JP2016072028A - リチウム二次電池用正極活物質及びその製造方法 - Google Patents

リチウム二次電池用正極活物質及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】放電容量が大きく、かつレート特性が良好なリチウム二次電池を実現することのできる、オリビン型リン酸マンガン鉄リチウム化合物含有の正極活物質を提供する。【解決手段】下記式(A):LiFeaMnbMcPO4・・・(A)(式中、MはMg、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。a、b及びcは、0<a<0.5、0.5<b<1、及び0≦c≦0.2を満たし、かつ2a+2b+(Mの価数)×c=2を満たす数を示す。)で表され、粉末X線回折測定により得られる(020)面に帰属するピーク強度I020と(131)面に帰属するピーク強度I131との比(I020/I131)が0.3〜0.4である、板状の結晶形態を有するオリビン型リン酸マンガン鉄リチウム化合物を含有するリチウム二次電池用正極活物質。【選択図】図1

Description

本発明は、板状結晶構造を有するリチウム二次電池用正極活物質及びその製造方法に関する。
携帯電子機器、ハイブリッド自動車、電気自動車等に用いられる二次電池の開発が行われており、特にリチウムイオン二次電池は広く知られている。こうしたなか、オリビン型構造を有するLi(Fe,Mn)PO4等のリチウム遷移金属リン酸塩化合物は、資源的な制約に大きく左右されることがなく、しかも高い安全性を発揮することができるため、高出力で大容量のリチウムイオン二次電池を得るのには最適な正極材料となる。しかしながら、これらの化合物は、結晶構造に由来して導電性を十分に高めるのが困難な性質を有しており、またリチウムイオンの拡散性にも改善の余地があるため、従来より種々の開発がなされている。
例えば、特許文献1では、一次結晶粒子を超微粒子化して、オリビン型正極活物質内のリチウムイオン拡散距離の短縮化を図ることにより、得られる電池の性能向上を試みている。また、特許文献2では、正極活物質の粒子表面に伝導性炭質材料を均一に堆積させ、かかる粒子表面で規則的な電場分布を得ることにより、電池の高出力化を図っている。
一方、非特許文献1では、オリビン型リン酸鉄(LixFePO4)の結晶内のリチウムイオンの移動はb軸方向への一次元的移動であると報告されている。こうしたリチウムイオンの結晶内における移動経路の強い異方性に着目した技術として、特許文献3には、一次粒子の結晶形態をb軸方向に短軸となるように制御した、短軸方向の長さに対する長軸方向の長さの比が特定の値を示すリン酸マンガンリチウムが開示されており、これを含有する活物質により電池特性の向上を図っている。
特開2010−251302号公報 特開2001−15111号公報 特開2013−89393号公報
西村 真一 外5名、「Experimental Visualization of Lithium Diffusion in LixFePO4(LixFePO4中のリチウム拡散現象の実験的視覚化)」、2008年8月11日、Nature Materials
しかしながら、より優れる性能を有するリチウム二次電池を実現するには、正極活物質として用い得るリン酸マンガン鉄リチウム化合物の結晶形態について、更なる改善が必要である。
したがって、本発明の課題は、放電容量が大きく、かつレート特性が良好なリチウム二次電池を実現することのできる、オリビン型リン酸マンガン鉄リチウム化合物含有の正極活物質を提供することにある。
そこで本発明者らは、種々検討したところ、粉末X線回折測定により得られるピーク強度が特定の値を示す板状の結晶形態を有するオリビン型リン酸マンガン鉄リチウム化合物を正極活物質として用いれば、優れた電池特性を発現できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、下記式(A):
LiFeaMnbcPO4・・・(A)
(式中、MはMg、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。a、b及びcは、0<a<0.5、0.5<b<1、及び0≦c≦0.2を満たし、かつ2a+2b+(Mの価数)×c=2を満たす数を示す。)
で表され、粉末X線回折測定により得られる(020)面に帰属するピーク強度I020と(131)面に帰属するピーク強度I131との比(I020/I131)が0.3〜0.4である、板状の結晶形態を有するオリビン型リン酸マンガン鉄リチウム化合物
を含有するリチウム二次電池用正極活物質を提供することにある。
また、本発明は、リチウム源として炭酸リチウムを用い、リン酸三リチウムを含有する水溶液を調整する工程(I)、及び
