以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1には本発明の第1実施形態に係る車輪ユニットの構成を示し説明する。より詳細には、図1(a)は車輪ユニット1の側面断面図、図1(b)は斜視図を示している。
これらの図に示されるように、車輪ユニット1は、回転楕円体の形状に成型された車輪2と、車輪2の回転軸の両端を挟持する挟持部3a,3bを備えた筐体3と、筐体3を対象物に固定するもので衝撃吸収部材5を内在した固定部4とを備えている。衝撃吸収部材5としてはコイルスプリング等を用いることができる。
筐体3は、天板部3cと、該天板部3cの左右端より下方に垂直に延びた略半円形状の挟持部3a,3bとが一体となって構成されている。挟持部3a,3bの間に車輪2が配置され、車輪2の両端は、挟持部3a,3bに挟持されつつ固定ネジ6a,6bにより回転自在に保持される。天板部3cの略中央部には、上方に突出するような形で固定部4が配設されており、固定部4の内部には衝撃吸収部材5が上下方向に伸縮するようなレイアウトで設けられる。衝撃吸収部材5としてコイルスプリングは、車輪2が移動時に受ける衝撃を間接的に吸収する役割を担っている。
車輪2は、硬質ゴム等の素材で構成されており、例えば路上の点字ブロックの突起部へのスムーズな進入を促し、その際に衝撃吸収部材5としてのコイルスプリングは、車輪2への不用意な回転を抑制する。また、コイルスプリングは、近年問題になっているスーツケースの走行音を抑制する効果もある。
ここで、図2には同車輪ユニット1の分解斜視図を示し説明する。
図2に示されるように、筐体3を、衝撃吸収部材5としてのコイルスプリングを内包した固定部4の内部から、対象となる不図示のスーツケースの底部(例えば底面の四隅)の不図示のネジ穴に固定ネジ7を締め込んで固定する。そして、車輪2を、挟持部3a,3bの間に配置し、車輪2の両端を挟持部3a,3bで挟持しつつ開口部2a,2bに固定ネジ6a,6bにより締め込んで、回転自在に保持する。
図3には同車輪ユニットのスーツケースへの適用例を示し説明する。同図に示されるように、上記構成、及び作用の車輪ユニット1は、例えばスーツケースの底面の四隅に計4つ装着されることになる。
以上説明したように、本発明の第1実施形態によれば、例えば回転楕円体の形状をした車輪2と、車輪2の回転軸の両端を挟持する挟持部3a,3bを備えた筐体3と、筐体3を対象物に固定するもので、衝撃吸収部材5としてのコイルスプリング等を内在した固定部4とを備え、車輪2の両端は、筐体3の挟持部3a,3bに挟持されつつ回転自在に保持され、衝撃吸収部材5としてのコイルスプリング等は、車輪2が移動時に受ける衝撃を間接的に吸収する車輪ユニットが提供される。
従って、段差も安定して円滑に乗り越えて走行可能となる。
(第2実施形態)
図4には本発明の第2実施形態に係る車輪ユニットの構成を示し説明する。より詳細には、図4(a)は車輪ユニット10の側面断面図、図4(b)は斜視図を示している。
これらの図に示されるように、車輪ユニット10は、球体の形状をした車輪11と、車輪11の回転を円滑にする複数のベアリング13と、車輪11の一部の表面上に前記複数のベアリング13を介して被覆され、該ベアリング13の車輪11への当接面について位置決めを行う保持筐体12と、保持筐体12の上に被覆されるもので、対象物に固定する固定部14を有する筐体15とを備えている。
車輪11は、硬質ゴム等を成形したものであり、この例では球体の形状をしている。複数のベアリング13は、金属でできたものであり、この例では球形をしている。保持筐体12には、複数の開口部が設けられており、ベアリング13の表面の一部が当該開口部に緩やかに嵌め込まれることで、ベアリング13の位置決めがなされる。
複数のベアリング13は、保持筐体12の不図示の各開口部に緩やかに嵌め込まれた状態で、嵌め込まれた側と反対側の表面が車輪11の表面に当接するように、保持筐体12が車輪11を被覆するように装着されている。そして、この保持筐体12の上から、筐体15が装着されている。この筐体15が装着された状態では、車輪11の球体の表面の半分以上が外部に露呈している。
このように、車輪11の表面の半分以上を、ベアリング13を介して保持筐体12で保持しつつ回動自在とし、筐体15からは車輪11の一部の表面が露呈されるので、車輪11の円滑な回動が実現される。
ここで、図5には同車輪ユニットの分解斜視図を示し説明する。
図5に示されるように、筐体15と一体となった固定部14の内部から対象となる不図示のスーツケースの底部(例えば底面の四隅)の不図示のネジ穴に固定ネジ16を締め込んで固定する。そして、車輪11の表面の一部を被覆するように、ベアリング13が回動自在に保持された保持筐体12を装着し、装着した状態で両者を筐体15に装着する。このような状態では、車輪11は、その一部の表面が筐体15から外部に露呈し、ベアリング13の作用により車輪11は全方向に回転自在に保持される。
