JP2018055868A - ポリアニオン系正極活物質及びその製造方法 - Google Patents

ポリアニオン系正極活物質及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】リチウムイオン二次電池又はナトリウムイオン二次電池において、レート特性及びサイクル特性をともに高いレベルで発現することのできるポリアニオン正極活物質、及びその製造方法を提供する。【解決手段】単結晶子(a)の集結体粒子(b)が互いに複数添着してなるポリアニオン焼結体(X)の表面に、炭素源由来の炭素(c)が担持してなる、タップ密度が1.2〜1.7g・cm-3のポリアニオン系正極活物質であって、ポリアニオン焼結体(X)の単結晶子(a)のアスペクト比が1.0〜1.2であり、ポリアニオン焼結体(X)の単結晶子(a)の平均結晶子径とポリアニオン焼結体(X)のBET比表面積との比(平均結晶子径/BET比表面積)が3×10-11〜20×10-11(g・cm-1)であり、かつポリアニオン焼結体(X)が、少なくとも鉄又はマンガンを含む特定の式(I)、又は(II)で表されるポリアニオン系正極活物質。【選択図】図1

Description

本発明は、単結晶子の集結体粒子が互いに複数添着してなるポリアニオン焼結体の表面に、炭素源由来の炭素が担持してなるポリアニオン系正極活物質及びその製造方法に関する。
携帯電子機器、ハイブリッド自動車、電気自動車等に用いられるリチウムイオン二次電池やナトリウムイオン二次電池のような二次電池の開発が多々行われている。こうしたなか、Li(Fe,Mn)PO4等のリチウム含有オリビン型リン酸金属塩は、資源的な制約に大きく左右されることがなく、しかも高い安全性を発揮することができるため、高出力で大容量のリチウムイオン二次電池を得るのには最適な正極材料となる。しかしながら、これらの化合物は、結晶構造に由来して導電性が低く、またリチウムイオンの拡散性も低いため、従来より種々の開発がなされている。
例えば、特許文献1では、一次結晶粒子を超微粒子化して、オリビン型正極活物質内のリチウムイオン拡散距離の短縮化を図ることにより、得られる電池の性能向上を試みている。また、特許文献2では、正極活物質の粒子表面に伝導性炭質材料を均一に堆積させ、かかる粒子表面で規則的な電場分布を得ることにより、電池の高出力化を図っている。
一方、正極活物質の粒子表面を炭素で被覆した場合に、炭素膜の内外間でリチウム原子の移動量が制限されて、逆に充放電特性を高めることが困難となることを回避すべく、特許文献3には、有機化合物のプラズマ分解によって、正極活物質粒子の表面にカーボンナノチューブやナノグラフェン等のカーボンナノ構造体を被膜する方法が開示されている。
他方、電極活物質と導電助剤との結着性を高めて電池物性の向上を図る技術として、特許文献4には、これら電極活物質及び導電助剤と、水系バインダーとしてセルロースファイバーを含有する電極用スラリー組成物が開示されており、これを電極集電体上に塗布して乾燥させることにより、電極活物質層を形成させている。
さらに、リチウムは希少有価物質であることから、リチウムイオン二次電池の代替品として、ナトリウムイオン二次電池等も注目を浴びつつある。
例えば、特許文献5には、マリサイト型NaMnPO4を用いたナトリウム二次電池用活物質が開示されており、また特許文献6には、オリビン型構造を有するリン酸遷移金属ナトリウムを含む正極活物質が開示されており、いずれの文献においても高性能なナトリウムイオン二次電池が得られることを示している。
特開2010−251302号公報 特開2001−15111号公報 特開2011−76931号公報 国際公開第2012/074040号 特開2008−260666号公報 特開2011−34963号公報
しかしながら、幅広い分野での使用にも適用し得る高性能なリチウムイオン二次電池やナトリウムイオン二次電池としては、高いレート特性とサイクル特性を兼ね備えることが理想的ではあるものの、上記特許文献に記載のような従来の技術では、レート特性とサイクル特性との双方を高めるのは困難な状況にあり、こうした双方の特性をともに充分に発現できる正極活物質は、未だ実現されるに至っていない。
したがって、本発明の課題は、リチウムイオン二次電池又はナトリウムイオン二次電池において、レート特性及びサイクル特性をともに高いレベルで発現することのできるポリアニオン正極活物質、及びその製造方法を提供することにある。
そこで本発明者らは、種々検討したところ、特定のアスペクト比を有する単結晶子の集結体粒子が、互いに複数添着してなるポリアニオン焼結体の表面に、炭素源由来の炭素が担持してなり、ポリアニオン焼結体中の単結晶子の平均結晶子径とポリアニオン焼結体のBET比表面積が特定の比を有する関係にある、特定のタップ密度を有するポリアニオン系正極活物質であれば、優れたレート特性及びサイクル特性を発現できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、単結晶子(a)の集結体粒子(b)が互いに複数添着してなるポリアニオン焼結体(X)の表面に、炭素源由来の炭素(c)が担持してなる、タップ密度が1.2〜1.7g・cm-3のポリアニオン系正極活物質であって、
ポリアニオン焼結体(X)の単結晶子(a)のアスペクト比が1.0〜1.2であり、ポリアニオン焼結体(X)の単結晶子(a)の平均結晶子径とポリアニオン焼結体(X)のBET比表面積との比(平均結晶子径/BET比表面積)が3×10-11〜20×10-11(g・cm-1)であり、かつ
ポリアニオン焼結体(X)が、少なくとも鉄又はマンガンを含む下記式(I)、又は(II):
LiFeaMnbcPO4・・・(I)
(式(I)中、MはMg、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。a、b及びcは、0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c≦0.2、及び2a+2b+(Mの価数)×c=2を満たし、かつa+b≠0を満たす数を示す。)
NaFegMnhiPO4・・・(II)
(式(C)中、QはMg、Ca、Co、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。g、h及びiは、0≦g≦1、0≦h≦1、0≦i<1、及び2g+2h+(Qの価数)×i=2を満たし、かつg+h≠0を満たす数を示す。)
で表されるポリアニオン系正極活物質を提供するものである。
また、本発明は、単結晶子(a)の集結体粒子(b)が互いに複数添着してなるポリアニオン焼結体(X)の表面に、炭素源由来の炭素(c)が担持してなる、タップ密度が1.2〜1.7g・cm-3のポリアニオン系正極活物質であって、
ポリアニオン焼結体(X)の単結晶子(a)のアスペクト比が1.0〜1.2であり、
ポリアニオン焼結体(X)の単結晶子(a)の平均結晶子径とポリアニオン焼結体(X)のBET比表面積との比(平均結晶子径/BET比表面積)が3×10-11〜20×10-11(g・cm-1)であり、かつ
ポリアニオン焼結体(X)が、少なくとも鉄又はマンガンを含む下記式(I)、又は(II):
LiFeaMnbcPO4・・・(I)
(式(I)中、MはMg、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。a、b及びcは、0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c≦0.2、及び2a+2b+(Mの価数)×c=2を満たし、かつa+b≠0を満たす数を示す。)
