JP2008117749A - リチウムリン酸遷移金属化合物とカーボンとの混合体、それを備えた電極、その電極を備えた電池、その混合体の製造方法、及び電池の製造方法 - Google Patents

リチウムリン酸遷移金属化合物とカーボンとの混合体、それを備えた電極、その電極を備えた電池、その混合体の製造方法、及び電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電子伝導性に優れたリチウムリン酸遷移金属化合物とカーボンとの混合体とその製造方法と、それを用いた高率充放電性能に優れた電池を提供する。
【解決手段】リチウムリン酸遷移金属化合物にカーボンを配して導電性を付与するにあたり、アルコールを用いると、電子伝導性に優れた混合体が得られ、それを電極材料として用いることで、高率放電特性に優れた電池を提供できる。前記混合体は、第一の粒子が凝集して形成された第二の粒子と、第二の粒子の内部に存在する繊維状カーボンとを含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムリン酸遷移金属化合物とカーボンとの混合体、それを備えた電極、その電極を備えた電池、カーボンが配されたリチウムリン酸遷移金属化合物粒子の製造方法、及びリチウムリン酸遷移金属化合物粒子を活物質に用いる電池の製造方法に関するものである。
近年、携帯電話、ノートパソコン等の携帯機器類用および電気自動車用の電源としてエネルギー密度が高く、サイクル特性の優れた非水電解質二次電池が注目されている。このような非水電解質二次電池の中で、現在最も広く市場に出回っているのが、携帯電話用を中心とした2Ah以下の小型民生用電池である。
現在、非水電解質二次電池用の正極活物質としては数多くのものが存在する。最も一般的に知られているのは、作動電圧が4V付近のリチウムコバルト酸化物(LiCoO2)やリチウムニッケル酸化物(LiNiO2)、スピネル構造を持つリチウムマンガン酸化物(LiMn24)等を基本構成とするリチウム含有遷移金属酸化物である。その中でも、リチウムコバルト酸化物は、電池容量2Ahまでの小容量リチウム二次電池において、充放電特性とエネルギー密度に優れることから正極活物質として広く採用されている。
しかしながら、今後の電池の中型化や大型化、そのなかでも特に大きな需要が見込まれる産業用途への展開を考えた場合、電池の安全性が非常に重要視される。したがって、現在の小型電池の仕様では要求される安全性を満足させることができない。この原因の一つは、これらの正極活物質の熱安定性が低いことである。
そこで最近、正極活物質として熱安定性の高いオリビン構造を有するリチウムリン酸遷移金属化合物が注目を集めている。このリチウムリン酸遷移金属化合物は、リンと酸素とが共有結合しているので、高温においても酸素を放出することが無い。したがって、このリチウムリン酸遷移金属化合物を正極活物質として使用することで電池の安全性を飛躍的に高めることができる。
ところが、リチウムリン酸遷移金属化合物は電子電導性が低いので、それを活物質に用いた電池は高率放電特性において劣っていることが知られている。
さらに、特許文献1に記載のように、リチウムリン酸鉄の原料である第一鉄含水塩の粒子は、結晶が発達し非常に硬く、粉砕等の加工がしにくく、平均粒径が数μm〜数十μmの粗大な粒子しか得ることができない。この粗大な第一鉄含水塩と微細なリン酸リチウムとの混合物を焼成して得られるリチウムリン酸鉄(LiFePO4)は、平均粒径が数μm以上になる。
このように、第一鉄含水塩の粒子は粗大であることに加えて、リチウムリン酸鉄への化学反応の反応性が悪いために、粒子レベルで不均一な組成のリチウムリン酸鉄が合成されやすい。そのため、このリチウムリン酸鉄を正極活物質として用いた非水電解質二次電池は、低容量になり易い傾向にある。
上述した、リチウムリン酸鉄は電子電導性が低いという欠点を改善するためにリチウムリン酸鉄の粒子表面にカーボンコートを施す手法が特許文献2〜10に開示されている。
特許文献2には、炭質堆積物でコーティングされたリチウムリン酸鉄(LiFePO4)を得る技術が開示されている。そのコーティングの手法として、ラン鉄鋼(Fe3(PO42・8H2O)とリチウムオルトホスフェートとポリプロピレン粉末との混合物を、ジルコニアボールミルで微粉砕した後、350〜700℃で加熱することが開示されている。
この文献には、一酸化炭素の不均化反応によってカーボンを堆積させることも開示されている。さらにこの文献には、炭質材料の先駆材料として、ポリビニルアルコール、フェノール縮合生成物類、フルフリルアルコールから誘導されたポリマー類などが例示されている。
特許文献3には、LiFePO4/炭素複合体を得る方法が開示されている。その方法として、Li3PO4とFe3(PO42・8H2Oとを混合したものに、さらにアセチレンブラック粉末を添加した混合物を、遊星型ボールミルを用いてミリングした後、600℃で焼成することが開示されている。
特許文献4には、オリビン構造のリチウム鉄複合酸化物(LiFePO4)の粒子に炭素物質微粒子が複合化した、リチウム二次電池正極活物質用炭素含有リチウム鉄複合酸化物の製造方法が開示されている。その製造方法として、リチウム化合物と、鉄化合物と、リン含有アンモニウム塩と、炭素物質微粒子とを混合した混合物を600〜750℃の温度で焼成することが開示されている。
特許文献5には、LiFePO4の粒子表面が導電性炭素材料で被覆されている、リチウム鉄リン系複合酸化物炭素複合体の製造方法が開示されている。その製造方法として、つぎの手法が開示されている。リン酸第一鉄含水塩(Fe3(PO42・8H2O)、リン酸リチウム(Li3PO4)及び導電性炭素材料を混合して混合物を作製する。この混合物を乾式で粉砕処理して比容積が1.5ml/g以下の反応前駆体を得る。この反応前駆体を焼成してLiFePO4の粒子表面を導電性炭素材料で被覆した後に粉砕する。
特許文献6には、非水系二次電池用正極活物質であるリチウム鉄酸化物の表面を炭素繊維で被覆する技術が開示されている。
特許文献7は、LiFePO4を炭素で被覆する方法として、つぎの二つの方法を開示している。一つは、LiFePO4に、酢酸セルロースを炭素先駆体として混合したものを、アルゴン雰囲気流の存在下で加熱する方法である。もう一つは、LiFePO4の原料と、炭素源としてのポリビニルアルコールとをともに加熱する方法である。さらにこの文献には、導電性炭素源としての有機物質として、フルフリルアルコールのポリマーが例示されている。
特許文献8は、LiFePO4を炭素で被覆する方法として、つぎの二つの方法を開示している。一つは、LiFePO4に、酢酸セルロースを炭素先駆体として混合したものを、アルゴン雰囲気流の存在下で加熱する方法である。もう一つは、LiFePO4の原料を、エチレンオキシド含有ポリエチレン−ブロック−ポリ(エチレングリコール)型の炭素添加物の存在下で、CO/CO2混合ガスを流しながら加熱する方法である。さらにこの文献には、導電性炭素源としての有機物質として、フルフリルアルコールのポリマーが例示されている。
特許文献9には、炭素源として炭化水素を含む混合ガスの熱分解を用いて、LiFe1-xxPO4(MはMn、Co、Ti、およびNiからなるグループから選択されるもの、0≦x≦1)からなるコアを炭素で被覆する正極活物質の合成方法が開示されている。
特許文献10には、炭素質物質を被覆したLiFePO4の製造方法が開示されている。その製造方法として、LiFePO4の原料を、平均分子量1900〜2100のポリエチレングリコールと混合した混合物を、窒素雰囲気下で加熱することが開示されている。さらにこの文献には、焼成により炭素化可能な有機化合物である炭素質物質前駆体の例として、フルフリルアルコール樹脂や、ポリビニルアルコールなどが例示されている。
特開2001−250555号公報 特開2001−015111号公報 特開2002−117833号公報 特開2003−034534号公報 特開2003−292308号公報 特開2004−186075号公報 特表2004−509058号公報 特表2004−509447号公報 米国特許出願公開第2004/0157126号明細書 特開2003−292309号公報
特許文献2〜10に開示された、リチウムリン酸鉄の粒子表面にカーボンコートを施す手法には、低率放電時の電池容量を大きくする効果はあった。しかし、それらの手法を用いて製造した電池の高率放電特性は不十分であった。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、従来技術よりも電子伝導性が高められたリチウムリン酸遷移金属化合物とカーボンとの混合体を提供する。さらに、その混合体を活物質として用いることによって、高率充放電性能に優れた電池を提供する。
本発明による第1の発明は、リチウムリン酸遷移金属化合物の第一の粒子が凝集して形成された第二の粒子と、第二の粒子の内部に存在する繊維状カーボンとを含むリチウムリン酸遷移金属化合物とカーボンとの混合体である。
