JP2018022806A - 磁気記憶装置及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】記憶密度が向上できる磁気記憶装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、磁気記憶装置は、金属含有層、第1磁性層、第2磁性層及び第1中間層を含む。前記金属含有層は、金属元素を含む。前記第2磁性層は、前記金属含有層の一部と前記第1磁性層との間に設けられる。前記第1中間層は、前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた部分を含む。前記第1中間層は、前記金属含有層に向かって凸状である。
【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、磁気記憶装置及びその製造方法に関する。
磁気記憶装置において、記憶密度の向上が望まれる。
特開2014−45196号公報
本発明の実施形態は、記憶密度が向上できる磁気記憶装置及びその製造方法を提供する。
本発明の実施形態によれば、磁気記憶装置は、金属含有層、第1磁性層、第2磁性層及び第1中間層を含む。前記金属含有層は、金属元素を含む。前記第2磁性層は、前記金属含有層の一部と前記第1磁性層との間に設けられる。前記第1中間層は、前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた部分を含む。前記第1中間層は、前記金属含有層に向かって凸状である。
図1(a)〜図1(c)は、第1の実施形態に係る磁気記憶装置を例示する模式的断面図である。 第1の実施形態に係る磁気記憶装置を例示する模式的断面図である。 図3(a)及び図3(b)は、第1の実施形態に係る別の磁気記憶装置を例示する模式的断面図である。 第1の実施形態に係る別の磁気記憶装置を例示する模式的断面図である。 第1の実施形態に係る別の磁気記憶装置を例示する模式的断面図である。 第1の実施形態に係る別の磁気記憶装置を例示する模式的断面図である。 第2の実施形態に係る磁気記憶装置を例示する模式的断面図である。 磁気記憶装置の特性を例示するグラフ図である。 図9(a)〜図9(d)は、第2の実施形態に係る別の磁気記憶装置を例示する模式的断面図である。 第2の実施形態に係る別の磁気記憶装置を例示する模式的断面図である。 図11(a)及び図11(b)は、第2の実施形態に係る別の磁気記憶装置の製造方法を例示する模式的断面図である。 第2の実施形態に係る別の磁気記憶装置を例示する模式的断面図である。 図13(a)及び図13(b)は、第2の実施形態に係る別の磁気記憶装置の製造方法を例示する模式的断面図である。 第2の実施形態に係る別の磁気記憶装置を例示する模式的断面図である。 第2の実施形態に係る別の磁気記憶装置を例示する模式的断面図である。 図16(a)〜図16(i)は、第2の実施形態に係る別の磁気記憶装置の製造方法を例示する模式図である。 図17(a)〜図17(f)は、第2の実施形態に係る別の磁気記憶装置の製造方法を例示する模式的断面図である。 図18(a)〜図18(i)は、第2の実施形態に係る別の磁気記憶装置の製造方法を例示する模式図である。 第3の実施形態に係る磁気記憶装置の製造方法を例示するフローチャート図である。
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
(第1の実施形態)
図1(a)〜図1(c)は、第1の実施形態に係る磁気記憶装置を例示する模式的断面図である。
図1(b)は、実施形態に係る磁気記憶装置110の製造工程の途中の状態を例示している。図1(c)において、図1(a)に記載された要素の一部が省略されている。
図1(a)に示すように、実施形態に係る磁気記憶装置110は、金属含有層21、第1磁性層11、第2磁性層12及び第1中間層15を含む。第1磁性層11、第2磁性層12及び第1中間層15は、積層体SBに含まれる。
金属含有層21は、金属元素を含む。金属含有層21は、例えば、タンタルを含む。金属含有層21の材料の例については、後述する。
第2磁性層12は、金属含有層21の一部21cと第1磁性層11との間に設けられる。第1中間層15は、第1磁性層11と第2磁性層12との間に設けられる。第1中間層15は、非磁性である。第1中間層15は、例えばMgOを含む。第1磁性層11、第2磁性層12及び第1中間層15のそれぞれの材料の例については、後述する。
第2磁性層12から第1磁性層11に向かう第1方向をZ軸方向とする。Z軸方向に対して垂直な1つの方向をX軸方向とする。Z軸方向及びX軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。第1方向は、積層体SBの積層方向に対応する。
この例では、ベース層20s及び電極22が設けられている。電極22は、第1方向において、ベース層20sから離れている。ベース層20sの少なくとも一部と、電極22の少なくとも一部と、の間に、金属含有層21が設けられる。金属含有層21の一部21cと、電極22と、の間に積層体SBが設けられる。電極22は、例えばキャップ層でも良い。
例えば、ベース層20sは、基板の少なくとも一部でも良い。ベース層20sは、例えば、絶縁性である。ベース層20sは、例えば酸化アルミニウムを含む基板などを含んでも良い。
電極22は、例えば、第1磁性層11と電気的に接続される。
積層体SBは、例えば、磁気抵抗変化素子として機能する。積層体SBにおいて、例えばTMR(Tunnel Magneto Resistance Effect)が生じる。例えば、第1磁性層11、第1中間層15及び第2磁性層12を含む経路における電気抵抗は、第1磁性層11の第1磁化11Mの向きと、第2磁性層12の第2磁化12Mの向きと、の間の差異に応じて変化する。積層体SBは、例えば、磁気トンネル接合(Magnetic Tunnel Junction:MTJ)を有する。
例えば、第1磁性層11の第1磁化11Mは、実質的に固定される。一方、第2磁性層12の第2磁化12Mの方向は、可変である。第1磁性層11は、例えば参照層である。第2磁性層12は、例えば自由層である。第2磁性層12は、例えば記憶層である。
第2磁性層12は、例えば、情報を記憶する層として機能する。例えば、第2磁化12Mが1つの方向に向く第1状態(第1書き込み状態)が、記憶される第1情報に対応する。第2磁化12Mが別の方向に向く第2状態(第2書き込み状態)が、記憶される第2情報に対応する。第1情報は、例えば「0」及び「1」の一方に対応する。第2情報は、「0」及び「1」の他方に対応する。
第2磁性層12の第2磁化12Mは、例えば、金属含有層21に流れる電流により制御することができる。この場合、金属含有層21に電流(書き込み電流)が流され、電流の向きにより、第2磁化12Mの向きを制御することができる。
例えば、金属含有層21は、第1部分21a及び第2部分21bを含む。第1部分21aから第2部分21bに向かう方向を第2方向とする。第2部分21bは、第2方向において、第1部分21aと並ぶ。第2方向は、第1方向(Z軸方向)と交差する。第2方向は、例えば、X軸方向である。金属含有層21の上記の一部21cは、第1部分21aと第2部分21bとの間に位置する。第1部分21a、一部21c及び第2部分21bを含む経路に電流が流れる。
この例では、制御部70(制御回路、駆動回路)がさらに設けられている。制御部70により、この電流が供給される。
制御部70は、例えば、第1部分21a及び第2部分21bと電気的に接続される。制御部70は、第1書き込み動作において、第1書き込み電流Iw1を金属含有層21に供給する。これにより、第1状態が形成される。第1書き込み電流Iw1は、第1部分21aから第2部分21bに向かう。制御部70は、第2書き込み動作において、第2書き込み電流Iw2を金属含有層21に供給する。これにより、第2状態が形成される。第2書き込み電流Iw2は、第2部分21bから第1部分21aに向かう、このように、制御部70は、書き込み動作(または消去動作)を実施できる。これらの2つの状態において、積層体SBの電気抵抗が互いに異なる。これらの書き込み動作は、例えば、記憶動作である。
電気抵抗の変化は、制御部70によって検出されても良い。例えば、制御部70は、第1磁性層11とさらに電気的に接続される。この例では、制御部70は、電極22に電気的に接続される。例えば、制御部70は、読み出し動作において、第1磁性層11と第1部分21aとの間の電気抵抗の変化に基づく特性(電圧など)の変化を検出する。第1状態における第1磁性層11と第1部分21aとの間の第1電気抵抗は、第2状態における第1磁性層11と第1部分21bとの間の第2電気抵抗とは異なる。すなわち、第1書き込み動作後における第1磁性層11と第1部分21aとの間の第1電気抵抗は、第2書き込み動作後における第1磁性層11と第1部分21aとの間の第2電気抵抗とは異なる。上記において、第1部分21a及び第2部分21aは、互いに入れ替えが可能である。例えば、上記の電気抵抗は、第1磁性層11と第2部分21bとの間の電気抵抗でも良い。
この例では、第1絶縁層41、第2絶縁層42及び化合物層30がさらに設けられている。第1絶縁層41の少なくとも一部は、X−Y平面内で、第1磁性層11と並ぶ。例えば、第1絶縁層41の少なくとも一部は、X軸方向で、第1磁性層11と並ぶ。第2絶縁層42は、第1磁性層11と第1絶縁層41との間に設けられる。第1絶縁層41は、例えば、酸化シリコンまたは酸化アルミニウムなどの絶縁体を含む。第2絶縁層42は、例えば、積層体SBに含まれる金属元素の酸化物などを含む。後述するように、第2絶縁層42は、例えば、積層体SBの加工の際に形成される。
化合物層30は、金属含有層21と第1絶縁層41との間に設けられる。例えば、化合物層30は、X軸方向において、第2磁性層12の少なくとも一部と重なる。化合物層30は、X軸方向において、第1中間層15の少なくとも一部とさらに重なっても良い。化合物層30の一部は、Z軸方向において、金属含有層21と、第1中間層15の一部と、の間にある。例えば、化合物層30は、第2磁性層12の側面12sに対向する。側面12sは、例えば、X軸方向と交差する。
化合物層30は、例えば、金属含有層21に含まれる金属元素を含む化合物である。後述するように、化合物層30は、金属含有層21となる金属膜の表面の一部が酸化などにより変化して形成されても良い。例えば、金属含有層21がタンタルを含む場合、化合物層30は、酸化タンタルを含む。
実施形態においては、第1中間層15は、金属含有層21に向かって凸状である。例えば、第1中間層15は、第2磁性層12に向かって凸状である。例えば、図1(a)において、第1中間層15は、上面(後述する面15fa、図1(c)参照)を有する。上面の中央部分は、上面の外縁を基準にして、下に位置する。第1中間層15は、下面(後述する面15fb、図1(c)参照)を有する。下面の中央部分は、下面の外縁を基準にして下に位置する。例えば、第1中間層15が金属含有層21に向かって凸状である状態は、上記の上面の状態、及び、上記の下面の状態の少なくともいずれかを含む。
このような構成により、例えば、情報の書き込み動作(記憶動作)において、書き込みエラー率(Write Error Rate:WER)を低くできる。これは、このような構成により、第2磁性層12の第2磁化12Mが所望の状態に制御し易くなるからであると、考えられる。
例えば、実施形態の1つの例において、第2磁化12Mが、+Y方向及び−Y方向のいずれか一方に向く。このとき、第2磁化12Mが、これらの方向以外の方向に向くと、記憶されるべき情報が誤って記録され易くなる。例えば、熱安定性が十分でない場合は、第2磁化12Mの向きは、所望の方向ではなくなる場合がある。これにより、書き込みエラー率WERが悪化する。
さらに、記憶装置において、複数の積層体(メモリセル)が設けられる。複数の積層体のピッチが小さくなると、着目している積層体の隣に位置する別の積層体が、着目している積層体に影響を与える場合がある。例えば、隣のメモリセルからの漏洩磁場が、第2磁化12Mの安定性を低下させる場合がある。これは、記憶装置の記憶密度の向上を制限する。言い換えると、記憶密度を上昇させると、書き込みエラー率WERが悪化する。
これに対して、実施形態においては、上記のような特殊な構造により、書き込みエラー率WERが向上できる。
例えば、第1中間層15は、金属含有層21)に向かって凸状である。このような構造により、例えば、第2磁性層12に応力が加わると考えられる。この応力に基づく歪により、例えば、逆磁歪効果(ビラリ効果)が生じる。
これにより、例えば、第2磁性層12の保磁力の変動(例えばばらつき)が抑制される。例えば、高いリテンションエネルギーが得られ、リテンション特性(リテンション耐性)が向上できる。
例えば、逆磁歪効果により、第2磁化12Mの方向が、ある範囲に制御され易くなると考えられる。これにより、例えば、第2磁化12Mの方向は、所望の方向(例えば、+Y方向及び−Y方向のいずれか)に沿い易くなると考えられる。第2磁化12Mの方向が、所望の方向(例えば、+Y方向及び−Y方向)に強く向くようになる。リテンションエネルギーが増大する。
