JP4133444B2 - 微粒子吸着パターン形成方法及び機能性パターン材料 - Google Patents
微粒子吸着パターン形成方法及び機能性パターン材料 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上に微粒子をパターン状に規則的に配列させる微粒子吸着パターン形成方法、及び、それを用いて作製された、機能性微粒子が画像様に吸着してなる機能性パターン材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
微粒子の配列技術は、触媒、記録材料、センサー、電子デバイス、光デバイス等の材料の高表面積化、高解像度化、並びに高密度化等の高機能化を図る上で重要な技術であり、その研究が盛んに行われている。
例えば、微粒子の液状分散媒体を基板上に展開して液体薄膜を形成し、液状分散媒体の液厚を減少制御し、液厚を粒子径サイズと同等かそれより小さくし、表面張力を用いて微粒子を凝集させる微粒子の凝集形成方法が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)この公報記載の発明によれば、所定の領域に微粒子の層を規則正しく凝集させて均一な微粒子集積層を形成することは可能であるが、所望の領域のみに微粒子をパターン状に配列させる目的には適用し難いという問題がある。
【0003】
微粒子をパターン状に配列させる技術としては、TiO2のような酸化物基板の表面をパターン状に光照射し、表面に親疎水性パターンを作成した後、そのパターンに応じて微粒子を配列させる方法が記載されている。(例えば、特許文献2参照。この方法により形成された微粒子パターンを作成することが可能であるが、ここで得られるパターン状の微粒子は物理的に付着しているだけで固定化されておらず、応力により容易に脱落するためデバイス等としての用途には不適であった。また所定のパターン領域以外の部分にも粒子が付着する傾向があり、選択性が高く、且つ、固定化された微粒子パターン形成方法が求められていた。
【0004】
微粒子をパターン状に並べるその他の手法として、G.M.Whitesides らのマイクロスタンプを用いたパターン状微粒子積層方法が知られている。(例えば、非特許文献1参照。)この方法によりサブミクロンサイズのポリマー粒子を秩序よく所望の領域に集積することができ、また、このパターンは選択性の高いものではあるが、操作が難しく、秩序正しい粒子積層体を作成するのに溶媒蒸発速度のコントロールが必要であり、簡便に作製できるものではなかった。さらに、このような事情から大面積のパターン形成には適さないという問題があり、さらに、この方法においてもパターン状に積層した粒子と基板との吸着強度が弱く、実用上充分な密着強度を達成しうる微粒子吸着パターンの形成方法が求められていた。
【0005】
【特許文献1】
特許第2,828,374号公報
【特許文献2】
特開2002−273209公報
【非特許文献1】
G.M.Whitesides著「アドバンスドマテリアル(Advanced Materials)」(1996年)、8巻、p245
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の技術の欠点を考慮してなされた本発明の目的は、大面積でのパターン形成に適用可能であり、所望の領域にパターン状に微粒子を配列させることができ、さらに、簡便な操作でこのようなパターン形成が可能な微粒子吸着パターン形成方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、パターン状に集積した微粒子が基板に強く付着し、こすりなどの機械的な操作でもはがれることのない微粒子吸着パターン形成方法を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、所望の領域に種々の機能性微粒子が強固に吸着してなる、耐久性に優れ、応用範囲の広い機能性パターン材料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討の結果、基板表面に画像様に設けた重合開始層にグラフトポリマーを固定化し、該グラフトポリマーに微粒子を吸着させることにより上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明の微粒子吸着パターン形成方法は、基板表面に、重合開始剤を含有する感光性組成物を露光することで得られる、重合開始剤が残存する重合開始層を画像様に形成する工程と、該画像様の重合開始能を有する領域に重合可能な官能基を有する化合物を接触させて、光を照射することによりグラフトポリマーを生成させ、グラフトポリマー生成領域と非生成領域からなる親/疎水性パターンを形成する工程と、該親/疎水性パターンの親水性領域に機能性微粒子を付着させる工程と、を有することを特徴とする。
本発明に係るグラフトポリマーはポリマー内に極性基を有することが好ましい。とくに、ポリマーの側鎖に極性基を有することが好ましい。また極性基としては特にイオンに解離しうるイオン性基が好ましい。
【0008】
本発明の方法により形成されたグラフトポリマーパターンは、ポリマーの片末端で基板表面に設けられた重合開始層と化学結合により結合しているために、基板にきわめて強く固定化されており、さらに、ポリマーの片末端のみ基材に固定化され、他の末端はフリーであるためにポリマーに対する束縛が小さく、極めて高い運動性を有することが特徴である。本発明において用いられるグラフトポリマーは、前記の如き高い運動性、基材との強固な結合などの基本的な性質に加え、グラフトポリマーに極性の強い官能基を導入することで、極性基を有するグラフトポリマーと微粒子との相互作用による力学的に強固な微粒子吸着層を形成することができ、この結果、局所的に画像様に設けられた重合開始層の領域にしたがって、選択的に強固な微粒子吸着層が形成されるものと推定される。
また、パターン状に設けられたグラフトポリマーに微粒子を付着させると、パターン部分の粒子吸着力はグラフト非形成領域に比べて非常に強いものとなり、洗浄操作により所望する範囲以外に吸着した僅かの粒子をも完全に取り除くことができ、その結果、きわめて選択性の高い粒子吸着パターンが得られるものである。
【0009】
また、請求項2に係る本発明の機能性パターン材料は、支持体表面に設けた重合開始剤とバインダーからなる画像様の重合開始層に、重合可能な官能基を有する化合物を接触させて、光を照射することにより、該化合物を重合開始層にグラフト重合により結合させてグラフトポリマー生成領域と非生成領域からなる親/疎水性パターンを作成し、該親/疎水性パターンの親水性領域に微粒子を吸着させてなることを特徴とし、請求項3に係る本発明の機能性パターン材料は、支持体表面に、開始基を含有する化合物を画像様に転写することにより設けた画像様の重合開始層に、重合可能な官能基を有する化合物を接触させて、光を照射することにより、該化合物を重合開始層にグラフト重合により結合させてグラフトポリマー生成領域と非生成領域からなる親/疎水性パターンを作成し、該親/疎水性パターンの親水性領域に微粒子を吸着させてなることを特徴とする。
【0010】
前記本発明の微粒子吸着パターン形成方法により得られたこれらの機能性パターン材料は、機能性の微粒子がグラフトポリマーの生成領域のみに選択的に強固に吸着して機能性のパターン領域を形成しており、所望の機能を発現しうる耐久性に優れたパターンを有するためその応用範囲はひろい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の画像形成材料について詳細に説明する。
まず、本発明の微粒子吸着パターン形成方法について説明する。
本発明の方法は、(1)基板表面に、グラフトポリマー生成パターンを形成させて親/疎水性パターンを形成する工程と、(2)該親/疎水性パターンの親水性領域に機能性微粒子を付着させる工程と、を有する。
また、(1)基板表面に、グラフトポリマー生成パターンを形成させて親/疎水性パターンを形成する工程は、(1−1)基板表面に、重合開始剤を含有する感光性組成物を露光することで得られる、重合開始剤が残存する重合開始層を画像様に形成する工程(重合開始層パターン形成工程)と、(1−2)該画像様の重合開始能を有する領域に重合可能な官能基を有する化合物を接触させて、光を照射することによりグラフトポリマーを生成させる工程を含む。
【0012】
以下、本発明の方法を工程にしたがって順次説明するが、本発明の内容は以下のプロセスに限定されるものではない。
まず、(1−1)基板表面に重合開始層を画像様に設ける工程について説明する。
基板表面に重合開始層を画像様に設ける方法としては、公知のいかなる方法をも適用することができるが、特に好ましくは、(1−1−A)基板表面に重合開始層を全面塗布し、画像部以外の場所を取り除き、重合開始層を画像様に形成する方法と、(1−1−B)基板表面にマイクロコンダクトプリント法により直接、画像様に重合開始層を形成する方法、とが挙げられる。
【0013】
〔(1−1−A)基板表面に重合開始層を全面塗布し、画像部以外の場所を取り除き、重合開始層を画像様に形成する方法〕
この方法は、基板表面に、まず、重合開始能を有する化合物を含む重合開始層組成物を全面塗布し、画像部領域を硬化させ、画像部領域以外の場所を除去するか、或いは、重合開始層形成組成物を全面塗布し、非画像部となる領域を可溶化して除去することにより、所望の領域のみに重合開始層を形成可能な方法であれば、いかなる方法も使用可能だが、特に好ましくは、重合開始層にネガ型、もしくは、ポジ型の感光性樹脂組成物を用いて、パターン露光(画像様露光)工程、現像工程を実施し、ネガ型の場合は未硬化の未露光部を取り除き、ポジ型の場合は可溶化された露光部を取り除く事により画像様の重合開始層を設ける方法が挙げられる。
【0014】
ネガ型の感光性樹脂組成物を用いる場合には、ネガ型の感光性樹脂組成物と、グラフト重合に用いられる光重合開始剤と、を含有するネガ型重合開始層組成物から形成され、画像様露光により露光部が硬化し、現像により未露光部が除去され、画像様の重合開始層が形成される。
また、ポジ型の感光性樹脂組成物を用いる場合には、ポジ型の感光性樹脂組成物と、グラフト重合に用いられる光重合開始剤と、を含有するポジ型重合開始層組成物から形成され、画像様露光により露光部における現像抑制作用が解除されてアルカリ可溶性へと変化し、現像により該露光部が除去され、画像様の重合開始層が形成される。
【0015】
なお、この画像様重合開始層形成にあたって、ポジ型或いはネガ型感光性組成物を用いる場合には、重合開始層にグラフトを生成させる反応において重合開始剤の存在を必要とするため、ポジ型或いはネガ型画像形成における画像様露光工程の後も、形成された重合開始層中に重合開始剤を残存させる条件を選択する必要がある点に留意すべきである。
まず、ポジ型感光性組成物について述べる。ポジ型感光性組成物としては、以下に示す従来公知のポジ型感光性組成物[(a)〜(b)]を用いることが好適である。
【0016】
(a)ナフトキノンジアジドとノボラック樹脂とを含有してなる従来から用いられているコンベンショナルポジ作用感光性組成物。
(b)酸分解性基で保護されたアルカリ可溶性化合物と酸発生剤との組み合わせを含有してなる化学増幅型ポジ作用感光性組成物。
上記(a)及び(b)は、いずれも当分野においてはよく知られたものであるが、以下に示すポジ型感光性組成物((c)〜(f))と組み合わせて用いることが更に好適である。
