JP2005277225A - 微粒子配列パターン形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 大面積でのパターン形成に適用可能であり、所望の高解像度の領域にパターン状に微粒子を配列させることができ、更に、簡便な操作でこのようなパターン形成が可能な微粒子配列パターン形成方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、パターン状に集積した微粒子が基板に強く付着し、こすりなどの機械的な操作でもはがれることのない微粒子配列パターン形成方法を提供すること。
【解決手段】 光開裂によりラジカル重合を開始しうる重合開始部位と基材結合部位とを有する化合物を基材に結合させる工程と、該基材上にラジカル重合可能な不飽和化合物を接触させて、パターン状に露光して、グラフトポリマー生成領域と非生成領域とを形成する工程と、該グラフトポリマー生成領域に微粒子を付着させる工程と、をこの順に行うことを特徴とする微粒子配列パターン形成方法である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、基材上に微粒子をパターン状に規則的に配列させる微粒子配列パターン形成方法に関する。
微粒子の配列技術は、触媒、記録材料、センサー、電子デバイス、光デバイス等の材料の高表面積化、高解像度化、並びに高密度化等の高機能化を図る上で重要な技術であり、その研究が盛んに行われている。
例えば、微粒子の液状分散媒体を基板上に展開して液体薄膜を形成し、液状分散媒体の液厚を減少制御し、液厚を粒子径サイズと同等かそれより小さくし、表面張力を用いて微粒子を凝集させる微粒子の凝集形成方法が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)この公報記載の発明によれば、所定の領域に微粒子の層を規則正しく凝集させて均一な微粒子集積層を形成することは可能であるが、所望の領域のみに微粒子をパターン状に配列させる目的には適用し難いという問題がある。
微粒子をパターン状に配列させる技術としては、TiO2のような酸化物基板の表面をパターン状に光照射し、表面に親疎水性パターンを作成した後、そのパターンに応じて微粒子を配列させる方法が記載されている(例えば、特許文献2参照。)この方法により形成された微粒子パターンを作成することが可能であるが、ここで得られるパターン状の微粒子は物理的に付着しているだけで固定化されておらず、応力により容易に脱落するためデバイス等としての用途には不適であった。また、所定のパターン領域以外の部分にも粒子が付着する傾向があり、選択性が高く、且つ、固定化された微粒子パターン形成方法が求められていた。
微粒子をパターン状に並べるその他の手法として、G.M.Whitesidesらのマイクロスタンプを用いたパターン状微粒子積層方法が知られている。(例えば、非特許文献1参照。)この方法によりサブミクロンサイズのポリマー粒子を秩序よく所望の領域に集積することができ、また、このパターンは選択性の高いものではあるが、操作が難しく、秩序正しい粒子積層体を作成するのに溶媒蒸発速度のコントロールが必要であり、簡便に作製できるものではなかった。更に、このような事情から大面積のパターン形成には適さないという問題があり、更に、この方法においてもパターン状に積層した粒子と基板との付着強度が弱く、実用上充分な密着強度を達成しうる微粒子付着パターンの形成方法が求められていた。
特許第2,828,374号公報 特開2002−273209公報 G.M.Whitesides著「アドバンスドマテリアル(Advanced Materials)」(1996年)、8巻、p245
本発明の前記従来における問題点を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、大面積でのパターン形成に適用可能であり、所望の高解像度の領域にパターン状に微粒子を配列させることができ、更に、簡便な操作でこのようなパターン形成が可能な微粒子配列パターン形成方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、パターン状に集積した微粒子が基板に強く付着し、こすりなどの機械的な操作でもはがれることのない微粒子配列パターン形成方法を提供することにある。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
即ち、本発明のパターン形成方法は、光開裂によりラジカル重合を開始しうる重合開始部位と基材結合部位とを有する化合物を基材に結合させる工程と、
該基材上にラジカル重合可能な不飽和化合物を接触させて、パターン状に露光して、グラフトポリマー生成領域と非生成領域とを形成する工程と、
該グラフトポリマー生成領域に微粒子を付着させる工程と、
をこの順に行うことを特徴とする微粒子配列パターン形成方法である。
また、本発明においては、前記重合開始部位が、C−C結合、C−N結合、C−O結合、C−Cl結合、N−O結合、及びS−N結合からなる群より選択されるいずれかを含むことが好ましい。
更に、本発明に係るグラフトポリマーは、ポリマー内に極性基を有することが好ましい。特に、ポリマーの側鎖に極性基を有することが好ましい。また極性基としては特にイオンに解離しうるイオン性基が好ましい。
本発明における詳細なメカニズムは未だ明確ではないが、本発明における重合反応は、フリーラジカル重合を用いた重合反応であるため重合速度が速く、また重合反応には厳密な制御を必要としないため、固体表面に容易にグラフトポリマーパターンを形成することが可能になったものと考えられる。
更に、本発明の方法により生成されたグラフトポリマーは、そのポリマーの片末端で基材表面に結合した重合開始部位と基材結合部位とを有する化合物に対し、化学結合することで、基材にきわめて強く固定化されている。また、ポリマーの片末端のみ基材に固定化され、他の末端はフリーであるためにポリマーに対する束縛が小さく、極めて高い運動性を有することが特徴である。これらのことから、本発明において生成されたグラフトポリマーは、前記の如き高い運動性、基材との強固な結合などの基本的な性質に加え、分子内に極性基の強い官能基を導入することで、極性基を有するグラフトポリマーと微粒子との相互作用が形成され、力学的に強固に微粒子を付着させることができる。
