JP2003029406A - 感光性組成物および感光性平版印刷版材料 - Google Patents

感光性組成物および感光性平版印刷版材料

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JP2003029406A JP2001220016A JP2001220016A JP2003029406A JP 2003029406 A JP2003029406 A JP 2003029406A JP 2001220016 A JP2001220016 A JP 2001220016A JP 2001220016 A JP2001220016 A JP 2001220016A JP 2003029406 A JP2003029406 A JP 2003029406A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】感光材料として高感度であり、かつ保存性が良
好で現像性に変化が無く、感光波長域が広く選択できる
感光性組成物を与えることを課題とする。さらに、画
質、耐刷力に優れたアルカリ水性現像液で現像が可能な
平版印刷版材料を与えることを課題とする。 【解決手段】側鎖にメルカプト基を結合した複素環基を
有する重合体、分子内に重合可能な不飽和二重結合を二
個以上有する化合物および光ラジカル発生剤から構成さ
れることを特徴とする感光性組成物を使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はネガ型感光性組成物
に関し、更にこれを利用した感光性平版印刷版材料に関
する。更に詳しくは、レーザーを用いて画像形成可能な
感光性組成物および感光性平版印刷版材料に関する。ま
た、特に近赤外光の波長範囲にある光に感度を有するネ
ガ型の感光性平版印刷版に関する。
【0002】
【従来の技術】感光性組成物は、光反応(紫外光や可視
光の照射)によって分子構造が化学変化を起こし、その
結果、物理現象(物性)に変化が生じる。この光の作用
による化学変化としては、架橋・重合・分解・解重合・
官能基変換などがあり、溶解度・接着性・屈折率・物質
浸透性および相変化など多様である。このような感光性
組成物は、印刷版、レジスト、塗料、コーティング剤、
カラーフィルターなどの広い分野で実用化されている。
さらに、写真製版技術(フォトリソグラフィ)を用いる
フォトレジスト分野で活用され、発展してきた。フォト
レジストは、光反応による溶解度の変化を利用したもの
で、高解像度の要求などからいっそうの精緻な材料設計
が必要となっている。
【0003】広く用いられているタイプの平板印刷版
は、アルミニウムベース支持体に塗布された感光性塗膜
を有する。この塗膜は、露光された塗膜部分は硬化し、
露光されなかった塗膜部分は現像処理で溶出される。こ
のような版をネガ型印刷版という。平版印刷は印刷版表
面に形成されたパターンと背景部のそれぞれの親油性、
親水性の表面物性を利用し、平版印刷においてインクと
湿し水を同時に印刷機上で版面に供給する際に、インク
が親油性表面を有するパターン上に選択的に転移するこ
とを利用するものである。パターン上に転移したインク
はその後ブランケットと呼ばれる中間体に転写され、こ
れから更に印刷用紙に転写することで印刷が行われる。
【0004】現在、平版印刷分野において主流となって
いる印刷版は、アルミニウムを支持体とする感光性樹脂
層を設けたPS版(Presensitized Plateの略)であ
る。PS版にはネガ型およびポジ型の2種があり、ネガ
型は露光部が硬化し、現像液により露光部を残し未露光
部を溶解除去することで親水性表面を有するアルミニウ
ム支持体上に、露光パターンに応じた形で、親油性表面
を有する硬化した被膜を形成するものである。ポジ型は
逆に露光部が現像液に対して可溶性を示すことで未露光
部分が露光パターンに応じて選択的にアルミニウム支持
体表面に被膜を形成するものである。
【0005】上記のようなPS版を作成するための材料
としては、例えば、米沢輝彦著、「PS版概論」(印刷
学会出版部発行)や永松元太郎・乾 英夫著、「感光性
高分子」(講談社発行)、あるいは山岡亜夫・永松元太
郎著、「フォトポリマーテクノロジー」(日刊工業発
行)に詳しく述べられている。
【0006】上記のようなPS版を使用して印刷版を作
成するためには、従来より行われている方法は、作成し
た原稿を銀塩写真フィルムに焼き付け、フィルム原稿を
作成し、適当な光源を備えた密着プリンターによりフィ
ルム原稿を通して露光を行い上記のような原理で支持体
表面に印刷パターンを形成するものである。
【0007】近年、コンピューターの進歩によりデジタ
ル化された原稿データをレーザービームを用いてフィル
ムを介在させずに印刷版に直接画像露光を行う各種CT
Pシステムが各社から提案されており、一部実用化が進
んでいる。例えば、特開平7−20629号、同7−2
71029号明細書等には、レゾール樹脂、ノボラック
樹脂、赤外線吸収剤、酸発生剤を基本的に含む感光性層
を有する平版印刷版が開示されている。この平版印刷版
は例えば高出力半導体レーザー等により露光し、感光性
層中の赤外線吸収剤が光熱変換を行うことで露光部を局
所的に高温に至らしめ、この際酸発生剤が発生する酸に
よりレゾール樹脂およびノボラック樹脂からなる樹脂層
の現像液に対する溶解性が架橋等により変化することを
利用したものである。ネガ型処理では、こうした方式を
用いる場合に露光後に版面を加熱処理することが上記明
細書中に記載されており、露光部に発生した強酸による
レゾール樹脂・ノボラック樹脂間の架橋を促進させる上
で必要とされる工程であるが、加熱される温度により露
光部/未露光部の溶解性の差が一定に保たれず、例えば
十分な加熱が行われなければ現像液により露光部まで溶
解する場合や、逆に加熱温度が高すぎる場合には未露光
部が部分的に不溶化し、現像が十分に行われない等の問
題点がある。
【0008】CTPシステムの別の例として、例えば特
開平7−314934号、特開平8−48018号に記
載されるようなレーザーアブレーションを利用した平版
印刷版作成方法や、特開平8−305007号のような
同じくフレキソグラフ印刷版の形成方法等が示されてい
るが、こうしたアブレーションを生じさせるために必要
な露光エネルギーを与えるためにはYAGレーザーのよ
うに極めて高出力のレーザーを使用する必要がある。現
在のところこうしたレーザーは寿命が短く、かつ高価で
あり、さらにはアブレーションにより飛散するカスの除
去が問題となっている。
