JP2018001573A - 摩擦体、筆記具及び筆記具セット - Google Patents
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Abstract
【課題】強い力及び/又は繰り返しの擦過操作の後に紙面汚染を低減することが可能な摩擦体、並びにこのような摩擦体を備える筆記具及び筆記具セットを提供する。
【解決手段】熱変色性を有する像を摩擦熱により変色させる摩擦体であって、スチレン系エラストマーを含み、120℃における圧縮永久歪:80%以下、及びショアーA硬度:60〜98、を有する摩擦体、並びにこれを備える筆記具及び筆記具セットが提供される。スチレン系エラストマーが架橋されていることが好ましい。
【選択図】図1
【解決手段】熱変色性を有する像を摩擦熱により変色させる摩擦体であって、スチレン系エラストマーを含み、120℃における圧縮永久歪:80%以下、及びショアーA硬度:60〜98、を有する摩擦体、並びにこれを備える筆記具及び筆記具セットが提供される。スチレン系エラストマーが架橋されていることが好ましい。
【選択図】図1
Description
本発明は、摩擦体、筆記具及び筆記具セットに関する。
従来、熱変色性インキと摩擦体とを備え、該熱変色性インキを用いて形成された像を該摩擦体で擦過して摩擦熱により変色させることができるように構成された筆記具が知られている。摩擦体としては、エラストマーで構成されるものが知られている。
特許文献1は、可逆熱変色性インキを用いて形成された像を、摩擦熱により第1状態から第2状態に変色させる弾性を有する摩擦体において、該摩擦体がシリコーンゴムからなることを特徴とする摩擦体を記載する。
特許文献2は、可逆熱変色性インキを用いて形成された像を、摩擦熱により第1状態から第2状態に変色させる摩擦体であって、スチレン−ブチレン−スチレン共重合体又はスチレン−エチレン・ブチレン−スチレン共重合体からなることを特徴とする摩擦体を記載する。特許文献2は、特許文献2に記載の発明によれば、熱変色像を剥がすことなく容易に変色できると共に、インキのはじきを生じることなく擦過部上に再び熱変色像を形成できる摩擦体が得られる旨記載する。
本発明者らは、熱変色性を有する像(典型的には、熱変色性インキを用いて紙面上に形成された像)を、例えば特許文献2に記載されるようなスチレン系の共重合体からなる摩擦体で擦過して変色させる際、特に強い荷重、繰り返しの擦過動作等によって、紙面が汚染されたような状態になる(以下、単に紙面汚染ともいう。)という問題が生じることに着目した。本発明は、上記の課題を解決し、熱変色性を有する像を擦過によって良好に変色させることができる(すなわち良好な変色性を与える)とともに、強い力及び/又は繰り返しの擦過操作による紙面汚染を低減することが可能な摩擦体、並びにこのような摩擦体を備える筆記具及び筆記具セットの提供を目的とする。
本発明は、少なくとも下記態様を含む。
[1] 熱変色性を有する像を摩擦熱により変色させる摩擦体であって、
スチレン系エラストマーを含み、
120℃における圧縮永久歪:80%以下、及び
ショアーA硬度:60〜98、
を有する、摩擦体。
[2] スチレン系エラストマーが架橋されている、上記態様1に記載の摩擦体。
[3] スチレン系エラストマーが、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン(SEPS)、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレン(SEEPS)及びスチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン(SEBS)からなる群から選択される、上記態様1又は2に記載の摩擦体。
[4] 潤滑剤を0.1〜3.0質量%含有する、上記態様1〜3のいずれかに記載の摩擦体。
[5] 熱変色性インキと、該熱変色性インキによる筆跡を摩擦熱により変色させる摩擦体とを有する筆記具であって、
摩擦体が上記態様1〜4のいずれかに記載の摩擦体である、筆記具。
[6] 熱変色性インキを有する筆記具と、該熱変色性インキによる筆跡を摩擦熱により変色させる摩擦体とを備える筆記具セットであって、
摩擦体が上記態様1〜4のいずれかに記載の摩擦体である、筆記具セット。
[1] 熱変色性を有する像を摩擦熱により変色させる摩擦体であって、
スチレン系エラストマーを含み、
120℃における圧縮永久歪:80%以下、及び
ショアーA硬度:60〜98、
を有する、摩擦体。
[2] スチレン系エラストマーが架橋されている、上記態様1に記載の摩擦体。
[3] スチレン系エラストマーが、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン(SEPS)、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレン(SEEPS)及びスチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン(SEBS)からなる群から選択される、上記態様1又は2に記載の摩擦体。
