JP5723090B2 - ポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる成形品 - Google Patents

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本発明はポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる成形品に関し、詳しくは、全光線透過率と拡散率と分散度の全てのバランスに優れ、かつ難燃性にも優れたポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる成形品に関する。
ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性、耐熱性、透明性に優れた熱可塑性樹脂として幅広い用途があり、さらに、無機ガラスに比較して軽量で、生産性にも優れているので、光拡散性を付与することにより、照明カバー、照明看板、透過型のスクリーン、各種ディスプレイ、液晶表示装置の光拡散シートなど、光拡散性の要求される用途に好適に使用できる。
ポリカーボネート樹脂に光拡散性を付与するためには、ガラス、シリカ、水酸化アルミニウム等の無機化合物の添加が提案されているが、成形加工時や押出加工時の熱安定性が低く、衝撃強度など機械的強度の低下が大きいという欠点がある。このような欠点を改良した光拡散性ポリカーボネート樹脂として、ポリメチルメタアクリレート等のアクリル樹脂粒子を配合したポリカーボネート樹脂組成物(例えば、特許文献1参照)が提案されているが、アクリル樹脂は、熱安定性が低いため成形加工時のガスや、成形品とした場合に黄変しやすいといった問題と有している。
アクリル樹脂に代えてポリオルガノシロキサン(シリコーン)樹脂粒子を添加することも提案されており、例えば特許文献2及び特許文献3では、ポリアルキルシルセスキオキサン粒子を配合したポリカーボネート樹脂が提案されており、透過率が低下、ヘイズが向上し、一定の拡散効果を発揮する。
しかしながら、近年要求される光学用途における拡散性ポリカーボネート樹脂組成物のスペックはますます厳しくなっており、また各用途においてその仕様やスペックは様々であるため、単にこのようなポリオルガノシロキサンを添加するだけではこれら各種分野での要求が全て満たされるものではない。
透過率と拡散率と分散度の全てのバランスに優れるポリカーボネート樹脂組成物が求められている。
特開平03−143950号公報 特許第3263795号公報 特許第4220829号公報
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、全光線透過率と拡散率と分散度の全てのバランスに優れ、かつ難燃性にも優れたポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる成形品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を達成すべく、鋭意検討を重ねた結果、ポリアルキルシルセスキオキサン粒子の平均の粒径が同じであってもその粒径分布は様々であり、この中で特定の粒径分布を有するものをポリカーボネート樹脂に特定量配合し、さらにこれと有機酸金属塩化合物とフッ素樹脂を特定量組合せて配合すると、全光線透過率と拡散率と分散度の全てのバランスに優れ、かつ難燃性にも優れたポリカーボネート樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、コールターカウンター法にて直径0.4〜12μmの範囲で測定した際の平均粒径が1〜3μmであり、かつその粒径分布の最大ピークが1〜3μmの範囲にあり、2番目の最大ピークが1〜2.47μmの範囲にあり、0.5〜1μmの範囲における個数基準頻度(%)が0.1〜8%であり、4〜11μmの範囲における体積基準頻度(%)が0.005〜2.5%であるポリアルキルシルセスキオキサン粒子(B)を0.35〜3質量部と、有機酸金属塩化合物(C)0.005〜1質量部およびフッ素樹脂(D)0.025〜0.45質量部を含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1発明において、ポリアルキルシルセスキオキサン粒子(B)が、ポリメチルシルセスキオキサンであることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1の発明において、有機酸金属塩化合物(C)が、有機スルホン酸のアルカリ金属塩であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第の発明において、有機スルホン酸のアルカリ金属塩が、含フッ素脂肪族スルホン酸のアルカリ金属塩であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第の発明において、含フッ素脂肪族スルホン酸のアルカリ金属塩が、パーフルオロブタンスルホン酸カリウムであることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1の発明において、さらに紫外線吸収剤(E)を、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.001〜1質量部含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1〜のいずれかに記載の発明のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる平均肉厚が0.5〜2mmの成形品が提供される。
さらに、本発明の第の発明によれば、第の発明において、成形品が照明カバーまたは光拡散板もしくはシートである成形品が提供される。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる成形品によれば、全光線透過率と拡散率と分散度の全てのバランスに優れ、かつ難燃性にも優れたポリカーボネート樹脂組成物及びそれからなる成形品を得ることができる。
本発明の実施例において使用したポリアルキルシルセスキオキサン粒子の粒径分布を示すチャート図である。
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は、以下に示す実施形態及び例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
[1.概要]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、平均粒径が1〜3μmで、かつその粒径分布の最大ピークと2番目の最大ピークが共に1〜3μmの範囲にあるポリアルキルシルセスキオキサン粒子(B)と、有機酸金属塩化合物(C)およびフッ素樹脂(D)を、特定量含有することを特徴とする。
[2.ポリカーボネート樹脂(A)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に用いるポリカーボネート樹脂の種類に制限は無い。また、ポリカーボネート樹脂は、1種類を用いてもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び任意の比率で併用してもよい。
なお、本発明におけるポリカーボネート樹脂は、下記一般式(1)で表される、炭酸結合を有する基本構造の重合体である。
Figure 0005723090
式(1)中、Xは一般には炭化水素であるが、種々の特性付与のためヘテロ原子、ヘテロ結合の導入されたXを用いてもよい。
また、ポリカーボネート樹脂は、炭酸結合に直接結合する炭素がそれぞれ芳香族炭素である芳香族ポリカーボネート樹脂、及び脂肪族炭素である脂肪族ポリカーボネート樹脂に分類できるが、いずれを用いることもできる。なかでも、耐熱性、機械的物性、電気的特性等の観点から、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。
ポリカーボネート樹脂の具体的な種類に制限は無いが、例えば、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを反応させてなるポリカーボネート重合体が挙げられる。この際、ジヒドロキシ化合物及びカーボネート前駆体に加えて、ポリヒドロキシ化合物等を反応させるようにしても良い。また、二酸化炭素をカーボネート前駆体として、環状エーテルと反応させる方法も用いても良い。またポリカーボネート重合体は、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。さらに、ポリカーボネート重合体は1種の繰り返し単位からなる単重合体であってもよく、2種以上の繰り返し単位を有する共重合体であってもよい。このとき共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体等、種々の共重合形態を選択することができる。なお、通常、このようなポリカーボネート重合体は、熱可塑性の樹脂となる。
