JP2018085830A - 整流子、整流子の製造方法及び回転電機 - Google Patents

整流子、整流子の製造方法及び回転電機 Download PDF

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孝司 兵藤
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Abstract

【課題】セグメントの長手方向中間部に中爪が形成された構成において、ヒュージング加工時におけるセグメントの破損を防止又は効果的に抑制する。【解決手段】整流子22では、セグメント本体部50における絶縁体40側の面に凹部58が形成されている。この凹部58は、セグメント本体部50の一部が切起されて中爪56が形成される際にセグメント本体部50に形成される。この凹部58の内側でセグメント本体部50には、絶縁体40側へ突出した凸部60が設けられている。この凸部60は、結線爪52に対して絶縁体40の径方向に並んでいる。このため、セグメント本体部50は、結線爪52との間に巻線26を挟んだ状態でヒュージング加工が施される部位が、上記の凸部60によって増肉された厚肉部62とされている。【選択図】図3

Description

本発明は、整流子、整流子の製造方法、及び整流子を備えた回転電機に関する。
下記特許文献1には、直流モータの整流子が記載されている。この整流子は、略円筒形状の絶縁体と、その絶縁体の外周に複数配置された整流子片(セグメント)とを備えている。セグメントは、絶縁体の軸線方向を長手とする長尺状に形成されている。このセグメントの長手方向一端部には、結線爪が形成されている。この結線爪は、セグメントの外周面側(絶縁体とは反対側)へ折り曲げられている。この結線爪とセグメントの外周面との間には、コアから延びる巻線が挟み込まれ、ヒュージング加工によって巻線とセグメントとが導通される。
また、セグメントの内周面(絶縁体側の面)には、セグメントの長手方向両端から長手方向中央部側へと切り起こされ、同中央部側へ折り曲げられた一対の中爪が形成されている。これらの中爪は、セグメントと絶縁体とがモールド成形により一体成形されることで絶縁体の内部に埋設される。これらの中爪がセグメントの長手方向中間部に形成されることにより、セグメントが絶縁体に安定して保持される。その結果、絶縁体からのセグメントの剥落が良好に防止されると共に、隣り合うセグメント間に段差が生じることが抑制される。
特開2003−180053号公報
上記のような整流子の製造過程では、例えば図8に示されるように、銅製のリングである銅リング100が下ダイ102、ワークホルダ104及び図示しない上ダイによって支持された状態で、当該銅リング100の内側にパンチ106が挿入され、当該パンチ106によって複数の中爪108が切起される。上記の銅リング100(円筒素材)は、例えばプレスにより打抜かれた銅板が略円筒形状に丸められて形成されたものである(図9参照)。この銅リング100の軸線方向一端部には、上記のプレスによって形成された複数の結線爪110が設けられている。なお、図8、図9及び図11では、上記複数の中爪108と対をなす別の複数の中爪112が銅リング100の軸線方向他端部に形成された例を示している。
上記のパンチ106は、図10A及び図10Bに示されるように円柱状に形成されている。このパンチ106の軸線方向一端部(下端部)の外周部には、複数の刃106Aが形成されている。図10Cに示されるように、複数の刃106Aの刃先106A1は、パンチ106の外周に位置しており、パンチ106の半径R1を曲率半径とする円弧状に形成されている。このパンチ106が銅リング100の内側に挿入されることにより、上記複数の刃106Aによって銅リング100の内周部の一部が削られて切起される。これにより、上記複数の中爪108が銅リング100の内周部に形成される。その後、図示しない別のパンチが銅リング100の内側に挿入され、切起こされた複数の中爪108が銅リング100の軸線方向中央部側へ折り曲げられる。複数の中爪108が形成された銅リング100は、図11に示されるように、モールド成形によって絶縁体114と一体成形される。その後、銅リング100が機械加工によって等間隔毎にすり割りされ、複数のセグメント116(図12及び図13参照)に分割される。
