JP2018044676A - すべりねじ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高負荷条件でも耐焼き付き性や耐摩耗性などの摺動特性に優れるすべりねじ装置の摺動ナットおよびすべりねじ装置を提供する。
【解決手段】摺動ナットは、すべりねじ装置において、ねじ軸の回転に伴い、ねじ軸の軸上を摺動しながら相対的に移動するものであり、ナット本体3aが溶製金属からなり、該ナット本体におけるねじ軸に螺合するめねじ部表面に、ねじ溝部として合成樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物の樹脂層3bが射出成形により重ねて形成されている。また、ナット本体3aは、樹脂層3bとの接合面に所定の化学表面処理が施されてなる。
【選択図】図2

Description

本発明は、すべりねじ装置の摺動ナット、および該摺動ナットを用いたすべりねじ装置に関する。
回転運動を直線運動に変換するすべりねじ装置は、ボールねじ装置と比較してコンパクトに設計できるという利点があり、産業機械の送り装置や位置決め装置などに多用されている。銅合金などの金属製ナットを用いたすべりねじ装置では、塗布した油またはグリース切れによるトルク上昇、焼付きが懸念されるため、定期的なメンテナンスが必要となる。また、真空中、水中などの油またはグリースを塗布できない環境では使用できない。そこで、無潤滑でも使用可能、メンテナンスフリー等の目的で樹脂製ナットを用いたすべりねじ装置などが開発されている。
ナット全体または摺動部分となるねじ溝部を樹脂製にしたものとして、例えば、ねじ軸に螺合するねじ溝部(またはナット全体)が、ポリフェニレンサルファイド(以下、PPSと記す)樹脂に少なくともポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと記す)樹脂と280℃で非溶融の有機樹脂粉末とを配合してなるPPS樹脂組成物から形成されてなる樹脂製ナットが提案されている(特許文献1参照)。また、ねじ軸と、このねじ軸の回転に伴い、該ねじ軸の軸上を摺動しながら相対的に移動するナットとを備えてなり、ナットの少なくともめねじ部に芳香族ポリイミド樹脂の粉体塗装膜が形成されてなるすべりねじ装置が提案されている(特許文献2参照)。
また、金属部分と樹脂部分とからなるものとして、例えば、ねじ軸に螺合され、ねじ軸と軸方向に相対移動するフランジ付きナットであり、フランジを含む外周部を金属で形成し、ねじ軸に螺合される内周部を潤滑性樹脂で形成して、これらの外周部と内周部との間の回り止めと抜け止めをする手段を設けたフランジ付きナットが提案されている(特許文献3参照)。
その他、樹脂製ナットの製造方法として、樹脂ナットの一端面、または一端面およびその付近を成形する型面を有する固定型と、樹脂ナットの残りの外形面を成形するキャビティを有し固定型に対して軸方向に移動可能な可動型と、上記可動型に設けられて外径面にねじ溝成形用の螺旋溝が形成されたコアピンとを備える射出成形金型を用い、この金型内に溶融樹脂を充填して樹脂ナットを成形した後、金型を型開きしてコアピンを回転させることにより樹脂ナットを取り出す製造方法が提案されている(特許文献4参照)。
特開2003−239932号公報 特開2004−204989号公報 特開2006−138405号公報 特開2004−25527号公報
しかしながら、特許文献1の樹脂製ナットは、無潤滑で使用できるものの、高負荷ではフランジなどの取り付け部、または、めねじ部の歯元が破壊するため、使用困難である。
一方、特許文献2のすべりねじ装置では、本体が金属あるいはセラミックスであるため、高負荷でもナットの破壊は起こらない。しかし、芳香族ポリイミド樹脂の粉体塗装膜の形成において、樹脂は完全溶融あるいは溶融流動しておらず、高温状態で高い圧力を加えることも困難であるため、緻密な樹脂膜とはならない。そのため、高負荷で使用した場合、樹脂膜の摩耗が大きく、ナット本体との密着性(せん断接着強さ)が十分でない可能性がある。また、樹脂の粉体塗装膜を、ナットのめねじ部に精度良く均一に形成することが容易でない。
また、特許文献3のフランジ付きナットは、ナットの外周部が金属であるが、めねじ部を含む内周部が合成樹脂製であるため、めねじ部の歯元の機械的強度は特許文献1の樹脂製ナットと同等であり、高負荷での使用において、めねじ部や、金属と樹脂の接合部が破壊するおそれがある。
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、高負荷条件でも耐焼き付き性や耐摩耗性などの摺動特性に優れるすべりねじ装置の摺動ナットおよびすべりねじ装置の提供を目的とする。
本発明の摺動ナットは、すべりねじ装置において、ねじ軸の回転に伴い、該ねじ軸の軸上を摺動しながら相対的に移動する摺動ナットであって、上記摺動ナットは、ナット本体が溶製金属からなり、該ナット本体における上記ねじ軸に螺合するめねじ部表面に、ねじ溝部として合成樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物の樹脂層が射出成形により重ねて形成されていることを特徴とする。
上記ナット本体は、前記樹脂層との接合面に化学表面処理が施されてなることを特徴とする。また、上記化学表面処理は、上記接合面に微細凹凸形状が形成される処理、または、上記接合面に上記樹脂層と化学反応する接合膜が形成される処理であることを特徴とする。
上記樹脂層の層厚が、0.1〜1mmであることを特徴とする。また、上記樹脂層において、ねじ溝底部の層厚が、ねじ溝山部の層厚よりも厚いことを特徴とする。
上記合成樹脂が、芳香族ポリエーテルケトン(以下、PEKと記す)系樹脂、熱可塑性ポリイミド(以下、熱可塑性PIと記す)樹脂、およびPPS樹脂から選ばれる少なくとも1つの合成樹脂であることを特徴とする。また、上記樹脂組成物が、繊維状充填材を含まずに、樹脂組成物全体に対してPTFE樹脂を10〜30体積%、黒鉛を2〜10体積%含むことを特徴とする。
上記ナット本体の溶製金属の熱伝導率が、50W/(m・K)以上であることを特徴とする。また、上記ナット本体の溶製金属が、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、または銅合金であることを特徴とする。
本発明のすべりねじ装置は、ねじ軸と、このねじ軸の回転に伴い、該ねじ軸の軸上を摺動しながら相対的に移動する摺動ナットとを備えるすべりねじ装置であって、上記摺動ナットが、本発明の摺動ナットであることを特徴とする。また、上記ナット本体の最小部内径が、上記ねじ軸の最大部外径よりも小さいことを特徴とする。
