JP2015010268A - パターン化された金属膜が形成されためっき物 - Google Patents
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Abstract
Description
特開2007−270179号公報(特許文献1)には、基材フィルム上に還元性ポリマー微粒子が分散された塗料をコーティングしてポリマー層を形成し、該ポリマー層にマスクパターンを介して紫外線を照射して紫外線が照射された部分の還元性ポリマーの共役鎖を切断することにより該部分の還元力を低下させておき、その後、無電解めっきにより紫外線が照射されなかった部分のみに金属膜を形成させることによる、パターン化された金属膜が形成されためっきフィルムの製造方法が開示されている。
また、特開2007−270180号公報(特許文献2)には、基材フィルム上に還元性ポリマー微粒子が分散された塗料をパターン印刷して、パターン化されたポリマー層を形成し、その後、該パターン化されたポリマー層を無電解めっきすることによる、パターン化された金属膜が形成されためっきフィルムの製造方法が開示されている。
しかし、上記の方法で製造されるめっきフィルムは、以下のような問題点を有することが分った。
(i)隣接するめっき線の間隔が100μm以下になると、めっき線と隣接するめっき線との間にめっきが析出する現象が発生しやすくなり、結果として、回路の短絡が生じやすくなる。
(ii)めっき線幅が100μm以下になると、ポリマー層と金属膜との接地面積が小さくなり、結果として、ポリマー層と金属膜との密着性の維持が困難となる。
従って、本発明は、上記の問題点を解消し得る、即ち、隣接するめっき線の間隔が100μm以下であっても回路が短絡することなく且つめっき線幅が100μm以下であっても金属膜の良好な密着性を維持し得る、パターン化された金属膜が形成されためっき物の提供を課題とする。
か又はマスク層に加えて塗膜層の一部を除去できる強度としてレーザー照射し、その後、該欠如部で露出した塗膜層を脱ドープして該層中に存在する導電性高分子微粒子を還元性高分子微粒子とし、続いて前記微粒子の還元性で触媒金属の還元・吸着を行ってめっき下地層とし、無電解めっき浴に浸漬することにより金属めっき膜を形成して、該金属めっき膜をめっき下地層(欠如部)の上面と結合するか又はめっき下地層(欠如部)の上面とめっき下地層(マスク層部分)の側面の一部と結合するようにして、パターン化された金属膜が形成されためっき物を製造すると、形成された金属めっき膜は、めっき下地層との間の密着性が向上して、例えば、金属めっき膜の幅が100μm以下(細線)になっても、めっき下地層との良好な密着性が維持でき、また、隣接する金属めっき膜と金属めっき膜との間には、マスク層が存在するため、金属めっき膜と金属めっき膜との間隔を、例えば、100μm以下にしても、金属めっき膜と金属めっき膜との間にめっきが析出し難くなり、結果として、回路の短絡が生じ難くなることを見出し、本発明を完成させた。
(1)パターン様の金属めっき膜がその周囲をマスク層に隣接して形成されているめっき物であって、
基材の表面上に形成されためっき下地層であって、還元性高分子微粒子を含む塗膜層上に、触媒金属をそのイオンの還元により吸着させることにより得られる触媒金属が吸着されためっき下地層と、
該めっき下地層の上に、前記パターン様の欠け部を形作るように形成されたマスク層と、該パターン様の欠如部に形成された金属めっき膜とを備え、そして、
前記パターン様の欠如部におけるめっき下地層の上面が、前記マスク層の下側におけるめっき下地層の上面と面一であるか、又は、前記マスク層の下側におけるめっき下地層の上面より下方に位置することを特徴とする、めっき物、
(2)前記金属めっき膜は、無電解めっき法により形成されたものである前記(1)記載のめっき物、
(3)前記導電性高分子微粒子は、導電性ポリピロール微粒子である前記(1)又は(2)記載のめっき物、
(4)前記マスク層におけるパターン様の欠如部は、レーザー照射により形成されたものである前記(1)ないし(3)の何れか1つに記載のめっき物、
レーザー照射によるマスク層の除去により露出するめっき下地層の表面は、レーザー照射により荒れる、即ち、微細な凹凸が形成されるため、結果として、この上に形成される金属膜との密着性が向上する。
