JP2018052077A - 熱転写シートと被転写体の組合せ - Google Patents

熱転写シートと被転写体の組合せ Download PDF

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絵美 松葉
晋也 與田
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Abstract

【課題】形成するカラー画像の高濃度化の要請に応えつつ、当該カラー画像上に保護層が形成される場合であっても、保護層の密着性が低下することがなく、さらに画像形成時における離型性にも優れた熱転写シートと被転写体との組合せを提供すること。【解決手段】熱転写シートと被転写体との組合せにおいて、前記熱転写シートは、基材と、当該基材の一方の面上に設けられたイエロー色材層、マゼンタ色材層およびシアン色材層とを有し、前記イエロー色材層に、所定の昇華性染料を含有せしめ、前記被転写体は、少なくとも前記熱転写シートの各色材層に含まれる昇華性染料を受容する受容面を有し、前記受容面には、離型剤が含まれていないか、含まれている場合であっても受容面を形成している層の総質量に対して6質量%未満とする。【選択図】図1

Description

本発明は、熱転写シートと被転写体の組合せに関する。
熱転写を利用した画像の形成方法として、昇華性染料をプラスチックフィルム等の基材上に担持させた昇華型の熱転写シートと、紙やプラスチックフィルム等の別の基材上に染料受容層を設けた熱転写受像シートとを互いに重ね合わせてフルカラー画像を形成する昇華型熱転写方法が知られている。この方法は昇華性染料を色材としているため中間色の再現性や階調性に優れており、原稿通りのフルカラー画像を熱転写受像シート上に鮮明に表現することができるので、デジタルカメラ、ビデオ、コンピューター等のカラー画像形成に応用されている。その画像は、銀塩写真に匹敵する高品質なものである。
例えば特許文献1に開示されているように、昇華型の熱転写シートにあっては、基材上にイエロー染料層、マゼンタ染料層、およびシアン染料層がこの順で面順次に設けられている三色一体型のものがある。
特開平7−304272号公報
近年、このような熱転写シートを用いて、カード材上に所望のカラー画像を形成することが行われており、この場合、カード材上に形成されたカラー画像上に、これを保護するための保護層が形成されることがある。また、近年はカード材上に形成するカラー画像の高品質化の要望もあり、当該要望に応えるためカラー画像の濃度をより高くする必要性がある。
カラー画像の濃度を高くするためには、熱転写シート上の各色染料層からカード材上に移行する染料の量を多くする必要があるが、染料の量を多くした場合、形成されたカラー画像上に保護層を形成した際に当該保護層の密着性が低下しドット状の剥がれが生じたり、端部からの剥がれが生じたりする場合があった。一方で、保護層との密着性を優先に考えた場合、カード材側の離型性を低く抑える必要があるが、そうすると、当該カード材に画像を転写する際に、熱転写シートの色材層と当該カード材との離型性も低下することとなり、異常転写や印画JAMなどの印画不良が生じる場合があった。
このような問題は、被転写物がカード材などの硬く、離型性の乏しい材質の場合に顕著に表れるが、紙など比較的柔らかな材質の場合であっても生じるおそれがある。
本願発明は、このような状況下においてなされた発明であり、形成するカラー画像の高濃度化の要請に応えつつ、当該カラー画像上に保護層が形成される場合であっても、保護層の密着性が低下することがなく、さらに画像形成時における離型性にも優れた熱転写シートと被転写体との組合せを提供することを主たる課題とする。
上記の課題を解決するための本願発明は、前記熱転写シートは、基材と、当該基材の一方の面上に設けられたイエロー色材層、マゼンタ色材層およびシアン色材層とを有し、前記イエロー色材層には、下記一般式(1)で示される昇華性染料および下記一般式(2)で示される昇華性染料の何れか一方または双方が含有されており、前記被転写体は、少なくとも前記熱転写シートの各色材層に含まれる昇華性染料を受容する受容面を有し、前記受容面には、離型剤が含まれていないか、含まれている場合であっても受容面を形成している層の総質量に対して6質量%未満である、ことを特徴とする。
Figure 2018052077
(一般式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、置換または非置換のアルキル基、アリル基、置換または非置換のアリール基、または置換または非置換のシクロアルキル基を表し、R3は水素原子、置換または非置換のアルキルまたはアルコキシ基、ハロゲン、またはアリールオキシ基を表し、R4は水素原子、置換または非置換のアルキル基、NR6R7基、置換または非置換のアルコキシ基、置換または非置換のアルコキシカルボニル基、置換または非置換のアリール基、またはC(O)NR8R9基を表し、R5は置換または非置換のアルキル基、または置換または非置換のアリール基を表す。R6、R7、R8、R9は、それぞれ独立に、水素原子、置換または非置換のアルキル基、または置換または非置換のアリール基を表す。)
Figure 2018052077
(一般式(2)中、R1およびR2は、それぞれ独立に、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアルケニル基、または置換または非置換のアリール基を表し、R3およびR4は、それぞれ独立に、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアルコキシ基、置換または非置換のアルコキシカルボニル基、または置換または非置換のアリール基を表す。)
上記の発明にあっては、前記一般式(1)で示される昇華性染料および前記一般式(2)で示される昇華性染料の合計含有量が、前記イエロー色材層に含まれる全染料の固形分総量に対して50質量%以上であってもよい。
上記の発明にあっては、前記マゼンタ色材層には、下記一般式(3)で示される昇華性染料が含有されていてもよい。
Figure 2018052077
(一般式(2)中、R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子、置換または非置換のアルキル基、ビニル基、アリル基、アリール基、アルコキシアルキル基、アラルキル基、アルコキシアルボニルアルキル基、カルボキシアルキル基、またはアルコキシカルボキシアルキル基を表し、R1とR2とは互いに環を形成してもよい。R3は水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、置換又は非置換のアルキル基、アルキルホルミルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、ホルミルアミノ基、アリルホルミルアミノ基、スルホニルアミノ基、アリルスルホニルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基、またはウレイド基を表し、R4、R5は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換または非置換のアルキル基、アリル基、置換または非置換のアリール基、アラルキル基、アルコキシアルキル基、アラルキルオキシアルキル基、チオアルキル基、アリルオキシアルキル基、アリールオキシアルキル基、カルボモイル基、スルファモイル基、オキシカルボニル基、アミノ基、ホルミルアミノ基、スルホニルアミノ基、アルコキシカルボニルアルキル基、複素環基、シクロアルキル基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基、またはアルキルスルホニル基を表す。)
上記の発明にあっては、前記一般式(3)で示される昇華性染料の含有量が、前記マゼンタ色材層に含まれる全染料の固形分総量に対して50質量%以上であってもよい。
また、上記の発明にあっては、前記シアン色材層には、下記一般式(4)で示される昇華性染料が含有されていてもよい。
Figure 2018052077