[4] 潤滑剤を0.1〜3.0質量%含有する、上記態様1〜3のいずれかに記載の摩擦体。
[5] 熱変色性インキと、該熱変色性インキによる筆跡を摩擦熱により変色させる摩擦体とを有する筆記具であって、
摩擦体が上記態様1〜4のいずれかに記載の摩擦体である、筆記具。
[6] 熱変色性インキを有する筆記具と、該熱変色性インキによる筆跡を摩擦熱により変色させる摩擦体とを備える筆記具セットであって、
摩擦体が上記態様1〜4のいずれかに記載の摩擦体である、筆記具セット。
本発明によれば、熱変色性を有する像を擦過によって良好に変色させることができる(すなわち良好な変色性を与える)とともに、強い力及び/又は繰り返しの擦過操作による紙面汚染を低減することが可能な摩擦体、並びにこのような摩擦体を備える筆記具及び筆記具セットが提供される。
以下、本発明の例示の態様を説明するが、本発明はこれらの態様に限定されない。なお、本開示で記載する種々の特性値は、特記がない限り本開示の[実施例]の項に記載される方法又はこれと同等であることが当業者に理解される方法で測定したときの値であることが意図される。
<摩擦体>
本発明の一態様は、
熱変色性を有する像を摩擦熱により変色させる摩擦体であって、
スチレン系エラストマーを含み、
120℃における圧縮永久歪:80%以下、及び
ショアーA硬度:60〜98、
を有する、摩擦体である。
本発明の一態様は、
熱変色性を有する像を摩擦熱により変色させる摩擦体であって、
スチレン系エラストマーを含み、
120℃における圧縮永久歪:80%以下、及び
ショアーA硬度:60〜98、
を有する、摩擦体である。
本開示で、「熱変色性を有する像」とは、常温(例えば25℃)で所定の色彩(第1色)を維持し、所定温度(例えば60℃)まで昇温させると別の色彩(第2色)へと変化し、随意に、その後、所定温度(例えば−5℃)まで冷却させると、再び元の色彩(第1色)へと復帰する性質を有する像を意味する。熱変色性を有する像は、典型的には、後述する熱変色性インキを用いて形成できる。
熱変色性を有する像を摩擦体で擦過して変色させる際、特に強い力及び/又は繰り返しの摩擦動作によって紙面汚染が生じる原因は定かではない。しかし本発明者らは、擦過時に摩擦体の表面温度が高くなることで、摩擦体の物理的性質が変化し、摩擦体の破壊(具体的には局所的な剥離)が発生して紙面に付着することが、紙面汚染の原因ではないかと推測し、またエラストマーが軟化することによって擦過時に紙面に加えられる力が不均一になり、インキを完全に変色させようとすると局所的に強い力がインキに掛かることとなって熱変色性色材が破壊されることも、紙面汚染の原因ではないかと推測した。そして、摩擦体の特に高温領域での変形回復性を制御することが、摩擦体の上記の破壊を低減するのに有効であることを見出した。
本発明の一態様が提供する摩擦体は、ショアーA硬度と高温領域での圧縮永久歪とのバランスが制御されていることによって、適度な硬度を有するとともに高温時にも良好な変形回復性を示すため、熱変色性を有する像を擦過によって良好に変色させることができる(すなわち良好な変色性を与える)とともに、強い力及び/又は繰り返しの擦過操作による摩擦体の破壊が生じにいために紙面汚染を低減することが可能である。
摩擦体は、120℃における圧縮永久歪(本開示で、「120℃圧縮永久歪」ともいう。):80%以下を有する。120℃圧縮永久歪が小さいことは、擦過条件下(すなわち高温条件下)での摩擦体の良好な変形回復性の指標となり、そしてこの良好な変形回復性は、摩擦体の特に擦過条件下(すなわち高温条件下)での良好な耐摩耗性の維持に寄与する。
120℃圧縮永久歪は、摩擦体の高温条件下での良好な耐摩耗性の観点から、80%以下であり、70%以下、又は60%以下であってよい。120℃圧縮永久歪は、高温条件下での耐摩耗性の観点では小さい程好ましい。なお本開示において、圧縮永久歪はJIS K6262−2013に準拠して測定される値である。
一般に、エラストマーから形成された成形体の圧縮永久歪は温度の上昇に伴って大きくなる傾向がある。本開示の摩擦体は、上記特定範囲のような小さい120℃圧縮永久歪を有する。このような120℃圧縮永久歪を得るという観点で、摩擦体における圧縮永久歪の温度依存性を小さくすることが有利である。摩擦体において、70℃における圧縮永久歪(B)に対する120℃における圧縮永久歪(A)の比率(A)/(B)は、1.0以上1.7以下、1.0以上1.5以下、1.0以上1.4以下、又は1.0以上1.3以下であってよい。
摩擦体は、ショアーA硬度:60〜98を有する。ショアーA硬度は、熱変色性を有する像の良好な変色性、及び摩擦体の良好な耐摩耗性の観点で、60以上であり、70以上、又は80以上であってよい。ショアーA硬度は、摩擦体を紙面に押付けることで該紙面に対する接触面積を大きくでき、従って良好な変色性を容易に得ることができるという観点で、98以下であり、95以下、又は90以下であってよい。なお本開示において、ショアーA硬度はJIS K 6253−3−2012に準拠して測定される値である。