本発明の摺動ナットは、ナット本体が溶製金属からなり、該ナット本体における上記ねじ軸に螺合するめねじ部表面に、ねじ溝部として合成樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物の樹脂層が射出成形により重ねて形成されているので、ナットのフランジなどの取り付け部、めねじ部の歯元の機械的強度が高く、高負荷でも破壊されることがない。また、放熱特性に優れるため、摩擦面における真実接触面積が小さくなり、摩擦力、摩擦発熱が低減され、摩耗の軽減、摩擦面温度の上昇を抑えるという利点がある。
特に、ねじ溝部である樹脂層が、射出成形により溶融流動させた樹脂に圧力を加えナット本体に重ねて形成された樹脂層であるので、緻密な樹脂膜として形成することができ、高負荷で使用した場合でも摩耗が小さい。また、樹脂層が溶製金属表面の粗さに食い込んで、接合面積が増大し、樹脂層とナット本体との密着強さも向上する。また、樹脂層とめねじ部(溶製金属)との接合面に隙間がなく、樹脂層の熱がナット本体に伝わりやすくなる。
上記ナット本体は、樹脂層との接合面に化学表面処理、さらに詳しくは、微細凹凸形状が形成される処理、または、樹脂層と化学反応する接合膜が形成される処理が施されるので、樹脂層とナット本体の密着強さが向上するとともに、樹脂層の熱が溶製金属ナット本体へ伝わり易くなり、ねじ軸との摩擦力により樹脂層が剥がれることなく、耐荷重性が高く、高負荷でも摩擦摩耗特性に優れた摺動ナットになる。
上記樹脂層が、層厚0.1〜1mmの薄肉であるので、摩擦発熱による熱が摩擦面からナット本体に逃げ易く、蓄熱し難く、耐荷重性が高く、高面圧下でも変形量が小さくなる。また、上記樹脂層において、ねじ溝底部の層厚が、ねじ溝山部の層厚よりも厚いので、層厚が均一な場合と比較して樹脂層とナット本体との接合面積が増し、接合力(荷重)が増加するので、樹脂層の剥がれに対する安全率が増し、より高負荷条件でも使用できる。
上記樹脂層を形成する樹脂組成物のベース樹脂が、PEK系樹脂、熱可塑性PI樹脂、およびPPS樹脂から選ばれる少なくとも1つの合成樹脂であるので、耐荷重性、耐熱性、低摩擦特性、および耐摩耗特性に優れる。
また、上記樹脂組成物に繊維状充填材を含まないことで、摺動ナットが、ねじ軸の回転に伴い該ねじ軸の軸上を摺動しながら相対的に往復移動した際、繊維の端部がエッジとなって相手ねじ軸を摩耗損傷するという問題が起こらず、摩擦係数が低く安定する。また、摺動ナットの往復移動時において、繊維の端部が繰り返しの応力を受け樹脂の疲労摩耗が発生するという問題も起こらず、高負荷でも耐摩耗性に優れる。
さらに、上記樹脂組成物にPTFE樹脂を含むことで、低摩擦係数となり、摩擦発熱が軽減され、高負荷でも摩擦摩耗特性に優れた摺動ナットになる。また、無潤滑でも使用可能となる。特に、上記樹脂組成物について、繊維状充填材を含まずに、樹脂組成物全体に対してPTFE樹脂を10〜30体積%、黒鉛を2〜10体積%含む組成とすることで、高負荷においても樹脂層の変形および摩耗、相手材の損傷が小さく、無潤滑で使用できるとともに、油、グリースなどに対する耐性も高くなる。また、黒鉛は熱伝導率が高いため、摩擦熱を放熱し易い。
上記ナット本体の溶製金属の熱伝導率が、50W/(m・K)以上であるので、樹脂層の熱が溶製金属ナット本体から外部に伝わり易くなり、さらに摩擦面における真実接触面積が小さくなり、摩擦力、摩耗の軽減、摩擦面温度の上昇を抑えることができる。さらに、該ナット本体の溶製金属の材質が、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、または銅合金であるので、所要の機械的強度、熱伝導性、耐荷重性を確保することができる。
本発明のすべりねじ装置は、ねじ軸と、このねじ軸の回転に伴い、該ねじ軸の軸上を摺動しながら相対的に移動する本発明の摺動ナットとを備えてなるので、高負荷条件でも耐焼き付き性や耐摩耗性などの摺動特性に優れる。また、上記すべりねじ装置は、ナット本体の最小部内径(ナット内径への凸部)が、ねじ軸の最大部外径(軸外径への凸部)よりも小さいので、衝撃荷重などにて想定以上の高負荷になった場合でも、ナットのめねじ部の歯元が破壊してねじ軸から外れることがなく、使用時の安全性を増すことができる。
本発明のすべりねじ装置の斜視図である。 摺動ナットの軸方向断面図である。 実施例等のナット試験片を示す図である。 摺動ナットの軸方向断面図である。
本発明のすべりねじ装置の一実施例を図1および図2により説明する。図1はすべりねじ装置の斜視図であり、図2は摺動ナットの軸方向断面図である。本発明のすべりねじ装置1は、ねじ軸2と、このねじ軸2のねじ溝に螺合し、このねじ軸上を摺動しながら相対的に移動する本発明の摺動ナット3とから構成される。ねじ軸2の回転運動が、摺動ナット3の直線運動に変換される。その他に、摺動ナット3を同じ位置で回転させることにより、ねじ軸2に直線運動を付与する使い方もできる。
ねじ軸2としては、ステンレス鋼、炭素鋼等もしくはこれらに亜鉛メッキ、ニッケルメッキ、鋼質クロムメッキ等を施した鉄系金属、アルミニウム合金などの金属軸や、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂などの樹脂軸を用いることができる。ステンレス鋼やアルミニウム合金類などの耐蝕性金属類は、強度が高いので高負荷にて使用可能で、錆が発生しないので好ましく、防錆処理を省略できる点からも好適である。本発明においては、寸法精度を確保でき、耐久性に優れている耐蝕性金属類が最も好ましい。
ねじ軸2の加工方法としては転造、切削、研削などがあり、いずれの加工方法であってもよい。高負荷条件での耐摩耗性などの摺動特性を考慮すると、ねじ軸の摺動ナットとの接触面の表面粗さは小さい方が好適である。ねじ軸の表面粗さ0.1μmRa以下では、ねじ軸面の凸による摺動ナットの掘り起こし摩耗が非常に少ない。特に表面粗さ0.05μmRa以下が最適である。
ねじ軸2は、無潤滑での使用が可能である。また、メンテナンスフリーよりも低摩擦性などを重視する場合は、油またはグリースなどの潤滑剤をねじ軸2と摺動ナット3との摺動部に使用してもよい。この場合、摺動ナットのめねじ部の軸方向に直線状の溝を形成して、そこに摩耗紛が保持されるようにしてアブレッシブ摩耗が抑えられるように対策することが好ましい。油またはグリースで潤滑することで、無潤滑の場合よりも、さらに高い荷重に耐えるとともに、高精度の回転安定性を確保できる。