これらの結果、解像度の高い微細なパターン状のグラフトポリマー生成領域に従って、選択的に、かつ、強固に、微粒子が付着できるものと推定される。
このときの微粒子の付着機構には特に制限はなく、例えば、極性基、イオン基などによるイオン性の吸着、静電気的な吸着・付着、双極子相互作用による吸着・付着など、いずれの機構による付着も本発明に包含される。
更に、本発明においては、グラフトポリマー生成領域に微粒子を付着させて、グラフトポリマーと微粒子との間に上述のように相互作用が形成されると、グラフトポリマー生成領域は非生成領域と比べて微粒子吸着能が非常に強いものとなり、洗浄操作により所望する範囲以外に付着した僅かの粒子をも完全に取り除くことができる。その結果、極めて選択性の高い微粒子配列パターンが得られるものである。
本発明によれば、大面積でのパターン形成に適用可能であり、所望の高解像度の領域にパターン状に微粒子を配列させることができ、更に、簡便な操作でこのようなパターン形成が可能な微粒子配列パターン形成方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、パターン状に集積した微粒子が基板に強く付着し、こすりなどの機械的な操作でもはがれることのない微粒子配列パターン形成方法を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の微粒子配列パターン形成方法は、光開裂によりラジカル重合を開始しうる重合開始部位と基材結合部位とを有する化合物を基材に結合させる工程(以下、適宜、「光開裂化合物結合工程」と称する。)と、該基材上にラジカル重合可能な不飽和化合物を接触させて、パターン状に露光して、グラフトポリマー生成領域と非生成領域とを形成する工程(以下、適宜、「グラフトポリマー生成工程」と称する。)と、該グラフトポリマーに微粒子を付着させる工程(以下、適宜、「微粒子付着工程」と称する。)と、をこの順に行うことを特徴とする。
まず、本発明における光開裂化合物結合工程からグラフトポリマー生成工程までの概略について、図1を用いて説明する。ここで、図1は本発明における光開裂化合物結合工程からグラフトポリマー生成工程の概略を示す概念図である。
図1(a)に示されるように、基材表面には当初より官能基(図中、Zで表される)が存在する。ここに、基材結合部位(Q)と、光開裂によりラジカル重合を開始しうる重合開始部位(Y)と、を有する化合物(Q−Y)を付与し、基材表面に接触させる。これにより、図1(b)に示されるように、基材表面に存在する官能基(Z)と、基材結合部位(Q)と、が結合して、基材表面に化合物(Q−Y)が導入される〔光開裂化合物結合工程〕。その後、図1(c)に示されるように、モノマー等の公知のグラフトポリマー原料を接触させた状態で、パターン露光を行う。これにより、図1(d)に示されるように、露光領域においては、化合物(Q−Y)の重合開始部位(Y)を起点としてグラフトポリマーが生成され(グラフトポリマー生成領域)、その一方、未露光領域においては、グラフトポリマーは生成しない(グラフトポリマー非生成領域)〔グラフトポリマー生成工程〕。
以下、このような各工程について具体的に説明する。
図1においてZで表示される基は、基材表面に存在する官能基であり、具体的には、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。これらの官能基はシリコン基板、ガラス基板における基材の材質に起因して基材表面にもともと存在しているものでもよく、基材表面にコロナ処理などの表面処理を施すことにより表面に存在させたものであってもよい。
次に、光開裂によりラジカル重合を開始しうる重合開始部位(以下、単に、重合開始部位と称する。)と基材結合部位とを有する化合物の構造について具体的に説明する。この化合物について、図1の概念図における、基材結合部位(Q)と、重合開始部位(Y)と、を有する化合物(Q−Y)のモデルを用いて詳細に説明すれば、一般に、重合開始部位(Y)は、光により開裂しうる単結合を含む構造である。
この光により開裂する単結合としては、カルボニルのα開裂、β開裂反応、光フリー転位反応、フェナシルエステルの開裂反応、スルホンイミド開裂反応、スルホニルエステル開裂反応、N−ヒドロキシスルホニルエステル開裂反応、ベンジルイミド開裂反応、活性ハロゲン化合物の開裂反応、などを利用して開裂が可能な単結合が挙げられる。これらの反応により、光により開裂しうる単結合が切断される。この開裂しうる単結合としては、C−C結合、C−N結合、C−O結合、C−Cl結合、N−O結合、及びS−N結合等が挙げられる。
また、これらの光により開裂しうる単結合を含む重合開始部位(Y)は、グラフトポリマー生成工程におけるグラフト重合の起点となることから、光により開裂しうる単結合が開裂すると、その開裂反応によりラジカルを発生させる機能を有する。このように、光により開裂しうる単結合を有し、かつ、ラジカルを発生可能な重合開始部位(Y)の構造としては、以下に挙げる基を含む構造が挙げられる。
芳香族ケトン基、フェナシルエステル基、スルホンイミド基、スルホニルエステル基、N−ヒドロキシスルホニルエステル基、ベンジルイミド基、トリクロロメチル基、ベンジルクロライド基、などが挙げられる。
このような重合開始部位(Y)は、露光により開裂して、ラジカルが発生すると、そのラジカル周辺に重合可能な化合物が存在する場合には、このラジカルがグラフト重合反応の起点として機能し、所望のグラフトポリマーを生成することができる(グラフトポリマー生成領域)。その一方、露光が行われなかった領域においては、重合開始部位(Y)の開裂が起きず、当該領域にはグラフトポリマーが生成しない(グラフトポリマー非生成領域)。
基材結合部位(Q)としては、基材表面に存在する官能基Zと反応して結合しうる反応性基で構成され、その反応性基としては、具体的には、以下に示すような基が挙げられる。
Figure 2005277225
重合開始部位(Y)と、基材結合部位(Q)と、は直接結合していてもよいし、連結基を介して結合していてもよい。この連結基としては、炭素、窒素、酸素、及びイオウからなる群より選択される原子を含む連結基が挙げられ、具体的には、例えば、飽和炭素基、芳香族基、エステル基、アミド基、ウレイド基、エーテル基、アミノ基、スルホンアミド基、等が挙げられる。また、この連結基は更に置換基を有していてもよく、その導入可能な置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、等が挙げられる。