本発明のめっき物は、パターン様の欠如部におけるめっき下地層の上面が、前記マスク層の下側におけるめっき下地層の上面と面一であるか、又は、前記マスク層の下側におけるめっき下地層の上面より下方に位置する。
上記の構成を採用することにより、形成される金属膜は、該膜の底面でめっき下地層と密着するだけでなく、マスク層により該膜の両側が挟持されることによる密着性の向上も加味され、また、パターン様の欠如部におけるめっき下地層の上面が、前記マスク層の下側におけるめっき下地層の上面より下方に位置する場合、形成される金属膜は、該膜の底面だけでなく側面の一部もめっき下地層と接するが、これにより、金属膜とめっき下地層が接する界面の面積が増えて更に密着性が向上する。
また、本発明の好ましい態様において、金属めっき膜の上面は、マスク層の上面より下方に位置する。
上記の構成を採用することにより、形成される金属めっき膜の表面は、マスク層からはみ出ることはないため、めっき太り、即ち、金属パターンが所望の線幅より線太りする現象を防止することができる。
本発明のパターン化された金属膜が形成されためっき物は、
パターン様の金属めっき膜がその周囲をマスク層に隣接して形成されているめっき物であって、
基材の表面上に形成されためっき下地層であって、還元性高分子微粒子を含む塗膜層上に、触媒金属をそのイオンの還元により吸着させることにより得られる触媒金属が吸着されためっき下地層と、
該めっき下地層の上に、前記パターン様の欠け部を形作るように形成されたマスク層と、該パターン様の欠如部に形成された金属めっき膜とを備え、そして、
前記パターン様の欠如部におけるめっき下地層の上面が、前記マスク層の下側におけるめっき下地層の上面と面一であるか、又は、前記マスク層の下側におけるめっき下地層の上面より下方に位置することを特徴とする。
また、基材の形状は特に限定されないが、例えば、板状、フィルム状が挙げられる。
他にも、基材として、例えば、射出成形などにより樹脂を成形した樹脂成形品が挙げられる。そして、この樹脂成形品に本発明のめっき物を設けることにより、例えば、自動車向けの装飾めっき品を作成することができたり、或いは、ポリイミド樹脂からなるフィルム上に本発明のめっき物をパターン状で設けることにより、例えば、電気回路品を作成することができる。
上記のように、導電性高分子微粒子を含む塗料を用いてめっき下地層を形成する上記(a)の場合は、無電解めっきを行う前に、該導電性高分子微粒子を脱ドープして還元性とする工程を行うが、還元性高分子微粒子を含む塗料を用いてめっき下地層を形成する上記(b)の場合は、このような工程を行う必要が無い。
先ず、上記(a)の、導電性高分子微粒子とバインダーを含む塗料を用いるめっき下地層の形成方法について説明する。
前記導電性高分子微粒子とバインダーを含む塗料における導電性高分子微粒子としては
、導電性を有するπ−共役二重結合を有する高分子であれば特に限定されないが、例えば、ポリアセチレン、ポリアセン、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン及びそれらの各種誘導体が挙げられ、好ましくは、ポリピロールが挙げられる。
導電性高分子微粒子は、π−共役二重結合を有するモノマーから合成して使用する事ができるが、市販で入手できる導電性高分子微粒子を使用することもできる。
使用するバインダー量は、導電性高分子微粒子1質量部に対して0.1質量部ないし10質量部である。バインダーが10質量部を超えると金属めっきが析出せず、バインダーが0.1質量部未満であると、基材への密着性が弱くなる。
上記溶媒としては、バインダーを溶解することができるものであれば特に限定されないが、基材を大きく溶解するものは好ましくない。但し、基材を大きく溶解する溶媒であっても、他の低溶解性の溶媒と混合することにより、溶解性を低下させて使用することが可能である。
上記溶媒としては、例えば、酢酸ブチル等の脂肪族エステル類、トルエン等の芳香族溶媒、メチルエチルケトン等のケトン類、シクロヘキサン等の環状飽和炭化水素類、n−オクタン等の鎖状飽和炭化水素類、メタノール、エタノール、n−オクタノール等の鎖状飽和アルコール類、安息香酸メチル等の芳香族エステル類、ジエチルエーテル等の脂肪族エーテル類及びこれらの混合物等が挙げられる。