NaFegMnhiPO4・・・(II)
(式(C)中、QはMg、Ca、Co、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。g、h及びiは、0≦g≦1、0≦h≦1、0≦i<1、及び2g+2h+(Qの価数)×i=2を満たし、かつg+h≠0を満たす数を示す。)
で表されるポリアニオン系正極活物質の製造方法であり、
リチウム化合物又はナトリウム化合物を含む混合物Xに、リン酸化合物を混合して複合体Xを得る工程(I)、
得られた複合体Xと、少なくとも鉄化合物又はマンガン化合物を含む金属塩を含有するスラリー水Yを水熱反応に付して複合体Yを得る工程(II)、
得られた複合体Yを100〜700℃で焼成してポリアニオン焼結体(X)を得る工程(III)、並びに
得られたポリアニオン焼結体(X)に炭素源を添加して、500〜800℃で焼成する工程(IV)
を備えるポリアニオン系正極活物質の製造方法を提供するものである。
本発明のポリアニオン系正極活物質によれば、リチウムイオン二次電池又はナトリウムイオン二次電池において、優れたレート特性とサイクル特性とを良好に発現することができ、幅広い分野での使用にも適用し得る高性能な二次電池を容易に実現することができる。
実施例1で得られたポリアニオン系正極活物質を示すTEM像である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のポリアニオン系正極活物質は、単結晶子(a)の集結体粒子(b)が互いに複数添着してなるポリアニオン焼結体(X)の表面に、炭素源由来の炭素(c)が担持してなる。
本発明で用いるポリアニオン焼結体(X)は、下記式(I)、又は(II):
LiFeaMnbcPO4・・・(I)
(式(I)中、MはMg、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。a、b及びcは、0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c≦0.2、及び2a+2b+(Mの価数)×c=2を満たし、かつa+b≠0を満たす数を示す。)
NaFegMnhiPO4・・・(II)
(式(II)中、QはMg、Ca、Co、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。g、h及びiは、0≦g≦1、0≦h≦1、0≦i<1、及び2g+2h+(Qの価数)×i=2を満たし、かつg+h≠0を満たす数を示す。)
で表され、少なくとも鉄又はマンガンを含むポリアニオン材料、いわゆる正極活物質用材料である。
これらのポリアニオン焼結体(X)は、いずれもオリビン型構造を有しており、少なくとも鉄又はマンガンを含む。上記式(I)で表されるポリアニオン焼結体(X)からなるポリアニオン系正極活物質は、いわゆるリチウムイオン二次電池用正極活物質であり、上記式(II)で表されるポリアニオン焼結体(X)からなるポリアニオン系正極活物質は、いわゆるナトリウムイオン二次電池用正極活物質である。
上記式(I)で表されるポリアニオン焼結体(X)は、いわゆる少なくとも遷移金属として鉄(Fe)及びマンガン(Mn)を含むオリビン型リン酸遷移金属リチウム化合物である。式(I)中、Mは、Mg、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示し、好ましくはMg、Zr、Mo又はCoである。
式(I)中、aは0≦a≦1であって、bは0≦b≦1であり、cは0≦c≦0.2であり、cは0≦c≦0.2であり、そしてこれらa、b及びcは、0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c≦0.2、及び2a+2b+(Mの価数)×c=2を満たし、かつa+b≠0を満たす数であるが、bが0であってもよく、この際aが0を超え、式(I)で表されるポリアニオン焼結体(X)は、鉄を含みマンガンを含まない、いわゆるリン酸鉄リチウム化合物(I−1)である。具体的には、例えばLiFePO4、LiFe0.9Mg0.1PO4、LiFe0.94Zr0.03PO4等が挙げられる。
また、式(I)中、aが0であってもよく、この際bが0を超え、式(I)で表されるポリアニオン焼結体(X)は、マンガンを含み鉄を含まない、いわゆるリン酸マンガンリチウム化合物(I−2)である。具体的には、例えばLiMnPO4、LiMn0.9Mg0.1PO4、LiMn0.94Zr0.03PO4等が挙げられる。
さらに、aは好ましくは0.01≦a≦0.99であり、より好ましくは0.1≦a≦0.9であり、bは好ましくは0.01≦b≦0.99であり、より好ましくは0.1≦b≦0.9であり、cは好ましくは0≦c≦0.1であってもよい。すなわち、この際、式(I)で表されるポリアニオン焼結体(X)は、鉄及びマンガンの双方を含む、いわゆるリン酸鉄マンガンリチウム化合物(I−3)である。具体的には、例えばLiFe0.9Mn0.1PO4、LiFe0.2Mn0.8PO4、LiFe0.15Mn0.75Mg0.1PO4、LiFe0.19Mn0.75Zr0.03PO4等が挙げられる。
上記式(II)で表されるポリアニオン焼結体(X)は、いわゆる少なくとも遷移金属として鉄(Fe)及びマンガン(Mn)を含むオリビン型リン酸遷移金属ナトリウム化合物である。式(II)中、QはMg、Ca、Co、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示し、好ましくはMg、Zr、Mo又はCoである。
式(II)中、gは0≦g≦1であって、hは、0≦h≦1であり、iは、0≦i<1であり、そして、これらg、h及びiは、0≦g≦1、0≦h≦1、及び0≦i<1、2g+2h+(Qの価数)×i=2を満たし、かつg+h≠0を満たす数であるが、iが0であってもよく、この際gが0を超え、式(II)で表されるポリアニオン焼結体(X)は、鉄を含みマンガンを含まない、いわゆるリン酸鉄ナトリウム化合物(II−1)である。具体的には、例えばNaFePO4、NaFe0.9Mg0.1PO4、NaFe0.94Zr0.03PO4等が挙げられる。
また、式(II)中、gが0であってもよく、この際iが0を超え、式(II)で表されるポリアニオン焼結体(X)は、マンガンを含み鉄を含まない、いわゆるリン酸マンガンナトリウム化合物(II−2)である。具体的には、例えばNaMnPO4、NaMn0.9Mg0.1PO4、NaMn0.94Zr0.03PO4等が挙げられる。
さらに、gは好ましくは0<g≦1であり、hは好ましくは0.5≦h<1であってもよい。iは好ましくは0≦i≦0.5であり、より好ましくは0≦i≦0.3であってもよい。すなわち、この際、式(II)で表されるポリアニオン焼結体(X)は、鉄及びマンガンの双方を含む、いわゆるリン酸鉄マンガンナトリウム化合物(II−3)である。具体的には、例えばNaFe0.9Mn0.1PO4、NaFe0.2Mn0.8PO4、NaFe0.15Mn0.7Mg0.15PO4、NaFe0.19Mn0.75Zr0.03PO4、NaFe0.19Mn0.75Mo0.03PO4、NaFe0.15Mn0.7Co0.15PO4等が挙げられる。