基材結合部位(Q)と、重合開始部位(Y)と、を有する化合物(Q−Y)の具体例〔例示化合物1〜例示化合物16〕を、開裂部と共に以下に示すが、本発明はこれらに制限されるものではない。
Figure 2005277225
Figure 2005277225
Figure 2005277225
本発明における光開裂化合物結合工程は、このような化合物(Q−Y)を基材に結合させる工程である。
例示された如き化合物(Q−Y)を基材表面に存在する官能基Zに結合させる方法としては、化合物(Q−Y)を、トルエン、ヘキサン、アセトンなどの適切な溶媒に溶解又は分散し、その溶液又は分散液を基材表面に塗布する方法、又は、溶液又は分散液中に基材を浸漬する方法などを適用すればよい。このとき、溶液中又は分散液の化合物(Q−Y)の濃度としては、0.01質量%〜30質量%が好ましく、特に0.1質量%〜15質量%であることが好ましい。接触させる場合の液温としては、0℃〜100℃が好ましい。接触時間としては、1秒〜50時間が好ましく、10秒〜10時間がより好ましい。
本発明において用いられる基材には、特に制限はなく、基材表面に、水酸基、カルボキシル基、アミノ基など、官能基(Z)を有する基材、或いは、コロナ処理、グロー処理、プラズマ処理などの表面処理により、水酸基、カルボキシル基などを発生させた基材などを適用できる。
また、一般的には、平板状の基材が用いられるが、必ずしも平板状の基材に限定されず、円筒形などの任意の形状の基材表面にも同様にグラフトポリマーを導入することができる。
本発明に好適な基材として、例えば、ガラス、石英、ITO、シリコン等の表面水酸基を有する各種基材、コロナ処理、グロー処理、プラズマ処理などの表面処理により、表面に水酸基やカルボキシル基などを発生させたPET、ポリプロピレン、ポリイミド、エポキシ、アクリル、ウレタンなどのプラスチック基材、等が挙げられる。
基材の厚みは、使用目的に応じて選択され、特に限定はないが、一般的には、10μm〜10cm程度である。
そして、このように、基材表面に化合物(Q−Y)が結合された後、グラフトポリマー生成工程が行なわれる。
このグラフトポリマー生成工程では、前述した光開裂化合物結合工程における処理を経た基材に、所望とするグラフトポリマーの材料となる、ラジカル重合可能な不飽和化合物(例えば、親水性モノマーなど)を接触させた後、パターン露光を行い、露光領域の重合開始基を活性化させてラジカルを発生させ、そのラジカルを起点として、ラジカル重合可能な不飽和化合物との間で、グラフト化反応を生起、進行させる。その結果、露光領域にのみ、グラフトポリマーが生成する。
なお、ラジカル重合可能な不飽和化合物を基材表面に接触させる方法としては、ラジカル重合可能な不飽和化合物が溶解された溶液又は分散された分散液を塗布する方法、溶液又は分散液に基材を浸漬する方法などがある。
グラフトポリマー生成工程において用いられるラジカル重合可能な不飽和化合物としては、ラジカル重合性基を有する化合物であれば、如何なるものも用いることができるが、例えば、親水性モノマー、疎水性モノマー、マクロマー、オリゴマー、重合性不飽和基を有するポリマーなどが挙げられる。本発明においては、特に、微粒子の付着・吸着の観点から、極性基である親水性基を有する、親水性ポリマー、親水性マクロマー、親水性モノマーなどが好ましい。
以下に、グラフトポリマー生成工程において好適に用いられる、ラジカル重合可能な不飽和化合物について具体的に例示する。
−重合性不飽和基を有する親水性ポリマー−
重合性不飽和基を有する親水性ポリマーとは、分子内に、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基などのエチレン付加重合性不飽和基が導入されたラジカル重合性基含有親水性ポリマーを指す。このラジカル重合性基含有親水性ポリマーは、重合性基を主鎖末端及び/又は側鎖に有することを要し、その双方に重合性基を有することが好ましい。以下、重合性基を(主鎖末端及び/又は側鎖に)有する親水性ポリマーを、ラジカル重合性基含有親水性ポリマーと称する。
このようなラジカル重合性基含有親水性ポリマーは以下のようにして合成することができる。
合成方法としては、(a)親水性モノマーとエチレン付加重合性不飽和基を有するモノマーとを共重合する方法、(b)親水性モノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、(c)親水性ポリマーの官能基とエチレン付加重合性不飽和基を有するモノマーとを反応させる方法、が挙げられる。これらの中でも、特に好ましいのは、合成適性の観点から、(c)親水性ポリマーの官能基とエチレン付加重合性不飽和基を有するモノマーとを反応させる方法である。
上記(a)や(b)の方法において、ラジカル重合性基含有親水性ポリマーの合成に用いられる親水性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、イタコン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−モノメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、アリルアミン若しくはそのハロゲン化水素酸塩、3−ビニルプロピオン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、ビニルスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどの、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基若しくはそれらの塩、水酸基、アミド基及びエーテル基などの親水性基を有するモノマーが挙げられる。
また、(c)の方法で用いられる親水性ポリマーとしては、これらの親水性モノマーから選ばれる少なくとも一種を用いて得られる親水性ホモポリマー若しくはコポリマーが用いられる。
(a)の方法でラジカル重合性基含有親水性ポリマーを合成する際、親水性モノマーと共重合するエチレン付加重合性不飽和基を有するモノマーとしては、例えば、アリル基含有モノマーがあり、具体的には、アリル(メタ)アクリレート、2−アリルオキシエチルメタクリレートが挙げられる。
また、(b)の方法でラジカル重合性基含有親水性ポリマーを合成する際、親水性モノマーと共重合する二重結合前駆体を有するモノマーとしては、2−(3−クロロ−1−オキソプロポキシ)エチルメタクリレー卜が挙げられる。
