JP5750009B2 - 積層体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、積層体の製造方法に関する。
従来から、絶縁性基板の表面に金属パターンによる配線を形成した金属配線基板が、電子部品や半導体素子に広く用いられている。
かかる金属配線基板の製造方法としては、主に、「サブトラクティブ法」が使用される。このサブトラクティブ法とは、基板表面に形成された金属層上に、活性光線の照射により感光する感光層を設け、この感光層を像様露光し、その後現像してレジスト像を形成し、次いで、金属層をエッチングして金属パターンを形成し、最後にレジスト像を剥離する方法である。
この方法により得られる金属パターンにおいては、基板表面に凹凸を設けることにより生じるアンカー効果によって、基板と金属層との間の密着性を発現させている。そのため、得られた金属パターンの基板界面部の凹凸に起因して、金属配線として使用する際の高周波特性が悪くなるという問題点があった。また、基板表面に凹凸化処理するためには、クロム酸などの強酸で基板表面を処理することが必要であるため、金属層と基板との密着性に優れた金属パターンを得るためには、煩雑な工程が必要であるという問題点もあった。
この問題を解決する手段として、基板上に基板と高密着性を有するポリマー層(被めっき層)を形成し、このポリマー層に対してめっきを施して、得られた金属層をエッチングする方法が知られている(特許文献1)。該方法によれば、基板の表面を粗面化することなく、基板と金属層との密着性を改良することができる。
また、特許文献1においては、基板とポリマー層との間の接着性を向上させるために、密着補助層を設けてもよい旨が開示されている。
特開2010−248464号公報
近年、電子機器の小型化、高機能化の要求に対応するため、プリント配線板などの微細配線のより一層の高集積化が進んでいる。それに伴って、配線(金属パターン)の基板に対する密着性のより一層の向上が要求されている。また、近年、耐熱性や剛直性の点から、ガラス基板やセラミックス基板などの無機基板をプリント配線板の基板として使用しようとする試みがなされている。
本発明者らは、特許文献1の実施例において具体的に開示されている密着補助層を使用すると共に、基板としてガラス基板などの無機基板を使用して、無機基板上に密着補助層、ポリマー層、および金属層を形成し、その金属層の密着性について検討を行ったところ、得られた金属層(めっき層)の密着性は、必ずしも昨今要求されるレベルには達していないことが明らかになった。
本発明は、上記実情に鑑みて、無機基板に対する密着性に優れる金属層を有する積層体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記従来技術において金属層の密着性が劣化する原因について鋭意検討を行った結果、密着補助層(プライマー層に該当)と、隣接する無機基板および被めっき層との密着性が、必ずしも十分でない点を見出した。
本発明者らは、上記知見に基づき、以下に示す手段により上記目的を達成しうることを見出した。
(1) エポキシ基、アミノ基、ビニル基、メルカプト基、アクリロイルオキシ基、フェニル基、およびシアノ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの官能基を有するシランカップリング剤をpH1〜8の条件下で加水分解して得られる加水分解物および/またはその縮合物と、樹脂とを含有するプライマー層形成用組成物を用いて、無機基板上にプライマー層を形成する工程(1)と、
前記プライマー層上に、めっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成する官能基および重合性基を有するポリマーを含む層を形成し、その後前記ポリマーを含む層に対してエネルギーを付与して、前記プライマー層上に被めっき層を形成する工程(2)と、
前記被めっき層にめっき触媒またはその前駆体を付与する工程(3)と、
めっき触媒またはその前駆体が付与された前記被めっき層に対してめっき処理を行い、前記被めっき層上に金属層を形成する工程(4)と、を備える金属層を有する積層体の製造方法。
(2) 前記pHの範囲が1〜4である、(1)に記載の金属層を有する積層体の製造方法。
(3) 前記プライマー層形成用組成物に含まれる前記樹脂がエラストマーである、(1)または(2)に記載の積層体の製造方法。
(4) 前記プライマー層のヤング率が500MPa以下である、(1)〜(3)のいずれかに記載の金属層を有する積層体の製造方法。
(5) 前記プライマー層形成用組成物に含まれる前記樹脂が、後述する一般式(1)で表されるユニットを有する、(1)〜(4)のいずれかに記載の金属層を有する積層体の製造方法。
(6) 前記プライマー層の膜厚が4μm以上である、(1)〜(5)のいずれかに記載の金属層を有する積層体の製造方法。
(7) (1)〜(6)のいずれかに記載の製造方法により製造される金属層を有する積層体。
(8) (7)に記載の積層体中の金属層をパターン状にエッチングして、パターン状金属層を形成するパターン形成工程を備える、パターン状金属層を有する積層体の製造方法。
(9) (8)に記載の製造方法より得られるパターン状金属層を有する積層体を含むプリント配線基板。
本発明によれば、無機基板に対する密着性に優れる金属層を有する積層体の製造方法を提供することができる。
(A)〜(D)は、それぞれ本発明の積層体およびパターン状金属層を有する積層体の製造方法における各製造工程を順に示す無機基板から積層体までの模式的断面図である。
以下に、本発明の金属層を有する積層体の製造方法について説明する。
本発明の特徴点としては、プライマー層中に所定の官能基を有するシランカップリング剤を所定のpHの範囲で加水分解(加水分解反応・縮合反応)させて得られる加水分解物および/または縮合物(以後、両者の総称として加水分解縮合物とも称する)を使用している点が挙げられる。加水分解縮合物と樹脂とを併用することにより(好ましくは、加水分解縮合物と樹脂とが反応することにより)、特に、無機基板とプライマー層との密着性が向上する。なかでも、無機基板が表面に水酸基を有する基板(例えば、ガラス基板)の場合、無機基板上の水酸基と(好ましくは、プライマーと反応した)加水分解縮合物の末端基(シラノール基)とが反応し、無機基板とプライマー層との界面の親和性を向上させ、結果として両者の密着性がより向上する。また、プライマー層が所定のヤング率の範囲であれば、密着力を悪化させる要因である応力(めっき処理時の応力・熱膨張率の差による応力・被めっき層の重合時に生じる収縮応力など)を緩和する応力緩和層としての機能がより向上し、結果として金属層の密着性がより向上する。
本発明の金属層を有する積層体の製造方法は、無機基板上にプライマー層(第1の樹脂層)を形成する工程(1)と、形成されたプライマー層上に被めっき層(第2の樹脂層)を形成する工程(2)と、被めっき層にめっき触媒またはその前駆体を付与する工程(3)と、めっき触媒またはその前駆体が付与された被めっき層にめっき処理を施す工程(4)とを備える。
以下に、各工程で使用される材料およびその手順について詳述する。まず、工程(1)に関して詳述する。
[工程(1):プライマー層形成工程]
工程(1)は、エポキシ基、アミノ基、ビニル基、メルカプト基、アクリロイル基、フェニル基、およびシアノ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの官能基を有するシランカップリング剤をpH1〜8の条件下で加水分解して得られる加水分解物および/またはその縮合物と、樹脂とを含有するプライマー層形成用組成物を用いて、無機基板上にプライマー層を形成する工程である。
より具体的には、図1(A)に示すように、該工程においては無機基板10上にプライマー層12が形成される。
本工程で形成されるプライマー層は、無機基板および後述する被めっき層との間に配置され、両者の密着性向上に寄与する。また、上述したように応力緩和層としても役割も果たす。
まず、本工程で使用される材料(無機基板、加水分解物および/またはその縮合物、樹脂、プライマー層形成用組成物など)について詳述し、その後該工程の手順について詳述する。
(無機基板)
無機基板は、後述する各層を支持するための部材であり、従来知られているいずれの無機基板も使用することができる。無機基板としてより具体的には、チタン、金、銀、銅、ケイ素、アルミ、ステンレス等の金属、セラミック、アルミナ、ガラス、石英、雲母、シリコン等の無機材料から構成される基板が挙げられる。
なかでも、シランカップリング剤の加水分解物および/またはその縮合物との反応性が優れる点で、水酸基を表面に有する無機基板(例えば、ガラス基板、セラミック基板)が好ましく挙げられる。
また、無機基板は、後述する工程(4)で形成される金属層とは別に、その片面または両面に金属層を有していてもよい。金属層は、無機基板の表面に対してパターン状に形成されていてもよいし、全面に形成されていてもよい。代表的には、エッチング処理を利用したサブトラクティブ法で形成されたものや、電気めっきを利用したセミアディティブ法で形成したものが挙げられ、いずれの工法で形成されたものを用いてもよい。
金属層を構成する材料としては、例えば、銅、銀、錫、パラジウム、金、ニッケル、クロム、タングステン、インジウム、亜鉛、またはガリウムなどが挙げられる。
また、無機基板のその表面上に絶縁層を有していてもよい。
(加水分解物および/またはその縮合物)
本工程で使用されるプライマー層形成用組成物には、エポキシ基、アミノ基、ビニル基、メルカプト基、アクリロイルオキシ基、フェニル基、およびシアノ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの官能基を有するシランカップリング剤をpH1〜8の条件下で加水分解して得られる加水分解物および/またはその縮合物(加水分解縮合物)が含まれる。該加水分解縮合物がプライマー層に含まれることにより、無機基板と後述する被めっき層との密着性が向上し、結果として金属層の密着性が向上する。
まず、使用されるシランカップリング剤について詳述し、その後加水分解縮合物の調製方法について詳述する。
(シランカップリング剤)
使用されるシランカップリング剤は、エポキシ基、アミノ基、ビニル基、メルカプト基、アクリロイルオキシ基、フェニル基、およびシアノ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの官能基を有する。なかでも、被めっき層の密着性がより優れる点で、アクリロイルオキシ基、ビニル基、アミノ基が好ましい。特に、樹脂が不飽和基、シアノ基、エポキシ基等を有する場合、該不飽和基、シアノ基、エポキシ基等と反応して、被めっき層の密着性がさらに向上する点で、アクリロイルオキシ基、ビニル基が好ましい。
シランカップリング剤の好適態様として、以下の一般式(2)で表される化合物が挙げられる。
一般式(2)中、Zaはエポキシ基、アミノ基、ビニル基、メルカプト基、アクリロイルオキシ基、フェニル基、またはシアノ基を表す。
