JP2018039920A - フッ化物蛍光体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明は、高効率かつ経過時間と共に発光色が変化しにくい発光装置が得られるフッ化物蛍光体の製造方法を提供する。
【解決手段】
本発明は、少なくともK、Mn、Fを含む化合物を用いるフッ化物蛍光体の製造方法であって、該化合物は、K:Mn:F=p:1:q(但し、pおよびqは、それぞれ1.7≦p≦2.3、5≦q≦7を表す)を満たし、かつ該化合物が、CuKα線(1.5418Å)を用いて測定された粉末X線回折パターンにおいて特定領域1〜4にピークを有し、領域n(nは1〜4の自然数を表す)におけるピーク強度比Irnがそれぞれ特定式を満たすことを特徴とするフッ化物蛍光体の製造方法に存する。
ただし、ピーク強度比Irnは、2θが10゜以上60゜以下の範囲の粉末X線回折パターンにおいて、2θが17゜以上20゜以下の範囲に存在する最強ピークの高さImaxに対する該当ピークの高さIの比I/Imaxである。ここで、ピーク強度はバックグラウンド補正を行って得た値である。
【選択図】なし

Description

本発明は、フッ化物蛍光体の製造方法に関する。
近紫外または短波長可視域で発光する励起用光源と蛍光体とを併用することにより白色発光する発光装置(以下、適宜「LED」という)が一般化し、画像表示装置や照明装置に実用化されている。特に、赤色の蛍光を発する蛍光体(以下、適宜「赤色蛍光体」という)は、画像表示装置や照明装置用の発光装置に使用されており、その発光特性は様々に改良されている。このうち効率と演色性の両立のために、特定の波長帯で半値幅が狭い蛍光体の開発が重要視される。
画像表示装置や照明装置の高効率化と演色性の両立を実現するためには、例えば、発光スペクトルの発光ピーク波長が590nm以上780nm未満で、かつ発光スペクトルの半値幅が1nm以上130nm以下である赤色蛍光体を用いることが有効である。そのため上記の発光特性を有する赤色蛍光体の開発が行われている。
このような蛍光体としては、KSiF:Mn(以下、「KSF蛍光体」と称する場合がある)が挙げられ、種々の改良が行なわれている。
例えば、特許文献1には、Mn濃度を内部領域よりも低くした表面領域を有するKSF蛍光体が開示されている。
また、例えば特許文献2では、発光特性が良好なKSF蛍光体の製造方法について開示されている。
特開2015−28148号公報 特開2012−224536号公報
しかしながら、特許文献1および2に記載のKSF蛍光体は発光スペクトルの半値幅は狭いものの、耐久性が問題になる場合があった。蛍光体の耐久性が十分でないと、発光装置として使用する際に経過時間とともに発光効率や発光色が変化してしまう場合がある。
本発明は、上記課題に鑑みて、高効率かつ経過時間と共に発光色が変化しにくい発光装置が得られるフッ化物蛍光体の製造方法を提供する。
本発明者等は、鋭意検討した結果、特定の化合物を用いる製造方法とすることで、上記課題を解決しうることを見出して本発明に到達した。
即ち、本発明は、少なくともK、Mn、Fを含む化合物(以下、「KMF系化合物」と称する場合がある)を用いるフッ化物蛍光体の製造方法であって、該化合物は、K:Mn:F=p:1:q(但し、pおよびqは、それぞれ1.7≦p≦2.3、5≦q≦7を表す)を満たし、かつ該化合物が、CuKα線(1.5418Å)を用いて測定された粉末X線回折パターンにおいて下記に示す領域1〜4にピークを有し、領域n(nは1〜4の自然数を表す)におけるピーク強度比Irnが下記を満たすことを特徴とするフッ化物蛍光体の製造方法に存する。
ただし、ピーク強度比Irnは、2θが10゜以上60゜以下の範囲の粉末X線回折パターンにおいて、2θが17゜以上20゜以下の範囲に存在する最強ピークの高さImaxに対する該当ピークの高さIの比I/Imaxである。ここで、ピーク強度はバックグラウンド補正を行って得た値である。
領域1 20°≦2θ≦22°
領域2 38°≦2θ≦40°
領域3 40°≦2θ≦42°
領域4 46°≦2θ≦48°
r1≦0.3
r2≧0.4
r3≦0.5
r4≦0.1
本発明により、高効率かつ経過時間と共に発光色が変化しにくい発光装置が得られるフッ化物蛍光体の製造方法について提供することができる。
また本発明により、発光輝度が高い蛍光体の製造方法を提供することができる。