更に、(c)の方法でラジカル重合性基含有親水性ポリマーを合成する際、親水性ポリマー中のカルボキシル基、アミノ基若しくはそれらの塩と、水酸基及びエポキシ基などの官能基と、の反応を利用して不飽和基を導入することが好ましい。このために用いられる付加重合性不飽和基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートなど挙げられる。
−親水性マクロモノマー−
本発明において用い得るマクロモノマーの製造方法は、例えば、平成1年9月20日にアイピーシー出版局発行の「マクロモノマーの化学と工業」(編集者 山下雄也)の第2章「マクロモノマーの合成」に各種の製法が提案されている。
本発明で用い得る親水性マクロモノマーで特に有用なものとしては、アクリル酸、メタクリル酸などのカルホキシル基含有のモノマーから誘導されるマクロモノマー、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルステレンスルホン酸、及びその塩のモノマーから誘導されるスルホン酸系マクロモノマー、(メタ)アクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルカルボン酸アミドモノマーから誘導されるアミド系マクロモノマー、ヒドロキシエチルメタクリレー卜、ヒドロキシエチルアクリレート、グリセロールモノメタクリレートなどの水酸基含有モノマーから誘導されるマクロモノマー、メトキシエチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレートなどのアルコキシ基若しくはエチレンオキシド基含有モノマーから誘導されるマクロモノマーである。またポリエチレングリコール鎖若しくはポリプロピレングリコール鎖を有するモノマーも本発明のマクロモノマーとして有用に使用することができる。
これらの親水性マクロモノマーのうち有用なものの分子量は、250〜10万の範囲で、特に好ましい範囲は400〜3万である。
−親水性モノマー−
親水性モノマーとしては、アンモニウム、ホスホニウムなどの正の荷電を有するモノマー、若しくは、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、ホスホン酸基などの負の荷電を有するか負の荷電に解離しうる酸性基を有するモノマーが挙げられるが、その他にも、例えば、水酸基、アミド基、スルホンアミド基、アルコキシ基、シアノ基などの非イオン性の基を有する親水性モノマーを用いることもできる。
本発明において用いうる親水性モノマーの具体例としては、次のモノマーを挙げることができる。
例えば、(メタ)アクリル酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、イタコン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、アリルアミン若しくはそのハロゲン化水素酸塩、3−ビニルプロピオン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、ビニルスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、スチレンスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−スルホエチレン(メタ)アクリレート、3−スルホプロピレン(メタ)アクリレート若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート若しくはそれらの塩、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート若しくはそのハロゲン化水素酸塩、3−トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリレート、3−トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N,N−トリメチル−N−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピル)アンモニウムクロライド、などを使用することができる。 また、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−モノメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド、ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなども有用である。
−溶媒−
上述のラジカル重合可能な不飽和化合物を溶解、分散するための溶媒としては、該化合物や必要に応じて添加される添加剤が溶解可能ならば特に制限はない。
例えば、親水性モノマー等の親水性の化合物が適用される場合であれば、水、水溶性溶剤などの水性溶剤が好ましく、これらの混合物や、溶剤に更に界面活性剤を添加したものなどが好ましい。水溶性溶剤は、水と任意の割合で混和しうる溶剤を言い、そのような水溶性溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリンの如きアルコール系溶剤、酢酸の如き酸、アセトンの如きケトン系溶剤、ホルムアミドの如きアミド系溶剤、などが挙げられる。
また、疎水性モノマー等の疎水性の化合物が適用される場合であれば、メタノール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノールの如きアルコール系の溶剤、メチルエチルケトンの如きケトン系の溶剤、トルエンの如き芳香族炭化水素系の溶剤などが好ましい。
グラフトポリマー生成工程において用いうる露光方法には特に制限はなく、前記重合開始部位(Y)において開裂を生じさせるエネルギーを付与できる露光であれば、紫外線でも、可視光でもよい。パターン露光に用いられる光源としては、紫外光、深紫外光、レーザー光、等が挙げられるが、好ましくは、紫外光、レーザー光である。
本発明により形成されるパターンの解像度は露光条件に左右される。
上述の光開裂化合物結合工程からグラフトポリマー生成工程までを用いれば、高精細なパターン露光を施すことにより、露光に応じた高精細(高解像度)パターンが形成される。高精細パターン形成のための露光方法としては、光学系を用いた光ビーム走査露光、マスクを用いた露光などが挙げられ、所望のパターンの解像度に応じた露光方法をとればよい。
