JP2020196947A - めっき物の製造方法 - Google Patents

めっき物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2020196947A
JP2020196947A JP2020075790A JP2020075790A JP2020196947A JP 2020196947 A JP2020196947 A JP 2020196947A JP 2020075790 A JP2020075790 A JP 2020075790A JP 2020075790 A JP2020075790 A JP 2020075790A JP 2020196947 A JP2020196947 A JP 2020196947A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
plating
base material
catalyst
fine particles
treatment liquid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020075790A
Other languages
English (en)
Inventor
美咲 境野
Misaki Sakaino
美咲 境野
美穂 森
Miho Mori
美穂 森
弘樹 芦澤
Hiroki Ashizawa
弘樹 芦澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Achilles Corp
Original Assignee
Achilles Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Achilles Corp filed Critical Achilles Corp
Publication of JP2020196947A publication Critical patent/JP2020196947A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

【目的】本発明は、めっき下地層の脱ドープの効果が十分であり、脱ドープ処理の水溶液が触媒液に持ち込まれても触媒液の劣化を抑制し、めっき析出性も良好であり、得られためっき膜のピンホール数も少なくできるめっき物の製造方法を提供することを目的とする。【構成】本発明のめっき物の製造方法は、基材上に導電性ポリピロール微粒子とバインダーを含む下地塗料を塗布してめっき下地層を形成する工程1、前記めっき下地層が形成された基材を中性の脱ドープ処理液で処理する工程2、前記脱ドープ処理された基材を、触媒金属を付着させるための触媒液に浸す工程3、前記触媒金属付着された基材を、金属を析出させるためのめっき液に浸す工程4からなるめっき物の製造方法であって、工程2の脱ドープ処理液として、式1で表される化合物を含む水溶液を使用したことを特徴とする。【選択図】 なし

Description

本発明は、めっき物の製造方法に関する。
従来、基材上に無電解めっき法により金属膜を形成する方法として、例えば特許文献1に記載されている技術が開示されている。具体的には、基材上に導電性高分子微粒子とバインダーを含む塗料を塗布して塗膜層を形成し、塗膜が形成された基材を脱ドープ処理した後、触媒液で処理して塗膜層上に触媒金属を付着させ、触媒金属が付着した塗膜層上に無電解めっき法により金属膜を形成させる、めっき物の製造方法について開示されている。
特開2015−54976号公報
ところが、特許文献1に記載されている脱ドープ処理の水溶液として、アルカリ性溶液や還元剤を含む水溶液が使用されており、これら水溶液を使用した脱ドープ処理には以下のような問題があった。
例えば、脱ドープ処理の水溶液として使用したアルカリ性溶液や還元剤を含む水溶液が、次工程の触媒液に持ち込まれると、触媒液が劣化してしまう。その結果、触媒液の交換頻度が増え、製造コストが増大する問題があった。加えて、劣化した触媒液を使用すると、触媒金属の吸着不足や過剰吸着により、めっき析出性の不良問題が生じていた。更に、めっき膜に多数のピンホールが発生する問題もあった。
そこで、本発明は、上記課題を解決し得る、即ち、本発明は、めっき下地層の脱ドープの効果が十分であり、脱ドープ処理の水溶液が触媒液に持ち込まれても触媒液の劣化を抑制し、めっき析出性も良好であり、得られためっき膜のピンホール数も少なくできるめっき物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明のめっき物の製造方法は、
基材上に、導電性ポリピロール微粒子とバインダーを含む下地塗料を塗布してめっき下地層を形成する工程1、
前記めっき下地層が形成された基材を中性の脱ドープ処理液で処理する工程2、
前記脱ドープ処理された基材を、触媒金属を付着させるための触媒液に浸す工程3、
前記触媒金属付着された基材を、金属を析出させるためのめっき液に浸す工程4からなるめっき物の製造方法であって、
工程2の脱ドープ処理液として、下記の一般式1で表される化合物を含む水溶液を使用したことを特徴とする。
(式1)
Figure 2020196947