(一般式(3)中のR1は、置換または非置換のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基であるかあるいはXと一緒に五員環または六員環を形成する原子または原子団を表し、R2は、置換または非置換のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基を表し、R1とR2とは酸素原子または窒素原子を含有してもよい五員環または六員環を形成してもよく、R3は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アリール基、アシル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、ウレイド基、カルバモイル基、スルファモイル基またはアミノ基を表し、R4は、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のシクロアルキル基、置換または非置換のアラルキル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のアルコキシ基、または置換または非置換のアリールオキシ基を表し、R5とR6は、それぞれ同一であっても異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換のアルキル基、アルコキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基またはウレイド基を表し、Xは、水素原子であるかまたはR1と一緒に五員環または六員環を形成する原子または原子団を表し、nは、1または2の整数を表す。)
上記の発明にあっては、前記一般式(4)で示される昇華性染料の含有量が、前記シアン色材層に含まれる全染料の固形分総量に対して50質量%以上であってもよい。
また、上記の発明にあっては、前記被転写体が、JIS X 6305−1:2010に規定されている曲げ強さ試験におけるたわみ量が35mm以下のカード材であってもよい。
本発明の熱転写シートと被転写体との組合せ、および本発明の印画物の形成方法によれば、カード材のような硬い被転写体に対しても、高濃度でフルカラー画像を形成することができ、かつ、当該画像上に保護層を形成した場合であっても、保護層の密着性を充分に担保することができる。また、印画物の形成時の離型性も担保できるため、印画不良が生じることを防止することができる。
本発明の熱転写シートの一例を示す概略断面図。
以下に、本発明の熱転写シートと被転写体との組合せ、および印画物の形成方法について詳細に説明する。
(熱転写シート)
図1は、本発明の熱転写シートの一例を示す概略断面図である。
図1に示すように、本発明の実施形態にかかる熱転写シート10は、基材1上にイエロー色材層2Y、マゼンタ色材層2M、およびシアン色材層2Cが設けられている。なお、図1に示す本実施形態にかかる熱転写シート10にあっては、図の左からイエロー色材層2Y、マゼンタ色材層2M、およびシアン色材層2Cがこの順で面順次に設けられているが、この順序はこれに限定されることはなく、また、当該三色以外の色材層、例えばブラック色材層(図示せず)がこれら3色に加えて設けられていてもよい。また、本実施形態にかかる熱転写シート10にあっては、基材1と前記三色の色材層(2Y、2M、2C)との間にプライマー層3が設けられていると共に、前記三色の色材層(2Y、2M、2C)が設けられている面とは反対側の面に背面層5が設けられているが、これらの層は任意の層である。以下、本実施形態にかかる熱転写シート10の各構成について具体的に説明する。
(基材)
基材1は、ある程度の耐熱性と強度を有するものであれば特に限定されることはなく、従来公知の材料を適宜選択して用いることができる。このような基材1として、例えば、0.5μm以上50μm以下、好ましくは1μm以上10μm以下程度の厚さのポリエチレンテレフタレートフィルム、1,4−ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルフィドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、セロハン、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルム、アイオノマーフィルム等が挙げられる。更に、これらの材料はそれぞれ単独でも使用できるが、他の材料と組み合わせた積層体として使用してもよい。
また、基材1は、三色の色材層(2Y、2M、2C)が形成される側の面に接着処理が施されていても良い。接着処理を施すことで、基材1と三色の色材層(2Y、2M、2C)、あるいは基材1と三色の色材層(2Y、2M、2C)との間に設けられる任意の層、例えばプライマー層3との密着性を向上させることができる。
接着処理としては、例えばコロナ放電処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、化学薬品処理、プラズマ処理、低温プラズマ処理、プライマー処理、グラフト化処理等公知の樹脂表面改質技術をそのまま適用することができる。また、それらの処理を二種以上併用することもできる。また、基材1に接着処理を施すことに代えて、基材1と三色の色材層(2Y、2M、2C)との間に、プライマー層3(下引き層という場合もある。)を設けてもよい。また、接着処理が施された基材1と三色の色材層(2Y、2M、2C)との間に、プライマー層3を設けてもよい。
(イエロー色材層)
図1に示すように基材1上にはイエロー色材層2Yが設けられており、当該イエロー色材層2Yには少なくとも昇華性染料とバインダー樹脂とが含有されている。
(イエロー昇華性染料)
本実施形態にかかる熱転写シート10におけるイエロー色材層2Yは、下記一般式(1)で示される昇華性染料および下記一般式(2)で示される昇華性染料の何れか一方または双方が含有されていることに特徴を有し、さらには、これらの合計含有量が、当該イエロー色材層に含まれる全染料の固形分総量に対して50質量%以上含有されていることに特徴を有している。イエロー色材層2Yに当該所定の昇華性染料を所定量含有せしめることにより、カード材のような硬い被転写体に対しても、高濃度でフルカラー画像を形成することができ、かつ、当該画像上に保護層を形成した場合であっても、保護層の密着性を充分に担保することができる。また、印画物の形成時の離型性も担保できるため、印画不良が生じることを防止することができる。
Figure 2018052077
(一般式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、置換または非置換のアルキル基、アリル基、置換または非置換のアリール基、または置換または非置換のシクロアルキル基を表し、R3は水素原子、置換または非置換のアルキルまたはアルコキシ基、ハロゲン、またはアリールオキシ基を表し、R4は水素原子、置換または非置換のアルキル基、NR6R7基、置換または非置換のアルコキシ基、置換または非置換のアルコキシカルボニル基、置換または非置換のアリール基、またはC(O)NR8R9基を表し、R5は置換または非置換のアルキル基、または置換または非置換のアリール基を表す。R6、R7、R8、R9は、それぞれ独立に、水素原子、置換または非置換のアルキル基、または置換または非置換のアリール基を表す。)
Figure 2018052077
(一般式(2)中、R1およびR2は、それぞれ独立に、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアルケニル基、または置換または非置換のアリール基を表し、R3およびR4は、それぞれ独立に、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアルコキシ基、置換または非置換のアルコキシカルボニル基、または置換または非置換のアリール基を表す。)
前記一般式(1)にあっては、前記R1、R2は炭素数が1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基、前記R3は水素原子、前記R4は置換又は非置換のアルコキシ基、前記R5は置換又は非置換のアリール基であることが好ましく、前記R1、R2は炭素数が1〜3の直鎖のアルキル基、前記R4は炭素数が1〜3のアルコキシ基、前記R5は置換又は非置換のフェニル基であることがより好ましく、前記R1、R2はエチル基、前記R4はエトキシ基、前記R5はフェニル基であることが特に好ましい、
また、前記一般式(2)にあっては、前記R1、R2は置換または非置換のアリール基、前記R3、R4は炭素数が1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基であることが好ましく、前記R1、R2は置換または非置換のフェニル基、前記R3、R4は炭素数が1〜3の直鎖のアルキル基であることがより好ましく、前記R1、R2はフェニル基、前記R3、R4はメチル基であることが特に好ましい、
ここで、上記一般式(1)で示される、いわゆるピラゾロンメチン系昇華性染料の具体例としては、下記一般式(1−1)を挙げることができる。
Figure 2018052077
また、上記一般式(2)で示される、いわゆるビスピラゾロンメチン系昇華性染料の具体例としては、下記一般式(2−1)を挙げることができる。