Rは、それぞれ独立に、水素原子または炭化水素基を表す。炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基(例えば、アルキル基、アルケニル基など。炭素数1〜12が好ましい。)、または芳香族炭化水素基(例えば、フェニル基、ナフチル基など)が挙げられる。なかでも、炭化水素基としては、メチル基、エチル基が好ましい。
Rが複数ある場合は、同一であっても異なっていてもよい。
Wは、加水分解性基を表す。具体的には、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜8のアルコキシ基。例えば、メトキシ基、エトキシ基など)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アシロキシ基(アセトキシ基、プロパノイルオキシ基など)などが挙げられ、なかでも反応性が良好な点で、メトキシ基、エトキシ基、塩素原子が好ましい。
bは、単結合、または、2価の有機基を表す。2価の有機基としては、置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基(例えば、アルキレン基。好ましくは炭素数1〜8)、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基(例えば、アリーレン基。好ましくは炭素数6〜12)、−O−、−S−、−SO2−、−N(R)−(R:アルキル基)、−CO−、−NH−、−COO−、−CONH−、またはこれらを組み合わせた基(例えば、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基など)などが挙げられる。なかでも、アルキレン基が化合物作製の点で好ましい。
単結合の場合、一般式(2)のZaがSiと直接連結することをさす。
mは0〜2の整数を表し、nは1〜3の整数を表し、n+m=3の関係を満たす。なかでも、mは0〜1が好ましい。nは、2〜3が好ましい。
使用されるシランカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、メタクリル酸3−トリメトキシシリルプロピル、3−(アクリルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリクロルシランなどが挙げられる。
(加水分解縮合物の調製方法)
上記シランカップリング剤を使用して得られる加水分解縮合物は、pH1〜8の条件下で加水分解(加水分解反応および/または重縮合反応)して得られる。特に、形成される金属層の密着性がより優れる点で、pH1〜5の範囲が好ましく、1〜4がより好ましい。上記範囲内であれば、形成される金属層の密着性に優れる。
pHが上記範囲外の場合、金属層の密着性に劣る。
上記pHの範囲に調製する際には、必要に応じて、所定の酸性成分またはアルカリ成分を使用してもよい。使用される酸性成分としては、例えば、酢酸、塩酸、硫酸、硝酸、りん酸などが挙げられる。アルカリ成分としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムなどが挙げられる。
必要に応じて、シランカップリング剤と溶媒とを混合して、溶媒下でシランカップリング剤の加水分解を行ってもよい。使用される溶媒の種類は特に制限されず、例えば、水、アルコール系溶剤(例えば、メタノール、エタノールなど)、ケトン系溶剤(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなど)、アミド系溶剤(例えば、ホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなど)、ニトリル系溶剤(例えば、アセトニトリル、プロピロニトリルなど)、エステル系溶剤(例えば、酢酸メチル、酢酸エチルなど)、カーボネート系溶剤(例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなど)、この他にも、エーテル系溶剤、グリコール系溶剤、ハロゲン系溶剤などが挙げられる。
シランカップリング剤の加水分解の反応時間は、pHなどの条件によって適宜選択されるが、通常、1分以上が好ましく、10分以上がより好ましく、30分以上が特に好ましい。上限は特に制限されないが、生産性や保存安定性などの点から、72時間以内であることが好ましい。
(樹脂)
プライマー層形成用組成物中に含まれる樹脂の種類は特に制限されず、公知の樹脂を使用することができる。例えば、熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、イソシアネート樹脂等)や、熱可塑性樹脂(例えば、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニルエーテル、ポリエーテルイミド等)などが挙げられる。
なかでも、応力緩和により金属層の密着性がより向上される点で、樹脂がエラストマー(エラストマー成分)であることが好ましい。エラストマーとしては公知の材料を使用でき、例えば、アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−メチルメタクリレート共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン−アクリロニトリル−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS) 、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体、並びに、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、線状ポリウレタン、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム及びブタジエンゴム等の各種合成ゴム、天然ゴム、スチレン−ポリブタジエン−スチレン系合成ゴムといったスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエチレン−EPDM合成ゴムといったオレフィン系熱可塑性エラストマー、並びに、カプロラクトン型、アジペート型及びPTMG型といったウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコールマルチブロックポリマーといったポリエステル系熱可塑性エラストマー、ナイロン−ポリオールブロック共重合体やナイロン−ポリエステルブロック共重合体といったポリアミド系熱可塑性エラストマー、1,2−ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、並びに、塩ビ系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらのエラストマー成分は相溶性が良ければ、1種または2種以上が使用できる。
樹脂の好適態様の一つとして、金属層の密着性がより優れる点で、樹脂が一般式(1)で表されるユニットを有することが好ましい。
上記一般式(1)中、Raは、水素原子、または、置換若しくは無置換のアルキル基を表す。Raが置換または無置換のアルキル基である場合、無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられ、また、置換アルキル基としては、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、若しくはフッ素原子等で置換された、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。
なお、Raとしては、水素原子、メチル基、または、ヒドロキシ基若しくは臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。
上記一般式(1)中、Laは、単結合、または、置換若しく無置換の二価の有機基を表す。Laで表される有機基としては、例えば、置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基(好ましくは炭素数1〜8)、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基(好ましくは炭素数6〜12)、−O−、−S−、−SO2−、−N(R)−(R:アルキル基)、−CO−、−NH−、−COO−、−CONH−、またはこれらを組み合わせた基(例えば、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基など)などが挙げられる。
置換または無置換の脂肪族炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、若しくはブチレン基、または、これらの基が、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、若しくはフッ素原子等で置換されたものが好ましい。
置換または無置換の芳香族炭化水素基としては、無置換のフェニレン基、または、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、若しくはフッ素原子等で置換されたフェニレン基が好ましい。
なかでも、Laとしては、単結合がより好ましい。
なお、樹脂は、2種以上の一般式(1)で表されるユニットを含んでいてもよい。
樹脂に含まれる他のユニット(繰り返し単位)としては特に制限はないが、例えば、直鎖若しくは環状のオレフィン化合物(例えば、エチレン、プロピレン)に由来するユニット、共役ジエン化合物に由来するユニット、極性基を持たない芳香族ビニル化合物に由来するユニット、極性基を持たない(メタ)アクリレートモノマー由来のユニット、または、極性基を持たない(メタ)アクリルアミドモノマー由来のユニット等が好ましい。
具体的には、例えば、以下に示すようなモノマー由来のユニットが挙げられる。なお、以下式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、XはOまたはNHを表す。
なかでも、コストや膜物性制御の点で、他のユニットとしては、共役ジエン化合物に由来するユニット、芳香族ビニル化合物に由来するユニットが好ましく挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、α−クロロスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルピリジン、N,N−ジエチル−p−アミノスチレン等が挙げられる。
共役ジエン化合物としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、クロロプレン等を挙げることができる。
(プライマー層形成用組成物)
本工程で使用されるプライマー層形成用組成物は、上記加水分解縮合物および樹脂を含有する。
