JP2018061925A - 水処理システム及び水処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】硫酸イオン及び硫酸イオン以外の無機化合物の陰イオンを含む原水が導入される原水槽11と、バリウムイオンが含まれるバリウム水溶液を保持するバリウム槽12と、原水槽11に導入された前記原水と、これに混合された前記バリウム水溶液との混合液が導入され、前記混合液に含まれる硫酸バリウムと第一の上澄み液とを分離する第一濁水処理装置13と、前記第一の上澄み液が導入される吸着槽14と、アカガネイトが含まれる薬液を保持する薬品調合槽15と、を備える水処理システム10。
【選択図】図1
Description
そこで、本発明者らはより優れた吸着効率を示す鉱物を種々検討したところ、アカガネイト(赤金鉱)(Akaganeite)は、目的の陰イオンに対して優れた吸着効率を示すことを見出した。また、アカガネイトは硫酸イオンを吸着し易いため、硫酸イオンと硫酸イオン以外の陰イオンが共存する水溶液中にアカガネイトを投入した場合、硫酸イオン以外の陰イオンの吸着が硫酸イオンによって妨げられる問題があった。
[2] 前記薬品調合槽に供給する塩化鉄(III)が含まれる第一水溶液を貯留する第一貯留槽と、前記薬品調合槽に供給する、アルカリ金属の炭酸水素塩、炭酸塩及び水酸化物塩、並びに、アルカリ土類金属の炭酸水素塩、炭酸塩及び水酸化物塩から選ばれる1種以上の塩(S)が含まれる第二水溶液を貯留する第二貯留槽と、前記第一水溶液を前記第一貯留槽から前記薬品調合槽へ供給する第一水溶液供給部と、前記第二水溶液を前記第二貯留槽から前記薬品調合槽へ供給する第二水溶液供給部と、を備えることを特徴とする[1]に記載の水処理システム。
[3] 前記吸着槽に導入された前記第一の上澄み液と、これに混合された前記薬液との第二混合液が導入され、前記第二合液に含まれるアカガネイトと第二の上澄み液とを分離する第二濁水処理装置と、前記第二混合液を前記吸着槽から前記第二濁水処理装置へ送液する第二混合液送液部と、を備えることを特徴とする[1]又は[2]に記載の水処理システム。
[4] 前記硫酸バリウム及びアカガネイトを凝集させる凝集剤を保持する第三貯留槽と、前記凝集剤を前記第三貯留槽から前記第一濁水処理装置へ供給する凝集剤第一供給部と、前記凝集剤を前記第三貯留槽から前記第二濁水処理装置へ供給する凝集剤第二供給部と、を備えることを特徴とする[3]に記載の水処理システム。
[5] 前記第二の上澄み液を受け入れて一時的に貯留する放流槽と、前記第二の上澄み液を前記第二濁水処理装置から前記放流槽へ送液する第二の上澄み液送液部と、を備えることを特徴とする[3]又は[4]に記載の水処理システム。
[6] 前記第二濁水処理装置から前記アカガネイトを含む沈殿物を受け入れる貯泥槽と、前記沈殿物を前記第二濁水処理装置から前記貯泥槽へ移送する第二沈殿物移送部と、前記硫酸バリウムを前記第一濁水処理装置から前記貯泥槽へ移送する第一沈殿物移送部と、を備えることを特徴とする[3]〜[5]の何れか一項に記載の水処理システム。
[7] 前記硫酸バリウム及び前記沈殿物のうち少なくとも一方を脱水する脱水装置と、前記硫酸バリウム及び前記沈殿物のうち少なくとも一方を前記貯泥槽から前記脱水装置へ移送する第三沈殿物移送部と、を備えることを特徴とする[6]に記載の水処理システム。
[8] [1]〜[7]の何れか一項に記載の水処理システムを用いた水処理方法であって、前記原水を前記原水槽へ導入する工程と、前記バリウム水溶液を前記バリウム槽から前記原水槽へ供給する工程と、前記原水槽において前記原水及び前記バリウム水溶液を混合し、その第一混合液を前記第一濁水処理装置へ導入し、前記第一混合液に含まれる硫酸バリウムと第一の上澄み液とを分離する工程と、前記第一の上澄み液を前記吸着槽へ導入する工程と、前記薬液を前記薬品調合槽から前記吸着槽へ供給する工程と、前記吸着槽において前記第一の上澄み液と前記薬液を混合し、得られた第二混合液の中で前記薬液に含まれるアカガネイトに対して前記無機化合物の陰イオンを吸着させる工程と、を有することを特徴とする水処理方法。
[9] [2]に記載の水処理システムを用いた水処理方法であって、前記第一貯留槽と前記第二貯留槽から、塩化鉄(III)を含む第一水溶液と、前記1種以上の塩(S)を含む第二水溶液をそれぞれ前記薬品調合槽へ供給し、前記薬品調合槽において前記第一水溶液と前記第二水溶液を混合することにより、得られた混合液の中でアカガネイトを生成する工程を有することを特徴とする[8]に記載の水処理方法。
[10] 硫酸イオン及び硫酸イオン以外の無機化合物の陰イオンが含まれる原水に、バリウムイオンを添加して硫酸バリウムを生成し、遊離の硫酸イオンの濃度が低減した一次処理液を得る第一工程と、前記一次処理液をアカガネイトに接触させることにより、前記無機化合物の陰イオンを前記アカガネイトに吸着させ、前記無機化合物の陰イオンの濃度が低減した二次処理液を得る第二工程と、を有することを特徴とする水処理方法。