【0009】重合性モノマーを含む光重合反応を利用し
たレーザー露光可能なCTP印刷版の例として、例えば
清水茂樹、「印刷雑誌」78巻、9頁、1995年等に
解説がなされている。この方式はラジカル発生剤と光増
感色素を組み合わせた上記2種のCTPシステムと比較
して高感度の印刷版を与えるが、材料の保存性、感度等
に安定性、長期保存性を確保することが困難であるなど
の問題があった。
【0010】さらに高感度のCTPシステム用平版印刷
版材料として、銀錯塩拡散転写方式を利用したアルミニ
ウムを支持体とする印刷版の例が挙げられ、例えば特開
平5−265216号、同5−313206号、特開平
7−56345号、同7−56347号、特開平9−6
005号明細書等に記載されるような、物理現像核を担
持したアルミニウム支持体上にハロゲン化銀乳剤層を設
けた構成からなる高感度平版印刷版材料についてもその
有効性が示されている。こうした銀塩写真方式を利用し
た平版印刷版は安価な低出力レーザーで十分な露光感度
を有し、かつ解像度が高いというメリットを有するが、
現像工程において現像液pHや液温度の管理が重要であ
り、かつ高感度であるが故に版材を暗室中で扱わざるを
得なく、ハンドリングの点で問題があった。
【0011】光源として、従来から利用されるハロゲン
ランプ、タングステンランプ、水銀ランプ、キセノンラ
ンプ、メタルハライドランプ、カーボンアーク、ナトリ
ウムランプ等に加えて、ヘリウムネオンレーザー、アル
ゴンレーザー、半導体レーザー、YAGレーザー等が特
にデジタル画像出力用光源として盛んに利用されるよう
になっている。これらの内でも特に半導体レーザーは高
出力化、長寿命化、低価格化が進みつつあり、特に好ま
しい露光光源として挙げられる。
【0012】上記のような半導体レーザーを利用し、デ
ジタル画像を形成するための感光性組成物の例として、
特開平10−90885号、同9−127694号、同
9−138500号等が挙げられ、特に平版印刷版とし
ての用途に関しては、特開平7−20629号、同27
1029号、同9−244226号明細書等に記載され
る例が挙げられる。これらの内、平版印刷版に関する明
細書については、フェノール樹脂、赤外線吸収剤、酸発
生剤を基本的に含む感光性層を有する平版印刷版が開示
されている。こうした平版印刷版は例えば高出力半導体
レーザー等により露光し、光酸発生剤から発生する酸に
よりフェノール樹脂の現像液に対する溶解性が架橋等に
より変化することを利用したものである。ネガ型処理で
は、こうした方式を用いる場合に露光後に版面を加熱処
理することが上記明細書中に記載されており、露光部に
発生した強酸によるフェノール樹脂の架橋を促進させる
上で必要とされる工程であるが、加熱される温度により
露光部/未露光部の溶解性の差が一定に保たれず、例え
ば十分な加熱が行われなければ現像液により露光部まで
溶解する場合や、逆に加熱温度が高すぎる場合には未露
光部が部分的に不溶化し、現像が十分に行われない等の
問題点がある。更には、長期にわたる保存性や特に高温
条件下での保存により、感光層が自然硬化する問題や、
感度低下を来すといった保存性に問題があった。
【0013】特開2001−075277号公報には側
鎖にメルカプト基を結合した複素環基を有する重合体お
よび光酸発生剤として特にトリハロアルキル置換化合物
から構成される感光性組成物が開示されるが、トリハロ
アルキル置換化合部を光重合開始剤として単独で使用し
た場合にはある程度高感度であるものの長期にわたる保
存に於いて感光層が硬化し、現像性が悪くなるという欠
点を有していた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、感光材料と
して高感度であり、かつ保存性が良好で現像性に変化が
無く、感光波長域が広く選択できることから種々のレー
ザーを含めた光源が利用できる感光性組成物を与えるこ
とを課題とする。さらに、画質、耐刷力に優れたアルカ
リ水性現像液で現像が可能な平版印刷版材料を与えるこ
とを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的は側鎖にメルカ
プト基を結合した複素環基を有する重合体、分子内に重
合可能な不飽和二重結合を二個以上有する化合物および
光ラジカル発生剤から構成されることを特徴とする感光
性組成物を使用することで基本的には達成される。
【0016】
【発明の実施の形態】側鎖にメルカプト基を結合した複
素環基を有する重合体の好ましい例としては、下記一般
式化2、化3または化4で示される繰り返し単位を含む
重合体が挙げられる。
【0017】
【化2】
【0018】化2中、R3は水素原子またはメチル基を
表し、X1は含窒素複素環基を表す。L1はX1と重合体
主鎖を連結するための任意の連結基を表し、nは1また
は2を表す。
【0019】
【化3】
【0020】化3中、X2は含窒素複素環基を表す。L2
はX2と重合体主鎖を連結するための任意の連結基を表
し、mは1または2を表す。
【0021】
【化4】
【0022】化4中、X3は含窒素複素環基を表す。L3
はX3と重合体主鎖を連結するための任意の連結基を表
し、pは1または2を表す。
【0023】上記に於いて含窒素複素環基とは、ピロー
ル環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール
環、テトラゾール環、イソオキサゾール環、オキサゾー
ル環、オキサジアゾール環、イソチアゾール環、チアゾ
ール環、チアジアゾール環、チアトリアゾール環、イン
ドール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベ
ンゾトリアゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチ
アゾール環、ベンズセレナゾール環、ベンゾチアジアゾ
ール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピ
ラジン環、トリアジン環、キノリン環、キノキサリン環
等が挙げられ、これらにはメルカプト基以外の置換基が
結合していても良い。
【0024】上記の含窒素複素環基にはメルカプト基が
直接結合しており、さらに重合体主鎖と該含窒素複素環
基を連結するための連結基としては任意のものが使用で
きるが、好ましい例としてはアルキレン基、アリーレン
基、アラルキレン基、COO基、NHCOO基、NHC
OOC24基、CONH基或いは化5で示されるような
基等の単独もしくは複合の連結基が挙げられる。