工程(I)において得られたリン酸三リチウムを含有する水溶液、マンガン化合物、及び鉄化合物を含み、pHが3.5〜4.5である混合物を水熱反応に付する工程(II)
を備える、上記リチウム二次電池用正極活物質の製造方法を提供することにある。
本発明のリチウム二次電池用正極活物質によれば、放電容量が大きく、さらにレート特性にも優れるリチウム二次電池を実現することができる。
実施例1で得られたリン酸マンガン鉄リチウム化合物のSEM像を示す。 実施例2で得られたリン酸マンガン鉄リチウム化合物のSEM像を示す。 実施例4で得られたリン酸マンガン鉄リチウム化合物のSEM像を示す。 実施例6で得られたリン酸マンガン鉄リチウム化合物のSEM像を示す。 比較例1で得られたリン酸マンガン鉄リチウム化合物のSEM像を示す。 実施例1及び比較例1で得られたリン酸マンガン鉄リチウム化合物のXRDパターン図を示す。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のリチウム二次電池用正極活物質は、下記式(A):
LiFeaMnbcPO4・・・(A)
(式中、MはMg、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。a、b及びcは、0<a<0.5、0.5<b<1、及び0≦c≦0.2を満たし、かつ2a+2b+(Mの価数)×c=2を満たす数を示す。)
で表され、粉末X線回折測定により得られる(020)面に帰属するピーク強度I020と(131)面に帰属するピーク強度I131との比(I020/I131)が0.3〜0.4である、板状の結晶形態を有するオリビン型リン酸マンガン鉄リチウム化合物
を含有する。
上記式(A)で表されるオリビン型リン酸マンガン鉄リチウム化合物は、少なくとも遷移金属であるマンガン(Mn)及び鉄(Fe)を含む。式(A)中、Mは、Mg、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示し、好ましくはMg、又はZrである。aは、0<a<0.5であって、好ましくは0.1≦a≦0.3である。bは、0.5<b<1であって、好ましくは0.7≦b≦0.9である。cは、0≦c≦0.2を満たし、好ましくは0≦c≦0.1である。そして、これらa、b及びcは、2a+2b+(Mの価数)×c=2を満たす数である。上記式(A)で表されるオリビン型リン酸マンガン鉄リチウム化合物としては、具体的には、例えばLiMn0.8Fe0.2PO4、LiMn0.75Fe0.15Mg0.1PO4、LiMn0.75Fe0.19Zr0.03PO4等が挙げられる。
上記オリビン型リン酸マンガン鉄リチウム化合物は、粉末X線回折測定により得られる(020)面に帰属するピーク強度I020と(131)面に帰属するピーク強度I131との比(I020/I131)が0.3〜0.4の板状の結晶形態を有する化合物である。すなわち、かかるオリビン型リン酸マンガン鉄リチウム化合物は、(010)方向に良好に伸長した板状の結晶形態を有しており(以下、「板状結晶」ともいう)、(010)方向への一次元的移動という強い異方性を有するリチウムの拡散性を有効に高めることができる。粉末X線回折測定により得られる(020)面に帰属するピーク強度I020と(131)面に帰属するピーク強度I131との比(I020/I131)は、0.3〜0.4であって、好ましくは0.31〜0.4であり、より好ましくは0.32〜0.4である。
なお、粉末X線回折測定により得られる(020)面に帰属するピークは、回折角2θCu-kα=17.081°に存在し、(131)面に帰属するピークは、回折角2θCu-kα=35.439°に存在する。
また、上記オリビン型リン酸マンガン鉄リチウム化合物は、板状結晶の長径方向における最大差し渡し長さと、板状結晶の長径方向に直交する厚さ方向における最大差し渡し長さとの比(長径/厚さ)、いわゆるアスペクト比の平均値が、好ましくは2〜50であり、より好ましくは2〜20であり、さらに好ましくは2〜10である。
上記オリビン型リン酸マンガン鉄リチウム正極活物質の板状結晶の長径方向における最大差し渡し長さの平均値は、好ましくは20〜600nmであり、より好ましくは20〜150nmである。また、上記オリビン型リン酸マンガン鉄リチウム正極活物質の板状結晶の長径方向に直交する厚さ方向における最大差し渡し長さの平均値は、好ましくは10〜70nmであり、より好ましくは10〜30nmである。
なお、板状結晶の長径方向における最大差し渡し長さとは、SEM観察における、オリビン型リン酸マンガン鉄リチウム化合物一粒子の、板状結晶の長径方向における差し渡し長さの最大値を意味し、その平均値とは、任意に抽出した粒子20個分での平均値を意味する。板状結晶の長径方向に直交する厚さ方向における最大差し渡し長さについても同様である。