(式中、Rは、H、C2n+1、Cのいずれかを表す。)
本発明のめっき物の製造方法により、めっき下地層の脱ドープの効果が十分であり、脱ドープ処理の水溶液が触媒液に持ち込まれても触媒液の劣化を抑制し、めっき析出性が良好であり、得られためっき膜のピンホール数も少なくできためっき物が得られる。
本発明のめっき物の製造方法は、
基材上に、導電性ポリピロール微粒子とバインダーを含む下地塗料を塗布してめっき下地層を形成する工程1、
前記めっき下地層が形成された基材を中性の脱ドープ処理液で処理する工程2、
前記脱ドープ処理された基材を、触媒金属を付着させるための触媒液に浸す工程3、
前記触媒金属付着された基材を、金属を析出させるためのめっき液に浸す工程4からなるめっき物の製造方法であって、
工程2の脱ドープ処理液として、下記の一般式1で表される化合物を含む水溶液を使用したことを特徴とする。
(式1)
Figure 2020196947

(式中、Rは、H、C2n+1、Cのいずれかを表す。)
[工程1]
本発明の工程1は、基材上に、導電性ポリピロール微粒子とバインダーを含む下地塗料を塗布してめっき下地層を形成する工程である。
(基材)
本発明の基材としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、液晶ポリマー(LCP)樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ガラス等が挙げられる。
また、基材の形状は特に限定されないが、例えば、板状、フィルム状が挙げられる。
他にも、基材として、例えば、射出成形などにより樹脂を成形した樹脂成形品が挙げられる。そして、この樹脂成形品に本発明の製造方法により得られた金属めっき膜を設けることにより、例えば、自動車向けの装飾めっき品を作成することができ、或いは、ポリイミド樹脂からなるフィルム上に本発明の製造方法により得られた金属めっき膜を全面もしくはパターン状で設けることにより、例えば、電気回路品を作成することができる。
(下地塗料)
本発明の下地塗料は、導電性ポリピロール微粒子とバインダーを含むものである。
(導電性ポリピロール微粒子)
本発明の下地塗料に含まれる導電性ポリピロール微粒子は、無電解めっき法により金属膜を形成するに際し、脱ドープされた導電性ポリピロール微粒子上にパラジウムなどの触媒金属を還元・吸着させ、その後、パラジウムなどの触媒金属が吸着された導電性ポリピロール微粒子を起点として金属めっき膜を形成することができるものである。
そして、基材上に、導電性ポリピロール微粒子とバインダーを含む下地塗料を塗布してめっき下地層を形成後、そのめっき下地層が形成された基材を脱ドープ処理することにより、導電性ポリピロール微粒子が脱ドープされ、そのポリピロール微粒子上にパラジウムなどの触媒金属を還元・吸着させ易くすることができる。
また、ここでいう「導電性ポリピロール微粒子が脱ドープ」されるとは、導電性ポリピロール微粒子からドーパントが除去され、還元性ポリピロール微粒子になることを指す。なお、還元性ポリピロール微粒子とは、0.01S/cm未満の導電率を有する微粒子である。
導電性ポリピロール微粒子は、π−共役二重結合を有する導電性ポリピロールであれば特に限定されないが、例えば導電性ポリピロールの誘導体も使用できる。
また、導電性ポリピロール微粒子は、π−共役二重結合を有するピロールモノマーから合成して使用することができるが、市販で入手できる導電性ポリピロール微粒子を使用することもできる。
また、導電性ポリピロール微粒子は、導電性を有する微粒子であり、具体的には、0.01S/cm以上の導電率を有する微粒子である。
また、導電性ポリピロール微粒子は、球形の微粒子であるものが挙げられ、その平均粒径(レーザー回析/散乱法により求められる値)は、10〜100nmとするのが好ましい。
(バインダー)
本発明の下地塗料に含まれるバインダーとしては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリ(N−ビニルカルバゾール)系樹脂、炭化水素系樹脂、ケトン系樹脂、フェノキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチルセルロース系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ABS系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、アルキド系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂等が挙げられる。