尚、導電性高分子微粒子として、予め有機溶媒に分散された分散液を使用する場合は、分散液に使用されている有機溶媒を塗料の溶媒の一部又は全部として使用することができる。
上記塗料の塗布方法は、塗膜層を均一に形成し得る方法であれば特に限定されず、例えば、スプレー、スクリーン印刷機、グラビア印刷機、フレキソ印刷機、インクジェット印刷機、オフセット印刷機、ディッピング、スピンコーター、ロールコーター等を用いて、印刷またはコーティングすることができるが、凹凸を有する成形品に塗布する場合は、スプレー及びディッピングが好ましい。
乾燥条件も特に限定されず、室温、又は加熱条件下で行うことができる。
基材としてTgが低い樹脂基材を用いる場合の乾燥温度は、使用する樹脂基材のTgより5ないし15℃低い温度で行うことが好ましい。
基材の形状が、薄い塗膜層の採用が好ましいフィルム等である場合は、例えば、20nmないし500nmの厚さを採用することが考えられ、また、基材の形状が、塗膜層を均
一に形成することが困難となり易い樹脂成形品等である場合は、例えば、0.5μmないし100μmの厚さを採用することが考えられる。また、塗膜層の膜厚を厚くしても、例えば、100μmを超えても塗膜強度を維持することは可能であるものの、塗膜層を厚くし過ぎると、バインダーの種類や配合割合等によっては、塗膜強度が低下する場合があるため、塗膜層の厚さは100μm以下とするのが好ましい。
上記で形成される導電性高分子微粒子とバインダーを含む塗膜層は、後述する脱ドープ処理及び無電解めっき前に行われる触媒金属の還元・吸着を行うことにより、めっき下地層となる。
脱ドープ処理により、塗膜層中の導電性高分子微粒子は還元性高分子微粒子となるが、該還元性高分子微粒子は、触媒金属のイオンを還元し、還元された触媒金属は、塗膜層上に吸着され、これにより、触媒金属の還元・吸着が達成される。
還元性高分子微粒子とバインダーを含む塗料における還元性高分子微粒子としては、0.01S/cm未満の導電率を有するπ−共役二重結合を有する高分子であれば特に限定されないが、例えば、ポリアセチレン、ポリアセン、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン及びそれらの各種誘導体が挙げられ、好ましくは、ポリピロールが挙げられる。
また、還元性高分子微粒子としては、0.005S/cm以下の導電率を有する高分子微粒子が好ましい。
還元性高分子微粒子は、π−共役二重結合を有するモノマーから合成して使用する事ができるが、市販で入手できる還元性高分子微粒子を使用することもできる。
上記で形成された塗膜層に含まれる還元性高分子微粒子は、触媒金属のイオンを還元し、還元された触媒金属は、塗膜層上に吸着され、これにより、触媒金属の還元・吸着が達成されることになる。
マスク層の形成は、必要に応じて有機溶媒や所望による更なる成分を含む上記マスク層を構成する成分を、塗膜層上に塗布し、必要に応じて加熱等を行って乾燥させることにより、達成される。
ここで使用する有機溶媒は、塗膜層を溶解しない溶媒であれば特に限定されないが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等を挙げることができる。
上記塗料の塗布方法は、マスク層を均一に形成し得る方法であれば特に限定されず、例えば、スプレー、スクリーン印刷機、グラビア印刷機、フレキソ印刷機、インクジェット印刷機、オフセット印刷機、ディッピング、スピンコーター、ロールコーター等を用いて、印刷またはコーティングすることができる。
乾燥条件も特に限定されず、室温、又は加熱条件下で行うことができる。
基材としてTgが低い樹脂基材を用いる場合の乾燥温度は、使用する樹脂基材のTgより5ないし15℃低い温度で行うことが好ましい。
レーザー照射によるマスク層の除去により露出する塗膜層の表面は、レーザー照射により荒れる、即ち、微細な凹凸が形成されるため、結果として、この上に形成される金属膜との密着性が向上するという点において、レーザー照射を使用してパターン様の欠如部を形成するのが好ましい。
また、より緻密なパターンが形成できるという点においても、レーザー照射を使用してパターン様の欠如部を形成するのが好ましい。
特に、熱の影響が少ない可視光レーザー、紫外線レーザーを用いるのが好ましい。
上記のようなレーザー照射の強度を採用することにより、マスク層が欠如している部分における塗膜層の厚さは、マスク層が欠如していない部分における塗膜層の厚さと同じか又は薄くなることになる。
