアタクチックポリスチレン(汎用PS)が有する高周
波で良好な誘電特性を維持しつつ、耐溶剤性及び耐熱性
に優れているためである。低tanδ及び耐熱性を有す
るものとしては、PTFE系樹脂、液晶ポリマー等もあ
るが、PTFE樹脂は成形性、コスト、めっき性の点で
SPSに劣り、液晶ポリマーはコストの点でSPSに劣
る。
【0012】酸化剤不溶性セラミックスは、複合誘電体
材料の比誘電率をアップさせるために添加される。酸化
剤不溶性セラミックスとしては、高周波で誘電正接(t
anδ)が小さいCaTiO3,SrTiO3等のペロブ
スカイト系酸化物常誘電体、BaTiO3等のペロブス
カイト系酸化物強誘電体及びその混合物や、BaO−N
23−TiO2等が使用される。なお、酸化剤に可溶
のセラミックスは、複合誘電体材料を酸化剤に浸漬した
際に溶け出して、複合誘電体材料の物性にばらつきが生
じるため使用できない。
【0013】酸化剤可溶性ゴム状弾性体は、複合誘電体
材料にゴム弾性を与えてめっき膜ピール強度を向上させ
ると共に、複合誘電体材料に発生する内部応力を分散さ
せるために添加される。酸化剤に可溶のゴム状弾性体を
採用したのは、めっき膜のアンカー効果を促進させるた
めであり、酸化剤不溶ゴム状弾性体と比較して、めっき
密着性をより一層向上させることができる。酸化剤可溶
性ゴム状弾性体としては、ゴム弾性の高い汎用のジエン
系ゴムや、熱可塑性ゴム等が使用される。本実施形態で
は、架橋し粉砕する必要のない熱可塑性ゴム、特にスチ
レン系で耐熱性の高いスチレン−エチレン−ブチレン−
スチレンのブロック共重合体(SEBS)を採用した。
【0014】一般的に安価な酸化剤可溶性無機充填剤
は、めっき膜ピール強度を向上させると共に、複合誘電
体材料のコストを低減させるために添加される。酸化剤
に可溶の無機充填剤を採用したのは、めっき膜のアンカ
ー効果を促進させるためであり、酸化剤不溶無機充填剤
と比較して、めっき密着性をより一層向上させることが
できる。酸化剤可溶性無機充填剤としては、周期律表I
IaまたはIIb族元素の酸化物、炭酸塩、硫酸塩、燐
酸塩および珪酸塩からなる群の中から選択することがで
きる。これらのものは何れも酸化剤に可溶であるため、
めっき密着性を向上させる効果を有しているが、中でも
めっき膜形成の前処理のし易さと製造コストの点から炭
酸カルシウムが適している。
【0015】そして、複合誘電体材料は、スチレン系重
合体と酸化剤可溶性ゴム状弾性体との合計が37〜95
体積%、酸化剤不溶性セラミックスが0〜35体積%、
酸化剤可溶性ゴム状弾性体がスチレン系重合体と酸化剤
可溶性ゴム状弾性体との合計に対して0〜50体積%、
酸化剤可溶性無機充填剤が0〜45体積%の範囲内で設
定される。
【0016】入力電極4は、アンテナ基体2の手前側端
部に設けられている。放射電極5は、アンテナ基体2の
上面中央部に設けられ、アンテナ基体2の長手方向に直
線状に延在している。放射電極5の長さはλ/4(λ:
アンテナ基体2内での中心波長)である。放射電極5の
一方の端部5aは、所定の間隔をおいて入力電極4に対
向している。放射電極5の他方の端部5bは、アンテナ
基体2の奥側端面を廻り込んで、アンテナ基体2の略下
面全面に設けられたグランド電極6に電気的に接続して
いる。
【0017】前記のようなストリップライン構成からな
る誘電体アンテナ1は、SPSの比重が小さいため、ア
ンテナ基体2の軽量化を図ることができる。また、酸化
剤不溶性セラミックスの比誘電率が大きいため、アンテ
ナ基体2の小型化を図ることができる。さらに、アンテ
ナ基体2が低tanδのSPSと酸化剤不溶性セラミッ
クス等の複合誘電体材料からなるので、安定したアンテ
ナ特性を有する誘電体アンテナ1を得ることができる。
【0018】次に、表1〜表3に示すように、複合誘電
体材料の組成比及び組成物を種々変更させて、誘電特
性、めっきピール強度、撓み試験及び比重の変動を測定
した。表1〜表3に示す容量比で秤量したSPSと酸化
剤不溶性セラミックス粉末等を粗混合した後、2軸押出
し機を用いて複合材料ペレットを製作した。2軸押出し