【0017】
(c)特開平10−282672号に記載の現像処理不要な平版印刷版を作製することができる、スルホン酸エステルポリマーと赤外線吸収剤とを含有してなるレーザー感応性ポジ組成物。
(d)EP652483号、特開平6−502260号に記載の現像処理不要な平版印刷版を作製することができる、カルボン酸エステルポリマーと、酸発生剤若しくは赤外線吸収剤とを含有してなるレーザー感応性ポジ組成物。
(e)特開平11−095421号に記載のアルカリ可溶性化合物、及び熱分解性でありかつ分解しない状態ではアルカリ可溶性化合物の溶解性を実質的に低下させる物質を含有してなるレーザー感応性ポジ組成物。
(f)アルカリ現像溶出型ポジ平版印刷版を作製することができる、赤外線吸収剤、ノボラック樹脂、及び溶解抑止剤を含有してなるアルカリ現像溶出ポジ型組成物。
【0018】
一方、ネガ型感光性組成物としては、以下に示す従来公知のネガ型感光性組成物((g)〜(h))を用いることができる。
【0019】
(g)光架橋性基を有するポリマー、アジド化合物を含有してなるネガ型感光性組成物。
(h)特開昭59−101651号に記載のジアゾ化合物を含有してなるネガ型感光性組成物。
(i)US262276号、特開平2−63054号に記載の光重合開始剤、付加重合性不飽和化合物を含有してなる光重合性ネガ型感光性組成物。
(h)特開平11−095421号記載のアルカリ可溶性化合物、酸発生剤、酸架橋性化合物を含有してなるネガ型感光性組成物。
【0020】
上記(a)〜(f)で示したポジ型感光性組成物で用いられる化合物、及び(g)〜(h)で示したネガ型感光性組成物で用いられる化合物は、特開11−277928号公報に詳細に記載されているものを使用することができる。
【0021】
以下、本実施の形態においては、ネガ型にパターンを形成する重合開始層について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものでない。
ネガ型にパターンを形成する重合開始層を形成するために用いる、ネガ型感光性組成物としては、上述したネガ型感光性組成物のいずれもを用いることができるが、中でも、光重合開始剤、付加重合性不飽和化合物、及びアルカリ可溶性高分子化合物を含有する光重合性ネガ型感光性組成物を用いることが好ましい。かかる光重合性ネガ型感光性組成物において用いられる化合物を以下に説明する。
【0022】
なお、ネガ型のパターンを形成する重合開始層を構成するネガ型重合開始層組成物において、露光部を硬化させるために使用される光重合性開始剤と、グラフト重合に使用される光重合性開始剤と、は同じものであってもよいし、異なる種類であってもよい。例えば、硬化反応(画像形成反応)及びグラフト重合に同じ光重合性開始剤を用いる場合には、該光重合性開始剤は、硬化反応に使用する露光とグラフト重合に使用する露光とのどちらの波長にも感応するものであって、硬化反応の際に行う露光後にも、光重合性開始剤が重合開始層中に残存している必要がある。また、硬化反応とグラフト重合とで異なる種類の光重合性開始剤を用いる場合には、例えば、硬化反応に使用する露光波長に感応する光重合性開始剤と、グラフト重合に使用する露光波長に感応する光重合性開始剤と、を併用する方法をとることができる。
【0023】
本発明において、ネガ型感光性組成物としては、前記した公知のネガ型感光性組成物を任意に用いることができるが、特に、「光重合開始剤、付加重合性不飽和化合物、及び、好ましくはアルカリ可溶性化合物を含有してなる光重合性ネガ型感光性組成物」を用いるのが好ましい。
【0024】
「光重合開始剤」
ネガ型感光性組成物に好適な光重合開始剤としては、(a)芳香族ケトン類、(b)オニウム塩化合物、(c)有機過酸化物、(d)チオ化合物、(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(f)ケトオキシムエステル化合物、(g)ボレート化合物、(h)アジニウム化合物、(i)活性エステル化合物、(j)炭素ハロゲン結合を有する化合物、(k)ピリジウム類化合物等が挙げられる。以下に、上記(a)〜(k)の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0025】
(a)芳香族ケトン類
本発明において、光重合開始剤として好ましい(a)芳香族ケトン類としては、「RADIATION CURING IN POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY」J.P.Fouassier,J.F.Rabek(1993)、p77−117記載のベンゾフェノン骨格或いはチオキサントン骨格を有する化合物が挙げられる。例えば、下記化合物が挙げられる。
【0026】
【化1】
【0027】
中でも、特に好ましい(a)芳香族ケトン類の例を以下に列記する。
特公昭47−6416記載のα−チオベンゾフェノン化合物、特公昭47−3981記載のベンゾインエーテル化合物、例えば、下記化合物が挙げられる。
【0028】
【化2】
【0029】
特公昭47−22326記載のα−置換ベンゾイン化合物、例えば、下記化合物が挙げられる。
【0030】
【化3】
【0031】
特公昭47−23664記載のベンゾイン誘導体、特開昭57−30704記載のアロイルホスホン酸エステル、特公昭60−26483記載のジアルコキシベンゾフェノン、例えば、下記化合物が挙げられる。
【0032】
【化4】
【0033】
特公昭60−26403、特開昭62−81345記載のベンゾインエーテル類、例えば、下記化合物が挙げられる。
【0034】
【化5】
【0035】
特公平1−34242、米国特許第4,318,791号、ヨーロッパ特許0284561A1号記載のα−アミノベンゾフェノン類、例えば、下記化合物が挙げられる。
【0036】
【化6】
【0037】
特開平2−211452記載のp−ジ(ジメチルアミノベンゾイル)ベンゼン、例えば、下記化合物が挙げられる。
【0038】
【化7】
【0039】
特開昭61−194062記載のチオ置換芳香族ケトン、例えば、下記化合物が挙げられる。
【0040】
【化8】
【0041】
特公平2−9597記載のアシルホスフィンスルフィド、例えば、下記化合物が挙げられる。
【0042】
【化9】
【0043】
特公平2−9596記載のアシルホスフィン、例えば、下記化合物が挙げられる。
【0044】
【化10】
【0045】
また、特公昭63−61950記載のチオキサントン類、特公昭59−42864記載のクマリン類等を挙げることもできる。
【0046】
(b)オニウム塩化合物
本発明において、光重合開始剤として好ましい(b)オニウム塩化合物としては、下記一般式(1)〜(3)で表される化合物が挙げられる。
【0047】
【化11】
【0048】
一般式(1)中、Ar1とAr2は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下のアリール基を示す。このアリール基が置換基を有する場合の好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、又は炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。(Z2)-はハロゲンイオン、過塩素酸イオン、カルボン酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンからなる群より選択される対イオンを表し、好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
【0049】
一般式(2)中、Ar3は、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下のアリール基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、炭素原子数12個以下のアリールオキシ基、炭素原子数12個以下のアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のジアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のアリールアミノ基又は、炭素原子数12個以下のジアリールアミノ基が挙げられる。(Z3)-は(Z2)-と同義の対イオンを表す。
【0050】
一般式(3)中、R23、R24及びR25は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、又は炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。(Z4)-は(Z2)-と同義の対イオンを表す。
【0051】
本発明において、好適に用いることのできる(b)オニウム塩化合物の具体例としては、特開2001−133969号公報の段落番号[0030]〜[0033]、特開2001−305734号公報の段落番号[0048]〜[0052]、及び、特開2001−343742公報の段落番号[0015]〜[0046]に記載されたものなどを挙げることができる。
【0052】
(c)有機過酸化物
本発明において、光重合開始剤として好ましい(c)有機過酸化物としては、分子中に酸素−酸素結合を1個以上有する有機化合物のほとんど全てが含まれるが、その例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(ターシャリーブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(ターシャリーブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(ターシャリーブチルパーオキシ)ブタン、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジターシャリーブチルパーオキサイド、ターシャリーブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ビス(ターシャリーブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリーブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−キサノイルパーオキサイド、過酸化こはく酸、過酸化ベンゾイル、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、メタ−トルオイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ターシャリーブチルパーオキシアセテート、ターシャリーブチルパーオキシピバレート、ターシャリーブチルパーオキシネオデカノエート、ターシャリーブチルパーオキシオクタノエート、ターシャリーブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、ターシャリーブチルパーオキシラウレート、ターシャリーカーボネート、3,3’4,4’−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、カルボニルジ(t−ブチルパーオキシ二水素二フタレート)、カルボニルジ(t−ヘキシルパーオキシ二水素二フタレート)等が挙げられる。
【0053】
