JP4711796B2 - 光拡散性ポリカーボネート系樹脂組成物及び光拡散剤 - Google Patents
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Description
更に、本発明によれば、ポリカーボネート系樹脂に光拡散性を付与するために該ポリカーボネート系樹脂に分散される架橋(メタ)アクリル系重合体粒子からなる光拡散剤であって、前記ポリカーボネート系樹脂の変色防止能を向上させるために、ホスファイト系酸化防止剤を0.05〜3重量%含有してなる光拡散剤が提供される。
本発明の光拡散剤には、予めホスファイト系酸化防止剤が混合されているので、上記光拡散性ポリカーボネート系樹脂組成物の製造現場で酸化防止剤を使用する必要がなく、簡便に変色防止能が高い光拡散性ポリカーボネート系樹脂組成物を製造できるという効果を奏する。
架橋性単量体は、(メタ)アクリル系単量体100重量部に対して、1〜100重量部使用することが好ましい。
また、リン系以外の酸化防止剤、例えば一般的に使用されるペンタエリスリチル−テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)についても、上記ホスホナイト系化合物と同様である。
なお、本発明では、ホスファイト系酸化防止剤が特定量含まれていさえすれば、他の酸化防止剤を更に含んでいてもよい。
ポリカーボネート系樹脂への架橋(メタ)アクリル系重合体粒子の添加割合は、ポリカーボネート系樹脂100重量部に対して、0.1〜5重量部であることが好ましい。0.1重量部未満の場合、光拡散性を与えにくくなるので好ましくなく、5重量部より多い場合、光拡散性は得られるが光透過性が低くなってしまうので好ましくない。より好ましい添加割合は、0.5〜3重量部である。
また、本発明では、ポリカーボネート系樹脂に光拡散性を付与するために該ポリカーボネート系樹脂に分散される架橋(メタ)アクリル系重合体粒子からなる光拡散剤であって、前記ポリカーボネート系樹脂の変色防止能を向上させるために、ホスファイト系酸化防止剤を0.05〜3重量%含有してなる光拡散剤も提供される。
上記光拡散剤の構成成分である、ホスファイト系酸化防止剤及び架橋(メタ)アクリル系重合体粒子は、上記光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物の構成成分と同様である。
(平均粒子径の測定方法)
孔径50〜280μmの細孔に電解質溶液を満たし、当該電解質溶液を粒子が通過する際の電界質溶液の導電率変化から体積を求め、平均粒子径を計算する。具体的には、測定した平均粒子径は、ベックマンコールター社製のコールターマルチザイザーIIによって測定した体積平均粒子径である。なお、測定に際してはCoulter Electronics Limited発行のREFERENCE MANUAL FOR THE COULTER MULTISIZER(1987)に従って、測定する粒子の粒子径に適合したアパチャーを用いてキャリブレーションを行い測定する。
31で2秒間混合した後試験管を市販の超音洗浄機であるヴェルヴォクリーア社製ULTRASONIC CLEANER VS−150を用いて10秒間予備分散させ、これを本体備え付けの、ISOTON2(ベックマンコールター社製:測定用電解液)を満たしたビーカー中に、緩く攪拌しながらスポイドで滴下して、本体画面の濃度計の示度を10%前後に合わせる。次にマルチサイザー2本体にアパチャーサイズ、Current,Gain,PolarityをCoulterElectronics Limited発
行のREFERENCE MANUAL FOR THE COULTER MULTISIZER(1987)に従って入力し、manualで測定する。測定中はビーカー内を気泡が入らない程度に緩く攪拌しておき、粒子を10万個測定した点で測定を終了する。
全光線透過率はJISK7361によって測定する。具体的には日本電色工業(株)製NDH−2000を使用した。ヘイズはJISK7136により測定し、具体的には日本電色工業社製NDH−2000を使用する。
着色性はJISZ8722に従い測定する。具体的には、色彩色差計(ミノルタカメラ社製CR−300)にて測定したb値で示す。
(酸化防止剤の残存量)
重合体粒子中の酸化防止剤を溶媒により抽出し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって酸化防止剤の定量を行った。