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、芳香族ジヒドロキシ化合物の例を挙げると、
1,2−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン(即ち、レゾルシノール)、1,4−ジヒドロキシベンゼン等のジヒドロキシベンゼン類;
2,5−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等のジヒドロキシビフェニル類;
2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチル、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類;
2,2’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル、1,4−ビス(3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン等のジヒドロキシジアリールエーテル類;
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、
1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)(4−プロペニルフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルエタン、
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、
10−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、
等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルシクロヘキサン、
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,4−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−プロピル−5−メチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、
等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノール類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;等が挙げられる。
これらの中でもビス(ヒドロキシアリール)アルカン類が好ましく、中でもビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類が好ましく、特に耐衝撃性、耐熱性の点から2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)が好ましい。
なお、芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、脂肪族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーの例を挙げると、エタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール、2−メチル−2−プロピルプロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、デカン−1,10−ジオール等のアルカンジオール類;
シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)シクロヘキサノール、2,2,4,4−テトラメチル−シクロブタン−1,3−ジオール等のシクロアルカンジオール類;
2,2’−オキシジエタノール(即ち、エチレングリコール)、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、スピログリコール等のグリコール類;
1,2−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジメタノール、1,4−ベンゼンジメタノール、1,4−ベンゼンジエタノール、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2,3−ビス(ヒドロキシメチル)ナフタレン、1,6−ビス(ヒドロキシエトキシ)ナフタレン、4,4’−ビフェニルジメタノール、4,4’−ビフェニルジエタノール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、ビスフェノールAビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル、ビスフェノールSビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル等のアラルキルジオール類;
1,2−エポキシエタン(即ち、エチレンオキシド)、1,2−エポキシプロパン(即ち、プロピレンオキシド)、1,2−エポキシシクロペンタン、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,4−エポキシシクロヘキサン、1−メチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、2,3−エポキシノルボルナン、1,3−エポキシプロパン等の環状エーテル類;
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、カーボネート前駆体の例を挙げると、カルボニルハライド、カーボネートエステル等が使用される。なお、カーボネート前駆体は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
カルボニルハライドとしては、具体的には例えば、ホスゲン;ジヒドロキシ化合物のビスクロロホルメート体、ジヒドロキシ化合物のモノクロロホルメート体等のハロホルメート等が挙げられる。
カーボネートエステルとしては、具体的には例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリールカーボネート類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類;ジヒドロキシ化合物のビスカーボネート体、ジヒドロキシ化合物のモノカーボネート体、環状カーボネート等のジヒドロキシ化合物のカーボネート体等が挙げられる。
・ポリカーボネート樹脂の製造方法
ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、任意の方法を採用できる。その例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などを挙げることができる。以下、これらの方法のうち特に好適なものについて具体的に説明する。
・・界面重合法
まず、ポリカーボネート樹脂を界面重合法で製造する場合について説明する。界面重合法では、反応に不活性な有機溶媒及びアルカリ水溶液の存在下で、通常pHを9以上に保ち、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体(好ましくは、ホスゲン)とを反応させた後、重合触媒の存在下で界面重合を行うことによってポリカーボネート樹脂を得る。なお、反応系には、必要に応じて分子量調整剤(末端停止剤)を存在させるようにしてもよく、ジヒドロキシ化合物の酸化防止のために酸化防止剤を存在させるようにしてもよい。
ジヒドロキシ化合物及びカーボネート前駆体は、前述のとおりである。なお、カーボネート前駆体の中でもホスゲンを用いることが好ましく、ホスゲンを用いた場合の方法は特にホスゲン法と呼ばれる。
反応に不活性な有機溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素化炭化水素等;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;などが挙げられる。なお、有機溶媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
アルカリ水溶液に含有されるアルカリ化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物が挙げられるが、中でも水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが好ましい。なお、アルカリ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
アルカリ水溶液中のアルカリ化合物の濃度に制限は無いが、通常、反応のアルカリ水溶液中のpHを10〜12にコントロールするために、5〜10質量%で使用される。また、例えばホスゲンを吹き込むに際しては、水相のpHが10〜12、好ましくは10〜11になる様にコントロールするために、ビスフェノール化合物とアルカリ化合物とのモル比を、通常1:1.9以上、中でも1:2.0以上、また、通常1:3.2以下、中でも1:2.5以下とすることが好ましい。