その結果、実施形態によれば、書き込みエラー率WERが向上できると考えられる。これにより、記憶密度が向上できる。
例えば、化合物層30により、第1中間層15及び第2磁性層12に応力が加わると考えられる。これにより、第1中間層15は、金属含有層21に向かって凸状となる力が加わる。特に、第1中間層15は、外縁部分(後述する第1端部15a及び第2端部15bの近傍)において、大きく曲がる。そして、第2磁性層12に応力が加わると考えられる。
以下、化合物層30が形成される状態の例について説明する。
図1(b)に示すように、ベース層20sの上に、金属含有層21となる金属膜21fmが設けられ、その上に、第2磁性層12、第1中間層15及び第1磁性層11となる積層膜が形成される。そして、この積層膜が、例えば、イオンミリングなどの手法により加工される。これにより、金属膜21fm、第2磁性層12、第1中間層15及び第1磁性層11を含む構造体SB0が形成される。
このとき、これらの磁性層に含まれる元素の反応物が、これらの磁性層及び第1中間層15の側壁に付着しても良い。この付着した反応物が、上記の第2絶縁層42に対応する。
図1(b)に示すように、第1中間層15の幅を、第2磁性層12の少なくとも一部の幅よりも大きくすることができる。例えば、第1中間層15となる膜のエッチングレートが磁性層のエッチングレートよりも低いときに、このような幅が形成できる。幅は、Z軸方向と交差する方向の長さであり、例えば、X軸方向に沿う長さである。第1中間層15に突出部15pが形成される。このように、第1中間層15は、第2磁性層12から第1磁性層11に向かう第1方向(Z軸方向)と交差する方向において、第2磁性層12を基準にして突出している。
この後、例えば、金属含有層21となる金属膜21fmの表面を処理する。処理は、例えば、酸素プラズマ処理である。これにより、金属膜21fmの一部から、化合物層30が形成される。残った金属膜21fmが、金属含有層21となる。処理により、金属膜21fmの表面の一部が変化する。金属膜21fmの厚さが約5nmである場合、変化する部分の厚さは、例えば、約1nmである。変化する部分の厚さが約1nmである場合に、変化して形成された化合物層30の厚さは、約4nmとなる。化合物層30の形成過程において、膨張が生じる。
このため、化合物層30は、化合物層30の周りに位置する他の層に力(応力)を加える。この応力により、第1中間層15の突出部15pは、上側に押し上げられる。これにより、突出部15pは、内側部分15cに対して相対的に上側に位置するようになる。これにより、第1中間層15は、全体として、金属含有層21に向かって凸状となる。
一方、第2磁性層12に、化合物層30から応力が加わる。これにより、第2磁性層12に歪が生じる。歪により、第2磁性層12の第2磁化12Mの制御性が高まる。これにより、書き込みエラー率WERが向上できる。例えば、隣接セルの影響が抑制でき、結果として、記憶密度が向上できる。
図1(c)においては、第1絶縁層41、第2絶縁層42及び電極22が省略されている。図1(c)に示すように、実施形態においては、化合物層30が設けられる。化合物層30は、例えば、金属含有層21に含まれる金属元素の酸化物、その金属元素の窒化物、及び、その金属元素の酸窒化物よりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
第1中間層15は、突出部15pを含む。突出部15pは、例えば、第1方向(第2磁性層12から第1磁性層11に向かう方向)において、第2磁性層12と重ならない。突出部15pは、例えば、第1方向において第1磁性層11と重ならない。化合物層30の少なくとも一部は、第1方向(Z軸方向)において、金属含有層21と突出部15pとの間にある。
このように、化合物層30の少なくとも一部が、金属含有層21と、第1中間層15の一部(突出部15p)との間にある。これにより、突出部15pに応力が加わり、第1中間層15が金属含有層21に向かって凸状となる。そして、金属含有層21と突出部15pとの間に位置する化合物層30により、第2磁性層12に応力が加わる。第2磁化12Mの制御性が高まる。
実施形態において、例えば、化合物層30は、第2磁性層12と接する。図1(b)に関して説明したように、製造工程の途中において、第2磁性層12の側壁に第2絶縁層42となる膜が付着する場合がある。この場合において、化合物層30の形成のための処理(例えばプラズマ処理)により、この第2絶縁層42の一部が、金属含有層21に含まれる金属元素を含む化合物と、混合される場合がある。この混合物も、化合物層30に含まれても良い。この場合も、化合物層30は、第2磁性層12と接する。
図1(c)に示すように、実施形態においては、例えば、第1中間層15は、第1磁性層11に対向する面15faを有する。この対向する面15faは、金属含有層21に向かって後退している。
既に説明したように、例えば、第2磁性層12は、第2方向(X軸方向)と交差する側面12sを有する。化合物層30は、第2方向において側面12sに対向する。これにより、化合物層30による応力が効果的に第2磁性層12に加わる。
図1(c)に示すように、第1中間層15は、内側部分15cと、外縁部分15rと、を含む。外縁部分15rは、内側部分15cの周りに設けられる。
第1磁性層11は、第1面11faと、第2面11fbと、を有する。第1面11faは、第1中間層15と対向する。第2面11fbは、第1面11faとは反対側の面である。第2面11fbは、例えば、第1磁性層11の上面である。第1面11faは、第1磁性層11の下面である。
第1方向(第2磁性層12から第1磁性層11に向かう方向)において、第2面11fbと外縁部分15rとの間の第1距離t1(最短距離)は、第2面11fbと内側部分15cとの間の第2距離t2(最短距離)よりも短い。例えば、第2面11fbの第1方向における位置と、外縁部分15rの第1方向における位置と、の間の第1距離t1(最短距離)は、第2面11fbの第1方向における位置と、内側部分15cの第1方向における位置と、の間の第2距離t2(最短距離)よりも短い。
この例では、外縁部分15rは、第1端部15aと、第2端部15bと、を含む。第2端部15bは、第2方向において、第1端部15aと並ぶ。第2方向は、第1方向と交差する方向であり、例えば、X軸方向である。
第1距離t1は、例えば、第1端部15aと第2面11fbとの間の第1方向(Z軸方向)に沿った距離である。第1距離t1は、例えば、第2端部15bと第2面11fbとの間の第1方向(Z軸方向)に沿った距離でも良い。
一方、金属含有層21は、ベース層20sと対向する面21fb(例えば下面)を有する。金属含有層21は、第2磁性層12と対向する面21faを有する。面21fbは、面21faとは反対側の面である。
第1中間層15の外縁部分15rと面21fb(例えば、下面)との間の第1方向に沿った距離ta1は、第1中間層15の内側部分15cと面21fbとの間の第1方向に沿った距離ta2よりも長い。
例えば、第1中間層15は、第2磁性層12に対向する面15fbを有する。面15fbは、例えば、金属含有層21に向かって凸状である。
実施形態においては、例えば、第1中間層15は、平面状ではなく、カーブしている。このような形状は、第2磁性層12に応力が加わっていることと関係していると考えられる。
実施形態に係る磁気記憶装置110において、第1中間層15における格子長が、場所によって異なっても良い。
図2は、第1の実施形態に係る磁気記憶装置を例示する模式的断面図である。
図2は、実施形態に係る磁気記憶装置110の第1中間層15における格子長を例示している。図2においては、図を見やすくするために、場所による格子長の違いを強調して示している。
格子長は、例えば、隣り合う2つの格子面の間の距離である。例えば、格子長は、X−Y平面に沿う1つ方向における格子の間隔である。この1つの方向は、例えば、上記の第2方向(例えば、X軸方向)である。例えば、外縁部分15rの第2端部15bは、第2方向において、外縁部分15rの第1端部15aと並ぶ。そして、内側部分15cは、第2方向において、第1端部15aと第2端部15bとの間に位置する。第1中間層15は、結晶性を有している。
実施形態においては、外縁部分15rにおける1つの方向に沿う第1格子長L1は、内側部分15cにおける上記の1つの方向に沿う第2格子長L2とは異なる。例えば、外縁部分15rにおける第2方向(例えばX軸方向)に沿う第1格子長L1は、内側部分15cにおける第2方向に沿う第2格子長L2とは異なる。
例えば、第1格子長L1が第2格子長L2とは異なるときに、第2磁性層12に歪が生じると考えられる。例えば、第1中間層15における格子長の場所による違いが、第2磁性層12における歪と関係している。
例えば、第2磁性層12における格子長が、第2磁性層12の中の位置により異なっても良い。第2磁性層12の組成が複雑である場合がある。第2磁性層12が、多結晶構造またはアモルファス構造を有する場合がある。このような場合において、第2磁性層12における格子長を評価することが困難である場合がある。一方、第1中間層15の格子長の評価は、第2磁性層12の格子長の評価に比べて容易な場合がある。第1中間層15の格子長の状態の評価結果から第2磁性層12における歪の状態を推定することができる。
格子長は、例えば、TEM像などに基づいて評価できる。例えば、TEM像から得られる格子像をフーリエ変化した結果から、格子長の大小関係に関する情報を得ることができる。このフーリエ変換は、例えば、結晶面(すなわち、格子面)において行われる。
実施形態において、例えば、第1格子長L1と第2格子長L2との差の絶対値の、第1格子長L1に対する比は、1%以上である。これにより、例えば、第2磁性層12の第2磁化12Mを所望の状態に制御し易くなる。書き込みエラー率WERを向上できる。これにより、記憶密度が向上できる磁気記憶装置を提供できる。
実施形態において、外縁部分15rにおける第1方向(Z軸方向)に沿う第3格子長L3が、内側部分15cにおける第1方向(Z軸方向)に沿う第4格子長L4と異なっても良い(図2参照)。
例えば、TEM像において、第1中間層15の格子像のフーリエ変換から、格子間隔が読み取れる。外縁部分15rにおいて読み取れる格子間隔は、内側部分15cにおいて読み取れる格子間隔よりも、約1%程度大きい。この格子間隔の差は、ポアソン比の観点から、第1中間層15が面内方向に縮んでいることに対応すると考えられる。例えば、MgO(200)面の場合、第3格子間隔L3が0.205nmの場合、第4格子間隔L4は0.207nmよりも大きくなる。
図3(a)及び図3(b)は、第1の実施形態に係る別の磁気記憶装置を例示する模式的断面図である。
図3(b)において、図3(a)に記載された要素の一部が省略されている。
実施形態に係る別の磁気記憶装置110aも、金属含有層21、第1磁性層11、第2磁性層12及び第1中間層15を含む。磁気記憶装置110aにおいては、第1中間層15の突出部15pの外縁部分15rが上方に曲がり、第1中間層15の中央部分(内側部分15c)は、実質的にX−Y平面に沿っている。この他は、磁気記憶装置110と同様である。磁気記憶装置110aにおいても、書き込みエラー率WERを向上でき、記憶密度が向上できる。
図4は、第1の実施形態に係る別の磁気記憶装置を例示する模式的断面図である。
図4において、第1絶縁層41及び第2絶縁層42は省略されている。以下、磁気記憶装置111について、磁気記憶装置110と異なる部分について説明する。
図4に示すように、本実施形態に係る別の磁気記憶装置111においては、第2磁性層12は、第1磁性膜12A、第2磁性膜12B及び第1中間膜12Cを含む。第2磁性膜12Bは、第1磁性膜12Aと第1中間層15との間に設けられる。第1中間膜12Cは、第1磁性膜12Aと第2磁性膜12Bとの間に設けられる。例えば、第2磁性膜12Bは、第1磁性膜12Aと反強磁性結合する。
第1中間膜12Cは、例えば、Ruを含む。例えば、第1中間膜12Cの厚さは、適切に制御される。例えば、第1中間膜12Cの厚さは、RKKY(Ruderman-Kittel-Kasuya-Yosida)結合のセカンドピークまたはファーストピークに対応するように制御されても良い。第1中間膜12Cの厚さの適切な制御により、第1磁性膜12Aと第2磁性膜12Bとの間において、反強磁性結合が生じる。反強磁性結合により、互いに逆の極性となって結合することで、例えば、素子端部における磁性層の反磁界が低減される。反強磁性結合により、第2磁性層12からの漏洩磁場が小さくできる。これにより、複数のメモリセルの間の距離を短くできる。例えば、記憶密度が向上できる。
第2磁性層12において反強磁性結合を生じさせると、第2磁性層12において形状磁気異方性が得難くなる。第2磁性層12の第2磁化12Mの安定性が低下し易い。このとき、実施形態においては、第1中間層15の上記の特殊な構造により、第2磁化12Mを所望の状態に制御し易くできる。これにより、第2磁性層12において反強磁性結合を生じさせた場合においても、第2磁化12Mの方向を所望の方向に制御し易くできる。これにより、例えば、記憶密度を高めたときにおいても、より安定した動作が可能になる。
