JP6146969B2 - 可変容量型アキシャルピストンポンプのクレイドルガイドおよび可変容量型アキシャルピストンポンプ - Google Patents

可変容量型アキシャルピストンポンプのクレイドルガイドおよび可変容量型アキシャルピストンポンプ Download PDF

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Description

本発明は、可変容量型アキシャルピストンポンプのピストンのストロークを変更するクレイドルに摺接し、これを揺動自在に保持するクレイドルガイド、および、これを用いた可変容量型アキシャルピストンポンプに関する。
例えば、油圧回路の油圧発生源に用いられる可変容量型ピストンポンプとして、いわゆるクレイドル型ポンプ(以下、単に「ポンプ」ともいう)の構造が周知である。クレイドル型ポンプは、ピストンを収容するシリンダブロックが、回転軸と共に一体的に回転されるものであり、クレイドルはクレイドルガイドに摺接して回転軸に対して傾斜可能に支持され、ピストンの端部に連結されたシューを介してクレイドルの傾斜面に接している。従って、ピストンは、回転軸の回転に伴いクレイドルの傾角に応じて規定されるストロークで往復動し、ポンプ作用を奏するようになっている。そして、ストローク差によるポンプの吐出容量は、上記クレイドルの回転軸に対する傾角を油圧等で制御することによって常時変更することができる。
ところが、例えば、アルミニウム材(アルミニウム合金を含む)からなるクレイドルを、同材料のアルミニウム材からなるクレイドルガイドに摺接させて保持すると、クレイドルの回転軸に対する傾角を油圧等で常時制御する使用状態で両者は摺接摩耗を起こし、焼き付き等の問題を起こす。このため、クレイドルとクレイドルガイドとの間に合成樹脂製のスラストブッシュを介在させる手段が採られていた。
例えば、クレイドルガイドとなるスラストブッシュとしては、摺動面に樹脂膜を施した金属製スラストブッシュや、ナイロン(ポリアミド樹脂)、ポリアセタール樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと記す)樹脂等の摺動性樹脂からなるスラストブッシュが公知である(特許文献1参照)。
アルミニウム材からなるクレイドルまたはクレイドルガイドの少なくとも一方に、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)樹脂、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)樹脂、PTFE樹脂等のフッ素樹脂のコーティングが施された可変容量型ピストンポンプも知られている(特許文献2参照)。
また、クレイドルガイドとなるスラストブッシュとして、鉄製基材の表面に銅系の焼結膜を形成したものや、その焼結膜表面に更に樹脂膜を施したスラストブッシュが知られている(特許文献3参照)。
実用新案登録第2559510号公報 特開平08−334081号公報 実用新案登録第2584135号公報
しかし、通常、クレイドルがクレイドルガイドに対し、30MPa程度の高面圧で接触して常時摺動する場合、特許文献1に記載されているクレイドルガイド(スラストブッシュ)では樹脂膜による耐荷重性が満足できないという問題がある。
この用途での耐荷重性についての問題は、特許文献2に記載されたPTFE樹脂等のフッ素樹脂コーティングをアルミニウム材製のクレイドルガイド表面に形成するか、または特許文献3に記載の鉄製基材の表面に銅系焼結膜を介してフッ素樹脂コーティングを形成すれば改善されるが、その場合に耐摩耗性および低摩擦特性は充分でなかった。
また、鋼板に塗膜(コーティング)層を形成する場合、吹付け、乾燥、焼成等が必要であり、また、形成後に旋盤や研磨機による加工などが必要となり、製造コストが高くなる。
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、製造が容易で低コストでありながら、耐荷重性、耐摩耗性および低摩擦特性を全て満足できる可変容量型アキシャルピストンポンプのクレイドルガイド、および、該クレイドルガイドを用いた可変容量型アキシャルピストンポンプの提供を目的とする。
本発明の可変容量型アキシャルピストンポンプのクレイドルガイドは、可変容量型アキシャルピストンポンプにおけるピストンストロークを調整するクレイドルに摺接し、このクレイドルが揺動可能であるように保持するクレイドルガイドであって、上記クレイドルガイドは、溶製金属製部材と、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物からなる樹脂層とを有し、上記樹脂層は、上記溶製金属製部材の少なくとも上記クレイドルと摺接する表面に0.1〜0.7mmの厚さで射出成形により重ねて一体に設けられたことを特徴とする。
上記樹脂組成物が繊維状充填材を含み、上記樹脂層において該繊維状充填材が、繊維の長さ方向をクレイドルガイドの摺動方向に対して45〜90度に交差するように配向していることを特徴とする。
上記クレイドルガイドはクレイドルガイド本体を有し、上記溶製金属製部材が、一部円筒形部材であり、上記クレイドルガイド本体に設置されていることを特徴とする。また、上記溶製金属製部材が、冷間圧延鋼板であることを特徴とする。また、上記溶製金属製部材は、上記樹脂層との接合面に焼結金属層を有することを特徴とする。