Figure 2018052077
本実施形態にかかる熱転写シート10におけるイエロー色材層2Yに含有される上記以外のイエロー昇華性染料としては、例えば、公知のイエロー昇華性染料であるジアリールメタン系染料;トリアリールメタン系染料;チアゾール系染料;メロシアニン系染料等のメチン系染料;インドアニリン系染料;アセトフェノンアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、イミダゾルアゾメチン、イミダゾアゾメチン、ピリドンアゾメチンに代表されるアゾメチン系染料;キサンテン系染料;オキサジン系染料;ジシアノスチレン、トリシアノスチレンに代表されるシアノスチレン系染料;チアジン系染料;アジン系染料;アクリジン系染料;ベンゼンアゾ系染料;ピリドンアゾ、チオフェンアゾ、イソチアゾールアゾ、ピロールアゾ、ピラールアゾ、イミダゾールアゾ、チアジアゾールアゾ、トリアゾールアゾ等のアゾ系染料;スピロピラン系染料;インドリノスピロピラン系染料;フルオラン系染料;ローダミンラクタム系染料;ナフトキノン系染料;アントラキノン系染料、等を挙げることができる。
また、市販品として入手することができることから、下記一般式(5)〜(14)などを用いてもよい。
Figure 2018052077
Figure 2018052077
Figure 2018052077
Figure 2018052077
Figure 2018052077
Figure 2018052077
Figure 2018052077
Figure 2018052077
Figure 2018052077
Figure 2018052077
(バインダー樹脂)
本実施形態にかかる熱転写シート10におけるイエロー色材層2Yには、上述のような各種昇華性染料を担持するためのバインダー樹脂が含まれている。このバインダー樹脂は特に限定されることはなく、ある程度の耐熱性を有し、昇華性染料と適度の親和性があるものを使用することができる。このようなバインダー樹脂としては、例えば、ニトロセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース系樹脂;ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂;ポリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリルアミド等のアクリル樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリエステル系樹脂;等を挙げることができる。また、耐熱性をさらに高めるために、イソシアネート硬化剤、チタンキレート剤、およびエポキシ硬化剤などによって前記の樹脂を硬化してもよい。また、前記の樹脂を共重合させた共重合樹脂を用いてもよい。
上記に例示した他のバインダー樹脂の中でも、ポリビニルブチラール樹脂や、ポリビニルアセタール樹脂は、基材1とイエロー色材層2Yとの間に任意で設けられるプライマー層3との密着性を向上させることができる点で好ましい。
(昇華性染料とバインダー樹脂の含有量)
本実施形態にかかる熱転写シート10におけるイエロー色材層2Yに含有される各種昇華性染料およびバインダー樹脂それぞれの含有量については特に限定されることはなく、適宜設計可能である。当該イエロー色材層2Yに含有されるバインダー樹脂に対する全昇華性染料の質量比(D/B比)についても特に限定されることはないが、当該D/B比が3.5を超えるとバインダー樹脂に対する昇華性染料の量が多くなりすぎ、バインダー樹脂が昇華性染料を保持しきれず保存安定性が低下する場合がある。したがって、保存安定性を考慮すると、D/B比は0.7以上3.5以下の範囲内であることが好ましく、1.0以上2.0以下の範囲内であることが特に好ましい。
(その他の成分)
また、イエロー色材層2Yは、無機微粒子、有機微粒子等の添加材を含有していてもよい。無機微粒子としては、カーボンブラック、アルミニウム、二硫化モリブデン等が挙げられ、有機微粒子としては、ポリエチレンワックス、シリコーン樹脂微粒子等が挙げられる。
また、イエロー色材層2Yは、離型剤を含有していてもよい。離型剤としては、従来公知の離型剤、例えば、ポリエチレンワックス、アミドワックス、テフロン(登録商標)パウダー等の固形ワックス、弗素系、リン酸エステル系の界面活性剤、シリコーン変性樹脂、変性シリコーンオイル、セルロース系樹脂、等が挙げられ、これらを1種、または2種以上混合して使用することができる。シリコーン樹脂は、シリコーン変性アクリル樹脂、シリコーン変性ブチラール樹脂、シリコーン変性ウレタン樹脂などが挙げられる。変性シリコーンオイルには、反応性シリコーンオイルと非反応性シリコーンオイルとに分けられる。反応性シリコーンオイルとしては、アミノ変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、メタクリル変性、メルカプト変性、フェノール変性、メチルフェニルシリコーンオイル、片末端反応性、異種官能基変性したもの等を挙げることができる。非反応性シリコーンオイルとしては、ポリエーテル変性、メチルスチリル変性、アルキル変性、高級脂肪酸エステル変性、親水性特殊変性、高級アルコキシ変性、高級脂肪酸変性、フッ素変性したもの等を挙げることができる。セルロース系樹脂は、アルキルセルロース樹脂が特に好ましい。これらの離型剤の中でも、変性シリコーンオイルが好ましく、アミノ変性(アミノ・ポリエーテル変性)シリコーンオイルが特に好ましい。
(イエロー色材層の形成方法)
イエロー色材層2Yの形成方法について特に限定はなく、バインダー樹脂、前述の一般式(1)および一般式(2)で示される昇華性染料、その他の昇華性染料、および必要に応じて添加される添加材や離型剤を、適当な溶剤中に溶解または分散させて、色材層用塗工液を調製し、このイエロー色材層用塗工液をグラビアコーター、ロールコーター、ワイヤーバーなどの従来公知の塗工手段により、基材1もしくは後述するプライマー層3上に塗工・乾燥することで形成することができる。イエロー色材層2Yの厚みは、0.2μm以上2.0μm以下程度が一般的である。
(マゼンタ色材層)
本実施形態にかかる熱転写シート10にあっては、図1に示すように基材1上にマゼンタ色材層2Mが設けられており、当該マゼンタ色材層2Mにあっても、前述のイエロー色材層2Yと同様、少なくとも昇華性染料とバインダー樹脂とが含有されている。
(マゼンタ昇華性染料)
マゼンタ色材層2Mに含有される昇華性染料については特に限定されることはなく、従来公知の各種昇華性染料から任意に選択して用いることができるが、中でも、下記一般式(3)で示される昇華性染料が含有されていることが好ましく、下記一般式(3)で示される昇華性染料が当該マゼンタ色材層に含まれる全染料の固形分総量に対して50質量%以上含有されていることが特に好ましい。マゼンタ色材層2Mに当該所定の昇華性染料を所定量含有せしめることにより、カード材のような硬い被転写体に対しても、高濃度でフルカラー画像を形成することができ、かつ、当該画像上に保護層を形成した場合であっても、保護層の密着性を充分に担保することができる。また、印画物の形成時の離型性も担保できるため、印画不良が生じることを防止することができる。
Figure 2018052077
(一般式(3)中、R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子、置換または非置換のアルキル基、ビニル基、アリル基、アリール基、アルコキシアルキル基、アラルキル基、アルコキシアルボニルアルキル基、カルボキシアルキル基、またはアルコキシカルボキシアルキル基を表し、R1とR2とは互いに環を形成してもよい。R3は水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、置換又は非置換のアルキル基、アルキルホルミルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、ホルミルアミノ基、アリルホルミルアミノ基、スルホニルアミノ基、アリルスルホニルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基、またはウレイド基を表し、R4、R5は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換または非置換のアルキル基、アリル基、置換または非置換のアリール基、アラルキル基、アルコキシアルキル基、アラルキルオキシアルキル基、チオアルキル基、アリルオキシアルキル基、アリールオキシアルキル基、カルボモイル基、スルファモイル基、オキシカルボニル基、アミノ基、ホルミルアミノ基、スルホニルアミノ基、アルコキシカルボニルアルキル基、複素環基、シクロアルキル基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基、またはアルキルスルホニル基を表す。)