本開示の摩擦体を構成する材料成分の組成は、前述したような所望の120℃圧縮永久歪及びショアーA硬度を与えるように設計される。摩擦体は、典型的には、エラストマー成分と添加剤成分とを含む。以下に、120℃圧縮永久歪とショアーA硬度との両者が本開示の所望の範囲に制御された摩擦体を形成するのに好適な材料成分について例示するが、材料成分は下記例示のものには限定されない。
[エラストマー成分(成分(A))]
エラストマー成分としては、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、オレフィン系エラストマー等を例示できるが、所望の120℃圧縮永久歪及びショアーA硬度の実現が容易であるという点で、エラストマー成分は、スチレン系エラストマーを含み、好ましくはスチレン系エラストマーからなる。
エラストマー成分としては、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、オレフィン系エラストマー等を例示できるが、所望の120℃圧縮永久歪及びショアーA硬度の実現が容易であるという点で、エラストマー成分は、スチレン系エラストマーを含み、好ましくはスチレン系エラストマーからなる。
本開示で、「スチレン系エラストマー」とは、主鎖中にスチレン構成単位を含むエラストマーを意味し、典型的には熱可塑性エラストマーである。所望の120℃圧縮永久歪及びショアーA硬度の実現が容易であるという観点で、スチレン系エラストマーは、スチレン骨格含有化合物に由来する構成単位を主体とする重合体ブロックと共役ジエン化合物に由来する構成単位を主体とする重合体ブロックとを有するブロック共重合体(以下、スチレン系ブロック共重合体という。)、若しくは該ブロック共重合体の水素添加物、又はこれらの混合物であることが好ましい。なお上記の「スチレン骨格含有化合物(又は共役ジエン化合物)に由来する構成単位を主体とする重合体ブロック」とは、重合体ブロック中で最も高い質量割合で存在する構成単位がスチレン骨格含有化合物(又は共役ジエン化合物)由来の構成単位であるような重合体ブロックを意味する。
上記スチレン系ブロック共重合体は、通常、スチレン骨格含有化合物に由来する構成単位を主体とする重合体ブロックXの1個以上、好ましくは機械的特性の観点から2個以上と、共役ジエン化合物に由来する構成単位を主体とする重合体ブロックYの1個以上とを有するブロック共重合体である。例えば、X−Y、X−Y−X、Y−X−Y−X、及びX−Y−X−Y−X、等の構造を有するブロック共重合体を挙げることができる。
上記スチレン系ブロック共重合体の水素添加物は、上記スチレン系ブロック共重合体中の炭素・炭素二重結合に水素を添加して炭素・炭素単結合にすることにより得られる。上記水素添加は、公知の方法、例えば、不活性溶媒中で水素添加触媒を用いて水素処理することにより行うことができる。
上記スチレン系ブロック共重合体の水素添加物の水素添加率(すなわち、水素添加前のスチレン系ブロック共重合体中の炭素・炭素二重結合の数に対する、水素添加で生じた炭素・炭素単結合の数の割合)は、消字性能、耐紙面汚染性、及び耐摩耗性の向上の観点から、50%以上、70%以上、又は90%以上であってよい。なお上記水素添加率は、特記がない限り1H−NMRで測定される値を意味する。
スチレン骨格含有化合物は、重合性の炭素・炭素二重結合と芳香環とを有する重合性モノマーである。上記スチレン骨格含有化合物としては、例えば、スチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、p−第3ブチルスチレン、及び炭素数1〜8のアルキル基の少なくとも1個がベンゼン環に結合したアルキルスチレン、等を挙げることができる。これらの中で、スチレン、及び炭素数1〜8のアルキル基の少なくとも1個がベンゼン環に結合したアルキルスチレンが好ましい。上記スチレン骨格含有化合物としては、これらの1種以上を用いることができる。
上記炭素数1〜8のアルキル基の少なくとも1個がベンゼン環に結合したアルキルスチレンとしては、例えば、o−アルキルスチレン、m−アルキルスチレン、p−アルキルスチレン、2,4−ジアルキルスチレン、3,5−ジアルキルスチレン、2,4,6−トリアルキルスチレン等のアルキルスチレン類、及びこれらアルキルスチレン類におけるアルキル基の水素原子の1個又は2個以上がハロゲン原子で置換されたハロゲン化アルキルスチレン類、等が挙げられる。より具体的には、例えば、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジエチルスチレン、3,5−ジエチルスチレン、2,4,6−トリエチルスチレン、o−プロピルスチレン、m−プロピルスチレン、p−プロピルスチレン、2,4−ジプロピルスチレン、3,5−ジプロピルスチレン、2,4,6−トリプロピルスチレン、2−メチル−4−エチルスチレン、3−メチル−5−エチルスチレン、o−クロロメチルスチレン、m−クロロメチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、2,4−ビス( クロロメチル)スチレン、3,5−ビス(クロロメチル)スチレン、2,4,6−トリ(クロロメチル)スチレン、o−ジクロロメチルスチレン、m−ジクロロメチルスチレン、及びp−ジクロロメチルスチレン、等が挙げられる。これらの中でもp−メチルスチレンが架橋性の観点から特に好ましい。