[11] 硫酸イオン及び硫酸イオン以外の無機化合物の陰イオンを含む原水が導入される原水槽と、バリウムイオンが含まれるバリウム水溶液を保持するバリウム槽と、前記バリウム水溶液を前記バリウム槽から前記原水槽へ供給するバリウム供給部と、前記原水槽に導入された前記原水と、これに混合された前記バリウム水溶液との第一混合液が導入される吸着槽と、前記第一混合液を前記原水槽から前記吸着槽へ送液する第一混合液送液部と、アカガネイトが含まれる薬液を保持する薬品調合槽と、前記薬液を前記薬品調合槽から前記吸着槽へ供給する薬液供給部と、を備えることを特徴とする水処理システム。
[12] 前記薬品調合槽に供給する塩化鉄(III)が含まれる第一水溶液を貯留する第一貯留槽と、前記薬品調合槽に供給する、アルカリ金属の炭酸水素塩、炭酸塩及び水酸化物塩、並びに、アルカリ土類金属の炭酸水素塩、炭酸塩及び水酸化物塩から選ばれる1種以上の塩(S)が含まれる第二水溶液を貯留する第二貯留槽と、前記第一水溶液を前記第一貯留槽から前記薬品調合槽へ供給する第一水溶液供給部と、前記第二水溶液を前記第二貯留槽から前記薬品調合槽へ供給する第二水溶液供給部と、を備えることを特徴とする[11]に記載の水処理システム。
[13] 前記吸着槽に導入された前記第一混合液と、これに混合された前記薬液との第二混合液が導入され、前記第二混合液に含まれる硫酸バリウム及びアカガネイトと第二の上澄み液とを分離する第二濁水処理装置と、前記第二混合液を前記吸着槽から前記第二濁水処理装置へ送液する第二混合液送液部と、を備えることを特徴とする[11]又は[12]に記載の水処理システム。
[14] 前記硫酸バリウム及びアカガネイトを凝集させる凝集剤を保持する第三貯留槽と、前記凝集剤を前記第三貯留槽から前記第二濁水処理装置へ供給する凝集剤第二供給部と、を備えることを特徴とする[13]に記載の水処理システム。
[15] 前記第二の上澄み液を受け入れて一時的に貯留する放流槽と、前記第二の上澄み液を前記第二濁水処理装置から前記放流槽へ送液する第二の上澄み液送液部と、を備えることを特徴とする[13]又は[14]に記載の水処理システム。
[16] 前記第二濁水処理装置から前記硫酸バリウム及びアカガネイトを含む沈殿物を受け入れる貯泥槽と、前記沈殿物を前記第二濁水処理装置から前記貯泥槽へ移送する第二沈殿物移送部と、を備えることを特徴とする[13]〜[15]の何れか一項に記載の水処理システム。
[17] 前記沈殿物を脱水する脱水装置と、前記沈殿物を前記貯泥槽から前記脱水装置へ移送する第三沈殿物移送部と、を備えることを特徴とする[16]に記載の水処理システム。
[18] [11]〜[17]の何れか一項に記載の水処理システムを用いた水処理方法であって、前記原水を前記原水槽へ導入する工程と、前記バリウム水溶液を前記バリウム槽から前記原水槽へ供給する工程と、前記原水槽において前記原水及び前記バリウム水溶液を混合し、形成された硫酸バリウムを含む第一混合液を前記吸着槽へ導入する工程と、前記薬液を前記薬品調合槽から前記吸着槽へ供給する工程と、前記吸着槽において前記第一混合液と前記薬液を混合し、得られた第二混合液の中で前記薬液に含まれるアカガネイトに対して前記無機化合物の陰イオンを吸着させる工程と、を有することを特徴とする水処理方法。
[19] [12]に記載の水処理システムを用いた水処理方法であって、前記第一貯留槽と前記第二貯留槽から、塩化鉄(III)を含む第一水溶液と、前記1種以上の塩(S)を含む第二水溶液をそれぞれ前記薬品調合槽へ供給し、前記薬品調合槽において前記第一水溶液と前記第二水溶液を混合することにより、得られた混合液の中でアカガネイトを生成する工程を有することを特徴とする[18]に記載の水処理方法。
本発明の第一態様の水処理システムの一例である水処理システム10を図1に示す。
水処理システム10は、硫酸イオン及び硫酸イオン以外の無機化合物の陰イオンを含む原水が導入される原水槽11と、バリウムイオンが含まれるバリウム水溶液を保持するバリウム槽12と、前記バリウム水溶液をバリウム槽12から原水槽11へ供給するバリウム供給部12aと、を備える。
また、水処理システム10は、原水槽11に導入された前記原水と、これに混合された前記バリウム水溶液との第一混合液が導入され、前記第一混合液に含まれる硫酸バリウムと第一の上澄み液とを分離する第一濁水処理装置13と、前記第一混合液を原水槽11から第一濁水処理装置13へ送液する第一混合液送液部11aと、前記第一の上澄み液が導入される吸着槽14と、前記第一の上澄み液を第一濁水処理装置13から吸着槽14へ送液する第一の上澄み液送液部13aと、を備える。