プライマー層形成用組成物中における、加水分解縮合物の出発物質であるシランカップリング剤の使用量(添加量)と、樹脂との使用量(添加量)との比(シランカップリング剤の使用量/樹脂との使用量)は特に制限されないが、0.01〜1であることが好ましく、0.01〜0.1であることがより好ましい。上記範囲内であれば、プライマー樹脂の特性を活かしたまま無機基板との密着性を強化できる。
プライマー層形成用組成物中における加水分解縮合物の含有量は特に制限されないが、組成物全量に対して、0.01〜50質量%が好ましく、0.01〜10質量%が好ましい。
また、プライマー層形成用組成物中における樹脂の含有量は特に制限されないが、組成物全量に対して、0.1〜99.9質量%が好ましく、1〜99.9質量%が好ましい。
プライマー層形成用組成物は必要に応じて、溶媒を含有していてもよい。使用される溶媒の種類は特に制限されず、例えば、上述したシランカップリング剤の加水分解の際に使用してもよい溶媒などが挙げられる。
プライマー層形成用組成物の調製方法は特に制限されず、例えば、シランカップリング剤と樹脂とを溶媒中で混合し、所定のpHに調整して、シランカップリング剤の加水分解反応を進行させ、加水分解縮合物と樹脂とを有するプライマー層形成用組成物を調製する方法が挙げられる。また、加水分解縮合物を一旦調製し、樹脂と混合して、プライマー層形成用組成物を調製してもよい。
なお、シランカップリング剤の加水分解を行う時間は特に制限されないが、金属層の密着性がより優れると共に、生産性が優れる点で、1分以上が好ましく、10分以上がより好ましく、30分以上がさらに好ましい。また、上限としては特に制限されないが、その後の保存安定性の観点から、72時間以内が好ましく、24時間以内がより好ましい。なお、シランカップリング剤を溶液中で攪拌して加水分解を行う場合、攪拌時間が上記時間内であれば好ましい。
なお、プライマー層形成用組成物は、必要に応じて、他の添加剤(例えば、硬化促進剤、加硫剤、酸化防止剤、可塑剤など)を含有していてもよい。
(工程(1)の手順)
上述したプライマー層形成用組成物を用いて無機基板上にプライマー層を形成する方法は特に制限されず、例えば、プライマー層形成用組成物を無機基板上に塗布して、プライマー層を形成する方法(以後、塗布法とも称する)や、プライマー層形成用組成物を無機基板上にラミネートする方法などが挙げられる。なかでも、膜厚の制御が用意である点から、塗布法が好ましい。
塗布法で使用される塗布の方法としては、公知の方法(例えば、スピンコート、デップコート、ダブルロールコータ、スリットコータ、エアナイフコータ、ワイヤーバーコータ、スライドホッパー、スプレーコーティング、ブレードコータなど)を使用できる。
なお、プライマー層形成用組成物を無機基板上に塗布した後、必要に応じて、加熱処理を実施してもよい。加熱処理を実施することにより、該組成物中に含まれる溶媒の除去や、樹脂間の架橋反応の促進が促される。
加熱処理の条件は特に制限されないが、20〜300℃が好ましく、50〜220℃がより好ましく、1分〜2時間が好ましく、1分〜30分がより好ましい。
上記工程により形成されるプライマー層の厚みは特に制限されないが、めっき応力や樹脂層の熱応力をより緩和する観点から、0.6μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましく、2μm以上がさらに好ましく、4μm以上が特に好ましい。なお、上限は特に制限されないが、めっき応力や樹脂層の熱応力をより緩和する観点から、30μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。
プライマー層のヤング率は特に制限されないが、めっき応力や樹脂層の熱応力を緩和し、金属層の密着性がより優れる点から、2000MPa以下が好ましく、500MPa以下がより好ましく、0.01〜500MPaがさらに好ましく、0.1〜250MPaが特に好ましい。
[工程(2):被めっき層形成工程]
工程(2)は、工程(1)で形成されたプライマー層上に、めっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成する官能基(以後、適宜相互作用性基とも称する)および重合性基を有するポリマーを含む層を形成し、その後プライマー層上のポリマーを含む層に対してエネルギーを付与して、プライマー層上に被めっき層を形成する工程である。
該工程によって形成される被めっき層は、ポリマー中に含まれる相互作用性基の機能に応じて、後述する工程(3)でめっき触媒またはその前駆体を吸着(付着)する。つまり、被めっき層は、めっき触媒またはその前駆体の良好な受容層として機能する。また、重合性基は、エネルギー付与による硬化処理によって、ポリマー同士の結合や、プライマー層との化学結合に利用される。その結果、被めっき層の表面に形成される金属層(めっき層)と、無機基板との間に優れた密着性が発現する。
より具体的には、図1(B)に示されるように、該工程においてはプライマー層12上に被めっき層14が形成される。
まず、本工程で使用される材料(ポリマー、被めっき層形成用組成物など)について詳述し、その後該工程の手順について詳述する。
(ポリマー)
本工程で使用されるポリマーは、重合性基と、相互作用性基とを有する。
重合性基は、エネルギー付与により、ポリマー同士、または、ポリマーとプライマー層との間に化学結合を形成しうる官能基であり、例えば、ラジカル重合性基、カチオン重合性基などが挙げられる。なかでも、反応性の観点から、ラジカル重合性基が好ましい。ラジカル重合性基としては、例えば、アクリル酸エステル基(アクリロイルオキシ基)、メタクリル酸エステル基(メタクリロイルオキシ基)、イタコン酸エステル基、クロトン酸エステル基、イソクロトン酸エステル基、マレイン酸エステル基などの不飽和カルボン酸エステル基、スチリル基、ビニル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基などが挙げられる。なかでも、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、ビニル基、スチリル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基が好ましく、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、スチリル基が特に好ましい。
相互作用性基は、めっき触媒またはその前駆体と相互作用する官能基であり、めっき触媒またはその前駆体と静電相互作用を形成可能な官能基、あるいは、めっき触媒またはその前駆体と配位形成可能な含窒素官能基、含硫黄官能基、含酸素官能基などを使用することができる。
相互作用性基としては、例えば、非解離性官能基(解離によりプロトンを生成しない官能基)なども挙げられる。
相互作用性基としてより具体的には、アミノ基、アミド基、イミド基、ウレア基、3級のアミノ基、アンモニウム基、アミジノ基、トリアジン環、トリアゾール環、ベンゾトリアゾール基、イミダゾール基、ベンズイミダゾール基、キノリン基、ピリジン基、ピリミジン基、ピラジン基、ナゾリン基、キノキサリン基、プリン基、トリアジン基、ピペリジン基、ピペラジン基、ピロリジン基、ピラゾール基、アニリン基、アルキルアミン構造を含む基、イソシアヌル構造を含む基、ニトロ基、ニトロソ基、アゾ基、ジアゾ基、アジド基、シアノ基、シアネート基(R−O−CN)などの含窒素官能基;エーテル基、水酸基、フェノール性水酸基、カルボキシル基、カーボネート基、カルボニル基、エステル基、N−オキシド構造を含む基、S−オキシド構造を含む基、N−ヒドロキシ構造を含む基などの含酸素官能基;チオフェン基、チオール基、チオウレア基、チオシアヌール酸基、ベンズチアゾール基、メルカプトトリアジン基、チオエーテル基、チオキシ基、スルホキシド基、スルホン基、サルファイト基、スルホキシイミン構造を含む基、スルホキシニウム塩構造を含む基、スルホン酸基、スルホン酸エステル構造を含む基などの含硫黄官能基;ホスフォート基、ホスフォロアミド基、ホスフィン基、リン酸エステル構造を含む基などの含リン官能基;塩素、臭素などのハロゲン原子を含む基などが挙げられ、塩構造をとりうる官能基においてはそれらの塩も使用することができる。
なかでも、極性が高く、めっき触媒またはその前駆体などへの吸着能が高いことから、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、およびボロン酸基などのイオン性極性基や、エーテル基、またはシアノ基が特に好ましく、カルボキシル基またはシアノ基がさらに好ましい。
相互作用性基としてのこれら官能基は、ポリマー中に2種以上が含まれていてもよい。
ポリマーの重量平均分子量は特に制限されないが、1000以上70万以下が好ましく、更に好ましくは2000以上20万以下である。特に、重合感度の観点から、20000以上であることが好ましい。
また、ポリマーの重合度は特に制限されないが、10量体以上が好ましく、20量体以上がさらに好ましい。また、7000量体以下が好ましく、3000量体以下がより好ましく、2000量体以下が更に好ましく、1000量体以下が特に好ましい。
(ポリマーの好適態様1)
ポリマーの第1の好ましい態様として、下記式(a)で表される重合性基を有するユニット(以下、適宜重合性基ユニットとも称する)、および、下記式(b)で表される相互作用性基を有するユニット(以下、適宜相互作用性基ユニットとも称する)を含む共重合体が挙げられる。なお、ユニットとは繰り返し単位を意味する。
上記式(a)および式(b)中、R1〜R5は、それぞれ独立して、水素原子、または置換若しくは無置換のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基など)を表す。なお、置換基は特に制限されないが、メトキシ基、塩素原子、臭素原子、またはフッ素原子などが挙げられる。
なお、R1としては、水素原子、メチル基、または、臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。R2としては、水素原子、メチル基、または、臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。R3としては、水素原子が好ましい。R4としては、水素原子が好ましい。R5としては、水素原子、メチル基、または、臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。
上記式(a)および式(b)中、X、Y、およびZは、それぞれ独立して、単結合、または、置換若しく無置換の二価の有機基を表す。二価の有機基としては、置換若しくは無置換の二価の脂肪族炭化水素基(好ましくは炭素数1〜8。例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基などのアルキレン基)、置換若しくは無置換の二価の芳香族炭化水素基(好ましくは炭素数6〜12。例えば、フェニレン基)、−O−、−S−、−SO2−、−N(R)−(R:アルキル基)、−CO−、−NH−、−COO−、−CONH−、またはこれらを組み合わせた基(例えば、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基など)などが挙げられる。