これらの中でも、3,3’4,4’−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレートなどの過酸化エステル系が好ましく用いられる。
【0054】
(d)チオ化合物
本発明において、光重合開始剤として好ましい(d)チオ化合物としては、下記一般式(4)で示される構造を有する化合物が挙げられる。
【0055】
【化12】
【0056】
(一般式(4)中、R26はアルキル基、アリール基又は置換アリール基を示し、R27は水素原子又はアルキル基を示す。また、R26とR27は、互いに結合して酸素、硫黄及び窒素原子から選ばれたヘテロ原子を含んでもよい5員ないし7員環を形成するのに必要な非金属原子群を示す。)
上記一般式(4)におけるアルキル基としては炭素原子数1〜4個のものが好ましい。また、アリール基としてはフェニル、ナフチルのような炭素原子数6〜10個のものが好ましく、置換アリール基としては、上記のようなアリール基に塩素原子のようなハロゲン原子、メチル基のようなアルキル基、メトシキ基、エトキシ基のようなアルコキシ基で置換されたものが含まれる。R27は、好ましくは炭素原子数1〜4個のアルキル基である。一般式(4)で示されるチオ化合物の具体例としては、下記に示すような化合物が挙げられる。
【0057】
【表1】
【0058】
(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物
本発明において、光重合開始剤として好ましい(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、特公昭45−37377号、特公昭44−86516号記載のロフィンダイマー類、例えば、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o,o’−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
【0059】
(f)ケトオキシムエステル化合物
本発明において、光重合開始剤として好ましい(f)ケトオキシムエステル化合物としては、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−p−トルエンスルホニルオキシイミノブタン−2−オン、2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられる。
【0060】
(g)ボレート化合物
本発明において、光重合開始剤として好ましい(g)ボレート化合物の例としては、下記一般式(5)で表される化合物を挙げることができる。
【0061】
【化13】
【0062】
(一般式(5)中、R28、R29、R30及びR31は互いに同一でも異なっていてもよく、各々置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアルキニル基、又は置換若しくは非置換の複素環基を示し、R28、R29、R30及びR31はその2個以上の基が結合して環状構造を形成してもよい。ただし、R28、R29、R30及びR31のうち、少なくとも1つは置換若しくは非置換のアルキル基である。(Z5)+はアルカリ金属カチオン又は第4級アンモニウムカチオンを示す。)
【0063】
上記R28〜R31のアルキル基としては、直鎖、分枝、環状のものが含まれ、炭素原子数1〜18のものが好ましい。具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ステアリル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが含まれる。また置換アルキル基としては、上記のようなアルキル基に、ハロゲン原子(例えば、−Cl、−Brなど)、シアノ基、ニトロ基、アリール基(好ましくは、フェニル基)、ヒドロキシ基、−COOR32(ここでR32は、水素原子、炭素数1〜14のアルキル基、又はアリール基を示す)、−OCOR33又は−OR34(ここでR33、R34は炭素数1〜14のアルキル基、又はアリール基を示す)、及び下記式で表されるものを置換基として有するものが含まれる。
【0064】
【化14】
【0065】
(式中、R35、R36は独立して水素原子、炭素数1〜14のアルキル基、又はアリール基を示す)
【0066】
上記R28〜R31のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基などの1〜3環のアリール基が含まれ、置換アリール基としては、上記のようなアリール基に前述の置換アルキル基の置換基又は、炭素数1〜14のアルキル基を有するものが含まれる。上記R28〜R31のアルケニル基としては、炭素数2〜18の直鎖、分枝、環状のものが含まれ、置換アルケニル基の置換基としては、前記の置換アルキル基の置換基として挙げたものが含まれる。上記R28〜R31のアルキニル基としては、炭素数2〜28の直鎖又は分枝のものが含まれ、置換アルキニル基の置換基としては、前記置換アルキル基の置換基として挙げたものが含まれる。また、上記R28〜R31の複素環基としてはN、S及びOの少なくとも1つを含む5員環以上、好ましくは5〜7員環の複素環基が挙げられ、この複素環基には縮合環が含まれていてもよい。更に置換基として前述の置換アリール基の置換基として挙げたものを有していてもよい。一般式(5)で示される化合物例としては具体的には米国特許3,567,453号、同4,343,891号、ヨーロッパ特許109,772号、同109,773号に記載されている化合物及び以下に示すものが挙げられる。
【0067】
【化15】
【0068】
(h)アジニウム化合物
本発明において、光重合開始剤として好ましい(h)アジニウム塩化合物としては、特開昭63−138345号、特開昭63−142345号、特開昭63−142346号、特開昭63−143537号並びに特公昭46−42363号記載のN−O結合を有する化合物群を挙げることができる。
【0069】
(i)活性エステル化合物
本発明において、光重合開始剤として好ましい(i)活性エステル化合物としては、特公昭62−6223記載のイミドスルホネート化合物、特公昭63−14340号、特開昭59−174831号記載の活性スルホネート類を挙げることができる。
【0070】
(j)炭素ハロゲン結合を有する化合物
本発明において、光重合開始剤として好ましい(j)炭素ハロゲン結合を有する化合物としては、下記一般式(6)から(12)のものを挙げることができる。
【0071】
【化16】
【0072】
上記一般式(6)で表される化合物。
(一般式(6)中、X2はハロゲン原子を表わし、Y1は−C(X2)3、−NH2、−NHR38、−NR38、−OR38を表わす。ここでR38はアルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基を表わす。また、R37は−C(X2)3、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、置換アルケニル基を表わす。)
【0073】
【化17】
【0074】
上記一般式(7)で表される化合物。
(一般式(7)中、R39は、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アリール基、置換アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、置換アルコキシル基、ニトロ基又はシアノ基であり、X3はハロゲン原子であり、nは1〜3の整数である。)
【0075】
【化18】
【0076】
上記一般式(8)で表される化合物。
(一般式(8)中、R40は、アリール基又は置換アリール基であり、R41は、以下に示す基又はハロゲンであり、Z6は−C(=O)−、−C(=S)−又は−SO2−である。また、X3はハロゲン原子であり、mは1又は2である。)
【0077】
【化19】
【0078】
(式中、R42、R43はアルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アリール基又は置換アリール基であり、R44は一般式(6)中のR38と同じである。)
【0079】
【化20】
【0080】
上記一般式(9)で表される化合物。
(一般式(9)中、R45は置換されていてもよいアリール基又は複素環式基であり、R46は炭素原子1〜3個を有するトリハロアルキル基又はトリハロアルケニル基であり、pは1、2又は3である。)
【0081】
【化21】
【0082】
上記一般式(10)で表わされるトリハロゲノメチル基を有するカルボニルメチレン複素環式化合物。
(一般式(10)中、L7は水素原子又は式:CO−(R47)q(C(X4)3)rの置換基であり、Q2はイオウ、セレン又は酸素原子、ジアルキルメチレン基、アルケン−1,2−イレン基、1,2−フェニレン基又はN−R基であり、M4は置換又は非置換のアルキレン基又はアルケニレン基であるか、又は1,2−アリーレン基であり、R48はアルキル基、アラルキル基又はアルコキシアルキル基であり、R47は炭素環式又は複素環式の2価の芳香族基であり、X4は塩素、臭素又はヨウ素原子であり、q=0及びr=1であるか又はq=1及びr=1又は2である。)
【0083】
【化22】
【0084】
上記一般式(11)で表わされる4−ハロゲノ−5−(ハロゲノメチル−フェニル)−オキサゾール誘導体。
(一般式(11)中、X5はハロゲン原子であり、tは1〜3の整数であり、sは1〜4の整数であり、R49は水素原子又はCH3-tX5 t基であり、R50はs価の置換されていてもよい不飽和有機基である)
【0085】
【化23】
【0086】
上記一般式(12)で表わされる2−(ハロゲノメチル−フェニル)−4−ハロゲノ−オキサゾール誘導体。
(一般式(12)中、X6はハロゲン原子であり、vは1〜3の整数であり、uは1〜4の整数であり、R51は水素原子又はCH3-vX6 v基であり、R52はu価の置換されていてもよい不飽和有機基である。)
【0087】
このような炭素−ハロゲン結合を有する化合物の具体例としては、例えば、若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan、42、2924(1969)記載の化合物、例えば、2−フェニル4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−クロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(2’,4’−ジクロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−n−ノニル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロルエチル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン等が挙げられる。その他、英国特許1388492号明細書記載の化合物、例えば、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メチルスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4−アミノ−6−トリクロルメチル−S−トリアジン等、特開昭53−133428号記載の化合物、例えば、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−〔4−(2−エトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−(4,7−ジメトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン)、2−(アセナフト−5−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン等、独国特許3337024号明細書記載の化合物、例えば、下記化合物等を挙げることができる。