実施例1で用いたKMF系化合物の粉末X線回折(XRD)パターンを示す図である。 比較例1で用いたKMF系化合物の粉末X線回折(XRD)パターンを示す図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書中の蛍光体の組成式において、各組成式の区切りは読点(、)で区切って表す。また、カンマ(,)で区切って複数の元素を列記する場合には、列記された元素のうち一種又は二種以上を任意の組み合わせ及び組成で含有していてもよいことを示している。例えば、「(Ca,Sr,Ba)Al:Eu」という組成式は、「CaAl:Eu」と、「SrAl:Eu」と、「BaAl:Eu」と、「Ca1−xSrAl:Eu」と、「Sr1−xBaAl:Eu」と、「Ca1−xBaAl:Eu」と、「Ca1−x−ySrBaAl:Eu」とを全て包括的に示しているものとする(但し、前記式中、0<x<1、0<y<1、0<x+y<1)。
また、本明細書中、「Mn4+」と「4価のマンガン」は、同義である。
{蛍光体について}
本発明の製造方法により得られる蛍光体は、フッ化物蛍光体である。本発明におけるフッ化物蛍光体とは、蛍光体中に少なくともK、Mn、Fを含む。
本発明の蛍光体は、下記式[1]で表される組成を有する結晶相を含むことが好ましい。
MnSi [1]
(上記式[1]中、m、a、b、cは、各々独立に、下記式を満たす値である。
0<m≦0.2
1.6≦a≦2.4
m+b=1
4.8≦c≦7.2)
式[1]中、Mnは、マンガンを表す。本発明の効果を損なわない限り、Mnは、その他の付活元素、例えば、ユーロピウム(Eu)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)及びイッテルビウム(Yb)の一種又は2種以上で一部置換されていてもよい。
式[1]中、Kは、カリウムを表す。Kは、その他の周期表第1族の元素、例えば、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、フランシウム(Fr)などのアルカリ金属で、一部置換されていてもよい。
式[1]中、Siは、ケイ素を表す。Siは、その他の4価の元素、例えば、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、チタン(Ti)及びジルコニウム(Zr)などで、一部置換されていてもよい。
式[1]中、Fは、フッ素を表す。Fは、酸素やその他のハロゲン元素、例えば、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)などで一部置換されていてもよい。
mは、Mnの含有量を表し、その範囲は、通常0<m≦0.2であり、下限値は、好ましくは0.01、より好ましくは0.02、また上限値は、好ましくは0.15、より好ましくは0.1である。
上記範囲内であると、濃度消光が起きにくく、更に本発明の蛍光体以外の化学組成を示す異相が生じにくい為、発光特性が良好である点で好ましい。
aは、Kの含有量を表し、その範囲は、通常1.6≦a≦2.4であり、下限値は、好ましくは1.8、より好ましくは1.85、また上限値は、好ましくは2.2、より好ましくは2.15である。
bは、ケイ素の含有量を表す。
m及びb相互の関係は通常、
m+b=1
を満足する。
cは、フッ素の含有量を表し、その範囲は、通常4.8≦c≦7.2であり、下限値は、好ましくは5.2、より好ましくは5.6、また上限値は、好ましくは6.8、より好ましくは6.4である。
[蛍光体の特性]
(発光スペクトル)
本発明の蛍光体は、ピーク波長455nmの光で励起して発光スペクトルを測定した場合に、以下の特徴を有することが好ましい。
上述の発光スペクトルにおけるピーク波長λp(nm)が、通常600nm以上、好ましくは610nm以上、さらに好ましくは620nm以上、また通常650nm以下である。
上記範囲内であると、好適な橙色ないし赤色の発光を有する点で好ましい。
また本発明の蛍光体は、上述の発光スペクトルにおける発光ピークの半値幅が、通常50nm未満、中でも40nm以下、更には20nm以下、特に10nm以下、通常1nm以上の範囲である。この半値幅が広過ぎると色純度が低下する場合があり、狭過ぎると発光強度が低下する場合がある。
なお、上記の蛍光体をピーク波長455nmの光で励起するには、例えば、キセノン光源を用いることができる。また、本発明の蛍光体の発光スペクトルの測定は、例えば、蛍光分光光度計F−4500(日立製作所製)等を用いて行うことができる。発光ピーク波
長、及び発光ピークの半値幅は、得られる発光スペクトルから算出することができる。
{蛍光体の製造方法}
本発明のフッ化物蛍光体の製造方法は、少なくともK、Mn、Fを含む化合物を用いる。
