JP6438531B1 - 磁気記憶装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】安定した動作が可能な磁気記憶装置を提供する。【解決手段】実施形態によれば、磁気記憶装置は、金属含有層と、第1磁性層と、第2磁性層と、第1非磁性層と、制御部と、を含む。金属含有層は、第1、第2部分と、第1、第2部分の間の第3部分と、を含み第1金属を含む。第1磁性層は、第1部分から第2部分に向かう第2方向と交差する第1方向において第3部分から離れる。第2磁性層は、第3部分と第1磁性層との間に設けられる。第1非磁性層は、第1、第2磁性層の間に設けられる。制御部は、第1、第2部分と電気的に接続される。第2磁性層は、第1方向に沿う第1格子長と、第1方向に対して垂直な方向に沿う第2格子長と、を有し、第1格子長は第2格子長よりも長い。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、磁気記憶装置に関する。
磁性層を用いた磁気記憶装置がある。磁気記憶装置において、安定した動作が望まれる。
特開2010−238769号公報
本発明の実施形態は、安定した動作が可能な磁気記憶装置を提供する。
本発明の実施形態によれば、磁気記憶装置は、金属含有層と、第1磁性層と、第2磁性層と、第1非磁性層と、制御部と、を含む。前記金属含有層は、第1部分と、第2部分と、前記第1部分と前記第2部分との間の第3部分と、を含み第1金属を含む。前記第1磁性層は、前記第1部分から前記第2部分に向かう第2方向と交差する第1方向において前記第3部分から離れる。前記第2磁性層は、前記第3部分と前記第1磁性層との間に設けられる。前記第1非磁性層は、前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられる。前記制御部は、前記第1部分及び第2部分と電気的に接続される。前記第2磁性層は、前記第1方向に沿う第1格子長と、前記第1方向に対して垂直な方向に沿う第2格子長と、を有し、前記第1格子長は前記第2格子長よりも長い。前記制御部は、前記第1部分から前記第2部分に向かう第1電流を前記金属含有層に供給する第1動作と、前記第2部分から前記第1部分に向かう第2電流を前記金属含有層に供給する第2動作と、を実施する。
図1(a)及び図1(b)は、第1実施形態に係る磁気記憶装置を例示する模式的斜視図である。 図2(a)〜図2(c)は、第1実施形態に係る磁気記憶装置を例示する模式図である。 実験試料を示す模式的断面図である。 図4(a)及び図4(b)は、実験結果を示すグラフ図である。 磁気記憶装置における特性を例示するグラフ図である。 磁気記憶装置における特性を例示するグラフ図である。 図7(a)及び図7(b)は、磁気記憶装置における特性を例示するグラフ図である。 図8(a)及び図8(b)は、磁気記憶装置における特性を例示するグラフ図である。 磁気記憶装置における特性を例示するグラフ図である。 図10(a)及び図10(b)は、磁気記憶装置における特性を例示するグラフ図である。 図11(a)〜図11(d)は、磁気記憶装置における特性を例示するグラフ図である。 図12(a)〜図12(h)は、磁気記憶装置を例示する顕微鏡写真像である。 第1実施形態に係る別の磁気記憶装置を例示する模式的斜視図である。 第1実施形態に係る別の磁気記憶装置を例示する模式的斜視図である。 第1実施形態に係る別の磁気記憶装置を例示する模式的斜視図である。 第1実施形態に係る別の磁気記憶装置を例示する模式的斜視図である。 第2実施形態に係る磁気記憶装置を例示する模式的斜視図である。 第2実施形態に係る別の磁気記憶装置を例示する模式的斜視図である。 第3実施形態に係る磁気記憶装置を例示する模式的断面である。 第3実施形態に係る別の磁気記憶装置を例示する模式的断面である。 第3実施形態に係る別の磁気記憶装置を例示する模式的断面である。 第4実施形態に係る磁気記憶装置を例示する模式的斜視図である。 第4実施形態に係る別の磁気記憶装置を例示する模式的斜視図である。 図24(a)〜図24(c)は、第5実施形態に係る磁気記憶装置を例示する模式的斜視図である。 第6実施形態に係る磁気記憶装置を示す模式図である。
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
(第1実施形態)
図1(a)及び図1(b)は、第1実施形態に係る磁気記憶装置を例示する模式的斜視図である。
図1(a)に示すように、本実施形態に係る磁気記憶装置110は、金属含有層20、第1磁性層11、第2磁性層12、第1非磁性層11n及び制御部70を含む。
金属含有層20は、第1部分20a、第2部分20b及び第3部分20cを含む。第3部分20cは、第1部分20aと第2部分20bとの間に位置する。
金属含有層20は、第1金属を含む。第1金属は、Rh、Pd及びIrからなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1金属は、Rh、Pd及びIrからなる群から選択された少なくとも1つに加えて、Ruをさらに含んでも良い。
第1磁性層11は、第1方向において第3部分20cから離れる。第1方向は、第1部分20aから第2部分20bに向かう方向(第2方向)と交差する。
第1方向をZ軸方向とする。Z軸方向に対して垂直な1つの方向をX軸方向とする。Z軸方向及びX軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。この例では、第2方向は、X軸方向である。
第2磁性層12は、第3部分20cと第1磁性層11との間に設けられる。第1非磁性層11nは、第1磁性層11と第2磁性層12との間に設けられる。第1非磁性層11nと第1磁性層11との間に、別の層が設けられても良い。第1非磁性層11nと第2磁性層12との間に、別の層が設けられても良い。
第1磁性層11は、例えば、参照層として機能する。第2磁性層12は、例えば、記憶層(例えば自由層)として機能する。第2磁性層12の第2磁化12Mは、第1磁性層11の第1磁化11Mよりも変化し易い。第2磁性層12の第2磁化12Mの向きが、記憶される情報に対応する。磁化の向きは、例えば、磁化容易軸の向きに対応する。
第1磁性層11、第1非磁性層11n及び第2磁性層12は、第1積層体SB1に含まれる。第1積層体SB1は、例えば、1つのメモリセルMCの少なくとも一部として機能する。第1積層体SB1は、磁気トンネル接合(Magnetic Tunnel Junction:MTJ)を有する。第1積層体SB1は、MTJ素子に対応する。
この例では、第2磁性層12の磁化容易軸は、第1方向(例えば、Z軸方向)と交差する。第2磁性層12は、面内磁化膜である。
この例では、第1磁性層11の第3方向に沿う長さLyは、第1磁性層11の第2方向に沿う長さLxよりも長い。第3方向は、第1方向及び第2方向を含む平面と交差する。第3方向は、例えば、Y軸方向である。第1磁性層11及び第2磁性層12において、形状異方性が生じる。例えば、第1磁性層11の第1磁化11Mは、Y軸方向に沿う。例えば、第2磁性層12の第2磁化12Mは、+Y方向または−Y方向に向く。後述するように、実施形態の別の例において、長さLyと長さLxの関係は任意である。実施形態において、磁化の向きは、任意である。
制御部70は、第1部分20a及び第2部分20bと電気的に接続される。この例では、制御部70は、制御回路75を含む。制御回路75(制御部70)と、第1部分20aと、は、配線70bにより電気的に接続される。制御回路75(制御部70)と、第2部分20bと、は、配線70cにより電気的に接続される。この例では、制御回路75と第1部分20aとの間の電流経路(配線70b)において、スイッチSwS1が設けられている。スイッチSwS1のゲート(制御端子)は、制御回路75に電気的に接続される。
この例では、制御回路75(制御部70)は、第1磁性層11と電気的に接続されている。制御回路75(制御部70)と、第1磁性層11と、は、配線70aにより電気的に接続される。この例では、制御回路75と第1磁性層11との間の電流経路(配線70a)にスイッチSw1が設けられている。スイッチSw1のゲート(制御端子)は、制御回路75に電気的に接続される。
これらのスイッチは、制御部70に含められても良い。制御部70により、金属含有層20及び第1積層体SB1の電位が制御される。
例えば、第1部分20aが基準電位V0に設定され、第1磁性層11に第1電圧V1(例えば選択電圧)が印加される。このとき、例えば、金属含有層20に流れる電流の向きに応じて、第1積層体SB1の電気抵抗が変化する。一方、第1部分20aが基準電位V0に設定され、第1磁性層11に第2電圧V2(例えば非選択電圧)が印加される。第2電圧V2は、第1電圧V1とは異なる。第2電圧V2が印加されたときは、例えば、金属含有層20に電流が流れても、第1積層体SB1の電気抵抗は、実質的に変化しない。電気抵抗の変化は、第1積層体SB1の状態の変化に対応する。電気抵抗の変化は、例えば、第2磁性層12の第2磁化12Mの向きの変化に対応する。例えば、第2電圧V2は、第1電圧V1とは異なる。例えば、基準電位V0と第1電圧V1との間の電位差の絶対値は、基準電位V0と第2電圧V2との間の電位差の絶対値よりも大きい。例えば、第1電圧V1の極性は、第2電圧V2の極性と異なっても良い。このような電気抵抗の差は、制御部70の制御により得られる。
例えば、制御部70は、第1動作及び第2動作を行う。これらの動作は、積層体SB1に選択電圧が印加されているときの動作である。第1動作においては、制御部70は、第1部分20aから第2部分20bに向かう第1電流Iw1を金属含有層20に供給する(図1(a)参照)。制御部70は、第2動作において、第2部分20bから第1部分20aに向かう第2電流Iw2を金属含有層20に供給する(図1(a)参照)。
第1動作後における第1磁性層11と第1部分20aとの間の第1電気抵抗は、第2動作後における第1磁性層11と第1部分20aとの間の第2電気抵抗とは異なる。このような電気抵抗の差は、例えば、第2磁性層12の第2磁化12Mの向きの変化に対応する。例えば、金属含有層20を流れる電流(書き込み電流)により、第2磁化12Mの向きが変化する。これは、例えば、スピンホール効果に基づいていると考えられる。第2磁化12Mの向きの変化は、例えば、スピン軌道相互作用に基づいていると考えられる。
例えば、第1動作により、第2磁化12Mは、第1磁化11Mの向きと同じ成分を有する。「平行」の磁化が得られる。一方、第2動作により、第2磁化12Mは、第1磁化11Mの向きに対して逆の成分を有する。「反平行」の磁化が得られる。このような場合、第1動作後の第1電気抵抗は、第2動作後の第2電気抵抗よりも低くなる。このような電気抵抗の差が、記憶される情報に対応する。例えば、異なる複数の磁化が、記憶される情報に対応する。
制御部70は、第3動作及び第4動作をさらに実施しても良い。第3動作において、第1部分20aと第1磁性層11との間の電位差を第2電圧V2とし、第1電流Iw1を金属含有層20に供給する。第4動作において、第1部分20aと第1磁性層11との間の電位差を第2電圧V2とし、第2電流Iw2を金属含有層20に供給する。第3動作及び第4動作においては、例えば、金属含有層20に電流が流れても、第1積層体SB1の電気抵抗は、実質的に変化しない。第1動作後における第1磁性層11と第1部分20aとの間の第1電気抵抗は、第2動作後における第1磁性層11と第1部分20aとの間の第2電気抵抗とは異なる。第1電気抵抗と第2電気抵抗との差の絶対値は、第3動作後における第1磁性層11と第1部分20aとの間の第3電気抵抗と、第4動作後における第1磁性層11と第1部分20aとの間の第4電気抵抗と、の差の絶対値よりも大きい。
第2磁性層12は、Co及びFeからなる群から選択された少なくとも1つを含む。例えば、第2磁性層12は、例えば、Cox1Fe1−x1(0≦x1≦0.6)を含む。第2磁性層12は、ホウ素(B)をさらに含んでも良い。
既に説明したように、金属含有層20は、第1金属(Rh、Pd及びIrからなる群から選択された少なくとも1つ)を含む。第1金属の格子定数は、第2磁性層12に含まれるCoFeなどの格子定数よりも小さい。格子定数の差(格子ミスマッチ)により、例えば、第2磁性層12の格子に歪(結晶歪)が生じる。格子の歪(結晶歪)については後述する。
実施形態において、金属含有層20の厚さt0(第1方向(Z軸方向)に沿った長さ)は、例えば、2ナノメートル(nm)以上11nm以下である。一方、第2磁性層12の厚さtm2(第1方向(Z軸方向)に沿った長さ)は、0.5ナノメートル以上3ナノメートル以下である。これらの層が適切な範囲であるときに、格子ミスマッチが有効に生じる。厚さが過度に厚いと、格子が緩和し易くなる。
実施形態においては、金属含有層20の少なくとも一部は、ホウ素を含んでも良い。
図1(b)に示すように、磁気記憶装置110aにおいては、金属含有層20は、第1領域21及び第2領域22を含む。第2領域22は、第1領域21と第2磁性層12との間に設けられる。第2領域22は、例えば、第2磁性層12と物理的に接する。第2領域22は、第1金属及びホウ素を含む。