【0088】
【化24】
【0089】
また、F.C.Schaefer等によるJ.Org.Chem.29、1527(1964)記載の化合物、例えば、2−メチル−4,6−ビス(トリブロムメチル)−S−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロムメチル)−S−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロムメチル)−S−トリアジン、2−アミノ−4−メチル−6−トリブロムメチル−S−トリアジン、2−メトキシ−4−メチル−6−トリクロルメチル−S−トリアジン等を挙げることができる。更に特開昭62−58241号記載の、例えば、下記化合物等を挙げることができる。
【0090】
【化25】
【0091】
更に、特開平5−281728号記載の、例えば、下記化合物等を挙げることができる。
【0092】
【化26】
【0093】
或いは更に、M.P.Hutt、E.F.Elslager及びL.M.Herbel著「Journalof Heterocyclic chemistry」第7巻(No.3)、第511頁以降(1970年)に記載されている合成方法に準じて、当業者が容易に合成することができる次のような化合物群、例えば、下記化合物等を挙げることができる。
【0094】
【化27】
【0095】
(k)ピリジウム類化合物
本発明において、光重合開始剤として好ましい(k)ピリジウム類化合物の例としては、例えば、特開2001−305734号公報に記載のピリジウム類化合物を挙げることができ、中でも、下記に示す構造であることがより好ましい。
【0096】
【表2】
【0097】
【表3】
【0098】
これらの光重合開始剤の中でも、下記に示す構造を有する芳香族ケトン類やトリアジン類が好ましい。
【0099】
【化28】
【0100】
本発明における重合開始能を有する官能基を有する共重合成分の具体例としては、以下に示す構造のモノマーが挙げられる。また、芳香族ケトン類としては、イルガキュア 184などの市販品も好ましく使用することができる。
【0101】
【化29】
【0102】
このような光重合開始剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0103】
ネガ型重合開始層組成物において、露光部を硬化させるために使用される光重合開始剤と、グラフト重合に使用される光重合開始剤と、が同じである場合には、その含有量は、重合開始層形成用組成物の全固形分に対して、1〜50質量%であることが好ましく、5〜30質量%であることがより好ましい。
なお、このように、ネガ型重合開始層組成物に一種の光重合開始剤を使用する場合には、硬化反応の際に行う露光後にも、該光重合性開始剤が重合開始層中に残存している必要がある。硬化反応の際に行う露光後に残存する光重合性開始剤量を制御するためには、光重合開始剤の種類に応じて添加量を調整する方法、画像形成用の露光、加熱などにより付与されるエネルギー量を調整する方法等の方法が挙げられ、これらを組合せることも可能である。
例えば、光重合開始剤として、下記化合物(i)のみを用いる場合、含有量が5〜30質量%の範囲であることが好ましく、露光エネルギーとしては、3〜30J/cm2の範囲に調整されることが好ましい。
【0104】
また、ネガ型重合開始層組成物において、露光部を硬化させるために使用される光重合開始剤と、グラフト重合に使用される光重合開始剤と、が異なる場合には、例えば、硬化反応用重合開始剤として420〜470nmの波長の光に感応性を有する下記化合物(ii)を用い、グラフト重合用の開始剤として300〜360nmの波長の光に感応性を有する下記化合物(i)を使用した場合、その含有量は、硬化反応に使用される光重合開始剤が、1〜40質量%であることが好ましく、1〜25質量%であることがより好ましい、また、グラフト重合反応に使用される光重合開始剤が、1〜40質量%であることが好ましく、1〜25質量%であることがより好ましい。
【0105】
【化30】
【0106】
また、上述の光重合開始剤が、前記ポジ型重合開始層組成物に含まれる場合、該光重合開始剤はグラフト重合反応にのみ使用されるため、その含有量は、1〜50質量%であることが好ましく、5〜30質量%であることがより好ましい。
【0107】
「付加重合性不飽和化合物」
ネガ作用感応性組成物において使用される付加重合性不飽和化合物としては、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物の中から任意に選択することができる。例えば、モノマー、プレポリマー、即ち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態をもつものである。
具体的には、例えば、米国特許第2,760,863号、同第3,060,023号、特開昭62−121448号、特願2001−83103号等に記載の2個またはそれ以上の末端エチレン基を有する付加重合性不飽和化合物、高分子バインダーなどが挙げられる。
【0108】
モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド等が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類あるいはエポキシ類との付加反応物、および単官能もしくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、さらにハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用する事も可能である。
【0109】
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
【0110】
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタアクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
【0111】
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。
【0112】
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
さらに、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
【0113】
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
【0114】
その他の例としては、特公昭48−41708号公報中に記載されている、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記の一般式(A)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加せしめた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
【0115】
CH2=C(R3)COOCH2CH(R4)OH (A)
(ただし、R3及びR4は、それぞれH或いはCH3を示す。)
【0116】
また、特開昭51−37193号公報、特公平2−32293号公報、特公平2−16765号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号公報、特公昭56−17654号公報、特公昭62−39417号公報、特公昭62−39418号公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。
本発明において、付加重合性不飽和化合物の含有量は、重合開始層全固形分に対して、5〜95質量%程度であり、5〜80質量%が好ましい。
【0117】
[バインダーポリマー(高分子バインダー)]
本発明の重合開始層には、膜性向上、その他の目的で、さらにバインダーポリマーを使用することが好ましい。バインダーとしては線状有機高分子重合体を含有させることが好ましい。このような「線状有機高分子重合体」としては、どれを使用しても構わない。好ましくは水現像あるいは弱アルカリ水現像を可能とする水あるいは弱アルカリ水可溶性または膨潤性である線状有機高分子重合体が選択される。線状有機高分子重合体は、組成物の皮膜形成剤としてだけでなく、水、弱アルカリ水あるいは有機溶剤現像剤としての用途に応じて選択使用される。例えば、水可溶性有機高分子重合体を用いると水現像が可能になる。このような線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸基を有する付加重合体、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号に記載されているもの、すなわち、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等がある。また同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体がある。この他に水酸基を有する付加重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
【0118】
特にこれらの中で〔ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体および〔アリル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体は、膜強度、感度、現像性のバランスに優れており、好適である。
また、特開平11−171907号記載のアミド基を有するバインダーは優れた現像性と膜強度をあわせもち、好適である。
【0119】
バインダーポリマーとしては、実質的に水不溶でアルカリに可溶なポリマーを用いることが好ましい。そうすることで、現像液として、環境上好ましくない有機溶剤を用いないか、もしくは非常に少ない使用量に制限できる。この様な使用法においてはバインダーポリマーの酸価(ポリマー1gあたりの酸含率を化学等量数で表したもの)と分子量は画像強度と現像性の観点から適宜選択される。好ましい酸価は、0.4〜3.0meq/gであり好ましい分子量は3000から50万の範囲で、より好ましくは、酸価が0.6〜2.0分子量が1万から30万の範囲である。
【0120】
次に、バインダーポリマーとして好ましく用いられるアルカリ可溶性高分子化合物について説明する。