本発明におけるKMF系化合物は、K:Mn:F=p:1:q(但し、pおよびqは、それぞれ1.7≦p≦2.3、5≦q≦7を表す)を満たし、CuKα線(1.5418Å)を用いて測定された粉末X線回折パターンにおいて下記に示す領域1〜4にピークを有し、領域n(nは1〜4の自然数を表す)におけるピーク強度比Irnが下記を満たす。ただし、ピーク強度比Irnは、2θが10゜以上60゜以下の範囲の粉末X線回折パターンにおいて、2θが17゜以上20゜以下の範囲に存在する最強ピークの高さImaxに対する該当ピークの高さIの比I/Imaxである。ここで、ピーク強度はバックグラウンド補正を行って得た値である。
領域1 20°≦2θ≦22°
領域2 38°≦2θ≦40°
領域3 40°≦2θ≦42°
領域4 46°≦2θ≦48°
r1≦0.3
r2≧0.4
r3≦0.5
r4≦0.1
本発明におけるKMF系化合物とするには、特に制限はないが、例えば、KMF系化合物を合成する時にフッ化水素酸(HF酸)濃度の高いHF酸を用いる方法や低温で合成する方法やKMF系化合物をフッ素ガス中で処理する方法などが挙げられる。
本発明におけるKMF系化合物を用いたフッ化物蛍光体の製造方法については、本発明の効果を損なわない限り特に制限はなく、公知の方法が用いられる。以下に、本発明におけるKMF系化合物を用いた製造方法の一例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(蛍光体原料)
本発明における蛍光体の製造において使用される蛍光体原料としては、Mn源として特定のK:Mn:F組成比率を有し、かつ特定のXRDパターンを有するKMF系化合物を用いる以外は公知のものを用いることができる。
(Mn源)
Mn源としては、K:Mn:F=p:1:q(但し、pおよびqは、それぞれ1.7≦p≦2.3、5≦q≦7を表す)を満たし、CuKα線(1.5418Å)を用いて測定された粉末X線回折パターンにおいて下記に示す領域1〜4にピークを有し、領域n(nは1〜4の自然数を表す)におけるピーク強度比Irnが下記を満たす、少なくともK、Mn、Fを含む化合物が挙げられる。ただし、ピーク強度比Irnは、2θが10゜以上60゜以下の範囲の粉末X線回折パターンにおいて、2θが17゜以上20゜以下の範囲に存在する最強ピークの高さImaxに対する該当ピークの高さIの比I/Imaxである。ここで、ピーク強度はバックグラウンド補正を行って得た値である。
領域1 20°≦2θ≦22°
領域2 38°≦2θ≦40°
領域3 40°≦2θ≦42°
領域4 46°≦2θ≦48°
r1≦0.3
r2≧0.4
r3≦0.5
r4≦0.1
本発明のフッ化物蛍光体の製造方法においては、本発明の効果を損なわない限り、本発明におけるKMF系化合物以外のMn源を用いてもよい。
その他のMn源としては、過マンガン酸カリウム(KMnO4)、ヘキサクロロマンガ
ン酸カリウム(K2MnCl6)、などが挙げられる。
本発明におけるKMF系化合物を用いて製造されるフッ化物蛍光体を用いることで、LED効率およびLED耐久性に優れるとの効果を奏する理由について下記の通り推測する。
KMF系化合物は、合成する際に用いるHF酸の濃度に依存してそのフッ素含有量が変化する。具体的には、Mn1モルに対しするFのモル数は6−xとした時のxが変化する。KMF系化合物を合成する時のHF酸の濃度が高いとxは0に近くなり、合成時のHF酸濃度が低いとxは1に近くなる。ここで、xが大きいということは、Mnの価数が+3であるKMnFあるいはKMnF・HOか、またはMnの価数は+4であるが水酸基を含むKMnF(OH)の含有量が多いということを意味する。
MnFあるいはKMnF・HOを含むKMF系化合物をフッ化物蛍光体の合成に用いると、蛍光体中に含まれるMn4+の量が減ることになる。つまり、得られるフッ化物蛍光体は付活元素の濃度が低いため、発光輝度が低くなる。その結果、得られるLEDの発光効率も低いものとなってしまう。
また、KMnF(OH)を含むKMF系化合物あるいはHF酸中でKMnF(OH)生成するKMF系化合物をフッ化物蛍光体の合成に用いると、得られるフッ化物蛍光体に含まれる水酸基の濃度が高くなる。このようなフッ化物蛍光体は、例えば、合成後の乾燥工程によって発光輝度の低下が引き起こされる。またこのようなフッ化物蛍光体をLEDに用いた後、LED点灯時に経時的にOH基が脱離してKMnFが生成し、LED効率の低下やLED点灯時の経時的な発光効率の低下、色度変化が引き起こされる。
一方、KMnFをフッ化物蛍光体の合成に用いると、蛍光体中に含まれるMn4+の量が減ることなく、また蛍光体中に含まれる水酸基の濃度も低い。そのため、得られる蛍光体の発光輝度は高くなり、かつ当該蛍光体を含むLEDとした場合であっても、発光効率が高く点灯時の経時的な変化が小さいLEDが得られる。