図2に示すように、摺動ナットは、ナット本体3aが溶製金属からなり、該ナット本体3aにおけるねじ軸に螺合するめねじ部の表面に、ねじ溝部として、後述する合成樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物の樹脂層3bが形成されている。めねじ部は、ナット本体3aの一部であってナット本体3aの内径部に形成されており、ねじ溝部である樹脂層3bは、このめねじ部の表面を覆うように形成されている。ねじ溝部である樹脂層3bが、ねじ軸2(図1参照)と直接に摺動接触する。なお、樹脂層3bは、少なくともめねじ部の表面に形成されていればよく、ナット本体3aのそれ以外の表面に形成されていてもよい。
ナット本体3aの溶製金属の表面粗さに、射出成形により樹脂層3bが食い込むことで、樹脂層3bとナット本体3aとが密着する。さらに、樹脂層3bとナット本体3aの真の接合面積が増え、樹脂層とめねじ部(溶製金属)との接合面に隙間がないため、樹脂層3bの熱がナット本体3aへ伝わりやすくなる。
ねじ部形状は、例えば、ミニチュアねじ、メートル並目ねじ、メートル細目ねじ、ユニファイ並目ねじ、ユニファイ細目ねじ等の三角ねじや、30度台形ねじ、メートル台形ねじ等の台形ねじ、丸ねじ、ゴシックアーク形状であってもよく、あらゆるねじ形状が適用できる。また、一条ねじ、二条ねじ、もしくは多条ねじであってもよい。
ナット本体3aの最小部内径(ナット内径への凸部)が、ねじ軸の最大部外径(軸外径への凸部)よりも小さい形状とすることが好ましい。本発明の摺動ナットは、ナット本体3aのめねじ部自体は溶製金属製であり、この表面に沿って薄肉で樹脂層3bを形成しているため、上記形状を実現できる。この形状により、ねじ軸からの荷重を溶製金属のナット本体が受けることができ、衝撃荷重などにて想定以上の高負荷になった場合でも、ナットのめねじ部の歯元が破壊すること等を防止できる。
ナット本体を構成する溶製金属の材質としては、鉄、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、または銅合金であることが好ましい。これらの材質を採用することで、溶製金属ナット本体において、所要の熱伝導性、耐荷重性を確保することができ、樹脂層から溶製金属ナット本体、溶製金属ナット本体から外部に放熱し易く、高負荷でも使用可能となる。
鉄としては、一般構造用炭素鋼(SS400など)、機械構造用炭素鋼(S45Cなど)、ステンレス鋼(SUS303、SUS316など)などが使用できる。また、これらの鉄に、亜鉛、ニッケル、銅などのめっきを施してもよい。
アルミニウムとしてはA1050、A1100などが、アルミニウム合金としてはA2017、A2024、A5056、A6061などが使用できる。切削加工性に優れることから、A2017、A2024が好ましい。また、アルミニウム合金ダイカスト(ADC12など)、アルミニウム合金鋳物(AC4Bなど)も使用できる。また、アルミニウムの耐食性、耐摩耗性の向上のために、アルマイト処理品としてもよい。
銅としてはC1100などが、銅合金としてはC3604などが使用できる。切削加工性および環境性の観点から、鉛0.1%以下およびカドミウム0.0075%以下のC6801、C6802などが好ましい。また、銅合金鋳物(CAC406など)も使用できる。
溶製金属ナット本体を金型にインサートし、樹脂を射出成形する工程において、金型とナット本体間にはクリアランスが必要となる。例えば、ナット本体を金型にインサートし、内径に樹脂を射出成形した際には、射出成形圧力によりナット本体はクリアランス分だけ外径側に伸ばされるので、ナット本体の溶製金属の伸びが小さいと、破断する可能性がある。そのため、溶製金属の伸びは5%以上が好ましく、アルミニウム合金ダイカスト、アルミニウム合金鋳物、銅合金鋳物以外が好ましい。
ナット本体の溶製金属は、その熱伝導率が50W/(m・K)以上であることが好ましい。熱伝導率50W/(m・K)以上の材質を採用することで、樹脂層から溶製金属ナット本体、溶製金属ナット本体から外部に放熱し易く、より高負荷で使用可能となる。熱伝導率が50W/(m・K)以上の材質としては、上述のアルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金が挙げられる。溶製金属ナットの熱伝導率は、高いほど摩擦熱を放熱し易いため、100W/(m・K)以上がより好ましい。
溶製金属ナット本体における樹脂層との接合面は、射出成形時の樹脂層との密着性を高めるために、ショットブラスト、タンブラー、機械加工などにより、凹凸形状などに荒らすことが好ましい。その際の表面粗さはRa4μm以上が好ましい。また、溶製金属ナット本体の表面に、金属めっきなどの表面処理を施すこともできる。
溶製金属ナット本体と樹脂層との密着性を高めるには、溶製金属ナット本体における樹脂層の接合面に、化学表面処理を施すことが好ましい。化学表面処理としては、(1)接合面に微細凹凸形状が形成される処理、または、(2)接合面に樹脂層と化学反応する接合膜が形成される処理、を施すことが好ましい。
接合面を微細凹凸形状とすることで、真の接合面積が増大し、樹脂層と溶製金属ナット本体との密着強さが向上するとともに、樹脂層の熱が溶製金属ナット本体へ伝わり易くなる。また、接合面において樹脂層と化学反応する接合膜を介在させることで、樹脂層と溶製金属ナット本体との密着強さが向上するとともに、樹脂層と溶製金属ナット本体にミクロな隙間がなくなり、樹脂層の熱が溶製金属ナット本体へ伝わり易くなる。
微細凹凸形状となる表面粗化処理としては、酸性溶液処理(硫酸、硝酸、塩酸など、もしくは他の溶液との混合)、アルカリ性溶液処理(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど、もしくは他の溶液との混合)により、溶製金属ナット本体の表面を溶かす方法が挙げられる。微細凹凸形状は、濃度、処理時間、後処理などによって異なるが、アンカー効果による密着性を高めるためには、凹ピッチが数nm〜数十μmの微細な凹凸にすることが好ましい。また、一般的な酸性溶液処理、アルカリ性溶液処理以外に、特殊なメック社製アマルファ処理、大成プラス社製NMT処理などが例示できる。
樹脂層を射出成形で形成する際には、樹脂材が高速で流し込まれるため、該樹脂材が、せん断力により凹ピッチが数nm〜数十μmである上記微細凹凸形状にも深く入り込むことができる。これにより、溶製金属ナット本体と樹脂層との密着強度が確保できる。また、化学表面処理により形成された上記微細凹凸形状は、機械的に単純に荒らした形状とは異なり、多孔質のような複雑な立体構造となっているため、アンカー効果を発揮しやすく、強固な密着が可能となる。