実施形態において、第1中間膜12Cの厚さによっては、第1磁性膜12Aと第2磁性膜12Bとの間において、強磁性結合が得られる。この場合には、第2磁性層12の第2磁化12Mが、より安定化する。
上記のように、第1中間膜12Cは、例えば、Ruなどの重元素の非磁性金属が用いられる。例えば、第2磁性層12に流れる書き込み電流の一部が、第1中間膜12Cに流れる。これにより、第1中間膜12Cの上下に設けられた第1磁性膜12A及び第2磁性膜12Bに対して、互いに異なる方向のトルクが作用する。例えば、第1中間膜12Cにより、スピン偏極した電子が、第1磁性膜12Aに向かって反射される。これにより、書き込み電流が低減できる。例えば、第1中間膜12Cによるスピン軌道効果が得られる。
書き込み動作において、制御部70は、金属含有層21と第1磁性層11との間に電圧を印加する。図4の例においては、金属含有層21と電極22との間に電圧が印加されることで、金属含有層21と第1磁性層11との間に電圧が印加される。電圧の印加により、第1中間層15と第2磁性層12の界面に磁気異方性が誘起されるため、例えば、第2磁性層12の磁化反転エネルギーが低下する。第1中間膜12Cの厚さを適切に設定することで、反強磁性結合または強磁性結合の構成が用いられる。これにより、第1中間層15との界面を有する第2磁性膜12Bにおいて、第1中間膜12Cが無い場合に比べて、反転エネルギーを下げることができる。その結果、リテンションエネルギーを保ちながら、さらに記録電流を低下することができる。
例えば、第1中間膜12CにRuを用いた場合、第1中間膜12Cの厚さは、0.2nm以上0.5nm以下(前記ファーストピーク)、または、0.8nm以上1.1nm以下(前記セカンドピーク)である。このとき、反強磁性結合が得られる。第1中間膜12CにRuを用いた場合、第1中間膜12Cの厚さは、0.6nm以上0.8nm以下、または、1.2nm以上である。このとき、強磁性結合が得られる。第1中間膜12Cとして、Rh、またはIrなどを用いても良い。
図5は、第1の実施形態に係る別の磁気記憶装置を例示する模式的断面図である。
図5において、ベース層20s、電極22、第1絶縁層41、第2絶縁層42及び制御部70は省略されている。以下、磁気記憶装置112について、磁気記憶装置110と異なる部分について説明する。
図5に示すように、本実施形態に係る別の磁気記憶装置112においては、積層体SBは、反強磁性層11Aをさらに含む。反強磁性層11Aと第1中間層15との間に第1磁性層11が設けられる。この場合において、反強磁性層11Aは、電極22(図1(a)参照)と第1磁性層11との間に設けられる。電極22は、反強磁性層11Aと電気的に接続される。反強磁性層11Aは、第1磁性層11と電気的に接続される。
反強磁性層11Aは、例えば、IrMnを含む。反強磁性層11Aは、例えば、第1磁性層11の第1磁化11MをZ軸方向と交差する方向に固定する。反強磁性層11Aは、例えばピニング層である。
この例では、第1磁性層11は、第3磁性膜11C、第4磁性膜11D及び第2中間膜11Eを含む。第4磁性膜11Dと第1中間層15との間に、第3磁性膜11Cが設けられる。第3磁性膜11Cと第4磁性膜11Dとの間に、第2中間膜11Eが設けられる。第4磁性膜11Dは、例えば、CoFeを含む。第2中間膜11Eは、例えば、Ruを含む。第3磁性膜は、例えば、CoFeBを含む。第2中間膜11Eの厚さは、第1磁性膜11Bと第2磁性膜11Cとを磁気的に結合させるような厚さに設定される。上記のように、第3磁性膜11Cはボロンを含んでも良い。これにより、例えば、積層体SBにおいて、高いMR比を得ることができる。これにより、情報の書き込み状態の検出の精度が向上できる。これにより、例えば、1つのメモリセルのサイズを縮小できる。これにより、記憶密度を向上し易くできる。
磁気記憶装置112においても、第1中間層15の上記の特殊な構造により、第2磁化12Mを所望の状態に制御し易くできる。記憶密度を向上できる磁気記憶装置を提供できる。
磁気記憶装置112において、第2磁性層12は、第1磁性膜12A、第2磁性膜12B及び第1中間膜12Cを含んでも良い。
以下、金属含有層21、第1磁性層11、第2磁性層12及び第1中間層15の例について説明する。
金属含有層21は、例えば、高いスピンホール効果を有する材料を含んでも良い。例えば、金属含有層21は、第2磁性層12と接する。例えば、金属含有層21は、第2磁性層12にスピン軌道トルクを付与する。金属含有層21は、例えば、Spin Orbit Layer(SOL)として機能しても良い。例えば、金属含有層21と第2磁性層12との間において生じるスピン軌道トルクによって、第2磁性層12の第2磁化12Mの向きを変えることができる。例えば、金属含有層21を流れる電流の向き(第1書き込み電流Iw1の向きまたは第2書き込み電流Iw2の向き)に応じて、第2磁化12Mの方向を制御できる。
金属含有層21は、例えば、タンタル及びタングステンよりなる群より選択された少なくとも1つを含む。金属含有層21は、例えば、β−タンタル及びβ−タングステンよりなる群より選択された少なくとも1つを含む。これらの材料におけるスピンホール角は、負である。これらの材料におけるスピンホール角の絶対値は大きい。これにより、書き込み電流により、第2磁化12Mを効率的に制御できる。
金属含有層21は、白金及び金よりなる群から選択された少なくとも1つを含んでも良い。これらの材料におけるスピンホール角は、正である。これらの材料におけるスピンホール角の絶対値は大きい。これにより、書き込み電流により、第2磁化12Mを効率的に制御できる。
スピンホール角の極性により、第2磁性層12に加わるスピン軌道トルクの方向(向き)が異なる。例えば、金属含有層21は、第2磁性層12にスピン軌道相互作用トルクを与える。これにより、例えば、安定した書き込みがし易くなる。
スピンホール効果を利用する磁気記憶装置は、例えば、スピン軌道トルクランダムアクセスメモリ(spin-orbit torque magnetic random access memory:SOT−MRAM)である。SOT−MRAMにおいては、例えば、書き込み電流端子と、読み込み電流端子と、を分離することができる。例えば、書き込みエラー率WERを低減し易いと考えられる。
実施形態において、スピン伝達トルク効果が利用されても良い。この場合、積層体SBに、積層方向に沿った電流を流すことにより、磁化の向きが制御される。このような磁気記憶装置は、例えば、スピン伝達トルクランダムアクセスメモリ(spin transfer torque magnetic random access memory:STT−MRAM)である。STT−MRAMにおいては、同一の端子を用いて、大きな電流で書き込み、小さな電流で読み出しを行う。STT−MRAMにおいては、金属含有層21は、例えば、書き込み動作において、一方の電極として用いられても良い。金属含有層21と電極22との間に電流を流すことにより、書き込み及び読み出しが行われても良い。
SOT−MRAM及びSTT−MRAMのいずれにおいても、実施形態によれば、第2磁性層12の第2磁化12Mの制御性を向上できる。
第2磁性層12は、例えば、磁化自由層である。第2磁性層12は、例えば、強磁性材料及び軟磁性材料の少なくともいずれかを含む。第2磁性層12は、例えば、人工格子を含んでも良い。
上記の強磁性材料は、例えば、L1構造、または、L1構造を有しても良い。第2磁性層12は、例えば、FePd(鉄−パラジウム)、FePt(鉄−白金)、CoPd(コバルト−パラジウム)及びCoPt(コバルト−白金)よりなる群から選択された少なくとも1つを含む。上記の軟磁性材料は、例えば、CoFeB(コバルト−鉄−ボロン)を含む。上記の人工格子は、例えば、第1膜と第2膜を含む積層膜を含む。第1膜は、例えば、NiFe(ニッケル−鉄)、Fe(鉄)及びCo(コバルト)の少なくともいずれかを含む。第2膜は、例えば、Cu(銅)、Pd(パラジウム)及びPt(白金)の少なくともいずれかを含む。第1膜は、例えば、磁性材料であり、第2膜は、非磁性材料である。
第2磁性層12は、例えば、フェリ磁性材料を含んでも良い。
実施形態において、スピン軌道トルクによる磁化反転を用いる場合は、例えば、第2磁性層12は、面内磁気異方性を有する。これにより、例えば、金属含有層21から、磁化方向と反平行な偏極スピンを得ることができる。例えば、第2磁性層12は、面内の形状磁気異方性、及び、面内の結晶磁気異方性を有しても良い。
実施形態において、第2磁性層12は、垂直磁気異方性を有しても良い。この場合、例えば、外部磁場などにより、金属含有層21からの偏極スピンを用いて磁化反転を行うことができる。
第1磁性層12における熱擾乱耐性は、高いことが好ましい。熱擾乱指数Δは、
Δ=KV/(KT)=(Kshape+Kfilm)V/(KT)
で表される。
上記において、「K」は、一軸磁気異方性である。「V」は、体積である。「Kshape」は、形状磁気異方性である。「Kfilm」は、膜の一軸磁気異方性である。
例えば、第2磁性層12の厚さを厚くすると、体積Vが大きくなる。このとき、厚さにより、一軸磁気異方性の大きさが変化する。
第2磁性層12は、例えば、シンセティック構造を有しても良い。シンセティック構造においては、例えば、第2磁性層12は、第1磁性膜12A、第2磁性膜12B及び第1中間膜12Cを含む(図4参照)。第1中間膜12C(例えばRu膜)の厚さに応じて、第2磁性層12において、強磁性結合が得られる場合、または、反強磁性結合が得られる場合がある。
強磁性結合を用いた際は、例えば、高い熱擾乱耐性を得ることができる。
一方、反強磁性結合を用いた場合は、第2磁性層12は、例えば、人工反強磁性(Synthetic Anti-Ferromagnetic:SAF)構造となる。この構造においては、互いに逆方向の漏れ磁場が生じる。このため、近接する他のメモリセルへの漏れ磁場の影響が小さくできおる。例えば、保磁力のばらつきを小さくできる。SAF構造においては、形状磁気異方性が打ち消されるようになる。このため、熱擾乱耐性を十分に高くすることが困難になる場合がある。
実施形態においては、第1中間層15の上記の特殊な構造により、熱擾乱耐性を向上できる。実施形態は、強磁性結合を用いる構成、及び、反強磁性結合を用いる構成のいずれにも適用できる。
第1中間層15は、例えば、MgO(酸化マグネシウム)、CaO(酸化カルシウム)、SrO(酸化ストロンチウム)、TiO(酸化チタン)、VO(酸化バナジウム)、NbO(酸化ニオブ)及びAl(酸化アルミニウム)よりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1中間層15は、例えば、トンネルバリア層である。第1中間層15がMgOを含む場合、第1中間層15の厚さは、例えば、約1nmである。
第1中間層15は、酸化物の1つの膜を含んでも良い。第1中間層15は、窒化物の1つの膜を含んでも良い。第1中間層15は、複数の膜を含む積層膜を含んでも良い。
例えば、MgOは、NaCl(塩化ナトリウム)構造の結晶構造を有する。第1中間層15は、例えば、スピネル型結晶構造を有する材料(MgAlなど)などを含んでも良い。
第1磁性層11は、例えば、参照層である。第1磁性層11は、例えば磁気固定層である。第1磁性層11は、例えば、Co(コバルト)、CoFeB(コバルト−鉄−ボロン)を含む。このとき、反強磁性層11A(図5参照)を設けても良い。これにより、第1磁性層11において、面内方向の異方性が付与される。これにより、第1磁性層11の第1磁化11Mは、面内の実質的に1つの方向(Z軸方向と交差する方向)に固定される。第1磁性層11は、例えば、面内磁化膜となる。
例えば、第1磁性層11の飽和磁化Msは、小さいことが好ましい。これにより、第1磁性層11の漏洩磁場が第2磁性層12に不均一に印加されることが抑制できる。
例えば、第1磁性層11(参照層)の厚さは、第2磁性層12(自由層)の厚さよりも厚い。これにより、第1磁性層11の第1磁化11Mが所定の方向に安定して固定される。
第1磁性層11が厚いとき、第1磁性層1から発生する磁場分布が大きくなり、第1磁性層11からの漏れ磁場(漏洩磁場)が、第2磁性層12に不均一に印加される場合がある。例えば、第1磁性層11からの漏れ磁場は、第2磁化12Mの向きを第1磁化11Mの向きに対して平行にするように作用する。第1磁性層11からの漏れ磁場は、第2磁性層12の磁化反転磁場を変化させ、第1磁性層11における熱擾乱耐性を劣化させる。例えば、第1磁性層11からの漏れ磁場の影響により、第2磁性層12の反転対称性が、非対称となる。これにより、例えば、第1磁化11Mと第2磁化12Mとが平行の状態と、反平行の状態とにおいて、これらの状態の熱安定性が互いに異なる場合が生じる。積層体SBにおける動作が不安定になる可能性がある。
第1磁性層11の飽和磁化Msが小さいことで、第1磁性層11の漏れ磁場に起因する動作の不安定さを抑制できる。