上記溶製金属製部材は、上記樹脂層との接合面に化学表面処理が施されてなることを特徴とする。
上記繊維状充填材が、炭素繊維であることを特徴とする。また、上記樹脂組成物が、該樹脂組成物全体に対して、上記炭素繊維を5〜30体積%、ポリテトラフルオロエチレン樹脂を1〜30体積%含むことを特徴とする。また、上記樹脂組成物が、樹脂温度380℃、せん断速度1000s−1における溶融粘度50〜200Pa・sの樹脂組成物であることを特徴とする。
本発明の可変容量型アキシャルピストンポンプは、上記本発明のクレイドルガイドを備えることを特徴とする。
本発明の可変容量型ピストンポンプのクレイドルガイドは、溶製金属製部材と、該溶製金属製部材の少なくともクレイドルと摺接する表面に形成された、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物からなる樹脂層とを有するので、耐熱性、低摩擦性、耐摩耗性に優れたクレイドルガイドとなる利点がある。
上記樹脂層は、溶製金属製部材の上記表面に0.1〜0.7mmの厚さ(薄肉)で射出成形により重ねて一体に設けられているので、耐荷重性、耐クリープ性に優れ、高面圧下でも寸法変化することがなく、低トルクを安定的に得ることが可能になる。特に、薄肉であるので、摩擦発熱による熱が摩擦面から溶製金属製部材側に逃げ易く、蓄熱し難く、耐荷重性が高く、高面圧下でも変化量が小さくなる。このため、摩擦面における真実接触面積が小さくなり、摩擦力、摩擦発熱が低減され、摩耗の軽減、摩擦面温度の上昇を抑えることができる。これらの結果、30MPaという高圧摺動状態でも、耐荷重性、耐摩耗性および低摩擦特性を全て満足して長期使用が可能なクレイドルガイドになる利点がある。
さらに、樹脂層が溶製金属製部材の表面に射出成形により重ねて一体に設けられる、すなわち、溶製金属製部材を金型内にインサートして射出成形により樹脂層を形成するので、従来のクレイドルガイドのように鋼板への塗膜層形成(吹付け、乾燥、焼成等)が不要であり、また、旋盤や研磨機による加工などが不要であり、製造が容易で低コストでありながら、摺動面(樹脂層)が高寸法精度となる。
上記樹脂組成物に繊維状充填材を含むので、樹脂層の耐熱性、耐摩耗性、耐荷重性、耐クリープ性をより高くすることができる。さらに、樹脂層において該繊維状充填材が、繊維の長さ方向をクレイドルガイドの摺動方向に対して45〜90度に交差するように配向しているので、繊維状充填材の両端エッジによる相手材表面への攻撃性を低減することができ、摺動トルクの変動が防止できる。
本発明のクレイドルガイドの態様として、上記溶製金属製部材を一部円筒形部材にすることで、クレイドルガイド本体としては従来品を用い、従来のスラストブッシュと交換する形で、該溶製金属製部材を利用でき、設計変更等が不要となりコストアップを防止できる。
上記溶製金属製部材は、上記樹脂層との接合面に化学表面処理が施されてなるので、接合面に微細凹凸形状や、樹脂層と化学反応する接合膜が形成され、樹脂層と溶製金属製部材の密着強さが向上するとともに、樹脂層の熱が溶製金属製部材へ伝わり易くなり、クレイドルとの摺動時の摩擦力により樹脂層が剥がれることなく、耐荷重性が高く、高面圧下でも摩擦摩耗特性に優れたクレイドルガイドになる。
繊維状充填材が、炭素繊維であるので、樹脂層の補強効果と耐摩耗性、低摩擦性が特に優れるようになる。
樹脂層を形成する樹脂組成物が、該樹脂組成物全体に対して、繊維状充填材として炭素繊維を5〜30体積%、PTFE樹脂を1〜30体積%含むので、高PV条件においても、樹脂層の変形および摩耗、相手材表面への攻撃性が小さく、油などに対する耐性も高い。
樹脂層を形成する樹脂組成物が、樹脂温度380℃、せん断速度1000s−1における溶融粘度50〜200Pa・sの樹脂組成物であるので、溶製金属製部材の表面に0.1〜0.7mmの薄肉インサート成形が円滑に行なえる。
本発明の可変容量型アキシャルピストンポンプは、上記本発明のクレイドルガイドを備えるので、精密なクレイドルの傾角制御が可能になり、これによって精密な油圧制御動作などを行なえ、精密に機能する信頼性の高いポンプになる。
本発明のクレイドルガイドを用いた可変容量型アキシャルピストンポンプの縦断面図である。 本発明のクレイドルガイドの一例を示す斜視図である。 図2のクレイドルガイドの分解斜視図である。 本発明のクレイドルガイドの他の例を示す斜視図である。 本発明のクレイドルガイドの他の例を示す斜視図である。
本発明のクレイドルガイドを用いた可変容量型アキシャルピストンポンプの一実施例を図1に基づいて説明する。図1は、可変容量型アキシャルピストンポンプの縦断面図である。図1に示すように、可変容量型アキシャルピストンポンプのクレイドルガイド1は、ピストン2のストロークを調整するクレイドル3に摺接し、このクレイドル3が揺動可能であるように保持するものである。このクレイドルガイド1は、クレイドルガイド本体1aの表面側、すなわちクレイドル3に対する摺動面に、クレイドルガイド受であるブッシュ1bが設置された構造である。このブッシュ1bは、一部円筒形の溶製金属製部材の上記摺動面に、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物からなる樹脂層を0.1〜0.7mmの厚さで射出成形により重ねて一体に設けたものである。
