JP2015113358A - 蛍光体、蛍光体含有組成物、発光装置、照明装置、画像表示装置、及び蛍光体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】発光特性、特に、発光輝度が高く、更に発光装置に用いた場合に、色ムラが生じ難いLuAG系蛍光体の提供。また、前記LuAG系蛍光体を含み、高品質の、発光装置、並びに画像表示装置及び照明装置の提供。
【解決手段】蛍光体原料を焼成する工程を経て製造される、下記式[1]で表される蛍光体であって、蛍光体原料を焼成する工程後の、該蛍光体のQDが0.31以下である、蛍光体。LuCeAl12[1](AはY、Gd、TbおよびLaからなる群から選ばれる1種又は2種以上を含む元素;MはGa又はScを含む元素。尚、a、b、c、d、eは、各々、下記の範囲の値である。1≦a≦3 0≦b<1.5 0<c<1 1<d≦5 0≦e<4)更にBaを30〜120ppm含むBを5〜50ppm含有する、蛍光体組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、紫外線から青色まで光による励起で発光し、青緑色から黄緑色の蛍光を発する蛍光体、及びその蛍光体を用いた蛍光体含有組成物及び発光装置、並びに、その発光装置を用いた画像表示装置及び照明装置に関する。
近年、半導体発光素子(LED)として種々の発光ダイオードやレーザーダイオードが開発されている。特に、紫外域から可視光域の短波長側で効率よく発光可能なLEDチップとして窒化物半導体を用いたLEDチップが開発されている。
このLEDチップ上に、LEDチップからの1次光の一部を吸収して発光する蛍光体を配置して、白色をはじめとする種々の発光色のLEDが開発されている。
白色LEDの代表的なものとしては、青色発光するLEDチップと黄色蛍光体(例えば、イットリウム・アルミニウム・ガーネット蛍光体:YAG蛍光体)とを組み合わせたLEDが挙げられる。しかしながら、該LEDでは、青色発光と黄色発光の2色で白色発光させる為、青白い発光であり、演色性が十分ではなく、更なる改良が求められていた。
演色性を向上させるには、光の3原色である青、緑、赤の混色によって、より自然光に近い白色光が得られることが考えられる。この構成として、例えば、LEDの構成としては、例えば、紫外域から可視光域の1次光を発するLEDチップと、該1次光によって励起して、赤色、青色、緑色を各々発光する蛍光体との組み合わせが挙げられる。
この場合、特に青緑色は、LED照明装置の演色性への寄与が大きく、緑色は画像表示装置の色再現範囲への寄与が大きく、黄緑色はLED照明装置の発光効率への寄与が大きいため、青緑色から黄緑色に発光する蛍光体の発光特性への要求は高いものとなっている。
緑色蛍光体の開発としては、例えば、特許文献1及び2では、LuAl12:Ce3+(LuAG蛍光体;ルテチウム・アルミ・ガーネット構造)を用いることが開示されている。
しかしながら、これらのLuAGは、発光特性が十分でない場合があり、更なる改良が求められている。
LuAG蛍光体の更なる改良としては、例えば、特許文献3ではフッ化バリウム(BaF)を、特許文献4ではホウ酸(HBO)とフッ化アルミニウム(AlF)を、それぞれ、LuAG系蛍光体を製造する際に、フラックスとして用いて発光特性を向上することについて開示されている。
特表2009−539219号公報 特表2008−533270号公報 特開2005−146172号公報 特開2005−008844号公報
しかしながら、特許文献3及び4に記載のLuAG系蛍光体では、発光特性が十分でな
かったり、発光装置に用いた場合に色ムラが生じたりする場合があることを見出した。
上記の現象は、特に、Luの含有量が多い蛍光体を用いる場合に生じ易いことも見出した。
即ち、本発明は、上記を鑑み、発光特性、特に、発光輝度が高く、更に発光装置に用いた場合に、色ムラが生じ難いLuAG系蛍光体を提供することを課題とする。
本発明はまた、前記LuAG系蛍光体を含み、高品質の、発光装置、並びに画像表示装置及び照明装置を提供することを課題とする。
本発明者等は鋭意検討を行った結果、上記蛍光体の発光特性が不十分であったり、発光装置に色ムラが生じたりする原因が、製造された蛍光体の粒径や形状によるものであることを見出した。
より具体的には、特許文献3及び4に記載のフラックスの適用により結晶成長を促進するものの、蛍光体の成長が一様でないことによる粒径のバラつき及び粒径の増加に伴う蛍光体の形状の不規則に起因するものである。
これらの知見を基にして、更に検討を行った結果、QDを特定値以下とすることで、上記課題を解決し得ることを見出して、本発明に到達した。
即ち、本発明の要旨は、蛍光体原料を焼成する工程を経て製造される、下記式[1]で表される蛍光体(以下、単に「LuAG系蛍光体」と称する場合がある)であって、蛍光体原料を焼成する工程後の、該蛍光体のQDが0.31以下であることを特徴とする蛍光体、蛍光体組成物、発光装置、画像表示装置及び照明装置に存する。
LuCeAl12 [1]
(式[1]中、
Aは、Y、Gd、TbおよびLaからなる群から選ばれる1種又は2種以上を含む元素を表し、
Mは、Ga又はScを含む元素を表す。
尚、a、b、c、d、eは、各々、下記の範囲の値である。
1≦a≦3
0≦b<1.5
0<c<1
1<d≦5
0≦e<4)
本発明の別の要旨は、LuAG系蛍光体の製造方法であって、蛍光体原料を焼成する工程で、ホウ素化合物及びバリウム化合物を存在させることを特徴とする蛍光体の製造方法に存する。
本発明は、発光特性、特に、発光輝度が高く、更に発光装置に用いた場合に、色ムラが生じ難いLuAG系蛍光体を提供することが可能となる。
本発明はまた、前記LuAG系蛍光体を含み、高品質の、発光装置、並びに画像表示装置及び照明装置を提供することが可能となる。
本発明の発光装置の一実施例を表す模式的斜視図である。 図2(a)は、本発明の砲弾型発光装置の一実施例を表す模式的断面図であり、図2(b)は、本発明の表面実装型発光装置の一実施例を表す模式的断面図である。 本発明の照明装置の一実施例を表す模式的断面図である。 本願実施例1で作成したLuAG系蛍光体の走査型電子顕微鏡(SEM)での写真である。 本願比較例1で作成したLuAG系蛍光体の走査型電子顕微鏡(SEM)での写真である。
以下、本発明について実施形態や例示物を示して説明するが、本発明は以下の実施形態や例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
また、本明細書中の蛍光体の組成式において、各組成式の区切りは読点(、)で区切って表わす。また、カンマ(,)で区切って複数の元素を列記する場合には、列記された元素のうち一種又は二種以上を任意の組み合わせ及び組成で含有していてもよいことを示している。例えば、「(Ca,Sr,Ba)Al:Eu」という組成式は、「CaAl:Eu」と、「SrAl:Eu」と、「BaAl:Eu」と、「Ca1−xSrAl:Eu」と、「Sr1−xBaAl:Eu」と、「Ca1−xBaAl:Eu」と、「Ca1−x−ySrBaAl:Eu」とを全て包括的に示しているものとする(但し、前記式中、0<x<1、0<y<1、0<x+y<1)。
<蛍光体について>
本発明の蛍光体は、下記式[1]で表される蛍光体である。
LuCeAl12 [1]
(式[1]中、
Aは、Y、Gd、TbおよびLaからなる群から選ばれる1種又は2種以上を含む元素を表し、
Mは、Ga又はScを含む元素を表す。
尚、a、b、c、d、eは、各々、下記の範囲の値である。
1≦a≦3
0≦b<1.5
0<c<1
1<d≦5
0≦e<4)
前記式[1]において、「Lu」はルテチウム元素を表す。Luは、ルテチウムを主成分としていればよく、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)等を含有していてもよい。
「Luを主成分とする」とは、ランタン(La)、セリウム(Ce)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)を除く全希土類にイットリウム(Y)を加えた元素全体に対するルテチウム元素の占める割合が、95モル%以上が好ましく、99モル%以上がより好ましく、99.9モル%以上が特に好ましい。
上記範囲内であると、不純物が生成されにくく、目的組成の蛍光体が得られやすい点で好ましい。
前記式[1]において、Aは、イットリウム(Y)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)及びランタン(La)からなる群から選ばれる1種又は2種以上を含む元素を表す。
これらの元素の中でも、発光スペクトルのピーク波長がより長波長になる点で、ガドリニウム(Gd)であることが好ましい。
A元素全体に対するランタン(La)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)およびイットリウム(Y)の占める割合は、95モル%以上が好ましく、99モル%以上がより好ましく、99.9モル%以上が特に好ましい。
前記式[1]において、「Al」はアルミニウム元素を表す。Alは、アルミニウム元素を主成分としていればよく、ケイ素(Si)、マグネシウム(Mg)等の元素を含有していてもよい。
