JP2013145029A - 滑りキーおよび無段変速機 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造工程が少なく、製造時間が短縮でき低価格化が可能でありながら、高温、高負荷の使用環境下においても作動不良や作動不能を生じることのない滑りキー、およびこれを用いた無段変速機を提供する。
【解決手段】回転軸の軸方向に摺動可能にスライド筒を係合するとともに、回転軸に追従回転可能にスライド筒を係合する回り止めおよび動力伝達用の滑りキー1であって、焼結金属製基材2と、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物からなる樹脂層3とを有し、該樹脂層3は、焼結金属製基材2の少なくともスライド筒と摺動する表面に0.1〜0.7mmの厚さで射出成形により重ねて一体に設けられている。
【選択図】図1
【解決手段】回転軸の軸方向に摺動可能にスライド筒を係合するとともに、回転軸に追従回転可能にスライド筒を係合する回り止めおよび動力伝達用の滑りキー1であって、焼結金属製基材2と、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物からなる樹脂層3とを有し、該樹脂層3は、焼結金属製基材2の少なくともスライド筒と摺動する表面に0.1〜0.7mmの厚さで射出成形により重ねて一体に設けられている。
【選択図】図1
Description
本発明は、高温無潤滑などの特殊環境下で使用するのに適した、焼結金属体と樹脂体との複合一体成形品からなる滑りキーおよびその滑りキーを用いた無段変速機に関する。
滑りキーを用いた無段変速機のプーリー構造として、回転軸と一体回転する固定プーリーと、スライド筒を備えた可動プーリーとを滑りキーにより係合する無段変速機のプーリー構造が知られている。図4および図5により、従来の無段変速機のプーリー構造を説明する。図4はプーリー構造の軸方向半断面図を、図5は回転軸要部の分解斜視図をそれぞれ示す。図示を省略したエンジンにより回転駆動される回転軸4は、転がり軸受5a、5bにより変速機本体6に支承されている。回転軸4には一体状に外方に突出して固定プーリー7が形成されている。また、回転軸4の外周に形成された段部4aには、その外周に長手方向に長孔状に凹んで溝部4bが円周方向等間隔で形成されている。この溝部4bには滑りキー11が嵌合され、この滑りキー11により固定プーリー7に対して離接動可能となるように摺動可能なスライド筒8aを有する可動プーリー8が係合されている。溝部4bに嵌合される滑りキー11は、主として回り止めあるいは動力伝達用として、更には軸方向の往復運動機能も付加機能として要求される。なお、図4において、9は固定プーリー7と可動プーリー8との間に掛装されたVベルトである。
このような構造の無断変速機において用いられる上記滑りキー11としては、従来、金属成形体と樹脂体との複合一体成形体である滑りキーが使用されている。例えば、樹脂体が金属成形体に設けた溝および貫通孔に射出成形で充填された滑りキー(特許文献1参照)、滑りキー底部のすみ部が、長手方向にわたって樹脂体で形成された滑りキー(特許文献2参照)、両側面の摺動部が樹脂成形体で形成された滑りキー(特許文献3参照)などが提案されている。
また、金属成形体と樹脂体との複合一体成形体である滑りキーの樹脂体として、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂50〜90体積%と、炭素繊維5〜20体積%と、四フッ化エチレン系樹脂5〜30体積%とを配合してなる滑りキー用樹脂組成物が提案されている(特許文献4参照)。
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載の滑りキーは、樹脂体を金属成形体に強固に一体成形するために、金属成形体を複雑な形状にせざるを得なく、金属成形体の製造工程が多くなる。その結果、製造時間の長時間化や高価格化という問題がある。また、特許文献3に記載の滑りキーは、金属成形体と樹脂体とを接着剤によって一体化するため、滑りキーの製造工程が多くなり、同様に製造時間の長時間化や高価格化という問題がある。
特許文献4の樹脂組成物を用いて樹脂体を構成する場合、高PV条件においても、樹脂層の変形や摩耗などを抑制し得る。しかし、このような樹脂組成物を用いて樹脂体を形成する場合でも、特許文献3のように接着剤で金属成形体と一体化する場合は、その接合界面での剥離等のおそれがある。また、特許文献1や特許文献2のように強固に一体成形する等に際し、樹脂体の厚みが全体的に厚くなると、摩擦発熱を逃がしにくくなる。無断変速機での高温、高負荷の使用環境下では、滑りキーにおけるこれらの剥離や蓄熱により、作動不良や作動不能を生じさせるおそれがある。
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、製造工程が少なく、製造時間が短縮でき低価格化が可能でありながら、高温、高負荷の使用環境下においても作動不良や作動不能を生じることのない滑りキー、およびこれを用いた無段変速機を提供することを目的とする。