このような構成とすることによって、リチウムリン酸遷移金属化合物粒子の電子伝導性を著しく向上させることができる。したがって、この混合体を活物質として電池を作製することによって、高率充放電性能に優れた電池が得られる。
ここで、リチウムリン酸遷移金属化合物は、式LixMPO4(但し、MはAyzで表され、AはCr、Mn、Fe、Co、Ni、Cuから選択された少なくとも1種、BはMg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sc、Y、希土類元素から選択された少なくとも1種、0≦x<2、0<y<1.5、0≦z<1.5)で表すことができる。
本願明細書に記載の「第一の粒子が凝集して形成された第二の粒子」とは、結着剤(バインダー)によって微粒子同士を結着させることによって初めて凝集体状の粒子になったものは含まない。本願明細書に記載の「第一の粒子が凝集して形成された第二の粒子」とは、結着剤が無い状態でも第一の粒子が凝集した状態が維持される第二の粒子を意味する。たとえば、電極に含まれる結着剤を溶剤に溶解して除去することによって粉末状になった活物質粒子が、小さい粒子が凝集して形成された大きい粒子になっている場合、本願明細書に記載の「第一の粒子が凝集して形成された第二の粒子」に相当する。
本願明細書に記載の第一の粒子とは、それ以上微細な粒子に分解できない単一の粒子のみからなるものであってもよく、それよりも微細な粒子が凝集して形成されたものであってもよい。
本願明細書に記載の第二の粒子とは、第一の粒子が直接凝集して形成されたものであってもよく、第一の粒子が凝集して形成された粒子がさらに凝集して形成されたものであってもよい。
本発明による第2の発明は、第1の発明による混合体において、繊維状カーボンに曲がった形状のものが存在することを特徴とする。
本発明による第3の発明は、第1の発明による混合体を活物質として備えた電極である。
本発明による第4の発明は、第3の発明による電極を備えた電池である。
本発明による第5の発明は、第1の発明による混合体の製造方法であって、分子量が100以下のアルコールの熱分解によって生成するカーボンをリチウムリン酸遷移金属化合物に配することを特徴とする。
例えば、フルフリルアルコールのように、分子内に二重結合があるものは、重合してポリマーになる。このようなアルコールの炭素化は、通常重合の後に行われる。本願明細書では、このように重合体が熱分解してカーボンが生成する場合には、そのアルコールの分子量は重合体の分子量とする。したがって、本願明細書に記載の、「分子量が100以下のアルコールの熱分解によって生成するカーボン」とは、分子量が100以下のアルコールが重合して、分子量が100を超えるポリマーになった後に熱分解して生成するカーボンは含まない。
本発明による第6の発明は、第5の発明による製造方法において、アルコールと、リチウムリン酸遷移金属化合物の原料またはリチウムリン酸遷移金属化合物との混合物を加熱することによって、アルコールを熱分解させてカーボンにする工程を備える。
第6の発明に記載の混合物中のアルコールは、気体、液体、固体のいずれであってもよい。ただし、混合したアルコールが液体や固体の場合であっても、アルコールが熱分解する温度では、アルコールは気化したり分解したりする。
本発明による第7の発明は、第5の発明による製造方法において、リチウムリン酸遷移金属化合物の原料またはリチウムリン酸遷移金属化合物が入れられた容器の内部を、アルコールが熱分解する温度範囲内にした状態で、アルコールを容器の内部に供給する工程を備える。
リチウムリン酸遷移金属化合物にカーボンを配する方法では、予めカーボンの原料となるアルコールのすべてを反応容器の内部に入れてから加熱する方法がある。しかし、このようにすると、アルコールがカーボンになる前に蒸発によって反応容器の外部に逃避することを回避するために、密閉容器で反応をおこなう必要がある。しかし、密閉容器で反応をおこなわせると、アルコールの気化によって反応容器内が非常に高い圧力となる。その結果、設備の制御や安全性の確保などが困難となるために、工業的に実現が難しくなるという問題点があった。
第7の発明によれば、アルコールを少しずつ供給することができる。その結果、反応容器にガスの排出路を設けたとしても、供給したアルコールの大半が、排出される前にカーボンになるようにすることができる。その結果、反応容器内が高圧になることなく、加えて供給したアルコールが多量に逃避することもなく、リチウムリン酸遷移金属化合物にカーボンを配することができる。したがって、第7の発明は、設備の制御や安全性の確保が容易となるために、工業的に実現が容易な製造方法となる。
第7の発明に記載の「アルコールが熱分解する温度範囲内にした状態」とは、アルコールを供給する際に容器の内部の温度が、アルコールの熱分解温度範囲外には一切ならないことを意味するのではない。たとえば、容器の内部の温度が、アルコールが熱分解する温度範囲内となることと範囲外となることとが繰り返される場合であっても、そのうちのアルコールが熱分解する温度範囲内の部分は、第7の発明に記載の「アルコールが熱分解する温度範囲内にした状態」に相当する。
本発明による第8の発明は、第6の発明による製造方法において、アルコールが熱分解する温度範囲内で、容器の内部の温度を下げながら、アルコールを容器の内部に供給する工程を備える。
第8の発明によれば、容器の内部の温度が下げられた際に、容器内の気体が収縮する。当然、リチウムリン酸遷移金属化合物の第二の粒子の内部の気体も収縮する。したがって、第二の粒子の外部にあった気体は第二の粒子の内部に吸い込まれる。さらに、温度の低下の前から第二の粒子の内部にあった気体は、第二の粒子のさらに内部へと吸い込まれる。その結果、第二の粒子のより深い部分まで、多くのカーボンを配することができる。したがって、第8の発明によれば、極めて電子伝導性の高いリチウムリン酸遷移金属化合物粒子が得られるために、それを用いた電池は優れた高率充放電性能を示す。
第8の発明に記載の「アルコールが熱分解する温度範囲内で、容器の内部の温度を下げながら」とは、容器の内部の温度を下げた際の温度が最後までアルコールの熱分解温度の範囲内であることを意味するものではない。温度を下げることによって、アルコールの熱分解温度よりも低い温度になった場合でも、温度がアルコールの熱分解温度の範囲外となる前までの工程は、第8の発明に記載の「アルコールが熱分解する温度範囲内で、容器の内部の温度を下げながら」に相当する。
本発明による第9の発明は、第5の発明による製造方法によって製造されたリチウムリン酸遷移金属化合物粒子を活物質に用いることを特徴とする電池の製造方法である。
本発明による第10の発明は、メタノール、エタノール、プロパノール、またはブタノールの熱分解によって生成するカーボンをリチウムリン酸遷移金属化合物に配することを特徴とする、カーボンが配されたリチウムリン酸遷移金属化合物粒子の製造方法である。
本発明によれば、従来技術よりも電子伝導性が高められたリチウムリン酸遷移金属化合物とカーボンとの混合体及びその製造方法を提供することができるので、その混合体を活物質として用いることによって、高率充放電性能に優れた電池を提供することができる。
本発明によるリチウムリン酸遷移金属化合物とカーボンとの混合体の製造方法の一つは、分子量が100以下のアルコールの熱分解により生成するカーボンをリチウムリン酸遷移金属化合物の粒子に配するものである。以下に、本発明による混合体の製造方法を例示するが、本発明は、その形態に限定されるものではない。
本発明による混合体の製造方法では、リチウムリン酸遷移金属化合物の第一の粒子が凝集して形成された第二の粒子からなるリチウムリン酸遷移金属化合物が入った焼成炉を高温に維持した状態で、焼成炉内に分子量が100以下のアルコールを供給する。
このようにすることによって、高温にされたアルコールは気化、あるいは分解などによって気体状の物質になって、リチウムリン酸遷移金属化合物の第二の粒子の内部に進入していく。したがって、気体状の物質が第二の粒子の内部でカーボンになるために、リチウムリン酸遷移金属化合物の第一の粒子が凝集して形成された第二の粒子の内部にカーボンを配することができる。そして、このように分子量が100以下のアルコールの熱分解によって、リチウムリン酸遷移金属化合物の内部に配されたカーボンは、繊維状の形状になる。
カーボンを配する方法には、主につぎの三つがある。一つ目の方法は、リチウムリン酸遷移金属化合物を焼成炉に入れた後に、焼成炉を高温に昇温してからアルコールを供給する方法である。二つ目の方法は、リチウムリン酸遷移金属化合物の原料を焼成炉に入れた後に、焼成炉を高温に昇温してリチウムリン酸遷移金属化合物を合成し、その後、アルコールを供給する方法である。三つ目の方法は、リチウムリン酸遷移金属化合物の原料を焼成炉に入れた後に、焼成炉を高温に昇温してリチウムリン酸遷移金属化合物を合成しながら、アルコールを供給する方法である。本発明では、上記の三つの方法のいずれを用いてもよい。
リチウムリン酸遷移金属化合物の原料を焼成炉に入れた後に、焼成炉を高温に昇温することによってリチウムリン酸遷移金属化合物を合成してから、アルコールを供給する方法は、リチウムリン酸遷移金属化合物の合成およびカーボンの付与を連続的におこなえるので好適である。