本発明のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法は、リチウム源として炭酸リチウムを用い、リン酸三リチウムを含有する水溶液を調整する工程(I)、及び
工程(I)において得られたリン酸三リチウムを含有する水溶液、マンガン化合物、及び鉄化合物を含み、pHが3.5〜4.5である混合物を水熱反応に付する工程(II)
を備えることを特徴とする。
工程(I)は、リチウム源として炭酸リチウムを用い、リン酸三リチウムを含有する水溶液を調整する工程である。リチウム源として炭酸リチウムを用いることにより、上記板状の結晶形態を有するオリビン型リン酸マンガン鉄リチウム化合物を容易に得ることができる。
かかる工程(I)では、得られる水溶液の分散性等を高める観点から、予め炭酸リチウム(Li2CO3)と水とを混合し、スラリー水を得るのが好ましい。炭酸リチウムと水とを混合して得られるスラリー水は、水100質量部に対し、20〜50質量部の炭酸リチウムを含有するのが好ましく、25〜45質量部の炭酸リチウムを含有するのがより好ましく、30〜40質量部の炭酸リチウムを含有するのがさらに好ましい。
次いで、得られたスラリー水からリン酸三リチウムを含有する水溶液を得るにあたり、リン酸を用い、これを滴下しながら撹拌するのが好ましい。リン酸を滴下して少量ずつ加えながら撹拌することで、得られる水溶液中において良好に反応が進行して、リン酸三リチウム粒子が均一に分散しつつ生成され、かかる粒子が不要に凝集するのをも効果的に抑制することができる。
リン酸とは、いわゆるオルトリン酸(H3PO4)であり、70〜90質量%濃度の水溶液として用いるのが好ましい。リン酸の上記スラリー水への滴下速度は、好ましくは15〜50mL/分であり、より好ましくは20〜45mL/分であり、さらに好ましくは28〜40ml/分である。また、スラリー水の撹拌時間は、好ましくは1〜24時間であり、より好ましくは5〜15時間である。
スラリー水を撹拌する際における、スラリー水の温度は、好ましくは20〜90℃であり、より好ましくは20〜70℃である。
なお、スラリー水を撹拌する際、さらにスラリー水の沸点温度以下に冷却するのが好ましい。具体的には、80℃以下に冷却するのが好ましく、20〜60℃に冷却するのがより好ましい。
工程(I)で得られるリン酸三リチウムを含有する水溶液は、リン1モルに対し、リチウムを2.7〜3.3モル含有するのが好ましく、2.79〜2.97モル含有するのがより好ましく、このような量となるよう、上記炭酸リチウムにリン酸とを用いればよい。リチウムのモル量が上記下限値に満たない場合は、未反応のリン酸の増大によって必要以上のpH低下を招き、後述する工程(II)において不要な金属水和物が生成して混合物の粘度が増大してしまい、水熱反応を良好に進行させることができなくなるおそれがある。一方、リチウムのモル量が上記上限値を超えると、上記特定のピーク強度を有するような板状の結晶形態を有するリン酸マンガン鉄リチウム化合物が得られないおそれがある。
工程(I)において、リン酸三リチウムを含有する水溶液のpHを調整するために、リン酸以外の酸を用いることもできる。かかる酸としては、有機酸であってもよく無機酸であってもよい。具体的には、例えば、クエン酸、アスコルビン酸、酢酸、乳酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、フマール酸、マロン酸等の有機酸;塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、上記特定のピーク強度を有するような板状の結晶形態を有するリン酸マンガン鉄リチウム化合物を良好に得る観点から、有機酸ではクエン酸、アスコルビン酸、酢酸、乳酸を、無機酸では塩酸、硫酸、硝酸を用いるのがより好ましい。また、これらの酸は、スラリー水にリン酸を添加する前に、予め添加し、撹拌するのが好ましい。
また、かかるリン酸以外の酸を添加した後、リン酸を添加するまでの間にスラリー水を撹拌する時間は、好ましくは1〜5分であり、より好ましくは2〜3分である。
工程(II)では、上記工程(I)において得られたリン酸三リチウムを含有する水溶液、マンガン化合物、及び鉄化合物を含み、pHが3.5〜4.5である混合物を水熱反応に付する。マンガン化合物としては、2価のマンガン化合物であればよく、例えば、ハロゲン化マンガン、硫酸マンガン、酢酸マンガン等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、電池特性を高める観点から、硫酸マンガンを用いるのが好ましい。また、鉄化合物としても2価の鉄化合物及びこれらの水和物等であればよく、例えば、ハロゲン化鉄等のハロゲン化物;硫酸鉄等の硫酸塩;シュウ酸鉄、酢酸鉄等の有機酸塩;並びにこれらの水和物等が挙げられる。なかでも、電池特性を高める観点から、硫酸鉄を用いるのが好ましい。