この実施形態の可変容量型アキシャルピストンポンプは、接合された一対のハウジング5、6の端壁間に回転軸7が回転可能に支持されている。回転軸7上には、シリンダブロック8が相対回転不能に支持されている。回転軸7と一体的に回転するシリンダブロック8内には複数のピストン2が回転軸7の軸方向へスライド変位可能に収容されている。シリンダブロック8内のピストン収容室8aは、回転軸7の回転に連動して弁板9に形成された円弧状の吸入ポート9aおよび吐出ポート9bと交互に接続することになる。これにより、作動油が吸入ポート9aから各ピストン収容室8a内へ吸入され、回転軸7と共に回転したシリンダブロック8におけるピストン収容室8a内の作動油が、吐出ポート9bへ吐出される。
押圧バネ10は、シリンダブロック8をクレイドル3側に付勢している。これにより、回転軸7の周りにおいて、リテーナ11に保持されたアルミニウム材からなるシュー12が、クレイドル3の平面部と密接する。シュー12に嵌められたピストン2は、回転軸7の回転に伴ってクレイドル3の傾角に応じたストロークで往復動される。なお、クレイドル3の傾角は、ハウジング5内の押圧バネ13の押圧力と、油圧制御装置14によって調整されるシリンダ15からの油圧によって常時適正な角度に制御されている。
図2にクレイドルガイド1の斜視図を示す。図1および図2に示すように、アルミニウム合金製のハウジング5内にはクレイドルガイド1が、2個一組で固定して設けられている。また、2つのクレイドルガイド1の間に回転軸7がクレイドル3の軸孔を貫通して配置されている。
図2に示す態様では、クレイドルガイド1は、クレイドルガイド本体1aを有し、この本体1aに、樹脂層1dを形成した一部円筒形(円弧状)の溶製金属製部材(溶製金属板)1cからなるブッシュ1bが設置されている。樹脂層1dは、溶製金属製部材1cを金型内にインサートして、該部材1cのクレイドルと摺接する側の表面に、射出成形により薄肉かつ一定肉厚で形成されている。ブッシュ1bは、本体1aにおける円弧面状に形成されたクレイドル3の支持面にセットされている。溶製金属製部材1cの本体1a側の表面は、本体1aの支持面の円弧面形状に対応して同じ形状に形成されている。このブッシュ1bの樹脂層1dが形成された円弧面が、クレイドル3に対する摺動面となる。この態様では、クレイドルガイド本体1aとしては従来品を用い、従来のスラストブッシュと交換する形で、ブッシュ1bを利用でき、設計変更等が不要となりコストアップを防止できる。
また、図3に示すように、2個一組のブッシュ1bが、本体1aのクレイドルガイドの支持面1e、1fからズレないように、対の凹部1gと凸部1hの嵌め合わせで固定されている。なお、ブッシュ1bを固定するための凹凸部は、その凹凸関係を図3に示すものと反対にしてもよく、また、形状も任意の形状にできる。あるいは、凹部1gにピンを挿入し、ブッシュ1bにピン穴を設けることで嵌め合わせることが製造コストを考慮すると最も望ましい。
クレイドルガイド本体1aの材質は、特に限定されず、溶製金属製部材1cと同様の溶製金属としてもよい。
クレイドル3は、例えば珪素含有アルミニウム合金で形成され、その背面には各クレイドルガイドにおける支持面1e、1fに対応する一対の円弧面状の摺接部3a、3bが突設されている。図2および図3に示す態様では、両摺接部3a、3bは一対のブッシュ1bを介して支持面1e、1fに接するように組み付けられる。
図4に基づいてクレイドルガイドの他の態様を説明する。図4は、クレイドルガイド1の他の態様の斜視図である。図4に示す態様では、クレイドルガイド1は、その本体が溶製金属製部材1cで構成されている。この本体において、クレイドル3の支持面が円弧面状に形成されており、該支持面に樹脂層1dが射出成形により薄肉で一定肉厚で形成されている。この樹脂層1dが形成された円弧面が、クレイドル3に対する摺動面となる。この態様では、部品点数が少なく構造が簡易であり、製造コストが低くなる。
以下、本発明のクレイドルガイドにおける樹脂層および溶製金属製部材について詳細に説明する。
樹脂層1dは、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物からなり、溶製金属製部材1cのクレイドルと摺接する表面に0.1〜0.7mmの厚さで射出成形により重ねて一体に設けられることで形成されている。
樹脂層1dを摺動面とし、溶製金属製部材1cを基材とすることで、摩擦発熱の放熱性に優れる。また、射出成形で摺動面(樹脂層)を仕上げることが可能であるため、従来のクレイドルガイドのように鋼板への塗膜層形成が不要であり、また、旋盤や研磨機による加工なども省略し得る。この結果、高い生産性で製造が可能となる。
樹脂層1dに、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物を使用することで、連続使用温度が250℃であり、耐熱性、耐油・耐薬品性、耐クリープ性、摩擦摩耗特性に優れた可変容量型アキシャルピストンポンプのクレイドルガイドになる。また、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂は、靭性、高温時の機械物性が高く、耐疲労特性、耐衝撃性にも優れているため、使用時に摩擦力、衝撃、振動等が加わる際にも、樹脂層が溶製金属製部材から剥離し難い。
