JP2018048057A - 立体造形用ガラス粉末 - Google Patents

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Abstract

【課題】立体造形を行う際、レーザー照射されても失透し難い立体造形用ガラス粉末の提供。【解決手段】結晶化開始温度と軟化点の差が50℃以上であり、ガラス組成として、質量%で、SiO2:35〜80%、Al2O3:0〜30%、B2O3:0〜30%、RO:1〜40%(RはMg、Ca、Sr、Ba及びZnから選択される少なくとも一種)、Li2O:0〜5%、Na2O+K2O:0〜17%を含有し、さらにCuO、Fe3O4、CoO、Cr2O3、NiO、V2O5及びMnO2から選択される少なくとも一種の遷移金属酸化物を0.01%以上含有する立体造形用ガラス粉末。好ましくは30〜380℃における熱膨張係数が120×10−7/℃以下であり、軟火点が500〜1000℃である立体造形用ガラス粉末。【選択図】なし

Description

本発明は、3Dプリンターに使用される立体造形用ガラス粉末に関する。
従来、光造形法、粉末焼結法、熱溶解積層法等種々の方法により樹脂材料等を積層させて立体造形物を得る方法が提案され、実用化されている(例えば特許文献1参照)。これらの立体造形法は、いわゆる3Dプリンターを用いて行われる。
例えば、粉末焼結法による立体造形は以下のようにして行われる。まず樹脂粉末等の粉末材料を満たした槽内に造形ステージを設け、造形ステージ上の粉末材料層にCOレーザー等のレーザー光を照射して溶解する。軟化変形または溶解した粉末材料は互いに焼結する。これにより所望パターンを有する焼結体層を形成する。このようにして焼結体層を1層形成すると造形ステージを1層分だけ下げて、焼結体層上に新たな粉末材料層を導入し、同様にしてレーザーを粉末材料層に照射して前記焼結体層上に新たな焼結体層を積み上げる。この操作を繰り返すことにより所定形状の立体造形物を得る。
近年、COレーザーよりも高出力化が可能なYAGレーザーやYbファイバーレーザー等を用い、樹脂粉末よりも融点の高いガラス粉末を溶解しながら造形する方式も注目されている。ガラス粉末を用いて得られた立体造形物は耐熱性や機械的強度等に優れるという利点がある。
特開平7−26060号公報
しかし、立体造形を行う際、レーザー照射されたガラス粉末が失透し、失透物に起因して立体造形物に割れ、反り等が発生するという問題があった。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、立体造形を行う際、レーザー照射されても失透しにくい立体造形用ガラス粉末を提供することを目的とする。
本発明の立体造形用ガラス粉末は、結晶化開始温度と軟化点の差が50℃以上であることを特徴とする。本発明のガラス粉末は、レーザー等により焼結一体化させることにより、立体造形物を製造するためのガラス粉末である。なお、ガラス粉末の結晶化開始温度と軟化点の差を50℃以上と大きくすることによりガラス粉末の結晶性が弱まるため、立体造形を行う際、レーザー照射されたガラス粉末が失透しづらい。
本発明の立体造形用ガラス粉末は、結晶化温度と軟化点の差が100℃以上であることが好ましい。
本発明の立体造形用ガラス粉末は、ガラス組成として、SiO、B、及び、GeOから選択される少なくとも一種を含有することが好ましい。
本発明の立体造形用ガラス粉末は、ガラス組成として、質量%で、SiO 35〜80%、Al 0〜30%、B 0〜30%、RO 1〜40%(RはMg、Ca、Sr、Ba及びZnから選択される少なくとも一種)、LiO 0〜5%、NaO+KO 0〜17%を含有することが好ましい。なお、「NaO+KO」は、NaOとKOの各含有量の合量を意味する。