実施形態において、第1磁性層11は、垂直磁化膜でも良い。この場合、第1磁性層11は、例えば、希土類金属−遷移金属磁性層を含む。第1磁性層11は、例えば、フェリ磁性層を含む。希土類金属−遷移金属磁性層においては、飽和磁化Msが小さく、異方性磁場が大きい。例えば、第1磁性層11は、TbCoFe(テルビウム−コバルト−鉄)を含む。第1磁性層11は、人工格子を含んでも良い。この人工格子は、例えば、Co膜と、Pt膜とを含む積層膜を含む。第1磁性層11は、Fe及びPtを含む結晶膜を含んでも良い。この結晶膜は、例えば、L1構造を有する。
実施形態において、例えば、第1磁性層11は、第1方向(Z軸方向)に沿った第1厚さ、及び、第1保磁力を有する。このとき、例えば、第2磁性層12は、第1厚さよりも薄い第1方向に沿った第2厚さ、及び、第1保磁力よりも小さい第2保磁力の少なくともいずれかを有しても良い。例えば、第1磁性層11の第1磁化11Mは、第2磁性層12の第2磁化12Mと比べて、相対的に変化し難くなる。
実施形態において、例えば、第1磁化11Mと第2磁化12Mとが互いに「平行」である第1磁化状態において、第1磁性層11と第2磁性層12との間の電気抵抗は低い。第1磁化11Mと第2磁化12Mとが互いに「反平行」である第2磁化状態において、第1磁性層11と第2磁性層12との間の電気抵抗は、第1磁化状態における電気抵抗よりも高い。第1磁化11Mと第2磁化12Mとが互いに厳密に「平行」または「反平行」でなくても良い。これらの磁化の向きの相対的な変化に応じて、異なる電気抵抗が得られる。この磁化の向きの状態は、電源をオフしても保存される。実施形態に係る磁気記憶装置は、例えば、不揮発性メモリである。
実施形態によれば、例えば、保磁力のばらつきが抑制される。リテンション耐性のあるMTJ素子を提供できる。
図6は、第1の実施形態に係る別の磁気記憶装置を例示する模式的断面図である。
図6に示すように、本実施形態に係る別の磁気記憶装置113も、金属含有層21、第1磁性層11、第2磁性層12及び第1中間層15を含む。第1磁性層11、第2磁性層12及び第1中間層15は、積層体SBに含まれる。積層体SBについては、磁気記憶装置110と同様である。磁気記憶装置113において、第3磁性層13、第4磁性層14及び第2中間層15aをさらに含む。
第1磁性層11から第3磁性層13に向かう方向は、第2方向(例えば、X軸方向)に沿っている。第4磁性層14は、金属含有層21の別の一部と、第3磁性層13との間に設けられる。第2中間層15aは、第3磁性層13と第4磁性層14との間に設けられる。第3磁性層13、第4磁性層14及び第2中間層15aには、第1磁性層11、第2磁性層12及び第1中間層15について説明した構成及び材料が適用できる。
第3磁性層11a、第4磁性層12a及び第2中間層15aは、積層体SBaに含まれる。このように、複数の積層体SBが設けられても良い。
複数の積層体SBは、複数のメモリセルにそれぞれ対応する。複数のメモリセルにおいて、互いに異なる情報が記憶されることが可能である。複数のメモリセルに情報を記憶する際に、例えば、複数のメモリセルに「1」及び「0」の一方を記憶した後に、複数のメモリセルのうちの所望のいくつかに「1」及び「0」の他方を記憶しても良い。または、例えば、複数のメモリセルの1つに「1」及び「0」の一方を記憶した後に、複数のメモリセルの別の1つに「1」及び「0」の他方を記憶しても良い。
この例では、第1磁性層11に電気的に接続された電極22が設けられている。第3磁性層13に電気的に接続された電極22aが設けられている。電極22と制御部70との間に、第1スイッチSw1が設けられている。電極22aと制御部70との間に、第2スイッチSw2が設けられている。これらのスイッチの動作により、積層体SB及び積層体SBaが選択される。
例えば、積層体SBが選択される場合、第1磁性層11に選択電位が印加され、第3磁性層13に非選択電位が印加される。例えば、積層体SBaが選択される場合、第1磁性層11に非選択電位が印加され、第3磁性層13に選択電位が印加される。選択電位は、非選択電位とは異なる。
このように、磁気記憶装置113において、制御部70は、第1磁性層11及び第3磁性層13と電気的に接続される。制御部70は、第1及び第2書き込み動作において、第1磁性層11の電位を第3磁性層の電位とは異なる電位に設定する。例えば、これらの電位の一方は、選択電位であり、他方は、非選択電位である。0ボルトの電圧の印加も、「電圧の印加」に含まれる。選択電圧の電位は、非選択電圧の電位とは異なる。
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態に係る磁気記憶装置を例示する模式的断面図である。
図7に示すように、第2の実施形態に係る磁気記憶装置120も、金属含有層21、第1磁性層11、第2磁性層12及び第1中間層15を含む。第1磁性層11、第2磁性層12及び第1中間層15は、積層体SBに含まれる。
この場合も、金属含有層21は、金属元素を含む。第2磁性層12は、金属含有層21の一部21cと第1磁性層11との間に設けられる。第1中間層15は、第1磁性層11と第2磁性層12との間に設けられた部分を含む。
第1中間層15は、第1領域15A、第2領域15B及び第3領域15Cを含む。第2領域15Bは、第2磁性層12から第1磁性層11に向かう第1方向(例えばZ軸方向)と交差する第2方向(例えばX軸方向)において、第1領域15Aと並ぶ。第3領域15Cは、第1領域15Aと第2領域15Bとの間に設けられる。この例では、第1領域15A及び第2領域15Bは、外縁部分15r(図1(c)参照)に設けられる。例えば、第1領域15Aは、第1端部15aに対応しても良い。第2領域15Bは、第2端部15bに対応しても良い。第1中間層15は、結晶性を有する。
実施形態においては、第1領域15Aにおける第1格子長L1は、第3領域15Cにおける第2格子長L2とは異なる。第1格子長L1は、第1領域15Aにおける1つの方向に沿った格子長である。第2格子長L2は、第2領域15Bにおける上記の1つの方向に沿った格子長である。
例えば、第2磁性層12から第1磁性層11に向かう方向を第1方向(例えば、Z軸方向)とする。第1方向と交差する1つの方向を第2方向(例えばX軸方向)とする。
例えば、第1格子長L1は、第1領域15Aにおける第2方向に沿った格子長である。この場合、第2格子長L2は、第2領域15Bにおける第2方向に沿った格子長である。第1格子長L1は、第1領域15Aにおける第1方向に沿った格子長La(図7参照)でも良い。この場合、第2格子長L2は、第2領域15Bにおける第1方向に沿った格子長Lb(図7参照)である。
例えば、第1中間層15の端における第1格子長L1は、第1中間層15の中央部における第2格子長L2よりも小さい。
例えば、第1格子長L1と第2格子長L2との差の絶対値の、第1格子長L1に対する比は、1%以上である。例えば、5%よりも大きい歪みが加わると、第1中間層15の結晶性が低下する場合がある。このような場合には、結晶が破壊され、例えば、アモルファスとなることがある。その場合には、外縁部分15rは、アモルファスとして観測される。
例えば、第2磁性層12のヤング率は、約200GPaである。第1中間層15における格子長の差異が1%程度のとき、第2磁性層12に加わる応力は、約2GPaとなる。第2磁性層12がCoFeBを含み、磁歪定数が15ppmであり、第2磁性層12のサイズ(例えばX軸方向の長さ)が20nmである場合において、この応力に基づく熱擾乱指数は、約40kTと積もられる。この熱擾乱指数は、例えば、記憶保持エネルギーと同程度となる。
従って、例えば、第2磁性層12がSAF構造を有する場合においても、応力によって記憶保持エネルギーが確保される。このため、第2磁性層12がSAF構造を有する場合においても、適正な動作を行うことができる。SAF構造により、例えば、漏洩磁場が低減され、保磁力のばらつきが低減できる。これにより、複数のメモリセル(積層体SB)のピッチを小さくできる。記憶密度が向上できる磁気記憶装置を提供できる。
実施形態においては、第1中間層15における格子長が、第1中間層15の内部の位置によって異なる。これにより、例えば、第2磁性層12(例えば自由層)の第2磁化12Mの制御性が高まる。これにより、例えば、書き込みエラー率WERを低くできる。これにより、例えば、隣のメモリセルからの影響を受け難くできる。実施形態によれば、記憶密度が向上できる磁気記憶装置を提供できる。
第2の実施形態において、第1の実施形態に関する説明を適宜適用できる。例えば、磁気記憶装置120において、制御部70は、第1の実施形態に関して説明した動作を実施しても良い。金属含有層21、第1磁性層11、第2磁性層12、第1中間層15、ベース層20s、電極22、第1絶縁層41及び第2絶縁層42について、第1の実施形態に関しての説明が適用できる。
例えば、金属含有層21は、第1部分21a及び第2部分21bを含む。第2部分21bは、第2方向(例えばX軸方向、第2磁性層12から第1磁性層11に向かう第1方向と交差する方向)において、第1部分21bと並ぶ。金属含有層21の一部21cは、第1部分21aと第2部分21bとの間に位置する。制御部70は、第1部分21a、第2部分21b及び第1磁性層11と電気的に接続される。制御部70は、例えば、第1書き込み動作において、第1部分21aから第2部分21bに向かう第1書き込み電流Iw1を金属含有層21に供給する。これにより、第1状態が形成される。制御部70は、第2書き込み動作において、第2部分21bから第1部分21aに向かう第2書き込み電流Iw2を金属含有層21に供給する。これにより、第2状態が形成される。制御部70は、読み出し動作において、第1磁性層11と第1部分21aとの間の電気抵抗に基づく特性(電圧または電流など)の変化を検出しても良い。第1書き込み動作後(第1状態)における第1磁性層11と第1部分21aとの間の第1電気抵抗は、第2書き込み動作後(第2状態)における第1磁性層11と第1部分21aとの間の第2電気抵抗とは異なる。
例えば、第1磁性層11の厚さ(第1方向、例えばZ軸方向に沿った厚さ)は、第2磁性層12の厚さ(第1方向、例えばZ軸方向に沿った厚さ)よりも厚い。第1磁性層の第1磁化11Mは、実質的に固定される。第2磁性層12の第2磁化12Mは、可変である。第2磁性層12の第2磁化12Mは、第3方向(例えばY軸方向、第1方向及び第2方向と交差する方向)に沿う。
磁気記憶装置120においても、第2磁性層12は、第1磁性膜12A、第2磁性膜12B及び第1中間膜12Cを含んでも良い(図4参照)。第2磁性膜12Bは、第1磁性膜12Aと反強磁性結合する。
磁気記憶装置120においても、例えば、金属含有層21は、タンタル及びタングステンよりなる群より選択された少なくとも1つを含む。例えば、金属含有層21は、β−タンタル及びβ−タングステンよりなる群より選択された少なくとも1つを含んでも良い。金属含有層21は、白金及び金よりなる群から選択された少なくとも1つを含んでも良い。例えば、金属含有層21は、第2磁性層12にスピン軌道相互作用トルクを与える。例えば、金属含有層21は、第2磁性層12と接する。
以下、磁気記憶装置120の特性の例について説明する。
図8は、磁気記憶装置の特性を例示するグラフ図である。
図8の横軸は、複数のメモリセル(積層体SB)が設けられる際において、複数のメモリセルのピッチの1/2(ハーフピッチ:Hp)である。縦軸は、書き込みエラー率WERである。
図8には、以下の6種類の磁気記憶装置特性のシミュレーション結果が記載されている。磁気記憶装置120a、120b及び120cにおいては、第1中間層15において、第1格子長L1と第2格子長L2との差の絶対値の、第1格子長L1に対する比は、1%である。磁気記憶装置119a、119b及び119cにおいては、第1中間層15において、第1格子長L1は第2格子長L2と同じである。すなわち、比は0%である。磁気記憶装置120a及び119aにおいては、第2磁性層12は、単層である。磁気記憶装置120b及び119bにおいては、第2磁性層12は、強磁性結合シンセティック構造を有する。磁気記憶装置120c及び119cにおいては、第2磁性層12は、反強磁性結合シンセティック構造を有する。このシミュレーションでは、第2磁性層12の厚さ(Z軸方向の長さ)は、2nmである。Y軸方向の長さは、20nmである。X軸方向の長さは、60nmである。アスペクト比は、3である。
図8から分かるように、磁気記憶装置120a、120b及び120cにおいては、磁気記憶装置119a、119b及び119cと比べて低い書き込みエラー率WERが得られる。ハーフピッチHpが小さくなると、書き込みエラー率WERは悪化する。これは、ピッチが小さくなると、近接素子の影響が大きくなるからであると考えられる。例えば、第1中間層15において格子長を変化させることで(例えば格子長のは1%以上)、ピッチを小さくしても低い書き込みエラー率WERを維持できる。
実用的な記憶装置において、書き込みエラー率WERは、例えば、10−10以下とされる。例えば、反強磁性結合シンセティック構造(磁気記憶装置120c)において、ハーフピッチHpが50nm以下において、十分に実用的な書き込みエラー率WERが得られる。
図9(a)〜図9(d)は、第2の実施形態に係る別の磁気記憶装置を例示する模式的断面図である。