後述するように、このような第2領域22は、金属含有層20の一部(第3部分20c)に設けられても良い。例えば、第2領域22は、Z軸方向において第1積層体SB1と重なる領域を含む部分(第3部分20c)において、局所的に設けられても良い。
この例では、第1領域21は、第1部分20aと第2部分20bとの間において、第2方向(例えばX軸方向)に沿って延びている。第2領域22は、第1部分20aと第2部分20bとの間において、第2方向に沿って延びている。
第2領域22は、Rh、Pd及びIrからなる群から選択された少なくとも1つと、ホウ素と、を含む。第2領域22は、例えば、RhB、PdB及びIrBからなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2領域22は、例えば、RuIrB及びRuRhBからなる群から選択された少なくとも1つを含んでも良い。
一方、第1領域21は、ホウ素を含まない。または、第1領域21はホウ素を含み、第1領域におけるホウ素の第1濃度は、第2領域22におけるホウ素の第2濃度よりも低い。第1領域21は、例えば、Rh、Pd及びIrからなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1領域21は、例えば、Rh、Pd及びIrからなる群から選択された少なくとも1つと、Ruと、を含んでも良い。
このような第1領域21及び第2領域22を金属含有層20に設けることで、後述するように、大きなスピンホール効果が得られる。
実施形態において、第1領域21の第1方向に沿った第1厚さt1は、例えば、1ナノメートル以上10ナノメートル以下である。第2領域22の第1方向に沿った第2厚さt2は、例えば、1ナノメートル以上10ナノメートル以下である。第1厚さt1及び第2厚さt2の和は、厚さt0(図1(a)参照)に対応する。
実施形態において、第2磁性層12における格子に歪(結晶歪)が生じている。以下、歪の例について説明する。
図2(a)〜図2(c)は、第1実施形態に係る磁気記憶装置を例示する模式図である。
これらの図は、第2磁性層12及び金属含有層20における格子の状態を模式的に示している。
図2(a)に示すように、第2磁性層12及び金属含有層20の格子が、第1方向(Z軸方向)に沿っている。例えば、金属含有層20の<001>方向は、第1方向に沿う。例えば、第2磁性層12の<001>方向は、第1方向に沿う。例えば、金属含有層20の(001)面は、第1方向に対して垂直な平面に沿う。例えば、第2磁性層12の(001)面は、第1方向に対して垂直な平面に沿う。
第2磁性層12は、第1格子長Lz12と、第2格子長Lx12と、を有する。第1格子長Lz12は、第1方向(Z軸方向)に沿う格子長である。第2格子長Lx12は、第1方向に対して垂直な方向Dxに沿う格子長である。このように、格子長に差が生じている。すなわち、第2磁性層12の格子において、歪(結晶歪)が生じている。
この格子の歪は、第2磁性層12と金属含有層20との間における格子定数の差に起因する。そして、異なる格子定数を有する2つの層において、格子が連続している(図2(a)参照)。格子が連続していることで、格子の歪が生じる。第2磁性層12と金属含有層20とにおいて、例えば、疑似格子整合(pseudomorphic)が生じる。
図2(b)は、第2磁性層12における無歪の格子の状態を例示している。第1方向(Z軸方向)に沿う格子長Lzo12は、方向Dxに沿う格子長Lxo12と実質的に同じである。
図2(c)は、金属含有層20における無歪の格子の状態を例示している。第1方向(Z軸方向)に沿う格子長Lzo20は、方向Dxに沿う格子長Lxo20と実質的に同じである。
そして、格子長Lxo12は、格子長Lxo20よりも長い。すなわち、第1方向(Z軸方向)に対して垂直な方向Dxに沿う第2磁性層12の格子定数は、方向Dxに沿う金属含有層20の格子定数よりも大きい。このような2つの層の格子が連続すると、格子長(格子定数)の差に基づいて、格子の歪(図2(a)参照)が生じる。
第2磁性層12の少なくとも一部は、例えば、BCT(body-centered tetragonal)構造を有している場合がある。第2磁性層12の少なくとも一部は、例えば、FCT(face-centered tetragonal)構造を有している場合がある。第2磁性層12は、例えば、BCT構造を有する領域と、FCT構造を有する領域と、を含んでも良い。
このような構成において、大きな電圧効果(または電界効果)が得られることが分かった。例えば、磁性層に加わる電圧(または電界)に応じて、その磁性層の磁気特性が変化する場合がある。加わる電圧(または電界)の変化に対する磁気特性の変化の比が、電圧効果に対応する。
以下、電圧効果についての実験結果について、説明する。
図3は、実験試料を示す模式的断面図である。
図3に示すように、試料SP0において、基板25aの上に、Ta膜25b(厚さは3nm)が設けられる。その上に、CoFeB膜25c(厚さは2nm)が設けられる。その上に、MgO膜25d(厚さは3nm)が設けられる。その上に、Cr膜25e(厚さは10nm)が設けられる。Cr膜25eの上に、金属含有膜20fが設けられる。この試料においては、金属含有膜20fは、厚さが10nmのIr膜である。金属含有膜20fの上に、第2磁性膜12fが設けられる。この試料においては、第2磁性膜12fは、厚さが2nmのCo50Fe50膜である。第2磁性膜12fの上に、第1非磁性膜11nfが設けられる。この試料においては、第1非磁性膜11nfは、厚さが3nmのMgO膜である。第1非磁性膜11nfの上に、Ta膜42f(厚さが3nm)が設けられる。基板25aは、熱酸化膜付きシリコン基板である。シリコン基板は、シリコン基体と、シリコン基体の上に設けられた酸化シリコン領域(熱酸化膜)と、を含む。MgO膜25dの上面の方位は(001)である。基板25a、Ta膜25b、CoFeB膜25c、MgO膜25d及びCr膜25eは、下層25Lに含まれる。
成膜は、室温(約25℃)において、スパッタリングにより行われる。成膜後に、300℃で1時間の熱処理が行われる。熱処理後に、上記の各膜を含む積層膜が加工される。加工後において、積層膜の1つの方向(例えばX軸方向)の長さは、約10μmであり、別の方向(例えば、Y軸方向)の長さは、約10μmである。
試料SP0において、Ta膜25bとTa膜42fとの間に電圧を印加した状態で
試料SP0の磁気特性が測定される。磁気特性から、実効的な垂直異方性磁界Hk_eff、及び、単位面積当たりの界面磁気異方性エネルギーEsが導出される。
図4(a)及び図4(b)は、実験結果を示すグラフ図である。
図4(a)の横軸は、印加電圧Va(V)である。縦軸は、実効的な垂直異方性磁界Hk_effである。図4(b)の横軸は、印加電圧Vaに対応する印加電界Ea(MV/m)である。縦軸は、単位面積当たりの界面磁気異方性エネルギーEs(μJ/m)である。単位面積当たりの界面磁気異方性エネルギーEsは、磁性層の実効的な厚さと、実効的な垂直磁気異方性エネルギーと、の積に対応する。
図4(a)に示すように、印加電圧Vaの変化に対する、実効的な垂直異方性磁界Hk_effの変化の挙動は、印加電圧Vaにより異なる。例えば、印加電圧Vaが0.4V未満の領域においては、印加電圧Vaの変化に対する実効的な垂直異方性磁界Hk_effの変化の傾きは、負である。印加電圧Vaが0.4V以上の領域においては、印加電圧Vaの変化に対する実効的な垂直異方性磁界Hk_effの変化の傾きは、正である。
図4(b)に示すように、印加電界Eaの変化に対する、単位面積当たりの界面磁気異方性エネルギーEsの変化の挙動は、印加電界Eaにより異なる。例えば、印加電界Eaが150MV/m未満の領域においては、印加電界Eaの変化に対する単位面積当たりの界面磁気異方性エネルギーEsの変化の傾きは、負である。印加電界Eaが150MV/m以上の領域においては、印加電界Eaの変化に対する単位面積当たりの界面磁気異方性エネルギーEsの変化の傾きは、正である。
印加電圧Vaの変化に対する実効的な垂直異方性磁界Hk_effの変化、及び、印加電界Eaに対する単位面積当たりの界面磁気異方性エネルギーEsの変化において、変化の程度(変化率)が異なる。この例では、変化率が正の領域(変化の傾きが正の領域)と、変化率が負の領域(変化の傾きが負の領域)と、が存在する。電圧効果が観測される。
これらの図に例示した電圧効果の大きさは、約1000fJ/Vmである。この値は、これまでに報告されている電圧効果の値に比べて非常に大きい。図4(a)及び図4(b)に示す例では、変化率の正負が変化する印加電圧Vaは、約0.4Vである。この値は、例えば、第2磁性層12における歪に応じて、変化する。
試料SP0において観測された電圧効果は、第2磁性膜12f(CoFe膜)の結晶において、歪(結晶歪)が導入されたことによると考えられる。
この例では、電圧効果が正の領域における変化の程度は、電圧効果が負の領域における変化の程度よりも大きい。電圧効果(傾き)の正負が逆転する挙動は、印加電圧Va(印加電界Ea)により、第2磁性層12(CoFe膜)のエネルギーのバンド構造が変化するからであると、考えられる。
金属含有層20(Ir膜)の上に、金属含有層20と格子が連続した第2磁性層12(CoFe膜)が設けられ、第2磁性層12において、結晶格子の歪が生じると考えられる。歪を有する結晶において、印加電圧Va(または印加電界Ea)により、エネルギーのバンド構造が変化すると考えられる。これにより、大きな電圧効果が得られると考えられる。
試料SP0においては、第2磁性膜12f(すなわち、第2磁性層12)は、CoFe膜(Co50Fe50膜)である。第2磁性膜12f(第2磁性層12)が、CoFeに加えてボロンを含む場合がある。これにより、例えば第1積層体SB1において、より良好な結晶状態が得られる場合がある。例えば、より良好な磁気特性が得られる場合がある。例えば、より良好な界面平坦性が得られる場合がある。
第2磁性膜12f(第2磁性層12)がボロンを含む場合においても、大きな電圧効果が得られる。
第2磁性膜12f(第2磁性層12)がボロンを含む場合、第2磁性膜12fに含まれるボロンが金属含有層20の一部に移動(拡散)する場合がある。金属含有層20中において、ボロンが含まれる領域は、例えば、第2磁性層12の側である。金属含有層20の全体にボロンが含まれると、例えば、金属含有層20における格子が不安定になる場合がある。
例えば、金属含有層20における第2磁性層12の側の部分(第2領域22)がボロンを含み、第2磁性層12から遠い部分(第2領域21)がボロンを含まないまたはボロンの濃度が低い。ボロン濃度が低い第1領域21において、安定した格子が得られる。ボロンを含む第2領域22の厚さは薄く設定される。これにより、第1領域21の安定した格子が第2磁性層12に効率的に伝わる。これにより、第1領域21と第2磁性層12との間における格子定数の差異に基づいて、第2磁性層12において格子の歪(結晶歪)が生じる。この格子の差に基づいて、バンド構造の変化が誘起され易くなり、上記のような大きな電圧効果が生じる。
このように、実施形態においては、大きな電圧効果が得られる。これにより、磁化を安定して制御することができる。これにより、安定した動作が可能になる。
さらに、後述するように、金属含有層20の第2領域22(第2磁性層12の側の部分)がボロンを含むことにより、大きなスピンホール効果(または大きなスピン軌道相互作用)が得られる。これは、第2領域22がボロンを含むことにより、電子の散乱効率が向上し、その結果、スピンホール効果が大きくなるためであると考えられる。
1つの例において、第2磁性層12からの移動(拡散)により、ボロンが第2領域22に含まれる。別の例において、ボロンを含む膜(第2領域22となる膜)が、ボロンを含まない膜(第1領域21となる膜)の上に形成される。この別の例においても、大きな電界効果、及び、大きなスピンホール効果が得られる。
このように、実施形態においては、大きなスピンホール効果が得られる。これにより、磁化を安定して制御することができる。これにより、さらに安定した動作が可能になる。
実施形態において、電圧効果が正の領域における変化の程度は、電圧効果が負の領域における変化の程度よりも小さくても良い。上記の例では、電圧効果特性は、V字型である。実施形態において、電圧効果特性は、例えば、第2磁性層12における歪に応じて変化する。例えば、電圧効果特性は、例えば「V字の上下逆の形状」でも良い。
以下、金属含有層20と第2磁性層12との間における格子長の差の例について説明する。
図5は、磁気記憶装置における特性を例示するグラフ図である。
図5は、金属材料の種類と、第2磁性層12における臨界厚tcと、の関係を例示している。この例では、第2磁性層12は、Co50Fe50膜である。種類の異なる金属材料の層(金属含有層20に対応する)の上に、Co50Fe50膜が設けられる。この場合において、これらの2つの層の間において、格子定数の差がある。格子定数は、例えば、無歪における、Z軸方向(第1方向)に対して垂直な方向Dxに沿う格子長である。Co50Fe50膜の厚さ(厚さtm2)が臨界厚tcを超えると、転位が生じ、格子が緩和する。このとき、格子は、不連続になる。または、Co50Fe50膜の格子長は、Co50Fe50膜の格子定数(無歪における方向Dxに沿う格子長)に向けて連続的に変化する。厚さtm2が臨界厚tc以下の場合に、歪が緩和せずに、格子定数の差に応じた歪が第2磁性層12(Co50Fe50膜)に加わる。