レーザー照射の強度として、マスク層に加えて塗膜層の一部を除去できる強度を採用するのがより好ましい。
上記のようなレーザー照射の強度を採用することにより、マスク層が欠如している部分における塗膜層の厚さは、マスク層が欠如していない部分における塗膜層の厚さよりも薄くなることになる。
上記の場合、その後のめっき工程で形成される金属膜は、該膜の底面だけでなく側面の一部もめっき下地層(塗膜層)と接することになるが、これにより、金属膜とめっき下地層(塗膜層)が接する界面の面積が増えて密着性が向上し、結果として、金属膜が細線となる場合でも密着性を確保することが容易になる。
また、マスク層の厚さは、めっき下地層(塗膜層)の厚みと同等若しくは薄い方が好ましい。特に、レーザー照射を使用してマスク層にパターン様の欠如部を形成する場合、マスク層の厚みがめっき下地層(塗膜層)よりも厚いと、レーザー照射の際、マスク層のみならず、めっき下地層(塗膜層)も全て除去され易くなるので、好ましくない。
そのため、例えば、20nmないし500nmの厚さのめっき下地層(塗膜層)を採用することが考えられるフィルム等のマスク層の厚さとしては、例えば、20nmないし500nmの厚さを採用することが考えられ、また、例えば、0.5μmないし100μmの厚さのめっき下地層(塗膜層)を採用することが考えられる樹脂成形品等のマスク層の厚さとしては、例えば、0.5μmないし100μmの厚さを採用することが考えられる。
ーン化された金属膜が形成されためっき物を製造することができ、該塗膜層が上記の(b)に従って形成された還元性高分子微粒子とバインダーを含む塗膜層である場合、後述する触媒金属の還元・吸着を行ってめっき下地層とし、該めっき下地層上に金属めっき膜を形成すれば、パターン化された金属膜が形成されためっき物を製造することができる。
特に、導電性高分子微粒子を含む塗膜層は薄くできるため、緩和な条件下で短時間のアルカリ処理により脱ドープを達成することが可能である。
例えば、1M 水酸化ナトリウム水溶液中で、20ないし50℃、好ましくは30ないし40℃の温度で、1ないし30分間、好ましくは3ないし10分間処理される。
上記脱ドープ処理により、塗膜層中の導電性高分子微粒子は、還元性高分子微粒子となる。
尚、塗膜層が、上記の(b)、即ち、基材の表面上に還元性高分子微粒子とバインダーを含む塗料を塗布し、必要に応じて加熱等を行って乾燥させることにより形成される場合、上記のような脱ドープ処理を行う必要はない。
触媒液は、無電解めっきに対する触媒活性を有する貴金属(触媒金属)を含む溶液であり、触媒金属としては、パラジウム、金、白金、ロジウム等が挙げられ、これら金属は単体でも化合物でもよく、触媒金属を含む安定性の点からパラジウム化合物が好ましく、その中でも塩化パラジウムが特に好ましい。
好ましい、具体的な触媒液としては、0.05%塩化パラジウム−0.005%塩酸水溶液(pH3)が挙げられる。
処理温度は、20ないし50℃、好ましくは30ないし40℃であり、処理時間は、0.1ないし20分、好ましくは、1ないし10分である。
上記の操作により、塗膜層中の還元性高分子微粒子は、容易に触媒金属のイオンに電子を供与して還元(例えば、Pd2+→Pd0)することになるが、それにより、高分子微粒子自身はカチオンとなり、結果的に導電性高分子微粒子となる。
即ち、無電解めっき浴に浸漬することによりめっき物を得ることができる。
めっき液としては、通常、無電解めっきに使用されるめっき液であれば、特に限定されない。
即ち、無電解めっきに使用できる金属、銅、金、銀、ニッケル等、全て適用することができるが、銅が好ましい。
無電解銅めっき浴の具体例としては、例えば、ATSアドカッパーIW浴(奥野製薬工業(株)社製)等が挙げられる。
処理温度は、20ないし50℃、好ましくは30ないし40℃であり、処理時間は、1
ないし30分、好ましくは、5ないし15分である。
得られためっき物は、使用した基材のTgより低い温度範囲において、数時間以上、例えば、2時間以上養生するのが好ましい。
上記の無電解めっきにより形成する金属めっき膜の厚さは、金属めっき膜の上面が、マスク層の上面より下方に位置するような厚さに調整しておくのが好ましい。