【0025】
【化5】
【0026】化5中、R4は水素原子またはアルコキシ
基を表す。
【0027】化2〜化4に示すような繰り返し単位を有
する重合体の合成については、特開平8−184967
号、同8−184969号、同8−211614号公報
あるいは特開2001−75277号明細書に示される
ように、対応するモノマーの重合により、或いはメルカ
プト基を結合した含窒素環化合物と前駆体ポリマーとの
間の高分子反応により容易に合成することが出来る。前
駆体ポリマーに反応性基を導入しておき、これと反応す
ることで前駆体ポリマーに結合する別の反応性基を含窒
素複素環基が含むことが必要であり、こうした反応性基
の組み合わせとしては、水酸基とアルデヒド基(アセタ
ール化)、アミノ基とアルデヒド基(シッフ塩基形
成)、アミノ基とカルボキシル基(アミド結合形成)、
水酸基とカルボキシル基(エステル化)、カルボキシル
基とグリシジル基(付加)、その他多種多様の結合方法
によって前駆体ポリマーに含窒素複素環基を結合するこ
とが可能である。あるいは別の方法として、予めメルカ
プト基を結合した含窒素複素環基を有するモノマーを合
成し、メルカプト基に対する適当な保護基を結合するか
或いは強アルカリ下で重合を行うことでも通常のラジカ
ル重合の手法を用いて合成することも可能である。こう
した場合のモノマーの好ましい例を化6〜化8に示す。
後述する合成例の中で具体的な方法を例示する。
【0028】
【化6】
【0029】
【化7】
【0030】
【化8】
【0031】上記のメルカプト基を結合した含窒素複素
環基を含む繰り返し単位以外にも、他の官能基を有する
繰り返し単位を含むことも好ましく、これらは前駆体ポ
リマーの合成時あるいは、メルカプト基(保護されてい
ても良い)を結合した含窒素複素環モノマーとの共重合
の際に導入することが出来、こうした共重合モノマーの
例としては、スチレン、4−メチルスチレン、4−ヒド
ロキシスチレン、4−アセトキシスチレン、4−カルボ
キシスチレン、4−アミノスチレン、クロロメチルスチ
レン、4−メトキシスチレン等のスチレン誘導体、メタ
クリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブ
チル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチル
ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸
ドデシル等のメタクリル酸アルキルエステル類、メタク
リル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル
酸アリールエステル或いはアルキルアリールエステル
類、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸
2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸メトキシジエチ
レングリコールモノエステル、メタクリル酸メトキシポ
リエチレングリコールモノエステル、メタクリル酸ポリ
プロピレングリコールモノエステル等のアルキレンオキ
シ基を有するメタクリル酸エステル類、メタクリル酸2
−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸2−ジエチルア
ミノエチル等のアミノ基含有メタクリル酸エステル類、
或いはアクリル酸エステルとしてこれら対応するメタク
リル酸エステルと同様の例、或いは、アクリル酸、メタ
クリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、マレイ
ン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエス
テルのようなカルボキシ基を有するモノマー類、アリル
アミン、ジアリルアミン等のアミノ基含有モノマー類、
或いは、ビニルスルホン酸およびその塩、アリルスルホ
ン酸およびその塩、メタリルスルホン酸およびその塩、
スチレンスルホン酸およびその塩、2−アクリルアミド
−2−メチルプロパンスルホン酸およびその塩等のスル
ホン酸基を有するモノマー類、4−ビニルピリジン、2
−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニ
ルカルバゾール等の含窒素複素環を有するモノマー類、
或いは4級アンモニウム塩基を有するモノマーとして4
−ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、
アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロ
ライド、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモ
ニウムクロライド、ジメチルアミノプロピルアクリルア
ミドのメチルクロライドによる4級化物、N−ビニルイ
ミダゾールのメチルクロライドによる4級化物、4−ビ
ニルベンジルピリジニウムクロライド等、或いはアクリ
ロニトリル、メタクリロニトリル、またアクリルアミ
ド、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエ
チルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミ
ド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリ
ルアミド、N−メトキシエチルアクリルアミド、4−ヒ
ドロキシフェニルアクリルアミド等のアクリルアミドも
しくはメタクリルアミド誘導体、さらにはアクリロニト
リル、メタクリロニトリル、フェニルマレイミド、ヒド
ロキシフェニルマレイミド、酢酸ビニル、クロロ酢酸ビ
ニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ステアリン酸
ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類、またメ
チルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニル
エーテル類、その他、N−ビニルピロリドン、アクリロ
イルモルホリン、テトラヒドロフルフリルメタクリレー
ト、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリルアルコール、
ビニルトリメトキシシラン、グリシジルメタクリレート