樹脂層と化学反応する接合膜が形成される表面処理としては、トリアジンジヂオール誘導体、s−トリアジン化合物などの溶液への浸漬処理が挙げられる。これら表面処理は、処理した溶製金属ナット本体を金型に入れ射出成形する際に、熱と圧力により樹脂材と反応し、樹脂層と溶製金属ナット本体との密着性が高まる。このような表面処理としては、例えば、東亜電化社製TRI処理などが例示できる。
化学表面処理のうち、メック社製アマルファ処理、大成プラス社製NMT処理、東亜電化社製TRI処理などの特殊表面処理は、アルミニウム、銅に適している。このため、これらの処理を施す場合は、少なくとも溶製金属ナット本体の表面がアルミニウムまたは銅であることが好ましい。
溶製金属ナット本体と樹脂層とのせん断接着強さは、2MPa以上であることが好ましい。この範囲であれば、使用中の摩擦力に対して充分な密着強さを得ることができ、高負荷で使用しても、樹脂層が溶製金属ナット本体から剥離することはない。更に安全率を高めるためには、4MPa以上が好ましい。物理固定、機械的な粗面化処理、化学的な粗面化処理などの密着性向上手段は、上記せん断接着強さを確保できるよう、適宜選択して組み合わせて用いることが好ましい。
樹脂層の層厚について図4により説明する。図4は、図2と同様の摺動ナットの軸方向断面図である。溶製金属からなるナット本体3aにおけるめねじ部の表面に、ねじ溝部として樹脂層3bが形成されている。樹脂層の層厚は、ねじ軸方向の同位置における、ナット本体表面から樹脂層表面までの距離である。図4(a)では、ねじ溝山部3cの層厚(t)と、ねじ溝底部3dの層厚(t)とが同一(t=t)であり、樹脂層全体にわたって略均一な層厚となっている。これに対して図4(b)では、ナット本体のねじ溝底が深く、ねじ溝底部3dの層厚(t)が、ねじ溝山部3cの層厚(t)よりも厚くなっている(t>t)。なお、ねじ溝底部の層厚は、図に示すようにねじ軸方向で変化するが、ここでの層厚(t)は、ねじ溝底部の樹脂層表面から、ナット本体のねじ溝底部表面の最深位置までの距離である。図4(b)の構造とすることで、図4(a)の構造の場合と比較して、ねじ溝底部において樹脂層とナット本体との接合面積が増し、接合力が増加する。このため、樹脂層の剥がれに対する安全率が増し、より高負荷条件でも使用できる。なお、溝底部の形状は特に限定されるものではなく、t>tであれば、V字やU字など、いずれの形状であってもよい。
樹脂層の層厚は、0.1〜1mmが好ましい。樹脂厚みが0.1mm未満では、長期使用時の耐久性、すなわち寿命が短くなるおそれがある。一方、樹脂厚みが1mmをこえると、摩擦による熱が摩擦面からナット本体側に逃げ難く、摩擦面温度が高くなる。また、荷重による変形量が大きくなるとともに、摩擦面における真実接触面積も大きくなり、摩擦力、摩擦発熱が高くなり、摩耗が大きくなるおそれがある。なお、樹脂厚みはナット内径寸法により決定する。また、図4(b)のような構造とする場合、ねじ溝底部(t)以外の部分の厚みが、上記範囲であることが好ましい。
摩擦発熱のナット本体への放熱を考慮すると、樹脂厚みは0.2〜0.5mmがより好ましい。射出成形により所要の厚みにしても、射出成形(インサート成形)後に機械加工にて所要の樹脂厚みに仕上げてもよい。
樹脂層を形成する樹脂組成物は、射出成形可能な合成樹脂をベース樹脂とするものである。合成樹脂としては、潤滑特性に優れた合成樹脂が好ましい。また、摺動ナットを雰囲気温度の高い部位に使用可能なように耐熱性の高い合成樹脂が好ましい。このような合成樹脂としては、例えば、PEK系樹脂、ポリアセタール(POM)樹脂、PPS樹脂、射出成形可能な熱可塑性PI樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、射出成形可能なフッ素樹脂などが挙げられる。これらの各合成樹脂は単独で使用してもよく、2種類以上混合したポリマーアロイであってもよい。
これらの合成樹脂の中でも、PEK系樹脂、熱可塑性PI樹脂、PPS樹脂を用いることが好ましい。樹脂層を形成する樹脂組成物のベース樹脂として、これらの合成樹脂を使用することで、耐熱性、耐油性、耐クリープ特性、耐荷重性、摩擦摩耗特性に優れた摺動ナットになる。また、溶製金属からなるナット本体との密着強度が高く、ナット本体からの剥離の心配がない。
PEK系樹脂は、融点が340℃、ガラス転移点が143℃、連続使用温度が260℃の結晶性の熱可塑性樹脂であり、優れた耐熱性、耐油・耐薬品性、耐クリープ性、耐荷重性、耐摩耗性、摺動特性などに加え、靭性、高温時の機械物性が高く、耐疲労特性、耐衝撃性に優れ、成形性も良好であるため、すべりねじ装置の摺動ナットのベース樹脂に適している。
本発明で使用できるPEK系樹脂としては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリエーテルケトン(PEK)樹脂、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)樹脂などがある。本発明で使用できるPEEK樹脂の市販品としては、ビクトレックス社製:PEEK(90P、150P、380P、450P、90G、150Gなど)、ソルベイアドバンストポリマーズ社製:キータスパイア(KT−820P、KT−880Pなど)、ダイセルデグザ社製:VESTAKEEP(1000G、2000G、3000G、4000Gなど)などが挙げられる。また、PEK樹脂としては、ビクトレックス社製:VICTREX−HTなどが、PEKEKK樹脂としてはビクトレックス社製:VICTREX−STなどが、それぞれ挙げられる。
熱可塑性PI樹脂は、融点が388℃、ガラス転移点が250℃、連続使用温度が240℃の結晶性の熱可塑性樹脂であり、耐熱性、耐油性、耐荷重性、摩擦摩耗特性などに優れているため、すべりねじ装置の摺動ナットのベース樹脂に適している。射出成形時の金型内結晶化速度が遅いため、成形品は非晶質の状態でるが、熱処理にて結晶化度を高めることができる。本発明で使用できる熱可塑性PI樹脂の市販品としては、三井化学社製オーラム(PD450、PD6200など)が挙げられる。
PPS樹脂は、融点が280℃、ガラス転移点が88℃、連続使用温度が240℃の結晶性の熱可塑性樹脂であり、極めて高い剛性と、優れた耐熱性、寸法安定性、耐摩耗性、摺動特性、高流動性などを有するため、すべりねじ装置の摺動ナットのベース樹脂に適している。PPS樹脂は、その分子構造により、架橋型、半架橋型、直鎖型、分岐型等などのタイプがあるが、本発明ではこれらの分子構造や分子量に限定されることなく使用できる。本発明で使用できるPPS樹脂の市販品としては、東ソー社製#160、B−063、大日本インキ社製T4AG、LR−2Gなどが挙げられる。
