JP2008292853A - 光拡散板の製造方法および光拡散板 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、バックライトである冷陰極管の数を減らしても高輝度が保持される上に、光を偏光させて分散できることから輝度ムラやランプイメージを抑制することができる光拡散板とその製造方法、および同様の特性を有するバックライトユニットを提供することも目的とする。
【解決手段】本発明に係る光拡散板の製造方法は、下記式(1)で表される架橋密度が0.001%以上、0.12%以下である架橋重合粒子を透明な熱可塑性樹脂中に分散させる工程;
[式中、Fn(c)は架橋重合粒子の製造に用いる架橋剤の架橋性官能基数を示し;Mw(c)は架橋重合粒子の製造に用いる架橋剤の分子量を示し;W(c)は架橋重合粒子の製造に用いる架橋剤の、単量体と架橋剤の合計に対する質量配合割合(質量%)を示し;W(m)は架橋重合粒子の製造に用いる単量体の、単量体と架橋剤の合計に対する質量配合割合(質量%)を示す]
上記分散体をシート状に成形する工程;および、得られたシートを一軸延伸する工程;を含むことを特徴とする。
【選択図】なし
【解決手段】本発明に係る光拡散板の製造方法は、下記式(1)で表される架橋密度が0.001%以上、0.12%以下である架橋重合粒子を透明な熱可塑性樹脂中に分散させる工程;
[式中、Fn(c)は架橋重合粒子の製造に用いる架橋剤の架橋性官能基数を示し;Mw(c)は架橋重合粒子の製造に用いる架橋剤の分子量を示し;W(c)は架橋重合粒子の製造に用いる架橋剤の、単量体と架橋剤の合計に対する質量配合割合(質量%)を示し;W(m)は架橋重合粒子の製造に用いる単量体の、単量体と架橋剤の合計に対する質量配合割合(質量%)を示す]
上記分散体をシート状に成形する工程;および、得られたシートを一軸延伸する工程;を含むことを特徴とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、光拡散板の製造方法、当該方法で製造された光拡散板、および当該光拡散板を含むバックライトユニットに関するものである。
近年、ディスプレイ装置はブラウン管を用いたものから液晶を用いたものに代わってきており、また、画面も大型化してきている。液晶ディスプレイのバックライトとしてはエッジライト方式と直下型方式のものがあるが、大型の液晶ディスプレイ装置では、光源として複数の冷陰極管を配置した直下型バックライトが一般的に用いられている。
直下型バックライトでは、冷陰極管から発せられた光が画面方向に直行すると、冷陰極管が存在する部分の画面は明るくなる一方で存在しない部分は暗くなるという輝度ムラが生じ、また、冷陰極管が画面に映り込む結果となる。よって、冷陰極管から発せられる光を平面全体にわたり均一に分散させる必要がある。そこで、冷陰極管と液晶パネルとの間に光拡散板を配置し、冷陰極管から発せられた光を分散させることが行われている。
その様な光拡散板として、例えば特許文献1には、液晶ディスプレイ装置などに用いるものであって、平均アスペクト比が1より大きくその長軸方向が一方の方向に配向した分散相が連続相中に分散されている異方性散乱シートが開示されている。また、特許文献2には、ビーズなどの拡散剤が分散されている合成樹脂製の板材を延伸することにより偏光性が付与された液晶表示装置が記載されている。これら技術では、偏光性により光が不足する部分へ選択的に光を分散させ、輝度の均一性を高めている。
また、液晶ディスプレイ装置ではないが、画像を拡大して投写する透過型投写スクリーンとして、透明熱可塑性樹脂中に棒状粒子または針状粒子が同一方向に配列されつつ分散しているものが特許文献3と4に記載されている。
特開2006−251395号公報
特開2004−198725号公報
特開平2−199444号公報
特開平8−327805号公報
上述した様に、液晶ディスプレイ装置に用い得るものであって、透明な熱可塑性樹脂中に棒状の光分散剤が配向して分散している光拡散板は既に知られていた。しかし、かかる従来技術では実用上対応できなくなってきている。
即ち、近年、液晶ディスプレイ装置のコストを低減するために、バックライトとして用いられる冷陰極管の数を減らす試みが為されており、その結果、輝度の低下に加え、冷陰極管の設置間隔が広がることによる輝度ムラやランプイメージの問題が大きくなってきている。
そこで本発明が解決すべき課題は、バックライトである冷陰極管の数を減らしても高輝度が保持される上に、光を偏光させて分散できることから輝度ムラやランプイメージを抑制することができる光拡散板とその製造方法を提供することにある。また、本発明では、同様の特性を有するバックライトユニットを提供することも目的としている。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を進めた。その結果、上記従来方法では熱可塑性樹脂シートを延伸しても中に含まれる光分散剤が所望の形状に変形せず、偏光性が十分に発揮されないことを明らかにした。即ち、光分散剤は主に高分子樹脂からなるが、分子間が全く架橋されていないために強度が弱く透明熱可塑性樹脂中で形状を保持できないか、または成形条件のわずかな変更により形状が大きく変化してしまうために所望の偏光性が得られなくなる。或いは強度を高めるために分子間が架橋された光分散剤もあるが、この場合では強度の向上のみが志向されているために透明熱可塑性樹脂中で変形せず、偏光性が得られない。そこで本発明者らは、光分散剤を構成する重合粒子の架橋密度を適切にすれば光分散剤は透明熱可塑性樹脂中で適度に変形し且つその形状を保持できるので高い偏光性が得られることを見出して、本発明を完成した。