ネガ型感光性組成物には、バインダーポリマーの機能を有するアルカリ可溶性高分子化合物を併用することが好ましい。ここで使用されるアルカリ可溶性高分子化合物としては、例えばポリヒドロキシスチレン類、ヒドロキシスチレン−N−置換マレイミド共重合体、ヒドロキシスチレン−無水マレイン酸共重合体、アルカリ可溶性基を有するアクリル系ポリマー、アルカリ可溶性基を有するウレタン型ポリマー等が挙げられる。ここでアルカリ可溶性基としてはカルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、イミド基等が挙げられる。
また、ポリ−p−ヒドロキシスチレン、ポリ−m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン−N−置換マレイミド共重合体、p−ヒドロキシスチレン−無水マレイン酸共重合体等のヒドロキシスチレン系ポリマーを用いる場合には重量平均分子量が2,000〜500,000、さらに、4,000〜300,000のものが好ましい。
【0121】
アルカリ可溶性基を有するアクリル系ポリマーの例としては、メタクリル酸−ベンジルメタクリレート共重合体、ポリ(ヒドロキシフェニルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシフェニルカルボニルオキシエチルアクリレート)、ポリ(2、4−ジヒドロキシフェニルカルボニルオキシエチルアクリレート)や、特願平8−211731明細書に記載のポリマー等が挙げられる。これらのアクリル系ポリマーは重量平均分子量が2,000〜500,000、好ましくは4,000〜300,000のものが好ましい。
【0122】
アルカリ可溶性基を有するウレタン型ポリマーの例としては、ジフェニルメタンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネート、テトラエチレングリコール、2、2一ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸を反応させて得られる樹脂等が挙げられる。
これらのアルカリ可溶性ポリマーのうち、ヒドロキシスチレン系ポリマー及びアルカリ可溶性基を有するアクリル系共重合体は現像性の点で好ましい。
【0123】
本発明において、アルカリ可溶性化合物は、酸分解性基で保護されていてもよく、該酸分解性基としては、エステル基、カーバメイト基等が挙げられる。
【0124】
本発明において、これらのアルカリ可溶性化合物の含有量は、重合開始層の全固形分中、10〜90重量%程度であり、20〜85重量%が好ましく、30〜80重量%がさらに好ましい。
また、これらのアルカリ可溶性化合物は、1種類のみで使用してもよいし、あるいは2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0125】
〔その他の成分〕
本発明の重合開始層には、種々の特性を得るため、必要に応じて上記以外に種々の化合物を添加してもよい。
本発明において、重合開始層は、通常前記各成分を溶媒に溶かして、基板上に塗布することにより形成される。ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン、水等をあげることができるがこれに限定されるものではない。これらの溶媒は単独あるいは混合して使用される。溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50重量%である。
【0126】
本発明における重合開始層には、塗布性を良化するための界面活性剤、例えば特開昭62−170950号公報に記載されているようなフッ素系界面活性剤を添加することができる。好ましい添加量は、感光性層若しくは感熱性層の全固形分中、0.01〜1重量%さらに好ましくは0.05〜0.5重量%である。
【0127】
〔重合開始層の製膜〕
前記の如くポジ型感光性組成物を用いた重合開始層塗布液組成物を調製した後、これを基板表面に塗布、乾燥することで重合開始層が製膜される。乾燥後の塗布量(固形分)としては、一般的に0.5〜5.0g/m2が好ましい。
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
【0128】
(基板:支持体)
本発明に使用される支持体基板には、特に制限はないが、寸度的に安定な板状物であることが好ましく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記のごとき金属がラミネート若しくは蒸着された、紙若しくはプラスチックフィルム等が挙げられる。
支持体基板としては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が好ましく、その中でも、ポリエステルフィルムが特に好ましい。
【0129】
〔現像液〕
前記例示したネガ型感光性組成物などを用いて基板表面に製膜された重合開始層は、アルカリ現像を要するため、必要に応じて加熱処理を行った後、後述する現像液(アルカリ性水溶液)にて現像される。
アルカリ現像に用いられる現像液及び補充液としては従来より知られているアルカリ水溶液が使用できる。例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、第3リン酸ナトリウム、第3リン酸カリウム、第3リン酸アンモニウム、第2リン酸ナトリウム、第2リン酸カリウム、第2リン酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、ほう酸ナトリウム、ほう酸カリウム、ほう酸アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウムなどの無機アルカリ塩が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジンなどの有機アルカリ剤も用いられる。
これらのアルカリ剤は単独若しくは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0130】
ネガ型感光性組成物を適用した本態様では、このアルカリ現像により、未露光部が溶解除去されることにより、露光部領域が残存し、画像様の重合開始層が形成される。また、ポジ型感光性組成物を適用した場合には、露光部が現像により除去され、未露光部が残存して、画像様の重合開始層が形成される。
【0131】
〔(1−1−B)基板表面にマイクロコンダクトプリント法により直接、画像様に重合開始層を設ける方法〕
マイクロコンダクトプリント法とは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)をもちいて、凸部が所望の画像部となるように、画像様の凹凸スタンプを作成し、そこに重合開始剤化合物を付着させ、凸部に付着した重合開始剤化合物のみを画像様に基板に転写することにより画像様に重合開始層を作成する方法を指す。以下、この方法について詳しく説明を行う。
【0132】
(基板)
マイクロコンダクトプリント法に用いる基板については、特にその種類に限定はなく、重合開始剤化合物の種類や用途によって適宜選択すればよく、例えば、各種酸化物や窒化物等の無機物をシート状に成形したものや、Si、Ge、Al、Fe、Au等の元素単体や金属からなる基板、合金板などの各種の基板が挙げられる。
【0133】
(重合開始剤化合物)
マイクロコンダクトプリント法に用い得る重合開始剤化合物としては、一分子中に重合開始能を有する官能基と基板と結合しうる官能基とを併せ持つことが必要であり、具体的には次の一般式(B)で表される構造を持つものが挙げられる。
(R1)−A−(R2) 一般式(B)
前記一般式(B)中、R1は基板と結合する官能基、例えば加水分解して−OH(水酸基)等となる親水性基、または、−SHなどの親水性基を示し、R2は重合開始活性基(重合開始能を有する基)を示し、Aは有機連結基を示す。なお、Aが3価以上の連結基であり、(R1)、(R2)の少なくとも一種が複数連結した形態をとることもできる。
【0134】
前記一般式(B)におけるR1、即ち、基材との結合部位としては、加水分解により親水性基を形成し、この親水性基によって固体表面に固定化される官能基が挙げられる。この代表的なものとしては、シランカップリング剤の構成としてよく知られているアルコキシシリル基がある。R1にアルコキシシリル基を導入した場合の基板としては、Siの元素単体やケイ素酸化物からなる基板が、強固な結合性の観点から好ましい。
親水性基を有する重合開始剤化合物を使用し固体表面に固定化される代表的なものとしてはチオール化合物が知られている。この際、基板と重合開始剤化合物の結合力が強いことが望ましいため、基板としてAuを用いる事が好ましい。
また、一般式(B)において(R1)に導入可能な他の結合性の官能基としては、−SH、−Si(OR)3(ここでRはアルキル基を示す)などが挙げられる。
【0135】
R2は、一般式(B)において重合開始能を司る官能基であり、前記例示した光重合開始剤における開始部位はいずでも導入可能である。なかでも、マイクロコンダクトプリント法に好適なR2として、以下に記載の化合物由来の構造が挙げられ、この好ましいR2はいずれに導入されていてもよい。
【0136】
【化31】
【0137】
Aで示される有機連結基は、いかなる炭素骨格を有するものも使用可能であるが、特に好ましくは炭素原子数1〜10の直鎖状、又は、分岐鎖状の炭化水素連結基である。分岐鎖を有する炭化水素連結基においては、分岐鎖の先端にも上記(R1)、又は(R2)が結合されていてもよく、この場合、Aは多価の連結基となる。
一般式(B)で表される重合開始剤化合物としては、具体的には以下に示すようなものが挙げられるが、本発明はこれらに制限されることはない。
【0138】
【化32】
【0139】
(PDMSスタンプ作製方法)
スタンプの作成方法としては、所望の画像部が凸部となるように、予め凹凸パターンを形成した型枠を作製し、そこに常法により、加熱溶融したPDMSを流し込み、冷却硬化させた後に、はがしとり、スタンプを作成する。この方法は、例えば、Chem. Rev.(1999年)、第99巻、p1823−1843に詳細に記載されている。
【0140】
(転写法)
このようにして作製されたPDMSスタンプを、先に説明した重合開始剤化合物槽に浸漬して付着させ、これを基板に密着させることにより、画像様の重合開始層が形成される。
【0141】
重合開始層の塗布量は、乾燥後の質量で、0.1〜15g/m2が好ましく、2〜8g/m2がさらに好ましい。塗布量が少なすぎると、グラフト重合に寄与する重合開始剤が不充分となり、十分なグラフトポリマーが生成されず、所望のグラフト構造が得られない懸念があり、塗布量が多すぎるとと膜性が低下する傾向にあり、膜剥がれを起こしやすくなるため、いずれも好ましくない。
【0142】
〔(2)画像様の重合開始層に、重合可能な官能基を有する化合物を接触させて、光を照射することにより、グラフト重合を用いて重合開始層表面にグラフトポリマーを生成させて、該グラフトポリマーの生成領域と非生成領域とからなる親/疎水性パターンを形成する工程〕
(グラフト重合)
本発明において、重合開始層表面にグラフトポリマーを生成させる方法としては、一般的に表面グラフト重合と呼ばれる手段を用いる。グラフト重合とは高分子化合物鎖上に活性種を与え、これによって重合を開始する別の単量体を更に結合及び重合させ、グラフト(接ぎ木)重合体を合成する方法で、特に活性種を与える高分子化合物が固体表面を形成する時には表面グラフト重合と呼ばれる。また、本発明において生成されるグラフトポリマーは、高分子化合物鎖上の活性種に、所望のポリマーを結合させてなるものも含む。なお、本発明においては、活性種が与えられる高分子化合物は、上述の固定化した重合開始層を構成する高分子化合物となる。
