JP4902344B2 - 金属パターン材料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金属パターン材料の製造方法に関し、より詳細には、金属配線基板を形成する際に好適な金属パターン材料の製造方法に関する。
従来より、絶縁性基板の表面に金属パターンによる配線を形成した金属配線基板が、電子部品や半導体素子に広く用いられている。
金属パターンの形成領域における基板と金属膜との間の密着性は、基板表面に凹凸を設けることにより生じるアンカー効果により発現させている。そのため、得られた金属パターンの基板界面部の凹凸に起因して、金属配線として使用する際の高周波特性が悪くなるという問題点があった。また、基板表面に凹凸化処理するためには、クロム酸などの強酸で基板表面を処理するが必要であるため、金属膜と基板との密着性に優れた金属パターンを得るためには、煩雑な工程が必要であるという問題点があった。
この問題を解決するため、基板の表面にプラズマ処理を行い、基板表面に重合開始基を導入し、その重合開始基からモノマーを重合させて、基板表面に極性基を有する表面グラフトポリマーを生成させるという表面処理を行うことで、基板の表面を粗面化することなく、基板と金属膜との密着性を改良させる方法が提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。
しかし、この方法を適用して得られた金属膜を一部除去して金属配線基板の配線として使用する際には、金属パターンの非形成領域に極性基を有するグラフトポリマーが残存し、水分やイオン等を保持し易くなるため、配線間の耐マイグレーション性に懸念があった。
Advanced Materials 2000年 20号 1481−1494
本発明は、上記従来の技術の欠点を考慮してなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、耐マイグレーション性に優れた金属パターン材料の製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題に鑑みて鋭意検討した結果、以下に示す手段により上記目的を達成しうることを見出した。
<1>(a)基板上に、該基板表面に直接結合し、且つ、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有するグラフトポリマーを生成させてポリマー層を形成するポリマー層形成工程、
(b)該ポリマー層に無電解メッキ触媒又はその前駆体を付与する触媒付与工程、
(c)メッキを行いポリマー層の全面に金属膜を形成する金属膜形成工程、
(d)該金属膜の一部を除去して金属パターンを形成する金属パターン形成工程、及び、
(e)該金属パターンの非形成領域に存在するポリマー層を除去するポリマー層除去工程、
を有することを特徴とする金属パターン材料の製造方法。
<2> 前記ポリマー層除去工程が加水分解により行われることを特徴とする前記<1>に記載の金属パターン材料の製造方法。
<3> 前記基板が、1GHzにおける誘電正接が0.01以下である絶縁性樹脂からなる基板、又は、該絶縁性樹脂からなる層を基材上に有する基板であることを特徴とする前記<1>又は<2>に記載の金属パターン材料の製造方法。
<4> 前記基板が、1GHzにおける誘電率が3.5以下である絶縁性樹脂からなる基板、又は、該絶縁性樹脂からなる層を基材上に有する基板であることを特徴とする前記<1>乃至<3>のいずれか1項に記載の金属パターン材料の製造方法。
<5> 前記(a)ポリマー層形成工程が、基板上に、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基及び重合性基を有するポリマーを接触させた後、エネルギーを付与することにより、前記基板表面全体に当該ポリマーを直接化学結合させる工程であることを特徴とする前記<1>乃至<4>のいずれか1項に記載の金属パターン材料の製造方法。
<6> 前記(a)ポリマー層形成工程が、(a−1)基材上に重合開始能を発現する層が形成された基板を作製する工程、及び、(a−2)該重合開始能を発現する層が形成された基板上に、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基及び重合性基を有するポリマーを直接化学結合させる工程、を有することを特徴とする前記<1>乃至<4>のいずれか1項に記載の金属パターン材料の製造方法。
前記(a−2)工程が、前記重合開始能を発現する層が形成された基板上に、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基及び重合性基を有するポリマーを接触させた後、エネルギーを付与することにより前記基板表面全体に当該ポリマーを直接化学結合させる工程であることを特徴とする前記<6>に記載の金属パターン材料の製造方法。
本発明によれば、耐マイグレーション性に優れた金属パターン材料の製造方法を提供することができる
[金属パターン材料の製造方法]
本発明の金属パターン材料の製造方法は、(a)基板上に、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有するポリマー層を形成するポリマー層形成工程、(b)該ポリマー層に無電解メッキ触媒又はその前駆体を付与する触媒付与工程、(c)無電解メッキを行いポリマー層の全面に金属膜を形成する金属膜形成工程、(d)該金属膜の一部を除去して金属パターンを形成する金属パターン形成工程、及び、(e)該金属パターンの非形成領域に存在するポリマー層を除去するポリマー層除去工程、を有することを特徴とする。
<(a)ポリマー層形成工程>
本工程では、基板上に、該基板表面に直接結合し、且つ、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基(以下、適宜、「相互作用性基」と称する。)を有するグラフトポリマーを生成させてポリマー層を形成する。
本発明におけるポリマー層形成工程としては、工程の簡便性・工業化適性の観点から、基板上に、相互作用性基を有するポリマーを接触させた後、エネルギーを付与することにより、前記基板表面全体に当該ポリマーを直接化学結合させる工程であることがより好ましい。
以下、ポリマー層形成工程について詳細に説明する。
(表面グラフト)
本工程におけるグラフトポリマーの生成は、一般的に表面グラフト重合と呼ばれる手段を用いて行うことができる。
表面グラフト重合とは、一般に、固体表面を形成する高分子化合物鎖上に活性種を与え、この活性種を起点として別の単量体を更に重合させ、グラフト(接ぎ木)重合体を合成する方法である。
本発明では、基板上に相互作用性基を有する重合性化合物を接触させ、そこにエネルギーを付与することで、基板上に活性点を発生させて、この活性点と重合性化合物の重合性基とが反応し、表面グラフト重合反応が引き起こされる。
また、エネルギーを付与し基板上に活性点を発生させてから、相互作用性基を有する重合性化合物を、その基板上に接触させてもよい。
この接触は、相互作用性基を有する重合性化合物を含有する液状組成物中に、基板を浸漬することで行ってもよいが、取り扱い性や製造効率の観点からは、後述するように、前記液状組成物を基板表面に塗布する、又は、その塗膜を乾燥させてグラフトポリマー前駆体層を形成する方法を用いることが好ましい。
また、基板の両面にグラフトポリマーを生成させる場合には、上記のような表面グラフト重合を用いて表裏同時にグラフトポリマーを生成させてもよいし、片面に対して先ずグラフトポリマーを生成させた後に、もう片面に対してグラフトポリマーを生成させてもよい。
本発明を実現するための表面グラフト重合法としては、文献記載の公知の方法のいずれもを使用することができる。例えば、新高分子実験学10、高分子学会編、1994年、共立出版(株)発行、p135には、表面グラフト重合法として、光グラフト重合法、プラズマ照射グラフト重合法が記載されている。また、吸着技術便覧、NTS(株)、竹内監修、1999.2発行、p203,p695には、γ線、電子線などの放射線照射グラフト重合法が記載されている。
光グラフト重合法の具体的方法としては、特開昭63−92658号公報、特開平10−296895号公報、及び特開平11−119413号公報に記載の方法を使用することができる。
プラズマ照射グラフト重合法、放射線照射グラフト重合法においては、上記記載の文献、及びY.Ikada et al,Macromolecules vol.19,page 1804(1986)などの記載の方法にて作製することができる。具体的には、PETなどの高分子表面をプラズマ若しくは電子線にて処理し、表面にラジカルを発生させ、その後、その活性表面とノマーとを反応させることによりグラフトポリマーを得ることができる。
光グラフト重合法は、上記記載の文献の他に、特開昭53−17407号公報(関西ペイント)や、特開2000−212313号公報(大日本インキ)記載のように、フィルム基板の表面に光重合性組成物を塗布し、その後、ラジカル重合化合物を接触させ光を照射させて、グラフトポリマーを得ることができる。
本発明におけるグラフトポリマーの生成に用いられる、相互作用性基を有する重合性化合物としては、相互作用性基を有するモノマー、又は、相互作用性基を有するモノマーから選ばれる少なくとも一種を用いて得られるホモポリマー、コポリマーに、重合性基として、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基などのエチレン付加重合性不飽和基(重合性基)を導入したポリマー(以下、適宜、「相互作用性基含有重合性ポリマー」と称する。)が挙げられる。相互作用性基含有重合性ポリマーは、少なくとも末端又は側鎖に重合性基を有するものである。
相互作用性基を有するモノマーとしては、以下に示されるものが挙げられる。
即ち、例えば、(メタ)アクリル酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、イタコン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−モノメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、アリルアミン、3−ビニルプロピオン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などの、カルボキシル基、スルホン酸基、アミノ基、水酸基などの官能基を有するモノマーが挙げられる。これらのモノマーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、相互作用性基含有重合性ポリマーは、以下に示す合成方法を用いることで合成することができる。