上記の構成を採用することにより、形成される金属めっき膜の表面は、マスク層からはみ出ることはないため、めっき太り、即ち、金属パターンが所望の線幅より線太りする現象を防止することができる。
尚、上記めっき物は、形成された無電解めっき膜上に、電解めっきにより、同一又は異なる金属を更にめっきすることもできる。
また、金属めっき膜は、基材の両面に形成されてもよい。
(1)還元性高分子微粒子の製造方法
還元性高分子微粒子は、有機溶媒と水とアニオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤とを混合撹拌してなるO/W型の乳化液中に、π−共役二重結合を有するモノマーを添加し、該モノマーを酸化重合することにより製造することができる。
疎水性末端を複数有するアニオン系界面活性剤の中でも、スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルナトリウム(疎水性末端4つ)、スルホコハク酸ジ−2−エチルオクチルナトリウム(疎水性末端4つ)および分岐鎖型アルキルベンゼンスルホン酸塩(疎水性末端2つ)が好適に使用できる。
1mol以上、0.8mol以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.2〜0.6molである。0.1mol未満ではモノマーの重合度が低下し、ポリマー微粒子を分液回収することが困難になり、一方、0.8mol以上では凝集してポリマー微粒子の粒径が大きくなり、分散安定性が悪化する。
(a)アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、有機溶媒および水を混合攪拌し乳化液を調製する工程、
(b)π−共役二重結合を有するモノマーを乳化液中に分散させる工程、
(c)モノマーを酸化重合させる工程、
(d)有機相を分液しポリマー微粒子を回収する工程。
ポリマー微粒子は球形の微粒子となるが、その平均粒径は、10〜100nmとするのが好ましい。
上記のように平均粒径の小さな微粒子にすることで、微粒子の表面積が極めて大きくなり、同一質量の微粒子でも、より多くの触媒金属を吸着できるようになり、それによりめっき下地層の薄膜化が可能となる。
得られたポリマー微粒子の導電率は0.01S/cm未満であり、好ましくは、0.005S/cm以下である。
使用する導電性高分子微粒子は、例えば、有機溶媒と水とアニオン系界面活性剤とを混合撹拌してなるO/W型の乳化液中に、π−共役二重結合を有するモノマーを添加し、該モノマーを酸化重合することにより製造することができる。
.15molである。0.05mol未満では収率や分散安定性が低下し、一方、0.2mol以上では得られた導電性高分子微粒子に導電性の湿度依存性が生じてしまう場合がある。
反応系中での酸化剤の量は、π−共役二重結合を有するモノマー1molに対して0.1mol以上、0.8mol以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.2〜0.6molである。0.1mol未満ではモノマーの重合度が低下し、導電性高分子微粒子を分液回収することが困難になり、一方、0.8mol以上では凝集して導電性高分子微粒子の粒径が大きくなり、分散安定性が悪化する。
(a)アニオン系界面活性剤、有機溶媒および水を混合攪拌し乳化液を調製する工程、
(b)π−共役二重結合を有するモノマーを乳化液中に分散させる工程、
(c)モノマーを酸化重合しアニオン系界面活性剤にポリマー微粒子を接触吸着させる工程、
(d)有機相を分液し導電性高分子微粒子を回収する工程。
ポリマー微粒子は球形の微粒子となるが、その平均粒径は、10〜100nmとするのが好ましい。
上記のように平均粒径の小さな微粒子にすることで、微粒子の表面積が極めて大きくなり、同一質量の微粒子でも、脱ドープ処理して還元性とした際に、より多くの触媒金属を吸着できるようになり、それによりめっき下地層の薄膜化が可能となる。
又は乾燥させて塗料の導電性高分子微粒子成分として使用することができる。
<導電性ポリピロール微粒子を含む塗料(塗料1)の調製>
アニオン性界面活性剤ペレックスOT−P(花王(株)社製)1.5mmol、トルエン50mL、イオン交換水100mLを加えて20℃に保持しつつ乳化するまで撹拌した。得られた乳化液にピロールモノマー21.2mmolを加え、1時間撹拌し、次いで過硫酸アンモニウム6mmolを加えて2時間重合反応を行った。反応終了後、有機相を回収し、イオン交換水で数回洗浄して、トルエンに分散した導電性能を有する導電性ポリピロール微粒子を得た。