本発明で使用できる芳香族ポリエーテルケトン系樹脂としては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリエーテルケトン(PEK)樹脂、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)樹脂などがある。本発明で使用できるPEEK樹脂の市販品としては、ビクトレックス社製:PEEK(90P、150P、380P、450P、90G、150Gなど)、ソルベイアドバンストポリマーズ社製:キータスパイア(KT−820P、KT−880Pなど)、ダイセルデグザ社製:VESTAKEEP(1000G、2000G、3000G、4000Gなど)などが挙げられる。また、PEK樹脂としては、ビクトレックス社製:VICTREX−HTなどが、PEKEKK樹脂としてはビクトレックス社製:VICTREX−STなどが、それぞれ挙げられる。
樹脂層1dの厚さは、0.1〜0.7mmに設定されている。なお、本発明における「樹脂層の厚さ」は、溶製金属製部材に入り込まない表面部分の厚さである。この厚さ範囲は、インサート成形面や物性面を考慮して設定されたものである。樹脂層の厚さが0.1mm未満では、インサート成形が困難である。また、長期使用時の耐久性、すなわち寿命が短くなるおそれがある。一方、樹脂層の厚さが0.7mmをこえると、ヒケが発生し寸法精度が低下するおそれがある。また、摩擦による熱が摩擦面から溶製金属製部材に逃げ難く、摩擦面温度が高くなる。さらに、荷重による変形量が大きくなるとともに、摩擦面における真実接触面積も大きくなり、摩擦力、摩擦発熱が高くなり、耐焼付き性などが低下するおそれがある。摩擦発熱の溶製金属製部材への放熱を考慮すると、樹脂層の厚さは0.2〜0.5mmが好ましい。
また、図2に示すようにブッシュを用いる態様においては、樹脂層1dの厚さは、溶製金属製部材(溶製金属板)1cの厚さの1/8〜1/2であることが好ましい。樹脂層の厚さが溶製金属製部材の厚さの1/8未満では、溶製金属製部材に対して樹脂層が相対的に薄くなりすぎ、長期使用時の耐久性に劣るおそれがある。一方、樹脂層の厚さが溶製金属製部材の厚さの1/2をこえると、溶製金属製部材に対して樹脂層が相対的に厚くなりすぎ、摩擦による熱が摩擦面から溶製金属製部材に逃げ難く、摩擦面温度が高くなる。さらに、荷重による変形量が大きくなるとともに、摩擦面における真実接触面積も大きくなり、摩擦力、摩擦発熱が高くなり、耐焼付き性などが低下するおそれがある。また、樹脂層の厚さを上記範囲(0.1〜0.7mm:溶製金属製部材の厚さの1/8〜1/2)とすることで、後述の繊維状充填材を安定して配向させた状態に分散させることが容易となる。
溶製金属製部材1cの材料となる溶製金属は、鉄、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、または銅合金であることが好ましい。これらの材質を採用することで、溶製金属製部材において、所要の熱伝導性、耐荷重性を確保することができ、高荷重下でも使用可能となる。鉄としては一般構造用炭素鋼(SS400など)、軟鋼(SPCCなどの冷間圧延鋼板)、ステンレス鋼(SUS304、SUS316など)などが挙げられ、これら鉄に亜鉛、ニッケル、銅などのめっきを施してもよい。アルミニウムとしてはA1100、A1050、アルミニウム合金としてはA2017、A5052(アルマイト処理品も含む)、銅としてはC1100、銅合金としてはC2700、C2801などがそれぞれ挙げられる。これらの中でも、価格と放熱性のバランスを考えると、SPCCなどの冷間圧延鋼板(めっき品も含む)を用いることが好ましい。
溶製金属製部材1cにおける樹脂層1dとの接合面は、インサート成形時の樹脂層との密着性を高めるために、(1)接合面に焼結金属層を設ける、(2)接合面に化学表面処理を施す、(3)接合面を機械的に粗面化する、などの前処理を行なうことが好ましい。また、(1)〜(3)の処理を適宜組み合わせて用いることもできる。なお、これらの密着性向上のための前処理については、少なくとも上記接合面に対して行なえばよく、作業性等を考慮し、溶製金属製部材の全面に対して行なってもよい。
(1)の焼結金属層は、例えば、溶製金属製部材の表面に、焼結金属粉末を一様に散布し、これを加熱・加圧することで形成できる。焼結金属層の材質は、鉄系、銅鉄系、ステンレス系、銅系いずれであってもよい。溶製金属製部材と焼結金属層の材質を類似もしくは同種とする方が、密着性が向上するため、好ましい。また、焼結金属層の材質が、銅系、銅鉄系焼結である場合、溶製金属製部材に予め銅めっきを施し、密着性を向上させることができる。なお、環境保全を目的から、鉛青銅などの鉛を含むものは用いないことが好ましい。
焼結金属層を設けることで、射出成形時に溶融樹脂が該焼結金属層の凹凸に入り込む。射出成形では、溶融樹脂を高速、高圧で流し込むため、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂をベース樹脂として用いながらも、該樹脂がせん断力により多孔質の焼結金属層の凹凸(空孔)に深く入り込むことができる。この結果、焼結金属層を介して、樹脂層1dと溶製金属製部材1cとが強固に密着できる。
(2)の化学表面処理としては、(イ)接合面に微細凹凸形状が形成される処理、または、(ロ)接合面に樹脂層と化学反応する接合膜が形成される処理、を施すことが好ましい。接合面を微細凹凸形状とすることで、真の接合面積が増大し、樹脂層と溶製金属製部材の密着強さが向上するとともに、樹脂層の熱が溶製金属製部材へ伝わり易くなる。また、接合面において樹脂層と化学反応する接合膜を介在させることで、樹脂層と溶製金属製部材の密着強さが向上するとともに、樹脂層と溶製金属製部材にミクロな隙間がなくなり、樹脂層の熱が溶製金属製部材へ伝わり易くなる。