また、リチウムリン酸遷移金属化合物の原料、またはリチウムリン酸遷移金属化合物を内部に備えた焼成炉にアルコールを供給する方法としては、不活性ガスを流しながら液体のアルコールを焼成炉に供給する方法、および気体アルコールと不活性ガスとを混合して焼成炉に供給する方法が挙げられる。これらのいずれの方法も、リチウムリン酸遷移金属化合物の酸化を防ぐことができるので好ましい。
カーボンを配するリチウムリン酸遷移金属化合物は、オリビン構造を有する基本組成がLiMPO4を満たすものであれば特に限定されるものではなく、その製造方法には、例えば、固相法(日本特開2000−294238号公報)、ゾル−ゲル法(F.Croce et.al.Electrochem and Solid−State Letters、5(3)A47−A50、2002)、水熱法(S.Franger et al.Electrochem and Solid−State Letters、5(10)A231−A233、2002)が知られている。
本願明細書に記載のリチウムリン酸遷移金属化合物とは、LiMPO4の組成式から全くずれの無いもののみを意味するものではない。活物質となる遷移金属酸化物(場合によってはリチウムやリンなどを含む)の元素の一部を他の元素で置換することや、酸素欠損を含ませるようにすることや、あるいはリチウムの量をいくぶん増減させることなど、その物質の基本組成に若干の変化を加えることは電池業界では日常的におこなわれている。
本願発明においては、FeやPなどの一部が他の元素で置換されたものに代表されるように、LiMPO4の基本特性を失わない程度にLiMPO4の組成式からいくぶんのずれが生じたものであっても、同様の効果が得られる。したがって、本願明細書に記載のリチウムリン酸遷移金属化合物には、LiMPO4の基本特性を失わない程度にLiMPO4の組成式からいくぶんのずれが生じたものも含まれることは当然である。
焼成炉の温度は、アルコールが熱分解する温度以上とする必要がある。さらに、その温度は、リチウムリン酸遷移金属化合物の粒子成長が抑制される750℃以下であることが好ましい。例えばアルコールがメタノールの場合、メタノールの発火点が385℃であるので、この温度以下では熱分解が起こらないと考えられる。したがって、メタノールを用いる場合、焼成炉の温度を少なくとも385℃以上にする必要がある。さらには、リチウムリン酸遷移金属化合物の副反応物の生成を抑制するために、焼成炉の温度は500℃以上が好ましい。
アルコールの熱分解によって、リチウムリン酸遷移金属化合物にカーボンを配する際には、リチウムリン酸遷移金属化合物を攪拌することが好ましい。このようにすることによって、カーボンを均一に配することができる。
本発明において、リチウムリン酸遷移金属化合物とカーボンとの混合体の製造に用いる分子量が100以下のアルコールは、取り扱いが容易であることから25℃で液体であることが好ましい。その例として、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられる。アルコールを焼成炉に供給する方法には、液体を直接供給する方法、液体を気化して供給する方法等がある。液体を気化して供給する場合には、アルコールのガスと窒素や不活性ガスとを混合して供給することができる。
焼成炉にアルコールを供給する場合、アルコールをガス状にし、窒素、アルゴン、ヘリウムなどのガスとの混合ガスとして供給することが好ましい。この場合、混合ガス中のアルコールの濃度は0.01〜50%の範囲が好ましい。濃度が0.01%より小さくなると、リチウムリン酸遷移金属化合物の粒子表面にカーボンを配する時間が非常に長くなり、工業的に不利である。また、濃度が50%より大きくなると、アルコールが未分解のまま残り、焼成炉の外部に排出されたりする。その結果、アルコールの炭化率が小さくなるために、工業的に不利となる。
リチウムリン酸遷移金属化合物の第二の粒子の内部に、アルコールを熱分解して得た繊維状のカーボンを配した場合、カーボンの電子伝導性が非常に高く、かつ繊維状の形状が第一の粒子間の電子伝導ネットワーク形成に優れていることから、第二の粒子の内部の第一の粒子間の電子伝導性が非常に高くなる。その結果、このリチウムリン酸遷移金属化合物とカーボンとの混合体を活物質として用いた電池は、優れた高率充放電性能を備えることになる。
次に、本発明による電池の形態を示す。本発明の電池は、上記の製造方法により製造された混合体を正極材料として含む正極と、負極材料を含む負極と、電解質塩が溶媒に含有された電解質とから構成される。一般的には、正極と負極とを、その間にセパレータを介在させて、積層または巻回することによって電極群が製造される。この電極群は、外装体によって包装される。
本発明による混合体は、特に、非水電解質二次電池に用いられることが好ましい。非水電解質電池の形態は、非水電解質電池に限定されない上記の電池の形態と同じである。ただし、非水電解質二次電池の場合には、電解質の溶媒として非水溶媒が用いられる。
本発明による非水電解質二次電池にもちいる非水電解質としては、一般に非水電解質二次電池等への使用が提案されているものが使用可能である。非水溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート等の環状炭酸エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル等の鎖状エステル類;テトラヒドロフランまたはその誘導体;1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジブトキシエタン、メチルジグライム等のエーテル類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジオキソランまたはその誘導体;エチレンスルフィド、スルホラン、スルトンまたはその誘導体等の単独またはそれら2種以上の混合物等を挙げることができる。ただし、これらに限定されるものではない。
電解質塩としては、例えば、LiClO4、LiBF4、LiAsF6、LiPF6、LiCF3SO3、LiN(SO2CF32、LiN(SO2252、LiN(SO2CF3)(SO249)、LiSCN、LiBr、LiI、Li2SO4、Li210Cl10、NaClO4、NaI、NaSCN、NaBr、KClO4、KSCN等のイオン性化合物が挙げられる。
これらのイオン性化合物を単独、あるいは2種類以上混合して用いることが可能である。これらイオン性化合物の中でも、LiN(SO2252は高温安定性に優れ、充電時におけるアルミニウム集電体、および端子の腐食を抑制できることから、望ましい。
非水電解質における電解質塩の濃度としては、優れた電池特性を有する非水電解質電池を確実に得るために、0.5mol/l〜5mol/lが好ましく、さらに好ましくは、1mol/l〜2.5mol/lである。
本発明によるリチウムリン酸遷移金属化合物とカーボンとの混合体は、非水電解質二次電池の正極活物質として用いることが好ましい。後述する負極と組み合わせることで、電池のエネルギー密度および充放電サイクル寿命性能に優れた非水電解質二次電池を得ることができる。
負極材料としては、リチウム金属、リチウム合金(リチウム―アルミニウム、リチウム―鉛、リチウム―錫、リチウム―アルミニウム―錫、リチウム―ガリウム、およびウッド合金等のリチウム金属含有合金)の他、リチウムを吸蔵・放出可能な合金、炭素材料(例えばグラファイト、ハードカーボン、低温焼成炭素、非晶質カーボン等)、金属酸化物、リチウム金属酸化物(Li4Ti512等)、ポリリン酸化合物等が挙げられる。
これらの中でもグラファイトは、金属リチウムに極めて近い作動電位を有し、高い作動電圧での充放電を実現できるため負極材料として好ましい。例えば、人造黒鉛、天然黒鉛が好ましい。
特に、負極活物質粒子表面を不定形炭素等で修飾してあるグラファイトは、充電中のガス発生が少ないことから望ましい。また、Li4Ti512は電解質塩としてリチウム塩を採用した場合に自己放電を少なくでき、かつ充放電における不可逆容量を少なくできるので、負極材料として好ましい。
正極活物質の粉体および負極材料の粉体は、平均粒子サイズ100μm以下であることが望ましい。特に、正極活物質の粉体は、電子伝導性の観点から50μm以下であることが望ましい。粉体を所定の形状で得るためには粉砕機や分級機が用いられる。
例えば乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ジェットミル、カウンタージェトミル、旋回気流型ジェットミルや、ふるい等が用いられる。粉砕時には水、あるいはエタノール等の有機溶剤を共存させた湿式粉砕を用いることもできる。分級方法としては、特に限定はなく、ふるいや風力分級機などが、乾式、湿式ともに必要に応じて用いられる。