合成方法としては、i)相互作用性基を有するモノマーと重合性基を特定位置に有するモノマーとを共重合する方法、ii)相互作用性基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)相互作用性基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、二重結合を導入(重合性基を導入する)方法が挙げられる。
上記3手法の中で好ましいのは、合成適性の観点から、ii)、iii)の方法である。
前記i)の合成方法で用いられる重合性基を有するモノマーとしては、以下の化合物などが挙げられる。
Figure 0004902344
前記ii)の合成方法で用いられる二重結合前駆体を有するモノマーとしては下記式で表される化合物などが挙げられる。
Figure 0004902344
上記式中、A1は重合性基を有する有機団、R1〜R3は水素原子、及び/又は、1価の有機基、X、Zは脱離反応により除去される脱離基であり、ここでいう脱離反応とは、塩基の作用によりZが引き抜かれ、Xが脱離するものである。Xはアニオンとして、Zはカチオンとして脱離するものが好ましい。
具体的には以下の化合物を挙げることができる。
Figure 0004902344
また、前記ii)の合成方法において、二重結合前駆体を二重結合に変換するには、下記に示すように、X、Zで表される脱離基を脱離反応により除去する方法、つまり、塩基の作用によりZを引き抜き、Xが脱離する反応を使用する。
Figure 0004902344
上記の脱離反応において用いられる塩基としては、アルカリ金属類の水素化物、水酸化物又は炭酸塩、有機アミ化合物、金属アルコキシド化合物が好ましい例として挙げられる。アルカリ金属類の水素化物、水酸化物、又は炭酸塩の好ましい例としては、水素化ナトリウム、水素化カルシウム、水素化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。有機アミン化合物の好ましい例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルメチルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン、N−メチルジシクロヘキシルアミン、N−エチルジシクロヘキシルアミン、ピロリジン、1−メチルピロリジン、2,5−ジメチルピロリジン、ピペリジン、1−メチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ピペラジン、1,4−ジメチルピペラジン、キヌクリジン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]−オクタン、ヘキサメチレンテトラミン、モルホリン、4−メチルモルホリン、ピリジン、ピコリン、4−ジメチルアミノピリジン、ルチジン、1、8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセン(DBU)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルエチルアミン、Schiff塩基などが挙げられる。金属アルコキシド化合物の好ましい例としては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシドなどが挙げられる。これらの塩基は、1種或いは2種以上の混合であってもよい。
また、前記脱離反応において、塩基を付与(添加)する際に用いられる溶媒としては、例えば、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、水などが挙げられる。これらの溶媒は単独或いは2種以上混合してもよい。
使用される塩基の量は、化合物中の特定官能基(X、Zで表される脱離基)の量に対して、当量以下であってもよく、また、当量以上であってもよい。また、過剰の塩基を使用した場合、脱離反応後、余剰の塩基を除去する目的で酸などを添加することも好ましい形態である。
前記iii)の合成方法において、相互作用性基を有するポリマーと反応させる重合性基を有するモノマーとしては、相互作用性基を有するポリマー中の官能基の種類によって異なるが、以下の組合せの官能基を有するモノマーを使用することができる。
即ち、(ポリマーの官能基、モノマーの官能基)=(カルボキシル基、カルボキシル基)、(カルボキシル基、エポキシ基)、(カルボキシル基,イソシアネート基)、(水酸基、カルボキシル基)、(水酸基、エポキシ基)、(水酸基、イソシアネート基)等を挙げることができる。
具体的には以下のモノマーを使用することができる。
Figure 0004902344
また、本発明における相互作用性基含有重合性ポリマーがカルボン酸基を有している場合には、カルボン酸塩構造に変換してもよい。
また、カルボン酸基をカルボン酸塩構造に変換する試薬としては無機塩基、有機塩基を使用することができるが、好ましくは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムである。
このようにして合成された相互作用性基含有重合性ポリマーの有用な重量平均分子量は、500〜50万の範囲で、特に好ましい範囲は5000〜25万である。
ポリマー層形成工程においてグラフトポリマーの生成に用いうる、相互作用性基を有する重合性化合物としては、前記した相互作用性基を有するモノマー、相互作用性基含有重合性ポリマーをはじめ、同様の相互作用性基を有するマクロモノマーも用いることができる。
このような重合性化合物から得られるグラフトポリマーは、上記のような官能基を有する重合性化合物の1種による単独重合体であってもよく、2種以上の共重合体であってもよい。また、本発明の効果を損なわない限り、他の重合性化合物との共重合体であってもよい。
相互作用性基を有するマクロモノマーは、前記した相互作用性基を有するモノマーを用いて公知の方法にて作製することができる。具体的には、本発明に用いられるマクロモノマーの製造方法は、例えば、平成1年9月20日にアイピーシー出版局発行の「マクロモノマーの化学と工業」(編集者 山下雄也)の第2章「マクロモノマーの合成」に各種提案されている。
これらのマクロモノマーの有用な重量平均分子量としては、250〜10万の範囲で、特に好ましい範囲は400〜3万である。
このような相互作用性基を有する重合性化合物を基板上に接触させる際には、上述のように、相互作用性基を有する重合性化合物を含有する液状組成物を調製して、それを用いればよい。また、相互作用性基を有する重合性化合物を含有する液状組成物を塗布して、乾膜してもよい。
このような相互作用性基を有する重合性化合物を含有する液状組成物を調製する際に用いられる溶剤は、主成分である相互作用性基を有する重合性化合物が溶解可能ならば特に制限はなく、また、この液状組成物には、必要に応じて、界面活性剤を添加してもよい。
使用できる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールモノメチルエーテルの如きアルコール系溶剤、酢酸の如き酸、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンの如きケトン系溶剤、ホルムアミド、ジメチルアセトアミドの如きアミド系溶剤、水などが挙げられる。
必要に応じて溶剤に添加することのできる界面活性剤は、溶剤に溶解するものであればよく、そのような界面活性剤としては、例えば、n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの如きアニオン性界面活性剤や、n−ドデシルトリメチルアンモニウムクロライドの如きカチオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル(市販品としては、例えば、エマルゲン910、花王(株)製など)、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(市販品としては、例えば、商品名「ツイーン20」など)、ポリオキシエチレンラウリルエーテルの如き非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
基板上に液状組成物を塗布法にて接触させてグラフトポリマー生成を行う場合や、グラフトポリマー前駆体層を形成する態様を用いる場合には、その塗布量としては、充分な塗布膜を得る観点からは、固形分換算で0.1〜10g/m2が好ましく、特に0.5〜5g/m2が好ましい。
−エネルギー付与−
基板表面に活性点を発生させるためのエネルギー付与方法としては、例えば、加熱や露光等の輻射線照射を用いることができる。
エネルギー付与手段の具体例としては、例えば、UVランプ、可視光線などによる光照射、ホットプレートなどでの加熱、更には、グロー放電処理等が挙げられる。ここで、光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、等がある。また、g線、i線、Deep−UV光も使用される。
エネルギー付与に要する時間としては、目的とする、基板上でのラジカル発生量、グラフトポリマーの生成量及びエネルギー付与手段により異なるが、通常、10秒〜5時間の間である。
また、本発明におけるポリマー層の膜厚は、無電解メッキ触媒又はその前駆体を充分に吸着させるという観点から、0.1〜3μmの範囲であることが好ましく、0.5〜2μmの範囲であることがより好ましい。
(基板)
本発明において用いられる基板について説明する。
本発明における基板とは、ポリマー層形成工程において、その上にグラフトポリマーが、その上に直接化学的に結合しうるものを指す。例えば、基材上に重合開始能を発現する層などの中間層を設けてその上にグラフトポリマーを生成する場合であれば、基板とは基材及び該基材上に設けられた中間層を包含したものを指し、また、基材上にグラフトポリマーを直接生成する場合であれば、基板とは基材そのものを指す。ここで、本発明における基材とは、その上に金属パターンを形成するための支持体となる材料そのものを指す。
本発明においては、グラフト重合の際に活性点を効率よく発生させるという観点から、基材上に重合開始能を発現する層が形成すること〔(a−1)工程〕で得られた基板を用いることが好ましい。
本発明において、基板として、基材上に重合開始剤を含有する重合開始能を発現する層が形成されたもの〔(a−1)工程〕を用いる場合には、該重合開始能を発現する層上に、相互作用性基含有重合性ポリマーを直接化学結合させる〔(a−2)工程〕態様が好ましい。また、(a−2)工程としては、重合開始能を発現する層上に、相互作用性基含有重合性ポリマーを接触させた後、エネルギーを付与することにより、当該重合開始能を発現する層に該ポリマーを直接化学結合させることが好ましい。即ち、相互作用性基含有重合性ポリマーを、重合開始能を発現する層上に接触させた後、該重合開始能を発現する層にエネルギー付与を行い、活性種(ラジカル)を発生させ、重合開始能を発現する層表面と相互作用性基含有重合性ポリマーと重合反応させる方法が用いることが好ましい態様である。
以下、本発明に適用しうる基板について更に詳細に説明する。
