JP5386417B2 - ポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる成形品 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる成形品 Download PDF

Info

Publication number
JP5386417B2
JP5386417B2 JP2010067125A JP2010067125A JP5386417B2 JP 5386417 B2 JP5386417 B2 JP 5386417B2 JP 2010067125 A JP2010067125 A JP 2010067125A JP 2010067125 A JP2010067125 A JP 2010067125A JP 5386417 B2 JP5386417 B2 JP 5386417B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polycarbonate resin
mass
particles
resin composition
particle size
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2010067125A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011157536A (ja
Inventor
寿敏 東島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Engineering Plastics Corp
Original Assignee
Mitsubishi Engineering Plastics Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Engineering Plastics Corp filed Critical Mitsubishi Engineering Plastics Corp
Priority to JP2010067125A priority Critical patent/JP5386417B2/ja
Publication of JP2011157536A publication Critical patent/JP2011157536A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5386417B2 publication Critical patent/JP5386417B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

本発明はポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる成形品に関し、詳しくは、ポリカーボネート樹脂の優れた、耐衝撃性等の機械特性を損なうことなく、全光線透過率と光拡散性、分散度に優れ、かつ成形性にも優れたポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる成形品に関する。
ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性、耐熱性、透明性に優れた熱可塑性樹脂として幅広い用途があり、さらに、無機ガラスに比較して軽量で、生産性にも優れているので、光拡散性を付与することにより、照明カバー、照明看板、透過型のスクリーン、各種ディスプレイ、液晶表示装置の光拡散シートなど、光拡散性の要求される用途に好適に使用できる。
ポリカーボネート樹脂に光拡散性を付与するためには、ガラス、シリカ、水酸化アルミニウム等の無機化合物の添加が提案されているが、成形加工時や押出加工時の熱安定性が低く、衝撃強度など機械的強度の低下が大きいという欠点があり、このような欠点を改良した光拡散性ポリカーボネート樹脂として、例えば特許文献1には、ポリカーボネート樹脂より屈折率が大きく、重量平均粒径が0.5〜100μmの範囲にあるポリメチルメタアクリレート微粒子を添加した光拡散性ポリカーボネート樹脂が開示されている。しかしこの方法では、ヘイズは十分とはいえず、実用性の点では劣るものであった。
特許文献2には、粒径50μm以下で平均粒径5〜20μmの微粒子を配合した、全光線透過率が85%以上で、拡散透過率が10〜30%を有するポリカーボネート樹脂製高透過率光拡散板が開示されているが、光拡散性は低く、実用性に劣る。
特許文献3には、光線透過率や光拡散性の優れた樹脂組成物として、炭酸カルシウム、酸化チタンおよびポリオルガノ水素シロキサンを添加したポリカーボネート樹脂組成物が開示されているが、熱安定性や耐衝撃性の点で満足できるものではなく、全光線透過率も十分とはいえないものであった。
特許文献4には、平均粒径1〜30μmの透明微粒子と蛍光増白剤を配合した組成物より形成されたポリカーボネート樹脂製直下型バックライト用光拡散板が開示されているが、蛍光増白剤を用いて輝度を向上させているため、熱安定性が不十分であり、成形加工時、押出時の変色、リサイクル時の変色を生じやすく、これも実用性の低いものであった。
特開平03−143950号公報 特開平05−257002号公報 特開2000−169695号公報 特開2004−029091号公報
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、ポリカーボネート樹脂自体の耐衝撃性等の機械特性を損なうことなく、全光線透過率と光拡散性、分散度に優れ、かつ成形性にも優れたポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる成形品を提供することにある。
本発明者は、上記課題を達成すべく、鋭意検討を重ねた結果、アクリル樹脂系微粒子の特定の平均粒径を有し、かつこの中で特定の粒径分布を有するものをポリカーボネート樹脂に配合すると、耐衝撃性等の機械特性に優れ、全光線透過率と光拡散性、分散度に優れ、かつ成形性にも優れたポリカーボネート樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、(i)コールターカウンター法により直径0.4〜12μmの範囲において個数基準で測定した平均粒径が1〜4μmであり、(ii)粒径が1μm以上2μm未満の粒子の割合、粒径が2μm以上3μm未満の粒子の割合、および粒径が3μm以上の粒子の割合が、それぞれ20〜40%の範囲にあり、かつ(iii)粒径が10μm以上の粒子を有しないアクリル樹脂系微粒子(B)を、0.1〜5質量部含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、アクリル樹脂系微粒子(B)が、非架橋性アクリルモノマー(B1)90〜99質量%と架橋性モノマー(B2)10〜1質量%からの共重合体微粒子であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は第2の発明において、アクリル樹脂系微粒子(B)が、ポリメチルメタアクリレート系微粒子であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、さらに紫外線吸収剤(C)を、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.05〜1質量部含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、さらに有機スルホン酸金属塩(D)を、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.01〜1質量部含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明のポリカーボネート樹脂組成物から得られた成形品が提供される。
さらに、本発明の第7の発明によれば、第6の発明において、成形品が照明カバーまたは光拡散板である成形品が提供される。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる成形品によれば、耐衝撃性等の機械特性に優れ、全光線透過率と光拡散性、分散度に優れ、かつ成形性にも優れたポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる成形品を得ることができる。
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は、以下に示す実施形態及び例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
[1.概要]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、(i)コールターカウンター法により直径0.4〜12μmの範囲において個数基準で測定した平均粒径が1〜4μmであり、(ii)粒径が1μm以上2μm未満の粒子の割合、粒径が2μm以上3μm未満の粒子の割合、および粒径が3μm以上の粒子の割合が、それぞれ20〜40%の範囲にあり、かつ(iii)粒径が10μm以上の粒子を有しないアクリル樹脂系微粒子(B)を、0.1〜5質量部含有することを特徴とする。
[2.ポリカーボネート樹脂(A)]