上記のようにして製造された整流子120(図12参照)は、絶縁体114の内側にモータシャフト122(図14参照)が圧入され、当該モータシャフト122に取り付けられた図示しないコアと一体化される。その後、図14に示されるように、コアに巻装された巻線124の端末部124Aがセグメント116の外周面と結線爪110との間に挟み込まれ、ヒュージング加工が施される。このヒュージング加工では、ヒュージング装置の主電極126及び副電極128がセグメント116に押し当てられ、主電極126から副電極128へと電流Aが流される。
ここで、上記のセグメント116では、前述したように銅リング100の内周部の一部が削り取られて中爪108が形成されるため、上記の一部が削り取られた部位には凹部117(図12〜図14参照)が形成される。このため、このセグメント116では、凹部117に対して絶縁体114の径方向外側に隣接した部位が薄肉部118とされる。この薄肉部118においては、図12に示されるように、元の銅板の板厚T1よりもセグメント116の肉厚T2が薄くなる。この薄肉部118は、結線爪110と共に巻線124の端末部124Aを挟み込む部位であり、上記のヒュージング加工が施される部位である。このため、主電極126の押圧力によって薄肉部118が変形する場合(図15参照)や、当該薄肉部118の断面積の減少によって電流密度が増加することにより、セグメント116が薄肉部118において破断(スパーク)する場合(図16参照)がある。
本発明は上記事実を考慮し、セグメントの長手方向中間部に中爪が形成された構成において、ヒュージング加工時におけるセグメントの破損を防止又は効果的に抑制できる整流子、該整流子の製造方法及び該整流子を備えた回転電機を得ることを目的とする。
請求項1に記載の整流子は、略円筒形状の絶縁体の外周に複数のセグメントが配置された整流子であって、前記セグメントは、長手方向が前記絶縁体の軸線方向に沿い且つ幅方向が前記絶縁体の周方向に沿ったセグメント本体部と、前記セグメント本体部における長手方向一端部で且つ幅方向中間部から延出され、前記セグメント本体部に対して前記絶縁体の径方向外側から対向した結線爪と、前記セグメント本体部における長手方向中間部で且つ幅方向中間部において、前記セグメント本体部における前記絶縁体側の面から延出され、前記絶縁体に埋設された中爪と、前記中爪の基端部に対して前記長手方向一端部側に隣接して前記絶縁体側の面に形成され、前記絶縁体の径方向外側へ凹んだ凹部と、前記凹部の内側で前記セグメント本体部に設けられ、前記絶縁体側へ突出すると共に、前記結線爪に対して前記絶縁体の径方向に並んだ凸部と、を備えている。
上記構成の整流子では、略円筒形状の絶縁体の外周に複数のセグメントが配置されている。上記のセグメントは、長手方向が絶縁体の軸線方向に沿い且つ幅方向が絶縁体の周方向に沿ったセグメント本体部を備えている。セグメント本体部における長手方向一端部で且つ幅方向中間部からは、結線爪が延出されている。この結線爪は、セグメント本体部に対して絶縁体の径方向外側から対向している。また、セグメント本体部における長手方向中間部で且つ幅方向中間部において、セグメント本体部における絶縁体側の面からは、中爪が延出されている。この中爪は、絶縁体に埋設されている。
さらに、セグメント本体部における絶縁体側の面には、絶縁体の径方向外側へ凹んだ凹部が形成されている。この凹部は、中爪の基端部に対してセグメント本体部の長手方向一端部側に隣接している。この凹部は、例えばセグメント本体部における長手方向一端部側で且つ絶縁体側の一部が切起されて上記の中爪が形成される際にセグメント本体部に形成される。この凹部の内側においてセグメント本体部には、絶縁体側へ突出した凸部が設けられている。この凸部は、結線爪に対して絶縁体の径方向に並んでいる。このため、セグメント本体部は、結線爪に対して絶縁体の径方向に並んだ部位、すなわち結線爪との間に巻線を挟んだ状態でヒュージング加工が施される部位が、上記の凸部によって増肉されている。これにより、ヒュージング加工時におけるセグメントの破損を防止又は効果的に抑制できる。
請求項2に記載の整流子は、請求項1において、本発明に係る整流子では、前記凸部は、前記セグメント本体部の幅方向において、前記凹部の中央部に設けられている。