図6には同車輪ユニットのスーツケースへの適用例を示し説明する。同図に示されるように、上記構成、及び作用の車輪ユニット1は、例えばスーツケースの底面の四隅に装着されることになる。
以上説明したように、本発明の第2実施形態によれば、球体の形状をした車輪11と、車輪11の回転を円滑にする複数のベアリング13と、車輪11の一部の表面上に前記複数のベアリング13を介して被覆され、該ベアリング13の車輪11への当接面について位置決めを行う保持筐体12と、保持筐体12の上に被覆されるもので、対象物に固定する固定部14を有する筐体15とを備え、車輪11の表面の半分以上を、ベアリング13を介して保持筐体12で保持しつつ回動自在とし、筐12体からは車輪11の一部の表面が露呈される車輪ユニットが提供される。
従って、段差も安定して円滑に乗り越えて走行可能となる。
(第3実施形態)
図7には本発明の第3実施形態に係る車輪ユニットの構成を示し説明する。より詳細には、図7(a)は車輪ユニット20の側面断面図、図7(b)は斜視図、図7(c)はベアリングの取り付けのレイアウトを示している。
これらの図に示されるように、車輪ユニット20は、球体の形状をした車輪21と、車輪21の回転を円滑にする7つのベアリング23と、車輪21の一部の表面上にベアリング23を介して被覆され、該ベアリング23の車輪21への当接面について位置決めを行う保持筐体22と、保持筐体22の上に被覆されるもので、対象物に固定する固定部24を有する筐体25とを備えている。固定部24は、体温度性の樹脂成型バネで構成されているが、これには限定されない。
車輪21は、この例でも硬質ゴム等を成形したものであり、この例では球体の形状をしている。7つのベアリング23は、金属でできたものであり、やはりこの例では球形をしている。保持筐体22には、複数の開口部が設けられており、ベアリング23の表面の一部が当該開口部に緩やかに嵌め込まれることで、ベアリング23の位置決めがなされることになる。
複数のベアリング23は、保持筐体22の不図示の各開口部に緩やかに嵌め込まれた状態で、はめ込まれた側と反対側の表面が車輪21の表面に当接するように、保持筐体22が車輪21を被覆するように装着されている。そして、この保持筐体22の上から、筐体25が装着されている。この筐体25が装着された状態では、車輪21の球体の表面の半分以上が外部に露呈している。
このように、車輪21の表面の半分以上を、ベアリング23を介して保持筐体22で保持しつつ回動自在とし、筐体25からは車輪21の一部の表面が露呈されるので、車輪21の円滑な回動が実現される。
ベアリング23は、図7(c)に示されるように、車輪21の最頂点に当接する位置と該位置より120度角で決められた6か所の位置とに当接するように保持筐体22により位置決めされる。そして、筐体25は、保持筐体22に係止して該保持筐体22を固定するための固定係止部25a,25bを有している。
ここで、図8には同車輪ユニットの分解斜視図を示し説明する。
図8に示されるように、筐体25と一体となった固定部24の内部から対象となる不図示のスーツケースの底部(例えば底面の四隅)の不図示のネジ穴に固定ネジ26を締め込んで固定する。そして、車輪21の表面の一部を被覆するように、ベアリング23が回動自在に保持された保持筐体22を装着し、装着した状態で両者を筐体25に装着する。このような状態では、車輪21は、その一部の表面が筐体25から外部に露呈し、ベアリング23の作用により車輪21は全方向に回転自在に保持される。
図9には同車輪ユニットのスーツケースへの適用例を示し説明する。同図に示されるように、上記構成、及び作用の車輪ユニット1は、例えばスーツケースの底面の四隅に装着されることになる。
以上説明したように、本発明の第3実施形態によれば、例えば球体の形状をした車輪21と、車輪21の回転を円滑にする複数のベアリング23と、車輪21の一部の表面上に前記複数のベアリング23を介して被覆され、該ベアリング23の車輪21への当接面について位置決めを行う保持筐体22と、保持筐体22の上に被覆されるもので、対象物に固定するもので例えば耐温度性の樹脂成型バネからなる固定部24を有する筐体15とを備え、車輪21の表面の半分以上を、ベアリング23を介して保持筐体22で保持しつつ回動自在とし、筐体22からは車輪21の一部の表面が露呈される車輪ユニットが提供される。そして、ベアリング23は、車輪21の最頂点に当接する位置と、該位置より例えば120度角で決められた6か所の位置との形7カ所に7つが当接するように保持筐体22により位置決めされてよい。