これらマンガン化合物及び鉄化合物の使用モル比(マンガン化合物:鉄化合物)は、好ましくは99:1〜51:49であり、より好ましくは95:5〜70:30であり、さらに好ましくは90:10〜75:25である。
上記リン酸三リチウムを含有する水溶液、マンガン化合物、及び鉄化合物を含む混合物は、さらにマンガン化合物及び鉄化合物以外の金属(M)化合物を含んでもよい。金属(M)化合物におけるMは、上記式(A)中のMと同義であり、かかる金属(M)化合物として、ハロゲン化物、硫酸塩、有機酸塩、及びこれらの水和物等を用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。なかでも、電池特性を高める観点から、MがMg、又はZrである金属(M)化合物を用いるのが好ましい。
これら金属(M)化合物を用いる場合、マンガン化合物、鉄化合物、及び金属(M)化合物の合計添加量は、上記工程(I)において得られた水溶液中のリン酸三リチウム1モルに対し、好ましくは0.99〜1.01モルであり、より好ましくは0.995〜1.005モルである。
水熱反応に付する際に用いる水の使用量は、マンガン化合物、鉄化合物、及び金属(M)化合物の溶解性、撹拌の容易性、及び合成の効率等の観点から、上記工程(I)において得られたリン酸三リチウムを含有する水溶液中のリン酸イオン1モルに対し、好ましくは10〜30モルであり、より好ましくは12.5〜25モルである。
マンガン化合物、鉄化合物、及び金属(M)化合物の添加順序は特に制限されない。また、これらの化合物を添加するとともに、必要に応じて酸化防止剤を添加してもよい。かかる酸化防止剤としては、亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)、ハイドロサルファイトナトリウム(Na224)、アンモニア水等を使用することができる。酸化防止剤の添加量は、過剰に添加されることでリン酸マンガン鉄リチウム化合物の生成が抑制されるのを防止する観点から、マンガン化合物、鉄化合物、及び金属(M)化合物合計1モルに対し、好ましくは0.01〜1モルであり、より好ましくは0.03〜0.5モルである。
水熱反応に付す前における、上記リン酸三リチウムを含有する水溶液、マンガン化合物、及び鉄化合物を含み、必要に応じてマンガン化合物及び鉄化合物以外の金属(M)化合物を混合物のpHは、3.5〜4.5であって、上記特定のピーク強度を有するような板状の結晶形態を有するリン酸マンガン鉄リチウム化合物を良好に得る観点から、好ましくは3.6〜4.4であり、より好ましくは3.8〜4.3である。なお、かかるpHの調整は、工程(I)において用いるリン酸や、リン酸以外の有機酸や無機酸等の酸の添加量を調整することにより行ってもよい。
水熱反応は、100℃以上であればよく、130〜180℃が好ましい。水熱反応は耐圧容器中で行うのが好ましく、130〜180℃で反応を行う場合、この時の圧力は0.3〜0.9MPaであるのが好ましく、140〜160℃で反応を行う場合の圧力は0.3〜0.6MPaであるのが好ましい。水熱反応時間は0.5〜24時間が好ましく、さらに1〜12時間が好ましい。
得られたオリビン型リン酸マンガン鉄リチウム化合物は、ろ過後、水で洗浄し、乾燥することにより単離できる。洗浄する際における水の使用量は、オリビン型リン酸マンガン鉄リチウム化合物1質量部に対し、好ましくは5〜100質量部であり、より好ましくは5〜50質量部である。乾燥手段は、凍結乾燥、真空乾燥が用いられる。
本発明の上記オリビン型リン酸マンガン鉄リチウム化合物を含有するリチウム二次電池用正極活物質は、オリビン型リン酸マンガン鉄リチウム化合物の表面にカーボンを担持させてなるものであるのが好ましい。これにより、得られる電池において、より優れた電池特性を発現することができる。すなわち、オリビン型リン酸マンガン鉄リチウム化合物の表面にカーボンを担持させてなるリチウム二次電池用正極活物質を製造するには、上記工程(I)〜(II)に加え、さらに工程(III)として、工程(II)おいて得られたオリビン型リン酸マンガン鉄リチウム化合物の表面にカーボンを担持する工程を備えるのが好ましい。
カーボン担持は、オリビン型リン酸マンガン鉄リチウム化合物に常法により、グルコース、フルクトース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、サッカロース、デンプン、デキストリン、クエン酸等の炭素源、或いはアセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラックの炭素源、及び水を添加し、次いで焼成すればよい。