さらに、水処理システム10は、アカガネイトが含まれる薬液を保持する薬品調合槽15と、前記薬液を薬品調合槽15から吸着槽14へ供給する薬液供給部15aと、を備える。
バリウム供給部12a、第一混合液送液部11a、第一の上澄み液送液部13a、薬液供給部15aは、それぞれ、配管、バルブ、ポンプ等の公知の接続部材によって構成されている。
薬品調合槽15には、前記第一水溶液を第一貯留槽16から薬品調合槽15へ供給する第一水溶液供給部16aが接続されている。
薬品調合槽15には、前記第二水溶液を第二貯留槽17から薬品調合槽15へ供給する第二水溶液供給部17aが接続されている。
第二濁水処理装置18には、アカガネイトが含まれた前記第二混合液を、吸着槽14から第二濁水処理装置18へ送液する第二混合液送液部14aが接続されている。
第二濁水処理装置18には、前記凝集剤を第三貯留槽20から第二濁水処理装置18へ供給する凝集剤第二供給部20bが接続されている。
放流槽19には、前記第二の上澄み液を第二濁水処理装置18から放流槽19へ送液する第二の上澄み液送液部18aが接続されている。
貯泥槽21には、硫酸バリウムの沈殿物を第一濁水処理装置13から貯泥槽21へ移送する第一沈殿物移送部13bが接続されている。
貯泥槽21には、アカガネイトを含む沈殿物を第二濁水処理装置18から貯泥槽21へ移送する第二沈殿物移送部18bが接続されている。
脱水装置22には、硫酸バリウムの沈殿物及びアカガネイトを含む沈殿物のうち少なくとも一方を貯泥槽21から脱水装置22へ移送する第三沈殿物移送部21aが接続されている。
上記の接続を行う各部は、配管、バルブ、ポンプ等の公知の接続部材によって構成されている。
本発明の第二態様の水処理方法は、前述した第一態様の水処理システムを利用して、原水(被処理水)に含まれる硫酸イオン及び硫酸イオン以外の無機化合物の陰イオンのうち、前記無機化合物の陰イオンをアカガネイトによって効率良く低減する方法である。この水処理方法によって清浄な処理水が得られる。
また、本方法によれば、硫酸イオンの濃度が低減した一次処理水をアカガネイトに接触させるため、硫酸イオンによる競合を受けずに前記無機化合物の陰イオンをアカガネイトに吸着させることができる。この結果、アカガネイトの使用量を低減することができる。
以下に、水処理システム10を利用した方法を説明する。
次いで、バリウム槽12から原水槽11へ、バリウム供給部12aを介してバリウム水溶液を供給する。原水槽11において原水とバリウム水溶液を混合することにより、第一混合液中で硫酸バリウムが生成する。この際、必要に応じて水道水を原水槽11へ供給してもよい。続いて、第一混合液送液部11aを介して、原水槽11から第一濁水処理装置13へ、硫酸バリウムが含まれる前記第一混合液を導入する。
原水槽11において、硫酸イオン及び硫酸イオン以外の無機化合物の陰イオンを含む原水をバリウムイオンに接触させることにより、硫酸バリウムを生成することができる。
原水槽11において、前記原水とバリウムイオンを接触させる方法として、例えば、バリウム塩を直接添加する方法、バリウム塩を含むバリウム水溶液を添加する方法が挙げられる。
これらのバリウム塩は、アカガネイトによる前記無機化合物の陰イオンの吸着を妨げる恐れが少ない。ここで、前記無機化合物の陰イオンは、前記バリウム塩を構成するカウンターアニオン以外の陰イオンであることが好ましい。
原水のpHを調整する方法は特に限定されず、例えば、塩酸、水酸化ナトリウムを添加する方法が挙げられる。
前記原水に混合する前記バリウム水溶液の量は特に限定されず、前記原水に含まれる硫酸イオンの濃度に応じて設定すればよく、例えば、当該硫酸イオンのモル濃度以上のバリウムイオンを供給できる量を混合することが好ましい。すなわち、バリウムイオン/硫酸イオンのモル比が1以上となるようにバリウム水溶液を原水に混合することが好ましい。バリウムイオンを上記の量で混合すると、原水に含まれる硫酸イオンの大半を硫酸バリウムとして除去することができる。
吸着槽14において、硫酸イオン以外の無機化合物の陰イオンを含む第一の上澄み液をアカガネイトに接触させることにより、前記陰イオンを前記アカガネイトに吸着させることができる。
ここで、オキソ酸とは、1つの無機原子に水酸基(−OH)及びオキソ基(=O)が結合しており、且つその水酸基のプロトンが脱離し得る無機化合物である。オキソ酸は水中では前記プロトンが脱離したオキソ酸イオンとなり得る。
第一の上澄み液にアカガネイトを添加し、目的の陰イオンをアカガネイトに吸着させる際の処理中の第一の上澄み液(アカガネイト分散液)のpHは、10以下が好ましく、2以上9以下がより好ましく、3以上7以下がさらに好ましく、4以上6以下が特に好ましい。
処理中の第一の上澄み液のpHが9以下であると、アカガネイトの分解を防止し、アカガネイトによる目的の陰イオンの吸着力を高めることができる。
