JP5205357B2 - ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法及び成形品 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法及びこれにより得られた成形品に関し、さらに詳しくは、難燃性、燃焼時の滴下防止性に優れ、かつブツの発生が改良されたポリカーボネート樹脂組成物を製造する方法及びそれにより得られた成形品に関する。
ポリカーボネート樹脂は、耐熱性、機械的物性、電気的特性に優れた樹脂であり、例えば自動車材料、電気電子機器材料、住宅材料、照明器具材料、その他の工業分野における部品製造用材料等に幅広く利用されている。特に、難燃化されたポリカーボネート樹脂組成物は、コンピューター、ノートブック型パソコン、携帯電話、プリンター、複写機等のOA・情報機器、照明器具等の部材として好適に使用されている。
ポリカーボネート樹脂に難燃性を付与する手段としては、従来、ハロゲン系難燃剤やリン系難燃剤をポリカーボネート樹脂に配合することがなされてきた。しかし、塩素や臭素を含有するハロゲン系難燃剤を配合したポリカーボネート樹脂組成物は、熱安定性の低下を招いたり、成形加工時における成形機のスクリューや成形金型の腐食を招いたりすることがあり、また、リン系難燃剤を配合したポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂の特徴である高い透明性を阻害したり、耐衝撃性、耐熱性の低下を招いたりするため、その用途が制限されることがあった。
加えて、ハロゲン系難燃剤及びリン系難燃剤は、製品の廃棄、回収時に環境汚染を惹起する可能性があるため、近年ではこれらの難燃剤を使用することなく難燃化することが望まれている。
これに対し、パーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ金属塩や芳香族スルホン酸ナトリウム等の有機アルカリ金属塩化合物及び有機アルカリ土類金属塩化合物に代表される金属塩化合物が難燃剤として使用されるようになってきており、ある程度の難燃効果が得られている。しかし、このような金属塩化合物によって得られる難燃効果は、未だ満足のいくレベルではなく、特に燃焼時の消火性や垂れ落ち防止性の点において不十分であった。
そこで、燃焼時消火性や垂れ落ち防止性を改良するものとして、テトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂を使用することが行われ、その効果発現はフッ素系樹脂のフィブリル構造形成に起因するものと考えられている。
しかしながら、このようなフッ素系樹脂をポリカーボネート樹脂に十分に分散させフィブリル形成さすことは、決して容易ではなく、通常の混合・溶融混練では均一な分散が得られにくく、フッ素系樹脂が凝集し成形品にいわゆるブツが発生して、製品外観を損なうという欠点があった。
特に、押出成形の場合には、押出圧が比較的低いためブツが発生しやすく、さらに、異形押出においては、押出時間が長く押出圧があまりかからないため、ブツ発生の問題は深刻な問題である。
滴下防止性と製品外観の向上を目的として、特許文献1および特許文献2には、ポリカーボネート樹脂と難燃剤を溶融混練し、この溶融混練物に、フッ素系樹脂を水性分散媒で分散させた水性ディスパージョンにして添加する提案がなされている。
しかしながら、この方法でもフッ素系樹脂の分散は決して十分ではなく、ブツが残りやすく、この点を改良することが強く望まれている。
特開平10−338814号公報 特開平11−92678号公報
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、難燃性、燃焼時の滴下防止性に優れ、かつブツの発生が改良された、フッ素系樹脂含有ポリカーボネート樹脂組成物を製造する方法及びそれにより得られた成形品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を達成すべく、鋭意検討を重ねた結果、顆粒状のポリカーボネート樹脂とフッ素系樹脂水性ディスパージョンを、ペレット状のポリカーボネート樹脂の存在下で混合し、得られた混合物にポリカーボネート樹脂を配合して溶融混練することによって、難燃性、燃焼時の滴下防止性に優れ、かつブツの発生が改良されたポリカーボネート樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、ポリカーボネート樹脂(A)とフィブリル形成能を有するフッ素系樹脂(B)を含有する樹脂組成物を製造する方法であって、顆粒状のポリカーボネート樹脂(A−1)と前記フッ素系樹脂の水性ディスパージョンをペレット状のポリカーボネート樹脂(A−2)の存在下で混合し、得られた混合物にポリカーボネート樹脂(A−3)を配合して溶融混練することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物の製造方法が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記ペレット状のポリカーボネート樹脂(A−2)の量は、ポリカーボネート樹脂組成物100質量%中、1〜20質量%であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物の製造方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1または第2の発明において、フッ素系樹脂(B)の量は、ポリカーボネート樹脂組成物100質量%中、0.01〜1質量%であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物の製造方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、顆粒状ポリカーボネート樹脂(A−1)とペレット状ポリカーボネート樹脂(A−2)と前記フッ素系樹脂(B)の合計量と、前記混合物に配合するポリカーボネート樹脂(A−3)との質量比が、10〜40:90〜60であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物の製造方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜5の発明に製造方法で得られたポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品が提供される。
さらにまた、本発明の第6の発明によれば、第5の発明において、成形品が異形押出成形品である成形品が提供される。