図9(a)は、図9(b)のB1−B2線断面図である。図9(b)は、図9(a)のA1−A2線断面図である。図9(c)及び図9(d)は、別の磁気記憶装置についての、A1−A2線に対応する断面図である。
図9(a)に示すように、磁気記憶装置121においても、金属含有層21及び積層体SBが設けられる。積層体SBは、第1磁性層11、第2磁性層12及び第1中間層15を含む。図9(a)において、ベース層20s、電極22、第1絶縁層41、第2絶縁層42及び制御部70は省略されている。
磁気記憶装置121においても、第1領域15Aにおける第1格子長L1は、第3領域15Cにおける第2格子長L2とは異なる。このような格子長の違いは、例えば、化合物層30からの応力F3により生じる。磁気記憶装置121においても、記憶密度が向上できる。
例えば、化合物層30は、第2磁性層12の側面を覆う。化合物層30は、例えば、金属含有層21の酸化物または窒化物を含む。例えば、金属含有層21となる金属膜21fm(図1(b)参照)がプラズマ処理(酸素プラズマ及び窒素プラズマ処理の少なくともいずれか)される。金属膜21fmの表面に酸化物及び窒化物の少なくともいずれかを含む化合物が形成される。これにより、化合物層30が形成される。この際、体積膨張が生じる。化合物の体積膨張によって、第2磁性層12の側面(側壁)に化合物層30が形成される。第2磁性層12に圧縮応力が与えられる。
例えば、金属膜21fmを加熱酸化または加熱窒化しても良い。例えば、金属膜21fmの化合物(酸化物または窒化物)の熱膨張率は、金属膜21fm(金属含有層21)の熱膨張率の例えば約1/10以下である。金属膜21fmの化合物(酸化物または窒化物)の熱膨張率は、第2磁性層12の熱膨張率の例えば約1/10以下である。このため、高温状態から温度が低下したときに、金属膜21fmの化合物において、応力F3(例えば圧縮応力)が生じる。これにより、第1中間層15における格子長の違いが生じると考えられる。そして、第2磁性層12に応力F3が加わる。これにより、第2磁性層12の第2磁化12Mが所望の状態を維持しやすくなると考えられる。
図9(b)に示すように、本実施形態に係る別の磁気記憶装置121においては、複数の第2磁性層12(積層体SB)が設けられる。複数の第2磁性層12(複数の積層体SB)は、X軸方向(第2方向)に沿って並ぶ。この例では、第2磁性層12(積層体SB)において、形状異方性が設けられる。
例えば、第2磁性層12は、第1長さLf1及び第2長さLf2を有する。第2長さLf2は、第2方向(例えば、X軸方向)に沿う第2磁性層12の長さである。第1長さLf1は、第3方向(例えば、Y軸方向)に沿う第2磁性層12の長さである。第3方向は、第1方向(Z軸方向)と交差する。第3方向は、第2方向(X軸方向)に対して垂直である。第1長さLf1は、第2長さLf2よりも長い。例えば、第1長さLf1は、第2長さLf2の1.5倍以上10倍以下である。
第1長さLf1が、第2長さLf2とは異なることで、第2磁性層12(積層体SB)に形状異方性が設けられる。磁性層の磁化が、形状異方性により、所望の方向に沿う。
磁気記憶装置121においては、第2磁性層12のX軸方向に沿う側壁に比べて、第2磁性層12のY軸方向に沿う側壁に、より大きな応力F3が加わると考えられる。これにより、第2磁性層12の第2磁化12Mは、Y軸方向に沿いやすくなる。第2磁性層12において、一軸性が設けられる。例えば、第2磁性層12の第2磁化12Mは、第1方向(Z軸方向)及び第2方向(Y軸方向)と交差する第3方向(例えばY軸方向)に沿う。
図9(c)に示すように、磁気記憶装置121aにおいては、化合物層30は、X軸方向において第2磁性層12に対向する。化合物層30は、X軸方向において第2磁性層12と重なる。一方、化合物層30は、Y軸方向においては、第2磁性層12と重ならない。この例では、第2磁性層12に加わる応力F3は、方向によって大きく異なる。これにより、第2磁性層12において、一軸性が設けられる。
図9(d)に示すように、磁気記憶装置121bにおいては、側壁層35がさらに設けられる。側壁層35は、Y軸方向において、第2磁性層12と重なる。側壁層35の材料は、化合物層30の材料とは異なる。化合物層30は、例えば、酸化シリコン、酸化タンタル、酸化チタン、酸化ハフニウム、窒化シリコン、窒化タンタル、窒化チタン、窒化ハフニウム、酸窒化シリコン、酸窒化タンタル、酸窒化チタン及び酸窒化ハフニウムよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。一方、化合物層30は、X軸方向において第2磁性層12と重なる。例えば、化合物層30が酸化チタンを含むとき、側壁層35は、酸化シリコンを含む。
化合物層30及び側壁層35が設けられることで、例えば、第2磁性層12に加わる応力において、方向により差が生じる。これにより、第2磁性層12において一軸性が設けられる。例えば、側壁層35は、例えば、第2磁性層12に引っ張り応力を加える。
このように、化合物層30及び側壁層35は、第2磁性層12に応力を加える。化合物層30及び側壁層35は、例えば、積層体SBの側面における絶縁性を向上しても良い。
例えば、積層体SBの形成の加工の際に、積層体SBの側壁に導電性の付着物が形成される場合がある。例えば、側壁において十分な絶縁性が得られない場合がある。化合物層30により、第1中間層15が上方向に向けてカーブする(図1(c)参照)ことで、積層体SBの側壁における電気的な絶縁性が向上できる。これにより、TMRに基づく電気抵抗の変化を効果的に得ることができる。
磁気記憶装置121、121a及び121bにおいても、例えば、第1中間層15における格子長の違いが生じる。
図10は、第2の実施形態に係る別の磁気記憶装置を例示する模式的断面図である。
図10は、図9(a)のA1−A2線断面に対応する断面図である。
図10に示す磁気記憶装置122においても、磁気記憶装置121と同様に、金属含有層21及び積層体SBを含む。この他、ベース層20s、電極22、第1絶縁層41、第2絶縁層42及び制御部70が設けられても良い。図10においては、これらの要素は省略されている。磁気記憶装置122においては、第1絶縁部40A及び第2絶縁部40Bが設けられる。これ以外は、例えば、磁気記憶装置120と同様である。以下、これらの絶縁部について説明する。
第1絶縁部40Aは、第1部分領域p1及び第2部分領域p2を含む。この例では、第1絶縁部40Aは、第5部分領域p5及び第6部分領域p6をさらに含む。これらの部分領域は、連続的でも、不連続的でも良い。
第2方向(例えば、X軸方向)において、第1部分領域p1と第5部分領域p5との間に第2磁性層12が設けられる。第3方向(例えば、Y軸方向)において、第2部分領域p2と第6部分領域p6との間に第2磁性層12が設けられる。第3方向は、第1方向(Z軸方向)と交差し、第2方向に対して垂直である。
第2絶縁部40Bは、第3部分領域p3及び第4部分領域p4を含む。この例では、第2絶縁部40Bは、第7部分領域p7及び第8部分領域p8をさらに含む。これらの部分領域は、連続的でも、不連続的でも良い。
第1部分領域p1は、第2方向(X軸方向)において、第2磁性層12と第3部分領域p3との間に設けられる。第2部分領域p2は、第3方向(Y軸方向)において、第2磁性層12と第4部分領域p4との間に設けられる。第5部分領域p5は、第2方向(X軸方向)において、第2磁性層12と第7部分領域p7との間に設けられる。第6部分領域p2は、第3方向(Y軸方向)において、第2磁性層12と第8部分領域p8との間に設けられる。
第1絶縁部40Aの厚さ(X−Y平面に沿う長さ)は、方向によって異なる。例えば、第1部分領域p1は、第2方向に沿う第1部分領域厚さtp1を有する。第2部分領域p2は、第3方向に沿う第2部分領域厚さtp2を有する。第2部分領域厚さtp2は、第1部分領域厚さtp1とは異なる。この例では、第1部分領域厚さtp1は、第2部分領域厚さtp2よりも薄い。これにより、第2磁性層12に加わる応力は、X軸方向とY軸方向とにおいて異なる。
例えば、Y軸方向に沿う応力は、X軸方向に沿う応力よりも小さい。第2磁性層12に異方的な応力が加わる。第2磁性層12の第2磁化12Mの方向が所望の方向に安定しやすくできる。磁気記憶装置122においても、例えば、第1中間層15における格子長の違いが生じる。磁気記憶装置122においても、記憶密度が向上できる。
磁気記憶装置122において、第5部分領域p5は、第2方向に沿う厚さ(例えば、第1部分領域厚さtp1と同様)を有する。第6部分領域p6は、第3方向に沿う厚さ(例えば、第2部分領域厚さtp2と同様)を有する。これらの厚さは、互いに異なる。
図11(a)及び図11(b)は、第2の実施形態に係る別の磁気記憶装置の製造方法を例示する模式的断面図である。
図11(a)に示すように、金属膜21fm(図1(b)参照)の上に、積層体SBとなる積層膜を形成し、積層膜を加工して積層体SBを形成する。この加工は、例えば、イオンビームエッチングにより行われる。イオンビームエッチングは、金属膜21fmの上面で終了する。図11(a)では、第2磁性層12が例示されている。この後、第1絶縁部40Aとなる膜40Afを形成する。膜40Afは、例えば、SiN膜である。
図11(b)に示すように、Y軸方向に沿ってイオンビームIBを照射する。これにより、膜40Afの一部が除去される。これにより、膜40Afの一部(Y軸方向で第2磁性層12と対向する部分)の厚さが、局所的に薄くなる。これにより、第1絶縁部40Aが形成される。
図12は、第2の実施形態に係る別の磁気記憶装置を例示する模式的断面図である。
図12に示すように、磁気記憶装置123においては、第2磁性層12(積層体SB)の平面形状(X−Y平面に沿う平面形状)が偏平円状(楕円を含む)である。これ以外は、磁気記憶装置122と同様である。磁気記憶装置123においても、第1部分領域厚さtp1は、第2部分領域厚さtp2よりも薄い。第2磁性層12の第2磁化12Mの方向が所望の方向に安定しやすくできる。磁気記憶装置123においても、例えば、第1中間層15における格子長の違いが生じる。磁気記憶装置123においても、記憶密度が向上できる。
図13(a)及び図13(b)は、第2の実施形態に係る別の磁気記憶装置の製造方法を例示する模式的断面図である。
図13(a)に示すように、金属膜21fm(図1(b)参照)の上に、積層体SBとなる積層膜を形成し、積層膜を加工して積層体SBを形成する。積層体SBの平面形状は偏平円状である。加工は、金属膜21fmの上面で終了する。この後、第1絶縁部40Aとなる膜40Afを形成する。膜40Afは、例えば、SiN膜である。
図13(b)に示すように、基板(ベース層20s)を、Z軸方向を軸として回転しつつ、イオンビームIBを照射する。これにより、膜40Afの一部が除去される。このとき、膜40AfのうちでY軸方向において第2磁性層12と重なる部分の曲率は、膜40AfのうちでX軸方向において第2磁性層12と重なる部分の曲率よりも高い。これにより、これらの部分において、イオンビームIBの照射による膜40Afの除去速度が異なる。これにより、膜40AfのうちのY軸方向で第2磁性層12と対向する部分の厚さが、局所的に薄くなる。これにより、第1絶縁部40Aが形成される。
磁気記憶装置123の形成において、図11(b)に関して説明したイオンビームIBの異方的な照射を行っても良い。
図14は、第2の実施形態に係る別の磁気記憶装置を例示する模式的断面図である。
図14に示すように、磁気記憶装置124においても、第1絶縁部40A及び第2絶縁部40Bが設けられる。磁気記憶装置124においては、第1絶縁部40Aの材料が場所によって異なる。これ以外は磁気記憶装置122と同様なので説明を省略する。
第1絶縁部40Aにおいて、第1部分領域p1の材料は、第2部分領域p2の材料とは異なる。さらに第5部分領域p5の材料は、第6部分領域p6の材料とは異なっても良い。例えば、第1部分領域p1及び第5部分領域p5は、酸化シリコンを含む。第2部分領域p2及び第6部分領域p6は、窒化シリコンを含む。異なる材料により、第2磁性層12に加わる応力に異方性が生じる。これにより、第2磁性層12の第2磁化12Mの方向が所望の方向に安定しやすくできる。磁気記憶装置124においても、例えば、第1中間層15における格子長の違いが生じる。磁気記憶装置124においても、記憶密度が向上できる。
磁気記憶装置124において、第2絶縁部40Bの材料は、均一でも良い。磁気記憶装置124において、磁気記憶装置122のように、第1絶縁部40Aの厚さが場所によって異なっても良い。
例えば、第1部分領域p1は、第2方向(X軸方向)に沿う第1部分領域厚さtp1、及び、第1材料を有する。このとき、第2部分領域p2は、第1部分領域厚さtp1とは異なる第3方向(Y軸方向)に沿う第2部分領域厚さtp2、及び、第1材料とは異なる第2材料の少なくともいずれかを有しても良い。
図15は、第2の実施形態に係る別の磁気記憶装置を例示する模式的断面図である。
図15に示すように、磁気記憶装置125においても、第1絶縁部40Aが設けられる。磁気記憶装置125においても、第1絶縁部40Aの材料が場所によって異なる。これ以外は、磁気記憶装置124と同様なので説明を省略する。以下、磁気記憶装置125について、第1絶縁部40Aに関して説明する。