本発明に係る光拡散板の製造方法は、下記式(1)で表される架橋密度が0.001%以上、0.12%以下である架橋重合粒子を透明な熱可塑性樹脂中に分散させる工程;
上記分散体をシート状に成形する工程;および、得られたシートを一軸延伸する工程;を含むことを特徴とする。
本発明の製造方法では、架橋重合粒子として、その50%累積径が0.5〜100μmであるものを用いることが好ましい。架橋重合粒子、即ち光分散剤の粒子径が過度に大きくても小さくても所望の光拡散効果は得られないからである。
本発明の光拡散板は、透明な熱可塑性樹脂シート中に光拡散剤が分散しているものであり;上記光拡散剤は扁平な楕円形状を有するものであって、下記式(1)で表される架橋密度が0.001%以上、0.12%以下である架橋重合粒子からなり、且つその長軸方向が一方向に配向している光拡散層を含むことを特徴とする。
本発明の光拡散板としては、光拡散剤が、さらに酸化防止剤を含むものが好適である。熱可塑性樹脂をシート状に成形する際の加熱により光拡散剤が酸化されて着色する場合があるが、かかる着色は輝度を低下させるおそれがある。そこで光拡散剤に酸化防止剤を添加することによりかかる着色を抑制すれば、より確実に輝度を維持することができる。
また、光拡散剤が分散している層の少なくとも片面側に紫外線吸収剤および/または帯電防止剤を含有する層が形成されているものも好適である。冷陰極管からの紫外線で拡散板を構成する熱可塑性樹脂が着色したり、また、静電気の発生により光拡散板の表面に粉塵が付着するおそれがあるが、これらは輝度を低下させる可能性がある。そこで紫外線吸収層や帯電防止層を形成することによって、より確実に輝度を維持することができる。
本発明のバックライトユニットは、上記光拡散板と冷陰極管を含み、光拡散剤の長軸方向の配向方向が冷陰極管の長さ方向と一致するように光拡散板と冷陰極管が配置されていることを特徴とする。
本発明の光拡散板は、その製造工程において光拡散剤を含む透明熱可塑性樹脂シートを延伸するに当たり光拡散剤が適度に変形することから、高い偏光性を享有する。その上、変形した光拡散剤は適度な強度を有することからその形状は保持され、結果として偏光性も維持される。よって本発明の光拡散板は、バックライトである冷陰極管の数を減らしても光を所望の方向に分散させることができるので、需要が高まっている液晶ディスプレイ装置の製造コストを低減しつつ高輝度を発揮できるものとして産業上極めて有用である。
以下、先ず本発明に係る光拡散板の構成につき説明した上で、続いてその製造方法などにつき説明する。
本発明の光拡散板は、透明な熱可塑性樹脂シート中に光拡散剤が分散しているものであり;上記光拡散剤は扁平な楕円形状を有するものであって、下記式(1)で表される架橋密度が0.001%以上、0.12%以下である架橋重合粒子からなり、且つその長軸方向が一方向に配向している光拡散層を含むことを特徴とする光拡散板。
本発明の透明熱可塑性樹脂シートを構成する熱可塑性樹脂は、透明なものであり且つ光拡散板の主な構成要素として適度な強度を有するものであれば特に制限されない。例えば、ポリカーボネート樹脂;ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂;ポリスチレン、ポリビニルトルエン、ポリ(p−メチルスチレン)などのスチレン系樹脂;MS樹脂(メチルメタクリレートとスチレンの共重合体);ノルボルネン系樹脂;ポリアリレート樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;これらのうち2種以上の混合樹脂などを用いることができる。好適にはポリカーボネート樹脂を用いる。透明性や耐熱性、加工性に優れており、且つそれらのバランスがよいので光拡散板用の樹脂として特に好ましいからである。
透明熱可塑性樹脂シートの厚さは適宜調整することができ特に制限されないが、通常は0.3〜10mm程度とすることができる。0.3mm未満であると剛性が不足して形状安定性が維持できない場合があるのに対し、10mmを超えると本発明の光拡散板を適用した装置全体をコンパクトにできないおそれがあるからである。より好ましくは、0.5〜5mm程度とする。また、透明熱可塑性樹脂シートの大きさや形状は、液晶ディスプレイ装置の大きさや形状に合わせればよい。
本発明の光拡散板では、光拡散剤が透明熱可塑性樹脂シート中に分散しており且つ当該光拡散剤は扁平な楕円形状を有する。ここで分散とは、光分散性を阻害するほど光拡散剤が凝集しておらず、光拡散板全面にわたり適度な光拡散性が発揮されるように光拡散剤ができるだけ均一に分散していることをいう。また、扁平な楕円形状とは、原料段階では球状または略球状であった架橋重合粒子が分散している透明熱可塑性樹脂シートを延伸することにより変形した架橋重合粒子の形状であって、延伸面、即ちシートの平面方向に沿って扁平であり且つ延伸面からみて楕円形を示す形状をいう。
透明熱可塑性樹脂シート中に分散している光拡散剤の延伸面からみた楕円形状の平均的なアスペクト比としては、1.1以上が好適である。当該アスペクト比が大きいほど光分散板の偏光性は高くなる。一方、当該アスペクト比を大きくするには透明熱可塑性樹脂シートの延伸倍率を大きくしなければならず、シートの強度が低下するおそれがあるので、好適には5.0以下とする。なお、当該アスペクト比は、光拡散剤の延伸面からみた楕円形状の最大径を最小径で除した数値の平均値をいう。具体的には、光拡散板を平面方向で切断し、その断面を電子顕微鏡で写真撮影し、得られた写真から扁平な楕円形状のアスペクト比を測定するに適切な光拡散剤サンプルを10点選択してそれらの長軸長さと短軸長さを測定して比を計算し、さらにそれら比の平均値を算出する。