X、Y、およびZとしては、ポリマーの合成が容易で、被めっき層の機能(触媒吸着性、加水分解耐性)が優れる点で、単結合、エステル基(−COO−)、アミド基(−CONH−)、エーテル基(−O−)、または置換若しくは無置換の二価の芳香族炭化水素基などが好ましく挙げられ、より好ましくは単結合、エステル基(−COO−)、アミド基(−CONH−)である。
上記式(a)および式(b)中、L1およびL2は、それぞれ独立して、単結合、または、置換若しくは無置換の二価の有機基を表す。二価の有機基の定義としては、上述したX、Y、およびZで述べた二価の有機基と同義である。
1としては、ポリマーの合成が容易で、被めっき層の機能(触媒吸着性、加水分解耐性)が優れる点で、脂肪族炭化水素基、または、ウレタン結合若しくはウレア結合を有する二価の有機基(例えば、脂肪族炭化水素基)が好ましく、なかでも、総炭素数1〜9であるものが好ましい。なお、ここで、L1の総炭素数とは、L1で表される置換または無置換の二価の有機基に含まれる総炭素原子数を意味する。
また、L2は、ポリマーの合成が容易で、被めっき層の機能(触媒吸着性、加水分解耐性)が優れる点で、単結合、または、二価の脂肪族炭化水素基、二価の芳香族炭化水素基、もしくはこれらを組み合わせた基であることが好ましい。なかでも、L2は、単結合、または、総炭素数が1〜15の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、特に無置換であることが好ましい。なお、ここで、L2の総炭素数とは、L2で表される置換または無置換の二価の有機基に含まれる総炭素原子数を意味する。
上記式(b)中、Wは、めっき触媒またはその前駆体と相互作用する官能基を表す。該官能基の定義は、上述の相互作用性基の定義と同じである。
上記重合性基ユニットは、ポリマー中の全ユニットに対して、5〜50モル%で含まれることが好ましく、更に好ましくは5〜40モル%である。5モル%未満では反応性(硬化性、重合性)が落ちる場合があり、50モル%超では合成の際にゲル化しやすく合成しにくい。
また、上記相互作用性基ユニットは、めっき触媒またはその前駆体に対する吸着性の観点から、ポリマー中の全ユニットに対して、5〜95モル%で含まれることが好ましく、更に好ましくは10〜95モル%である。
(ポリマーの好適態様2)
ポリマーの第2の好ましい態様としては、下記式(A)、式(B)、および式(C)で表されるユニットを含む共重合体が挙げられる。
式(A)で表されるユニットは上記式(a)で表されるユニットと同じであり、各基の説明も同じである。
式(B)で表されるユニット中のR5、XおよびL2は、上記式(b)で表されるユニット中のR5、XおよびL2と同じであり、各基の説明も同じである。
式(B)中のWaは、後述するVで表される親水性基またはその前駆体基を除くめっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成する官能基を表す。なかでも、シアノ基、エーテル基が好ましい。
式(C)中、R6は、それぞれ独立して、水素原子、または置換若しくは無置換のアルキル基を表す。
式(C)中、Uは、単結合、または、置換若しく無置換の二価の有機基を表す。二価の有機基の定義は、上述したX、YおよびZで表される二価の有機基と同義である。Uとしては、ポリマーの合成が容易で、被めっき層の機能(触媒吸着性、加水分解耐性)が優れる点で、単結合、エステル基(−COO−)、アミド基(−CONH−)、エーテル基(−O−)、または置換若しくは無置換の二価の芳香族炭化水素基が好ましい。
式(C)中、L3は、単結合、または、置換若しく無置換の二価の有機基を表す。二価の有機基の定義は、上述したL1およびL2で表される二価の有機基と同義である。L3としては、ポリマーの合成が容易で、被めっき層の機能(触媒吸着性、加水分解耐性)が優れる点で、単結合、または、二価の脂肪族炭化水素基、二価の芳香族炭化水素基、またはこれらを組み合わせた基であることが好ましい。
式(C)中、Vは親水性基またはその前駆体基を表す。親水性基とは親水性を示す基であれば特に限定されず、例えば、水酸基、カルボン酸基などが挙げられる。また、親水性基の前駆体基とは、所定の処理(例えば、酸またはアルカリにより処理)により親水性基を生じる基を意味し、例えば、THP(2−テトラヒドロピラニル基)で保護したカルボキシ基などが挙げられる。
親水性基としては、被めっき層が各種水性処理液やめっき液と濡れ易くなる点から、イオン性極性基であることが好ましい。イオン性極性基としては、具体的には、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、ボロン酸基が挙げられる。中でも、適度な酸性(他の官能基を分解しない)という点から、カルボン酸基が好ましい。
上記ポリマーの第2の好ましい態様における各ユニットの好ましい含有量は、以下の通りである。
式(A)で表されるユニットは、反応性(硬化性、重合性)および合成の際のゲル化の抑制の点から、ポリマー中の全ユニットに対して、5〜50モル%で含まれることが好ましく、更に好ましくは5〜30モル%である。
式(B)で表されるユニットは、めっき触媒またはその前駆体に対する吸着性の観点から、ポリマー中の全ユニットに対して、5〜75モル%で含まれることが好ましく、更に好ましくは10〜70モル%である。
式(C)で表されるユニットは、水溶液による現像性と耐湿密着性の点から、ポリマー中の全ユニットに対して、10〜70モル%で含まれることが好ましく、更に好ましくは20〜60モル%であり、特に好ましくは30〜50モル%である。
上記ポリマーの具体例としては、例えば、特開2009−007540号公報の段落[0106]〜[0112]に記載のポリマー、特開2006−135271号公報の段落[0065]〜[0070]に記載のポリマー、US2010−080964号の段落[0030]〜[0108]に記載のポリマーなどが挙げられる。
該ポリマーは、公知の方法(例えば、上記で列挙された文献中の方法)により製造することができる。
(工程(2)の手順)
まず、プライマー層上に上記ポリマーを含む層(被めっき層前駆体層)を形成する方法は特に制限されず、公知の方法を使用できる。例えば、該ポリマーを含む被めっき層形成用組成物をプライマー層上に塗布する方法(塗布法)や、ポリマーをプライマー層上に直接ラミネートする方法も挙げられる。なかでも、被めっき層の膜厚制御がしやすい点から、塗布法が好ましい。被めっき層形成用組成物の態様については、後述する。
塗布法の場合に、被めっき層形成用組成物をプライマー層上に塗布する方法は特に制限されず、公知の方法(例えば、スピンコート、ダイコート、ディップコート、ラミネートなど)を使用できる。
取り扱い性や製造効率の観点からは、被めっき層形成用組成物をプライマー層上に塗布し、必要に応じて乾燥処理を行って残存する溶媒を除去して、ポリマーを含む層(被めっき層形成用組成物層)を形成する態様が好ましい。
なお、乾燥処理の条件は特に制限されないが、生産性および金属層の密着性がより優れる点で、室温〜220℃(好ましくは50〜120℃)で、1〜30分間(好ましく1〜10分間)実施することが好ましい。
被めっき層形成用組成物の塗布量は、めっき触媒またはその前駆体との充分な相互作用形成性の観点から、固形分換算で0.1〜10g/m2が好ましく、特に0.5〜5g/m2が好ましい。
プライマー層上のポリマーを含む層(被めっき層形成用組成物層)にエネルギー付与する方法は特に制限されない。例えば、加熱処理や露光処理などが用いられることが好ましく、処理が短時間で終わる点より、露光処理が好ましい。ポリマーを含む層にエネルギーを付与することにより、ポリマー中の重合性基が活性化され、ポリマー間の架橋やポリマーとプライマー層との結合が生じ、層の硬化が進行する。
露光処理には、UVランプ、可視光線などによる光照射等が用いられる。光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などもある。具体的な態様としては、赤外線レーザによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や、赤外線ランプ露光などが好適に挙げられる。
露光時間としては、ポリマーの反応性および光源により異なるが、通常、10秒〜5時間の間である。露光エネルギーとしては、10〜8000mJ程度であればよく、好ましくは50〜3000mJの範囲である。
なお、エネルギー付与として加熱処理を用いる場合、送風乾燥機、オーブン、赤外線乾燥機、加熱ドラムなどを用いることができる。
被めっき層の厚みは特に制限されないが、金属層の密着性の点から、0.01〜10μmが好ましく、0.1〜5μmがより好ましく、0.1〜1.0μmが特に好ましい。
(被めっき層形成用組成物)
被めっき層形成用組成物には上記ポリマーが含有される。
被めっき層形成用組成物中のポリマーの含有量は特に制限されないが、組成物全量に対して、2〜50質量%が好ましく、3〜10質量%がより好ましい。上記範囲内であれば、組成物の取扱い性に優れ、被めっき層の層厚の制御がしやすい。
被めっき層形成用組成物は、溶媒を含有していてもよい。溶媒を含有することにより、取扱い性が向上する。
使用できる溶媒は特に限定されず、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール系溶剤、酢酸などの酸、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、ホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶剤、アセトニトリル、プロピロニトリルなどのニトリル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル系溶剤、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのカーボネート系溶剤、この他にも、エーテル系溶剤、グリコール系溶剤、アミン系溶剤、チオール系溶剤、ハロゲン系溶剤などが挙げられる。
この中でも、アミド系溶剤、ケトン系溶剤、ニトリル系溶剤、カーボネート系溶剤が好ましく、具体的には、アセトン、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、プロピオニトリル、N−メチルピロリドン、ジメチルカーボネートが好ましい。
被めっき層形成用組成物中の溶媒の含有量は特に制限されないが、組成物全量に対して、50〜98質量%が好ましく、90〜97質量%がより好ましい。上記範囲内であれば、組成物の取扱い性に優れ、被めっき層の層厚の制御などがしやすい。
[工程(3):触媒付与工程]
工程(3)は、工程(2)で得られた被めっき層にめっき触媒またはその前駆体を付与する工程である。