樹脂層を形成する樹脂組成物は、ガラス繊維、炭素繊維、ウィスカなどの繊維状の無機充填材を含まないことが好ましい。樹脂層に繊維状充填材を含む場合、摺動ナットがねじ軸の回転に伴い、該ねじ軸の軸上を摺動しながら相対的に往復移動した際、繊維の端部がエッジとなって相手ねじ軸を摩耗損傷するおそれや、摺動ナットの往復移動時において、繊維の端部が繰り返しの応力を受け樹脂の疲労摩耗が発生するおそれ等がある。繊維状充填材を含まない構成とすることで、これらの懸念を排除できる。
樹脂層を形成する樹脂組成物は、PTFE樹脂を含むことが好ましい。PTFE樹脂を含むことで、低摩擦化が図れ、摩擦発熱が軽減され、高負荷でも摩擦摩耗特性に優れる。PTFE樹脂としては、懸濁重合法によるモールディングパウダー、乳化重合法によるファインパウダー、再生PTFEのいずれを採用してもよい。再生PTFEとは、熱処理(熱履歴が加わったもの)粉末、γ線または電子線などを照射した粉末のことである。例えば、モールディングパウダーまたはファインパウダーを熱処理した粉末、また、この粉末をさらにγ線または電子線を照射した粉末、モールディングパウダーまたはファインパウダーの成形体を粉砕した粉末、また、その後γ線または電子線を照射した粉末、モールディングパウダーまたはファインパウダーをγ線または電子線を照射した粉末などのタイプがある。
樹脂層の耐摩耗性を向上させるには、分子量が高いモールディングパウダー、あるいはモールディングパウダーの再生PTFE(熱処理粉末、γ線または電子線などを照射した粉末)が好ましい。モールディングパウダーの再生PTFEの中でγ線または電子線などを照射した粉末が、樹脂の射出成形温度おいて凝集、繊維化せず、内部潤滑効果があり、樹脂組成物の流動性を安定して向上させることが可能なことからより好ましい。
本発明で使用できるPTFE樹脂の市販品としては、喜多村社製:KTL−610、KTL−450、KTL−350、KTL−8N、KTL−400H、三井・デュポンフロロケミカル社製:テフロン(登録商標)7−J、TLP−10、旭硝子社製:フルオンG163、L150J、L169J、L170J、L172J、L173J、ダイキン工業社製:ポリフロンM−15、ルブロンL−5、ヘキスト社製:ホスタフロンTF9205、TF9207などが挙げられる。また、パーフルオロアルキルエーテル基、フルオルアルキル基、またはその他のフルオロアルキルを有する側鎖基で変性されたPTFE樹脂であってもよい。上記の中で熱処理した再生PTFE樹脂としては、喜多村社製:KTL−400Hなどが、γ線または電子線などを照射した再生PTFE樹脂としては、喜多村社製:KTL−610、KTL−450、KTL−350、KTL−8N、KTL−8F、旭硝子社製:フルオンL169J、L170J、L172J、L173Jなどが挙げられる。
樹脂層を形成する樹脂組成物は、黒鉛を含むことが好ましい。黒鉛を含むことで、摩擦摩耗特性の向上が図れる。また、熱伝導率が高いため、摩擦熱を放熱し易くなる。黒鉛は、天然黒鉛と人造黒鉛に大別され、さらに燐片状、粒状、球状などがあり、いずれであっても使用できる。樹脂組成物の弾性率を高め、耐摩耗性、耐クリープ性を向上させ、さらに安定した低摩擦特性を得るためには、燐片状黒鉛が好ましい。
樹脂層を形成する樹脂組成物は、繊維状充填材を含まずに、樹脂組成物全体に対してPTFE樹脂を10〜30体積%、黒鉛を2〜10体積%含む組成とすることが特に好ましい。この配合割合とすることで、高負荷においても、低摩擦係数で、樹脂層の変形および摩耗、相手ねじ軸の損傷が少なく、油などに対する耐性も高くなる。
PTFE樹脂の配合割合が30体積%をこえると、耐摩耗性、耐クリープ性が所要の程度より低下するとともに、ナット本体との密着強さ、溶融流動性が著しく低下するおそれがある。また、PTFE樹脂の配合割合が10体積%未満では組成物に低摩擦特性、摩耗特性の付与効果に乏しく、充分な摺動特性が得られない場合がある。
黒鉛の配合割合が10体積%をこえると、耐摩耗性、摩擦特性、相手ねじ軸の損傷が所要の程度より低下するとともに、溶融流動性が著しく低下し、成形困難となるおそれがある。また、黒鉛の配合割合が2体積%未満では組成物に耐摩耗性、耐クリープ性、熱伝導特性の付与効果に乏しく、充分な摺動特性が得られない場合がある。
なお、この発明の効果を阻害しない程度に、樹脂組成物に対して周知の樹脂用添加剤を配合してもよい。この添加剤としては、例えば、窒化ホウ素、二硫化モリブデン、二硫化タングステンなどの摩擦特性向上剤、炭素粉末、金属酸化物粉末などの熱伝導性向上剤、炭素粉末、酸化鉄、酸化チタンなどの着色剤が挙げられる。また、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、マイカ、タルクなどの粒状無機充填剤、熱硬化性PI樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂、アラミド繊維などの上記樹脂の射出成形温度においても不溶融の有機充填材などの耐摩耗性向上材が挙げられる。
以上の諸原材料を混合し、混練する手段は、特に限定するものではなく、粉末原料のみをヘンシェルミキサー、ボールミキサー、リボンブレンダー、レディゲミキサー、ウルトラヘンシェルミキサーなどにて乾式混合し、さらに二軸押出し機などの溶融押出し機にて溶融混練し、成形用ペレット(顆粒)を得ることができる。また、充填材の投入は、二軸押出し機などで溶融混練する際にサイドフィードを採用してもよい。また、物性改善のためにアニール処理等の処理を採用してもよい。本発明の摺動ナットは、該成形用ペレットを用いて、ナット本体に対して樹脂層をインサート成形により射出成形する。この具体的方法としては、例えば、特許文献4に記載した製造方法や、ナット本体に対して樹脂層を射出成形後、機械加工にて所定のめねじ形状にする製造方法を利用することができる。
[実施例1〜16、比較例1〜3、参考例1〜7]
実施例、比較例および参考例に用いた溶製金属ナット本体の材料および表面処理を表1にまとめて示す。表1において、酸処理(硝酸)は、試験片を20%硝酸水溶液に、室温(20〜30℃程度)で、30秒〜1分間浸漬処理したものである。酸処理(硫酸)は、24%硫酸水溶液に、室温(20〜30℃程度)で、30秒〜1分間浸漬処理したものである。アマルファ処理は、室温(20〜30℃程度)で、1分〜5分間浸漬の条件で行なった。NMT処理は、温度75℃で、5分間浸漬の条件で行なった。また、TRI処理は、温度60℃、1〜10分間浸漬・通電の条件で行なった。なお、処理前には脱脂洗浄、処理後には水洗、乾燥を行った。
Figure 2018044676