本発明の光拡散剤は、上記式(1)で表される架橋密度が0.001%以上、0.12%以下である架橋重合粒子からなる。当該架橋密度が0.001%未満であると透明熱可塑性樹脂シート中で所望の形状が維持され難くなり光拡散性が低減したり、また、成形条件が少しでも異なると光拡散性の再現性が低下するおそれがある。一方、当該架橋密度が0.12%を超えると架橋重合粒子の強度が過度に高まり、延伸しても架橋重合粒子が変形せず所望の方向への偏光性が得られなくなる場合がある。当該架橋密度は0.005%以上、0.11%以下が好ましく、0.01%以上、0.10%以下がより好ましい。
上記架橋密度は、式(1)の通り、架橋重合粒子を製造するに当たり単量体と架橋剤の使用量、また、架橋剤の分子量や架橋性官能基数を変更することにより調整することができる。例えば、1分子当たりの架橋性官能基数が多い架橋剤を用いれば、より多くの重合体を架橋できるため架橋密度は高まる。
架橋重合粒子の原料として用いる単量体としては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート類;スチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−t−ブチルスチレンなどのスチレン類;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミドなどのマレイミド類;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類;(メタ)アクリロニトリルなどのアクリロニトリル類;N−ビニルピロリドン;これらのうち2種以上の混合樹脂などを用いることができる。
架橋重合粒子の原料として用いる架橋剤としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ビスヒドロキシエチルビスフェノールAジ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート;ジビニロキシエトキシ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、アリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンなどのラジカル重合性架橋剤;ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルなどの多官能エポキシ化合物;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの多官能イソシアネート化合物;N−メチロールメラミン、N−メチロールベンゾグアナミンなどの多官能メチロール化合物;これらのうち2種以上の混合樹脂などを用いることができる。
重合架橋粒子の軟化温度は、透明熱可塑性樹脂の軟化温度よりも低くなるように調整することが好ましい。その結果、重合架橋粒子が含まれる透明熱可塑性樹脂シートを延伸する場合に球形または略球形の重合架橋粒子が変形し易くなり、結果的に光分散板の偏光性が高まるからである。
本発明の光拡散剤へは、さらに酸化防止剤を添加してもよい。酸化防止剤は加熱成形時における酸化や劣化による光拡散剤の着色を抑制することができるので、本発明の光拡散板を適用したバックライトユニットの輝度をより確実に発揮せしめることができる。
酸化防止剤としては従来公知のものを用いることができる。例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]やオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−1−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどのヒンダードフェノール系酸化防止剤;トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトやトリス[2−[[2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェフィン−6−イル]オキシ]エチル]アミンなどのリン系酸化防止剤;芳香環を有するものとして、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]など、芳香環を有さないものとして、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)などの硫黄系酸化防止剤;3−ヒドロキシ−5,7−ジ−t−ブチル−フラン−2−オンとo−キシレンの反応生成物などのラクトン系酸化防止剤;還元型牛脂を原料としたアルキルアミンの酸化生成物などのヒドロキシルアミン系酸化防止剤;3,4−ジヒドロ−2,5,7,8−テトラメチル−2−(4,8,12−トリメチルトリデシル)−2H−ベンゾピラン−6−オールなどのビタミンE系酸化防止剤などを使用できる。
酸化防止剤の使用量は適宜調整すればよいが、通常、光拡散剤全体に対して0.005〜0.3質量%程度添加すればよい。
扁平な楕円形状を有する光拡散剤は、透明熱可塑性樹脂シート中でその長軸方向が一方向に配向している。即ち、光拡散剤の長軸方向は、透明熱可塑性樹脂シートの延伸方向と同一または略同一方向に配向している。これは、本発明の光拡散板は球形または略球形の架橋重合粒子を透明熱可塑性樹脂シート中に分散させた上で当該シートを延伸することにより製造することによるものである。かかる配向によって、本発明の光拡散板は光を所望の方向へ分散させることが可能になる。