高精細パターン露光としては、具体的には、i線ステッパー、g線ステッパー、KrFステッパー、ArFステッパーのようなステッパー露光などが挙げられる。
このように基材表面にグラフトポリマー生成領域と非生成領域とからなるパターンが形成された基材は、露光後、溶剤浸漬や溶剤洗浄などの処理を行って、残存するホモポリマーを除去し、精製する。具体的には、水やアセトンによる洗浄、乾燥、などが挙げられる。ホモポリマーの除去性の観点からは、超音波などの手段を採ることが好ましい。
精製後の基材は、その表面に残存するホモポリマーが完全に除去され、基材と強固に結合したパターン状のグラフトポリマーのみが存在することになる。
これらのことから、上述の工程で得られたグラフトポリマー生成領域と非生成領域とからなるパターンは、露光の解像度に応じた微細なパターンとなる。
本発明における微粒子付着工程では、生成したグラフトポリマーに、微粒子を付着させる。ここで、グラフトポリマーに、該グラフトポリマーの特性に適合する各種の機能性微粒子を付着させることで、微粒子が画像様に配列されることになる。これにより、所望の領域を、微粒子が有する優れた機能を発現し得る領域とすることができる。以下、微粒子の付着について説明をする。
1.微粒子の例示
本発明における微粒子としては、上述のグラフトポリマーに付着しうる微粒子であればよいが、既述のごとく、当該グラフトポリマーの好適な態様は、極性基を有するものであることから、該極性基と相互作用を形成し結合しうる物性を有する微粒子であることが好ましい。用いられる微粒子としては、形成される機能性表面の目的に応じて適宜選択すればよい。また、微粒子の粒径も目的に応じて選択することができる。
また、微粒子の粒径も目的に応じて選択することができる。微粒子の粒径としては、目的に応じて異なるが、一般的には0.1nm〜1μmの範囲であることが好ましく、1nm〜300nmの範囲であることが更に好ましく、5nm〜100nmの範囲であることが特に好ましい。
本発明の好ましい態様においては、微粒子はイオン的に吸着するため、微粒子の表面電荷、イオン性基の数により、粒径や吸着量が制限されることはいうまでもない。
なお、本発明において、グラフトポリマーに対する微粒子の吸着状態としては、例えば、極性基としてイオン性基を挙げて説明するに、グラフトポリマーが有するイオン性基の存在状態に応じて、規則正しくほぼ単層状態に配置されたり、長いグラフトポリマーのそれぞれのイオン性基にナノスケールの微粒子が一つづつ吸着し、結果として多層状態に配列されたりしている。
次に、本発明に係る微粒子として適用しうる機能性の微粒子について、具体例を挙げて説明する。
1−1.光学材料用微粒子
本発明の微粒子配列パターン形成方法を光学材料の作製に適用する場合には、機能性微粒子として、樹脂微粒子、及び、金属酸化物微粒子から選択される少なくとも1種の微粒子を用いることが好ましい。
樹脂微粒子としては、コアと呼ばれる微粒子の中心部分が有機ポリマーであり、金属酸化物微粒子としては、シリカ(SiO2)、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化錫(SnO2)などが好適なものとして挙げられる。また、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、クレー、タルク等の、所謂、透明顔料、白色顔料と呼ばれる顔料微粒子なども以下に述べる好ましい形状を有するものであれば使用することができる。
樹脂微粒子としては、耐久性の観点から硬度の高いものが好ましく、具体的には例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などの樹脂からなる球状微粒子が挙げら、中でも、架橋樹脂微粒子が好ましい。この用途においては、微粒子の粒径は、10nm〜900nmの範囲であることが好ましく、特に、可視光の波長範囲100nm〜700nmの範囲であることが更に好ましい。このような態様においては、グラフトポリマーとイオン的に結合する粒子は規則正しくほぼ単層状態に配置される。
また、本発明の微粒子配列パターン形成方法を、光学機器に用いられるカラーフィルター、シャープカットフィルター、非線形光学材料などの作製に適用する場合に用いられる機能性微粒子としては、CdS、CdSe等の半導体又は金等の金属からなる微粒子が挙げられる。この場合、基材としてシリカガラス又はアルミナガラスを用いることで、カラーフィルターなどに好適に用いられるのみならず、3次の光非線形感受率が大きいことが確認されてから、光スイッチ、光メモリ用材料などの非線形光学材料として期待される。ここで用いられる微粒子としては、具体的には、金、白金、銀、パラジウム等の貴金属又はその合金等が挙げられ、安定性の観点から、金、白金等のアルカリによって急激に溶解することのない物質等が好適に挙げられる。
本発明の微粒子配列パターン形成方法を、上記非線形光学材料の作製に適用する場合について詳述すれば、この場合に用いられる好適な金属(化合物)の超微粒子としては、具体的には、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、ルテニウム(Ru)などの単体と、これらを1種以上含有するその合金であって、10〜1000オングストロームの平均粒子径を有する超微粒子が挙げられる。なお、この粒子径は1次粒子、2次粒子のいずれであってもよいが、可視光を散乱させないものが好ましい。中でも、トルエン等の溶剤中に独立分散した粒径10nm以下の、Au、Pt、Pd、Rh、Agから選ばれた貴金属微粒子、或いはTi、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、Cd、Y、W、Sn、Ge、In、Gaから選ばれた金属微粒子が好適に挙げられる。
これらの超微粒子を用いて、通常の方法、即ち、ゾル−ゲル法、含浸法、スパッタ法、イオン注入法、或いは溶融析出法などにより非線形光学材料を作製する場合、微粒子が非常に凝集しやすいため、複合物中の微粒子濃度を増加させることが困難となったり、生産性が低下する、などの問題が生じていた。特に、微粒子の濃度が低く、物理特性に微粒子の寄与する割合が小さいものは、用途が限定され、3次の非線形光学効果を利用した画像メモリ、光集積回路などには不向きであった。対して、本発明によれば、微粒子は基材表面に結合しているグラフトポリマーのイオン性基(極性基)に直接イオン的に結合し、該イオン性基は、グラフトポリマー中に高密度で存在するため、微粒子濃度を容易に増加させることができることから、光学材料中においても、このような非線形光学材料用途に特に好適であるといえる。