第1絶縁部40Aは、第1部分領域p1及び第2部分領域p2を含む。第1部分領域p1は、第2方向(例えばX軸方向)において、第2磁性層12と重なる。第2部分領域p2は、第3方向(第1方向と交差し第2方向に対して垂直な方向であり、例えばY軸方向)において、第2磁性層12と重なる。第1部分領域p1の材料は、第2部分領域p2の材料とは異なる。例えば、第1部分領域p1は酸化シリコンを含み、第2部分領域p2は窒化シリコンを含む。第2磁性層12の第2磁化12Mの方向が所望の方向に安定しやすくできる。磁気記憶装置125においても、例えば、第1中間層15における格子長の違いが生じる。磁気記憶装置125においても、記憶密度が向上できる。
以下、磁気記憶装置125の製造方法の例について説明する。
図16(a)〜図16(i)は、第2の実施形態に係る別の磁気記憶装置の製造方法を例示する模式図である。
図16(a)、図16(c)、図16(e)、図16(g)及び図16(i)は、断面図である。図16(b)、図16(d)、図16(f)及び図16(h)は、平面図である。
図16(a)及び図16(b)に示すように、基板(ベース層20s)の上に、金属含有層21となる金属膜21fmが設けられている。金属膜21fmの上に、積層体SBとなる積層膜SBFが設けられている。積層膜SBFは、第2磁性層12となる膜12F、第1中間層15となる膜15F、及び、第1磁性層11となる膜11Fを含む。積層膜SBFの上に、マスクM1が設けられる。この例では、マスクM1は、Y軸方向に沿う帯状である。
図16(c)及び図16(d)に示すように、マスクM1の開口部において露出する積層膜SBFにイオンビームIB1を照射する。これにより、積層膜SBFの一部が除去される。これにより、積層体SB(第2磁性層12、第1中間層15及び第1磁性層11)が形成される。マスクM1の開口部において、金属膜21fmが露出する。
図16(e)及び図16(f)に示すように、露出した金属膜21fmの上に、絶縁膜IF1を形成する。絶縁膜IF1は、例えば、窒化シリコンである。上面を平坦化する。
図16(g)〜図16(i)に示すように、別のマスク(図示しない)を形成し、この別のマスクの開口部において露出する積層膜SBF及び絶縁膜IF1を除去する。この別のマスクは、マスクM1の延びる方向と交差する方向(例えば、X軸方向)に沿って延びる帯状である。除去された部分に、絶縁膜IF2を形成し平坦化する。絶縁膜IF2の材料は、絶縁膜IF1の材料とは異なる。例えば、絶縁膜IF1が酸化シリコンを含む場合、絶縁膜IF2は窒化シリコンを含む。
このようにして磁気記憶装置125が形成される。
例えば、絶縁膜IF1は、圧縮応力及び引っ張り応力の一方が得られる条件で形成される。例えば、絶縁膜IF2は、圧縮応力及び引っ張り応力の他方が得られる条件で形成される。第2磁性層12において、一軸的応力が導入される。
以下、磁気記憶装置125の別の製造方法について説明する。
図17(a)〜図17(f)は、第2の実施形態に係る別の磁気記憶装置の製造方法を例示する模式的断面図である。
図17(a)に示すように、基板(ベース層20s)の上に設けられた金属膜21fmの上に、積層体SBとなる積層膜SBF(第2磁性層12となる膜12F、第1中間層15となる膜15F、及び、第1磁性層11となる膜11F)が設けられる。積層膜SBFの上に、マスクM1が設けられる。この例では、マスクM1は、Y軸方向に沿う帯状である。
図17(b)に示すように、マスクM1の開口部において露出する積層膜SBFの一部を除去する。この除去は、例えばRIE(Reactive Ion Etching)などにより行われる。この処理において、第2磁性層12となる膜12Fは残る。
図17(c)に示すように、マスクM1の開口部において露出する膜12FにイオンビームIB2を照射する。イオンビームIB2は、例えば、酸素イオンビーム及び窒素イオンビームの少なくともいずれかである。これにより、膜12Fから化合物膜12FCが形成される。
図17(d)に示すように、化合物膜12FCの上に、絶縁膜IF1を形成する。絶縁膜IF1は、例えば、窒化シリコンである。上面を平坦化する。
この後、例えば、図16(g)〜図16(i)に関して説明した処理を行う。これにより、磁気記憶装置125が形成される。
この例では、第2磁性層12となる膜12Fにおいて、物理的な加工は行われない。例えば、RIEなどの処理における活性ガスが、第2磁性層12の側壁に接触することが実質的に生じない。例えば、これにより、積層体SB(MTJ素子)における動作が安定する。高い歩留まりが得られる。
この例において、図17(e)に示すように、上記の図17(c)に関して説明した処理において、イオンビームIB2の照射により、化合物膜12FCの形成に加えて、金属膜21fmから化合物膜12fmcが形成されても良い。化合物膜12fmcにおいて体積膨張が生じても良い。
この後、図17(f)に示すように、化合物膜12FCの上に、絶縁膜IF1を形成すし、上面を平坦化する。この後、例えば、図16(g)〜図16(i)に関して説明した処理を行う。これにより、磁気記憶装置125が形成される。化合物膜12fmcを形成することで、例えば、より大きな応力を第2磁性層12に加えることができる。
図18(a)〜図18(i)は、第2の実施形態に係る別の磁気記憶装置の製造方法を例示する模式図である。
図18(a)、図18(c)、図18(e)、図18(g)及び図18(i)は、断面図である。図18(b)、図18(d)、図18(f)及び図18(h)は、平面図である。
図18(a)及び図18(b)に示すように、基板(ベース層20s)の上に、金属膜21fmが形成される。金属膜21fmの上に、積層体SBとなる積層膜SBFが形成される。積層膜SBFは、第2磁性層12となる膜12F、第1中間層15となる膜15F、及び、第1磁性層11となる膜11Fを含む。
この例では、金属膜21fmは、応力(例えば圧縮応力)が加わる条件で形成される。例えば、金属膜21fmは、低圧雰囲気でのスパッタにより形成される。これにより、例えば、Arガスが膜中に取り込まれ難くなる。金属膜21fmが密な状態で形成される。これにより、金属膜21fmにおいて、圧縮応力が生じる。例えば、金属膜21fmを、Krガスを用いたスパッタにより形成する。これにより、例えば、金属膜21fm中にガスが取り込まれ難くなる。金属膜21fmが密な状態となる。これにより、金属膜12fmにおいて、圧縮応力が生じる。例えば、金属膜21fmの格子定数を、無歪の状態を基準にして1%以上変えることができる。
例えば、金属膜21fmとしてTa膜を用い、第2磁性層12となる膜12FとしてCoFeB膜を用いる。これらの膜の形成の後に、例えば高温(約230℃以上270℃以下の温度)で処理を行う。これにより、例えば、膜12F中のB(ボロン)が金属膜21fmに移動(例えば拡散)し、金属膜21fmにおいて圧縮応力が生じる。
図18(a)及び図18(b)に示すように、積層膜SBFの上に、マスクM1が設けられる。マスクM1は、Y軸方向に沿う帯状である。
図18(c)及び図18(d)に示すように、マスクM1の開口部において露出する積層膜SBFにイオンビームIB1を照射する。これにより、積層膜SBFの一部が除去される。これにより、積層体SB(第2磁性層12、第1中間層15及び第1磁性層11)が形成される。マスクM1の開口部において、金属膜21fmが露出する。
上記のように、金属膜21fmにおいて圧縮応力が設けられる場合、積層膜SBFの加工により、応力の解放が生じる。これにより、例えば、第2磁性層12に引っ張り応力が生じる。
図18(e)及び図18(f)に示すように、露出した金属膜21fmの上に、絶縁膜IF1を形成する。絶縁膜IF1は、例えば、窒化シリコンである。上面を平坦化する。
図18(g)〜図18(i)に示すように、別のマスク(図示しない)を形成し、この別のマスクの開口部において露出する積層膜SBF及び絶縁膜IF1を除去する。この別のマスクは、マスクM1の延びる方向と交差する方向(例えば、X軸方向)に沿って延びる帯状である。除去された部分に、絶縁膜IF2を形成し平坦化する。絶縁膜IF2の材料は、絶縁膜IF1の材料とは異なる。例えば、絶縁膜IF1が酸化シリコンを含む場合、絶縁膜IF2は窒化シリコンを含む。
このようにして磁気記憶装置125が形成される。
磁気記憶装置120、120a〜120c、121、121a、121b、122〜125において、第1中間層15は、金属含有層21に向かって凸状でも良い。磁気記憶装置120、120a〜120c、121、121a、121b、122〜125において、第1方向(第2磁性層12から第1磁性層11に向かう方向)において、第2面11fbと外縁部分15rとの間の第1距離t1(最短距離)は、第2面11fbと内側部分15cとの間の第2距離t2(最短距離)よりも短くても良い(図1(c)参照)。
(第3の実施形態)
図19は、第3の実施形態に係る磁気記憶装置の製造方法を例示するフローチャート図である。
図19に示すように、本実施形態に係る磁気記憶装置の製造方法においては、構造体SB0(図1(b)参照)を形成する(ステップS110)。構造体SB0は、金属膜21fm、第2磁性層12、第1中間層15及び第1磁性層11を含む。第2磁性層12は、金属膜21fmの一部と、第1磁性層11との間に設けられる。第1中間層15は、第1磁性層11と第2磁性層12との間に設けられた部分を含む。第1中間層15は、非磁性である。第1中間層15は、第2磁性層12から第1磁性層11に向かう第1方向(Z軸方向)と交差する方向において、第2磁性層12を基準にして突出している。
本製造方法において、金属膜21fmの他の一部の表面を処理する(ステップS120)。これにより、金属膜21fmに含まれる金属元素を含む化合物層30(図1(c)参照が形成される。化合物層30の一部は、金属膜21fm(金属含有層21)と第1中間層15との間にある。
本製造方法によれば、記憶密度が向上できる磁気記憶装置の製造方法を提供できる。
磁気記憶装置において、記憶密度の上昇により微細化が進むと、記憶層からの漏洩磁場が近隣素子に及ぼす影響が大きくなり、書き込みエラー率WERが上昇する。磁気記憶装置において、素子微細化による高記録密度化と、熱擾乱耐性と、を両立させることが重要である。実施形態によれば、素子間隔が狭くても書き込みエラー率WERが低くできる。熱擾乱耐性の高い磁気記憶装置を提供できる。近接素子からの漏洩磁場による磁化反転エネルギーのばらつきを抑制できる。熱擾乱耐性の低下を抑制できる。
実施形態によれば、記憶密度が向上できる磁気記憶装置及びその製造方法が提供できる。
本願明細書において、「電気的に接続される状態」は、複数の導電体が物理的に接してこれら複数の導電体の間に電流が流れる状態を含む。「電気的に接続される状態」は、複数の導電体の間に、別の導電体が挿入されて、これらの複数の導電体の間に電流が流れる状態を含む。「電気的に接続される状態」は、複数の導電体の間に、電気的な素子(トランジスタなどのスイッチ素子など)が挿入されて、これらの複数の導電体の間に電流が流れる状態を形成可能な状態を含む。
本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、磁気記憶装置に含まれる金属含有層、磁性層、中間層、絶縁層、絶縁部、ベース層及び制御部などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
その他、本発明の実施の形態として上述した磁気記憶装置及びその製造方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての磁気記憶装置及びその製造方法も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
11…第1磁性層、 11A…反強磁性層、 11C…第3磁性膜、 11D…第4磁性膜、 11E…第2中間膜、 11F…膜、 11M…第1磁化、 11fa、11fb…面、 12…磁性層、 12A…第1磁性膜、 12B…第2磁性膜、 12C…第1中間膜、 12F…膜、 12FC…化合物膜、 12M…第2磁化、 12fm…金属膜、 12fmc…化合物膜、 12s…側面、 13…第3磁性層、 14…第4磁性層、 15…第1中間層、 15a…第2中間層、 15A〜15C…第1〜第3領域、 15F…膜、 15a、15b…第1、第2端部、 15c…内側部分、 15fa、15fb…面、 15p…突出部、 15r…外縁部分、 20s…ベース層、 21…金属含有層、 21a、21b…第1、第2部分、 21c…一部、 21fa、21fb…面、 21fm…金属膜、 22、22a…電極、 30…化合物層、 35…側壁層、 40A、40B…第1、第2絶縁部、 40Af…膜、 41、42…第1、第2絶縁層、 70…制御部、 110、110a、111、112、113、119a〜119c、120、120a〜120c、121、121a、121b、122〜125…磁気記憶装置、 F3…応力、 Hp…ハーフピッチ、 IB、IB1、IB2…イオンビーム、 IF1、IF2…絶縁膜、 Iw1、Iw2…第1、第2書き込み電流、 L1〜L4…第1〜第4格子長、 La、Lb…格子長、 Lf1、Lf2…第1、第2長さ、 M1…マスク、 SB…積層体、 SB0…構造体、 SBF…積層膜、 Sw1、Sw2…第1、第2スイッチ、 WER…書き込みエラー率、 p1〜p8…第1〜第8部分領域、 t1、t2…第1、第2距離、 ta1、ta2…距離、 tp1、tp2…第1、第2部分領域厚さ