前記一般式(3)にあっては、前記R1、R2は炭素数が1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基、前記R3は炭素数が1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基、前記R4、R5は炭素数が1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基、置換又は非置換のアリール基であることが好ましく、前記R1、R2は炭素数が1〜3の直鎖のアルキル基、前記R3は炭素数が1〜3の直鎖のアルキル基、前記R4、R5は炭素数が4〜6の分岐のアルキル基、置換又は非置換のフェニル基であることがより好ましく、前記R1、R2はエチル基、前記R3はメチル基、前記R4は3級ブチル基、前記R5はトルイル基であることが特に好ましい。
ここで、上記一般式(3)で示される、いわゆるピラゾロトリアゾールアゾメチン系昇華性染料の具体例としては、下記一般式(3−1)を挙げることができる。
Figure 2018052077
また、本実施形態にかかる熱転写シート10におけるマゼンタ色材層2Mに含有される上記以外のマゼンタ昇華性染料としては、例えば、アゾ系染料、アントラキノン系染料、ニトロ系染料、スチリル系染料、ナフトキノン系染料、キノフタロン系染料、アゾメチン系染料、クマリン系染料、縮合多環系化合物染料等の、各種非イオン性の染料を挙げることができ、特には、下記一般式(15)〜(21)で示される昇華性染料を併用することが好ましい。
Figure 2018052077
Figure 2018052077
Figure 2018052077
Figure 2018052077
Figure 2018052077
Figure 2018052077
Figure 2018052077
(バインダー樹脂)
本実施形態にかかる熱転写シート10におけるマゼンタ色材層2Mには、上述のような各種昇華性染料を担持するためのバインダー樹脂が含まれている。このバインダー樹脂は特に限定されることはなく、前述のイエロー色材層2Yと同様のバインダー樹脂を用いることができる。
(昇華性染料とバインダー樹脂の含有量)
本実施形態にかかる熱転写シート10におけるマゼンタ色材層2Mに含有される各種昇華性染料およびバインダー樹脂それぞれの含有量については特に限定されることはなく、適宜設計可能である。当該マゼンタ色材層2Mに含有されるバインダー樹脂に対する全昇華性染料の質量比(D/B比)についても特に限定されることはないが、当該D/B比が3.5を超えるとバインダー樹脂に対する昇華性染料の量が多くなりすぎ、バインダー樹脂が昇華性染料を保持しきれず保存安定性が低下する場合がある。したがって、保存安定性を考慮すると、D/B比は0.7以上3.5以下の範囲内であることが好ましく、1.0以上2.0以下の範囲内であることが特に好ましい。
(その他の成分)
また、マゼンタ色材層2Mは、前述のイエロー色材層2Yと同様、無機微粒子、有機微粒子等の添加材を含有していてもよく、また、離型剤を含有していてもよい。これらの具体例はイエロー色材層2Yで説明したものと同様である。
(マゼンタ色材層の形成方法)
マゼンタ色材層2Mの形成方法について特に限定はなく、前述のイエロー色材層2Yと同様の形成方法を用いることができる。
(シアン色材層)
図1に示すように基材1上にはシアン色材層2Cが設けられており、当該シアン色材層2Cには少なくとも昇華性染料とバインダー樹脂とが含有されている。
(シアン昇華性染料)
本実施形態にかかる熱転写シート10におけるシアン色材層2Cに含有される昇華性染料については特に限定されることはなく、従来公知の各種昇華性染料から任意に選択して用いることができるが、中でも、下記一般式(4)で示される昇華性染料が含有されていることが好ましく、下記一般式(4)で示される昇華性染料が当該シアン色材層に含まれる全染料の固形分総量に対して50質量%以上含有されていることが特に好ましい。シアン色材層2Cに当該所定の昇華性染料を所定量含有せしめることにより、カード材のような硬い被転写体に対しても、高濃度でフルカラー画像を形成することができ、かつ、当該画像上に保護層を形成した場合であっても、保護層の密着性を充分に担保することができる。また、印画物の形成時の離型性も担保できるため、印画不良が生じることを防止することができる。
Figure 2018052077
(一般式(4)中のR1は、置換または非置換のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基であるかあるいはXと一緒に五員環または六員環を形成する原子または原子団を表し、R2は、置換または非置換のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基を表し、R1とR2とは酸素原子または窒素原子を含有してもよい五員環または六員環を形成してもよく、R3は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アリール基、アシル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、ウレイド基、カルバモイル基、スルファモイル基またはアミノ基を表し、R4は、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のシクロアルキル基、置換または非置換のアラルキル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のアルコキシ基、または置換または非置換のアリールオキシ基を表し、R5とR6は、それぞれ同一であっても異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換のアルキル基、アルコキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基またはウレイド基を表し、Xは、水素原子であるかまたはR1と一緒に五員環または六員環を形成する原子または原子団を表し、nは、1または2の整数を表す。)
前記一般式(4)にあっては、前記R1、R2は炭素数が1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基、前記R3は水素原子又は炭素数が1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基、前記R4は炭素数が1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基又は置換又は非置換のフェニル基又は炭素数が1〜6の直鎖又は分岐のアルコキシ基、前記R5、R6はハロゲン原子又は炭素数が1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基、前記Xは水素原子であることが好ましく、前記R1、R2は炭素数が1〜3の直鎖のアルキル基、前記R3は水素原子又は炭素数が1〜3の直鎖のアルキル基、前記R4は炭素数が1〜3の直鎖のアルキル基又は置換又は非置換のフェニル基又は炭素数が1〜3の直鎖のアルコキシ基、前記R5、R6はハロゲン原子又は炭素数が1〜3の直鎖のアルキル基、前記Xは水素原子であることがより好ましく、前記R1、R2はエチル基、前記R3は水素原子又はメチル基、前記R4はメチル基又はエトキシ基、前記R5は塩素原子、前記R6はメチル基、前記Xは水素原子であることが特に好ましい。
ここで、上記一般式(4)で示される、いわゆるインドアニリン系昇華性染料の具体例としては、下記一般式(4−1)〜(4−6)を挙げることができる。
Figure 2018052077
Figure 2018052077
Figure 2018052077
Figure 2018052077
Figure 2018052077
Figure 2018052077
本実施形態にかかる熱転写シート10におけるシアン色材層2Cにあっては、上記のいわゆるインドアニリン系昇華性染料以外の昇華性染料が含まれていてもよく、例えば、公知のアントラキノン系染料;シアノメチレン系染料;ピリドントリアゾールアゾメチン系染料等を挙げることができる。
また、市販品として入手することができることから、下記一般式(22)〜(27)などを用いてもよい。
Figure 2018052077
Figure 2018052077
Figure 2018052077
Figure 2018052077
Figure 2018052077
Figure 2018052077
(バインダー樹脂)