処理中の第一の上澄み液のpHが低いほど、アカガネイトの前記トンネル構造の中心を向く水酸基に結合するプロトンが増える。これにより前記トンネル構造内が負電荷を帯びることを抑制し、前記トンネル構造内に目的の陰イオンをより容易に吸着させることができる。したがって、目的の陰イオンの吸着力を高める観点から、処理中の第一の上澄み液のpHは、pH2〜5が好ましく、pH2〜4がより好ましく、pH2〜3がさらに好ましい。
処理中の第一の上澄み液のpHが4以上6以下であると、アカガネイト同士が凝集し易くなり、アカガネイトの回収が容易になる観点から好ましい。
第一の上澄み液のpHを調整する方法は特に限定されず、例えば、塩酸、水酸化ナトリウムを添加する方法が挙げられる。
上記温度範囲であると、アカガネイトによる目的の陰イオンの吸着力を高めることができる。上記温度範囲の下限値以上であると、第一の上澄み液中における目的の陰イオンの拡散速度が高まり、アカガネイトに接触して吸着する効率がより高められる。上記温度範囲の上限値以下であると、一度吸着した陰イオンがアカガネイトから脱離することをより低減することができる。
通常、接触させるアカガネイトの量を多くすれば、吸着可能な陰イオンの量も多くなり、例えば、アカガネイトによる無機オキソ酸イオンの吸着量として0.3〜0.5mol/kgが挙げられる。
薬品調合槽15において、塩化鉄(III)が含まれる第一水溶液と、前記1種以上の塩(S)が含まれる第二水溶液とを混合することによりアカガネイトを生成する方法は、吸着力が優れた高品質のアカガネイトが得られるので好ましい。
前記アルカリ金属は周期表の第1族元素であり、ナトリウム、カリウムが好ましい。
前記アルカリ土類金属は周期表の第2族元素であり、マグネシウム、カルシウム、バリウムが好ましい。
アカガネイトの生成反応を促進するために、上記水溶液(反応液)を40〜100℃程度に加熱してもよい。
pH7未満であると、塩化物イオン存在下においてアカガネイトが容易に生成される。
pH4未満であると、特にpH3以下であると、塩化物イオン存在下において高収率でアカガネイトを生成することができる。なお、pH4〜6でもアカガネイトは容易に形成されるが、このpH範囲であると、生成しつつあるアカガネイト同士が凝集して未反応の塩化鉄(III)又は塩(S)が取り込まれる場合がある。一方、pHがアルカリ性であると、異なる構造の酸化鉄鉱物(例えば、ゲータイト、スクメタイト等)が生成される可能性が高い。
前記反応液を調製する際に、第一水溶液と第二水溶液を混合する方法は特に限定されないが、反応液のpHを酸性に維持するために、第一水溶液に対して第二水溶液を添加する方法が望ましい。また、酸性の第一水溶液とアルカリ性の第二水溶液を混合した際に、前述した好適なpHとなるように両方の溶液を混合することが好ましい。
上記モル比が1:2に近い上記範囲であると、前記反応液中のFe3+が有する正電荷量と、OH−が有する負電荷量とがアカガネイトの生成に適したバランスとなり、塩化鉄(III)に由来するFe3+のほとんど全てを反応で消費して、アカガネイトを容易に高い収率で生成させることができる。
また、例えば、0.1モルの炭酸ナトリウムを溶解させた1Lの水溶液中において、炭酸の酸解離定数pKa2=10.3及び上記みかけの酸解離定数pKa1=6.3を考慮して、溶液pHが5.3以下において、水溶液中に生成する水酸化物イオン濃度(炭酸分子濃度)は0.18〜0.2モル/L程度と考えられる。これに基づき、前記反応液中の塩化鉄(III)の濃度は、0.18〜0.2モル/Lの1/3〜1倍の濃度が好ましく、1/2〜1倍の濃度がより好ましい。
また、例えば、0.1モルの水酸化ナトリウムを溶解させた1Lの水溶液中において、その酸解離定数pKa=13を考慮して、溶液pHが7以下の酸性域において、水溶液中に生成する水酸化物イオン濃度はほぼ0.1モル/Lと考えられる。これに基づき、前記反応液中の塩化鉄(III)の濃度は、0.1モル/Lの1/3〜1倍の濃度が好ましく、1/2〜1倍の濃度がより好ましい。
上記モル比の範囲であると、前記反応液中のFe3+とOH−の電荷バランスが良好となり、アカガネイトを容易に高い収率で生成させることができる。
アカガネイトの生成反応の開始後、その反応が一段落するまでに要する時間は、生成するアカガネイトの濃度にもよるが、10〜25℃において例えば3〜5分程度である。
ここで前記反応液のpHを4以上〜pH6以下に調整する方法としては、前記反応液に前記1種以上の塩(S)を追加して添加する方法が好ましい。前記1種以上の塩(S)を用いることにより、余計な陰イオン(例えば硫酸イオン等)が前記反応液に混入してアカガネイトに吸着することを防止できる。
本発明の第三態様の水処理方法は、硫酸イオン及び硫酸イオン以外の無機化合物の陰イオンが含まれる原水に、バリウムイオンを添加して硫酸バリウムを生成し、遊離の硫酸イオンの濃度が低減した一次処理液を得る第一工程と、前記一次処理液をアカガネイトに接触させることにより、前記無機化合物の陰イオンを前記アカガネイトに吸着させ、前記無機化合物の陰イオンの濃度が低減した二次処理液を得る第二工程と、を有する。