また、実施例、比較例および参考例に用いる樹脂層の原材料を一括して以下に示す。これらの原材料を表2および表3に示す配合割合(体積%)でヘンシェル乾式混合機を用いてドライブレンドし、二軸押出し機を用いて溶融混練しペレットを作製した。
(1)ポリエーテルケトン系樹脂[PEK] ビクトレックス社製:PEEK 150P
(2)熱可塑性ポリイミド樹脂[PI] 三井化学社製:オーラム PD450
(3)ポリフェニレンサルファイド樹脂[PPS] 東ソー社製:サスティールB063
(4)PTFE樹脂[PTFE] 喜多村社製:KTL610(再生PTFE)
(5)黒鉛[GRP] ティムカルジャパン社製:TIMREX KS6(燐片状)
(6)炭素繊維[CF] クレハ社製:クレカ M−101S(平均繊維長100μm、平均繊維径14.5μm)
(7)ガラス繊維[GF] 旭ファイバーグラス社製:MF06JB1−20(平均繊維長30〜100μm、平均繊維径10μm)
Figure 2018044676
Figure 2018044676
(1)せん断接着強さ試験
表1の溶製金属素材からなる円筒体(φ12×φ18×25mm)の内径部(ストレート)に、表2の樹脂組成a〜cのペレットを用いて、樹脂層を1mmの厚みでインサート成形し、せん断接着強さ試験片を作製した。なお、上記円筒体は、溶製金属素材を機械加工して製作し、全面に表1に示す表面処理を施してある(金属H、I以外)。せん断接着強さ試験は、試験用円筒体を固定し、内径樹脂層に軸方向のせん断力を加え、試験用円筒体から樹脂層が剥離する荷重を測定した。この荷重を、樹脂層と試験用円筒体内径部の見かけの接合面積で割った値を、せん断接着強さとし、表4に示した。また、表4中の表面粗さRaは、円筒体における樹脂層の接合面の表面処理後(金属H、I以外)の表面粗さである。
Figure 2018044676
表4に示すように、実施例1〜7は円筒体と樹脂層とのせん断接着強さが2MPa以上であり、使用中の摩擦力に対して充分な密着強さを得ることができた。
(2)静的破壊試験
実施例8〜10については、表5に示す組み合わせで、溶製金属素材からなるナット試験片用ナット本体の内径部(めねじ)に、樹脂組成のペレットを用いて樹脂層をインサート成形後、ナット本体のめねじに沿って樹脂を機械加工することで、上記樹脂層の厚みを0.3mm(均一)としたナット試験片(図3(a)参照)を作製した。ねじはゴシックアーク形状、リード2mm、一条ねじとした。このナット試験片の樹脂層以外の形状・寸法については、図3(a)に示すとおりである。静的破壊試験は、ナット試験片の内径にねじ軸を通した状態で、ナット試験片を固定し、ねじ軸に軸方向の荷重を加えたときの破壊荷重を測定し、結果を表5に示した。
比較例1の樹脂製ナット(溶製金属なし)は、表2の樹脂組成cのペレットを用いて、射出成形・機械加工にて図3(a)の形状・寸法とした。また、比較例2の溶製金属と樹脂からなるナットは、図3(b)に示すように、ナットの外周部4(内径に回り止めと抜け止め有)をステンレス鋼(SUS303)、めねじ部を含む内周部5を樹脂組成cのインサート成形とした。内径部の樹脂厚み(最大部)は10mm、ねじはゴシックアーク形状、リード2mm、一条ねじとした。このナット試験片の他の寸法については、図3(b)に示すとおりである。これら比較例1および2のナット試験片についても、実施例8と同じ静的破壊試験を行ない破壊荷重を測定し、結果を表5に示した。
Figure 2018044676
表5に示すように、実施例8〜9は28kN以上と高い静的破壊荷重であった。樹脂のみの比較例1のナットは静的破壊荷重が極めて低く、溶製金属と樹脂からなる比較例2のナットであっても実施例の1/4程度であった。また、比較例2では破壊荷重を高めるためにナット外径が非常に大きくなり、実施例と同寸法のコンパクト設計は困難で、寸法を小さくすると破壊荷重は低下してしまう。
(3)摩耗試験
実施例8〜16および参考例3〜7については、表7および表8に示す組み合わせで、溶製金属素材からなるナット試験片用ナット本体の内径部(めねじ)に、樹脂組成のペレットを用いて樹脂層をインサート成形後、ナット本体のめねじに沿って樹脂を機械加工することで、上記樹脂層の厚みを0.3mm(均一)としたナット試験片(図3(a)参照)を作製した。ねじはゴシックアーク形状、リード2mm、一条ねじとした。このナット試験片の樹脂層以外の形状・寸法については、図3(a)に示すとおりである。なお、実施例8〜10のナット試験片は、静的破壊試験で用いた試験片(実施例8〜10)と構成が同じである。これらナット試験片について、表6の試験条件にてねじ摩耗試験を行ない、試験後の摩耗量(アキシャルすきま増加量)を測定し、結果を表7および表8に示した。
比較例1および2については、静的破壊試験で用いた試験片(比較例1および2)と構成が同じである。比較例3は、溶製金属素材(SUS303)から機械加工したナット試験片用ナット本体の内径部(めねじ)に、熱硬化性ポリイミド樹脂(黒鉛15%配合)からなる樹脂層を粉体塗装で形成後、ナット本体のめねじに沿って樹脂を機械加工することで上記樹脂層の厚みを0.3mm(均一)としたナット試験片である。これら比較例のナット試験片についても、実施例8と同じ摩耗試験を行ない試験後の摩耗量(アキシャルすきま増加量)を測定し、結果を表9に示した。
Figure 2018044676
Figure 2018044676
Figure 2018044676
Figure 2018044676
表7に示すように、溶製金属ナット本体に表面処理を施した実施例8〜16は、試験中に破壊、樹脂層の剥離がなく、摩耗量は0.1mm未満であった。ナット本体はステンレス鋼(実施例8)よりも熱伝導率が高いアルミニウム合金(実施例9)、銅合金(実施例10)の方が耐摩耗性に優れていた。
表9に示すように、樹脂のみの比較例1のナットは、試験中にフランジが破壊したため、摩耗試験が実施できなかった。溶製金属と樹脂からなる比較例2のナットは、摩耗量が非常に大きかった。溶製金属ナット本体に樹脂層を設けたが、樹脂層が粉体塗装した熱硬化性ポリイミド樹脂である比較例3のナットは、耐摩耗性に劣っていた。
本発明の摺動ナットを備えたすべりねじ装置は、高負荷条件でも耐焼き付き性や耐摩耗性などの摺動特性に優れるので、産業機械などにおいて高負荷・高温条件で用いるすべりねじ装置として好適に利用できる。
1 すべりねじ装置
2 ねじ軸
3 摺動ナット
3a ナット本体
3b 樹脂層
3c ねじ溝山部
3d ねじ溝底部
4 ナットの外周部(溶製金属)
5 ナットの内周部(樹脂)
本発明は、すべりねじ装置に関する。
