JP2012108450A - Led照明用光拡散部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】粘度平均分子量が21,000〜30,000の芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、n−ブチルアクリレート−n−ブチルメタアクリレート系架橋樹脂粒子(B)を0.2〜3.5質量部、紫外線吸収剤(C)を0.1〜0.5質量部含有することを特徴とするLED照明用光拡散部材による。
【選択図】なし
Description
LEDは上記の長所を有するものの、一方で、LEDは点光源であってかつ高輝度であるがために、光源から出射する直接光によるぎらつきや眩しさを防止することが必要であり、また、直接光を効率良く拡散して、照明装置としての機能を向上させる必要がある。このため、LED照明においては、照明カバー等に光拡散部材を用いて直接光を拡散させることが行われる。
また、光拡散性のポリカーボネート樹脂組成物も各種提案がなされており、特許文献1には、光拡散性樹脂組成物として、ポリカーボネート樹脂100質量部とビーズ状架橋アクリル樹脂0.01〜1質量部とからなる樹脂組成物が開示されている。しかしながら、このものでは、上記したLED光源を用いた際には、防眩性能や光拡散性能は十分なものではない。
また、特許文献2には、ポリカーボネート樹脂100質量部と屈折率が1.505〜1.575で平均粒径が0.5〜30μmのアクリル−スチレン共重合体微粒子0.1〜5質量部とからなる光拡散性樹脂組成物が開示されている。しかし、この場合も、LEDのぎらつきをなくすことは困難であり、防眩性能や光拡散性能は不十分であった。
本発明のLED照明用光拡散部材は、粘度平均分子量が21,000〜30,000の芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、n−ブチルアクリレート−n−ブチルメタアクリレート系架橋樹脂粒子(B)を0.2〜3.5質量部、紫外線吸収剤(C)を0.1〜0.5質量部含有することを特徴とする。
以下、本発明のLED照明用光拡散部材を構成する各成分、光拡散部材の製造法等について、詳細に説明する。
本発明に使用する樹脂材料のポリカーボネート樹脂(A)は、芳香族ポリカーボネート樹脂であり、具体的には、芳香族ジヒドロキシ化合物をホスゲン又は炭酸のジエステルと反応させることによって得られる熱可塑性芳香族ポリカーボネート重合体又は共重合体が用いられる。
構造粘性指数Nとは、文献「化学者のためのレオロジー」(化学同人、1982年、第15〜16頁)にも詳記されているように、溶融体の流動特性を評価する指標である。通常、ポリカーボネート樹脂の溶融特性は、数式:γ=a・σNにより表示することができる。なお、前記式中、γ:剪断速度、a:定数、σ:応力、N:構造粘性指数、を表す。
このように構造粘性指数Nが高いことは、ポリカーボネート樹脂が分岐鎖を有することを意味し、このように構造粘性指数Nが高いポリカーボネート樹脂を含有することにより、本発明におけるポリカーボネート樹脂の燃焼時の滴下を抑制し、難燃性を向上させることができる。
分岐剤の具体例としては、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニルヘプテン−3、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどで示されるポリヒドロキシ化合物、また3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチンビスフェノール、5,7−ジクロルイサチンビスフェノール、5−ブロムイサチンビスフェノールなどが挙げられる。
その使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、0.01〜10モル%の範囲であり、特に好ましくは0.1〜3モル%の範囲である。
このように所定Nポリカーボネート樹脂と組み合せることにより、必要以上に押出し時のトルク上昇を招かないため、生産性の低下を招きにくくなり、また、せん断発熱によるアクリレート系架橋樹脂粒子(B)の変質も抑制できるため拡散性の低下も招きにくくなる。すなわち、成形性と生産性、及び拡散性をいずれも顕著に発揮できることになる。
なお、ポリカーボネート樹脂中の、所定Nポリカーボネート樹脂の含有量の上限に制限は無く、通常100質量%以下であるが、好ましくは90質量%以下であり、より好ましくは85質量%以下である。
また、所定Nポリカーボネート樹脂は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
ただし、再生されたポリカーボネート樹脂は、本発明のポリカーボネート樹脂のうち、80質量%以下であることが好ましく、中でも50質量%以下であることがより好ましい。再生されたポリカーボネート樹脂は、熱劣化や経年劣化等の劣化を受けている可能性が高いため、このようなポリカーボネート樹脂を前記の範囲よりも多く用いた場合、色相や機械的物性を低下させる可能性があるためである。
本発明のLED照明用光拡散部材は、n−ブチルアクリレート−n−ブチルメタアクリレート系架橋樹脂粒子(B)を、0.1〜5質量部含有する。
このようなアクリレート系架橋樹脂粒子(B)を、上記量で配合することにより、優れた光拡散性と光透過率を、さらに分散度と衝撃強度をバランスよく、達成することができる。
アクリレート系架橋樹脂粒子(B)として好ましいのは、上記(B1)、(B2)、(B3)を、好ましくは懸濁重合により、製造される樹脂粒子である。