「Alを主成分とする」とは、アルミニウムにM元素を加えた元素全体に対するアルミニウム元素の占める割合が、20モル%以上が好ましく、50モル%以上がより好ましく、80モル%以上が特に好ましい。
上記範囲内であると、得られる蛍光体の発光特性、例えば、発光輝度や温度特性が良好な点で好ましい。
前記式[1]において、M元素は、ガリウム(Ga)又はスカンジウム(Sc)を含む元素を表す。
これらの元素の中でも、発光スペクトルのピーク波長がより短波長になる点で、ガリウム(Ga)であることが好ましい。
M元素全体に対するガリウム(Ga)およびスカンジウム(Sc)の占める割合は、95モル%以上が好ましく、98モル%以上がより好ましく、99モル%以上が特に好ましい。
前記式[1]において、「Ce」はセリウム元素を表す。Ceは、セリウム元素を主成分としていればよく、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)等を含有していてもよい。
「Ceを主成分とする」とは、ルテチウム(Lu)、ランタン(La)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)を除く全希土類にイットリウム(Y)を加えた元素全体に対するセリウム元素の占める割合が、95モル%以上が好ましく、99モル%以上がより好ましく、99.9モル%以上が特に好ましい。
前記式[1]において、「O」は、酸素を示す。Oは、酸素を主成分としていればよく、得られる蛍光体の特性に影響を与えない範囲内で、F、Cl等を含有していてもよい。
また、本発明の蛍光体は、上述した各構成元素の他に、本発明の効果に影響を与えない範囲内で他の元素を含有していてもよい。
aは、通常1≦a≦3を満たす数字であり、その下限値は、好ましくは1.5、より好ましくは2である。
bは、通常0≦b<1.5を満たす数字であり、その上限値は、好ましくは1、より好ましくは0.5である。
上記範囲内であると、得られる蛍光体の発光特性、例えば、発光輝度が良好な点で好ましい。
cは、通常0<c<1を満たす数字であり、その下限値は、好ましくは0.001、より好ましくは0.005、またその上限値は、好ましくは0.3、より好ましくは0.2である。
上記範囲内であると、得られる蛍光体の発光特性、例えば、発光輝度が良好な点で好ましい。
dは、通常1<d≦5を満たす数字であり、その下限値は、好ましくは2、より好ましくは3である。
eは、通常0≦e<4を満たす数字であり、その上限値は、好ましくは3.5、より好ましくは3である。
上記範囲内であると、得られる蛍光体の、発光特性、例えば、発光輝度が良好な点で好ましい。
本発明のLuAG系蛍光体におけるバリウムの含有量は、好ましくは30ppm以上、好ましくは120ppm以下であり、下限値について、より好ましくは40ppm、更に好ましくは50ppm、また上限値についてはより好ましくは100ppm、更に好ましくは80ppm、である。
また、本発明のLuAG系蛍光体におけるホウ素の含有量は、好ましくは5ppm以上、好ましくは50ppm以下であり、下限値について、より好ましくは10ppm、更に好ましくは20ppm、また上限値についてはより好ましくは45ppm、更に好ましくは40ppm、である。
<QDについて>
本発明におけるQDとは、下記式[2]で表される値である。
QD=(d75−d25)/(d25+d75) ・・・ [2]
(式[2]中、
25は、粒度体積分布における粒径の小さい方からの累積分布が25%に相当する粒径を表し、
75は、粒度体積分布における粒径の小さい方からの累積分布が75%に相当する粒径を表す。)
本発明のLuAG系蛍光体におけるQDは、通常0.31以下であり、好ましくは0.29以下、より好ましくは0.27以下である。
QDが小さい蛍光体は、蛍光体の粒度分布が狭いことを表している。
上記範囲内であると、結晶成長が一様であり、且つ蛍光体の形状が規則的であるため、本発明の効果が良好に得られやすい点で好ましい。
尚、上記蛍光体のQDの測定は、後述の蛍光体の製造方法において、蛍光体原料を焼成する工程後の蛍光体のQDであり、分散および分級工程後の蛍光体のものではない。
(QDの測定方法)
本発明におけるQDは、コールターカウンタMultisizer3(ベックマン・コールター社製)を用いて測定する。蛍光体を電解質入り分散媒(たとえば塩化ナトリウム水溶液など)に分散させ、蛍光体粒子がアパチャー(細孔)を通過したときの電気抵抗値から、体積分布と個数分布を評価するもので、粒度体積分布における粒径の小さい方からの累積分布が25%に相当する粒径d25(μm)と75%に相当する粒径d75(μm)を求める。これらd25、d75と式[2]より、QDを求める。
<蛍光体の特性>
(結晶相の構造)
本発明の蛍光体は、ガーネット型結晶構造、すなわち結晶相の空間群が Ia3dに分
類される結晶構造を有するものである。空間群は、電子回折、又は収束電子回折により一義的に求めることができる。
(発光ピーク波長)
本発明の蛍光体は、波長455nmの光で励起した場合における発光スペクトルを測定した際の発光ピーク波長λpが、通常490nm以上、好ましくは500nm以上、より好ましくは510nm以上、また、通常580nm以下、好ましくは570nm以下、よ
り好ましくは560nm以下の波長範囲に発光ピークを有する。即ち、青緑色から黄緑色の発光色を有するものである。
(CIE色度座標)
本発明の蛍光体のCIE色度座標のx値は、通常0.240以上、好ましくは0.280以上、より好ましくは0.300以上であり、通常0.500以下、好ましくは0.460以下、より好ましくは0.430以下である。また、本発明の蛍光体のCIE色度座標のy値は、通常0.480以上、好ましくは0.500以上であり、通常0.620以下、好ましくは0.600以下である。
(励起波長)
本発明の蛍光体は、通常300nm以上、好ましくは330nm以上、より好ましくは360nm以上、また、通常500nm以下、好ましくは480nm以下、より好ましくは460nm以下の波長範囲に励起ピークを有する。即ち、紫外から青色領域の光で励起される。
(内部量子効率)
本発明の蛍光体の内部量子効率(η)は、通常80%以上、好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上である。
尚、上記した蛍光体の各特性は、後述の実施例の項に記載の測定方法により求めることができる。
<蛍光体の製造方法>
本発明のLuAG系蛍光体は、前記式[1]の組成となるように、各蛍光体原料を混合し、得られた蛍光体原料混合物を焼成することにより製造することが可能である。
蛍光体原料としては、金属化合物、金属などを用いる。例えば、上記式[1]で表わされる組成を有する蛍光体を製造する場合、Lu元素の原料(以下適宜「Lu源」という)、A元素の原料(以下適宜「A源」という)、Al元素の原料(以下適宜「Al源」という)、M元素の原料(以下適宜「M源」という)、O元素の原料(以下適宜「O源」という)、Ce元素の原料(以下適宜「Ce源」という)から必要な組み合わせを混合し(混合工程)、得られた混合物を焼成し(焼成工程)、得られた焼成物を、必要に応じて、分散・分級や洗浄する(後処理工程)ことにより製造することができる。
尚、蛍光体原料混合物を焼成する工程において、バリウム化合物とホウ素化合物を存在させることで、本発明のLuAG系蛍光体が得られやすい点で好ましい。
以下に、本発明のLuAG系蛍光体の製造方法の一例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(蛍光体原料)
本発明のLuAG系蛍光体の製造方法において使用される蛍光体原料としては、公知のものを用いることができる。
上記Lu源の具体例としては、酸化ルテチウム(Lu)、蓚酸ルテチウム(Lu(C)、炭酸ルテチウム(Lu(CO)などが挙げられる。中でも、酸化ルテチウム(Lu)が好ましい。
上記A源としてのGd源の具体例としては、酸化ガドリニウム(Gd)、蓚酸ガドリニウム(Gd(C)、炭酸ガドリニウム(Gd(CO)などが挙げられる。
上記Al源としては、酸化アルミニウム(Al)、水酸化アルミニウム(Al(OH))、弗化アルミニウム(AlF)、などが挙げられる。
上記M源としてのGa源の具体例としては、酸化ガリウム(Ga)、水酸化ガリウム(Ga(OH))などが挙げられる。
上記Ce源としては、酸化セリウム(CeO2)、弗化セリウム(CeF)、炭酸セリ
ウム(Ce(CO)などが挙げられる。
更には、これらの炭酸塩や水酸化物、金属、塩化物、フッ化物などの熱処理を経た後に酸化物になりうる化合物であれば原料として用いることができる。
なお、前記式[1]におけるO源(酸素)は、Lu源、A源、Al源、M源(Ga源、Sc源)、Ce源から供給されてもよいし、焼成雰囲気から供給されてもよい。また、各原料には、不可避的不純物が含まれていてもよい。
(混合工程)
本発明の製造方法においては、通常、目的組成が得られるように蛍光体原料を秤量し、ボールミル等を用いて充分に混合し、蛍光体原料混合物を得る(混合工程)。
上記混合手法としては、特に限定はされないが、具体的には、下記(A)及び(B)の手法が挙げられる。