しかしながら、特許文献1の樹脂製ナットは、無潤滑で使用できるものの、高負荷ではフランジなどの取り付け部、または、ねじ溝部(ねじ山)の歯元が破壊するため、使用困難である。
また、特許文献3のフランジ付きナットは、ナットの外周部が金属であるが、雌ねじを含む内周部が合成樹脂製であるため、雌ねじ(ねじ山)の歯元の機械的強度は特許文献1の樹脂製ナットと同等であり、高負荷での使用において、雌ねじや、金属と樹脂の接合部が破壊するおそれがある。
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、高負荷条件でも耐焼き付き性や耐摩耗性などの摺動特性に優れる摺動ナットを備えたすべりねじ装置の提供を目的とする。
本発明のすべりねじ装置は、ねじ軸と、このねじ軸の回転に伴い、該ねじ軸の軸上を摺動しながら相対的に移動する摺動ナットとを備えるすべりねじ装置であって、上記摺動ナットは、ナット本体が溶製金属からなり、該ナット本体の内径部にめねじが形成され、該めねじ表面に、合成樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物の樹脂層が射出成形により重ねて形成されており、該摺動ナットは、上記樹脂層を介して上記ねじ軸と螺合していることを特徴とする。
また、上記ナット本体と上記樹脂層とのせん断接着強さが、2MPa以上であることを特徴とする。
上記ナット本体は、前記樹脂層との接合面に化学表面処理が施されてなることを特徴とする。また、上記化学表面処理は、上記接合面に微細凹凸形状が形成される処理、または、上記接合面に上記樹脂層と化学反応する接合膜が形成される処理であることを特徴とする。また、上記微細凹凸形状が形成される化学表面処理は、上記ナット本体の表面を溶かす処理であることを特徴とする。また、上記樹脂層と化学反応する接合膜が形成される化学表面処理は、射出成形での熱と圧力により樹脂材と反応し、密着性が高まる処理であることを特徴とする。
上記樹脂層の層厚が、0.1〜1mmであることを特徴とする。また、上記樹脂層において、ねじ溝底部の層厚が、ねじ山部の層厚よりも厚いことを特徴とする。
本発明における摺動ナットは、ナット本体が溶製金属からなり、該ナット本体におけるめねじ表面に、ねじ部として合成樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物の樹脂層が射出成形により重ねて形成されているので、ナットのフランジなどの取り付け部、めねじの歯元の機械的強度が高く、高負荷でも破壊されることがない。また、放熱特性に優れるため、摩擦面における真実接触面積が小さくなり、摩擦力、摩擦発熱が低減され、摩耗の軽減、摩擦面温度の上昇を抑えるという利点がある。
特に、樹脂層が、射出成形により溶融流動させた樹脂に圧力を加えナット本体に重ねて形成された樹脂層であるので、緻密な樹脂膜として形成することができ、高負荷で使用した場合でも摩耗が小さい。また、樹脂層が溶製金属表面の粗さに食い込んで、接合面積が増大し、樹脂層とナット本体との密着強さも向上する。また、樹脂層とめねじ(溶製金属)との接合面に隙間がなく、樹脂層の熱がナット本体に伝わりやすくなる。
上記樹脂層が、層厚0.1〜1mmの薄肉であるので、摩擦発熱による熱が摩擦面からナット本体に逃げ易く、蓄熱し難く、耐荷重性が高く、高面圧下でも変形量が小さくなる。また、上記樹脂層において、ねじ溝底部の層厚が、ねじ山部の層厚よりも厚いので、層厚が均一な場合と比較して樹脂層とナット本体との接合面積が増し、接合力(荷重)が増加するので、樹脂層の剥がれに対する安全率が増し、より高負荷条件でも使用できる。
本発明のすべりねじ装置は、ねじ軸と、このねじ軸の回転に伴い、該ねじ軸の軸上を摺動しながら相対的に移動する上記摺動ナットとを備えてなるので、高負荷条件でも耐焼き付き性や耐摩耗性などの摺動特性に優れる。また、上記すべりねじ装置は、ナット本体の最小部内径(めねじのねじ山内径)が、ねじ軸の最大部外径(ねじ軸のねじ山外径)よりも小さいので、衝撃荷重などにて想定以上の高負荷になった場合でも、ナットのねじ山の歯元が破壊してねじ軸から外れることがなく、使用時の安全性を増すことができる。
本発明のすべりねじ装置の一実施例を図1および図2により説明する。図1はすべりねじ装置の斜視図であり、図2は摺動ナットの軸方向断面図である。本発明のすべりねじ装置1は、ねじ軸2と、このねじ軸2に螺合し、このねじ軸上を摺動しながら相対的に移動する摺動ナット3とから構成される。ねじ軸2の回転運動が、摺動ナット3の直線運動に変換される。その他に、摺動ナット3を同じ位置で回転させることにより、ねじ軸2に直線運動を付与する使い方もできる。
ねじ軸2は、無潤滑での使用が可能である。また、メンテナンスフリーよりも低摩擦性などを重視する場合は、油またはグリースなどの潤滑剤をねじ軸2と摺動ナット3との摺動部に使用してもよい。この場合、摺動ナットの内径部の軸方向に直線状の溝を形成して、そこに摩耗紛が保持されるようにしてアブレッシブ摩耗が抑えられるように対策することが好ましい。油またはグリースで潤滑することで、無潤滑の場合よりも、さらに高い荷重に耐えるとともに、高精度の回転安定性を確保できる。
図2に示すように、摺動ナットは、ナット本体3aが溶製金属からなり、該ナット本体3aにおけるめねじ3eの表面に、ねじ部として、後述する合成樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物の樹脂層3bが形成されている。摺動ナット3は、樹脂層3bを介してねじ軸と螺合している。めねじ3eは、ナット本体3aの一部であってナット本体3aの内径部に形成されており、ねじ部である樹脂層3bは、このめねじ3eの表面を覆うように形成されている。ねじ部である樹脂層3bが、ねじ軸2(図1参照)と直接に摺動接触する。なお、樹脂層3bは、少なくともめねじ3eの表面に形成されていればよく、ナット本体3aのそれ以外の表面に形成されていてもよい。
ナット本体3aの溶製金属の表面粗さに、射出成形により樹脂層3bが食い込むことで、樹脂層3bとナット本体3aとが密着する。さらに、樹脂層3bとナット本体3aの真の接合面積が増え、樹脂層とめねじ3e(溶製金属)との接合面に隙間がないため、樹脂層3bの熱がナット本体3aへ伝わりやすくなる。
ねじ形状は、例えば、ミニチュアねじ、メートル並目ねじ、メートル細目ねじ、ユニファイ並目ねじ、ユニファイ細目ねじ等の三角ねじや、30度台形ねじ、メートル台形ねじ等の台形ねじ、丸ねじ、ゴシックアーク形状であってもよく、あらゆるねじ形状が適用できる。また、一条ねじ、二条ねじ、もしくは多条ねじであってもよい。