従って、全方向に回転する車輪を従来の車輪のように固定部が360度回転する構成が不要となり、段差も安定して円滑に乗り越えて走行可能となる。
(第4実施形態)
図10、図11には本発明の第4実施形態に係る車輪ユニットの構成を示し説明する。より詳細には、図10(a)には車輪ユニットの平面図を示し、図10(b)には車輪ユニットの側面図を示し、図11には車輪ユニットの斜視図を示し、説明する。
第4実施形態に係る車輪ユニットは、タイヤを均等に分割し、各分割部分を、所定間隔を隔ててコアの円周上に配列した構成である。タイヤの分割された各部分部は、その断面が略半円状のタイヤ部と、各タイヤ部をコアに接続するジョイント部とからなる。ジョイント部に対して、断面が略半円状のタイヤ部は、上下動が可能となっている。この上下動により路面からの衝撃を吸収すると共に、点字ブロックのような段差を容易に乗り越えることが可能とするものである。以下、詳述する。
これらの図に示されるように、車輪ユニット30は、中心部に開口を有する略円柱形状のコア31を有しており、コア31の周面には、タイヤ33が接続される。コア31の内部には、回転を円滑なものとするために、ベアリング又は摺動物体が収納されている。
この第4実施形態では、タイヤ33は、コア31の周面の各接線方向に垂直な方向に突出するように、複数のタイヤ部34が所定間隔をあけて設けられている。各タイヤ部34は、その底面の一端が、ジョイント部35を介してコア31に接続したような形となるようにリム成形、即ち二重成形されている。タイヤ部34は、その断面が略半円形状となっており、ジョイント部35が一端にのみ接続されているので、コア31に対して、他の一端より中程にかけて隙間ができている。この隙間により、タイヤ部34が上下動可能となるので、点字ブロックのような段差による衝撃を吸収し、容易に乗り越えることが可能となっている。
実際のスーツケースへの取付けの様子は、図12(a)に示される通りである。同図に示されるように、実際の取付けでは、2連タイヤ構造にして、スーツケースの直進安定性と段差への対応性を向上させる。スーツケースの軸部材52に対して、一対の車輪ユニット50,51を対向させるように位置付け、一対の車輪ユニット50,51で軸部材52を挟み込むようにして、ボルト53とナット54で固定する。このような取付け態様によれば、図12(b)に示されるように、略半円形状のタイヤ部が段差を乗り越える際にジョイント部を軸として上下可動するので、衝撃を吸収することが可能となる。
本実施形態に係る車輪ユニットは、図13に示されるような構成とすることも可能である。図13に示されるように、車輪ユニット40は、中心部に開口を有する略円柱形状のコア41を有しており、コア41の周面には、タイヤ43が接続される。コア41の内部には、回転を円滑なものとするために、ベアリング又は摺動物体が収納されている。
この変形例では、タイヤ43は、コア41の周面の各接線方向に垂直な方向に突出するように、複数のタイヤ部44が所定間隔をあけて設けられている。各タイヤ部44は、その底面の中央部が、ジョイント部45を介してコア41に接続したような形となるようにリム成形、即ち二重成形されている。タイヤ部44は、その断面が略半円形状となっており、ジョイント部45が中央部にのみ接続されているので、コア41に対して、両端に隙間ができている。この隙間により、タイヤ部44が上下動可能となるので、点字ブロックのような段差による衝撃を吸収し、容易に乗り越えることが可能となっている。
以上説明したように、本発明の第4実施形態によれば、断面が略半円形状のタイヤ部34(44)とジョイント部32(42)からなるタイヤ33(43)と、開口部を有し略円柱形状のコア31(41)と、タイヤ33(43)のジョイント部32(42)が接続されるように、タイヤ33(43)とコア31(41)とが二重成形されており、タイヤ部34(44)は、ジョイント部32(42)を軸として、その一部が上下動可能である車輪ユニット30(40)が提供される。ここで、ジョイント部32はタイヤ部34の底面の一端に接続されていてよい。或は、ジョイント部42はタイヤ部44の底面の中央に接続されていてよい。
従って、タイヤ部34,44の上下動により点字ブロック等の凹凸による衝撃を吸収し円滑に点字ブロック等の上で移動可能となる。
以上、本発明の第1乃至第4実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなくその趣旨を逸脱しない範囲で種々の改良・変更が可能であることは勿論である。
例えば、ベアリングの数は、第3実施形態で例示したものに限定されることなく、車輪の形状や大きさとの関係で種々選択することができる。