重合触媒としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリヘキシルアミン等の脂肪族三級アミン;N,N’−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N’−ジエチルシクロヘキシルアミン等の脂環式三級アミン;N,N’−ジメチルアニリン、N,N’−ジエチルアニリン等の芳香族三級アミン;トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩等;ピリジン;グアニン;グアニジンの塩;等が挙げられる。なお、重合触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
分子量調節剤としては、例えば、一価のフェノール性水酸基を有する芳香族フェノール;メタノール、ブタノールなどの脂肪族アルコール;メルカプタン;フタル酸イミド等が挙げられるが、中でも芳香族フェノールが好ましい。このような芳香族フェノールとしては、具体的に、m−メチルフェノール、p−メチルフェノール、m−プロピルフェノール、p−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−長鎖アルキル置換フェノール等のアルキル基置換フェノール;イソプロパニルフェノール等のビニル基含有フェノール;エポキシ基含有フェノール;0−オキシン安息香酸、2−メチル−6−ヒドロキシフェニル酢酸等のカルボキシル基含有フェノール;等が挙げられる。なお、分子量調整剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
分子量調節剤の使用量は、ジヒドロキシ化合物100モルに対して、通常0.5モル以上、好ましくは1モル以上であり、また、通常50モル以下、好ましくは30モル以下である。分子量調整剤の使用量をこの範囲とすることで、ポリカーボネート樹脂組成物の熱安定性及び耐加水分解性を向上させることができる。
反応の際に、反応基質、反応媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。例えば、カーボネート前駆体としてホスゲンを用いた場合には、分子量調節剤はジヒドロキシ化合物とホスゲンとの反応(ホスゲン化)の時から重合反応開始時までの間であれば任意の時期に混合できる。
なお、反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は通常は数分(例えば、10分)〜数時間(例えば、6時間)である。
・・溶融エステル交換法
次に、ポリカーボネート樹脂を溶融エステル交換法で製造する場合について説明する。溶融エステル交換法では、例えば、炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応を行う。
ジヒドロキシ化合物は、前述の通りである。
一方、炭酸ジエステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−tert−ブチルカーボネート等の炭酸ジアルキル化合物;ジフェニルカーボネート;ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネートなどが挙げられる。中でも、ジフェニルカーボネート及び置換ジフェニルカーボネートが好ましく、特にジフェニルカーボネートがより好ましい。なお、炭酸ジエステルは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの比率は所望のポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であるが、ジヒドロキシ化合物1モルに対して、炭酸ジエステルを等モル量以上用いることが好ましく、中でも1.01モル以上用いることがより好ましい。なお、上限は通常1.30モル以下である。このような範囲にすることで、末端水酸基量を好適な範囲に調整できる。
ポリカーボネート樹脂では、その末端水酸基量が熱安定性、加水分解安定性、色調等に大きな影響を及ぼす傾向がある。このため、公知の任意の方法によって末端水酸基量を必要に応じて調整してもよい。エステル交換反応においては、通常、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物との混合比率;エステル交換反応時の減圧度などを調整することにより、末端水酸基量を調整したポリカーボネート樹脂を得ることができる。なお、この操作により、通常は得られるポリカーボネート樹脂の分子量を調整することもできる。
炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物との混合比率を調整して末端水酸基量を調整する場合、その混合比率は前記の通りである。
また、より積極的な調整方法としては、反応時に別途、末端停止剤を混合する方法が挙げられる。この際の末端停止剤としては、例えば、一価フェノール類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類などが挙げられる。なお、末端停止剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
溶融エステル交換法によりポリカーボネート樹脂を製造する際には、通常、エステル交換触媒が使用される。エステル交換触媒は任意のものを使用できる。なかでも、例えばアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を用いることが好ましい。また補助的に、例えば塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物などの塩基性化合物を併用してもよい。なお、エステル交換触媒は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
溶融エステル交換法において、反応温度は通常100〜320℃である。また、反応時の圧力は通常2mmHg以下の減圧条件である。具体的操作としては、前記の条件で、芳香族ヒドロキシ化合物等の副生成物を除去しながら、溶融重縮合反応を行えばよい。
溶融重縮合反応は、バッチ式、連続式の何れの方法でも行うことができる。バッチ式で行う場合、反応基質、反応媒、触媒、添加剤等を混合する順番は、所望の芳香族ポリカーボネート樹脂が得られる限り任意であり、適切な順番を任意に設定すればよい。ただし中でも、ポリカーボネート樹脂及びポリカーボネート樹脂組成物の安定性等を考慮すると、溶融重縮合反応は連続式で行うことが好ましい。
溶融エステル交換法においては、必要に応じて、触媒失活剤を用いても良い。触媒失活剤としてはエステル交換触媒を中和する化合物を任意に用いることができる。その例を挙げると、イオウ含有酸性化合物及びその誘導体などが挙げられる。なお、触媒失活剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
触媒失活剤の使用量は、前記のエステル交換触媒が含有するアルカリ金属又はアルカリ土類金属に対して、通常0.5当量以上、好ましくは1当量以上であり、また、通常10当量以下、好ましくは5当量以下である。更には、芳香族ポリカーボネート樹脂に対して、通常1ppm以上であり、また、通常100ppm以下、好ましくは20ppm以下である。
・ポリカーボネート樹脂に関するその他の事項
ポリカーボネート樹脂の分子量は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、溶液粘度から換算した粘度平均分子量[Mv]は、通常10000以上、好ましくは16000以上、より好ましくは18000以上であり、また、通常40000以下、好ましくは30000以下である。粘度平均分子量を前記範囲の下限値以上とすることにより本発明のポリカーボネート樹脂組成物の機械的強度をより向上させることができ、機械的強度の要求の高い用途に用いる場合により好ましいものとなる。一方、粘度平均分子量を前記範囲の上限値以下とすることにより本発明のポリカーボネート樹脂組成物の流動性低下を抑制して改善でき、成形加工性を高めて成形加工を容易に行えるようになる。なお、粘度平均分子量の異なる2種類以上のポリカーボネート樹脂を混合して用いてもよく、この場合には、粘度平均分子量が上記の好適な範囲外であるポリカーボネート樹脂を混合してもよい。
なお、粘度平均分子量[Mv]とは、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度20℃での極限粘度[η](単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式、すなわち、η=1.23×10−4Mv0.83、から算出される値を意味する。また極限粘度[η]とは、各溶液濃度[C](g/dl)での比粘度[ηsp]を測定し、下記式により算出した値である。
Figure 0005723090