本発明の導電性ポリピロール微粒子とバインダーとの質量比は、導電性ポリピロール微粒子:バインダー=1:0.1ないし1:60の範囲であるが好ましい。
導電性ポリピロール微粒子1質量部に対して、バインダーが60質量部を超えると、金属めっき膜が析出し難くなり、バインダーが0.1質量部未満であると、金属めっき物を得た初期の180度ピール強度において、所望の密着性が得られ難くなる。
本発明の下地塗料には、導電性ポリピロール微粒子とバインダーに加えて、溶媒を含み得る。
上記溶媒としては、バインダーを溶解することができるものであれば特に限定されないが、基材を大きく溶解するものは好ましくない。但し、基材を大きく溶解する溶媒であっても、他の低溶解性の溶媒と混合することにより、溶解性を低下させて使用することが可能である。
上記溶媒としては、例えば、酢酸ブチル等の脂肪族エステル類、トルエン等の芳香族溶媒、メチルエチルケトン等のケトン類、シクロヘキサン等の環状飽和炭化水素類、n−オクタン等の鎖状飽和炭化水素類、メタノール、エタノール、n−オクタノール等の鎖状飽和アルコール類、安息香酸メチル等の芳香族エステル類、ジエチルエーテル等の脂肪族エーテル類及びこれらの混合物等が挙げられる。
なお、有機溶媒に分散された導電性ポリピロール微粒子の分散液に、バインダーを混合させる場合、その分散液に使用されている有機溶媒を、下地塗料の溶媒の一部又は全部として使用することができる。
本発明の下地塗料は用途や塗布対象物に応じて、例えば、無機系フィラー、分散安定剤、増粘剤、インキバインダ等の樹脂を加えてもよい。
無機系フィラーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、カーボンブラック、酸化チタン及びシリカ粒子等が挙げられる。
無機フィラーの使用量は、特に、限定されるものではないが、バインダー1質量部に対して0.1ないし1.5質量部の範囲であるのが好ましい。
(めっき下地層)
めっき下地層の形成は、上記で調製された下地塗料を基材に塗布し、例えば加熱する、或いは光や電子線を照射して乾燥・硬化することにより行われる。
基材への塗布方法は、特に限定されず、例えば、スクリーン印刷機、グラビア印刷機、フレキソ印刷機、インクジェット印刷機、オフセット印刷機、ディッピング、スピンコーター、ロールコーター、スプレー等を用いて、印刷またはコーティングすることができる。
乾燥条件も特に限定されず、室温、又は加熱条件下で行うことができる。
加熱を行う場合の温度は、基材のTgより低い温度で行うことが好ましい。
また、形成されるめっき下地層の厚さは、10nm〜10μmとするのが好ましい。
厚さが10nm未満であるとめっきが析出し難くなり、厚さが10μmを超えると所望の密着性が得られ難くなる。
[工程2]
本発明の工程2は、前記めっき下地層が形成された基材を中性の脱ドープ処理液で脱ドープ処理する工程である。ここで、本発明の中性とは、パーソナルpHメーター計(横河電気(株)製)で測定した値が6〜8のものを示す。
具体的には、基材上に、導電性ポリピロール微粒子とバインダーを含む下地塗料を塗布して形成されためっき下地層を脱ドープ処理するものである。
脱ドープ処理としては、脱ドープ処理液に、導電性ポリピロール微粒子とバインダーを含むめっき下地層を設けた基材を浸漬処理する方法が挙げられる。
特に、導電性ポリピロール微粒子とバインダーを含むめっき下地層は薄くできるため、緩和な条件下で短時間の処理により脱ドープを達成することが可能である。
例えば、pHが6〜8の中性である脱ドープ処理液中で、20ないし70℃、好ましくは30ないし40℃の温度で、1ないし30分間、好ましくは3ないし10分間処理される。
(脱ドープ処理液)
工程2の脱ドープ処理液としては、下記の一般式1で表される化合物(トリメチルアンモニウム塩)を含む水溶液を使用する。
(式1)
Figure 2020196947