本発明における、カーボンが配されたリチウムリン酸遷移金属化合物の製造方法は、リチウムリン酸遷移金属化合物の最大粒子径が1μm以上、3mm以下となるように分級した後に、リチウムリン酸遷移金属化合物の粉末にカーボンを配することが好ましい。
アルコールを焼成炉に供給する時に、リチウムリン酸遷移金属化合物が焼成炉から飛散することを抑制するためには、リチウムリン酸遷移金属化合物の最大粒子径は1μm以上であることが好ましい。さらに、アルコールの熱分解により生成するカーボンがリチウムリン酸遷移金属化合物の第二の粒子の内部の十分深い部分まで配されるためには、リチウムリン酸遷移金属化合物の最大粒子径は3mm以下であることが好ましい。
リチウムリン酸遷移金属化合物の最大粒子径が1μm以上、3mm以下となるように分級したリチウムリン酸遷移金属化合物に、アルコールの熱分解により生成するカーボンを配した非水電解質二次電池用正極材料は、導電性が著しく高くなることが分かった。その結果、この正極材料を備える非水電解質二次電池の高率放電性能は優れる。
以上、正極および負極の主要構成成分である正極活物質および負極材料について詳述したが、前記正極および負極には、前記主要構成成分の他に、導電剤、結着剤、増粘剤、フィラー等が、他の構成成分として含有されてもよい。
導電剤としては、電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であればなんでも良い。通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛等)、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウイスカー、炭素繊維、金属(銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金等)粉、金属繊維、導電性セラミックス材料等の導電性材料を1種又はそれらの混合物として、電極材料に含ませることができる。これらの中で、導電剤としては、電子伝導性および塗工性の観点よりアセチレンブラックが望ましい。
導電剤の添加量は、正極又は負極の総質量に対して0.1質量%〜50質量%が好ましく、特に0.5質量%〜30質量%が好ましい。特にアセチレンブラックを0.1〜0.5μmの超微粒子に粉砕して用いると必要炭素量を少なくすることができるため望ましい。
これらの混合方法は、物理的な混合であり、その理想とするところは均一混合である。そのため、V型混合機、S型混合機、擂かい機、ボールミル、遊星ボールミルといったような粉体混合機を乾式、あるいは湿式で使用することが可能である。
前記結着剤としては、通常、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のゴム弾性を有するポリマーを1種又は2種以上の混合物として用いることができる。結着剤の添加量は、正極又は負極の総質量に対して1〜50質量%が好ましく、特に2〜30質量%が好ましい。
前記増粘剤としては、通常、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等の多糖類等を1種又は2種以上の混合物として用いることができる。また、多糖類の様にリチウムと反応する官能基を有する増粘剤は、例えばメチル化するなどしてその官能基を失活させておくことが望ましい。増粘剤の添加量は、正極又は負極の総質量に対して0.5〜10質量%が好ましく、特に1〜2質量%が好ましい。
フィラーとしては、電池性能に悪影響を及ぼさない材料であれば何でも良い。通常、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系ポリマー、無定形シリカ、アルミナ、ゼオライト、ガラス、炭素等が用いられる。フィラーの添加量は、正極又は負極の総質量に対して30質量%以下が好ましい。
正極および負極は、前記活物質、導電剤および結着剤をN−メチルピロリドン、トルエン等の有機溶媒または水などに混合させた後、得られた混合液を下記に詳述する集電体の上に塗布し、乾燥することによって、好適に作製される。
塗布方法については、例えば、アプリケーターロールなどのローラーコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレード方式、スピンコーティング、バーコータ等の手段を用いて任意の厚みおよび任意の形状に塗布することが望ましい。ただし、これらに限定されるものではない。
集電体としては、構成された電池において悪影響を及ぼさない電子伝導体であれば何でもよく、つぎのような材料を用いることができる。これらの材料については表面を酸化処理することも可能である。
正極用集電体としては、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス等を用いることができる。その他に、接着性、導電性および耐酸化性向上の目的で、アルミニウムや銅等の表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀等で処理した物を用いることができる。
負極用集電体としては、銅、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス、Al−Cd合金等を用いることができる。その他に、接着性、導電性、耐還元性の目的で、銅等の表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀等で処理した物を用いることができる。
集電体の形状については、フォイル状の他、フィルム状、シート状、ネット状、パンチ又はエキスパンドされた物、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の形成体等が用いられる。厚みの限定は特にないが、1〜500μmのものが用いられる。
これらの集電体の中で、正極としては、耐酸化性に優れているアルミニウム箔が、負極としては、耐還元性、電導性に優れ、安価な銅箔、ニッケル箔、鉄箔、およびそれらの一部を含む合金箔を使用することが好ましい。
さらに、正極および負極集電体は、その粗面表面粗さが0.2μmRa以上の箔であることが好ましい。このようにすることによって、正極材料又は負極材料と集電体との密着性は優れたものとなる。よって、このような粗面を有することから、電解箔を使用するのが好ましい。特に、ハナ付き処理を施した電解箔は最も好ましい。さらに、該箔に両面塗工する場合、箔の表面粗さが同じ、又はほぼ等しいことが望まれる。
非水電解質電池用セパレータとしては、優れた高率充放電性能を示す多孔膜や不織布等の、いずれかを単独で使用あるいは複数のものを併用することが好ましい。非水電解質電池用セパレータを構成する材料としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等に代表されるポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等に代表されるポリエステル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−フルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロアセトン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等を挙げることができる。
非水電解質電池用セパレータの空孔率は強度の観点から98体積%以下が好ましい。また、充放電特性の観点から空孔率は20体積%以上が好ましい。また、非水電解質電池用セパレータは、例えばアクリロニトリル、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、メチルメタアクリレート、ビニルアセテート、ビニルピロリドン、ポリフッ化ビニリデン等のポリマーと電解質とで構成されるポリマーゲルを用いてもよい。
さらに、非水電解質電池用セパレータは、上述したような多孔膜や不織布等とポリマーゲルを併用して用いると、電解質の保液性が向上すため望ましい。即ち、ポリエチレン微孔膜の表面および微孔壁面に厚さ数μm以下の親溶媒性ポリマーを被覆したフィルムを形成することに加えて、前記フィルムの微孔内に電解質を保持させる。このようにすることで、前記親溶媒性ポリマーがゲル化する。
前記親溶媒性ポリマーとしては、ポリフッ化ビニリデンの他、エチレンオキシド基やエステル基等を有するアクリレートモノマー、エポキシモノマー、イソシアナート基を有するモノマー等が架橋したポリマー等が挙げられる。該モノマーは、ラジカル開始剤を併用して加熱したり、紫外線(UV)を用いたり、あるいは電子線(EB)等の活性光線等を用いて架橋反応をおこなわせることが可能である。
前記親溶媒性ポリマーには、強度や物性制御の目的で、架橋体の形成を妨害しない範囲の物性調整剤を配合して使用することができる。前記物性調整剤の例としては、無機フィラー類(酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄などの金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの金属炭酸塩)、ポリマー類(ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート等)等が挙げられる。前記物性調整剤の添加量は、架橋性モノマーに対して通常50質量%以下、好ましくは20質量%以下である。
