JP2018027617A - 樹脂ペレットの製造方法、及び光学用フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
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環状オレフィン系樹脂は、環状オレフィンを共重合の構成単位として含み、環状オレフィンを主鎖に含むポリオレフィン系樹脂であれば、特に限定されるものではない。例えば、環状オレフィンの付加重合体又はその水素添加物、環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体又はその水素添加物等を挙げることができる。また、これら重合体に、さらに極性基を有する不飽和化合物をグラフト及び/又は共重合したものも含む。環状オレフィン系樹脂としては、環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体又はその水素添加物が好ましい。
トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン;トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,7−ジエン若しくはトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,8−ジエン又はこれらの部分水素添加物(又はシクロペンタジエンとシクロヘキセンの付加物)であるトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン;5−シクロペンチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−シクロヘキセニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンといった3環の環状オレフィン;
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(単にテトラシクロドデセンともいう)、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−ビニルテトラシクロ[4,4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−プロペニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンといった4環の環状オレフィン;
8−シクロペンチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−シクロヘキシル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−シクロヘキセニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−フェニル−シクロペンチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン;テトラシクロ[7.4.13,6.01,9.02,7]テトラデカ−4,9,11,13−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)、テトラシクロ[8.4.14,7.01,10.03,8]ペンタデカ−5,10,12,14−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−へキサヒドロアントラセンともいう);ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、ペンタシクロ[7.4.0.02,7.13,6.110,13]−4−ペンタデセン;ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.14,7.111,17.03,8.012,16]−5−エイコセン、ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.03,8.14,7.012,17.113,l6]−14−エイコセン;シクロペンタジエンの4量体等の多環の環状オレフィンを挙げることができる。これらの環状オレフィンは、1種単独でも2種以上を併用してもよい。これら環状オレフィンの中では、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(慣用名:ノルボルネン)を単独使用することが好ましい。
環状オレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂との樹脂アロイは、上記環状オレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂との混合物である。
(溶融)
環状オレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂との樹脂アロイの溶融の方法については、それぞれ特に限定されるものではなく、公知の方法を採用できる。これらの各樹脂、その他必要に応じ配合される樹脂等を、一括で、又は逐次に溶融混練する方法が挙げられる。溶融混練する方法としては、例えば、樹脂または樹脂組成物をブレンドした後、一軸若しくは二軸のスクリュー押出機、バンバリーミキサー、ロール、各種ニーダー等で溶融混練する方法等が挙げられる。溶融時の樹脂温度については、環状オレフィン系樹脂、または環状オレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂との樹脂アロイ、及び必要に応じ配合される樹脂等が溶融していれば、特に限定されないが、220℃以上260℃以下であることが好ましく、230℃以上260℃以下であることがより好ましい。なお、溶融時の樹脂温度は、溶融押出機の出口(溶融押出機にダイを設置している場合であってもダイに入る前の溶融押出機の出口)にK熱電対を取り付けることにより測定することができる。
