JP4711796B2 - 光拡散性ポリカーボネート系樹脂組成物及び光拡散剤 - Google Patents

光拡散性ポリカーボネート系樹脂組成物及び光拡散剤 Download PDF

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Description

本発明は、光拡散性ポリカーボネート系樹脂組成物及び光拡散剤に関する。更に詳しくは、本発明は、高い光拡散性を有し、かつ溶融滞留時のポリカーボネート系樹脂の変色を抑制しうる光拡散剤及びそれを分散してなる光拡散性ポリカーボネート系樹脂組成物に関する。本発明の光拡散性ポリカーボネート系樹脂組成物は、照明カバー、透過型ディスプレイの光拡散板、照明看板等に好適に用いられる。
従来、照明カバー、透過型ディスプレイ用の光拡散板、照明看板等の原料として、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等の透明性樹脂中に有機系や無機系の光拡散剤を分散させた組成物が広く用いられている。
このような透明性樹脂の中で、ポリカーボネート系樹脂は、衝撃強さのある樹脂として使用されており、その樹脂中に光拡散剤として架橋アクリル系樹脂を分散させたものもある。
しかし、ポリカーボネート系樹脂中に光拡散剤として架橋アクリル系樹脂を用いた場合、その溶融成形時に架橋アクリル系樹脂が分解することにより生じた分解生成物の影響でポリカーボネート系樹脂が着色してしまうという問題があった。
この問題を解決するために、特開2001−214049号公報(特許文献1)では、芳香族ポリカーボネート系樹脂に、高分子微粒子(光拡散剤)、特定のリン系安定剤、トリメチルホスフェート、ヒンダードフェノール系化合物及び蛍光増白剤を加えることにより、溶融滞留時の組成物の変色を抑制でき、長期間の色調に優れる光拡散性芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物が得られると報告されている。
特開2001−214049号公報
しかしながら、上記公報の方法では、生産性向上や光拡散剤の分散性向上のためにより高温(例えば、300℃以上)で成形する場合や、滞留時間が長い場合に、光拡散剤である架橋アクリル樹脂が分解することにより生じた分解生成物の影響でポリカーボネート系樹脂が着色してしまうという問題が依然としてある。また、300℃未満の成形温度でも、光拡散剤の架橋(メタ)アクリル系重合体を含むポリカーボネート系樹脂の着色をより防止することが望まれている。
本発明者は上記従来の課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の酸化防止剤を含有する光拡散剤をポリカーボネート系樹脂に混合して成形することにより、高温の成形条件でも光拡散板成形時の着色が抑制されること、いいかえると変色防止能が向上することを意外にも見出し、本発明に至った。
かくして本発明によれば、ポリカーボネート系樹脂と、該ポリカーボネート系樹脂に光拡散性を付与するために前記ポリカーボネート系樹脂に分散された架橋(メタ)アクリル系重合体粒子からなる光拡散剤とから構成され、該架橋(メタ)アクリル系重合体粒子中にホスファイト系酸化防止剤を0.05〜3重量%含有させてなる変色防止能の向上した光拡散性ポリカーボネート系樹脂組成物が提供される。
更に、本発明によれば、ポリカーボネート系樹脂に光拡散性を付与するために該ポリカーボネート系樹脂に分散される架橋(メタ)アクリル系重合体粒子からなる光拡散剤であって、前記ポリカーボネート系樹脂の変色防止能を向上させるために、ホスファイト系酸化防止剤を0.05〜3重量%含有してなる光拡散剤が提供される。
本発明の光拡散性ポリカーボネート系樹脂組成物は、十分な光拡散性と光透過性を有し、しかも成形時の着色が少なく、変色防止能が向上している。該樹脂組成物は、優れた光拡散性、光透過性を求められる照明カバー、透過型ディスプレイの光拡散板、照明看板等に好適に利用できる。
本発明の光拡散剤には、予めホスファイト系酸化防止剤が混合されているので、上記光拡散性ポリカーボネート系樹脂組成物の製造現場で酸化防止剤を使用する必要がなく、簡便に変色防止能が高い光拡散性ポリカーボネート系樹脂組成物を製造できるという効果を奏する。
まず、本発明の光拡散性ポリカーボネート系樹脂組成物は、ポリカーボネート系樹脂と、該樹脂に分散されてなり、かつホスファイト系酸化防止剤を0.05〜3重量%含有した架橋(メタ)アクリル系重合体粒子とからなる。なお、(メタ)アクリルは、アクリル又はメタクリルを意味する。
本発明に用いることができるポリカーボネート系樹脂としては、特に限定されず、公知の樹脂をいずれも使用できる。例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲン又は炭酸ジエステルとを溶融法又は溶液法で反応させて得られる樹脂が使用できる。芳香族ジヒドロキシ化合物の代表的な例として、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイドビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等が挙げられる。これらの中でも特にビスフェノールAが好ましい。