本発明の方法により発現する機構は定かではないが、顆粒状のポリカーボネート樹脂がフッ素樹脂水性ディスパージョンの水により部分的に濡れ締まってできたダマを、ミキシング中にポリカーボネート樹脂ペレットが粉砕することにより、フッ素樹脂の凝集が抑制され、得られた組成物の成形時においてもブツの形成が抑制されるものと推測している。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法によれば、難燃性、燃焼時の滴下防止性に優れ、かつブツの発生が改良されたポリカーボネート樹脂組成物を製造することができ、得られた樹脂組成物からの成形品はブツがなく製品外観に優れ、特にブツが発生しやすい異形押出品において外観不良の問題を解決する。
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は、以下に示す実施形態及び例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
[1.概要]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法は、顆粒状のポリカーボネート樹脂(A−1)とフィブリル形成能を有するフッ素系樹脂の水性ディスパージョンをペレット状のポリカーボネート樹脂(A−2)の存在下で混合し、得られた混合物にポリカーボネート樹脂(A−3)を配合して溶融混練することを特徴とする。
[2.ポリカーボネート樹脂(A−1)〜(A−3)]
本発明に使用する上記ポリカーボネート樹脂(A−1)、(A−2)及び(A−3)のポリカーボネート樹脂(A)としては、芳香族ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリカーボネート樹脂、芳香族−脂肪族ポリカーボネート樹脂が挙げられ、好ましくは、芳香族ポリカーボネート樹脂であり、具体的には、芳香族ジヒドロキシ化合物をホスゲン又は炭酸のジエステルと反応させることによって得られる熱可塑性芳香族ポリカーボネート重合体又は共重合体が用いられる。
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルなどが挙げられる。また、ジヒドロキシ化合物の一部として、上記の芳香族ジヒドロキシ化合物にスルホン酸テトラアルキルホスホニウムが1個以上結合した化合物、又はシロキサン構造を有する両末端フェノール性OH基含有のポリマーもしくはオリゴマー等を併用すると、難燃性の高いポリカーボネート樹脂を得ることができる。
本発明で用いるポリカーボネート樹脂の好ましい例としては、ジヒドロキシ化合物として2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、又は2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とを併用したポリカーボネート樹脂が挙げられる。
本発明で用いるポリカーボネート樹脂の分子量は、溶媒としてメチレンクロライドを用い、温度25℃で測定された溶液粘度より換算した粘度平均分子量で、通常14,000〜30,000、好ましくは18,000〜29,000である。粘度平均分子量がこの範囲にあると、成形性が良く、且つ機械的強度の大きい成形品を与える樹脂組成物が得られる。ポリカーボネート樹脂の最も好ましい分子量範囲は22,000〜28,000である。
ポリカーボネート樹脂の製造方法は、制限はないが、通常、界面重合法(ホスゲン法)及び溶融法(エステル交換法)のいずれの方法で製造される。
界面重合法における重合反応は、反応に不活性な有機溶媒、アルカリ水溶液の存在下で、通常pHを9以上に保ち、芳香族ジヒドロキシ化合物、ならびに、必要に応じて分子量調整剤(末端停止剤)および芳香族ジヒドロキシ化合物の酸化防止のための酸化防止剤を用い、ホスゲンと反応させた後、第三級アミンまたは第四級アンモニウム塩等の重合触媒を添加し、界面重合を行うことによってポリカ−ボネ−ト樹脂を得る。分子量調節剤の添加はホスゲン化時から重合反応開始時までの間であれば特に限定されない。なお、反応温度は、例えば、0〜40℃で、反応時間は、例えば、数分(例えば、10分)〜数時間(例えば、6時間)である。
ここで、反応に不活性な有機溶媒としては、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素化炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などが挙げられる。また、アルカリ水溶液に用いられるアルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物が挙げられる。
分子量調節剤としては、一価のフェノ−ル性水酸基を有する化合物が挙げられる。一価のフェノ−ル性水酸基を有する化合物としては、m−メチルフェノ−ル、p−メチルフェノ−ル、m−プロピルフェノ−ル、p−プロピルフェノ−ル、p−tert−ブチルフェノ−ルおよびp−長鎖アルキル置換フェノ−ルなどが挙げられる。分子量調節剤の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物100モルに対して、好ましくは50〜0.5モル、より好ましくは30〜1モルである。
重合触媒としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリヘキシルアミン、ピリジン等の第三級アミン類:トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩などが挙げられる。
次に溶融法について説明する。この製造方法における重合反応は、例えば、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応である。炭酸ジエステルとしては、ジメチルカ−ボネ−ト、ジエチルカ−ボネ−ト、ジ−tert−ブチルカ−ボネ−ト等の炭酸ジアルキル化合物、ジフェニルカ−ボネ−トおよびジトリルカ−ボネ−ト等の置換ジフェニルカ−ボネ−ト等が例示される。炭酸ジエステルは、好ましくはジフェニルカ−ボネ−トまたは置換ジフェニルカ−ボネ−トであり、より好ましくはジフェニルカ−ボネ−トである。
また芳香族ポリカーボネート樹脂においては、その末端水酸基量が製品ポリカーボネート樹脂の熱安定性、加水分解安定性、色調等に大きな影響を及ぼすので、従来公知の任意の方法によって、適宜調整してもよい。溶融エステル交換反応においては、通常、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物との混合比率や、エステル交換反応時の減圧度を調整して、所望の分子量および末端水酸基量を調整した芳香族ポリカーボネート樹脂を得ることができる。
通常、溶融エステル交換反応においては、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、炭酸ジエステルを等モル量以上用い、中でも1.001〜1.3モル、特に1.01〜1.2モル用いることが好ましい。また、より積極的な調整方法としては、反応時に別途、末端停止剤を添加する方法が挙げられ、この際の末端停止剤としては、一価フェノール類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類が挙げられる。
芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対する炭酸ジエステルのモル数を、1.001より多くすることによって、溶融法芳香族ポリカーボネート樹脂の末端OH基の増加を抑制し、熱安定性や耐加水分解性が向上する傾向となり、また1.3以内とすることで、溶融法芳香族ポリカーボネート樹脂の末端OH基は減少するが、同一条件下ではエステル交換反応の速度を維持し、所望の分子量を有する芳香族ポリカーボネート樹脂の製造が容易となる傾向があるので、好ましい。
本発明では、顆粒状のポリカーボネート樹脂(A−1)とフィブリル形成能を有するフッ素系樹脂の水性ディスパージョンをペレット状のポリカーボネート樹脂(A−2)の存在下で混合し、得られた混合物にポリカーボネート樹脂(A−3)を配合して溶融混練するが、(A−1)、(A−2)及び(A−3)の各成分は、それぞれ界面重合法によるものでも溶融法によるものでも、また両者を混合したものであってもよい。
しかし、界面重合法によって得られるポリカーボネート樹脂は、通常、顆粒状で重合装置から取り出されるので、本発明における顆粒状のポリカーボネート樹脂(A−1)成分として、好ましく使用することができる。
顆粒状ポリカーボネート樹脂(A−1)成分における顆粒状とは、ポリカーボネート樹脂粉体が凝集したものをいい、その形状は問わず、フレーク状といわれるものも含まれる。この顆粒状ポリカーボネート樹脂の嵩密度としては、通常、0.2〜0.9g/mlであり、より好ましくは0.3〜0.8g/ml、特に好ましくは0.4〜0.7g/mlである。
なお、当業界において、ペレット品との対比で「パウダー」と通称されるものも、このような嵩密度を有さない場合を除いて、この顆粒状ポリカーボネート樹脂に含まれる。
ここで嵩密度とは、以下の方法により求めた値である。
(1)ポリカーボネート樹脂を目開きが1.4mmの篩上に乗せ、ハケで均等に軽く掃きながら篩を通す。
(2)篩に通したポリカーボネート樹をJIS K5101に規定された嵩密度測定装置に付属する受器に山盛りになるまで投入する。
(3)受器の投入口から上部の山盛りになったポリカーボネート樹をヘラで削り取り、受器内のポリカーボネート樹の重量を測定し、下式にて嵩密度を算出する。
嵩密度(g/ml)=受器内の顆粒状珪酸塩化合物の重量(g)/受器の容量(ml)
また、顆粒状ポリカーボネート樹脂(A−1)の平均粒径は0.3〜2mmが好ましく、特に0.5〜1.5mmが望ましい。
(A−1)成分として、このような顆粒状のポリカーボネート樹脂を採用し、ペレット状のポリカーボネート樹脂(A−2)の存在下で混合することにより、フッ素系樹脂(B)の水性ディスパージョンの分散性をより向上させることができる。
ペレット状のポリカーボネート樹脂(A−2)成分は、前記したように界面重合法によるものでも溶融法によるものでも、また両者を混合したものであってもよいが、溶融法によるポリカーボネート樹脂は、通常ペレットとして製造され、また他の添加剤を分散性よく配合できるので、溶融法ポリカーボネート樹脂を使用するのが好ましい。
また、上記(A−1)成分及び(A−2)成分とフッ素系樹脂水性ディスパージョンの混合物に配合するポリカーボネート樹脂(A−3)成分は、同様に、界面重合法によるものでも溶融法によるものでも、また両者を混合したものでも、また顆粒状のものでもペレットでもよいが、溶融法によるポリカーボネート樹脂のペレットが上記(A−2)と同様の理由で好ましい。また、(A−3)成分は、(A−2)成分と同一のものを使用するのが好ましい。
さらに、(A−1)、(A−2)及び(A−3)成分のポリカーボネート樹脂は、それぞれ又は少なくとも一成分が、構造粘性指数Nが所定範囲にあるポリカーボネート樹脂を全量又は一定割合以上含有することが好ましい。すなわち、ポリカーボネート樹脂(A)中、通常20質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上含むことが望ましい。ポリカーボネート樹脂中の、所定Nポリカーボネート樹脂の含有量の上限に制限は無く、通常100質量%以下であるが、好ましくは90質量%以下であり、より好ましくは85質量%以下である。
構造粘性指数Nとは、文献「化学者のためのレオロジー」(化学同人、1982年、第15〜16頁)にも詳記されているように、溶融体の流動特性を評価する指標である。通常、ポリカーボネート樹脂の溶融特性は、数式:γ=a・σにより表示することができる。なお、前記式中、γ:剪断速度、a:定数、σ:応力、N:構造粘性指数、を表す。
上述の数式において、N=1のときはニュートン流動性を示し、Nの値が大きくなるほど非ニュートン流動性が大きくなる。つまり、構造粘性指数Nの大小により溶融体の流動特性が評価される。一般に、構造粘性指数Nが大きいポリカーボネート樹脂は、低剪断領域における溶融粘度が高くなる傾向がある。このため、構造粘性指数Nが大きいポリカーボネート樹脂を別のポリカーボネート樹脂と混合した場合、得られるポリカーボネート樹脂組成物の燃焼時の滴下を抑制し、難燃性を向上させることができる。ただし、得られるポリカーボネート樹脂組成物の成形性を良好な範囲に維持するためには、このポリカーボネート樹脂の構造粘性指数Nは過度に大きくないことが好ましい。
従って、本発明のポリカーボネート樹脂組成物におけるポリカーボネート樹脂は、構造粘性指数Nが、通常1.2以上、好ましくは1.25以上、より好ましくは1.28以上であり、また、通常1.8以下、好ましくは1.7以下のポリカーボネート樹脂であり、好ましくは芳香族ポリカーボネート樹脂を一定割合以上含有することが好ましい。
構造粘性指数Nが高いことは、ポリカーボネート樹脂が分岐鎖を有することを意味し、このように構造粘性指数Nが高いポリカーボネート樹脂を含有することにより、ポリカーボネート樹脂組成物の燃焼時の滴下を抑制し、難燃性を向上させることができる。
なお、「構造粘性指数N」は、例えば特開2005−232442号公報に記載されているように、上述の数式を誘導した、Logη=〔(1−N)/N〕×Logγ+Cによって表示することも可能である。 なお、前記式中、N:構造粘性指数、γ:剪断速度、C:定数、η:見かけの粘度、を表す。
この式から分かるように、粘度挙動が大きく異なる低剪断領域におけるγとηからN値を評価することもできる。例えば、γ=12.16sec−1及びγ=24.32sec−1でのηからN値を決定することができる。
構造粘性指数Nが1.2以上の芳香族ポリカーボネート樹脂は、例えば、特開平8−259687号公報、特開平8−245782号公報に記載されているように、溶融法(エステル交換法)によって芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを反応させる際、触媒の条件または製造条件を選択することにより、分岐剤を添加することなく、構造粘性指数が高く、加水分解安定性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂を得ることができる。