本発明に使用する樹脂材料のポリカーボネート樹脂(A)としては、芳香族ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリカーボネート樹脂、芳香族−脂肪族ポリカーボネート樹脂が挙げられるが、好ましくは、芳香族ポリカーボネート樹脂であり、具体的には、芳香族ジヒドロキシ化合物をホスゲン又は炭酸のジエステルと反応させることによって得られる熱可塑性芳香族ポリカーボネート重合体又は共重合体が用いられる。
該芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルなどが挙げられる。また、ジヒドロキシ化合物の一部として、上記の芳香族ジヒドロキシ化合物にスルホン酸テトラアルキルホスホニウムが1個以上結合した化合物、又はシロキサン構造を有する両末端フェノール性OH基含有のポリマーもしくはオリゴマー等を併用すると、難燃性の高いポリカーボネート樹脂を得ることができる。
本発明で用いるポリカーボネート樹脂(A)の好ましい例としては、ジヒドロキシ化合物として2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、又は2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とを併用したポリカーボネート樹脂が挙げられる。本発明では、(A)成分として、2種以上のポリカーボネート樹脂を併用しても良い。
本発明で用いるポリカーボネート樹脂(A)の分子量は、溶媒としてメチレンクロライドを用い、温度25℃で測定された溶液粘度より換算した粘度平均分子量で、好ましくは14,000〜30,000、より好ましくは18,000〜29,000である。粘度平均分子量がこの範囲であると、成形性が良く、且つ機械的強度の大きい成形品を与える樹脂組成物が得られる。ポリカーボネート樹脂(A)の最も好ましい分子量範囲は22,000〜28,000である。
ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、ホスゲン法(界面重合法)及び溶融法(エステル交換法)のいずれの方法で製造したポリカーボネート樹脂も使用することができる。また、溶融法で製造したポリカーボネート樹脂に、末端のOH基量を調整する後処理を施したポリカーボネート樹脂を使用するのも好ましい。
本発明におけるポリカーボネート樹脂は、構造粘性指数Nが所定範囲にあるポリカーボネート樹脂を一定割合以上含有することが好ましい。
構造粘性指数Nとは、文献「化学者のためのレオロジー」(化学同人、1982年、第15〜16頁)にも詳記されているように、溶融体の流動特性を評価する指標である。通常、ポリカーボネート樹脂の溶融特性は、数式:γ=a・σにより表示することができる。なお、前記式中、γ:剪断速度、a:定数、σ:応力、N:構造粘性指数、を表す。
上述の数式において、N=1のときはニュートン流動性を示し、Nの値が大きくなるほど非ニュートン流動性が大きくなる。つまり、構造粘性指数Nの大小により溶融体の流動特性が評価される。一般に、構造粘性指数Nが大きいポリカーボネート樹脂は、低剪断領域における溶融粘度が高くなる傾向がある。このため、構造粘性指数Nが大きいポリカーボネート樹脂を別のポリカーボネート樹脂と混合した場合、得られるポリカーボネート樹脂組成物の燃焼時の滴下を抑制し、難燃性を向上させることができる。ただし、得られるポリカーボネート樹脂組成物の成形性を良好な範囲に維持するためには、このポリカーボネート樹脂の構造粘性指数Nは過度に大きくないことが好ましい。
従って、本発明のポリカーボネート樹脂組成物におけるポリカーボネート樹脂は、構造粘性指数Nが、通常1.2以上、好ましくは1.25以上、より好ましくは1.28以上であり、また、通常1.8以下、好ましくは1.7以下のポリカーボネート樹脂、好ましくは芳香族ポリカーボネート樹脂を一定割合以上含有することが好ましい。
このように構造粘性指数Nが高いことは、ポリカーボネート樹脂が分岐鎖を有することを意味し、このように構造粘性指数Nが高いポリカーボネート樹脂を含有することにより、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の燃焼時の滴下を抑制し、難燃性を向上させることができる。
なお、構造粘性指数Nは、例えば特開2005−232442号公報に記載されているように、上述の式を誘導した、Logη=〔(1−N)/N〕×Logγ+Cによって表示することも可能である。なお、前記式中、N:構造粘性指数、γ:剪断速度、C:定数、η:見かけの粘度、を表す。この式から分かるように、粘度挙動が大きく異なる低剪断領域におけるγとηからN値を評価することもできる。例えば、γ=12.16sec−1及びγ=24.32sec−1でのηからN値を決定することができる。
構造粘性指数Nが1.2以上の芳香族ポリカーボネート樹脂は、例えば、特開平8−259687号公報、特開平8−245782号公報に記載されているように、溶融法(エステル交換法)によって芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを反応させる際、触媒の条件または製造条件を選択することにより、分岐剤を添加することなく、構造粘性指数が高く、加水分解安定性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂を得ることができる。
また、構造粘性指数Nが1.2以上の芳香族ポリカーボネート樹脂は、常法に従って、ホスゲン法あるいは溶融法(エステル交換法)で製造する際に、分岐剤を使用する方法によって製造することもできる。
分岐剤の具体例としては、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニルヘプテン−3、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどで示されるポリヒドロキシ化合物、また3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチンビスフェノール、5,7−ジクロルイサチンビスフェノール、5−ブロムイサチンビスフェノールなどが挙げられる。
その使用量は芳香族ジヒドロキシ化合物に対して0.01〜10モル%の範囲であり、特に好ましくは0.1〜3モル%の範囲である。
構造粘性指数Nが1.2以上の芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は、メチレンクロライドを溶媒として用い、温度25℃で測定された溶液粘度より換算した粘度平均分子量が16,000〜30,000の範囲が好適である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物において、ポリカーボネート樹脂は、上述した構造粘性指数Nが所定範囲にあるポリカーボネート樹脂(以下、このポリカーボネート樹脂を「所定Nポリカーボネート樹脂」と称す場合がある。)を、ポリカーボネート樹脂中、通常20質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上含むことが望ましい。このように所定Nポリカーボネート樹脂と組合せることにより、必要以上に押出し時のトルク上昇を招かないため、生産性の低下を招きにくくなり、また、せん断発熱によるアクリル微粒子の変質も抑制できるため拡散性の低下も招きにくくなる。すなわち、成形性と生産性、及び拡散性をいずれも顕著に発揮できることになる。
なお、ポリカーボネート樹脂中の、所定Nポリカーボネート樹脂の含有量の上限に制限は無く、通常100質量%以下であるが、好ましくは90質量%以下であり、より好ましくは85質量%以下である。
また、所定Nポリカーボネート樹脂は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、ポリカーボネート樹脂は、上述した所定Nポリカーボネート樹脂以外に、構造粘性指数Nが上記の所定範囲外であるポリカーボネート樹脂を含んでいてもよい。その種類に制限は無いが、なかでも直鎖状ポリカーボネート樹脂が好ましい。所定Nポリカーボネート樹脂と直鎖状ポリカーボネート樹脂とを組み合わせることにより、得られるポリカーボネート樹脂組成物の難燃性(滴下防止性)と成形性(流動性)のバランスをとりやすいという利点が得られる。この観点から、ポリカーボネート樹脂は、所定Nポリカーボネート樹脂と、直鎖状ポリカーボネート樹脂とから構成されるものを用いることが特に好ましい。なお、この直鎖状ポリカーボネート樹脂の構造粘性指数Nは通常1〜1.15程度である。
ポリカーボネート樹脂が直鎖状ポリカーボネート樹脂を含む場合、ポリカーボネート樹脂に占める直鎖状ポリカーボネート樹脂の割合は、通常80質量%以下、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下であり、また、通常0質量%より多く、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上である。ポリカーボネート樹脂中の直鎖状ポリカーボネート樹脂の含有量を上記範囲とすることにより、アクリル樹脂系微粒子やその他の添加剤の良好な分散性が得られやすく、難燃性、成形性に優れるポリカーボネート樹脂が得られやすいという利点が得られる。
ポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネート樹脂単独(ポリカーボネート樹脂単独とは、ポリカーボネート樹脂の1種のみを含む態様に限定されず、例えば、モノマー組成や分子量が互いに異なる複数種のポリカーボネート樹脂を含む態様を含む意味で用いる。)で用いてもよく、ポリカーボネート樹脂と他の熱可塑性樹脂とのアロイ(混合物)とを組み合わせて用いてもよい。さらに、例えば、難燃性や耐衝撃性をさらに高める目的で、ポリカーボネート樹脂を、シロキサン構造を有するオリゴマーまたはポリマーとの共重合体;熱酸化安定性や難燃性をさらに向上させる目的でリン原子を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;熱酸化安定性を向上させる目的で、ジヒドロキシアントラキノン構造を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;光学的性質を改良するためにポリスチレン等のオレフィン系構造を有するオリゴマーまたはポリマーとの共重合体;耐薬品性を向上させる目的でポリエステル樹脂オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;等の、ポリカーボネート樹脂を主体とする共重合体として構成してもよい。
また、成形品の外観の向上や流動性の向上を図るため、ポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネートオリゴマーを含有していてもよい。このポリカーボネートオリゴマーの粘度平均分子量[Mv]は、通常1500以上、好ましくは2000以上であり、また、通常9500以下、好ましくは9000以下である。さらに、含有されるポリカーボネートリゴマーは、ポリカーボネート樹脂(ポリカーボネートオリゴマーを含む)の30質量%以下とすることが好ましい。
さらにポリカーボネート樹脂は、バージン原料だけでなく、使用済みの製品から再生されたポリカーボネート樹脂(いわゆるマテリアルリサイクルされたポリカーボネート樹脂)であってもよい。前記の使用済みの製品としては、例えば、光学ディスク等の光記録媒体;導光板;自動車窓ガラス、自動車ヘッドランプレンズ、風防等の車両透明部材;水ボトル等の容器;メガネレンズ;防音壁、ガラス窓、波板等の建築部材などが挙げられる。また、製品の不適合品、スプルー、ランナー等から得られた粉砕品またはそれらを溶融して得たペレット等も使用可能である。
ただし、再生されたポリカーボネート樹脂は、本発明のポリカーボネート樹脂組成物に含まれるポリカーボネート樹脂のうち、80質量%以下であることが好ましく、中でも50質量%以下であることがより好ましい。再生されたポリカーボネート樹脂は、熱劣化や経年劣化等の劣化を受けている可能性が高いため、このようなポリカーボネート樹脂を前記の範囲よりも多く用いた場合、色相や機械的物性を低下させる可能性があるためである。
[3.アクリル樹脂系微粒子(B)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、以下(i)〜(iii)の特定の粒径と粒径分布を満たすアクリル樹脂系微粒子(B)を、0.1〜5質量部含有する。
(i)コールターカウンター法により直径0.4〜12μmの範囲において個数基準で測定した平均粒径が1〜4μmであり、
(ii)粒径が1μm以上2μm未満の粒子の割合、粒径が2μm以上3μm未満の粒子の割合、および粒径が3μm以上の粒子の割合が、それぞれ20〜40%の範囲にあり、(iii)粒径が10μm以上の粒子を有しない。
このようなアクリル樹脂系微粒子を、このような量配合することで、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の優れた光拡散性と光透過率を達成することができる。
アクリル樹脂系微粒子(B)としては、アクリル系モノマーを使用した重合体または共重合体で、上記(i)〜(iii)の特性を満たすものであれば、いずれも使用でき、アクリル系(共)重合体としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリシクロヘキシルメタクリレートやこれらの共重合体を挙げることができる。
特に、本発明に使用されるアクリル樹脂樹脂系微粒子(B)として好ましいのは、非架橋性アクリルモノマー(B1)と架橋性モノマー(B2)を、好ましくは懸濁重合により、製造されるアクリル樹脂系微粒子である。
非架橋性アクリル系モノマーとしては、アクリルモノマー単独またはアクリルモノマー複数を組合わせて用いる。アクリルモノマーとしては、メチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチル−ヘキシルアクリレート等のアクリル酸エステル類、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、プロピルメタアクリレート、ブチルメタアクリレート等のメタクリル酸エステル類が好ましく挙げられ、これらを単独又は二種以上組み合わせて用いることができる。なかでも、メチルメタクリレートが好適に用いられる。
また、単量体には、(メタ)アクリル酸エステル系単量体と共重合可能な単量体を加えてもよく、そのような単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル等のビニル基を有する単量体が挙げられる。
一方、架橋性モノマーとしては、分子内に2個以上の不飽和結合を持つ化合物が好ましく用いられる。例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアネート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアリルエーテル、ジビニルベンゼン、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタアクリレート等が挙げられる。なかでも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが好ましい。
アクリル樹脂系微粒子(B)は、非架橋性アクリルモノマー(B1)と架橋性モノマー(B2)を懸濁重合させることにより製造できる。例えば、両モノマーをポリビニルアルコールを分散剤として懸濁させて重合を行い、ろ過、洗浄、篩がけ、乾燥することにより得られる。両モノマーの使用割合は、非架橋性アクリルモノマー(B1)90〜99質量%、架橋性モノマー(B2)10〜1質量%である。架橋性モノマーの量が少なすぎると、得られたビーズ状架橋アクリル樹脂のポリカーボネート樹脂中への分散性が不良であり、逆に、架橋性モノマー(B2)の配合率が多いと、アクリル樹脂系微粒子(B)が硬くなりすぎて衝撃強度が低下するので好ましくない。
アクリル樹脂系微粒子(B)は、前記したとおり、(i)平均粒径が1〜4μmであるものを使用し、また、(ii)粒径が1μm以上2μm未満の粒子の割合、粒径が2μm以上3μm未満の粒子の割合、および粒径が3μm以上の粒子の割合が、それぞれ20〜40%の範囲にあり、(iii)粒径が10μm以上の粒子を有しないものを使用する。
本発明においては、アクリル樹脂系微粒子(B)は、通常用いられてきた平均粒径が6〜10μmのものよりも小さい平均粒径が1〜4μmであるものを使用し、さらにその粒径分布は単分散が良いといわれていた今までの常識とは逆に、上記のように、ブロードな粒径分布のものを使用することを特徴とする。
本発明において、粒径および粒径分布の測定は、コールターカウンター法にて個数基準にて行われる。コールカウンター法は、サンプル粒子を懸濁させた電解質を細孔(アパチャ−)に通過させ、そのときに粒子の体積に比例して発生する電圧パルスの変化を読み取って粒子径を定量するもので、また電圧パルス高を1個ずつ計測処理して、サンプル粒子の体積分布ヒストグラムを得ることができる。このようなコールカウンター法による粒径又は粒径分布測定は、粒度分布測定装置として最も多用されているものである。
本発明において、アクリル樹脂系微粒子(B)の粒径測定は、極めて小さい微小粒子と極めて大きい極大粒子の影響を排除し、信頼性が高く、再現性の高いデータを得るため、直径0.4〜12μmの範囲で測定を行うことで定義される。また、平均粒径は、個数基準による平均粒径である。
なお、本発明における平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定されるD50をいい、島津製作所製「レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−2100」を用いて測定を行った。
本発明に使用するアクリル樹脂系微粒子(B)は、その平均粒径が1〜4μmであり、平均粒径がこの範囲にないと、光拡散率や分散度が低下する。平均粒径は、好ましくは1〜3μm、さらに好ましくは1.5〜3μmである。
また、アクリル樹脂系微粒子(B)は、粒径1μm以上2μm未満の範囲における粒子の割合(%、直径0.4〜12μmの範囲の全個数を100%、「個数基準頻度」ということもある。)が、20〜40%であり、また、粒径が2μm以上3μm未満の粒子の割合が、20〜40%であり、さらに粒径が3μm以上の粒子の割合が、20〜40%の範囲にあることを必要とする。このように各粒径での個数基準頻度を、それぞれ20〜40%の範囲とすることで、光拡散効果と透過率をさらに向上し、耐衝撃性も向上することができる。
さらに、アクリル樹脂系微粒子(B)は、粒径が10μm以上、好ましくは8μm以上の粒子を有しないことを特徴とする。粒径が10μm以上ものを含有すると、照明部材として特に必要な特性である耐衝撃性が低下する。
なお、粒径が10μm以上の粒子を有しないにおける「有しない」とは、規定する粒子径を持つ粒子が完全に含まれない場合を含むことは勿論、上記の粒度分布測定装置で検出されないことを意味する。