架橋(メタ)アクリル系重合体粒子の製造に用いられる(メタ)アクリル系単量体としては、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらの単量体は単独で使用又は併用することができる。
更に、架橋(メタ)アクリル系重合体粒子に架橋構造を付与するための架橋性単量体としては、例えば、トリアクリル酸トリメチロールプロパン、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸ジエチレングリコール、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸デカエチレングリコール、ジメタクリル酸ペンタデカエチレングリコール、ジメタクリル酸ペンタコンタヘクタエチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレン、メタクリル酸アリル、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン、テトラメタクリル酸ペンタエリスリトール、ジメタクリル酸フタル酸ジエチレングリコール;ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、これらの誘導体等の芳香族ジビニル化合物等を挙げられる。これらの単量体は単独で使用又は併用することができる。
架橋性単量体は、(メタ)アクリル系単量体100重量部に対して、1〜100重量部使用することが好ましい。
また、(メタ)アクリル系単量体と共重合可能な他の単量体を使用してもよい。他の単量体としては、非架橋性単量体、架橋性単量体が挙げられる。非架橋性単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。これらの単量体は単独で使用又は併用することができる。
ホスファイト系酸化防止剤としては、トリス(ジメチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト(旭電化社製、商品名:アデカスタブHP−10)、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト及び6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン(住友化学社製、商品名:スミライザーGP)等が挙げられる。この中でもフェノール性OH基を有するホスファイト系化合物が好ましく、中でも6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピンが特によい効果が得られる。
一方、他のリン系酸化防止剤、例えばビス(ジ−t−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、テトラキス(ジ−t−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト等のホスホナイト系化合物等を架橋(メタ)アクリル系重合体粒子中に含有した光拡散剤では、該光拡散剤を含有するポリカーボネート系樹脂において、変色防止能の向上したものは得られない。
また、リン系以外の酸化防止剤、例えば一般的に使用されるペンタエリスリチル−テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)についても、上記ホスホナイト系化合物と同様である。
なお、本発明では、ホスファイト系酸化防止剤が特定量含まれていさえすれば、他の酸化防止剤を更に含んでいてもよい。
ホスファイト系酸化防止剤の添加量は、架橋(メタ)アクリル系重合体粒子に対して、0.05〜3重量%であり、好ましくは0.1〜2重量%である。添加量が0.05重量%より少ないとポリカーボネート系樹脂に対する着色抑制効果が小さいため好ましくない。一方、添加量が3重量%より多い場合、逆にポリカーボネート系樹脂に着色等の影響を与えてしまうため好ましくない。
架橋(メタ)アクリル系重合体粒子の平均粒子径は、2〜50μmが好ましい。2μm未満の場合、光拡散性は得られるが光透過性が劣ってしまうため好ましくなく、50μmより大きい場合、光拡散性を得るためには多量に添加する必要があり、それにより強度等の他の物性に影響を与えるので好ましくない。より好ましい平均粒子径は、3〜30μmである。
架橋(メタ)アクリル系重合体粒子の製造方法としては、乳化重合、懸濁重合、シード重合等の公知の方法が挙げられる。
ポリカーボネート系樹脂への架橋(メタ)アクリル系重合体粒子の添加割合は、ポリカーボネート系樹脂100重量部に対して、0.1〜5重量部であることが好ましい。0.1重量部未満の場合、光拡散性を与えにくくなるので好ましくなく、5重量部より多い場合、光拡散性は得られるが光透過性が低くなってしまうので好ましくない。より好ましい添加割合は、0.5〜3重量部である。