本発明による非水電解質電池は、電解質を、例えば、非水電解質電池用セパレータと正極と負極とを積層する前又は積層した後に注液し、最終的に、外装材で封止することによって好適に作製される。また、正極と負極とが非水電解質電池用セパレータを介して積層された発電要素を巻回してなる非水電解質電池においては、電解質は、前記巻回の前後に発電要素に注液されるのが好ましい。注液法としては、常圧で注液することも可能であるが、真空含浸方法や加圧含浸方法も使用可能である。
リチウム二次電池の外装体の材料としては、ニッケルメッキした鉄やステンレススチール、アルミニウム、金属樹脂複合フィルム等が一例として挙げられる。リチウム二次電池の構成については特に限定されるものではなく、正極、負極および単層又は複層のセパレータを有するコイン電池やボタン電池が挙げられる。さらに、正極、負極、およびそれらの間に挟まれたセパレータを積層して巻回した電極群を有する円筒型電池、角型電池、扁平型電池等が一例として挙げられる。
以下、本発明を好適な実施例を用いて説明する。
[実施例1]
(LiFePO4/Cの作製)
まず、シュウ酸鉄二水和物(FeC24・2H2O)とリン酸二水素アンモニウム(NH42PO4)と炭酸リチウム(Li2CO3)とをモル比が2:2:1になるように計り取った。これらをエタノールに浸漬して、ボールミルで2時間、粉砕・混合をおこないLiFePO4前駆体を得た。ここでエタノールを用いる理由は、原料を酸素に触れさせないようにすることによって、原料が酸化されることを抑制するためである。次に、そのLiFePO4前駆体を窒素流通下(2.0リットル/分)で700℃、12時間の条件で焼成することによってLiFePO4粉末を得た。
LiFePO4の粉末を焼成炉に入れた後に、焼成炉を600℃に昇温させた。その焼成炉内に、気化させたメタノールと窒素との混合ガス(メタノール1vol%含有)を、メタノールの熱分解により生成する炭素質量がLiFePO4の5質量%になるように供給して、本発明によるカーボンを配したリチウムリン酸遷移金属化合物A(LiFePO4/C)を作製した。
なお、得られたカーボンを配したリチウムリン酸遷移金属化合物A(LiFePO4/C)中のカーボンの量は、700℃までの熱重量分析(TG分析)による質量減少を測定することによって算出した。
このようにして作製したリチウムリン酸遷移金属化合物Aの粒子の一つの表面を電子顕微鏡(SEM)で撮影した結果を図1に示す。図1では、写真の全体が一つの粒子の表面の一部となっている。その一つの粒子が、本発明による第一の発明の第二の粒子に相当する。
図1からわかるように、リチウムリン酸遷移金属化合物Aの第二の粒子は、第二の粒子よりも小さい第一の粒子が凝集して形成されている。図1のAで示される円内に、数本の細長い形状のカーボン(繊維状カーボン)が第二の粒子の内部に配されている様子が観察される。
さらに、図1にBで示される細長い形状の物体も、第二の粒子の内部に配された繊維状カーボンである。AおよびBは、はっきりと繊維状カーボンであるとわかるものを示したものであるが、これら以外にも、図1には繊維状カーボンが写っているものと考えられる。さらに、図1から、繊維状カーボンの多くが曲がった形状をしていることが確認される。
なお、本願発明におけるカーボンの形状の「繊維状」とは、実質的に細長い形状であればよい。「繊維状」によって意味される形状や大きさが、図1の電子顕微鏡写真に撮影された繊維状カーボンの長さや太さに限定されないことは言うまでもない。
ただし、本発明における繊維状カーボンとしては、太さが0.1μm以上0.7μm以下のものを含むことが好ましい。さらに、本発明における繊維状カーボンとしては、長さが0.5μm以上、5μm以下のものを含むことが好ましい。分子量が100以下のアルコールの熱分解によって生成するカーボンは、この範囲の太さおよび長さになるものが多い。
比較のために、上記のリチウムリン酸遷移金属化合物にカーボンを配する工程をおこなう前の状態の、カーボンが配されていないリチウムリン酸遷移金属化合物の第二の粒子の表面の一部を電子顕微鏡で撮影した写真を図2に示す。図2から、カーボンを配していないリチウムリン酸遷移金属化合物においては、図1に見られるような繊維状の物体は見られないことがわかる。
(正極板の作製)
上記の方法により作製したカーボンを配したリチウムリン酸遷移金属化合物A(LiFePO4/C)と、導電剤であるアセチレンブラックと、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを質量比80:8:12の割合で混合した。この混合物に、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を加えて充分混練して、正極ペーストを作製した。
この正極ペーストを厚さ20μmのアルミニウム箔集電体上に塗布した後に乾燥した。塗布および乾燥は、アルミニウム箔の両面に対しておこなった。その後、プレス加工をおこなうことによって正極板を製造した。正極板には正極端子を抵抗溶接により溶接した。
(負極板の作製)
負極材料である人造黒鉛(平均粒径6μm、X線回折分析による面間隔(d002)0.337nm、c軸方向の結晶の大きさ(Lc)55nm)と結着剤であるPVdFとを質量比94:6の割合で混合し、NMPを加えて充分混練して、負極ペーストを作製した。この負極ペーストを厚さ15μmの銅箔集電体上に塗布し、乾燥した。この塗布および乾燥は、銅箔集電体の両面に対しておこなった。その後、プレス加工をおこなって負極板を製造した。負極板には負極端子を抵抗溶接により溶接した。
(電解液の調製)
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを体積比1:1の割合で混合した溶媒にLiPF6を1mol/lの濃度で溶解させ、非水電解質を作製した。この電解質中の水分量は30ppm未満とした。
(電池の作製)
上述の部材を用いて、露点が−40℃以下の乾燥雰囲気下において、つぎのように非水電解質二次電池を作製した。正極板と負極板とを20μmの厚みのポリプロピレン(PP)製セパレータを介して長円形状に巻回することによって、巻回体を作製した。外装体として、ポリエチレンテレフタレート(15μm)/アルミニウム箔(50μm)/金属接着性ポリプロピレンフィルム(50μm)の三層からなる金属樹脂複合フィルムを用いた。
この金属樹脂複合フィルムで作製された袋状の電池ケースの内部に、上記の巻回体を入れた後に、注液孔となる部分を除いて電池ケースを気密封止した。その際、正極端子および負極端子のそれぞれの一端は、電池ケースの外部に露出するようにした。注液孔から一定量の非水電解質を注液後、真空状態で注液孔部分を熱封口し、本発明による実施例1の非水電解質二次電池Aを作製した。
[実施例2]
(LiFePO4/Cの作製)
まず、水酸化リチウム(LiOH・H2O)とリン酸アンモニウム((NH43PO4・3H2O)とを超純水に溶解させた混合溶液を作製した。つぎに硫酸鉄(FeSO4・xH2O)を、アスコルビン酸を含む超純水に溶解させた混合溶液を作製した。この時、水酸化リチウムとリン酸アンモニウムと硫酸鉄とアスコルビン酸の混合割合はモル比で2.5:1:1:0.2とした。
これらの二つの混合溶液を混合し、170℃で12時間水熱処理をした後に冷却した。さらにこの溶液をろ過することによって、LiFePO4前駆体を採取し、超純水とアセトンを用いて洗浄した後、100℃で1時間真空乾燥をおこなった。
最後に、このLiFePO4前駆体を400℃のアルゴン雰囲気炉中で1時間熱処理することによって、LiFePO4粉末を得た。
このLiFePO4粉末を焼成炉に入れ、実施例1と同様の条件で、カーボンを配したリチウムリン酸遷移金属化合物B(LiFePO4/C)を作製した。なお、LiFePO4に対するカーボンの割合は5質量%とした。このリチウムリン酸遷移金属化合物Bの第二の粒子の内部にも、リチウムリン酸遷移金属化合物Aと同様に、繊維状カーボンが確認された。このカーボンを配したリチウムリン酸遷移金属化合物Bを用いたこと以外は実施例1と同様の方法により、実施例2の非水電解質二次電池Bを作製した。
[比較例1]
(LiFePO4/Cの作製)
まず、実施例1と同様にして、LiFePO4粉末を得た。この粉末とポリビニルアルコール(分子量は66000〜88000)とを、ポリビニルアルコールの熱処理により生成する炭素質量がLiFePO4の5質量%になるように混合した。この混合物を窒素流通下(1.5リットル/分)で700℃、2時間の条件で熱処理してカーボンを配したリチウムリン酸遷移金属化合物C(LiFePO4/C)を作製した。
このように作製したリチウムリン酸遷移金属化合物Cの第二の粒子の内部には、繊維状カーボンは確認されなかった。