上記構成の整流子によれば、セグメントの凹部内に設けられた凸部が、セグメント本体部の幅方向において、上記凹部の中央部に設けられている。上記凹部は、前述したように、例えばセグメント本体部における長手方向一端部側で且つ絶縁体側の一部が切起されて中爪が形成される際にセグメント本体部に形成される。このようにして形成される中爪は、上記幅方向の両端部が上記幅方向の中央部に比して厚肉となる。これにより、中爪の強度を上記幅方向においてバランス良くすることができる。
請求項3に記載の整流子は、請求項1又は請求項2において、前記凹部は、前記セグメント本体部の長手方向一端面と前記中爪の基端部との間にわたって形成されている。
上記構成の整流子によれば、セグメント本体部の長手方向一端側で且つ絶縁体側の一部を、セグメント本体部の長手方向一端面から長手方向中央部側へ切起こすことにより、前述した中爪及び凹部を形成することができる。また、この切起しに用いる刃(例えば、「発明が解決しようとする課題」の欄で説明したパンチ106の刃106A)に凹みを形成するだけで、前述した凸部を形成することができる。よって、この整流子は、「発明が解決しようとする課題」の欄で説明した製造工程を変更することなく、単にパンチの刃の形状を変更するだけで製造することができる。
請求項4に記載の整流子は、請求項1〜請求項3の何れか1項において、前記凸部における前記絶縁体側の面は、前記絶縁体の軸線方向視で前記絶縁体側へ凸をなして湾曲している。
上記構成の整流子によれば、セグメントの凹部の内側に設けられた凸部は、絶縁体側の面が絶縁体の軸線方向視で絶縁体側へ凸をなして湾曲している。これにより、例えば、凸部における絶縁体側の面に応力集中が生じ難くなる。
請求項5に係る整流子の製造方法は、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載された整流子の製造方法であって、円筒形状をなし、導電性を有すると共に、軸線方向一端部に周方向に並んで複数の前記結線爪が形成された円筒素材を製造する円筒製造工程と、外周部に複数の刃が形成されたパンチを前記円筒素材の軸線方向一端側から前記円筒素材の内側に挿入し、前記円筒素材の内周部の複数箇所を切起し、複数の前記中爪、複数の前記凹部及び複数の前記凸部を前記円筒素材の内周部に形成する中爪形成工程と、前記中爪形成工程後の前記円筒素材の内側に前記絶縁体を一体成形するモールド成形工程と、前記モールド成形工程後の前記円筒素材を周方向の複数箇所で軸線方向にすり割りし、複数の前記セグメントに分割するセグメント分割工程と、を有している。
上記構成の整流子の製造方法によれば、先ず円筒製造工程において円筒素材が製造される。この円筒素材は、円筒形状をなし、導電性を有すると共に、軸線方向一端部に周方向に並んで複数の結線爪が形成されたものである。次いで、中爪形成工程では、外周部に複数の刃が形成されたパンチが円筒素材の軸線方向一端側から円筒素材の内側に挿入され、円筒素材の内周部の複数箇所が切起される。これにより、前述した中爪、凹部及び凸部が円筒素材の内周部に複数形成される。次いで、モールド成形工程では、中爪形成工程後の円筒素材の内側に絶縁体が一体成形される。次いで、セグメント分割工程では、モールド成形工程後の円筒素材が周方向の複数箇所で軸線方向にすり割りされ、複数のセグメントに分割される。これにより、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の整流子を製造することができるので、前述した作用効果が得られる。
請求項6に記載の回転電機は、ヨーク及びマグネットを有する固定子と、巻線が巻装されたコア、及び、前記巻線の端末部が前記結線爪を用いて前記セグメントに結線された請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の整流子を有すると共に、前記コア及び前記整流子が固定された回転軸を有し、前記ヨーク内に収容された電機子と、を備えている。
上記構成の回転電機によれば、電機子が有する整流子が、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の整流子とされているので、前述した作用効果が得られる。