第一工程における原水は、前述した第二態様の水処理方法における原水と同じである。
原水にバリウムイオンを添加する方法としては、例えば、前述した硫酸イオン除去方法で例示したバリウム塩を直接添加する方法、前述したバリウム塩を含むバリウム水溶液を添加する方法が挙げられる。
上記範囲の下限値以上であると、硫酸バリウムを容易に形成し、原水中の遊離の硫酸イオン濃度を充分に低減することができる。上記範囲の上限値は特に限定されず、例えば200モル部程度とすればよい。
前記水溶液のpHを上記の範囲に調整する方法は特に限定されず、例えば、原水又は一次処理水に塩酸、水酸化ナトリウム等を添加する方法が挙げられる。
一次処理液にアカガネイトを接触させることにより、一次処理液に含まれる前記無機化合物の陰イオンをアカガネイトに吸着させることができる。この吸着方法は、前述した陰イオン吸着方法の場合と同様である。前記無機化合物の陰イオンがアカガネイトに吸着すると、その陰イオン濃度が低減した二次処理液の中に、当該陰イオンを吸着したアカガネイトが分散した状態となる。
二次処理液からアカガネイトの粉末を回収する方法としては、例えば、沈殿法、濾過法等が挙げられる。沈殿法としては、例えば、二次処理液を静置して沈殿させる方法、二次処理液に硫酸バンド、PAC、高分子ポリマー凝集剤等を添加して凝集させて沈殿させる方法、二次処理液のpHを4〜6に調整してアカガネイト同士を凝集させる方法等が挙げられる。その後、二次処理液は、沈殿したアカガネイトの上澄み液、又は沈殿したアカガネイトを濾過した濾液として得られる。
本発明の第四態様の水処理システムの一例である水処理システム1を図5に示す。
後述する水処理システム1は、前述した水処理システム10が有する構成のうち、第一濁水処理装置13を除いた水処理システムである。
水処理システム1は、硫酸イオン及び硫酸イオン以外の無機化合物の陰イオンを含む原水が導入される原水槽11と、バリウムイオンが含まれるバリウム水溶液を保持するバリウム槽12と、前記バリウム水溶液をバリウム槽12から原水槽11へ供給するバリウム供給部12aと、を備える。
また、水処理システム1は、原水槽11に導入された前記原水と、これに混合された前記バリウム水溶液との第一混合液が、形成された硫酸バリウムとともに導入される吸着槽14と、前記第一混合液を原水槽11から吸着槽14へ送液する第一混合液送液部11aと、を備える。
さらに、水処理システム1は、アカガネイトが含まれる薬液を保持する薬品調合槽15と、前記薬液を薬品調合槽15から吸着槽14へ供給する薬液供給部15aと、を備える。
バリウム供給部12a、第一混合液送液部11a、薬液供給部15aは、それぞれ、配管、バルブ、ポンプ等の公知の接続部材によって構成されている。
薬品調合槽15には、前記第一水溶液を第一貯留槽16から薬品調合槽15へ供給する第一水溶液供給部16aが接続されている。
薬品調合槽15には、前記第二水溶液を第二貯留槽17から薬品調合槽15へ供給する第二水溶液供給部17aが接続されている。
第二濁水処理装置18には、アカガネイトが含まれた前記第二混合液を、吸着槽14から第二濁水処理装置18へ送液する第二混合液送液部14aが接続されている。
放流槽19には、前記第二の上澄み液を第二濁水処理装置18から放流槽19へ送液する第二の上澄み液送液部18aが接続されている。
貯泥槽21には、硫酸バリウム及びアカガネイトを含む沈殿物を第二濁水処理装置18から貯泥槽21へ移送する第二沈殿物移送部18bが接続されている。
脱水装置22には、硫酸バリウム及びアカガネイトを含む沈殿物のうち少なくとも一方を貯泥槽21から脱水装置22へ移送する第三沈殿物移送部21aが接続されている。
上記の接続を行う各部は、配管、バルブ、ポンプ等の公知の接続部材によって構成されている。
本発明の第五態様の水処理方法は、前述した第四態様の水処理システムを利用して、原水(被処理水)に含まれる硫酸イオン及び硫酸イオン以外の無機化合物の陰イオンのうち、前記無機化合物の陰イオンをアカガネイトによって効率良く低減する方法である。この水処理方法によって清浄な処理水が得られる。
また、本方法によれば、硫酸バリウムが形成されたことにより硫酸イオンの濃度が低減した一次処理水をアカガネイトに接触させるので、硫酸イオンによる競合を受けずに前記無機化合物の陰イオンをアカガネイトに吸着させることができる。この結果、アカガネイトの使用量を低減することができる。
以下に、水処理システム1を利用した方法を説明する。