本発明の滑りキーは、回転軸の軸方向に摺動可能にスライド筒を係合するとともに、回転軸に追従回転可能にスライド筒を係合する回り止めおよび動力伝達用の滑りキーであって、上記滑りキーは、焼結金属製基材と、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物からなる樹脂層とを有し、上記樹脂層は、上記焼結金属製基材の少なくとも上記スライド筒と摺動する表面に0.1〜0.7mmの厚さで射出成形により重ねて一体に設けられたことを特徴とする。
上記焼結金属製基材は、上記樹脂層を設ける部分に、該樹脂層を設けた後に該樹脂層の抜け止めとなる凹状部分を有することを特徴とする。
上記樹脂層は、上記滑りキーの上面中央部に設定された1点のゲートによって射出成形されたことを特徴とする。
上記焼結金属製基材の理論密度比が、0.7〜0.9であることを特徴とする。また、上記焼結金属製基材が、鉄を主成分とする焼結金属からなることを特徴とする。
上記樹脂組物が、繊維状充填材を含むことを特徴とする。また、上記樹脂層において、上記繊維状充填材が、繊維の長さ方向を滑りキーの摺動方向に対して45〜90度に交差するように配向していることを特徴とする。
上記繊維状充填材の平均繊維長が、0.02〜0.2mmであることを特徴とする。また、上記繊維状充填材が、炭素繊維であることを特徴とする。特に、上記炭素繊維が、PAN系炭素繊維であることを特徴とする。
上記樹脂組成物が、該樹脂組成物全体に対して、上記炭素繊維を5〜30体積%、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと記す)樹脂を1〜30体積%含むことを特徴とする。また、上記樹脂組成物が、樹脂温度380℃、せん断速度1000s−1における溶融粘度50〜200Pa・sの樹脂組成物であることを特徴とする。
本発明の無断変速機は、外周部の円周方向に適宜間隔をおいて複数の溝部が形成され、この溝部のそれぞれに滑りキーを嵌合させた回転軸と一体回転する固定プーリーと、上記滑りキーが受容される円周方向の幅を有し軸方向へ延びる溝部を上記回転軸の外周部の溝部に対応させて間隔をおいて内周部に複数形成したスライド筒を備えた可動プーリーとを有する無段変速機であって、上記滑りキーが本発明の滑りキーであることを特徴とする。
本発明の滑りキーは、焼結金属製基材と、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物からなる樹脂層とを有し、該樹脂層は、焼結金属製基材の少なくともスライド筒と摺動する表面に薄肉(0.1〜0.7mmの厚さ)で射出成形により重ねて一体に設けられているので、耐熱性、低摩擦性、耐摩耗性に優れ、さらに耐荷重性、耐クリープ性にも優れ、高面圧下でも寸法変化することがなく、低摩擦を安定的に得ることが可能になる。この結果、高温、高負荷の厳しい使用環境下においても作動不良や作動不能を生じない。さらに、樹脂層が焼結金属製基材の表面に射出成形により重ねて一体に設けられる、すなわち、焼結金属製基材を金型内にインサートして射出成形により樹脂層を形成するので、摺動面を高寸法精度に形成でき、かつ、従来の複合体と比較して製造工程が少なく、製造時間が短縮でき低価格化が可能になる。
焼結金属製基材が、樹脂層を設ける部分に、該樹脂層を設けた後に該樹脂層の抜け止めとなる凹状部分を有するので、焼結金属製基材と樹脂層とをさらに強固に密着させることができる。
樹脂層が、滑りキーの上面中央部に設定された1点のゲートによって射出成形されているので、ウェルドが無く、強度的に低下する部分がない。また、表面形状が優れる。
焼結金属製基材の理論密度比が、0.7〜0.9であるので、焼結金属製基材が担う滑りキーの機械的強度を確保するための所要の緻密性を有するとともに、樹脂層を焼結金属製基材に強固に密着させるための表面の凹凸を確保することができる。また、潤滑油を焼結金属製基材に保持することが可能である。さらに、焼結金属製基材の熱伝導性を確保できる。
焼結金属製基材が、鉄を主成分とする焼結金属からなるので、より高い基材強度を得ることができる。
樹脂層を形成する樹脂組成物に繊維状充填材を含むので、樹脂層の耐熱性、耐摩耗性、耐荷重性、耐クリープ性をより高くすることができる。さらに、樹脂層において該繊維状充填材が、繊維の長さ方向を滑りキーの摺動方向に対して45〜90度に交差するように配向しているので、繊維状充填材の両端エッジによる相手材表面への攻撃性を低減することができる。
樹脂層を形成する樹脂組成物に含まれる繊維状充填材の平均繊維長が、0.02〜0.2mmであるので、樹脂層の摩擦摩耗特性、耐クリープ性に優れるとともに、薄肉成形性を阻害せず、樹脂層を焼結金属製基材の表面に0.1〜0.7mmの厚さで容易に射出成形により重ねて一体に設けることができる。