【0143】
本発明に適用される重合開始層にグラフトポリマーを生成させるための表面グラフト重合法としては、基材上に設けられた画像様重合開始層を、通常は基材ごと親水性官能基を有するモノマーなどが溶解、分散された分散液に浸漬し、UV光等の活性光線を照射するなどしてエネルギーを付与する方法が挙げられ、このエネルギー付与により、重合開始層中の開始剤が活性化し、液中に存在する重合性基を有する化合物(例えば、親水性モノマー)との間でグラフト化反応が、生起、進行する。
【0144】
(重合性基を有する親水性モノマー)
本発明において微粒子吸着のためのグラフトポリマー生成に用いられる重合性基を有する親水性モノマー(以下、重合性基含有親水性モノマーと称する。)とは、分子内に、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基などのエチレン付加重合性不飽和基が導入され、かつ、親水性官能基を有するモノマーを指す。
親水性官能基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基、ホスホン酸基、アミノ基およびその塩、アミド基、水酸基、エーテル基、ポリオキシエチレン基などを挙げることができる。
【0145】
本発明において特に有用な重合性基含有親水性モノマーの具体例としては、次のモノマーを挙げることができる。例えば、(メタ)アクリル酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、イタコン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、アリルアミン若しくはそのハロゲン化水素酸塩、3−ビニルプロピオン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、ビニルスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、スチレンスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−スルホエチレン(メタ)アクリレート、3−スルホプロピレン(メタ)アクリレート若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート若しくはそれらの塩、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート若しくはそのハロゲン化水素酸塩、3−トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリレート、3−トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N,N−トリメチル−N−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピル)アンモニウムクロライド、などを使用することができる。また、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−モノメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド、ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなども有用である。
【0146】
本工程における表面グラフトポリマーの生成には、親水性モノマーのみならず、前述のように、親水性マクロモノマー、親水性ポリマーを用いることもできる。以下、これら親水性マクロモノマー、親水性ポリマーについて説明する。
(重合性基を有する親水性マクロモノマー)
本発明で用いられる重合性基を有する親水性マクロモノマー(以下、重合性基含有親水性マクロモノマーと称する。)とは、分子内に、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基などのエチレン付加重合性不飽和基が導入され、かつ、親水性官能基を有するマクロモノマーである。
【0147】
本発明において特に有用な重合性基含有親水性マクロモノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸などのカルボキシル基含有のモノマーから誘導されるマクロモノマー、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、及びその塩のモノマーから誘導されるスルホン酸系マクロモノマー、アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアミド系マクロモノマー、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミドなどのN−ビニルカルボン酸アミドモノマーから誘導されるアミド系マクロモノマー、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、グリセロールモノメタクリレートなどの水酸基含有モノマーから誘導されるマクロモノマー、メトキシエチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレートなどのアルコキシ基若しくはエチレンオキシド基含有モノマーから誘導されるマクロモノマーである。またポリエチレングリコール鎖若しくはポリプロピレングリコール鎖を有するモノマーも本発明のマクロモノマーとして有用に使用することができる。
【0148】
これらのマクロモノマーの製造方法は、例えば、平成1年9月20日にアイピーシー出版局発行の「マクロモノマーの化学と工業」(編集者 山下雄也)の第2章「マクロモノマーの合成」に各種の製法が提案されている。
これらの重合性基含有親水性マクロモノマーのうち有用なものの分子量は、250〜10万の範囲で、特に好ましい範囲は400〜3万である。
【0149】
(重合性基を有する親水性ポリマー)
また、本発明で用いられる重合性基を有する親水性ポリマー(以下、重合性基含有親水性ポリマーと称する。)とは、分子内に、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基などのエチレン付加重合性不飽和基が導入され、かつ、親水性官能基を有するポリマーである。
本発明において用いられる重合性基含有親水性ポリマーの具体例としては、例えば、上述の重合性基含有親水性モノマーや重合性基含有親水性マクロモノマーの具体例から選ばれる少なくとも一種を用いて得られる親水性ホモポリマー若しくはコポリマーが挙げられる。
なお、重合性基を有する化合物として、重合性基含有親水性ポリマーを用いる場合には、重合開始層表面にグラフト重合する際に、必ずしも重合反応を必要とするものではない。
【0150】
(重合性基を有する化合物溶液用溶媒)
上述の重合性基を有する化合物を溶解、分散するための溶媒としては、該重合性基を有する化合物や必要に応じて添加される添加剤が溶解可能ならば特に制限はないが、水、水溶性溶剤などの水性溶剤が好ましく、これらの混合物や、溶剤に更に界面活性剤を添加したものなどが好ましい。
水溶性溶剤は、水と任意の割合で混和しうる溶剤を言い、そのような水溶性溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリンの如きアルコール系溶剤、酢酸の如き酸、アセトンの如きケトン系溶剤、ホルムアミドの如きアミド系溶剤、などが挙げられる。
【0151】
(グラフトポリマーを生成させるためのエネルギー付与)
本発明においては、(1)基板表面に、重合開始能を有する領域を画像様に形成する工程により形成された画像様の重合開始能を有する領域に重合可能な官能基を有する化合物を接触させる方法として、前記した親水性モノマーなどを溶解、分散してなる溶液中に、画像様の重合開始層が形成された基板を浸漬する方法が一般的に用いられる。このように両者を接触した状態でエネルギーを付与することで、重合開始層中の重合能を有する化合物と重合可能な官能基を有する化合物との間で重合反応が生起、進行する。
【0152】
本発明の方法において、重合開始層にグラフトポリマーを生成させるためのエネルギー付与方法には特に制限はなく、重合開始層中の開始剤を分解、活性化させ得るエネルギーを付与できる方法であれば、活性光線の照射(露光)、サーマルヘッド、ヒーターなどによる加熱のいずれの方法も使用できるが、コスト、装置の簡易性の観点からは活性光線を照射する方法が好ましい。
【0153】
エネルギー付与手段としては、例えば、赤外線レーザ、紫外線ランプ、可視光線などによる光照射、γ線などの電子線照射、サーマルヘッドによる熱的な記録などが可能である。これらの光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。またg線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。
【0154】
上述のようにして生成したグラフトポリマーにより形成されるグラフト層の厚さは、0.001〜10g/m2の範囲であることが好ましく、0.01〜5g/m2の範囲であることがより好ましい。このグラフト層の厚さが0.001g/m2未満であると、微粒子吸着性に優れるという特性が効果的に発現できない場合がある。また、このグラフト層の厚さが10g/m2より大きいと、光学材料などとして用いる場合、透過光が弱くなる場合がある。
【0155】
上述のようにして生成したグラフトポリマーは、重合開始層と直接結合しているものであるため、優れた親水性を示すと共に、それらの性質の耐久性にも優れたものとなる。
本発明における「優れた親水性」とは、水との接触角に換算して20゜以下の水濡れ性を呈する状態をいう。接触角の測定方法は、公知の方法が適用でき、例えば、協和界面科学(株)製、CA−Zなどの市販の装置を用いて接触角(空中水滴)を測定する方法などを適用することができる。この方法で、接触角に換算して20゜以下であれば、本発明の好ましい親水性が達成されていると判断することができる。
【0156】
〔(3)親/疎水性パターンの親水性領域に機能性微粒子を付着させる工程〕
本発明の微粒子吸着パターン形成方法においては、上述の(1)及び(2)工程に加え、(3)即ち、微粒子吸着工程を有することを特徴とする。ここで、画像様の親水性或いは疎水性領域に、それらの特性に適合する各種の機能性微粒子を吸着させることで、耐久性に優れた機能性微粒子吸着層が画像様に形成され、所望の領域に、微粒子が有する優れた機能を発現し得る領域を形成することができる。
ここで、グラフトパターンを形成したのち、所定の領域に微粒子吸着層を形成するプロセスについて説明をする。
【0157】
3−1.微粒子の例示
次に、前記グラフトポリマーの極性基と結合しうる物性を有する微粒子について説明する。用いられる微粒子は、機能性表面の目的に応じて適宜選択すればよい。また、微粒子の粒径も目的に応じて選択することができる。本発明の好ましい態様においては、微粒子はイオン的に吸着するため、微粒子の表面電荷、イオン性基の数により、粒径や吸着量が制限されることはいうまでもない。粒径は、一般的には0.1nmから1μmの範囲であることが好ましく、1nmから300nmの範囲であることがさらに好ましく、5nmから100nmの範囲であることが特に好ましい。