(A)例えばハンマーミル、ロールミル、ボールミル、ジェットミル等の乾式粉砕機、又は、乳鉢と乳棒等を用いる粉砕と、例えばリボンブレンダー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー等の混合機、又は、乳鉢と乳棒を用いる混合とを組み合わせ、前述の蛍光体原料を粉砕混合する乾式混合法。
(B)前述の蛍光体原料に水等の溶媒又は分散媒を加え、例えば粉砕機、乳鉢と乳棒、又は蒸発皿と撹拌棒等を用いて混合し、溶液又はスラリーの状態とした上で、噴霧乾燥、加熱乾燥、又は自然乾燥等により乾燥させる湿式混合法。
蛍光体原料の混合は、上記湿式混合法又は乾式混合法のいずれでもよいが、水分による蛍光体原料の汚染を避けるために、乾式混合法や非水溶性溶媒を使った湿式混合法がより好ましい。
(フラックスの添加)
本発明の製造方法においては、蛍光体原料を焼成する工程で、ホウ素化合物及びバリウム化合物を存在させる。
ここで、用いられるホウ素化合物及びバリウム化合物は、フラックス(成長補助剤)として用いられる。
その為、本発明におけるホウ素化合物は、フラックスとしての効果を有するものではあれば特に制限はなく、有機物、無機物のいずれでもよいが、好ましくは焼成時に酸化ホウ素の形に変化する物質が好ましい。
具体的には、ホウ酸塩化合物が好ましく、より具体的には、酸化ホウ素、ホウ酸、アルカリ金属元素のホウ酸塩化合物が好ましい。ここで、アルカリ土類金属元素としてはBaが好ましい。
本発明におけるバリウム化合物も同様に、フラックスとしての効果を有するものであれば特に限定はなく、有機物、無機物のいずれでもよいが、バリウムのハロゲン化物であることが好ましい。また焼成時にバリウムのハロゲン化物の形に変化する物質であれば、バリウム化合物とハロゲン化物との併用であってもよい。この場合の具体例としては、炭酸バリウムとハロゲン化アンモニウムの混合物などが挙げられる。ハロゲン化物としてはフッ素(F)が好ましい。
その為、本発明におけるバリウム化合物としては、弗化バリウム、炭酸バリウムと酸性弗化アンモニウムの混合物、などが特に好ましい。
上記したホウ素化合物及びバリウム化合物は、各々、1種を単独で用いてもよく、また異なる2種以上を併用して用いてもよい。
これらは水和物の形になっていてもよい。
本発明の製造方法で用いられるフラックスの使用量は、原料100重量部に対し、0.01重量部以上、20重両部以下であり、より好ましくは、0.1重量部以上、15重量部以下である。
フラックスの全使用量に対する、ホウ素化合物の使用量は、通常1重量部以上、好ましくは5重量部以上、また通常50重量部以下、好ましくは20重量部以下である。
また、フラックスの全使用量に対する、バリウム化合物の使用量は、通常50重量部以上、好ましくは80重量部以上、また通常99重量部以下、好ましくは95重量部以下である。
更に、バリウム化合物の使用量に対するホウ素化合物の使用量の比率(ホウ素化合物の使用量/バリウム化合物の使用量)は、通常0.01以上、好ましくは0.05以上、また通常0.5以下、好ましくは0.2以下である。
上記範囲内であると、本発明のLuAG系蛍光体が得られやすく、得られるLuAG系蛍光体の発光輝度が高い点で好ましい。
尚、ホウ素化合物及びバリウム化合物を含むフラックスは、蛍光体原料を焼成する際に存在すればよく、添加時期や方法などについては、本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、本発明の効果が得られやすい点で、焼成前の蛍光体原料にボールミル等を用いて充分に混合するのが好ましい。
混合手法としては、特に限定はされないが、具体的には、蛍光体原料の混合と同様であり上記(A)及び(B)の手法が挙げられる。また、蛍光体原料の混合の際にフラックスを添加し混合してもよい。
尚、本発明の製造方法においては、特に、溶融反応温度が高い蛍光体原料を用いる場合に効果が大きい。つまり、本発明の蛍光体に特に有効である。
(焼成工程)
焼成温度については、通常1100℃以上、1800℃以下の温度範囲で、組成により適宜設定すればよい。焼成温度としては1300℃以上が好ましく、1400℃以上が特に好ましく、また、1700℃以下が好ましく、1600℃以下が特に好ましい。
焼成工程における焼成雰囲気は、本発明の蛍光体が得られる限り任意であるが、通常は、中性から還元性雰囲気である。具体的には、窒素雰囲気、水素含有窒素雰囲気が挙げられ、中でも水素含有窒素雰囲気が好ましい。
なお、焼成雰囲気の酸素含有量は、供給するガスの露点で管理し、通常露点50℃以下、好ましくは35℃以下にするとよい。
また、昇温速度は、通常2℃/分以上、好ましくは3℃/分以上、また、通常20℃/分以下、好ましくは15℃/分以下である。昇温速度がこの範囲を下回ると、焼成時間が長くなる可能性がある。また、昇温速度がこの範囲を上回ると、焼成装置、容器等が破損する場合がある。
焼成時間は、焼成時の温度や雰囲気等によっても異なるが、通常10分間以上、好ましくは1時間以上、また、通常48時間以下、好ましくは36時間以下、特に好ましくは24時間以下である。
また焼成工程で得られた蛍光体を、さらに焼成温度より低い温度で熱処理してもよい。焼成時に結晶中に生じた結晶欠陥や不純物の除去あるいは不安定な相を熱分解させるため
である。
(洗浄工程)
前記原料を焼成する工程の後に、焼成した物を洗浄する工程(洗浄工程)を有するのが好ましい。
特に、本発明の蛍光体とする際に、フラックスとしてホウ素化合物及びバリウム化合物を用いた場合、原料焼成物中に、フラックスの焼成残留分を主とする不純物や原料の未反応分が蛍光体中に残留したり、副反応分などが蛍光体中に生成する傾向にある。
特性向上のためには、フラックスや原料の残留分や焼成時に生成した不純物をできる限り除去する必要がある。本発明においては、不純物を除去することができれば洗浄方法に特に制限はない。例えば、塩酸や硝酸、あるいは水酸化ナトリウム水溶液、あるいは温水を用いることができるが、ガーネット型構造を有する蛍光体が酸に対して難溶性であること、フラックスや生成する不純物が水に対して難溶性であることを考慮すると酸を用いて洗浄することがよい。用いる酸としては硝酸、硫酸、塩酸、シュウ酸、及びリン酸などである。
前記酸水溶液は、通常0.01規定以上、好ましくは0.1規定以上であり、より好ましくは0.2規定以上であり、また、通常6規定以下、好ましくは4規定以下である。
上記範囲内であると、蛍光体中のフラックスや原料の残留分や焼成時に生成した不純物を効率よく除去することができる。
蛍光体の洗浄を行う際の「酸洗浄液」の重量は、用いる酸洗浄液の規定にもよるが、通常蛍光体重量の1倍以上、通常3倍以上、好ましくは5倍以上、通常100倍以下好ましくは50倍以下である。
ここで、浸漬している間、静置することにしても構わないが、作業効率の観点から、洗浄時間を短縮することができる程度に攪拌することが好ましい。また、通常、室温で作業を行うが、必要に応じて水溶液を加熱してもよい。さらに過酸化水素水(H)などの酸化剤や還元剤を添加してもよい。
蛍光体を、酸洗浄液に浸漬する時間は、攪拌条件等によっても異なるが、通常1時間以上、好ましくは2時間以上であり、また、通常24時間以下、好ましくは12時間以下である。また酸洗浄を複数回行ってもよい。
洗浄工程において、酸洗浄液に蛍光体を浸漬する作業を行った後、一般的な水洗、ろ過を行うことが好ましい。水洗における洗浄媒としては、通常、室温(25℃程度)の水を用いるが、必要に応じて加熱してもよい。
(分散工程)
得られる焼成物は、粒状又は塊状となる。これをボールミルや振動ミル、ジェットミル等の一般的な分散機を使用して所定の粒度に分散する。分散機の選択は焼成物の硬さに応じて選定されるが分散の強さから水分散ボールミルを用いるのが好ましく、分散媒として用いるボールはアルミナやジルコニアといった蛍光体を着色させない材質を選定するのがより好ましい。溶媒を用いた分散(湿式分散)で行うのか乾式で行うのかは選択した分散機に適した方法が選択される。分散する強度を強くし過ぎたり、分散機の運転時間を長くし過ぎると、焼成物が過度に粉砕され光を散乱しやすい微粒子を生成するだけでなく、粒子表面に結晶欠陥を生成し、発光効率の低下を引き起こす可能性がある。
焼成物は分散する前に篩を通過させ粒径を揃えることで、分散後の発光効率の低下を抑えることができるのでより好ましい。
なお分散工程を経ずに、焼成物を目開き48μm程度の篩分級処理し、篩を通過した粉末を次工程に回しても構わない。
(分級工程)
得られる焼成物は必要に応じてボールミル等による分散と目開き15〜60μmの篩や、水簸による分級によって、粗大粒子や微細粒子を除去する分級操作を組み合わせて、所望の粒径および粒度分布になるように調整する。ここでは、D50が約30μm以下になるように処理するとよい。
(蛍光体の被覆工程)
上記の通り得られた蛍光体の粒子表面に微粒子を付着させたり、粒子表面を薄膜で覆ってもよい。この場合の微粒子や薄膜は特に限定されないが、金属の酸化物や水酸化物、リン酸塩や炭酸塩など容易に分解しない化合物が好ましい。
<蛍光体含有組成物>
本発明の蛍光体は、液体媒体と混合して用いることもできる。特に、本発明の蛍光体を発光装置等の用途に使用する場合には、これを液体媒体中に分散させた形態で用いることが好ましい。本発明の蛍光体を液体媒体中に分散させたものを、適宜「本発明の蛍光体含有組成物」と呼ぶものとする。