ポリカーボネート樹脂の末端水酸基濃度は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、通常1000ppm以下、好ましくは800ppm以下、より好ましくは600ppm以下である。これにより本発明のポリカーボネート樹脂組成物の滞留熱安定性及び色調をより向上させることができる。また、その下限は、特に溶融エステル交換法で製造されたポリカーボネート樹脂では、通常10ppm以上、好ましくは30ppm以上、より好ましくは40ppm以上である。これにより、分子量の低下を抑制し、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の機械的特性をより向上させることができる。
なお、末端水酸基濃度の単位は、ポリカーボネート樹脂の重量に対する、末端水酸基の重量をppmで表示したものである。その測定方法は、四塩化チタン/酢酸法による比色定量(Macromol.Chem.88 215(1965)に記載の方法)である。
ポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネート樹脂単独(ポリカーボネート樹脂単独とは、ポリカーボネート樹脂の1種のみを含む態様に限定されず、例えば、モノマー組成や分子量が互いに異なる複数種のポリカーボネート樹脂を含む態様を含む意味で用いる。)で用いてもよく、ポリカーボネート樹脂と他の熱可塑性樹脂とのアロイ(混合物)とを組み合わせて用いてもよい。さらに、例えば、難燃性や耐衝撃性をさらに高める目的で、ポリカーボネート樹脂を、シロキサン構造を有するオリゴマーまたはポリマーとの共重合体;熱酸化安定性や難燃性をさらに向上させる目的でリン原子を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;熱酸化安定性を向上させる目的で、ジヒドロキシアントラキノン構造を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;光学的性質を改良するためにポリスチレン等のオレフィン系構造を有するオリゴマーまたはポリマーとの共重合体;耐薬品性を向上させる目的でポリエステル樹脂オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;等の、ポリカーボネート樹脂を主体とする共重合体として構成してもよい。
また、成形品の外観の向上や流動性の向上を図るため、ポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネートオリゴマーを含有していてもよい。このポリカーボネートオリゴマーの粘度平均分子量[Mv]は、通常1500以上、好ましくは2000以上であり、また、通常9500以下、好ましくは9000以下である。さらに、含有されるポリカーボネートリゴマーは、ポリカーボネート樹脂(ポリカーボネートオリゴマーを含む)の30質量%以下とすることが好ましい。
さらにポリカーボネート樹脂は、バージン原料だけでなく、使用済みの製品から再生されたポリカーボネート樹脂(いわゆるマテリアルリサイクルされたポリカーボネート樹脂)であってもよい。前記の使用済みの製品としては、例えば、光学ディスク等の光記録媒体;導光板;自動車窓ガラス、自動車ヘッドランプレンズ、風防等の車両透明部材;水ボトル等の容器;メガネレンズ;防音壁、ガラス窓、波板等の建築部材などが挙げられる。また、製品の不適合品、スプルー、ランナー等から得られた粉砕品またはそれらを溶融して得たペレット等も使用可能である。
ただし、再生されたポリカーボネート樹脂は、本発明のポリカーボネート樹脂組成物に含まれるポリカーボネート樹脂のうち、80質量%以下であることが好ましく、中でも50質量%以下であることがより好ましい。再生されたポリカーボネート樹脂は、熱劣化や経年劣化等の劣化を受けている可能性が高いため、このようなポリカーボネート樹脂を前記の範囲よりも多く用いた場合、色相や機械的物性を低下させる可能性があるためである。
[3.ポリアルキルシルセスキオキサン粒子(B)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、平均粒径が1〜3μmで、かつその粒径分布の最大ピークと2番目の最大ピークが共に1〜3μmの範囲にあるポリアルキルシルセスキオキサン粒子(B)を、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.35〜3質量部含有する。このようなポリアルキルシルセスキオキサン粒子を、このような量配合することで、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の優れた光拡散性と光透過率を達成することができる。
ポリオルガノシルセスキオキサンは、RSiO1.5(Rは一価の有機基)で示される3官能性シロキサン単位(以下、「T単位」ということがある。)を有するポリオルガノシロキサンをいい、全シロキサン単位の合計100モル%中、50モル%以上のものをいう。T単位の割合は、より好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上、最も好ましくは100モル%である。
本発明のポリオルガノシルセスキオキサン粒子は、上記T単位のほかに、RSiO0.5(Rは一価の有機基)で表される1官能性シロキサン単位(以下、「M単位」ということがある。)を含有してもよい。このようにM単位を含有することで、ポリオルガノシルセスキオキサン粒子自体の耐熱性が向上し、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の色相が良好なものになり、またポリカーボネート樹脂への分散性が向上し、均一な光学性能を有するポリカーボネート樹脂組成物が得られやすくなるというメリットが得られる。
ポリオルガノシルセスキオキサンに結合する有機基Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基等の炭素数1〜20アルキル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基、フェニル基、トリル基、およびキシリル基等のアリール基、フェニルエチル基およびフェニルプロピル基等のアラルキル基などが好ましく挙げられる。なかでも、ポリオルガノシルセスキオキサンとしては、ポリアルキルシルセスキオキサンが、ポリカーボネート樹脂との屈折率差が大きく、拡散効果が向上する傾向にあり、さらには耐熱性にも優れる傾向にある為好ましく、特にポリメチルシルセスキオキサンシロキサンが好ましい。
本発明においては、ポリアルキルシルセスキオキサン粒子は、平均粒径が1〜3μmで、かつその粒径分布の最大ピークと2番目の最大ピークが共に1〜3μmの範囲にあるものを使用する。平均粒径が、1μm未満では、得られるポリカーボネート樹脂組成物の光拡散性は向上せず、一方で輝度を下げてしまう。3μmを超えると、光拡散効果も低下し、輝度も下がってしまう。
本発明において、粒径および粒径分布の測定は、コールターカウンター法にて行われる。コールカウンター法は、サンプル粒子を懸濁させた電解質を細孔(アパチャ−)に通過させ、そのときに粒子の体積に比例して発生する電圧パルスの変化を読み取って粒子径を定量するもので、また電圧パルス高を1個ずつ計測処理して、サンプル粒子の体積分布ヒストグラムを得ることができる。このようなコールカウンター法による粒径又は粒径分布測定は、粒度分布測定装置として最も多用されているものである。
本発明においては、ポリアルキルシルセスキオキサン粒子の粒径測定は、極めて小さい微小粒子と極めて大きい極大粒子の影響を排除し、信頼性が高く、再現性の高いデータを担保するため、直径0.4〜12μmの範囲で測定を行うことで定義される。
本発明に使用するポリアルキルシルセスキオキサン粒子は、平均粒径が1〜3μmである。そして、その粒径分布が2つ以上の複数のピークを有しており、その最大ピークとその2番目の最大ピークが粒径1〜3μmの範囲にあることが必要である。平均粒径が1〜3μmであっても、その最大ピーク(以下、「P」ということがある。)と2番目の最大ピーク(以下、「P」ということがある。)が粒径1〜3μmの範囲にないと、光拡散率や分散度が悪くなる。
また、ポリアルキルシルセスキオキサン粒子は、粒径0.5〜1μmの範囲における個数基準頻度(%)が、0.1〜8%であることが好ましく、さらには0.5〜5%であることが好ましい。さらにポリアルキルシルセスキオキサン粒子は、粒径4〜11μmの範囲における体積基準頻度(%)が、0.005〜2.5%であることが好ましく、さらには0.05〜2%であることが好ましい。このように粒径0.5〜1μmのものの量を小さくし、また、粒径4〜11μmのものをこのような範囲とすることで、光拡散効果と透過率をさらに向上することができる。