本発明の光拡散性ポリカーボネート系樹脂組成物は、上記ポリカーボネート系樹脂と架橋(メタ)アクリル系重合体粒子とを一軸や二軸の押出機等で溶融混練することにより得ることができる。更に、溶融混練した樹脂組成物を、Tダイ、ロールユニットを介して板状に成形してもよい。また、一軸、二軸の押出し機等で溶融混練して得られた樹脂組成物をペレット化し、射出成形やプレス成形等により板状に成形してもよい。
本発明では、架橋(メタ)アクリル系重合体粒子がホスファイト系酸化防止剤を含むため、溶融混練及び成形時の分解が抑制され、その結果、分解物によるポリカーボネート系樹脂の着色が抑制でき、着色防止能が向上する。この着色抑制は、溶融混練や成形時の温度が、生産性向上や光拡散剤の分散性向上のためにより高温(例えば、300℃以上)である場合や、滞留時間が長い(例えば、20分以上)場合に、特に効果的である。
光拡散性ポリカーボネート系樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で難燃剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、酸化防止剤、離型剤、帯電防止剤等周知の添加剤を加えることができる。これら添加剤は、ポリカーボネート系樹脂、架橋(メタ)アクリル系重合体粒子又はその両方に予め添加しておいてもよく、溶融混練時に添加してもよい。
また、本発明では、ポリカーボネート系樹脂に光拡散性を付与するために該ポリカーボネート系樹脂に分散される架橋(メタ)アクリル系重合体粒子からなる光拡散剤であって、前記ポリカーボネート系樹脂の変色防止能を向上させるために、ホスファイト系酸化防止剤を0.05〜3重量%含有してなる光拡散剤も提供される。
上記光拡散剤の構成成分である、ホスファイト系酸化防止剤及び架橋(メタ)アクリル系重合体粒子は、上記光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物の構成成分と同様である。
以下実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって制限されるものではない。なお、架橋(メタ)アクリル系重合体粒子の平均粒子径、光拡散板の全光線透過率、ヘイズ、着色性、酸化防止剤の残存量は以下の方法により測定する。
(平均粒子径の測定方法)
孔径50〜280μmの細孔に電解質溶液を満たし、当該電解質溶液を粒子が通過する際の電界質溶液の導電率変化から体積を求め、平均粒子径を計算する。具体的には、測定した平均粒子径は、ベックマンコールター社製のコールターマルチザイザーIIによって測定した体積平均粒子径である。なお、測定に際してはCoulter Electronics Limited発行のREFERENCE MANUAL FOR THE COULTER MULTISIZER(1987)に従って、測定する粒子の粒子径に適合したアパチャーを用いてキャリブレーションを行い測定する。
具体的には、市販のガラス製の試験管に粒子0.1gと0.1%ノニオン系界面活性剤溶液10mlを投入し、ヤマト科学社製タッチミキサー TOUCHMIXER MT−
31で2秒間混合した後試験管を市販の超音洗浄機であるヴェルヴォクリーア社製ULTRASONIC CLEANER VS−150を用いて10秒間予備分散させ、これを本体備え付けの、ISOTON2(ベックマンコールター社製:測定用電解液)を満たしたビーカー中に、緩く攪拌しながらスポイドで滴下して、本体画面の濃度計の示度を10%前後に合わせる。次にマルチサイザー2本体にアパチャーサイズ、Current,Gain,PolarityをCoulterElectronics Limited発
行のREFERENCE MANUAL FOR THE COULTER MULTISIZER(1987)に従って入力し、manualで測定する。測定中はビーカー内を気泡が入らない程度に緩く攪拌しておき、粒子を10万個測定した点で測定を終了する。
(全光線透過率及びヘイズ)
全光線透過率はJISK7361によって測定する。具体的には日本電色工業(株)製NDH−2000を使用した。ヘイズはJISK7136により測定し、具体的には日本電色工業社製NDH−2000を使用する。
(着色性)
着色性はJISZ8722に従い測定する。具体的には、色彩色差計(ミノルタカメラ社製CR−300)にて測定したb値で示す。
(酸化防止剤の残存量)
重合体粒子中の酸化防止剤を溶媒により抽出し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって酸化防止剤の定量を行った。
