JP2009016496A - 透明性電磁波シールドフィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透明な基材フィルムと、該基材の表面上に導電性高分子微粒子とバインダーを含むパターン状に形成された塗膜層と、該塗膜層上に無電解めっき法により形成された金属めっき膜とを有してなるめっきフィルムであって、
A:前記バインダーは、前記導電性高分子微粒子1質量部に対して0.1ないし10質量部で存在すること、
B:前記塗膜層の厚さが20ないし500nmであること、並びに
C:金属めっき膜の厚さが、100乃至3000nmであることを特徴とする透明性電磁波シールドフィルム。
【選択図】なし
Description
特許文献1は、パラジウムコロイドのような貴金属超微粒子を無電解メッキ触媒として担持したアルミナゲルを含む印刷ペーストを作成し、これをインクとしてスクリーン印刷を行って透明基材上に所望のパターンの触媒層を形成し、該パターン化された触媒層上に無電解メッキを行うことによりパターン化された金属層を形成する方法を開示する。
特許文献2は、表面にインク受容層を有する基板上に、コロイド状の金属微粒子等の無電解メッキ触媒をインクジェット記録方式により噴射して所望形状のパターンを形成し、その後無電解メッキ法により前記パターン状に導電性金属を形成する方法を開示する。
更に、透明基材と触媒層の密着性を向上させるために、印刷ペーストにはバインダーが添加されるが、該バインダーの添加量を多くすると密着性は向上するものの、層表面に露出するアルミナゲルに担持されたパラジウムコロイドが少なくなり、無電解メッキにおいて金属が析出しにくくなり、逆に、該バインダーの添加量を少なくすると密着性が低下するという問題もあった。
しかし、特許文献2に記載の方法は、インクジェット記録方式により触媒層を形成する前に、基板上にインク受容層を作製するという工程を必要とし、また、該インク受容層の厚さは10μm程度であり、この上に触媒層、更にその上に無電解メッキによる金属層が形成されるという構造となるため、各層間での密着強度が問題となると考えられる(層間剥離の可能性)。また、インクジェット記録方式は、グラビア印刷、オフセット印刷等の他の汎用印刷方式に比して生産スピードがおよそ1/100以下程度と、その生産性が低いという問題があった。
(1)透明な基材フィルムと、該基材の表面上に導電性高分子微粒子とバインダーを含むパターン状に形成された塗膜層と、該塗膜層上に無電解めっき法により形成された金属めっき膜とを有してなるめっきフィルムであって、
A:前記バインダーは、前記導電性高分子微粒子1質量部に対して0.1ないし10質量部で存在すること、
B:前記塗膜層の厚さが20ないし500nmであること、並びに
C:金属めっき膜の厚さが、100乃至3000nmであることを特徴とする透明性電磁波シールドフィルム、
(2)前記導電性高分子微粒子がポリピロールである前記(1)記載の透明性電磁波シールドフィルム、
に関するものである。
還元して塗膜層上に吸着することができ、その結果、無電解めっき法による金属めっき膜が、この触媒金属が吸着された塗膜層上に形成できるものである。
従って、還元された触媒金属のコロイド又は該コロイドを担体に担持させたものを直接塗料成分として使用する特許文献1,2とは全く異なるものである。
そして、上記のように、還元性高分子微粒子を含む塗料を使用して塗膜層を形成するため、該塗膜層は、薄くすることが可能であり、そして、該塗膜層の厚さを20ないし500nmとすることにより、十分に金属めっき膜を形成することができ、且つ、金属めっき膜が基材フィルムに対する優れた密着性を示し、例えば、フィルムの曲げ、屈曲に対しても金属めっき膜(金属層)が基材フィルムから剥がれない透明性電磁波シールドフィルムとすることができる。