さらには、前記最大ピーク(P)に対する2番目の最大ピーク(P)の割合(P/P)が、0.2〜0.95であることが好ましく、特には、0.2〜0.8であることが好ましい。このようにすることで、拡散効果と透過率をさらに向上できる。前記のピークの割合が、0.2未満の場合は、照明部材として特に必要な特性である分散度が低下する傾向にあるため好ましくない。また、0.95以下とすることでさらに分散度が高まる傾向にある。このように、2つ以上のピークを適度な割合で含むポリオルガノシロキサン粒子を含有することで、ポリカーボネート樹脂中への分散性が特異的に高まり効率的に拡散性能を高めることができる。
上記したような好ましいポリアルキルシルセスキオキサンの製造するための方法は、公知であり、例えば特開平01−217039号公報に記載されるように、オルガノトリアルコキシシランを酸性条件下で加水分解してオルガノシラントリオールの水/アルコール溶液に、アルカリ性水溶液を添加、混合し、静置状態において、オルガノシラントリオールを重縮合させることによって得られる。
粒径の調整は、主にアルカリの水溶液のpHの調整によって行うことができ、小さい粒子を得ようとすればpHを高く、大きい粒子を得ようとすればpHを低くすることで粒子径の制御が可能であり、縮合反応は通常アルカリ添加後0.5〜10時間、好ましくは0.5〜5時間の範囲で行われ、縮合物が熟成されるが、熟成時の攪拌を弱くして、粒子の会合を防止することで、粒径および粒径分布の調整が可能である。さらに、得られたポリアルキルシルセスキオキサン粒子を更に粉砕して粒度を調整してもよい。また、ポリアルキルシルセスキオキサン粒子は、その製造者に所望の粒径と分布のスペックを指定することでも、入手可能である。
ポリアルキルシルセスキオキサン粒子(B)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.35〜3質量部であり、好ましくは0.35〜2質量部、より好ましくは0.4〜1.5質量部である。ポリアルキルシルセスキオキサン粒子の使用割合が0.35質量部未満の場合は、ポリカーボネート樹脂の光拡散性を向上させる効果が充分に得られず、使用割合が3質量部を超える場合は、ポリカーボネート樹脂の透過率の著しい低下を招き、また外観不良も生じる。
[4.有機酸金属塩化合物(C)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、有機酸金属塩化合物を、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、0.005〜1質量部含有する。このように有機酸金属塩化合物を含有することで、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の難燃性を向上させることができる。
有機酸金属塩化合物の含有量が0.005質量部より少ないと、得られるポリカーボネート樹脂組成物の難燃性が不十分となり、逆に1質量部を超えるとポリカーボネート樹脂の熱安定性の低下、並びに、ポリカーボネート樹脂組成物の成形品の外観不良及び機械的強度の低下が生ずる。含有量の下限は、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上、特に好ましくは0.75質量部以上であり、上限は、好ましくは0.75質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下、特に好ましくは0.3質量部以下である。
有機酸金属塩化合物が有する金属の種類としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属であることが好ましい。本発明のポリカーボネート樹脂組成物の燃焼時の炭化層形成を促進し、難燃性をより高めることができると共に、ポリカーボネート樹脂が有する耐衝撃性等の機械的物性、耐熱性、電気的特性などの性質を良好に維持できるからである。したがって、金属塩化合物としては、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属塩化合物が好ましく、なかでもアルカリ金属塩がより好ましい。
有機酸金属塩化合物としては、例えば、有機スルホン酸金属塩、有機スルホンアミドの金属塩、有機カルボン酸金属塩、有機ホウ酸金属塩、有機リン酸金属塩等が挙げられる。なかでも、ポリカーボネート樹脂と混合した場合の熱安定性の点から、有機スルホン酸金属塩、有機スルホンアミドの金属塩、有機リン酸金属塩が好ましく、有機スルホン酸金属塩が特に好ましい。
有機スルホン酸金属塩の例を挙げると、有機スルホン酸リチウム(Li)塩、有機スルホン酸ナトリウム(Na)塩、有機スルホン酸カリウム(K)塩、有機スルホン酸ルビジウム(Rb)塩、有機スルホン酸セシウム(Cs)塩、有機スルホン酸マグネシウム(Mg)塩、有機スルホン酸カルシウム(Ca)塩、有機スルホン酸ストロンチウム(Sr)塩、有機スルホン酸バリウム(Ba)塩、等が挙げられる。このなかでも特に、有機スルホン酸ナトリウム(Na)塩、有機スルホン酸カリウム(K)塩、有機スルホン酸セシウム(Cs)塩等の有機スルホン酸アルカリ金属塩が好ましい。
有機酸金属塩化合物のうち、好ましいものの例としては、含フッ素脂肪族スルホン酸又は芳香族スルホン酸の金属塩、芳香族スルホンアミドの金属塩が挙げられる。そのなかでも好ましいものの具体例を挙げると、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム、パーフルオロブタンスルホン酸リチウム、パーフルオロブタンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロブタンスルホン酸セシウム等の、分子中に少なくとも1つのC−F結合を有する含フッ素脂肪族スルホン酸のアルカリ金属塩;パーフルオロブタンスルホン酸マグネシウム、パーフルオロブタンスルホン酸カルシウム、パーフルオロブタンスルホン酸バリウム、トリフルオロメタンスルホン酸マグネシウム、トリフルオロメタンスルホン酸カルシウム、トリフルオロメタンスルホン酸バリウム等の、分子中に少なくとも1つのC−F結合を有する含フッ素脂肪族スルホン酸のアルカリ土類金属塩;等の、含フッ素脂肪族スルホン酸金属塩、
ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、(ポリ)スチレンスルホン酸ナトリウム、パラトルエンスルホン酸ナトリウム、(分岐)ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、トリクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸カリウム、スチレンスルホン酸カリウム、(ポリ)スチレンスルホン酸カリウム、パラトルエンスルホン酸カリウム、(分岐)ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム、トリクロロベンゼンスルホン酸カリウム、ベンゼンスルホン酸セシウム、(ポリ)スチレンスルホン酸セシウム、パラトルエンスルホン酸セシウム、(分岐)ドデシルベンゼンスルホン酸セシウム、トリクロロベンゼンスルホン酸セシウム等の、分子中に少なくとも1種の芳香族基を有する芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩;パラトルエンスルホン酸マグネシウム、パラトルエンスルホン酸カルシウム、パラトルエンスルホン酸ストロンチウム、パラトルエンスルホン酸バリウム、(分岐)ドデシルベンゼンスルホン酸マグネシウム、(分岐)ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム等の、分子中に少なくとも1種の芳香族基を有する芳香族スルホン酸のアルカリ土類金属塩;等の、芳香族スルホン酸金属塩等、
ビス(トリフルオロメタン)スルホニルイミドリチウム、ビス(トリフルオロメタン)スルホニルイミドナトリウム、ビス(トリフルオロメタン)スルホニルイミドカリウム、ビス(ノナフルオロブタン)スルホニルイミドリチウム、ビス(ノナフルオロブタン)スルホニルイミドナトリウム、ビス(ノナフルオロブタン)スルホニルイミドカリウム、トリフルオロメタン(ペンタフルオロエタン)スルホニルイミドカリウム、トリフルオロメタン(ノナフルオロブタン)スルホニルイミドナトリウム、トリフルオロメタン(ノナフルオロブタン)スルホニルイミドカリウム、トリフルオロメタン等の、鎖状含フッ素脂肪族スルホンアミドのアルカリ金属塩;シクロ−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミドリチウム、シクロ−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミドナトリウム、シクロ−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミドカリウム等の、環状含フッ素脂肪族スルホン酸イミドのアルカリ金属塩;等の、含フッ素脂肪族スルホン酸イミドの金属塩等、
サッカリンのナトリウム塩、N−(p−トリルスルホニル)−p−トルエンスルホイミドのカリウム塩、N−(N’−ベンジルアミノカルボニル)スルファニルイミドのカリウム塩、N−(フェニルカルボキシル)−スルファニルイミドのカリウム塩等の、分子中に少なくとも1種の芳香族基を有する芳香族スルホン酸イミドのアルカリ金属塩;等の、芳香族スルホン酸イミドの金属塩等が挙げられる。