光拡散板における分散剤の配合量は適宜調整すればよいが、通常は透明熱可塑性樹脂100質量部に対して0.1〜30質量部とすることができ、より好ましくは0.2〜20質量部、さらに好ましくは0.3〜20質量部とすることができる。
上記のような偏光性をより確実に発揮せしめるためには、透明熱可塑性樹脂と架橋重合粒子の屈折率差を0.03以上にすることが好ましい。
本発明の光分散板は、光拡散層の少なくとも片面側に紫外線吸収剤を含む層、帯電防止剤を含む層、或いは紫外線吸収剤含有層と帯電防止剤含有層の両方が形成されていてもよい。即ち、光拡散層の少なくとも片面側に光分散作用以外の作用を発揮する層が形成されていてもよい。ここで「片面側」としたのは、異なる機能を有する層が光拡散層の上に直接形成されている場合に限られず、例えば紫外線吸収剤含有層と帯電防止剤含有層など複数の層が光拡散層の片面に積層されていてもよいことを意図したものである。これら異なる機能を有する層は、発光体から発せられる紫外線を低減して光拡散板の着色を抑制したり、また、帯電を抑制して粉塵の付着による輝度低下を抑制したり電子デバイスの寿命を延ばしたりするといった機能を本発明の光拡散板に付与するものである。
紫外線吸収剤と帯電防止剤としては従来公知のものを使用することができる。例えば紫外線吸収剤としては、サリチル酸フェニルエステル系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、環状イミノエステル型紫外線吸収剤、分子内にヒンダードフェノール構造とヒンダードアミン構造を有するハイブリッド系紫外線吸収剤などの低分子紫外線吸収剤や、これら低分子紫外線吸収剤が高分子に懸垂するような形で結合している高分子紫外線吸収剤(例えば、日本触媒社製のハルスハイブリッド(登録商標)など)を用いることができる。
帯電防止剤としては、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸や、それらのLi、Na、Ca、Mg、Zn塩などのオレフィン系硫酸エステルまたはその金属塩;高級アルコールのリン酸エステル類などのアニオン界面活性剤;第3級アミン、第4級アンモニウム塩、カチオン系アクリル酸エステル誘導体、カチオン系ビエニルエーテル誘導体などのカチオン界面活性剤;アルキルアミン系ベタインの両性塩、カルボン酸アラニンまたはスルホン酸アラニンの両性塩、アルキルイミダゾリンの両性塩などの両性界面活性剤;脂肪酸多価アルコールエステル、アルキル(アミン)のポリオキシエチレン付加物などの非イオン界面活性剤;ポリエーテルエステルアミドやポリエステルアミドなどのポリアミドエラストマーなどを用いることができる。また、ポリビニルベンジル型カチオン樹脂やポリアクリル酸型カチオン樹脂などの導電性樹脂も帯電防止剤として用いることができる。
紫外線吸収剤および帯電防止剤の使用量は各機能に応じて適宜調整することができるが、通常、各層を構成する樹脂100質量部に対して1〜50質量部程度である。
これら異なる機能を有する層は、透明な熱可塑性樹脂中に紫外線吸収剤や帯電防止剤を均一分散させたシートを、熱圧着や接着剤で光拡散層などに接着すればよい。或いは、紫外線吸収剤などを含むペーストを光拡散層上に塗布した上で乾燥または冷却してもよい。また、光拡散剤を配合した熱可塑性樹脂と、紫外線吸収剤や帯電防止剤を配合した熱可塑性樹脂を共押出成形してもよい。
これら異なる機能を有する層の厚さは各機能などに合わせて適宜調整すればよいが、通常、1〜50μm程度にすることができる。
本発明の光拡散板は、上記式(1)で表される架橋密度が0.001%以上、0.12%以下である架橋重合粒子を透明な熱可塑性樹脂中に分散させる工程;上記分散体をシート状に成形する工程;および、得られたシートを一軸延伸する工程;を含む方法により製造することができる。以下、当該本発明方法につき実施の順番に従って説明する。
本発明方法では、先ず、上記式(1)で表される架橋密度が0.001%以上、0.12%以下である架橋重合粒子を透明な熱可塑性樹脂中に分散させる。
かかる架橋密度を有する架橋重合粒子は、上述したように、架橋重合粒子を製造するに当たり単量体と架橋剤の使用量、また、架橋剤の分子量や架橋性官能基数を変更することにより調整することができる。より詳しくは、溶媒中に使用量などを調整した単量体と架橋剤を溶解または分散し、さらに過酸化物などの重合開始剤を加えて重合反応を行う。この際、単量体などの溶解性や分散性を高めるために界面活性剤を用いてもよい。溶媒は適宜選択して用いればよいが、例えば脱イオン水などの水系溶媒などを用いることができる。反応系における単量体などの濃度、反応温度や反応時間は、予備実験や実際の反応の進行状況を把握しつつ適宜調整すればよい。
架橋重合粒子としては、平均粒子径(50%累積径)が0.5μm以上、100μm以下であるものが好適である。架橋重合粒子の平均粒子径(50%累積径)が小さ過ぎても或いは大き過ぎても適切な光拡散効果が十分に得られない場合があり得るからである。当該平均粒子径(50%累積径)としては、0.8μm以上、80μm以下がより好ましく、1μm以上、50μm以下が特に好ましい。なお、平均粒子径(50%累積径)は常法により測定できる。例えばベックマン・コールター社製の「コールターマルチサイザーIII」などコールター原理を使用した精密粒度分布測定装置により粒度分布を測定し、その結果から求めればよい。
架橋重合粒子を透明熱可塑性樹脂中に分散させる方法としては一般的なものを用いることができる。例えば、透明熱可塑性樹脂を溶融温度以上に加熱して軟化させた後に架橋重合粒子を添加し、十分に攪拌混合すればよい。この際、本発明の重合架橋粒子は適度に重合されていることから、重合架橋粒子は透明熱可塑性樹脂中に溶融してしまうことはない。但し、過剰に加熱温度を高めると架橋密度によっては架橋重合粒子が変形することもあり得るので、加熱温度は溶融温度+5〜50℃程度とすることが好ましい。