具体的には、アセトニトリル10ml中に重合体粒子を0.1g加え、よく混合して20時間浸漬した後、遠心分離機(日産遠心器社製H−103N)を用いて2500rpm、20分間、室温で遠心分離を行う。得られた上澄み液をHPLC(島津製作所社製HPLC LC−10Avp)にて測定することにより行った。HPLCの測定条件は、使用カラム:SHISEIDO CAPCELLPAK C18 MGII(5μm)、カラム温度:40℃、溶媒:アセトニトリル、流速:1.0リットル/分、検出条件:UV280nm(3D)とした。
実施例1
攪拌機、温度計を備えた重合器にラウリル硫酸ナトリウム0.05重量部を溶解させた脱イオン水500重量部を入れ、そこへ第三リン酸カルシウム50重量部を分散させた。これに予め調製しておいたメタクリル酸メチル90重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート10重量部の重合性単量体成分に過酸化ベンゾイル0.5重量部、アゾビスイソブチロニトリル0.5重量部、ホスファイト系酸化防止剤としてアデカスタブHP−10(旭電化社製)0.5重量部を溶解させた混合液を入れて、その液をT.Kホモミキサー(特殊機化工業社製)にて3000rpmで10分間攪拌し、液滴径がおよそ15μmになるように調整した。次に、重合器を65℃に加熱して攪拌しながら懸濁重合を行った後、室温まで冷却した。ここで得られた懸濁液を濾過、洗浄した後、乾燥して光拡散剤となるホスファイト系酸化防止剤含有の架橋(メタ)アクリル系重合体粒子(平均粒子径14.5μm)を得た。
ラウリル硫酸ナトリウムの量を0.1重量部とし、酸化防止剤としてアデカスタブHP−10(旭電化社製)2.0重量部とスミライザーGA−80(住友化学社製)0.2重量部とを重合性単量体成分に溶解させ、T.Kホモミキサーでの攪拌を10000rpmで10分間として、液滴径をおよそ3μmとなるように調整したこと以外は実施例1と同様にしてホスファイト系酸化防止剤含有の架橋(メタ)アクリル系重合体粒子(平均粒子径3.1μm)を得た。
酸化防止剤としてスミライザーGP(住友化学社製)0.1重量部とイルガノックス1010(チバガイギー社製)0.1重量部とを重合性単量体成分に溶解させ、T.Kホモミキサーでの攪拌を5000rpmで10分間として、液滴径をおよそ8μmとなるように調整したこと以外は実施例1と同様にしてホスファイト系酸化防止剤含有の架橋(メタ)アクリル系重合体粒子(平均粒子径8.1μm)を得た。
ラウリル硫酸ナトリウムの量を0.1重量部とし、酸化防止剤としてスミライザーGP(住友化学社製)1.0重量部を重合性単量体成分に溶解させ、T.Kホモミキサーでの攪拌を5000rpmで10分間として、液滴径をおよそ5μmとなるように調整したこと以外は実施例1と同様にしてホスファイト系酸化防止剤含有の架橋(メタ)アクリル系重合体粒子(平均粒子径4.8μm)を得た。
攪拌機、温度計を備えた重合器にラウリル硫酸ナトリウム0.05重量部を溶解させた脱イオン水500重量部を入れ、そこへ第三リン酸カルシウム50重量部を分散させた。これに予め調製しておいたメタクリル酸メチル90重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート10重量部の重合性単量体成分に過酸化ベンゾイル0.5重量部、アゾビスイソブチロニトリル0.5重量部を溶解させた混合液を入れて、その液をT.Kホモミキサー(特殊機化工業社製)にて5000rpmで10分間攪拌し、液滴径がおよそ8μmになるように調整した。次に、重合器を65℃に加熱して攪拌しながら懸濁重合を行った後、冷却した。ここで得られた懸濁液を濾過、洗浄した後、乾燥して光拡散剤となる酸化防止剤非含有の架橋(メタ)アクリル系重合体粒子(平均粒子径7.8μm)を得た。
ラウリル硫酸の量を0.1重量部とし、ホスファイト系酸化防止剤としてアデカスタブHP−10(旭電化社製)0.02重量部を重合性単量体成分に溶解させ、T.Kホモミキサーでの攪拌を10000rpmで10分間として、液滴径をおよそ3μmとなるように調整したこと以外は比較例1と同様にしてホスファイト系酸化防止剤含有の架橋(メタ)アクリル系重合体粒子(平均粒子径3.2μm)を得た。
酸化防止剤としてスミライザーGP(住友化学社製)5.0重量部を重合性単量体成分に溶解させたこと以外は比較例1と同様にしてホスファイト系酸化防止剤含有の架橋(メタ)アクリル系重合体粒子(平均粒子径8.3μm)を得た。