また、本発明の透明性電磁波シールドフィルムは、例えば、フィルム基材上に形成された還元性高分子微粒子を含む塗膜層上に、パラジウム等の触媒金属を還元・吸着させ、該パラジウム等の触媒金属が吸着された塗膜層上に金属めっき膜を形成することにより製造されるが、この際の、パラジウム等の触媒金属の還元及び高分子微粒子への吸着は、例えば、ポリピロールの場合、下図で示される状態になると考えられる。
高分子微粒子(ポリピロール)はイオン化される、即ち、パラジウムによりドーピングされた状態となり、結果として導電性を発現する。
このように導電性を発現した高分子微粒子(ポリピロール)の上層に金属めっき膜を形成することにより、より電磁波遮蔽性能が向上することが確認された。
これにより、本発明の透明性電磁波シールドフィルムは、著しく薄い金属めっき膜にお
いても高度の電磁波遮蔽性を得る事ができる。
本発明の透明性電磁波シールドフィルムは、
透明な基材フィルムと、該基材の表面上に導電性高分子微粒子とバインダーを含むパターン状に形成された塗膜層と、該塗膜層上に無電解めっき法により形成された金属めっき膜とを有してなるめっきフィルムであって、
A:前記バインダーは、前記導電性高分子微粒子1質量部に対して0.1ないし10質量部で存在し、
B:前記塗膜層の厚さが20ないし500nmであり、
C:金属めっき膜の厚さが、100乃至3000nmであることを特徴とする。
尚、上記の製造方法により、塗膜層中に存在する還元性高分子微粒子は、最終的に導電性高分子微粒子となる。
透明な基材としては、透明性を有する基材であれば、特に限定されるものではなく、例えば、ソーダ石灰ガラス、石英ガラス等の無機ガラス質、ポリエチレンテレフタレート、TAC、メタクリル樹脂、ポリカーボネート等の有機高分子のフィルム、シート等が挙げられる。
還元性高分子微粒子は、0.01S/cm未満の導電率を有する高分子微粒子であれば特に限定されるものではないが、例えば、還元性ポリアニリン、還元性ポリチオフェン及び還元性ポリピロール等が挙げられ、還元性ポリピロールが好ましい。
また、還元性高分子微粒子としては、0.005S/cm以下の導電率を有する高分子微粒子が好ましい。
脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミ
ン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂等が挙げられる。
使用するバインダー量は、還元性高分子微粒子1質量部に対して0.1質量部ないし10質量部である。バインダーが10質量部を超えると金属めっきが析出せず、バインダーが0.1質量部未満であると、基材への密着性が弱くなる。
性有機溶媒の何れの有機溶媒も使用し得る。
特に、低揮発性有機溶媒で粘度が30ないし1000cpsであるジヒドロターピネオール、ターピネオール等は、形成された塗膜層と基材フィルムとの密着強度を向上させやすいため好ましい。
上記増粘剤としては、有機溶媒との相溶性がよく、しかも、還元性高分子微粒子が有する触媒金属の吸着作用(還元作用)を阻害しないものであれば特に限定されるものではないが、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、ゴム等の高分子ポリマー等が好適に使用され得る。
具体的な方法としては、例えば、30ないし60℃の低い温度で長時間かけて乾燥したり、30ないし60℃の低い温度から徐々に温度を上げて乾燥したり、30ないし60℃の低い温度とこれより高い温度(例えば、100ないし130℃)の2段階、又はそれ以
上の異なった温度(例えば、30ないし60℃→65ないし90℃→100ないし130℃)で乾燥することにより達成することができる。
塗膜層の厚さが20nm未満であると金属めっきが析出せず、また、塗膜層の厚みが500nmを超えると、基材フィルムに対する密着性が悪くなり、フィルムの曲げ、屈曲に対して金属めっき膜(金属層)が追従せず、基材フィルムから剥がれ易くなる。
尚、塗膜層の厚さは、塗料における固形成分の含有量を調節することにより調節することができるが、例えば、グラビア印刷を採用する場合は、その版目の深さによって調節することができる。