繊維状充填材が、炭素繊維であるので、樹脂層の補強効果と耐摩耗性、低摩擦性が特に優れるようになる。また、炭素繊維の中でもPAN系炭素繊維を採用することで、樹脂層の弾性率が高くなり、樹脂層の変形、摩耗が小さくなる。さらに、摩擦面の真実接触面積が小さくなり、摩擦発熱も軽減する。
樹脂層を形成する樹脂組成物が、該樹脂組成物全体に対して、繊維状充填材として炭素繊維を5〜30体積%、PTFE樹脂を1〜30体積%含むので、高PV条件においても、樹脂層の変形および摩耗、相手材表面への攻撃性が小さく、油などに対する耐性も高い。
樹脂層を形成する樹脂組成物が、樹脂温度380℃、せん断速度1000s−1における溶融粘度50〜200Pa・sの樹脂組成物であるので、焼結金属製基材の表面に0.1〜0.7mmの薄肉インサート成形を円滑に行なうことができる。
本発明の無段変速機は、外周部の円周方向に適宜間隔をおいて複数の溝部が形成され、この溝部のそれぞれに滑りキーを嵌合させた回転軸と一体回転する固定プーリーと、上記滑りキーが受容される円周方向の幅を有し軸方向へ延びる溝部を上記回転軸の外周部の溝部に対応させて間隔をおいて内周部に複数形成したスライド筒を備えた可動プーリーとを有する無段変速機であって、上記滑りキーとして本発明の滑りキーを採用するので、省エネルギー性、長寿命性に優れる無段変速機となり得る。
本発明の滑りキーの一例を図1に基づき説明する。図1(a)は滑りキー全体の斜視図を、図1(b)は焼結金属製基材のみの斜視図を、それぞれ示す。滑りキー1は、焼結金属製基材2と、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物からなる樹脂層3とからなる。この樹脂層3は、焼結金属製基材2の表面のうち、少なくともスライド筒8a(図3参照)と摺動する部位の表面に0.1〜0.7mmの厚さで射出成形により重ねて一体に設けられている。樹脂層3の全部又は一部表面が、スライド筒8a(図3参照)との摺動面になる。
本発明の滑りキーにおいては、回転軸に嵌合する側の部位および面を、滑りキーの「下部」および「下面」(図1中下側)とし、スライド筒に係合する側の部位および面を、滑りキーの「上部」および「上面」(図1中上側)とする。
滑りキー1の形状は、回転軸4の段部4aの外周に形成された溝部4bに嵌合でき(図3参照)、軸方向負荷に対しずれない形状であればよい。図1に示す態様では、滑りキー1の形状は、回転軸の軸方向が長手方向となる直方体形状において、その軸方向両端面をアール状とした形状である。焼結金属製基材2の形状は、この滑りキー1の形状から樹脂層3の部分を除いた形状としており、該基材2に樹脂層3を薄肉でインサート成形することで、上記形状の滑りキーが形成される。樹脂層3は、滑りキー1の上面3aを含む上部全体の表面を構成するよう、焼結金属製基材2を覆うように略一定の肉厚(0.1〜0.7mmの範囲内)で形成されている。
本発明の滑りキー1は、基材として焼結金属製基材2を用いているため、射出成形時に芳香族ポリエーテルケトン系樹脂の溶融樹脂が、該焼結金属製基材2の表面の凹凸に深く入り込み、樹脂層3を基材2に強固に密着できる。射出成形では、溶融樹脂を高速で流し込むため、後述の芳香族ポリエーテルケトン系樹脂をベース樹脂として用いながらも、該樹脂がせん断力により多孔質の焼結金属製基材の表面の凹凸(空孔)に入りやすい。そのため、焼結金属製基材2と樹脂層3との密着強度が確保できる。
樹脂層3に、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物を使用することで、連続使用温度が250℃であり、耐熱性、耐油・耐薬品性、耐クリープ性、摩擦摩耗特性に優れた滑りキーになる。また、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂は、靭性、高温時の機械物性が高く、耐疲労特性、耐衝撃性にも優れているため、使用時に摩擦力、衝撃、振動等が加わる際にも、樹脂層が焼結金属製基材から剥離し難い。
本発明で使用できる芳香族ポリエーテルケトン系樹脂としては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリエーテルケトン(PEK)樹脂、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)樹脂などがある。本発明で使用できるPEEK樹脂の市販品としては、ビクトレックス社製:PEEK(90P、150P、380P、450P、90G、150Gなど)、ソルベイアドバンストポリマーズ社製:キータスパイア(KT−820P、KT−880Pなど)、ダイセルデグザ社製:VESTAKEEP(1000G、2000G、3000G、4000Gなど)などが挙げられる。また、PEK樹脂としては、ビクトレックス社製:VICTREX−HTなどが、PEKEKK樹脂としてはビクトレックス社製:VICTREX−STなどが、それぞれ挙げられる。