本発明の立体造形用ガラス粉末は、ガラス組成として、質量%で、CuO、Fe、CoO、Cr、NiO、V及びMnOから選択される少なくとも一種の遷移金属酸化物を0.01%以上含有することが好ましい。ガラス組成として上記の遷移金属酸化物を0.01質量%以上含有することにより、YAGレーザーやYbファイバーレーザーといったレーザーの波長帯である1000〜1100nm付近の近赤外線を効率良く吸収することができる。その結果、比較的少ないエネルギーのレーザー照射により立体造形が可能となる。なお、Fe成分については、赤外線を吸収するのはFeOであるが、ガラス中ではレドックスに依存してFeと共存している。そのため、本発明では、全ての酸化鉄をFeに換算して表している。
本発明の立体造形用ガラス粉末は、PbOを実質的に含有しないことが好ましい。当該構成によれば、環境負荷の小さい立体造形物を得ることが可能となる。なお、「実質的に含有しない」とは、原料として意図的に含有させないことを意味し、不可避的不純物の混入を排除するものではない。具体的には、質量%で0.1%未満であることを意味する。
本発明の立体造形用ガラス粉末は、30〜380℃の範囲における熱膨張係数が120×10−7/℃以下であることが好ましい。立体造形を行う際、レーザー照射されたガラス粉末は加熱されて軟化変形するが、その後急速に冷却されて固化する。このように、立体造形には急激な温度変化が伴うため、サーマルショックにより立体造形物が破損するおそれがある。そこで、上記の通りガラス粉末の熱膨張係数を規制することにより、立体造形物の製造工程における熱膨張変化を極力小さくし、サーマルショックによる立体造形物の破損を抑制することができる。
本発明の立体造形用ガラス粉末は、軟化点が500〜1000℃であることが好ましい。当該構成によれば、得られる立体造形物の耐熱性に優れるため好ましい。
本発明の立体造形用ガラス粉末は、平均粒子径が10〜300μmであることが好ましい。当該構成によれば、所望の形状を有する立体造形物を精度良く製造することができる。なお本発明において、平均粒子径は一次粒子のメジアン径での50%体積累積径を示し、レーザー回折式粒度分布測定法により測定された値をいう。
本発明の立体造形用ガラス粉末は、Ybファイバーレーザー、YAGレーザーまたはYVOレーザーを用いた3Dプリンターへの使用に好適である。
本発明の立体造形物の製造方法は、ガラス粉末層に選択的にレーザー光を照射することにより、所定パターンを有する焼結体層を形成し、前記焼結体層上に新たなガラス粉末層を導入した後にレーザー光を照射して前記焼結体層と連続した所定パターンを有する新たな焼結体層を形成し、所定形状の立体造形物が得られるまで前記焼結体層の積層を繰り返すものであって、ガラス粉末として、上記の立体造形用ガラス粉末を使用することを特徴とする。なお本発明において、「焼結体層」とは、ガラス粉末同士が軟化変形して互いに融着して形成された層を意味する。具体的には「焼結体層」は、ガラス粉末がある程度原形を留め、ガラス粉末間の粒界が残存しているもの、及び、ガラス粉末が大きく軟化流動して原形を留めておらず、ガラス粉末の粒界が残存していないものを含む。
本発明によれば、立体造形を行う際、レーザー照射されても失透しにくい立体造形用ガラス粉末を提供することが可能となる。
本発明の立体造形用ガラス粉末は、結晶化開始温度と軟化点の差(結晶化開始温度−軟化点)が50℃以上であり、70℃以上、90℃以上、110℃以上、特に130℃以上であることが好ましい。結晶化開始温度と軟化点の差が小さすぎるとガラス粉末の結晶性が強まり、立体造形を行う際、レーザー照射されたガラス粉末が失透しやすくなる。さらに、ガラス粉末の結晶化温度と軟化点の差が100℃以上、140℃以上、180℃以上、220℃以上、特に260℃以上であることが好ましい。結晶化開始温度と軟化点の差が小さすぎるとガラス粉末の結晶性が強まりやすく、立体造形を行う際、レーザー照射されたガラス粉末が失透しやすくなる。また、ガラス粉末の結晶化温度と結晶化開始温度の差(結晶化温度−結晶化開始温度)が50℃以上、70℃以上、90℃以上、110℃以上、特に130℃以上であることが好ましい。結晶化温度と結晶化開始温度の差が小さすぎると、ガラス粉末の結晶性が強まりやすく、立体造形を行う際、レーザー照射されたガラス粉末が失透しやすくなる。