本発明で用いる上記ポリアニオン焼結体(X)は、さらに単結晶子(a)の集結体粒子(b)が互いに複数添着してなる。すなわち、通常のポリアニオン材料であると、単結晶子がそのまま単独で一次粒子を形成してなり、次いで炭素を担持するための焼成が行われるが、一次粒子間に炭素が存在するため、一次粒子同士が添着することなく、焼成後も単結晶子がそのまま単独で一次粒子を形成してなる。これに対し、本発明におけるポリアニオン焼結体(X)は、炭素を担持するための焼成が行われる前に予め焼成してなるため、一次粒子である単結晶子(a)が複数集結して二次粒子である集結体粒子(b)を形成してなり、さらにこれら複数の集結体粒子(b)が互いにその一部において添着しつつ、三次体であるポリアニオン焼結体(X)を形成してなる。このように、集結体粒子(b)が互いに複数添着してなることにより、ポリアニオン焼結体(X)の粒子内に適度な空隙を存在させることとなって後述する特定のタップ密度を有することができるとともに、こうした構造を呈しながら、単結晶子(a)及びポリアニオン焼結体(X)が後述する特定の物性を有することにより、ポリアニオン焼結体(X)を微細な単結晶子(a)で形成しつつBET比表面積をも低減することができるので、レート特性とサイクル特性とを双方ともに効果的かつ有効に高めることができる。
より具体的には、ポリアニオン焼結体(X)の単結晶子(a)のアスペクト比は、1.0〜1.2であって、好ましくは1.0〜1.1である。ここで、単結晶子(a)のアスペクト比とは、TEM像において同一方向の格子縞で特定される一粒子について、(最大長径/最大長径に直交する幅)で定義される粒子の形状を表す比である。
単結晶子(a)がこのような値のアスペクト比を有することは、かかる単結晶子(a)が球状の粒子(一次粒子)であることを意味する。そして、さらに複数の単結晶子(a)が複数集結して集結体粒子(b)(二次粒子)を形成してなり、集結体粒子(b)一粒子あたりに存在する単結晶子(a)の数は、ポリアニオン焼結体(X)の種類等によっても変動し得るが、好ましくは2〜10個であり、より好ましくは2〜7個である。
単結晶子(a)が複数集結してなる集結体粒子(b)は、さらに複数添着してポリアニオン焼結体(X)を形成してなる。微細な複数の単結晶子(a)で形成されてなる集結体粒子(b)が、さらに複数でポリアニオン焼結体(X)を形成してなることにより、ポリアニオン焼結体(X)の比表面積を効果的に低減することができるだけでなく、ポリアニオン焼結体(X)の粒子内に適度な空隙を存在させることができ、得られる電池におけるレート特性とサイクル特性との両立を有効に図ることができる。ポリアニオン焼結体(X)一粒子あたりに存在する集結体粒子(b)(二次粒子)の数は、ポリアニオン焼結体(X)の種類等によっても変動し得るが、好ましくは10〜10000個であり、より好ましくは20〜8000個である。
単結晶子(a)を微細化しつつ、比表面積が効果的に低減されてなるポリアニオン焼結体(X)において、ポリアニオン焼結体(X)の単結晶子(a)の平均結晶子径とポリアニオン焼結体(X)のBET比表面積との比(平均結晶子径/BET比表面積)は、3×10-11〜20×10-11(g・cm-1)であって、好ましくは3×10-11〜18×10-11(g・cm-1)であり、より好ましくは3×10-11〜16×10-11(g・cm-1)である。
ポリアニオン焼結体(X)の単結晶子(a)の平均結晶子径、及びポリアニオン焼結体(X)のBET比表面積は、ポリアニオン焼結体(X)の種類によって、その値が変動し得る。なお、平均結晶子径とは、シェラーの式を適用することにより求められる算出値であり、BET比表面積とは、窒素吸着の吸着等温線からのBET理論による算出値である。
なお、ポリアニオン系正極活物質の表面には、担持された炭素が存在することにより、ポリアニオン系正極活物質から直接的にポリアニオン焼結体(X)のBET比表面積を測定することは不可能である。そのため、本明細書では、これらポリアニオン焼結体(X)の単結晶子(a)の平均結晶子径、及びポリアニオン焼結体(X)のBET比表面積は、炭素を担持するための焼成が行われる前のポリアニオン焼結体(X)について測定される値とする。
具体的には、例えば、ポリアニオン焼結体(X)が上記式(I)で表されるリン酸鉄リチウム化合物(I−1)である場合、かかるポリアニオン焼結体(X)の単結晶子(a)の平均結晶子径は、好ましくは200nm以下であり、より好ましくは40〜180nmであり、さらに好ましくは40〜160nmである。また、ポリアニオン焼結体(X)のBET比表面積は、好ましくは20m2・g-1以下であり、より好ましくは3〜18m2・g-1であり、さらに好ましくは5〜16m2・g-1である。
また、ポリアニオン焼結体(X)が上記式(I)で表されるリン酸マンガンリチウム化合物(I−2)、又はリン酸鉄マンガンリチウム化合物(I−3)である場合、かかるポリアニオン焼結体(X)の単結晶子(a)の平均結晶子径は、好ましくは200nm以下であり、より好ましくは30〜150nmであり、さらに好ましくは30〜130nmである。また、ポリアニオン焼結体(X)のBET比表面積は、好ましくは30m2・g-1以下であり、より好ましくは10〜28m2・g-1であり、さらに好ましくは12〜26m2・g-1である。
他方、ポリアニオン焼結体(X)が上記式(II)で表されるリン酸鉄ナトリウム化合物(II−1)である場合、かかるポリアニオン焼結体(X)の単結晶子(a)の平均結晶子径は、好ましくは200nm以下であり、より好ましくは40〜180nmであり、さらに好ましく40〜160nmである。またポリアニオン焼結体(X)のBET比表面積は、好ましくは20m2・g-1以下であり、より好ましくは3〜18m2・g-1であり、さらに好ましくは5〜16m2・g-1である。
また、ポリアニオン焼結体(X)が上記式(II)で表されるリン酸マンガンナトリウム化合物(II−2)、又はリン酸鉄マンガンナトリウム化合物(II−3)である場合、かかるポリアニオン焼結体(X)の単結晶子(a)の平均結晶子径は、好ましくは200nm以下であり、より好ましくは30〜150nmであり、さらに好ましくは30〜130nmである。また、ポリアニオン焼結体(X)のBET比表面積は、好ましくは30m2・g-1以下であり、より好ましくは10〜28m2・g-1であり、さらに好ましくは12〜26m2・g-1である。
本発明のポリアニオン系正極活物質は、上記のような物性を有するポリアニオン焼結体(X)の表面に、炭素源由来の炭素(c)が担持してなる。すなわち、複数の上記集結体粒子(b)が添着してなり、一部には空隙を有する上記ポリアニオン焼結体(X)において、適度な空隙を保持させたまま、露出したポリアニオン焼結体(X)の表面を炭素源由来の炭素(c)が包埋するよう堅固に担持されてなる。そのため、これから得られるポリアニオン系正極活物質を二次電池用正極として用いた際、FeやMn等の金属の電解液への溶出を有効に抑制しつつ、電解液を介したリチウムイオンやナトリウムイオンの移動の自由度を良好に確保することが可能となり、優れたレート特性とサイクル特性を双方ともに発現することができるものと推定される。
かかる炭素源由来の炭素(c)における炭素源としては、具体的には、セルロースナノファイバー(略称:CNF)が挙げられるほか、セルロースナノファイバー以外の水不溶性導電性炭素材料、及び水溶性炭素材料が挙げられる。