本工程においては、ポリマー由来の相互作用性基がその機能に応じて、付与されためっき触媒またはその前駆体を付着(吸着)する。より具体的には、被めっき層中および被めっき層表面上に、めっき触媒またはその前駆体が吸着される。
まず、本工程で使用される材料(めっき触媒またはその前駆体など)について詳述し、その後該工程の手順について詳述する。
(めっき触媒またはその前駆体)
めっき触媒またはその前駆体は、後述するめっき工程における、めっき処理の触媒や電極として機能するものである。そのため、使用されるめっき触媒またはその前駆体の種類は、めっき処理の種類により適宜決定される。
以下では、めっき触媒またはその前駆体として、主に、無電解めっきまたはその前駆体などについて詳述する。
無電解めっき触媒としては、無電解めっき時の活性核となるものであれば、如何なるものも用いることができ、具体的には、自己触媒還元反応の触媒能を有する金属(Niよりイオン化傾向の低い無電解めっきできる金属として知られるもの)などが挙げられる。より具体的には、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Coなどが挙げられる。中でも、触媒能の高さから、Ag、Pdが特に好ましい。
無電解めっき触媒として、金属コロイド(金属粒子)を用いてもよい。一般に、金属コロイドは、荷電を持った界面活性剤または荷電を持った保護剤が存在する溶液中において、金属イオンを還元することにより作製することができる。
無電解めっき触媒前駆体としては、化学反応により無電解めっき触媒となりうるものであれば、特に制限なく使用することができる。主には、上記無電解めっき触媒として挙げた金属の金属イオンが用いられる。無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、還元反応により無電解めっき触媒である0価金属になる。無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、被めっき層へ付与した後、無電解めっき液への浸漬前に、別途還元反応により0価金属に変化させて無電解めっき触媒としてもよいし、無電解めっき触媒前駆体のまま無電解めっき液に浸漬し、無電解めっき液中の還元剤により金属(無電解めっき触媒)に変化させてもよい。
無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、金属塩を用いて被めっき層に付与することが好ましい。使用される金属塩としては、適切な溶媒に溶解して金属イオンと塩基(陰イオン)とに解離されるものであれば特に制限はなく、M(NO3)n、MCln、M2/n(SO4)、M3/n(PO4)(Mは、n価の金属原子を表す)などが挙げられる。金属イオンとしては、上記の金属塩が解離したものを好適に用いることができる。具体例としては、例えば、Agイオン、Cuイオン、Alイオン、Niイオン、Coイオン、Feイオン、Pdイオンが挙げられ、中でも、多座配位可能なものが好ましく、特に、配位可能な官能基の種類数および触媒能の点で、Agイオン、Pdイオンが好ましい。
本工程において、無電解めっきを行わず直接電気めっきを行うために用いられる触媒として、上述した以外の0価金属を使用することもできる。
上記めっき触媒またはその前駆体は、これらを溶媒に分散または溶解させた分散液または溶液(以後、適宜めっき触媒液とも称する)の形態で使用されることが好ましい。
めっき触媒液で使用される溶媒は、有機溶剤および/または水が用いられる。めっき触媒液が有機溶剤を含有することで、被めっき層に対するめっき触媒液の浸透性が向上し、相互作用性基に効率よくめっき触媒またはその前駆体を吸着させることができる。
めっき触媒液に用いられる有機溶剤としては、被めっき層に浸透しうる溶剤であれば特に制限は無いが、具体的には、アセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、エチレングリコールジアセテート、シクロヘキサノン、アセチルアセトン、アセトフェノン、2−(1−シクロヘキセニル)シクロヘキサノン、プロピレングリコールジアセテート、トリアセチン、ジエチレングリコールジアセテート、ジオキサン、N−メチルピロリドン、ジメチルカーボネート、ジメチルセロソルブなどを用いることができる。
(工程(3)の手順)
めっき触媒またはその前駆体を被めっき層に付与する方法は、特に制限されない。
例えば、上記めっき触媒液(金属を適当な分散媒に分散した分散液、または、金属塩を適切な溶媒で溶解し、解離した金属イオンを含む溶液)を調製し、めっき触媒液を被めっき層上に塗布する方法、または、めっき触媒液中に被めっき層が形成された無機基板を浸漬する方法などが挙げられる。
被めっき層とめっき触媒液との接触時間は、30秒〜10分程度であることが好ましく、1分〜5分程度であることがより好ましい。
接触時のめっき触媒液の温度は、20〜60℃程度であることが好ましく、30〜50℃程度であることがより好ましい。
[工程(4):めっき工程]
工程(4)は、工程(3)でめっき触媒またはその前駆体が付与された被めっき層に対してめっき処理を行い、被めっき層上に金属層を形成する工程である。より具体的には、図1(C)に示すように、本工程において、被めっき層14上に金属層16が形成され、積層体18が得られる。
本工程において行われるめっき処理の種類は、無電解めっき、電解めっき等が挙げられ、上記工程において、被めっき層に付与されためっき触媒またはその前駆体の機能によって、選択することができる。
なかでも、金属層の密着性向上の点から、無電解めっきを行うことが好ましい。また、所望の層厚の金属層を得るために、無電解めっきの後に、更に電解めっきを行うことがより好ましい態様である。
以下、本工程において好適に行われるめっき処理について説明する。
(無電解めっき)
無電解めっきとは、めっきとして析出させたい金属イオンを溶かした溶液を用いて、化学反応によって金属を析出させる操作のことをいう。
本工程における無電解めっきは、例えば、無電解めっき触媒が付与された被めっき層を、水洗して余分な無電解めっき触媒(金属)を除去した後、無電解めっき浴に浸漬して行う。使用される無電解めっき浴としては、公知の無電解めっき浴を使用することができる。なお、無電解めっき浴としては、入手のしやすさの点から、アルカリ性の無電解めっき浴(pHが9〜14程度が好ましい)を使用する場合が好ましい。
また、無電解めっき触媒前駆体が被めっき層に吸着または含浸した状態で無電解めっき浴に浸漬する場合には、被めっき層を水洗して余分な前駆体(金属塩など)を除去した後、無電解めっき浴中へ浸漬させる。この場合には、無電解めっき浴中において、めっき触媒前駆体の還元とこれに引き続き無電解めっきが行われる。ここで使用される無電解めっき浴としても、上記同様、公知の無電解めっき浴を使用することができる。
なお、無電解めっき触媒前駆体の還元は、上記のような無電解めっき液を用いる態様とは別に、触媒活性化液(還元液)を準備し、無電解めっき前の別工程として行うことも可能である。触媒活性化液は、無電解めっき触媒前駆体(主に金属イオン)を0価金属に還元できる還元剤を溶解した液で、液全体に対する該還元剤の濃度が0.1〜50質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましい。還元剤としては、公知の還元剤(例えば、水素化ホウ素ナトリウムまたはジメチルアミンボランなどのホウ素系還元剤、ホルムアルデヒド、次亜リン酸など)を使用できる。
浸漬の際には、無電解めっき触媒またはその前駆体が接触する被めっき層表面付近の無電解めっき触媒またはその前駆体の濃度を一定に保つ上で、攪拌または揺動を加えながら浸漬することが好ましい。
一般的な無電解めっき浴の組成としては、例えば、溶剤(例えば、水)の他に、1.めっき用の金属イオン、2.還元剤、3.金属イオンの安定性を向上させる添加剤(安定剤)が主に含まれている。このめっき浴には、これらに加えて、めっき浴の安定剤など公知の添加物が含まれていてもよい。
めっき浴に用いられる有機溶剤としては、水に可能な溶媒である必要があり、その点から、アセトンなどのケトン類、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類が好ましく用いられる。
無電解めっき浴に用いられる金属の種類としては、例えば、銅、すず、鉛、ニッケル、金、銀、パラジウム、ロジウムが知られており、中でも、導電性の観点からは、銅、金が特に好ましい。また、上記金属に合わせて最適な還元剤、添加物が選択される。
無電解めっきにより得られる金属層の層厚は、めっき浴の金属イオン濃度、めっき浴への浸漬時間、または、めっき浴の温度などにより制御することができるが、無電解めっきによる金属層を導通層として、後述する電解めっきを行う場合は、少なくとも0.1μm以上の膜が均一に付与されていることが好ましい。また、導電性の観点から、後述する電解めっきを行わない場合には、0.1μm以上が好ましく、1μmがより好ましく、3〜20μmが最も好ましい。
また、めっき浴への浸漬時間としては、1分〜6時間程度であることが好ましく、10分〜3時間程度であることがより好ましい。
(電解めっき(電気めっき))
本工程おいては、上記工程において付与されためっき触媒またはその前駆体が電極としての機能を有する場合、その触媒またはその前駆体が付与された被めっき層に対して、電解めっきを行うことができる。
また、前述の無電解めっきの後、形成された金属層を電極とし、更に、電解めっきを行ってもよい。これにより無機基板との密着性に優れた無電解めっき膜をベースとして、そこに新たに任意の厚みをもつ金属層を容易に形成することができる。このように、無電解めっきの後に、電解めっきを行うことで、金属層を目的に応じた厚みに形成しうるため、金属層を種々の応用に適用するのに好適である。
電解めっきの方法としては、従来公知の方法を用いることができる。なお、電解めっきに用いられる金属としては、銅、クロム、鉛、ニッケル、金、銀、すず、亜鉛などが挙げられ、導電性の観点から、銅、金、銀が好ましく、銅がより好ましい。
また、電解めっきにより得られる金属層の層厚は、めっき浴中に含まれる金属濃度、または、電流密度などを調整することで制御することができる。
なお、一般的な電気配線などに適用する場合、金属層の層厚は、導電性の観点から、0.5μm以上であることが好ましく、1〜30μmがより好ましい。
[積層体(表面金属層材料)]
上述した各工程を経ることで、無機基板と、プライマー層と、被めっき層と、金属層とをこの順で備える積層体(最外層に金属層を有する積層体)を得ることができる。なお、該積層体は、上記層以外の他の層を有していてもよい。例えば、無機基板とプライマー層との間に絶縁層を有していてもよい。このような積層体を得るためには、絶縁層を有する絶縁層付き無機基板を、上記工程(1)の無機基板として用いればよい。
得られた積層体は、例えば、電磁波防止膜、コーティング膜、2層CCL(Copper Clad Laminate)材料、電気配線用材料等の種々の用途に適用することができる。