本実施形態にかかる熱転写シート10におけるシアン色材層2Cには、上述のような各種昇華性染料を担持するためのバインダー樹脂が含まれている。このバインダー樹脂は特に限定されることはなく、前述のイエロー色材層2Yやマゼンタ色材層2Mと同様のバインダー樹脂を用いることができる。
(昇華性染料とバインダー樹脂の含有量)
本実施形態にかかる熱転写シート10におけるシアン色材層2Cに含有される各種昇華性染料およびバインダー樹脂それぞれの含有量については特に限定されることはなく、適宜設計可能である。当該シアン色材層2Cに含有されるバインダー樹脂に対する全昇華性染料の質量比(D/B比)についても特に限定されることはないが、当該D/B比が3.5を超えるとバインダー樹脂に対する昇華性染料の量が多くなりすぎ、バインダー樹脂が昇華性染料を保持しきれず保存安定性が低下する場合がある。したがって、保存安定性を考慮すると、D/B比は0.7以上3.5以下の範囲内であることが好ましく、1.0以上2.0以下の範囲内であることが特に好ましい。
(その他の成分)
また、シアン色材層2Cは、前述のイエロー色材層2Yやマゼンタ色材層2Mと同様、無機微粒子、有機微粒子等の添加材を含有していてもよく、また、離型剤を含有していてもよい。これらの具体例はイエロー色材層2Yで説明したものと同様である。
(シアン色材層の形成方法)
シアン色材層2Cの形成方法について特に限定はなく、前述のイエロー色材層2Yやマゼンタ色材層2Mと同様の形成方法を用いることができる。
(プライマー層)
図1に示すように、本実施形態にかかる熱転写シート10にあっては、基材1と三色の色材層(2Y、2M、2C)との間にプライマー層3が設けられている。プライマー層3は任意の層であるが、これを設けることで基材1と三色の色材層(2Y、2M、2C)との密着性を向上させることができる。
プライマー層3を構成する樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセトアセタールやポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール系樹脂等が挙げられる。
また、プライマー層3は無機微粒子を含有していてもよい。これにより熱転写時の熱転写受像シートへの三色の色材層(2Y、2M、2C)の異常転写を防止できるだけでなく、印画時の三色の色材層(2Y、2M、2C)からプライマー層3への染料の移行を防止し、熱転写受像シートの受容層側への染料拡散を有効に行なうことができ、印画濃度を高めることができる。
プライマー層3に含有される無機微粒子については、特に限定されることはなく、例えば、アルミナ、シリカ、カーボンブラック、二硫化モリブデン等の微粒子を挙げることができ、これらがコロイド状無機微粒子由来の無機微粒子であってもよい。コロイド状無機微粒子としては、シリカゾル、コロイダルシリカ、アルミナ或はアルミナ水和物(コロイダルアルミナ、カチオン性アルミニウム酸化物又はその水和物、擬ベーマイト等)、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン等が挙げられる。このようなコロイド状無機微粒子は、溶剤又は分散媒にゾル状に分散しやすいようにするため、酸性タイプに処理したものであってもよいし、微粒子荷電をカチオンにしたものであってもよいし、表面処理したものであってもよい。
プライマー層3に含有される無機微粒子の形状について特に限定はなく、球状、針状、板状、羽毛状、無定形等、如何なる形状であってもよい。無機微粒子の粒子径についても特に限定はないが、一次粒子の大きさが10μmを超える無機微粒子を主として含有するプライマー層3とした場合には、プライマー層3の透明性が低下していく傾向にある。この点を考慮すると、プライマー層3は、主として一次粒子の大きさが10μm以下の無機微粒子を含有していることが好ましい。「主として」とは、プライマー層3が含有している無機微粒子の総質量に対し、50質量%以上を意味する。下限値については特に限定はないが、一次粒子の大きさで0.1μm程度である。
プライマー層3は、上記で例示した樹脂や無機微粒子を適当な溶媒に溶解或いは分散したプライマー層用塗工液をグラビアコーティング法、ロールコート法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の従来から公知の形成手段により、塗布・乾燥して形成することができる。プライマー層用塗工液の塗工量は、0.02g/m2以上1.0g/m2以下程度であることが好ましい。
また、プライマー層3とともに、又はこれにかえて、各種の機能層を設けてもよい。各種の機能層としては、例えば、帯電防止層等を例示することができる。
(背面層)
図1に示すように、基材1の三色の色材層(2Y、2M、2C)が設けられている面とは反対側の面には、背面層5が設けられている。背面層5も前記プライマー層3と同様、任意の層であるが、これを設けることで、耐熱性、及び印画時におけるサーマルヘッドの走行性等を向上することができる。
背面層5は、従来公知の熱可塑性樹脂等を適宜選択して形成することができる。このような、熱可塑性樹脂として、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルクロリド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂等のポリビニルアセタール樹脂等の熱可塑性樹脂、これらのシリコーン変性物等が挙げられる。
また、上記した樹脂に硬化剤を添加してもよい。硬化剤として機能するポリイソシアネート樹脂としては、特に制限なく従来公知のものを使用できるが、それらのなかでも、芳香族系イソシアネートのアダクト体を使用することが望ましい。芳香族系ポリイソシアネートとしては、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、又は、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、trans−シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェートがあげられ、特に2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、又は、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物が好ましい。このようなポリイソシアネート樹脂は、上記した水酸基含有熱可塑性樹脂をその水酸基を利用して架橋させ、背面層の塗膜強度や耐熱性を向上させる。
また、背面層5には、上記熱可塑性樹脂に加え、スリップ性を向上させる目的で、ワックス、高級脂肪酸アミド、リン酸エステル化合物、金属石鹸、シリコーンオイル、界面活性剤等の離型剤、フッ素樹脂等の有機粉末、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム等の無機粒子等の各種添加材が含有されていることが好ましく、リン酸エステル又は金属石鹸の少なくとも1種が含有されていることが特に好ましい。
背面層5は、例えば、上記熱可塑性樹脂、必要に応じて添加される各種添加材を適当な溶媒に分散又は溶解させた塗工液を、基材1の三色の色材層(2Y、2M、2C)の反対側の面上に、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング印刷法等の公知の手段により、塗布し、乾燥することにより形成することができる。背面層5の塗工量は、耐熱性等の向上等の点から、乾燥後塗工量が3g/m2以下であることが好ましく、0.1g/m2以上2g/m2以下にすることがより好ましい。
(被転写体)
上記で説明した本実施形態にかかる熱転写シート10と組み合わされて用いられる、本実施形態にかかる被転写体は、少なくとも前記熱転写シートの各色材層に含まれる昇華性染料を受容する受容面を有し、前記受容面には、離型剤が含まれていないか、含まれている場合であっても受容面を形成している層の総質量に対して6質量%未満であることを特徴している。このように、被転写体側において、熱転写シート10との離型性が考慮されていない場合であっても、上記で説明した本発明の実施形態にかかる熱転写シート10によれば、離型性を担保しつつ高濃度でフルカラー画像を形成することができ、かつ、当該画像上に保護層を形成した場合であっても、保護層の密着性を充分に担保することができる。