上記炭素数1〜8のアルキル基の少なくとも1個がベンゼン環に結合したアルキルスチレンは、架橋されたスチレン系エラストマーの材料として好適に用いられる。
上記重合体ブロックXにおける、上記炭素数1〜8のアルキル基の少なくとも1個がベンゼン環に結合したアルキルスチレンの割合は、架橋性の観点から1質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、さらに100質量%であってもよい。
上記共役ジエン化合物は、2つの炭素・炭素二重結合が1つの炭素・炭素単結合により結合された構造を有する重合性モノマーである。上記共役ジエン化合物としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、及びクロロプレン(2−クロロ−1,3−ブタジエン)、等を挙げることができる。これらの中で、1,3−ブタジエン、及びイソプレンが好ましい。上記共役ジエン化合物としては、これらの1種以上を用いることができる。
上記スチレン系ブロック共重合体又はその水素添加物における、上記スチレン骨格含有化合物に由来する構成単位の含有量は、特に制限されないが、機械強度、耐寒性、耐熱性及び柔軟性の観点から、5〜50質量%、又は20〜40質量%であってよい。
上記重合体ブロックXは、好ましくは、上記スチレン骨格含有化合物のみに由来する重合体ブロック、又は上記スチレン骨格含有化合物と上記共役ジエン化合物との共重合体ブロックである。上記重合体ブロックXが上記共重合体ブロックである場合、当該共重合体ブロック中の、上記重合体ブロックX中の上記スチレン骨格含有化合物に由来する構成単位の含有量は、特に制限されないが、耐熱性の観点から、通常50質量%以上であり、70質量%以上、又は90質量%以上であってよい。上記重合体ブロックX中の上記共役ジエン化合物に由来する構成単位の分布は、特に制限されない。スチレン系エラストマー分子中に上記重合体ブロックXが2個以上あるとき、これらは同一構造であってもよく、互いに異なる構造であってもよい。
上記重合体ブロックYは、好ましくは、上記共役ジエン化合物のみからなる重合体ブロック、又は上記スチレン骨格含有化合物と上記共役ジエン化合物との共重合体ブロックである。上記重合体ブロックYが上記共重合体ブロックである場合、当該共重合体ブロック中の、上記重合体ブロックY中の上記共役ジエン化合物に由来する構成単位の含有量は、特に制限されないが、耐熱性の観点から、通常50質量%以上であり、70質量%以上、又は90質量%以上であってよい。上記重合体ブロックY中の上記スチレン骨格含有化合物に由来する構成単位の分布は、特に制限されない。上記共役ジエン化合物と上記スチレン骨格含有化合物との結合様式は、特に制限されない。スチレン系エラストマー分子中に上記重合体ブロックYが2個以上あるとき、これらは同一構造であってもよく、互いに異なる構造であってもよい。
上記スチレン系ブロック共重合体としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、及びスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)などを挙げることができる。
上記スチレン系ブロック共重合体の水素添加物としては、例えば、スチレン−エチレン−ブテン共重合体(SEB)、スチレン−エチレン−プロピレン共重合体(SEP)、スチレン−エチレン−ブテン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、及びスチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)などを挙げることができる。
これらの中で、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン(SEPS)、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレン(SEEPS)及びスチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン(SEBS)が好ましく、特に、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、及びスチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)が耐摩耗性の観点から好ましい。
上記で列挙したスチレン系ブロック共重合体及び/又はその水素添加物を、1種で又は2種以上の混合物で用いることができる。