また、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、グラファイト等の炭素源を用いて、オリビン型リン酸マンガン鉄リチウム化合物にメカノフュージョン法によって炭素を被覆し、焼成してもよい。
焼成条件は、不活性ガス雰囲気下又は還元条件下に400℃以上、好ましくは400〜800℃で10分〜3時間、好ましくは0.5〜1.5時間行うのが好ましい。かかる処理によりオリビン型リン酸マンガン鉄リチウム化合物の粒子表面にカーボンが担持された正極活物質とすることができる。炭素源の使用量は、オリビン型リン酸マンガン鉄リチウム化合物100質量部に対し、炭素源に含まれる炭素として3〜15質量部が好ましく、炭素源に含まれる炭素として5〜10質量部がさらに好ましい。
なお、かかるカーボン担持ののち、焼成することにより本発明のリチウム二次電池用正極活物質を得るのが好ましい。
本発明のリチウム二次電池用正極活物質を含むリチウム二次電池用正極を適用できるリチウム二次電池としては、正極と負極と電解液とセパレータを必須構成とするものであれば特に限定されない。
ここで、負極については、リチウムイオンを充電時には吸蔵し、かつ放電時には放出することができれば、その材料構成で特に限定されるものではなく、公知の材料構成のものを用いることができる。たとえば、リチウム金属、グラファイト又は非晶質炭素等の炭素材料等である。そしてリチウムを電気化学的に吸蔵・放出し得るインターカレート材料で形成された電極、特に炭素材料を用いることが好ましい。
電解液は、有機溶媒に支持塩を溶解させたものである。有機溶媒は、通常リチウムイオン二次電池の電解液の用いられる有機溶媒であれば特に限定されるものではなく、例えば、カーボネート類、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ケトン類、ニトリル類、ラクトン類、オキソラン化合物等を用いることができる。
支持塩は、その種類が特に限定されるものではないが、LiPF6、LiBF4、LiClO4及びLiAsF6から選ばれる無機塩、該無機塩の誘導体、LiSO3CF3、LiC(SO3CF32及びLiN(SO3CF32、LiN(SO2252及びLiN(SO2CF3)(SO249)から選ばれる有機塩、並びに該有機塩の誘導体の少なくとも1種であることが好ましい。
セパレータは、正極及び負極を電気的に絶縁し、電解液を保持する役割を果たすものである。たとえば、多孔性合成樹脂膜、特にポリオレフィン系高分子(ポリエチレン、ポリプロピレン)の多孔膜を用いればよい。
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
Li2CO3 10.748gと水 30mLを混合してスラリー水を得た。次いで、得られたスラリー水を、25℃の温度に保持しながら2〜3分間撹拌しつつ85%のリン酸水溶液 11.529gを35mL/分で滴下し、続いて12時間撹拌することによりリン酸三リチウムを含有する水溶液を得た。かかる水溶液は、リン1モルに対し、2.9モルのリチウムを含有していた。
次に、得られたリン酸三リチウムを含有する水溶液全量に対し、MnSO4・5H2O 19.286g、FeSO4・7H2O5.560gを添加して、pH4.02の混合液を得た。このとき、添加したMnSO4とFeSO4のモル比(マンガン化合物:鉄化合物)は、80:20であった。
次いで、得られた混合液をオートクレーブに投入し、170℃で0.5時間水熱反応を行った。オートクレーブ内の圧力は、0.8MPaであった。生成した結晶をろ過し、次いで結晶1質量部に対し、12質量部の水により洗浄した。洗浄した結晶を60℃1Torrの条件で真空乾燥してリン酸マンガン鉄リチウム化合物(LiMn0.8Fe0.2PO4)を得た。
得られたリン酸マンガン鉄リチウム化合物のSEM像を図1に示すとともに、XRDパターンを図6に示す。
そして、得られたリン酸マンガン鉄リチウム化合物 3g、グルコース 0.15g、エタノール 28mL、及び水 2mLを1時間ボールミルにて粉砕・混合し、アルゴン水素雰囲気下(水素濃度3%)、700℃で1時間焼成して、リン酸マンガン鉄リチウム化合物の表面にカーボンが担持されてなるリチウム二次電池用正極活物質を得た。
[実施例2]
Li2CO3を10.412gとした以外、実施例1と同様にしてリン酸マンガン鉄リチウム化合物(LiMn0.8Fe0.2PO4)を得た。なお、MnSO4・5H2O及びFeSO4・7H2Oを添加することにより得られた混合液のpHは、3.94であった。
得られたリン酸マンガン鉄リチウム化合物のSEM像を図2に示す。
次いで、得られたリン酸マンガン鉄リチウム化合物を用い、実施例1と同様にして、リン酸マンガン鉄リチウム化合物の表面にカーボンが担持されてなるリチウム二次電池用正極活物質を得た。
