JP4395278B2 - 感光性組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はネガ型感光性組成物に関し、更にこれを利用した感光性平版印刷版材料に関する。更に詳しくは、レーザーを用いて画像形成可能な感光性組成物および感光性平版印刷版材料に関する。また、特に近赤外光の波長範囲にある光に感度を有するネガ型の感光性平版印刷版に関する。
【0002】
【従来の技術】
感光性組成物は、光反応(紫外光や可視光の照射)によって分子構造が化学変化を起こし、その結果、物理現象(物性)に変化が生じる。この光の作用による化学変化としては、架橋・重合・分解・解重合・官能基変換などがあり、溶解度・接着性・屈折率・物質浸透性および相変化など多様である。このような感光性組成物は、印刷版、レジスト、塗料、コーティング剤、カラーフィルターなどの広い分野で実用化されている。さらに、写真製版技術(フォトリソグラフィ)を用いるフォトレジスト分野で活用され、発展してきた。フォトレジストは、光反応による溶解度の変化を利用したもので、高解像度の要求などからいっそうの精緻な材料設計が必要となっている。
【0003】
広く用いられているタイプの平板印刷版は、アルミニウムベース支持体に塗布された感光性塗膜を有する。この塗膜は、露光された塗膜部分は硬化し、露光されなかった塗膜部分は現像処理で溶出される。このような版をネガ型印刷版という。平版印刷は印刷版表面に形成されたパターンと背景部のそれぞれの親油性、親水性の表面物性を利用し、平版印刷においてインクと湿し水を同時に印刷機上で版面に供給する際に、インクが親油性表面を有するパターン上に選択的に転移することを利用するものである。パターン上に転移したインクはその後ブランケットと呼ばれる中間体に転写され、これから更に印刷用紙に転写することで印刷が行われる。
【0004】
現在、平版印刷分野において主流となっている印刷版は、アルミニウムを支持体とする感光性樹脂層を設けたPS版(Presensitized Plateの略)である。PS版にはネガ型およびポジ型の2種があり、ネガ型は露光部が硬化し、現像液により露光部を残し未露光部を溶解除去することで親水性表面を有するアルミニウム支持体上に、露光パターンに応じた形で、親油性表面を有する硬化した被膜を形成するものである。ポジ型は逆に露光部が現像液に対して可溶性を示すことで未露光部分が露光パターンに応じて選択的にアルミニウム支持体表面に被膜を形成するものである。
【0005】
上記のようなPS版を作成するための材料としては、例えば、米沢輝彦著、「PS版概論」(印刷学会出版部発行)や永松元太郎・乾 英夫著、「感光性高分子」(講談社発行)、あるいは山岡亜夫・永松元太郎著、「フォトポリマーテクノロジー」(日刊工業発行)に詳しく述べられている。
【0006】
上記のようなPS版を使用して印刷版を作成するためには、従来より行われている方法は、作成した原稿を銀塩写真フィルムに焼き付け、フィルム原稿を作成し、適当な光源を備えた密着プリンターによりフィルム原稿を通して露光を行い上記のような原理で支持体表面に印刷パターンを形成するものである。
【0007】
近年、コンピューターの進歩によりデジタル化された原稿データをレーザービームを用いてフィルムを介在させずに印刷版に直接画像露光を行う各種CTPシステムが各社から提案されており、一部実用化が進んでいる。例えば、特開平7−20629号、同7−271029号明細書等には、レゾール樹脂、ノボラック樹脂、赤外線吸収剤、酸発生剤を基本的に含む感光性層を有する平版印刷版が開示されている。この平版印刷版は例えば高出力半導体レーザー等により露光し、感光性層中の赤外線吸収剤が光熱変換を行うことで露光部を局所的に高温に至らしめ、この際酸発生剤が発生する酸によりレゾール樹脂およびノボラック樹脂からなる樹脂層の現像液に対する溶解性が架橋等により変化することを利用したものである。ネガ型処理では、こうした方式を用いる場合に露光後に版面を加熱処理することが上記明細書中に記載されており、露光部に発生した強酸によるレゾール樹脂・ノボラック樹脂間の架橋を促進させる上で必要とされる工程であるが、加熱される温度により露光部/未露光部の溶解性の差が一定に保たれず、例えば十分な加熱が行われなければ現像液により露光部まで溶解する場合や、逆に加熱温度が高すぎる場合には未露光部が部分的に不溶化し、現像が十分に行われない等の問題点がある。
【0008】
CTPシステムの別の例として、例えば特開平7−314934号、特開平8−48018号に記載されるようなレーザーアブレーションを利用した平版印刷版作成方法や、特開平8−305007号のような同じくフレキソグラフ印刷版の形成方法等が示されているが、こうしたアブレーションを生じさせるために必要な露光エネルギーを与えるためにはYAGレーザーのように極めて高出力のレーザーを使用する必要がある。現在のところこうしたレーザーは寿命が短く、かつ高価であり、さらにはアブレーションにより飛散するカスの除去が問題となっている。
【0009】
重合性モノマーを含む光重合反応を利用したレーザー露光可能なCTP印刷版の例として、例えば清水茂樹、「印刷雑誌」78巻、9頁、1995年等に解説がなされている。この方式はラジカル発生剤と光増感色素を組み合わせた上記2種のCTPシステムと比較して高感度の印刷版を与えるが、材料の保存性、感度等に安定性、長期保存性を確保することが困難であるなどの問題があった。