また、構造粘性指数Nが1.2以上の芳香族ポリカーボネート樹脂は、前述した界面重合法あるいは溶融法で製造する際に、分岐剤を使用する方法によって製造することもできる。分岐剤の具体例としては、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニルヘプテン−3、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどで示されるポリヒドロキシ化合物、また3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチンビスフェノール、5,7−ジクロルイサチンビスフェノール、5−ブロムイサチンビスフェノールなどが挙げられる。その使用量は芳香族ジヒドロキシ化合物に対して0.01〜10モル%の範囲であり、特に好ましくは0.1〜3モル%の範囲である。
構造粘性指数Nが1.2以上の芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は、メチレンクロライドを溶媒として用い、温度25℃で測定された溶液粘度より換算した粘度平均分子量が16,000〜30,000の範囲が好適である。
また、ポリカーボネート樹脂は、上述した構造粘性指数Nが1.2以上のポリカーボネート樹脂以外に、構造粘性指数Nが上記範囲外であるポリカーボネート樹脂を含んでいてもよい。その種類に制限は無いが、なかでも直鎖状ポリカーボネート樹脂が好ましい。これらを組み合わせることにより、得られるポリカーボネート樹脂組成物の難燃性(滴下防止性)と成形性(流動性)のバランスをとりやすいという利点が得られる。この観点から、ポリカーボネート樹脂(A)は、構造粘性指数Nが1.2以上のポリカーボネート樹脂と、直鎖状ポリカーボネート樹脂とから構成されるものを用いることが特に好ましい。なお、この直鎖状ポリカーボネート樹脂の構造粘性指数Nは通常1〜1.15程度である。
ポリカーボネート樹脂が直鎖状ポリカーボネート樹脂を含む場合、ポリカーボネート樹脂に占める直鎖状ポリカーボネート樹脂の割合は、通常80質量%以下、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下であり、また、通常0質量%より多く、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上である。ポリカーボネート樹脂中の直鎖状ポリカーボネート樹脂の含有量を上記範囲とすることにより、他の金属塩系難燃剤やその他の添加剤の良好な分散性が得られやすく、難燃性、成形性に優れるポリカーボネート樹脂が得られやすいという利点が得られる。
さらに、本発明で用いるポリカーボネート樹脂(A)は、バージン原料としてのポリカーボネート樹脂のみならず、使用済みの製品から再生されたポリカーボネート樹脂、いわゆるマテリアルリサイクルされたポリカーボネート樹脂であっても良い。
[3.フィブリル形成能を有するフッ素系樹脂(B)]
本発明のB成分として使用されるフッ素系樹脂は、樹脂組成物中に容易に分散し、かつ重合体同士を結合して繊維状構造を作る傾向を示すという滴下防止剤であり、フィブリル形成能を有するフッ素系樹脂である。フィブリル形成能を有するフッ素系樹脂樹の分子量は100万〜1000万の極めて高い分子量を有し、せん断力などの外的作用によりフッ素系樹脂同士を結合して繊維状になる傾向を示すものである。フッ素系樹脂としては、テトラフルオロエチレン(TFE)樹脂、パーフロロアルコキシ(PFA)樹脂、フッ化エチレンプロピレン(FEP)樹脂のことを示し、特に、ポリテトラフルオロエチレンが好ましい。
フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンとしては、例えば三井・デュポンフロロケミカル(株)製のテフロン(登録商標)6Jや、ダイキン化学工業(株)製のポリフロンが挙げられるが、本発明においては、フッ素系樹脂(B)は、その水性ディスパージョンの形態のものを用い、水の存在下において、顆粒状のポリカーボネート樹脂(A−1)と、ペレット状のポリカーボネート樹脂(A−2)の存在下で混合する。
水の存在下で混合することにより、フッ素系樹脂の凝集が抑制され、樹脂組成物中のフッ素系樹脂の分散が良好となり、ダマが発生せず、成形体表面にブツが発生しなくなる。
このディスパージョンは、通常乳化重合で得られたフッ素系樹脂ラテックスに、界面活性剤を加え、濃縮・安定化して製造された水性分散体である。水性ディスパージョン中のフッ素系樹脂の含有量は、20〜80質量%が、特には30〜70質量%であることが好ましい。また、フィブリル形成能を有するフッ素系樹脂は、その1次粒子径が0.05〜1.0μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5μmである。
そして、フッ素系樹脂(B)は、樹脂組成物中において、主に0.5ミクロン以下の太さのフィブリル状の形態をなし、フィブリルが、ネットワーク構造、及び、または、分岐状で存在することが好ましい。
ポリテトラフルオロエチレンの水性分散液として、三井デュポンフロロケミカル(株)製のテフロン(登録商標)30J、ダイキン化学工業(株)製のフルオンD−1や、ビニル系単量体を重合してなる多層構造を有するポリテトラフルオロエチレン重合体、例えば三菱レイヨン(株)製のメタブレンA−3800が挙げられる。
フッ素系樹脂(B)の配合量は、ポリカーボネート樹脂組成物100質量%中、0.01〜1質量%が好ましい、0.01質量%未満の場合、難燃性、滴下防止の効果が十分でなく、1質量%を越える場合、樹脂組成物の機械的強度および加工流動性が低下しやすく、また成形品の外観が悪化しやすく、より好ましくは0.03〜0.8質量%で、特に好ましくは0.05〜0.6質量%である。
[4.樹脂組成物の製造方法]
本発明においては、まず、前記した顆粒状ポリカーボネート樹脂(A−1)とフッ素系樹脂の水性ディスパージョンを、前記ペレット状ポリカーボネート樹脂(A−2)の存在下で混合する。
混合は、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、タンブラー、バンバリーミキサー、ターンブルミキサー、リボンブレンダー等の公知の混合装置を使用して均一に混合するが、なかでもスーパーミキサーのような高速撹拌型の混合機を使用するのが好ましく、その攪拌回転数は300〜1500rpm程度、時間は30秒〜5分程度が好ましい。
また、混合時のポリカーボネート樹脂の温度は、20℃〜80℃、さらに好ましくは20℃〜60℃の範囲に制御することが均一分散のために好ましい。温度が上昇しすぎると凝集が生起しやすい。また窒素などの不活性ガス雰囲気下に行うことも好ましい。
ペレット状ポリカーボネート樹脂(A−2)の量は、前記したように、ポリカーボネート樹脂組成物100質量%中、1〜20質量%が好ましく、より好ましくは2〜15質量%、特には3〜10質量%であり、また、フッ素系樹脂(B)の量は、ポリカーボネート樹脂組成物100質量%中、好ましくは0.01〜1質量%である。