アクリル樹脂系微粒子(B)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.1〜5質量部であり、好ましくは0.1〜2質量部、より好ましくは0.3〜1.5質量部である。アクリル樹脂系微粒子(B)の使用割合が0.1質量部未満の場合は、ポリカーボネート樹脂の透過率および光拡散性を向上させる効果が充分に得られず、使用割合が5質量部を超える場合は、ポリカーボネート樹脂の耐衝撃性等が低下する傾向にあるため好ましくない。
そして、このように平均粒径を1〜4μmとし、前記各粒径範囲での個数基準頻度をそれぞれ20〜40%とし、さらに10μm以上のものをまないものを、0.1〜5質量部配合することで、耐衝撃性等の機械特性に優れ、全光線透過率と光拡散性、分散度を向上させ、かつ成形性も優れた組成物とすることができる。
このような粒径のアクリル樹脂系微粒子を製造するための方法は、公知であり、特に限定されないが、乳化重合法または懸濁重合法などにより、直接的に粒子として重合、製造することも好ましい。アクリル樹脂系微粒子を重合により直接的に製造する場合は、重合条件によってその粒子径を制御できる。たとえば、ホモジナイザーを用いて、粒子径を所定のものとし、粒子径分布は過度のせん断力を負荷しないようにして、ブロードな分布の重合体を得ることができる。
また、固体状態で得られたアクリル樹脂をジェット気流式粉砕機、機械衝突式粉砕機、ロールミル、ハンマーミル、インペラーブレーカーなどの粉砕装置により粉砕し、得られた粉砕物を風力分級装置、ふるい分級装置などの分級装置に導入して分級することにより、粒子の粒径を制御して用いてもよい。
また、商業的に知られている各種のアクリル樹脂粒子のなかから、選択して使用することもできる。
[4.紫外線吸収剤(C)]
本発明の組成物には、紫外線吸収剤(C)を配合するのが好ましい。紫外線吸収剤としては、例えば、酸化セリウム、酸化亜鉛などの無機紫外線吸収剤;ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、サリシレート化合物、シアノアクリレート化合物、トリアジン化合物、オギザニリド化合物、マロン酸エステル化合物、ヒンダードアミン化合物などの有機紫外線吸収剤などが挙げられる。これらのうち、有機紫外線吸収剤が好ましく、中でもベンゾトリアゾール化合物がより好ましい。有機紫外線吸収剤を選択することで、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の透明性や機械物性が良好なものになる。
ベンゾトリアゾール化合物の具体例としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等が挙げられ、なかでも2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]が好ましく、特に2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールが好ましい。
このようなベンゾトリアゾール化合物としては、具体的には例えば、シプロ化成社製(商品名、以下同じ)「シーソーブ701」、「シーソーブ702」、「シーソーブ703」、「シーソーブ704」、「シーソーブ705」、「シーソーブ709」、共同薬品社製「バイオソーブ520」、「バイオソーブ580」、「バイオソーブ582」、「バイオソーブ583」、ケミプロ化成社製「ケミソーブ71」、「ケミソーブ72」、サイテックインダストリーズ社製「サイアソーブUV5411」、アデカ社製「LA−32」、「LA−38」、「LA−36」、「LA−34」、「LA−31」、チバスペシャリティケミカルズ社製「チヌビンP」、「チヌビン234」、「チヌビン326」、「チヌビン327」、「チヌビン328」等が挙げられる。
紫外線吸収剤(C)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、また、その上限は好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下である。紫外線吸収剤の含有量が前記範囲の下限値以下の場合は、耐候性の改良効果が不十分となる可能性があり、紫外線吸収剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、モールドデボジット等が生じ、金型汚染を引き起こす可能性がある。なお、紫外線吸収剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
[5.有機スルホン酸金属塩(D)]
本発明の組成物には、有機スルホン酸金属塩(D)を配合するのが好ましい。
有機スルホン酸金属塩としては、脂肪族スルホン酸金属塩、芳香族スルホン酸金属塩等が挙げられ、中でも、芳香族スルホンスルホン酸金属塩、パーフルオロアルカンスルホン酸金属塩が好ましく、特にはパーフルオロアルカンスルホン酸金属塩が好ましい。
有機スルホン酸金属塩の金属としては、特に制限はないが、好ましくは、ナトリウム、リチウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属が挙げられる。中でも難燃性と耐加水分解性との観点からはカリウムが好ましい。これら有機スルホン酸金属塩は、2種以上を混合して使用することもできる。
芳香族スルホンスルホン酸金属塩としては、好ましくは、芳香族スルホンスルホン酸アルカリ金属塩、芳香族スルホンスルホン酸アルカリ土類金属塩等が挙げられ、芳香族スルホンスルホン酸アルカリ金属塩、芳香族スルホンスルホン酸アルカリ土類金属塩は重合体であってもよい。
芳香族スルホンスルホン酸金属塩の具体例としては、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸のナトリウム塩、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸のカリウム塩、4・4’−ジブロモジフェニル−スルホン−3−スルホンのナトリウム塩、4,4’−ジブロモジフェニル−スルホン−3−スルホンのカリウム塩、4−クロロ−4’−ニトロジフェニルスルホン−3−スルホン酸のカルシウム塩、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸のジナトリウム塩、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸のジカリウム塩等が挙げられる。
パーフルオロアルカンスルホン酸金属塩としては、好ましくは、パーフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ金属塩、パーフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ土金属塩等が挙げられ、より好ましくは、炭素数4〜8のパーフルオロアルカン基を有するスルホン酸アルカリ金属塩、炭素数4〜8のパーフルオロアルカン基を有するスルホン酸アルカリ土金属塩等が挙げられる。
パーフルオロアルカンスルホン酸金属塩の具体例としては、パーフルオロブタンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム、パーフルオロメチルブタンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロメチルブタンスルホン酸カリウム、パーフルオロオクタンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロオクタンスルホン酸カリウム、パーフルオロブタンスルホン酸のテトラエチルアンモニウム塩等が挙げられる。
これらの中でも、特に、パーフルオロブタンスルホン酸カリウムが好ましい。
有機スルホン酸金属塩の好ましい含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.01〜1質量部、より好ましくは0.05〜0.5質量部、特には0.1〜0.3質量部である。含有量が0.01質量部を下回る場合は十分な難燃性が得られにくく、1質量部を超えると、熱安定性や耐加水分解性が低下しやすい。
[6.その他の添加剤]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、更に種々の添加剤を含有していても良い。このような添加剤としては、熱安定剤、酸化防止剤、離型剤、難燃剤、染顔料、蛍光増白剤、滴下防止剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などが挙げられる。
・熱安定剤
熱安定剤としては、例えばリン系化合物が挙げられる。リン系化合物としては、公知の任意のものを使用できる。具体例を挙げると、リン酸、ホスホン酸、亜燐酸、ホスフィン酸、ポリリン酸などのリンのオキソ酸;酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、酸性ピロリン酸カルシウムなどの酸性ピロリン酸金属塩;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸セシウム、リン酸亜鉛など第1族または第10族金属のリン酸塩;有機ホスフェート化合物、有機ホスファイト化合物、有機ホスホナイト化合物などが挙げられる。
なかでも、トリフェニルホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノノニル/ジノニル・フェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリステアリルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等の有機フォスファイトが好ましい。