本発明の立体造形用ガラス粉末としては、ガラス組成として、SiO、B、及び、GeOから選択される少なくとも一種を含有することが好ましい。SiO、B、及び、GeOは、耐失透性を顕著に向上させる成分である。SiO、B、及び、GeOの含有量の合量は、10〜100%、20〜90%、特に30〜80%であることが好ましい。
本発明の立体造形用ガラス粉末としては、ガラス組成として、質量%で、SiO 35〜80%、Al 0〜30%、B 0〜30%、RO 1〜40%(RはMg、Ca、Sr、Ba及びZnから選択される少なくとも一種)、LiO 0〜5%、NaO+KO 0〜17%を含有するものが挙げられる。このようにガラス組成を限定した理由を以下に説明する。なお、以下の各成分の含有量に関する説明において、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味する。
SiOはガラス骨格を構成するために必要な主成分であり、耐失透性を顕著に向上させる成分である。SiOの含有量は35〜80%、特に40〜75%であることが好ましい。SiOが少なすぎると、化学的耐久性や耐候性が低下しやすくなる。一方、SiOが多すぎると、溶融性が低下しやすくなる。
Alは耐候性や耐失透性を顕著に向上させる成分である。Alの含有量は0〜30%、1.5〜25%、3〜23%、5〜21%、7〜20%、特に10〜20%であることが好ましい。Alが多すぎると、溶融性が低下しやすくなる。
は、耐失透性を顕著に向上させるとともに、ガラスの粘度を低下させてレーザー照射による溶解性を向上させる効果がある。Bの含有量は0〜30%、0〜25%、0〜20%、特に0.1〜15%であることが好ましい。Bが多すぎると、化学耐久性が低下しやすくなる。また、溶融時における蒸発量が多くなって均質なガラスが得られにくくなる。
RO(RはMg、Ca、Sr、Ba及びZnから選択される少なくとも一種)は、ガラスの粘度を低下させてレーザー照射による溶解性を向上させる効果がある。また、耐候性を向上させる効果もある。ROの含有量は1〜40%、特に3〜35%であることが好ましい。ROが少なすぎると、上記効果が得られにくくなる。一方、ROが多すぎると、耐失透性が低下しやすくなる。なお、MgO、CaO、SrO、BaO及びZnOの含有量は、各々0〜40%、特に3〜35%であることが好ましい。
LiOは、融剤としての効果と粘度を低下させる効果が顕著である成分である。LiOを含有させることにより、同じく融剤として働くものの蒸発しやすいBの含有量を極力減らすことができる。LiOの含有量は0〜5%、特に1〜4%であることが好ましい。LiOが多すぎると、耐候性及び耐失透性が低下しやすくなる。
NaO及びKOは、LiOと同様に融剤としての効果を示す成分である。NaO+KOが多すぎると、耐候性が著しく低下したり、熱膨張係数が大きくなる傾向がある。
なお、LiO、NaO及びKOの3成分とも含有することにより、混合アルカリ効果の作用によって耐候性が向上しやすくなる。特に、LiO、NaO及びKOのうちの1成分の含有量が、単独でこれらの成分の合量の80%以下となるようにすると、上記効果が得られやすい。
さらに、本発明の立体造形用ガラス粉末は、ガラス組成として、CuO、Fe、CoO、Cr、NiO、V及びMnOから選択される少なくとも一種の遷移金属酸化物を含有することが好ましい。ガラス組成として上記の遷移金属酸化物を含有することにより、YAGレーザーやYbファイバーレーザーといったレーザーの波長帯である1000nm〜1100nm付近の近赤外線を効率良く吸収することができる。その結果、比較的少ないエネルギーのレーザー照射により立体造形が可能となる。遷移金属酸化物の含有量は、質量%で0.01%以上、0.1%以上、0.2%以上、特に0.5%以上であることが好ましい。遷移金属酸化物の含有量が少なすぎると、所望の近赤外線吸収能が得られにくくなる。一方、遷移金属酸化物の含有量が多すぎると、ガラス化しにくくなるため、30%以下、20%以下、特に10%以下であることが好ましい。なお、遷移金属酸化物としては、コスト的に有利なCuOまたはFeを用いることが好ましい。