この混合工程における(A−1)成分と(A−2)成分とフッ素系樹脂ディスパージョンの配合比は、5〜24:1〜15:0.2〜1.2が好ましく、より好ましくは6〜22:2〜12:0.3〜1.0である。水が存在しているためか、顆粒状ポリカーボネート樹脂が多すぎるとダマを発生しやすく、ペレット状ポリカーボネート樹脂が多すぎてもベタベタになりフィード性が悪くなり、フィードの定量性が悪化してしまう。
かくして得られた混合物は、さらに追加のポリカーボネート樹脂(A−3)が加えられ、一緒に溶融混練される。
溶融混練の方法は特に限定されるものではないが、フィブリル形成能を有するフッ素系樹脂とポリカーボネート樹脂の良好な分散をさらに達成するため、二軸の押出機を用いて溶融混練するのが好ましい。押出機のスクリュー形状は、通常のものでもよく、また、混練強化型のものでもよい。また、水性ディスパージョンの水分から発生する蒸気を最終的には脱気するため、ベントを有するものが好ましい。
押出機より押出された樹脂は、直接切断してペレット化するか、またはストランドを形成した後、ペレタイザーで切断してペレット化される。また、ペレットを経由することなく、押出機で溶融混練された樹脂を成形品にすることも可能である。
[5.他の難燃剤]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、前記(B)成分以外の他の難燃剤を配合することができる。かかる難燃剤としては、例えば、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、金属塩系難燃剤、無機フィラー系難燃剤が挙げられる。これらの中では、金属塩系難燃剤が好ましく、有機金属塩化合物がより好ましく、有機スルホン酸金属塩化合物が特に好ましい。有機スルホン酸金属塩化合物を選択することで、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の透明性や機械物性、熱物性が良好なものになる。
このような、有機スルホン酸金属塩化合物の中では、トリフルオロメタンスルホン酸カリウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム等の含フッ素脂肪族スルホン酸アルカリ金属塩や、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、(ポリ)スチレンスルホン酸ナトリウム、(ポリ)スチレンスルホン酸カリウム、パラトルエンスルホン酸ナトリウム、パラトルエンスルホン酸カリウム、パラトルエンスルホン酸セシウム、((分岐)ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、トリクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム等の芳香族スルホン酸アルカリ金属塩を好適に用いることができる。
難燃剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、通常0.01質量部以上、好ましくは0.03質量部以上であり、また、通常20質量部以下、好ましくは10質量部以下である。難燃剤の含有量が前記範囲の下限値以下の場合は、難燃性の改良効果が不十分となる可能性があり、難燃剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、透明性や機械物性、熱物性の低下を招く可能性がある。
さらに、難燃剤に金属塩化合物を選択する場合には、通常0.05質量部以上、1質量部以下とすることが特に好ましい。このような範囲とすることで、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の熱安定性、湿熱安定性が良好なものとなる。
[6.その他の成分]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、所望の諸物性を著しく損なわない限り、必要に応じて、上述したもの以外にその他の成分を配合してもよい。その他の成分の例を挙げると、ポリカーボネート樹脂以外の樹脂、各種樹脂添加剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
・その他の樹脂
その他の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT樹脂)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT樹脂)等の熱可塑性ポリエステル樹脂;
ポリスチレン樹脂(PS樹脂)、高衝撃ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレン系ゴム−スチレン共重合体(AES樹脂)等のスチレン系樹脂;
スチレン−ブタジエンゴム、イソブチレン−イソプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、アクリル系エラストマー、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)、メチルメタクリレート−アクリルゴム−スチレン共重合体(MAS)等のコア/シェル型のエラストマー、ポリエステル系エラストマー等のエラストマー;
ポリエチレン樹脂(PE樹脂)、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)、環状シクロオレフィン樹脂(COP樹脂)、環状シクロオレフィン共重合体(COP)樹脂等のポリオレフィン樹脂;
ポリアミド樹脂(PA樹脂);ポリイミド樹脂(PI樹脂);ポリエーテルイミド樹脂(PEI樹脂);ポリウレタン樹脂(PU樹脂);ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE樹脂);ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS樹脂);ポリスルホン樹脂(PSU樹脂);ポリメタクリレート樹脂(PMMA樹脂);等が挙げられる。
・樹脂添加剤
樹脂添加剤としては、例えば、光拡散剤、離型剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染顔料、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤、充填材などが挙げられる。なお、樹脂添加剤は1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
以下、本発明のポリカーボネート樹脂組成物に好適な添加剤の例について具体的に説明する。
・・光拡散剤
光拡散剤は、微粒子状の無機又は有機粒子であり、例えばガラス微粒子、ポリスチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、シリコーン樹脂等の有機微粒子があげられ、なかでも有機微粒子が好ましく、光拡散効果の点から微粒子は球状であるものが好ましい。