(式中、Rは、H、C2n+1、Cのいずれかを表す。)
ここでいうRとは、H(水素)、C2n+1(アルキル基)、C(フェニル基)である。
上記化合物(トリメチルアンモニウム塩)は、中性であるにも拘わらず、導電性ポリピロール微粒子の脱ドープが可能であり、めっき析出性も良好であるため、金属めっき膜のピンホールの発生を抑制できる。その結果、細線パターン状のめっき物であっても、パターンの位置とピンホールの位置とが重なり難く、パターンの断線が生じ難い。
また、基材上に、フォトレジストなどの耐アルカリ性が低い塗膜を、上記化合物(トリメチルアンモニウム塩)を含む水溶液に浸漬させたとしても、塗膜の劣化を抑制できるので、塗膜の脱落なく脱ドープ処理することができる。
加えて、上記化合物(トリメチルアンモニウム塩)は、触媒液に持ち込まれたとしても、触媒液の劣化を抑制し、脱ドープされた導電性ポリピロール微粒子への触媒金属吸着不足によるめっき析出性の不良が起き難く、触媒液の交換頻度を減らすことができ、製造コストの低減にも寄与している。
例えば、触媒液の交換時期に達した場合、脱ドープ処理液が触媒液に持ち込まれる量は、触媒液に対して約10質量%であると想定され、本発明では当該持ち込み量ではめっき析出性の不良が起き難いものである。
また、上記化合物(トリメチルアンモニウム塩)におけるRがC2n+1(アルキル基)の場合、C2n+1におけるnが1≦n≦12であることが好ましい。脱ドープ処理液の持ち込み量が触媒液に対し15質量%であっても、めっき析出性が損なわれない。 そして、nが12を超えた化合物(トリメチルアンモニウム塩)を含む脱ドープ処理液が次工程の触媒液に持ち込まれると、パラジウムイオン等の触媒金属イオンの安定性が下がり、めっき析出性が下がる傾向にある。
[工程3]
本発明の工程3は、前記脱ドープ処理された基材を、触媒金属を付着させるための触媒液に浸す工程である。
即ち、めっき下地層が形成された基材を塩化パラジウム等の触媒金属を付着させるための触媒液に浸漬する。
触媒液は、無電解めっきに対する触媒活性を有する貴金属(触媒金属)を含む溶液であり、触媒金属としては、パラジウム、金、白金、ロジウム等が挙げられ、これら金属は単体でも化合物でもよく、触媒金属を含む安定性の点からパラジウム化合物が好ましく、その中でも塩化パラジウムが特に好ましい。
好ましい、具体的な触媒液としては、0.05wt%塩化パラジウム−0.005wt%塩酸水溶液(pH3)が挙げられる。
処理温度は、20ないし50℃、好ましくは30ないし40℃であり、処理時間は、0.1ないし20分、好ましくは、1ないし10分である。
上記の操作により、めっき下地層中のポリピロール微粒子は、触媒金属を吸着されることにより、導電性のポリピロール微粒子となる。
[工程4]
本発明の工程4は、前記触媒金属付着された基材を、金属を析出させるためのめっき液に浸す工程である。
上記で処理された基材は、金属を析出させるためのめっき液に浸され、これにより無電解めっき膜が形成される。
めっき液としては、通常、無電解めっきに使用されるめっき液であれば、特に限定されない。
即ち、無電解めっきに使用できる金属、銅、金、銀、ニッケル等、全て適用することができるが、銅が好ましい。
無電解銅めっき浴の具体例としては、例えば、ATSアドカッパーIW浴(奥野製薬工業(株)製)等が挙げられる。
処理温度は、20ないし50℃、好ましくは30ないし40℃であり、処理時間は、1ないし60分、好ましくは、5ないし15分である。
得られためっき物は、使用した基材のTgより低い温度範囲において、数時間以上、例えば、2時間以上養生するのが好ましい。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明する。
(製造例1:めっき下地層用塗料Aの調製)