次いで、バリウム槽12から原水槽11へ、バリウム供給部12aを介してバリウム水溶液を供給する。原水槽11において原水とバリウム水溶液を混合することにより、得られた第一混合液中で硫酸バリウムが生成する。この際、必要に応じて水道水を原水槽11へ供給してもよい。続いて、第一混合液送液部11aを介して、原水槽11から吸着槽14へ、硫酸バリウムが含まれる前記第一混合液を導入する。
0.2mol/Lの塩化鉄(III)水溶液1Lに、0.4mol/Lの水酸化ナトリウム1Lを添加して、5分間穏やかに撹拌しながら、約pH2の水溶液(Fe3+:OH−=約1:2)中でアカガネイトを生成した。次いで、生成したアカガネイトが含まれた懸濁液に、水酸化ナトリウムをさらに添加し、pH4〜5に調整し、5分間穏やかに撹拌しながら、アカガネイト同士を凝集させた。凝集したアカガネイトを濾過で回収し、乾燥した粘土状のアカガネイトの塊を得た。この塊を乳鉢で砕いて粉体としたアカガネイトを以下の実験に用いた。
塩化鉄(III)として投入した鉄イオンの全てがアカガネイトになった場合の収率をモル基準で100%であるとした場合、収率95%でアカガネイトを回収して得た。
合成したアカガネイトをXRDで分析したところ、アカガネイトを示すピークが確認された。
セレンを10mg/L含むセレン酸ナトリウム水溶液を調製した。上記合成で得たアカガネイトを用いて、以下の実験手順を行った。
(1)セレン酸イオンを含む上記水溶液に、上記で合成したアカガネイトを、0.015、0.025、0.05、0.1、0.2、0.5、1.0(単位:w/w%)の各濃度で添加した。pH6に調整した上記水溶液を20℃で1時間撹拌した後に、アカガネイトを沈殿させ、上澄み液を回収し、セレン酸イオン濃度をJIS K0102:2013年の「67.セレンの水素化合物発生ICP発光分光分析法」によって測定した。
(2)セレン酸イオンを含む上記水溶液に、グリーンラストを、0.15w/w%〜1.0w/w%の重量比となるように添加した。pH6となった上記水溶液を20℃で1時間撹拌した後に、グリーンラストを沈殿させ、上澄み液を回収し、セレン酸イオン濃度を上記方法で測定した。
(3)セレン酸イオンを含む上記水溶液に、シュベルトマナイトを、0.015、0.025、0.05、0.1、0.2、0.5、1.0(単位:w/w%)の各濃度で添加した。pH6に調整した上記水溶液を20℃で1時間撹拌した後に、シュベルトマナイトを沈殿させ、上澄み液を回収し、セレン酸イオン濃度を上記方法で測定した。
上記実験によって、アカガネイト、グリーンラスト、シュベルトマナイトの各酸化鉄鉱物におけるセレン酸イオンに対する吸着等温線を得た(図3)。
図3に示す結果から、溶存セレン酸イオンの平衡濃度が環境基準(0.01 mg/L)以下になる酸化鉄鉱物は、アカガネイトだけであり、その吸着量が最も高いことが明らかである。
硫酸を約1200mg/L(約12.5mmol/L)で含む水溶液(pH10)に、上記で合成したアカガネイトを、0.1、0.5、1.0、2.0、3.0(単位:w/w%)の各濃度で添加した。pHを6に調整した上記水溶液を20℃で1時間撹拌した後に、アカガネイトを沈殿させ、上澄み液を回収し、硫酸イオンと、塩化物イオンの濃度をそれぞれイオンクロマトグラフ法によって測定した。
その結果、図4のグラフに示すように、アカガネイトの添加量に比例して、水溶液中の塩化物イオン濃度が増加し、それに伴って硫酸イオン濃度が低下した。増加した塩化物イオン濃度は、低下した硫酸イオン濃度の約2倍であった。この結果は、アカガネイトから脱離した塩化物イオンの電荷量と、アカガネイトに吸着した硫酸イオンの電荷量とがほぼ同じであることを意味する。
以上の結果から、アカガネイトを構成する塩化物イオンは、別の陰イオンを吸着する際に置換されると考えられる。
硫酸イオン1200mg/L及びセレンを0.3mg/Lを含む、pH9のセレン酸ナトリウム水溶液(原水)を100ml調製した。
塩化バリウム2水和物の濃度を、1500mg/L、3000mg/L、4500mg/Lとしたバリウム水溶液A〜Cを調製した。これらバリウム水溶液と対照用の精製水のそれぞれに上記原水を混合して、Ba2+/SO4 2−のモル比が0、0.5、1.0、1.5となった混合液a1〜d1を得た。混合液a1は透明であり、他の混合液b1〜d1は硫酸バリウムの沈殿が生じ、白濁した。
上記の混合液a1〜d1を25℃で10分間撹拌した後、濾紙に通して硫酸バリウムの沈殿を濾過し、透明な濾液(第一の上澄み液)a2〜d2を得た。
続いて、濾液a2〜d2に上記で合成した褐色のアカガネイト0.5w/w%をそれぞれ添加し、25℃で10分撹拌した後、濾紙に通してアカガネイトの粉体(沈殿)を濾過し、透明な濾液(第二の上澄み液)a3〜d3を得た。
この結果から、Ba2+/SO4 2−のモル比が1となるようにバリウム水溶液を添加すれば、原水中の硫酸イオンをほぼ完全に除去できることが分かった。
この結果から、原水から予め硫酸イオンを除去しておくことにより、後段におけるアカガネイトによるセレン酸の吸着効率が高まることが分かった。