金属材料(金属含有層20に対応)の格子定数(方向Dxに沿う方向の格子長)が、格子長Lxo20(図2(c)参照)に対応する。Co50Fe50膜(第2磁性層12に対応)の格子定数(方向Dxに沿う方向の格子長)が、格子長Lxo12(図2(b)参照)に対応する。格子長Lxo20と格子長Lxo12との差が格子定数の差に対応する。この例では、格子長Lxo12は、格子長Lxo20よりも大きい。
図5の横軸は、格子ミスマッチLm(%)である。格子ミスマッチLmは、格子長Lxo12と格子長Lxo20との差の、格子長Lxo12に対する比である。図5の縦軸は、臨界厚tc(×10−1nm)である。この特性は、People-Bean式に基づいて導出される。導出で用いられたモデルにおいて、ポアソン比は0.3とされ、スリップ長は0.4nmとされる。
図5に示すように、Crにおいては、臨界厚tcは、非常に大きい。Pdにおいては、臨界厚tcは、約12nmである。Irにおいては、臨界厚tcは、約5nmである。Rhにおいては、臨界厚tcは、約0.6nmである。
例えば、第2磁性層12の厚さtm2が約1nm〜3nmである場合において、金属含有層20としてPdまたはIrを用いることで、歪が緩和せずに、格子が連続した第2磁性層12が安定して得られる。例えば、第2磁性層12の厚さtm2が約0.2nm〜0.6nmである場合において、金属含有層20としてRhを用いることで、歪が緩和せずに、格子が連続した第2磁性層12が安定して得られる。
例えば、金属含有層20としてRhを用いる場合には、第2磁性層12の厚さtm2が約0.6nmを大きく超えると、歪が緩和し、格子が不連続となり、第2磁性層12において安定した歪を得ることが困難になると考えられる。
以下、第2磁性層12の厚さtm2を変えたときの磁気特性についての実験結果について説明する。
図6は、磁気記憶装置における特性を例示するグラフ図である。
図6は、試料SPnについての、垂直異方性磁界Hk_effの評価結果を示す。試料SPnにおいて、下層25L及びTa膜42fは、図3に例示した下層25L(Cr膜25e(10nm)/MgO膜25d(3nm)/CoFeB膜25c(2nm)/Ta膜25b(3nm)/基板25a)及びTa膜42fと同様である。
試料SPnにおいて、金属含有膜20fは、Ir膜である。Ir膜の厚さ(厚さt0)は、5nmまたは10nmである。第2磁性膜12fは、Co50Fe50膜である。第2磁性膜12fの厚さは、第2磁性層12の厚さtm2に対応する。厚さtm2は、1.2nm〜3.0nmの範囲で変更される。第1非磁性膜11nfは、厚さが1.5nmのMgO膜である。これ以外は、試料SP0と同様である。
図6の横軸は、第2磁性層12の厚さtm2(nm)である。縦軸は、垂直異方性磁界Hk_eff(kOe)である。図6に示すように、Ir膜(金属含有膜20f、すなわち、金属含有層20)の厚さt0により、CoFe膜(第2磁性膜12f、すなわち、第2磁性層12)における垂直異方性磁界Hk_effが変化する。
金属含有層20の厚さt0が10nmで、第2磁性層12の厚さtm2が1.6nm以下のときに、垂直異方性磁界Hk_effは、正である。このとき、第2磁性層12は、垂直磁化膜となる。金属含有層20の厚さt0が10nmで、第2磁性層12の厚さtm2が1.6nmを超えると、垂直異方性磁界Hk_effは、負である。このとき、第2磁性層12は、面内磁化膜となる。一方、金属含有層20の厚さt0が5nmのときは、第2磁性層12の厚さtm2に関係なく、垂直異方性磁界Hk_effは、負である。
厚さtm2が2.0nm以下の範囲において、金属含有層20の厚さt0が10nmのときと、5nmのときと、の間における垂直異方性磁界Hk_effの差が大きい。
金属含有層20の厚さt0が5nmのときは、下層25Lが、Ir膜(金属含有層20)の特性に影響を与えると考えられる。さらに、下層25Lから影響を受けたIr膜(金属含有層20)が、Co50Fe50膜(第2磁性層12)の特性に影響を与えると考えられる。金属含有層20の厚さt0が10nmのときは、下層25LがIr膜(金属含有層20)に与える影響が小さくなり、金属含有層20(Ir膜)がCo50Fe50膜(第2磁性層12)の特性に与える影響が大きくなると、考えられる。
例えば、金属含有層20において、適切な厚さt0により、Co50Fe50膜(第2磁性層12)の結晶歪を適切に調整することができる。
図7(a)及び図7(b)は、磁気記憶装置における特性を例示するグラフ図である。 これらの図には、第1試料SP1〜第4試料SP4の評価結果が示されている。これらの試料において、下層25L及びTa膜42fは、図3に例示した下層25L及びTa膜42fと同様である。
第1試料SP1において、金属含有膜20fはIr膜である。第2試料SP2において、金属含有膜20fはRh膜である。第3試料SP3において、金属含有膜20fはPd膜である。第4試料SP4において、金属含有膜20fは設けられない。すなわち、第4試料SP4においては、下層25LのCr膜25e(厚さは10nm)が、第2磁性膜12fと接する。第1試料SP1〜第3試料SP3において、金属含有膜20fの厚さ(厚さt0)は、10nmである。
第1試料SP1〜第4試料SP4において、第2磁性膜12fは、Co50Fe50膜である。第2磁性膜12fの厚さ(厚さtm2)は、1.0nm〜3.0nmの範囲で変更される。第1試料SP1〜第4試料SP4において、第1非磁性膜11nfは、厚さが1.5nmのMgO膜である。これ以外は、試料SP0と同様である。成膜は、室温においてスパッタリングにより行われる。成膜後に、300℃で1時間の熱処理が行われる。
図7(a)及び図7(b)の横軸は、厚さtm2(nm)である。図7(a)の縦軸は、垂直異方性磁界Hk_eff(kOe)である。図7(b)の縦軸は、垂直磁気異方性エネルギーKu_int(Merg/cm)である。
図7(a)から分かるように、第2磁性膜12f(Co50Fe50膜)の厚さtm2が厚くなると、第2磁性膜12f(Co50Fe50膜)の実効的な垂直異方性磁界Hk_effが減少する。厚さtm2が厚いと、Co50Fe50膜は、面内磁化膜になる。膜厚tm2に対する実効的な垂直異方性磁界Hk_effの変化は、金属含有膜20fの材料の種類によって異なる。例えば、Irにおける実効的な垂直異方性磁界Hk_effは、Rhにおける実効的な垂直異方性磁界Hk_effよりも大きい傾向がある。Rhにおける実効的な垂直異方性磁界Hk_effは、Pdにおける実効的な垂直異方性磁界Hk_effよりも大きい傾向がある。Pdにおける実効的な垂直異方性磁界Hk_effは、Crにおける垂直異方性磁界Hk_effよりも大きい傾向がある。
図7(a)から分かるように、第1試料SP1(Irの場合)、厚さtm2が1.2nm以下において、Co50Fe50膜に大きな歪みが印加される。これにより、垂直磁化膜が得られると考えられる。
図7(b)から分かるように、厚さtm2が厚くなると、垂直磁気異方性エネルギーKu_intが減少する。これは、厚さtm2が厚くなると、格子歪が徐々に緩和されことによると考えられる。図7(a)から分かるように、垂直磁化膜から面内磁化膜へ変化する厚さtm2は、約1.5nmである。
Co50Fe50膜において、大きな結晶歪が印加されて垂直磁気異方性が得られる厚さtm2の範囲は、Co50Fe50膜と金属含有膜20fとの間の格子不整合の大きさと関係がある。図5に関して説明したように、Co50Fe50に対する格子不整合の大きさは、以下である。Rhの格子不整合は、Irの格子不整合よりも大きい。Irの格子不整合は、Pdの格子不整合よりも大きい。Pdの格子不整合は、Crの格子不整合よりも大きい。一定の格子歪が印加される臨界厚tcは、以下となる。Rhの臨界厚tcは、Irの臨界厚tcよりも薄い。Irの臨界厚tcは、Pdの臨界厚tcよりも薄い。Pdの臨界厚tcは、Crの臨界厚tcよりも薄い。この臨界厚tcの関係は、図7(b)に例示する特性と符合する。
金属含有膜20fがRhの場合、Co50Fe50膜の厚さtm2が1nmのときに、結晶歪の緩和が生じていると考えられる。厚さtm2が1nm以上3nm以下の範囲の実験結果において、格子不整合の値が大きいと、大きな結晶磁気異方性エネルギーが得られる。
図8(a)及び図8(b)は、磁気記憶装置における特性を例示するグラフ図である。 これらの図には、第5試料SP5〜第8試料SP8の評価結果が示されている。これらの試料において、下層25L及びTa膜42fは、図3に例示した下層25L及びTa膜42fと同様である。
第5試料SP5において、金属含有膜20fはIr膜である。第6試料SP6において、金属含有膜20fはRh膜である。第7試料SP7において、金属含有膜20fはPd膜である。第8試料SP8において、金属含有膜20fは設けられない。すなわち、第8試料SP8においては、下層25LのCr膜25e(厚さは10nm)が、第2磁性膜12fと接する。第5試料SP5〜第7試料SP7において、金属含有膜20fの厚さ(厚さt0)は、10nmである。
第5試料SP5〜第8試料SP8において、第2磁性膜12fは、CoFeB膜である。このCoFeB膜において、Coの組成比は40atm%(原子パーセント)であり、Feの組成比は40atm%であり、Bの組成比は20atm%である。第2磁性膜12fは、Co40Fe4020膜である。第2磁性膜12fの厚さ(厚さtm2)は、1.0nmから3.0nmの範囲で変更される。第5試料SP5〜第8試料SP8において、第1非磁性膜11nfは、厚さが1.5nmのMgO膜である。これ以外は、試料SP0と同様である。成膜は、室温においてスパッタリングにより行われる。成膜後に、300℃で1時間の熱処理が行われる。
図8(a)及び図8(b)の横軸は、厚さtm2(nm)である。図8(a)の縦軸は、垂直異方性磁界Hk_eff(kOe)である。図8(b)の縦軸は、垂直磁気異方性エネルギーKu_int(Merg/cm)である。
図8(a)から分かるように、第2磁性膜12f(Co40Fe4020膜)の厚さtm2が厚くなると、実効的な垂直異方性磁界Hk_effが減少する。図8(b)から分かるように、厚さtm2が厚くなると、垂直磁気異方性エネルギーKu_intが減少する。
例えば、図8(a)に示すように、例えば、第5試料SP5(Irの場合)において、第2磁性膜12f(Co40Fe4020膜)の厚さtm2が厚くなると、Co40Fe4020膜の磁化特性が、垂直磁化膜から面内磁化膜へ、変化する。図8(a)から分かるように、垂直磁化膜から面内磁化膜へ変化する厚さtm2は、約1.2nmである。
以下、第5試料SP5〜第8試料SP8におけるスピンホール角の評価結果の例について説明する。
図9は、磁気記憶装置における特性を例示するグラフ図である。
図9には、第9試料SP9〜第12試料SP12におけるスピンホール角の評価結果が示されている。これらの試料において、基板25aの上に、金属含有膜20fが設けられる。金属含有膜20fの上に、第2磁性膜12fが設けられる。第2磁性膜12fの上に、第1非磁性膜11nfが設けられる。この試料においては、第1非磁性膜11nfは、厚さが1.5nmのMgO膜である。第1非磁性膜11nfの上に、Ta膜42f(厚さが1nm)が設けられる。第9試料SP9〜第12試料SP12において、下層25Lが設けられていない。
第9試料SP9において、金属含有膜20fはIr膜である。第10試料SP10において、金属含有膜20fはRh膜である。第11試料SP11において、金属含有膜20fはPd膜である。第12試料SP12において、金属含有膜20fはTa膜である。第9試料SP9〜第12試料SP12において、金属含有膜20fの厚さ(厚さt0)は、3nmである。
第9試料SP9〜第12試料SP12において、第2磁性膜12fは、CoFeB膜である。このCoFeB膜において、Coの組成比は40atm%であり、Feの組成比は40atm%であり、Bの組成比は20atm%である。第2磁性膜12fは、Co40Fe4020膜である。第2磁性膜12fの厚さ(厚さtm2)は、1.8nmである。これらの試料のそれぞれにおいて、成膜は、室温でスパッタリングにより行われる。成膜後の熱処理の温度が変更される。
図9の横軸は、熱処理の温度Tm(℃)である。縦軸は、スピンホール角の絶対値|θSH|である。図9において、熱処理の温度Tmが「0」のときの値は、「熱処理無し」の値に対応する。
図9に示すように、第12試料SP12(Ta)においては、スピンホール角の絶対値|θSH|は、熱処理の有無で大きくは変化しない。第12試料SP12(Ta)においては、スピンホール角の絶対値|θSH|は、約0.07〜0.10と、小さい。
これに対して、第9試料SP9〜第11試料SP11においては、熱処理を行わない場合には、スピンホール角の絶対値|θSH|は、実質的に零である。そして、スピンホール角の絶対値|θSH|は、熱処理により大きくなる。例えば、熱処理の温度Tmが100℃以上において、第9試料SP9(Ir)においては、スピンホール角の絶対値|θSH|は、約0.20である。第10試料SP10(Rh)において、スピンホール角の絶対値|θSH|は、約0.15である。第11試料SP11(Pd)において、スピンホール角の絶対値|θSH|は、約0.22である。