具体的には、アセトニトリル10ml中に重合体粒子を0.1g加え、よく混合して20時間浸漬した後、遠心分離機(日産遠心器社製H−103N)を用いて2500rpm、20分間、室温で遠心分離を行う。得られた上澄み液をHPLC(島津製作所社製HPLC LC−10Avp)にて測定することにより行った。HPLCの測定条件は、使用カラム:SHISEIDO CAPCELLPAK C18 MGII(5μm)、カラム温度:40℃、溶媒:アセトニトリル、流速:1.0リットル/分、検出条件:UV280nm(3D)とした。
(光拡散剤の製造例)
実施例1
攪拌機、温度計を備えた重合器にラウリル硫酸ナトリウム0.05重量部を溶解させた脱イオン水500重量部を入れ、そこへ第三リン酸カルシウム50重量部を分散させた。これに予め調製しておいたメタクリル酸メチル90重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート10重量部の重合性単量体成分に過酸化ベンゾイル0.5重量部、アゾビスイソブチロニトリル0.5重量部、ホスファイト系酸化防止剤としてアデカスタブHP−10(旭電化社製)0.5重量部を溶解させた混合液を入れて、その液をT.Kホモミキサー(特殊機化工業社製)にて3000rpmで10分間攪拌し、液滴径がおよそ15μmになるように調整した。次に、重合器を65℃に加熱して攪拌しながら懸濁重合を行った後、室温まで冷却した。ここで得られた懸濁液を濾過、洗浄した後、乾燥して光拡散剤となるホスファイト系酸化防止剤含有の架橋(メタ)アクリル系重合体粒子(平均粒子径14.5μm)を得た。
実施例2
ラウリル硫酸ナトリウムの量を0.1重量部とし、酸化防止剤としてアデカスタブHP−10(旭電化社製)2.0重量部とスミライザーGA−80(住友化学社製)0.2重量部とを重合性単量体成分に溶解させ、T.Kホモミキサーでの攪拌を10000rpmで10分間として、液滴径をおよそ3μmとなるように調整したこと以外は実施例1と同様にしてホスファイト系酸化防止剤含有の架橋(メタ)アクリル系重合体粒子(平均粒子径3.1μm)を得た。
実施例3
酸化防止剤としてスミライザーGP(住友化学社製)0.1重量部とイルガノックス1010(チバガイギー社製)0.1重量部とを重合性単量体成分に溶解させ、T.Kホモミキサーでの攪拌を5000rpmで10分間として、液滴径をおよそ8μmとなるように調整したこと以外は実施例1と同様にしてホスファイト系酸化防止剤含有の架橋(メタ)アクリル系重合体粒子(平均粒子径8.1μm)を得た。
実施例4
ラウリル硫酸ナトリウムの量を0.1重量部とし、酸化防止剤としてスミライザーGP(住友化学社製)1.0重量部を重合性単量体成分に溶解させ、T.Kホモミキサーでの攪拌を5000rpmで10分間として、液滴径をおよそ5μmとなるように調整したこと以外は実施例1と同様にしてホスファイト系酸化防止剤含有の架橋(メタ)アクリル系重合体粒子(平均粒子径4.8μm)を得た。
比較例1
攪拌機、温度計を備えた重合器にラウリル硫酸ナトリウム0.05重量部を溶解させた脱イオン水500重量部を入れ、そこへ第三リン酸カルシウム50重量部を分散させた。これに予め調製しておいたメタクリル酸メチル90重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート10重量部の重合性単量体成分に過酸化ベンゾイル0.5重量部、アゾビスイソブチロニトリル0.5重量部を溶解させた混合液を入れて、その液をT.Kホモミキサー(特殊機化工業社製)にて5000rpmで10分間攪拌し、液滴径がおよそ8μmになるように調整した。次に、重合器を65℃に加熱して攪拌しながら懸濁重合を行った後、冷却した。ここで得られた懸濁液を濾過、洗浄した後、乾燥して光拡散剤となる酸化防止剤非含有の架橋(メタ)アクリル系重合体粒子(平均粒子径7.8μm)を得た。
比較例2
ラウリル硫酸の量を0.1重量部とし、ホスファイト系酸化防止剤としてアデカスタブHP−10(旭電化社製)0.02重量部を重合性単量体成分に溶解させ、T.Kホモミキサーでの攪拌を10000rpmで10分間として、液滴径をおよそ3μmとなるように調整したこと以外は比較例1と同様にしてホスファイト系酸化防止剤含有の架橋(メタ)アクリル系重合体粒子(平均粒子径3.2μm)を得た。
比較例3
酸化防止剤としてスミライザーGP(住友化学社製)5.0重量部を重合性単量体成分に溶解させたこと以外は比較例1と同様にしてホスファイト系酸化防止剤含有の架橋(メタ)アクリル系重合体粒子(平均粒子径8.3μm)を得た。
比較例4
酸化防止剤としてイルガノックス1010(チバガイギー社製)0.1重量部を重合性単量体成分に溶解させたこと以外は比較例1と同様にして非リン系酸化防止剤のみを含む架橋(メタ)アクリル系重合体粒子(平均粒子径7.7μm)を得た。
比較例5
酸化防止剤としてスミライザーTP−D(住友化学社製)0.5重量部を重合性単量体成分に溶解させたこと以外は比較例1と同様にして非リン系酸化防止剤のみを含む架橋(メタ)アクリル系重合体粒子(平均粒子径8.1μm)を得た。
比較例6