時のシリンダ温度は290℃、軸回転数は160rpm
であった。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】ここに、セラミックス粉末として、実施例
1〜19,22,23及び比較例1〜9の場合には平均
粒径1.2μmのCaTiO3を使用し、実施例20の
場合には平均粒径1.3μmのSrTiO3を使用し、
実施例21の場合には平均粒径2.0μmのBaTiO
3を使用した。ゴム状弾性体として、実施例1〜21,
23及び比較例1〜9の場合にはスチレン−エチレン−
ブチレン−スチレンのブロック共重合体(シェルジャパ
ン製クレイトンG1650)を使用し、実施例22の場
合にはスチレン−ブタジエンゴム(日本ゼオン製205
7S−スチレン含有量60%)を使用した。無機充填剤
として、実施例1〜15,20〜23及び比較例1〜9
の場合には平均粒径2.6μmのCaCO3を使用し、
実施例16〜18の場合には平均粒径0.5μmのピロ
リン酸カルシウムを使用し、実施例19の場合には平均
粒径1μmの硫酸バリウムを使用した。
【0023】製作した複合材料ペレットを使用して、射
出成形法にて直径が50mm、板厚が1.3mmの円形
の評価板を成形した。この射出成形法は、誘電体アンテ
ナ等の複雑形状のものを容易にかつ短時間に成形するこ
とができる。そして、射出成形の際には、SPSを溶融
させる程度の熱を加えるだけでよく、セラミック焼成の
ように1000℃以上の温度は不要である。成形された
評価板の表面には、以下の工程によりめっき膜を形成し
た。
【0024】まず、評価板を界面活性剤水溶液(常温)
に6分間浸漬して、評価板の表面を脱脂洗浄した。次
に、評価板を、クロム酸系の酸化剤である、無水クロム
酸(400g/リットル水溶液):硫酸(400g/リ
ットル水溶液)=1:1の混合液(68℃)に12分間
浸漬して、評価板の表面を粗面化した。特に、評価板の
表面に露出した酸化剤可溶性のゴム状弾性体や無機充填
剤が酸化剤によってエッチングされ、評価板の表面の粗
面化が促進されるため、評価板の表面に形成されるめっ
き膜のアンカー効果が大きくなる。また、クロム酸系の
酸化剤は、ABS樹脂にめっきする際の前処理等でも用
いられるポピュラーな酸化剤である。従って、既存の製
造設備を使用でき、新たに製造設備を作る必要がない。
なお、アルカリエッチングは、ゴム状弾性体をエッチン
グすることができない。
【0025】次に、評価板を充分水洗してから、45℃
のカチオン系界面活性剤液に5分間浸漬(コンディショ
ナ工程)した後、50℃の塩化パラジウム/塩化錫の塩
酸酸性水溶液に5分間浸漬して評価板の表面にパラジウ
ムを付着させた(キャタリスト工程)。次に、評価板
を、常温の塩酸水溶液に10分間浸漬した(アクセラレ
ータ工程)。この後、評価板を常温の硫酸銅アルカリ水
溶液に20分間浸漬して、評価板の表面に0.05〜
0.1μmの無電解銅メッキ膜を形成した。さらに、無
電解銅めっき膜の上に電解銅めっき膜を形成し、合計1
0〜70μmの厚みを有するめっき膜を成膜した。
【0026】こうして得られた各サンプルについて、誘
電特性及びめっき膜ピール強度の測定をした結果を表4
及び表5に示す。誘電特性の測定には、共振周波数と無
負荷Qより比誘電率及び誘電正接を算出する空洞摂動法
を用いた。めっき膜ピール強度の測定は、めっき膜をエ
ッチングして幅が10mmで長さが45mmの短冊状パ
ターンを形成した後、この短冊状パターンを、短冊の長
さ方向で、引き上げ方向が常に評価板と垂直になるよう
な状態で評価板から引き剥がす際の荷重を測定した。垂
直引き剥がし速度は、0.9mm/sである。
【0027】
【表4】
【0028】
【表5】
【0029】また、表4及び表5に記載されている撓み
試験及び比重は次の条件で製作した誘電体アンテナ1
(図1参照)を用いて測定した。表1〜表3に示す容量
比で秤量したSPSと酸化剤不溶性セラミックス粉末等
を粗混合した後、2軸押出し機を用いて複合材料ペレッ
トを製作した。このペレットを、120℃の温度で3時
間予備乾燥した後、射出成形法にて直方体形状のアンテ