なお、本実施形態にかかる被転写体にあっては、その受容面に受容層が形成されているものであってもよく、一方でいわゆるカード材のようにその受容面に受容層が形成されていないものであってもよい。そして、受容面に受容層が形成されている場合における「受容面を形成している層」とは「受容層」であり、したがってこの場合における本実施形態にかかる被転写体は、受容層の総質量に対して離型剤の含有量が6質量%未満となっている。一方で、受容面に受容層が形成されていない場合における「受容面を形成している層」とは「カード材そのもの」であり、したがってこの場合における本実施形態にかかる被転写体は、カード材の総質量に対して離型剤の含有量が6質量%未満となっている。
このような被転写体の中でも、JIS X 6305−1:2010に規定されている曲げ強さ試験におけるたわみ量が35mm以下のカード材であることが好ましい。このような、いわゆる硬いカード材が被転写体の場合に本実施形態にかかる熱転写シートはその作用効果を顕著に発揮することができる。
(印画物の形成方法)
上記で説明した本実施形態にかかる熱転写シートと被転写媒体との組合せを用いた印画物の形成方法については特に限定されることはない。
例えば、上記で説明した本実施形態にかかる熱転写シート10と被転写媒体とを準備し、熱転写シート10の各色色材層が含有している昇華性染料を前記被転写媒体の受容面に直接に移行させ、印画物の形成を行ってもよい。
一方で、上記で説明した本実施形態にかかる熱転写シート10と被転写媒体と合わせて、中間転写媒体も準備し、この中間転写媒体の受容層上に、前記熱転写シートの前記色材層が含有している昇華性染料を移行させ、前記受容層に熱転写画像を形成し、次いで、熱転写画像が形成された受容層を被転写体の受容面に転写することで印画物を形成してもよい。なお、この方法において用いられる中間転写媒体については特に限定されることはなく、従来公知の種々の中間転写媒体を用いることができる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の実施形態について説明する。なお、文中の「部」は特に断りのない限り質量基準である。
(実施例1)
基材として厚さ5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、この上に、下記組成の背面層用塗工液を乾燥時1.0g/m2になるように塗布し、背面層を形成した。次いで、前記基材の背面層を設けた側とは反対の面に、下記組成のプライマー層用塗工液を乾燥時0.10g/m2になるように塗布し、プライマー層を形成した。次いで、プライマー層上に下記組成のイエロー色材層用塗工液Y1を乾燥時0.35g/m2になるように塗布し80℃で2分間乾燥することでイエロー色材層を形成した。次いで、プライマー層上に下記組成のマゼンタ色材層用塗工液M1を乾燥時0.35g/m2になるように塗布し80℃で2分間乾燥することでマゼンタ色材層を形成した。次いで、プライマー層上に下記組成のシアン色材層用塗工液C1を乾燥時0.35g/m2になるように塗布し80℃で2分間乾燥することでシアン色材層を形成し、実施例1の熱転写シートを得た。
<背面層用塗工液>
・ポリビニルアセタール樹脂(水酸基価12質量%) 36部
(エスレック(登録商標)KS−1 積水化学工業(株))
・ポリイソシアネート(NCO=17.3質量%) 25部
(バーノック(登録商標)D750 大日本インキ化学工業(株))
・シリコーン樹脂微粒子(粒子径;4μm 多角形状) 1部
(トスパール240 モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社)
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT1830精製 堺化学工業(株))
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株))
・ポリエチレンワックス 3部
(ポリワックス3000 東洋アドレ(株))
・エトキシ化アルコール変性ワックス 7部
(ユニトックス750 東洋アドレ(株))
・メチルエチルケトン 200部
・トルエン 100部
<プライマー層用塗工液>
・PVP樹脂(固形分100%) 1.5部
(K−90 アイエスピージャパン(株))
・アルミナゾル(固形分10%) 35.0部
・水 30部
・IPA(イソプロピルアルコール) 33.5部
<イエロー色材層用塗工液Y1>
・昇華性染料として上記一般式(1−1)に示される化合物 5.0部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂 3.5部
(エスレック(登録商標)KS−5 積水化学工業(株))
・ポリオレフィンワックス 0.2部
・アミノ・ポリエーテル変性シリコーンオイル 0.15部
(X−22−3939 信越化学工業(株))
・ネオエタノール 4.2部
・トルエン 43.65部
・メチルエチルケトン 43.65部
<マゼンタ色材層用塗工液M1>
・昇華性染料として上記一般式(3−1)に示される化合物 5.0部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂 3.5部
(エスレック(登録商標)KS−5 積水化学工業(株))
・ポリオレフィンワックス 0.2部
・アミノ・ポリエーテル変性シリコーンオイル 0.15部
(X−22−3939 信越化学工業(株))
・ネオエタノール 4.2部
・トルエン 43.65部
・メチルエチルケトン 43.65部
<シアン色材層用塗工液C1>
・昇華性染料として上記一般式(4−1)に示される化合物 5.0部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂 3.5部
(エスレック(登録商標)KS−5 積水化学工業(株))
・ポリオレフィンワックス 0.2部
・アミノ・ポリエーテル変性シリコーンオイル 0.15部
(X−22−3939 信越化学工業(株))
・ネオエタノール 4.2部
・トルエン 43.65部
・メチルエチルケトン 43.65部
<被転写体>
また、実施例1にかかる被転写体として、下記の組成からなるポリ塩化ビニル製カード(PVCカード:大日本印刷(株))を用意した。なお、この被転写体の受容面には離型剤が含まれていない。
・ポリ塩化ビニルコンパウンド(重合度800) 100部
(安定化剤等の添加材を約10%含有)
・白色顔料(酸化チタン) 10部
・可塑剤(DOP) 0.5部
(実施例2)
イエロー色材層用塗工液として上記組成のイエロー色材層用塗工液Y1を用い、マゼンタ色材層用塗工液として上記組成のマゼンタ色材層用塗工液M1を用い、シアン色材層用塗工液として下記組成のシアン色材層用塗工液C2を用いたたことを除き、すべて実施例1と同じ条件にて、実施例2にかかる熱転写シートを得た。また、実施例2にかかる被転写体は、実施例1にかかる被転写体と同じである。
<シアン色材層用塗工液C2>
・昇華性染料として上記一般式(4−2)に示される化合物 5.0部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂 3.5部
(エスレック(登録商標)KS−5 積水化学工業(株))
・ポリオレフィンワックス 0.2部
・アミノ・ポリエーテル変性シリコーンオイル 0.15部
(X−22−3939 信越化学工業(株))
・ネオエタノール 4.2部
・トルエン 43.65部
・メチルエチルケトン 43.65部
(実施例3)
マゼンタ色材層用塗工液として下記組成のマゼンタ色材層用塗工液M3を用い、シアン色材層用塗工液として下記組成のシアン色材層用塗工液C3を用いたたことを除き、すべて実施例1と同じ条件にて、実施例3にかかる熱転写シートを得た。また、実施例3にかかる被転写体は、実施例1にかかる被転写体と同じである。
<マゼンタ色材層用塗工液M3>
・昇華性染料として上記一般式(16)に示される化合物 5.0部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂 3.5部
(エスレック(登録商標)KS−5 積水化学工業(株))
・ポリオレフィンワックス 0.2部
・アミノ・ポリエーテル変性シリコーンオイル 0.15部
(X−22−3939 信越化学工業(株))
・ネオエタノール 4.2部
・トルエン 43.65部
・メチルエチルケトン 43.65部
<シアン色材層用塗工液C3>
・昇華性染料として上記一般式(22)に示される化合物 5.0部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂 3.5部
(エスレック(登録商標)KS−5 積水化学工業(株))
・ポリオレフィンワックス 0.2部
・アミノ・ポリエーテル変性シリコーンオイル 0.15部
(X−22−3939 信越化学工業(株))
・ネオエタノール 4.2部
・トルエン 43.65部
・メチルエチルケトン 43.65部
(実施例4)