スチレン系エラストマーは、架橋されていてもよい。架橋の程度を高くすることは、120℃圧縮永久歪の低減及びショアーA硬度の上昇に寄与する。この場合、スチレンをp−メチルスチレンに置き換えたSEBS、SEPS、及びSEEPSが耐熱性及び耐摩耗性の観点から好ましい。なお、スチレン系エラストマーが架橋されているものであるか否かは、120℃の熱キシレンに24時間浸漬した後、ゲル分が残留するか否かを目視で観測、または残重量を測定することで区別できる。架橋には例えば後述の架橋剤(成分(E))を用いることができる。例示の態様において、摩擦体は、架橋されたスチレン系エラストマー以外の、120℃熱キシレン不溶性のポリマーを含まないことができる。この場合、スチレン系エラストマーが架橋されているか否かは、摩擦体に対して上記の熱キシレン処理をすることでも評価できる。
スチレン系エラストマーの質量平均分子量(Mw)は、好ましくは150,000〜500,000である。質量平均分子量は、耐摩耗性が良好である摩擦体を得る観点で、150,000以上、180,000以上、又は200,000以上であってよい。一方、質量平均分子量は、摩擦体製造時の加工性が良好であるという観点で、500,000以下、450,000以下、又は400,000以下であってよい。本開示で、分子量は、特記がない限りゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算の値を意味する。
[その他成分]
その他成分としては、例えば、プロピレン系樹脂(以下、成分(B))、ゴム用軟化剤(以下、成分(C))、潤滑剤(以下、成分(D))、架橋剤(以下、成分(E))、架橋助剤(以下、成分(F))、着色剤(以下、成分(G))、上記プロピレン系樹脂以外のポリマー成分、安定剤、充填剤、等のうち1種以上を使用できる。
その他成分としては、例えば、プロピレン系樹脂(以下、成分(B))、ゴム用軟化剤(以下、成分(C))、潤滑剤(以下、成分(D))、架橋剤(以下、成分(E))、架橋助剤(以下、成分(F))、着色剤(以下、成分(G))、上記プロピレン系樹脂以外のポリマー成分、安定剤、充填剤、等のうち1種以上を使用できる。
[プロピレン系樹脂(成分(B))]
プロピレン系樹脂(成分(B))の使用は、摩擦体の耐摩耗性及び耐紙面汚染性の向上において有利である。上記成分(B)としては、プロピレン単独重合体、プロピレン系ランダム共重合体及びプロピレン系ブロック共重合体を例示でき、これらを1種又は2種以上の組合せで使用できる。耐熱性の観点で、プロピレン単独重合体及びプロピレン系ブロック共重合体がより好ましく、プロピレン単独重合体が更に好ましい。
プロピレン系樹脂(成分(B))の使用は、摩擦体の耐摩耗性及び耐紙面汚染性の向上において有利である。上記成分(B)としては、プロピレン単独重合体、プロピレン系ランダム共重合体及びプロピレン系ブロック共重合体を例示でき、これらを1種又は2種以上の組合せで使用できる。耐熱性の観点で、プロピレン単独重合体及びプロピレン系ブロック共重合体がより好ましく、プロピレン単独重合体が更に好ましい。
プロピレン単独重合体は、プロピレン単位のみで構成される重合体であり、結晶性及び融点が高いため、成分(B)として最も好ましい。
プロピレン系ランダム共重合体としては、プロピレンとエチレンとを共重合して得られるプロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレンと炭素数4〜20の少なくとも1種のα−オレフィンとを共重合して得られるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体、プロピレンとエチレンと炭素数4〜20の少なくとも1種のα−オレフィンとを共重合して得られるプロピレン・エチレン・α−オレフィンランダム共重合体などを例示できる。
炭素数4〜20のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、メチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ペンテン、エチル−1−ペンテン、トリメチル−1−ブテン、メチルエチル−1−ブテン、1−オクテン、メチル−1−ペンテン、エチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ヘキセン、プロピル−1−ヘプテン、メチルエチル−1−ヘプテン、トリメチル−1−ペンテン、プロピル−1−ペンテン、ジエチル−1−ブテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、及び1−ドデセン、等が挙げられる。炭素数4〜20のα−オレフィンは、好ましくは、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、及び1−オクテンであり、より好ましくは1−ブテン、及び1−ヘキセンである。