このカーボンを配したリチウムリン酸遷移金属化合物Cを用いたこと以外は実施例1と同様の方法により、比較例1の非水電解質二次電池Cを作製した。
[比較例2]
(LiFePO4/Cの作製)
まず、シュウ酸鉄二水和物(FeC24・2H2O)とリン酸二水素アンモニウム(NH42PO4)と炭酸リチウム(Li2CO3)とをモル比が2:2:1になるように計り取った。さらに、熱処理により生成する炭素の質量が、合成したLiFePO4の5質量%になるようにショ糖(C122211)を加えた。この混合物に対して、不活性雰囲気下においてボールミルで2時間粉砕混合をおこない前駆体を得た。次に、その前駆体を窒素流通下(2.0リットル/分)で700℃、12時間の条件で焼成することによって、カーボンを配したリチウムリン酸遷移金属化合物D(LiFePO4/C)を作製した。
このように作製したリチウムリン酸遷移金属化合物Dの第二の粒子の内部には、繊維状カーボンは確認されなかった。
このカーボンを配したリチウムリン酸遷移金属化合物Dを用いたこと以外は実施例1と同様の方法により、比較例2の非水電解質二次電池Dを作製した。
作製した非水電解質二次電池A、B、C、Dの設計容量はいずれも600mAhとした。なお、以下で述べる実施例3〜17の非水電解質二次電池E〜Qの設計容量も、600mAhとした。
まず、カーボンを配したリチウムリン酸遷移金属化合物A〜Dの電子伝導性を調査するために、これらの粉体の抵抗率を測定した。その測定は、0.1gの粉体を10MPaの圧力でプレスすることによって作製した錠剤の抵抗を測定することによっておこなった。その結果を表1に示す。
表1から、本発明によるカーボンを配したリチウムリン酸遷移金属化合物AおよびBの抵抗率はカーボンを配したリチウムリン酸遷移金属化合物CおよびDのものと比較して小さいことがわかった。本発明の実施例では、比較例と比べて、電子伝導ネットワークの形成に効率よくカーボン付与がおこなわれていることがわかる。
これらのカーボンを配したリチウムリン酸遷移金属化合物A〜DをSEMで観察したところ、実施例1および2のカーボンを配したリチウムリン酸遷移金属化合物AおよびBでは、上述のように、繊維状のカーボンが第二の粒子の内部に観察された。それに対し、比較例1および2のリチウムリン酸遷移金属化合物CおよびDではそのような形状のカーボンは観察されなかった。
上記実施例1および2では、カーボンの原料としてメタノールを用いたが、アルコールの性質の類似性から、メタノール以外にも、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノールなど、分子量が100以下のアルコールでは、同様の結果が得られると考えられる。
ただし、上記の比較例1のポリビニルアルコールなどのポリマーのように、アルコールの分子量が非常に大きくなると、メタノールなどと性質が大きく異なることから、上記の実施例1および2と同様の結果にはならないと考えられる。したがって、ポリビニルアルコールの場合と同様に、ポリエチレングリコールや、フルフリルアルコール樹脂(フルフリルアルコールを重合させたポリマー)などのポリマーを熱分解させても、リチウムリン酸遷移金属化合物の第二の粒子の内部に繊維状カーボンが配されることはないと考えられる。
本発明で、リチウムリン酸遷移金属化合物に配するカーボンの原料としてのアルコールは、分子量が100以下であることは上述したとおりであるが、その分子量は、さらには90以下が好ましく、さらには80以下が好ましく、さらには60以下が好ましく、さらには50以下が好ましく、さらには40以下が好ましい。アルコールの中ではメタノールが最も好ましい。
次に、非水電解質二次電池A〜Dの高率放電性能を測定した。測定の充放電条件は、つぎのとおりである。
低率放電容量測定(この時の放電容量を「低率放電容量」とする)
充電:0.1It(10時間率、60mA)定電流で3.9Vまで、さらに3.9Vの定電圧で、合計15時間充電
放電:0.1It(10時間率、60mA)定電流で2.0Vまで放電
高率放電容量測定(この時の放電容量を「高率放電容量」とする)
充電:0.1It(10時間率、60mA)定電流で3.9Vまで、さらに3.9Vの定電圧で、合計15時間充電
放電:10It(0.1時間率、6A)定電流で2.0Vまで放電
そして、低率放電容量に対する高率放電容量の比を「高率/低率容量比(%)」とし、高率放電特性値を表す指標とした。その結果を表2に示す。
表2から、本発明による非水電解質二次電池AおよびBの高率/低率容量比(%)は、比較例における非水電解質二次電池CおよびDのものと比較して高いことがわかる。このことは、第二の粒子の内部に繊維状カーボンを配したリチウムリン酸遷移金属化合物を正極材料とした非水電解質二次電池では、リチウムリン酸遷移金属化合物の第二の粒子の内部まで繊維状カーボンによって電子伝導ネットワークが形成されているために、優れた高率放電特性を示すことを意味するものと推定される。
なお、上記の実施例1では、リチウムリン酸遷移金属化合物に配したカーボンの量は、リチウムリン酸遷移金属化合物に対して5質量%としたが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明においては、カーボンを配したリチウムリン酸遷移金属化合物において、リチウムリン酸遷移金属化合物の質量に対するカーボンの質量の割合は0.01〜30%であることが好ましい。
この割合が0.01質量%より小さい場合には、カーボンの量が少なすぎて電子伝導性を高めるという効果が少なくなる。また、30質量%より大きい場合には、リチウムリン酸遷移金属化合物の割合が相対的に小さくなるために、この混合体を活物質として用いた電池のエネルギー密度が小さくなる。
さらには、リチウムリン酸遷移金属化合物に配するカーボンの量は、リチウムリン酸遷移金属化合物に対して、0.1質量%〜30質量%が好ましく、さらには0.5質量%〜10質量%が好ましく、さらには1質量%〜5質量%が好ましい。
リチウムリン酸遷移金属化合物に配するカーボンの量を、リチウムリン酸遷移金属化合物に対して1質量%としたこと以外は実施例1と同様にして作製した非水電解質二次電池においては、実施例1における非水電解質二次電池Aと同様の優れた高率/低率容量比が得られた。
なお、本願明細書に記載のリチウムリン酸遷移金属化合物に対するカーボンの量の比率は、第二の粒子の内部に配されたカーボンのみの量から求められたものではない。リチウムリン酸遷移金属化合物に対するカーボンの比率は、第二の粒子の内部と外部のいずれであっても、リチウムリン酸遷移金属化合物に配された繊維状カーボンの全体の量から求められたものである。
[実施例3〜5]
実施例1と同様の方法でLiFePO4粉末を作製した。この粉末を焼成炉に入れ、カーボンを配する際の焼成炉の温度をそれぞれ385℃、500℃、または750℃としたこと以外は実施例1と同様にして、カーボンを配したリチウムリン酸遷移金属化合物E、F、およびG(LiFePO4/C)を作製した。このカーボンを配したリチウムリン酸遷移金属化合物E、F、またはGを用いたこと以外は実施例1と同様の方法により、実施例3〜5の非水電解質二次電池E、FおよびGを作製した。焼成炉の温度と、対応する非水電解質二次電池の記号E、F、およびGとの対応関係は、表3に記載のとおりである。
次に、非水電解質二次電池E〜Gについて、実施例1における非水電解質二次電池Aの場合と同じ条件で、低率放電容量および高率放電容量を測定し、「高率/低率容量比(%)」を求めた。その結果を表3に示す。なお、表3には、比較のため、実施例1の結果も示した。
表3から、非水電解質二次電池E〜Gの高率/低率容量比(%)は、非水電解質二次電池A、Bの場合とほぼ同様の値となることがわかる。メタノールの熱分解温度が385〜750℃の範囲では、カーボンを配したリチウムリン酸遷移金属化合物の特性はほとんど変らないことがわかった。
なお、実施例3〜5の非水電解質二次電池が、実施例1の非水電解質二次電池と同様の高率/低率容量比を示したことから、実施例3〜5のLiFePO4/Cにおいても、実施例1のLiFePO4/Cと同様の形態でカーボンがリチウムリン酸遷移金属化合物に配されているものと考えられる。
[実施例6〜9]
実施例1と同様の方法でLiFePO4粉末を作製した。この粉末を焼成炉に入れ、焼成炉を600℃に昇温させた。その焼成炉に供給する混合ガスとして、気化させたメタノールと窒素との混合ガスの代わりに、表4に記載の混合ガスを供給したこと以外は実施例1と同様にして、本発明による実施例6および7の非水電解質二次電池HおよびIを作製した。
実施例1と同様の方法で作製したLiFePO4粉末を焼成炉に入れた。この焼成炉を700℃に昇温させたことと、その焼成炉に供給する混合ガスとして、気化させたメタノールと窒素との混合ガスの代わりに、表4に記載の混合ガスを供給したこと以外は実施例1と同様にして、本発明による実施例8および9の非水電解質二次電池JおよびKを作製した。
混合ガスの種類と、対応する非水電解質二次電池の記号H、I、J、およびKとの対応関係は、表4に記載のとおりである。実施例6〜9において使用した混合ガス中のアルコールの濃度は、いずれも1vol%である。