アニオン性界面活性剤ペレックスOT−P (花王 (株) 製) 1.5mmol、トルエン10mL、イオン交換水100mLを加えて20℃に保持しつつ乳化するまで撹拌し、乳化液を得た。
得られた乳化液にピロールモノマー21.2 mmolを加え、1時間撹拌し、次いで過硫酸アンモニウム6mmolを加えて2時間重合反応を行なった。
反応終了後、有機相を回収し、イオン交換水で数回洗浄して、トルエンに分散した導電性ポリピロール微粒子を得た。なお、ここで得られた分散液中の導電性ポリピロール微粒子の固形分は約5.0質量%であった。
ここに、バインダーとしてアミディアJ−820(DIC (株)製)を加え、固形分の質量比で導電性ポリピロール微粒子:バインダー=1:5、かつ固形分が約5.0質量%となるようにめっき下地層用塗料Aを調製した。
(製造例2:めっき下地層用塗料Bの調製)
アニオン性界面活性剤ペレックスOT−P 1.5mmol、トルエン10mL、イオン交換水100mLを加えて20℃に保持しつつ乳化するまで撹拌し、乳化液を得た。
得られた乳化液にピロールモノマー21.2mmolを加え、1時間撹拌し、次いで過硫酸アンモニウム6mmolを加えて2時間重合反応を行なった。
反応終了後、有機相を回収し、イオン交換水で数回洗浄して、トルエンに分散した導電性ポリピロール微粒子を得た。なお、ここで得られた分散液中の導電性ポリピロール微粒子の固形分は約5.0質量%であった。
ここに、バインダーとしてバイロン23CS(東洋紡 (株) 製) と、無機フィラーとして粉末シリカアエロジル200 (日本アエロジル (株) 製) を加え、固形分の質量比で導電性ポリピロール微粒子:バインダー:無機フィラー=1:4:1.15、かつ固形分が約20質量%となるようにめっき下地層用塗料Bを調製した。
(実施例1)
[工程1]
PETフィルム基材(東洋紡(株)製のコスモシャインA4100)上に、製造例1で得られためっき下地層用塗料Aをバーコーターにて塗工し、加熱乾燥し、基材上に膜厚約100nmのめっき下地層を形成した。
また、得られためっき下地層、すなわち、脱ドープ処理前のめっき下地層について、表面抵抗値を後述する方法にて測定した。
[工程2]
続いて、工程1でめっき下地層が形成された基材を、脱ドープ処理液A(「トリメチルアンモニウムクロライド」1wt%の水溶液/pH7)に、70℃で3分間浸漬後、イオン交換水で水洗した。pHは以下も同様にパーソナルpHメーター計(横河電気(株)製)で測定した値である。
また、脱ドープ処理後のめっき下地層について、表面抵抗値を後述する方法にて測定した。
[工程3]
続いて、工程2で脱ドープ処理された基材を、触媒金属液(0.02wt%塩化パラジウム−0.01wt%塩酸水溶液)に、35℃で5分間浸漬後、イオン交換水で水洗した。
[工程4]
続いて、無電解めっき浴(奥野製薬工業 (株)のATSアドカッパーIW) に浸漬して、35℃で40分間浸漬し、銅めっき(膜厚1.0μm)を形成しためっき物を得た。
(実施例2)
[工程2]における脱ドープ処理液B(「テトラメチルアンモニウムクロライド」1wt%の水溶液/pH7)を用いた以外は、実施例1と同様の方法にて、めっき物を得た。
(実施例3)
[工程2]における脱ドープ処理液C(「フェニルトリメチルアンモニウムクロライド」1wt%の水溶液/pH7)を用いた以外は、実施例1と同様の方法にて、めっき物を得た。
(実施例4)
[工程2]における脱ドープ処理液D(「ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド」1wt%の水溶液/pH7)を用いた以外は、実施例1と同様の方法にて、めっき物を得た。
(実施例5)
[工程2]における脱ドープ処理液E(「ミリスチルトリメチルアンモニウムクロライド」1wt%の水溶液/pH7)を用いた以外は、実施例1と同様の方法にて、めっき物を得た。
(実施例6)