次に、得られた分散体をシート成形する。成形方法は特に限定されないが、スピンコート法のように溶媒を用いると架橋重合粒子が変形や溶解するおそれがあるため、好適には押出成形法を用いる。即ち、上記分散体を溶融してシート状に押出し、さらにロール等を用いてシートとする。また、様々な表面形状を有するロールを用いることによって、シート表面をエンボス加工したり鏡面とすることも可能である。
なお、透明熱可塑性樹脂中に重合架橋粒子を分散させる工程とシート成形工程は、透明熱可塑性樹脂などの原料を押出成形機で加熱混合することにより一体的に実施することも可能である。
次いで得られたシートを延伸することによって、透明熱可塑性樹脂中に含まれる球状または略球状の架橋重合粒子を扁平な楕円形状とし且つ延伸方向に配向させる。延伸方法は特に制限されないが、例えば上記シート成形に用いたロールのうち最終ロールの間隙を狭めて圧力を高くしたり、また、最終ロールからのシートの引取り速度を高めるといった方法がある。
延伸倍率、即ち(延伸前におけるシート厚さ/延伸後におけるシート厚さ)×100(%)としては、120%以上が好ましい。120%以上であれば、より確実に球状または略球状の光分散剤を扁平な楕円形状とすることができ且つ延伸方向に配向させ得るからである。但し、過度に延伸すると光拡散板の強度が低下するおそれがあるので、好適には延伸倍率は400%以下、さらに好ましくは300%以下にする。なお、上記式における「延伸前におけるシート厚さ」は、延伸工程でロールを用いた場合は最終ロールの間隙としてもよい。
本発明のバックライトユニットは、上記光拡散板と冷陰極管を含み、光拡散剤の長軸方向の配向方向が冷陰極管の長さ方向と一致するように光拡散板と冷陰極管が配置されていることを特徴とする。
冷陰極管は一般的には管状である。よって、液晶ディスプレイ装置などの製造コストを低減すべく冷陰極管の数を減らすと、冷陰極管の長さ方向では問題は生じないが、冷陰極管の間で輝度の低下やランプイメージの問題が起こり得る。しかし本発明の光拡散板は光を特定方向へ選択的に分散させることができるので、冷陰極管の数を減らしても光の均一性を維持することができる。具体的には、本発明の光拡散板を光拡散剤の長軸方向の配向方向が冷陰極管の長さ方向と一致するように配置することにより、冷陰極管の長さ方向に直交する方向へ光を選択的に分散させることができ、結果として光の均一性を保つことができる。
よって、本発明の光拡散板および当該光拡散板を有するバックライトユニットは、液晶ディスプレイ装置などへ適用することによりその製造コストを低減することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例により制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
製造例1 本発明に係る架橋重合粒子の製造
攪拌機(特殊機化工業社製、T.K.ホモジナイザー)、窒素ガス導入管、還流冷却器および温度計を備えたフラスコへ、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム(第一工業製薬社製、商品名「ハイテノール(登録商標)NF−08」)1質量部を溶解した脱イオン水900部を入れた。さらに、メタクリル酸メチル99質量部、エチレングリコールジメタクリレート1質量部、およびラウリルパーオキサイド2質量部を加え、3500rpm、常温で3分間攪拌した。次いで、窒素ガスを吹き込みながら反応混合液が65℃になるまで加熱し、65℃で4時間架橋重合反応させた後、さらに75℃で2時間熟成させた。次に反応混合液を室温まで放冷し、濾過により架橋反応物を濾別した。得られた架橋反応物を熱風乾燥機(ヤマト科学社製)により65℃で20時間乾燥することにより架橋重合体微粒子を得た。当該微粒子の粒度分布を精密粒度分布測定装置(ベックマン・コールター社製、コールターマルチサイザーIII)で測定したところ、平均粒子径(50%累積径)は7.3μm、変動係数は40.5%であった。また、当該微粒子の架橋密度を式(1)により計算したところ、0.01であった。
攪拌機(特殊機化工業社製、T.K.ホモジナイザー)、窒素ガス導入管、還流冷却器および温度計を備えたフラスコへ、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム(第一工業製薬社製、商品名「ハイテノール(登録商標)NF−08」)1質量部を溶解した脱イオン水900部を入れた。さらに、メタクリル酸メチル99質量部、エチレングリコールジメタクリレート1質量部、およびラウリルパーオキサイド2質量部を加え、3500rpm、常温で3分間攪拌した。次いで、窒素ガスを吹き込みながら反応混合液が65℃になるまで加熱し、65℃で4時間架橋重合反応させた後、さらに75℃で2時間熟成させた。次に反応混合液を室温まで放冷し、濾過により架橋反応物を濾別した。得られた架橋反応物を熱風乾燥機(ヤマト科学社製)により65℃で20時間乾燥することにより架橋重合体微粒子を得た。当該微粒子の粒度分布を精密粒度分布測定装置(ベックマン・コールター社製、コールターマルチサイザーIII)で測定したところ、平均粒子径(50%累積径)は7.3μm、変動係数は40.5%であった。また、当該微粒子の架橋密度を式(1)により計算したところ、0.01であった。
製造例2 本発明に係る架橋重合粒子の製造