微細凹凸形状となる表面粗化処理としては、酸性溶液処理(硫酸、硝酸、塩酸など、もしくは他の溶液との混合)、アルカリ性溶液処理(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど、もしくは他の溶液との混合)により、溶製金属製部材の表面を溶かす方法が挙げられる。微細凹凸形状は、濃度、処理時間、後処理などによって異なるが、アンカー効果による密着性を高めるためには、凹ピッチが数nm〜数十μmの微細な凹凸にすることが好ましい。また、一般的な酸性溶液処理、アルカリ性溶液処理以外に、特殊なメック社製アマルファ処理、大成プラス社製NMT処理なども利用できる。
樹脂層1dを射出成形で形成する際には、上述のとおり、溶融樹脂を高速、高圧で流し込むため、該樹脂がせん断力により凹ピッチが数nm〜数十μmである上記微細凹凸形状にも深く入り込むことができる。これにより、溶製金属製部材1cと樹脂層1dとの密着強度が確保できる。また、化学表面処理により形成された上記微細凹凸形状は、機械的に単純に荒らした形状とは異なり、多孔質のような複雑な立体構造となっているため、アンカー効果を発揮しやすく、強固な密着が可能となる。
樹脂層1dと化学反応する接合膜が形成される表面処理としては、トリアジンジヂオール誘導体、s−トリアジン化合物などの溶液への浸漬処理が挙げられる。これら表面処理は、処理した溶製金属製部材を金型に入れインサート成形する際に、熱により樹脂材と反応し、樹脂層と溶製金属製部材との密着性が高まる。このような表面処理としては、例えば、東亜電化社製TRI処理などが例示できる。
化学表面処理のうち、メック社製アマルファ処理、大成プラス社製NMT処理、東亜電化社製TRI処理などの特殊表面処理は、アルミニウム、銅に適している。このため、これらの処理を施す場合は、少なくとも溶製金属製部材の処理表面がアルミニウムまたは銅であることが好ましい。例えば、冷間圧延鋼板を用いる場合で、これらの処理を施す場合は、銅めっき処理されたものを用いることが好ましい。
(3)接合面を機械的に粗面化する処理としては、ショットブラスト、サンドブラスト、タンブラー、機械加工などにより凹凸形状に荒らす処理が挙げられる。
使用中の摩擦力に対して、充分な密着強さを得るためには、溶製金属製部材と樹脂層とのせん断密着強さは、2MPa以上であることが好ましい。更に安全率を高めるためには、3MPa以上が好ましい。また、溶製金属製部材と樹脂層のせん断密着強さを更に高めるために、上記(1)〜(3)の処理を施す他に、樹脂層を形成する接合面に、溝などの物理的な剥がれ対策を施してもよい。
樹脂層を形成する樹脂組成物は、ベース樹脂として芳香族ポリエーテルケトン系樹脂を用い、これにガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ウィスカなどの繊維状充填材を分散状態に配合することができる。これにより、樹脂層の機械的強度を一層向上させることができる。特に、本発明の可変容量型アキシャルピストンポンプのクレイドルガイドでは、樹脂層が0.1〜0.7mmの厚さという薄肉であるため、機械的強度の向上は望ましい。
繊維状充填材の他に、PTFE樹脂、黒鉛、二硫化モリブデンなどの固体潤滑剤や、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、マイカ、タルクなどの無機充填材を配合することも可能である。上記固体潤滑剤を配合することで、無潤滑、潤滑油が希薄な条件であっても低摩擦となり、耐焼き付き性を向上させることができる。また、上記無機充填材を配合することで、耐クリープ性を向上させることができる。
繊維状充填材、無機系の固体潤滑剤(黒鉛、二硫化モリブデンなど)、および無機充填材は、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂の成形収縮率を小さくする効果がある。そのため、溶製金属製部材とのインサート成形時に、樹脂層の内部応力を抑える効果もある。
繊維状充填材を配合した樹脂組成物からなる樹脂層を有する態様のクレイドルガイドを図5に示す。図5は、クレイドルガイド(樹脂層に繊維状充填材配合)の斜視図である。クレイドルガイド1は、樹脂層1dに繊維状充填材4を配合してある以外は、図2のものと同様の構成である。
樹脂層1dを射出成形で形成するにあたって、樹脂組成物の溶融流動方向を調整することにより、繊維状充填材4(の長さ方向)をクレイドルガイド1の摺動方向(図中矢印)に対して45度以上のできるだけ直角に近い交差角度で配向させることが好ましい。樹脂層1dの機械的強度を向上させるためには繊維状充填材を配合することが好ましいが、繊維状充填材の繊維の端部はエッジ状になっているため、繊維の端部によって相手材であるクレイドル3を物理的に摩耗損傷させ易く、摩擦係数も安定し難くなる。繊維状充填材(の長さ方向)を該クレイドルガイドの摺動方向に対して45〜90度に交差するように配向させることにより、繊維の両端のエッジが摺動方向に対して45〜90度に向く。これにより、繊維の両端のエッジによる相手材の摩耗損傷の軽減、摩擦係数の安定化を図れる。また、繊維状充填材の配向は、90度により近い方が繊維のエッジによる摩耗損傷が少なく、摩擦係数も安定するので望ましい。80〜90度であれば特に好ましい。なお、射出成形時のゲート部、ウェルド部では繊維状充填材の配向が乱れる場合があるが、その割合は低く影響はない。