[工程2]における脱ドープ処理液F(「ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド」1wt%の水溶液/pH7)を用いた以外は、実施例1と同様の方法にて、めっき物を得た。
(実施例7)
[工程2]における脱ドープ処理液G(「セチルトリメチルアンモニウムクロライド」1wt%の水溶液/pH7)を用いた以外は、実施例1と同様の方法にて、めっき物を得た。
(実施例8)
[工程1]におけるPETフィルム基材(東洋紡(株)製のコスモシャインA4100)上に、製造例1で得られためっき下地層用塗料Aをバーコーターにて塗工し、加熱乾燥し、基材上に膜厚約50nmのめっき下地層を形成し、かつ[工程2]における脱ドープ処理液D(「ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド」1wt%の水溶液/pH7)を用いた以外は、実施例1と同様の方法にて、めっき物を得た。
(実施例9)
[工程1’]
PETフィルム基材(東洋紡(株)製のコスモシャインA4100)上に、製造例2で得られためっき下地層用塗料Bをスクリーン印刷機にて塗工し、加熱乾燥し、基材上に膜厚約2μmのめっき下地層を形成した。
また、得られためっき下地層、すなわち、脱ドープ処理前のめっき下地層について、表面抵抗値を後述する方法にて測定した。
[工程2’]
続いて、工程1’でめっき下地層が形成された基材を、脱ドープ処理液D(「ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド」1wt%の水溶液/pH7)に、70℃で3分間浸漬後、イオン交換水で水洗した。
また、脱ドープ処理後のめっき下地層について、表面抵抗値を後述する方法にて測定した。
[工程3’]
続いて、工程2’で脱ドープ処理された基材を、触媒金属液(0.02wt%塩化パラジウム−0.01wt%塩酸水溶液)に、35℃で5分間浸漬後、イオン交換水で水洗した。
[工程4’]
続いて、無電解めっき浴(奥野製薬工業 (株)のATSアドカッパーIW) に浸漬して、35℃で40分間浸漬し、銅めっき (膜厚1.0μm) を形成しためっき物を得た。
(比較例1)
[工程2]における脱ドープ処理液H(「テトラメチルアンモニウムブロマイド」1wt%の水溶液/pH7)を用いた以外は、実施例1と同様の方法にて、めっき物を得た。
(比較例2)
[工程2]における脱ドープ処理液I(「ラウリルトリメチルアンモニウムブロマイド」1wt%の水溶液/pH7)を用いた以外は、実施例1と同様の方法にて、めっき物を得た。
(比較例3)
[工程2]における脱ドープ処理液J(「テトラメチルアンモニウムイオダイド」1wt%の水溶液/pH7)を用いた以外は、実施例1と同様の方法にて、めっき物を得た。
(比較例4)
[工程2]における脱ドープ処理液K(「水酸化ナトリウム(4wt%)+ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド(10wt%)+ニトリロトリ酢酸三ナトリウム(5wt%)+ポリオキシエチレンラウリルエーテル(1wt%)+イソプロピルアルコール(10wt%)」100mL/Lの水溶液/pH13)を用いた以外は、実施例1と同様の方法にて、めっき物を得た。
(比較例5)
[工程2]における脱ドープ処理液L(0.1M 水酸化ナトリウム水溶液/pH13)を用いた以外は、実施例1と同様の方法にて、めっき物を得た。
(比較例6)
[工程2]における脱ドープ処理液M(ニトリロトリ酢酸三ナトリウム5wt%の水溶液/pH11)を用いた以外は、実施例1と同様の方法にて、めっき物を得た。
(比較例7)
[工程2]における脱ドープ処理液N(花王(株) 製のサニゾールB-50:「アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド」1wt%の水溶液/pH7)を用いた以外は、実施例1と同様の方法を行った。