即ち、前記基材を塩化パラジウム等の触媒金属を付着させるための触媒液に浸漬した後、水洗等を行い、無電解めっき浴に浸漬することによりめっき物を得ることができる。
好ましい、具体的な触媒液としては、0.02%塩化パラジウム−0.01%塩酸水溶液(pH3)が挙げられる。
処理温度は、20ないし50℃、好ましくは30ないし40℃であり、処理時間は、0.1ないし20分、好ましくは、1ないし10分である。
上記の操作により、塗膜層中の還元性高分子微粒子は、結果的に、導電性高分子微粒子となる。
めっき液としては、通常、無電解めっきに使用されるめっき液であれば、特に限定されない。
即ち、無電解めっきに使用できる金属、銅、金、銀、ニッケル、クロム等、全て適用することができるが、銅が好ましい。
無電解銅めっき浴の具体例としては、例えば、ATSアドカッパーIW浴(奥野製薬工業(株)社製)等が挙げられる。
処理温度は、20ないし50℃、好ましくは30ないし40℃であり、処理時間は、1ないし30分、好ましくは、5ないし15分である。
金属めっき膜の厚さが100nm未満では、電磁波シールド性が弱くなり、3000nmを超えるとフィルムの曲げ、屈曲に対して金属めっき膜(金属層)が追従せず、基材フィルムから剥がれ易くなる。
尚、金属めっき膜の厚さは、無電解めっき操作のめっき浴中における浸漬時間により容
易にコントロールすることができる。
本発明に使用する還元性高分子微粒子は、
1)有機溶媒と水とアニオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤とを混合撹拌してなるO/W型の乳化液中に、π−共役二重結合を有するモノマーを添加し、該モノマーを酸化重合することにより製造する方法、又は
2)水性媒体中に可溶化できる量のπ−共役二重結合を有するモノマー、アニオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤、および酸化剤を含む水性媒体において重合を開始し、そして、重合率が10〜60%となる時点で有機溶媒を該重合系に添加し更に重合を進行させることにより製造する方法等により達成することができる。
製法1)におけるπ−共役二重結合を有するモノマーとしては、還元性高分子微粒子を製造するために使用されるモノマーであれば特に限定されないが、例えば、ピロール、N−メチルピロール、N−エチルピロール、N−フェニルピロール、N−ナフチルピロール、N−メチル−3−メチルピロール、N−メチル−3−エチルピロール、N−フェニル−3−メチルピロール、N−フェニル−3−エチルピロール、3−メチルピロール、3−エチルピロール、3−n−ブチルピロール、3−メトキシピロール、3−エトキシピロール、3−n−プロポキシピロール、3−n−ブトキシピロール、3−フェニルピロール、3−トルイルピロール、3−ナフチルピロール、3−フェノキシピロール、3−メチルフェノキシピロール、3−アミノピロール、3−ジメチルアミノピロール、3−ジエチルアミノピロール、3−ジフェニルアミノピロール、3−メチルフェニルアミノピロール及び3−フェニルナフチルアミノピロール等のピロール誘導体、アニリン、o−クロロアニリン、m−クロロアニリン、p−クロロアニリン、o−メトキシアニリン、m−メトキシアニリン、p−メトキシアニリン、o−エトキシアニリン、m−エトキシアニリン、p−エトキシアニリン、o−メチルアニリン、m−メチルアニリン及びp−メチルアニリン等のアニリン誘導体、チオフェン、3−メチルチオフェン、3−n−ブチルチオフェン、3−n−ペンチルチオフェン、3−n−ヘキシルチオフェン、3−n−ヘプチルチオフェン、3−n−オクチルチオフェン、3−n−ノニルチオフェン、3−n−デシルチオフェン、3−n−ウンデシルチオフェン、3−n−ドデシルチオフェン、3−メトキシチオフェン、3−ナフトキシチオフェン及び3,4−エチレンジオキシチオフェン等のチオフェン誘導体が挙げられ、好ましくは、ピロール、アニリン、チオフェン及び3,4−エチレンジオキシチオフェン等が挙げられ、より好ましくはピロールが挙げられる。