本発明における基板は、寸度的に安定な板状物であり、必要な可撓性、強度、耐久性等を満たせばいずれのものも使用でき、使用目的に応じて適宜選択される。
基板に適用しうる材料として具体的には、ポリイミド樹脂、ビスマレインイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、エポキシ樹脂、液晶ポリマー、ポリテトラフルオロエチレン樹脂などを成型したものや、シリコーン基板、紙、プラスチックがラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙若しくはプラスチックフィルム等を挙げることができる。
また、本発明で得られる金属パターン材料を用いてプリント配線板を作製する場合には、基板に適用しうる材料として絶縁性樹脂を用いることが好ましい。
このような絶縁樹脂としては、ポリフェニレンエーテル又は変性ポリフェニレンエーテル、シアネートエステル化合物、エポキシ化合物などの樹脂が挙げられる。本発明における基板としては、これらの樹脂の1種以上を含む熱硬化性樹脂組成物により形成されるものが好ましく用いられる。これらの樹脂を2種以上組み合わせて樹脂組成物とする場合の好ましい組み合わせとしては、ポリフェニレンエーテル又は変性ポリフェニレンエーテルとシアネートエステル化合物、ポリフェニレンエーテル又は変性ポリフェニレンエーテルとエポキシ化合物、ポリフェニレンエーテル又は変性ポリフェニレンエーテルとシアネートエステル化合物とエポキシ化合物などの組み合わせが挙げられる。
このような熱硬化性樹脂組成物により多層プリント配線板の基板を形成する場合には、シリカ、タルク、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムからなる群より選ばれる無機充填剤を含まないことが好ましく、また、臭素化合物又はリン化合物を更に含む熱硬化性樹脂組成物であることが好ましい
また、プリント配線板の基板に好適に用いうる、その他の絶縁樹脂としては、1,2−ビス(ビニルフェニレン)エタン樹脂、若しくはこれとポリフェニレンエーテル樹脂との変性樹脂が挙げられ、このような樹脂については、例えば、天羽悟ら著、「Journal of Applied Polymer Science」第92巻、p1252−1258(2004年)に詳細に記載されている。
更に、クラレ製のベクスターなどの名称で市販品としても入手可能な液晶性ポリマーやポリ4フッ化エチレン(PTFE)に代表されるフッ素樹脂なども好ましく挙げられる。
これらの樹脂のうち、フッ素樹脂(PTFE)は高分子材料の中でもっとも高周波特性に優れる。ただし、Tgが低い熱可塑性樹脂であるために熱に対する寸法安定性に乏しく、機械的強度なども熱硬化性樹脂材料に比べて劣る。また、形成性や加工性にも劣るという問題がある。また、ポリフェニレンエーテル(PPE)などの熱可塑性樹脂は熱硬化性樹脂などとのアロイ化を行なって用いることもできる。例えば、PPEとエポキシ樹脂、トリアリルイソシアネートとのアロイ化樹脂、或いは重合性官能基を導入したPPE樹脂とそのほかの熱硬化性樹脂とのアロイ化樹脂としても使用することができる。
エポキシ樹脂はそのままでは誘電特性が不充分であるが、かさ高い骨格の導入などで改善が図られており、このようにそれぞれの樹脂の特性を生かし、その欠点を補うような構造の導入、変性などを行った樹脂が好ましく用いられる。
例えば、シアネートエステルは熱硬化性の中ではもっとも誘電特性の優れる樹脂であるが、それ単独で使用されることは少なく、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、熱可塑性樹脂などの変性樹脂として使用される。これらの詳細に関しては、「電子技術」、2002年第9号、p35に記載されており、これらの記載もまた、このような絶縁樹脂を選択する上で参照することができる。
本発明で得られる金属パターン材料を用いてプリント配線板を形成する場合、大容量データを高速に処理するという観点で、信号の遅延と減衰とを抑制するためには、誘電率及び誘電正接のそれぞれ低くすることが有効である。低誘電正接材料の採用については、「エレクトロニクス実装学会誌」第7巻、第5号、P397(2004年)に詳細に記載されているとおりであり、特に低誘電正接特性を有する絶縁材料を採用することが高速化の観点から好ましい。
具体的には、本発明における基板としては、1GHzにおける誘電率が3.5以下である絶縁性樹脂からなる基板、又は、該絶縁性樹脂からなる層を基材上に有する基板であることが好ましい。また、3.5以下である絶縁性樹脂からなる基板、又は、該絶縁性樹脂からなる層を基材上に有する基板であることが好ましい。
特に、本発明における基板としては、1GHzにおける誘電率(比誘電率)が3.5以下である絶縁性樹脂からなり、且つ、1GHzにおける誘電正接が0.01以下である絶縁性樹脂からなる基板であることが更に好ましい。
絶縁樹脂の誘電率、誘電正接は、常法、例えば、「第18回エレクトロニクス実装学会学術講演大会要旨集」、2004年、p189、に記載の方法に基づき、空洞共振器摂動法を利用した測定器(極薄シート用εr、tanδ測定器・システム、キーコム株式会社製)を用いて測定することができる。
このように、本発明においては誘電率や誘電正接の観点から絶縁樹脂材料を選択することも有用である。誘電率が3.5以下であり、誘電正接が0.01以下の絶縁樹脂としては、液晶ポリマー、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、シアネートエステル樹脂、ビス(ビスフェニレン)エタン樹脂などが挙げられ、更にそれらの変性樹脂も含まれる。
−基板表面或いは中間層−
本発明における基板は、上述のように、グラフトポリマーその上に直接化学的に結合しうる表面を有するものであり、基板の表面自体がこのような特性を有していてもよく、このような特性を有する中間層を基材表面に設けて基板としてもよい。
中間層としては、特に、光グラフト重合法、プラズマ照射グラフト重合法、放射線照射グラフト重合法によりグラフトポリマーを合成する場合には、有機表面を有する層であることが好ましく、特に有機ポリマーの層であることが好ましい。また、有機ポリマーとしてはエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド系樹脂、メラミン系樹脂、フォルマリン樹脂などの合成樹脂、ゼラチン、カゼイン、セルロース、デンプンなどの天然樹脂のいずれも使用することができる。光グラフト重合法、プラズマ照射グラフト重合法、放射線照射グラフト重合法などではグラフト重合の開始が有機ポリマーの水素の引き抜きから進行するため、水素が引き抜かれやすいポリマー、特に、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ樹脂などを使用することが、特に製造適性の点で好ましい。
−重合開始能を発現する層−
本発明においては、既述のように、グラフト重合の際に活性点を効率よく発生させるという観点から、基板表面に設けられる中間層としては、エネルギーを付与することにより重合開始能を発現する化合物を含有する層(重合開始能を発現する層)であることが好ましい。この重合開始能を発現する層としては、重合性化合物及び重合開始剤を含有する重合性層と、側鎖に重合開始能を有する官能基及び架橋性基を有するポリマー(以下、特定重合開始ポリマーと称する。)を架橋反応により固定化してなる重合開始層と、の2つの態様が存在する。
この2つの態様の重合開始能を発現する層について順次説明する。
重合開始能を発現する層としては、i)重合性化合物及び重合開始剤を含有する重合性層と、ii)側鎖に重合開始能を有する官能基及び架橋性基を有するポリマー(以下、特定重合開始ポリマーと称する。)を架橋反応により固定化してなる重合開始層と、の2つの態様が存在する。この2つの態様の重合開始能を発現する層について順次説明する。
i)重合性化合物及び重合開始剤を含有する重合性層
重合性層は、重合性化合物及び重合開始剤等の必要な成分を、それらを溶解可能な溶媒に溶解し、塗布などの方法で基板表面上に設け、加熱又は光照射により硬膜し、形成することができる。
(a)重合性化合物
重合性層に用いられる重合性化合物は、基板との密着性が良好であり、且つ、活性光線照射などのエネルギー付与により、親水性基を有するモノマーやポリマーが付加し得るものであれば特に制限はないが、中でも、分子内に重合性基を有する疎水性ポリマーが好ましい。
このような疎水性ポリマーとしては、具体的には、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリぺンタジエンなどのジエン系単独重合体、アリル(メタ)アクリレー卜、2−アリルオキシエチルメタクリレー卜などのアリル基含有モノマーの単独重合体;
更には、前記のポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリペンタジエンなどのジエン系単量体又はアリル基含有モノマーを構成単位として含む、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリルなどとの二元又は多元共重合体;
不飽和ポリエステル、不飽和ポリエポキシド、不飽和ポリアミド、不飽和ポリアクリル、高密度ポリエチレンなどの分子中に炭素−炭素二重結合を有する線状高分子又は3次元高分子類;などが挙げられる。
なお、本明細書では、「アクリル、メタクリル」の双方或いはいずれかを指す場合、「(メタ)アクリル」と表記することがある。
重合性化合物の含有量は、重合性層中、固形分で0〜100質量%の範囲が好ましく、10〜80質量%の範囲が特に好ましい。
(b)重合開始剤
本発明における重合性層には、エネルギー付与により重合開始能を発現させるための重合開始剤を含有することが好ましい。ここで用いられる重合開始剤は、所定のエネルギー、例えば、活性光線の照射、加熱、電子線の照射などにより、重合開始能を発現し得る公知の熱重合開始剤、光重合開始剤などを目的に応じて、適宜選択して用いることができる。中でも、熱重合よりも反応速度(重合速度)が高い光重合を利用することが製造適性の観点から好適であり、このため、光重合開始剤を用いることが好ましい。
光重合開始剤は、照射される活性光線に対して活性であり、重合性層に含まれる重合性化合物と、親水性基を有するモノマーやポリマーと、を重合させることが可能なものであれば、特に制限はなく、例えば、ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤などを用いることができる。
そのような光重合開始剤としては、具体的には、例えば、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンの如きアセトフェノン類;ベンゾフェノン(4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、の如きケトン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルの如きベンゾインエーテル類;ベンジルジメチルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの如きベンジルケタール類、などが挙げられる。
重合開始剤の含有量は、重合性層中、固形分で0.1〜70質量%の範囲が好ましく、1〜40質量%の範囲が特に好ましい。
重合性化合物及び重合開始剤を塗布する際に用いる溶媒は、それらの成分が溶解するものであれば特に制限されない。乾燥の容易性、作業性の観点からは、沸点が高すぎない溶媒が好ましく、具体的には、沸点40℃〜150℃程度のものを選択すればよい。
具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、3−メトキシプロパノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテートなどが挙げられる。
これらの溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。そして塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50質量%が適当である。
重合性層を基板上に形成する場合の塗布量は、充分な重合開始能の発現、及び、膜性を維持して膜剥がれを防止するといった観点からは、乾燥後の質量で、0.1〜20g/m2が好ましく、更に、1〜15g/m2が好ましい。
上記のように、基板表面上に上記の重合性層形成用の組成物を塗布などにより配置し、溶剤を除去することにより成膜させて重合性層を形成するが、このとき、加熱及び/又は光照射を行って硬膜することが好ましい。特に、加熱により乾燥した後、光照射を行って予備硬膜しておくと、重合性化合物のある程度の硬化が予め行なわれるので、基板上にグラフトポリマーが生成した後に重合性層ごと脱落するといった事態を効果的に抑制し得るため好ましい。ここで、予備硬化に光照射を利用するのは、前記光重合開始剤の項で述べたのと同様の理由による。
加熱温度と時間は、塗布溶剤が充分乾燥し得る条件を選択すればよいが、製造適正の点からは、温度が100℃以下、乾燥時間は30分以内が好ましく、乾燥温度40〜80℃、乾燥時間10分以内の範囲の加熱条件を選択することがより好ましい。
加熱乾燥後に所望により行われる光照射は、光源として、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。また、g線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。引き続き行われるグラフトパターンの形成と、エネルギー付与により実施される重合性層の活性点とグラフト鎖との結合の形成を阻害しないという観点から、重合性層中に存在する重合性化合物が部分的にラジカル重合しても、完全にはラジカル重合しない程度に光照射することが好ましく、光照射時間については光源の強度により異なるが、一般的には30分以内であることが好ましい。このような予備硬化の目安としては、溶剤洗浄後の膜残存率が10%以上となり、且つ、予備硬化後の開始剤残存率が1%以上であることが、挙げられる。
ii)特定重合開始ポリマーを架橋反応により固定化してなる重合開始層
重合開始層は、特定重合開始ポリマーを含んで構成されていてもよい。この特定重合開始ポリマーは、側鎖に重合開始能を有する官能基及び架橋性基を有するポリマーである。このため、その特定重合開始ポリマーにおいて、重合開始基がポリマー鎖に結合しており、且つ、そのポリマー鎖が架橋反応により固定化された形態の重合開始層を形成することができる。このような重合開始層の表面にグラフトポリマーを生成させる場合、例えば、親水性基を有するモノマーを含有する溶液を接触させても、その溶液中に重合開始層中の開始剤成分が溶出することを防止することができる。また、重合開始層の形成に際しては、通常のラジカルによる架橋反応のみならず、極性基間の縮合反応や付加反応を使用することも可能であるため、より強固な架橋構造を得ることができる。その結果、重合開始層中の開始剤成分が溶出することをより効率良く防止することができ、重合開始層表面と直接結合をしていないホモポリマーの副生が抑えられることにより、重合開始層表面には直接結合したグラフトポリマーのみが生成されることになる。
ここで用いられる特定重合開始ポリマーは、特開2004−161995号公報の段落番号〔0011〕〜〔0158〕に記載にものが挙げられる。特定重合開始ポリマーの特に好ましいものの具体例としては、以下に示すものが挙げられる。
Figure 0004902344
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(c)重合開始層の成膜
重合開始層は、上述の特定重合開始ポリマーを適当な溶剤に溶解し、塗布液を調製し、その塗布液を基板上に塗布などにより配置し、溶剤を除去し、架橋反応が進行することにより成膜する。つまり、この架橋反応が進行することにより、特定重合開始ポリマーが固定化される。この架橋反応による固定化には、特定重合開始ポリマーの自己縮合反応を使用する方法、及び架橋剤を併用する方法があり、架橋剤を用いることが好ましい。特定重合開始ポリマーの自己縮合反応を使用する方法としては、例えば、架橋性基が−NCOである場合、熱をかけることにより自己縮合反応が進行する性質を利用したものである。この自己縮合反応が進行することにより、架橋構造を形成することができる。
また、架橋剤を併用する方法に用いられる架橋剤としては、山下信二編「架橋剤ハンドブック」に掲載されているような従来公知のものを用いることができる。
特定重合開始ポリマー中の架橋性基と架橋剤との好ましい組み合わせとしては、(架橋性基,架橋剤)=(−COOH,多価アミン)、(−COOH,多価アジリジン)、(−COOH,多価イソシアネート)、(−COOH,多価エポキシ)、(−NH2,多価イソシアネート)、(−NH2,アルデヒド類)、(−NCO,多価アミン)、(−NCO,多価イソシアネート)、(−NCO,多価アルコール)、(−NCO,多価エポキシ)、(−OH,多価アルコール)、(−OH,多価ハロゲン化化合物)、(−OH,多価アミン)、(−OH,酸無水物)が挙げられる。中でも、架橋の後にウレタン結合が生成し、高い強度の架橋が形成可能であるという点で、(官能基,架橋剤)=(−OH,多価イソシアネート)が、更に好ましい組み合わせである。
架橋剤の具体例としては、以下に示す構造のものが挙げられる。
Figure 0004902344
このような架橋剤は、重合開始層の成膜の際、上述の特定重合開始ポリマーを含有する塗布液に添加される。その後、塗膜の加熱乾燥時の熱により、架橋反応が進行し、強固な架橋構造を形成することができる。より詳細には、下記のex1.で示される脱水反応やex2.で示される付加反応により架橋反応が進行し、架橋構造が形成される。これらの反応における温度条件としては、50℃以上300℃以下が好ましく、更に好ましくは80℃以上200℃以下である。
Figure 0004902344
また、塗布液中の架橋剤の添加量としては、特定重合開始ポリマー中に導入されている架橋性基の量により変化するが、架橋度合や、未反応の架橋成分の残留による重合反応への影響の観点から、通常、架橋性基のモル数に対して0.01〜50当量であることが好ましく、0.01〜10当量であることがより好ましく、0.5〜3当量であることが更に好ましい。
また、重合開始層を塗布する際に用いる溶媒は、上述の特定重合開始ポリマーが溶解するものであれば特に制限されない。乾燥の容易性、作業性の観点からは、沸点が高すぎない溶媒が好ましく、具体的には、沸点40℃〜150℃程度のものを選択すればよい。
具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、3−メトキシプロパノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテートなどが挙げられる。
これらの溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。そして塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50重量%が適当である。
重合開始層の塗布量は、表面グラフト重合の開始能や、膜性の観点から、乾燥後の重量で、0.1〜20g/m2が好ましく、更に、1〜15g/m2が好ましい。
−重合開始能を有する基板−
ポリマー層形成工程に用いる基板としては、基板自体が重合開始能を有していてもよい。このような基板としては、例えば、骨格中に重合開始部位を有するポリイミドを含む基板が好適である。このような骨格中に重合開始部位を有するポリイミドを含む基板としては、特開2005−281350号公報の段落番号[0028]〜[0088]に記載のものが挙げられる。
以下に、骨格中に重合開始部位を有するポリイミドの具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 0004902344
Figure 0004902344
以上のようにして、特定ポリイミドを含む基板(重合開始能を有するポリイミド基板)が得られる。
以上説明した「ポリマー層形成工程」に次いで、「触媒付与工程」、「金属膜形成工程」、「金属パターン形成工程」、及び「ポリマー層除去工程」が行われ、基板表面には、その基板との密着性に優れた金属パターン(導電パターン)が形成される。
<(b)触媒付与工程>
本工程においては、上記のようにして生成したグラフトポリマーに、無電解メッキ触媒又はその前駆体を付与する。
これにより、グラフトポリマーが有している相互作用性基と、無電解メッキ触媒又はその前駆体と、が相互作用して、吸着することになる。
(無電解メッキ触媒)
本工程において用いうる無電解メッキ触媒としては、主に0価金属であり、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Coなどが挙げられる。本発明においては、特に、Pd、Agがその取り扱い性の良さ、触媒能の高さから好ましい。0価金属を親水性基に吸着させる手法としては、例えば、親水性基と相互作用するように荷電を調節した金属コロイドを、グラフトポリマーが生成された面に適用する手法が用いられる。一般に、金属コロイドは、荷電を持った界面活性剤又は荷電を持った保護剤が存在する溶液中において、金属イオンを還元することにより作製することができる。金属コロイドの荷電は、ここで使用される界面活性剤又は保護剤により調節することができ、このように荷電を調節した金属コロイドを、グラフトポリマーが有する親水性基と相互作用させることで、グラフトポリマーに金属コロイド(無電解メッキ触媒)を吸着させることができる。
(無電解メッキ触媒前駆体)