n−ブチルアクリレート(B1)とn−ブチルメタアクリレート(B2)は、いずれもn−体のものを使用することが必要である。i−体やtert−体のものでは本発明の効果は達成できにくい。しかしながら、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、i−体やtert−体のものを配合してもよい。
また、n−ブチルアクリレートとn−ブチルメタアクリレートと共重合可能な上記以外の単量体を加えることも排除しないが、なるべく使用しない方が本発明の効果を確実に達成する上で有効である。そのような単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル等のビニル基を有する単量体が挙げられる。
なお、本発明における平均粒子径は、コールターカウンター法で測定されるD50をいい、ベックマン・コールタール株式会社の粒度分布測定装置Multisizer4を使用し、分散媒ISOTON II、アパチャー径20μm、分散剤エタノールの条件で、超音波を3分かけ粒子を測定溶媒中に均一に分散させたのちに行った。
また、固体状態で得られたアクリル樹脂をジェット気流式粉砕機、機械衝突式粉砕機、ロールミル、ハンマーミル、インペラーブレーカーなどの粉砕装置により粉砕し、得られた粉砕物を風力分級装置、ふるい分級装置などの分級装置に導入して分級することにより、粒子の粒径を制御して用いてもよい。
また、商業的に知られている各種のアクリル樹脂粒子のなかから、選択して使用することもできる。
本発明のLED照明用光拡散部材には、紫外線吸収剤(C)を、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.1〜0.5質量部配合する。
紫外線吸収剤としては、例えば、酸化セリウム、酸化亜鉛などの無機紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、サリシレート化合物、シアノアクリレート化合物、トリアジン化合物、オギザニリド化合物、マロン酸エステル化合物、ヒンダードアミン化合物などの有機紫外線吸収剤などが挙げられる。これらのうち、有機紫外線吸収剤が好ましく、中でもベンゾトリアゾール化合物がより好ましい。有機紫外線吸収剤を選択することで、透明性や機械物性が良好なものになる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリ(ジメチルシロキサン)−ポリ(ジフェニルシロキサン)コポリマー(D)を含有することが好ましい。このようにポリ(ジメチルシロキサン)−ポリ(ジフェニルシロキサン)コポリマーを含有することで、従来用いられているポリ(メチルフェニルシロキサン)やアルコキシ基含有ポリオルガノシロキサンと比較し、驚くべきことに、光線透過率と光拡散性と光透過率の良好な光学的性能のバランスを維持したままで、耐熱性にも優れたポリカーボネート樹脂組成物が得られる。
また、ポリ(ジメチルシロキサン)ホモポリマーと比較し、透明性、難燃性が高く、表面外観に優れたポリカーボネート樹脂組成物が得られる。またポリ(ジフェニルシロキサン)ホモポリマーと比較し、透明性、離型性、撥水性、撥油性、耐薬品性が高いポリカーボネート樹脂組成物が得られる。
このような構造のポリオルガノシロキサンを選択することで、ポリカーボネート樹脂への分散性が向上し、上述のとおり、従来用いられているシロキサン化合物と異なり、アウトガスを多量に発生させることなく、高い透明性、難燃性を付与できる。
また、アルケニル基としては、ビニル基、アリル基等が挙げられるが、なかでもビニル基が好ましい。
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基が挙げられるが、なかでもフェニル基が好ましい。
なお、動粘度の異なる2種類以上のポリ(ジメチルシロキサン)−ポリ(ジフェニルシロキサン)コポリマーを混合して用いてもよく、この場合には、動粘度が上記の好適な範囲外であるポリ(ジメチルシロキサン)−ポリ(ジフェニルシロキサン)コポリマーを混合することもできる。
フェニル基含有量が、上記下限値未満の場合は、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の難燃性、透明性が共に低下しやすいので好ましくない。また、フェニル基含有量が上記上限値を超える場合も、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の難燃性、透明性が共に低下しやすいため好ましくない。これは、ポリ(ジメチルシロキサン)−ポリ(ジフェニルシロキサン)コポリマーの結晶性が高まり、ポリカーボネート樹脂への分散性が低下するためと考えられる。
ポリ(ジメチルシロキサン)−ポリ(ジフェニルシロキサン)コポリマーの含有量が0.05質量部を下回ると得られるポリカーボネート樹脂組成物の難燃性が不十分となりやすく、逆に3質量部を超えると、効果が頭打ちになり経済的でないばかりでなく、難燃性や透明性、機械物性が低下しやすく、アウトガスや金型汚染が生ずる可能性がある。
なお、本発明に係るポリ(ジメチルシロキサン)−ポリ(ジフェニルシロキサン)コポリマーは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
本発明のLED照明用光拡散部材には、難燃剤として、有機スルホン酸金属塩(E)を配合するのが好ましい。
有機スルホン酸金属塩としては、脂肪族スルホン酸金属塩、芳香族スルホン酸金属塩等が挙げられ、中でも、芳香族スルホンスルホン酸金属塩、パーフルオロアルカンスルホン酸金属塩が好ましく、特にはパーフルオロアルカンスルホン酸金属塩が好ましい。