樹脂層3の厚さは、0.1〜0.7mmに設定されている。なお、本発明における「樹脂層の厚さ」は、焼結金属製基材に入り込まない表面部分の厚さ(図1(a)におけるW1)である。上記したように、樹脂層は、焼結金属製基材の表面にこの範囲内で略一定の肉厚で形成されている。この厚さ範囲は、インサート成形面や物性面を考慮して設定されたものである。樹脂層の厚さが0.1mm未満では、インサート成形が困難である。また、長期使用時の耐久性、すなわち寿命が短くなるおそれがある。一方、樹脂層の厚さが0.7mmをこえると、ヒケが発生し寸法精度が低下するおそれがある。また、摩擦による熱が摩擦面から焼結金属製基材に逃げ難く、摩擦面温度が高くなる。さらに、荷重による変形量が大きくなるとともに、摩擦面における真実接触面積も大きくなり、摩擦力、摩擦発熱が高くなり、耐焼付き性などが低下するおそれがある。摩擦発熱の焼結金属製基材への放熱を考慮すると、樹脂層の厚さは0.2〜0.5mmが好ましい。
また、樹脂層3の厚さは、焼結金属製基材2の厚さの1/80〜1/6であることが好ましい。本発明における「焼結金属製基材の厚さ」は、回転軸の軸方向が長手方向となる略直方体形状において、その略長方形断面における幅(長辺間の距離:図1(b)におけるW2)である。樹脂層の厚さが焼結金属製基材の厚さの1/80未満では、基材に対して樹脂層が相対的に薄くなりすぎ、長期使用時の耐久性におとるおそれがある。一方、樹脂層の厚さが焼結金属製基材の厚さの1/6をこえると、基材に対して樹脂層が相対的に厚くなりすぎ、摩擦による熱が摩擦面から焼結金属製基材に逃げ難く、摩擦面温度が高くなる。さらに、荷重による変形量が大きくなるとともに、摩擦面における真実接触面積も大きくなり、摩擦力、摩擦発熱が高くなり、耐焼付き性などが低下するおそれがある。なお、樹脂層の具体的な厚さW1が0.1〜0.7mmであることから、上記範囲を満たす焼結金属製基材の厚さW2は、4〜8.4mmとなる。
焼結金属製基材2の材質としては、鉄系、銅鉄系、銅系、ステンレス系などが挙げられる。焼結金属製基材と樹脂層(芳香族ポリエーテルケトン系樹脂)との密着性に優れることから、鉄が主成分(銅を含んでもよい)である焼結金属を採用することが好ましい。なお、銅を含む場合、銅は鉄よりも樹脂との密着性(接着性)に劣るため、銅の含有量は10重量%以下が好ましい。さらに好ましくは、銅の含有量は5重量%以下である。
焼結金属製基材に油などの付着、含油がある場合、樹脂層の射出成形時において分解・ガス化する油残分が界面に介在するため、樹脂層と焼結金属製基材との密着性が低下してしまうおそれがある。そのため、焼結金属製基材には、油を含浸しない焼結金属を使用することが好ましい。また、焼結金属の成形または再圧(サイジング)の工程内にて油を使用する場合は、溶剤洗浄などで油を除去した非含油焼結金属にすることが好ましい。
鉄を主成分とする焼結金属製基材は、スチーム処理を施すことで、成形または再圧(サイジング)工程時に意図せず焼結表面に付着、または内部に浸透した油分、付着物などを除去する効果があるため、樹脂層との密着性のばらつきが小さく、安定する。また、焼結金属製基材に防錆性も付与することができる。スチーム処理の条件は特に限定するものではないが、500℃程度に加熱したスチームを吹きかける方法が一般的である。
焼結金属製基材(焼結体)の理論密度比は、0.7〜0.9であることが好ましい。材質の理論密度比とは、材質の理論密度(気孔率0%の場合の密度)を1としたときの焼結金属製基材の密度の比である。理論密度比0.7未満では焼結金属製基材の強度が低くなり、インサート成形時の射出成形圧力により該基材が割れるおそれがある。一方、理論密度比0.9をこえると、凹凸が小さくなるため、表面積の減少とともに、アンカー効果が低下し、樹脂層との密着性が低くなる。さらに好ましくは、材質の理論密度比0.72〜0.84である。このように、焼結金属製基材の理論密度比を0.7〜0.9にすることで、焼結金属製基材が担う基材強度を確保するための所要の緻密性を有するとともに、樹脂層を焼結金属製基材に強固に密着させるための表面の凹凸を確保することができる。また、潤滑油を焼結金属製基材に保持することも可能となる。さらに、焼結金属製基材の熱伝導性を確保できる。
樹脂層を形成する樹脂組成物は、ベース樹脂として上記芳香族ポリエーテルケトン系樹脂を用い、これにガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ウィスカなどの繊維状充填材を分散状態に配合することができる。これにより、樹脂層の機械的強度を一層向上させることができる。特に、本発明の滑りキーでは、樹脂層が0.1〜0.7mmの厚さという薄肉であるため、機械的強度の向上は望ましい。
繊維状充填材の他に、PTFE樹脂、黒鉛、二硫化モリブデンなどの固体潤滑剤や、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、マイカ、タルクなどの無機充填材を配合することも可能である。上記固体潤滑剤を配合することで、無潤滑または潤滑油が希薄な条件であっても低摩擦となり、耐焼き付き性を向上させることができる。また、上記無機充填材を配合することで、耐クリープ性を向上させることができる。