本工程において用いうる無電解メッキ触媒前駆体としては、化学反応により無電解メッキ触媒となりうるものであれば、特に制限なく使用することができる。主には上記無電解メッキ触媒で用いた0価金属の金属イオンが用いられる。無電解メッキ触媒前駆体である金属イオンは、還元反応により無電解メッキ触媒である0価金属になる。無電解メッキ触媒前駆体である金属イオンは、グラフトポリマーの親水性基に吸着した後、無電解メッキ浴への浸漬前に、別途還元反応により0価金属に変化させて無電解メッキ触媒としてもよいし、無電解メッキ触媒前駆体のまま無電解メッキ浴に浸漬し、無電解メッキ浴中の還元剤により金属(無電解メッキ触媒)に変化させてもよい。
実際には、無電解メッキ前駆体である金属イオンは、金属塩の状態でグラフトポリマーに付与する。使用される金属塩としては、適切な溶媒に溶解して金属イオンと塩基(陰イオン)とに解離されるものであれば特に制限はなく、M(NO3)n、MCln、M2/n(SO4)、M3/n(PO4)(Mは、n価の金属原子を表す)などが挙げられる。金属イオンとしては、上記の金属塩が解離したものを好適に用いることができる。具体例としては、例えば、Agイオン、Cuイオン、Alイオン、Niイオン、Coイオン、Feイオン、Pdイオンが挙げられ、Agイオン、Pdイオンが触媒能の点で好ましい。
無電解メッキ触媒である金属コロイド、或いは、無電解メッキ前駆体である金属塩をグラフトポリマーに付与する方法としては、金属コロイドを適当な分散媒に分散、或いは、金属塩を適切な溶媒で溶解し、解離した金属イオンを含む溶液を調製し、その溶液をグラフトポリマーが存在する基板表面に塗布するか、或いは、その溶液中にグラフトポリマーを有する基板を浸漬すればよい。金属イオンを含有する溶液を接触させることで、グラフトポリマーが有する相互作用性基に、イオン−イオン相互作用、又は、双極子−イオン相互作用を利用して金属イオンを吸着させること、或いは、グラフトポリマー生成領域に金属イオンを含浸させることができる。このような吸着又は含浸を充分に行なわせるという観点からは、接触させる溶液中の金属イオン濃度、或いは金属塩濃度は0.01〜50質量%の範囲であることが好ましく、0.1〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。また、接触時間としては、1分〜24時間程度であることが好ましく、5分〜1時間程度であることがより好ましい。
<(c)金属膜形成工程>
本工程では、無電解メッキ触媒等付与工程より、無電解メッキ触媒等が付与された基板に対して、無電解メッキを行うことで、金属膜を形成する。即ち、本工程における無電解メッキを行うことで、前記工程により得られたグラフトポリマーに高密度の金属膜が形成される。形成された金属膜は、優れた導電性と密着性を有する。
(無電解メッキ)
無電解メッキとは、メッキとして析出させたい金属イオンを溶かした溶液を用いて、化学反応によって金属を析出させる操作のことをいう。
本工程における無電解メッキは、例えば、前記無電解メッキ触媒等付与工程で得られた、無電解メッキ触媒が付与された基板を、水洗して余分な無電解メッキ触媒(金属)を除去した後、無電解メッキ浴に浸漬して行なう。使用される無電解メッキ浴としては一般的に知られている無電解メッキ浴を使用することができる。
また、無電解メッキ触媒前駆体が付与された基板を、無電解メッキ触媒前駆体グラフトポリマーに付着又は含浸した状態で無電解メッキ浴に浸漬する場合には、基板を水洗して余分な前駆体(金属塩など)を除去した後、無電解メッキ浴中へ浸漬される。この場合には、無電解メッキ浴中において、前駆体の還元とこれに引き続き無電解メッキが行われる。ここ使用される無電解メッキ浴としても、上記同様、一般的に知られている無電解メッキ浴を使用することができる。
一般的な無電解メッキ浴の組成としては、1.メッキ用の金属イオン、2.還元剤、3.金属イオンの安定性を向上させる添加剤(安定剤)が主に含まれている。このメッキ浴には、これらに加えて、メッキ浴の安定剤など公知の添加物が含まれていてもよい。
無電解メッキ浴に用いられる金属の種類としては、銅、すず、鉛、ニッケル、金、パラジウム、ロジウム等が知られており、中でも、導電性の観点からは、銅や金が特に好ましい。
また、上記金属に合わせて最適な還元剤、添加物がある。例えば、銅の無電解メッキの浴は、銅塩としてCuSO4、還元剤としてHCOH、添加剤として銅イオンの安定剤であるEDTAやロッシェル塩などのキレート剤が含まれている。また、CoNiPの無電解メッキに使用されるメッキ浴には、その金属塩として硫酸コバルト、硫酸ニッケル、還元剤として次亜リン酸ナトリウム、錯化剤としてマロン酸ナトリウム、りんご酸ナトリウム、こはく酸ナトリウムが含まれている。また、パラジウムの無電解メッキ浴は、金属イオンとして(Pd(NH34)Cl2、還元剤としてNH3、H2NNH2、安定化剤としてEDTAが含まれている。これらのメッキ浴には、上記成分以外の成分が入っていてもよい。
このようにして形成される金属膜の膜厚は、メッキ浴の金属塩又は金属イオン濃度、メッキ浴への浸漬時間、或いは、メッキ浴の温度などにより制御することができるが、導電性の観点からは、0.5μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。また、メッキ浴への浸漬時間としては、1分〜3時間程度であることが好ましく、1分〜1時間程度であることがより好ましい。
以上のようにして得られる金属膜は、運動性の高いグラフトポリマーに吸着された無電解メッキ触媒に対して無電解メッキを行い形成されるものであり、メッキ液はグラフトポリマーからなる層内部にも浸透すると考えられることから、金属膜と基板との界面は、グラフトポリマーと無電解メッキ触媒や析出したメッキ金属とのハイブリッド状態になっているものと予想される。このような金属膜を、SEMにより断面を観察すると、グラフトポリマーからなる層中に無電解メッキ触媒やメッキ金属の微粒子が分散しており、更に、その上に比較的大きな金属粒子が析出していることが確認された。この結果に示されるように、界面がグラフトポリマーと微粒子とのハイブリッド状態で構成されているため、基板(有機成分)と無機物(無電解メッキ触媒又はメッキ金属)との界面の凹凸差が500nm以下、更に、好ましい態様である100nm以下であるような平坦な状態であっても、金属膜の密着性が良好であった。
ここで、グラフトポリマーからなる層中の無電解メッキ触媒やメッキにより析出した金属などの微粒子の状態を更に詳細に説明する。このようなグラフトポリマーからなる層中においては、無電解メッキ触媒、無電解メッキ触媒前駆体に由来する金属塩、及び/又は、無電解メッキにより析出した金属からなる微粒子が分散している。この際の微粒子の分散状態は、金属膜との界面に近づくにつれて高密度となり、金属膜との界面近傍に微粒子が25体積%以上含まれている領域が存在することが、金属膜の密着力発現の観点から好ましく、更に好ましくは30体積%以上、より好ましくは40体積%以上、特に50体積%以上含まれる領域が存在することが好ましい。また、グラフトポリマーからなる層中において、このような微粒子が高密度で存在する領域としては、金属膜との界面から基板方向へ深さ0.05μm以上の領域で存在することが好ましく、0.1μm以上の領域で存在することがより好ましく、更に0.2μm以上の領域で存在することが好ましく、特に0.3μm以上の深さまで存在することがの深さまで存在することが好ましい。
<(d)金属パターン形成工程>
本工程では、前記金属膜形成工程で形成された金属膜の一部を除去して、金属パターンを形成する。
本工程における金属膜の除去は、該金属膜をパターン状にエッチング処理することにより行うことができる。エッチング処理には、一般的に知られている、サブトラクティブ法、セミアディティブ法を用いることができる。本工程における金属膜の除去には、サブトラクティブ法を用いることが好ましい。
以下、本工程に好適なサブトラクティブ法について説明する。
サブトラクティブ法とは、金属膜(メッキ膜)上に、(i)感光性レジスト膜の形成 → (ii)パターン露光及び現像を行い、残すべき金属膜のレジストパターン形成 → (iii)エッチングすることで不要な金属膜を除去する → (iv)感光性レジスト層を剥離させて、金属膜がパターン状に残存してなる金属パターンを形成する方法である。
サブトラクティブ法が適用される際における金属膜の膜厚としては、5μm以上であることが好ましく、5〜30μmの範囲であることがより好ましい。
以下、サブトラクティブ法における上記(i)乃至(iv)の一連の処理について説明する。
(i)感光性レジスト膜の形成
感光性レジスト膜形成に用いられる感光性レジストとしては、光硬化型のネガレジスト、又は、露光により溶解する光溶解型のポジレジストが使用できる。感光性レジストの種類としては、1.感光性ドライフィルムレジスト(DFR)、2.液状レジスト、3.ED(電着)レジストが挙げられる。これらはそれぞれ特徴があり、1.感光性ドライフィルムレジスト(DFR)は乾式で用いることができるので取り扱いが簡便、2.液状レジストは薄い膜厚の感光性レジスト膜とすることができるので解像度の良いパターンを作ることができる。3.ED(電着)レジストは薄い膜厚の感光性レジスト膜とすることができるので解像度の良いパターンを作ることができること、また、塗布面の凹凸への追従性が良く、密着性が優れている。使用する感光性レジストは、これらの特徴を加味して適宜選択すればよい。以下、感光性レジスト膜の形成について説明する。
1.感光性ドライフィルムは、一般的に、ポリエステルフィルムとポリエチレンフィルムにはさまれたサンドイッチ構造をしているため、導電膜の金属膜上に、ラミネータでポリエチレンフィルムを剥がしながら熱ロールで圧着する方法を用いる。
2.液状レジストは導電膜の金属膜上に塗布、乾燥する方法を用いる。塗布方法としては、スプレーコート、ロールコート、カーテンコート、ディップコートが用いられる。また、導電膜の両面同時に塗布するには、このうちロールコート、ディップコートを用いることが好ましい。
3.ED(電着)レジストは、感光性レジストを微細な電荷を帯びた粒子にして水に懸濁させコロイドとしたものである。そのため、導電膜の金属膜上に、ED(電着)レジストを塗布し、金属膜に電圧を与えて粒子を電気泳動させ、金属膜上に感光性レジストを析出させて、それらを相互に結合させて膜状にする方法を用いる。
(ii)パターン露光及び現像
パターン露光は、感光性レジスト膜上にマスクフィルム又は乾板を密着させて、使用している感光性レジストの感光領域の光で露光することにより行う。マスクフィルムを用いる場合には、真空の焼き枠で感光性レジスト膜とマスクフィルムとを密着させて露光する。露光源に関しては、パターン幅が100μm程度では点光源を用いることができる。また、パターン幅が100μm以下のものを形成する場合は平行光源を用いることが好ましい。