微粒子状の光拡散剤の好ましい平均粒径は0.1〜50μmであり、より好ましくは0.5〜30μmであり、特には1〜20μmのものである。
このような有機微粒子としては、ポリカーボネート樹脂の成形温度まで加熱してもポリカーボネート樹脂中に溶融しない、架橋した有機微粒子が好ましく、具体的には架橋した、(メタ)アクリル樹脂、シリコーン樹脂の有機微粒子である。具体例として、部分架橋したポリメタクリル酸メチルのポリマー微粒子、架橋シリコン樹脂粒子、シリコーンゴムをシリコーンレジンで被覆したシリコーンゴムパウダー等が挙げられる。
光拡散剤の好ましい含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部であり、0.2〜6質量部がより好ましい。光拡散剤の配合割合が0.1質量部より少ないと、照明器具部品の場合には、眩しさ低減効果が不十分となり、光拡散剤の配合量が多すぎると必要な照明輝度が得られなくなる。
・・離型剤
離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが挙げられる。
脂肪族カルボン酸としては、例えば、飽和または不飽和の脂肪族一価、二価または三価カルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸とは、脂環式のカルボン酸も包含する。これらの中で好ましい脂肪族カルボン酸は炭素数6〜36の一価または二価カルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和一価カルボン酸がさらに好ましい。かかる脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸などが挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルにおける脂肪族カルボン酸としては、例えば、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、アルコールとしては、例えば、飽和または不飽和の一価または多価アルコールが挙げられる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基などの置換基を有していてもよい。これらの中では、炭素数30以下の一価または多価の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の脂肪族又は脂環式飽和一価アルコールまたは脂肪族飽和多価アルコールがさらに好ましい。
かかるアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャ−トロプシュワックス、炭素数3〜12のα−オレフィンオリゴマー等が挙げられる。なお、ここで脂肪族炭化水素としては、脂環式炭化水素も含まれる。
これらの中では、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスまたはポリエチレンワックスの部分酸化物が好ましく、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスがさらに好ましい。
また、前記の脂肪族炭化水素の数平均分子量は、好ましくは5,000以下である。
離型剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上であり、また、通常2質量部以下、好ましくは1質量部以下である。離型剤の含有量が前記範囲の下限値以下の場合は、離型性の効果が十分でない場合があり、離型剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、耐加水分解性の低下、射出成形時の金型汚染などが生じる可能性がある。
・・熱安定剤
熱安定剤としては、例えばリン系化合物が挙げられる。リン系化合物としては、公知の任意のものを使用できる。具体例を挙げると、リン酸、ホスホン酸、亜燐酸、ホスフィン酸、ポリリン酸などのリンのオキソ酸;酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、酸性ピロリン酸カルシウムなどの酸性ピロリン酸金属塩;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸セシウム、リン酸亜鉛など第1族または第10族金属のリン酸塩;有機ホスフェート化合物、有機ホスファイト化合物、有機ホスホナイト化合物などが挙げられる。
なかでも、トリフェニルホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノノニル/ジノニル・フェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリステアリルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等の有機フォスファイトが好ましい。
このような、有機ホスファイト化合物としては、具体的には、例えば、アデカ社製(商品名、以下同じ)「アデカスタブ1178」、「アデカスタブ2112」、「アデカスタブHP−10」、城北化学工業社製「JP−351」、「JP−360」、「JP−3CP」、チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ社製「イルガフォス168」等が挙げられる。
なお、熱安定剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
熱安定剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.03質量部以上であり、また、通常1質量部以下、好ましくは0.7質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下である。熱安定剤が少なすぎると熱安定効果が不十分となる可能性があり、熱安定剤が多すぎると効果が頭打ちとなり経済的でなくなる可能性がある。
・・酸化防止剤
酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられる。その具体例としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエート、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン,2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール等が挙げられる。
なかでも、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。このようなフェノール系酸化防止剤としては、具体的には、例えば、チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ社製「イルガノックス1010」(登録商標、以下同じ)、「イルガノックス1076」、アデカ社製「アデカスタブAO−50」、「アデカスタブAO−60」等が挙げられる。