[金属パターン材料、およびその製造方法]
上記積層体中における金属層を、パターン状にエッチングする工程を行うことで、パターン状の金属層を表面に備える積層体(金属パターン材料)を製造することができる。
このエッチング工程(工程(5))について以下に詳述する。
[工程(5):エッチング工程]
工程(5)は、上記工程(4)で形成された金属層(めっき膜)をパターン状にエッチングする工程である。即ち、本工程では、形成された金属層の不要部分をエッチングで取り除くことで、所望の金属パターンを形成することができる。より具体的には、図1(D)に示すように、本工程において、パターン状の金属層20が形成される。
この金属パターンの形成には、如何なる手法も使用することができ、具体的には一般的に知られているサブトラクティブ法、セミアディティブ法が用いられる。
サブトラクティブ法とは、形成された金属層上にドライフィルムレジスト層を設けパターン露光、現像により金属パターン部と同じパターンを形成し、ドライフィルムレジストパターンをマスクとしてエッチング液で金属層を除去し、金属パターンを形成する方法である。ドライフィルムレジストとしては如何なる材料も使用でき、ネガ型、ポジ型、液状、フィルム状のものが使用できる。また、エッチング方法としては、プリント配線基板の製造時に使用されている方法が何れも使用可能であり、湿式エッチング、ドライエッチング等が使用可能であり、任意に選択すればよい。作業の操作上、湿式エッチングが装置などの簡便性の点で好ましい。エッチング液として、例えば、塩化第二銅、塩化第二鉄等の水溶液を使用することができる。
また、セミアディティブ法とは、形成された金属層上にドライフィルムレジスト層を設け、パターン露光、現像により非金属パターン部と同じパターンを形成し、ドライフィルムレジストパターンをマスクとして電気めっきを行い、ドライフィルムレジストパターンを除去した後にクイックエッチングを実施し、金属層をパターン状に除去することで、金属パターンを形成する方法である。ドライフィルムレジスト、エッチング液等はサブトラクティブ法と同様な材料が使用できる。また、電気めっき手法としては上記記載の手法が使用できる。
なお、工程(2)の代わりに、以下の工程(6)を実施することにより、パターン状の被めっき層を得ることができる。工程(6)における現像除去は、ポリマーを含む層を溶解除去することができる現像液が適宜使用される。
工程(6):プライマー層上に上記ポリマーを含む層を形成し、該ポリマーを含む層にパターン状のエネルギー付与を行い、エネルギー付与領域のポリマーを含む層を硬化させ、その後エネルギー未付与領域を現像除去し、パターン状の被めっき層を形成する工程
工程(6)で得られたパターン状の被めっき層に対し工程(3)および(4)を行うことで、パターン状の金属層を備える金属パターン材料を製造することもできる(フルアディティブ工法)。
[用途]
得られたパターン状の金属層を有する積層体は、例えば、半導体チップ、各種電気配線板(例えば、プリント配線基板)、FPC、COF、TAB、アンテナ、多層配線基板、マザーボード、等の種々の用途に適用することができる。なかでも、配線基板として用いる用途が好ましい。
以下、実施例により、本発明について更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
まず、実施例で使用されるポリマーの合成方法について詳述する。
(合成1:ポリマーA)
2Lの三口フラスコに酢酸エチル1L、2−アミノエタノール159gを入れ、氷浴にて冷却をした。そこへ、2−ブロモイソ酪酸ブロミド150gを内温20℃以下になるように調節して滴下した。その後、内温を室温(25℃)まで上昇させて2時間反応させた。反応終了後、蒸留水300mLを追加して反応を停止させた。その後、酢酸エチル層を蒸留水300mLで4回洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、さらに酢酸エチルを留去することで原料Aを80g得た。
次に、500mLの三口フラスコに、原料A47.4g、ピリジン22g、酢酸エチル150mLを入れて氷浴にて冷却した。そこへ、アクリル酸クロライド25gを内温20℃以下になるように調節して滴下した。その後、室温に上げて3時間反応させた。反応終了後、蒸留水300mLを追加し、反応を停止させた。その後、酢酸エチル層を蒸留水300mLで4回洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、さらに酢酸エチルを留去した。その後、カラムクロマトグラフィーにて、以下のモノマーMを精製し20g得た。
500mLの三口フラスコに、N,N−ジメチルアセトアミド8gを入れ、窒素気流下、65℃まで加熱した。そこへ、上記で得たモノマーM:14.3g、アクリロニトリル(東京化成工業(株)製)3.0g、アクリル酸(東京化成製)6.5g、V−65(和光純薬製)0.4gのN,N−ジメチルアセトアミド8g溶液を、4時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間撹拌した。その後、N,N−ジメチルアセトアミド41gを足し、室温まで反応溶液を冷却した。上記の反応溶液に、4−ヒドロキシTEMPO(東京化成製)0.09g、DBU54.8gを加え、室温で12時間反応を行った。その後、反応溶液に70質量%メタンスルホン酸水溶液54g加えた。反応終了後、水で再沈を行い、固形物を取り出し、ポリマーA(重量平均分子量5.3万)を12g得た。
(合成2:ポリマーB)
1000mlの三口フラスコに、N,N−ジメチルアセトアミド35gを入れ、窒素気流下、75℃まで加熱した。そこへ、2−ヒドロキシエチルアクリレート(市販品、東京化成製)6.60g、2−シアノエチルアクリレート28.4g、V−601(和光純薬製)0.65gのN,N−ジメチルアセトアミド35g溶液を、2.5時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃まで加熱し、更に3時間撹拌した。その後、室温まで、反応溶液を冷却した。
上記の反応溶液に、ジターシャリーブチルハイドロキノン0.29g、ジブチルチンジラウレート0.29g、カレンズAOI(昭和電工(株)製)18.56g、N,N−ジメチルアセトアミド19gを加え、55℃、4時間反応を行った。その後、反応溶液にメタノールを3.6g加え、更に1.5時間反応を行った。反応終了後、酢酸エチル:ヘキサン=1:1で再沈を行い、固形物を取り出し、相互作用性基および重合性基を有するポリマーB(重量平均分子量6.2万)を32g得た。
[実施例1]
ガラス基板(コーニング社製、イーグル2000)を純水にて10分間超音波洗浄を行った後、下記組成のプライマー層形成用組成物Aをスピンコート法にてガラス基板上に塗布(条件:プライマー層の乾燥後膜厚が5μmになるように塗布)し、150℃で60分乾燥して基板Aを得た。
(プライマー層形成用組成物A)
水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR)(日本ゼオン社製、Zetpol0020、残存不飽和結合率(脂肪族不飽和基の含有量):10.5%):1g、シクロペンタノン(日本ゼオン社製):9gを混合攪拌し、混合液を調製した。その後、1mol/L酢酸:0.1gを加えて混合液のpHを4に調整し、さらにシランカップリング剤(信越シリコーン社製、KBM5103、官能基:アクリロイルオキシ基):0.5gを混合液に添加し、60分間攪拌してシランカップリング剤の加水分解を行い、プライマー層形成層組成物Aを調製した。
ポリマーAを含む被めっき層形成層組成物Aをスピンコート法にて基板A上に塗布(条件:被めっき層の乾燥後膜厚が0.5μmになるように塗布)し、80℃で10分乾燥させた後、UV露光機(三永電機製作所社製、型番:UVF-502S、ランプ:UXM-501MD)を用い、3000mJの露光エネルギーで、露光を行った。
露光後の基板を、1質量%NaHCO3水溶液中に10分間浸漬し、続いて、蒸留水にて洗浄し、基板Bを得た。
(被めっき層形成用組成物A)
ポリマーA:0.36g、炭酸水素ナトリウム:0.19g、および、水:1.75gを混合攪拌し、ポリマーAを溶解させた後、メタノール:2.66gをさらに添加し、攪拌することで被めっき層形成用組成物Aを調製した。
次に、被めっき層を有する基板Bを、硝酸銀を1質量%水溶液に10分間浸漬した後、水に浸漬して洗浄することで、被めっき層にめっき触媒を付与した。
めっき触媒が付与された被めっき層を有する基板を下記組成の無電解めっき浴に26℃で60分間浸漬し、無電解めっきを行った。得られた金属層(めっき層)の厚さは、約0.5μmであった。
(無電解めっき浴の組成)
・蒸留水 770.88g
・スルカップPGT−A(上村工業製) 97.24g
・スルカップPGT−B(上村工業製) 66.58g
・スルカップPGT−C(上村工業製) 43.26g
・ホルマリン 22.39g
続いて、上記で得られた無電解めっき膜(無電解銅めっき膜)を給電層として、下記組成の電気銅めっき浴を用い、3A/dm2の条件で、電気めっきを20分間行い、金属層を有する積層体を製造した。得られた電気銅めっき膜の厚みは15μmであった。
(電気めっき浴の組成)
・硫酸銅 38g
・硫酸 95g
・塩酸 1mL
・カッパーグリームPCM(メルテックス(株)製) 3mL
・水 500g
得られたサンプルに対して、金属層に5mmの間隔を開けて、平行に130mmの切り込みを入れ、その端部をカッターにて切り込みを入れ10mm立ち上げた。引張試験機((株)エー・アンド・ディー製、RTM−100)を用いて、剥がした金属層端部をつかんで90°ピール強度を測定した(引張速度10mm/min)。結果を表1に示す。
また、以下の方法により上記プライマー層のヤング率を測定した。結果を表1に示す。
上記プライマー組成物を溶媒(シクロペンタノンなど)に溶かし、テフロンシャーレに乾燥後の膜厚が150〜200μmの範囲に収まるように滴下し、室温で1週間乾燥させた後、真空下にて更に1週間乾燥させ、モデル膜を作製した。得られたモデル膜を使用して、引張試験機((株)エー・アンド・ディー製、RTM−100)を用いて、S−S曲線を測定し、ヤング率を求めた。
[実施例2]
実施例1で用いたプライマー層形成用組成物Aの代わりに、下記組成のプライマー層形成用組成物Bを用いた以外は、実施例1と同様の手順に従い、積層体を製造した。各評価結果を表1に示す。
(プライマー層形成層組成物B)
水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR)(日本ゼオン社製、Zetpol0020)の代わりに、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)(商品No:182907、アルドリッチ社製)を使用する以外は、プライマー層形成層組成物Aと同様にして、プライマー層形成層組成物Bを調製した。
[実施例3]