制御部70は、例えば、第1部分21a及び第2部分21bと電気的に接続される。制御部70は、第1書き込み動作において、第1書き込み電流Iw1を金属含有層21に供給する。これにより、第1状態が形成される。第1書き込み電流Iw1は、第1部分21aから第2部分21bに向かう。制御部70は、第2書き込み動作において、第2書き込み電流Iw2を金属含有層21に供給する。これにより、第2状態が形成される。第2書き込み電流Iw2は、第2部分21bから第1部分21aに向かうこのように、制御部70は、書き込み動作(または消去動作)を実施できる。これらの2つの状態において、積層体SBの電気抵抗が互いに異なる。これらの書き込み動作は、例えば、記憶動作である。
電気抵抗の変化は、制御部70によって検出されても良い。例えば、制御部70は、第1磁性層11とさらに電気的に接続される。この例では、制御部70は、電極22に電気的に接続される。例えば、制御部70は、読み出し動作において、第1磁性層11と第1部分21aとの間の電気抵抗の変化に基づく特性(電圧など)の変化を検出する。第1状態における第1磁性層11と第1部分21aとの間の第1電気抵抗は、第2状態における第1磁性層11と第1部分21との間の第2電気抵抗とは異なる。すなわち、第1書き込み動作後における第1磁性層11と第1部分21aとの間の第1電気抵抗は、第2書き込み動作後における第1磁性層11と第1部分21aとの間の第2電気抵抗とは異なる。上記において、第1部分21a及び第2部分21は、互いに入れ替えが可能である。例えば、上記の電気抵抗は、第1磁性層11と第2部分21bとの間の電気抵抗でも良い。
例えば、第1中間層15は、金属含有層21に向かって凸状である。このような構造により、例えば、第2磁性層12に応力が加わると考えられる。この応力に基づく歪により、例えば、逆磁歪効果(ビラリ効果)が生じる。
格子長は、例えば、TEM像などに基づいて評価できる。例えば、TEM像から得られる格子像をフーリエ変した結果から、格子長の大小関係に関する情報を得ることができる。このフーリエ変換は、例えば、結晶面(すなわち、格子面)において行われる。
この例では、第1磁性層11は、第3磁性膜11C、第4磁性膜11D及び第2中間膜11Eを含む。第4磁性膜11Dと第1中間層15との間に、第3磁性膜11Cが設けられる。第3磁性膜11Cと第4磁性膜11Dとの間に、第2中間膜11Eが設けられる。第4磁性膜11Dは、例えば、CoFeを含む。第2中間膜11Eは、例えば、Ruを含む。第3磁性膜11Cは、例えば、CoFeBを含む。第2中間膜11Eの厚さは、第磁性膜11と第2磁性膜11Cとを磁気的に結合させるような厚さに設定される。上記のように、第3磁性膜11Cはボロンを含んでも良い。これにより、例えば、積層体SBにおいて、高いMR比を得ることができる。これにより、情報の書き込み状態の検出の精度が向上できる。これにより、例えば、1つのメモリセルのサイズを縮小できる。これにより、記憶密度を向上し易くできる。
磁性層12における熱擾乱耐性は、高いことが好ましい。熱擾乱指数Δは、
Δ=KV/(KT)=(Kshape+Kfilm)V/(KT)
で表される。
上記において、「K」は、一軸磁気異方性である。「V」は、体積である。「Kshape」は、形状磁気異方性である。「Kfilm」は、膜の一軸磁気異方性である。
一方、反強磁性結合を用いた場合は、第2磁性層12は、例えば、人工反強磁性(Synthetic Anti-Ferromagnetic:SAF)構造となる。この構造においては、互いに逆方向の漏れ磁場が生じる。このため、近接する他のメモリセルへの漏れ磁場の影響が小さくできる。例えば、保磁力のばらつきを小さくできる。SAF構造においては、形状磁気異方性が打ち消されるようになる。このため、熱擾乱耐性を十分に高くすることが困難になる場合がある。
第1磁性層11が厚いとき、第1磁性層1から発生する磁場分布が大きくなり、第1磁性層11からの漏れ磁場(漏洩磁場)が、第2磁性層12に不均一に印加される場合がある。例えば、第1磁性層11からの漏れ磁場は、第2磁化12Mの向きを第1磁化11Mの向きに対して平行にするように作用する。第1磁性層11からの漏れ磁場は、第2磁性層12の磁化反転磁場を変化させ、第1磁性層11における熱擾乱耐性を劣化させる。例えば、第1磁性層11からの漏れ磁場の影響により、第2磁性層12の反転対称性が、非対称となる。これにより、例えば、第1磁化11Mと第2磁化12Mとが平行の状態と、反平行の状態とにおいて、これらの状態の熱安定性が互いに異なる場合が生じる。積層体SBにおける動作が不安定になる可能性がある。
図6は、第1の実施形態に係る別の磁気記憶装置を例示する模式的断面図である。
図6に示すように、本実施形態に係る別の磁気記憶装置113も、金属含有層21、第1磁性層11、第2磁性層12及び第1中間層15を含む。第1磁性層11、第2磁性層12及び第1中間層15は、積層体SBに含まれる。積層体SBについては、磁気記憶装置110と同様である。磁気記憶装置113において、第3磁性層13、第4磁性層14及び第2中間層15をさらに含む。
第1磁性層11から第3磁性層13に向かう方向は、第2方向(例えば、X軸方向)に沿っている。第4磁性層14は、金属含有層21の別の一部と、第3磁性層13との間に設けられる。第2中間層15は、第3磁性層13と第4磁性層14との間に設けられる。第3磁性層13、第4磁性層14及び第2中間層15には、第1磁性層11、第2磁性層12及び第1中間層15について説明した構成及び材料が適用できる。
第3磁性層1、第4磁性層1及び第2中間層15は、積層体SBaに含まれる。このように、複数の積層体SBが設けられても良い。
例えば、金属含有層21は、第1部分21a及び第2部分21bを含む。第2部分21bは、第2方向(例えばX軸方向、第2磁性層12から第1磁性層11に向かう第1方向と交差する方向)において、第1部分21と並ぶ。金属含有層21の一部21cは、第1部分21aと第2部分21bとの間に位置する。制御部70は、第1部分21a、第2部分21b及び第1磁性層11と電気的に接続される。制御部70は、例えば、第1書き込み動作において、第1部分21aから第2部分21bに向かう第1書き込み電流Iw1を金属含有層21に供給する。これにより、第1状態が形成される。制御部70は、第2書き込み動作において、第2部分21bから第1部分21aに向かう第2書き込み電流Iw2を金属含有層21に供給する。これにより、第2状態が形成される。制御部70は、読み出し動作において、第1磁性層11と第1部分21aとの間の電気抵抗に基づく特性(電圧または電流など)の変化を検出しても良い。第1書き込み動作後(第1状態)における第1磁性層11と第1部分21aとの間の第1電気抵抗は、第2書き込み動作後(第2状態)における第1磁性層11と第1部分21aとの間の第2電気抵抗とは異なる。
例えば、第1磁性層11の厚さ(第1方向、例えばZ軸方向に沿った厚さ)は、第2磁性層12の厚さ(第1方向、例えばZ軸方向に沿った厚さ)よりも厚い。第1磁性層11の第1磁化11Mは、実質的に固定される。第2磁性層12の第2磁化12Mは、可変である。第2磁性層12の第2磁化12Mは、第3方向(例えばY軸方向、第1方向及び第2方向と交差する方向)に沿う。
図8から分かるように、磁気記憶装置120a、120b及び120cにおいては、磁気記憶装置119a、119b及び119cと比べて低い書き込みエラー率WERが得られる。ハーフピッチHpが小さくなると、書き込みエラー率WERは悪化する。これは、ピッチが小さくなると、近接素子の影響が大きくなるからであると考えられる。例えば、第1中間層15において格子長を変化させることで(例えば格子長の1%以上)、ピッチを小さくしても低い書き込みエラー率WERを維持できる。
図12は、第2の実施形態に係る別の磁気記憶装置を例示する模式的断面図である。
図12に示すように、磁気記憶装置123においては、第2磁性層12(積層体SB)の平面形状(X−Y平面に沿う平面形状)が偏平円状(楕円を含む)である。これ以外は、磁気記憶装置122と同様である。磁気記憶装置123においても、第1部分領域厚さtp1は、第2部分領域厚さtp2よりもい。第2磁性層12の第2磁化12Mの方向が所望の方向に安定しやすくできる。磁気記憶装置123においても、例えば、第1中間層15における格子長の違いが生じる。磁気記憶装置123においても、記憶密度が向上できる。
この例では、金属膜21fmは、応力(例えば圧縮応力)が加わる条件で形成される。例えば、金属膜21fmは、低圧雰囲気でのスパッタにより形成される。これにより、例えば、Arガスが膜中に取り込まれ難くなる。金属膜21fmが密な状態で形成される。これにより、金属膜21fmにおいて、圧縮応力が生じる。例えば、金属膜21fmを、Krガスを用いたスパッタにより形成する。これにより、例えば、金属膜21fm中にガスが取り込まれ難くなる。金属膜21fmが密な状態となる。これにより、金属膜21fmにおいて、圧縮応力が生じる。例えば、金属膜21fmの格子定数を、無歪の状態を基準にして1%以上変えることができる。
本製造方法において、金属膜21fmの他の一部の表面を処理する(ステップS120)。これにより、金属膜21fmに含まれる金属元素を含む化合物層30(図1(c)参照が形成される。化合物層30の一部は、金属膜21fm(金属含有層21)と第1中間層15との間にある。
本発明の実施形態によれば、磁気記憶装置は、金属含有層、第1磁性層、第2磁性層第1中間層及び化合物層を含む。前記金属含有層は、金属元素を含む。前記第2磁性層は、前記金属含有層の一部と前記第1磁性層との間に設けられる。前記第1中間層は、前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた部分を含む。前記化合物層は、前記金属元素の酸化物、前記金属元素の窒化物、及び、前記金属元素の酸窒化物よりなる群から選択された少なくとも1つを含む。前記第1中間層は、前記金属含有層に向かって凸状である。前記化合物層の少なくとも一部は、前記第2磁性層から前記第1磁性層に向かう方向において、前記金属含有層と、前記第1中間層の一部との間にある。
本発明の別の実施形態によれば、磁気記憶装置は、金属含有層、第1磁性層、第2磁性層、第1中間層及び化合物層を含む。前記金属含有層は、金属元素を含む。前記第2磁性層は、前記金属含有層の一部と前記第1磁性層との間に設けられる。前記第1中間層は、前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた部分を含む。前記化合物層は、前記金属元素の酸化物、前記金属元素の窒化物、及び、前記金属元素の酸窒化物よりなる群から選択された少なくとも1つを含む。前記第1中間層は、内側部分と、前記内側部分の周りの外縁部分と、を含む。前記第1磁性層は、前記第1中間層と対向する第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有する。前記第2磁性層から前記第1磁性層に向かう方向において、前記第2面と前記外縁部分との間の第1距離は、前記第2面と前記内側部分との間の第2距離よりも短い。前記化合物層の少なくとも一部は、前記第2磁性層から前記第1磁性層に向かう前記方向において、前記金属含有層と、前記第1中間層の一部との間にある。
本発明の別の実施形態によれば、磁気記憶装置は、金属含有層、第1磁性層、第2磁性層、第1中間層、第1絶縁部及び第2絶縁部を含む。前記金属含有層は、金属元素を含む。前記第2磁性層は、前記金属含有層の一部と前記第1磁性層との間に設けられる。前記第1中間層は、前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた部分を含む。前記第1絶縁部は、第1部分領域及び第2部分領域を含む。前記第2絶縁部は、第3部分領域及び第4部分領域を含む。前記第1中間層は、結晶性を有する。前記第1中間層は、内側部分と、前記内側部分の周りの外縁部分と、を含む。前記外縁部分における1つの方向に沿う第1格子長は、前記内側部分における前記1つの方向に沿う第2格子長とは異なる。前記第1部分領域は、前記第2磁性層から前記第1磁性層に向かう第1方向と交差する第2方向において前記第2磁性層と前記第3部分領域との間に設けられる。前記第2部分領域は、前記第1方向と交差し前記第2方向に対して垂直な第3方向において前記第2磁性層と前記第4部分領域との間に設けられる。前記第1部分領域の、前記第2方向に沿う厚さは、前記第2部分領域の、前記第3方向に沿う厚さとは異なる。