ナット本体3aの最小部内径(めねじのねじ山内径)が、ねじ軸の最大部外径(ねじ軸のねじ山外径)よりも小さい形状とすることが好ましい。摺動ナットは、ナット本体3aのめねじ3e自体は溶製金属製であり、この表面に沿って薄肉で樹脂層3bを形成しているため、上記形状を実現できる。この形状により、ねじ軸からの荷重を溶製金属のナット本体が受けることができ、衝撃荷重などにて想定以上の高負荷になった場合でも、ナットのねじ山の歯元が破壊すること等を防止できる。
微細凹凸形状となる表面粗化処理としては、酸性溶液処理(硫酸、硝酸、塩酸など、もしくは他の溶液との混合)、アルカリ性溶液処理(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど、もしくは他の溶液との混合)により、溶製金属ナット本体の表面を溶かす方法が挙げられる。微細凹凸形状は、濃度、処理時間、後処理などによって異なるが、アンカー効果による密着性を高めるためには、凹ピッチが数nm〜数十μの微細な凹凸にすることが好ましい。また、一般的な酸性溶液処理、アルカリ性溶液処理以外に、特殊なメック社製アマルファ処理、大成プラス社製NMT処理などが例示できる。
樹脂層を射出成形で形成する際には、樹脂材が高速で流し込まれるため、該樹脂材が、せん断力により凹ピッチが数nm〜数十μである上記微細凹凸形状にも深く入り込むことができる。これにより、溶製金属ナット本体と樹脂層との密着強度が確保できる。また、化学表面処理により形成された上記微細凹凸形状は、機械的に単純に荒らした形状とは異なり、多孔質のような複雑な立体構造となっているため、アンカー効果を発揮しやすく、強固な密着が可能となる。
樹脂層の層厚について図4により説明する。図4は、図2と同様の摺動ナットの軸方向断面図である。溶製金属からなるナット本体3aにおけるめねじ3eの表面に、ねじ部として樹脂層3bが形成されている。樹脂層の層厚は、ねじ軸方向の同位置における、ナット本体表面から樹脂層表面までの距離である。図4(a)では、ねじ山部3cの層厚(t)と、ねじ溝底部3dの層厚(t)とが同一(t=t)であり、樹脂層全体にわたって略均一な層厚となっている。これに対して図4(b)では、ナット本体のねじ溝が深く、ねじ溝底部3dの層厚(t)が、ねじ山部3cの層厚(t)よりも厚くなっている(t>t)。なお、ねじ溝底部の層厚は、図に示すようにねじ軸方向で変化するが、ここでの層厚(t)は、ねじ溝底部の樹脂層表面から、ナット本体のねじ溝底部表面の最深位置までの距離である。図4(b)の構造とすることで、図4(a)の構造の場合と比較して、ねじ溝において樹脂層とナット本体との接合面積が増し、接合力が増加する。このため、樹脂層の剥がれに対する安全率が増し、より高負荷条件でも使用できる。なお、ねじ溝底部の形状は特に限定されるものではなく、t>tであれば、V字やU字など、いずれの形状であってもよい。
比較例1の樹脂製ナット(溶製金属なし)は、表2の樹脂組成cのペレットを用いて、射出成形・機械加工にて図3(a)の形状・寸法とした。また、比較例2の溶製金属と樹脂からなるナットは、図3(b)に示すように、ナットの外周部4(内径に回り止めと抜け止め有)をステンレス鋼(SUS303)、めねじを含む内周部5を樹脂組成cのインサート成形とした。内径部の樹脂厚み(最大部)は10mm、ねじはゴシックアーク形状、リード2mm、一条ねじとした。このナット試験片の他の寸法については、図3(b)に示すとおりである。これら比較例1および2のナット試験片についても、実施例8と同じ静的破壊試験を行ない破壊荷重を測定し、結果を表5に示した。
1 すべりねじ装置
2 ねじ軸
3 摺動ナット
3a ナット本体
3b 樹脂層
3c ねじ山
3d ねじ溝底部
3e めねじ
4 ナットの外周部(溶製金属)
5 ナットの内周部(樹脂)

Claims (11)

  1. すべりねじ装置において、ねじ軸の回転に伴い、該ねじ軸の軸上を摺動しながら相対的に移動する摺動ナットであって、
    前記摺動ナットは、ナット本体が溶製金属からなり、該ナット本体における前記ねじ軸に螺合するめねじ部表面に、ねじ溝部として合成樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物の樹脂層が射出成形により重ねて形成されていることを特徴とする摺動ナット。
  2. 前記ナット本体は、前記樹脂層との接合面に化学表面処理が施されてなることを特徴とする請求項1記載の摺動ナット。
  3. 前記化学表面処理は、前記接合面に微細凹凸形状が形成される処理、または、前記接合面に前記樹脂層と化学反応する接合膜が形成される処理であることを特徴とする請求項2記載の摺動ナット。
  4. 前記樹脂層の層厚が、0.1〜1mmであることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載の摺動ナット。
  5. 前記樹脂層において、ねじ溝底部の層厚が、ねじ溝山部の層厚よりも厚いことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載の摺動ナット。
  6. 前記合成樹脂が、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、およびポリフェニレンサルファイド樹脂から選ばれる少なくとも1つの合成樹脂であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項記載の摺動ナット。
  7. 前記樹脂組成物が、繊維状充填材を含まずに、樹脂組成物全体に対してポリテトラフルオロエチレン樹脂を10〜30体積%、黒鉛を2〜10体積%含むことを特徴とする請求項6記載の摺動ナット。
  8. 前記ナット本体の溶製金属の熱伝導率が、50W/(m・K)以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項記載の摺動ナット。
  9. 前記ナット本体の溶製金属が、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、または銅合金であることを特徴とする請求項8記載の摺動ナット。
  10. ねじ軸と、このねじ軸の回転に伴い、該ねじ軸の軸上を摺動しながら相対的に移動する摺動ナットとを備えるすべりねじ装置であって、
    前記摺動ナットが、請求項1ないし請求項9のいずれか1項記載の摺動ナットであることを特徴とするすべりねじ装置。
  11. 前記ナット本体の最小部内径が、前記ねじ軸の最大部外径よりも小さいことを特徴とする請求項10記載のすべりねじ装置。
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