(蛍光体)
上記蛍光体含有組成物に含有させる本発明の蛍光体の種類に制限は無く、任意に選択することができる。また、蛍光体含有組成物に含有させる本発明の蛍光体は、1種のみであってもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。更に、蛍光体含有組成物には、本発明の効果を著しく損なわない限り、本発明の蛍光体以外の蛍光体を含有させてもよい。
(液体媒体)
本発明の蛍光体含有組成物に使用される液体媒体としては、該蛍光体の性能を目的の範囲で損なわない限りにおいて特に限定されない。例えば、所望の使用条件下において液状の性質を示し、本発明の蛍光体を好適に分散させるとともに、好ましくない反応を生じないものであれば、任意の無機系材料及び/又は有機系材料が使用できる。
これら、無機材料及び有機材料の具体例としては、例えば、特開2007−291352号公報の[蛍光体含有組成物]<液体媒体>の項に記載のものが挙げられる。
尚、液体媒体及び蛍光体の含有率も、上記公報に記載の態様が挙げられる。
<発光装置>
本発明の発光装置(以下、適宜「発光装置」という)は、第1の発光体(励起光源)と、当該第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する第2の発光体とを有する発光装置であって、該第2の発光体として本発明の蛍光体の1種以上を、第1の蛍光体として含有するものである。ここで、本発明の蛍光体は、何れか1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明の蛍光体としては、例えば、励起光源からの光の照射下において、青緑色から黄緑色領域の蛍光を発する蛍光体を使用する。具体的には、発光装置を構成する場合、本発明の青緑色から黄緑色蛍光体としては、490nm〜550nmの波長範囲に発光ピークを有するものが好ましく、本発明の青緑色から黄緑色蛍光体としては、530nm〜580nmの波長範囲に発光ピークを有するものが好ましい。
この場合、本発明の発光装置は、例えば、次の(A)又は(B)の態様とすることができる。
(A) 第1の発光体として、420nm以上500nm以下の波長範囲に発光ピークを有するものを用い、第2の発光体の第2の蛍光体として、580nm以上680nm以下
の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも1種の蛍光体を用いる。
(B) 第1の発光体として、300nm以上420nm以下の波長範囲に発光ピークを有するものを用い、第2の発光体の第2の蛍光体として、420nm以上500nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも1種の蛍光体と、580nm以上680nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも1種の蛍光体とを用いる。
本発明の蛍光体を使用することにより、本発明の発光装置は、紫外から青色領域までの発光を有する励起光源(第1の発光体)に対して高い発光効率、及び高い耐久性を示し、更には、照明装置、液晶ディスプレイ用光源等の白色発光装置に使用した場合に優れた発光装置となる。
また、本発明の発光装置に用いられる本発明の蛍光体の好ましい具体例としては、前述の本発明の蛍光体の項で例示した本発明の蛍光体や、後述の[実施例]の欄の各実施例に用いた蛍光体が挙げられる。
本発明の発光装置は、第1の発光体(励起光源)を有し、且つ、第2の発光体として少なくとも本発明の蛍光体を使用している他は、その構成は制限されず、公知の装置構成を任意にとることが可能である。装置構成の具体例については後述する。
本発明の発光装置の発光スペクトルにおける黄色領域の発光ピークとしては、530nm〜620nmの波長範囲に発光ピークを有するものが好ましく、橙色ないし赤色領域の発光ピークとしては、570nm〜780nmの波長範囲に発光ピークを有するものが好ましく、青色領域の発光ピークとしては、420nm〜500nmの波長範囲に発光ピークを有するものが好ましく、緑色領域の発光ピークとしては、490nm〜580nmの波長範囲に発光ピークを有するものが好ましい。
なお、発光装置の発光スペクトルは、気温25±1℃に保たれた室内において、オーシャン オプティクス社製の色・照度測定ソフトウェア及びUSB2000シリーズ分光器(積分球仕様)を用いて20mA通電して測定を行なうことができる。この発光スペクトルの380nm〜780nmの波長領域のデータから、JIS Z8701で規定されるXYZ表色系における色度座標として色度値(x,y,z)を算出できる。この場合、x+y+z=1の関係式が成立する。本明細書においては、前記XYZ表色系をXY表色系と称している場合があり、通常(x,y)で表記している。
また、発光効率は、前述のような発光装置を用いた発光スペクトル測定の結果から全光束を求め、そのルーメン(lm)値を消費電力(W)で割ることにより求められる。消費電力は、20mAを通電した状態で、Fluke社のTrue RMS Multimeters Model 187&189を用いて電圧を測定し、電流値と電圧値の積で求められる。
本発明の発光装置のうち、特に白色発光装置として、具体的には、第1の発光体として後述するような励起光源を用い、上述のような本発明の蛍光体の他、後述するような赤色の蛍光を発する蛍光体(以下、適宜「赤色蛍光体」という)、青色の蛍光を発する蛍光体(以下、適宜「青色蛍光体」という)、緑色の蛍光を発する蛍光体(以下、適宜「緑色蛍光体」という)、黄色の蛍光を発する蛍光体(以下、適宜「黄色蛍光体」という)等の公知の蛍光体を任意に組み合わせて使用し、公知の装置構成をとることにより得られる。
ここで、該白色発光装置の白色とは、JIS Z 8701により規定された、(黄みの)白、(緑みの)白、(青みの)白、(紫みの)白及び白の全てを含む意であり、このうち好ましくは白である。
<発光装置の構成(発光体)>
[第1の発光体]
本発明の発光装置における第1の発光体は、後述する第2の発光体を励起する光を発光するものである。
第1の発光体の発光波長は、後述する第2の発光体の吸収波長と重複するものであれば、特に制限されず、幅広い発光波長領域の発光体を使用することができる。通常は、紫外領域から青色領域までの発光波長を有する発光体が使用され、近紫外領域から青色領域までの発光波長を有する発光体を使用することが特に好ましい。
第1の発光体の発光ピーク波長の具体的数値としては、通常200nm以上が望ましい。このうち、近紫外光を励起光として用いる場合には、通常300nm以上、好ましくは330nm以上、より好ましくは360nm以上、また、通常420nm以下の発光ピーク波長を有する発光体を使用することが望ましい。また、青色光を励起光として用いる場合には、通常420nm以上、好ましくは430nm以上、また、通常500nm以下、好ましくは480nm以下の発光ピーク波長を有する発光体を使用することが望ましい。何れも、発光装置の色純度の観点からである。
第1の発光体としては、一般的には半導体発光素子が用いられ、具体的には発光LEDや半導体レーザーダイオード(semiconductor laser diode。以下、適宜「LD」と略
称する。)等が使用できる。その他、第1の発光体として使用できる発光体としては、例えば、有機エレクトロルミネッセンス発光素子、無機エレクトロルミネッセンス発光素子等が挙げられる。但し、第1の発光体として使用できるものは本明細書に例示されるものに限られない。
中でも、第1の発光体としては、GaN系化合物半導体を使用したGaN系LEDやLDが好ましい。なぜなら、GaN系LEDやLDは、この領域の光を発するSiC系LED等に比し、発光出力や外部量子効率が格段に大きく、本発明の蛍光体と組み合わせることによって、非常に低電力で非常に明るい発光が得られるからである。例えば、20mAの電流負荷に対し、通常GaN系LEDやLDはSiC系の100倍以上の発光ピーク強度を有する。GaN系LEDやLDにおいては、AlGaN発光層(ここでx、yは、AlとGaの組成比率を表す。)、GaN発光層又はInGaN発光層(ここでw、zは、InとGaの組成比率を表す。)を有しているものが好ましい。GaN系LEDにおいては、それらの中でもInGaN発光層を有するものは発光ピーク強度が非常に強いので特に好ましく、GaN系LEDにおいては、InGaN層とGaN層の多重量子井戸構造のものが発光ピーク強度は非常に強いので特に好ましい。
なお、上記においてX+Yの値は通常0.8〜1.2の範囲の値である。GaN系LEDにおいて、これら発光層にZnやSiをドープしたものやドーパント無しのものが発光特性を調節する上で好ましいものである。
GaN系LEDはこれら発光層、p層、n層、電極、及び基板を基本構成要素としたものであり、発光層をn型とp型のAlGaN層、GaN層、又はInGaN層などでサンドイッチにしたヘテロ構造を有しているものが、発光効率が高くて好ましく、更にヘテロ構造を量子井戸構造にしたものが、発光効率が更に高いため、より好ましい。