【0010】
さらに高感度のCTPシステム用平版印刷版材料として、銀錯塩拡散転写方式を利用したアルミニウムを支持体とする印刷版の例が挙げられ、例えば特開平5−265216号、同5−313206号、特開平7−56345号、同7−56347号、特開平9−6005号明細書等に記載されるような、物理現像核を担持したアルミニウム支持体上にハロゲン化銀乳剤層を設けた構成からなる高感度平版印刷版材料についてもその有効性が示されている。こうした銀塩写真方式を利用した平版印刷版は安価な低出力レーザーで十分な露光感度を有し、かつ解像度が高いというメリットを有するが、現像工程において現像液pHや液温度の管理が重要であり、かつ高感度であるが故に版材を暗室中で扱わざるを得なく、ハンドリングの点で問題があった。
【0011】
光源として、従来から利用されるハロゲンランプ、タングステンランプ、水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、カーボンアーク、ナトリウムランプ等に加えて、ヘリウムネオンレーザー、アルゴンレーザー、半導体レーザー、YAGレーザー等が特にデジタル画像出力用光源として盛んに利用されるようになっている。これらの内でも特に半導体レーザーは高出力化、長寿命化、低価格化が進みつつあり、特に好ましい露光光源として挙げられる。
【0012】
上記のような半導体レーザーを利用し、デジタル画像を形成するための感光性組成物の例として、特開平10−90885号、同9−127694号、同9−138500号等が挙げられ、特に平版印刷版としての用途に関しては、特開平7−20629号、同271029号、同9−244226号明細書等に記載される例が挙げられる。これらの内、平版印刷版に関する明細書については、フェノール樹脂、赤外線吸収剤、酸発生剤を基本的に含む感光性層を有する平版印刷版が開示されている。こうした平版印刷版は例えば高出力半導体レーザー等により露光し、光酸発生剤から発生する酸によりフェノール樹脂の現像液に対する溶解性が架橋等により変化することを利用したものである。ネガ型処理では、こうした方式を用いる場合に露光後に版面を加熱処理することが上記明細書中に記載されており、露光部に発生した強酸によるフェノール樹脂の架橋を促進させる上で必要とされる工程であるが、加熱される温度により露光部/未露光部の溶解性の差が一定に保たれず、例えば十分な加熱が行われなければ現像液により露光部まで溶解する場合や、逆に加熱温度が高すぎる場合には未露光部が部分的に不溶化し、現像が十分に行われない等の問題点がある。更には、長期にわたる保存性や特に高温条件下での保存により、感光層が自然硬化する問題や、感度低下を来すといった保存性に問題があった。
【0013】
特開2001−075277号公報には側鎖にメルカプト基を結合した複素環基を有する重合体および光酸発生剤として特にトリハロアルキル置換化合物から構成される感光性組成物が開示されるが、トリハロアルキル置換化合部を光重合開始剤として単独で使用した場合にはある程度高感度であるものの長期にわたる保存に於いて感光層が硬化し、現像性が悪くなるという欠点を有していた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、感光材料として高感度であり、かつ保存性が良好で現像性に変化が無く、感光波長域が広く選択できることから種々のレーザーを含めた光源が利用できる感光性組成物を与えることを課題とする。さらに、画質、耐刷力に優れたアルカリ水性現像液で現像が可能な平版印刷版材料を与えることを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的は側鎖にメルカプト基を結合した複素環基を有する重合体、分子内に重合可能な不飽和二重結合を二個以上有する化合物および光ラジカル発生剤から構成されることを特徴とする感光性組成物を使用することで基本的には達成される。
【0016】
【発明の実施の形態】
側鎖にメルカプト基を結合した複素環基を有する重合体の好ましい例としては、下記一般式化2、化3または化4で示される繰り返し単位を含む重合体が挙げられる。
【0017】
【化2】
【0018】
化2中、R3は水素原子またはメチル基を表し、X1は含窒素複素環基を表す。L1はX1と重合体主鎖を連結するための任意の連結基を表し、nは1または2を表す。
【0019】
【化3】
【0020】
化3中、X2は含窒素複素環基を表す。L2はX2と重合体主鎖を連結するための任意の連結基を表し、mは1または2を表す。
【0021】
【化4】
【0022】
化4中、X3は含窒素複素環基を表す。L3はX3と重合体主鎖を連結するための任意の連結基を表し、pは1または2を表す。
【0023】
上記に於いて含窒素複素環基とは、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、イソオキサゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、イソチアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズセレナゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、キノリン環、キノキサリン環等が挙げられ、これらにはメルカプト基以外の置換基が結合していても良い。