特にポリピロールは、黒色であるため、フィルムの反射率を低下させて透視率を損なわないようにするために、塗料に別途黒色顔料、染料等を加える必要が無いという点でも好ましい。
疎水性末端を複数有するアニオン系界面活性剤の中でも、スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルナトリウム(疎水性末端4つ)、スルホコハク酸ジ−2−エチルオクチルナトリウム(疎水性末端4つ)および分岐鎖型アルキルベンゼンスルホン酸塩(疎水性末端2つ)が好適に使用できる。
〜0.03molである。0.05mol以上では添加したアニオン性界面活性剤がドーパントとして作用し、得られる微粒子は導電性を発現するため、これを用いて無電解めっきを行うためには脱ドープの工程が必要となる。
(a)アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、有機溶媒および水を混合攪拌し乳化液を調製する工程、
(b)π−共役二重結合を有するモノマーを乳化液中に分散させる工程、
(c)モノマーを酸化重合させる工程、
(d)有機相を分液しポリマー微粒子を回収する工程。
の調製時に行う混合攪拌は、特に限定されないが、例えばマグネットスターラー、攪拌機、ホモジナイザー等を適宜選択して行うことができる。また重合温度は0〜25℃で、好ましくは20℃以下である。重合温度が25℃を越えると副反応が起こるので好ましくない。
製法2)は、水性媒体中に可溶化できる量のπ−共役二重結合を有するモノマー、アニオン系界面活性剤およびノニオン系界面活性剤、および酸化剤を含む水性媒体において重合を開始し、そして、重合率が10〜60%となる時点で有機溶媒を該重合系に添加し更に重合を進行させ、その後、層分離された2層のうちの有機溶媒層を回収することにより達成される。
特にポリピロールは、黒色であるため、フィルムの反射率を低下させて透視率を損なわないようにするために、塗料に別途黒色顔料、染料等を加える必要が無いという点でも好
ましい。
水性媒体中に可溶化できない量のπ−共役二重結合を有するモノマー(飽和濃度以上のπ−共役二重結合を有するモノマー)が添加されると、重合開始直後から塊状のポリマーが生成され、目的とする微粒子は得られない。また、π−共役二重結合を有するモノマーが1g/L以下では、重合反応が極めて遅くなり、所望する微粒子を得るまでの時間が長時間となることからあまり好ましくない。
疎水性末端を複数有するアニオン系界面活性剤の中でも、スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルナトリウム(疎水性末端4つ)、スルホコハク酸ジ−2−エチルオクチルナトリウム(疎水性末端4つ)および分岐鎖型アルキルベンゼンスルホン酸塩(疎水性末端2つ)が好適に使用できる。
また、上記のアニオン界面活性剤は単独又は2種以上の混合物として使用することができる。
使用する水性媒体の量は、使用するπ−共役二重結合を有するモノマーが可溶化できる量、即ち、前記で定義されたように、π−共役二重結合を有するモノマーの濃度が80g/L以下となる量であって、特に好ましくは、20g/Lないし1g/Lとなる量である。
尚、重合率は、ガスクロマトグラフィーを用いて残存モノマーを測定し、当初の添加モノマー量と残存モノマー量の比から容易に算出することができる。
即ち、ポリマーの粒径をあまり大きくせず、また、ポリマー粒子の凝集を起こさないためには、反応系中の残存モノマー(未反応のモノマー)量が、当初に添加したモノマー量の40〜90%が残存する時点で有機溶媒を添加することが重要であるといえる。