イエロー色材層用塗工液として上記組成のイエロー色材層用塗工液Y1を用い、マゼンタ色材層用塗工液として下記組成のマゼンタ色材層用塗工液M4を用い、シアン色材層用塗工液として上記組成のシアン色材層用塗工液C3を用いたたことを除き、すべて実施例1と同じ条件にて、実施例4にかかる熱転写シートを得た。また、実施例4にかかる被転写体は、実施例1にかかる被転写体と同じである。
<マゼンタ色材層用塗工液M4>
・昇華性染料として上記一般式(15)に示される化合物 5.0部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂 3.5部
(エスレック(登録商標)KS−5 積水化学工業(株))
・ポリオレフィンワックス 0.2部
・アミノ・ポリエーテル変性シリコーンオイル 0.15部
(X−22−3939 信越化学工業(株)) 0.15部
・ネオエタノール 4.2部
・トルエン 43.65部
・メチルエチルケトン 43.65部
(比較例1)
イエロー色材層用塗工液として下記組成のイエロー色材層用塗工液Y11を用い、マゼンタ色材層用塗工液として下記組成のマゼンタ色材層用塗工液M11を用い、シアン色材層用塗工液として下記組成のシアン色材層用塗工液C11を用いたことを除き、すべて実施例1と同じ条件にて、比較例1にかかる熱転写シートを得た。また、比較例1にかかる被転写体は、実施例1にかかる被転写体と同じである。
<イエロー色材層用塗工液Y11>
・ディスパースイエロー201 5.0部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂 3.0部
(エスレック(登録商標)KS−5 積水化学工業(株))
・ポリオレフィンワックス 0.2部
・アミノ・ポリエーテル変性シリコーンオイル 0.15部
(X−22−3939 信越化学工業(株))
・ネオエタノール 4.2部
・トルエン 43.65部
・メチルエチルケトン 43.65部
<マゼンタ色材層用塗工液M11>
・昇華性染料として上記一般式(17)に示される化合物 5.0部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂 3.5部
(エスレック(登録商標)KS−5 積水化学工業(株))
・ポリオレフィンワックス 0.2部
・アミノ・ポリエーテル変性シリコーンオイル 0.15部
(X−22−3939 信越化学工業(株))
・ネオエタノール 4.2部
・トルエン 43.65部
・メチルエチルケトン 43.65部
<シアン色材層用塗工液C11>
・昇華性染料として上記一般式(27)に示される化合物 5.0部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂
(エスレック(登録商標)KS−5 積水化学工業(株)) 3.0部
・ポリオレフィンワックス 0.2部
・アミノ・ポリエーテル変性シリコーンオイル 0.15部
(X−22−3939 信越化学工業(株))
・ネオエタノール 4.2部
・トルエン 43.65部
・メチルエチルケトン 43.65部
(比較例2)
イエロー色材層用塗工液として下記組成のイエロー色材層用塗工液Y12を用い、マゼンタ色材層用塗工液として上記組成のマゼンタ色材層用塗工液M11を用い、シアン色材層用塗工液として下記組成のシアン色材層用塗工液C11を用いたことを除き、すべて実施例1と同じ条件にて、比較例2にかかる熱転写シートを得た。また、比較例2にかかる被転写体は、実施例1にかかる被転写体と同じである。
<イエロー色材層用塗工液Y12>
・昇華性染料として上記一般式(10)に示される化合物 5.0部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂
(エスレック(登録商標)KS−5 積水化学工業(株)) 3.0部
・ポリオレフィンワックス 0.2部
・アミノ・ポリエーテル変性シリコーンオイル 0.15部
(X−22−3939 信越化学工業(株))
・ネオエタノール 4.2部
・トルエン 43.65部
・メチルエチルケトン 43.65部
(中間転写媒体の作製)
基材として厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用い、該基材の一方の面へ、グラビアコート法で、下記組成の剥離層形成用塗工液を、乾燥後1.0g/m2になるように塗布し乾燥して剥離層を形成した。次いで、この剥離層上に、グラビアコート法で、下記のプライマー層形成用塗工液を、乾燥後1.0g/m2になるように塗布し乾燥してプライマー層を形成した。次いで、このプライマー層上に、グラビアコート法で、下記の保護層形成用塗工液を、乾燥後2.0g/m2になるように塗布し乾燥して保護層を形成した。次いで、この保護層上に、グラビアコート法で、下記の受容層形成用塗工液を、乾燥後2.5g/m2になるように塗布し乾燥して受容層を形成し中間転写媒体を作成した。なお、剥離層/プライマー層/保護層/受容層は、中間転写媒体の転写層を構成し、当該転写層は被転写体上に再転写される層である。
<剥離層形成用塗工液>
・アクリル樹脂(BR−87 三菱レイヨン(株)) 95部
・ポリエステル樹脂(バイロン(登録商標)200 東洋紡(株)) 5部
・トルエン 200部
・メチルエチルケトン 200部
<プライマー層形成用塗工液>
・ポリエステル樹脂(バイロン(登録商標)200 東洋紡(株)) 33部
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 27部
(ソルバイン(登録商標)CNL 日信化学工業(株))
・イソシアネート硬化剤(XEL硬化剤 (株)DNPファインケミカル) 15部
・トルエン 50部
・メチルエチルケトン 200部
<保護層形成用塗工液>
・スチレン−アクリル系樹脂
(ミューティクルPP320P 三井化学(株)) 150部
・ポリビニルアルコール
(C−318 (株)DNPファインケミカル) 100部
・水/エタノール(質量比1/2) 70部
<受容層形成用塗工液>
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(数平均分子量(Mn):12000) 95部
(ソルバイン(登録商標)CNL 日信化学工業(株))
・エポキシ変性シリコーン 5部
(KP−1800U 信越化学工業(株))
・トルエン 200部
・メチルエチルケトン 200部
(第1印画物の作製)
上記実施例1〜4および比較例1〜2の熱転写シートと被転写体との組合せ、および上記の中間転写媒体を準備し、各熱転写シートから中間転写媒体に転写し、次いで、中間転写媒体から被転写体に再転写することで、第1印画物を得た。その際に用いた転写および再転写の条件は以下の通りである。
(転写および再転写の条件)
・プリンタ:カードプリンタ
・印圧:2.2kg/inch
・印画速度:3msec/line
・サーマルヘッド解像度:300dpi
・印画エネルギー:0.26mJ/dot
(第2印画物の作製)
上記実施例1〜4および比較例1〜2の熱転写シートと被転写体との組合せを準備し、各熱転写シートから被転写媒体に直接に転写することで、第2印画物を得た。その際に用いた転写条件は以下の通りである。
(転写条件)
・プリンタ:カードプリンタ
・印圧:2.2kg/inch
・印画速度:3msec/line
・サーマルヘッド解像度:300dpi
・印画エネルギー:0.26mJ/dot
(剥離力の評価)
上記の条件にて、イエローベタ画像(255/255階調)、イエローベタ画像とマゼンタベタ画像(255/255階調)を重ねたレッドベタ画像、イエローベタ画像とシアンベタ画像(255/255階調)を重ねたグリーンベタ画像、およびイエローベタ画像、マゼンタベタ画像、シアンベタ画像を重ねたブラックベタ画像を有する第1印画物および第2印画物を作製した。そして、印画後3分以内に熱転写シートの各色色材層を被転写体から180°剥離するときの剥離力を下記装置にて測定した。
・剥離力測定装置:万能型材料試験機 5565(インストロン社)
・剥離速度:300mm/分
剥離力の評価基準は以下の通りである。
A:0.294N/cm未満
NG1:0.294N/cm以上0.392N/cm未満
NG2:0.392N/cm以上
(イエロー、レッド、グリーンおよびブラック耐光性の評価)
上記(剥離力の評価)にて作成した第2印画物におけるイエロー画像、レッド画像、グリーン画像およびブラック画像に対して、下記の条件にて光を照射した。
・照射試験器:Ci4000(アトラス社)
・光源:キセノンランプ
・フィルター:内側=CIRA、外側=ソーダライム
・ブラックパネル温度:45(℃)
・照射強度:1.2(W/m2)・・・420(nm)での測定値
・照射エネルギー:400(kJ/m2)・・・420(nm)での積算値