また、第二の上澄み液c3、d3におけるセレン酸イオンの残留濃度(溶存セレン濃度)は環境基準の0.01mg/L未満であった。
この結果から、工事現場の排水中に含まれるセレン濃度は0.03〜0.1mg/L程度であることを考慮すると、本発明によってセレンを含む排水を充分に処理できることが理解される。
試験例3と同様に、混合液a1〜d1を得た後、各混合液中で生成した硫酸バリウムを濾過で除かずに、混合液a1〜d1に上記で合成した褐色のアカガネイト0.5w/w%をそれぞれ添加し、25℃で10分撹拌した後、濾紙に通して、硫酸バリウムの沈殿及びアカガネイトの粉体(沈殿)を濾過し、透明な濾液a4〜d4を得た。
得られた濾液a4〜d4に含まれるセレン酸イオン濃度を前記ICP発光分光分析法で測定したところ、a4>b4>c4≒d4の大小関係であった。
この結果から、硫酸バリウムは、アカガネイトのセレン酸イオンの吸着を妨げないことが明らかである。
Claims (19)
- 硫酸イオン及び硫酸イオン以外の無機化合物の陰イオンを含む原水が導入される原水槽と、
バリウムイオンが含まれるバリウム水溶液を保持するバリウム槽と、
前記バリウム水溶液を前記バリウム槽から前記原水槽へ供給するバリウム供給部と、
前記原水槽に導入された前記原水と、これに混合された前記バリウム水溶液との第一混合液が導入され、前記第一混合液に含まれる硫酸バリウムと第一の上澄み液とを分離する第一濁水処理装置と、
前記第一混合液を前記原水槽から前記第一濁水処理装置へ送液する第一混合液送液部と、
前記第一の上澄み液が導入される吸着槽と、
前記第一の上澄み液を前記第一濁水処理装置から前記吸着槽へ送液する第一の上澄み液送液部と、
アカガネイトが含まれる薬液を保持する薬品調合槽と、
前記薬液を前記薬品調合槽から前記吸着槽へ供給する薬液供給部と、
を備えることを特徴とする水処理システム。 - 前記薬品調合槽に供給する塩化鉄(III)が含まれる第一水溶液を貯留する第一貯留槽と、
前記薬品調合槽に供給する、アルカリ金属の炭酸水素塩、炭酸塩及び水酸化物塩、並びに、アルカリ土類金属の炭酸水素塩、炭酸塩及び水酸化物塩から選ばれる1種以上の塩(S)が含まれる第二水溶液を貯留する第二貯留槽と、
前記第一水溶液を前記第一貯留槽から前記薬品調合槽へ供給する第一水溶液供給部と、
前記第二水溶液を前記第二貯留槽から前記薬品調合槽へ供給する第二水溶液供給部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の水処理システム。 - 前記吸着槽に導入された前記第一の上澄み液と、これに混合された前記薬液との第二混合液が導入され、前記第二混合液に含まれるアカガネイトと第二の上澄み液とを分離する第二濁水処理装置と、
前記第二混合液を前記吸着槽から前記第二濁水処理装置へ送液する第二混合液送液部と、
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の水処理システム。 - 前記硫酸バリウム及びアカガネイトを凝集させる凝集剤を保持する第三貯留槽と、
前記凝集剤を前記第三貯留槽から前記第一濁水処理装置へ供給する凝集剤第一供給部と、
前記凝集剤を前記第三貯留槽から前記第二濁水処理装置へ供給する凝集剤第二供給部と、
を備えることを特徴とする請求項3に記載の水処理システム。 - 前記第二の上澄み液を受け入れて一時的に貯留する放流槽と、
前記第二の上澄み液を前記第二濁水処理装置から前記放流槽へ送液する第二の上澄み液送液部と、
を備えることを特徴とする請求項3又は4に記載の水処理システム。 - 前記第二濁水処理装置から前記アカガネイトを含む沈殿物を受け入れる貯泥槽と、
前記沈殿物を前記第二濁水処理装置から前記貯泥槽へ移送する第二沈殿物移送部と、
前記硫酸バリウムを前記第一濁水処理装置から前記貯泥槽へ移送する第一沈殿物移送部と、
を備えることを特徴とする請求項3〜5の何れか一項に記載の水処理システム。 - 前記硫酸バリウム及び前記沈殿物のうち少なくとも一方を脱水する脱水装置と、
前記硫酸バリウム及び前記沈殿物のうち少なくとも一方を前記貯泥槽から前記脱水装置へ移送する第三沈殿物移送部と、
を備えることを特徴とする請求項6に記載の水処理システム。 - 請求項1〜7の何れか一項に記載の水処理システムを用いた水処理方法であって、
前記原水を前記原水槽へ導入する工程と、
前記バリウム水溶液を前記バリウム槽から前記原水槽へ供給する工程と、
前記原水槽において前記原水及び前記バリウム水溶液を混合し、その第一混合液を前記第一濁水処理装置へ導入し、前記第一混合液に含まれる硫酸バリウムと第一の上澄み液とを分離する工程と、
前記第一の上澄み液を前記吸着槽へ導入する工程と、
前記薬液を前記薬品調合槽から前記吸着槽へ供給する工程と、
前記吸着槽において前記第一の上澄み液と前記薬液を混合し、得られた第二混合液の中で前記薬液に含まれるアカガネイトに対して前記無機化合物の陰イオンを吸着させる工程と、