上述した例示物のなかでも、含フッ素脂肪族スルホン酸のアルカリ金属塩、芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩がより好ましく、含フッ素脂肪族スルホン酸のアルカリ金属塩が特に好ましく、パーフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ金属塩がさらに好ましく、具体的にはパーフルオロブタンスルホン酸カリウム等が好ましい。
なお、金属塩化合物は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
[5.フッ素樹脂(D)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、フッ素樹脂を、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、0.025〜0.45質量部含有する。このようにフッ素樹脂を含有することで、ポリカーボネート樹脂組成物の溶融特性を改良することができ、具体的には燃焼時の滴下防止性を向上させることができる。
フッ素樹脂の含有量は、0.025質量部より少ないと、フッ素樹脂による難燃性向上効果が不十分であり、0.45質量部を超えると、ポリカーボネート樹脂組成物を成形した成形品の外観不良や機械的強度、及び透過率の低下が生じる。含有量の下限は、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.075質量部以上であり、また、含有量の上限は、好ましくは0.4質量部以下、特に好ましくは0.3質量部以下である。
フッ素樹脂としては、なかでもフルオロオレフィン樹脂が好ましい。フルオロオレフィン樹脂は、通常フルオロエチレン構造を含む重合体あるいは共重合体であり、具体例としては、ジフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合樹脂等が挙げられるが、なかでもテトラフルオロエチレン樹脂が好ましい。
また、このフッ素樹脂としては、フィブリル形成能を有するものが好ましく、具体的には、フィブリル形成能を有するフルオロオレフィン樹脂が挙げられる。このように、フィブリル形成能を有することで、燃焼時の滴下防止性が著しく向上する傾向にある。
フィブリル形成能を有するフルオロオレフィン樹脂としては、例えば、三井・デュポンフロロケミカル社製「テフロン(登録商標)6J」、ダイキン化学工業社製「ポリフロン(登録商標)F201L」、「ポリフロン(登録商標)F103」、「ポリフロン(登録商標)FA500」などが挙げられる。さらに、フルオロオレフィン樹脂の水性分散液の市販品として、例えば、三井デュポンフロロケミカル社製「テフロン(登録商標)30J」、ダイキン化学工業社製「フルオン(登録商標)D−1」等が挙げられる。
さらに、有機重合体被覆フルオロオレフィン樹脂も好適に使用することができる。有機重合体被覆フルオロオレフィン樹脂を用いることで、分散性が向上し、成形体の表面外観が向上し、表面異物を抑制できる。有機重合体被覆フルオロオレフィン樹脂は、公知の種々の方法により製造でき、例えば(1)ポリフルオロエチレン粒子水性分散液と有機系重合体粒子水性分散液とを混合して、凝固またはスプレードライにより粉体化して製造する方法、(2)ポリフルオロエチレン粒子水性分散液存在下で、有機系重合体を構成する単量体を重合した後、凝固またはスプレードライにより粉体化して製造する方法、(3)ポリフルオロエチレン粒子水性分散液と有機系重合体粒子水性分散液とを混合した分散液中で、エチレン性不飽和結合を有する単量体を乳化重合した後、凝固またはスプレードライにより粉体化して製造する方法、等が挙げられる。
フルオロオレフィン樹脂を被覆する有機系重合体としては、特に制限されるものではなく、このような有機系重合体を生成するための単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、tert−ブチルスチレン、o−エチルスチレン、p−クロロスチレン、o−クロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、p−メトキシスチレン、o−メトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体;
アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸トリデシル、メタクリル酸トリデシル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オクタデシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体;
無水マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸;N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体;
グリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有単量体;
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル系単量体;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル系単量体;
エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン系単量体;
ブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジエン等のジエン系単量体等を挙げることができる。なお、これらの単量体は、単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
なかでもフルオロオレフィン樹脂を被覆する有機系重合体を生成するための単量体としては、ポリカーボネート樹脂に配合する際の分散性の観点から、ポリカーボネート樹脂との親和性が高いものが好ましく、芳香族ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、シアン化ビニル系単量体がより好ましい。
また、有機重合体被覆フルオロオレフィン樹脂中のフルオロオレフィン樹脂の含有比率は、通常30質量%以上、好ましくは35質量%以上、より好ましくは40質量%以上、特に好ましくは45質量%以上であり、通常95質量%以下、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、特に好ましくは75質量%以下である。有機重合体被覆フルオロオレフィン樹脂中のフルオロオレフィン樹脂の含有比率を、上述の範囲とすることで、難燃性と成形体外観のバランスに優れる傾向にあるため好ましい。
このような有機重合体被覆フルオロオレフィン樹脂としては、具体的には、三菱レイヨン社製「メタブレン(登録商標)A−3800」、GEスペシャリティケミカル社製「ブレンデックス(登録商標)449」、PIC社製「Poly TS AD001」等が挙げられる。
なお、フッ素樹脂は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
[6.紫外線吸収剤(E)]
本発明の組成物には、紫外線吸収剤を配合するのが好ましい。紫外線吸収剤としては、例えば、酸化セリウム、酸化亜鉛などの無機紫外線吸収剤;ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、サリシレート化合物、シアノアクリレート化合物、トリアジン化合物、オギザニリド化合物、マロン酸エステル化合物、ヒンダードアミン化合物などの有機紫外線吸収剤などが挙げられる。これらのうち、有機紫外線吸収剤が好ましく、中でもベンゾトリアゾール化合物がより好ましい。有機紫外線吸収剤を選択することで、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の透明性や機械物性が良好なものになる。
ベンゾトリアゾール化合物の具体例としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等が挙げられ、なかでも2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]が好ましく、特に2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールが好ましい。
このようなベンゾトリアゾール化合物としては、具体的には例えば、シプロ化成社製(商品名、以下同じ)「シーソーブ701」、「シーソーブ702」、「シーソーブ703」、「シーソーブ704」、「シーソーブ705」、「シーソーブ709」、共同薬品社製「バイオソーブ520」、「バイオソーブ580」、「バイオソーブ582」、「バイオソーブ583」、ケミプロ化成社製「ケミソーブ71」、「ケミソーブ72」、サイテックインダストリーズ社製「サイアソーブUV5411」、アデカ社製「LA−32」、「LA−38」、「LA−36」、「LA−34」、「LA−31」、チバスペシャリティケミカルズ社製「チヌビンP」、「チヌビン234」、「チヌビン326」、「チヌビン327」、「チヌビン328」等が挙げられる。