等各種モノマーを適宜共重合モノマーとして使用するこ
とが出来る。
【0032】メルカプト基を結合した含窒素複素環基を
側鎖に有する重合体として、特にアルカリ水溶液に可溶
性を有するものが好ましく、この場合には重合体中にカ
ルボキシ基やフェノール性水酸基をさらに含むことが極
めて好ましく行われる。或いは、エチレンオキシ基を導
入した該重合体についても同様にアルカリ性現像液を使
用して現像を行う場合に良好な溶解性を示すため好まし
い。このような置換基を該重合体中に導入するために
は、上記の例に挙げたモノマーのうち、アクリル酸、メ
タクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、マレ
イン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエ
ステル、4−カルボキシスチレン等のようなカルボキシ
基を有するモノマー類や4−ヒドロキシスチレン、4−
ヒドロキシフェニルアクリルアミド、ヒドロキシフェニ
ルマレイミド等のフェノール性水酸基を有するモノマ
ー、或いはメタクリル酸メトキシジエチレングリコール
モノエステル、メタクリル酸メトキシポリエチレングリ
コールモノエステル、メタクリル酸ポリプロピレングリ
コールモノエステル等のアルキレンオキシ基を有するメ
タクリル酸エステル類等を共重合モノマーとして前駆体
ポリマー或いは共重合体の合成の際に好ましく使用する
ことが出来る。また、これらの共重合体中に於けるこれ
らのモノマーの割合は、99モル%以下、更に好ましく
は90モル%以下の割合で含むことが好ましい。特に好
ましい該重合体の例を化9〜化11に示す。式中、数字
は重量部を表す。
【0033】
【化9】
【0034】
【化10】
【0035】
【化11】
【0036】上記のような重合体の分子量については好
ましい範囲が存在し、重量平均分子量で1000から1
00万の範囲であることが好ましく、さらに1万から2
0万の範囲にあることが特に好ましい。
【0037】上記のような重合体中に含まれるメルカプ
ト基を結合した含窒素複素環を有する繰り返し単位の割
合についても好ましい範囲が存在し、重合体中に少なく
とも1重量%以上含まれていることが必要であり、好ま
しくは4重量%以上含まれている場合に光照射部におい
て効果的に架橋が生じ、ネガ画像を与える。さらに、ア
ルカリ可溶性であるためには90重量%以下の割合で含
まれることが好ましく、重合体中に含まれる好ましい割
合としては4〜90重量%の範囲である。長期にわたる
保存に於いて現像性が悪化する場合が認められる際に
は、上記の好ましい範囲は4〜60重量%である。
【0038】該メルカプト基を結合した含窒素複素環基
を側鎖に有する重合体とともに他のバインダー樹脂を併
せて使用することも好ましく行われる。バインダー樹脂
としては、様々な樹脂が使用できるが、露光部において
現像液の溶解性が低下するため本発明で得られる感光性
組成物は一般にネガ型の感光体を与えるものである。未
露光部を現像液により溶出する際に、現像液としてはア
ルカリ水性現像液を使用することが好ましく、このため
にはバインダー樹脂としてはアルカリ水性現像液に可溶
性を有する樹脂を使用することが極めて好ましい。こう
した樹脂の例としては、側鎖にカルボキシル基、スルホ
ン酸基等の酸基を有する重合体や水酸基を有する樹脂が
好ましく使用される。特にアクリル系共重合体樹脂とし
て各種(メタ)アクリル系モノマーとアクリル酸、メタ
クリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイ
ン酸等の酸基を有するモノマーとの共重合体樹脂や、ポ
リヒドロキシベンザール樹脂等が好ましい例として挙げ
ることが出来る。こうしたアルカリ可溶性樹脂とメルカ
プト基を結合した含窒素複素環基を側鎖に有する重合体
との割合については好ましい範囲が存在し、アルカリ可
溶性樹脂と該重合体の重量比に於いて、100:1より
多くの該重合体を使用することが好ましい。アルカリ可
溶性樹脂の比率が増大すると、長期の保存に於ける現像
性の変化が皆無となり好ましいが、感度が低下する問題
があるため、少なくとも1重量%以上の該重合体を含む
ことが好ましい。
【0039】本発明において必要である他の要素とし
て、分子内に重合可能な不飽和二重結合を二個以上有す
る化合物が挙げられる。好ましい化合物の例としては、
1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキ
サンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコール
ジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレ
ート、トリスアクリロイルオキシエチルイソシアヌレー
ト、トリプロピレングリコールジアクリレート、エチレ
ングリコールグリセロールトリアクリレート、グリセロ
ールエポキシトリアクリレート、トリメチロールプロパ
ントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリ
レート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の
多官能アクリル系モノマー、或いは、アクリロイル基、
メタクリロイル基を導入した各種重合体としてポリエス
テル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレ
ート、エポキシ(メタ)アクリレート等も同様に使用さ
れる。
【0040】上記したようなアクリレート系化合物と、
本発明の該重合体の比率に関しては好ましい範囲が存在
し、該重合体1重量部に対してアクリレート系化合物は
1重量部から100重量部の範囲で含まれることが好ま
しく、さらに5重量部から100重量部の範囲で含まれ
ることが好ましい。
【0041】分子内に重合可能な不飽和二重結合を二個
以上有する化合物のより好ましい例として、下記化12
で示す置換基を分子内に2個以上有する低分子化合物
(以降、本発明のモノマーと称し、分子量は数千以下の
ものを指す)を含有することでより高感度で硬調な調子
再現性を示す感光性組成物を与えることから好ましい。
更には、上記アクリレート系化合物を使用した場合には
感光性組成物の硬化において酸素による硬化阻害を受け
やすいため、感光層の上部に酸素遮断のためにポリビニ
ルアルコール等によるオーバーコート層を設けることが
好ましい。一方、本発明のモノマーを使用した場合には