このように、金属含有層20として、Rh、PdまたはIrを用い、熱処理を行うことで、大きな絶対値のスピンホール角が得られる。
後述するように、熱処理により第2磁性層12(CoFeB)に含まれるBが、金属含有層20に移動(拡散)したと考えられる。すなわち、金属含有層20に、Bを含む第2領域22と、Bの濃度が低い第1領域21と、が形成されたと考えられる。上記のように、熱処理によりスピンホール角の絶対値|θSH|が大きくなることから、Bを含む第2領域22により、スピンホール角の絶対値|θSH|が大きくなると考えられる。第2領域22に含まれるBは、電子を散乱させると考えられる。B元素による電子の散乱により、スピン分裂が促進されると考えられる。その結果、スピンホール角の絶対値|θSH|が大きくなると考えられる。Bを含む第2領域22により、大きなスピンホール効果(または、スピン軌道相互作用)が得られると考えられる。
TaまたはWなどの金属において、スピンホール効果が得られることが知られている。図9に示す実験結果によれば、Rh、PdまたはIrなどの金属がBを含むという特別な構成において、大きなスピンホール効果が得られることが分かった。この現象は、Bを含む場合における特別な現象であると考えられる。
既に説明したように、Rh、PdまたはIrなどの金属を金属含有層20として用いることにより、第2磁性層12において結晶の歪を生じさせ、大きな電圧効果が得られる。そして、このような金属含有層20の一部にBが含まれる場合にも大きな電圧効果が得られる。このとき、金属含有層20の全体においてBの濃度が高い場合は、金属含有層20の結晶が不安定になり易く、第2磁性層12において、結晶の歪が十分に導入できない場合がある。一方、Rh、PdまたはIrなどの金属がBを含むことにより、スピンホール角の絶対値|θSH|が大きくなる。すなわち、大きなスピンホール効果が得られる。Bを含む第2領域22は、第2磁性層12に近い部分(例えば、第2磁性層12と接する部分)に設けられれば良い。
第2磁性層12に近い部分(第2領域22)がBを含むことにより、大きなスピンホール効果が得られる。そして、第2領域22の下に、Bの濃度が低い第1領域21が設けられる。これにより、金属含有層20における格子が安定化する。このような構成により、金属含有層20と第2磁性層12との間における格子定数差により、第2磁性層12に結晶の歪を効果的に導入できる。これにより、大きな電圧効果が得られる。
Taの抵抗率は、160μΩcmである。これに対して、Rh、PdまたはIrなどの金属における抵抗率は、約30μΩcmである。Rh、PdまたはIrなどの金属を金属含有層20として用いることで、金属含有層20を薄くできる。小さい電流(第1電流Iw1または第2電流Iw2など)により、第2磁性層12の第2磁化12Mを反転できる。例えば、発熱による特性劣化を抑制できる。
Rh、PdまたはIrなどの第1金属を含む第1領域21と、第1金属及びBを含む第2領域22と、を含む金属含有層20を用いることで、例えば、大きな電圧効果と、大きなスピンホール効果と、が得られる。そして、小さな電流での磁化反転が可能になる。安定した動作が可能になる。
第2領域22におけるホウ素(B)の濃度(第2濃度)は、例えば、30原子パーセント以下である。第2濃度が30原子パーセント以下のときに、例えば、大きな電圧効果が得られる。第2濃度が、30原子パーセントを超えると、例えば、第2領域22において非晶質化が生じる(結晶格子が形成されない)場合がある。第2濃度は、例えば、1原子パーセント以上である。第2濃度が1原子パーセント以上のときに、例えば、大きなスピンホール効果が得られる。第2濃度が10原子パーセント以上のときに、例えば、大きなスピンホール効果が安定して得られる。
第2磁性層12は、Bを含まなくても良い。例えば、金属含有層20として、ホウ素の濃度が低い第1領域21の上に、ホウ素を含む第2領域22を形成し、ホウ素を含まない第2磁性層12を形成しても良い。この場合も、大きな電圧効果と、大きなスピンホール効果と、が得られる。この場合、第2磁性層12におけるBの濃度は、第2領域22におけるホウ素の濃度(第2濃度)よりも低くても良い。第2領域22がホウ素を含む場合において、第2領域22の少なくとも一部は結晶化しても良い 。
一方、既に説明したように、ホウ素を含まない金属含有膜20fの上に、ホウ素を含む第2磁性膜12fを形成し、熱処理により、ホウ素が金属含有膜20fに導入されても良い。これにより、第2領域22が形成されても良い。
図10(a)及び図10(b)は、磁気記憶装置における特性を例示するグラフ図である。
これらの図は、既に説明した第1試料SP1〜第8試料SP8における、飽和磁化Ms、及び、磁気的Dead Layerの厚さDLの評価結果を示す。既に説明したように、第1試料SP1〜第8試料SP8においては、第2磁性膜12f(すなわち、第2磁性層12)の材料は、CoFeまたはCoFeBである。第1試料SP1〜第8試料SP8においては、第2磁性膜12f(すなわち、第2磁性層12)の厚さtm2が、1nm〜3nmの範囲で変更される。厚さtm2が異なる試料の磁気特性の測定結果から、飽和磁化Ms、及び、磁気的Dead Layerの厚さDLが導出される。異なる厚さを有する磁性層を含む試料の磁化が測定される。磁化の量と、磁性層の厚さと、の間の線形関係を調べることで、飽和磁化Ms及び磁気的Dead Layerの厚さDLが導出できる。磁気的Dead Layerにおいては、磁化が生じない。既に説明したように、第1試料SP1〜第8試料SP8において、金属含有膜20fの厚さ(厚さt0)は、10nmである。
図10(a)及び図10(b)には、第13試料SP13及び第14試料SP14の評価結果も示されている。第13試料SP13及び第14試料SP14においては、基板25aの上に、厚さが10nmのTa膜が設けられる。このTa膜が、金属含有膜20fに対応する。第13試料SP13においては、このTa膜の上に、CoFe膜(Co50Fe50膜)が設けられる。一方、第14試料SP14においては、このTa膜の上に、CoFeB膜(Co40Fe4020膜)が設けられる。CoFe膜またはCoFeB膜が、第2磁性層12に対応する。第13試料SP13及び第14試料SP14において、CoFe膜またはCoFeB膜の上に、第1非磁性膜11nf(厚さが1.5nmのMgO膜)が設けられ、その上に、Ta膜42f(厚さが3nm)が設けられる。第13試料SP13及び第14試料SP14においても、飽和磁化Ms、及び、磁気的Dead Layerの厚さDLが導出される。
図10(a)の縦軸は、飽和磁化Ms(emu/cm)である。図10(b)の縦軸は、磁気的Dead Layerの厚さDL(nm)である。
図10(a)に示すように、第2磁性膜12fがCoFe膜である場合には、飽和磁化Msは大きい。そして、飽和磁化Msは、金属含有膜20fの材料の種類の差の影響を実質的に受けない。
一方、第2磁性膜12fがCoFeB膜である場合における飽和磁化Msは、CoFe膜の場合における飽和磁化Msに比べて、小さい。そして、CoFeB膜における飽和磁化Msは、金属含有膜20fの材料の種類に大きく依存する。例えば、金属含有膜20fの材料がCrである第8試料SP8における飽和磁化Msは、金属含有膜20fの材料がTaである第14試料SP14における飽和磁化Msよりも著しく小さい。
一般に、CoFeB膜における飽和磁化Msは、CoFe膜における飽和磁化Msよりも小さい。Crは、Taに比べて、Bを吸収し難い。このため、金属含有膜20fとしてCrを用いた場合には、CoFeB膜におけるBの濃度は実質的に変化しない。このため、第8試料SP8(CoFeB膜)における飽和磁化Msは、第4試料SP4(CoFe膜)における飽和磁化Msに比べて小さくなったと考えられる。
これに対して、Taは、Bを吸収し易い。このため、金属含有膜20fとしてTaを用いた場合には、CoFeB膜におけるBの濃度は減少すると考えられる。このため、第14試料SP14(CoFeB膜)における飽和磁化Msは、第13試料SP13(CoFe膜)における飽和磁化Msに近く、比較的大きいと考えられる。
金属含有膜20fとして、他の材料(Ir、Rh及びPd)を用いた場合も、CoFeB膜における飽和磁化Msは、CoFe膜における飽和磁化Msに近く、比較的大きい。このことから、これらの他の材料(Ir、Rh及びPd)も、Bを吸収し易いと考えられる。
図10(b)に示すように、第2磁性膜12fがCoFe膜である場合には、磁気的Dead Layerの厚さDLは大きい。そして、磁気的Dead Layerの厚さDLは、金属含有膜20fの材料の種類の差の影響を実質的に受けない。
一方、第2磁性膜12fがCoFeB膜である場合における磁気的Dead Layerの厚さDLは、金属含有膜20fの材料の種類に大きく依存する。例えば、金属含有膜20fの材料がIrまたはCrの場合(第5試料SP5及び第8試料SP8)における磁気的Dead Layerの厚さDLは、著しく小さい。
Ir膜の平坦性は極めて良好である。このことが、著しく小さい、磁気的Dead Layerの厚さDLに関係していると考えられる。例えば、Ir膜においては、B拡散による影響が軽微であることが考えられる。このことが、著しく小さい、磁気的Dead Layerの厚さDLに関係している可能性がある。
金属含有層20としてIrを用いると、磁気的Dead Layerの厚さDLが実質的に零になる。金属含有層20がIrを含むことが特に好ましいと考えられる。Ir膜は、CoFeB膜中のBを効果的に吸収し、そして、Ir膜に吸収されたBにより、磁気的Dead Layerの厚さDLが小さくなるという特別の現象が生じると考えられる。
磁性層の磁化は、例えば、振動試料型磁力計(VSM)などにより求められても良い。磁気的Dead Layerの厚さDLは、例えば、磁気光学(Kerr)効果の測定によって求められても良い。
以下、第2磁性層12がCoFeを含む場合について、組成比に関する実験結果の例について説明する。
図11(a)〜図11(d)は、磁気記憶装置における特性を例示するグラフ図である。
図11(a)及び図11(b)において、第2磁性層12(第2磁性膜12f)は、CoFe膜である。図11(c)及び図11(d)において、第2磁性層12(第2磁性膜12f)は、CoFeB膜である。
これらの図における試料において、下層25L及びTa膜42fは、図3に例示した下層25L及びTa膜42fと同様である。これらの試料において、下層25LのCr膜25eの上に、厚さが10nmのIr膜(金属含有膜20f)が設けられる。この上に、第2磁性膜12fとして、CoFe膜またはCoFeB膜が設けられる。CoFe膜及びCoFeB膜において、Co及びFeの組成比が変更される。CoFeB膜において、Bの濃度は20atm%である。さらに、CoFe膜またはCoFeB膜の厚さ(厚さtm2)が1nm〜3nmの範囲で変更される。CoFe膜またはCoFeB膜の上に、MgO膜(第1非磁性膜11nf)が設けられる。MgO膜の厚さは、1.5nmである。MgO膜の上に、Ta膜42fが設けられる。
図11(a)〜図11(d)において、横軸は、厚さtm2(nm)である。図11(a)及び図11(c)において、縦軸は、垂直異方性磁界Hk_eff(kOe)である。図11(b)及び図11(d)において、縦軸は、垂直磁気異方性エネルギーKu_int(Merg/cm)である。
図11(a)〜図11(d)から分かるように、CoFe膜及びCoFeB膜のいずれの場合も、Co40Fe60〜Co50Fe50の組成において、大きな垂直磁気異方性が得られる。Co40Fe60の組成において、特に大きな垂直磁気異方性が得られる。例えば、Feリッチの組成において、結晶磁気異方性または界面磁気異方性が大きく働くと考えられる。
実施形態において、CoFe膜及びCoFeB膜のいずれの場合も、Co40Fe60〜Co60Fe40の組成でも良い。例えば、第2磁性層12は、Cox1Fe1−x1(0≦x1≦0.6)を含んでも良い。第2磁性層12は、Cox1Fe1−x1(0.4≦x1≦0.6)を含んでも良い。第2磁性層12は、Cox1Fe1−x1(0.4≦x1≦0.5)を含んでも良い。第2磁性層12は、Cox1Fe1−x1(0.4≦x1≦0.45)を含んでも良い。この場合に、安定した垂直磁気異方性が得られる。
図12(a)〜図12(h)は、磁気記憶装置を例示する顕微鏡写真像である。
これらの図に示されている試料においては、下層25L(図3参照)の上に、厚さが10nmのIr膜(金属含有膜20f)が設けられ、その上に、厚さが2nmのCoFe膜(第2磁性膜12f)が設けられ、その上に、厚さが3nmのMgO膜(第1非磁性膜11nf)が設けられ、その上に、Ta膜42f(図3参照)が設けられる。