つまり本発明の技術思想は、KMnFを多く含み、且つKMnFあるいはKMnF・HOやKMnF(OH)を含む量が少ないKMF系化合物を用いることにある。ここで本発明では、KMnFおよびKMnF(OH)は六方晶のKMnFと同じ結晶構造であることに着目した。本発明における領域1、3〜4に存在するピークは、六方晶のKMnFおよびKMnFおよびKMnF(OH)に特有のピークである。また、本発明における領域2に存在するピークは、三方晶のKMnFに特有のピークである。つまり、本発明におけるKMF系化合物において、領域1、3〜4に存在するピーク強度比が小さいことを規定しているのは、六方晶のKMnFおよびKMnFおよびKMnF(OH)の含有比率が小さいことを意味し、また領域2に存在するピーク強度比が大きいことは三方晶のKMnFの含有比率が大きいことを意味している。
さらに、六方晶のKMnFはその結晶構造から格子間の距離が長く純水あるいはHF酸水溶液中での容易にFとOHの交換が起こり、KMnF(OH)を生成しやすく、六方晶のKMnFをフッ化物蛍光体の合成に用いるとKMnF(OH)が生成
し、その量は経時的に増加していく。一方、三方晶のKMnFは格子間の距離が短く純水あるいはHF酸水溶液中でFとOHの交換が起こりにくく、三方晶のKMnFをフッ化物蛍光体の合成に用いると、HF酸水溶液中でのKMnF(OH)の生成を抑えることができる。
このようなKMF系化合物を用いて得られたフッ化物蛍光体を含むLEDは、効率および耐久性に優れる。
さらにKMnF・HOは六方晶のKMnFとも三方晶のKMnFとも異なる結晶構造であり、粉末X線回折パターンにおいてKMnF・HOの結晶構造に特有の13°≦2θ≦16°の領域にピークがない、あるいはピークが小さいKMF系化合物を用いて得られたフッ化物蛍光体を含むLEDはさらに効率や耐久性に優れる。
(K源)
K源の具体例としては、フッ化水素カリウム(KHF)、フッ化カリウム(KF)、炭酸カリウム(KCO)、炭酸水素カリウム(KHCO)、蓚酸カリウム一水和物(K・HO)、塩化カリウム(KCl)などが挙げられる。中でも、フッ化水素カリウム(KHF)が好ましい。
(Si源)
Si源の具体例としては、ヘキサフルオロ珪酸(HSiF)、ヘキサフルオロ珪酸カリウム(KSiF)、ヘキサフルオロ珪酸ナトリウム(NaSiF)、ヘキサフルオロ珪酸アンモニウム(NHSiF、ヘキサフルオロ珪酸ルビジウム(RbSiF)、ヘキサフルオロ珪酸セシウム(CsSiF)、酸化ケイ素(SiO)、ケイ素(Si)などが挙げられる。
尚、上記したように、K源、Si源、Mn源は、それぞれ別々の原料を用いてもよく、一つの原料中に、例えばK源とMn源とを含む原料を用いてもよい。
(F源)
F源の具体例としては、HF酸、フッ化水素カリウム(KHF)、フッ化カリウム(KF)、ヘキサフルオロ珪酸(HSiF)、ヘキサフルオロ珪酸カリウム(KSiF)、フッ素(F)などが挙げられる。
更には、これらの炭酸塩や酸化物、蓚酸塩、金属、塩化物などHF中に溶解した後にフッ化物になりうる化合物であれば原料として用いることができる。
なお、本発明の蛍光体におけるF源は、K源、Si源、Mn源から供給されてもよいし、反応溶液であるHFから供給されてもよい。また、各原料には、不可避的不純物が含まれていてもよい。
(溶解工程)
本発明の蛍光体の製造においては、通常、目的組成が得られるように蛍光体原料を必要な組み合わせで攪拌機等を用いてHF酸中に充分に溶解し、蛍光体原料溶液を得る(溶解工程)。
組み合わせて溶解する蛍光体原料としては、HF酸とK源、HF酸とSi源、HF酸とMn源の組み合わせで蛍光体原料溶液を3種としても、HF酸とK源、HF酸とSi源とMn源の組み合わせで蛍光体原料溶液を2種としても、あるいはHF酸とK源とSi源、HF酸とK源とMn源との組み合わせで蛍光体原料溶液を2種としても、原料の組み合わせでHF酸に不溶解性の塩を生じない組み合わせであれば、任意の組み合わせで原料を溶解してもよい。
原料の溶解に使用するHF酸はその濃度が原料を溶解し、溶解した後にフッ化物になり
うるものであれば原料として用いることができる。
水酸化物やフッ化物以外の化合物の生成が抑制でき、また取扱いが容易である点で、HF酸の濃度は40〜55重量%程度が好ましい。エタノールやアセトンなどフッ化物蛍光体の溶解度が低い溶媒をHF酸と混合して予め上記原料溶液に混合しておいてもよい。
(沈澱工程)
本発明の蛍光体の製造においては、得られた原料溶液をHF酸中で混合し反応させ蛍光体含有スラリーを生成する工程(沈澱工程)を有する。