酸素による硬化阻害を受けにくい為、オーバーコート層
等を設ける必要が無いことから極めて好ましく使用する
ことが出来る。
【0042】
【化12】
【0043】式中、R1は水素原子またはメチル基を表
し、R2は置換可能な任意の原子または基を表す。kは
0から4までの整数を表す。
【0044】上記のような本発明のモノマー或いは先に
述べたアクリレート系化合物を使用した場合、本発明の
該重合体と併せて用いることにより、後述する光ラジカ
ル発生剤の光分解により発生するラジカルがメルカプト
基から水素原子を引き抜き、生じたチイルラジカルが二
重結合に付加することで架橋反応が効率的に生じ、高感
度のネガ型感光材料を作成することができる。本発明の
モノマーの好ましい具体例を示すが、これらの例に限定
されるものではない。
【0045】
【化13】
【0046】
【化14】
【0047】
【化15】
【0048】上記した本発明のモノマーの添加量は、本
発明の該重合体100重量部に対して1重量部から20
0重量部の範囲で含まれることが好ましく、さらに5重
量部から100重量部の範囲で含まれることが特に好ま
しい。さらには、本発明のモノマーに加えて、上述した
種々のアクリレート系化合物を併せて用いることも好ま
しく行われる。この場合の本発明のモノマーとアクリレ
ート系化合物の比については1:0から1:10の範囲
で含まれる場合が好ましい。
【0049】本発明においては光ラジカル発生剤を含む
ことが必須である。本発明においては以下に例示する種
々の化合物以外にも基本的に光照射によりラジカルを生
成するものであれば任意の化合物が使用可能である。例
えば、(a)芳香族ケトン類、(b)有機過酸化物、
(c)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(d)ケ
トオキシムエステル化合物、(e)アジニウム化合物、
(f)チタノセン化合物、(g)有機ホウ素塩化合物等
が挙げられる。
【0050】ラジカル発生剤としての(a)芳香族ケト
ン類の好ましい例としては、ベンゾフェノン骨格あるい
はチオキサントン骨格を有する化合物、特公昭47−6
416号記載のα−チオベンゾフェノン化合物、特公昭
47−3981号記載のベンゾインエーテル化合物、特
公昭47−22326号記載のα−置換ベンゾイン化合
物、特公昭47−23664号記載のベンゾイン誘導
体、特開昭57−30704号記載のアロイルホスホン
酸エステル、特公昭60−26483号記載のジアルコ
キシベンゾフェノン、特公昭60−26403号、特開
昭62−81345号記載のベンゾインエーテル類、特
開平2−211452号記載のp−ジ(ジメチルアミノ
ベンゾイル)ベンゼン、特開昭61−194062号記
載のチオ置換芳香族ケトン、特公平2−9597号記載
のアシルホスフィンスルフィド、特公平2−9596号
記載のアシルホスフィン、特公昭63−61950号記
載のチオキサントン類、特公昭59−42864号記載
のクマリン類を挙げることができる。
【0051】本発明に関わるラジカル発生剤の他の例で
ある(b)有機過酸化物としては分子中に酸素−酸素結
合を1個以上有する有機化合物のほとんど全てが含まれ
るが、例えば、3,3′,4,4′−テトラ−(t−ブ
チルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,
3′,4,4′−テトラ−(t−アミルパーオキシカル
ボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ
(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノ
ン、3,3′,4,4′−テトラ(t−オクチルパーオ
キシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′
−テトラ(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノ
ン、3,3′,4,4′−テトラ(p−イソプロピルク
ミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ−t−
ブチルジパーオキシイソフタレートなどの過酸化エステ
ル系が好ましい。
【0052】本発明に関わり用いることが好ましいラジ
カル発生剤の他の例である(c)ヘキサアリールビイミ
ダゾールとしては、特公昭45−37377号、特公昭
44−86516号記載のロフィンダイマー類、例えば
2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,
5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−
ビス(o−ブロモフェニル)−4,4′,5,5′−テ
トラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o,p
−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフ
ェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロロフ
ェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(m−メトキシ
フェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o,o′
−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフ
ェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ニトロフ
ェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミ
ダゾール、2,2′−ビス(o−メチルフェニル)−
4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、
2,2′−ビス(o−トリフルオロメチルフェニル)−
4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール等
が挙げられる。
【0053】本発明に関わるラジカル発生剤の他の例で
ある(d)ケトオキシムエステルとしては、3−ベンゾ
イロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミ
ノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブ
タン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−
オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−
1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプ
ロパン−1−オン、3−p−トルエンスルホニルオキシ
イミノブタン−2−オン、2−エトキシカルボニルオキ
シイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げら
れる。
【0054】ラジカル発生剤の他の例である(e)アジ
ニウム塩化合物の例としては、特開昭63−13834
5号、特開昭63−142345号、特開昭63−14
2346号、特開昭63−143537号ならびに特公
昭46−42363号記載のN−O結合を有する化合物
群を挙げることができる。
【0055】ラジカル発生剤の他の例である(f)チタ
ノセン化合物の例としては、例えば、特開昭59−15
2396号、特開昭61−151197号、特開昭63
−41483号、同63−41484号、特開平2−2
49号、同2−291号、特開平3−27393号、同
3−12403号、特開平6−41170号公報等に記
載されている各種チタノセン化合物を好ましく使用する
ことが出来る。具体的なチタノセン化合物としては、例
えば、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライ
ド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニ
ル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,
4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−シ
クロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テ
トラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエ
ニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−
1−イル、ジシクロペンタジエニル−Ti−2,6−ジ
−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニ
ル−Ti−ビス−2,4−ジ−フルオロフェニ−1−イ
ル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−
2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イ
ル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−
2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペン
タジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロ−3−
(ピル−1−イル)−フェニ−1−イル等を挙げること
ができる。
【0056】本発明に係わる好ましいラジカル発生剤と
して(g)有機ホウ素塩化合物が挙げられ、特に化16
で示される有機ホウ素アニオンを有する化合物を用いる
ことが好ましい。
【0057】
【化16】
【0058】化16において、R5,R6,R7およびR8
は各々同じであっても異なっていても良く、アルキル
基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキ
ニル基、シクロアルキル基、複素環基を表す。これらの
内で、R5,R6,R7およびR8の内の一つがアルキル基
であり、他の置換基がアリール基である場合が特に好ま
しい。
【0059】上記の例以外にも、これらの光ラジカル発
生剤を組み合わせた系や、その他、例えば技術情報協会
発行「架橋システムの開発と応用技術」(1998年)
p.129〜154に記載されるような種々の化合物が
利用できる。
【0060】上記のような光ラジカル発生剤と上述した
該ポリマーとの量的な割合については好ましい範囲が存
在し、該ポリマー100重量部に対して光ラジカル発生
剤は0.1〜30重量部の範囲で使用されることが好ま
しく、更には1〜20重量部の範囲で使用することが特
に好ましい。
【0061】本発明において、上記の例において有機ホ
ウ素塩化合物とともに併用することが好ましい光重合開
始剤として特にトリハロアルキル置換化合物が挙げられ
る。トリハロアルキル置換化合物とは、具体的にはトリ
クロロメチル基、トリブロモメチル基等のトリハロアル
キル基を分子内に少なくとも一個以上有する化合物であ
り、好ましい例としては、該トリハロアルキル基が含窒
素複素環基に結合した化合物としてs−トリアジン誘導
体およびオキサジアゾール誘導体が挙げられ、或いは、
該トリハロアルキル基がスルホニル基を介して芳香族環
或いは含窒素複素環に結合したトリハロアルキルスルホ
ニル化合物が挙げられる。
【0062】トリハロアルキル置換した含窒素複素環化
合物やトリハロアルキルスルホニル化合物の特に好まし
い例を化17および化18に示す。
【0063】
【化17】
【0064】
【化18】
【0065】上記のようなトリハロアルキル置換化合物
を有機ホウ素塩化合物とともに使用する場合には、前者
の感光層中に於ける割合については好ましい範囲が存在
し、感光層を構成する全成分100重量部に対して、
0.5重量部から50重量部の範囲で存在することが好
ましく、さらには1重量部から30重量部の範囲で含ま
れている場合が最も好ましい。
【0066】本発明に係わる感光性組成物中に、先に挙
げたような光ラジカル発生剤とともに可視光から近赤外
光の領域に吸収を有する色素を添加することで該感光性
組成物および感光性平版印刷版材料を可視光〜近赤外領
域の何れかの波長範囲に感光性を持たせることが出来
る。こうした目的で使用される色素の好ましい例として
は、シアニン、メロシアニン、ローダニン、クマリン、
ポルフィリン系色素等が好ましい例として挙げられる。
特に近赤外光領域で高出力半導体レーザー等を使用する
場合の色素としては上記のような例に加えてスクアリリ
ウム色素、ピリリウム色素、ジチオベンジルニッケル錯