【0024】
上記の含窒素複素環基にはメルカプト基が直接結合しており、さらに重合体主鎖と該含窒素複素環基を連結するための連結基としては任意のものが使用できるが、好ましい例としてはアルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基、COO基、NHCOO基、NHCOOC2H4基、CONH基或いは化5で示されるような基等の単独もしくは複合の連結基が挙げられる。
【0025】
【化5】
【0026】
化5中、R4は水素原子またはアルコキシ基を表す。
【0027】
化2〜化4に示すような繰り返し単位を有する重合体の合成については、特開平8−184967号、同8−184969号、同8−211614号公報あるいは特開2001−75277号明細書に示されるように、対応するモノマーの重合により、或いはメルカプト基を結合した含窒素環化合物と前駆体ポリマーとの間の高分子反応により容易に合成することが出来る。前駆体ポリマーに反応性基を導入しておき、これと反応することで前駆体ポリマーに結合する別の反応性基を含窒素複素環基が含むことが必要であり、こうした反応性基の組み合わせとしては、水酸基とアルデヒド基(アセタール化)、アミノ基とアルデヒド基(シッフ塩基形成)、アミノ基とカルボキシル基(アミド結合形成)、水酸基とカルボキシル基(エステル化)、カルボキシル基とグリシジル基(付加)、その他多種多様の結合方法によって前駆体ポリマーに含窒素複素環基を結合することが可能である。あるいは別の方法として、予めメルカプト基を結合した含窒素複素環基を有するモノマーを合成し、メルカプト基に対する適当な保護基を結合するか或いは強アルカリ下で重合を行うことでも通常のラジカル重合の手法を用いて合成することも可能である。こうした場合のモノマーの好ましい例を化6〜化8に示す。後述する合成例の中で具体的な方法を例示する。
【0028】
【化6】
【0029】
【化7】
【0030】
【化8】
【0031】
上記のメルカプト基を結合した含窒素複素環基を含む繰り返し単位以外にも、他の官能基を有する繰り返し単位を含むことも好ましく、これらは前駆体ポリマーの合成時あるいは、メルカプト基(保護されていても良い)を結合した含窒素複素環モノマーとの共重合の際に導入することが出来、こうした共重合モノマーの例としては、スチレン、4−メチルスチレン、4−ヒドロキシスチレン、4−アセトキシスチレン、4−カルボキシスチレン、4−アミノスチレン、クロロメチルスチレン、4−メトキシスチレン等のスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ドデシル等のメタクリル酸アルキルエステル類、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸アリールエステル或いはアルキルアリールエステル類、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸メトキシジエチレングリコールモノエステル、メタクリル酸メトキシポリエチレングリコールモノエステル、メタクリル酸ポリプロピレングリコールモノエステル等のアルキレンオキシ基を有するメタクリル酸エステル類、メタクリル酸2−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸2−ジエチルアミノエチル等のアミノ基含有メタクリル酸エステル類、或いはアクリル酸エステルとしてこれら対応するメタクリル酸エステルと同様の例、或いは、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステルのようなカルボキシ基を有するモノマー類、アリルアミン、ジアリルアミン等のアミノ基含有モノマー類、或いは、ビニルスルホン酸およびその塩、アリルスルホン酸およびその塩、メタリルスルホン酸およびその塩、スチレンスルホン酸およびその塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびその塩等のスルホン酸基を有するモノマー類、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール等の含窒素複素環を有するモノマー類、或いは4級アンモニウム塩基を有するモノマーとして4−ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのメチルクロライドによる4級化物、N−ビニルイミダゾールのメチルクロライドによる4級化物、4−ビニルベンジルピリジニウムクロライド等、或いはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、またアクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシエチルアクリルアミド、4−ヒドロキシフェニルアクリルアミド等のアクリルアミドもしくはメタクリルアミド誘導体、さらにはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、フェニルマレイミド、ヒドロキシフェニルマレイミド、酢酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類、またメチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、その他、N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリルアルコール、ビニルトリメトキシシラン、グリシジルメタクリレート等各種モノマーを適宜共重合モノマーとして使用することが出来る。