本発明においては、グラフト界面と相互作用により結合する粒子は、極性基としてイオン性基を挙げて説明するに、イオン性基の存在状態に応じて、規則正しくほぼ単層状態に配置されたり、長いグラフト鎖のそれぞれのイオン性基にナノスケールの微粒子が一つづつ吸着し、結果として多層状態に配列されたりする。
次に、本発明に用い得る機能性の微粒子について、表面機能性部材の目的に応じて説明する。
【0158】
次に、本発明に用い得る機能性の微粒子について、表面機能性部材の目的に応じて説明する。
3−1−1.反射防止部材用微粒子
本発明の機能性部材を反射防止部材として用いる場合には、機能性微粒子として、樹脂微粒子、及び、金属酸化物微粒子から選択される少なくとも1種の微粒子を用いることが好ましい。このような微粒子を用いることで、画像表示体表面へ好適に用いられる、均一で優れた反射防止能を有し、画像コントラストを低下させることなく鮮明な画像を得ることができ、優れた耐久性を達成し得る反射防止材料に好適に用い得る粗面化部材を提供することができる。
【0159】
樹脂微粒子ではコアと呼ばれる微粒子の中心部分は有機ポリマーであり、金属酸化物微粒子としては、シリカ(SiO2)、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化錫(SnO2)などが好適なものとして挙げられる。また、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、クレー、タルク等のいわゆる透明顔料、白色顔料と呼ばれる顔料微粒子なども以下に述べる好ましい形状を有するものであれば使用することができる。
樹脂微粒子としては耐久性の観点から硬度の高いものが好ましく、具体的には例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などの樹脂からなる球状微粒子が挙げら、なかでも、架橋樹脂微粒子が好ましい。
この用途においては、微粒子の粒径は、100nmから300nmの範囲であることが好ましく、100nmから200nmの範囲であることがさらに好ましい。本態様においては、グラフト界面とイオン的に結合する粒子は規則正しくほぼ単層状態に配置される。本発明の粗面化部材を特に反射防止材料として用いる場合には、反射を防止すべき波長(λ)に対して、λ/4となるように膜厚を制御することが効果の観点からは好ましく、微粒子の粒径は粗面化層の膜厚とほぼ同一になることを考慮すれば、粒径が100nmよりも小さくなると、粗面化層が薄くなりすぎて反射防止性が低下する傾向にあり、また、300nmよりも大きくなると、拡散反射が大きく、白濁が著しくなるため、透明感が得がたく、且つ、グラフト界面とイオン的に結合する接触面積が小さくなりすぎて、粗面化層の強度が低下する傾向がでてくる。
【0160】
3−1−2.導電膜用微粒子
本発明の機能性部材を導電膜として用いる場合には、機能性微粒子として、導電性樹脂微粒子、導電性或いは半導体の金属微粒子、金属酸化物微粒子、及び、金属化合物微粒子から選択される少なくとも1種の微粒子を用いることが好ましい。
導電性金属微粒子又は金属酸化物微粒子としては、比抵抗値が1ラ103ル・cm以下の導電性金属化合物粉末であれば幅広く用いることができ、具体的には、例えば、銀(Ag)、金(Au)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、錫(Sn)、鉛(Pb)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)などの単体とその合金の他、酸化錫(SnO2)、酸化インジウム(In2O3)、ITO(Indium Tin Oxide)、酸化ルテニウム(RuO2)、などを用いることができる。
また、半導体としての特性を有する金属酸化物、金属化合物微粒子を用いてもよく、例えば、In2O3、SnO2、ZnO、Cdo、TiO2、CdIn2O4、Cd2SnO2、Zn2SnO4、In2O3−ZnOなどの酸化物半導体微粒子、及びこれらに適合する不純物をドーパントさせた材料を用いた微粒子、さらには、MgInO、CaGaOなどのスピネル形化合物微粒子、TiN、ZrN、HfNなどの導電性窒化物微粒子、LaBなどの導電性ホウ化物微粒子などが挙げられる。これらは単独で又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0161】
3−1−3.表面抗菌性材料用微粒子
本発明の機能性部材を抗菌性材料として用いる場合には、機能性微粒子として、抗菌作用、殺菌作用を有する金属或いは金属酸化物微粒子を用いることが好ましい。
このような金属(化合物)微粒子を形成し得る材料としては、具体的には、例えば、銀(Ag)、銅(Cu)などの殺菌性を有する金属単体と、これらを1種以上含有するその合金、或いはこれらの金属酸化物が挙げられる。また、金属化合物半導体であって、蛍光灯や太陽光など紫外領域の波長を含む光の照射によって殺菌作用を発現する酸化チタン、酸化鉄、酸化タングステン、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム等、及び、これらを白金、金、パラジウム、銀、銅、ニッケル、コバルト、ロジウム、ニオブ、スズなどで修飾した金属化合物などが挙げられる。
【0162】
3−1−4.紫外線吸収部材用微粒子
本発明の機能性部材を紫外線吸収部材として用いる場合には、機能性微粒子として、例えば、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化コバルト、酸化クロム、酸化錫、酸化アンチモン等の金属酸化物微粒子を用いることが、紫外線A、B領域(光波長280〜400nm)における高い遮蔽機能を有するため好ましい。本発明において、基材として高分子化合物を用い、これと複合化することにより紫外線遮蔽フィルム・シートとしての高い機能と加工性が発現され、種々の応用が期待される。また、金属酸化物の紫外線遮蔽効果を利用して高分子素材の耐光性を改良することも期待される。
【0163】
3−1−5.光学材料用微粒子
光学機器に用いられるカラーフィルター、シャープカットフィルター、非線形光学材料などに用いる機能性微粒子としては、CdS、CdSe等の半導体又は金等の金属からなる微粒子が挙げられ、基材としてシリカガラス又はアルミナガラスを用いることで、カラーフィルターなどに好適に用いられるのみならず、3次の光非線形感受率が大きいことが確認されてから、光スイッチ、光メモリ用材料などの非線形光学材料として期待される。ここで用いられる微粒子としては、具体的には、金、白金、銀、パラジウム等の貴金属又はその合金等が挙げられ、安定性の観点から、金、白金等のアルカリによって急激に溶解することのない物質等が好適に挙げられる。
【0164】
また、非線形光学材料として好適な金属(化合物)の超微粒子としては、具体的には、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、ルテニウム(Ru)などの単体と、これらを1種以上含有するその合金であって、10〜1000オングストロームの平均粒子径を有する超微粒子が挙げられる。なお、この粒子径は1次粒子、2次粒子のいずれであってもよいが、可視光を散乱させないものが好ましい。なかでも、トルエン等の溶剤中に独立分散した粒径10nm以下の、Au、Pt、Pd、Rh、Agから選ばれた貴金属微粒子、あるいはTi、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、Cd、Y、W、Sn、Ge、In、Gaから選ばれた金属微粒子が好適に挙げられる。
【0165】
これらの超微粒子を用いて、通常の方法、即ち、ゾル−ゲル法、含浸法、スパッタ法、イオン注入法、あるいは溶融析出法などにより非線形光学材料を作成する場合、微粒子が非常に凝集しやすいため、複合物中の微粒子濃度を増加させることが困難となったり、生産性が低下する、などの問題が生じていた。特に、微粒子の濃度が低く、物理特性に微粒子の寄与する割合が小さいものは、用途が限定され、3次の非線形光学効果を利用した画像メモリ、光集積回路などには不向きであった。本発明の構成によれば、微粒子は基材表面のイオン性基に直接イオン的に結合し、該イオン性基はグラフトにより高密度で存在するため、微粒子濃度を容易に増加させることができ、光学材料中において、このような非線形光学材料用途に特に好適であるといえる。
【0166】
3−1−6.有機発光素子用微粒子
微粒子として、ホットキャリアーによる励起によって発光する有機色素分子うが凝集した微粒子を用い、電極を有する基材表面にこれらによる層を形成することで、有機発光素子を形成することができる。ここで用いられる有機色素としては以下のようなものが挙げられるが、もちろんそれらに限定されるものではなく、固体光機能素子の使用目的等を考慮して適宜選択される。
【0167】
p−ビス[2−(5−フェニルオキサゾール)]ベンゼン(POPOP)等の青色発光のオキサゾール系色素;クマリン2、クマリン6、クマリン7、クマリン24、クマリン30、クマリン102、クマリン540等の緑色発光のクマリン系色素;ローダミン6G、ローダミンB、ローダミン101、ローダミン110、ローダミン590、ローダミン640等の赤色発光のローダミン系(赤色)色素;およびオキサジン1、オキサジン4、オキサジン9、オキサジン118等の近赤外領域の発光が得られ、特に光通信に適合した光機能素子に好適なオキサジン系色素などが挙げられる。
さらにフタロシアニン、ヨウ化シアニン化合物等のシアニン系色素等をも挙げられる。なお、これらの色素を選択する際に、アクリル樹脂等の高分子に溶けやすいものを選択することが薄膜形成の目的上好ましい。そのような色素としては、POPOP、クマリン2、クマリン6、クマリン30、ローダミン6G、ローダミンB、ローダミン101等が挙げられる。
【0168】
また、有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)膜に使われる有機分子、例えば8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(AlQ3)、1,4ビス(2,2ジフェニルビニル)ビフェニル、ポリパラフェニレンビニレン(PPV)誘導体、ジスチリルアリレーン誘導体、スチリルビフェニル誘導体、フェナントロリン誘導体等、あるいは該有機分子に添加物を加えた媒体などにより形成された微粒子であってもよい。
【0169】
以上、3−1−1〜3−1−6において、本発明の表面機能性部材の応用例とその分野で好適に用いられる微粒子を具体例を挙げて説明したが、本発明はこれに制限されるものではなく、グラフト鎖の該親水性基等と結合しうる物性を有する微粒子の種類を選択し、それらを適宜組合せることで、機能性の微粒子が有する物性を生かした機能性の表面を有する部材を種々、構成することができることは言うまでもない。
【0170】
また、上記に例示した以外の有用な粒子として下記のものが挙げられる。
酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化コバルト、酸化クロム、酸化錫、酸化アンチモン等の金属酸化物微粒子、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化チタン、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化錫のような無機化合物、又はアルミニウム、錫、亜鉛のような金属から作られる超微粉末などは吸着した領域に高い酸素非透過性の領域を作るため、さらなる応用が期待される。