環状オレフィン系樹脂、または環状オレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂との樹脂アロイを溶融した後、カットする方法としては、特に限定されないが、前記カット時の樹脂温度は、前記溶融時の樹脂温度に対し−20℃以上+5℃以下の範囲である必要がある。前記溶融時の樹脂温度に対し−15℃以上±0℃以下の範囲であってもよく、−5℃以上±0℃以下の範囲であることが好ましい。前記溶融時の樹脂温度に対し−20℃以上+5℃以下の範囲でカットすることにより、カット時に発生する切粉を低減することができ、得られる樹脂ペレットを成形して得られるフィルム中のゲル異物を低減または消滅することができる。溶融時の樹脂温度に対し+5℃より高い温度でカットすると、得られる樹脂ペレットが不定形になり、その品質が不均一になる。また、カッターの刃に樹脂が付着する等の弊害が生じ、生産性にも劣ることになる。溶融時の樹脂温度に対し−20℃より低い温度でカットすると、得られる樹脂ペレットの他に切粉が多く発生し、このペレットを成形して得られるフィルム中にはゲル異物が多数生じる。また、生じる切粉の形状も不定形顆粒状となる上、ペレット断面も凸凹になるため所謂欠けが生じ易くなり、搬送時の衝撃等により、切粉が発生しやすくなる。さらには、ペレットが不定形になると、このペレットを用いてフィルムを溶融押出しによって製造する際に、スクリューへのペレットの食い込み量がばらつくことから、空気を巻き込んで気泡が入りやすくなったり、フィルムの厚み変化が生じやすくなる。なお、前記カット時の樹脂温度は、ペレタイザ―入口にK熱電対を取り付けることにより測定することができる。
前記カットの後、環状オレフィン系樹脂、または環状オレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂との樹脂アロイを冷却する方法としては、特には限定されず、空冷、水冷等の従来公知の方法を用いることができる。この時の空気および水の温度は、例えば30℃以上80℃以下とすることができる。
具体的には、例えば、上記製造方法により製造された樹脂ペレットを、単軸スクリューを有する押出機、及びTダイによって溶融押出しして、フィルムを成形することが挙げられる。本発明の樹脂ペレットは、透明性等の光学特性に優れているため、得られるフィルムは光学用途として好適である。特に、フィルムの厚みを50μm以上2.0mm以下、さらには、80μm以上1.0mm以下とすることが好ましい。50μm未満であれば、残留応力によるカールが生じやすく、2.0mmを超えると、生産性が著しく低下する。
重量既知の樹脂ペレットを、JIS30メッシュ(目開き500μm)の篩にかけ、篩過した粒子の重量を測定し、樹脂ペレットの重量に対する篩過した粒子の重量をppm単位で算出した。
切粉形状は、光学顕微鏡を用いて観察した。所定の角度から観察した際(平面視した際)の短径に対する長径の比が、5以下であるものを鱗片状とし、5を超えるものを糸状とした。また、凹凸等が多く、短径および長径を特定できないものは不定形顆粒状とした。
フィルムを幅350mm、長さ100mm毎にカットしたものを10枚用意し、目視でフィルム中のゲル異物の数を数えた。
環状オレフィン系樹脂として、COC(Cyclo Olefin Copolymer)樹脂(ポリプラスチックス社製TOPAS6013S−04)100重量部について、ダイを設置した溶融押出機として、二軸押出機(日本製鋼所社製)により溶融押出を行った。溶融押出機出口に取り付けたダイ温度は240℃に保ち、ダイ径は2.0mm、ダイ孔数は10とした。ダイ出口から押し出された樹脂からなるストランドを、キャタピラー形状で回転するステンレス製のメッシュベルト上で除冷した後、そのストランドに室温25℃の冷却水をシャワーにしてかけながら、ペレタイザ―の回転するカッター刃に導いた(ストランドカット)。カット時の樹脂温度はシャワーの水量により調節した。
環状オレフィン系樹脂として、COC樹脂100重量部に代えて、当該COC樹脂を95重量部及び水添SEBS(スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン)(旭化成社製タフテックH1517)5重量部をペレットブレンダ―で十分に混合したものを用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂ペレットを得た。
環状オレフィン系樹脂として、COC樹脂100重量部に代えて、当該COC樹脂を85重量部及び水添SEBS(スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン)(旭化成社製タフテックH1517)15重量部をペレットブレンダ―で十分に混合したものを用い、溶融押出機の出口に取り付けたK熱電対により測定した樹脂温度、つまり溶融時の樹脂温度が220℃となるように設定温度を調整した以外は、実施例1と同様にして、樹脂ペレットを得た。
溶融押出機の出口に取り付けたK熱電対により測定した樹脂温度、つまり溶融時の樹脂温度が240℃となるように設定温度を調整し、シャワーの水量を増やし、カット時の樹脂温度を調整して、ペレタイザ―入口に取り付けたK熱電対により測定した樹脂温度を220℃とした以外は、実施例2と同様にして、樹脂ペレットを得、また、その樹脂ペレットを用いて、実施例1と同じ方法でフィルムを作製した。得られた樹脂ペレットについて切粉含有量を求め、切粉形状を観察した。さらに、得られたフィルム中ゲル異物の数を数えた。結果は表1に示す。
溶融押出機の出口に取り付けたK熱電対により測定した樹脂温度、つまり溶融時の樹脂温度が230℃となるように設定温度を調整し、シャワーの水量を増やし、カット時の樹脂温度を調整して、ペレタイザ―入口に取り付けたK熱電対により測定した樹脂温度を216℃とした以外は、実施例3と同様にして、樹脂ペレットを得、また、その樹脂ペレットを用いて、実施例1と同じ方法でフィルムを作製した。得られた樹脂ペレットについて切粉含有量を求め、切粉形状を観察した。さらに、得られたフィルム中ゲル異物の数を数えた。結果は表1に示す。