【0032】
メルカプト基を結合した含窒素複素環基を側鎖に有する重合体として、特にアルカリ水溶液に可溶性を有するものが好ましく、この場合には重合体中にカルボキシ基やフェノール性水酸基をさらに含むことが極めて好ましく行われる。或いは、エチレンオキシ基を導入した該重合体についても同様にアルカリ性現像液を使用して現像を行う場合に良好な溶解性を示すため好ましい。このような置換基を該重合体中に導入するためには、上記の例に挙げたモノマーのうち、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、4−カルボキシスチレン等のようなカルボキシ基を有するモノマー類や4−ヒドロキシスチレン、4−ヒドロキシフェニルアクリルアミド、ヒドロキシフェニルマレイミド等のフェノール性水酸基を有するモノマー、或いはメタクリル酸メトキシジエチレングリコールモノエステル、メタクリル酸メトキシポリエチレングリコールモノエステル、メタクリル酸ポリプロピレングリコールモノエステル等のアルキレンオキシ基を有するメタクリル酸エステル類等を共重合モノマーとして前駆体ポリマー或いは共重合体の合成の際に好ましく使用することが出来る。また、これらの共重合体中に於けるこれらのモノマーの割合は、99モル%以下、更に好ましくは90モル%以下の割合で含むことが好ましい。特に好ましい該重合体の例を化9〜化11に示す。式中、数字は重量部を表す。
【0033】
【化9】
【0034】
【化10】
【0035】
【化11】
【0036】
上記のような重合体の分子量については好ましい範囲が存在し、重量平均分子量で1000から100万の範囲であることが好ましく、さらに1万から20万の範囲にあることが特に好ましい。
【0037】
上記のような重合体中に含まれるメルカプト基を結合した含窒素複素環を有する繰り返し単位の割合についても好ましい範囲が存在し、重合体中に少なくとも1重量%以上含まれていることが必要であり、好ましくは4重量%以上含まれている場合に光照射部において効果的に架橋が生じ、ネガ画像を与える。さらに、アルカリ可溶性であるためには90重量%以下の割合で含まれることが好ましく、重合体中に含まれる好ましい割合としては4〜90重量%の範囲である。長期にわたる保存に於いて現像性が悪化する場合が認められる際には、上記の好ましい範囲は4〜60重量%である。
【0038】
該メルカプト基を結合した含窒素複素環基を側鎖に有する重合体とともに他のバインダー樹脂を併せて使用することも好ましく行われる。バインダー樹脂としては、様々な樹脂が使用できるが、露光部において現像液の溶解性が低下するため本発明で得られる感光性組成物は一般にネガ型の感光体を与えるものである。未露光部を現像液により溶出する際に、現像液としてはアルカリ水性現像液を使用することが好ましく、このためにはバインダー樹脂としてはアルカリ水性現像液に可溶性を有する樹脂を使用することが極めて好ましい。こうした樹脂の例としては、側鎖にカルボキシル基、スルホン酸基等の酸基を有する重合体や水酸基を有する樹脂が好ましく使用される。特にアクリル系共重合体樹脂として各種(メタ)アクリル系モノマーとアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等の酸基を有するモノマーとの共重合体樹脂や、ポリヒドロキシベンザール樹脂等が好ましい例として挙げることが出来る。こうしたアルカリ可溶性樹脂とメルカプト基を結合した含窒素複素環基を側鎖に有する重合体との割合については好ましい範囲が存在し、アルカリ可溶性樹脂と該重合体の重量比に於いて、100:1より多くの該重合体を使用することが好ましい。アルカリ可溶性樹脂の比率が増大すると、長期の保存に於ける現像性の変化が皆無となり好ましいが、感度が低下する問題があるため、少なくとも1重量%以上の該重合体を含むことが好ましい。
【0039】
本発明において必要である他の要素として、分子内に重合可能な不飽和二重結合を二個以上有する化合物が挙げられる。好ましい化合物の例としては、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルイソシアヌレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールグリセロールトリアクリレート、グリセロールエポキシトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の多官能アクリル系モノマー、或いは、アクリロイル基、メタクリロイル基を導入した各種重合体としてポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等も同様に使用される。
【0040】