有機スルホン酸金属塩の金属としては、特に制限はないが、好ましくは、ナトリウム、リチウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属が挙げられる。中でも難燃性と耐加水分解性との観点からはカリウムが好ましい。これら有機スルホン酸金属塩は、2種以上を混合して使用することもできる。
芳香族スルホンスルホン酸金属塩の具体例としては、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸のナトリウム塩、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸のカリウム塩、4,4’−ジブロモジフェニル−スルホン−3−スルホンのナトリウム塩、4,4’−ジブロモジフェニル−スルホン−3−スルホンのカリウム塩、4−クロロ−4’−ニトロジフェニルスルホン−3−スルホン酸のカルシウム塩、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸のジナトリウム塩、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸のジカリウム塩等が挙げられる。
パーフルオロアルカンスルホン酸金属塩の具体例としては、パーフルオロブタンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム、パーフルオロメチルブタンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロメチルブタンスルホン酸カリウム、パーフルオロオクタンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロオクタンスルホン酸カリウム、パーフルオロブタンスルホン酸のテトラエチルアンモニウム塩等が挙げられる。
これらの中でも、特に、パーフルオロブタンスルホン酸カリウムが好ましい。
本発明においては、滴下防止剤としてフッ素樹脂(F)を、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、0.01〜1質量部含有することが好ましい。このようにフッ素樹脂を含有することで、樹脂組成物の溶融特性を改良することができ、具体的には燃焼時の滴下防止性を向上させることができる。
また、このフッ素樹脂としては、フィブリル形成能を有するものが好ましく、具体的には、フィブリル形成能を有するフルオロオレフィン樹脂が挙げられる。このように、フィブリル形成能を有することで、燃焼時の滴下防止性が著しく向上する傾向にある。
アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸トリデシル、メタクリル酸トリデシル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オクタデシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;
無水マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸;N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体;
グリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有単量体;
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル系単量体;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル系単量体;
エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン系単量体;
ブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジエン等のジエン系単量体等を挙げることができる。なお、これらの単量体は、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
なお、フッ素樹脂は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、更に種々の添加剤を含有していても良い。このような添加剤としては、熱安定剤、酸化防止剤、離型剤、染顔料、蛍光増白剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などが挙げられる。
熱安定剤としては、例えばリン系化合物が挙げられる。リン系化合物としては、公知の任意のものを使用できる。具体例を挙げると、リン酸、ホスホン酸、亜燐酸、ホスフィン酸、ポリリン酸などのリンのオキソ酸;酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、酸性ピロリン酸カルシウムなどの酸性ピロリン酸金属塩;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸セシウム、リン酸亜鉛など第1族または第10族金属のリン酸塩;有機ホスフェート化合物、有機ホスファイト化合物、有機ホスホナイト化合物などが挙げられる。
酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられる。その具体例としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエート、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン,2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール等が挙げられる。
離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが挙げられる。
これらの中では、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスまたはポリエチレンワックスの部分酸化物が好ましく、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスがさらに好ましい。
また、前記の脂肪族炭化水素の数平均分子量は、好ましくは5,000以下である。
上述した成分(A)〜(C)、さらに必要により添加される他の成分から、ポリカーボネート樹脂組成物を製造する方法に制限はなく、公知のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法を広く採用でき、各成分を、例えばタンブラーやヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、リボンブレンダーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどの混合機で溶融混練する方法が挙げられる。なお、溶融混練の温度は特に制限されないが、通常240〜320℃の範囲である。
本発明のLED照明用光拡散部材は、上記したポリカーボネート樹脂組成物をペレタイズしたペレットを各種の成形法で成形して製造することができる。またペレットを経由せずに、押出機で溶融混練された樹脂を直接、シートや板状物、押出成形品、ブロー成形品あるいは射出成形品等にすることもできる。
成形方法の例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法などが挙げられる。また、ホットランナー方式を使用した成形法を用いることも出来る。成形品の形状、模様、色彩、寸法などに制限はなく、その成形品の用途に応じて任意に設定すればよい。
照明カバーとしては、例えば、カバーやランプシェード、浴室灯、シャンデリア、スタンド、ブラケット、行燈、シーリングライト、ペンダント型ライト、ガレージライト、軒下灯、門柱灯、ポーチライト、ガーデンライト、エントランスライト、足元灯、階段灯、誘導灯、防犯灯、ダウンライト、ベースライト、電飾看板、サイン灯等のカバー等に好適に用いることができる。
以下の各成分を使用した。
[ポリカーボネート樹脂(A)]
ポリカーボネート樹脂として、下記表1のポリカーボネート樹脂(A−1)〜(A−4)を使用した。
[紫外線吸収剤(C)及びその他添加剤成分(D)]
紫外線吸収剤(C)及びその他添加剤成分(D−1)〜(D−5)として、下記表1に記載したものを使用した。
下記表2に示す各モノマー(重量%)からなる架橋樹脂粒子(B−1)〜(B−5)を準備した。(B−1)および(B−2)は、本発明の要件を満たし、(B−3)と(B−4)および(B−5)シリコーン系拡散剤(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、商品名「トスパール120」)は、本発明の要件を満たさないものである。
上記した各成分を、表4〜表6に記した割合(質量部)で配合し、タンブラーにて20分混合した後、1ベントを備えた日本製鋼所社製二軸押出機(TEX30HSST)に供給し、スクリュー回転数200rpm、吐出量20kg/時間、バレル温度280℃の条件で混練し、ストランド状に押出された溶融樹脂を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化し、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
上述の製造方法で得られたペレットを120℃で5時間乾燥させた後、住友重機械工業製のSYCAP SG75M2型射出成形機を用いて、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、成形サイクル45秒の条件で射出成形し、3段プレート(3mm,2mm,1mm厚み)及びISO多目的試験片(3mm)を成形した。
また、同様に上述の製造方法で得られたペレットを120℃で5時間乾燥させた後、日本製鋼所製のJ50−EP型射出成形機を用いて、シリンダー温度280℃、金型温度80℃の条件で射出成形し、長さ125mm、幅13mm、厚さ2mmおよび3mmのUL試験用試験片を成形した。
JIS K−7105に準じ、上述の3段プレートの2mm厚部分を日本電色工業社製のNDH−2000型濁度計を用いて全光線透過率(単位「%」)を測定した。
上述の3段プレートを試験片とし、MURAKAMI COLOR RESEARCH LABORATORY社製のGP−5 GONIOPHOTOMETERを用い、入射光:0°、煽り角:0°、受光範囲:0°〜90°、光束絞り:2.0、受光絞り:3.0の条件で2mm厚部の輝度を測定し、0°の輝度に対して、輝度が半減する角度を分散度(°)として求めた。分散度が高いほど、光拡散性が高く、照明カバーにした場合に、光源の光をより拡散し、より広範囲において照度を保て、かつ光源の視認性が低下する効果もある為好ましい。
ISO179に準拠して、上記で作製したISO多目的試験片(3mm厚)にノッチ加工を施し、23℃においてノッチ付きシャルピー衝撃強度(単位:kJ/m2)を測定した。