なお、第1の発光体は、1個のみを用いてもよく、2個以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
[第2の発光体]
本発明の発光装置における第2の発光体は、上述した第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する発光体であり、第1の蛍光体として前述の本発明の蛍光体を含有するとともに、その用途等に応じて適宜、後述する第2の蛍光体(赤色蛍光体、青色蛍光体、緑色蛍光体、橙色蛍光体、黄色蛍光体等)を含有する。ここで、本発明の蛍光体としては、前記<蛍光体について>の項に記載した本発明の蛍光体特有の性質を満足すればよく、
発光色については特に制限はない。また、例えば、第2の発光体は、第1及び第2の蛍光体を封止材料中に分散させて構成される。
上記第2の発光体中に用いられる、本発明の蛍光体以外の蛍光体の組成には特に制限はないが、その例を挙げると、結晶母体となる、Y、YVO、ZnSiO、YAl12、SrSiO等に代表される金属酸化物、SrSi等に代表される金属窒化物、Ca(PO)Cl等に代表されるリン酸塩及びZnS、SrS、CaS等に代表される硫化物、YS、LaS等に代表される酸硫化物等にCe、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb等の希土類金属のイオンやAg、Cu、Au、Al、Mn、Sb等の金属のイオンを付活元素又は共付活元素として組み合わせたものが挙げられる。
(第1の蛍光体)
本発明の発光装置における第2の発光体は、第1の蛍光体として、少なくとも上述の本発明の蛍光体を含有する。本発明の蛍光体は、何れか1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、第1の蛍光体としては、本発明の蛍光体以外にも、本発明の蛍光体と同色の蛍光を発する蛍光体(同色併用蛍光体)を用いてもよい。例えば、本発明の蛍光体が緑色蛍光体である場合、第1の蛍光体として、本発明の蛍光体と共に他種の緑色蛍光体を併用することができる。
他種の緑色蛍光体としては、(Ba,Sr)Si12:Eu、(Ba,Sr)SiO:Eu、CaScSi12:Ce、CaSc:Ce、(Ca,Sr)(Mg,Zn)(SiOCl:Eu、(Sr,Ca,Ba)(Al,Ga,In):Eu、(Mg,Ca,Sr,Ba)Si:Eu、及びβ−(Si,Al)12(O,N)16:Euからなる群より選ばれる1種又は2種以上の緑色蛍光体が好ましい。
(第2の蛍光体)
本発明の発光装置における第2の発光体は、その用途に応じて、上述の第1の蛍光体以外にも蛍光体(即ち、第2の蛍光体)を1種以上含有していてもよい。この第2の蛍光体は、第1の蛍光体とは発光ピーク波長が異なる蛍光体である。通常、これらの第2の蛍光体は、第2の発光体の発光の色調を調節するために使用されるため、第2の蛍光体としては第1の蛍光体とは異なる色の蛍光を発する蛍光体を使用することが多い。
例えば、第1の蛍光体が緑色蛍光体である場合、第2の蛍光体としては、例えば橙色ないし赤色蛍光体、青色蛍光体、黄色蛍光体等の緑色蛍光体以外の蛍光体が用いられる。
また、第1の蛍光体が黄色蛍光体である場合、第2の蛍光体としては、例えば橙色ないし赤色蛍光体、青色蛍光体、緑色蛍光体等の黄色蛍光体以外の蛍光体が用いられる。
本発明の発光装置に使用される第2の蛍光体の重量メジアン径は、通常10μm以上、中でも12μm以上、また、通常30μm以下、中でも25μm以下の範囲であることが好ましい。重量メジアン径が小さ過ぎると、輝度が低下し、蛍光体粒子が凝集してしまう傾向がある。一方、重量メジアン径が大き過ぎると、塗布ムラやディスペンサー等の閉塞が生じる傾向がある。
[橙色ないし赤色蛍光体]
第2の蛍光体として橙色ないし赤色蛍光体を使用する場合、当該橙色ないし赤色蛍光体は本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを使用することができる。この際、橙色ないし赤色蛍光体の発光ピーク波長は、通常570nm以上、好ましくは580nm以上、より好ましくは585nm以上、また、通常780nm以下、好ましくは700nm以下、より好ましくは680nm以下の波長範囲にあることが好適である。
このような橙色ないし赤色蛍光体としては、例えば、(Ca、Sr)AlSiN:Eu、(Mg,Ca,Sr,Ba)Si:EuやSrAlSi:Euで表さ
れるユーロピウム賦活アルカリ土類シリコンナイトライド系蛍光体、赤色領域の発光を行なう(Y,La,Gd,Lu)S:Euで表されるユーロピウム賦活希土類オキシカルコゲナイド系蛍光体等が挙げられる。
これら橙色ないし赤色蛍光体は、いずれか1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
[青色蛍光体]
第2の蛍光体として青色蛍光体を使用する場合、当該青色蛍光体は本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを使用することができる。この際、青色蛍光体の発光ピーク波長は、通常420nm以上、好ましくは430nm以上、より好ましくは440nm以上、また、通常500nm以下、好ましくは480nm以下、より好ましくは470nm以下、更に好ましくは460nm以下の波長範囲にあることが好適である。
このような青色蛍光体としては、(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Euで表されるユウロピウム賦活アルカリ土類マグネシウムアルミネート系蛍光体、(Mg,Ca,Sr,Ba)(PO(Cl,F):Euで表されるユウロピウム賦活アルカリ土類ハロホォスフェート系蛍光体、(Ca,Sr,Ba)Cl:Euで表されるユウロピウム賦活アルカリ土類クロロボレート系蛍光体、(Sr,Ca,Ba)Al:Eu又は(Sr,Ca,Ba)Al1425:Euで表されるユウロピウム賦活アルカリ土類アルミネート系蛍光体等が挙げられる。
これら青色蛍光体は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
[黄色蛍光体]
第2の蛍光体として黄色蛍光体を使用する場合、当該黄色蛍光体は本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを使用することができる。この際、黄色蛍光体の発光ピーク波長は、通常530nm以上、好ましくは540nm以上、より好ましくは550nm以上、また、通常620nm以下、好ましくは600nm以下、より好ましくは580nm以下の波長範囲にあることが好適である。
このような黄色蛍光体としては、各種の酸化物系、窒化物系、酸窒化物系、硫化物系、酸硫化物系等の蛍光体が挙げられる。
特に、RE12:Ce(ここで、REは、Y、Tb、Gd、Lu、La及びSmからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を表し、Mは、Al、Ga、及びScからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を表す。)で表されるガーネット構造を有するガーネット系蛍光体等が挙げられる。
これら黄色蛍光体は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
[第2の蛍光体の選択]
上記第2の蛍光体としては、1種類の蛍光体を単独で使用してもよく、2種以上の蛍光体を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、第1の蛍光体と第2の蛍光体との比率も、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。従って、第2の蛍光体の使用量、並びに、第2の蛍光体として用いる蛍光体の組み合わせ及びその比率等は、発光装置の用途等に応じて任意に設定すればよい。
本発明の発光装置において、以上説明した第2の蛍光体(橙色ないし赤色蛍光体、黄色
蛍光体、青色蛍光体等)の使用の有無及びその種類は、発光装置の用途に応じて適宜選択すればよい。
一方、本発明の発光装置を白色発光の発光装置として構成する場合には、所望の白色光が得られるように、第1の発光体と、第1の蛍光体(本発明の蛍光体)と、第2の蛍光体を適切に組み合わせればよい。
また、本発明の蛍光体は、他の蛍光体と混合(ここで、混合とは、必ずしも蛍光体同士が混ざり合っている必要はなく、異種の蛍光体が組み合わされていることを意味する。)して用いることができる。特に、上記に記載の組み合わせで蛍光体を混合すると、好ましい蛍光体混合物が得られる。なお、混合する蛍光体の種類やその割合に特に制限はない。
[封止材料]
本発明の発光装置において、上記第1及び/又は第2の蛍光体は、通常、封止材料である液体媒体に分散させて用いられる。
該液体媒体としては、前述の<蛍光体含有組成物>の項で記載したのと同様のものが挙げられる。