図12(a)は、試料の断面HAADF−STEM(high-angle annular dark-field scanning transmission electron microscopy)像である。図12(b)〜図12(h)は、試料のエネルギー分散型X線分光法(EDS:Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)像である。図12(b)は、O(酸素)のK線に対応する。図12(c)は、MgのK線に対応する。図12(d)は、CrのK線に対応する。図12(e)は、FeのK線に対応する。図12(f)は、CoのK線に対応する。図12(g)は、IrのL線に対応する。図12(h)は、TaのL線に対応する。
これらの図から分かるように、試料に含まれる複数の膜のそれぞれにおいて、良好な結晶平坦性が得られていることが分かる。高い均一性が得られていることが分かる。CoFe膜(第2磁性膜12f)への、他の膜に含まれる元素の拡散は実質的に生じていない。Ir膜(金属含有膜20f)へ、微量のCo及び微量のFeが拡散している。このように、金属含有層20に、第2磁性層12に含まれる第1元素が含まれても良い。
図13は、第1実施形態に係る別の磁気記憶装置を例示する模式的斜視図である。
図13に示すように、本実施形態に係る別の磁気記憶装置110bにおいては、金属含有層20の一部の厚さが他の部分よりも薄くなっている。磁気記憶装置110bにおけるこれらの構成は、磁気記憶装置110aの構成と同様である。
この例では、金属含有層20は、第1領域21及び第2領域22に加えて、第3領域23及び第4領域24をさらに含む。第2領域22は、第2方向(X軸方向)において、第3領域23及び第4領域24の間にある。この例において、第3領域23におけるホウ素の濃度、及び、第4領域24におけるホウ素の濃度のそれぞれは、第1領域21におけるホウ素の濃度(第1濃度)よりも高い。そして、第2領域22の第1方向(Z軸方向)に沿った厚さは、第3領域23の第1方向に沿った厚さよりも厚い。第2領域22の第1方向(Z軸方向)に沿った厚さは、第4領域24の第1方向に沿った厚さよりも厚い。
このような磁気記憶装置110bにおいても、大きな電圧効果と、大きなスピンホール効果と、が得られる。安定した動作が可能になる。
磁気記憶装置110bは、例えば、第1領域21〜第4領域24を有する金属含有膜20fの上に第2磁性膜12fを含む積層膜を形成した後に、この積層膜を加工することで形成される。このとき、加工の条件により、磁気記憶装置110aまたは110bが形成される。すなわち、加工処理において金属含有膜20fの一部が除去される場合に、磁気記憶装置110bが形成される。
図14は、第1実施形態に係る別の磁気記憶装置を例示する模式的斜視図である。
図14に示すように、本実施形態に係る別の磁気記憶装置111も、金属含有層20、第1磁性層11、第2磁性層12、第1非磁性層11n及び制御部70を含む。磁気記憶装置111においては、金属含有層20の構成が、磁気記憶装置110におけるそれとは異なる。これ以外の磁気記憶装置111における構成は、磁気記憶装置110の構成と同様である。
磁気記憶装置111においては、金属含有層20は、第1領域21及び第2領域22に加えて、第3領域23及び第4領域24をさらに含む。第2領域22は、第2方向(X軸方向)において、第3領域23及び第4領域24の間にある。第3領域23及び第4領域24は、例えば、ホウ素を含まない。または、第3領域23におけるホウ素の濃度及び第4領域24におけるホウ素の濃度のそれぞれは、第2領域22におけるホウ素の濃度(第2濃度)よりも低い。
磁気記憶装置111においては、金属含有層20のうちの第2磁性層12と重なる部分が、局所的にホウ素を含む。磁気記憶装置111においては、金属含有層20のうちの第2磁性層12と重ならない部分(例えば第3領域23及び第4領域24)は、第1領域21と同様の組成を含む。例えば、金属含有層20における抵抗を低くできる。例えば、第2領域22における抵抗率は、第1領域21、第3領域23及び第4領域24のそれぞれにおける抵抗率よりも高くなる傾向がある。ホウ素を含む部分を局所的に設けることで、金属含有層20の抵抗を低くできる。
図15は、第1実施形態に係る別の磁気記憶装置を例示する模式的斜視図である。
図15に示すように、本実施形態に係る別の磁気記憶装置120も、金属含有層20、第1磁性層11、第2磁性層12、第1非磁性層11n及び制御部70を含む。磁気記憶装置120においては、第1磁性層11の第1磁化11Mの方向が、磁気記憶装置110におけるそれとは異なる。これ以外の磁気記憶装置120における構成は、磁気記憶装置110の構成と同様である。
磁気記憶装置120においては、第1磁性層11の第1磁化11Mは、第2方向(例えばX軸方向)に沿う。例えば、第2磁性層12の第2磁化12Mは、第2方向に実質的に沿う。
磁気記憶装置120においては、例えば、Direct switchingモードの動作が行われる。Direct switchingモードにおける磁化反転の速度は、Precessional Switchingモードにおける磁化反転の速度よりも高い。Direct Switchingモードにおいては、磁化反転は、歳差運動を伴わない。このため、磁化反転速度は、ダンピング定数αに依存しない。磁気記憶装置120においては、高速の磁化反転が得られる。
磁気記憶装置120において、例えば、第1磁性層11の1つの方向の長さ(長軸方向の長さ)は、第1磁性層11の別の1つの方向の長さ(短軸方向の長さ)よりも長い。例えば、第1磁性層11の第2方向(例えば、X軸方向)に沿う長さ(長軸方向の長さ)は、第1磁性層11の第3方向(例えば、Y軸方向)に沿う長さ(短軸方向の長さ)よりも長い。例えば、形状異方性により、第1磁性層11の第1磁化11Mが第2方向に沿い易くなる。
磁気記憶装置120において、例えば、第1磁性層11の長軸方向は、第2方向に沿う。第1磁性層11の長軸方向は、第2方向に対して傾斜しても良い。例えば、第1磁性層11の長軸方向と、第2方向(金属含有層20を流れる電流の方向に対応する方向)と、の間の角度(絶対値)は、例えば、0度以上30度未満である。このような構成においては、例えば、高い書き込み速度が得られる。
図16は、第1実施形態に係る別の磁気記憶装置を例示する模式的斜視図である。
図16に示すように、本実施形態に係る別の磁気記憶装置121も、金属含有層20、第1磁性層11、第2磁性層12、第1非磁性層11n及び制御部70を含む。磁気記憶装置121においては、金属含有層20は、既に説明した、第1領域21、第2領域22、第3領域23及び第4領域24を含む。第3領域23及び第4領域24は、例えば、ホウ素を含まない。または、第3領域23におけるホウ素の濃度及び第4領域24におけるホウ素の濃度のそれぞれは、第2領域22におけるホウ素の濃度(第2濃度)よりも低い。これ以外の磁気記憶装置121における構成は、磁気記憶装置120の構成と同様である。
以下、本実施形態において各種の層に用いられる材料の例について説明する。
第1実施形態において、第2磁性層12は、例えば、Co、Fe及びNiからなる群から選択された少なくとも1つの第1元素を含む。第2磁性層12は、さらにホウ素を含んでも良い。第2磁性層12は、C、N、O、Si及びPからなる群から選択された少なくとも1つの第2元素をさらに含んでも良い。第2磁性層12において、ホウ素及び第2元素の濃度は、例えば、30atm%以下である。これにより、例えば、格子定数、結晶性、磁気特性、機械的特性及び化学的特性の少なくともいずれかが制御できる。このような材料を用いることで、例えば、高いスピン分極率が得られる。例えば、第2磁性層12は、Co、Fe、CoFe、CoFeB、FeB、CoB、CoFeSi、CoFeP、FeNi、FeNiB、FeNiSi及びFeNiPからなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2磁性層12は、組成が異なる複数の膜を含む積層膜を含んでも良い。第2磁性層12は、例えば、CoFeB/CoFeまたはCoFeB/FeNiBを含む。第2磁性層12は、例えば、組成が互いに異なる複数のCoFeB膜を含む積層膜を含んでも良い。第2磁性層12は、例えば、組成が互いに異なる複数のCoFe膜を含む積層膜を含んでも良い。
第2磁性層12は、例えば、Co基ホイスラー合金を含む磁性層を含んでも良い。Co基ホイスラー合金は、CoYZと表記される。第2磁性層12は、CoFeAl、CoMnSi、CoMnGe、CoMn(Si、Ge)及びCoMn(Ga、Ge)からなる群から選択された少なくとも1つを含む。
第2磁性層12は、例えば、積層構造を有しても良い。積層構造は、例えば、SAF構造である。SAF構造においては、例えば、隣接ビットへの漏れ磁界の影響を低減できる。
積層構造は、例えば、CoFe(B)/(Ta、W、Mo、Cu、Cr)/CoFe(B)、及び、Co基ホイスラー合金/(Ta、W、Mo、Cu、Cr)/CoFe(B)などを含む。「(Ta、W、Mo、Cu、Cr)」の表記は、Ta、W、Mo、Cu及びCrからなる群から選択された少なくとも1つを含むことを意味する。SAF構造は、例えば、CoFe(B)/(Ru、Rh、Ir)/CoFe(B)、及び、Co基ホイスラー合金/(Ru、Rh、Ir)/CoFe(B)からなる群から選択された少なくとも1つを含む。「(Ru、Rh、Ir)」の記載は、Ru、Rh及びIrからなる群から選択された少なくとも1つを含むことを意味する。「(B)」の記載は、Bを含む、または、Bを実質的に含まないことを意味する。
第2磁性層12は、積層体を含んでも良い。積層体は、例えば、Co/Pt人工格子、Co/Pd人工格子、Co/Ru人工格子、Co/Ir人工格子、及び、Co/Au人工格子よりなる群から選択された少なくとも1つを含む。これらの人工格子において、元素の添加、及び、磁性膜と非磁性膜とにおける厚さの比が調整される。これにより、例えば、垂直磁気異方性及び飽和磁化が調整される。
第1磁性層11は、第2磁性層12の保磁力よりも大きい保磁力、第2磁性層12の磁気異方性エネルギーよりも大きい磁気異方性エネルギー、及び、第2磁性層12のダンピング定数よりも大きいダンピング定数の少なくともいずれかを有する。これにより、磁気記憶装置における電気抵抗の変化が安定して得られる。第1磁性層11は、第1層及び第2層を含む積層膜を含んでも良い。第1層は、例えば、Ir、Pt、Fe及びRhからなる群から選択された少なくとも1つの元素と、Mnと、を含む。第2層は、Co、Fe及びNiからなる群から選択された少なくとも1つの元素を含む。第1磁性層11は、例えば、IrMn/CoFe、PtMn/CoFe、FeMn/CoFe、及び、RhMn/CoFeからなる群から選択された少なくとも1つを含む。例えば、安定した磁化方向が得られる。第1磁性層11は、第1層、第2層、第3層及び第4層を含んでも良い。第4層は、第3層と第2層との間に設けられる。第3層は、例えば、第1非磁性層11nと接し、例えば高いスピン分極率を有する。第1磁性層11は例えば、IrMn/CoFe/Ru/CoFeB、PtMn/CoFe/Ru/CoFeB、FeMn/CoFe/Ru/CoFeB、及び、RhMn/CoFe/Ru/CoFeBからなる群から選択された少なくとも1つを含む。これにより、例えば、安定した磁化方向が得られる。例えば、磁気記憶装置における電気抵抗の変化が安定して得られる。
第1非磁性層11nは、例えば、MgO、MgAlO及びAlOからなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1非磁性層11nは、これらの材料を含む複数の膜を含む積層膜を含んでも良い。第1非磁性層11nは、他の非磁性金属を更に含んでも良い。
(第2実施形態)
図17は、第2実施形態に係る別の磁気記憶装置を例示する模式的斜視図である。
図17に示すように、第2実施形態に係る磁気記憶装置130も、金属含有層20、第1磁性層11、第2磁性層12、第1非磁性層11n及び制御部70を含む。磁気記憶装置130においては、第1磁性層11の第1磁化11Mの方向が、磁気記憶装置110におけるそれとは異なる。これ以外の磁気記憶装置130における構成は、磁気記憶装置110の構成と同様である。
磁気記憶装置130においては、第1磁性層11の第1磁化11Mは、第1方向(例えばZ軸方向)に沿う。例えば、第2磁性層12の第2磁化12Mは、第1方向に実質的に沿う。
例えば、第2磁性層12の磁化容易軸は、第1方向(Z軸方向)に沿う。例えば、第2磁性層12の磁化容易軸と、Z軸方向と、の間の角度の絶対値は、45度以下である。
この場合も、金属含有層20の第3部分20cは、第1領域21及び第2領域22を含む。第1領域21は、第1金属(Rh、Pd及びIrからなる群から選択された少なくとも1つ)を含む。第2領域22は、第1領域21と第2磁性層12との間に設けられる。第2領域22は、第1金属及びホウ素を含む。第1領域21はホウ素を含まない。または、第1領域21がホウ素を含む場合、第1領域21におけるホウ素の第1濃度は、第2領域22におけるホウ素の第2濃度よりも低い。第2磁性層12は、第1方向(Z軸方向)に沿う第1格子長Lz12と、第1方向に対して垂直な方向Dxに沿う第2格子長Lx12と、を有する(図2(a)参照)。第1格子長Lz12は、第2格子長Lx12よりも長い。すなわち、第2磁性層12において、結晶格子の歪が生じている。