本発明の実施形態に係る回転電機の構成を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る整流子及び回転軸の構成を示す部分断面図である。 同整流子が備えるセグメントの部分的な構成を示す斜視図である。 図3のF4−F4線に沿った切断面を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る中爪形成用のパンチを示す断面図であり、図5BのF5A−F5Aに沿った切断面を示す図である。 図5Aに示されるパンチを示す下面図である。 図5Bに示される領域Eを拡大して示す拡大図である。 円筒素材としての銅リングの構成を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係るセグメントに対するヒュージング加工時の状況を示す断面図である。 従来の整流子の製造方法において、銅リングに中爪を形成する工程を説明するための断面図である。 図8に示される中爪形成工程後の銅リングを示す斜視図である。 従来の中爪形成用のパンチを示す断面図であり、図10BのF10A−F10Aに沿った切断面を示す図である。 図10Aに示されるパンチを示す下面図である。 図10Bに示される領域Eを拡大して示す拡大図である。 図8に示される中爪形成工程後の銅リングに対して絶縁体が一体成形された成形品の断面図である。 図11のF12−F12線に沿った切断面を拡大して示す拡大断面図であり、結線爪がセグメントの表面側へ折り曲げられた状態の図である。 図12に示される従来のセグメントの部分的な構成を示す斜視図である。 従来のセグメントに対するヒュージング加工時の状況を示す断面図である。 従来のセグメントの薄肉部がヒュージング加工によって変形した状態を示す図14の一部に対応した断面図である。 従来のセグメントの薄肉部がヒュージング加工によって破断した状態を示す図14の一部に対応した断面図である。
以下、図1〜図7を用いて、本発明の実施形態に係る整流子22、整流子22の製造方法及び整流子22を備えた回転電機Mについて説明する。先ず、回転電機Mの全体構成の概略について説明し、その後に整流子22の構成、及び整流子22の製造方法について説明する。
(回転電機Mの全体構成)
図1に示されるように、本実施形態に係る回転電機Mは、ブラシ付き直流モータであり、電機子10、固定子12、フロントハウジング14、エンドハウジング16、及びブラシ装置18を備えている。電機子10は、回転軸20、整流子22、コア24、及び巻線26を有している。回転軸20は、フロントハウジング14及びエンドハウジング16に設けられた一対の軸受28により回転可能に支持されており、整流子22及びコア24は、回転軸20に固定されている。巻線26は、コア24に巻装されており、この巻線26の端末部26A(図7参照)は、整流子22に接続されている。なお、図1では巻線26を概略的に記載している。
固定子12は、ヨーク30及びマグネット32を有している。ヨーク30は、円筒状に形成されており、このヨーク30の内側には、電機子10が収容されている。マグネット32は、ヨーク30の内周面に例えば接着等により固定されており、電機子10と径方向に対向されている。
フロントハウジング14は、ヨーク30の軸線方向一端部に固定されており、エンドハウジング16は、ヨーク30の軸線方向他端部に固定されている。フロントハウジング14には、ブラシ装置18が固定されており、このブラシ装置18には、整流子22と当接されたブラシ34が設けられている。
上記構成の回転電機Mでは、ブラシ34に電流が供給されると、当該電流が整流子22を介して巻線26に流れる。これにより、巻線26に流れる電流と、マグネット32の磁界との間に電磁力が働き、電機子10が回転される。
(整流子22の構成)
図2に示されるように、整流子22は、略円筒形状に形成された絶縁体40と、当該絶縁体40の外周に配置された複数のセグメント(整流子片)42とを備えている。絶縁体40は、例えば熱硬化性樹脂からなり、絶縁性を有している。この絶縁体40の軸心部には、回転軸(モータシャフト)20が挿通された軸挿通孔44が形成されている。回転軸20の外周面には、回転軸20の軸線方向に延びる複数の回止突起46が突出形成されており、これらの回止突起46によって回転軸20に対する絶縁体40の相対回転が規制されている。