熱安定剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.03質量部以上であり、また、通常1質量部以下、好ましくは0.7質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下である。熱安定剤が少なすぎると熱安定効果が不十分となる可能性があり、熱安定剤が多すぎると効果が頭打ちとなり経済的でなくなる可能性がある。
・酸化防止剤
酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられる。その具体例としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエート、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン,2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール等が挙げられる。
なかでも、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。
酸化防止剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上であり、また、通常1質量部以下、好ましくは0.5質量部以下である。酸化防止剤の含有量が前記範囲の下限値以下の場合は、酸化防止剤としての効果が不十分となる可能性があり、酸化防止剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、効果が頭打ちとなり経済的でなくなる可能性がある。
・離型剤
離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが挙げられる。
脂肪族カルボン酸としては、例えば、飽和または不飽和の脂肪族一価、二価または三価カルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸とは、脂環式のカルボン酸も包含する。これらの中で好ましい脂肪族カルボン酸は炭素数6〜36の一価または二価カルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和一価カルボン酸がさらに好ましい。かかる脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸などが挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルにおける脂肪族カルボン酸としては、例えば、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、アルコールとしては、例えば、飽和または不飽和の一価または多価アルコールが挙げられる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基などの置換基を有していてもよい。これらの中では、炭素数30以下の一価または多価の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の脂肪族又は脂環式飽和一価アルコールまたは脂肪族飽和多価アルコールがさらに好ましい。
かかるアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャ−トロプシュワックス、炭素数3〜12のα−オレフィンオリゴマー等が挙げられる。なお、ここで脂肪族炭化水素としては、脂環式炭化水素も含まれる。
これらの中では、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスまたはポリエチレンワックスの部分酸化物が好ましく、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスがさらに好ましい。
また、前記の脂肪族炭化水素の数平均分子量は、好ましくは5,000以下である。
離型剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上であり、また、通常2質量部以下、好ましくは1質量部以下である。離型剤の含有量が前記範囲の下限値以下の場合は、離型性の効果が十分でない場合があり、離型剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、耐加水分解性の低下、射出成形時の金型汚染などが生じる可能性がある。
・滴下防止剤
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、滴下防止剤としてフッ素系樹脂を、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、0.01〜1質量部含有することが好ましい。このようにフッ素系樹脂を含有することで、樹脂組成物の溶融特性を改良することができ、具体的には燃焼時の滴下防止性を向上させることができる。
フッ素系樹脂の含有量は、0.01質量部より少ないと、フッ素系樹脂による難燃性向上効果が不十分になりやすく、1質量部を超えると、熱可塑性樹脂組成物を成形した成形品の外観不良や機械的強度の低下が生じやすい。含有量の下限は、より好ましくは0.05質量部以上、さらに好ましくは0.1質量部以上、特に好ましくは0.2質量部以上であり、また、含有量の上限は、より好ましくは0.75質量部以下、さらに好ましくは0.6質量部以下、特に好ましくは0.5質量部以下である。
フッ素系樹脂としては、なかでもフルオロオレフィン樹脂が好ましい。フルオロオレフィン樹脂は、通常フルオロエチレン構造を含む重合体あるいは共重合体であり、具体例としては、ジフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合樹脂等が挙げられるが、なかでもテトラフルオロエチレン樹脂が好ましい。
また、このフッ素系樹脂としては、フィブリル形成能を有するものが好ましく、具体的には、フィブリル形成能を有するフルオロオレフィン樹脂が挙げられる。このように、フィブリル形成能を有することで、燃焼時の滴下防止性が著しく向上する傾向にある。
フィブリル形成能を有するフルオロオレフィン樹脂としては、例えば、三井・デュポンフロロケミカル社製「テフロン(登録商標)6J」、ダイキン化学工業社製「ポリフロン(登録商標)F201L」、「ポリフロン(登録商標)F103」、「ポリフロン(登録商標)FA500」などが挙げられる。さらに、フルオロオレフィン樹脂の水性分散液の市販品として、例えば、三井デュポンフロロケミカル社製「テフロン(登録商標)30J」、「テフロン(登録商標)31−JR」、ダイキン化学工業社製「フルオン(登録商標)D−1」等が挙げられる。
さらに、有機重合体被覆フルオロオレフィン樹脂も好適に使用することができる。有機重合体被覆フルオロオレフィン樹脂を用いることで、分散性が向上し、成形品の表面外観が向上し、表面異物を抑制できる。有機重合体被覆フルオロオレフィン樹脂は、公知の種々の方法により製造でき、例えば(1)ポリフルオロエチレン粒子水性分散液と有機系重合体粒子水性分散液とを混合して、凝固またはスプレードライにより粉体化して製造する方法、(2)ポリフルオロエチレン粒子水性分散液存在下で、有機系重合体を構成する単量体を重合した後、凝固またはスプレードライにより粉体化して製造する方法、(3)ポリフルオロエチレン粒子水性分散液と有機系重合体粒子水性分散液とを混合した分散液中で、エチレン性不飽和結合を有する単量体を乳化重合した後、凝固またはスプレードライにより粉体化して製造する方法、等が挙げられる。
フルオロオレフィン樹脂を被覆する有機系重合体としては、特に制限されるものではなく、このような有機系重合体を生成するための単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、tert−ブチルスチレン、o−エチルスチレン、p−クロロスチレン、o−クロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、p−メトキシスチレン、o−メトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体;
アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸トリデシル、メタクリル酸トリデシル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オクタデシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体;
無水マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸;N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体;
グリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有単量体;
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル系単量体;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル系単量体;
エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン系単量体;
ブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジエン等のジエン系単量体等を挙げることができる。なお、これらの単量体は、単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
なかでもフルオロオレフィン樹脂を被覆する有機系重合体を生成するための単量体としては、芳香族ポリカーボネート樹脂に配合する際の分散性の観点から、芳香族ポリカーボネート樹脂との親和性が高いものが好ましく、芳香族ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、シアン化ビニル系単量体がより好ましい。
また、有機重合体被覆フルオロオレフィン樹脂中のフルオロオレフィン樹脂の含有比率は、通常30質量%以上、好ましくは35質量%以上、より好ましくは40質量%以上、特に好ましくは45質量%以上であり、通常95質量%以下、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、特に好ましくは75質量%以下である。有機重合体被覆フルオロオレフィン樹脂中のフルオロオレフィン樹脂の含有比率を、上述の範囲とすることで、難燃性と成形品外観のバランスに優れる傾向にあるため好ましい。
このような有機重合体被覆フルオロオレフィン樹脂としては、具体的には、三菱レイヨン社製「メタブレン(登録商標)A−3800」、GEスペシャリティケミカル社製「ブレンデックス(登録商標)449」、PIC社製「Poly TS AD001」等が挙げられる。
なお、フッ素系樹脂は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
[7.ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法に制限はなく、公知のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法を広く採用でき、ポリカーボネート樹脂及びポリオルガノシロキサン粒子、並びに、必要に応じて配合されるその他の成分を、例えばタンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどの混合機で溶融混練する方法が挙げられる。なお、溶融混練の温度は特に制限されないが、通常240〜320℃の範囲である。
[8.成形品]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ペレタイズしたペレットを各種の成形法で成形して成形品を製造することができる。またペレットを経由せずに、押出機で溶融混練された樹脂を直接、シートやフィルム、異型押出成形品、ブロー成形品あるいは射出成形品等にすることもできる。
成形方法の例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法などが挙げられる。また、ホットランナー方式を使用した成形法を用いることも出来る。成形品の形状、模様、色彩、寸法などに制限はなく、その成形品の用途に応じて任意に設定すればよい。
本発明の組成物を成形した好ましい成形品としては、各種照明カバー、照明看板、透過形のスクリーン、各種ディスプレイ、液晶表示装置の光拡散シートや光拡散板が挙げられ、中でも液晶表示装置に用の光拡散シートや光拡散板として、特には、大型液晶テレビ用拡散板として、好適に用いることができる。
また、照明カバーとしては、例えば、蛍光ランプや白熱電球のカバーやランプシェード、浴室灯、シャンデリア、スタンド、ブラケット、行燈、シーリングライト、ペンダント型ライト、ガレージライト、軒下灯、門柱灯、ポーチライト、ガーデンライト、エントランスライト、足元灯、階段灯、誘導灯、防犯灯、ダウンライト、ベースライト、電飾看板、サイン灯等のカバー、及び自動車、自動二輪車等をはじめとする車両用灯具向けのカバー等に好適に用いることができる。特に、LEDや有機EL等の放熱量の少ない光源を用いる照明器具に好適に用いることができる。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
(実施例1〜11、比較例1〜7)
[ポリカーボネート樹脂(A)]
ポリカーボネート樹脂として、下記表1のポリカーボネート樹脂(A1)および(A2)を使用した。
Figure 0005386417
[アクリル樹脂系微粒子(B)]
以下の表2に示すアクリル樹脂系粒子(B1)〜(B5)を準備した。
Figure 0005386417
[紫外線吸収剤(C)及びその他添加剤成分(D)〜(E)]
紫外線吸収剤(C)及びその他添加剤成分(D)〜(E)として、下記表3に記載したものを使用した。
Figure 0005386417
[樹脂組成物ペレットの製造]
上記した各成分(A)〜(E)を、表4及び表5に記した割合(質量%)で配合し、タンブラーにて20分混合した後、1ベントを備えた日本製鋼所社製二軸押出機(TEX30HSST)に供給し、スクリュー回転数200rpm、吐出量20kg/時間、バレル温度280℃の条件で混練し、ストランド状に押出された溶融樹脂を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化し、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
[試験片の作製]
上述の製造方法で得られたペレットを120℃で5時間乾燥させた後、住友重機械工業製のSYCAP SG75M2型射出成形機を用いて、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、成形サイクル45秒の条件で射出成形し、3段プレート(3,2,1mm厚み)及びISO多目的試験片(3mm)を成形した。
これらの試験片を用いて、全光線透過率、拡散率、分散度、耐衝撃性の評価を行った。
各評価方法は以下のとおりである。
[流動性評価]
前記により得られたペレットを120℃で4時間以上乾燥した後、JIS K7210
付属書Cに記載の方法にて高荷式フローテスターを用いて、280℃、荷重160kgf/cmの条件下で組成物の単位時間あたりの流出量Q値(単位:×10−2cm/sec)を測定し、流動性を評価した。なお、オリフィスは直径1mm×長さ10mmのものを使用した。Q値が高いほど、流動性に優れていることを示す。
[耐衝撃性評価]
ISO179に準拠して、上記で作製したISO多目的試験片(3mm厚)にノッチ加工を施し、23℃においてノッチ付きシャルピー衝撃強度(単位:kJ/m)を測定した。なお、表4、5中、「シャルピー衝撃」と表記する。
[難燃性評価]
実施例及び比較例で得られた各樹脂組成物について、日本製鋼所社製射出成形機J50を用い、設定温度280℃、金型温度80℃の条件下で射出成形を行い、長さ127mm、幅12.7mm、肉厚1.2mmおよび1.5mmの成形品を試験片として得た。得られた試験片について、UL94に準拠した垂直燃焼試験を行い、燃焼性結果は良好な順からV−0、V−1、V−2とし、規格外のものをNGと分類した。
[分散度]
上述の3段プレート(3,2,1mm厚)を試験片とし、MURAKAMI COLOR RESEARCH LABORATORY社製のGP−5 GONIOPHOTOMETERを用い、入射光:0°、煽り角:0°、受光範囲:0°〜90°、光束絞り:2.0、受光絞り:3.0の条件で1mm厚みの輝度を測定し、0°の輝度に対して、輝度が半減する角度を分散度(°)として求めた。分散度が高いほど、光拡散性が高く、照明カバーにした場合に、光源の光をより拡散し、より広範囲において照度を保て、かつ光源の視認性が低下する効果もある為好ましい。なお、表4および表5においては、「分散度」と表記する。
[全光線透過率]
JIS K−7105に準じ、上述の3段プレートの1mm厚部分を日本電色工業社製のNDH−2000型濁度計で1mm厚の全光線透過率(単位「%」)を測定した。
[L値]
JIS K7105に準じ、3段プレートの1mm厚部分を日本電色工業(株)製のSE2000型分光式色彩計で、反射法により測定した。
[耐湿熱性]
プレッシャークッカー試験機(平山製作所社製、HASTEST,MODEL PC−SIII)にて、試験片を121℃、圧力2kg/cm、湿度100%の水蒸気雰囲気中で100時間処理し、試験片の変形の有無を観察して耐加水分解性の指標とした。
以上の評価結果を表4および表5に示す。
Figure 0005386417
Figure 0005386417
L値の差は、1mm厚みの試験片の場合に顕著になるものであるが、表4に示す実施例1〜11から、本発明の粒径と粒径分布を満足するアクリル樹脂系微粒子(B1)を所定量含有したポリカーボネート樹脂組成物は、全光線透過率と分散度に優れ、耐衝撃性を有することがわかる。
一方、本発明の粒径と粒径分布を満足しないアクリル樹脂系微粒子(B2〜B5)を配合した、あるいは、アクリル樹脂系微粒子(B1)を所定量を超えて含有した比較例のポリカーボネート樹脂組成物、は、全光線透過率と分散度が劣り、耐衝撃性も良くないことがわかる。
したがって、上記の実施例及び比較例から、全光線透過率と分散度に優れ、耐衝撃性も優れるという効果は、本発明の構成によりはじめて得られるものであることが確認された。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物によれば、耐衝撃性等の機械特性に優れ、全光線透過率と光拡散性、分散度に優れ、かつ成形性にも優れた成形材料が得られるので、各種照明カバー、照明看板、透過形のスクリーン、各種ディスプレイ、液晶表示装置の光拡散シートや光拡散板などの広範囲の分野に利用でき、産業上の利用性は非常に高い。