1−2.有機発光素子用微粒子
本発明の微粒子付着パターン形成方法を有機発光素子の作製に適用する場合には、機能性微粒子として、ホットキャリアーによる励起によって発光する有機色素分子が凝集した微粒子を用い、電極を有する基材表面に該微粒子を含む層を形成することで、有機発光素子を形成することができる。ここで用いられる有機色素としては、以下の示す有機色素が挙げられるが、もちろんそれらに限定されるものではなく、使用目的等を考慮して適宜選択される。
有機発光素子用微粒子を構成する有機色素としては、p−ビス[2−(5−フェニルオキサゾール)]ベンゼン(POPOP)等の青色発光のオキサゾール系色素;クマリン2、クマリン6、クマリン7、クマリン24、クマリン30、クマリン102、クマリン540等の緑色発光のクマリン系色素;ローダミン6G、ローダミンB、ローダミン101、ローダミン110、ローダミン590、ローダミン640等の赤色発光のローダミン系(赤色)色素;及びオキサジン1、オキサジン4、オキサジン9、オキサジン118等の近赤外領域の発光が得られ、特に光通信に適合した光機能素子に好適なオキサジン系色素などが挙げられる。
更に、フタロシアニン、ヨウ化シアニン化合物等のシアニン系色素等をも挙げられる。なお、これらの色素を選択する際に、アクリル樹脂等の高分子に溶けやすいものを選択することが薄膜形成の目的上好ましい。そのような色素としては、POPOP、クマリン2、クマリン6、クマリン30、ローダミン6G、ローダミンB、ローダミン101等が挙げられる。
また、有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)膜に使われる有機分子、例えば、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(AlQ3)、1,4ビス(2,2ジフェニルビニル)ビフェニル、ポリパラフェニレンビニレン(PPV)誘導体、ジスチリルアリレーン誘導体、スチリルビフェニル誘導体、フェナントロリン誘導体等、或いは該有機分子に添加物を加えた媒体などにより形成された微粒子であってもよい。
1−3.その他の微粒子
上記した微粒子以外に、本発明に係る微粒子として有用なものとしては、下記のものも挙げられる。
即ち、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化コバルト、酸化クロム、酸化錫、酸化アンチモン等の金属酸化物微粒子、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化チタン、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化錫のような無機化合物、又はアルミニウム、錫、亜鉛のような金属から作られる超微粉末などが挙げられる。
以上、本発明に係る微粒子について説明したが、本発明はこれらに制限されるものではなく、機能性微粒子が有する物性を生かした機能性表面を有する微粒子付着パターンを、目的に応じて種々構成することができることは言うまでもない。
2.微粒子表面の物性
上記した各微粒子は、例えば、シリカ微粒子のように、それ自体荷電を有するものであれば、それと反対の電荷を有する極性基を持つグラフトポリマーを基材表面に生成すればよい。
また、金微粒子のように、それ自体荷電を持たない微粒子の場合は、荷電を有する粒子表面修飾剤を用いることで荷電を有する微粒子を作製し、それをグラフトポリマーに付着・吸着させることもできる。後者の方法をとれば、微粒子の使用する際の選択の幅を広げることができる。
前記微粒子をグラフトポリマーに付着させ、微粒子配列パターンを設ける方法としては、(1)グラフトポリマーが画像様に生成された基材のグラフトポリマー生成面に荷電を有する微粒子の分散液を塗布する方法、及び、(2)微粒子の分散液中にグラフトポリマーが画像様に生成された基材を浸漬する方法、などが挙げられる。
なお、これらの微粒子は、耐久性の観点から、グラフトポリマーに存在する極性基に付着・吸着し得る最大量が付着していることが好ましい。そのため、(1)及び(2)のいずれの方法においても、過剰量の荷電微粒子を供給し、グラフトポリマーの極性基と微粒子との間に充分な相互作用が形成されるように、分散液とグラフトポリマーが画像様に生成された基材との接触時間は、10秒から180分程度であることが好ましく、1分から100分程度であることが更に好ましい。また、機能性表面における機能性発現の効率からは、微粒子を分散させる分散液における分散濃度は、10〜20質量%程度が好ましい。
3.グラフトポリマーへの微粒子の付着態様
微粒子が付着する具体的な態様を挙げれば、例えば、極性基として、正の電荷を有するアンモニウムの如きイオン性モノマーを用いて、基材表面にアンモニウム基を有するグラフトポリマーを画像様に生成させ、その後、シリカ微粒子分散液にこの基材を所定時間浸漬しパターン状に吸着させた後、余分な分散液を水により洗浄、更に、綿などで軽く擦り、所望の以外の部分に付着している粒子を完全に除去することで、シリカ微粒子がパターン状に吸着してなる微粒子配列パターンが形成される。
このようにして、基材上にグラフトポリマーを画像様に生成し、そこに前記微粒子を付着させて所望の機能を有する微粒子配列パターンを設けることができる。微粒子配列パターンの膜厚は目的により選択できるが、一般的には0.001μm〜10μmの範囲が好ましく、0.005μm〜5μmの範囲が更に好ましく、0.01μm〜1μmの範囲が最も好ましい。膜厚が薄すぎると耐キズ性が低下する傾向があり、厚すぎる場合には密着性が低下する傾向にある。
4.用途
本発明の微粒子配列パターン形成方法により得られた微粒子配列パターンの用途に関して更に例示すれば、微粒子を選択することで、導電性の有機或いは無機微粒子を用いれば、機能性表面に電子・電気的機能を、フェライト粒子などの磁性体微粒子を用いれば磁気的機能を、特定の波長の光を吸収、反射、散乱するような微粒子を用いて光学的機能を、というように種々の機能を機能性表面に発現させることができ、種々の工業製品、医薬品、触媒、バリスター(可変抵抗器)、塗料、化粧品など幅広い分野で使用することができる。また、種々の微粒子構成材料が有するこれらの多種多様な機能に加え、基材として高分子材料を用いることにより、高分子材料が有する成形加工の容易性をも利用することができ、新規な材料の開発も期待される。