体あるいはカーボンブラック、フタロシアニン類等が挙
げられる。好ましく使用される色素の例を化19〜化2
2に示す。
【0067】
【化19】
【0068】
【化20】
【0069】
【化21】
【0070】
【化22】
【0071】本発明による感光性組成物を構成する各要
素について説明を行ったが、それぞれの要素が感光層中
に占める割合については好ましい範囲が存在する。該含
窒素複素環基を有する重合体100重量部に対し、光ラ
ジカル発生剤の好ましい割合は1重量部から50重量部
の範囲であり、さらに好ましい範囲は1重量部から20
重量部の範囲である。色素の好ましい割合は0.1重量
部から20重量部の範囲であり、さらに好ましい範囲は
1重量部から10重量部の範囲である。
【0072】本発明に係わる感光性組成物中には、暗所
での反応を防止するために重合禁止剤や酸化防止剤、そ
の他の安定化剤を添加することが好ましく行われる。重
合禁止剤としては、ハイドロキノン類、カテコール類、
ナフトール類、クレゾール類等の各種フェノール性水酸
基を有する化合物やキノン類化合物、2,2,6,6−
テトラメチルピペリジン−N−オキシル類、N−ニトロ
ソフェニルヒドロキシルアミン塩類等が好ましく使用さ
れる。この場合の重合禁止剤の添加量としては、該重合
体100重量部に対して0.1重量部から10重量部の
範囲で使用することが好ましい。
【0073】その他の添加剤として、本発明に係わる感
光性組成物中には、液物性、硬化反応性、硬化物の物理
的性質(力学的、光学的等)を改善する目的で種々の添
加剤が含有されていても良い。液物性を改善する目的
で、水、アルコール類、ケトン類、炭化水素溶媒、芳香
族溶媒、エーテル類、アミン類、アミド類等の種々の化
合物を添加することが好ましく行われる。更にはアクリ
ル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹
脂、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂等の種々の疎水
性樹脂や、或いはポリビニルアルコール、ポリエチレン
グリコール類、ポリプロピレングリコール類、ポリビニ
ルピロリドン、セルロース誘導体等の親水性樹脂を添加
して使用することも可能である。
【0074】硬化物の着色を目的として、カーボンブラ
ック、フタロシアニン系顔料、酸化チタン、群青、亜鉛
華、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、アルミナ白等の種
々の顔料や公知の各種染料を含むことも好ましく行われ
る。
【0075】平版印刷版材料として使用する場合の感光
層自体の厚みに関しては、支持体上に0.5ミクロンか
ら10ミクロンの範囲の乾燥厚みで形成することが好ま
しく、さらに1ミクロンから5ミクロンの範囲であるこ
とが耐刷性を大幅に向上させるために極めて好ましい。
感光層は上述の要素を混合した溶液を作成し、公知の種
々の塗布方式を用いて支持体上に塗布、乾燥される。支
持体については、例えばフィルムやポリエチレン被覆紙
を使用しても良いが、より好ましい支持体は、研磨さ
れ、陽極酸化皮膜を有するアルミニウム板である。
【0076】上記のようにして支持体上に形成された感
光層を有する材料を印刷版として使用するためには、こ
れに密着露光あるいはレーザー走査露光を行い、露光さ
れた部分が架橋することでアルカリ性現像液に対する溶
解性が低下することから、後述するアルカリ性現像液に
より未露光部を溶出することでパターン形成が行われ
る。
【0077】アルカリ性現像液としては、本発明に係わ
る重合体を溶解する液で有れば特に制限は無いが、好ま
しくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、珪酸ナト
リウム、珪酸カリウム、メタ珪酸ナトリウム、メタ珪酸
カリウム等のようなアルカリ性化合物を溶解した水性現
像液が良好に未露光部を選択的に溶解し、下方の支持体
表面を露出出来るため極めて好ましい。こうしたアルカ
リ現像液を用いて現像処理を行った後に、アラビアゴム
等を使用して通常のガム引きが好ましく行われる。
【0078】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに詳しく説明
するが、効果はもとより本発明はこれら実施例に限定さ
れるものではない。実施例中の部は重量部を示す。
【0079】実施例1〜5 厚みが175ミクロンであるポリエステルフィルムを使
用して、この上に下記の処方で示される感光性塗工液を
乾燥厚みが2.0ミクロンになるよう塗布を行い、75
℃の乾燥器内にて6分間乾燥を行った。 <感光性塗工液> 本発明の重合体(SP−1) 12重量部 本発明のモノマー(C−1) 3重量部 光ラジカル発生剤(表1) 1重量部 10%フタロシアニン分散液(着色剤) 0.6重量部 ジオキサン 70重量部 シクロヘキサノン 20重量部
【0080】
【表1】
【0081】
【化23】
【0082】
【化24】
【0083】
【化25】
【0084】
【化26】
【0085】
【化27】
【0086】得られた感光材料を次のようにして露光を
行った。即ち、高圧水銀ランプを光源とし、光量が20
mW/cm2になるように光量を調整し、濃度差0.1
5間隔のステップウェッジを有するコントロールウェッ
ジ(富士写真フィルム製)を通して10秒間露光を行っ
た。露光後、テトラブチルアンモニウムヒドロキサイド
の2.5%水溶液を使用して10秒間現像を行った。現
像処理後に、フィルム上に形成されたステップウェッジ
のパターンにおいて、画像として残る最大のステップ段
数(S1)および画像濃度が飽和値になるまでのステッ
プ段数(S2)を感度として求めた。これらの数値が大
きいほど感度が高いことを表し、両者の数値の差が小さ
いほど調子再現性が硬調であることを表す。それらの結
果を表2にまとめた。また、全ての実施例に於いて、試
料を50℃相対湿度80%の雰囲気下で2週間保存した
後、同様に露光および現像を行ったところ、感度および
現像性において変化は認められず、良好な保存安定性を
示した。
【0087】
【表2】
【0088】実施例6〜10 上記実施例1〜5において感光性塗工液の組成を下記の
ように換え、さらに下記の塗工液を乾燥膜厚が2ミクロ
ンとなるよう塗布乾燥後、さらに10%ポリビニルアル
コール水溶液を使用して、感光層の上部にオーバーコー
ト層を乾燥膜厚が2ミクロンとなるよう塗布乾燥するこ