プロピレン系ランダム共重合体の具体例としては、例えば、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−1−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン−1−オクテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ヘキセンランダム共重合体、及びプロピレン−エチレン−1−オクテンランダム共重合体、等が挙げられ、好ましくはプロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−1−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体、及びプロピレン−エチレン−1−ヘキセンランダム共重合体、等である。
プロピレン系ブロック共重合体としては、結晶性プロピレン系重合体部位と非結晶性プロピレン・α−オレフィン共重合体部位とから構成されるブロック共重合体が挙げられる。
結晶性プロピレン系重合体としては、プロピレンの単独重合体又はプロピレンと少量の他のα−オレフィンとのランダム共重合体、等が例示できる。
一方、非結晶性プロピレン・α−オレフィン共重合体としては、プロピレンと他のα−オレフィンとの非結晶性ランダム共重合体が挙げられる。他のα−オレフィンとしては、炭素数2又は4〜12のものが好ましく、具体例としては、エチレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、ビニルシクロペンタン、及びビニルシクロヘキサン、等が挙げられる。これらのα−オレフィンは1種又は2種以上の組合せで使用できる。
プロピレン系ブロック共重合体として、上記他のα−オレフィンに加えて1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,5−ヘキサジエン、1,4−オクタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ブチリデン−2−ノルボルネン、及び5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、等の非共役ジエンを共重合した三元又は四元以上の共重合体も使用することもできる。
上記成分(B)のメルトマスフローレートは、成形性の観点から、JIS K 7210−1999に準拠し、230℃、21.18Nの条件で測定したときに、0.01〜100g/10分、0.1〜50g/10分、又は0.3〜10g/10分であってよい。
また、上記成分(B)の融点は、耐熱性の観点から、150℃以上、又は160℃以上であってよい。融点の上限は特に制限されないが、ポリプロピレン系樹脂であることから例えば約167℃程度が上限である。なお上記融点は、DSC型示差走査熱量計(例えば株式会社パーキンエルマージャパンのDiamond)を使用し、230℃で5分間保持→10℃/分で−10℃まで冷却→−10℃で5分間保持→10℃/分で230℃まで昇温、のプログラムで測定したときのセカンド融解曲線(すなわち最後の昇温過程で測定される融解曲線)において、最も高温側に現れるピークのピークトップ融点を意図する。
上記成分(B)の配合量は、上記成分(A)100質量部に対し、30〜300質量部、35〜250質量部、又は40〜180質量部であってよい。この範囲であることにより、柔軟性、耐摩耗性、及び耐紙面汚染性のバランスが良好になる。
[ゴム用軟化剤(成分(C))]
ゴム用軟化剤(成分(C))としては、当該分野で軟化剤として機能することが当業者に理解される種々の化合物を使用できる。成分(C)の使用は摩擦体の柔軟性の向上において有利である。上記成分(C)は、典型的には非芳香族系ゴム用軟化剤である。非芳香族系ゴム用軟化剤の例は、非芳香族系の鉱物油(すなわち石油等に由来する炭化水素化合物であって、後述の区分において芳香族系に区分されない(すなわち芳香族炭素数が30%未満である)もの)又は非芳香族系の合成油(すなわち合成炭化水素化合物であって芳香族モノマーを使用していないもの)である。非芳香族系ゴム用軟化剤は、通常、常温では液状又はゲル状若しくはガム状である。
ゴム用軟化剤(成分(C))としては、当該分野で軟化剤として機能することが当業者に理解される種々の化合物を使用できる。成分(C)の使用は摩擦体の柔軟性の向上において有利である。上記成分(C)は、典型的には非芳香族系ゴム用軟化剤である。非芳香族系ゴム用軟化剤の例は、非芳香族系の鉱物油(すなわち石油等に由来する炭化水素化合物であって、後述の区分において芳香族系に区分されない(すなわち芳香族炭素数が30%未満である)もの)又は非芳香族系の合成油(すなわち合成炭化水素化合物であって芳香族モノマーを使用していないもの)である。非芳香族系ゴム用軟化剤は、通常、常温では液状又はゲル状若しくはガム状である。
成分(C)として用いられる鉱物油は、パラフィン鎖、ナフテン環、及び芳香環の1種以上を有する化合物の混合物であり、炭素数基準で、ナフテン環が30〜45%のものはナフテン系鉱物油、芳香環が30%以上のものは芳香族系鉱物油と呼ばれ、ナフテン系鉱物油にも芳香族系鉱物油にも属さず、かつ炭素数基準でパラフィン鎖が50%以上を占めるものはパラフィン系鉱物油と呼ばれて区別されている。