磁気記憶装置130においては、上記の第1領域21及び第2領域22が設けられているため、金属含有層20(第1領域21)において、格子が安定する。これにより、第2磁性層12に、格子の歪を効果的に形成できる。Bを含む第2領域22を局所的に設けることで、金属含有層20の全体においては、安定した格子が維持できる。そして、局所的な第2領域22がBを含むことで、電子の散乱効率が向上する。これにより、大きなスピンホール効果が得られる。
磁気記憶装置130においても、大きな電圧効果と、大きなスピンホール効果と、が得られる。安定した動作が可能になる。
磁気記憶装置130において、例えば、Direct switchingモードの動作が行われる。磁気記憶装置130においては、高速の磁化反転が得られる。
磁気記憶装置130においては、例えば、第1磁性層11の第2方向に沿う長さは、第1磁性層11の第3方向に沿う長さと実質的に同じでも良い。磁気記憶装置130においては、微細な第1積層体SB1(例えばMTJ素子)を得やすい。例えば、高い記憶密度が得られる。
図18は、第2実施形態に係る別の磁気記憶装置を例示する模式的斜視図である。
図18に示すように、本実施形態に係る別の磁気記憶装置131も、金属含有層20、第1磁性層11、第2磁性層12、第1非磁性層11n及び制御部70を含む。磁気記憶装置131においては、金属含有層20は、既に説明した、第1領域21、第2領域22、第3領域23及び第4領域24を含む。第3領域23及び第4領域24は、例えば、ホウ素を含まない。または、第3領域23におけるホウ素の濃度及び第4領域24におけるホウ素の濃度のそれぞれは、第2領域22におけるホウ素の濃度(第2濃度)よりも低い。これ以外の磁気記憶装置131における構成は、磁気記憶装置130の構成と同様である。磁気記憶装置131においても、大きな電圧効果と、大きなスピンホール効果と、が得られる。安定した動作が可能になる。
第2実施形態における材料の例について説明する。
第2磁性層12は、垂直磁性膜を含んでも良い。第2磁性層12が、垂直磁性膜である場合の例は、以下である。第2磁性層12は、Mnと、少なくとも1つの元素と、を含む。この少なくとも1つの元素は、Al、Ge及びGaからなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2磁性層12は、例えば、MnGa、MnAl、MnGe及びMnAlGeからなる群から選択された少なくとも1つを含む。例えば、第2磁性層12は、Mn、Ga、及び、少なくとも1つの元素を含む。この少なくとも1つの元素は、Al、Ge、Ir、Cr、Co、Pt、Ru、Pd、Rh、Ni、Fe、Re、Au、Cu、B、C、P、Gd、Tb及びDyよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2磁性層12は、例えば、MnGaAl、MnGaGe、MnGaIr、MnGaCr、MnGaCo、MnGaPt、MnGaRu、MnGaPd、MnGaRh、MnGaNi、MnGaFe、MnGaRe、MnGaAu、MnGaCu、MnGaB、MnGaC、MnGaP、MnGaGd、MnGaTb及びMnGaDyよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
第2磁性層12は、垂直磁性膜を含む場合、第2磁性層12は、例えば、合金を含んでも良い。この合金は、1つの元素と、別の1つの元素と、を含む。この1つの元素は、例えば、Fe、Co及びNiからなる群から選択された少なくとも1つを含む。この別の1つの元素は、例えば、Ru、Rh、Pd、Ag、Ir、Pt及びAuからなる群から選択された少なくとも1つを含む。上記の合金は、例えば、FeRh、FePt、FePd、CoPt及びCoPdよりなる群から選択された少なくとも1つを含んでも良い。これらの合金は、例えば、強磁性合金である。
第1磁性層11は、例えば、垂直磁性膜を含んでも良い。第1磁性層11が、垂直磁性膜を含む場合、例えば、第1磁性層11は、Mn、及び、少なくとも1つの元素を含む。この少なくとも1つの元素は、Al、Ge及びGaから選択された少なくとも1つを含む。第1磁性層11は、例えば、MnGa、MnAl、MnGe及びMnAlGeからなる群から選択された少なくとも1つを含む。例えば、第1磁性層11は、Mn、Ga、及び、少なくとも1つの元素を含む。この少なくとも1つの元素は、Al、Ge、Ir、Cr、Co、Pt、Ru、Pd、Rh、Ni、Fe、Re、Au、Cu、B、C、P、Gd、Tb及びDyからなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1磁性層11は、例えば、MnGaAl、MnGaGe、MnGaIr、MnGaCr、MnGaCo、MnGaPt、MnGaRu、MnGaPd、MnGaRh、MnGaNi、MnGaFe、MnGaRe、MnGaAu、MnGaCu、MnGaB、MnGaC、MnGaP、MnGaGd、MnGaTb及びMnGaDyからなる群から選択された少なくとも1つを含む。
第1磁性層11が垂直磁性膜を含む場合、第1磁性層11は、例えば、合金を含んでも良い。この合金の少なくとも一部の結晶は、例えば、面心立方構造(FCC)の(111)に配向する。または、この合金の少なくとも一部の結晶は、六方最密充填構造(HCP)の(0001)に配向する。第1磁性層11に含まれる合金は、例えば、人工格子を形成し得る。例えば、FCCの(111)またはHCPの(0001)に結晶配向する上記の合金は、例えば、1つの元素と、別の1つの元素と、を含む。この1つの元素は、Fe、Co、Ni及びCuからなる群から選択された少なくとも1つを含む。この別の1つの元素は、Pt、Pd、Rh及びAuからなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1磁性層11に含まれる合金は、例えば、強磁性合金である。この強磁性合金は、例えば、CoPd、CoPt、NiCo及びNiPtからなる群から選択された少なくとも1つを含む。
第1磁性層11に含まれ人工格子を形成し得る上記の合金は、例えば、交互に積層された第1層及び第2層を含む。第1層は、例えば、Fe、Co及びNiからなる群から選択された1つの元素を含む合金(強磁性膜)を含む。第2層は、例えば、Cr、Pt、Pd、Ir、Rh、Ru、Os、Re、Au及びCuからなる群から選択された1つの元素を含む合金(非磁性膜)を含む。第1磁性層11は、例えば、Co/Pt人工格子、Co/Pd人工格子、CoCr/Pt人工格子、Co/Ru人工格子、Co/Ir人工格子、Co/Os人工格子、Co/Au人工格子、及び、Ni/Cu人工格子からなる群から選択された少なくとも1つを含む。これらの人工格子において、強磁性膜への元素の添加、及び、強磁性膜と非磁性膜との厚さの比の少なくともいずれかが、調整される。垂直磁気異方性及び飽和磁化の少なくともいずれかが調整できる。
第1磁性層11は、合金を含んでも良い。この合金は、1つの元素と、別の1つの元素と、を含む。この1つの元素は、Fe、Co及びNiからなる群から選択された少なくとも1つを含む。この1つの元素は、例えば、遷移金属である。この別の1つの元素は、例えば、Tb、Dy及びGdからなる群から選択された少なくとも1つを含む。この別の1つの元素は、例えば、希土類金属である。第1磁性層11は、例えば、TbFe、TbCo、TbFeCo、DyFeCo、GdFeCo、DyTbFeCo及びGdTbCoからなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1磁性層11は、積層体を含んでも良い。この積層体は、複数の層を含む。この複数の層のそれぞれは、上記の合金を含む。積層体において、複数の種類の層が、交互に積層されても良い。第1磁性層11は、例えば、TbFe/Co、TbCo/Fe、TbFeCo/CoFe、DyFe/Co、DyCo/Fe及びDyFeCo/CoFeからなる群から選択された少なくとも1つの積層体を含んでも良い。これらの合金において、例えば、厚さ及び組成の少なくともいずれかが調整される。例えば、垂直磁気異方性及び飽和磁化の少なくともいずれかが調整される。
第1磁性層11は、合金を含んでも良い。この合金は、1つの元素と、別の1つの元素と、を含む。この1つの元素は、Fe、Co、Ni及びCuからなる群から選択された少なくとも1つを含む。この別の1つの元素は、Pt、Pd、Rh及びAuからなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1磁性層11は、例えば、強磁性合金を含む。この強磁性合金は、FeRh、FePt、FePd、CoPt及びCoPdからなる群から選択された少なくとも1つを含む。
第2実施形態における第1非磁性層11nの材料は、第1実施形態における第1非磁性層11nの材料と同様である。
(第3実施形態)
図19は、第3実施形態に係る磁気記憶装置を例示する模式的断面である。
図19に示すように、本実施形態に係る磁気記憶装置141は、金属含有層20、第1磁性層11、第2磁性層12及び第1非磁性層11nに加えて、第3磁性層13、第4磁性層14及び第2非磁性層12nを含む。磁気記憶装置141は、この他、制御部70(図1(a)参照)を含む。制御部70は、図19では省略されている。
第1磁性層11、第2磁性層12及び第1非磁性層11nは、第1積層体SB1に含まれる。第3磁性層13、第4磁性層14及び第2非磁性層12nは、第2積層体SB2に含まれる。この例では、第1積層体SB1は、第1導電層E1をさらに含む。第2積層体SB2は、第2導電層E2をさらに含む。
金属含有層20は、第1〜第3部分20a〜20cに加えて、第4部分20d及び第5部分20eをさらに含む。第2方向(X軸方向)において、第1部分20aと第2部分20bとの間に、第3部分20cが位置する。第2方向において、第3部分20cと第2部分20bとの間に、第4部分20dが設けられる。第2方向において、第4部分20dと第2部分20bとの間に、第5部分20eが設けられる。
第1方向(Z軸方向)において、第1導電層E1と第3部分20cとの間に第1磁性層11が設けられる。第1磁性層11と第3部分20cとの間に第2磁性層12が設けられる。第1磁性層11と第2磁性層12との間に第1非磁性層11nが設けられる。
第1方向(Z軸方向)において、第2導電層E2と第5部分20eとの間に第3磁性層13が設けられる。第3磁性層13と第5部分20eとの間に第4磁性層14が設けられる。第3磁性層13と第4磁性層14との間に第2非磁性層12nが設けられる。
第1積層体SB1及び第2積層体SB2のそれぞれが、メモリセルMCとなる。
既に説明したように、金属含有層20は、第1領域21及び第2領域22を含む。第2領域22は、第1領域21と第2磁性層12との間に設けられる。第2領域22は、例えば、第2磁性層12と物理的に接する。第2領域22は、第1金属及びホウ素を含む。さらに、金属含有層20は、別の第1領域21A及び別の第2領域22Aを含む。別の第2領域22Aは、別の第1領域21Aと第4磁性層14との間に設けられる。別の第2領域22Aは、例えば、第4磁性層14と物理的に接する。別の第2領域22Aは、第1金属及びホウ素を含む。
磁気記憶装置141において、第1絶縁領域51がさらに設けられる。例えば、第1絶縁領域51の少なくとも一部は、第2方向(X軸方向)において、第2領域22と、別の第2領域22Aと、の間に位置する。第1絶縁領域51は、例えば、第2領域22及び別の第2領域22Aに含まれる元素を含む。第1絶縁領域51は、例えば、第2領域22及び別の第2領域22Aに含まれる元素を含む酸化物、及び、その元素を含む窒化物の少なくともいずれかを含む。例えば、第2領域22及び別の第2領域22Aとなる材料を含む膜から、絶縁性の材料が形成される。第1絶縁領域51は、この材料を含む。良好な絶縁性が得られる。安定した特性が得られる。
例えば、第1絶縁領域51の少なくとも一部は、第2領域22及び別の第2領域22Aとなる膜の少なくとも一部の反応(例えば、酸化及び窒化の少なくともいずれか)により形成されても良い。第1絶縁領域51の少なくとも一部は、第2領域22及び別の第2領域22Aとなる膜の未反応部分を含んでも良い。
図20は、第3実施形態に係る別の磁気記憶装置を例示する模式的断面である。
図20に示すように、本実施形態に係る磁気記憶装置142は、第2絶縁領域52がさらに設けられる。磁気記憶装置142におけるこれ以外の構成は、磁気記憶装置141の構成と同じである。
例えば、第2絶縁領域52の少なくとも一部は、第2方向(X軸方向)において、第2磁性層12と、第4磁性層14と、の間に位置する。第2絶縁領域52は、例えば、第2磁性層12及び第4磁性層14に含まれる元素を含む。第2絶縁領域52は、例えば、第2磁性層12及び第4磁性層14に含まれる元素を含む酸化物、及び、その元素を含む窒化物の少なくともいずれかを含む。例えば、第2磁性層12及び第4磁性層14となる材料を含む膜から絶縁性の材料が形成される。第2絶縁領域52は、この材料を含む。良好な絶縁性が得られる。安定した特性が得られる。
例えば、第2絶縁領域52の少なくとも一部は、第2磁性層12及び第4磁性層14となる膜の少なくとも一部の反応(例えば、酸化及び窒化の少なくともいずれか)により形成されても良い。第2絶縁領域52の少なくとも一部は、第2磁性層12及び第4磁性層14となる膜の未反応部分を含んでも良い。