酸化防止剤としてイルガノックス1010(チバガイギー社製)0.1重量部を重合性単量体成分に溶解させたこと以外は比較例1と同様にして非リン系酸化防止剤のみを含む架橋(メタ)アクリル系重合体粒子(平均粒子径7.7μm)を得た。
酸化防止剤としてスミライザーTP−D(住友化学社製)0.5重量部を重合性単量体成分に溶解させたこと以外は比較例1と同様にして非リン系酸化防止剤のみを含む架橋(メタ)アクリル系重合体粒子(平均粒子径8.1μm)を得た。
酸化防止剤としてSandstab P−EPQ(クラリアントジャパン社製)0.5重量部を重合性単量体成分に溶解させたこと以外は実施例1と同様にしてホスホナイト系酸化防止剤を含む架橋(メタ)アクリル系重合体粒子(平均粒子径15.0μm)を得た。
なお、上記実施例及び比較例で使用した酸化防止剤の使用量、その残存量、光拡散剤の平均粒子径及び光拡散剤記号を下記表1にまとめて示す。
スミライザーGPは、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピンの、
スミライザーGA−80は、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンの、
イルガノックス1010は、ペンタエリスリチル−テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}の、
スミライザーTP−Dは、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)の、
Sandstab P−EPQは、テトラキス(ジ−t−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイトの商品名である。
実施例5〜9
ポリカーボネート系樹脂(パンライト、帝人化成社製)100重量部と、実施例1〜4で製造した光拡散剤を表2に示す種類と量と、ユビテックスOB(チバガイギー社製:蛍光増白剤)を表2に示す量とを押出機中で溶融混練(成形温度280℃)した後、ペレット化した。このペレットを射出成形機(シリンダー温度320℃、滞留時間15分)で成形することにより、2mm厚、40mm×80mmの光拡散板を作製した。得られた光拡散板の評価結果を表2に示す。なお、ユビテックスOBは、2,5−ビス(5’−t−ブチルベンゾオキサゾリル(2))チオフェンの商品名である。
比較例7〜14
ポリカーボネート系樹脂(パンライト、帝人化成社製)100重量部と、比較例1〜6で製造した光拡散剤を表2に示す種類と量と、酸化防止剤及びユビテックスOBを表2に示す種類と量とを押出し機中で溶融混練(成形温度280℃)した後、ペレット化した。このペレットを射出成形機(シリンダー温度320℃、滞留時間15分)で成形することにより、2mm厚、40mm×80mmの光拡散板を作製した。得られた光拡散板の評価結果を表2に示す。
実施例5〜9と比較例7とから、酸化防止剤を使用することで、全光線透過率及びヘイズを低下させることなく、ポリカーボネート系樹脂の着色が抑制できることがわかる。
実施例7と比較例8、実施例9と比較例11とから、ホスファイト系酸化防止剤をポリカーボネート系樹脂ではなく光拡散剤に含ませることで、全光線透過率及びヘイズを低下させることなく、ポリカーボネート系樹脂の着色が抑制できることがわかる。
実施例9と比較例12及び13とから、リン系酸化防止剤を含むことで、全光線透過率及びヘイズを低下させることなく、ポリカーボネート系樹脂の着色が抑制できることがわかる。
Claims (2)
- ポリカーボネート系樹脂と、該ポリカーボネート系樹脂に光拡散性を付与するために前記ポリカーボネート系樹脂に分散された架橋(メタ)アクリル系重合体粒子からなる光拡散剤とから構成され、該架橋(メタ)アクリル系重合体粒子中にホスファイト系酸化防止剤を0.05〜3重量%含有させてなる変色防止能の向上した光拡散性ポリカーボネート系樹脂組成物。
- ポリカーボネート系樹脂に光拡散性を付与するために該ポリカーボネート系樹脂に分散される架橋(メタ)アクリル系重合体粒子からなる光拡散剤であって、前記ポリカーボネート系樹脂の変色防止能を向上させるために、ホスファイト系酸化防止剤を0.05〜3重量%含有してなる光拡散剤。
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