前記の広範囲の用途における具体例を述べれば、例えば、色材微粒子を付着させてなる画像形成材料、非線形光学素子などに用いられる光学部品、紫外線・可視光・赤外線などの光に対する局所的な遮蔽フィルム、漁網、テレビ用部品、電話機用部品、OA機器用部品、電気掃除機用部品、扇風機用部品、エアーコンディショナー用部品、冷蔵庫用部品、洗濯機用部品、加湿器用部品、食器乾燥機用部品などの各種のOA機器や家電製品、あるいは便座、洗面台用部品などのサニタリー用品、その他の建材、車両部品、日用品、玩具、雑貨などの幅広い用途が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(合成例1:化合物Aの合成)
前記例示化合物1の合成は、以下の2つのステップにより行われる。それぞれのステップのスキームを挙げて説明する。
1.ステップ1(化合物aの合成)
DMAc50gとTHF50gの混合溶媒に1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 24.5g(0.12mol)を溶かし、氷浴下でNaH(60% in oil)7.2g(0.18mol)を徐々に加えた。そこに、11−ブロモ−1−ウンデセン(95%)44.2g(0.18mol)を滴下し、室温で反応を行った。1時間で反応が終了した。反応溶液を氷水中に投入し、酢酸エチルで抽出し、黄色溶液状の化合物aを含む混合物が得られた。この混合物37gをアセトニトリル370mlに溶かし、水7.4gを加えた。p−トルエンスルホン酸一水和物1.85gを加え、室温で20分間撹拌した。酢酸エチルで有機相を抽出し、溶媒を留去した。カラムクロマトグラフィー(充填剤:ワコーゲルC−200、展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=1/80)で化合物aを単離した。
合成スキームを以下に示す。
Figure 2005277225
1H NMR(300MHz CDCl3
δ=1.2−1.8(mb,24H),2.0(q,2H),3.2(t,J=6.6,2H),4.9−5.0(m,2H)5.8(ddt,J=24.4,J=10.5,J=6.6,1H.),7.4(t,J=7.4,2H),7.5(t,J=7.4,1H),8.3(d,1H)
2.ステップ2(化合物aのハイドロシリル化による化合物Aの合成)
化合物a5.0g(0.014mol)にSpeir catalyst(H2PtCl・6H2O/2−PrOH、0.1mol/l)を2滴加え、氷浴下でトリクロロシラン2.8g(0.021mol)を滴下して撹拌した。更に1時間後にトリクロロシラン1.6g(0.012mol)を滴下してから室温に戻した。3時間後に反応が終了した。反応終了後、未反応のトリクロロシランを減圧留去し、化合物Aを得た。
合成スキームを以下に示す。
Figure 2005277225
1H NMR(300MHz CDCl3
δ=1.2−1.8(m,30H),3.2(t,J=6.3,2H),7.3−7.7(m,3H),8.3(d,2H)
(合成例2:重合性基を有する親水性ポリマーPの合成)
ポリアクリル酸(平均分子量25,000)18gをDMAc(ジメチルアセトアミド)300gに溶解し、そこに、ハイドロキノン0.41gと2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート19.4gとジブチルチンジラウレート0.25gを添加し、65℃で4時間反応させた。得られたポリマーの酸価は7.02meq/gであった。1mol/lの水酸化ナトリウム水溶液でカルボキシル基を中和し、酢酸エチルに加えポリマーを沈殿させ、よく洗浄し、重合性基を有する親水性ポリマーPを得た。
〔実施例1〕
(光開裂化合物結合工程)
ガラス基板(日本板硝子(株)製)を、終夜、ピランハ液(硫酸/30%過酸化水素=1/1vol混合液)に浸漬した後、純水で洗浄した。その基板を、窒素置換したセパラブルフラスコ中に入れ12.5wt%の化合物Aの脱水トルエン溶液に1時間浸漬した。取り出し後、トルエン、アセトン、純水で順に洗浄した。このようにして得られた化合物Aが結合した基板を基板A1とする。
(グラフトポリマー生成工程)
親水性ポリマーP(0.5g)を純水4.0gとアセトニトリル2.0gの混合溶媒に溶かし、グラフトポリマー生成層用塗布液を調製した。そのグラフトポリマー生成層用塗布液を、スピンコーターで基板A1に塗布した。スピンコーターは、まず300rpmで5秒間、その後1000rpmで20秒間回転させた。塗布後の基板A1を、100℃で2分間乾燥した。乾燥後のグラフトポリマー生成層の膜厚は2μmであった。
−パターン露光−
グラフトポリマー生成層を有する基板上に、パターンマスク(NC−1、凸版印刷社製)を密着させるようにクリップで留め、露光機(UVX−02516S1LP01、ウシオ電機社製)で1分間露光した。露光後マスクを取り外し、純水で充分洗浄した。
以上のようにして、パターンA1を形成した。
−パターンの確認−
パターンA1を、原子間顕微鏡AFM(ナノピクス1000、セイコーインスツルメンツ社製、DFMカンチレバー使用)で観察した。その結果、パターンA1では幅9μmのパターン(グラフとポリマー生成領域)が形成されていることが確認された。
(微粒子付着工程)
パターンA1(アクリル酸グラフトパターン)を有する基板を、正荷電を有するTiO2微粒子水分散液(1.5wt%、シーアイ化成(社)製)に1時間浸漬した後取り出し、良く水洗を行った。その後、乾燥し、微粒子配列パターン材料1を得た。
得られた微粒子配列パターン材料1の表面を走査型電子顕微鏡(JEOL S800)にて5万倍で観察したところ、TiO2微粒子が積層されたパターンであることが判明した。また、解像度は幅9μmのパターンであった。更に、グラフトポリマー生成領域以外の部分には、ほとんど微粒子は付着しておらず、機能性微粒子の吸着が選択的に行なわれており、解像度に優れていることが判明した。
(耐久性の評価)
得られた微粒子配列パターン材料1を、再度、水中で布で50回こすり洗浄した後、電子顕微鏡観察を行ったが、この布での洗浄前と同様の鮮明なパターンが確認され、こすり操作によってはパターン形状が損なわれることなく、微粒子の付着力が強いことが判明した。