酸化防止剤としてSandstab P−EPQ(クラリアントジャパン社製)0.5重量部を重合性単量体成分に溶解させたこと以外は実施例1と同様にしてホスホナイト系酸化防止剤を含む架橋(メタ)アクリル系重合体粒子(平均粒子径15.0μm)を得た。
なお、上記実施例及び比較例で使用した酸化防止剤の使用量、その残存量、光拡散剤の平均粒子径及び光拡散剤記号を下記表1にまとめて示す。
Figure 0004711796
なお、アデカスタブHP−10は、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイトの、
スミライザーGPは、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピンの、
スミライザーGA−80は、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンの、
イルガノックス1010は、ペンタエリスリチル−テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}の、
スミライザーTP−Dは、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)の、
Sandstab P−EPQは、テトラキス(ジ−t−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイトの商品名である。
(光拡散性ポリカーボネート系樹脂組成物の製造例)
実施例5〜9
ポリカーボネート系樹脂(パンライト、帝人化成社製)100重量部と、実施例1〜4で製造した光拡散剤を表2に示す種類と量と、ユビテックスOB(チバガイギー社製:蛍光増白剤)を表2に示す量とを押出機中で溶融混練(成形温度280℃)した後、ペレット化した。このペレットを射出成形機(シリンダー温度320℃、滞留時間15分)で成形することにより、2mm厚、40mm×80mmの光拡散板を作製した。得られた光拡散板の評価結果を表2に示す。なお、ユビテックスOBは、2,5−ビス(5’−t−ブチルベンゾオキサゾリル(2))チオフェンの商品名である。
比較例7〜14
ポリカーボネート系樹脂(パンライト、帝人化成社製)100重量部と、比較例1〜6で製造した光拡散剤を表2に示す種類と量と、酸化防止剤及びユビテックスOBを表2に示す種類と量とを押出し機中で溶融混練(成形温度280℃)した後、ペレット化した。このペレットを射出成形機(シリンダー温度320℃、滞留時間15分)で成形することにより、2mm厚、40mm×80mmの光拡散板を作製した。得られた光拡散板の評価結果を表2に示す。
Figure 0004711796
上記表2から、以下のことがわかる。
実施例5〜9と比較例7とから、酸化防止剤を使用することで、全光線透過率及びヘイズを低下させることなく、ポリカーボネート系樹脂の着色が抑制できることがわかる。
実施例7と比較例8、実施例9と比較例11とから、ホスファイト系酸化防止剤をポリカーボネート系樹脂ではなく光拡散剤に含ませることで、全光線透過率及びヘイズを低下させることなく、ポリカーボネート系樹脂の着色が抑制できることがわかる。
実施例5〜9と比較例9及び10とから、ホスファイト系酸化防止剤を0.05〜3重量%使用することで、この範囲以外の量の酸化防止剤を使用するより、全光線透過率及びヘイズを低下させることなく、ポリカーボネート系樹脂の着色が抑制できることがわかる。
実施例9と比較例12及び13とから、リン系酸化防止剤を含むことで、全光線透過率及びヘイズを低下させることなく、ポリカーボネート系樹脂の着色が抑制できることがわかる。
さらに、実施例5と比較例14とから、ホスホナイト系酸化防止剤よりもホスファイト系酸化防止剤の方が、全光線透過率及びヘイズを低下させることなく、ポリカーボネート系樹脂の着色が抑制できることがわかる。
本発明の光拡散性ポリカーボネート系樹脂組成物は、照明カバー、透過型ディスプレイの光拡散板、照明看板等の原料として好適である。

Claims (2)

  1. ポリカーボネート系樹脂と、該ポリカーボネート系樹脂に光拡散性を付与するために前記ポリカーボネート系樹脂に分散された架橋(メタ)アクリル系重合体粒子からなる光拡散剤とから構成され、該架橋(メタ)アクリル系重合体粒子中にホスファイト系酸化防止剤を0.05〜3重量%含有させてなる変色防止能の向上した光拡散性ポリカーボネート系樹脂組成物。
  2. ポリカーボネート系樹脂に光拡散性を付与するために該ポリカーボネート系樹脂に分散される架橋(メタ)アクリル系重合体粒子からなる光拡散剤であって、前記ポリカーボネート系樹脂の変色防止能を向上させるために、ホスファイト系酸化防止剤を0.05〜3重量%含有してなる光拡散剤。
JP2005284726A 2005-03-29 2005-09-29 光拡散性ポリカーボネート系樹脂組成物及び光拡散剤 Active JP4711796B2 (ja)

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