[実施例3]
Li2CO3を10.076gとした以外、実施例1と同様にしてリン酸マンガン鉄リチウム化合物(LiMn0.8Fe0.2PO4)を得た。なお、MnSO4・5H2O及びFeSO4・7H2Oを添加することにより得られた混合液のpHは、3.84であった。
次いで、得られたリン酸マンガン鉄リチウム化合物を用い、実施例1と同様にして、リン酸マンガン鉄リチウム化合物の表面にカーボンが担持されてなるリチウム二次電池用正極活物質を得た。
[実施例4]
Li2CO3を11.195gとし、リン酸水溶液を滴下する前に、クエン酸0.577g添加して2〜3分間撹拌した以外、実施例1と同様にしてリン酸マンガン鉄リチウム化合物(LiMn0.8Fe0.2PO4)を得た。なお、MnSO4・5H2O及びFeSO4・7H2Oを添加することにより得られた混合液のpHは、4.15であった。
得られたリン酸マンガン鉄リチウム化合物のSEM像を図3に示す。
次いで、得られたリン酸マンガン鉄リチウム化合物を用い、実施例1と同様にして、リン酸マンガン鉄リチウム化合物の表面にカーボンが担持されてなるリチウム二次電池用正極活物質を得た。
[実施例5]
Li2CO3を11.195gとし、リン酸水溶液を滴下する前に、クエン酸1.922g添加して2〜3分間撹拌した以外、実施例1と同様にしてリン酸マンガン鉄リチウム化合物(LiMn0.8Fe0.2PO4)を得た。なお、MnSO4・5H2O及びFeSO4・7H2Oを添加することにより得られた混合液のpHは、4.05であった。
次いで、得られたリン酸マンガン鉄リチウム化合物を用い、実施例1と同様にして、リン酸マンガン鉄リチウム化合物の表面にカーボンが担持されてなるリチウム二次電池用正極活物質を得た。
[実施例6]
Li2CO3を11.195gとし、リン酸水溶液を滴下する前に、アスコルビン酸1.090g添加して2〜3分間撹拌した以外、実施例1と同様にしてリン酸マンガン鉄リチウム化合物(LiMn0.8Fe0.2PO4)を得た。なお、MnSO4・5H2O及びFeSO4・7H2Oを添加することにより得られた混合液のpHは、4.21であった。
得られたリン酸マンガン鉄リチウム化合物のSEM像を図4に示す。
次いで、得られたリン酸マンガン鉄リチウム化合物を用い、実施例1と同様にして、リン酸マンガン鉄リチウム化合物の表面にカーボンが担持されてなるリチウム二次電池用正極活物質を得た。
[実施例7]
Li2CO3を11.195gとし、リン酸水溶液を滴下する前に、酢酸0.361g添加して2〜3分間撹拌した以外、実施例1と同様にしてリン酸マンガン鉄リチウム化合物(LiMn0.8Fe0.2PO4)を得た。なお、MnSO4・5H2O及びFeSO4・7H2Oを添加することにより得られた混合液のpHは、4.28であった。
次いで、得られたリン酸マンガン鉄リチウム化合物を用い、実施例1と同様にして、リン酸マンガン鉄リチウム化合物の表面にカーボンが担持されてなるリチウム二次電池用正極活物質を得た。
[実施例8]
Li2CO3を11.195gとし、リン酸水溶液を滴下する前に、乳酸0.577g添加して2〜3分間撹拌した以外、実施例1と同様にしてリン酸マンガン鉄リチウム化合物(LiMn0.8Fe0.2PO4)を得た。なお、MnSO4・5H2O及びFeSO4・7H2Oを添加することにより得られた混合液のpHは、4.11であった。
次いで、得られたリン酸マンガン鉄リチウム化合物を用い、実施例1と同様にして、リン酸マンガン鉄リチウム化合物の表面にカーボンが担持されてなるリチウム二次電池用正極活物質を得た。
[実施例9]
Li2CO3を11.195gとし、リン酸水溶液を滴下する前に、6N塩酸0.1g添加して2〜3分間撹拌した以外、実施例1と同様にしてリン酸マンガン鉄リチウム化合物(LiMn0.8Fe0.2PO4)を得た。なお、MnSO4・5H2O及びFeSO4・7H2Oを添加することにより得られた混合液のpHは、4.21であった。
次いで、得られたリン酸マンガン鉄リチウム化合物を用い、実施例1と同様にして、リン酸マンガン鉄リチウム化合物の表面にカーボンが担持されてなるリチウム二次電池用正極活物質を得た。
[実施例10]
Li2CO3を11.195gとし、リン酸水溶液を滴下する前に、13N硝酸0.1g添加して2〜3分間撹拌した以外、実施例1と同様にしてリン酸マンガン鉄リチウム化合物(LiMn0.8Fe0.2PO4)を得た。なお、MnSO4・5H2O及びFeSO4・7H2Oを添加することにより得られた混合液のpHは、4.12であった。
次いで、得られたリン酸マンガン鉄リチウム化合物を用い、実施例1と同様にして、リン酸マンガン鉄リチウム化合物の表面にカーボンが担持されてなるリチウム二次電池用正極活物質を得た。
[実施例11]