また、TiO2微粒子のゼータ電位を、Malvern Instruments社製zetasizer 2000を用いて測定したところ+42mVであり、正電荷であることが確かめられた。
〔実施例2〕
(光開裂化合物結合工程)
ITOを蒸着したガラス基板(日本板硝子(株)、表面抵抗10Ω/□、品番.49J183)を使用し、イソプロピルアルコール、アセトン、メタノール、純水の順で、それぞれ5分以上超音波洗浄し、窒素吹き付け乾燥した。その基板を、窒素置換したセパラブルフラスコ中に入れ12.5wt%の化合物Aの脱水トルエン溶液に1時間〜終夜浸漬した。取り出し後、トルエン、アセトン、純水ので順に洗浄した。このようにして得られた化合物Aが結合した基板を基板A2とする。
(グラフトポリマー生成工程)
基板A2上に、実施例1と同様にして、グラフトポリマー生成用塗布液を塗布し、乾燥した。乾燥後のグラフトポリマー生成層の膜厚は2μmであった。
−パターン露光−
実施例1と同様にして、パターンマスクを用いてパターン露光を行った。露光後マスクを取り外し、純水で充分洗浄した。
以上のようにして、パターンA2を形成した。
−パターンの確認−
パターンA2を、原子間顕微鏡AFM(ナノピクス1000、セイコーインスツルメンツ社製、DFMカンチレバー使用)で観察した。その結果パターンA2では幅8μmのパターン(グラフトポリマー生成領域)が形成されていることが確認された。
(微粒子付着工程)
パターンA2を有する基板を、実施例1と同様に、正荷電を有するTiO2微粒子水分散液に浸漬して、その後、水洗、乾燥を行い、微粒子配列パターン材料2を得た。
得られた微粒子配列パターン材料2を、実施例1と同様に観察したところ、TiO2微粒子が積層されたパターンであることが判明した。また、解像度は幅9μmのパターンであった。更に、グラフトポリマー生成領域以外の部分には、ほとんど微粒子は付着しておらず、機能性微粒子の吸着が選択的に行なわれており、解像度に優れていることが判明した。
(耐久性の評価)
得られた微粒子配列パターン材料2を、実施例1と同様の方法で洗浄した後、電子顕微鏡観察を行ったところ、洗浄前と同様の鮮明なパターンが確認され、こすり操作によってはパターン形状が損なわれることなく、微粒子の付着力が強いことが判明した。
〔実施例3〕
(光開裂化合物結合工程)
片面をコロナ処理した厚さ188μmのPET(二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)を5cm×5cmのサイズに切り、その基板を、窒素置換したセパラブルフラスコ中に入れ、12.5wt%の化合物Aの脱水トルエン溶液に1時間浸漬した。取り出し後、トルエン、アセトン、純水で順に洗浄した。このようにして得られた化合物Aが結合した基板を基板A3とする。
(グラフトポリマー生成工程)
アクリル酸の20wt%の水溶液1.0mlを基板A3の表面に垂らし,石英ガラスをかぶせPET基板(基板A3)と石英板との間にアクリル酸の水溶液を挟み込んだ。
−パターン露光−
実施例1と同様にして、パターンマスクを用いてパターン露光を行った。露光後マスクを取り外し、純水で充分洗浄した。
以上のようにして、パターンA3を形成した。
−パターンの確認−
パターンA3を、原子間顕微鏡AFM(ナノピクス1000、セイコーインスツルメンツ社製、DFMカンチレバー使用)で観察した。その結果パターンA3では幅10μmのパターン(グラフトポリマー生成領域)が形成されていることが確認された。
(微粒子付着工程)
パターンA3を有する基板を、実施例1と同様に、正荷電を有するTiO2微粒子水分散液に浸漬して、その後、水洗、乾燥を行い、微粒子配列パターン材料3を得た。
得られた微粒子配列パターン材料3を、実施例1と同様に観察したところ、TiO2微粒子が積層されたパターンであることが判明した。また、解像度は幅9μmのパターンであった。更に、グラフトポリマー生成領域以外の部分には、ほとんど微粒子は付着しておらず、機能性微粒子の吸着が選択的に行なわれており、解像度に優れていることが判明した。
(耐久性の評価)
得られた微粒子配列パターン材料3を、実施例1と同様の方法でこすり洗浄した後、電子顕微鏡観察を行ったところ、洗浄前と同様の鮮明なパターンが確認され、こすり操作によってはパターン形状が損なわれることなく、微粒子の付着力が強いことが判明した。
〔実施例4〜6〕
実施例1〜3の微粒子付着工程における、正荷電を有するTiO2微粒子水分散液を、Al23微粒子水分散液(1.5wt%、シーアイ化成(社)製)に代えた他は、実施例1〜3と同様にして、実施例4〜6における微粒子配列パターン材料4〜6を作製した。
得られた微粒子配列パターン材料4〜6について、粒子を積層した状態を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、Al23微粒子が吸着した鮮明な機能性パターンが形成されているのが観察された。また、微粒子配列パターン材料4〜6の解像度は、順に、幅9μm、8μm、9μmのパターンであった。
更に、実施例1と同様の方法でこすり洗浄した後、電子顕微鏡観察を行ったところ、洗浄前と同様の鮮明なパターンが確認され、パターン形状が損なわれることなく、微粒子の付着力が強いことが判明した。
更に、Al23微粒子のゼータ電位を実施例1と同様の方法で測定したところ、+77mVであり、正電荷であることが確かめられた。
本発明における光開裂化合物結合工程からグラフトポリマー生成工程の概略を示す概念図である。

Claims (2)

  1. 光開裂によりラジカル重合を開始しうる重合開始部位と基材結合部位とを有する化合物を基材に結合させる工程と、
    該基材上にラジカル重合可能な不飽和化合物を接触させて、パターン状に露光して、グラフトポリマー生成領域と非生成領域とを形成する工程と、
    該グラフトポリマー生成領域に微粒子を付着させる工程と、
    をこの順に行うことを特徴とする微粒子配列パターン形成方法。
  2. 前記重合開始部位が、C−C結合、C−N結合、C−O結合、C−Cl結合、N−O結合、及びS−N結合からなる群より選択されるいずれかを含むことを特徴とする請求項1に記載の微粒子配列パターン形成方法。
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