上記したようなアクリレート系化合物と、本発明の該重合体の比率に関しては好ましい範囲が存在し、該重合体1重量部に対してアクリレート系化合物は1重量部から100重量部の範囲で含まれることが好ましく、さらに5重量部から100重量部の範囲で含まれることが好ましい。
【0041】
分子内に重合可能な不飽和二重結合を二個以上有する化合物のより好ましい例として、下記化12で示す置換基を分子内に2個以上有する低分子化合物(以降、本発明のモノマーと称し、分子量は数千以下のものを指す)を含有することでより高感度で硬調な調子再現性を示す感光性組成物を与えることから好ましい。更には、上記アクリレート系化合物を使用した場合には感光性組成物の硬化において酸素による硬化阻害を受けやすいため、感光層の上部に酸素遮断のためにポリビニルアルコール等によるオーバーコート層を設けることが好ましい。一方、本発明のモノマーを使用した場合には酸素による硬化阻害を受けにくい為、オーバーコート層等を設ける必要が無いことから極めて好ましく使用することが出来る。
【0042】
【化12】
【0043】
式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2は置換可能な任意の原子または基を表す。kは0から4までの整数を表す。
【0044】
上記のような本発明のモノマー或いは先に述べたアクリレート系化合物を使用した場合、本発明の該重合体と併せて用いることにより、後述する光ラジカル発生剤の光分解により発生するラジカルがメルカプト基から水素原子を引き抜き、生じたチイルラジカルが二重結合に付加することで架橋反応が効率的に生じ、高感度のネガ型感光材料を作成することができる。本発明のモノマーの好ましい具体例を示すが、これらの例に限定されるものではない。
【0045】
【化13】
【0046】
【化14】
【0047】
【化15】
【0048】
上記した本発明のモノマーの添加量は、本発明の該重合体100重量部に対して1重量部から200重量部の範囲で含まれることが好ましく、さらに5重量部から100重量部の範囲で含まれることが特に好ましい。さらには、本発明のモノマーに加えて、上述した種々のアクリレート系化合物を併せて用いることも好ましく行われる。この場合の本発明のモノマーとアクリレート系化合物の比については1:0から1:10の範囲で含まれる場合が好ましい。
【0049】
本発明においては光ラジカル発生剤を含むことが必須である。本発明においては以下に例示する種々の化合物以外にも基本的に光照射によりラジカルを生成するものであれば任意の化合物が使用可能である。例えば、(a)芳香族ケトン類、(b)有機過酸化物、(c)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(d)ケトオキシムエステル化合物、(e)アジニウム化合物、(f)チタノセン化合物、(g)有機ホウ素塩化合物等が挙げられる。
【0050】
ラジカル発生剤としての(a)芳香族ケトン類の好ましい例としては、ベンゾフェノン骨格あるいはチオキサントン骨格を有する化合物、特公昭47−6416号記載のα−チオベンゾフェノン化合物、特公昭47−3981号記載のベンゾインエーテル化合物、特公昭47−22326号記載のα−置換ベンゾイン化合物、特公昭47−23664号記載のベンゾイン誘導体、特開昭57−30704号記載のアロイルホスホン酸エステル、特公昭60−26483号記載のジアルコキシベンゾフェノン、特公昭60−26403号、特開昭62−81345号記載のベンゾインエーテル類、特開平2−211452号記載のp−ジ(ジメチルアミノベンゾイル)ベンゼン、特開昭61−194062号記載のチオ置換芳香族ケトン、特公平2−9597号記載のアシルホスフィンスルフィド、特公平2−9596号記載のアシルホスフィン、特公昭63−61950号記載のチオキサントン類、特公昭59−42864号記載のクマリン類を挙げることができる。
【0051】
本発明に関わるラジカル発生剤の他の例である(b)有機過酸化物としては分子中に酸素−酸素結合を1個以上有する有機化合物のほとんど全てが含まれるが、例えば、3,3′,4,4′−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ−(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレートなどの過酸化エステル系が好ましい。
【0052】
本発明に関わり用いることが好ましいラジカル発生剤の他の例である(c)ヘキサアリールビイミダゾールとしては、特公昭45−37377号、特公昭44−86516号記載のロフィンダイマー類、例えば2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o,o′−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−メチルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−トリフルオロメチルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
【0053】