繊維状充填材の平均繊維長は、0.02〜0.2mmが好ましい。0.02mm未満では充分な補強効果が得られず、耐クリープ性、耐摩耗性が満足しないおそれがある。0.2mmをこえる場合は樹脂層の層厚に対する繊維長の比率が大きくなるため、薄肉成形性に劣る。特に、樹脂厚み0.2〜0.7mmにインサート成形する場合は、繊維長が0.2mmをこえると薄肉成形性を阻害する。より薄肉成形の安定性を高めるには、平均繊維長0.02〜0.1mmが望ましい。
繊維状充填材の中でも、炭素繊維を用いることが好ましい。炭素繊維は、樹脂層を成形する際に樹脂の溶融流動方向への配向性が強い。特に、直径が細く、比較的短い炭素繊維を選択し、その場合に、炭素繊維の両端のエッジがクレイドルガイドの摺動方向に沿っており、例えば配向方向が0〜45度未満であると、相手材であるクレイドルを損傷する場合がある。そのため、細く、短い炭素繊維を採用した場合には、樹脂を射出成形する際に、溶融樹脂の流動方向をクレイドルガイドの摺動方向と直角または直角に近い角度とし、繊維の長さ方向をクレイドルガイドの摺動方向に対する45〜90度になるように配向させることが耐久性および摺動トルクを低く安定させるために極めて有利である。
本発明で使用する炭素繊維としては、原材料から分類されるピッチ系またはPAN系のいずれのものであってもよいが、高弾性率を有するPAN系炭素繊維の方が好ましい。その焼成温度は特に限定するものではないが、2000℃またはそれ以上の高温で焼成されて黒鉛(グラファイト)化されたものよりも、1000〜1500℃程度で焼成された炭化品のものが、高PV下でも相手材を摩耗損傷しにくいので好ましい。
炭素繊維の平均繊維径は20μm以下、好ましくは5〜15μmである。この範囲をこえる太い炭素繊維では、極圧が発生するため、耐荷重性の向上効果が乏しく、相手材であるクレイドルがアルミニウム合金、焼入れなしの鋼材の場合、該相手材の摩耗損傷が大きくなるため好ましくない。また、炭素繊維は、チョップドファイバー、ミルドファイバーのいずれであってもよいが、安定した薄肉成形性を得るためには、繊維長が1mm未満のミルドファイバーの方が好ましい。
本発明で使用できる炭素繊維の市販品としては、ピッチ系炭素繊維として、クレハ社製:クレカ M−101S、M−107S、M−101F、M−201S、M−207S、M−2007S、C−103S、C−106S、C−203Sなどが挙げられる。また、同様のPAN系炭素繊維として、東邦テナックス社製:ベスファイト HT100、同HTA−CMF0160−0H、同HTA−CMF0040−0H、同HTA−C6、同HTA−C6−Sまたは東レ社製:トレカ MLD−30、同MLD−300、同T008、同T010などが挙げられる。
樹脂層を形成する樹脂組成物は、ベース樹脂として芳香族ポリエーテルケトン系樹脂を用い、これに上記炭素繊維と、固体潤滑剤であるPTFE樹脂とを必須成分として含むことが好ましい。
PTFE樹脂としては、懸濁重合法によるモールディングパウダー、乳化重合法によるファインパウダー、再生PTFEのいずれを採用してもよい。芳香族ポリエーテルケトン系樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物の流動性を安定させるためには、成形時のせん断により繊維化し難く、溶融粘度を増加させ難い再生PTFEを採用することが好ましい。
再生PTFEとは、熱処理(熱履歴が加わったもの)粉末、γ線または電子線などを照射した粉末のことである。例えば、モールディングパウダーまたはファインパウダーを熱処理した粉末、また、この粉末をさらにγ線または電子線を照射した粉末、モールディングパウダーまたはファインパウダーの成形体を粉砕した粉末、また、その後γ線または電子線を照射した粉末、モールディングパウダーまたはファインパウダーをγ線または電子線を照射した粉末などのタイプがある。再生PTFEの中でも、凝集せず、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂の溶融温度おいて、全く繊維化せず、内部潤滑効果があり、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物の流動性を安定して向上させることが可能なことから、γ線または電子線などを照射したPTFE樹脂を採用することがより好ましい。
本発明で使用できるPTFE樹脂の市販品としては、喜多村社製:KTL−610、KTL−450、KTL−350、KTL−8N、KTL−400H、三井・デュポンフロロケミカル社製:テフロン(登録商標)7−J、TLP−10、旭硝子社製:フルオンG163、L150J、L169J、L170J、L172J、L173J、ダイキン工業社製:ポリフロンM−15、ルブロンL−5、ヘキスト社製:ホスタフロンTF9205、TF9207などが挙げられる。また、パーフルオロアルキルエーテル基、フルオルアルキル基、またはその他のフルオロアルキルを有する側鎖基で変性されたPTFE樹脂であってもよい。上記の中でγ線または電子線などを照射したPTFE樹脂としては、喜多村社製:KTL−610、KTL−450、KTL−350、KTL−8N、KTL−8F、旭硝子社製:フルオンL169J、L170J、L172J、L173Jなどが挙げられる。