なお、酸化防止剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
酸化防止剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上であり、また、通常1質量部以下、好ましくは0.5質量部以下である。酸化防止剤の含有量が前記範囲の下限値以下の場合は、酸化防止剤としての効果が不十分となる可能性があり、酸化防止剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、効果が頭打ちとなり経済的でなくなる可能性がある。
・・紫外線吸収剤
紫外線吸収剤としては、例えば、酸化セリウム、酸化亜鉛などの無機紫外線吸収剤;ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、サリシレート化合物、シアノアクリレート化合物、トリアジン化合物、オギザニリド化合物、マロン酸エステル化合物、ヒンダードアミン化合物などの有機紫外線吸収剤などが挙げられる。これらの中では有機紫外線吸収剤が好ましく、ベンゾトリアゾール化合物がより好ましい。有機紫外線吸収剤を選択することで、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の透明性や機械物性が良好なものになる。
ベンゾトリアゾール化合物の具体例としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等が挙げられ、なかでも2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]が好ましく、特に2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールが好ましい。
このようなベンゾトリアゾール化合物としては、具体的には例えば、シプロ化成社製(商品名、以下同じ)「シーソーブ701」、「シーソーブ702」、「シーソーブ703」、「シーソーブ704」、「シーソーブ705」、「シーソーブ709」、共同薬品社製「バイオソーブ520」、「バイオソーブ580」、「バイオソーブ582」、「バイオソーブ583」、ケミプロ化成社製「ケミソーブ71」、「ケミソーブ72」、サイテックインダストリーズ社製「サイアソーブUV5411」、アデカ社製「LA−32」、「LA−38」、「LA−36」、「LA−34」、「LA−31」、チバスペシャリティケミカルズ社製「チヌビンP」、「チヌビン234」、「チヌビン326」、「チヌビン327」、「チヌビン328」等が挙げられる。
紫外線吸収剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、通常0.01質量部以上、好ましくは0.1質量部以上であり、また、通常3質量部以下、好ましくは1質量部以下である。紫外線吸収剤の含有量が前記範囲の下限値以下の場合は、耐候性の改良効果が不十分となる可能性があり、紫外線吸収剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、モールドデボジット等が生じ、金型汚染を引き起こす可能性がある。なお、紫外線吸収剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
・・染顔料
染顔料としては、例えば、無機顔料、有機顔料、有機染料などが挙げられる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、カドミウムレッド、カドミウムイエロー等の硫化物系顔料;群青などの珪酸塩系顔料;酸化チタン、亜鉛華、弁柄、酸化クロム、鉄黒、チタンイエロー、亜鉛−鉄系ブラウン、チタンコバルト系グリーン、コバルトグリーン、コバルトブルー、銅−クロム系ブラック、銅−鉄系ブラック等の酸化物系顔料;黄鉛、モリブデートオレンジ等のクロム酸系顔料;紺青などのフェロシアン系顔料などが挙げられる。
有機顔料および有機染料としては、例えば、銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系染顔料;ニッケルアゾイエロー等のアゾ系染顔料;チオインジゴ系、ペリノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系などの縮合多環染顔料;キノリン系、アンスラキノン系、複素環系、メチル系の染顔料などが挙げられる。
これらの中では、熱安定性の点から、酸化チタン、カーボンブラック、シアニン系、キノリン系、アンスラキノン系、フタロシアニン系染顔料などが好ましい。
なお、染顔料は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。また、染顔料は、押出時のハンドリング性改良、樹脂組成物中への分散性改良の目的のために、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂とマスターバッチ化されたものも用いてもよい。
染顔料の含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、通常5質量部以下、好ましくは3質量部以下、より好ましくは2質量部以下である。染顔料の含有量が多すぎると耐衝撃性が十分でなくなる可能性がある。
[7.成形品]
かくして得られた本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、製造されたペレットを各種の成形法で成形して成形品を製造することができる。またペレットを経由せずに、押出機で溶融混練された樹脂を直接、シートやフィルム、異型押出成形品、ブロー成形品あるいは射出成形品等にすることもできる。
成形品の製造方法は、特に限定されず、ポリカーボネート樹脂組成物について一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、異形押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法、ダイレクトブロー成形法、インジェクションブロー成形法などが挙げられる。
特に、樹脂圧があまり高くない成形、例えば押出成形や異形押出成形やシート成形において外観不良の問題を解決する。なかでも、押出機から吐出された溶融樹脂を所望の断面形状を付与するサイジングダイにより成形する、いわゆる異形押出成形は、樹脂圧が比較的低くまた押出の時間がゆっくりであるのでブツが発生しやすいが、本発明によって得られる組成物を用いることにより、ブツの発生が抑制され、外観の良好な成形品を短時間で製造できるので、工業的規模での生産性を向上することができる。