上記成分以外にも、ガラスの粘度調整や、耐失透性、耐候性を改善する目的で、ZrO、TiO等を含有させてもよい。ZrO、TiOの含有量は、各々、0~3%、0.1~2%、特に0.3~1%であることが好ましい。
なお、環境負荷物質であるPbOは実質的に含有しないことが好ましい。
本発明の立体造形用ガラス粉末の30〜380℃の範囲における熱膨張係数は120×10−7/℃以下、100×10−7/℃以下80×10−7/℃以下、特に60×10−7/℃以下であることが好ましい。熱膨張係数が大きすぎると、立体造形物の製造工程において、サーマルショックによる立体造形物の破損が発生したり、そりが発生するおそれがある。一方、30〜380℃の範囲における熱膨張係数の下限は特に限定されないが、低すぎると軟化点が高くなって立体造形性が劣る傾向にあるため、20×10−7/℃以上、特に30×10−7/℃以上であることが好ましい。
本発明の立体造形用ガラス粉末の軟化点は500〜1000℃、特に520〜970℃であることが好ましい。軟化点が低すぎると、得られる立体造形物の耐熱性が低下しやすくなる。一方、軟化点が高すぎると、レーザー照射によりガラス粉末が溶解しにくくなり、立体造形性に劣る傾向がある。さらに、ガラス粉末のガラス転移点は400℃以上、特に420℃以上であることが好ましい。ガラス転移点が低すぎると、レーザー照射によりガラス粉末が溶解し焼結するまでの時間が長くなりやすいため、立体造形性に劣る傾向がある。なお、ガラス転移点の上限は特に限定されないが、現実的には900℃以下である。また、ガラス粉末の軟化点とガラス転移点の差(軟化点−ガラス転移点)は、300℃以下、特に200℃以下であることが好ましい。軟化点とガラス転移点の差が大きすぎると、レーザー照射によりガラス粉末が溶解し焼結するまでの時間が長くなりやすいため、立体造形性に劣る傾向がある。なお、ガラス粉末の軟化点とガラス転移点の差の下限は特に限定されないが、現実的には20℃以上である。
本発明の立体造形用ガラス粉末の平均粒子径は10〜300μm、15〜200μm、特に20〜100μmであることが好ましい。平均粒子径が小さすぎると、槽内での粉末流動性が低下しやすくなり、立体造形性に劣る傾向がある。具体的には、ガラス粉末中で造形ステージを動作させにくくなったり、造形ステージまたは焼結層上にガラス粉末層を均一に形成しにくくなる。一方、平均粒子径が大きすぎると、得られる立体造形物の寸法精度や表面精度に劣る傾向がある。また、ガラス粉末の焼結が不十分になる傾向がある。
本発明の立体造形用ガラス粉末の安息角は50°以下、47°以下、特に45°以下であることが好ましい。安息角が大きすぎると、槽内での粉末流動性が低下しやすくなり、立体造形性に劣る傾向がある。なお、「安息角」は、立体造形用ガラス粉末を平面上に連続的に落下堆積させたときの平面と粉末の接線の作る角度を、粉末特性測定装置にて測定したものである。
本発明の立体造形用ガラス粉末の比表面積は2.0m/g以下、1.6m/g以下、1.2m/g以下、0.8m/g以下、特に0.5m/g以下であることが好ましい。比表面積が大きすぎると、得られる立体造形物の寸法精度や表面精度に劣る傾向がある。
本発明の立体造形用ガラス粉末の形状は、破砕形状、球状、フレーク状、ロッド状のいずれでも構わない。なお、球状、フレーク状、ロッド状の粉末は、表面一部分に破面や火造り面を有しやすく、比表面積の小さな粉末を得やすい。また、比表面積が小さいと造形後の失透析出を抑制しやすく、焼結層上にガラス粉末層を均一に形成しやすくなる。特に、球状やロッド状の粉末は、その効果が顕著である。