本発明に関わるラジカル発生剤の他の例である(d)ケトオキシムエステルとしては、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−p−トルエンスルホニルオキシイミノブタン−2−オン、2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられる。
【0054】
ラジカル発生剤の他の例である(e)アジニウム塩化合物の例としては、特開昭63−138345号、特開昭63−142345号、特開昭63−142346号、特開昭63−143537号ならびに特公昭46−42363号記載のN−O結合を有する化合物群を挙げることができる。
【0055】
ラジカル発生剤の他の例である(f)チタノセン化合物の例としては、例えば、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号、特開昭63−41483号、同63−41484号、特開平2−249号、同2−291号、特開平3−27393号、同3−12403号、特開平6−41170号公報等に記載されている各種チタノセン化合物を好ましく使用することが出来る。具体的なチタノセン化合物としては、例えば、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジシクロペンタジエニル−Ti−2,6−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)−フェニ−1−イル等を挙げることができる。
【0056】
本発明に係わる好ましいラジカル発生剤として(g)有機ホウ素塩化合物が挙げられ、特に化16で示される有機ホウ素アニオンを有する化合物を用いることが好ましい。
【0057】
【化16】
【0058】
化16において、R5,R6,R7およびR8は各々同じであっても異なっていても良く、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、複素環基を表す。これらの内で、R5,R6,R7およびR8の内の一つがアルキル基であり、他の置換基がアリール基である場合が特に好ましい。
【0059】
上記の例以外にも、これらの光ラジカル発生剤を組み合わせた系や、その他、例えば技術情報協会発行「架橋システムの開発と応用技術」(1998年)p.129〜154に記載されるような種々の化合物が利用できる。
【0060】
上記のような光ラジカル発生剤と上述した該ポリマーとの量的な割合については好ましい範囲が存在し、該ポリマー100重量部に対して光ラジカル発生剤は0.1〜30重量部の範囲で使用されることが好ましく、更には1〜20重量部の範囲で使用することが特に好ましい。
【0061】
本発明において、上記の例において有機ホウ素塩化合物とともに併用することが好ましい光重合開始剤として特にトリハロアルキル置換化合物が挙げられる。トリハロアルキル置換化合物とは、具体的にはトリクロロメチル基、トリブロモメチル基等のトリハロアルキル基を分子内に少なくとも一個以上有する化合物であり、好ましい例としては、該トリハロアルキル基が含窒素複素環基に結合した化合物としてs−トリアジン誘導体およびオキサジアゾール誘導体が挙げられ、或いは、該トリハロアルキル基がスルホニル基を介して芳香族環或いは含窒素複素環に結合したトリハロアルキルスルホニル化合物が挙げられる。
【0062】
トリハロアルキル置換した含窒素複素環化合物やトリハロアルキルスルホニル化合物の特に好ましい例を化17および化18に示す。
【0063】
【化17】
【0064】
【化18】
【0065】
上記のようなトリハロアルキル置換化合物を有機ホウ素塩化合物とともに使用する場合には、前者の感光層中に於ける割合については好ましい範囲が存在し、感光層を構成する全成分100重量部に対して、0.5重量部から50重量部の範囲で存在することが好ましく、さらには1重量部から30重量部の範囲で含まれている場合が最も好ましい。
【0066】
本発明に係わる感光性組成物中に、先に挙げたような光ラジカル発生剤とともに可視光から近赤外光の領域に吸収を有する色素を添加することで該感光性組成物および感光性平版印刷版材料を可視光〜近赤外領域の何れかの波長範囲に感光性を持たせることが出来る。こうした目的で使用される色素の好ましい例としては、シアニン、メロシアニン、ローダニン、クマリン、ポルフィリン系色素等が好ましい例として挙げられる。特に近赤外光領域で高出力半導体レーザー等を使用する場合の色素としては上記のような例に加えてスクアリリウム色素、ピリリウム色素、ジチオベンジルニッケル錯体あるいはカーボンブラック、フタロシアニン類等が挙げられる。好ましく使用される色素の例を化19〜化22に示す。
【0067】
【化19】
【0068】
【化20】
【0069】
【化21】
【0070】
【化22】
【0071】
本発明による感光性組成物を構成する各要素について説明を行ったが、それぞれの要素が感光層中に占める割合については好ましい範囲が存在する。該含窒素複素環基を有する重合体100重量部に対し、光ラジカル発生剤の好ましい割合は1重量部から50重量部の範囲であり、さらに好ましい範囲は1重量部から20重量部の範囲である。色素の好ましい割合は0.1重量部から20重量部の範囲であり、さらに好ましい範囲は1重量部から10重量部の範囲である。
【0072】