【0171】
3−2.微粒子表面の物性について
上記の各微粒子は、例えばシリカ微粒子のように、それ自体荷電を有するものは、それと反対の電荷を有する極性基を持つグラフトポリマーのパターンを基材表面に導入すればよい。また金微粒子の様に、それ自体荷電を持たない微粒子は、荷電を有する粒子表面修飾剤を用いることで荷電を有する微粒子を作成し、それをグラフトポリマーのパターンに吸着させることもできる。後者によれば微粒子の選択の幅を広げることができる。
これらの微粒子は、支持体表面に存在するイオン性基に吸着し得る最大量、結合されることが耐久性の点で好ましい。また、機能性表面における機能性発現の効率からは、分散液の分散濃度は、10〜20重量%程度が好ましい。
【0172】
3−3.微粒子の吸着方法
表面にグラフトポリマーのパターンを有する基材において、前記機能性微粒子を結合させ、微粒子吸着パターン層を設ける方法としては、表面上に荷電を有する微粒子の分散液を表面グラフトポリマーパターンに塗布する方法、及び、微粒子の分散液中にグラフトパターンを基材を浸漬する方法などが挙げられる。塗布、浸漬のいずれの場合にも、過剰量の荷電微粒子を供給し、イオン性基との間に十分なイオン結合による導入がなされるために、分散液と表面にイオン性基を有する基材との接触時間は、10秒から180分程度であることが好ましく、1分から100分程度であることがさらに好ましい。
【0173】
(極性基への微粒子の吸着)
吸着の具体的な態様を挙げれば、例えば、極性基として、正の電荷を有するアンモニウムの如きイオン性モノマーを用いて支持体表面にアンモニウム基のグラフトポリマーのパターンを有する基材を作成し、その後、シリカ微粒子分散液にこの基材を所定時間浸漬しパターン状に吸着させた後、余分な分散液を水により洗浄、さらに、綿などで軽くこすり、所望の以外の部分に付着している粒子を完全に除去することで、シリカ微粒子がパターン状に吸着してなる微粒子吸着パターン層が形成される。
【0174】
前記した本発明の微粒子吸着パターン形成方法により、本発明の請求項2及び請求項3に係る機能性パターン材料を得ることができる。
本発明の機能性パターン材料は、具体的には、例えば、基板上に形成された画像様の極性基、好ましくは、イオン性基を有する親水性グラフトポリマーに、シリカに代表される金属酸化物微粒子などの特定の機能を有する微粒子が静電気的に高密度で均一に吸着した層が形成されており、バインダーを用いることなく、しかも、親水性のイオン性基に微粒子が単層状態或いは多層状態で吸着した表面層が形成されているため、該表面の所定の領域が微粒子の物性をそのまま反映した機能性表面となる。例えば、この微粒子として粗面化部材用の微粒子を用いた場合、微粒子の形状均一な凹凸性を有し、均一で緻密な凹凸を有する粗面化層が形成される。さらに、この粗面化部材を反射防止材料として用いた場合、高い反射防止能が達成されながらその層自体は薄層で、基材として透明基材を用いることで光透過性を妨げる懸念がなくなることから、反射型のみならず、透過型の画像表示体にも好適に使用できる。
上記機能性微粒子を適宜選択することで、機能性微粒子の特性を反映させることができる微粒子吸着層は、基材表面の任意の領域に選択的に比較的簡易な処理で形成することが可能であり、さらには、優れた機能性を発現しうる微粒子吸着層の耐久性が良好であるため、先に述べたような多様な目的に好適に使用しうるという利点を有する。
【0175】
用途に関してさらに例示すれば、微粒子を選択することで、導電性の有機或いは無機微粒子を用いれば、機能性表面に電子・電気的機能を、フェライト粒子などの磁性体微粒子を用いれば磁気的機能を、特定の波長の光を吸収、反射、散乱するような微粒子を用いて光学的機能を、というように種々の機能を機能性表面に発現させることができ、種々の工業製品、医薬品、触媒、バリスター(可変抵抗器)、塗料、化粧品など幅広い分野で使用することができる。また、種々の微粒子構成材料が有するこれらの多種多様な機能に加え、基材として高分子材料を用いることにより、高分子材料が有する成形加工の容易性をも利用することができ、新規な材料の開発も期待される。
【0176】
前記の広範囲の用途における具体例を述べれば、例えば、光学部品、サングラス、紫外線・可視光・赤外線などの光に対する、遮蔽フィルム、遮蔽ガラス、遮光窓、遮光容器、遮光プラスチックボトル等への適用、抗菌性フィルム、微生物除菌フィルター、抗菌性プラスチック成形体、漁網、テレビ用部品、電話機用部品、OA機器用部品、電気掃除機用部品、扇風機用部品、エアーコンディショナー用部品、冷蔵庫用部品、洗濯機用部品、加湿器用部品、食器乾燥機用部品などの各種のOA機器や家電製品、あるいは便座、洗面台用部品などのサニタリー用品、その他の建材、車両部品、日用品、玩具、雑貨などの幅広い用途が挙げられる。
【0177】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
(実施例1)
パターン形成材料1
(重合開始層の形成)
膜厚0.188mmのポリエチレンテレフタレートフィルム(製品名:M4100、東洋紡社製)を支持体として用い、その表面に下記の重合開始層塗布液をロッドバー18番を用いて塗布し、110℃で10分乾燥・架橋反応させた。得られた重合開始層の膜厚は10μmであった。
【0178】
(重合開始層塗布液)
・アルカリ可溶性ポリマー〔下記化合物(A)〕 0.4g
・架橋性モノマー〔下記化合物(B)〕 0.4g
(化合物(B)はn=1とn=2の化合物の混合物である)
・開始剤〔下記化合物(C)〕 0.16g
・プロピレングリコールモノメチルエーテル(MFG) 1.6g
【0179】
【化33】
【0180】
(パターン露光、及び現像)
製膜された重合開始層を、パターンフィルムを通してPSライトで露光した後、富士写真フイルム(株)製現像液、DP−4(1:8)で現像した。これにより、未露光部が除去され、支持体上に重合開始層が画像様に形成された重合開始層1を得た。
【0181】
(グラフト重合)
重合開始層1が形成された支持体を、アクリル酸(10wt%、溶媒:水)溶液に浸漬し、アルゴン雰囲気下で400w高圧水銀灯を使用し30分間光照射した。光照射後、支持体をイオン交換水でよく洗浄し、重合開始層表面にアクリル酸がグラフト重合されたグラフトポリマーが生成し、グラフトポリマー生成領域と非生成領域からなる親/疎水性パターンが形成されたパターン形成材料Aが得られた。グラフト膜厚は0.9μmであった。
【0182】
(機能性微粒子(TiO2微粒子)の吸着)
アクリル酸グラフトパターンが形成されたパターン形成材料Aを、正荷電を有するTiO2微粒子水分散液(1.5wt% シーアイ化成(社)製)に1時間浸漬したのち取り出し、良く水洗を行った後、水中で布(BEMCOT、旭化成工業社製)を用いて手で往復30回こすった。その後乾燥して、機能性パターン材料を得た。得られたパターン材料を走査型電子顕微鏡(JEOL S800)にて5万倍で観察したところTiO2粒子が積層されたパターンであることが判明した。またグラフト生成領域以外の部分にはほとんど粒子は付着せず、機能性微粒子の吸着が選択的に行なわれている解像度に優れた機能性微粒子パターンが形成されていることが判明した。
【0183】
(耐久性の評価)
得られた機能性パターン材料を再度、水中で布で50回洗浄したのち、電子顕微鏡観察を行ったが、この布での洗浄前と同様の鮮明なパターンが確認され、こすり操作によってはパターン形状か損なわれることなく、強度の強いパターンが形成されていることが判明した。
またTiO2微粒子のゼータ電位をMalvern Instruments社製zetasizer 2000を用いて測定したところ+42mVであり、正電荷であることが確かめられた。
【0184】
(実施例2)
(表面グラフトポリマーを有する基材AへのAl2O3微粒子の吸着)
正電荷を有するAl2O3(シーアイ化成)水分散液(1.5質量%)を用いたほかは上記と同様の操作を行った。粒子を積層した状態を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、Al2O3が吸着した鮮明な機能性パターンが形成されているのが観察された。また実施例1と同様に繰り返しこすり操作を実施した後においても、微粒子吸着層に変化は見られず、微粒子吸着層がこすりにより損なわれなかったことが確認された。Al2O3水分散液のゼータ電位は+77mVであった。
【0185】
(対照例1)
(パターン形成材料AへのZnO微粒子の吸着)
負電荷を有するZnO(シーアイ化成)を用いたほかは実施例1と同様の操作を行った。走査型電子顕微鏡にて表面を観察したところ画像様のグラフトポリマー生成領域にはZnOほとんど吸着していないことが分った。ZnOのゼータ電位は−60mVであった。
(対照例2)
(パターン形成材料AへのSiO2微粒子の吸着)
負電荷を有するSiO2(シーアイ化成)を用いたほかは上記と同様の操作を行った。走査型電子顕微鏡にて表面を観察したところ画像様のグラフトポリマー生成領域にはSiO2はほとんど吸着していないことが分った。SiO2のゼータ電位は−50mVであった。
前記対照例1及び2からグラフトポリマーの反対電荷を有する粒子は基材に積層せず、グラフトポリマーの極性と微粒子との極性は逆であることが好ましいことが分かる。
【0186】
【発明の効果】
本発明の微粒子吸着形成方法によれば、大面積でのパターン形成に適用可能であり、所望の領域にパターン状に微粒子を配列させることができ、さらに、簡便な操作でこのようなパターン形成が可能である。さらに、パターン状に集積した微粒子が基板に強く付着し、こすりなどの機械的な操作でもはがれることのない強固な微粒子吸着パターンを形成することができる。
また、本発明の機能性パターン材料は、所望の領域に種々の機能性微粒子が強固に吸着してなり、耐久性に優れ、応用範囲が広いという効果を奏する。
Claims (3)
- 基板表面に、重合開始剤を含有する感光性組成物を露光することで得られる、重合開始剤が残存する重合開始層を画像様に形成する形成する工程と、該画像様の重合開始層に重合可能な官能基を有する化合物を接触させて、光を照射することによりグラフトポリマーを生成させ、グラフトポリマー生成領域と非生成領域からなる親/疎水性パターンを形成する工程と、該親/疎水性パターンの親水性領域に機能性微粒子を付着させる工程と、を有する微粒子吸着パターン形成方法。
- 支持体表面に設けた重合開始剤とバインダーからなる画像様の重合開始層に、重合可能な官能基を有する化合物を接触させて、光を照射することにより、該化合物を重合開始層にグラフト重合により結合させてグラフトポリマー生成領域と非生成領域からなる親/疎水性パターンを作成し、該親/疎水性パターンの親水性領域に微粒子を吸着させてなる機能性パターン材料。
- 支持体表面に、重合開始剤化合物を画像様に転写することにより設けた画像様の重合開始層に、重合可能な官能基を有する化合物を接触させて、光を照射することにより、該化合物を重合開始層にグラフト重合により結合させてグラフトポリマー生成領域と非生成領域からなる親/疎水性パターンを作成し、該親/疎水性パターンの親水性領域に微粒子を吸着させてなる機能性パターン材料。
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