Li2CO3を11.195gとし、リン酸水溶液を滴下する前に、36N硫酸0.1g添加して2〜3分間撹拌した以外、実施例1と同様にしてリン酸マンガン鉄リチウム化合物(LiMn0.8Fe0.2PO4)を得た。なお、MnSO4・5H2O及びFeSO4・7H2Oを添加することにより得られた混合液のpHは、4.14であった。
次いで、得られたリン酸マンガン鉄リチウム化合物を用い、実施例1と同様にして、リン酸マンガン鉄リチウム化合物の表面にカーボンが担持されてなるリチウム二次電池用正極活物質を得た。
[実施例12]
Li2CO3を11.195gとしリン酸水溶液を滴下する前に、クエン酸0.961g添加して2〜3分間撹拌した以外、実施例1と同様にしてリン酸三リチウムを含有する水溶液を得た後、この水溶液全量に対し、FeSO4・7H2O 4.170g、MnSO4・5H2O 18.081g、MgSO・7HO 2.465gを添加して、pH4.02の混合液を得た。このとき、添加したMnSO4、FeSO4、MgSOのモル比(マンガン化合物:鉄化合物:マグネシウム化合物)は、75:15:10であった。
次いで、実施例1同様の、オートクレーブによる水熱反応、洗浄、真空乾燥を行い、リン酸マンガン鉄リチウム化合物(LiMn0.75Fe0.15Mg0.1PO4)を得た。
次いで、得られたリン酸マンガン鉄リチウム化合物を用い、実施例1と同様にして、リン酸マンガン鉄リチウム化合物の表面にカーボンが担持されてなるリチウム二次電池用正極活物質を得た。
[実施例13]
Li2CO3を11.195gとしリン酸水溶液を滴下する前に、クエン酸0.961g添加して2〜3分間撹拌した以外、実施例1と同様にしてリン酸三リチウムを含有する水溶液を得た後、この水溶液全量に対し、FeSO4・7H2O 5.282g、MnSO4・5H2O 18.081g、Zr(SO4・4H2O 1.006gを添加して、pH4.17の混合液を得た。このとき、添加したMnSO4、FeSO4、Zr(SO4のモル比(マンガン化合物:鉄化合物:ジルコニウム化合物)は、75:19:3であった。
次いで、実施例1同様の、オートクレーブによる水熱反応、洗浄、真空乾燥を行い、リン酸マンガン鉄リチウム化合物(LiMn0.75Fe0.19Zr0.03PO4)を得た。
次いで、得られたリン酸マンガン鉄リチウム化合物を用い、実施例1と同様にして、リン酸マンガン鉄リチウム化合物の表面にカーボンが担持されてなるリチウム二次電池用正極活物質を得た。
[比較例1]
Li2CO3を11.195gとし、MnSO4・5H2O及びFeSO4・7H2Oを添加することにより得られた混合液のpHが4.92であった以外、実施例1と同様にしてリン酸マンガン鉄リチウム正極活物質(LiMn0.8Fe0.2PO4)を得た。
得られたリン酸マンガン鉄リチウム正極活物質のSEM像を図5に示すとともに、XRDパターンを図6に示す。
次いで、得られたリン酸マンガン鉄リチウム化合物を用い、実施例1と同様にして、リン酸マンガン鉄リチウム化合物の表面にカーボンが担持されてなるリチウム二次電池用正極活物質を得た。
《結晶子径及びBET比表面積の測定》
実施例及び比較例の全てで得られたリン酸マンガン鉄リチウム化合物について、粉末試料成形機(TK−750、東京科学製)にて、70kgの圧力でプレスした粉末X線回折測定用試料を準備した。次いで、得られた各測定用試料について、管電圧−電流を35kV−350mAに設定した粉末X線回折測定装置(D8 Advance、ブルカー製)にて、回折角2θ 10°〜80°をステップサイズ0.023°、測定速度0.13秒/ステップで測定し、X線回折パターンを得た。かかるX線回折パターンの全角にシェラーの式を適用することにより、結晶子径を求めた。また、BET比表面積測定装置(フローソープII 2300、島津製作所製)にて、窒素吸着法によるBET比表面積の測定を行った。
結果を表1に示す。
《ピーク強度の比(I020/I131)及びアスペクト比の測定》
得られた、実施例1〜13及び比較例1のX線回折パターンについて、(020)面に帰属するピーク強度I020、及び(131)面に帰属するピーク強度I131を測定し、I020/I131の値を求めた。
また、実施例及び比較例の全てのSEM像について、リン酸マンガン鉄リチウム化合物粒子を任意に20個抽出し、板状結晶の長径方向における差し渡し長さの最大値、及び板状結晶の長径方向に直交する厚さ方向における最大差し渡し長さを測定し、各々その平均値(アスペクト比)を求めた。
結果を表2に示す。
《充放電特性の評価》