原料溶解液を混合し反応させて蛍光体含有スラリーを生成する方法は、例えば、HF酸とK源からなる原料溶解液、とHF酸とSi源からなる原料溶解液と、HF酸とMn源からなる原料溶解液とを、HF酸水溶液に添加し反応させて蛍光体含有スラリーを生成させる方法や、HF酸とK源とSi源からなる原料溶液にHF酸とK源とMn源からなる原料溶解液を添加し反応させる蛍光体含有スラリーを生成させる方法、あるいはその逆の変化方法など、混合後に反応して蛍光体含有スラリーを生成すれば任意の方法で反応させてもよい。
原料反応液を混合し蛍光体含有スラリーを生成させる際に使用するHF酸は、その濃度が、原料溶液が反応し、反応後に得られる沈澱物がフッ化物になりうるものであれば用いることができる。水酸化物やフッ化物以外の化合物の生成が抑制でき、また取扱いが容易である点で、フッ化水素酸の濃度は40〜55重量%程度が好ましい。
エタノールやアセトンなどフッ化物蛍光体の溶解度が低い溶媒を、原料反応液を混合し蛍光体含有スラリーを生成させる際に混合してもよいエタノールや水、アセトンなどを含む溶液はそのまま用いてもよいしHF酸と混合して使用してもよい。また予め上記原料溶液に混合しておいてもよい。
原料溶解液を添加する速度には特に制限はなく、たとえば、毎分1Lでも毎時1Lでもよい。特に、KSF蛍光体の場合、生成速度が速いため上記範囲内であればよい。また反応温度も特に制限はないが、KSF蛍光体の場合、液温が低い方がKSF蛍光体の溶解度が低いため収率が高くなるので好ましい。
(洗浄工程)
前記蛍光体スラリーを生成した後、蛍光体をろ過分離する前に、沈澱生成した蛍光体を洗浄する工程(洗浄工程)を有するのが好ましい。
本発明の蛍光体を合成する場合、原料の残留物や溶解時に生成した不純物が蛍光体中に残留する傾向にある。
特性向上のためには、これらの不純物をできる限り除去することが好ましい。本発明においては、不純物を除去することができれば洗浄方法に特に制限はない。例えばフッ化水素酸やフッ化水素カリウムとフッ化水素酸の混合液、あるいはヘキサフルオロ珪酸とフッ化水素酸の混合液など、生成した蛍光体が水酸化物等フッ化物の以外の化合物にならなければ任意の液で洗浄することができる。
特に原料の残留物や不純物を除去しやすい点で、フッ化水素酸を用いて洗浄することがよい。洗浄に用いるフッ化水素酸の濃度は、水酸化物やフッ化物以外の化合物の生成が抑制でき、また取扱いが容易である点で、40〜55重量%程度が好ましい。
蛍光体の洗浄を行う際のフッ化水素酸の重量は、蛍光体重量に対して、通常1倍以上、好ましくは3倍以上、より好ましくは5倍以上、また通常100倍以下好ましくは50倍以下である。
ここで、浸漬している間、静置でもよいが、作業効率の観点や洗浄により蛍光体の品質を低下するのを防ぐ点で、洗浄時間を短縮することができる程度に攪拌することが好まし
い。また、洗浄温度は、通常、室温であるが、必要に応じて水溶液を加熱してもよい。さらに過酸化水素水(H)などの酸化剤や還元剤を洗浄液に添加してもよい。
フッ化水素酸に蛍光体を浸漬する時間は、攪拌条件等によっても異なるが、通常10分以上、好ましくは1時間以上であり、また、通常24時間以下、好ましくは12時間以下である。また洗浄を複数回行ってもよいし、洗浄する液の種類や濃度を変えてもよい。
洗浄工程において、洗浄液に蛍光体を浸漬する作業を行った後、エタノールあるいはアセトン、メタノールなどを用いて沈澱反応液を置換しつつろ過を行うことが好ましい。
(分散・分級工程)
得られるフッ化物蛍光体は、粒状又は塊状となる。これをボールミルや振動ミル、ジェットミル等の一般的な分散機を使用して分散すると、蛍光体の発光特性が低下する傾向にある。これはフッ化物蛍光体が機械的な力に対して弱く、分散の力が強い上記の一般的な分散方法では粉砕されるためである。
そのため得られた蛍光体は、分散工程を経ずに、目開きの異なる篩で分散・分級処理し、篩を通過した粉末、あるいは篩上に残留した粉末を次工程に回すことが好ましい。
{蛍光体含有組成物}
本発明の蛍光体は、液体媒体と混合して用いることもできる。特に、本発明の蛍光体を発光装置等の用途に使用する場合には、これを液体媒体中に分散させた形態で用いることが好ましい。本発明の蛍光体を液体媒体中に分散させたものを、適宜「本発明における蛍光体含有組成物」などと呼ぶものとする。
[蛍光体]
本発明における蛍光体含有組成物に含まれる本発明の蛍光体の種類に制限は無く、上記したものから任意に選択することができる。また、本発明における蛍光体含有組成物に含まれる本発明の蛍光体は、1種のみであってもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。更に、本発明における蛍光体含有組成物には、本発明の効果を著しく損なわない限り、本発明の蛍光体以外の蛍光体を含有させてもよい。
[液体媒体]