このような金属元素の存在形態は、封止部材の透明度を損なわなければ特に限定されず、例えば、メタロキサン結合として均一なガラス層を形成していてもよく、封止部材中に粒子状で存在していてもよい。粒子状で存在している場合、その粒子内部の構造はアモルファス状であっても結晶構造であってもよいが、高屈折率を与えるためには結晶構造であることが好ましい。また、その粒子径は、封止部材の透明度を損なわないために、通常は、半導体発光素子の発光波長以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下、特に好ましくは30nm以下である。例えばシリコーン系材料に、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化イットリウム、酸化ニオブ等の粒子を混合することにより、上記の金属元素を封止部材中に粒子状で存在させることができる。
また、上記液体媒体としては、更に、拡散剤、フィラー、粘度調整剤、紫外線吸収剤等公知の添加剤を含有していてもよい。
なお、これらの添加剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
[発光装置の構成(その他)]
本発明の発光装置は、上述の第1の発光体及び第2の発光体を備えていれば、そのほかの構成は特に制限されないが、通常は、適当なフレーム上に上述の第1の発光体及び第2の発光体を配置してなる。この際、第1の発光体の発光によって第2の発光体が励起されて(即ち、第1及び第2の蛍光体が励起されて)発光を生じ、且つ、この第1の発光体の発光及び/又は第2の発光体の発光が、外部に取り出されるように配置されることになる。この場合、第1の蛍光体と第2の蛍光体とは必ずしも同一の層中に混合されなくてもよく、例えば、第1の蛍光体を含有する層の上に第2の蛍光体を含有する層が積層する等、蛍光体の発色毎に別々の層に蛍光体を含有するようにしてもよい。
また、本発明の発光装置では、上述の励起光源(第1の発光体)、蛍光体(第2の発光体)及びフレーム以外の部材を用いてもよい。その例としては、前述の封止材料が挙げられる。該封止材料は、発光装置において、蛍光体(第2の発光体)を分散させる目的以外にも、励起光源(第1の発光体)、蛍光体(第2の発光体)及びフレーム間を接着する目的で用いたりすることができる。
[発光装置の実施形態]
以下、本発明の発光装置について、具体的な実施の形態を挙げて、より詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
本発明の発光装置の一例における、励起光源となる第1の発光体と、蛍光体を有する蛍光体含有部として構成された第2の発光体との位置関係を示す模式的斜視図を図1に示す。図1中の符号1は蛍光体含有部(第2の発光体)、符号2は励起光源(第1の発光体)としての面発光型GaN系LD、符号3は基板を表す。相互に接触した状態をつくるために、LD(2)と蛍光体含有部(第2の発光体)(1)とそれぞれ別個に作製し、それらの面同士を接着剤やその他の手段によって接触させてもよいし、LD(2)の発光面上に蛍光体含有部(第2の発光体)を製膜(成型)させてもよい。これらの結果、LD(2)と蛍光体含有部(第2の発光体)(1)とを接触した状態とすることができる。
このような装置構成をとった場合には、励起光源(第1の発光体)からの光が蛍光体含有部(第2の発光体)の膜面で反射されて外にしみ出るという光量損失を避けることができるので、装置全体の発光効率を良くすることができる。
図2(a)は、一般的に砲弾型と言われる形態の発光装置の代表例であり、励起光源(第1の発光体)と蛍光体含有部(第2の発光体)とを有する発光装置の一実施例を示す模式的断面図である。該発光装置(4)において、符号5はマウントリード、符号6はインナーリード、符号7は励起光源(第1の発光体)、符号8は蛍光体含有樹脂部、符号9は導電性ワイヤ、符号10はモールド部材をそれぞれ指す。
また、図2(b)は、表面実装型と言われる形態の発光装置の代表例であり、励起光源(第1の発光体)と蛍光体含有部(第2の発光体)とを有する発光装置の一実施例を示す模式的断面図である。図中、符号22は励起光源(第1の発光体)、符号23は蛍光体含有部(第2の発光体)としての蛍光体含有樹脂部、符号24はフレーム、符号25は導電性ワイヤ、符号26及び符号27は電極をそれぞれ指す。
<発光装置の用途>
本発明の発光装置の用途は特に制限されず、通常の発光装置が用いられる各種の分野に使用することが可能であるが、色再現範囲が広く、且つ、演色性も高いことから、中でも照明装置や画像表示装置の光源として、とりわけ好適に用いられる。
また、本発明の発光装置は、リモートフォスファーなどにも好適に用いられる。
[照明装置]
本発明の発光装置を照明装置に適用する場合には、前述のような発光装置を公知の照明装置に適宜組み込んで用いればよい。例えば、図3に示されるような、前述の発光装置(4)を組み込んだ面発光照明装置(11)を挙げることができる。
図3は、本発明の照明装置の一実施形態を模式的に示す断面図である。この図3に示すように、該面発光照明装置は、内面を白色の平滑面等の光不透過性とした方形の保持ケース(12)の底面に、多数の発光装置(13)(前述の発光装置(4)に相当)を、その外側に発光装置(13)の駆動のための電源及び回路等(図示せず。)を設けて配置し、保持ケース(12)の蓋部に相当する箇所に、乳白色としたアクリル板等の拡散板(14)を発光の均一化のために固定してなる。
そして、面発光照明装置(11)を駆動して、発光装置(13)の励起光源(第1の発光体)に電圧を印加することにより光を発光させ、その発光の一部を、蛍光体含有部(第2の発光体)としての蛍光体含有樹脂部における前記蛍光体が吸収し、可視光を発光し、一方、蛍光体に吸収されなかった青色光等との混色により演色性の高い発光が得られ、この光が拡散板(14)を透過して、図面上方に出射され、保持ケース(12)の拡散板(14)面内において均一な明るさの照明光が得られることとなる。
[画像表示装置]
本発明の発光装置を画像表示装置の光源として用いる場合には、その画像表示装置の具体的構成に制限は無いが、カラーフィルターとともに用いることが好ましい。例えば、画像表示装置として、カラー液晶表示素子を利用したカラー画像表示装置とする場合は、上記発光装置をバックライトとし、液晶を利用した光シャッターと赤、緑、青の画素を有するカラーフィルターとを組み合わせることにより画像表示装置を形成することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
Lu2.87Al12:Ce0.13となるように、酸化セリウム(信越化学社製)3.0重量%、酸化ルテチウム(信越化学社製)66.9重量%、酸化アルミニウム(住友化学社製)30.1重量%を秤量し、上述の原料を充分に均一になるまで混合し「原料混合物」得た。さらにこの「原料混合物」100重量%に対し、弗化バリウム9.1重量%、ホウ酸1.3重量%を秤量し、「原料混合物」に添加し充分に均一になるまで混合し、蛍光体原料混合物を得た。
得られた蛍光体原料混合物を、アルミナ製ルツボに350g充填し、充填された蛍光体原料の混合物の上に炭素ブロックをのせて露点30℃の水蒸気を含む窒素雰囲気下で、最高温度1550℃で2時間保持し、昇温降温時間を含めて24時間かけて焼成し、次いで、ナイロンメッシュ(N―No.305T、目開き48μm)をパスさせて、蛍光体粉末を得た。
次いで得られた「蛍光体粉末」300gを0.4規定の塩酸1L中に投入し2時間撹拌し酸洗浄を行った。酸洗浄終了後、上澄み液のpHが4以上になるまで水でデカンテーション洗浄を行い、脱水、乾燥することにより、LuAG系蛍光体(1)を得た。
LuAG系蛍光体(1)のd50粒径は25.6μmで、QDが0.28であった。
また、LuAG系蛍光体(1)は455nm励起での色度(x,y)が(0.359,0
.573)で、後述のLuAG系蛍光体(2)(実施例2)の輝度を100%として計算したときの相対輝度は108%であった。また蛍光体中に含まれるBa量とB量をICP発光分光分析したところ、Baが59ppm、Bが22ppm含まれていた。
また、上記の通りに得られたLuAG系蛍光体(1)の走査型電子顕微鏡で測定した結果を図4に示す。
[実施例2]
実施例1の「蛍光体粉末」300gを、d50粒径が15μmになるようにボールミルで分散させたのち脱水、乾燥し、0.4規定の塩酸1L中に投入し2時間撹拌し酸洗浄を行った。酸洗浄終了後、上澄み液のpHが4以上になるまで水でデカンテーション洗浄を行い、脱水、乾燥することにより、LuAG系蛍光体(2)を得た。
LuAG系蛍光体(2)は色度(x,y)が(0.359, 0.573)でd50粒径が
15μmを示し、本発明の発光輝度の比較に供した。
また蛍光体中に含まれるBa量とB量をICP発光分光分析したところ、Baが56ppm、Bが22ppm含まれていた。
[実施例3]
実施例1の「蛍光体粉末」300gを、0.4規定の塩酸1L中に投入し2時間撹拌し酸洗浄を行った。酸洗浄終了後、上澄み液のpHが4以上になるまで水でデカンテーショ
ン洗浄を行い、脱水乾燥させた。
さらにこの蛍光体をd50粒径が15μmになるようにボールミルで分散させたのち洗浄、乾燥することにより、LuAG系蛍光体(3)を得た。
LuAG系蛍光体(3)は、色度(x,y)が(0.359, 0.573)でd50粒径が15μmであった。また、LuAG系蛍光体(2)の輝度を100%として計算しLuAG系蛍光体(3)の相対輝度は108%となり、ボールミル分散前に酸洗浄することにより輝度が向上した。