ここで得られたトルエン分散液中の導電性ポリピロール微粒子の固形分は、約1.2%であったが、ここに、バインダーとしてスーパーベッカミンJ−820(DIC(株)社製)を導電性ポリピロール微粒子1質量部に対して1質量部加えて塗料1とした。
<塗膜層の形成>
基材として、PETフィルム コスモシャインA4100(東洋紡(株)社製)を用い、該基材上に、上記で調製した塗料1をコーティングして、加熱乾燥し、500nmの塗膜層が形成された軟質フィルムを得た。
<マスク層の形成>
塗膜層上に、アクリルラッカースプレー(二ッペホームプロダクツ(株)社製)を塗膜層が隠蔽するまで吹き付けた。その際の厚みは500nmであった。
<レーザー照射>
(株)キーエンス社製グリーンレーザーマーカ MD−S9910Aを用いて、目視にて塗膜層が残る程度にマスク層にレーザーを線幅50μm−線間100μm(L/S=50μm/100μm)で照射した。その際の膜厚を測定したところ、マスク層が除去された部分における塗膜層の厚みは100nmであった。
<無電解めっき>
上記で製造しためっき下地層及びマスク層が形成されたPETフィルムを、1M水酸化ナトリウム水溶液中に35℃で5分間浸漬して表面処理を行った。
次に、0.02%塩化パラジウム−0.01%塩酸水溶液中に35℃で5分間浸漬後、水道水で水洗した。
次に、該フィルムを無電解銅めっき浴 ATSアドカッパーIW浴(奥野製薬工業(株)社製)に浸漬して、35℃で10分間浸漬し銅めっきを施した。
尚、めっき厚みは300nmであった。
レーザー照射において、マスク層のみを除去した(即ち、マスク層が除去された部分における塗膜層の厚みが照射前と同じ500nmとなるようにレーザー照射した)以外は、実施例1と同様の操作を行うことにより、実施例2のめっき物を得た。
レーザー照射において、マスク層が除去された部分における塗膜層の厚みが50nmとなるようにレーザー照射した以外は、実施例1と同様の操作を行うことにより、実施例3のめっき物を得た。
塗膜層の形成直後の厚さを1000nmとし、マスク層が除去された部分における塗膜
層の厚みが100nmとなるようにレーザー照射した以外は、実施例1と同様の操作を行うことにより、実施例4のめっき物を得た。
無電解めっきにおいて、銅めっきの厚みを1000nmとした以外は、実施例1と同様の操作を行うことにより、実施例5のめっき物を得た。
レーザー照射において、マスク層を完全に除去せず、100nmの厚さでマスク層が残存するようレーザー照射した以外は、実施例1と同様の操作を行なったが、銅めっきは形成されなかった。
レーザー照射において、マスク層のみならずめっき下地層も完全に除去した以外は、実施例1と同様の操作を行なったが、銅めっきは形成されなかった。
基材として、PETフィルム コスモシャインA4100(東洋紡(株)社製)を用い、該基材上に、上記で調製した塗料1をスクリーン印刷機にて、L/S=50μm/100μmの細線パターンを印刷して、加熱乾燥し、500nmの塗膜層が形成された軟質フィルムを得た。
上記で製造した、パターン化された塗膜層が形成されたPETフィルムを、1M水酸化ナトリウム水溶液中に35℃で5分間浸漬して表面処理を行った。
次に、0.02%塩化パラジウム−0.01%塩酸水溶液中に35℃で5分間浸漬後、水道水で水洗した。
次に、該フィルムを無電解銅めっき浴 ATSアドカッパーIW浴(奥野製薬工業(株)社製)に浸漬して、35℃で10分間浸漬し銅めっきを施した。
尚、めっき厚みは300nmであった。
<導電性ポリピロール微粒子を含む塗料(塗料2)の調製>
アニオン性界面活性剤ペレックスOT−P(花王(株)社製)1.5mmol、トルエン50mL、イオン交換水100mLを加えて20℃に保持しつつ乳化するまで撹拌した。得られた乳化液にピロールモノマー21.2mmolを加え、1時間撹拌し、次いで過硫酸アンモニウム6mmolを加えて2時間重合反応を行った。反応終了後、有機相を回収し、イオン交換水で数回洗浄して、トルエンに分散した導電性能を有する導電性ポリピロール微粒子を得た。