現像には、光硬化型のネガレジストならば未露光部を、又は、露光により溶解する光溶解型のポジレジストならば露光部を溶かすものならば何を使用してもよいが、主には、有機溶剤、アルカリ性水溶液が使用され、近年は環境負荷低減からアルカリ性水溶液が使用されている。
(iii)エッチング
現像が終了した後、感光性レジスト膜のない露出した金属膜を化学的に溶解することで、金属パターンを形成する。エッチングは、主に、水平コンベア装置で、エッチング液を上下よりスプレーして行う。
エッチング液は、酸化性の水溶液で金属膜を構成する金属を酸化、溶解する。エッチング液として用いられるものは、塩化第二鉄液、塩化第二銅液、アルカリエッチャントがある。残存した感光性レジスト膜がアルカリにより剥離してしまう可能性があることから、主には、塩化第二鉄液、塩化第二銅液が使用される。
(iv)感光性レジスト膜の剥離
エッチングが終了し、金属パターンが完成した後、残存する感光性レジスト膜を剥離する。感光性レジスト膜の剥離は、剥離液をスプレーして行うことができる。剥離液はレジストの種類により異なるが、一般的には、感光性レジスト膜を膨潤させる溶剤が用いられる。
これらの一連の処理により、本工程における金属膜の除去が行われ、これにより、所望の金属パターンが形成される。
<(e)ポリマー層除去工程>
本工程では、前記金属パターン形成工程において金属パターンを形成後、該金属パターンの非形成領域に存在するポリマー層を除去する。
ポリマー層形成工程において生成させる相互作用性基を有するグラフトポリマーは、金属パターンの非形成部分(金属パターン間)に存在すると、イオンマイグレーションを発生させる要因となりうるが、本工程において金属パターンの非形成領域に存在するポリマー層が除去されることで、当該領域における耐イオンマイグレーション性を向上させることができる。従って、本発明の金属パターン材料の製造方法を、例えば、配線基板の製造に適用した場合であれば、形成される金属配線間の電気的絶縁性を向上させることができる。
金属パターンの非形成領域に存在するポリマー層を除去する方法としては、該ポリマー層を除去しうる方法であればいかなる方法も用いることができる。具体的には、該ポリマー層を、KMnO溶液やクロム酸溶液により酸化分解する方法が挙げられる、また、ポリマー構造中のエステル結合などを加水分解することで架橋構造を分解し、除去する方法がある。
本発明におけるポリマー層を除去する方法としては、処理液の安定性、安全性、作業の安全性の観点から、加水分解による除去がより好ましい。
ポリマー層を加水分解する方法としては、(1)NaOHなどに代表されるアルカリ金属の水酸化物を用いたアルカリ加水分解による方法〔以下、方法(1)とする。〕、(2)硫酸・塩酸などの強酸水溶液を用いた酸加水分解による方法〔以下、方法(2)とする。〕、(3)リチウムアルミニウムハイドライドなどの水素化金属を使用する方法〔以下、方法(3)とする。〕、などを挙げることができる。
以下、方法(1)〜(3)の具体的な処理条件等について説明する。なお、以下に示す処理では、金属パターンの形成領域に存在するポリマー層は、金属パターンがレジストとなるため除去されず、金属パターンの非形成領域のポリマーだけが処理される。但し、適切な処理条件以上に厳しい条件となると、金属パターンの非形成領域のポリマーが除去された後、当該除去部分から金属パターンの形成領域のポリマー層が処理液に曝されるおそれがあるため、適切な処理条件内で処理を行うことが好ましい。
−方法(1)−
アルカリ金属の水酸化物を用いたアルカリ加水分解を行う際には、該アルカリ金属の水酸化物を溶媒に溶解したアルカリ溶液を用いる。溶媒としては水が好ましい。また、アルカリ溶液中におけるアルカリ金属の水酸化物の濃度としては0.1〜10mol%水溶液が好ましく、更に好ましくは0.5〜5mol%である。アルカリ溶液におけるアルカリ金属の水酸化物の濃度がこの範囲であると、加水分解反応の進行が迅速であり、また、金属パターンの形成領域におけるポリマー層部分に損傷を与えることもないため好ましい。
加水分解処理の方法としては、1.アルカリ溶液に基板を浸漬する方法、2.アルカリ溶液をスプレーなどで噴きつける方法、を用いることができる。
アルカリ溶液に基板を浸漬する方法においては、浸漬時間は10分〜5時間が好ましく、更に好ましくは10分〜2時間である。また、浸漬する際の温度としては20℃〜80℃が好ましく、更に好ましくは30℃〜60℃である。
アルカリ溶液をスプレーなどで噴きつける方法は、装置が煩雑ではあるが、非金属パターン領域のポリマーに常にフレッシュな溶液を供給できる点で好ましい。
−方法(2)−
強酸水溶液を用いた酸加水分解を行う際に使用できる酸としては、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、硝酸などが挙げられ、室温で液体である硫酸、メタンスルホン酸、硝酸が好ましい。強酸水溶液の濃度としては、0.1〜10mol%水溶液が好ましく、更に好ましくは0.5〜5mol%である。強酸水溶液の濃度がこの範囲であると、酸加水分解反応の進行が迅速であり、また、金属パターンの形成領域におけるポリマー層部分に損傷を与えることもないため好ましい。
酸加水分解処理の方法としては、1.強酸水溶液に基板を浸漬する方法、2.強酸水溶液をスプレーなどで噴きつける方法、を用いることができる。
強酸水溶液に基板を浸漬する方法においては、浸漬時間は10分〜5時間が好ましく、更に好ましくは10分〜2時間である。また、浸漬する際の温度としては20℃〜80℃が好ましく、更に好ましくは30℃〜60℃である。
強酸水溶液をスプレーなどで噴きつける方法は、装置が煩雑であるが、非金属パターン領域のポリマーに常にフレッシュな溶液を供給できる点で好ましい。
なお、金属表面は酸による腐食により変色する可能性があるため、本手法を行う場合は防錆処理など金属表面の酸による腐食を防ぐ必要がある。
−方法(3)−
リチウムアルミニウムハイドライドなどの水素化金属を用いる場合は、水分により水素化金属が分解してしまうため、溶媒としては脱水した有機溶剤を使用する。使用できる有機溶剤としては、エーテル、THF、ジオキソランなどが挙げられる。溶液の濃度としては0.1〜5mol%水溶液が好ましく、更に好ましくは0.5〜2mol%である。
処理の方法としては、溶液に基板を浸漬する方法を用いることができ、浸漬時間は10分〜5時間が好ましく、更に好ましくは10分〜2時間である。また、浸漬する際の温度としては0℃〜50℃が好ましく、更に好ましくは0℃〜30℃である。
本発明に適用しうる加水分解の方法としては、上記した方法(1)〜方法(3)の中でも、加水分解効率や副反応の抑制等の観点から方法(1)が好ましい。
なお、ポリマー層を加水分解して除去するには、ポリマー層を構成するグラフトポリマーの架橋点がエステル結合などの加水分解可能である官能基であることが必要である。これは、本発明におけるポリマー層の除去が、当該架橋点を切断することでポリマー層の溶解性を向上させることにより行われるからである。例えば、本発明における前記相互作用性基含有重合性ポリマーから形成されるポリマー層の場合であれば、該ポリマー層は、露光により生じたラジカルにより相互作用性基含有重合性ポリマーが側鎖に有する重合性基が反応、架橋することで、基板との密着に優れた強固なポリマー層が形成される。この場合、該相互作用性基含有重合性ポリマーの側鎖における重合性基がポリマー主鎖とエステル結合で結合したものであることで、加水分解により架橋点が切断されてポリマー層の溶解性が向上し、これにより金属パターン非形成領域におけるポリマー層を容易に除去することができる。
つまり、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基、及び、エステル基で連結された重合性基を有するポリマーを、直接基板と結合させたポリマー層が、ポリマー層の加水分解除去に必要である。
<他の任意工程>
本発明の金属パターン材料の製造方法は、必須工程である、前記した(a)ポリマー層形成工程、(b)触媒付与工程、(c)金属膜形成工程、(d)金属パターン形成工程、及び(e)ポリマー層除去工程の他、必要に応じて、電気メッキ工程、防錆処理工程、等の他の任意工程を有してもよい。
(1)電気メッキ工程
本発明においては(c)金属膜形成工程と(d)金属パターン形成工程との間に、又は、(d)金属パターン形成工程に含まれる工程の一つとして、又は(d)金属パターン形成工程後に、電気メッキを行う工程(電気メッキ工程)を有することもできる。電気メッキ工程は、(c)金属膜形成工程と(d)金属パターン形成工程との間に行うことが更に好ましい。本工程では、前記金属膜形成工程における無電解メッキにより得られた金属膜を電極とし、更に、電気メッキを行う。
電気メッキ工程では、無電解メッキにより得られた、基板との密着性に優れた金属膜をベースとして、そこに新たに任意の厚みをもつ金属膜を容易に形成することができる。本発明においては、この工程を付加することにより、金属膜を目的に応じた厚みに形成することができ、本発明において得られた金属パターン材料を種々の応用に適用するのに好適である。
電気メッキの方法としては、従来公知の方法を用いることができる。なお、電気メッキに用いられる金属としては、銅、クロム、鉛、ニッケル、金、銀、すず、亜鉛などが挙げられ、導電性の観点から、銅、金、銀が好ましく、銅がより好ましい。
電気メッキにより得られる金属膜の膜厚については、用途に応じて異なるものであり、メッキ浴中に含まれる金属濃度、浸漬時間、或いは、電流密度などを調整することでコントロールすることができる。なお、一般的な金属配線など作製する際に用いるためには、膜厚は、導電性の観点から、0.3μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。
(2)防錆処理工程
本発明においては、形成された金属膜(金属パターン)に対して、酸化を防止するための防錆処理を施すことができる。
本発明に適用可能な防錆処理としては、通常、プリント配線基板の製造時に使用されている防錆処理の方法が何れも使用可能である。例えば、基板上に亜鉛をメッキをする方法、フラックスを塗布する方法、ソルダーレジストを塗布する方法などを用いることができる。
[金属パターン材料]
本発明の金属パターン製造方法を用いることで、基板上に、該基板に直接化学結合したグラフトポリマーからなるポリマー層と該ポリマー層の内部及び上部に形成されたメッキ層とを有する金属パターンを有し、該金属パターンの非形成領域は該ポリマー層が存在しない領域であることを特徴とする金属パターン材料を好適に得ることができる。
前記金属パターン材料は、金属パターンの非形成領域に相互作用性基を有するグラフトポリマーからなるポリマー層が存在しないことから、当該グラフトポリマーの存在に起因して発生しうる金属のマイグレーションが効果的に抑制することができる。従って、前記金属パターン材料を配線基板に適用した場合には、金属配線間の電気的絶縁性の高い配線基板とすることができる。