ナ基体2を成形した。このとき、成形温度は290℃、
射出速度は50mm/s、保圧は500kg/cm2
設定した。
【0030】成形されたアンテナ基体2の表面には、前
述のめっき膜形成工程と同様の工程でめっき膜が形成さ
れる。ただし、めっき膜は無電解銅めっきが厚さ0.1
μm、電解銅めっきが厚さ3〜4μm、電解ニッケルめ
っきが厚さ1〜2μm、電解金めっきが厚さ0.1μm
の順で積層される。このとき、電解銅めっきを成膜した
時点で、パターニングされたメタルマスクを用いてレジ
ストを電解銅めっき膜上に塗布し、塩化第2鉄でエッチ
ングして入力電極4、放射電極5及びグランド電極6の
パターニングを行った。
【0031】撓み試験は、製作した誘電体アンテナ1
を、厚み1.6mmの回路基板にリフロー半田により実
装し、その回路基板の3点曲げ試験(はり90mm+押
し1mm)を行う。その後、誘電体アンテナ1の外観を
観察し、正常な場合は◎、めっき膜に亀裂や膨れが発生
している場合には×、めっき膜に欠落が発生している場
合には××と判定する。リフロー半田の温度条件は、ピ
ーク温度が235℃で、200℃以上(60秒間)であ
る。比重測定は、水中置換法で測定した。水温は23℃
であった。
【0032】表4及び表5から分かるように、実施例1
〜23の誘電体アンテナ1の場合、つまり、誘電体アン
テナ1の組成成分がスチレン系重合体と酸化剤可溶性ゴ
ム状弾性体との合計が37〜95体積%、酸化剤不溶性
セラミックスが0〜35体積%、酸化剤可溶性ゴム状弾
性体がスチレン系重合体と酸化剤可溶性ゴム状弾性体と
の合計に対して0〜50体積%、酸化剤可溶性無機充填
剤が0〜45体積%の範囲の場合には、比誘電率εr
3GHzで2.5〜15の範囲にあり、無負荷Qは3G
Hzで200を越える値を有しており、めっき膜ピール
強度は0.5kg/cmを越えており、撓み試験でも異
常が認められず、比重は2.5よりも小さく、セラミッ
クス単体の比重(約3.80)に比較して大幅に小さく
なる。
【0033】一方、誘電体アンテナ等の高周波部品で
は、2.5〜15の比誘電率εrを有するとともに回路
基板に表面実装される表面実装タイプのものが要求され
ている。SPSと酸化剤可溶性ゴム状弾性体との合計
が、表3の比較例1に示すように、95体積%を越えた
場合には、比誘電率εrが2.5より小さくなり(表5
の比較例1参照)、誘電体アンテナを小型化することが
できない。また、SPSと酸化剤可溶性ゴム状弾性体と
の合計が、表3の比較例7,8に示すように、37体積
%より少ない場合には、複合誘電体材料の機械的強度が
低下するため、めっき密着強度が低下したり、成形性が
悪くなる(表5の比較例7,8参照)。また、酸化剤不
溶性セラミックスが、表3の比較例2,3に示すよう
に、35体積%を越えた場合には、混練工程においてセ
ラミックスが樹脂に十分に濡れないため、複合誘電体材
料が脆くなってめっき密着強度が低下する(表5の比較
例2,3参照)。
【0034】さらに、酸化剤可溶性無機充填剤が、表3
の比較例9に示すように、45体積%を越えると、無機
充填剤が酸化剤によってエッチングされ過ぎて、複合誘
電体材料の表層部分に多数の微細孔が発生する。この結
果、複合誘電体材料の機械的強度が低下し、めっき密着
強度も低下する(表5の比較例9参照)。酸化剤可溶性
ゴム状弾性体が、表3の比較例4,5,6に示すよう
に、SPSとゴム状弾性体との合計に対して50体積%
を越えると、複合誘電体材料の誘電特性及び耐熱性が低
下する(表5の比較例4,5,6参照)。表5におい
て、下線が付されているデータが問題となる物性を示
す。
【0035】なお、本発明に係る複合誘電体材料および
それを使用した誘電体アンテナは、前記実施形態に限定
されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更す
ることができる。
【0036】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明に係る複合誘電体材料は、成形に必要な温度はSPS