次に、非水電解質二次電池H〜Kについて、実施例1における非水電解質二次電池Aの場合と同じ条件で、低率放電容量および高率放電容量を測定し、「高率/低率容量比(%)」を求めた。その結果を表4に示す。なお、表4には、比較のため、実施例1の結果も示した。
表4から、非水電解質二次電池H〜Kの高率/低率容量比は、非水電解質二次電池A、Bの場合とほぼ同様の値となったことがわかる。焼成炉に供給するアルコールやガスの種類を変えた場合でも、カーボンを配したリチウムリン酸遷移金属化合物の特性は、実施例1および2と比較してほとんど変らないことがわかった。
なお、実施例6〜9の非水電解質二次電池が、実施例1の非水電解質二次電池と同様の高率/低率容量比を示したことから、実施例6〜9のLiFePO4/Cにおいても、実施例1のLiFePO4/Cと同様の形態でカーボンがリチウムリン酸遷移金属化合物に配されているものと考えられる。
[実施例10〜13]
実施例1と同様の方法でLiFePO4粉末を作製し、この粉末を焼成炉に入れ、焼成炉を600℃に昇温した。この焼成炉に供給するメタノールと窒素との混合ガス中のメタノール濃度と、混合ガスの供給時間とを変化させたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例10〜13の非水電解質二次電池L、M、N、およびOを作製した。混合ガス中のメタノールの濃度と、対応する非水電解質二次電池の記号L、M、N、およびOとの対応関係は、表5に記載のとおりである。
次に、非水電解質二次電池L〜Oについて、実施例1における非水電解質二次電池Aの場合と同じ条件で、低率放電容量および高率放電容量を測定し、「高率/低率容量比(%)」を求めた。その結果を表5に示す。なお、表5には、比較のため、実施例1の結果も示した。
表5から、非水電解質二次電池L〜Oの高率/低率容量比(%)は、実施例1および2における非水電解質二次電池A、Bの場合とほぼ同様の値となったことがわかる。この結果から、焼成炉にメタノールと窒素の混合ガスを供給する場合のメタノールの濃度を0.01vol%〜50vol%の範囲で変化させた場合でも、カーボンを配したリチウムリン酸遷移金属化合物の特性はほとんど変らないことがわかった。
なお、実施例10〜13の非水電解質二次電池が、実施例1の非水電解質二次電池と同様の高率/低率容量比を示したことから、実施例10〜13のLiFePO4/Cにおいても、実施例1のLiFePO4/Cと同様の形態でカーボンがリチウムリン酸遷移金属化合物に配されているものと考えられる。
[実施例14]
(LiFePO4/Cの作製)
まず、シュウ酸鉄二水和物(FeC24・2H2O)とリン酸二水素アンモニウム(NH42PO4)と炭酸リチウム(Li2CO3)とをモル比が2:2:1になるように計り取った。これらを、溶媒にエタノールを用いた不活性雰囲気下において、ボールミルで2時間粉砕混合をおこない前駆体を得た。
次に、その前駆体を、窒素流通下(2.0リットル/分)で700℃、12時間の条件でロータリーキルンを用いて焼成した。その後、そのキルンの温度を下げながら、気化させたメタノールと窒素との混合ガスを、メタノールの熱分解により生成する炭素質量がLiFePO4の5質量%になるように供給した。このようにして、本発明によるカーボンを配したリチウムリン酸遷移金属化合物P(LiFePO4/C)を作製した。なお、キルンの降温速度は、1℃/分とした。
カーボンを配したリチウムリン酸遷移金属化合物材料としてリチウムリン酸遷移金属化合物P(LiFePO4/C)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、本発明による実施例14の非水電解質二次電池Pを製造した。
[実施例15]
ロータリーキルン内の温度を下げずに700℃に固定したまま、メタノールと窒素との混合ガスをロータリーキルン内に供給したこと以外は実施例14と同様にして、本発明によるカーボンを配したリチウムリン酸遷移金属化合物Q(LiFePO4/C)を作製した。
カーボンを配したリチウムリン酸遷移金属化合物材料としてリチウムリン酸遷移金属化合物Q(LiFePO4/C)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、本発明による実施例15の非水電解質二次電池Qを製造した。
まず、リチウムリン酸遷移金属化合物PおよびQの電子伝導性を調査するために、これらの粉体の抵抗率を測定した。その測定は、カーボンを配したリチウムリン酸遷移金属化合物を0.1g秤量して、10MPaの圧力でプレスすることによって作製した錠剤の抵抗を測定することによっておこなった。その結果を表6に示す。
表から、本発明によるリチウムリン酸遷移金属化合物Pとリチウムリン酸遷移金属化合物Qとにおいて、抵抗率は同等であることが分かる。このことは、リチウムリン酸遷移金属化合物の表面に配されているカーボンの電子伝導度は同等であるので、これらの粉体の電子伝導度も同等であることを意味する。
次に、非水電解質二次電池PおよびQとを用いて、実施例1の非水電解質二次電池Aに対しておこなった低率放電容量測定および高率放電容量測定と同じ容量測定をおこなった。その結果を表7に示す。
表7から、低率放電容量は、非水電解質二次電池PとQとにおいて同等であることが分かる。しかしながら、非水電解質二次電池Pの高率放電容量は、非水電解質二次電池Qのそれと比較して著しく大きいことが明らかになった。
この違いは、つぎのようなメカニズムによってもたらされると考えられる。ロータリーキルンの内部の温度が下げられた際に、容器内の気体が収縮する。当然、リチウムリン酸遷移金属化合物の第二の粒子の内部の気体も収縮する。したがって、第二の粒子の内部や近傍では、第二の粒子の内部へと向かう気流が生じる。その結果、カーボンの原料となる気体が第二の粒子のより深い部分まで多量に入り込む。したがって、第二の粒子のより深い部分まで多くのカーボンを配することができる。
その結果として、第二の粒子の内部のより深い部分まで十分に電子伝導ネットワークが形成されると考えられる。したがって、高率で電池を放電させた場合であっても、リチウムリン酸遷移金属化合物の第二の粒子の内部の深い部分まで放電反応に関与することができるために、高率放電性能において優れる結果が得られたものと考えられる。
[実施例16]
LiFePO4粉末に代えてLiCoPO4粉末を用いたこと以外は実施例1と同様の方法により、本発明によるカーボンを配したリチウムリン酸遷移金属化合物R(LiCoPO4/C)を作製した。
このようにして作製したリチウムリン酸遷移金属化合物Rの粒子の一つの表面を電子顕微鏡(SEM)で撮影した結果、図1と同様に、リチウムリン酸遷移金属化合物Rの第二の粒子は、第二の粒子よりも小さい第一の粒子が凝集して形成され、数本の細長い形状のカーボン(繊維状カーボン)が第二の粒子の内部に配されている様子が観察された。
このカーボンを配したリチウムリン酸遷移金属化合物Rを用いたこと以外は実施例1と同様の方法により、実施例16の非水電解質二次電池Rを作製した。
[比較例3]
実施例16で用いたものと同じLiCoPO4粉末とポリビニルアルコールとを、ポリビニルアルコールの熱処理により生成する炭素質量がLiCoPO4の5質量%になるように混合した。この混合物を窒素流通下(2.0リットル/分)で700℃、2時間の条件で熱処理してカーボンを配したリチウムリン酸遷移金属化合物S(LiCoPO4/C)を作製した。
このように作製したリチウムリン酸遷移金属化合物Sの第二の粒子の内部には、繊維状カーボンは確認されなかった。
このカーボンを配したリチウムリン酸遷移金属化合物Sを用いたこと以外は実施例1と同様の方法により、比較例3の非水電解質二次電池Sを作製した。
[比較例4]
実施例16で用いたものと同じLiCoPO4粉末とショ糖とを、ショ糖の熱処理により生成する炭素質量がLiCoPO4の5質量%になるように混合した。この混合物を窒素流通下(2.0リットル/分)で700℃、2時間の条件で熱処理してカーボンを配したリチウムリン酸遷移金属化合物T(LiCoPO4/C)を作製した。
このように作製したリチウムリン酸遷移金属化合物Tの第二の粒子の内部には、繊維状カーボンは確認されなかった。
このカーボンを配したリチウムリン酸遷移金属化合物Tを用いたこと以外は実施例1と同様の方法により、比較例4の非水電解質二次電池Tを作製した。
作製した非水電解質二次電池R、S、Tの設計容量はいずれも400mAhとした。
次に、非水電解質二次電池R、S、Tの高率放電性能を測定した。測定の充放電条件は、つぎのとおりである。
低率放電容量測定(この時の放電容量を「低率放電容量」とする)
充電:0.1It(10時間率、40mA)定電流で5.0Vまで、さらに5.0Vの定電圧で、合計15時間充電
放電:0.1It(10時間率、40mA)定電流で4.0Vまで放電
高率放電容量測定(この時の放電容量を「高率放電容量」とする)
充電:0.1It(10時間率、40mA)定電流で5.0Vまで、さらに5.0Vの定電圧で、合計15時間充電