また、同様に、有機溶媒を添加する時点において水性媒体中に分散している微粒子の大きさも極めて重要である。水性媒体中におけるポリマーの重合率(%)とその際得られるポリマーの平均粒子径(nm)は相関し、ポリマーの重合率がある一定値を超えるとポリマーの平均粒子径が急激に大きくなり、例えば、ポリマーの平均粒子径が100nmを超えた時点で有機溶媒を添加しても、有機溶媒へ移行するポリマー粒子の大きさは結果的に数百nm以上の大きな粒子となりやすく、また、分散安定性も悪いものとなりやすい。
従って、有機溶媒の添加は、ポリマーの粒子径が100nm以下の時点で行うのが好ましい。
尚、ポリマーの平均粒子径は、レーザードップラー法により容易に測定することができる。
有機溶媒の使用量は、重合反応に使用する水の量に対して体積比で5ないし40%(v/v)が好ましく、特に好ましくは、10ないし25%(v/v)である。
5%(v/v)未満では、粒子密度が高くなるため分散性が悪くなり、結果として凝集が起こる。40%(v/v)を超える場合は相対的に粒子密度が低くなるため、粒子間の反発力が小さくなり、分散を保てなくなる。
(a)アニオン界面活性剤およびノニオン界面活性剤並びにπ−共役二重結合を有するモノマーを水に加えて混合攪拌する工程、
(b)酸化剤を加えて酸化重合を開始する工程、
(c)重合率が10〜60%となる時点で有機溶媒を添加する工程、
(d)混合攪拌して更に重合反応を進行させる工程、
(e)有機相を分液し有機溶媒層にナノ分散した還元性高分子微粒子を回収する工程。
製造例1:還元性ポリピロール微粒子を含む低揮発性で高粘度の塗料(塗料1〜6)の調製
ポリオキシエチレンアルキルエーテル系ノニオン界面活性剤(エマルゲン409P/花王株式会社製)2.1mmolをイオン交換水100mLに溶解し、次いでピロールモノマー21.2mmolを加え30分撹拌し、次いで0.12M過硫酸アンモニウム水溶液50mL(6mmol相当)を加え、20℃で1時間反応を行った。(重合率52%、平均粒子径86nm)次いで、ジヒドロターピネオール25mLを添加し、4時間攪拌した。攪拌終了後、有機相を回収し、イオン交換水で数回洗浄してジヒドロターピネオールに分散した還元性能を有する還元性ポリピロール微粒子分散液を得た。
上記で得られたジヒドロターピネオール分散液中の還元性ポリピロール微粒子の固形分は、約1.3%であったが、ここに、バインダーA、Bを種々の質量部で加えて表1に示す還元性ポリピロール微粒子を含む塗料を調製した。
ここで、表1中のバインダーA、Bは以下のものを意味し、また、バインダーの使用量は、還元性ポリピロール微粒子1質量部に対する使用したバインダーの質量部数を示す。A:スーパーベッカミンJ-820:メラミン系(大日本インキ化学工業(株)社製)
B:バイロン240:ポリエステル系(東洋紡績(株)社製)
製造例1において、後から加えるジヒドロターピネオールをトルエンに変更した以外は同様にして合成した。得られたトルエン分散液中の還元性ポリピロール微粒子の固形分は、約1.2%であったが、ここに、還元性ポリピロール微粒子1質量部に対して1質量部のバインダーAと増粘剤であるアクリル系のポリマー(ハイパールM−4003/根上工業(株)社製)1質量部を添加して塗料7を調製した。
基材として軟質フィルムC,Dを用い、該基材上に上記で調製した塗料1ないし7を、グラビア校正機(K303マルチコーター、松尾産業社製)を用いて、格子状にL/S=100/500μm、開口率70%になる様に印刷を施し、その後、120℃の乾燥オーブン中に10分間入れて乾燥し、表2に示す乾燥膜厚の塗膜層1ないし12を得た。尚、塗膜の膜厚は、グラビア版目の異なった深さ・形状により塗工量を増減して調整した。
尚、表中の軟質フィルムC,Dは以下のものを意味する。
C:樹脂 PET、商品名 コスモシャインA4100、東洋紡績(株)社製
D:樹脂 PP、商品名 OP U−0、東セロ(株)社製
上記で製造した塗膜層が形成されたフィルム(塗膜1ないし12)を、0.02%塩化パラジウム−0.01%塩酸水溶液中に35℃で7分間浸漬後、水道水で水洗した。次に、該フィルムを無電解銅めっき浴 ATSアドカッパーIW浴(奥野製薬工業(株)社製)に浸漬して、35℃で表3に示す時間浸漬して銅めっきを施した。