また、前記金属パターン材料における金属パターン領域は、ポリマー層を構成するグラフトポリマーが基板表面に直接結合しており、基板表面の粗面化を必要としないため、高周波特性にも優れるという効果を有する。更に、該金属パターン領域は、基板表面と擦りなどの機械的な操作によっても剥がれることがないように強固に密着し、且つ、均質な金属膜を備えることから、前記金属パターン材料は、フレキシブルな金属配線基板にも好適に用いられる。
その他、前記金属パターン材料は、例えば、電磁波防止膜、アンテナなどにも用いることができる。
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔基板1の作製〕
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量176、ジャパンエポキシレジン(株)製、エピコート825)5g、トリアジン構造含有フェノールノボラック樹脂のMEKワニス(大日本インキ化学工業(株)製、フェノライトLA−7052、不揮発分62%、不揮発分のフェノール性水酸基当量120)2g、フェノキシ樹脂MEKワニス(東都化成(株)製、YP−50EK35、不揮発分35%)10.7g、重合開始剤として下記化合物(1)2.3g、MEK5.3g、2−エチル−4−メチルイミダゾール0.053gを混合し、攪拌して完全に溶解させて重合開始層塗布液1を作製した。
Figure 0004902344
上記エポキシ樹脂組成物を厚さ128μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)製、カプトン500H)上にバー塗布し、170℃で、30分乾燥させて、基材上に重合開始層を形成した。得られた重合開始層の膜厚は10μmであった。このようにして得られた基板を基板1とした
〔基板2の作製〕
ポリイミドフィルム(製品名:カプトン500H、東レデュポン社製)の上に下記の重合開始層塗布液2をロッドバー18番を用いて塗布し、80℃で2分間乾燥させた。
次に、この塗布されたフィルムを、400W高圧水銀灯(UVL−400P、理工科学産業(株)製)を使用し、10分間照射し、予備硬化させて、基材上に重合開始層を形成した。得られた重合開始層の膜厚は6.5μmであった。このようにして得られた基板を基板2とした。
<重合開始層塗布液2>
・アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 4g
(モル比率80/20、分子量10万)
・エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート 4g
(東亞合成(株)M210)
・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 1.6g
・1−メトキシ−2−プロパノール 16g
〔基板3の作製〕
<ポリイミド前駆体(ポリアミック酸)の合成>
窒素下にてN−メチルピロリドン(30ml)中にジアミン化合物として、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル(28.7mmol)を溶解させ室温にて約30分間撹拌した。この溶液に3,3’,4,4’’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(28.7mmol)を0℃にて加え5時間撹拌した。反応液を再沈してポリイミド前駆体1を得た。生成物は1H−NMR、FT−IRによりその構造を確認した。
上記手法で合成したポリアミック酸をDMAc(和光純薬(株)社製)に溶かし、30質量%の溶液とし重合層塗布液3を得た。ガラス基板に該溶液をロッドバー#36を用いて塗布、100℃で5分間乾燥、250℃で30分間加熱して固化させ、ガラス基板から剥がすことで、骨格中に重合開始部位を有するポリイミド(特定ポリイミド)からなる基板3を得た。
〔基板4の作製〕
ポリイミドフィルム(製品名:カプトン500H、東レデュポン社製)の上に、下記の重合開始層塗布液4をロッドバー18番を用いて塗布し、110℃で10分乾燥・架橋反応させた。得られた重合開始層の膜厚は9.3μmであった。このようにして得られた基板を基板4とした。
(重合開始層塗布液4)
・下記重合開始ポリマーA 0.4g
・TDI(トリレン−2,4−ジイソシアネート) 0.16g
・メチルエチルケトン(MEK) 1.6g
(重合開始ポリマーAの合成)
300mlの三口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル(MFG)30gを加え75℃に加熱した。そこに、[2−(Acryloyloxy)ethyl](4−benzoylbenzyl)dimethyl ammonium bromide8.1gと、2−Hydroxyethylmethaacrylate9.9gと、isopropylmethaacrylate13.5gと、ジメチル−2,2'−
アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.43gと、MFG30gと、の溶液を2.5時間かけて滴下した。その後、反応温度を80℃に上げ、更に2時間反応させ、下記特定重合開始ポリマーAを得た。なお、下記の構造式に付されている数値は、各繰り返し単位におけるモル共重合比を示す。
Figure 0004902344
〔相互作用性基含有重合性ポリマーの合成〕
(1)相互作用性基含有重合性ポリマー1の合成
(モノマーAの合成)
500mlの三口フラスコに、ジエチレングリコールモノメタクリレート52.3gを入れ、アセトン250mlを加え、撹拌した。ピリジン39.2g、p−メトキシフェノール0.1gを添加した後に、氷水を入れた氷浴にて冷却した。混合液温度が5℃以下になった後に、2−ブロモイソブタン酸ブロミド114.9gを滴下ロートにて3時間かけて滴下した。滴下終了後、氷浴を外してさらに3時間撹拌した。反応混合液を水750mlに投入し、1時間撹拌した。水混合液を分液ロートを用いて、酢酸エチル500mlで3回抽出した。有機層を1M塩酸500ml、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液500ml、飽和食塩水500mlで順次洗浄した。有機層に硫酸マグネシウム100gを入れ、脱水乾燥した後、濾過した。溶媒を減圧留去し、モノマーA(下記構造)を75gを得た。
Figure 0004902344
次に、1000ml三口フラスコに、N,N−ジメチルアセトアミド80gを入れ、窒素気流下、75℃まで加熱した。モノマーA9.3g、アクリル酸26.8g、V−601(和光純薬製)0.99gのN,N−ジメチルアセトアミド40g溶液を、2.5時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃まで加熱し、更に3時間撹拌した。その後、室温まで、反応溶液を冷却した。
上記、反応液にp−メトキシフェノール0.59gを入れ、N,N−ジメチルアセトアミド800gを加え、氷水を入れた氷浴にて冷却した。混合液温度が5℃以下になった後に、1、8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン(DBU)180.8gを滴下ロート用いて、滴下した。滴下終了後、氷浴を外してさらに8時間撹拌した。反応液に水49gにメタンスルホン酸114mlを溶解させた液を添加し、4時間攪拌した。攪拌の後、水再沈を行って固形物を濾取し、水で洗浄、乾燥して相互作用性基含有重合性ポリマー1を10g得た。
(2)相互作用性基含有重合性ポリマー2の合成
1000ml三口フラスコにN,N−ジメチルアセトアミド280gを入れ、窒素気流下、75℃まで加熱した。2−ヒドロキシエチルメタクリレート130.1g、メタクリル酸29.27g、V−601(和光純薬製)0.98gのN,N−ジメチルアセトアミド80g溶液を、2.5時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃まで加熱し、更に3時間撹拌した。その後、室温まで、反応溶液を冷却した。
上記、反応液にジターシャリーペンチルハイドロキノン0.43g、ジブチルチンジラウレート0.53g、カレンズMOI(昭和電工(株)製)26.3g、N,N−ジメチルアセトアミド70gを加え、55℃、6時間反応を行った。その後、反応液にメタノールを54.3g加え、更に2時間反応を行った。反応終了後、水により再沈を行い、固形物を濾取、水で洗浄、乾燥し、相互作用性基含有重合性ポリマー2を23g得た。
(3)相互作用性基含有重合性ポリマー3の合成
500ml三口フラスコにN,N−ジメチルアセトアミド200g、ポリアクリル酸(和光純薬製、分子量:25000)30g、テトラエチルアンモニウムベンジルクロライド2.4g、ジターシャリーペンチルハイドロキノン25mg、下記モノマーB27gを入れ、窒素気流下、100℃、5時間反応させた。
Figure 0004902344
その後、反応液を50gとり、氷浴中で4NNaOHを11.6mL加え、酢酸エチルで再沈を行い、固形物を濾取、水で洗浄、乾燥し、相互作用性基含有重合性ポリマー3を3.1g得た。
[実施例1]
<ポリマー層形成工程>
基板1に、下記組成からなる塗布液1をロッドバー#18を用いて塗布し、乾燥した。なお、得られた膜の膜厚は、0.8μmだった
−塗布液1の組成−
・相互作用性基含有重合性ポリマー1 0.25g
・メタノール 3.0g
次に、基板表面に対し1.5kW高圧水銀灯を使用し40秒間露光を行った。その後に得られた膜を飽和重曹水にて洗浄し、上記の相互作用性基含有重合性ポリマー1が基板上に表面グラフト重合してなるポリマー層1を有する基板Aを得た。
<触媒付与工程、及び金属膜形成工程>
得られた基板Aを、硝酸銀(和光純薬製)1質量%の水溶液に5分間浸漬した後、蒸留水で洗浄した。その後、以下の組成からなる無電解メッキ浴にて、20分間無電解メッキし、金属膜aを形成した。
−無電解メッキ浴の組成−
・蒸留水 176g
・硫酸銅・5水和物 1.9g
・EDTA・2Na 5.54g
・NaOH 1.58g
・PEG(分子量1000) 0.019g
・2,2−ビピリジル 0.18mg
・ホルムアルデヒド水溶液 1.01g
<電気メッキ工程>
上記で得られた金属膜aを、更に、下記組成の電気メッキ浴にて40分間電気メッキし、その後、下記の防錆処理を行い、130℃で3分間ベークすることにより、金属膜1を形成した。
−電気メッキ浴の組成−
・硫酸銅・五水和物 135g
・濃硫酸 342g
・塩酸 0.25g
・カッパーグリームST−901C 9mL
(ローム・アンド・ハース電子材料(株)製)
・水 234g
−防錆処理−
電気メッキ後を行った後の金属膜aを、1wt% エンテックCU−56(メルテックス(株)製)水溶液に中に1分浸漬し、水洗した。
<金属パターン形成工程>