図21は、第3実施形態に係る別の磁気記憶装置を例示する模式的断面である。
図21に示すように、本実施形態に係る磁気記憶装置143は、第3絶縁領域53がさらに設けられる。磁気記憶装置143におけるこれ以外の構成は、磁気記憶装置142の構成と同じである。
例えば、第3絶縁領域53の少なくとも一部は、第2方向(X軸方向)において、第1非磁性層11nと、第2非磁性層12nと、の間に位置する。第3絶縁領域53は、例えば、第1非磁性層11n及び第2非磁性層12nに含まれる元素を含む。第3絶縁領域53は、例えば、第1非磁性層11n及び第2非磁性層12nに含まれる元素を含む酸化物、及び、その元素を含む窒化物の少なくともいずれかを含む。例えば、第1非磁性層11n及び第2非磁性層12nとなる材料を含む膜から絶縁性の材料が形成される。第3絶縁領域53は、この材料を含む。良好な絶縁性が得られる。安定した特性が得られる。
例えば、第3絶縁領域53の少なくとも一部は、第1非磁性層11n及び第2非磁性層12nとなる膜の少なくとも一部の反応(例えば、酸化及び窒化の少なくともいずれか)により形成されても良い。第3絶縁領域53の少なくとも一部は、第1非磁性層11n及び第2非磁性層12nとなる膜の未反応部分を含んでも良い。
第1〜第3絶縁領域51〜53の少なくともいずれかは、第1及び第2実施形態に係る任意の磁気記憶装置に適用できる。
(第4実施形態)
図22は、第4実施形態に係る磁気記憶装置を例示する模式的斜視図である。
図22に示すように、本実施形態に係る磁気記憶装置210においては、複数の積層体(第1積層体SB1、第2積層体SB2及び積層体SBxなど)が設けられる。そして、複数のスイッチ(スイッチSw1、スイッチSw2及びスイッチSwxなど)が設けられる。磁気記憶装置210におけるこれ以外の構成は、磁気記憶装置110と同様である。
金属含有層20は、第1〜第3部分20a〜20cに加えて、第4部分20d及び第5部分20eをさらに含む。既に説明したように、第2方向(X軸方向)において、第1部分20aと第2部分20bとの間に、第3部分20cが位置する。第2方向において、第3部分20cと第2部分20bとの間に、第4部分20dが設けられる。第2方向において、第4部分20dと第2部分20bとの間に、第5部分20eが設けられる。
複数の積層体は、金属含有層20に沿って並ぶ。第1積層体SB1は、第1方向(Z軸方向)において、第3部分20cと重なる。第2積層体SB2は、第1方向において、第5部分20eと重なる。第1積層体SB1から第2積層体SB2に向かう方向は、第2方向に沿う。
例えば、第2積層体SB2は、第3磁性層13、第4磁性層14及び第2非磁性層12nを含む。第3磁性層13は、金属含有層20の一部(第5部分20e)と、第1方向(Z軸方向)において離れる。第4磁性層14は、金属含有層20のその一部(第5部分20e)と、第3磁性層13と、の間に設けられる。第2非磁性層12nは、第3磁性層13と第4磁性層14との間に設けられる。
例えば、第3磁性層13は、第2方向(例えばX軸方向)において、第1磁性層11から離れる。第4磁性層14は、第2方向において、第2磁性層12から離れる。第2非磁性層12nは、第2方向において、第1非磁性層11nから離れる。
例えば、積層体SBxは、磁性層11x、磁性層12x及び非磁性層11nxを含む。磁性層11xは、金属含有層20の別の一部と、第1方向(Z軸方向)において離れる。磁性層12xは、金属含有層20のその別の一部と、磁性層11xと、の間に設けられる。非磁性層11nxは、磁性層11xと磁性層12xとの間に設けられる。
例えば、第3磁性層13の材料及び構成は、第1磁性層11の材料及び構成と同じである。例えば、第4磁性層14の材料及び構成は、第2磁性層12の材料及び構成と同じである。例えば、第2非磁性層12nの材料及び構成は、第1非磁性層11nの材料及び構成と同じである。
複数の積層体は、複数のメモリセルMCとして機能する。
金属含有層20の第2領域22は、第4磁性層14と第1領域21との間にも設けられる。金属含有層20の第2領域22は、磁性層12xと第1領域21との間にも設けられる。
スイッチSw1は、第1磁性層11と電気的に接続される。スイッチSw2は、第3磁性層13と電気的に接続される。スイッチSwxは、磁性層11xと電気的に接続される。これらのスイッチは、制御部70の制御回路75と電気的に接続される。これらのスイッチにより、複数の積層体のいずれかが選択される。
磁気記憶装置210の例においては、第2領域22は、第2方向(例えば、X軸方向)に沿って延びる。複数の積層体の間に対応する領域にも、第2領域22が設けられる。
図23は、第4実施形態に係る別の磁気記憶装置を例示する模式的斜視図である。
図23に示すように、本実施形態に係る別の磁気記憶装置211においても、複数の積層体及び複数のスイッチが設けられる。磁気記憶装置211におけるこれ以外の構成は、磁気記憶装置111と同様である。
磁気記憶装置211においては、ホウ素を含む第2領域22が、複数の積層体のそれぞれと、第1領域21と、の間において、局所的に設けられる。
(第5実施形態)
図24(a)〜図24(c)は、第5実施形態に係る磁気記憶装置を例示する模式的斜視図である。
図24(a)に示すように、本実施形態にかかる磁気記憶装置220においても、複数の積層体(第1積層体SB1及び第2積層体SB2)が設けられる。磁気記憶装置220においては、第1積層体SB1に流れる電流と、第2積層体SB2に流れる電流とは別でである。
第1積層体SB1は、第1方向(Z軸方向)において、第3部分20cと重なる。第2積層体SB2は、第1方向において、第5部分20eと重なる。金属含有層20の第4部分20dは、第1積層体SB1と第2積層体SB2との間の部分に対応する。
例えば、第1端子T1が、金属含有層20の第1部分20aと電気的に接続される。第2端子T2が、第2部分20bと電気的に接続される。第3端子T3が、第4部分20dと電気的に接続される。第4端子T4が、第1磁性層11と電気的に接続される。第5端子T5が、第3磁性層13と電気的に接続される。
図24(a)に示すように、1つの動作OP1において、第1電流Iw1が、第1端子T1から第3端子T3に向けて流れ、第3電流Iw3が第2端子T2から第3端子T3に向けて流れる。第1積層体SB1の位置における電流(第1電流Iw1)の向きは、第2積層体SB2の位置における電流(第3電流Iw3)の向きと逆である。このような動作OP1において、第1積層体SB1の第2磁性層12に作用するスピンホールトルクの向きは、第2積層体SB2の第4磁性層14に作用するスピンホールトルクの向きと逆になる。
図24(b)に示す別の動作OP2において、第2電流Iw2が、第3端子T3から第1端子T1に向けて流れ、第4電流Iw4が第3端子T3から第2端子T2に向けて流れる。第1積層体SB1の位置における電流(第2電流Iw2)の向きは、第2積層体SB2の位置における電流(第4電流Iw4)の向きと逆である。このような動作OP2において、第1積層体SB1の第2磁性層12に作用するスピンホールトルクの向きは、第2積層体SB2の第4磁性層14に作用するスピンホールトルクの向きと逆になる。
図24(a)及び図24(b)に示すように、第4磁性層14の第4磁化14Mの向きは、第2磁性層12の第2磁化12Mの向きと逆である。一方、第3磁性層13の第3磁化13Mの向きは、第1磁性層11の第1磁化11Mの向きと同じである。このように、第1積層体SB1と第2積層体SB2との間で、反対の向きの磁化情報が記憶される。例えば、動作OP1の場合の情報(データ)が、”1”に対応する。例えば、動作OP2の場合の情報(データ)が、”0”に対応する。このような動作により、例えば、後述するように、読み出しが高速化できる。
動作OP1及び動作OP2において、第2磁性層12の第2磁化12Mと、金属含有層20を流れる電子(偏極電子)のスピン電流と、が相互作用する。第2磁化12Mの向きと、偏極電子のスピンの向きとは、平行または反平行の関係となる。第2磁性層12の第2磁化12Mは、歳差運動して、反転する。動作OP1及び動作OP2において、第4磁性層14の第4磁化14Mの向きと、偏極電子のスピンの向きとは、平行または反平行の関係となる。第4磁性層14の第4磁化14Mは、歳差運動して、反転する。
図24(c)は、磁気記憶装置220における読み出し動作を例示している。
読み出し動作OP3において、第4端子T4の電位を第4電位V4とする。そして、第5端子T5の電位を第5電位V5とする。第4電位V4は、例えば、接地電位である。第4電位V4と第5電位V5との間の電位差をΔVとする。複数の積層体のそれぞれにおける2つの電気抵抗を、高抵抗Rh及び低抵抗Rlとする。高抵抗Rhは、低抵抗Rlよりも高い。例えば、第1磁化11Mと第2磁化12Mとが反平行であるときの抵抗が、高抵抗Rhに対応する。例えば、第1磁化11Mと第2磁化12Mとが平行であるときの抵抗が、低抵抗Rlに対応する。例えば、第3磁化13Mと第4磁化14Mとが反平行であるときの抵抗が、高抵抗Rhに対応する。例えば、第3磁化13Mと第4磁化14Mとが平行であるときの抵抗が、低抵抗Rlに対応する。
例えば、図24(a)に例示する動作OP1(”1”状態)において、第3端子T3の電位Vr1は、(1)式で表される。
Vr1={Rl/(Rl+Rh)}×ΔV …(1)
一方、図24(b)に例示する動作OP2(”0”状態)の状態において、第3端子T3の電位Vr2は、(2)式で表される。
Vr2={Rh/(Rl+Rh)}×ΔV …(2)
従って、”1”状態と”0”状態との間における、電位変化ΔVrは、(3)式で表される。
ΔVr=Vr2−Vr1={(Rh−Rl)/(Rl+Rh)}×ΔV …(3)
電位変化ΔVrは、第3端子T3の電位を測定することによって得られる。
定電流を積層体(磁気抵抗素子)に供給して磁気抵抗素子の2つの磁性層の間の電圧(電位差)を測定する場合に比べて、上記の読み出し動作OP3においては、例えば、読み取り時の消費エネルギーを低減できる。上記の読み出し動作OP3においては、例えば、高速読み出しを行なうことができる。
上記の動作OP1及び動作OP2において、第4端子T4及び第5端子T5を用いて、第2磁性層12及び第4磁性層14のそれぞれの垂直磁気異方性を制御することができる。これにより、書込み電流を低減できる。例えば、書込み電流は、第4端子T4及び第5端子T5を用いないで書き込みを行う場合の書き込み電流の約1/2にできる。例えば、書込み電荷を低減できる。第4端子T4及び第5端子T5に加える電圧の極性と、垂直磁気異方性の増減と、の関係は、磁性層及び金属含有層20の材料に依存する。
(第6実施形態)
図25は、第6実施形態に係る磁気記憶装置を示す模式図である。
図25に示すように、本実施形態に係る磁気記憶装置310においては、メモリセルアレイMCA、複数の第1配線(例えば、ワード線WL1及びWL2など)、複数の第2配線(例えば、ビット線BL1、BL2及びBL3など)、及び、制御部70が設けられる。複数の第1配線は、1つの方向に延びる。複数の第2配線は、別の1つの方向に延びる。制御部70は、ワード線選択回路70WS、第1ビット線選択回路70BSa、第2ビット線選択回路70BSbと、第1書込み回路70Wa、第2書き込み回路70Wb、第1読出し回路70Ra、及び、第2読出し回路70Rb、を含む。メモリセルアレイMCAにおいて、複数のメモリセルMCが、アレイ状に並ぶ。
例えば、複数のメモリセルMCの1つに対応して、スイッチSw1及びスイッチSwS1が設けられる。これらのスイッチは、複数のメモリセルの1つに含められると見なす。これらのスイッチは、制御部70に含まれると見なされても良い。これらのスイッチは、例えば、トランジスタである。複数のメモリセルMCの1つは、例えば、積層体(例えば第1積層体SB1)を含む。
図22〜図24に関して説明したように、1つの金属含有層20に、複数の積層体(第1積層体SB1、第2積層体SB2及び積層体SBxなど)が設けられても良い。そして、複数の積層体に、複数のスイッチ(スイッチSw1、スイッチSw2及びスイッチSwxなど)がそれぞれ設けられても良い。図25においては、図を見やすくするために、1つの金属含有層20に対応して、1つの積層体(積層体SB1など)と、1つのスイッチ(スイッチSw1など)と、が描かれている。
図25に示すように、第1積層体SB1の一端は、金属含有層20に接続される。第1積層体SB1の他端は、スイッチSw1のソース及びドレインの一方に接続される。スイッチSw1のソース及びドレインの他方は、ビット線BL1に接続される。スイッチSw1のゲートは、ワード線WL1に接続される。金属含有層20の一端(例えば第1部分20a)は、スイッチSwS1のソース及びドレインの一方に接続される。金属含有層20の他端(例えば第2部分20b)は、ビット線BL3に接続される。スイッチSwS1のソース及びドレインの他方は、ビット線BL2に接続される。スイッチSwS1のゲートは、ワード線WL2に接続される。
複数のメモリセルMCの他の1つにおいて、積層体SBn、スイッチSwn及びスイッチSwSnが設けられる。
メモリセルMCへの情報の書込み動作の例について説明する。