尚、実施例5及び比較例4については、無電解めっきによって、1000nm厚のめっき膜を得た後、その上に更に、電解めっきを行って、それぞれ3000nm及び4000nm厚のめっき膜とした。電解めっきの方法は、無電解めっきを施したフィルムを、硫酸銅0.4mol/L、硫酸2mol/L、塩化ナトリウム1.5mmol/Lを含有する銅めっき浴に浸漬し、温度25℃、電流密度2A/dm2にて表3に示す時間通電して上
記膜厚とした。
軟質フィルムCに前処理としてOPC−1050コンディショナー(奥野製薬工業(株)社製)に60℃で5分間浸漬した後水道水で水洗し、次に、ATSプリコンディションPIW−1(奥野製薬工業(株)社製)に45℃で2分間浸漬した後水道水で水洗し、次にATSコンディクリンCIW−2浴(奥野製薬工業(株)社製)に60℃で5分間浸漬した後水道水で水洗し、次にプリディップ液として、OPC−SALM浴(奥野製薬工業(株)社製)に20℃で2分間浸漬した後水道水で水洗し、次に、キャタリスト液として、OPC−80キャタリスト浴(奥野製薬工業(株)社製)に25℃で6分間浸漬した後水道水で水洗し、次に活性化剤として、OPC−500アクセレーターMX浴(奥野製薬工業(株)社製)に35℃で5分間浸漬した後水道水で水洗し、次に無電解銅めっき浴ATSアドカッパーIW浴(奥野製薬工業(株)社製)に35℃で10分間浸漬し、銅めっきを施すことにより、フィルム上に金属めっきを膜を形成させた。この膜に、ドライフィルムレジストをラミネートし、露光、現像、エッチング工程を経て格子状にL/S=10
0/500μm、開口率70%にパターニングを行った。
このフィルムを比較例7とした。
上記で製造した実施例1ないし10及び比較例1ないし7のフィルムにおいて、各種の評価試験を行いその結果を表3に纏めた。
尚、評価試験項目及びその評価方法・評価基準は以下の通りである。
<めっき外観>
めっき部の状態をマイクロスコープ(D3−3N、マイクロスクェア社製)で観察した結果を下記の評価基準で示した。
○:細線部に、完全にめっきが施されている
△:細線部の一部にめっきが施されていないか又は脱落している
×:細線部の半分以上にめっきが施されていないか又は脱落している。
<電磁波シールド性評価>
KEC法にて10MHz〜1GHzの周波数帯域で測定した結果の平均値を電磁波シールド性の値として示した。
<めっきフィルムの耐久試験方法>
得られた透明電磁波シールドフィルムを縦200mm、横100mmに切断して試験試料とした。次に、軸径が10mmφで長さ300mmのステンレス製の円筒軸を用意し、これに試験試料の縦方向を合わせて、めっき部が外側になる様に巻き付け、次にめっき部が内側になる様に巻き付ける。この操作を1セットとして、10セット繰り返した。この操作の後、日東電工(株)社製の粘着テープ(セロハンテープ No.29)を貼り付けた後にこれを剥がす操作を3回繰り返した後の、めっき部の電磁波シールド性を測定すると同時に、マイクロスコープ(D3−3N、マイクロスクェア社製)で観察した。
Claims (2)
- 透明な基材フィルムと、該基材の表面上に導電性高分子微粒子とバインダーを含むパターン状に形成された塗膜層と、該塗膜層上に無電解めっき法により形成された金属めっき膜とを有してなるめっきフィルムであって、
A:前記バインダーは、前記導電性高分子微粒子1質量部に対して0.1ないし10質量部で存在すること、
B:前記塗膜層の厚さが20ないし500nmであること、並びに
C:金属めっき膜の厚さが、100乃至3000nmであることを特徴とする透明性電磁波シールドフィルム。 - 前記導電性高分子微粒子がポリピロールである請求項1記載の透明性電磁波シールドフィルム。
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