セルロースナノファイバーとは、全ての植物細胞壁の約5割を占める骨格成分であって、かかる細胞壁を構成する植物繊維をナノサイズまで解繊等することにより得ることができる軽量高強度繊維であり、セルロースナノファイバー由来の炭素は、周期的構造を有する。かかるセルロースナノファイバーの繊維径は、1nm〜500μmであり、水への良好な分散性も有している。また、セルロースナノファイバーを構成するセルロース分子鎖では、炭素による周期的構造が形成されていることから、これが炭化されつつポリアニオン焼結体(X)の表面に堅固に担持されることにより、レート特性とサイクル特性をともに向上させることのできる有用な正極活物質を得ることができる。
また、上記炭素源としての水不溶性導電性炭素材料とは、セルロースナノファイバー以外の炭素源であり、25℃の水100gに対する溶解量が、水不溶性導電性炭素材料の炭素原子換算量で0.4g未満である水不溶性の炭素材料であって、焼成等せずともそのもの自体が導電性を有する炭素源である。かかる水不溶性導電性炭素材料としては、グラファイト、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、及びサーマルブラックから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。なかでも、特定の無機化合物と相まって、ポリアニオン焼結体(X)の表面に効果的に担持させる観点から、グラファイトが好ましい。グラファイトとしては、人造グラファイト(鱗片状、塊状、土状、グラフェン)、天然グラファイトのいずれであってもよい。
水不溶性導電性炭素材料のBET比表面積は、優れたレート特性とサイクル特性を効果的に両立させる観点から、好ましくは1〜750m2/gであり、より好ましくは3〜500m2/gである。また、かかる水不溶性導電性炭素材料の平均粒子径は、同様の観点から、好ましくは0.5〜20μmであり、より好ましくは1.0〜15μmである。
さらに、上記炭素源としての水溶性炭素材料とは、25℃の水100gに、水溶性炭素材料の炭素原子換算量で0.4g以上、好ましくは1.0g以上溶解する炭素材料を意味し、炭化されることで炭素として上記ポリアニオン焼結体(X)の粒子表面に存在する。かかる水溶性炭素材料としては、例えば、糖類、ポリオール、ポリエーテル、及び有機酸から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。より具体的には、例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース等の単糖類;マルトース、スクロース、セロビオース等の二糖類;デンプン、デキストリン等の多糖類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ブタンジオール、プロパンジオール、ポリビニルアルコール、グリセリン等のポリオールやポリエーテル;クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸等の有機酸が挙げられる。なかでも、溶媒への溶解性及び分散性を高めて炭素材料として効果的に機能させる観点から、グルコース、フルクトース、スクロース、デキストリンが好ましく、グルコースがより好ましい。
これら炭素源のなかでも、ポリアニオン焼結体(X)が有する空隙を適度に保持したまま、かかるポリアニオン焼結体(X)の表面全域にわたって炭素を包埋させ、効果的にレート特性とサイクル特性の両立を図る観点から、セルロースナノファイバーが好ましい。
本発明のポリアニオン系正極活物質における炭素源由来の炭素(c)の担持量(炭素源由来の炭素の原子換算量)は、本発明のポリアニオン系正極活物質中に、好ましくは0.1〜15質量%であり、より好ましくは0.2〜10質量%であり、さらに好ましくは0.4〜8質量%である。
具体的には、炭素源がセルロースナノファイバーである場合、かかるセルロースナノファイバー由来の炭素の原子換算量(炭素(c)の担持量)は、本発明のポリアニオン系正極活物質中に、好ましくは0.1〜10質量%であり、より好ましくは0.2〜8質量%であり、さらに好ましくは0.4〜6質量%である。また、炭素源が上記水不溶性導電性炭素材料である場合、かかる水不溶性導電性炭素材料由来の炭素の原子換算量(炭素(c)の担持量)は、本発明のポリアニオン系正極活物質中に、好ましくは0.2〜15質量%であり、より好ましくは0.4〜12質量%であり、さらに好ましくは0.6〜10質量%である。さらに、炭素源が上記水溶性炭素材料である場合、かかる水溶性炭素材料由来の炭素の原子換算量(炭素(c)の担持量)は、本発明のポリアニオン系正極活物質中に、好ましくは0.2〜15質量%であり、より好ましくは0.4〜12質量%であり、さらに好ましくは0.6〜10質量%である。
なお、ポリアニオン系正極活物質中に存在する炭素源由来の炭素(c)の原子換算量(炭素(c)の担持量)は、炭素・硫黄分析装置を用いて測定した炭素量として、確認することができる。
本発明のポリアニオン系正極活物質のタップ密度は、1.2〜1.7g・cm-3であり、好ましくは1.2〜1.6g・cm-3であり、より好ましくは1.2〜1.5g・cm-3である。ポリアニオン系正極活物質がかかるタップ密度を有することは、集結体粒子(b)が互いに複数添着して形成されてなるポリアニオン焼結体(X)により構成され、ポリアニオン系正極活物質の粒子内部に適度な空隙が存在することによるものであり、FeやMn等の金属の電解液への溶出を有効に抑制しつつ、電解液を介したリチウムイオンやナトリウムイオンの移動の自由度を良好に確保することが可能となり、優れたレート特性とサイクル特性を双方ともに発現することに大きく寄与するものと考えられる。
本発明のポリアニオン系正極活物質の製造方法は、
リチウム化合物又はナトリウム化合物を含む混合物Xに、リン酸化合物を混合して複合体Xを得る工程(I)、
得られた複合体Xと、少なくとも鉄化合物又はマンガン化合物を含む金属塩を含有するスラリー水Yを水熱反応に付して複合体Yを得る工程(II)、
得られた複合体Yを100〜700℃で焼成してポリアニオン焼結体(X)を得る工程(III)、並びに
得られたポリアニオン焼結体(X)に炭素源を添加して、500〜800℃で焼成する工程(IV)
を備える。
工程(I)は、リチウム化合物又はナトリウム化合物を含む混合物Xに、リン酸化合物を混合して複合体Xを得る工程である。
用い得るリチウム化合物又はナトリウム化合物としては、水酸化物(例えばLiOH・H2O、NaOH)、炭酸化物、硫酸化物、酢酸化物が挙げられる。なかでも、水酸化物が好ましい。
混合物Xにおけるリチウム化合物の含有量は、水100質量部に対し、好ましくは5〜50質量部であり、より好ましくは7〜45質量部である。より具体的には、工程(I)においてリン酸化合物を用いた場合、混合物Xにおけるリチウム化合物又はナトリウム化合物の含有量は、水100質量部に対し、好ましくは5〜50質量部であり、より好ましくは10〜45質量部である。
混合物Xにリン酸化合物を混合する前に、予め混合物Xを撹拌しておくのが好ましい。かかる混合物Xの撹拌時間は、好ましくは1〜15分であり、より好ましくは3〜10分である。また、混合物Xの温度は、好ましくは20〜90℃であり、より好ましくは20〜70℃である。