本発明の立体造形用ガラス粉末はアルミナ、シリカ、ジルコニア等のセラミック粉末と混合して用いてもよい。このようにすれば、得られる立体造形物の機械的強度を向上させたり、色合いや質感を調整することができる。セラミック粉末の含有量は立体造形用ガラス粉末100質量部に対して0〜200体積部、0.1〜100体積部、1〜50体積部、特に2〜30体積部であることが好ましい。セラミック粉末の含有量が多すぎると、レーザー光が散乱してガラス粉末内部まで十分に照射されずに立体造形性が低下しやすくなる。なお、セラミック粉末の形状は、破砕形状や球状、フレーク状、円柱状のいずれでも構わない。
次に、本発明の立体造形用ガラス粉末の製造方法を説明する。
まず、所望のガラス組成となるようにバッチを調合する。なお、遷移金属酸化物としてFeを用いる場合は、ガラス中におけるFeOの割合を多くするため、カーボンやアルミニウム等の還元剤を外添で0.1〜1質量%程度添加しておくと、近赤外線における光透過率を効果的に低下させることができる。
得られたバッチを1400〜1600℃程度で均質になるまで溶融する。溶融ガラスを成形し、粉砕、分級することにより、本発明の立体造形用ガラス粉末が得られる。
次に、本発明の立体造形用ガラス粉末を用いた立体造形物の製造方法の一例を説明する。
まず、造形用ステージを設けた槽内に本発明の立体造形用ガラス粉末を満たす。造形用ステージは、その上面に所望の厚みのガラス粉末層(例えば厚み0.3mm程度)が形成されるように位置させる。ここで、ローラーやスキージ等を用いてガラス粉末層の厚みを均一化することが好ましい。このようにすれば、所望の寸法及び形状を有する立体造形物が得られやすくなる。
次に、ガラス粉末層にレーザー光を照射して、ガラス粉末を局所的に焼結することにより、所定パターンを有する焼結体層を形成する。なおレーザー光源としては、Ybファイバーレーザー、YAGレーザーまたはYVOレーザー等の波長約1000〜1100nmにピーク波長を有するレーザーを使用することが好ましい。
続いて、形成した焼結体層上に、新たなガラス粉末層を導入する。例えば、上記の造形用ステージを1層分下降させることにより、焼結体層上に新たなガラス粉末層を導入する。この際にも、上述と同様に、ローラーやスキージ等を用いてガラス粉末層の厚みを均一化することが好ましい。
その後、焼結体層上に導入した新たなガラス粉末層にレーザー光を照射して、前記焼結体層と連続した新たな焼結体層を形成する。ちなみに、レーザー照射部分は、軟化点以上に加熱され、照射されていない部分の温度は低下する。つまり、ガラス粉末の温度が上昇、低下を繰り返すことになるため、軟化点と結晶化開始温度の差が小さいガラス粉末は、失透しやすくなる。
以上の操作を繰り返すことによって焼結体層を連続的に積層し、所定形状の立体造形物を得る。
得られた立体造形物の気孔率は、5%以下、3%以下、特に1%以下であることが好ましい。気孔率が大きすぎると、立体造形物の強度が低下しやすい。なお、気孔率は、気孔率=(真密度―嵩密度)/真密度×100(%)の式より算出した。ちなみに、立体造形物の気孔率が小さいほど、熱伝導率が高くなりやすい。立体造形物の熱伝導率は、0.5W/mK以上、0.8W/mK以上、特に1W/mK以上であることが好ましい。熱伝導率が低すぎると、ガラス粉末が焼結し冷却するまでの時間が長くなり、立体造形物が曝される熱量が多くなるため、立体造形物中に失透物が析出しやすくなる。
以下、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1は、本発明の実施例(試料No.1〜5)及び比較例(試料No.6〜7)を示す。
各試料は次のようにして調製した。
まず表1に示す組成になるように原料粉末を調合した。原料粉末を、白金坩堝を用いて1500℃で4時間溶解した後、溶融ガラスをカーボン板上に流し出し、アニールすることでガラス試料を得た。得られたガラス試料を粉砕及び分級することにより、平均粒子径50μmの立体造形用ガラス粉末を得た。
各特性を以下のようにして測定した。結果を表1に示す。
熱膨張係数は、示差熱膨張計を用いて30〜380℃の温度範囲における値を測定した。