繊維状充填材、無機系の固体潤滑剤(黒鉛、二硫化モリブデンなど)、および無機充填材は、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂の成形収縮率を小さくする効果がある。そのため、焼結金属製基材とのインサート成形時に、樹脂層の内部応力を抑える効果もある。
樹脂層を射出成形で形成するにあたって、樹脂組成物の溶融流動方向を調整することにより、繊維状充填材(の長さ方向)を滑りキーの摺動方向(図1(a)における図中矢印)に対して45度以上のできるだけ直角に近い交差角度で配向させることが好ましい。繊維状充填材の繊維の端部はエッジ状になっているため、繊維の端部によって相手材であるスライド筒を物理的に摩耗損傷させ易く、摩擦係数も安定し難くなる。繊維状充填材(の長さ方向)を該滑りキーの摺動方向に対して45〜90度に交差するように配向させることにより、繊維の両端のエッジが摺動方向に対して45〜90度に向く。これにより、繊維の両端のエッジによるスライド筒の摩耗損傷の軽減、スライド筒との摺動面における摩擦係数の安定化が図れる。なお、繊維状充填材の配向は、90度により近い方が繊維のエッジによる摩耗損傷が少なく、摩擦係数も安定するので望ましい。80〜90度であれば特に好ましい。
図1に示すように、滑りキー1の上面3aの中央部に設定された1点のゲート3bによって射出成形することによって、スライド筒との主な摺動部となる側面樹脂層3eにおける繊維の配向が摺動方向に対して45〜90度に交差できるようになる。また、ウェルドの形成が防止でき、表面形状が優れる。ゲート3bは、上面3aより凹面に形成するとゲート処理が不要になり好ましい。なお、滑りキー1の上面3aでは繊維の配向はゲート3bに対して放射状になるが、スライド筒のキー溝底部と上面3aとは接しないため、上面3aにおける繊維の配向は不問となる。
繊維状充填材の平均繊維長は、0.02〜0.2mmが好ましい。0.02mm未満では充分な補強効果が得られず、耐クリープ性、耐摩耗性に劣るおそれがある。0.2mmをこえる場合は樹脂層の層厚に対する繊維長の比率が大きくなるため、薄肉成形性に劣る。特に、樹脂厚み0.2〜0.7mmにインサート成形する場合は、繊維長が0.2mmをこえると薄肉成形性を阻害する。より薄肉成形の安定性を高めるには、平均繊維長0.02〜0.1mmがより好ましい。
繊維状充填材の中でも、炭素繊維を用いることが好ましい。炭素繊維は、樹脂層を成形する際に樹脂の溶融流動方向への配向性が強い。特に、直径が細く、比較的短い炭素繊維を選択し、その場合に、炭素繊維の両端のエッジが滑りキーの摺動方向に沿っており、例えば配向方向が0〜45度未満であると、相手材であるスライド筒を損傷する場合がある。そのため、細く、短い炭素繊維を採用した場合には、樹脂を溶融成形する際に、溶融樹脂の流動方向を滑りキーの摺動方向と直角または直角に近い角度とし、繊維の長さ方向を滑りキーの摺動方向に対する45〜90度になるように配向させることが耐久性およびスライド筒との摩擦力を低く安定させるために極めて有利である。
本発明で使用する炭素繊維としては、原材料から分類されるピッチ系またはPAN系のいずれのものであってもよいが、高弾性率を有するPAN系炭素繊維の方が好ましい。その焼成温度は特に限定するものではないが、2000℃またはそれ以上の高温で焼成されて黒鉛(グラファイト)化されたものよりも、1000〜1500℃程度で焼成された炭化品のものが、高PV下でもスライド筒を摩耗損傷しにくいので好ましい。
炭素繊維の平均繊維径は20μm以下、好ましくは5〜15μmである。この範囲をこえる太い炭素繊維では、極圧が発生するため、耐荷重性の向上効果が乏しく、相手材が焼入れなしの鋼材の場合、該相手材の摩耗損傷が大きくなるため好ましくない。また、炭素繊維は、チョップドファイバー、ミルドファイバーのいずれであってもよいが、安定した薄肉成形性を得るためには、繊維長が1mm未満のミルドファイバーの方が好ましい。
本発明で使用できる炭素繊維の市販品としては、ピッチ系炭素繊維として、クレハ社製:クレカ M−101S、M−107S、M−101F、M−201S、M−207S、M−2007S、C−103S、C−106S、C−203Sなどが挙げられる。また、同様のPAN系炭素繊維として、東邦テナックス社製:ベスファイト HTA−CMF0160−0H、同HTA−CMF0040−0H、同HTA−C6、同HTA−C6−Sまたは東レ社製:トレカ MLD−30、同MLD−300、同T008、同T010などが挙げられる。
樹脂層を形成する樹脂組成物は、ベース樹脂として上記芳香族ポリエーテルケトン系樹脂を用い、これに上記炭素繊維と、固体潤滑剤であるPTFE樹脂とを必須成分として含むことが好ましい。