書込みを行なう1つのメモリセルMC(選択メモリセル)のスイッチSwS1がオン状態とされる。例えば、オン状態においては、この1つのスイッチSwS1のゲートが接続されたワード線WL2が、ハイレベルの電位に設定される。電位の設定は、ワード線選択回路70WSにより行われる。上記の1つのメモリセルMC(選択メモリセル)を含む列の他のメモリセルMC(非選択メモリセル)におけるスイッチSwS1もオン状態となる。1つの例では、メモリセルMC(選択メモリセル)内のスイッチSw1のゲートに接続されるワード線WL1、及び、他の列に対応するワード線WL1及びWL2は、ロウレベルの電位に設定される。
図25では、1つの金属含有層20に対応して1つの積層体及び1つのスイッチSw1が描かれているが、既に説明したように、1つの金属含有層20に対応して複数の積層体(積層体SB1、第2積層体SB2及び積層体SBxなど)及び複数のスイッチ(スイッチSw1、スイッチSw2及びスイッチSwxなど)が設けられる。この場合、例えば、複数の積層体のそれぞれに接続されているスイッチは、オン状態とされる。複数の積層体のいずれかには選択電圧が印加される。一方、他の積層体には非選択電圧が印加される。複数の積層体の上記のいずれかに書き込みが行われ、他の積層体には書き込みが行われない。複数の積層体における選択的な書き込みが行われる。
書込みを行なうメモリセルMC(選択セル)に接続されたビット線BL2及びBL3が、選択される。選択は、第1ビット線選択回路70BSa及び第2ビット線選択回路70BSbにより行われる。この選択されたビット線BL2及びBL3に、書込み電流が供給される。書き込み電流の供給は、第1書込み回路70Wa及び第2書き込み回路70Wbによって行われる。書き込み電流は、第1ビット線選択回路70BSa及び第2ビット線選択回路70BSbの一方から、第1ビット線選択回路70BSa及び第2ビット線選択回路70BSbの他方に向けて流れる。書込み電流によって、MTJ素子(第1積層体SB1など)の記憶層(第2磁性層12など)の磁化方向が変化可能になる。第1ビット線選択回路70BSa及び第2ビット線選択回路70BSbの他方から、第1ビット線選択回路70BSa及び第2ビット線選択回路70BSbの一方に向けて書込み電流が流れると、MTJ素子の記憶層の磁化方向が、上記とは反対方向に変化可能となる。このようにして、書込みが行われる。
以下、メモリセルMCからの情報の読出し動作の例について説明する。
読出しを行なうメモリセルMC(選択セル)に接続されたワード線WL1がハイレベルの電位に設定される。上記のメモリセルMC(選択セル)内のスイッチSw1がオン状態にされる。このとき、上記のメモリセルMC(選択セル)を含む列の他のメモリセルMC(非選択セル)におけるスイッチSw1もオン状態となる。上記のメモリセルMC(選択セル)内のスイッチSwS1のゲートに接続されるワード線WL2、及び、他の列に対応するワード線WL1及びWL2は、ロウレベルの電位に設定される。
読出しを行なうメモリセルMC(選択セル)に接続されたビット線BL1及びBL3が、選択される。選択は、第1ビット線選択回路70BSa及び第2ビット線選択回路70BSbにより行われる。この選択されたビット線BL1及びビット線BL3に、読出し電流が供給される。読み出し電流の供給は、第1読出し回路70Ra及び第2読み出し回路70Rbにより行われる。読み出し電流は、第1ビット線選択回路70BSa及び第2ビット線選択回路70BSbの一方から、第1ビット線選択回路70BSa及び第2ビット線選択回路70BSbの他方に向けて流れる。例えば、上記の選択されたビット線BL1及びBL3の間の電圧が、第1読出し回路70Ra及び第2読み出し回路70Rbによって、検出される。例えば、MTJ素子の、記憶層(第2磁性層12)の磁化と、参照層(第1磁性層11)の磁化と、の間の差が検出される。差は、磁化の向きが互いに平行状態(同じ向き)か、または、互いに反平行状態(逆向き)か、を含む。このようにして、読出し動作が行われる。
実施形態によれば、書き込み電流を低減できる磁気記憶装置が提供できる。
本願明細書において、「第1材料/第2材料」の記載は、第2材料の上に第1材料が位置することを意味する。例えば、第2材料の層の上に第1材料の層が形成される。
本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
以上、例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの例に限定されるものではない。例えば、磁気記憶装置に含まれる磁性層、非磁性層、金属含有層及び制御部などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
各例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
本発明の実施の形態として上述した磁気記憶装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての磁気記憶装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
11…第1磁性層、 11M…第1磁化、 11n…第1非磁性層、 11nf…第1非磁性膜、 11nx…非磁性層、 11x…磁性層、 12…第2磁性層、 12M…第2磁化、 12f…第2磁性膜、 12n…第2非磁性層、 12x…磁性層、 13…第3磁性層、 13M…第3磁化、 14…第4磁性層、 14M…第4磁化、 20…金属含有層、 20a〜20e…第1〜第5部分、 20f…金属含有膜、 21〜25…第1〜第5領域、 21A…別の第1領域、 22A…別の第2領域、 25L…下層、 25a…基板、 25b…Ta膜、 25c…CoFeB膜、 25d…MgO膜、 25e…Cr膜、 42f…Ta膜、 51〜53…第1〜第3絶縁領域、 70…制御部、 70BSa…第1ビット線選択回路、 70BSb…第2ビット線選択回路、 70Ra…第1読み出し回路、 70Rb…第2読み出し回路、 70WS…ワード線選択回路、 70Wa…第1書き込み回路、 70Wb…第2書き込み回路、 70a、70b、70c…配線、 75…制御回路、 110、110a、110b、111、120、121、130、131、141〜143、210、211、220…磁気記憶装置、 BL1、BL2、BL3…ビット線、 DL…厚さ、 Dx…方向、 E1、E2…第1、第2導電層、 Ea…印加電界、 Es…界面磁気異方性エネルギー、 Hk_eff…垂直異方性磁界、 Iw1〜Iw4…第1〜第4電流、 Ku_int…垂直磁気異方性エネルギー、 Lm…格子ミスマッチ、 Lx…長さ、 Lx12…第2格子長、 Lxo12、Lxo20…格子長、 Ly…長さ、 Lz12…第1格子長、 Lzo12、Lzo20…格子長、 MC…メモリセル、 MCA…メモリセルアレイ、 Ms…飽和磁化、 OP1、OP2…動作、 OP3…読み出し動作、 SB1…第1積層体、 SB2…第2積層体、 SBn、SBx…積層体、 SP0、SPn…試料、 SP1〜SP14…第1〜第14試料、 Sw1、Sw2…スイッチ、 SwS1、SwSn…スイッチ、 Swn…スイッチ、 T1〜T5…第1〜第5端子、 Tm…温度、 V0…基準電位、 V1、V2…第1、第2電圧、 Va…印加電圧、 WL1、WL2…ワード線、 t0…厚さ、 t1、t2…第1、第2厚さ、 tc…臨界厚、 tm2…厚さ

Claims (12)

  1. 第1部分と、第2部分と、前記第1部分と前記第2部分との間の第3部分と、を含み第1金属を含む金属含有層と、
    前記第1部分から前記第2部分に向かう第2方向と交差する第1方向において前記第3部分から離れた第1磁性層と、
    前記第3部分と前記第1磁性層との間に設けられた第2磁性層と、
    前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、
    前記第1部分及び第2部分と電気的に接続された制御部と、
    を備え、
    前記第2磁性層は、前記第1方向に沿う第1格子長と、前記第1方向に対して垂直な方向に沿う第2格子長と、を有し、前記第1格子長は前記第2格子長よりも長く、
    前記制御部は、
    前記第1部分から前記第2部分に向かう第1電流を前記金属含有層に供給する第1動作と、
    前記第2部分から前記第1部分に向かう第2電流を前記金属含有層に供給する第2動作と、
    を実施する、磁気記憶装置。
  2. 前記第2磁性層の磁化容易軸は、前記第1方向と交差した、請求項1記載の磁気記憶装置。
  3. 前記第3部分は、前記第1金属を含む第1領域と、前記第1領域と前記第2磁性層との間に設けられ前記第1金属及びホウ素を含む第2領域と、を含み、
    前記第1領域はホウ素を含まない、または、前記第1領域におけるホウ素の第1濃度は、前記第2領域におけるホウ素の第2濃度よりも低い、請求項1または2に記載の磁気記憶装置。
  4. 第1部分と、第2部分と、前記第1部分と前記第2部分との間の第3部分と、を含む金属含有層と、
    前記第1部分から前記第2部分に向かう第2方向と交差する第1方向において前記第3部分から離れた第1磁性層と、
    前記第3部分と前記第1磁性層との間に設けられた第2磁性層と、
    前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、
    前記第1部分及び第2部分と電気的に接続された制御部と、
    を備え、
    前記第3部分は、第1金属を含む第1領域と、前記第1領域と前記第2磁性層との間に設けられ前記第1金属及びホウ素を含む第2領域と、を含み、
    前記第1領域はホウ素を含まない、または、前記第1領域におけるホウ素の第1濃度は、前記第2領域におけるホウ素の第2濃度よりも低く、
    前記第2磁性層は、前記第1方向に沿う第1格子長と、前記第1方向に対して垂直な方向に沿う第2格子長と、を有し、前記第1格子長は前記第2格子長よりも長く、
    前記制御部は、
    前記第1部分から前記第2部分に向かう第1電流を前記金属含有層に供給する第1動作と、
    前記第2部分から前記第1部分に向かう第2電流を前記金属含有層に供給する第2動作と、
    を実施する、磁気記憶装置。
  5. 前記金属含有層は、第3領域及び第4領域をさらに含み、
    前記第2領域は、前記第2方向において前記第3領域及び前記第4領域の間にあり、
    前記第3領域及び前記第4領域はホウ素を含まない、または、前記第3領域におけるホウ素の濃度及び前記第4領域におけるホウ素の濃度のそれぞれは前記第2濃度よりも低い、請求項3または4に記載の磁気記憶装置。
  6. 前記金属含有層は、第3領域及び第4領域をさらに含み、
    前記第2領域は、前記第2方向において前記第3領域及び前記第4領域の間にあり、
    前記第3領域におけるホウ素の濃度及び前記第4領域におけるホウ素の濃度のそれぞれは、前記第1濃度よりも高い、請求項3または4に記載の磁気記憶装置。
  7. 前記第1方向に沿う前記第2領域の厚さは、前記第1方向に沿う前記第3領域の厚さよりも厚く、前記第1方向に沿う前記第4領域の厚さよりも厚い、請求項6記載の磁気記憶装置。
  8. 前記第2磁性層は、ホウ素を含み、
    前記第2磁性層におけるホウ素の濃度は、前記第2濃度よりも低い、請求項3〜7のいずれか1つに記載の磁気記憶装置。
  9. 前記第1金属は、Rh、Pd及びIrからなる群から選択された少なくとも1つを含む、請求項1〜8のいずれか1つに記載の磁気記憶装置。
  10. 前記第2磁性層は、BCT(body-centered tetragonal)構造を有した、請求項1〜9のいずれか1つに記載の磁気記憶装置。
  11. 前記金属含有層の<001>方向は、前記第1方向に沿う、請求項1〜10のいずれか1つに記載の磁気記憶装置。
  12. 前記制御部は、
    前記第1磁性層とさらに電気的に接続され、
    前記制御部は、第3動作及び第4動作をさらに実施し、
    前記制御部は、
    前記第1動作において、前記第1部分と前記第1磁性層との間の電位差を第1電圧とし、
    前記第2動作において、前記第1部分と前記第1磁性層との間の電位差を前記第1電圧とし、
    前記第3動作において、前記第1部分と前記第1磁性層との間の電位差を第2電圧とし、前記第1電流を前記金属含有層に供給し、
    前記第4動作において、前記第1部分と前記第1磁性層との間の電位差を前記第2電圧とし、前記第2電流を前記金属含有層に供給し、
    前記第1電圧は、前記第2電圧とは異なり、
    前記第1動作後における前記第1磁性層と前記第1部分との間の第1電気抵抗は、前記第2動作後における前記第1磁性層と前記第1部分との間の第2電気抵抗とは異なり、
    前記第1電気抵抗と前記第2電気抵抗との差の絶対値は、前記第3動作後における前記第1磁性層と前記第1部分との間の第3電気抵抗と、前記第4動作後における前記第1磁性層と前記第1部分との間の第4電気抵抗と、の差の絶対値よりも大きい、請求項1〜11のいずれか1つに記載の磁気記憶装置。
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