実施例1〜13及び比較例1で得られた正極活物質を用い、リチウムイオン二次電池の正極を作製した。具体的には、得られた正極活物質、ケッチェンブラック、ポリフッ化ビニリデンを重量比75:15:10の配合割合で混合し、これにN−メチル−2−ピロリドンを加えて充分混練し、正極スラリーを調製した。正極スラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔からなる集電体に塗工機を用いて塗布し、80℃で12時間の真空乾燥を行った。その後、φ14mmの円盤状に打ち抜いてハンドプレスを用いて16MPaで2分間プレスし、正極とした。
次いで、上記の正極を用いてコイン型リチウムイオン二次電池を構築した。負極には、φ15mmに打ち抜いたリチウム箔を用いた。電解液には、エチレンカーボネート及びエチルメチルカーボネートを体積比1:1の割合で混合した混合溶媒に、LiPF6を1mol/lの濃度で溶解したものを用いた。セパレータには、ポリプロピレンなどの高分子多孔フィルムなど、公知のものを用いた。これらの電池部品を露点が−50℃以下の雰囲気で常法により組み込み収容し、コイン型リチウム二次電池(CR−2032)を製造した。
製造したリチウム二次電池を用い、放電容量測定装置(HJ−1001SD8、北斗電工製)にて0.1C放電容量(17mAh/g)と3C放電容量(510mAh/g)を測定し、0.1C放電容量に対する3C放電容量の割合({3C放電容量/0.1C放電容量}×100)(%)を求めた。
結果を表3に示す。
上記結果より、実施例及び比較例において得られたリン酸マンガン鉄リチウム化合物において、結晶子径及びBET比表面積については特段の差異は認められなかったものの、I020/I131の値については、比較例1は0.27であるのに対し、実施例は全て0.3〜0.4の範囲内であり、リチウムの拡散性が良好な、b軸方向に短軸である板状の結晶形態を有することがわかる。
また、電池のレート特性の指標である0.1C放電容量に対する3C放電容量の割合は、比較例で得られた正極活物質を用いた電池では、70%に満たないのに対し、実施例で得られた正極活物質を用いた電池では、全て80%を超えていた。このことから、本発明の正極活物質を使用したリチウム二次電池のレート特性は、非常に良好であることがわかる。

Claims (7)

  1. 下記式(A):
    LiFeaMnbcPO4・・・(A)
    (式中、MはMg、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。a、b及びcは、0<a<0.5、0.5<b<1、及び0≦c≦0.2を満たし、かつ2a+2b+(Mの価数)×c=2を満たす数を示す。)
    で表され、粉末X線回折測定により得られる(020)面に帰属するピーク強度I020と(131)面に帰属するピーク強度I131との比(I020/I131)が0.3〜0.4である、板状の結晶形態を有するオリビン型リン酸マンガン鉄リチウム化合物
    を含有するリチウム二次電池用正極活物質。
  2. オリビン型リン酸マンガン鉄リチウム化合物の表面に、カーボンが担持されてなる請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
  3. 請求項1又は2に記載のリチウム二次電池用正極活物質を含むリチウム二次電池用正極。
  4. リチウム源として炭酸リチウムを用い、リン酸三リチウムを含有する水溶液を調整する工程(I)、及び
    工程(I)において得られたリン酸三リチウムを含有する水溶液、マンガン化合物、及び鉄化合物を含み、pHが3.5〜4.5である混合物を水熱反応に付する工程(II)
    を備える、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
  5. 工程(II)において、水溶液に酸を添加することにより、混合物のpHを3.5〜4.5に調整する、請求項4に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
  6. 工程(II)における混合物が、さらに金属(M)化合物を含む、請求項4又は5に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
  7. リチウム源として炭酸リチウムを用い、リン酸三リチウムを含有する水溶液を調整する工程(I)、
    工程(I)において得られたリン酸三リチウムを含有する水溶液、マンガン化合物、及び鉄化合物を含み、pHが3.5〜4.5である混合物を水熱反応に付する工程(II)、及び
    工程(II)おいて得られたオリビン型リン酸マンガン鉄リチウム化合物の表面にカーボンを担持する工程(III)
    を備える、請求項4〜6のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
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