PTFE樹脂としては、懸濁重合法によるモールディングパウダー、乳化重合法によるファインパウダー、再生PTFEのいずれを採用してもよい。芳香族ポリエーテルケトン系樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物の流動性を安定させるためには、成形時のせん断により繊維化し難く、溶融粘度を増加させ難い再生PTFEを採用することが好ましい。
再生PTFEとは、熱処理(熱履歴が加わったもの)粉末、γ線または電子線などを照射した粉末のことである。例えば、モールディングパウダーまたはファインパウダーを熱処理した粉末、また、この粉末をさらにγ線または電子線を照射した粉末、モールディングパウダーまたはファインパウダーの成形体を粉砕した粉末、また、その後γ線または電子線を照射した粉末、モールディングパウダーまたはファインパウダーをγ線または電子線を照射した粉末などのタイプがある。再生PTFEの中でも、凝集せず、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂の溶融温度おいて、全く繊維化せず、内部潤滑効果があり、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物の流動性を安定して向上させることが可能なことから、γ線または電子線などを照射したPTFE樹脂を採用することがより好ましい。
本発明で使用できるPTFE樹脂の市販品としては、喜多村社製:KTL−610、KTL−450、KTL−350、KTL−8N、KTL−400H、三井・デュポンフロロケミカル社製:テフロン(登録商標)7−J、TLP−10、旭硝子社製:フルオンG163、L150J、L169J、L170J、L172J、L173J、ダイキン工業社製:ポリフロンM−15、ルブロンL−5、ヘキスト社製:ホスタフロンTF9205、TF9207などが挙げられる。また、パーフルオロアルキルエーテル基、フルオルアルキル基、またはその他のフルオロアルキルを有する側鎖基で変性されたPTFE樹脂であってもよい。上記の中でγ線または電子線などを照射したPTFE樹脂としては、喜多村社製:KTL−610、KTL−450、KTL−350、KTL−8N、KTL−8F、旭硝子社製:フルオンL169J、L170J、L172J、L173Jなどが挙げられる。
なお、この発明の効果を阻害しない程度に、樹脂組成物に対して周知の樹脂用添加剤を配合してもよい。この添加剤としては、例えば、窒化ホウ素などの摩擦特性向上剤、炭素粉末、酸化鉄、酸化チタンなどの着色剤、黒鉛、金属酸化物粉末などの熱伝導性向上剤が挙げられる。
樹脂層を形成する樹脂組成物は、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂をベース樹脂とし、炭素繊維を5〜30体積%、PTFE樹脂を1〜30体積%を必須成分として含むことが好ましい。この必須成分と他の添加剤を除く残部が芳香族ポリエーテルケトン系樹脂である。この配合割合とすることで、高PV条件においても、樹脂層の変形および摩耗、相手材であるスライド筒への攻撃性が小さく、油などに対する耐性も高くなる。また、炭素繊維は、5〜20体積%がより好ましく、PTFE樹脂は、2〜25体積%がより好ましい。
炭素繊維の配合割合が30体積%をこえると、溶融流動性が著しく低下し、薄肉成形が困難になるとともに、相手材が焼入れなしの鋼材の場合、摩耗損傷するおそれがある。また、炭素繊維の配合割合が5体積%未満では、樹脂層を補強する効果が乏しく、充分な耐クリープ性、耐摩耗性が得られない場合がある。
PTFE樹脂の配合割合が30体積%をこえると、耐摩耗性、耐クリープ性が所要の程度より低下するおそれがある。また、PTFE樹脂の配合割合が1体積%未満では組成物に所要の潤滑性の付与効果に乏しく、充分な摺動特性が得られない場合がある。
以上の諸原材料を混合し、混練する手段は、特に限定するものではなく、粉末原料のみをヘンシェルミキサー、ボールミキサー、リボンブレンダー、レディゲミキサー、ウルトラヘンシェルミキサーなどにて乾式混合し、さらに二軸押出し機などの溶融押出し機にて溶融混練し、成形用ペレット(顆粒)を得ることができる。また、充填材の投入は、二軸押出し機などで溶融混練する際にサイドフィードを採用してもよい。この成形用ペレットを用い、焼結金属製基材に対して樹脂層をインサート成形により射出成形する。射出成形を採用することで、精密成形性および製造効率などに優れる。射出成形時のゲートは、1点ゲート方式または多点ゲート方式のいずれも採用可能であるが、上述のとおり、滑りキーの上面中央部に設定された1点ゲートにすることが好ましい。その他、物性改善のためにアニール処理等の処理を採用してもよい。
樹脂層を形成する樹脂組成物は、樹脂温度380℃、せん断速度1000s−1における溶融粘度が50〜200Pa・sであることが好ましい。溶融粘度がこの範囲であると、精密な成形と繊維状充填材を所定角度に配向をさせることが容易となり、焼結金属製基材の表面に0.1〜0.7mmの薄肉インサート成形が円滑に行なえる。溶融粘度が、上記所定範囲未満の粘度または上記所定範囲をこえる粘度であれば、精密な成形性を確実に得ることや、繊維状充填材を所定角度に配向させることが容易でなくなる。薄肉インサート成形を可能とし、インサート成形後の後加工を不要とすることで、製造が容易となり、低価格化が図れる。