放電:10It(0.1時間率、4.0A)定電流で4.0Vまで放電
そして、低率放電容量に対する高率放電容量の比を「高率/低率容量比(%)」とし、高率放電特性値を表す指標とした。その結果を表8に示す。
[実施例17]
LiFePO4粉末に代えてLiMnPO4粉末を用いたこと以外は実施例1と同様の方法により、リチウムリン酸遷移金属化合物U(LiMnPO4/C)を作製した。
このようにして作製したリチウムリン酸遷移金属化合物Uの粒子の一つの表面を電子顕微鏡(SEM)で撮影した結果、図1と同様に、リチウムリン酸遷移金属化合物Uの第二の粒子は、第二の粒子よりも小さい第一の粒子が凝集して形成され、数本の細長い形状のカーボン(繊維状カーボン)が第二の粒子の内部に配されている様子が観察された。
このカーボンを配したリチウムリン酸遷移金属化合物Uを用いたこと以外は実施例1と同様の方法により、実施例17の非水電解質二次電池Uを作製した。
[比較例5]
実施例17で用いたものと同じLiMnPO4粉末とポリビニルアルコールとを、ポリビニルアルコールの熱処理により生成する炭素質量がLiMnPO4の5質量%になるように混合した。この混合物を窒素流通下(2.0リットル/分)で700℃、2時間の条件で熱処理してカーボンを配したリチウムリン酸遷移金属化合物V(LiMnPO4/C)を作製した。
このように作製したリチウムリン酸遷移金属化合物Vの第二の粒子の内部には、繊維状カーボンは確認されなかった。
このカーボンを配したリチウムリン酸遷移金属化合物Vを用いたこと以外は実施例1と同様の方法により、比較例5の非水電解質二次電池Vを作製した。
[比較例6]
実施例17で用いたものと同じLiMnPO4粉末とショ糖とを、ショ糖の熱処理により生成する炭素質量がLiMnPO4の5質量%になるように混合した。この混合物を窒素流通下(2.0リットル/分)で700℃、2時間の条件で熱処理してカーボンを配したリチウムリン酸遷移金属化合物W(LiMnPO4/C)を作製した。
このように作製したリチウムリン酸遷移金属化合物Wの第二の粒子の内部には、繊維状カーボンは確認されなかった。
このカーボンを配したリチウムリン酸遷移金属化合物Wを用いたこと以外は実施例1と同様の方法により、比較例6の非水電解質二次電池Wを作製した。
作製した非水電解質二次電池U、V、Wの設計容量はいずれも350mAhとした。
次に、非水電解質二次電池U、V、Wの高率放電性能を測定した。測定の充放電条件は、つぎのとおりである。
低率放電容量測定(この時の放電容量を「低率放電容量」とする)
充電:0.1It(10時間率、35mA)定電流で4.5Vまで、さらに4.5Vの定電圧で、合計15時間充電
放電:0.1It(10時間率、35mA)定電流で2.5Vまで放電
高率放電容量測定(この時の放電容量を「高率放電容量」とする)
充電:0.1It(10時間率、35mA)定電流で4.5Vまで、さらに4.5Vの定電圧で、合計15時間充電
放電:10It(0.1時間率、3.5A)定電流で2.5Vまで放電
そして、低率放電容量に対する高率放電容量の比を「高率/低率容量比(%)」とし、高率放電特性値を表す指標とした。その結果を表8に併せて示す。
[実施例18]
LiFePO4粉末に代えてLiFe0.75Mn0.25PO4粉末を用いたこと以外は実施例1と同様の方法により、リチウムリン酸遷移金属化合物X(LiFe0.75Mn0.25PO4/C)を作製した。
このようにして作製したリチウムリン酸遷移金属化合物Xの粒子の一つの表面を電子顕微鏡(SEM)で撮影した結果、図1と同様に、リチウムリン酸遷移金属化合物Xの第二の粒子は、第二の粒子よりも小さい第一の粒子が凝集して形成され、数本の細長い形状のカーボン(繊維状カーボン)が第二の粒子の内部に配されている様子が観察された。
このカーボンを配したリチウムリン酸遷移金属化合物Xを用いたこと以外は実施例1と同様の方法により、実施例18の非水電解質二次電池Xを作製した。
[比較例7]
実施例18で用いたものと同じLiFe0.75Mn0.25PO4粉末とポリビニルアルコールとを、ポリビニルアルコールの熱処理により生成する炭素質量がLiFe0.75Mn0.25PO4の5質量%になるように混合した。この混合物を窒素流通下(2.0リットル/分)で700℃、2時間の条件で熱処理してカーボンを配したリチウムリン酸遷移金属化合物Y(LiMnPO4/C)を作製した。
このように作製したリチウムリン酸遷移金属化合物Yの第二の粒子の内部には、繊維状カーボンは確認されなかった。
このカーボンを配したリチウムリン酸遷移金属化合物Yを用いたこと以外は実施例1と同様の方法により、比較例7の非水電解質二次電池Yを作製した。
[比較例8]
実施例18で用いたものと同じLiFe0.75Mn0.25PO4粉末とショ糖とを、ショ糖の熱処理により生成する炭素質量がLiFe0.75Mn0.25PO4の5質量%になるように混合した。この混合物を窒素流通下(2.0リットル/分)で700℃、2時間の条件で熱処理してカーボンを配したリチウムリン酸遷移金属化合物Z(LiFe0.75Mn0.25PO4/C)を作製した。
このように作製したリチウムリン酸遷移金属化合物Zの第二の粒子の内部には、繊維状カーボンは確認されなかった。
このカーボンを配したリチウムリン酸遷移金属化合物Zを用いたこと以外は実施例1と同様の方法により、比較例8の非水電解質二次電池Zを作製した。
作製した非水電解質二次電池X、Y、Zの設計容量はいずれも500mAhとした。
次に、非水電解質二次電池X、Y、Zの高率放電性能を測定した。測定の充放電条件は、つぎのとおりである。
低率放電容量測定(この時の放電容量を「低率放電容量」とする)
充電:0.1It(10時間率、50mA)定電流で4.5Vまで、さらに4.5Vの定電圧で、合計15時間充電
放電:0.1It(10時間率、50mA)定電流で2.0Vまで放電
高率放電容量測定(この時の放電容量を「高率放電容量」とする)
充電:0.1It(10時間率、50mA)定電流で4.5Vまで、さらに4.5Vの定電圧で、合計15時間充電
放電:10It(0.1時間率、5.0A)定電流で2.0Vまで放電
そして、低率放電容量に対する高率放電容量の比を「高率/低率容量比(%)」とし、高率放電特性値を表す指標とした。その結果を表8に併せて示す。
表8から、LiFePO4に代えてLiCoPO4、LiMnPO4あるいはLiFe0.75Mn0.25PO4を用いた場合においても、本発明による非水電解質二次電池R,UおよびXの高率/低率容量比(%)は、それぞれに対応する比較例における非水電解質二次電池と比較して高いことがわかる。
以上述べたように、本発明によるリチウムリン酸遷移金属化合物とカーボンとの混合体を活物質として用いることによって、高率放電性能に優れた電池の製造が可能となる。したがって、本発明によるリチウムリン酸遷移金属化合物とカーボンとの混合体は、産業上極めて有用である。
本発明による実施例1のリチウムリン酸遷移金属化合物とカーボンとの混合体における、第二の粒子の表面の一部を電子顕微鏡で撮影した写真である。 カーボンを配していないリチウムリン酸遷移金属化合物の第二の粒子の表面の一部を電子顕微鏡で撮影した写真である。

Claims (10)

  1. リチウムリン酸遷移金属化合物の第一の粒子が凝集して形成された第二の粒子と、前記第二の粒子の内部に存在する繊維状カーボンと、を含むリチウムリン酸遷移金属化合物とカーボンとの混合体。
  2. 前記繊維状カーボンは、曲がった形状の繊維状カーボンを含む請求項1記載の混合体。
  3. 請求項1記載の混合体を活物質として備えた電極。
  4. 請求項3記載の電極を備えた電池。
  5. 分子量が100以下のアルコールの熱分解によって生成するカーボンをリチウムリン酸遷移金属化合物に配することを特徴とする、請求項1記載の混合体の製造方法。
  6. 前記アルコールと、リチウムリン酸遷移金属化合物の原料またはリチウムリン酸遷移金属化合物との混合物を加熱することによって、前記アルコールを熱分解させてカーボンにする工程を備える請求項5記載の製造方法。
  7. リチウムリン酸遷移金属化合物の原料またはリチウムリン酸遷移金属化合物が入れられた容器の内部を、前記アルコールが熱分解する温度範囲内にした状態で、前記アルコールを前記容器の内部に供給する工程を備える請求項5記載の製造方法。
  8. 前記アルコールが熱分解する温度範囲内で、前記容器の内部の温度を下げながら、前記アルコールを前記容器の内部に供給する工程を備える請求項6記載の製造方法。
  9. 請求項5記載の製造方法によって製造されたリチウムリン酸遷移金属化合物粒子を活物質に用いることを特徴とする電池の製造方法。
  10. メタノール、エタノール、プロパノール、またはブタノールの熱分解によって生成するカーボンをリチウムリン酸遷移金属化合物に配することを特徴とする、カーボンが配されたリチウムリン酸遷移金属化合物粒子の製造方法。
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