次に、上記照射条件による照射前後の画像の色差を、分光測定器(spectrolino グレタグマクベス社)により測定した。測定に際しては照射前のイエロー画像パターンのODが1.0付近で測定を行なった。
色差ΔE*ab=((Δa*2+(Δb*21/2
CIE1976 La**表色系(JIS Z8729(1980))参照
Δa*=a*(照射後)−a*(照射前)
Δb*=b*(照射後)−b*(照射前)
なお、a*及びb*は、CIE1976L***表色系に基づくものであり、a*及びb*は、知覚明度指数を表す。
イエロー、レッド、グリーンおよびブラック耐光性の評価基準は以下の通りである。
A:5未満
B:5以上10未満
C:10以上20未満
NG:20以上
(印画適性の評価)
上記第1印画物および第2印画物を作製するにあたり、以下の評価基準に基づいて印画適性を評価した。
A:プリンタ内で異音が発生することなく、印画物にもシワがない
B:プリンタ内で異音が発生することはないが、印画物に小さなシワがある
NG:プリンタ内で異音が発生するか、印画物に大きなシワがあったり、印画物が破断した
前記各評価の結果を以下の表にまとめる。
Figure 2018052077
上記の結果からも、実施例にかかる熱転写シートと被転写体との組合せは、剥離力、耐光性および印画適性に優れていることが分かる。
10…熱転写シート
1…基材
2Y…イエロー色材層
2M…マゼンタ色材層
2C…シアン色材層
3…プライマー層
5…背面層

Claims (7)

  1. 熱転写シートと被転写体との組合せであって、
    前記熱転写シートは、基材と、当該基材の一方の面上に設けられたイエロー色材層、マゼンタ色材層およびシアン色材層とを有し、前記イエロー色材層には、下記一般式(1)で示される昇華性染料および下記一般式(2)で示される昇華性染料の何れか一方または双方が含有されており、
    前記被転写体は、少なくとも前記熱転写シートの各色材層に含まれる昇華性染料を受容する受容面を有し、前記受容面には、離型剤が含まれていないか、含まれている場合であっても受容面を形成している層の総質量に対して6質量%未満である、
    ことを特徴とする熱転写シートと被転写体との組合せ。
    Figure 2018052077
    (一般式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、置換または非置換のアルキル基、アリル基、置換または非置換のアリール基、または置換または非置換のシクロアルキル基を表し、R3は水素原子、置換または非置換のアルキルまたはアルコキシ基、ハロゲン、またはアリールオキシ基を表し、R4は水素原子、置換または非置換のアルキル基、NR6R7基、置換または非置換のアルコキシ基、置換または非置換のアルコキシカルボニル基、置換または非置換のアリール基、またはC(O)NR8R9基を表し、R5は置換または非置換のアルキル基、または置換または非置換のアリール基を表す。R6、R7、R8、R9は、それぞれ独立に、水素原子、置換または非置換のアルキル基、または置換または非置換のアリール基を表す。)
    Figure 2018052077
    (一般式(2)中、R1およびR2は、それぞれ独立に、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアルケニル基、または置換または非置換のアリール基を表し、R3およびR4は、それぞれ独立に、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアルコキシ基、置換または非置換のアルコキシカルボニル基、または置換または非置換のアリール基を表す。)
  2. 前記一般式(1)で示される昇華性染料および前記一般式(2)で示される昇華性染料の合計含有量が、前記イエロー色材層に含まれる全染料の固形分総量に対して50質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の熱転写シートと被転写体との組合せ。
  3. 前記マゼンタ色材層には、下記一般式(3)で示される昇華性染料が含有されていることを特徴とする請求項1または2に記載の熱転写シートと被転写体との組合せ。
    Figure 2018052077
    (一般式(3)中、R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子、置換または非置換のアルキル基、ビニル基、アリル基、アリール基、アルコキシアルキル基、アラルキル基、アルコキシアルボニルアルキル基、カルボキシアルキル基、またはアルコキシカルボキシアルキル基を表し、R1とR2とは互いに環を形成してもよい。R3は水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、置換又は非置換のアルキル基、アルキルホルミルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、ホルミルアミノ基、アリルホルミルアミノ基、スルホニルアミノ基、アリルスルホニルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基、またはウレイド基を表し、R4、R5は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換または非置換のアルキル基、アリル基、置換または非置換のアリール基、アラルキル基、アルコキシアルキル基、アラルキルオキシアルキル基、チオアルキル基、アリルオキシアルキル基、アリールオキシアルキル基、カルボモイル基、スルファモイル基、オキシカルボニル基、アミノ基、ホルミルアミノ基、スルホニルアミノ基、アルコキシカルボニルアルキル基、複素環基、シクロアルキル基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基、またはアルキルスルホニル基を表す。)
  4. 前記一般式(3)で示される昇華性染料の含有量が、前記マゼンタ色材層に含まれる全染料の固形分総量に対して50質量%以上であることを特徴とする請求項3に記載の熱転写シートと被転写体との組合せ。
  5. 前記シアン色材層には、下記一般式(4)で示される昇華性染料が含有されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の熱転写シートと被転写体との組合せ。
    Figure 2018052077
    (一般式(4)中のR1は、置換または非置換のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基であるかあるいはXと一緒に五員環または六員環を形成する原子または原子団を表し、R2は、置換または非置換のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基を表し、R1とR2とは酸素原子または窒素原子を含有してもよい五員環または六員環を形成してもよく、R3は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アリール基、アシル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、ウレイド基、カルバモイル基、スルファモイル基またはアミノ基を表し、R4は、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のシクロアルキル基、置換または非置換のアラルキル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のアルコキシ基、または置換または非置換のアリールオキシ基を表し、R5とR6は、それぞれ同一であっても異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換のアルキル基、アルコキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基またはウレイド基を表し、Xは、水素原子であるかまたはR1と一緒に五員環または六員環を形成する原子または原子団を表し、nは、1または2の整数を表す。)
  6. 前記一般式(4)で示される昇華性染料の含有量が、前記シアン色材層に含まれる全染料の固形分総量に対して50質量%以上であることを特徴とする請求項5に記載の熱転写シートと被転写体との組合せ。
  7. 前記被転写体が、JIS X 6305−1:2010に規定されている曲げ強さ試験におけるたわみ量が35mm以下のカード材であることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の熱転写シートと被転写体との組合せ。
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