工程(I)で用いるリン酸化合物としては、オルトリン酸(H3PO4、リン酸)、メタリン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸、リン酸アンモニウム、リン酸水素アンモニウム等が挙げられる。なかでもリン酸を用いるのが好ましく、70〜90質量%濃度の水溶液として用いるのが好ましい。かかる工程(I)では、混合物Xにリン酸を混合するにあたり、混合物Xを撹拌しながらリン酸を滴下するのが好ましい。混合物Xにリン酸を滴下して少量ずつ加えることで、混合物X中において良好に反応が進行して、複合体Xがスラリー中で均一に分散しつつ生成され、かかる複合体Xが不要に凝集するのをも効果的に抑制することができる。
リン酸の上記混合物Xへの滴下速度は、好ましくは15〜50mL/分であり、より好ましくは20〜45mL/分であり、さらに好ましくは28〜40mL/分である。また、リン酸を滴下しながらの混合物Xの撹拌時間は、好ましくは0.5〜24時間であり、より好ましくは3〜12時間である。さらに、リン酸を滴下しながらの混合物Xの撹拌速度は、好ましくは200〜700rpmであり、より好ましくは250〜600rpmであり、さらに好ましくは300〜500rpmである。
なお、混合物Xを撹拌する際、さらに混合物Xの沸点温度以下に冷却するのが好ましい。具体的には、80℃以下に冷却するのが好ましく、20〜60℃に冷却するのがより好ましい。
リン酸化合物を混合した後の混合物Xは、リン酸1モルに対し、リチウム又はナトリウムを2.0〜4.0モル含有するのが好ましく、2.0〜3.1モル含有するのがより好ましく、このような量となるよう、上記リチウム化合物又はナトリウム化合物と、リン酸化合物を用いればよい。より具体的には、工程(I)においてリン酸化合物を用いた場合、リン酸化合物を混合した後の混合物Xは、リン酸1モルに対し、リチウム又はナトリウムを2.7〜3.3モル含有するのが好ましく、2.8〜3.1モル含有するのがより好ましい。
このような量となるよう、上記リチウム化合物又はナトリウム化合物と、リン酸化合物を用いればよい。
リン酸化合物を混合した後の混合物Xに対して窒素をパージすることにより、かかる混合物中での反応を完了させて、上記(I)〜(II)で表されるポリアニオン焼結体(X)の前駆体である複合体Xを混合物中に生成させる。窒素がパージされると、混合物X中の溶存酸素濃度が低減された状態で反応を進行させることができ、また得られる複合体Xを含有する混合物中の溶存酸素濃度も効果的に低減されるため、次の工程で添加する鉄化合物やマンガン化合物等の酸化を抑制することができる。かかる複合体Xを含有する混合物中において、上記(I)〜(II)で表されるポリアニオン焼結体(X)の前駆体とは、リン酸三リチウム(Li3PO4)であり、微細な分散粒子として存在する。
窒素をパージする際における圧力は、好ましくは0.1〜0.2MPaであり、より好ましくは0.1〜0.15MPaである。また、リン酸化合物を混合した後の混合物Xの温度は、好ましくは20〜80℃であり、より好ましくは20〜60℃である。例えば上記式(I)で表されるポリアニオン焼結体(X)の場合、反応時間は、好ましくは5〜60分であり、より好ましくは15〜45分である。
また、窒素をパージする際、反応を良好に進行させる観点から、リン酸化合物を混合した後の混合物Xを撹拌するのが好ましい。このときの撹拌速度は、好ましくは200〜700rpmであり、より好ましくは250〜600rpmである。
また、より効果的に複合体Xの分散粒子表面における酸化を抑制し、分散粒子の微細化を図る観点から、リン酸化合物を混合した後の混合物X中における溶存酸素濃度を0.5mg/L以下とするのが好ましく、0.2mg/L以下とするのがより好ましい。
工程(II)は、工程(I)で得られた複合体Xと、少なくとも鉄化合物又はマンガン化合物を含む金属塩を含有するスラリー水Yを水熱反応に付して、複合体Yを得る工程である。上記工程(I)により得られた複合体Xを、混合物のまま、上記(I)〜(II)で表されるポリアニオン焼結体(X)の前駆体として用い、これに少なくとも鉄化合物又はマンガン化合物を含む金属塩を添加して、スラリー水Yとして用いるのが好ましい。これにより、工程を簡略化させつつ、上記(I)〜(II)で表されるポリアニオン焼結体(X)が極めて微細な粒子になるとともに、後工程において効率的に炭素源由来の炭素(c)を担持させることが可能となり、非常に有用な二次電池用正極活物質を得ることができる。
用い得る鉄化合物としては、酢酸鉄、硝酸鉄、硫酸鉄等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、電池特性を高める観点から、硫酸鉄が好ましい。
用い得るマンガン化合物としては、酢酸マンガン、硝酸マンガン、硫酸マンガン等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、電池特性を高める観点から、硫酸マンガンが好ましい。
金属塩として、鉄化合物とマンガン化合物の双方を用いる場合、これらマンガン化合物及び鉄化合物の使用モル比(マンガン化合物:鉄化合物)は、好ましくは99:1〜1:99であり、より好ましくは90:10〜10:90である。また、これら鉄化合物及びマンガン化合物の合計添加量は、スラリー水Y中に含有されるLi3PO4 1モルに対し、好ましくは0.99〜1.01モルであり、より好ましくは0.995〜1.005モルである。
さらに、必要に応じて、金属塩として、鉄化合物及びマンガン化合物以外の金属(M、N又はQ)塩を用いてもよい。金属(M、N又はQ)塩におけるM、N及びQは、上記式(I)〜(II)中のM、N及びQと同義であり、かかる金属塩として、硫酸塩、ハロゲン化合物、有機酸塩、及びこれらの水和物等を用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。なかでも、電池物性を高める観点から、硫酸塩を用いるのがより好ましい。
これら金属(M、N又はQ)塩を用いる場合、鉄化合物、マンガン化合物、及び金属(M、N又はQ)塩の合計添加量は、上記工程(I)において得られた混合物中のリン酸1モルに対し、好ましくは0.99〜1.01モルであり、より好ましくは0.995〜1.005モルである。
水熱反応に付する際に用いる水の使用量は、用いる金属塩の溶解性、撹拌の容易性、及び合成の効率等の観点から、スラリー水Y中に含有されるリン酸イオン1モルに対し、好ましくは10〜30モルであり、より好ましくは12.5〜25モルである。
工程(II)において、鉄化合物、マンガン化合物及び金属(M、N又はQ)塩の添加順序は特に制限されない。また、これらの金属塩を添加するとともに、必要に応じて酸化防止剤を添加してもよい。かかる酸化防止剤としては、亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)、ハイドロサルファイトナトリウム(Na224)、アンモニア水等を使用することができる。酸化防止剤の添加量は、過剰に添加されることで、上記式(I)〜(II)で表されるポリアニオン焼結体(X)の生成が抑制されるのを防止する観点から、鉄化合物、マンガン化合物及び必要に応じて用いる金属(M、N又はQ)塩の合計1モルに対し、好ましくは0.01〜1モルであり、より好ましくは0.03〜0.5モルである。
鉄化合物、マンガン化合物及び必要に応じて用いる金属(M、N又はQ)塩や酸化防止剤を添加することにより得られるスラリーY中における複合体Yの含有量は、好ましくは10〜50質量%であり、より好ましくは15〜45質量%であり、さらに好ましくは20〜40質量%である。