本発明における蛍光体含有組成物に使用される液体媒体としては、該蛍光体の性能を目的の範囲で損なわない限り特に限定されない。例えば、所望の使用条件下において液状の性質を示し、本発明の蛍光体を好適に分散させるとともに、好ましくない反応を生じないものであれば、任意の無機系材料及び/又は有機系材料が使用でき、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミドシリコーン樹脂などが挙げられる。
[液体媒体及び蛍光体の含有率]
本発明における蛍光体含有組成物中の蛍光体及び液体媒体の含有率は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、蛍光体含有組成物全体に対して、通常20重量%以上、好ましくは40重量%以上であり、通常99重量%以下、好ましくは95重量%以下である。
[その他の成分]
なお、本発明における蛍光体含有組成物には、本発明の効果を著しく損なわない限り、蛍光体及び液体媒体以外に、その他の成分を含有させてもよい。また、その他の成分は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
{発光装置}
本発明の蛍光体は、第1の発光体(励起光源)と、当該第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する第2の発光体とを含む発光装置であって、該第2の発光体は本発明
の蛍光体を含有するものである。ここで、本発明の蛍光体は、何れか1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明の発光装置に含まれる蛍光体は、例えば、励起光源からの光の照射下において、橙色ないし赤色領域の蛍光を発する蛍光体を使用する。具体的には、発光装置を構成する場合、橙色ないし赤色蛍光体としては、600nm以上650nm以下の波長範囲を有する。
尚、励起源については、455nm未満の波長範囲に発光ピークを有するものを用いてもよい。
以下、本発明の蛍光体が、600nm以上650nm以下の波長範囲に発光ピークを有し、且つ第一の発光体が455nmの波長範囲に発光ピークを有するものを用いる場合の、発光装置の態様について記載するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
上記の場合、本発明の発光装置は、例えば、次の(A)又は(B)の態様とすることができる。
(A)第1の発光体として、455nmに発光ピークを有するものを用い、第2の発光体の第1の蛍光体として、560nm以上600nm未満の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも1種の蛍光体(黄色蛍光体)、及び、第2の発光体の第2の蛍光体として、本発明の蛍光体を用いる態様。
(B)第1の発光体として、455nmに発光ピークを有するものを用い、第2の発光体の第1の蛍光体として、500nm以上560nm未満の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも1種の蛍光体(緑色蛍光体)、及び第2の発光体の第2の蛍光体として、本発明の蛍光体を用いる態様。
(黄色蛍光体)
黄色蛍光体としては、例えば、下記の蛍光体が好適に用いられる。
ガーネット系蛍光体としては、例えば、(Y,Gd,Lu,Tb,La)(Al,Ga)12:(Ce,Eu,Nd)、
オルソシリケートとしては、例えば、(Ba,Sr,Ca,Mg)SiO:(Eu,Ce)、
(酸)窒化物蛍光体としては、例えば、(Ba,Ca,Mg)Si:Eu(SION系蛍光体)、(Li,Ca)(Si,Al)12(O,N)16:(Ce,Eu)(α−サイアロン蛍光体)、(Ca,Sr)AlSi(O,N):(Ce,Eu)(1147蛍光体)、(La,Ca,Y)(Al,Si)11:Ce(LSN蛍光体)
などが挙げられる。
尚、上記蛍光体においては、ガーネット系蛍光体が好ましく、中でも、YAl12:Ceで表されるYAG系蛍光体が最も好ましい。
(緑色蛍光体)
緑色蛍光体としては、例えば、下記の蛍光体が好適に用いられる。
ガーネット系蛍光体としては、例えば、(Y,Gd,Lu,Tb,La)(Al,Ga)12:(Ce,Eu,Nd)、Ca(Sc,Mg)Si12:(Ce,Eu)(CSMS蛍光体)、
シリケート系蛍光体としては、例えば、(Ba,Sr,Ca,Mg)SiO10:(Eu,Ce)、(Ba,Sr,Ca,Mg)SiO:(Ce,Eu)(BSS蛍光体)、
酸化物蛍光体としては、例えば、(Ca,Sr,Ba,Mg)(Sc,Zn):(Ce,Eu)(CASO蛍光体)、
(酸)窒化物蛍光体としては、例えば、(Ba,Sr,Ca,Mg)Si