樹脂温度380℃、せん断速度1000s−1における溶融粘度を50〜200Pa・sにするためには、該条件における溶融粘度が130Pa・s以下の芳香族ポリエーテルケトン系樹脂を採用することが好ましい。このような芳香族ポリエーテルケトン系樹脂としては、ビクトレックス社製:PEEK(90P、90G)などが例示できる。
本発明の滑りキーにおいて、焼結金属製基材と樹脂層のせん断密着強さは2MPa以上(面圧10MPa、摩擦係数0.1における安全率が2倍以上)である。使用中の摩擦力に対して、充分な密着強さを得るためには、せん断密着強さ2MPa以上が好ましい。更に安全率を高めるためには、3MPa以上が好ましい。また、焼結金属製基材と樹脂層のせん断密着強さを高めるために、樹脂層を形成する焼結金属製基材の表面に、凹凸、溝などの物理的な抜け止め、周り止めを施すことが好ましい。
本発明の滑りキーの他の例を図2に基づき説明する。図2(a)は滑りキー全体の斜視図を、図2(b)は焼結金属製基材のみの斜視図をそれぞれ示す。図2(b)に示すように、この滑りキー1は、焼結金属製基材2の樹脂層を形成する部分に、樹脂層の形成後に該樹脂層の抜け止めとなる凹状部分2aおよび2bを有する。図2(a)に示すように、樹脂層3の形成後には、基材2の凹状部分2aの部分に抜け止め部3cが、基材2の凹状部分2bの部分に抜け止め部3dが、それぞれ樹脂層3と一体に形成される。この焼結金属製基材2の凹状部分と、樹脂層3の抜け止め部との嵌合構造により、樹脂層3が焼結金属製基材2から軸方向や周方向に抜けることを防止できる。
図2(b)に示すように、焼結金属製基材2における滑りキー上部の樹脂層形成部分にも、さらに凹状部分2cを形成してもよい。凹状部分2cに対応する樹脂層形状は、樹脂層成形後において外観には表れない。また、上記したそれぞれの凹状部分の深さは、そこに形成される樹脂層の厚みが0.7mmをこえる深さであってもよい。ただし、ヒケが生じない深さとする必要がある。
本発明の無断変速機は、上述の本発明の滑りキーを用いることを特徴としている。本発明の無断変速機における滑りキーの使用状態を図3に示す。図3は滑りキーを嵌合させた回転軸を示す図であり、図3(a)は回転軸の段部の正面図を、図3(b)は滑りキーを嵌合させたときの断面図をそれぞれ示す。図3(a)において、回転軸4の外周に形成された段部4aには、その外周に長手方向に長孔状に凹んで溝部4bが形成されている。溝部4bは少なくとも1箇所、好ましくは円周方向等間隔に数箇所形成することが好ましい。この溝部4bに滑りキー1が嵌合され、スライド筒8aを摺動可能に係合している(図3(b))。スライド筒8aには、滑りキー1が受容される円周方向の幅を有し軸方向へ延びる内周溝部8bが、回転軸の外周部の溝部4bに対応させて間隔をおいて内周部に複数形成されている。溝部4bに嵌合される滑りキー1は、主として回り止めあるいは動力伝達用として、更には軸方向の往復運動機能も付加機能として要求される。なお、本発明の無段変速機は、滑りキーを除いた他の構成要素は、図4に示す従来の構成要素とすることができる。
図3(b)に示すように、滑りキー1は、回転軸の溝部4bに嵌合する部位が焼結金属製基材2となり、スライド筒8aの内周溝部8bと摺動する部位が樹脂層3となる形状であることが好ましい。回転軸との嵌合部位を焼結金属製基材2とすることにより、滑りキー1の嵌合力が向上し、スライド筒との摺動部位を樹脂層3とすることにより、スライド筒と回転軸4との摺動性が向上する。
本発明の滑りキーは、製造工程が少なく、製造時間が短縮でき低価格化が可能でありながら、無潤滑または潤滑油が希薄で、高温、高負荷の厳しい使用環境下においても作動不良や作動不能を生じないので、無断変速機のプーリー構造に用いる滑りキーとして好適に利用できる。
1 滑りキー
2 焼結金属製基材
2a、2b、2c 凹状部分
3 樹脂層
3a 上面
3b ゲート
3c、3d 抜け止め部
3e 側面樹脂層
4 回転軸
4a 段部
4b 溝部
5a、5b 転がり軸受
6 変速機本体
7 固定プーリー
8 可動プーリー
8a スライド筒
8b 内周溝部
9 Vベルト
11 滑りキー(従来)
2 焼結金属製基材
2a、2b、2c 凹状部分
3 樹脂層
3a 上面
3b ゲート
3c、3d 抜け止め部
3e 側面樹脂層
4 回転軸
4a 段部
4b 溝部
5a、5b 転がり軸受
6 変速機本体
7 固定プーリー
8 可動プーリー
8a スライド筒
8b 内周溝部
9 Vベルト
11 滑りキー(従来)
Claims (13)
- 回転軸の軸方向に摺動可能にスライド筒を係合するとともに、回転軸に追従回転可能にスライド筒を係合する回り止めおよび動力伝達用の滑りキーであって、