得られた金属膜1の表面に、感光性ドライフィルム(富士写真フイルム(株)製)をラミネートし、所望の導体回路パターンが描画されたマスクフィルム(開口部が金属パターン形成領域に対応、マスク部が金属パターン非形成領域に対応)を通して紫外線露光させ、画像を焼き付け、現像を行った。次に、塩化第二鉄エッチング液を用いてレジストが除去された部分の金属膜(銅薄膜)をエッチングした。その後、ドライフィルムを剥離することにより、基板A上に、所望の金属パターン1(導電パターン)が形成された。
<ポリマー層除去工程>
得られた金属パターン1を3mol/LのNaOH水溶液に浸漬、1時間煮沸し、金属パターン1の非形成領域に存在するポリマー層1を除去した。
以上のようにして、実施例1の金属パターン材料1を得た
[実施例2]
<ポリマー層形成工程>
基板1に、下記組成からなる塗布液2をロッドバー#18を用いて塗布し、乾燥した。なお、得られた膜の膜厚は、0.7μmだった
−塗布液2の組成−
・相互作用性基含有重合性ポリマー2 0.25g
・シクロヘキサノン 3.0g
次に、基板表面に対し1.5kW高圧水銀灯を使用し、40秒間露光を行った。その後に得られた膜を飽和重曹水にて洗浄し、上記の相互作用性基含有重合性ポリマー2が基板上に表面グラフト重合してなるポリマー層2を有する基板Bを得た。
<触媒付与工程、金属膜形成工程、電気メッキ工程>
得られた基板Bに対して、実施例1と同様な手法で、触媒付与工程、金属膜形成工程、及び電気メッキ工程を行い金属膜2を形成した。
<金属パターン形成工程、ポリマー層除去工程>
得られた金属膜2に対して、実施例1と同様な手法で、金属パターン形成工程を行い、金属パターン2を形成した。更に、実施例1と同様な手法で、ポリマー層除去工程を行い、金属パターン2の非形成領域に存在するポリマー層2を除去した。
以上のようにして、実施例2の金属パターン材料2を得た
[実施例3]
<ポリマー層形成工程>
基板1に、下記組成からなる塗布液3をロッドバー#18を用いて塗布し、乾燥した。なお、得られた膜の膜厚は、0.8μmだった
−塗布液3の組成−
・相互作用性基含有重合性ポリマー3 0.25g
・水 2.0g
・アセトニトリル 1g
次に、基板表面に対し1.5kW高圧水銀灯を使用し、40秒間露光を行った。その後に得られた膜を飽和重曹水にて洗浄し、上記相互作用性基含有重合性ポリマー3が基板上に表面グラフト重合してなるポリマー層3を有する基板Cを得た。
<触媒付与工程、金属膜形成工程>
得られた基板Cに対して、実施例1と同様な手法で、無電解メッキ工程のみを行い金属膜3を形成した。
<金属パターン形成工程>
得られた金属膜の表面に、感光性ドライフィルム(富士写真フイルム(株)製)をラミネートし、所望の導体回路パターンが描画されたマスクフィルム(開口部が金属パターン形成領域に対応、マスク部が金属パターン非形成領域に対応)を通して紫外線露光させ、画像を焼き付け、現像を行った。次に、実施例1と同様な手法で、電気メッキを20分行った。次いで、ドライフィルムを剥離し、塩化第二鉄エッチング液を用いてレジストが除去された部分の金属膜(銅薄膜)をフラッシュエッチングすることにより、所望の金属パターン3(導電パターン)が形成された。
<ポリマー層除去工程>
得られた金属パターン3に対して、実施例1と同様な手法で、ポリマー層除去工程を行い、金属パターン3の非形成領域に存在するポリマー層3を除去した。
以上のようにして、実施例3の金属パターン材料3を得た
[実施例4]
実施例1において、基板1に代えて基板2を用いた以外は、実施例1同様の手法で、ポリマー層形成工程、触媒付与工程、金属膜形成工程、及び電気メッキ工程を行い、金属膜4を形成した。更に、得られた金属膜4に対して、実施例1と同様な手法で、金属パターン形成工程を行い金属パターン4を形成した後、ポリマー層除去工程を行った。
以上のようにして、実施例4の金属パターン材料4を得た。
[実施例5]
実施例1において、基板1に代えて基板3を用いた以外は、実施例1同様の手法で、ポリマー層形成工程、触媒付与工程、金属膜形成工程、及び電気メッキ工程を行い、金属膜5を形成した。更に、得られた金属膜5に対して、実施例1と同様な手法で、金属パターン形成工程を行い金属パターン5を形成した後、ポリマー層除去工程を行った。
以上のようにして、実施例5の金属パターン材料5を得た。
〔実施例6〕
実施例1において、基板1に代えて基板4を用いた以外は、実施例1同様の手法で、ポリマー層形成工程、触媒付与工程、金属膜形成工程、及び電気メッキ工程を行い、金属膜6を形成した。更に、得られた金属膜6に対して、実施例1と同様な手法で、金属パターン形成工程を行い金属パターン6を形成した後、ポリマー層除去工程を行った。
以上のようにして、実施例6の金属パターン材料6を得た。
[実施例7]
実施例1におけるポリマー層除去工程におけるポリマー層の除去を、金属パターン1を1NのLiAlHの脱水エーテル溶液に浸漬し、1時間室温で反応させることにより行った以外は、実施例1同様の手法を用いて、ポリマー層形成工程、触媒付与工程、金属膜形成工程、電気メッキ工程、及び金属パターン形成工程を行い金属パターン7を形成した後、実施例7の金属パターン材料7を得た。
[比較例1]
実施例1において、ポリマー層除去工程を行わなかった以外は、実施例1と同様な手法で、基板1上に金属パターン1を形成し、比較例1の金属パターン材料8を得た
[比較例2]
実施例3において、ポリマー層除去工程を行わなかった以外は、実施例3と同様な手法で、基板1上に金属パターン3を形成し、比較例2の金属パターン材料9を得た
<評価>
1.耐イオンマイグレーション性の評価
実施例の金属パターン材料1〜7、比較例の金属パターン材料8及び9の各々において、金属パターン領域を、IPC−SM−840に規定されている櫛形電極の形状(導体幅:100μm、導体間:100μm、重ね代:15.75mm、図1を参照)に形成し、ポリマー層除去工程を行ったものを用いて評価試験を行った。
評価試験は、まず、金属パターン材料1〜9を、恒温恒湿試験槽内部にセットし、槽外から標準電圧発生装置により電圧を印加し、50時間経過後に恒温恒湿試験槽から取り出し、顕微鏡にてイオンマイグレーションの有無を観察した。なお、試験環境条件は、80℃、90%R.H.であり、印加電圧は、49Vであった。
さらに、金属パターン材料1〜9について、評価試験中における線間絶縁抵抗を、マイグレーション評価システム(ESPEC製のマイグレーション評価システムAMI)を用いて、常時モニタリングし、試験中に線間絶縁抵抗が10Ω以上を保たれていた場合を「○」、線間絶縁抵抗が10Ω以下になった場合を「×」として評価した。結果を表1に示す。
2.金属パターン領域の導電性の評価
実施例の金属パターン材料1〜7、比較例の金属パターン材料8及び9の各々について、金属パターン領域の表面抵抗を、抵抗率計(ロレスタ−EP、型番MCP−T360、三菱化学社(株)社製)を用いて測定した。測定結果を表1に示す。
3.金属パターン領域と基板との密着性の評価
実施例の金属パターン材料1〜7、比較例の金属パターン材料8及び9の各々について、JIS K5600に準拠して碁盤目試験を行い評価した。結果を表1に示す。
Figure 0004902344
表1に示されるように、実施例1〜7の方法により得られた金属パターン材料1〜7は、高温・高湿下の条件下での評価試験に供した場合であっても、いずれもマイグレーションは見られず、高い線間絶縁抵抗を保っていることがわかる。また、金属パターン形成領域は、導電性が高く、基板との密着性に優れたものであることがわかる。
一方、ポリマー層除去工程を行わなかった、比較例1、2の金属パターン材料8、9は、金属パターン形成領域の導電性及び基板との密着性には優れるものの、マイグレーションが発生しており、線間絶縁抵抗が低下していることがわかる。
IPC−SM−840に規定されている櫛形電極の形状を示す図である。

Claims (7)

  1. (a)基板上に、該基板表面に直接結合し、且つ、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有するグラフトポリマーを生成させてポリマー層を形成するポリマー層形成工程、
    (b)該ポリマー層に無電解メッキ触媒又はその前駆体を付与する触媒付与工程、
    (c)無電解メッキを行いポリマー層の全面に金属膜を形成する金属膜形成工程、
    (d)該金属膜の一部を除去して金属パターンを形成する金属パターン形成工程、及び、
    (e)該金属パターンの非形成領域に存在するポリマー層を除去するポリマー層除去工程、
    を有することを特徴とする金属パターン材料の製造方法。
  2. 前記ポリマー層除去工程が加水分解により行われることを特徴とする請求項1に記載の金属パターン材料の製造方法。
  3. 前記基板が、1GHzにおける誘電正接が0.01以下である絶縁性樹脂からなる基板、又は、該絶縁性樹脂からなる層を基材上に有する基板であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の金属パターン材料の製造方法。
  4. 前記基板が、1GHzにおける誘電率が3.5以下である絶縁性樹脂からなる基板、又は、該絶縁性樹脂からなる層を基材上に有する基板であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の金属パターン材料の製造方法。
    合させる工程であることを特徴とする請求項6に記載の金属パターン材料の製造方法。
  5. 前記(a)ポリマー層形成工程が、基板上に、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基及び重合性基を有するポリマーを接触させた後、エネルギーを付与することにより、前記基板表面全体に当該ポリマーを直接化学結合させる工程であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の金属パターン材料の製造方法。
  6. 前記(a)ポリマー層形成工程が、(a−1)基材上に重合開始能を発現する層が形成された基板を作製する工程、及び、(a−2)該重合開始能を発現する層が形成された基板上に、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基及び重合性基を有するポリマーを直接化学結合させる工程、を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の金属パターン材料の製造方法。
  7. 前記(a−2)工程が、前記重合開始能を発現する層が形成された基板上に、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基及び重合性基を有するポリマーを接触させた後、エネルギーを付与することにより前記基板表面全体に当該ポリマーを直接化学結合させる工程であることを特徴とする請求項6に記載の金属パターン材料の製造方法。
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