本発明に係わる感光性組成物中には、暗所での反応を防止するために重合禁止剤や酸化防止剤、その他の安定化剤を添加することが好ましく行われる。重合禁止剤としては、ハイドロキノン類、カテコール類、ナフトール類、クレゾール類等の各種フェノール性水酸基を有する化合物やキノン類化合物、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル類、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩類等が好ましく使用される。この場合の重合禁止剤の添加量としては、該重合体100重量部に対して0.1重量部から10重量部の範囲で使用することが好ましい。
【0073】
その他の添加剤として、本発明に係わる感光性組成物中には、液物性、硬化反応性、硬化物の物理的性質(力学的、光学的等)を改善する目的で種々の添加剤が含有されていても良い。液物性を改善する目的で、水、アルコール類、ケトン類、炭化水素溶媒、芳香族溶媒、エーテル類、アミン類、アミド類等の種々の化合物を添加することが好ましく行われる。更にはアクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂等の種々の疎水性樹脂や、或いはポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール類、ポリビニルピロリドン、セルロース誘導体等の親水性樹脂を添加して使用することも可能である。
【0074】
硬化物の着色を目的として、カーボンブラック、フタロシアニン系顔料、酸化チタン、群青、亜鉛華、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、アルミナ白等の種々の顔料や公知の各種染料を含むことも好ましく行われる。
【0075】
平版印刷版材料として使用する場合の感光層自体の厚みに関しては、支持体上に0.5ミクロンから10ミクロンの範囲の乾燥厚みで形成することが好ましく、さらに1ミクロンから5ミクロンの範囲であることが耐刷性を大幅に向上させるために極めて好ましい。感光層は上述の要素を混合した溶液を作成し、公知の種々の塗布方式を用いて支持体上に塗布、乾燥される。支持体については、例えばフィルムやポリエチレン被覆紙を使用しても良いが、より好ましい支持体は、研磨され、陽極酸化皮膜を有するアルミニウム板である。
【0076】
上記のようにして支持体上に形成された感光層を有する材料を印刷版として使用するためには、これに密着露光あるいはレーザー走査露光を行い、露光された部分が架橋することでアルカリ性現像液に対する溶解性が低下することから、後述するアルカリ性現像液により未露光部を溶出することでパターン形成が行われる。
【0077】
アルカリ性現像液としては、本発明に係わる重合体を溶解する液で有れば特に制限は無いが、好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、メタ珪酸ナトリウム、メタ珪酸カリウム等のようなアルカリ性化合物を溶解した水性現像液が良好に未露光部を選択的に溶解し、下方の支持体表面を露出出来るため極めて好ましい。こうしたアルカリ現像液を用いて現像処理を行った後に、アラビアゴム等を使用して通常のガム引きが好ましく行われる。
【0078】
【実施例】
以下実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、効果はもとより本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例中の部は重量部を示す。
【0079】
実施例1〜5
厚みが175ミクロンであるポリエステルフィルムを使用して、この上に下記の処方で示される感光性塗工液を乾燥厚みが2.0ミクロンになるよう塗布を行い、75℃の乾燥器内にて6分間乾燥を行った。
<感光性塗工液>
本発明の重合体(SP−1) 12重量部
本発明のモノマー(C−1) 3重量部
光ラジカル発生剤(表1) 1重量部
10%フタロシアニン分散液(着色剤) 0.6重量部
ジオキサン 70重量部
シクロヘキサノン 20重量部
【0080】
【表1】
【0081】
【化23】
【0082】
【化24】
【0083】
【化25】
【0084】
【化26】
【0085】
【化27】
【0086】
得られた感光材料を次のようにして露光を行った。即ち、高圧水銀ランプを光源とし、光量が20mW/cm2になるように光量を調整し、濃度差0.15間隔のステップウェッジを有するコントロールウェッジ(富士写真フィルム製)を通して10秒間露光を行った。露光後、テトラブチルアンモニウムヒドロキサイドの2.5%水溶液を使用して10秒間現像を行った。現像処理後に、フィルム上に形成されたステップウェッジのパターンにおいて、画像として残る最大のステップ段数(S1)および画像濃度が飽和値になるまでのステップ段数(S2)を感度として求めた。これらの数値が大きいほど感度が高いことを表し、両者の数値の差が小さいほど調子再現性が硬調であることを表す。それらの結果を表2にまとめた。また、全ての実施例に於いて、試料を50℃相対湿度80%の雰囲気下で2週間保存した後、同様に露光および現像を行ったところ、感度および現像性において変化は認められず、良好な保存安定性を示した。
【0087】
【表2】
【0088】
実施例6〜10