複数のセグメント42は、絶縁体40の周方向に等間隔に並んで配置されている。これらセグメント42は、絶縁体40に対してモールド成形により一体成形されている。隣接するセグメント42間には、機械加工によるすり割りによってスリット48が形成されており、当該スリット48によって隣接するセグメント42同士が絶縁分離されている。
上記各セグメント42は、図2〜図4に示されるように、セグメント本体部50と、結線爪52と、一対の中爪54、56とを備えている。セグメント本体部50は、長手方向が絶縁体40の軸線方向に沿い且つ幅方向が絶縁体40の周方向に沿う姿勢で絶縁体40の外周に配置されている。このセグメント本体部50は、絶縁体40の外周面に沿って円弧状に湾曲している。なお、図2、図3及び図7において矢印Lは、セグメント本体部50の長手方向を示しており、図3及び図4において矢印Wは、セグメント本体部50の幅方向を示しており、図3及び図7において矢印Tは、セグメント本体部50の厚さ方向(絶縁体40の径方向)を示している。以下、単に「幅方向」と称する場合、セグメント本体部50の幅方向を示すものとする。
結線爪52は、セグメント本体部50における長手方向一端部で且つ幅方向中間部(ここでは幅方向中央部)から延出されている。この結線爪52は、基端部(付け根部分)が折り曲げられ、セグメント本体部50の外周面側(絶縁体40とは反対側)へ延びており、セグメント本体部50に対して絶縁体40の径方向外側から対向している。この結線爪52は、巻線26の端末部26A(図7参照)をセグメント42と結線するための爪である。
一対の中爪54、56は、セグメント42を絶縁体40に保持させるための爪(保持爪;係止爪)である。一方の中爪54は、セグメント本体部50における長手方向他端部(結線爪52とは反対側の端部)で且つ幅方向中央部から延出されている。この中爪54は、基端部(付け根部分)が折り曲げられ、セグメント本体部50の内周面側(絶縁体40側)へ延びており、絶縁体40に埋設されている。
他方の中爪56は、セグメント本体部50における長手方向中間部(ここでは長手方向中央よりも長手方向一端部寄りの部位)で且つ幅方向中間部において、セグメント本体部50の内周面(絶縁体40側の面)から延出されており、絶縁体40に埋設されている。この中爪56は、本発明における「中爪」に相当する。
上記の中爪56は、セグメント本体部50における長手方向一端側で且つ絶縁体40側(内周面側)の一部が、セグメント本体部50の長手方向中央部側へ切起されて形成されたものである。このため、セグメント本体部50における長手方向一端部側で且つ絶縁体40側には、上記切起しの加工跡である凹部(中爪加工跡部)58が形成されている。この凹部58は、本発明における「凹部」に相当する。この凹部58は、セグメント本体部50の内周面において、セグメント本体部50の幅方向中央部に形成されている。この凹部58は、中爪56の基端部(付け根部分)に対してセグメント本体部50の長手方向一端部側に隣接しており、絶縁体40の径方向外側へ凹んでいる。
さらに、このセグメント42は、上記の凹部58の内側において、セグメント本体部50から絶縁体40側へ突出した凸部60を備えている。このため、上記の凹部58は、幅方向の中央部において凹みの深さが浅くなっている。この凸部60は、セグメント本体部50の長手方向一端面と中爪56の基端部との間にわたって形成されており、セグメント本体部50の長手方向に延在している。この凸部60における絶縁体40側の面は、図4に示されるように、絶縁体40の軸線方向視で絶縁体40側へ凸をなして湾曲している。
上記の凸部60は、セグメント本体部50の幅方向において凹部58の中央部に位置しており、結線爪52に対して絶縁体40の径方向に並んでいる。このため、セグメント本体部50は、結線爪52に対して絶縁体40の径方向に並んだ部位が厚肉部62とされており、当該厚肉部62に対して幅方向の両側に隣接した部位がそれぞれ薄肉部64とされている。また、このセグメント本体部50は、各薄肉部64に対して幅方向の両外側に位置する部位がそれぞれ厚肉部66とされている。本実施形態では、厚肉部62の肉厚T3は、薄肉部64の肉厚T2よりも厚く、厚肉部66の肉厚T1よりも若干薄く形成されている(T2<T3<T1)。