ここで得られたトルエン分散液中の導電性ポリピロール微粒子の固形分は、約1.2%であったが、ここに、バインダーとしてアラスター700(荒川化学工業(株)社製、スチレンマレイン酸)を導電性ポリピロール微粒子1質量部に対して0.5質量部加えて塗料2とした。
<塗膜層の形成>
基材として、ポリカーボネート樹脂(PC)(カリバー(登録商標)301−22m 住友ダウ(株)社製)の成形品(10cm×10cm)を用い、該基材上に、上記で調製した塗料2を小型スプレーガンW−101−102P(アネスト岩田(株)社製、口径:1.0mm)を用いる吹き付け(空気圧力0.3MPa)で塗工し、加熱乾燥し、3μmの塗膜層が形成されたPC成形品を得た。
なお、形成された塗膜層の厚みは、エレクトロニックマイクロメーターK402B(アンリツ(株)社製)を用いて測定した。
<マスク層の形成>
塗膜層上に、アクリルラッカースプレー(二ッペホームプロダクツ(株)社製)をめっき下地層が隠蔽するまで吹き付けた。その際の厚みは3μmであった。
<レーザー照射>
(株)キーエンス社製グリーンレーザーマーカ MD−S9910Aを用いて、目視にて塗膜層が残る程度に塗膜層にレーザーを線幅50μm−線間100μmで照射した。その際の膜厚を測定したところ、マスク層が除去された部分における塗膜層の厚みは2μmであった。
<無電解めっき>
上記で製造した塗膜層及びマスク層が形成されたPC成形品を、1M水酸化ナトリウム水溶液中に35℃で5分間浸漬して表面処理を行った。
次に、0.02%塩化パラジウム−0.01%塩酸水溶液中に35℃で5分間浸漬後、水道水で水洗した。
次に、該成形品を無電解銅めっき浴 ATSアドカッパーIW浴(奥野製薬工業(株)社製)に浸漬して、35℃で10分間浸漬し銅めっきを施した。
尚、めっき厚みは300nmであった。
レーザー照射において、マスク層のみを除去した(即ち、マスク層が除去された部分における塗膜層の厚みが照射前と同じ3μmとなるようにレーザー照射した)以外は、実施例6と同様の操作を行うことにより、実施例7のめっき物を得た。
レーザー照射において、マスク層が除去された部分における塗膜層の厚みが1μmとなるようにレーザー照射した以外は、実施例6と同様の操作を行うことにより、実施例8のめっき物を得た。
塗膜層の形成直後の厚さを10μmとし、マスク層が除去された部分における塗膜層の厚みが2μmとなるようにレーザー照射した以外は、実施例6と同様の操作を行うことにより、実施例9のめっき物を得た。
無電解めっきにおいて、銅めっきの厚みを10μmとした以外は、実施例6と同様の操作を行うことにより、実施例10のめっき物を得た。
レーザー照射において、マスク層を完全に除去せず、2μmの厚さでマスク層が残存するようレーザー照射した以外は、実施例6と同様の操作を行なったが、銅めっきは形成されなかった。
レーザー照射において、マスク層のみならず塗膜層も完全に除去した以外は、実施例6と同様の操作を行なったが、銅めっきは形成されなかった。
上記で製造した実施例1ないし10及び比較例3のめっき物において、めっき析出、めっき密着、パターン外析出及びめっき太りの評価試験を行いその結果を表1に纏めた(比較例1、2、4及び5は、銅めっきが形成されなかったため以降の試験は行っていない。)。
尚、評価項目及びその評価方法・評価基準は以下の通りである。
<めっき析出>
評価方法:目視による評価
評価基準:以下の通り
◎:ムラ無く基材露出無し
○:ムラがあるが、基材露出無し
×:基材露出有り
<めっき密着>
評価方法:JIS C6471に基づいて、ピール強度の測定を行った。
評価基準:以下の通り
◎:ピール強度 1.0N/mm以上
○:ピール強度 0.7〜1.0N/mm
△:ピール強度 0.2〜0.7N/mm
×:ピール強度 0.2N/mm以下
<パターン外析出>
評価方法:目視による評価
評価基準:以下の通り
○:線間へのめっき析出あり
×:線間へのめっき析出なし
<めっき太り>
評価方法:実測
評価基準:以下の通り
◎:めっき下地層の線幅と実際に形成されためっきの線幅との差が10%以内
○:めっき下地層の線幅と実際に形成されためっきの線幅との差が10%〜50%
×:めっき下地層の線幅と実際に形成されためっきの線幅との差が50%以上
尚、表1中、「形成直後の層厚」は、めっき下地層及びマスク層を形成した後の各層(めっき下地層、マスク層)の厚さを意味し、「除去部分の層厚」は、レーザー照射によりマスク層が除去された部分における各層(めっき下地層、マスク層)の厚さを意味する。