上記製造例1において、モノマーであるメタクリル酸メチル99質量部の代わりにメタクリル酸メチル70質量部とブチルアクリレート28質量部を用い、架橋剤であるエチレングリコールジメタクリレートを2質量部用い、乾燥を55℃で24時間行った以外は同様にして架橋重合体微粒子を得た。得られた架橋重合体微粒子の粒度分布を上記製造例1と同様に測定したところ、平均粒子径(50%累積径)は7.4μm、変動係数は40.2%であった。また、当該微粒子の架橋密度を式(1)により計算したところ、0.02であった。
上記製造例1において、モノマーであるメタクリル酸メチル99質量部の代わりにメタクリル酸メチル70質量部とブチルアクリレート28質量部を用い、架橋剤であるエチレングリコールジメタクリレートを2質量部用い、乾燥を55℃で24時間行った以外は同様にして架橋重合体微粒子を得た。得られた架橋重合体微粒子の粒度分布を上記製造例1と同様に測定したところ、平均粒子径(50%累積径)は7.4μm、変動係数は40.2%であった。また、当該微粒子の架橋密度を式(1)により計算したところ、0.02であった。
製造例3 本発明に係る架橋重合粒子の製造
上記製造例1において、モノマーであるメタクリル酸メチル99質量部の代わりにメタクリル酸メチル75質量部とブチルアクリレート14.5質量部を用い、架橋剤であるエチレングリコールジメタクリレートを0.5質量部用い、さらに硫黄系酸化防止剤(ADEKA社製、ペンタエリスチチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、商品名「アデカスタブ(登録商標)AO−412S」)0.5質量部を加えて架橋重合反応を行い、乾燥を60℃で24時間行った以外は同様にして架橋重合体微粒子を得た。得られた架橋重合体微粒子の粒度分布を上記製造例1と同様に測定したところ、平均粒子径(50%累積径)は7.6μm、変動係数は41.2%であった。また、当該微粒子の架橋密度を式(1)により計算したところ、0.001であった。
上記製造例1において、モノマーであるメタクリル酸メチル99質量部の代わりにメタクリル酸メチル75質量部とブチルアクリレート14.5質量部を用い、架橋剤であるエチレングリコールジメタクリレートを0.5質量部用い、さらに硫黄系酸化防止剤(ADEKA社製、ペンタエリスチチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、商品名「アデカスタブ(登録商標)AO−412S」)0.5質量部を加えて架橋重合反応を行い、乾燥を60℃で24時間行った以外は同様にして架橋重合体微粒子を得た。得られた架橋重合体微粒子の粒度分布を上記製造例1と同様に測定したところ、平均粒子径(50%累積径)は7.6μm、変動係数は41.2%であった。また、当該微粒子の架橋密度を式(1)により計算したところ、0.001であった。
製造例4 本発明に係る架橋重合粒子の製造
上記製造例1において、モノマーであるメタクリル酸メチル99質量部の代わりにブチルメタクリレート60質量部とブチルアクリレート30質量部を用い、架橋剤であるエチレングリコールジメタクリレートを10質量部用い、乾燥を100mmHg、40℃で24時間行った以外は同様にして架橋重合体微粒子を得た。得られた架橋重合体微粒子の粒度分布を上記製造例1と同様に測定したところ、平均粒子径(50%累積径)は7.8μm、変動係数は39.2%であった。また、当該微粒子の架橋密度を式(1)により計算したところ、0.1であった。
上記製造例1において、モノマーであるメタクリル酸メチル99質量部の代わりにブチルメタクリレート60質量部とブチルアクリレート30質量部を用い、架橋剤であるエチレングリコールジメタクリレートを10質量部用い、乾燥を100mmHg、40℃で24時間行った以外は同様にして架橋重合体微粒子を得た。得られた架橋重合体微粒子の粒度分布を上記製造例1と同様に測定したところ、平均粒子径(50%累積径)は7.8μm、変動係数は39.2%であった。また、当該微粒子の架橋密度を式(1)により計算したところ、0.1であった。
製造例5 本発明に係る架橋重合粒子の製造
上記製造例1において、モノマーであるメタクリル酸メチル99質量部の代わりにブチルメタクリレート98質量部を用い、架橋剤であるエチレングリコールジメタクリレートの代わりにトリメチロールプロパントリメチルメタクリレート2質量部用い、乾燥を50℃で24時間行った以外は同様にして架橋重合体微粒子を得た。得られた架橋重合体微粒子の粒度分布を上記製造例1と同様に測定したところ、平均粒子径(50%累積径)は7.8μm、変動係数は39.4%であった。また、当該微粒子の架橋密度を式(1)により計算したところ、0.0186であった。
上記製造例1において、モノマーであるメタクリル酸メチル99質量部の代わりにブチルメタクリレート98質量部を用い、架橋剤であるエチレングリコールジメタクリレートの代わりにトリメチロールプロパントリメチルメタクリレート2質量部用い、乾燥を50℃で24時間行った以外は同様にして架橋重合体微粒子を得た。得られた架橋重合体微粒子の粒度分布を上記製造例1と同様に測定したところ、平均粒子径(50%累積径)は7.8μm、変動係数は39.4%であった。また、当該微粒子の架橋密度を式(1)により計算したところ、0.0186であった。
製造例6
上記製造例1において、モノマーであるメタクリル酸メチルを99.92質量部用い、架橋剤であるエチレングリコールジメタクリレートを99.92質量部用いた以外は同様にして架橋重合体微粒子を得た。得られた架橋重合体微粒子の粒度分布を上記製造例1と同様に測定したところ、平均粒子径(50%累積径)は7.2μm、変動係数は40.3%であった。また、当該微粒子の架橋密度を式(1)により計算したところ、0.0008であった。