また、本実施形態では、中爪56を切起した際の加工跡である凹部58の幅方向中央部に上記の凸部60が形成されているため、中爪56の幅方向中央部には、凹部57が形成されている。つまり、中爪56の幅方向中央部に凹部57を形成することで、当該凹部57に対応する肉が上記の凸部60とされた構成になっている。このため、中爪56は、幅方向の中央部が薄肉部56Bとされ、幅方向の両端部がそれぞれ厚肉部56Aとされている。なお、本実施形態に係る中爪56は、両厚肉部56Aが薄肉部56Bを介して繋がった構成にしているが、これに限らず、薄肉部56Bが省略された構成(両厚肉部56Aが幅方向に分割された構成)にしてもよい。
(整流子22の製造方法)
次に、本実施形態に係る整流子22の製造方法について説明する。上記構成の整流子22は、「発明が解決しようとする課題」の欄で説明した従来の整流子の製造方法と基本的に同様の製造方法によって製造される。但し、本実施形態に係る整流子22の製造方法では、中爪56を形成する中爪形成工程において、図8、図10A〜図10Cに示される従来のパンチ106の代わりに、図5A〜図5Cに示されるパンチ70が用いられる。以下、具体的に説明する。
本実施形態に係る整流子22の製造方法は、円筒製造工程と、上記の中爪形成工程と、モールド成形工程と、セグメント分割工程とを有している。円筒製造工程では、図6に示される銅リング80を製造する。この銅リング80は、本発明における「円筒素材」に相当する。この銅リング80は、図8及び図9に示される銅リング100と同様に、例えばプレスにより打抜かれた銅板が略円筒形状に丸められたものであり、導電性を有している。銅リング80の軸線方向一端部には、複数の結線爪52が周方向に並んで形成されており、銅リング80の軸線方向他端部には、複数の中爪54が周方向に並んで形成されている。これらの結線爪52及び中爪54は、中爪形成工程の前に、図6に示されるように曲げられる。
中爪形成工程では、図5A〜図5Cに示されるパンチ70が銅リング80の軸線方向一端側から銅リング80の内側に挿入される。このパンチ70は、「発明が解決しようとする課題」の欄で説明したパンチ100と基本的に同様の構成とされており、円柱状に形成されている。このパンチ70の下端部の外周部には、複数の刃70Aが形成されている。図5Cに示されるように、複数の刃70Aの刃先70A1は、パンチ70の外周に位置しており、パンチ70の半径R1を曲率半径とする円弧状に形成されている。これらの刃70Aには、図5A〜図5Cに示されるように、パンチ70の径方向外側から切り欠かれた凹部72が形成されている。各凹部72は、パンチ70の周方向において、各刃70Aの中央部に形成されている、これらの凹部72は、パンチ70の軸線方向視でパンチ70の径方向内側へ円弧状に窪んでおり、凸部60の断面形状と同一又は略同一の断面形状を有している。なお、図5CにおいてR2は、上記円弧の半径を示している。
上記のパンチ70が銅リング80の内側に挿入されることにより、複数の刃70Aによって銅リング80の内周部の一部が削られて切起される。これにより、複数の中爪56、複数の凹部58及び複数の凸部60が銅リング80の内周部に形成される。その後、図示しない別のパンチが銅リング80の内側に挿入され、切起こされた複数の中爪56が銅リング80の軸線方向中央部側へ折り曲げられる。
次いでモールド成形工程では、中爪形成工程後の銅リング80の内側に、モールド成形によって絶縁体40が一体成形される。次いでセグメント分割工程では、モールド成形工程後の銅リング80が機械加工によって等間隔毎にすり割りされ、複数のセグメント42に分割される。
(作用及び効果)
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
本実施形態に係る回転電機Mの整流子22では、略円筒形状の絶縁体40の外周に複数のセグメント42が配置されている。上記のセグメント42は、長手方向が絶縁体40の軸線方向に沿い且つ幅方向が絶縁体42の周方向に沿ったセグメント本体部50を備えている。セグメント本体部50における長手方向一端部で且つ幅方向中間部からは、結線爪52が延出されている。この結線爪52は、セグメント本体部50に対して絶縁体40の径方向外側から対向している。また、セグメント本体部50における長手方向中間部で且つ幅方向中間部において、セグメント本体部50における絶縁体40側の面からは、中爪56が延出されている。この中爪56は、絶縁体40に埋設されている。