前記滑りキーは、焼結金属製基材と、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物からなる樹脂層とを有し、
前記樹脂層は、前記焼結金属製基材の少なくとも前記スライド筒と摺動する表面に0.1〜0.7mmの厚さで射出成形により重ねて一体に設けられたことを特徴とする滑りキー。 - 前記焼結金属製基材は、前記樹脂層を設ける部分に、前記樹脂層を設けた後に該樹脂層の抜け止めとなる凹状部分を有することを特徴とする請求項1記載の滑りキー。
- 前記樹脂層は、前記滑りキーの上面中央部に設定された1点のゲートによって射出成形されたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の滑りキー。
- 前記焼結金属製基材の理論密度比が、0.7〜0.9であることを特徴とする請求項1、請求項2、または請求項3記載の滑りキー。
- 前記焼結金属製基材が、鉄を主成分とする焼結金属からなることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載の滑りキー。
- 前記樹脂組物が、繊維状充填材を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項記載の滑りキー。
- 前記樹脂層において、前記繊維状充填材が、繊維の長さ方向を滑りキーの摺動方向に対して45〜90度に交差するように配向していることを特徴とする請求項6記載の滑りキー。
- 前記繊維状充填材の平均繊維長が、0.02〜0.2mmであることを特徴とする請求項6または請求項7記載の滑りキー。
- 前記繊維状充填材が、炭素繊維であることを特徴とする請求項6、請求項7、または請求項8記載の滑りキー。
- 前記炭素繊維が、PAN系炭素繊維であることを特徴とする請求項9記載の滑りキー。
- 前記樹脂組成物が、該樹脂組成物全体に対して、前記炭素繊維を5〜30体積%、ポリテトラフルオロエチレン樹脂を1〜30体積%含むことを特徴とする請求項9または請求項10記載の滑りキー。
- 前記樹脂組成物が、樹脂温度380℃、せん断速度1000s−1における溶融粘度50〜200Pa・sの樹脂組成物であることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれか1項記載の滑りキー。
- 外周部の円周方向に間隔をおいて複数の溝部が形成され、この溝部のそれぞれに滑りキーを嵌合させた回転軸と一体回転する固定プーリーと、前記滑りキーが受容される円周方向の幅を有し軸方向へ延びる溝部を前記回転軸の外周部の溝部に対応させて間隔をおいて内周部に複数形成したスライド筒を備えた可動プーリーとを有する無段変速機であって、
前記滑りキーは、請求項1ないし請求項12のいずれか1項記載の滑りキーであることを特徴とする無段変速機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012006434A JP2013145029A (ja) | 2012-01-16 | 2012-01-16 | 滑りキーおよび無段変速機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2012006434A JP2013145029A (ja) | 2012-01-16 | 2012-01-16 | 滑りキーおよび無段変速機 |
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JP2013145029A true JP2013145029A (ja) | 2013-07-25 |
Family
ID=49040921
Family Applications (1)
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JP2012006434A Pending JP2013145029A (ja) | 2012-01-16 | 2012-01-16 | 滑りキーおよび無段変速機 |
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JP (1) | JP2013145029A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2016140096A1 (ja) * | 2015-03-04 | 2016-09-09 | オムロン株式会社 | 接合構造体 |
JP7448413B2 (ja) | 2020-05-01 | 2024-03-12 | 南真化学工業株式会社 | トルクリミッタ |
-
2012
- 2012-01-16 JP JP2012006434A patent/JP2013145029A/ja active Pending
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