成形品の例を挙げると、照明機器、電気電子機器、OA機器、情報端末機器、機械部品、家電製品、車輌部品、建築部材、各種容器、レジャー用品・雑貨類、等の部品が挙げられる。これらの中でも、特に電気電子機器、OA機器、情報端末機器、家電製品等の部品に用いて好適であり、特に電気電子機器の部品に用いて好適である。
照明用機器としては、特にその形状や用途に制限はないが、特には各種の照明灯・照明器具のカバーとして使用でき、例えば、蛍光灯のカバーやカバーチューブ、自動販売機のランプカバー、ランプシェード、スタンド、ブラケット、シーリングライト、電飾看板、サイン灯等のカバー、及び自動車、自動二輪車等をはじめとする車両用灯具向けのカバー等に好適に用いることができる。また、LEDや有機EL等の放熱量の少ない光源を用いる照明器具のカバーにも好適に用いることができる。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
1.測定・評価法
[難燃性評価]
各ポリカーボネート樹脂組成物の難燃性の評価は、以下のように行った。
・燃焼試験片の成形
後述の方法で得られた樹脂組成物のペレットを120℃で5時間乾燥させた後、日本製鋼所製のJ50−EP型射出成形機を用いて射出成形し、長さ125mm、幅13mm、厚さ1.2mmのUL試験用試験片を成形した。
・UL試験
得られたUL試験用試験片を、温度23℃、湿度50%の恒温室の中で48時間調湿し、米国アンダーライターズ・ラボラトリーズ(UL)が定めているUL94試験(機器の部品用プラスチック材料の燃焼試験)に準拠して行なった。UL94Vとは、鉛直に保持した所定の大きさの試験片にバーナーの炎を10秒間接炎した後の残炎時間やドリップ性から難燃性を評価する方法であり、V−0、V−1及びV−2の難燃性を有するためには、以下の表1に示す基準を満たすことが必要となる。
Figure 0005205357
ここで残炎時間とは、着火源を遠ざけた後の、試験片の有炎燃焼を続ける時間の長さである。また、ドリップによる綿着火とは、試験片の下端から約300mm下にある標識用の綿が、試験片からの滴下(ドリップ)物によって着火されるかどうかによって決定される。さらに、5試料のうち、1つでも上記基準を満たさないものがある場合、V−2を満足しないとしてNR(not rated)と評価した。なお、表3中、「難燃性」と表記する。
[ブツ評価]
後述の方法で得られた樹脂組成物のペレットを120℃で5時間乾燥させた後、日本製鋼所製のJ50−EP型射出成形機を用いて射出成形し、長さ90mm、幅50mm、厚さ3mm、2mm、1mmの3段状の試験片を成形した。
透過光を用いた実体顕微鏡にて厚さ1mm部分を目視観察し、表面のブツを評価した。
◎ : ブツは認められなかった。
○ : ブツが若干認められた。
△ : ブツが明らかに認められ、製品として不充分であった。
× : ブツが全面に認められ、製品として不充分であった。
なお、表3中、「ブツ」と表記する。
[全光線透過率]
全光線透過率の評価はJIS K−7361−1に準拠し、上記で製造した1mm厚試験片につき、日本電色工業社製のNDH−2000型ヘイズメーターで測定した。全光線透過率は、樹脂の透明性を示す尺度として用い、数値が大きいほど透明性が高いことを示し好ましい。なお、表3中、「透過率」と表記する。
(実施例1〜5、比較例1〜4)
下記の表2に記した顆粒状ポリカーボネート樹脂(A−1)と、下記表3に記したフッ素系樹脂ディスパージョン(B)と、表2に記載のポリカーボネート樹脂(A−2)、さらに表3に記載した他の添加剤とを、後記表4に記載の量(最終組成物の質量%で表記)をスーパーミキサーに投入し、回転数500rpm、2分混合して、混合物を得た。
この混合物を、1ベントを備えた日本製鋼所社製二軸押出機(TEX−30XCT、完全かみ合い、同方向回転、2条ネジスクリュー)の第1フィーダーから、また表2に記載のポリカーボネート樹脂(A−3)を表4記載の量で第2フィーダーから、それぞれフィードし、スクリュー回転数150rpm、吐出量20kg/時間、バレル温度280℃の条件で溶融混練し、ストランド状に押出し、水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化し、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
得られたペレットを用い、前記した方法にて各種の試験片を成形した。各評価結果を表4に示した。
Figure 0005205357
Figure 0005205357
Figure 0005205357
表4に示した結果から、顆粒状ポリカーボネート樹脂(A−1)とフッ素系樹脂水性ディスパージョンとを、ペレット状のポリカーボネート樹脂(A−2)の存在下で予備混合することにより、これからの成形品はブツの発生がなくなり、かつ高度の難燃性を有し、透過率も優れることがわかる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法によれば、難燃性、燃焼時の滴下防止性に優れ、かつブツの発生が改良されたポリカーボネート樹脂組成物が得られるので、例えば、蛍光灯カバー、蛍光灯カバーチューブ、LED照明カバー、自動販売機のランプカバー等々の照明機器部品、電気電子機器やその部品、OA機器、情報端末機器、電池パック、機械部品、家電製品、車輌部品、建築部材、各種容器、レジャー用品・雑貨類などの広範囲の分野に利用でき、特に押出成形品を得る際にブツの発生が起きにくく、産業上の利用性は非常に高い。

Claims (6)

  1. ポリカーボネート樹脂(A)とフィブリル形成能を有するフッ素系樹脂(B)を含有する樹脂組成物を製造する方法であって、顆粒状のポリカーボネート樹脂(A−1)と前記フッ素系樹脂の水性ディスパージョンをペレット状のポリカーボネート樹脂(A−2)の存在下で混合し、得られた混合物にポリカーボネート樹脂(A−3)を配合して溶融混練することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
  2. 前記ペレット状のポリカーボネート樹脂(A−2)の量は、ポリカーボネート樹脂組成物100質量%中、1〜20質量%であることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
  3. フッ素系樹脂(B)の量は、ポリカーボネート樹脂組成物100質量%中、0.01〜1質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
  4. 顆粒状ポリカーボネート樹脂(A−1)とペレット状ポリカーボネート樹脂(A−2)と前記フッ素系樹脂(B)の合計量と、前記混合物に配合するポリカーボネート樹脂(A−3)との質量比が、10〜40:90〜60であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法で得られたポリカーボネート樹脂組成物成形品。
  6. 成形品が異形押出成形品である請求項5に記載の成形品。
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