溶融押出機の出口に取り付けたK熱電対により測定した樹脂温度、つまり溶融時の樹脂温度が250℃となるように設定温度を調整し、シャワーの水量を増やし、カット時の樹脂温度を調整して、ペレタイザ―入口に取り付けたK熱電対により測定した樹脂温度を235℃とした以外は、実施例2と同様にして、樹脂ペレットを得、また、その樹脂ペレットを用いて、実施例1と同じ方法でフィルムを作製した。得られた樹脂ペレットについて切粉含有量を求め、切粉形状を観察した。さらに、得られたフィルム中ゲル異物の数を数えた。結果は表1に示す。
溶融押出機の出口に取り付けたK熱電対により測定した樹脂温度、つまり溶融時の樹脂温度が240℃となるように設定温度を調整し、シャワーの水量を増やし、カット時の樹脂温度を調整して、ペレタイザ―入口に取り付けたK熱電対により測定した樹脂温度を235℃とした以外は、実施例3と同様にして、樹脂ペレットを得、また、その樹脂ペレットを用いて、実施例1と同じ方法でフィルムを作製した。得られた樹脂ペレットについて切粉含有量を求め、切粉形状を観察した。さらに、得られたフィルム中ゲル異物の数を数えた。結果は表1に示す。
ストランドにかける25℃の冷却水の量を増やして樹脂温度を調整した以外は、実施例2と同様にして樹脂ペレットを得、また、その樹脂ペレットを用いて、実施例1と同じ方法でフィルムを作製した。ペレタイザ―入口に取り付けたK熱電対により樹脂温度を測定したところ130℃であった。得られた樹脂ペレットについて切粉含有量を求め、切粉形状を観察した。さらに、得られたフィルム中ゲル異物の数を数えた。結果は表1に示す。
環状オレフィン系樹脂として、COC樹脂100重量部に代えて、当該COC樹脂90重量部及び水添SEBS(スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン)(旭化成社製タフテックH1517)10重量部をペレットブレンダ―で十分に混合したものを用い、溶融押出機の出口に取り付けたK熱電対により測定した樹脂温度、つまり溶融時の樹脂温度が220℃となるように設定温度を調整し、シャワーの水量を増やし、カット時の樹脂温度を調整して、ペレタイザ―入口に取り付けたK熱電対により測定した樹脂温度を105℃とした以外は、実施例1と同様にして樹脂ペレットを得、また、その樹脂ペレットを用いて、実施例1と同じ方法でフィルムを作製した。得られた樹脂ペレットについて切粉含有量を求め、切粉形状を観察した。さらに、得られたフィルム中ゲル異物を求めた結果は表1に示す。
溶融押出機の出口に取り付けたK熱電対により測定した樹脂温度、つまり溶融時の樹脂温度が240℃となるように設定温度を調整し、シャワーの水量を増やし、カット時の樹脂温度を調整して、ペレタイザ―入口に取り付けたK熱電対により測定した樹脂温度を105℃とした以外は、実施例2と同様にして、樹脂ペレットを得、また、その樹脂ペレットを用いて、実施例1と同じ方法でフィルムを作製した。得られた樹脂ペレットについて切粉含有量を求め、切粉形状を観察した。さらに、得られたフィルム中ゲル異物の数を数えた。結果は表1に示す。
環状オレフィン系樹脂として、COC樹脂100重量部に代えて、当該COC樹脂90重量部及び水添SEBS(スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン)(旭化成社製タフテックH1517)10重量部をペレットブレンダ―で十分に混合したものを用い、溶融押出機の出口に取り付けたK熱電対により測定した樹脂温度、つまり溶融時の樹脂温度が250℃となるように設定温度を調整し、シャワーの水量を増やし、カット時の樹脂温度を調整して、ペレタイザ―入口に取り付けたK熱電対により測定した樹脂温度を80℃とした以外は、実施例1と同様にして樹脂ペレットを得、また、その樹脂ペレットを用いて、実施例1と同じ方法でフィルムを作製した。ペレタイザ―入口に取り付けたK熱電対により樹脂温度を測定したところ80℃であった。得られた樹脂ペレットについて切粉含有量を求め、切粉形状を観察した。さらに、得られたフィルム中ゲル異物を求めた結果は表1に示す。
Claims (9)
- 環状オレフィン系樹脂、または環状オレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂との樹脂アロイを溶融した後、カットし、さらに冷却する工程を有し、前記カット時の樹脂温度は、前記溶融時の樹脂温度に対し−20℃以上+5℃以下の範囲である、樹脂ペレットの製造方法。
- 前記溶融時の樹脂温度が220℃以上260℃以下である、請求項1に記載の樹脂ペレットの製造方法。
- 前記カット時の樹脂温度が200℃以上255℃以下である、請求項1または2に記載の樹脂ペレットの製造方法。
- 前記カット時の樹脂温度が210℃以上240℃以下である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の樹脂ペレットの製造方法。
- 前記環状オレフィン系樹脂がノルボルネンとエチレンとの共重体である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の樹脂ペレットの製造方法。
- 前記ポリスチレン系樹脂がスチレンおよびブチレンを含む水添ブロック共重合体である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の樹脂ペレットの製造方法。
- 前記樹脂ペレットが、切粉を20ppm以上30ppm未満含有する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の樹脂ペレットの製造方法。
- 前記切粉の長径が0.01mm以上1.0mm以下である、請求項7に記載の樹脂ペレットの製造方法。
- 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の製造方法により製造された樹脂ペレットを、単軸スクリューを有する押出機、及びTダイによって溶融押出しして、50μm以上2.0mm以下のフィルムを成形する、光学用フィルムの製造方法。
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