(Eu,Ce)、Si6−zAl8−z:(Eu,Ce)(β−サイアロン蛍光体)(0<z≦1)、(Ba,Sr,Ca,Mg,La)(Si,Al)12:(Eu,Ce)(BSON蛍光体)、
アルミネート蛍光体としては、例えば、(Ba,Sr,Ca,Mg)Al1017:(Eu,Mn)(GBAM系蛍光体)
などが挙げられる。
(赤色蛍光体)
本発明の発光装置においては、本発明の蛍光体の他に、その他の赤色蛍光体を併用してもよい。その他の赤色蛍光体としては、例えば、下記の蛍光体が好適に用いられる。
硫化物蛍光体としては、例えば、(Sr,Ca)S:Eu(CAS蛍光体)、LaS:Eu(LOS蛍光体)、
ガーネット系蛍光体としては、例えば、(Y,Lu,Gd,Tb)MgAlSi12:Ce、
ナノ粒子としては、例えば、CdSe、
窒化物または酸窒化物蛍光体としては、例えば、(Sr,Ca)AlSiN:Eu(S/CASN蛍光体)、(CaAlSiN1−x・(SiO:Eu(CASON蛍光体)、(La,Ca)(Al,Si)11:Eu(LSN蛍光体)、(Ca,Sr,Ba)Si(N,O):Eu(258蛍光体)、(Sr,Ca)Al1+xSi4−x7−x:Eu(1147蛍光体)、M(Si,Al)12(O,N)16:Eu(Mは、Ca、Srなど)(αサイアロン蛍光体)、Li(Sr,Ba)Al:Eu(上記のxは、いずれも0<x<1)などが挙げられる。
[発光装置の構成]
本発明の発光装置は、第1の発光体(励起光源)を有し、且つ、第2の発光体として少なくとも本発明の蛍光体を使用している他は、その構成は制限されず、公知の装置構成を任意にとることが可能である。
装置構成及び発光装置の実施形態としては、例えば、特開2007−291352号公報に記載のものが挙げられる。
その他、発光装置の形態としては、砲弾型、カップ型、チップオンボード、リモートフォスファー等が挙げられる。
本発明の発光装置の用途は特に制限されず、通常の発光装置が用いられる各種の分野に使用することが可能であるが、色再現範囲が広く、且つ、演色性も高いことから、中でも照明装置や画像表示装置の光源として、とりわけ好適に用いられる。
{照明装置}
本発明の照明装置は、本発明の発光装置を光源として備える。
本発明の発光装置を照明装置に適用する場合には、前述のような発光装置を公知の照明装置に適宜組み込んで用いればよい。例えば、保持ケースの底面に多数の発光装置を並べた面発光照明装置等を挙げることができる。
{画像表示装置}
本発明の画像表示装置は、本発明の発光装置を光源として備えることを特徴とする。
本発明の発光装置を画像表示装置の光源として用いる場合には、その画像表示装置の具体的構成に制限は無いが、カラーフィルタとともに用いることが好ましい。例えば、画像表示装置として、カラー液晶表示素子を利用したカラー画像表示装置とする場合は、上記発光装置をバックライトとし、液晶を利用した光シャッターと赤、緑、青の画素を有するカラーフィルタとを組み合わせることにより画像表示装置を形成することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限り、下記の実施例に限定されるものではない。
{測定方法}
[発光特性の測定]
蛍光体の発光スペクトルの測定は、励起光源として150Wキセノンランプを、スペクトル測定装置としてマルチチャンネルCCD検出器C7041(浜松フォトニクス社製)を備える蛍光測定装置(日本分光社製)を用いた。発光ピーク波長、および発光ピークの半値幅は、得られる発光スペクトルから算出した。
{蛍光体の製造}
(実施例1)
下記の方法で蛍光体を合成した。
Mn源としては、K:Mn:Fの組成比率が2.18:1:5.94で、かつ、CuKα線(1.5418Å)を用いて測定された粉末X線回折パターンにおいて領域nにおけるピーク強度比Irnが下記である、KMF系化合物を用いた。
r1=0.07
r2=0.45
r3=0.16
r4=0.03
KMF系化合物21.7gとSi:Mnのモル比率が0.9:0.1となるように秤量したHSiFを47重量%HF1100ml中で溶解混合して得た溶液Aに、Si+Mn:Kのモル比が1:2となるように秤量したKHFを47重量%HF250ml中に溶解して得た溶液Bを混合して、KSiF:Mn4+を含有する蛍光体含有スラリーを得た。
次いで、KSiF:Mn4+を含有する蛍光体含有スラリーを静置して蛍光体を沈降させた後、未反応のMnやKやSiが残留する上澄み液を捨て、さらに蛍光体重量の10倍の47重量%HF溶液を加えて30分撹拌しその後静置し蛍光体を沈降させ上澄み液を捨てて洗浄し、ろ過し、エタノールで洗浄した後、100℃で15時間乾燥させて実施例1の蛍光体を得た。
実施例1の蛍光体の発光ピーク波長は631nm、主発光ピークの半値幅は6nmで、発光輝度はKSF蛍光体BR−301/C(三菱化学製)の発光輝度を100%とした相対値で115%であった。