上記製造例1において、モノマーであるメタクリル酸メチルを99.92質量部用い、架橋剤であるエチレングリコールジメタクリレートを99.92質量部用いた以外は同様にして架橋重合体微粒子を得た。得られた架橋重合体微粒子の粒度分布を上記製造例1と同様に測定したところ、平均粒子径(50%累積径)は7.2μm、変動係数は40.3%であった。また、当該微粒子の架橋密度を式(1)により計算したところ、0.0008であった。
製造例7
上記製造例1において、モノマーであるメタクリル酸メチルを85質量部用い、架橋剤であるエチレングリコールジメタクリレートを15質量部用いた以外は同様にして架橋重合体微粒子を得た。得られた架橋重合体微粒子の粒度分布を上記製造例1と同様に測定したところ、平均粒子径(50%累積径)は7.4μm、変動係数は40.9%であった。また、当該微粒子の架橋密度を式(1)により計算したところ、0.15であった。
上記製造例1において、モノマーであるメタクリル酸メチルを85質量部用い、架橋剤であるエチレングリコールジメタクリレートを15質量部用いた以外は同様にして架橋重合体微粒子を得た。得られた架橋重合体微粒子の粒度分布を上記製造例1と同様に測定したところ、平均粒子径(50%累積径)は7.4μm、変動係数は40.9%であった。また、当該微粒子の架橋密度を式(1)により計算したところ、0.15であった。
実施例1〜7および比較例1〜3
上記製造例1〜7で得られた架橋重合粒子、透明熱可塑性樹脂および酸化防止剤を表1の割合で押出成形機(日立造船社製、SHT90、スクリュー径:90mm、L/D=32)に投入し、各透明熱可塑性樹脂の軟化温度以上の温度で十分に加熱混合した。表1中、「PC」はポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック社製、ユーピロンE2000FN)を示し、「PS」はポリスチレン樹脂(PSジャパン社製、SGP−10)を示し、「MS」はMS樹脂(新日鐵化学社製、エスチレンMS800)を示し、「COP」はシクロオレフィン樹脂(Ticona社製、TOPAS6013)を示す。また、酸化防止剤は、リン系酸化防止剤(チバスペシャリティケミカルズ社製、IRGAFOS168)を用いた。なお表中の下線部は本発明の規定範囲外であることを示す。
上記製造例1〜7で得られた架橋重合粒子、透明熱可塑性樹脂および酸化防止剤を表1の割合で押出成形機(日立造船社製、SHT90、スクリュー径:90mm、L/D=32)に投入し、各透明熱可塑性樹脂の軟化温度以上の温度で十分に加熱混合した。表1中、「PC」はポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック社製、ユーピロンE2000FN)を示し、「PS」はポリスチレン樹脂(PSジャパン社製、SGP−10)を示し、「MS」はMS樹脂(新日鐵化学社製、エスチレンMS800)を示し、「COP」はシクロオレフィン樹脂(Ticona社製、TOPAS6013)を示す。また、酸化防止剤は、リン系酸化防止剤(チバスペシャリティケミカルズ社製、IRGAFOS168)を用いた。なお表中の下線部は本発明の規定範囲外であることを示す。
上記で得られた配合物を、表2に示す成形条件で、同押出成形機を用いて一方の面がエンボス、他方の面が鏡面となるように3本のポリシングロールでシート状に成形して光拡散板を得た。押出成形機にはベントとギアポンプが付いており、3本のポリシングロールの径は300mmであり水平に設置されている。第3のポリシングロール速度に対する引取りロールの速度の比を調整し、第3ポリシングロールからの剥離時に表2の倍率で延伸した。表2中の延伸倍率は(A/B)×100(%)(A(mm)は第1ロールと第2ロールの間隙であり、B(mm)は延伸後得られた光拡散板の厚みである)を表す。なお、比較例3は延伸倍率が100%、即ち延伸しなかった例である。
実施例8
ポリカーボネート樹脂をベースとする上記配合例2の光拡散板用配合物100質量部に蛍光増白剤(チバスペシャリティーケミカル社製、ユビテックスOB)30ppmを添加し、押出成形機により200kg/時間で供給すると共に、メタクリル樹脂(三菱レーヨン社製、アクリペットMD001)100質量部と紫外線吸収剤(チバスペシャリティーケミカル社製、チヌピン360)3質量部および帯電防止剤(富士化成工業社製、TPAE−H471EP)10質量部を配合した混合物をサブ押出し機に15kg/時間で供給し、フィードブロックを通じてTダイから多層構造シートとして排出させた。この多層構造シートを上記実施例でも用いたポリシングロールユニットを介し、延伸倍率150%で延伸して、厚み2mmのポリカーボネートシートの両面に、光拡散剤が配合されていないメタクリル樹脂シートが配されている光拡散板を得た。
ポリカーボネート樹脂をベースとする上記配合例2の光拡散板用配合物100質量部に蛍光増白剤(チバスペシャリティーケミカル社製、ユビテックスOB)30ppmを添加し、押出成形機により200kg/時間で供給すると共に、メタクリル樹脂(三菱レーヨン社製、アクリペットMD001)100質量部と紫外線吸収剤(チバスペシャリティーケミカル社製、チヌピン360)3質量部および帯電防止剤(富士化成工業社製、TPAE−H471EP)10質量部を配合した混合物をサブ押出し機に15kg/時間で供給し、フィードブロックを通じてTダイから多層構造シートとして排出させた。この多層構造シートを上記実施例でも用いたポリシングロールユニットを介し、延伸倍率150%で延伸して、厚み2mmのポリカーボネートシートの両面に、光拡散剤が配合されていないメタクリル樹脂シートが配されている光拡散板を得た。
実施例9