さらに、セグメント本体部50における絶縁体40側の面には、絶縁体40の径方向外側へ凹んだ凹部58が形成されている。この凹部58は、中爪56の基端部に対してセグメント本体部50の長手方向一端部側に隣接している。この凹部58は、セグメント本体部50における長手方向一端部側で且つ絶縁体40側の一部が切起されて中爪56が形成される際にセグメント本体部50に形成される。この凹部58の内側においてセグメント本体部50には、絶縁体40側へ突出した凸部60が設けられている。この凸部60は、結線爪52に対して絶縁体40の径方向に並んでいる。このため、セグメント本体部50は、結線爪52に対して絶縁体40の径方向に並んだ部位、すなわち結線爪52との間に巻線を挟んだ状態でヒュージング加工が施される部位が、上記の凸部60によって増肉された厚肉部62とされている。これにより、ヒュージング加工時におけるセグメント42の破損を防止又は効果的に抑制できる。
つまり、ヒュージング加工時には、図7に示されるようにヒュージング装置の主電極126及び副電極128がセグメント42に押し当てられ、主電極126から副電極128へと電流が流される。この際、主電極126からの押圧力は、結線爪52を介して上記の厚肉部62に加わるが、当該厚肉部62は、上記の凸部60が設けられることで強度が増加している。これにより、セグメント本体部50が厚肉部62又はその周辺で変形することを防止又は効果的に抑制できる。また、厚肉部62の断面積が上記の凸部60によって増加しているので、電流密度の増加が防止又は抑制される。これにより、セグメント本体部50が増肉部62又はその周辺で破断(スパーク)することを防止又は効果的に抑制できる。
しかも、本実施形態では、上記の凸部60を形成するために、中爪56の一部(幅方向の中央部)が薄肉とされたにすぎないため、中爪56の強度低下を最小限に留めることができる。したがって、絶縁体40からのセグメント42の剥落や、隣り合うセグメント42間に段差が生じることを、従来同様に防止又は抑制できる。
また、本実施形態に係るセグメント本体部50では、図3及び図4に示されるように、凹部58に対する幅方向の両側にそれぞれ厚肉部66が設けられている。これらの厚肉部66がセグメント本体部50の幅方向両端部に設けられることにより、当該幅方向両端部の強度が確保されている。これにより、セグメント本体部50の幅方向両端部に薄肉部が設けられた構成と比較して、隣り合うセグメント42間に段差が生じ難くなる。
さらに、本実施形態では、セグメント42の凹部58内に設けられた凸部60が、セグメント本体部50の幅方向において、凹部58の中央部に位置している。この凹部58は、前述したように、セグメント本体部50における長手方向一端部側で且つ絶縁体40側の一部が切起されて中爪56が形成される際にセグメント本体部50に形成される。このようにして形成される中爪56は、幅方向の両端部が厚肉部56Aとなり、幅方向の中央部が薄肉部56Bとなる。これにより、中爪56の強度を幅方向においてバランス良くすることができる。
また、本実施形態では、凹部58は、セグメント本体部50の長手方向一端面と中爪56の基端部との間にわたって形成されている。このように構成されているので、セグメント本体部50における長手方向一端側で且つ絶縁体40側の一部を、セグメント本体部50の長手方向一端面から長手方向中央部側へ切起こすことにより、中爪56及び凹部58を形成することができる。また、この切起しに用いるパンチ70の刃70Aに凹み72を形成するだけで、凸部60を形成することができる。よって、本実施形態に係る整流子22は、「発明が解決しようとする課題」の欄で説明した製造工程を変更することなく、単にパンチの刃の形状を変更するだけで製造することができる。
また、本実施形態では、凸部60における絶縁体40側の面が、絶縁体40の軸線方向視で絶縁体40側へ凸をなして湾曲している。これにより、例えば凸部60における絶縁体60側の面に応力集中が生じ難くなる。