比較例3のめっき物は、パターン印刷によりパターン化された塗膜層を形成し、該塗膜層上に無電解めっきすることにより、パターン化された金属膜を形成するという、従来の
方法により製造されためっき物に相当する。
そして、比較例3のめっき物は、めっき析出においては優れるものの、L/S=50μm/100μmにおけるめっき密着において多少劣り、パターン外析出を引き起こし、加えて、50%以上のめっき太りも引き起こした。
上記に対して、マスク層を有する、実施例1ないし10のめっき物は何れも、比較例3のめっき物に比して、L/S=50μm/100μmにおけるめっき密着が向上しており、パターン外析出を起さず、加えて、めっき太りも殆ど起さないものであった。
この中で、実施例2及び7のめっき物は、図1で示されるような、マスク層4が欠如している部分におけるめっき下地層3の厚さが、マスク層4が欠如していない部分におけるめっき下地層3の厚さと同じで、且つ、形成される金属めっき膜5の表面がマスク層4の表面よりも低い位置となるめっき物であるが、L/S=50μm/100μmにおけるめっき密着において、比較例3のめっき物よりも優れるものであることが判る。
特に、実施例1及び6のめっき物、即ち、図2で示されるような、マスク層4が欠如している部分におけるめっき下地層3の厚さが、マスク層4が欠如していない部分におけるめっき下地層3の厚さよりも薄くなり、且つ、形成される金属めっき膜5の表面がマスク層4の表面よりも低い位置となるめっき物は、めっき析出及びL/S=50μm/100μmにおけるめっき密着において、実施例2及び7のめっき物よりも更に優れていた。
また、実施例1及び6のめっき物よりもめっき下地層を厚く(2倍)した実施例4及び9のめっき物においても、実施例1及び6のめっき物と同様に、めっき析出及びL/S=50μm/100μmにおけるめっき密着において、実施例1及び6のめっき物と同等の優れた性能を示した。
また、実施例3及び8のめっき物は、図3で示されるような、実施例1及び6のめっき物よりも、更にマスク層4が欠如している部分におけるめっき下地層3の厚さを薄くしためっき物であるが、このようにすると、めっき析出において、実施例1及び6のめっき物よりも多少劣る傾向が見られた。
また、実施例5及び10のめっき物は、マスク層が欠如している部分におけるめっき下地層の厚さが、マスク層が欠如していない部分におけるめっき下地層の厚さよりも薄くなるものの、形成される金属めっき膜の表面がマスク層の表面よりも高い位置となる(即ち、金属めっき膜がマスク層の表面から突き出ている)めっき物であるが、このようにすると、めっき太りにおいて、実施例1及び6のめっき物よりも多少劣る傾向が見られた(10%〜50%程度のめっき太り)。
尚、マスク層が完全に除去されず、ある程度の厚さでマスク層が残存する比較例1及び4、並びに、マスク層のみならずめっき下地層も完全に除去された比較例2及び5は、何れも、銅めっき自体が形成されなかった。
2:基材
3:めっき下地層
4:マスク層
5:金属めっき膜
Claims (4)
- パターン様の金属めっき膜がその周囲をマスク層に隣接して形成されているめっき物であって、
基材の表面上に形成されためっき下地層であって、還元性高分子微粒子を含む塗膜層上に、触媒金属をそのイオンの還元により吸着させることにより得られる触媒金属が吸着されためっき下地層と、
該めっき下地層の上に、前記パターン様の欠け部を形作るように形成されたマスク層と、該パターン様の欠如部に形成された金属めっき膜とを備え、そして、
前記パターン様の欠如部におけるめっき下地層の上面が、前記マスク層の下側におけるめっき下地層の上面と面一であるか、又は、前記マスク層の下側におけるめっき下地層の上面より下方に位置することを特徴とする、めっき物。 - 前記金属めっき膜は、無電解めっき法により形成されたものである請求項1記載のめっき物。
- 前記導電性高分子微粒子は、導電性ポリピロール微粒子である請求項1又は2記載のめっき物。
- 前記マスク層におけるパターン様の欠如部は、レーザー照射により形成されたものである請求項1ないし3の何れか1項に記載のめっき物。
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