上記実施例8においてメタクリル樹脂の代わりにポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック社製、ユーピロンE2000FN)を用いた以外は同様にして、厚み2mmのポリカーボネートシートの両面に、光拡散剤が配合されていないポリカーボネートシートが配されている光拡散板を得た。
上記実施例8においてメタクリル樹脂の代わりにポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック社製、ユーピロンE2000FN)を用いた以外は同様にして、厚み2mmのポリカーボネートシートの両面に、光拡散剤が配合されていないポリカーボネートシートが配されている光拡散板を得た。
試験例1
反射シートを有し、200mm平方の冷陰極管バックライト6本をランプピッチ32mmで平行に並べ、各光拡散板をその押出方向(光拡散剤の配向方向)が冷陰極管の長さ方向に平行となる様その上に装着し、分光放射輝度計(TOPCON社製、SR−3A)を用いて中央部の絶対輝度を測定した。次いで、デジタルカメラ(富士フィルム社製、FinePixA345、画素数:400万)を用いて50cmの距離で写真撮影し、得られた写真を面発光輝度解析ソフト(アイ・システム社製、Window−1)により光拡散板端部から10mm位置を基点とする100ポイント解析を行い、下記式で光の均整度を求めた。
光均整度={Lmin(輝度最小値)/Lmax(輝度最高値)}×100(%)
反射シートを有し、200mm平方の冷陰極管バックライト6本をランプピッチ32mmで平行に並べ、各光拡散板をその押出方向(光拡散剤の配向方向)が冷陰極管の長さ方向に平行となる様その上に装着し、分光放射輝度計(TOPCON社製、SR−3A)を用いて中央部の絶対輝度を測定した。次いで、デジタルカメラ(富士フィルム社製、FinePixA345、画素数:400万)を用いて50cmの距離で写真撮影し、得られた写真を面発光輝度解析ソフト(アイ・システム社製、Window−1)により光拡散板端部から10mm位置を基点とする100ポイント解析を行い、下記式で光の均整度を求めた。
光均整度={Lmin(輝度最小値)/Lmax(輝度最高値)}×100(%)
上記光均整度が80%未満である場合を×、80%以上85%未満を△、85%以上90%未満を○、90%以上を◎として表3に示す。
試験例2
変角光度計ゴニオメーター(日本電色社製、GC5000L)を用いて、各光拡散板の押出し流れ方向で測定した際のD50と、当該方向に直交する方向のD50を測定した。これらの差を偏光度として算出した。その値が5°未満の場合を×、5°以上7°未満を△、7°以上12°未満を○、12°以上を◎として表3に示す。
変角光度計ゴニオメーター(日本電色社製、GC5000L)を用いて、各光拡散板の押出し流れ方向で測定した際のD50と、当該方向に直交する方向のD50を測定した。これらの差を偏光度として算出した。その値が5°未満の場合を×、5°以上7°未満を△、7°以上12°未満を○、12°以上を◎として表3に示す。
上記結果の通り、光拡散剤を構成する架橋重合粒子の架橋密度が本発明の規定範囲よりも高い光拡散板(比較例2)と、延伸されていない光拡散板(比較例3)は、冷陰極管の長さ方向とこれに直交する方向での輝度差を解消することができず、均一な輝度を有するバックライトが得られない。その理由としては、これら光拡散板では光拡散剤が変形しておらず球状のままであり、光を全方向へ均一に散乱させてしまうことが考えられる。また、架橋重合粒子の架橋密度が本発明の規定範囲よりも低い光拡散板(比較例1)でも同様の結果となった。当該光拡散板では、おそらく透明熱可塑性樹脂中へ加熱混合する際に光分散剤がその形状を維持することができず、延伸後も光拡散剤が扁平な楕円形状となっていないか或いは配向しておらず、光を全方向へ均一に散乱させてしまうと考えられる。
それに対して光拡散剤を構成する架橋重合粒子の架橋密度が本発明の規定範囲内である光拡散板は、一軸延伸により光拡散剤が扁平な楕円形状となり且つ配向しており光を偏光させつつ分散させることができる。よって、冷陰極管の長さ方向と直交する方向へ光を選択的に散乱できることから、冷陰極管数が少ない場合であっても均一に光を分散させることが可能になる。よって本発明の光拡散板は極めて高い光分散性を有することが実証された。
Claims (6)
- 光拡散板を製造するための方法であって、
下記式(1)で表される架橋密度が0.001%以上、0.12%以下である架橋重合粒子を透明な熱可塑性樹脂中に分散させる工程;
上記分散体をシート状に成形する工程;および
得られたシートを一軸延伸する工程;
を含むことを特徴とする方法。 - 架橋重合粒子として、その50%累積径が0.5〜100μmであるものを用いる請求項1に記載の方法。
- 透明な熱可塑性樹脂シート中に光拡散剤が分散しているものであり;
上記光拡散剤は扁平な楕円形状を有するものであって、下記式(1)で表される架橋密度が0.001%以上、0.12%以下である架橋重合粒子からなり、且つその長軸方向が一方向に配向している光拡散層を含むことを特徴とする光拡散板。
- 光拡散剤が、さらに酸化防止剤を含む請求項3に記載の光拡散板。
- 光拡散層の少なくとも片面側に紫外線吸収剤および/または帯電防止剤を含有する層が形成されている請求項3または4に記載の光拡散板。
- 請求項3〜5のいずれか1項に記載の光拡散板と冷陰極管を含み、
光拡散剤の長軸方向の配向方向が冷陰極管の長さ方向と一致するように光拡散板と冷陰極管が配置されていることを特徴とするバックライトユニット。
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