上記実施例1〜5において感光性塗工液の組成を下記のように換え、さらに下記の塗工液を乾燥膜厚が2ミクロンとなるよう塗布乾燥後、さらに10%ポリビニルアルコール水溶液を使用して、感光層の上部にオーバーコート層を乾燥膜厚が2ミクロンとなるよう塗布乾燥することにより試料を作成した。
<感光性塗工液>
本発明の重合体(SP−1) 10重量部
ペンタエリスリトールペンタアクリレート 8重量部
光ラジカル発生剤(表1) 1重量部
10%フタロシアニン分散液(着色剤) 0.6重量部
ジオキサン 70重量部
シクロヘキサノン 20重量部
【0089】
得られた感光材料を先の実施例と全く同様にして露光および現像を行ったところ、何れの場合も先の実施例と同様な結果が得られた。
【0090】
実施例11
厚みが0.24mmである砂目立て処理を行った陽極酸化アルミニウム板を使用して、この上に下記の処方で示される感光性塗工液を乾燥厚みが2.0ミクロンになるよう塗布を行い、75℃の乾燥器内にて5分間乾燥を行った。
<感光性塗工液>
本発明の重合体(SP−1) 12重量部
本発明のモノマー(C−1) 3重量部
光ラジカル発生剤(化24) 1重量部
増感色素(化20中S−9) 0.3重量部
10%フタロシアニン分散液(着色剤) 0.6重量部
ジオキサン 70重量部
シクロヘキサノン 20重量部
【0091】
上記のようにして作成した感光性平版印刷版材料を用い、プレートセッターとして大日本スクリーン製造(株)製PT−R4000(830nmLD搭載)を使用して露光を行った。露光条件として、ドラム回転速度1000rpm、露光エネルギーとして100mJ/cm2になるように露光を行った。露光後のプレートはPS版用自動現像装置PD−912−M(大日本スクリーン製造(株)製)を使用し、現像液としてケイ酸カリウムを1重量%および水酸化カリウム2重量%、ノニオン性界面活性剤0.1重量%を含有するアルカリ性現像液を用いて現像を行った。プレート上の画像は20ミクロン細線が明瞭に再現されており、走査型電子顕微鏡観察においても画線のエッジ部分が切り立った形で先鋭な画線プロファイルを示していた。このものを通常のオフセット印刷を行うため、印刷機はRyobi−560を使用し、印刷インキは大日本インキ(株)製Fグロス墨Bを使用し、湿し水は市販の湿し水を希釈して使用した。印刷評価項目として刷り始めからの紙へ転写するインキ濃度が十分でかつ安定化するまでの刷り枚数を以てインキ乗りとし、この枚数が少ないほど良好と評価した。また耐刷性についてはテスト画像中の微小網点および細線が欠落し始めるまでの刷り枚数を以て評価を行った。また、地汚れの有無は印刷物上の地汚れの有無を以て目視判定を行った。インキ乗りはいずれも5枚以下で良好であり、耐刷性に関しては20万枚の印刷においても良好な印刷物が得られた。また、地汚れの発生もなく良好な結果が得られた。更に、本実施例において作成した感光性平版印刷版材料を50℃で相対湿度80%の雰囲気下で1ヶ月保存した後、全く同様にして露光および現像を行ったところ感度変化および現像性変化は認められず、保存前の状態と同一であった。印刷試験を保存後の試料についても同様に実施したところ同様に良好な結果が得られた。
【0092】
比較例1
上記実施例11において光ラジカル発生剤として化17中T−4で示されるトリハロアルキル置換化合部を使用し、更に本発明の重合体としてSP−1に換えて化10中SP−5で示されるポリマーを使用した以外は全く同様にして感光性平版印刷版材料を作成した。これを先の実施例と同様に50℃で相対湿度80%の雰囲気下で1ヶ月保存した後、全く同様にして露光および現像を行ったところ現像時に現像不良が発生し、非画像部の感光層が除去できず印刷試験実施不能であった。
【0093】
実施例12
先の実施例11において、光ラジカル発生剤として化24に示す化合物とともに化17中T−4で示す化合物を処方中に於いて0.6重量部併せて用いることで同様に感光性平版印刷版を作成した。実施例11と同様にプレートセッターとして大日本スクリーン製造(株)製PT−R4000(830nmLD搭載)を使用して露光を行った。露光条件として、ドラム回転速度1000rpm、露光エネルギーとして80mJ/cm2になるように露光を行った。同様に現像および印刷評価を行ったところ、実施例11と同様に良好な結果が得られた。更に、本実施例において作成した感光性平版印刷版材料を50℃で相対湿度80%の雰囲気下で1ヶ月保存した後、全く同様にして露光および現像を行ったところ感度変化および現像性変化は認められず、保存前の状態と同一であった。印刷試験を保存後の試料についても同様に実施したところ同様に良好な結果が得られた。
【0094】
【発明の効果】
感光材料として高感度であり、かつ保存性が良好で現像性に変化が無く、感光波長域が広く選択できることから種々のレーザーを含めた光源が利用できる感光性組成物を与える。さらに、画質、耐刷力に優れたアルカリ水性現像液で現像が可能な平版印刷版材料を与える。
Claims (1)
- 側鎖にメルカプト基を結合した複素環基を有する重合体、分子内に重合可能な不飽和二重結合を二個以上有する化合物、可視光から近赤外光の範囲に吸収を有する色素、および光ラジカル発生剤を含むことを特徴とする感光性組成物。
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