Claims (7)

  1. ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、(i)コールターカウンター法により直径0.4〜12μmの範囲において個数基準で測定した平均粒径が1〜4μmであり、(ii)粒径が1μm以上2μm未満の粒子の割合、粒径が2μm以上3μm未満の粒子の割合、および粒径が3μm以上の粒子の割合が、それぞれ20〜40%の範囲にあり、かつ(iii)粒径が10μm以上の粒子を有しないアクリル樹脂系微粒子(B)を、0.1〜5質量部含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
  2. アクリル樹脂系微粒子(B)が、非架橋性アクリルモノマー(B1)90〜99質量%と架橋性モノマー(B2)10〜1質量%からの共重合体微粒子であることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  3. アクリル樹脂系微粒子(B)が、ポリメチルメタアクリレート系微粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  4. さらに紫外線吸収剤(C)を、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.05〜1質量部含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  5. さらに有機スルホン酸金属塩(D)を、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.01〜1質量部含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物から得られた成形品。
  7. 成形品が、照明カバー又は光拡散板であることを特徴とする請求項6に記載の成形品。
JP2010067125A 2010-01-08 2010-03-24 ポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる成形品 Active JP5386417B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010067125A JP5386417B2 (ja) 2010-01-08 2010-03-24 ポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる成形品