また蛍光体中に含まれるBa量とB量をICP発光分光分析したところ、Baが52ppm、Bが20ppm含まれていた。
[比較例1]
実施例1で用いた「原料混合物」100重量%に対し、弗化バリウム9.1重量%を秤量し、「原料混合物」に添加し充分に均一になるまで混合し「蛍光体原料混合物」を得た。
得られた「蛍光体原料混合物」を、実施例1と同様に焼成、メッシュパスさせて比較例1の「蛍光体粉末」を得た。
次いで得られた「蛍光体粉末」300gを実施例1と同様に、酸洗浄した後、水でデカンテーション洗浄を行い、脱水、乾燥することにより、比較蛍光体(1)を得た。
比較蛍光体(1)のd50粒径は13.4μmで、QDが0.36であった。
また、比較蛍光体(1)は455nm励起での色度(x,y)が(0.361,0.566)で、LuAG系蛍光体(2)の輝度を100%として計算したときの相対輝度は87%と暗かった。また蛍光体中に含まれるBa量とB量をICP発光分光分析したところ、Baが174ppm含まれていたがBは検出されなかった。
また、上記の通りに得られた比較蛍光体(1)の走査型電子顕微鏡で測定した結果を図5に示す。
[比較例2]
実施例1で用いた「原料混合物」100重量%に対し、ホウ酸1.3重量%を秤量し、「原料混合物」に添加し充分に均一になるまで混合し「蛍光体原料混合物」を得た。
得られた「蛍光体原料混合物」を、実施例1と同様に焼成、メッシュパスさせて比較例2の「蛍光体粉末」を得た。
次いで得られた「蛍光体粉末」300gを実施例1と同様に、酸洗浄した後、水でデカンテーション洗浄を行い、脱水、乾燥することにより、比較蛍光体(2)を得た。
比較蛍光体(2)のd50粒径は11.0μmで、QDが0.39であった。
また、比較蛍光体(2)は455nm励起での色度(x,y)が(0.369,0.561)で、LuAG系蛍光体(2)の輝度を100%として計算したときの相対輝度は82%と暗かった。また蛍光体中に含まれるBa量とB量をICP発光分光分析したところ、Baは検出されなかったがBが78ppm含まれていた。
[比較例3]
実施例1で用いた「原料混合物」100重量%に対し、弗化アルミニウム2.9重量%を秤量し、「原料混合物」に添加し充分に均一になるまで混合し「蛍光体原料混合物」を得た。
得られた「蛍光体原料混合物」を、実施例1と同様に焼成、メッシュパスさせて比較例3の「蛍光体粉末」を得た。
次いで得られた「蛍光体粉末」300gを実施例1と同様に、酸洗浄した後、水でデカンテーション洗浄を行い、脱水、乾燥することにより比較蛍光体(3)を得た。
比較蛍光体(3)のd50粒径は11.8μmで、QDは0.43であった。
また、比較蛍光体(3)は455nm励起での色度(x,y)が(0.325,0.56
5)で、LuAG系蛍光体(2)の輝度を100%として計算したときの相対輝度は58
%と暗かった。また蛍光体中に含まれるBa量とB量をICP発光分光分析したところ、ともに検出されなかった。
[比較例4]
実施例1で用いた「原料混合物」100重量%に対し、弗化アルミニウム2.9重量%、ホウ酸1.3重量%を秤量し、「原料混合物」に添加し充分に均一になるまで混合し「蛍光体原料混合物」を得た。
得られた「蛍光体原料混合物」を、実施例1と同様に焼成して得られた「焼成粉体」は硬くてナイロンメッシュ(N―No.305T、目開き48μm)をパスさせることができなかった。
これら実施例1及び比較例1〜4で得られたLuAG系蛍光体について、LuAG系蛍光体(2)の輝度を100%として計算したときの相対輝度、色度(x,y)および蛍光
体中に含まれるBa量とB量を表1に纏めた。
SEM写真からも判る通り、LuAG系蛍光体(1)は粒径が大きく且つ、不均一な形状が少ない粒体となっていた。一方、比較蛍光体(1)は、粒径及び形状が不均一であった。
また、LuAG系蛍光体(1)及び比較蛍光体(1)を比べた場合、混合するBaFの量は同じであるが、残留するBa量は比較蛍光体(1)の方が多く、輝度も低い。さらにLuAG系蛍光体(1)及び比較蛍光体(2)を比べた場合、混合するHBOの量は同じであるが、残留するB量は比較蛍光体(2)の方が多く、輝度も低い。
これは、製造過程において、より結晶性が高まることによって、結晶内にフラックス由来以外の不純物が取り込まれにくくなった結果によるものと推測され、結晶性が高まったことにより輝度が高くなったと推測される。
[実施例4〜10]
表2に記載した組成になるように、酸化セリウム(信越化学社製)、酸化ルテチウム(信越化学社製)、酸化テルビウム(信越化学社製)、酸化ガドリニウム(信越化学社製)、酸化アルミニウム(住友化学社製)を秤量し、上述の原料を充分に均一になるまで混合し「原料混合物」得た。さらにこの「原料混合物」100重量%に対し、実施例1と同様に弗化バリウム9.1重量%、ホウ酸1.3重量%を秤量し、原料混合物に添加し充分に均一になるまで混合し蛍光体原料混合物を得た。
得られた蛍光体原料混合物を、実施例1と同様に焼成、メッシュパスさせて「蛍光体粉末」を得た。
次いで得られた「蛍光体粉末」300gを実施例1と同様に、酸洗浄した後、水でデカンテーション洗浄を行い、脱水、乾燥することにより、LuAG系蛍光体(4)〜(10)を得た。
LuAG系蛍光体(4)〜(10)のQD、LuAG系蛍光体(2)の輝度を100%として計算したときの相対輝度、色度(x,y)および蛍光体中に含まれるBa量とB量
を表2に示した。
表2に示すが如く、本発明のLuAG系蛍光体は、相対輝度が高い。
LuAG系蛍光体(4)〜(10)(実施例4〜10の蛍光体)は色度xが大きくなるにつれて相対輝度が下がっていく。これは色度xが大きくなるとこれら蛍光体の発光ピーク波長が最大比視感度波長から長波長側にずれていくためである。発光スペクトルのピー
クが最大比視感度波長からずれて輝度が下がることを考慮しても、実施例4〜10の蛍光体はLuAG系蛍光体(2)と同等以上の相対輝度を有しており明るかった。
特にLuAG系蛍光体(9)および(10)の色度(x,y)は他のLuAG系蛍光体
(4)〜(8)の色度(x,y)と大きく乖離しているので、色度(x,y)の近い比較蛍光体(7)および比較蛍光体(6)とそれぞれ比較しても明るかった。
[実施例11〜13]
表3に記載した組成になるように、酸化ルテチウム(信越化学社製)、酸化セリウム(信越化学社製)、酸化ガリウム(三井金属社製)、酸化アルミニウム(住友化学社製)を秤量し、上述の原料を充分に均一になるまで混合し「原料混合物」得た。さらにこの「原料混合物」100重量%に対し、実施例1と同様に弗化バリウム9.1重量%、ホウ酸1.3重量%を秤量し、「原料混合物」に添加し充分に均一になるまで混合し「蛍光体原料混合物」を得た。
得られた蛍光体原料混合物を、実施例1と同様に焼成、メッシュパスさせて「蛍光体粉末」を得た。
次いで得られた「蛍光体粉末」300gを実施例1と同様に、酸洗浄した後、水でデカンテーション洗浄を行い、脱水、乾燥することにより、LuAG系蛍光体(11)〜(13)を得た。
LuAG系蛍光体(11)〜(13)のQD、LuAG系蛍光体(2)の輝度を100%として計算したときの相対輝度、色度(x,y)および蛍光体中に含まれるBa量とB
量を表3に纏めた。
LuAG系蛍光体(11)〜(13)(実施例11〜13の蛍光体)は色度xが小さくなるにつれて相対輝度が下がっていく。これは色度xが小さくなると、これら蛍光体の発光ピーク波長が最大比視感度波長から短波長側にずれていくためである。発光スペクトルのピークが最大比視感度波長からずれて輝度が下がることを考慮しても、LuAG系蛍光体(11)〜(13)はLuAG系蛍光体(2)と同等程度の相対輝度を有しており明るかった。
[比較例5〜8]
表4に記載した組成になるように、酸化セリウム(信越化学社製)、酸化ルテチウム(信越化学社製)、酸化ガドリニウム(信越化学社製)、酸化アルミニウム(住友化学社製)を秤量し、上述の原料を充分に均一になるまで混合し「原料混合物」得た。さらにこの「原料混合物」100重量%に対し、比較例2と同様に弗化バリウム9.1重量%を秤量し、「原料混合物」に添加し充分に均一になるまで混合し「蛍光体原料混合物」を得た。
得られた「蛍光体原料混合物」を、実施例1と同様に焼成、メッシュパスさせて「蛍光体粉末」を得た。
次いで得られた「蛍光体粉末」300gを実施例1と同様に、酸洗浄した後、水でデカンテーション洗浄を行い、脱水、乾燥することにより、比較蛍光体(5)〜(8)を得た。
比較蛍光体(5)〜(8)のQD、LuAG系蛍光体(2)の蛍光体の輝度を100%として計算したときの相対輝度、色度(x,y)および蛍光体中に含まれるBa量とB量
を表4に示した。
比較蛍光体(5)〜(8)(比較例5〜8の蛍光体)は色度xが大きくなるにつれて相対輝度が下がっていく。これは色度xが大きくなると、これら蛍光体の発光ピーク波長が最大比視感度波長から長波長側にずれていくためである。発光スペクトルのピークが最大比視感度波長からずれて輝度が下がることを考慮しても、比較蛍光体(5)〜(8)は本発明のLuAG蛍光体に較べて暗かった。
[比較例9]