上記成分(C)としては、例えば、直鎖状飽和炭化水素、分岐状飽和炭化水素、及びこれらの誘導体などのパラフィン系鉱物油;ナフテン系鉱物油;水素添加ポリイソブチレン、ポリイソブチレン、及びポリブテンなどの合成油;等を挙げることができる。これらの中で、エラストマー成分との相溶性の観点から、パラフィン系鉱物油が好ましく、芳香族炭素数の少ないパラフィン系鉱物油がより好ましい。また取扱い性の観点から、室温で液状であるものが好ましい。
耐熱性及び取扱い性の観点から、上記成分(C)の、JIS K2283−2000に準拠し測定された37.8℃における動的粘度は、20〜1000cSt、又は50〜500cStであってよい。また取扱い性の観点から、上記成分(C)の、JIS K2269−1987に準拠し測定された流動点は、−10〜−25℃であってよい。更に安全性の観点から、上記成分(C)の、JIS K2265−2007に準拠し測定された引火点(COC)は、170〜300℃であってよい。
上記成分(C)の配合量は、上記成分(A)100質量部に対し、柔軟性と機械物性とのバランスの観点から、1〜400質量部、10〜250質量部、又は40〜180質量部であってよい。
[潤滑剤(成分(D))]
潤滑剤(成分(D))としては、当該分野で潤滑剤として機能することが当業者に理解される種々の化合物を使用できる。成分(D)の使用は金型剥離性及び紙面の摩擦抑制において有利である。
潤滑剤(成分(D))としては、当該分野で潤滑剤として機能することが当業者に理解される種々の化合物を使用できる。成分(D)の使用は金型剥離性及び紙面の摩擦抑制において有利である。
上記成分(D)としては、シリコーン系化合物、フッ素系化合物、界面活性剤、等が挙げられ、紙面の摩擦抑制の観点からシリコーン系化合物が好ましい。
上記シリコーン系化合物としては、シリコーンオイル、シリコーンガム等を使用することができる。これらの中でも耐熱性、耐ブリード性、及び紙面の摩擦抑制の観点から高分子量のものが好ましい。但し、一般に、高分子量のシリコーン系化合物は高粘度の液体、又はガム状であるためハンドリング性が悪い傾向があるため、樹脂とのブレンド物又は樹脂との共重合物が使用上好適である。ここで使用される樹脂は、摩擦体を構成する他の成分、特に成分(A)との相溶性等を考慮して選定されるが、一般的にはポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂が好適である。
上記フッ素系化合物としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル等を使用することができる。これらの中でも紙面の摩擦抑制の観点からポリフッ化ビニリデンが好ましい。
上記界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系のいずれをも使用することができる。
上記成分(D)の配合量は、上記成分(A)100質量部に対し、紙面の摩擦抑制の観点から、0.1〜30質量部、0.5〜20質量部、又は1〜10質量部であってよい。
摩擦体中の成分(D)の含有量(好ましい態様ではシリコーンオイルの含有量、又は別の好ましい態様ではフッ素系化合物の含有量)は、0.1〜3.0質量%であることが好ましい。上記含有量は、紙面の摩擦抑制の観点から、0.1質量%以上、0.3質量%以上、又は0.5質量%以上であってよく、良好な消字性能及び耐紙面汚染性を得る観点から、3.0質量%以下、2.5質量%以下、又は2.0質量%以下であってよい。
[架橋剤(成分(E))]
架橋剤(成分(E))としては、当該分野で架橋剤として機能することが当業者に理解される種々の化合物を使用できる。摩擦体において、成分(E)は、主として成分(A)を架橋する目的で配合される。成分(E)の使用は120℃圧縮永久歪の低減及びショアーA硬度の上昇において有利である。
架橋剤(成分(E))としては、当該分野で架橋剤として機能することが当業者に理解される種々の化合物を使用できる。摩擦体において、成分(E)は、主として成分(A)を架橋する目的で配合される。成分(E)の使用は120℃圧縮永久歪の低減及びショアーA硬度の上昇において有利である。
上記成分(E)としては、有機過酸化物、フェノール系化合物、等が挙げられ、耐摩耗性の観点から有機過酸化物が好ましい。
上記有機過酸化物は、過酸化水素の水素原子の1個又は2個を遊離有機基で置換した化合物である。有機過酸化物は、その分子内に過酸化結合を有するため、摩擦体の作製時(例えば材料組成物を溶融混練する際)にラジカルを発生し、そのラジカルが連鎖的に反応して、上記成分(A)を架橋させる働きをする。