を熱溶融させる程度の温度でよく、セラミックスの焼成
のように高い温度が不要である。さらに、射出成形が可
能であり、簡単かつ効率よく複雑な形状に成形すること
ができ、めっき電極も容易に形成することができ、しか
もその密着強度が高いことと相俟ってスルーホール等も
容易に形成することができる。また、SPSが高周波特
性に優れているので、ギガヘルツ帯においても低tan
δの優れた電気特性を有する高周波部品を得ることがで
きる。従って、SPSとセラミックス等からなる複合誘
電体材料は、同じ比誘電率の場合にはセラミックス単体
からなる誘電体材料より軽量になる。さらに、ゴム状弾
性体が添加されているので、内部応力が緩和され、リフ
ロー半田時の変形不良が発生しにくい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る誘電体アンテナの一つの実施形態
を示す斜視図。
【符号の説明】
1…誘電体アンテナ 2…アンテナ基体 4…入力電極 5…放射電極 6…グランド電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01B 3/44 H01B 3/44 K H01Q 13/08 H01Q 13/08 (72)発明者 木村 幸司 京都府長岡京市天神二丁目26番10号 株式 会社村田製作所内 Fターム(参考) 5G303 AA04 AB07 AB20 BA12 CA01 CA09 CB03 CB06 CB22 CB32 CB35 CC02 CD11 5G305 AA09 AB10 AB34 AB36 AB40 BA12 BA15 CA02 CA08 CA47 CC11 CC12 CD01 5J045 AB06 BA01 DA09 EA07 HA03 LA04 NA03

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シンジオタクチック構造を有するスチレ
    ン系重合体に、酸化剤不溶性セラミックス、酸化剤可溶
    性ゴム状弾性体及び酸化剤可溶性無機充填剤の中から少
    なくともいずれか一つを混合してなることを特徴とする
    複合誘電体材料。
  2. 【請求項2】 前記スチレン系重合体と前記酸化剤可溶
    性ゴム状弾性体との合計が37〜95体積%であり、前
    記酸化剤不溶性セラミックスが0〜35体積%であり、
    前記酸化剤可溶性ゴム状弾性体が前記スチレン系重合体
    と酸化剤可溶性ゴム状弾性体との合計に対して0〜50
    体積%であり、前記酸化剤可溶性無機充填剤が0〜45
    体積%であることを特徴とする請求項1に記載の複合誘
    電体材料。
  3. 【請求項3】 前記酸化剤不溶性セラミックスが、ペロ
    ブスカイト系酸化物常誘電体、ペロブスカイト系酸化物
    強誘電体及びその混合物の中の少なくともいずれか一つ
    であり、前記酸化剤可溶性ゴム状弾性体がジエン系ゴム
    及び熱可塑性ゴムの中の少なくともいずれか一つであ
    り、前記酸化剤可溶性無機充填剤が周期律表IIaもし
    くはIIb族元素の酸化物、炭酸塩、硫酸塩、燐酸塩及
    び珪酸塩からなる群の中の少なくともいずれか一つであ
    ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の複
    合誘電体材料。
  4. 【請求項4】 前記酸化剤がクロム酸系の酸化剤である
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項3に記載の複合
    誘電体材料。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし請求項4に記載の複合誘
    電体材料の少なくともいずれか一つからなるアンテナ基
    体を備え、該アンテナ基体の表面に放射電極及びグラン
    ド電極を設けたことを特徴とする誘電体アンテナ。
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