なお、上記実施形態では、凸部60が、セグメント本体部50の長手方向一端面と中爪56の基端部との間にわたって形成された構成にしたが、本発明はこれに限るものではない。例えば、セグメント本体部50の長手方向一端面側(結線爪52の付け根側)において、凸部60が省略された構成にしてもよい。
また、上記実施形態では、凸部60における絶縁体40側の面が、絶縁体40の軸線方向視で絶縁体40側へ凸をなして湾曲した構成にしたが、本発明はこれに限らず、凸部が絶縁体40の軸線方向視で矩形状又は台形状に形成された構成にしてもよい。
また、上記実施形態では、凸部60が、セグメント本体部50の幅方向において、凹部58の中央部に設けられた構成にしたが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、凸部60が、セグメント本体部50の幅方向において、凹部58の中央部からずれた位置に設けられた構成にしてもよい。
その他、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記実施形態に限定されないことは勿論である。
10・・・電機子、12・・・固定子、20・・・回転軸、22・・・整流子、24・・・コア、26・・・巻線、26A・・・端末部、40・・・絶縁体、42・・・セグメント、50・・・セグメント本体部、52・・・結線爪、56・・・中爪、58・・・凹部、60・・・凸部、70・・・パンチ、80・・・銅リング(円筒素材)

Claims (6)

  1. 略円筒形状の絶縁体の外周に複数のセグメントが配置された整流子であって、
    前記セグメントは、
    長手方向が前記絶縁体の軸線方向に沿い且つ幅方向が前記絶縁体の周方向に沿ったセグメント本体部と、
    前記セグメント本体部における長手方向一端部で且つ幅方向中間部から延出され、前記セグメント本体部に対して前記絶縁体の径方向外側から対向した結線爪と、
    前記セグメント本体部における長手方向中間部で且つ幅方向中間部において、前記セグメント本体部における前記絶縁体側の面から延出され、前記絶縁体に埋設された中爪と、
    前記中爪の基端部に対して前記長手方向一端部側に隣接して前記絶縁体側の面に形成され、前記絶縁体の径方向外側へ凹んだ凹部と、
    前記凹部の内側で前記セグメント本体部に設けられ、前記絶縁体側へ突出すると共に、前記結線爪に対して前記絶縁体の径方向に並んだ凸部と、
    を備えた整流子。
  2. 前記凸部は、前記セグメント本体部の幅方向において、前記凹部の中央部に設けられている請求項1に記載の整流子。
  3. 前記凸部は、前記セグメント本体部の長手方向一端面と前記中爪の基端部との間にわたって形成されている請求項1又は請求項2に記載の整流子。
  4. 前記凸部における前記絶縁体側の面は、前記絶縁体の軸線方向視で前記絶縁体側へ凸をなして湾曲している請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の整流子。
  5. 請求項1〜請求項4の何れか1項に記載された整流子の製造方法であって、
    円筒形状をなし、導電性を有すると共に、軸線方向一端部に周方向に並んで複数の前記結線爪が形成された円筒素材を製造する円筒製造工程と、
    外周部に複数の刃が形成されたパンチを前記円筒素材の軸線方向一端側から前記円筒素材の内側に挿入し、前記円筒素材の内周部の複数箇所を切起し、複数の前記中爪、複数の前記凹部及び複数の前記凸部を前記円筒素材の内周部に形成する中爪形成工程と、
    前記中爪形成工程後の前記円筒素材の内側に前記絶縁体を一体成形するモールド成形工程と、
    前記モールド成形工程後の前記円筒素材を周方向の複数箇所で軸線方向にすり割りし、複数の前記セグメントに分割するセグメント分割工程と、
    を有する整流子の製造方法。
  6. ヨーク及びマグネットを有する固定子と、
    巻線が巻装されたコア、及び、前記巻線の端末部が前記結線爪を用いて前記セグメントに結線された請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の整流子を有すると共に、前記コア及び前記整流子が固定された回転軸を有し、前記ヨーク内に収容された電機子と、
    を備えた回転電機。
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