しかしながら、[工程2]において脱ドープの効果が得られず、触媒金属の吸着不足となり、銅めっきは形成されなかった。
(比較例8)
[工程2]における脱ドープ処理液O(花王(株) 製のエマルゲン109:「非イオン性界面活性剤のポリオキシエチレンラウリルエーテル」1wt%の水溶液/pH7)を用いた以外は、実施例1と同様の方法を行った。
しかしながら、[工程2]において脱ドープの効果が得られず、触媒金属の吸着不足となり、銅めっきは形成されなかった。
(比較例9)
[工程2]における脱ドープ処理液P(花王(株) 製のペレックスOT−P :「陰イオン性界面活性剤のジアルキルスルホコハク酸ナトリウム」1wt%の水溶液/pH7)を用いた以外は、実施例1と同様の方法を行った。
しかしながら、[工程2]において脱ドープの効果が得られず、触媒金属の吸着不足となり、銅めっきは形成されなかった。
(比較例10)
[工程2]における脱ドープ処理液Q(花王(株) 製のアンヒトール24B :「両性界面活性剤のラウリルベタイン」1wt%の水溶液/pH7)を用いた以外は、実施例1と同様の方法を行った。
しかしながら、[工程2]において脱ドープの効果が得られず、触媒金属の吸着不足となり、銅めっきは形成されなかった。
[測定方法について]
<脱ドープ処理工程前の表面抵抗値>
[工程1(又は1’)]で得られためっき下地層における表面抵抗値を、三菱化学(株)製の商品名“ハイレスタ・UP”を用いて、4端針法によって測定を行った。
なお、表1における表面抵抗値は指数表示を用いて、例えば1.0E+11とは1.0×1011[Ω]であり、1.0E+09とは1.0×10[Ω]である。
<脱ドープ処理工程後の表面抵抗値>
[工程2(又は2’)]で脱ドープ処理されためっき下地層における表面抵抗値を、三菱化学(株)製の 商品名“ハイレスタ・UP”を用いて、4端針法によって測定を行った。
なお、表1における表面抵抗値は指数表示を用いている。
[評価方法について]
<脱ドープ処理の効果>
○:脱ドープ処理後におけるめっき下地層の表面抵抗値が、脱ドープ処理前における めっき下地層の表面抵抗値よりも高くなった場合、脱ドープ処理の効果が有りと 判断した。
×:脱ドープ処理後におけるめっき下地層の表面抵抗値が、脱ドープ処理前における めっき下地層の表面抵抗値と同じ、或いは低くなった場合、脱ドープ処理の効果 が無しと判断した。
<めっき析出性(1)>
実施例と比較例で得られためっき物について、目視にてめっきの状態を観察した。
○:めっき下地層全体に、めっきが析出していた。
×:めっき下地層において、めっきが未析出の部分があった。
<ピンホール数>
実施例と比較例で得られためっき物について、マイクロスコープ ((株) キーエンス製)にて、得られためっき物に基材側から光を照射し、その透過光を検出し、自動面積計測機能により直径25μm以上のピンホールの単位面積当たりの個数をカウントし、以下基準にて評価した。ただし、比較例7〜10はめっき析出性(1)の評価が×であったため、測定していない。
○:ピンホール数が5個/cm未満であった。
×:ピンホール数が5個/cm以上であった。
<めっき析出性(2)>
触媒金属液に、脱ドープ処理液が持ち込まれた場合を想定し、その場合のめっき析出性を評価した。具体的には、触媒金属液(0.02wt%塩化パラジウム−0.01wt%塩酸水溶液)に、各実施例や各比較例で使用した脱ドープ処理液を1wt%、5wt%、10wt%、15wt%それぞれ添加した触媒金属液を作製し、その作製した触媒金属液を、各実施例と比較例における[工程3(又は3’)]の触媒金属液として使用し、[工程1(又は1’)]から[工程4(又は4’)]を経て得られた各めっき物について、目視にてめっきの状態を観察した。ただし、比較例7〜10はめっき析出性(1)の評価が×であったため、測定していない。