初期YI及び耐候性YIの値をそれぞれ測定し、△YI=耐候性YI−初期YI を求めた。
耐候性YIは、スガ試験機社製カーボンアークサンシャイン型ウエザオメーター(WE−SUN−HC)を用い、63℃、雨あり(12分降雨/60分)の条件にて、500時間試験を行った後に、YI値を測定して求めた。YI値は、JIS K−7105に準じ、3mm厚の平板を試験片とし、日本電色工業(株)製のSE2000型分光式色彩計で、反射法により測定した。
○:△YIが10未満
×:△YIが10以上
各ポリカーボネート樹脂組成物の難燃性の評価は、上述の方法で得られたUL試験用試験片を温度23℃、湿度50%の恒温室の中で48時間調湿し、米国アンダーライターズ・ラボラトリーズ(UL)が定めているUL94試験(機器の部品用プラスチック材料の燃焼試験)に準拠して行なった。UL94Vとは、鉛直に保持した所定の大きさの試験片にバーナーの炎を10秒間接炎した後の残炎時間やドリップ性から難燃性を評価する方法であり、V−0、V−1及びV−2の難燃性を有するためには、以下の表3に示す基準を満たすことが必要となる。
一方、本発明の共重合組成を満足しないアクリル樹脂系微粒子(B−3)〜(B−4)を含有した比較例1、2は、全光線透過率と分散度のバランスが劣り、耐衝撃性も良くないことがわかる。また、ポリカーボネート樹脂の分子量が低い比較例3、4では耐衝撃性が劣り、紫外線吸収剤を含有しない比較例5では耐候性が悪化することが分かる。
したがって、上記の実施例及び比較例から、全光線透過率と光拡散性、分散度に優れ、かつ衝撃強度耐久性にも優れたLED照明用光拡散部材を提供するという効果は、本発明の構成によりはじめて得られるものであることが確認された。
ポリカーボネート樹脂として、下記表7のポリカーボネート樹脂(A−5)〜(A−8)を使用した。
、以下の表8に示すポリ(ジメチルシロキサン)−ポリ(ジフェニルシロキサン)コポリマー(D−6〜D−7)を使用した。
その他の使用成分は、先に説明したものと同じである。
なお、難燃性評価のUL試験片としては、厚さ2.0mm、1.5mmのものを作成して評価を行った。
また、全光線透過率および分散度は、試験片の厚さ2mm部に対して行った。
さらに、樹脂組成物の流動性および熱安定性の評価として、JIS K7210 付属書Cに記載の方法にてペレットの流れ値(Q値)を評価した。測定は島津製作所社製フローテスターCFD500Dを用い、穴径1.0mmφ、長さ10mmのダイを用い、試験温度279℃、試験力160kgf、余熱時間420secの条件で排出された溶融樹脂量(×0.01cc/sec)を測定した。
以上の評価結果を表9に示す。
Claims (11)
- 粘度平均分子量が21,000〜30,000の芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、n−ブチルアクリレート−n−ブチルメタアクリレート系架橋樹脂粒子(B)を0.2〜3.5質量部、紫外線吸収剤(C)を0.1〜0.5質量部含有することを特徴とするLED照明用光拡散部材。
- 架橋樹脂粒子(B)は、n−ブチルアクリレートとn−ブチルメタアクリレートが質量比で10〜90/90〜10のものが70〜99質量%、架橋性モノマーが1〜30質量%からなる架橋樹脂粒子であることを特徴とする請求項1に記載のLED照明用光拡散部材。
- さらに、動粘度が1〜120センチストークスのポリ(ジメチルシロキサン)−ポリ(ジフェニルシロキサン)コポリマー(D)を、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.05〜3質量部含有することを特徴とする請求項1または2に記載のLED照明用光拡散部材。
- ポリカーボネート樹脂(A)は、構造粘性指数Nが1.2以上のポリカーボネート樹脂を20質量%以上含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のLED照明用光拡散部材。
- さらに、有機スルホン酸金属塩(E)を、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.01〜1質量部含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のLED照明用光拡散部材。
- 有機スルホン酸金属塩(E)が、有機スルホン酸アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩であることを特徴とする請求項6に記載のLED照明用光拡散部材。
- 有機スルホン酸金属塩(E)が、パーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ金属塩であることを特徴とする請求項6または7に記載のLED照明用光拡散部材。
- さらに、フッ素樹脂(F)をポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.001〜1質量部含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のLED照明用光拡散部材。
- 分散度が、40°以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のLED照明用光拡散部材。
- 拡散部材が、照明カバー、光拡散板、光拡散シート、光透過散光フィルターまたは導光板であることを特徴とする請求項1〜10に記載のLED照明用光拡散部材。
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