紫外線吸収剤の好ましい含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、また、1質量部以下、好ましくは0.5質量部以下である。紫外線吸収剤の含有量が前記範囲の下限値以下の場合は、耐候性の改良効果が不十分となる可能性があり、紫外線吸収剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、モールドデボジット等が生じ、金型汚染を引き起こす可能性がある。なお、紫外線吸収剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
[7.その他の添加剤]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、更に種々の添加剤を含有していても良い。このような添加剤としては、熱安定剤、酸化防止剤、離型剤、染顔料、蛍光増白剤、滴下防止剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などが挙げられる。
・熱安定剤
熱安定剤としては、例えばリン系化合物が挙げられる。リン系化合物としては、公知の任意のものを使用できる。具体例を挙げると、リン酸、ホスホン酸、亜燐酸、ホスフィン酸、ポリリン酸などのリンのオキソ酸;酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、酸性ピロリン酸カルシウムなどの酸性ピロリン酸金属塩;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸セシウム、リン酸亜鉛など第1族または第10族金属のリン酸塩;有機ホスフェート化合物、有機ホスファイト化合物、有機ホスホナイト化合物などが挙げられる。
なかでも、トリフェニルホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノノニル/ジノニル・フェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリステアリルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等の有機フォスファイトが好ましい。
熱安定剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.03質量部以上であり、また、通常1質量部以下、好ましくは0.7質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下である。熱安定剤が少なすぎると熱安定効果が不十分となる可能性があり、熱安定剤が多すぎると効果が頭打ちとなり経済的でなくなる可能性がある。
・酸化防止剤
酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられる。その具体例としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエート、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン,2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール等が挙げられる。
なかでも、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。
酸化防止剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上であり、また、通常1質量部以下、好ましくは0.5質量部以下である。酸化防止剤の含有量が前記範囲の下限値以下の場合は、酸化防止剤としての効果が不十分となる可能性があり、酸化防止剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、効果が頭打ちとなり経済的でなくなる可能性がある。
・離型剤
離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが挙げられる。
脂肪族カルボン酸としては、例えば、飽和または不飽和の脂肪族一価、二価または三価カルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸とは、脂環式のカルボン酸も包含する。これらの中で好ましい脂肪族カルボン酸は炭素数6〜36の一価または二価カルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和一価カルボン酸がさらに好ましい。かかる脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸などが挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルにおける脂肪族カルボン酸としては、例えば、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、アルコールとしては、例えば、飽和または不飽和の一価または多価アルコールが挙げられる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基などの置換基を有していてもよい。これらの中では、炭素数30以下の一価または多価の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の脂肪族又は脂環式飽和一価アルコールまたは脂肪族飽和多価アルコールがさらに好ましい。
かかるアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャ−トロプシュワックス、炭素数3〜12のα−オレフィンオリゴマー等が挙げられる。なお、ここで脂肪族炭化水素としては、脂環式炭化水素も含まれる。
これらの中では、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスまたはポリエチレンワックスの部分酸化物が好ましく、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスがさらに好ましい。
また、前記の脂肪族炭化水素の数平均分子量は、好ましくは5,000以下である。
離型剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上であり、また、通常2質量部以下、好ましくは1質量部以下である。離型剤の含有量が前記範囲の下限値以下の場合は、離型性の効果が十分でない場合があり、離型剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、耐加水分解性の低下、射出成形時の金型汚染などが生じる可能性がある。
[ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法に制限はなく、公知のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法を広く採用でき、ポリカーボネート樹脂及びポリアルキルシルセスキオキサン粒子、並びに、必要に応じて配合されるその他の成分を、例えばタンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどの混合機で溶融混練する方法が挙げられる。
[成形品]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、通常、任意の形状に成形して成形品(樹脂組成物成形体)として用いる。成形方法の例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法などが挙げられる。また、ホットランナー方式を使用した成形法を用いることも出来る。成形品の形状、模様、色彩、寸法などに制限はなく、その成形品の用途に応じて任意に設定すればよい。
本発明の組成物を成形した好ましい成形品としては、各種照明カバー、照明看板、透過形のスクリーン、各種ディスプレイ、液晶表示装置の光拡散シートや光拡散板が挙げられ、中でも液晶表示装置に用の光拡散シートや光拡散板として、特には、大型液晶テレビ用拡散板として、好適に用いることができる。
また、照明カバーとしては、例えば、蛍光ランプや白熱電球のカバーやランプシェード、浴室灯、シャンデリア、スタンド、ブラケット、行燈、シーリングライト、ペンダント型ライト、ガレージライト、軒下灯、門柱灯、ポーチライト、ガーデンライト、エントランスライト、足元灯、階段灯、誘導灯、防犯灯、ダウンライト、ベースライト、電飾看板、サイン灯等のカバー、及び自動車、自動二輪車等をはじめとする車両用灯具向けのカバー等に好適に用いることができる。特に、LEDや有機EL等の放熱量の少ない光源を用いる照明器具に好適に用いることができる。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