なお、この発明の効果を阻害しない程度に、樹脂組成物に対して周知の樹脂用添加剤を配合してもよい。この添加剤としては、例えば、窒化ホウ素などの摩擦特性向上剤、炭素粉末、酸化鉄、酸化チタンなどの着色剤、黒鉛、金属酸化物粉末などの熱伝導性向上剤が挙げられる。
樹脂層を形成する樹脂組成物は、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂をベース樹脂とし、炭素繊維を5〜30体積%、PTFE樹脂を1〜30体積%を必須成分として含むことが好ましい。この必須成分と他の添加剤を除く残部が芳香族ポリエーテルケトン系樹脂である。この配合割合とすることで、高PV条件においても、樹脂層の変形および摩耗、相手材であるクレイドル表面への攻撃性が小さく、油などに対する耐性も高くなる。また、炭素繊維は、5〜20体積%がより好ましく、PTFE樹脂は、2〜25体積%がより好ましい。
炭素繊維の配合割合が30体積%をこえると、溶融流動性が著しく低下し、薄肉成形が困難になるとともに、相手材であるクレイドルがアルミニウム合金、焼入れなしの鋼材の場合、摩耗損傷するおそれがある。また、炭素繊維の配合割合が5体積%未満では、樹脂層を補強する効果が乏しく、充分な耐クリープ性、耐摩耗性が得られない場合がある。
PTFE樹脂の配合割合が30体積%をこえると、耐摩耗性、耐クリープ性が所要の程度より低下するおそれがある。また、PTFE樹脂の配合割合が1体積%未満では組成物に所要の潤滑性の付与効果に乏しく、充分な摺動特性が得られない場合がある。
以上の諸原材料を混合し、混練する手段は、特に限定するものではなく、粉末原料のみをヘンシェルミキサー、ボールミキサー、リボンブレンダー、レディゲミキサー、ウルトラヘンシェルミキサーなどにて乾式混合し、さらに二軸押出し機などの溶融押出し機にて溶融混練し、成形用ペレット(顆粒)を得ることができる。また、充填材の投入は、二軸押出し機などで溶融混練する際にサイドフィードを採用してもよい。この成形用ペレットを用い、溶製金属製部材に対して樹脂層をインサート成形により射出成形する。射出成形を採用することで、精密成形性および製造効率などに優れる。また、物性改善のためにアニール処理等の処理を採用してもよい。
樹脂層を形成する樹脂組成物は、樹脂温度380℃、せん断速度1000s−1における溶融粘度が50〜200Pa・sであることが好ましい。溶融粘度がこの範囲であると、精密な成形と繊維状充填材を所定角度に配向をさせることが可能となり、溶製金属製部材の表面に0.1〜0.7mmの薄肉インサート成形が円滑に行なえる。溶融粘度が、上記所定範囲未満の粘度または上記所定範囲をこえる粘度であれば、精密な成形性を確実に得ることや、繊維状充填材を所定角度に配向させることが容易でなくなる。薄肉インサート成形を可能とし、インサート成形後の後加工を不要とすることで、製造が容易となり、製造コストの低減が図れる。
樹脂温度380℃、せん断速度1000s−1における溶融粘度を50〜200Pa・sにするためには、該条件における溶融粘度が130Pa・s以下の芳香族ポリエーテルケトン系樹脂を採用することが好ましい。このような芳香族ポリエーテルケトン系樹脂としては、ビクトレックス社製:PEEK(90P、90G)などが例示できる。このような芳香族ポリエーテルケトン系樹脂を用いることで、射出成形時において、化学表面処理により形成された凹ピッチが数nm〜数十μmである微細凹凸形状や、焼結金属層の凹凸(空孔)にも樹脂材が入り込みやすく、強固な密着が可能となる。
実施例、比較例に用いた樹脂層の原材料を以下に示す。なお、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂の溶融粘度は、東洋精機社製キャピラグラフ、φ1×10mm細管、樹脂温度380℃、せん断速度1000s−1における測定値である。
(1)芳香族ポリエーテルケトン系樹脂〔PEK〕:ビクトレックス社製PEEK 90P(溶融粘度105Pa・s)
(2)PTFE樹脂〔PTFE1〕:喜多村社製KTL−610(再生PTFE)
(3)PAN系炭素繊維〔CF1〕:東邦テナックス社製ベスファイトHT100(繊維長0.04mm、繊維径7μm)
(4)PTFE樹脂〔PTFE2〕:三井・デュポンフロロケミカル社製PTFE−31JR)
(5)ピッチ系炭素繊維〔CF2〕:クレハ社製M−101S(繊維長0.1/2mm、繊維径14.5μm)
(6)硫酸カルシウム粉末〔CaSO〕:ノリタケ社製D−101A(平均粒子径24μm)
(7)二硫化モリブデン〔MoS〕:東レダウコーニング社製モリコートZ
(8)ポリアミドイミド樹脂〔PAI〕:ダイキン社製
(9)黒鉛〔GRP〕:ティムカルジャパン社製TIMREX KS6(平均粒径6μm)
表1に示す実施例用の樹脂層の原材料(a、b)について、表1に示す配合割合(体積%)でヘンシェル乾式混合機を用いてドライブレンドし、二軸押出し機を用いて溶融混練し射出成形用ペレットを作製した。
Figure 0006146969
実施例1〜実施例4
溶製金属製部材としてSPCC製の溶製金属板(プレス打ち抜き、φ18mm×2m)を用いた。この溶製金属板の樹脂層との接合面に、表2に示す前処理を施した。表2における「酸性溶液処理」は、溶製金属板を20%硝酸水溶液に、室温(20〜30℃程度)で、30秒〜1分間浸漬処理したものであり、処理前には脱脂、処理後には水洗、乾燥を行なった。また、表2における「焼結金属層」は、溶製金属板の全面に銅めっきを行なった後、板表面に青銅粉末(Cu−Sn系)を散布し、この青銅粉末が一様に散布された金属板を加熱・加圧することにより焼結金属層を形成したものである。