工程(II)における水熱反応は、100℃以上であればよく、130〜180℃が好ましい。水熱反応は耐圧容器中で行うのが好ましく、130〜180℃で反応を行う場合、この時の圧力は0.3〜0.9MPaであるのが好ましく、140〜160℃で反応を行う場合の圧力は0.3〜0.6MPaであるのが好ましい。水熱反応時間は0.1〜48時間が好ましく、さらに0.2〜24時間が好ましい。
得られた複合体Yは、ろ過後、水で洗浄し、乾燥することにより単離できる。なお、乾燥手段は、凍結乾燥、真空乾燥が用いられる。
得られる複合体YのBET比表面積は、高温環境下におけるサイクル特性を向上させる観点、及び良好な電池容量を保持する観点から、好ましくは5〜40m2/gであり、より好ましくは5〜20m2/gである。
工程(III)は、工程(II)で得られた複合体Yを100〜700℃で焼成してポリアニオン焼結体(X)を得る工程である。このような低温で複合体Yを焼成することにより、単結晶子(a)が複数集結してなる集結体粒子(b)を、さらに複数添着させてなるポリアニオン焼結体(X)を得ることができる。焼成は、還元雰囲気又は不活性雰囲気中で行うのが好ましい。焼成温度は、集結体粒子(b)が過度に添着することなく焼結体Aを得ることによって、適度な空隙が存在した上記所望のタップ密度を有するポリアニオン系正極活物質を得る観点から、好ましくは150〜650℃であり、より好ましくは200〜600℃である。また、焼成時間は、好ましくは5〜120分、より好ましくは5〜90分とするのがよい。
なお、工程(III)は、炭素源を添加することなく焼成を行う工程である。
工程(IV)は、工程(III)で得られたポリアニオン焼結体(X)に炭素源を添加して、焼成する工程である。これにより、複数の集結体粒子(b)が添着してなることによって適度な空隙を有する上記ポリアニオン焼結体(X)において、かかる空隙を保持させたまま、露出したポリアニオン焼結体(X)の表面に炭素源由来の炭素(c)が包埋するよう堅固に担持させることができる。
炭素源として水不溶性導電性炭素材料を添加する場合、添加後、焼成する前に乾式混合するのが好ましい。乾式混合としては、通常のボールミルによる混合であるのが好ましく、自公転可能な遊星ボールミルによる混合がより好ましい。
また、炭素源として水溶性炭素材料又はセルロースナノファイバーを添加する場合、添加後、焼成する前に湿式混合するのが好ましい。この場合、炭素源を良好に分散させ、ポリアニオン焼結体(X)の表面に有効に担持させる観点から、水を添加するのが好ましい。水の添加量は、ポリアニオン焼結体(X)100質量部に対し、好ましくは20〜500質量部であり、より好ましくは30〜400質量部であり、さらに好ましくは40〜300質量部である。
湿式混合手段としては、特に制限されず、常法により行うことができる。ポリアニオン焼結体(X)に水溶性炭素材料を添加した後、混合する際の温度は、好ましくは5〜80℃であり、より好ましくは7〜70℃である。得られる混合物は、焼成するまでの間に乾燥するのが好ましい。乾燥手段としては、噴霧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等が挙げられ、なかでも噴霧乾燥が好ましい。
次いで焼成するにあたり、かかる焼成は、還元雰囲気又は不活性雰囲気中で行うのが好ましい。焼成温度は、炭素源をより有効に炭化させる観点から、好ましくは500〜800℃であり、より好ましくは600〜770℃であり、さらに好ましくは650〜750℃である。また、焼成時間は、好ましくは10分〜3時間、より好ましくは30分〜1.5時間とするのがよい。
本発明のポリアニオン系正極活物質を含む二次電池用正極を適用できる、リチウムイオン二次電池又はナトリウムイオン二次電池である二次電池としては、正極と負極と電解液とセパレータを必須構成とするものであれば特に限定されない。
ここで、負極については、リチウムイオン又はナトリウムイオンを充電時には吸蔵し、かつ放電時には放出することができれば、その材料構成で特に限定されるものではなく、公知の材料構成のものを用いることができる。たとえば、リチウム金属、ナトリウム金属、グラファイト又は非晶質炭素等の炭素材料等である。そしてリチウムイオン又はナトリウムイオンを電気化学的に吸蔵・放出し得るインターカレート材料で形成された電極、特に炭素材料を用いることが好ましい。
電解液は、有機溶媒に支持塩を溶解させたものである。有機溶媒は、通常リチウムイオン二次電池やナトリウムイオン二次電池の電解液に用いられる有機溶媒であれば特に限定されるものではなく、例えば、カーボネート類、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ケトン類、ニトリル類、ラクトン類、オキソラン化合物等を用いることができる。
支持塩は、その種類が特に限定されるものではないが、リチウムイオン二次電池の場合、LiPF6、LiBF4、LiClO4及びLiAsF6から選ばれる無機塩、該無機塩の誘導体、LiSO3CF3、LiC(SO3CF32及びLiN(SO3CF32、LiN(SO2252及びLiN(SO2CF3)(SO249)から選ばれる有機塩、並びに該有機塩の誘導体の少なくとも1種であることが好ましい。また、ナトリウムイオン二次電池の場合、NaPF6、NaBF4、NaClO4及びNaAsF6から選ばれる無機塩、該無機塩の誘導体、NaSO3CF3、NaC(SO3CF32及びNaN(SO3CF32、NaN(SO2252及びNaN(SO2CF3)(SO249)から選ばれる有機塩、並びに該有機塩の誘導体の少なくとも1種であることが好ましい。
セパレータは、正極及び負極を電気的に絶縁し、電解液を保持する役割を果たすものである。たとえば、多孔性合成樹脂膜、特にポリオレフィン系高分子(ポリエチレン、ポリプロピレン)の多孔膜を用いればよい。
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
LiOH・H2O 12.72g、及び水 90mLを混合してスラリー水を得た。次いで、得られたスラリー水を、25℃の温度に保持しながら5分間撹拌しつつ85%のリン酸水溶液 11.53gを35mL/分で滴下し、続いて窒素ガスパージ下で12時間、400rpmの速度で撹拌することにより、複合体Xを含有するスラリー水X1(溶存酸素濃度0.5mg/L)を得た。
かかるスラリー水X1は、リン1モルに対し、2.97モルのリチウムを含有していた。
次に、得られたスラリー水X1121.0gに対し、FeSO4・7H2O 27.80gを添加し、混合してスラリー水Y1を得た。次いで、得られたスラリー水Y1をオートクレーブに投入し、170℃で1時間水熱反応を行った。オートクレーブ内の圧力は、0.8MPaであった。生成した結晶をろ過し、次いで結晶1質量部に対し、12質量部の水により洗浄した。洗浄した結晶を-50℃で12時間凍結乾燥して複合体Y1を得た。
得られた複合体Y1を還元雰囲気下で300℃で60分間焼成して、ポリアニオン焼結体(X)1(化学組成:LiFePO4)を得た。得られたポリアニオン焼結体(X)1を測定することにより得られた各特性値を表1に示す。