(比較例1)
Mn源としては、K:Mn:Fの組成比率が2.10:1:5.33で、かつ、CuKα線(1.5418Å)を用いて測定された粉末X線回折パターンにおいて領域nにおけるピーク強度比Irnが下記である、KMF系化合物を用いた他は、実施例1と同様にして蛍光体を作製して、比較例1の蛍光体を得た。
r1=1.08
r2=0.36
r3=0.85
r4=0.33
比較例1の蛍光体の発光ピーク波長は631nm、主発光ピークの半値幅は6nmで、発光輝度はKSF蛍光体BR−301/C(三菱化学製)の発光輝度を100%とした相対値で98%であった。
各蛍光体の特性を表1に纏めた。
Figure 2018039920
表1に示すが如く、本発明の製造方法で得られた蛍光体は、発光輝度に優れる。より具体的には、比較例1の蛍光体に較べて、実施例1の蛍光体は15ポイント以上も発光輝度が高い。
{発光装置}
実施例1の蛍光体および比較例1の蛍光体をそれぞれ用いた発光装置を下記の通り作成して、LED光束(lm/w)およびLED耐久性(Δx)の測定を行った。
(発光装置の作成)
(LED試験について)
実施例1〜3の蛍光体、β-SiALON蛍光体BG−601/E(三菱化学社製)(
緑色発光成分蛍光体)を所定混合比で混合してなる混合物を、増粘剤としてアエロジル(RX200)を5%含むシリコーン樹脂KER−2500(信越化学社製)に添加し分散させた蛍光体含有組成物を調製し、810μm角のInGaN系の青色LEDチップ1個を5050SMD型セラミックパッケージに実装し、上記各蛍光体を分散させたシリコーン樹脂(蛍光体含有組成物)で封止することにより実施例1の蛍光体を含む実施例1の白色LEDおよび比較例1の蛍光体を含む比較例1の白色LEDを得た。
作製した白色LEDにおける青色LEDチップの発光ピーク波長は452.5〜455nmで、作製した白色LEDに350mAの電流を印加して発光させた。
なお白色LEDはその発光色度(x,y)がx=0.276、y=0.263になるように、実施例1あるいは比較例1の蛍光体とβ-SiALON蛍光体との混合比、および
蛍光体を分散したシリコーン樹脂での封止量を調製した。
各LEDの特性を表2に纏めた。
(光束の測定およびLED耐久性試験)
発光装置に350mAの電流を通電し、積分球を備えた分光測定装置で通電0時間におけるLED光束と発光スペクトルを測定した。
次いで、85℃設定の恒温槽内で半導体発光装置を駆動電流150mAで連続通電し、通電開始から200時間の時点において恒温槽から半導体発光装置を取り出し、時刻0の場合と同様にして発光スペクトルを測定した。
200時間経過後に得られた発光スペクトルより算出された色度座標xと時刻0の色度座標xとの差(Δx)で、実施例1の蛍光体および比較例1の蛍光体の耐久性を評価した。
この結果を表2に示した。
Figure 2018039920
表2に示すが如く、本発明のフッ化物蛍光体を用いた発光装置は、発光効率が高くまた耐久性に優れることがわかる。

Claims (2)

  1. 少なくともK、Mn、Fを含む化合物を用いるフッ化物蛍光体の製造方法であって、
    該化合物は、K:Mn:F=p:1:q(但し、pおよびqは、それぞれ1.7≦p≦2.3、5≦q≦7を表す)を満たし、
    かつ該化合物が、CuKα線(1.5418Å)を用いて測定された粉末X線回折パターンにおいて下記に示す領域1〜4にピークを有し、領域n(nは1〜4の自然数を表す)におけるピーク強度比Irnが下記を満たすことを特徴とする、フッ化物蛍光体の製造方法。
    ただし、ピーク強度比Irnは、2θが10゜以上60゜以下の範囲の粉末X線回折パターンにおいて、2θが17゜以上20゜以下の範囲に存在する最強ピークの高さImaxに対する該当ピークの高さIの比I/Imaxである。ここで、ピーク強度はバックグラウンド補正を行って得た値である。
    領域1 20°≦2θ≦22°
    領域2 38°≦2θ≦40°
    領域3 40°≦2θ≦42°
    領域4 46°≦2θ≦48°
    r1≦0.3
    r2≧0.4
    r3≦0.5
    r4≦0.1
  2. フッ化物蛍光体が、下記式[1]で表されることを特徴とする、請求項1に記載のフッ化物蛍光体の製造方法。
    MnSi [1]
    (上記式[1]中、m、a、b、cは、各々独立に、下記式を満たす値である。
    0<m≦0.2
    1.6≦a≦2.4
    m+b=1
    4.8≦c≦7.2)
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