(実施例1〜10、比較例1〜6)
[ポリカーボネート樹脂(A)]
ポリカーボネート樹脂として、以下の2種類(A1)、(A2)を使用した。
ポリカーボネート樹脂(A1)
三菱エンジニアリングプラスチックス社製商品名ユーピロンE−2000
粘度平均分子量:26,000
ビスフェノールを出発原料とし界面重合法で製造した芳香族ポリカーボネート樹脂
ポリカーボネート樹脂(A2)
三菱エンジニアリングプラスチックス社製商品名ノバレックスM7027BFJ
粘度平均分子量:27,000
ビスフェノールを出発原料とし溶融エステル交換法で製造した芳香族ポリカーボネート樹脂
[ポリアルキルシルセスキオキサン粒子(B)]
以下の表1に示すポリアルキルシルセスキオキサン粒子B1〜B4を準備した。
Figure 0005723090
なお、ポリアルキルシルセスキオキサン粒子の粒径及び粒径分布の測定は、コールターカウンター法にて、ベックマン・コールタール株式会社の粒度分布測定装置Multisizer4を使用し、分散媒ISOTON II、アパチャー径20μm、分散剤エタノール、超音波3分の条件で行った。
ポリアルキルシルセスキオキサン粒子B1〜B4の粒径分布チャートを、図1に示す。B1〜B3のポリアルキルシルセスキオキサン粒子は、かつその粒径分布の最大ピークと2番目の最大ピークがいずれも1〜3μmの範囲にあることが分かる。
[有機酸金属塩化合物(C)、フッ素樹脂(D)、紫外線吸収剤(E)及びその他添加剤成分(F1〜F2)]
有機酸金属塩化合物(C)、フッ素樹脂(D)、紫外線吸収剤(E)及びその他添加剤成分(F1〜F2)として、下記表2に記載したものを使用した。
Figure 0005723090
[樹脂組成物ペレットの製造]
上記した各成分(A)〜(F)を、ただし紫外線吸収剤(成分(E))はポリカーボネート樹脂(成分(A))と予めヘンシェルミキサーで予備混合して2質量%のマスターバッチとして使用して、後記表4及び表5に記した割合(質量%)で配合し、タンブラーにて20分混合した後、1ベントを備えた日本製鋼所社製二軸押出機(TEX30HSST)に供給し、スクリュー回転数200rpm、吐出量15kg/時間、バレル温度290℃の条件で混練し、ストランド状に押出された溶融樹脂を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化し、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
[試験片の作製]
上述の製造方法で得られたペレットを120℃で5時間乾燥させた後、日本製鋼所製のJ50−EP型射出成形機を用いて、シリンダー温度290℃、金型温度80℃、成形サイクル30秒の条件で射出成形し、平板状試験片(90mm×50mm×1−2−3mmの3段厚み)及びUL試験片(長さ125mm×幅13mm×厚さ1.2mm)を成形した。
これらの試験片を用いて、全光線透過率、拡散特性及び難燃性の評価を行った。
各評価方法は以下のとおりである。
[全光線透過率]
JIS K−7105に準じ、上述の平板状試験片(1−2−3mmの3段厚み)を試験片とし、日本電色工業社製のNDH−2000型濁度計を用い、1mm厚み及び2mm厚みの全光線透過率(単位「%」)を測定した。なお、表4及び表5中、「透過率」と表記する。
[拡散特性]
上述の平板状試験片(1−2−3mmの3段厚み)を試験片とし、MURAKAMI
COLOR RESEARCH LABORATORY社製のGP−5 GONIOPHOTOMETERを用い、入射光:0°、煽り角:0°、受光範囲:0°〜90°、光束絞り:2.0、受光絞り:3.0の条件で1mm厚み及び2mm厚みの輝度を測定し、下記の式により拡散率(%)を求めた。なお、表4中、「拡散率」と表記する。
拡散率%={(20°の輝度値+70°の輝度値)/(5°の輝度値×2)}×100
また、0°の輝度に対して、輝度が半減する角度を分散度(°)として求めた。分散度が高いほど、光拡散性が高く、照明カバーにした場合に、光源の光をより拡散し、より広範囲において照度を保て、かつ光源の視認性が低下する効果もある為好ましい。
なお、表4、表5においては、「分散度」と表記する。
[難燃性評価]
各ポリカーボネート樹脂組成物の難燃性の評価は、上述の方法で得られたUL試験用試験片を温度23℃、湿度50%の恒温室の中で48時間調湿し、米国アンダーライターズ・ラボラトリーズ(UL)が定めているUL94試験(機器の部品用プラスチック材料の燃焼試験)に準拠して行なった。UL94Vとは、鉛直に保持した所定の大きさの試験片にバーナーの炎を10秒間接炎した後の残炎時間やドリップ性から難燃性を評価する方法であり、V−0、V−1及びV−2の難燃性を有するためには、以下の表3に示す基準を満たすことが必要となる。
Figure 0005723090
ここで残炎時間とは、着火源を遠ざけた後の、試験片の有炎燃焼を続ける時間の長さである。また、ドリップによる綿着火とは、試験片の下端から約300mm下にある標識用の綿が、試験片からの滴下(ドリップ)物によって着火されるかどうかによって決定される。さらに、5試料のうち、1つでも上記基準を満たさないものがある場合、V−2を満足しないとしてNR(not rated)と評価した。
評価結果を表4および表5に示す。
Figure 0005723090
Figure 0005723090
光拡散性能の差は特に1mm厚みの試験片の場合に顕著になるものであるが、表4に示す実施例1〜10から、本発明の粒径と粒径分布を満足するポリアルキルシルセスキオキサン粒子(B1〜B3)を所定量含有したポリカーボネート樹脂組成物は、全光線透過率と拡散率と分散度に優れ、難燃性にも優れることがわかる。
一方、本発明の粒径と粒径分布を満足しないポリアルキルシルセスキオキサン粒子(B4)を配合した比較例5や、その配合量が本発明の範囲を満たさない比較例1〜4は、全光線透過率と拡散率と分散度が劣ることがわかる。また、フッ素樹脂を含まない比較例では難燃性がV−2と悪いことが分かる。
したがって、上記の実施例及び比較例から、全光線透過率と拡散率と分散度に優れ、難燃性も優れるという効果は、本発明の構成によりはじめて得られるものであることが確認された。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物によれば、全光線透過率と拡散率と分散度の全てのバランスに優れ、かつ難燃性にも優れたポリカーボネート樹脂成形材料が得られるので、各種照明カバー、照明看板、透過形のスクリーン、各種ディスプレイ、液晶表示装置の光拡散シートや光拡散板などの広範囲の分野に利用でき、産業上の利用性は非常に高い。

Claims (8)

  1. ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、コールターカウンター法にて直径0.4〜12μmの範囲で測定した際の平均粒径が1〜3μmであり、かつその粒径分布の最大ピークが1〜3μmの範囲にあり、2番目の最大ピークが1〜2.47μmの範囲にあり、0.5〜1μmの範囲における個数基準頻度(%)が0.1〜8%であり、4〜11μmの範囲における体積基準頻度(%)が0.005〜2.5%であるポリアルキルシルセスキオキサン粒子(B)を0.35〜3質量部と、有機酸金属塩化合物(C)0.005〜1質量部およびフッ素樹脂(D)0.025〜0.45質量部を含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
  2. ポリアルキルシルセスキオキサン粒子(B)が、ポリメチルシルセスキオキサンであることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 有機酸金属塩化合物(C)が、有機スルホン酸のアルカリ金属塩であることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 有機スルホン酸のアルカリ金属塩が、含フッ素脂肪族スルホン酸のアルカリ金属塩であることを特徴とする請求項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  5. 含フッ素脂肪族スルホン酸のアルカリ金属塩が、パーフルオロブタンスルホン酸カリウムであることを特徴とする請求項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  6. さらに紫外線吸収剤(E)を、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.001〜1質量部含有することを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる平均肉厚が0.5〜2mmの成形品。
  8. 成形品が、照明カバーまたは光拡散板もしくはシートであることを特徴とする請求項に記載の成形品。
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