次いで、得られたポリアニオン焼結体(X)1 5.0g及びセルロースナノファイバー 6.92g(セリッシュFD−200L、ダイセルファインケム製、繊維径2〜100μm)を遊星ボールミル(P−5、フリッチュ社製)に備えられた容器に投入し、これにエタノール 90gと水 10gを混合して得た溶媒を添加した。次いで、ボール(球径:5mm)を100g用い、回転速度200rpmにて30分間混合した。得られた混合物をろ過し、エバポレーターを用いて溶媒を留去した後、還元雰囲気下で700℃で1時間焼成して、リチウムイオン二次電池用正極活物質(LiFePO4、炭素源:CNF、炭素の担持量=1.2質量%)を得た。得られたリチウムイオン二次電池用正極活物質のタップ密度を表1に示す。
[比較例1]
ポリアニオン焼結体(X)1を得ることなく、複合体Y1をそのままポリアニオン焼結体(X)1の代わりに用いた以外、実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池用正極活物質(LiFePO4、炭素源:CNF、炭素の担持量=1.2質量%)を得た。
得られた、実施例のポリアニオン焼結体に相当する複合体Y1の各特性値、及びリチウムイオン二次電池用正極活物質のタップ密度を表1に示す。
[実施例2]
FeSO4・7H2Oの代わりにMnSO4・5H2O 24.11gを用いた以外、実施例1と同様にして、複合体Y2を得た後、ポリアニオン焼結体(X)2(化学組成:LiMnPO4)を得た後、これを用いて実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池用正極活物質(LiMnPO4、炭素源:CNF、炭素の担持量=1.2質量%)を得た。
得られたポリアニオン焼結体(X)2の各特性値、及びリチウムイオン二次電池用正極活物質のタップ密度を表1に示す。
[比較例2]
ポリアニオン焼結体(X)2を得ることなく、複合体Y2をそのままポリアニオン焼結体(X)2の代わりに用いた以外、実施例2と同様にして、リチウムイオン二次電池用正極活物質(LiMnPO4、炭素源:CNF、炭素の担持量=1.2質量%)を得た。
得られた、実施例のポリアニオン焼結体に相当する複合体Y2の各特性値、及びリチウムイオン二次電池用正極活物質のタップ密度を表1に示す。
[実施例3]
NaOH 5.60g(140mmol)と水 90gを混合してスラリー水を得た。次いで、得られたスラリー水を40℃に保持しながら撹拌速度400rpmにて撹拌し、ここに85%のリン酸水溶液5.77g(50mmol)を混合して混合液X3を得た。次に、得られた混合液X2に対し、窒素をパージして(0.2MPa)溶存酸素濃度0.5mg/Lに調整された前駆体を含有するスラリー水X3(溶存酸素濃度0.5mg/L)を得た。
かかるスラリー水X3は、リン1モルに対し、2.8モルのナトリウムを含有していた。
このスラリー水X3にFeSO4・7H2O 13.90gを添加してスラリー水Y3を得た。
次いで、スラリー水Y3をオートクレーブに投入し、オートクレーブ内を窒素でパージして、200℃で3時間水熱反応を行った。水熱反応を行った後、放冷して、生成した結晶をろ過し、次いで水により洗浄し、約12時間凍結乾燥して、複合体Y3を得た。
得られた複合体Y3を還元雰囲気下で300℃で60分間焼成して、ポリアニオン焼結体(X)3(化学組成:NaFePO4)を得た。得られたポリアニオン焼結体(X)3を測定することにより得られた各特性値を表2に示す。
次いで、得られたポリアニオン焼結体(X)3 5.0g及びセルロースナノファイバー 6.92g(セリッシュFD−200L、ダイセルファインケム製、繊維径2〜100μm)を遊星ボールミル(P−5、フリッチュ社製)に備えられた容器に投入し、これにエタノール 90gと水 10gを混合して得た溶媒を添加した。次いで、ボール(球径:5mm)を100g用い、回転速度200rpmにて30分間混合した。得られた混合物をろ過し、エバポレーターを用いて溶媒を留去した後、還元雰囲気下で700℃で1時間焼成して、ナトリウムイオン二次電池用正極活物質(NaFePO4、炭素源:CNF、炭素の担持量=1.2質量%)を得た。得られたナトリウムイオン二次電池用正極活物質のタップ密度を表2に示す。
[比較例3]
ポリアニオン焼結体(X)3を得ることなく、複合体Y3をそのままポリアニオン焼結体(X)3の代わりに用いた以外、実施例3と同様にして、ナトリウムイオン二次電池用正極活物質(NaFePO4、炭素源:CNF、炭素の担持量=1.2質量%)を得た。
得られた、実施例のポリアニオン焼結体に相当する複合体Y3の各特性値、及びナトリウムイオン二次電池用正極活物質のタップ密度を表2に示す。
[実施例4]
FeSO4・7H2Oの代わりにMnSO4・5H2O 12.05gを用いた以外、実施例3と同様にして、複合体Y4を得た後、ポリアニオン焼結体(X)4(化学組成:NaMnPO4)を得た後、これを用いて実施例3と同様にして、ナトリウムイオン二次電池用正極活物質(NaMnPO4、炭素源:CNF、炭素の担持量=1.2質量%)を得た。
得られたポリアニオン焼結体(X)4の各物性、及びナトリウムイオン二次電池用正極活物質のタップ密度を表2に示す。
[比較例4]
ポリアニオン焼結体(X)4を得ることなく、複合体Y4をそのままポリアニオン焼結体(X)4の代わりに用いた以外、実施例4と同様にして、ナトリウムイオン二次電池用正極活物質(NaMnPO4、炭素源:CNF、炭素の担持量=1.2質量%)を得た。
得られた、実施例のポリアニオン焼結体に相当する複合体Y3の各特性値、及びリチウムイオン二次電池用正極活物質のタップ密度を表2に示す。
《レート特性及びサイクル特性の評価》
実施例1〜4及び比較例1〜4で得られた正極活物質を用い、リチウムイオン二次電池又はナトリウムイオン二次電池の正極を作製した。具体的には、得られた正極活物質、ケッチェンブラック、ポリフッ化ビニリデンを質量比75:20:5の配合割合で混合し、これにN−メチル−2−ピロリドンを加えて充分混練し、正極スラリーを調製した。正極スラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔からなる集電体に塗工機を用いて塗布し、80℃で12時間の真空乾燥を行った。
その後、φ14mmの円盤状に打ち抜いてハンドプレスを用いて16MPaで2分間プレスし、正極とした。
次いで、上記の正極を用いてコイン型二次電池を構築した。負極には、φ15mmに打ち抜いたリチウム箔(リチウムイオン二次電池の場合)又はナトリウム箔(ナトリウムイオン二次電池の場合)を用いた。電解液には、エチレンカーボネート及びエチルメチルカーボネートを体積比1:1の割合で混合した混合溶媒に、LiPF6(リチウムイオン二次電池の場合)又はNaPF6(ナトリウムイオン二次電池の場合)を1mol/Lの濃度で溶解したものを用いた。セパレータには、ポリプロピレンなどの高分子多孔フィルムなど、公知のものを用いた。これらの電池部品を露点が−50℃以下の雰囲気で常法により組み込み収容し、コイン型二次電池(CR−2032)を製造した。
製造した二次電池を用い、放電容量測定装置(HJ−1001SD8、北斗電工製)にて充放電試験を行った。リチウムイオン電池の場合には、充電条件を電流0.2CA(34mA/g)、電圧4.5Vの定電流定電圧充電とし、放電条件を0.2CA(34mA/g)、終止電圧2.0Vの定電流放電として、0.2CAにおける放電容量を求めた後、充電条件は0.2CAとして同様の条件で、放電条件は5CA(850mA/g)として5C放電容量を求めた。0.2C放電容量に対する5C放電容量の割合({5C放電容量/0.2C放電容量}×100)(%)を求めてレート特性の評価の指標とした。