実施例1で用いたプライマー層形成用組成物Aの代わりに、下記組成のプライマー層形成用組成物Cを用いた以外は、実施例1と同様の手順に従い、積層体を製造した。各評価結果を表1に示す。
(プライマー層形成層組成物C)
水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR)(日本ゼオン社製、Zetpol0020)の代わりに、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂[商品No:430145、アルドリッチ社製]を使用する以外は、プライマー層形成層組成物Aと同様にして、プライマー層形成層組成物Cを調製した。
[実施例4]
実施例1で用いたプライマー層形成用組成物Aの代わりに、下記組成のプライマー層形成用組成物Dを用い、乾燥温度を150℃から180℃に変更し、被めっき層形成用組成物Aの代わりに被めっき層形成用組成物Bを用い、スピンコート後の乾燥時間を10分から5分に、露光エネルギーを3000mJから500mJに変更し、更に触媒付与を硝酸銀1質量%水溶液に10分間浸漬する代わりに、酢酸パラジウム0.25質量%水溶液に5分間浸漬した以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体を製造した。各評価結果を表1に示す。
(プライマー層形成用組成物D)
水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR)(日本ゼオン社製、Zetpol0020)の代わりに、jER806(ビスフェノールF型エポキシ樹脂:ジャパンエポキシレジン製)12.3質量部、LA7052(フェノライト、硬化剤:大日本インキ化学工業)4.3質量部、YP50−35EK(フェノキシ樹脂、東都化成製)20.9質量部、シクロヘキサノン62.5質量部、及び2−エチル−4−メチルイミダゾール(硬化促進剤)0.1質量部を混合した混合液を使用した以外は、プライマー層形成層組成物Aと同様にして、プライマー層形成層組成物Dを調製した。
(被めっき層形成用組成物B)
ポリマーB(10.5質量部)、アセトン(73.3質量部)、メタノール(33.9質量部)、およびN,N−ジメチルアセトアミド(4.8質量部)を混合攪拌し、被めっき層形成用組成物Bを調製した。
[実施例5]
プライマー層の膜厚を5μmから8μmに変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体を製造した。各評価結果を表1に示す。
[実施例6]
実施例1で用いたプライマー層形成用組成物Aの代わりに、下記組成のプライマー層形成用組成物Eを用いた以外は、実施例1と同様の手順に従い、積層体を製造した。各評価結果を表1に示す。
(プライマー層形成用組成物E)
プライマー層形成用組成物Aとプライマー層形成用組成物Dとを質量比でA:D=3:7で混合して、プライマー層形成用組成物Eを調製した。
[実施例7]
実施例1で用いたプライマー層形成用組成物Aの代わりに、下記組成のプライマー層形成用組成物Fを用いた以外は、実施例1と同様の手順に従い、積層体を製造した。各評価結果を表1に示す。
(プライマー層形成用組成物F)
プライマー層形成用組成物Aとプライマー層形成用組成物Dとを質量比でA:D=5:5で混合して、プライマー層形成用組成物Fを調製した。
[実施例8]
実施例1で用いたプライマー層形成用組成物Aの代わりに、下記組成のプライマー層形成用組成物Gを用いた以外は、実施例1と同様の手順に従い、積層体を製造した。各評価結果を表1に示す。
(プライマー層形成用組成物G)
プライマー層形成用組成物Aとプライマー層形成用組成物Dとを重量比でA:D=7:3で混合して、プライマー層形成用組成物Gを調製した。
[実施例9]
実施例1で用いたプライマー層形成用組成物Aの代わりに、下記組成のプライマー層形成用組成物Hを用いた以外は、実施例1と同様の手順に従い、積層体を製造した。各評価結果を表1に示す。
(プライマー層形成層組成物H)
水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR)(日本ゼオン社製、Zetpol0020)の代わりに、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)(日本ゼオン社製、Nipol101L)を使用した以外は、プライマー層形成層組成物Aと同様にして、プライマー層形成層組成物Hを調製した。
[実施例10]
実施例1で用いたガラス基板の代わりに、シリコンウエハを用いた以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体を製造した。各評価結果を表1に示す。
[実施例11]
実施例1で用いたガラス基板の代わりに、セラミック基板(京セラ(株)社製)を用いた以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体を製造した。各評価結果を表1に示す。
[実施例12]
実施例1で用いたガラス基板(コーニング社製、イーグル2000)の代わりに、ガラス基板(松浪硝子工業(株)、D263)を用いた以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体を製造した。各評価結果を表1に示す。
[実施例13]
実施例1で用いたガラス基板(コーニング社製、イーグル2000)の代わりに、ガラス基板(松浪硝子工業(株)、石英)を用いた以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体を製造した。各評価結果を表1に示す。
[実施例14]
実施例1で用いたガラス基板(コーニング社製、イーグル2000)の代わりに、ガラス基板(松浪硝子工業(株)、0200)を用いた以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体を製造した。各評価結果を表1に示す。
[実施例15]
プライマー層形成用組成物Aの調製の際に使用した酢酸を使用せずに、混合液のpHを7.2で攪拌時間を30分に変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体を製造した。各評価結果を表1に示す。
[実施例16]
酢酸の代わりに塩酸(和光純薬製,35%塩酸)を使用して、攪拌時間を30分に変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体を製造した。各評価結果を表1に示す。
[実施例17]
酢酸の代わりに塩酸(和光純薬製,35%塩酸)を使用して、攪拌時間を10分に変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体を製造した。各評価結果を表1に示す。
[実施例18]
酢酸の代わりに塩酸(和光純薬製,35%塩酸)を使用して、攪拌時間を1分に変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体を製造した。各評価結果を表1に示す。
[実施例19]
酢酸の代わりに塩酸(和光純薬製,35%塩酸)を使用して混合液のpHを1に、攪拌時間を30分に変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体を製造した。各評価結果を表1に示す。
[実施例20]
酢酸の代わりに塩酸(和光純薬製,35%塩酸)を使用して混合液のpHを1に、攪拌時間を10分に変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体を製造した。各評価結果を表1に示す。
[実施例21]
酢酸の代わりに塩酸(和光純薬製,35%塩酸)を使用して混合液のpHを1に、攪拌時間を1分に変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体を製造した。各評価結果を表1に示す。
[実施例22]
プライマー層形成用組成物Aの調製の際に使用したKBM5103の代わりに、3−メルカプトプロピルジメトキシシラン(東京化成工業社製、官能基:メルカプト基)を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体を製造した。各評価結果を表1に示す。
[実施例23]
プライマー層形成用組成物Aの調製の際に使用したKBM5103の代わりに、ダイナシランAMMO(エボニックデグサ社製、官能基:アミノ基)を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体を製造した。各評価結果を表1に示す。
[実施例24]
プライマー層形成用組成物Aの調製の際に使用したKBM5103の代わりに、LS2940(信越化学工業社製、官能基:エポキシ基)を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体を製造した。各評価結果を表1に示す。
[実施例25]
プライマー層形成用組成物Aの調製の際に使用したKBM5103の代わりに、LS5300(信越化学工業社製、官能基:フェニル基)を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体を製造した。各評価結果を表1に示す。
[実施例26]
プライマー層の膜厚を5μmから4.2μmに変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体を製造した。各評価結果を表1に示す。
[実施例27]
プライマー層の膜厚を5μmから3.4μmに変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体を製造した。各評価結果を表1に示す。
[比較例1]
プライマー層形成用組成物を用いたプライマー層の形成を行わずに、ガラス基板上に被めっき層を作製した以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体を製造した。各評価結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1で用いたプライマー層形成用組成物Aの代わりに、下記組成のプライマー層形成用組成物Iを用いた以外は、実施例1と同様の手順に従い、積層体を製造した。各評価結果を表1に示す。
(プライマー層形成用組成物I)
水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR)(日本ゼオン社製、Zetpol0020、残存不飽和結合率=10.5%):1g、シクロペンタノン(日本ゼオン社製):9gを混合攪拌し、プライマー層形成用組成物Iを調製した。該組成物には加水分解縮合物が含まれていない。
[比較例3]
実施例1で用いたプライマー層形成用組成物Aの代わりに、下記組成のプライマー層形成用組成物Jを用いた以外は、実施例1と同様の手順に従い、積層体を製造した。各評価結果を表1に示す。
(プライマー層形成用組成物J)
アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)(日本ゼオン社製、Nipol101L):1g、シクロペンタノン(日本ゼオン社製):9gを混合攪拌し、プライマー層形成用組成物Jを調製した。該組成物には加水分解縮合物が含まれていない。
[比較例4]
実施例1で用いたプライマー層形成用組成物Aの代わりに、下記組成のプライマー層形成用組成物Kを用いた以外は、実施例1と同様の手順に従い、積層体を製造した。各評価結果を表1に示す。
(プライマー層形成用組成物K)
スチレン−ブタジエンゴム(SBR)(商品No:182907、アルドリッチ社製):1g、シクロペンタノン(日本ゼオン社製):9gを混合攪拌し、プライマー層形成用組成物Kを調製した。該組成物には加水分解縮合物が含まれていない。
[比較例5]
実施例1で用いたプライマー層形成用組成物Aの代わりに、下記組成のプライマー層形成用組成物Lを用いた以外は、実施例1と同様の手順に従い、積層体を製造した。各評価結果を表1に示す。
(プライマー層形成用組成物L)
水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR)(日本ゼオン社製、Zetpol0020、残存不飽和結合率=10.5%):1g、テトラヒドロキシフラン(和光純薬工業社製):9gを混合攪拌し、混合液を調製した。その後、水酸化ナトリウムを用いて混合液のpHを12に調整し、さらにシランカップリング剤(信越シリコーン社製、KBM5103):0.5gを添加し、30分間攪拌してシランカップリング剤の加水分解を行い、プライマー層形成層組成物Lを調製した。
[比較例6]
プライマー層形成用組成物Aの調製の際に使用したKBM5103の代わりに、ダイナシラン4148(エボニックデグサ社製、官能基:アルコキシ基)を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体を製造した。各評価結果を表1に示す。
[比較例7]
プライマー層形成用組成物Aの調製の際に使用したKBM5103の代わりに、トリエトキシシリルプロピルマレイン酸(Gelest.Inc社製、官能基:カルボキシル基)を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って、積層体を製造した。各評価結果を表1に示す。
[比較例8]
以下に記載のポリマーCを使用して、以下の(積層体の製造)の手順に従って、積層体を製造し、上記各評価を行った。
なお、比較例8は、特許文献1の段落[0229]〜[0236]に記載のガラスエポキシ基板を使用した態様から、ガラスエポキシ基板をガラス基板に変えて実施した態様に該当する。
(ポリマーCの合成)
500mlの三口フラスコに、N,N−ジメチルアセトアミド10gを入れ、窒素気流下、65℃まで加熱した。そこへ、下記構造のモノマーM:6.61g、2−シアノエチルアクリレート(東京化成工業(株)製)9.01g、脂環式カルボン酸を有するモノマーであるHOA−HH(下記構造、共栄社化学(株)製)15.14g、V−65(和光純薬工業(株)製)0.32gのN,N−ジメチルアセトアミド10g溶液を、4時間かけて滴下した。滴下終了後、更に反応溶液を3時間撹拌した。その後、N,N−ジメチルアセトアミド51gを足し、室温まで反応溶液を冷却した。
上記の反応溶液に、4−ヒドロキシTEMPO(東京化成工業(株)製)0.06g、トリエチルアミン22.26gを加え、室温で4時間反応を行った。その後、反応液に70質量%メタンスルホン酸水溶液29g加えた。反応終了後、水で再沈を行い、固形物を取り出し、ポリマーC(重量平均分子量4.2万)を19g得た。
(被めっき層形成用組成物の調製)
上述の合成法で得られたポリマーC:0.2g、炭酸ナトリウム:0.04g、水:1.5g、及びアセトニトリル:0.3gを混合攪拌し、被めっき層形成用組成物を調製した。
(積層体の製造)
ガラス基板(コーニング社製、イーグル2000)上に、密着補助層として9質量%のABS樹脂(Aldrich社製)のシクロヘキサン溶液をスピンコート法(条件:250rpmで5秒、その後、750rpmで20秒)にて塗布し、乾燥して基板C1を得た。
調製された被めっき層形成用組成物を、前記基板C1の密着補助層上に、厚さ1μmになるように、スピンコート法により塗布し、80℃にて30分乾燥した。
その後、被めっき層形成用組成物に対し、UV露光機(型番:(株)三永電機製作所製 型番:UVF−502S、ランプ:UXM−501MD)を用い、10mW/cm2の照射パワー(ウシオ電機(株)製紫外線積算光量計UIT150−受光センサーUVD−S254で照射パワー測定)にて、300秒間露光を行った。
露光後の基板を、1質量%NaCO水溶液中に5分間浸漬し、続いて、蒸留水にて洗浄して、基板C2を得た。
被めっき層を有する基板C2を、10質量%硝酸銀水溶液に、10分間浸漬した後、アセトンに浸漬して洗浄した。
上記のようにして、めっき触媒が付与された被めっき層を有する基板C2に対し、下記組成の無電解めっき浴を用い、26℃で10分間、無電解めっきを行った。得られた無電解銅めっき膜の厚みは0.1μmであった。
(無電解めっき浴の組成)
・蒸留水 774g
・ATSアドカッパーIW−A(奥野製薬工業(株)製) 45mL
・ATSアドカッパーIW−M(奥野製薬工業(株)製) 72mL
・ATSアドカッパーIW−C(奥野製薬工業(株)製) 9mL
・NaOH 1.98g
・2,2’−ビピリジル 1.8mg
[電気めっき]
続いて、無電解銅めっき膜を給電層として、下記組成の電気銅めっき浴を用い、3A/dmの条件で、電気めっきを20分間行った。得られた電気銅めっき膜の厚みは18μmであった。
(電気めっき浴の組成)
・硫酸銅 38g
・硫酸 95g
・塩酸 1mL
・カッパーグリームPCM(メルテックス(株)製) 3mL
・水 500g
表1中、pH欄は、シランカップリング剤の加水分解時の混合液のpHを意味する。
また、表1中、攪拌時間欄は、シランカップリング剤の加水分解時の混合液中での攪拌時間(加水分解処理時間)を意味する。
また、表1中、官能基欄は、シランカップリング剤に含まれる官能基を意味し、各欄に記載の官能基の記号は以下の官能基を意味する。
A基:アクリロイルオキシ基、M基:メルカプト基、Am基:アミノ基、E基、エポキシ基、Ph基、フェニル基、Al基:アルコキシ基、C基:カルボキシル基
なお、線光電子分光法(XPS)により、実施例1〜27で使用した無機基板(ガラス基板など)の表面に水酸基が存在する事を確認した。X線源は、モノクロAlKαを用いた。
表1に示すように、本発明の製造方法で得られた積層体中の金属層は優れた密着性を示した。
なお、実施例15と実施例16との比較より、pHが4以下の場合、金属層の密着性により優れることが確認された。
また、実施例1と実施例4との比較より、プライマー層を構成する樹脂がエラストマーである実施例1において、金属層の密着性により優れることが確認された。
また、実施例1と2との比較より、樹脂がシアノ基を有する態様である実施例1において、金属層の密着性により優れることが確認された。
また、実施例26と27との比較より、プライマー層の厚みが厚いほど(4μm以上)、金属層の密着性により優れることが確認された。
さらに、実施例2〜3と6〜8との比較より、プライマー層の弾性率(ヤング率)が所定値以下(500MPa以下)の場合、金属層の密着性により優れることが確認された。
一方、比較例1〜4に示すように、加水分解物および/またはその縮合物を使用しない場合、金属層の密着性が劣っていた。
また、比較例5〜7に示すように、シランカップリング剤が所定の官能基を有さない場合、金属層の密着性が劣っていた。
さらに、比較例8は特許文献1に具体的に開示されている態様の中で使用されているガラスエポキシ基板を、ガラス基板に変更して実施した態様である。上記に示すように、特許文献1に記載の態様をそのままガラス基板に使用しても、金属層の密着性が劣っていた。
10:無機基板
12:プライマー層
14:被めっき層
16:金属層
18:積層体
20:パターン状金属層

Claims (11)

  1. エポキシ基、アミノ基、ビニル基、メルカプト基、アクリロイルオキシ基、フェニル基、およびシアノ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの官能基を有するシランカップリング剤をpH1〜8の条件下で加水分解して得られる加水分解物および/またはその縮合物と、樹脂とを含有するプライマー層形成用組成物を用いて、無機基板上にプライマー層を形成する工程(1)と、
    前記プライマー層上に、めっき触媒またはその前駆体と相互作用を形成する官能基および重合性基を有するポリマーを含む層を形成し、その後前記ポリマーを含む層に対してエネルギーを付与して、前記プライマー層上に被めっき層を形成する工程(2)と、
    前記被めっき層にめっき触媒またはその前駆体を付与する工程(3)と、
    めっき触媒またはその前駆体が付与された前記被めっき層に対してめっき処理を行い、前記被めっき層上に金属層を形成する工程(4)と、を備える金属層を有する積層体の製造方法。
  2. 前記pHの範囲が1〜4である、請求項1に記載の金属層を有する積層体の製造方法。
  3. 前記プライマー層形成用組成物に含まれる前記樹脂がエラストマーである、請求項1または2に記載の積層体の製造方法。
  4. 前記プライマー層のヤング率が500MPa以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の金属層を有する積層体の製造方法。
  5. 前記プライマー層形成用組成物に含まれる前記樹脂が、一般式(1)で表されるユニットを有する、請求項1〜4のいずれかに記載の金属層を有する積層体の製造方法。

    (一般式(1)中、Raは、水素原子、または、置換若しくは無置換のアルキル基を表す。Laは、単結合、または、置換若しく無置換の二価の有機基を表す。)
  6. 前記プライマー層の膜厚が4μm以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の金属層を有する積層体の製造方法。
  7. 前記官能基が、アクリロイルオキシ基である、請求項1〜6のいずれかに記載の金属層を有する積層体の製造方法。
  8. 前記無機基板が、ガラス基板またはセラミックス基板である、請求項1〜7のいずれかに記載の金属層を有する積層体の製造方法。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載の製造方法により製造される金属層を有する積層体。
  10. 請求項に記載の積層体中の金属層をパターン状にエッチングして、パターン状金属層を形成するパターン形成工程を備える、パターン状金属層を有する積層体の製造方法。
  11. 請求項10に記載の製造方法より得られるパターン状金属層を有する積層体を含むプリント配線基板。
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