(Y2.97Ce0.03)Al12となるように、酸化セリウム(信越化学社製)1.0重量%、酸化イットリウム(信越化学社製)56.2重量%、酸化アルミニウム(住友化学社製)42.8重量%を秤量し、上述の原料を充分に均一になるまで混合し「原料混合物」得た。さらにこの「原料混合物」100重量%に対し、弗化バリウム6.4重量%、ホウ酸0.5重量%を秤量し、「原料混合物」に添加し充分に均一になるまで混合し「蛍光体原料混合物」を得た。
得られた蛍光体原料混合物を、アルミナ製ルツボに350g充填し、充填された蛍光体原料の混合物の上に炭素ブロックをのせて露点30℃の水蒸気を含む窒素雰囲気下で、最高温度1450℃で2時間保持し、昇温降温時間を含めて24時間かけて焼成し、次いで、ナイロンメッシュ(N―No.305T、目開き48μm)をパスさせて、「蛍光体粉末」を得た。
次いで得られた「蛍光体粉末」300gを実施例1と同様に、酸洗浄した後、水でデカンテーション洗浄を行い、脱水、乾燥することにより、比較蛍光体(9)を得た。
比較蛍光体(9)のd50粒径は17.7μmで、QDが0.28であった。
また、比較蛍光体(9)は455nm励起での色度(x, y)が(0.416, 0.557)で、LuAG系蛍光体(2)の輝度を100%として計算したときの相対輝度は121%であった。
さらに比較蛍光体(9)をd50粒径が6μmになるようにボールミルで分散させたのち脱水乾燥して、比較蛍光体(9’)を得た。
比較蛍光体(9’)の色度(x,y)は(0.416,0.558)で、d50粒径は6
.1μmで、QDは0.16であった。この比較蛍光体(9’)のLuAG系蛍光体(2)の輝度を100%として計算した相対輝度は112%であった。
[比較例10]
比較例9で用いた「原料混合物」100重量%に対し、ホウ酸0.5重量%を秤量し、「原料混合物」に添加し充分に均一になるまで混合し「蛍光体原料混合物」を得た。
得られた「蛍光体原料混合物」を、比較例9と同様に焼成、メッシュパスさせて「蛍光体粉末」を得た。
次いで得られた「蛍光体粉末」300gを実施例1と同様に、酸洗浄した後、水でデカンテーション洗浄を行い、脱水、乾燥することにより、比較蛍光体(10)を得た。
比較蛍光体(10)のd50粒径は20.0μmで、QDが0.29であった。
また、比較蛍光体(10)は455nm励起での色度(x,y)が(0.414, 0.5
59)で、LuAG系蛍光体(2)の輝度を100%として計算したときの相対輝度は119%であった。
さらに比較蛍光体(10)をd50粒径が6μmになるようにボールミルで分散させたのち脱水乾燥して比較蛍光体(10’)を得た。
比較蛍光体(10’)の色度(x,y)は(0.413, 0.558)で、d50粒径
は5.6μmで、QDは0.16であった。この比較蛍光体(10’)のLuAG系蛍光体(2)の輝度を100%として計算した相対輝度は102%であった。
[比較例11]
比較例9で用いた「原料混合物」100重量%に対し、弗化バリウム6.4重量%を秤量し、「原料混合物」に添加し充分に均一になるまで混合し「蛍光体原料混合物」を得た。
得られた「蛍光体原料混合物」を、比較例9と同様に焼成、メッシュパスさせて「蛍光体粉末」を得た。
次いで得られた「蛍光体粉末」300gを実施例1と同様に、酸洗浄した後、水でデカンテーション洗浄を行い、脱水、乾燥することにより、比較蛍光体(11)を得た。
比較蛍光体(11)のd50粒径は14.0μmで、QDが0.24であった。
また、比較蛍光体(11)は455nm励起での色度(x,y)が(0.415, 0.
558)で、LuAG系蛍光体(2)の輝度を100%として計算したときの相対輝度は118%であった。
さらに比較蛍光体(11)をd50粒径が6μmになるようにボールミルで分散させたのち脱水乾燥して、比較蛍光体(11’)を得た。
比較蛍光体(11’)は、色度(x,y)が(0.416, 0.558)でd50粒径
が5.6μmで、QDが0.16であった。この比較蛍光体(11’)のLuAG系蛍光体(2)の輝度を100%として計算した相対輝度は113%であった。
以上、実験結果を総合的に解説する。
YAG系蛍光体の焼結の際に用いられるフラックスとしてはフッ化バリウム(BaF)が一般的である。フッ化バリウム(BaF)を添加して焼成されたYAG系蛍光体は粒径を大きくしつつ形状を略揃えた粒体とすることができ、比較例11のように1440℃で焼成しても形状を略揃えた粒体を維持しつつ粒径を下げることも可能である。さらに、比較例10のようにフラックスにホウ酸(HBO)あるいは比較例9のようにフッ化バリウム(BaF)とホウ酸(HBO)を一緒に添加して焼成してもその粒径や粒度分布に大きな違いがない。
一方フラックスとしてフッ化バリウム(BaF)を添加して焼成されたLuAG系蛍光体は焼結が不十分で粒径および形状が不均一な粒体となり、比較例1のように1550℃で焼成してもその粒状性を改善することができない。またフラックスとして弗化アルミニウム(AlF)とホウ酸(HBO)を一緒に添加して焼成されたLuAG系蛍光体は原料の焼結反応が促進し過ぎる傾向にある。
このYAG系蛍光体とLuAG系蛍光体の違いが発明の本質である。このようなガーネット構造を有する蛍光体は、焼成工程で原料を溶融、結晶化させることで得られる。また焼成の際に蛍光体の母体結晶に対して融点が比較的低いフラックスを添加することで原料の溶融反応温度を引き下げ、原料の焼結反応を促進させるものである。
酸化ルテチウム(Lu)は融点が酸化イットリウム(Y)や他の希土類酸化物より高く、またセラミックスの耐熱性を向上させる添加材として使われている。そのためLuAG系蛍光体はYAG系蛍光体に比較し溶融反応温度が高く、そのためYAG系蛍光体で用いるフラックスをLuAG系蛍光体に使用しても焼結が不十分で粒径および形状が不均一な粒体となる。その対策として焼成温度を高めるにしても、工業的に生産するには限界があり、比較例1に示すように1550℃で焼成を行ってもなおLuAG系蛍光体は焼結が不十分で粒径および形状が不均一な粒体となる。また焼成温度を高めると、酸化ルテチウム以外の原料の分解や揮発が生じ、目的の組成比率と異なる蛍光体や、目的の結晶相と異なる蛍光体になり、十分な発光特性が得られなくなってしまう。
本発明はバリウム化合物とホウ素化合物を一緒に使用することで、LuAG系蛍光体の原料の溶融反応温度を引き下げ、工業的に生産可能な焼成温度で粒径を大きくしつつ形状を略揃えた粒体として、発光特性に優れた蛍光体を提供し得るものとなる。
1 蛍光体含有部(第2の発光体)
2 励起光源(第1の発光体)(LD)
3 基板
4 発光装置
5 マウントリード
6 インナーリード
7 励起光源(第1の発光体)
8 蛍光体含有樹脂部
9 導電性ワイヤ
10 モールド部材
11 面発光照明装置
12 保持ケース
13 発光装置

Claims (9)

  1. 蛍光体原料を焼成する工程を経て製造される、下記式[1]で表される蛍光体であって、
    蛍光体原料を焼成する工程後の、該蛍光体のQDが0.31以下であることを特徴とする、蛍光体。
    LuCeAl12 [1]
    (式[1]中、
    Aは、Y、Gd、TbおよびLaからなる群から選ばれる1種又は2種以上を含む元素を表し、
    Mは、Ga又はScを含む元素を表す。
    尚、a、b、c、d、eは、各々、下記の範囲の値である。
    1≦a≦3
    0≦b<1.5
    0<c<1
    1<d≦5
    0≦e<4)
  2. バリウムの含有量が30ppm以上120ppm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の蛍光体。
  3. ホウ素の含有量が5ppm以上、50ppm以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の蛍光体。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の蛍光体と、液体媒体とを含有することを特徴とする、蛍光体含有組成物。
  5. 第1の発光体と、該第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する第2の発光体とを備え、
    該第2の発光体が、請求項1又は2に記載の蛍光体の1種以上を、第1の蛍光体として含むことを特徴とする、発光装置。
  6. 請求項5に記載の発光装置を光源として含むことを特徴とする、画像表示装置。
  7. 請求項5に記載の発光装置を光源として含むことを特徴とする、照明装置。
  8. 下記式[1]で表される蛍光体の製造方法であって、
    蛍光体原料を焼成する工程で、ホウ素化合物及びバリウム化合物を存在させることを特徴とする、蛍光体の製造方法。
    LuCeAl12 [1]
    (式[1]中、
    Aは、Y、Gd、TbおよびLaからなる群から選ばれる1種又は2種以上を含む元素を表し、
    Mは、Ga又はScを含む元素を表す。
    尚、a、b、c、d、eは、各々、下記の範囲の値である。
    1≦a≦3
    0≦b<1.5
    0<c<1
    1<d≦5
    0≦e<4)
  9. 蛍光体を焼成する工程後、蛍光体を分散および分級する工程の前に、酸性水溶液で洗浄する工程を有することを特徴とする、請求項8に記載の蛍光体の製造方法。
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