ナトリウムイオン電池の場合には、充電条件を電流0.2CA(31mA/g)、電圧4.5Vの定電流定電圧充電とし、放電条件を0.2CA(31mA/g)、終止電圧2.0Vの定電流放電として、0.2CAにおける放電容量を求めた後、充電条件は0.2CAとして同様の条件で、放電条件は5CA(770mA/g)として5C放電容量を求めた。レート特性の計算は、リチウムイオン電池の場合と同様に行った。
さらに、0.2CAの充放電条件において、100サイクル繰り返し試験を行い、下記式(1)により容量保持率(%)を求めた。なお、充放電試験は全て30℃で行った。
容量保持率(%)=(100サイクル後の放電容量)/(1サイクル後の放電容量)
×100 ・・・(1)
結果を表1及び表2に示す。
表1及び表2の結果より、ポリアニオン焼結体の単結晶子の平均結晶子径とポリアニオン焼結体のBET比表面積との比(平均結晶子径/BET比表面積)、及び正極活物質のタップ密度が要件を満たす実施例1〜4は、比較例1〜4に比して、レート特性とサイクル特性が共に良好であることがわかる。

Claims (9)

  1. 単結晶子(a)の集結体粒子(b)が互いに複数添着してなるポリアニオン焼結体(X)の表面に、炭素源由来の炭素(c)が担持してなる、タップ密度が1.2〜1.7g・cm-3のポリアニオン系正極活物質であって、
    ポリアニオン焼結体(X)の単結晶子(a)のアスペクト比が1.0〜1.2であり、ポリアニオン焼結体(X)の単結晶子(a)の平均結晶子径とポリアニオン焼結体(X)のBET比表面積との比(平均結晶子径/BET比表面積)が3×10-11〜20×10-11(g・cm-1)であり、かつ
    ポリアニオン焼結体(X)が、少なくとも鉄又はマンガンを含む下記式(I)、又は(II):
    LiFeaMnbcPO4・・・(I)
    (式(I)中、MはMg、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。a、b及びcは、0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c≦0.2、及び2a+2b+(Mの価数)×c=2を満たし、かつa+b≠0を満たす数を示す。)
    NaFegMnhiPO4・・・(II)
    (式(C)中、QはMg、Ca、Co、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。g、h及びiは、0≦g≦1、0≦h≦1、0≦i<1、及び2g+2h+(Qの価数)×i=2を満たし、かつg+h≠0を満たす数を示す。)
    で表されるポリアニオン系正極活物質。
  2. ポリアニオン焼結体(X)が式(I)で表され、かつ式(I)中のbが0であり、
    ポリアニオン焼結体(X)の単結晶子(a)の平均結晶子径が40〜200nmであり、
    ポリアニオン焼結体(X)のBET比表面積が3〜20m2・g-1である請求項1に記載のポリアニオン系正極活物質。
  3. ポリアニオン焼結体(X)が式(I)で表され、かつ式(I)中のaが0であり、
    ポリアニオン焼結体(X)の単結晶子(a)の平均結晶子径が30〜200nmであり、
    ポリアニオン焼結体(X)のBET比表面積が10〜30m2・g-1である請求項1に記載のポリアニオン系正極活物質。
  4. ポリアニオン焼結体(X)が式(II)で表され、かつ式(II)中のhが0であり、
    ポリアニオン焼結体(X)の単結晶子(a)の平均結晶子径が40〜200nmであり、
    ポリアニオン焼結体(X)のBET比表面積が3〜20m2・g-1である請求項1に記載のポリアニオン系正極活物質。
  5. ポリアニオン焼結体(X)が式(II)で表され、かつ式(II)中のgが0であり、
    ポリアニオン焼結体(X)の単結晶子(a)の平均結晶子径が30〜200nmであり、
    ポリアニオン焼結体(X)のBET比表面積が10〜30m2・g-1である請求項1に記載のポリアニオン系正極活物質。
  6. ポリアニオン焼結体(X)の表面に担持してなる炭素(c)が、セルロースナノファイバー、糖類、ポリオール、ポリエーテル、有機酸、グラファイト、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、及びサーマルブラックから選ばれる1種又は2種以上の炭素源由来の炭素である請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリアニオン系正極活物質。
  7. 単結晶子(a)の集結体粒子(b)が互いに複数添着してなるポリアニオン焼結体(X)の表面に、炭素源由来の炭素(c)が担持してなる、タップ密度が1.2〜1.7g・cm-3のポリアニオン系正極活物質であって、
    ポリアニオン焼結体(X)の単結晶子(a)のアスペクト比が1.0〜1.2であり、ポリアニオン焼結体(X)の単結晶子(a)の平均結晶子径とポリアニオン焼結体(X)のBET比表面積との比(平均結晶子径/BET比表面積)が3×10-11〜20×10-11(g・cm-1)であり、かつ
    ポリアニオン焼結体(X)が、少なくとも鉄又はマンガンを含む下記式(I)、又は(II):
    LiFeaMnbcPO4・・・(I)
    (式(I)中、MはMg、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。a、b及びcは、0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c≦0.2、及び2a+2b+(Mの価数)×c=2を満たし、かつa+b≠0を満たす数を示す。)
    NaFegMnhiPO4・・・(II)
    (式(C)中、QはMg、Ca、Co、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。g、h及びiは、0≦g≦1、0≦h≦1、0≦i<1、及び2g+2h+(Qの価数)×i=2を満たし、かつg+h≠0を満たす数を示す。)
    で表されるポリアニオン系正極活物質の製造方法であり、
    リチウム化合物又はナトリウム化合物を含む混合物Xに、リン酸化合物を混合して複合体Xを得る工程(I)、
    得られた複合体Xと、少なくとも鉄化合物又はマンガン化合物を含む金属塩を含有するスラリー水Yを水熱反応に付して複合体Yを得る工程(II)、
    得られた複合体Yを100〜700℃で焼成してポリアニオン焼結体(X)を得る工程(III)、並びに
    得られたポリアニオン焼結体(X)に炭素源を添加して、500〜800℃で焼成する工程(IV)
    を備えるポリアニオン系正極活物質の製造方法。
  8. 炭素源が、セルロースナノファイバー、糖類、ポリオール、ポリエーテル、有機酸、グラファイト、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、及びサーマルブラックから選ばれる1種又は2種以上である請求項7に記載のポリアニオン系正極活物質の製造方法。
  9. 工程(IV)において、ポリアニオン焼結体(X)100質量部に対し、炭素源の添加量が0.1〜15質量部である請求項7又は8に記載のポリアニオン系正極活物質の製造方法。
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