ガラス転移点、軟化点、結晶化開始温度、結晶化温度は、マクロ型示差熱分析計を用いて測定した。具体的には、各ガラス粉末試料につき、マクロ型示差熱分析計を用いて1200℃まで測定して得られたチャートにおいて、第一の変曲点の温度をガラス転移点、第四の変曲点の温度を軟化点、結晶化ピークの開始温度を結晶化開始温度、結晶化ピークを結晶化温度とした。
失透性は以下のようにして評価した。得られたガラス粉末を容器に入れて、スキージで表面を平坦にした。ガラス粉末表面の所定箇所に対し、Ybファイバーレーザー(波長1070nm、出力5W)を30mm/秒の走査速度で照射した。レーザー照射後のガラス粉末を観察し、失透していないものを「○」、失透しているものを「×」として評価した。
表1から明らかなように、実施例であるNo.1〜5のガラス粉末は、結晶化開始温度と軟化点の差が、140℃以上と大きく、レーザー照射後のガラス粉末が失透していなかった。比較例であるNo.6、7のガラス粉末は、結晶化開始温度と軟化点の差が、20℃と小さく、レーザー照射後のガラス粉末が失透していた。
本発明の立体造形用ガラス粉末は、YAGレーザーやYbファイバーレーザー等を用いた立体造形に好適である。

Claims (11)

  1. 結晶化開始温度と軟化点の差が50℃以上であることを特徴とする立体造形用ガラス粉末。
  2. 結晶化温度と軟化点の差が100℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の立体造形用ガラス粉末。
  3. ガラス組成として、SiO、B、及び、GeOから選択される少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の立体造形用ガラス粉末。
  4. ガラス組成として、質量%で、SiO 35〜80%、Al 0〜30%、B 0〜30%、RO 1〜40%(RはMg、Ca、Sr、Ba及びZnから選択される少なくとも一種)、LiO 0〜5%、NaO+KO 0〜17%を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の立体造形用ガラス粉末。
  5. ガラス組成として、質量%で、CuO、Fe、CoO、Cr、NiO、V及びMnOから選択される少なくとも一種の遷移金属酸化物を0.01%以上含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の立体造形用ガラス粉末。
  6. PbOを実質的に含有しないことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の立体造形用ガラス粉末。
  7. 30〜380℃の範囲における熱膨張係数が120×10−7/℃以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の立体造形用ガラス粉末。
  8. 軟化点が500〜1000℃であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の立体造形用ガラス粉末。
  9. 平均粒子径が10〜300μmであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の立体造形用ガラス粉末。
  10. Ybファイバーレーザー、YAGレーザーまたはYVOレーザーを用いた3Dプリンターに使用されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の立体造形用ガラス粉末。
  11. ガラス粉末層に選択的にレーザー光を照射することにより、所定パターンを有する焼結体層を形成し、前記焼結体層上に新たなガラス粉末層を導入した後にレーザー光を照射して前記焼結体層と連続した所定パターンを有する新たな焼結体層を形成し、所定形状の立体造形物が得られるまで前記焼結体層の積層を繰り返す立体造形物の製造方法であって、ガラス粉末として、請求項1〜10のいずれか一項に記載の立体造形用ガラス粉末を使用することを特徴とする立体造形物の製造方法。
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