〔脱ドープ処理液を1wt%添加した場合〕
○:めっき下地層全体に、めっきが析出していた。
×:めっき下地層において、めっきが未析出の部分があった。

〔脱ドープ処理液を5,10、15wt%添加した場合〕
○:脱ドープ処理液の添加量が5、10、15wt%のいずれの場合も、めっき 下地層全体にめっきが析出した。
△:脱ドープ処理液の添加量が5、10wt%のいずれの場合も、めっき下地層全体 にめっきが析出したが、15wt%ではめっきが未析出の部分があった。
×:脱ドープ処理液の添加量が5、10wt%のいずれの場合も、めっき下地層にお いて、めっきが未析出の部分があった。
Figure 2020196947

Claims (2)

  1. 基材上に、導電性ポリピロール微粒子とバインダーを含む下地塗料を塗布してめっき下地層を形成する工程1、
    前記めっき下地層が形成された基材を中性の脱ドープ処理液で処理する工程2、
    前記脱ドープ処理された基材を、触媒金属を付着させるための触媒液に浸す工程3、
    前記触媒金属付着された基材を、金属を析出させるためのめっき液に浸す工程4からなるめっき物の製造方法であって、
    工程2の脱ドープ処理液として、下記の一般式1で表される化合物を含む水溶液を使用したことを特徴とするめっき物の製造方法。
    (式1)
    Figure 2020196947

    (式中、Rは、H、C2n+1、Cのいずれかを表す。)
  2. 前記一般式1で表される化合物において、
    Rは、C2n+1であり、
    2n+1におけるnが、1≦n≦12であることを特徴とする請求項1記載のめっき物の製造方法。
JP2020075790A 2019-05-31 2020-04-22 めっき物の製造方法 Pending JP2020196947A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019101882 2019-05-31
JP2019101882 2019-05-31

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2020196947A true JP2020196947A (ja) 2020-12-10

Family

ID=73647840

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020075790A Pending JP2020196947A (ja) 2019-05-31 2020-04-22 めっき物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2020196947A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6304512B2 (ja) ハイパーブランチポリマー及び金属微粒子を含む無電解めっき下地剤
JP5327429B2 (ja) めっき物の製造方法及びそれにより製造されるめっき物
JP6021804B2 (ja) ハイパーブランチポリマー、金属微粒子及び有機酸を含む無電解めっき下地剤
KR101479479B1 (ko) 투명 도전성 부재의 제조 방법
JP2008190026A (ja) めっき物及びその製造方法
JP6216646B2 (ja) 透明導電膜及びこれを用いるタッチパネル
JP2010031318A (ja) めっき物
JP2014072041A (ja) 透明導電膜の製造方法、透明導電膜およびデバイス素子
JP2010095776A (ja) パターン化されためっき物の製造方法及びそれに用いる下地塗料
JP5344191B2 (ja) 成形品のめっき物及びその製造方法
JP5071783B2 (ja) 透明性電磁波シールドフィルム
JP5780635B2 (ja) めっき物
JP2020196947A (ja) めっき物の製造方法
JP5294000B2 (ja) ポリオレフィン系樹脂又はポリアセタール系樹脂を基材とするめっき物
JP7093156B2 (ja) 透明導電膜
JP2015010268A (ja) パターン化された金属膜が形成されためっき物
JP7181141B2 (ja) 下地塗料およびめっき物の製造方法
JP6877129B2 (ja) 不織布めっき物
JP2016025036A (ja) 骨見えが十分に抑制された透明導電膜
JP2011208174A (ja) ポリカーボネイト樹脂を基材とするめっき物
JP5995662B2 (ja) パターン化されためっき物
JP5500090B2 (ja) 金属パターンの製造方法
JP2016216770A (ja) パターン状の金属めっき膜が形成されためっき品の製造方法
JP2009235501A (ja) スチレン系樹脂基材へのめっき下地塗料及びこれを用いて製造されるスチレン系樹脂基材のめっき物
JP2011062674A (ja) ポリマー層の形成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230405

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20231213

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20231214