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010002600 2010-01-08
JP2010002600 2010-01-08
JP2010067125A JP5386417B2 (ja) 2010-01-08 2010-03-24 ポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる成形品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011157536A JP2011157536A (ja) 2011-08-18
JP5386417B2 true JP5386417B2 (ja) 2014-01-15

Family

ID=44589753

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010067125A Active JP5386417B2 (ja) 2010-01-08 2010-03-24 ポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる成形品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5386417B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5645701B2 (ja) * 2011-02-17 2014-12-24 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 ポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる成形品
JP5051556B1 (ja) * 2011-08-30 2012-10-17 ベスパック株式会社 金属・樹脂組成物複合成型品、led照明装置
US8927633B2 (en) 2011-09-02 2015-01-06 Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. Aromatic polycarbonate resin composition, and molded article comprising same
JP2013133350A (ja) * 2011-12-26 2013-07-08 Mitsubishi Engineering Plastics Corp ポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる成形品
JP2014074109A (ja) * 2012-10-03 2014-04-24 Mitsubishi Engineering Plastics Corp 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる成形品
JP6346077B2 (ja) * 2014-12-01 2018-06-20 帝人株式会社 光拡散性を有する帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物
JP2016150972A (ja) * 2015-02-17 2016-08-22 ユニチカトレーディング株式会社 耐湿熱性フィルム及びこれを用いてなる血液・ウイルスバリア性積層布帛

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04318060A (ja) * 1991-04-16 1992-11-09 Dainippon Ink & Chem Inc 光散乱性ポリカーボネート系樹脂組成物、光散乱性ポリカーボネート系樹脂成形品及びその製造方法
JP2006249288A (ja) * 2005-03-11 2006-09-21 Teijin Chem Ltd 光拡散性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物
JP4711796B2 (ja) * 2005-03-29 2011-06-29 積水化成品工業株式会社 光拡散性ポリカーボネート系樹脂組成物及び光拡散剤
TWI369379B (en) * 2007-01-26 2012-08-01 Rohm & Haas Light-scattering compositions

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011157536A (ja) 2011-08-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5942996B2 (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形品
JP5947095B2 (ja) 導光板用ポリカーボネート樹脂組成物および導光板
JP5386417B2 (ja) ポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる成形品
JP4695442B2 (ja) 外観に優れたハウジング成形品
JP6217649B2 (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物およびその製造方法、該樹脂組成物からなる成形品
JP5723090B2 (ja) ポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる成形品
JP2012251107A (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる成形品
JP2011168682A (ja) ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法およびそれからなる成形品
JP5731239B2 (ja) ポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる成形品
JP5352568B2 (ja) ポリカーボネート樹脂成形品
WO2012081391A1 (ja) 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物、ポリカーボネート樹脂用難燃剤及びその製造方法
JP5645701B2 (ja) ポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる成形品
JP2013133348A (ja) ポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる成形品
JP2007138024A (ja) 光拡散性に優れた熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる光拡散板
JP2013007017A (ja) 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる成形品
JP2012108450A (ja) Led照明用光拡散部材
JP2013133350A (ja) ポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる成形品
JP2014074110A (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる成形品
JP2014074109A (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる成形品
JP5864345B2 (ja) 厚肉成形品用ポリカーボネート樹脂組成物
JP2013133349A (ja) Led照明用光拡散部材
JP6234730B2 (ja) Led照明部材用ポリカーボネート樹脂組成物及びled照明用光拡散性部材
JP2005240012A (ja) 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる光反射板
JP2017110038A (ja) 光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品
JP5205357B2 (ja) ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法及び成形品

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20121218

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130705

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130716

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130725

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130917

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131007

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5386417

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250