とにより試料を作成した。 <感光性塗工液> 本発明の重合体(SP−1) 10重量部 ペンタエリスリトールペンタアクリレート 8重量部 光ラジカル発生剤(表1) 1重量部 10%フタロシアニン分散液(着色剤) 0.6重量部 ジオキサン 70重量部 シクロヘキサノン 20重量部
【0089】得られた感光材料を先の実施例と全く同様
にして露光および現像を行ったところ、何れの場合も先
の実施例と同様な結果が得られた。
【0090】実施例11 厚みが0.24mmである砂目立て処理を行った陽極酸
化アルミニウム板を使用して、この上に下記の処方で示
される感光性塗工液を乾燥厚みが2.0ミクロンになる
よう塗布を行い、75℃の乾燥器内にて5分間乾燥を行
った。 <感光性塗工液> 本発明の重合体(SP−1) 12重量部 本発明のモノマー(C−1) 3重量部 光ラジカル発生剤(化24) 1重量部 増感色素(化20中S−9) 0.3重量部 10%フタロシアニン分散液(着色剤) 0.6重量部 ジオキサン 70重量部 シクロヘキサノン 20重量部
【0091】上記のようにして作成した感光性平版印刷
版材料を用い、プレートセッターとして大日本スクリー
ン製造(株)製PT−R4000(830nmLD搭
載)を使用して露光を行った。露光条件として、ドラム
回転速度1000rpm、露光エネルギーとして100
mJ/cm2になるように露光を行った。露光後のプレ
ートはPS版用自動現像装置PD−912−M(大日本
スクリーン製造(株)製)を使用し、現像液としてケイ
酸カリウムを1重量%および水酸化カリウム2重量%、
ノニオン性界面活性剤0.1重量%を含有するアルカリ
性現像液を用いて現像を行った。プレート上の画像は2
0ミクロン細線が明瞭に再現されており、走査型電子顕
微鏡観察においても画線のエッジ部分が切り立った形で
先鋭な画線プロファイルを示していた。このものを通常
のオフセット印刷を行うため、印刷機はRyobi−5
60を使用し、印刷インキは大日本インキ(株)製Fグ
ロス墨Bを使用し、湿し水は市販の湿し水を希釈して使
用した。印刷評価項目として刷り始めからの紙へ転写す
るインキ濃度が十分でかつ安定化するまでの刷り枚数を
以てインキ乗りとし、この枚数が少ないほど良好と評価
した。また耐刷性についてはテスト画像中の微小網点お
よび細線が欠落し始めるまでの刷り枚数を以て評価を行
った。また、地汚れの有無は印刷物上の地汚れの有無を
以て目視判定を行った。インキ乗りはいずれも5枚以下
で良好であり、耐刷性に関しては20万枚の印刷におい
ても良好な印刷物が得られた。また、地汚れの発生もな
く良好な結果が得られた。更に、本実施例において作成
した感光性平版印刷版材料を50℃で相対湿度80%の
雰囲気下で1ヶ月保存した後、全く同様にして露光およ
び現像を行ったところ感度変化および現像性変化は認め
られず、保存前の状態と同一であった。印刷試験を保存
後の試料についても同様に実施したところ同様に良好な
結果が得られた。
【0092】比較例1 上記実施例11において光ラジカル発生剤として化17
中T−4で示されるトリハロアルキル置換化合部を使用
し、更に本発明の重合体としてSP−1に換えて化10
中SP−5で示されるポリマーを使用した以外は全く同
様にして感光性平版印刷版材料を作成した。これを先の
実施例と同様に50℃で相対湿度80%の雰囲気下で1
ヶ月保存した後、全く同様にして露光および現像を行っ
たところ現像時に現像不良が発生し、非画像部の感光層
が除去できず印刷試験実施不能であった。
【0093】実施例12 先の実施例11において、光ラジカル発生剤として化2
4に示す化合物とともに化17中T−4で示す化合物を
処方中に於いて0.6重量部併せて用いることで同様に
感光性平版印刷版を作成した。実施例11と同様にプレ
ートセッターとして大日本スクリーン製造(株)製PT
−R4000(830nmLD搭載)を使用して露光を
行った。露光条件として、ドラム回転速度1000rp
m、露光エネルギーとして80mJ/cm2になるよう
に露光を行った。同様に現像および印刷評価を行ったと
ころ、実施例11と同様に良好な結果が得られた。更
に、本実施例において作成した感光性平版印刷版材料を
50℃で相対湿度80%の雰囲気下で1ヶ月保存した
後、全く同様にして露光および現像を行ったところ感度
変化および現像性変化は認められず、保存前の状態と同
一であった。印刷試験を保存後の試料についても同様に
実施したところ同様に良好な結果が得られた。
【0094】
【発明の効果】感光材料として高感度であり、かつ保存
性が良好で現像性に変化が無く、感光波長域が広く選択
できることから種々のレーザーを含めた光源が利用でき
る感光性組成物を与える。さらに、画質、耐刷力に優れ
たアルカリ水性現像液で現像が可能な平版印刷版材料を
与える。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 側鎖にメルカプト基を結合した複素環基
    を有する重合体、分子内に重合可能な不飽和二重結合を
    二個以上有する化合物および光ラジカル発生剤を含むこ
    とを特徴とする感光性組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1における該重合体がアルカリ可
    溶性である感光性組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1における該重合体とともにアル
    カリ可溶性重合体を併せて含む感光性組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1における分子内にラジカル付加
    可能なエチレン性二重結合を2個以上有する化合物とし
    て、分子内に化1で示される置換基を2個以上有する低
    分子化合物である請求項1に記載の感光性組成物。 【化1】 式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、R2は置換
    可能な任意の原子または基を表す。kは0から4までの
    整数を表す。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4における該感光性組成物と
    して更に可視光から近赤外光の範囲に吸収を有する色素
    を併せて含むことを特徴とする感光性組成物。
  6. 【請求項6】 上記何れかの請求項における該感光性組
    成物を利用したことを特徴とする感光性平版印刷版材
    料。
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