本発明の別の実施形態によれば、磁気記憶装置は、金属含有層、第1磁性層、第2磁性層、第1中間層及び第1絶縁部を含む。前記金属含有層は、金属元素を含む。前記第2磁性層は、前記金属含有層の一部と前記第1磁性層との間に設けられる。前記第1中間層は、前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた部分を含む。前記第1絶縁部は、第1部分領域及び第2部分領域を含む。前記第1中間層は、結晶性を有する。前記第1中間層は、内側部分と、前記内側部分の周りの外縁部分と、を含む。前記外縁部分における1つの方向に沿う第1格子長は、前記内側部分における前記1つの方向に沿う第2格子長とは異なる。前記第1部分領域は、前記第2磁性層から前記第1磁性層に向かう第1方向と交差する第2方向において前記第2磁性層と重なる。前記第2部分領域は、前記第1方向と交差し前記第2方向に対して垂直な第3方向において前記第2磁性層と重なる。前記第1部分領域の材料は、前記第2部分領域の材料とは異なる。
本発明の別の実施形態によれば、磁気記憶装置の製造方法は、金属膜と、第1磁性層と、前記金属膜の一部と前記第1磁性層との間に設けられた第2磁性層と、前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた部分を含む非磁性の第1中間層と、を含む構造体を形成することを含む。前記第1中間層は、前記第2磁性層から前記第1磁性層に向かう第1方向と交差する方向において前記第2磁性層を基準にして突出する。前記製造方法は、前記金属膜の他の一部の表面を処理して、前記金属膜に含まれる金属元素を含む化合物層を形成することを含む。前記化合物層の一部は、前記金属膜と前記第1中間層との間にある。
本発明の実施形態によれば、磁気記憶装置は、金属含有層、第1磁性層、第2磁性層、第1中間層及び化合物層を含む。前記金属含有層は、金属元素を含む。前記第2磁性層は、前記金属含有層の一部と前記第1磁性層との間に設けられる。前記第1中間層は、前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた内側部分と、前記第2磁性層から前記第1磁性層に向かう第1方向と交差する方向において前記第2磁性層を基準にして突出し前記内側部分と連続した突出部と、を含む。前記化合物層は、前記金属元素の酸化物、前記金属元素の窒化物、及び、前記金属元素の酸窒化物よりなる群から選択された少なくとも1つを含む。前記突出部の前記金属含有層側の面は、前記化合物層の一部と接し、前記金属含有層から離れるように、前記内側部分の前記金属含有層側の面よりも大きく曲がる。前記化合物層の一部は、前記金属含有層と前突出部との間にある
発明の別の実施形態によれば、磁気記憶装置は、金属含有層、第1磁性層、第2磁性層、第1中間層、第1絶縁部及び第2絶縁部を含む。前記金属含有層は、金属元素を含む。前記第2磁性層は、前記金属含有層の一部と前記第1磁性層との間に設けられる。前記第1中間層は、前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた部分を含む。前記第1絶縁部は、第1部分領域及び第2部分領域を含む。前記第2絶縁部は、第3部分領域及び第4部分領域を含む。前記第1中間層は、結晶性を有する。前記第1中間層は、内側部分と、前記内側部分と連続し前記内側部分の周りの外縁部分と、を含む。前記外縁部分における1つの方向に沿う第1格子長は、前記内側部分における前記1つの方向に沿う第2格子長とは異なる。前記第1部分領域は、前記第2磁性層から前記第1磁性層に向かう第1方向と交差する第2方向において前記第2磁性層と前記第3部分領域との間に設けられる。前記第2部分領域は、前記第1方向と交差し前記第2方向に対して垂直な第3方向において前記第2磁性層と前記第4部分領域との間に設けられる。前記第1部分領域の、前記第2方向に沿う厚さは、前記第2部分領域の、前記第3方向に沿う厚さとは異なる。
本発明の別の実施形態によれば、磁気記憶装置は、金属含有層、第1磁性層、第2磁性層、第1中間層及び第1絶縁部を含む。前記金属含有層は、金属元素を含む。前記第2磁性層は、前記金属含有層の一部と前記第1磁性層との間に設けられる。前記第1中間層は、前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた部分を含む。前記第1絶縁部は、第1部分領域及び第2部分領域を含む。前記第1中間層は、結晶性を有する。前記第1中間層は、内側部分と、前記内側部分と連続し前記内側部分の周りの外縁部分と、を含む。前記外縁部分における1つの方向に沿う第1格子長は、前記内側部分における前記1つの方向に沿う第2格子長とは異なる。前記第1部分領域は、前記第2磁性層から前記第1磁性層に向かう第1方向と交差する第2方向において前記第2磁性層と重なる。前記第2部分領域は、前記第1方向と交差し前記第2方向に対して垂直な第3方向において前記第2磁性層と重なる。前記第1部分領域の材料は、前記第2部分領域の材料とは異なる。
本発明の別の実施形態によれば、磁気記憶装置の製造方法は、金属膜と、第1磁性層と、前記金属膜の一部と前記第1磁性層との間に設けられた第2磁性層と、前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた部分を含む非磁性の第1中間層と、を含む構造体を形成することを含む。前記第1中間層は、前記第2磁性層から前記第1磁性層に向かう第1方向と交差する方向において前記第2磁性層を基準にして突出した突出部を含む。前記製造方法は、前記金属膜の他の一部の表面を処理して、前記金属膜に含まれる金属元素を含む化合物層を形成することを含む。前記化合物層の一部は、前記金属膜と前記突出部との間にある。前記突出部の前記金属膜側の面は、前記化合物層の一部と接し、前記金属膜から離れるように、前記第1中間層の前記第1磁性層と前記第2磁性層との間の部分の前記金属膜側の面よりも大きく曲がる。

Claims (16)

  1. 金属元素を含む金属含有層と、
    第1磁性層と、
    前記金属含有層の一部と前記第1磁性層との間に設けられた第2磁性層と、
    前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた部分を含む非磁性の第1中間層と、
    を備え、
    前記第1中間層は、前記金属含有層に向かって凸状である、磁気記憶装置。
  2. 前記金属元素の酸化物、前記金属元素の窒化物、及び、前記金属元素の酸窒化物よりなる群から選択された少なくとも1つを含む化合物層をさらに備え、
    前記化合物層の少なくとも一部は、前記第2磁性層から前記第1磁性層に向かう方向において、前記金属含有層と、前記第1中間層の一部との間にある、請求項1記載の磁気記憶装置。
  3. 金属元素を含む金属含有層と、
    第1磁性層と、
    前記金属含有層の一部と前記第1磁性層との間に設けられた第2磁性層と、
    前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた部分を含む非磁性の第1中間層と、
    を備え、
    前記第1中間層は、内側部分と、前記内側部分の周りの外縁部分と、を含み、
    前記第1磁性層は、前記第1中間層と対向する第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有し、
    前記第2磁性層から前記第1磁性層に向かう方向において、前記第2面と前記外縁部分との間の第1距離は、前記第2面と前記内側部分との間の第2距離よりも短い、磁気記憶装置。
  4. 前記第1中間層は、結晶性を有し、
    前記第1中間層は、内側部分と、前記内側部分の周りの外縁部分と、を含み、
    前記外縁部分における1つの方向に沿う第1格子長は、前記内側部分における前記1つの方向に沿う第2格子長とは異なる、請求項1または2に記載の磁気記憶装置。
  5. 金属元素を含む金属含有層と、
    第1磁性層と、
    前記金属含有層の一部と前記第1磁性層との間に設けられた第2磁性層と、
    前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた部分を含む非磁性の第1中間層と、
    を備え、
    前記第1中間層は、結晶性を有し、
    前記第1中間層は、内側部分と、前記内側部分の周りの外縁部分と、を含み、
    前記外縁部分における1つの方向に沿う第1格子長は、前記内側部分における前記1つの方向に沿う第2格子長とは異なる、磁気記憶装置。
  6. 前記第1格子長と前記第2格子長との差の絶対値の、前記第1格子長に対する比は、1%以上である、請求項4または5に記載の磁気記憶装置。
  7. 第1部分領域及び第2部分領域を含む第1絶縁部と、
    第3部分領域及び第4部分領域を含む第2絶縁部と、
    をさらに備え、
    前記第1部分領域は、前記第2磁性層から前記第1磁性層に向かう第1方向と交差する第2方向において前記第2磁性層と前記第3部分領域との間に設けられ、
    前記第2部分領域は、前記第1方向と交差し前記第2方向に対して垂直な第3方向において前記第2磁性層と前記第4部分領域との間に設けられ、
    前記第1部分領域の、前記第2方向に沿う厚さは、前記第2部分領域の、前記第3方向に沿う厚さとは異なる、請求項4〜6のいずれか1つに記載の磁気記憶装置。
  8. 第1部分領域及び第2部分領域を含む第1絶縁部をさらに備え、
    前記第1部分領域は、前記第2磁性層から前記第1磁性層に向かう第1方向と交差する第2方向において前記第2磁性層と重なり、
    前記第2部分領域は、前記第1方向と交差し前記第2方向に対して垂直な第3方向において前記第2磁性層と重なり、
    前記第1部分領域の材料は、前記第2部分領域の材料とは異なる、請求項4〜6のいずれか1つに記載の磁気記憶装置。
  9. 制御部をさらに備え、
    前記金属含有層は、第1部分と、第2部分と、を含み、前記第1部分から前記第2部分に向かう第2方向は、前記第2磁性層から前記第1磁性層に向かう第1方向と交差し、 前記金属含有層の前記一部は、前記第1部分と前記第2部分との間に位置し、
    前記制御部は、前記第1部分、第2部分及び前記第1磁性層と電気的に接続され、
    前記制御部は、
    前記第1部分から前記第2部分に向かう第1書き込み電流を前記金属含有層に供給する第1書き込み動作と、
    前記第2部分から前記第1部分に向かう第2書き込み電流を前記金属含有層に供給する第2書き込み動作と、
    を実施し、
    前記第1書き込み動作後における前記第1磁性層と前記第1部分との間の第1電気抵抗は、前記第2書き込み動作後における前記第1磁性層と前記第1部分との間の第2電気抵抗とは異なる、請求項1〜8のいずれか1つに記載の磁気記憶装置。
  10. 前記第1磁性層は、前記第1方向に沿った第1厚さ、及び、第1保磁力を有し、
    前記第2磁性層は、
    前記第1厚さよりも薄い前記第1方向に沿った第2厚さ、及び、
    前記第1保磁力よりも小さい第2保磁力、
    の少なくともいずれかを有した、請求項9記載の磁気記憶装置。
  11. 前記第2磁性層の第2磁化は、前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向に沿う、請求項9または10に記載の磁気記憶装置。
  12. 前記第2磁性層は、前記第1方向と交差し前記第2方向に対して垂直な第3方向に沿う第1長さと、前記第2方向に沿う第2長さと、を有し、
    前記第1長さは、前記第2長さよりも長い、請求項9〜11のいずれか1つに記載の磁気記憶装置。
  13. 第3磁性層、第4磁性層及び第2中間層をさらに備え、
    前記第4磁性層は、前記金属含有層の別の一部と前記第3磁性層との間に設けられ、
    前記第2中間層は、前記第3磁性層と前記第4磁性層との間に設けられ、
    前記制御部は、前記第1磁性層及び前記第3磁性層と電気的に接続され、
    前記制御部は、前記第1書き込み動作において、前記第1磁性層の電位を前記第3磁性層の電位とは異なる電位に設定する、請求項9〜12に記載の磁気記憶装置。
  14. 前記第2磁性層は、
    第1磁性膜と、
    前記第1磁性膜と前記第1中間層との間に設けられた第2磁性膜と、
    を含む、請求項1〜13のいずれか1つに記載の磁気記憶装置。
  15. 前記第1磁性膜及び前記第2磁性膜は、反強磁性結合した、請求項14記載の磁気記憶装置。
  16. 金属膜と、第1磁性層と、前記金属膜の一部と前記第1磁性層との間に設けられた第2磁性層と、前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた部分を含む非磁性の第1中間層と、を含む構造体であって、前記第1中間層は、前記第2磁性層から前記第1磁性層に向かう第1方向と交差する方向において前記第2磁性層を基準にして突出した、前記構造体を形成し、
    前記金属膜の他の一部の表面を処理して、前記金属膜に含まれる金属元素を含む化合物層を形成し、前記化合物層の一部は、前記金属膜と前記第1中間層との間にある、磁気記憶装置の製造方法。
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