この表面に、上記ペレットを用いて樹脂層を厚さ0.5mmにてインサート成形し、クレイドルガイド想定の試験片を作製した。樹脂温度380℃〜400℃、金型温度180℃とした。また、インサート成形する際には、樹脂層の溶融流動方向が試験片の運動方向と直角となるようにした。
比較例1
実施例1と同様の焼結金属層を設けた溶製金属板を用い、この焼結金属層上に、表1のcに示す配合割合(体積%)で調整した樹脂組成物のディスパージョンを塗布し、乾燥炉中で溶媒を蒸発させ、加熱・加圧により樹脂組成物成分を含浸被覆した試験片を作製した。
比較例2
実施例1と同様の焼結金属層を設けた溶製金属板を用い、表1のdに示す配合割合(体積%)で調整した樹脂組成物のコーティング剤を用いて、潤滑性皮膜を形成し試験片を作製した。
得られた試験片とアルミニウム合金製の相手材を用いて、試験片と相手材とが摺動する状態で、下記条件の往復動試験を行ない、結果を表2に示した。

[試験条件]
試験機 :NTN製往復動試験機
面圧 :100MPa
最大加振速度:2.95m/min
振幅 :+−50mm
温度 :室温(25℃)
潤滑条件 :油潤滑
試験時間 :往復10000回(初期、500回、2000回の時に摩擦係数を測定する。)
Figure 0006146969
表2の結果からも明らかなように、比較例1、2は、500回往復で摩擦係数が高く継続試験が不可能となり、長期使用に耐えられないものと認められた。これに対して実施例1〜4は、往復動試験において、試験終了時まで低摩擦係数であった。また、目視での確認より、被膜の状態にも変化はみられなかった。これにより、実施例のクレイドルガイドは、可変容量型ピストンポンプの長期使用に耐えられるものであり、耐荷重性、耐摩耗性および低摩擦特性を全て満足できるものであることが確認された。
本発明のクレイドルガイドは、製造が容易で低コストでありながら、耐荷重性、耐摩耗性および低摩擦特性を全て満足できるので、油圧ショベルなどの建設機械や一般産業機械の油圧源として備えられる油圧ポンプまたは油圧モータ等に用いる可変容量型アキシャルピストンポンプにおいて好適に利用できる。
1 クレイドルガイド
1a クレイドルガイド本体
1b ブッシュ
1c 溶製金属製部材
1d 樹脂層
1e、1f 支持面
1g 凹部
1h 凸部
2 ピストン
3 クレイドル
4 繊維状充填材
5、6 ハウジング
7 回転軸
8 シリンダブロック
8a ピストン収容室
9 弁板
9a 吸入ポート
9b 吐出ポート
10、13 押圧バネ
11 リテーナ
12 シュー
14 油圧制御装置
15 シリンダ

Claims (7)

  1. 可変容量型アキシャルピストンポンプにおけるピストンストロークを調整するクレイドルに摺接し、このクレイドルが揺動可能であるように保持するクレイドルガイドであって、
    前記クレイドルガイドは、溶製金属製部材と、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物からなる樹脂層とを有し、
    前記溶製金属製部材は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなり、
    前記樹脂層は、前記溶製金属製部材の少なくとも前記クレイドルと摺接する表面に設けられた0.1〜0.7mmの厚さの射出成形層であり、
    前記溶製金属製部材の前記樹脂層との接合面には化学表面処理が施されてなり、前記摺接が30MPaの面圧条件でも使用可能であることを特徴とする可変容量型アキシャルピストンポンプのクレイドルガイド。
  2. 前記クレイドルガイドはクレイドルガイド本体を有し、前記溶製金属製部材が、一部円筒形部材であり、前記クレイドルガイド本体に設置されていることを特徴とする請求項1記載の可変容量型アキシャルピストンポンプのクレイドルガイド。
  3. 前記樹脂組成物が繊維状充填材を含み、前記樹脂層において該繊維状充填材が、繊維の長さ方向をクレイドルガイドの摺動方向に対して45〜90度に交差するように配向していることを特徴とする請求項1または請求項2記載の可変容量型アキシャルピストンポンプのクレイドルガイド。
  4. 前記繊維状充填材が、炭素繊維であることを特徴とする請求項記載の可変容量型アキシャルピストンポンプのクレイドルガイド。
  5. 前記樹脂組成物が、該樹脂組成物全体に対して、前記炭素繊維を5〜30体積%、ポリテトラフルオロエチレン樹脂を1〜30体積%含むことを特徴とする請求項記載の可変容量型アキシャルピストンポンプのクレイドルガイド。
  6. 前記樹脂組成物が、樹脂温度380℃、せん断速度1000s−1における溶融粘度50〜200Pa・sの樹脂組成物であることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか1項記載の可変容量型アキシャルピストンポンプのクレイドルガイド。
  7. 請求項1ないし請求項のいずれか1項記載のクレイドルガイドを備えることを特徴とする可変容量型アキシャルピストンポンプ。
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