を有することを特徴とする水処理方法。 - 請求項2に記載の水処理システムを用いた水処理方法であって、
前記第一貯留槽と前記第二貯留槽から、塩化鉄(III)を含む第一水溶液と、前記1種以上の塩(S)を含む第二水溶液をそれぞれ前記薬品調合槽へ供給し、前記薬品調合槽において前記第一水溶液と前記第二水溶液を混合することにより、得られた混合液の中でアカガネイトを生成する工程
を有することを特徴とする請求項8に記載の水処理方法。 - 硫酸イオン及び硫酸イオン以外の無機化合物の陰イオンが含まれる原水に、バリウムイオンを添加して硫酸バリウムを生成し、遊離の硫酸イオンの濃度が低減した一次処理液を得る第一工程と、
前記一次処理液をアカガネイトに接触させることにより、前記無機化合物の陰イオンを前記アカガネイトに吸着させ、前記無機化合物の陰イオンの濃度が低減した二次処理液を得る第二工程と、
を有することを特徴とする水処理方法。 - 硫酸イオン及び硫酸イオン以外の無機化合物の陰イオンを含む原水が導入される原水槽と、
バリウムイオンが含まれるバリウム水溶液を保持するバリウム槽と、
前記バリウム水溶液を前記バリウム槽から前記原水槽へ供給するバリウム供給部と、
前記原水槽に導入された前記原水と、これに混合された前記バリウム水溶液との第一混合液が導入される吸着槽と、
前記第一混合液を前記原水槽から前記吸着槽へ送液する第一混合液送液部と、
アカガネイトが含まれる薬液を保持する薬品調合槽と、
前記薬液を前記薬品調合槽から前記吸着槽へ供給する薬液供給部と、
を備えることを特徴とする水処理システム。 - 前記薬品調合槽に供給する塩化鉄(III)が含まれる第一水溶液を貯留する第一貯留槽と、
前記薬品調合槽に供給する、アルカリ金属の炭酸水素塩、炭酸塩及び水酸化物塩、並びに、アルカリ土類金属の炭酸水素塩、炭酸塩及び水酸化物塩から選ばれる1種以上の塩(S)が含まれる第二水溶液を貯留する第二貯留槽と、
前記第一水溶液を前記第一貯留槽から前記薬品調合槽へ供給する第一水溶液供給部と、
前記第二水溶液を前記第二貯留槽から前記薬品調合槽へ供給する第二水溶液供給部と、
を備えることを特徴とする請求項11に記載の水処理システム。 - 前記吸着槽に導入された前記第一混合液と、これに混合された前記薬液との第二混合液が導入され、前記第二混合液に含まれる硫酸バリウム及びアカガネイトと第二の上澄み液とを分離する第二濁水処理装置と、
前記第二混合液を前記吸着槽から前記第二濁水処理装置へ送液する第二混合液送液部と、
を備えることを特徴とする請求項11又は12に記載の水処理システム。 - 前記硫酸バリウム及びアカガネイトを凝集させる凝集剤を保持する第三貯留槽と、
前記凝集剤を前記第三貯留槽から前記第二濁水処理装置へ供給する凝集剤第二供給部と、
を備えることを特徴とする請求項13に記載の水処理システム。 - 前記第二の上澄み液を受け入れて一時的に貯留する放流槽と、
前記第二の上澄み液を前記第二濁水処理装置から前記放流槽へ送液する第二の上澄み液送液部と、
を備えることを特徴とする請求項13又は14に記載の水処理システム。 - 前記第二濁水処理装置から前記硫酸バリウム及びアカガネイトを含む沈殿物を受け入れる貯泥槽と、
前記沈殿物を前記第二濁水処理装置から前記貯泥槽へ移送する第二沈殿物移送部と、
を備えることを特徴とする請求項13〜15の何れか一項に記載の水処理システム。 - 前記沈殿物を脱水する脱水装置と、
前記沈殿物を前記貯泥槽から前記脱水装置へ移送する第三沈殿物移送部と、
を備えることを特徴とする請求項16に記載の水処理システム。 - 請求項11〜17の何れか一項に記載の水処理システムを用いた水処理方法であって、
前記原水を前記原水槽へ導入する工程と、
前記バリウム水溶液を前記バリウム槽から前記原水槽へ供給する工程と、
前記原水槽において前記原水及び前記バリウム水溶液を混合し、形成された硫酸バリウムを含む第一混合液を前記吸着槽へ導入する工程と、
前記薬液を前記薬品調合槽から前記吸着槽へ供給する工程と、
前記吸着槽において前記第一混合液と前記薬液を混合し、得られた第二混合液の中で前記薬液に含まれるアカガネイトに対して前記無機化合物の陰イオンを吸着させる工程と、
を有することを特徴とする水処理方法。 - 請求項12に記載の水処理システムを用いた水処理方法であって、
前記第一貯留槽と前記第二貯留槽から、塩化鉄(III)を含む第一水溶液と、前記1種以上の塩(S)を含む第二水溶液をそれぞれ前記薬品調合槽へ供給し、前記薬品調合槽において前記第一水溶液と前記第二水溶液を混合することにより、得られた混合液の中でアカガネイトを生成する工程
を有することを特徴とする請求項18に記載の水処理方法。
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