上記有機過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキシド、ジ−tert−ブチルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、ベンゾイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパーオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、及びtert−ブチルクミルパーオキシド、等を挙げることができる。これらの中で、低臭気性、低着色性、及びスコーチ安全性の観点から、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、及び2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3が好ましい。
なお成分(E)として有機過酸化物を使用する場合、後述の架橋助剤(成分(F))も使用することが好ましい。成分(F)も使用することにより均一かつ効率的な架橋反応を行うことができる。
上記フェノール系化合物としては、通常液状であるという観点でレゾール樹脂が好ましい。レゾール樹脂は、アルキル置換フェノール又は非置換フェノールの、アルカリ媒体中のアルデヒド(好ましくはホルムアルデヒド)での縮合、又は二官能性フェノールジアルコール類の縮合により製造される。アルキル置換されたフェノールのアルキル置換基部分は典型的に炭素数1〜10を有する。p−位において炭素数1〜10を有するアルキル基で置換されたジメチロールフェノール又はフェノール樹脂が好ましい。
上記フェノール系化合物の中では、アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、メチロール化アルキルフェノール樹脂、及び臭素化アルキルフェノール樹脂、等が好ましい。環境面から臭素化されていないものが望ましいが、末端の水酸基を臭素化したものであってもよい。特に、アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂が好ましい。
上記成分(E)の配合量は、成分(A)100質量部に対して、0.01〜20質量部、0.1〜10質量部、又は0.5〜5質量部であってよい。上記の下限値以上であることは、架橋反応が良好に進行する点で好ましく、一方、上記の上限値以下であることは、架橋が進み過ぎず成形性が良好に維持される点で好ましい。
[架橋助剤(成分(F))]
架橋助剤(成分(F))としては、当該分野で架橋助剤又は架橋促進剤として機能することが当業者に理解される種々の化合物を使用できる。
架橋助剤(成分(F))としては、当該分野で架橋助剤又は架橋促進剤として機能することが当業者に理解される種々の化合物を使用できる。
上記成分(F)としては、例えば、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールの繰り返し単位数が9〜14のポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジメタクリレート、及び1,9−ノナンジオールジメタクリレート、等のような多官能性メタクリレート化合物;ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、及びプロピレングリコールジアクリレート、等のような多官能性アクリレート化合物;ビニルブチラート又はビニルステアレートのような多官能性ビニル化合物;を挙げることができる。上記成分(F)としては、これらの1種以上を用いることができる。
上記成分(F)の中では、多官能性アクリレート化合物及び多官能性メタクリレート化合物が好ましく、トリアリルシアヌレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、及びテトラエチレングリコールジメタクリレートが特に好ましい。これらの化合物は、取り扱いが容易であると共に、有機過酸化物可溶化作用を有し、有機過酸化物の分散助剤として働くため、有機過酸化物と組合せて用いた際に架橋をより均一かつ効果的にすることができる。
上記成分(F)の配合量は、成分(A)100質量部に対して、0.01〜50質量部、0.5〜30質量部、又は1〜20質量部であってよい。上記の下限値以上であることは、架橋反応が良好に進行する点で好ましく、一方、上記の上限値以下であることは、架橋が進み過ぎず、摩擦体中での架橋物の分散が良好に維持される点で好ましい。
[着色剤(成分(G))]
着色剤(成分(G))としては、当該分野で着色剤として機能することが当業者に理解される種々の化合物を使用できる。成分(G)としては、無機系顔料、有機系顔料等が好ましい。
着色剤(成分(G))としては、当該分野で着色剤として機能することが当業者に理解される種々の化合物を使用できる。成分(G)としては、無機系顔料、有機系顔料等が好ましい。
<摩擦体の製造>
摩擦体は、これに限定されないが例えば下記の方法で製造できる。まず上記の材料成分を機械的溶融混練することにより材料組成物を調製する。溶融混練には、バンバリーミキサー、各種ニーダー、単軸又は二軸押出機、等の一般的溶融混練機を用いることができる。次いで、得られた材料組成物を、射出成形、押出成形、ブロー成形等の熱可塑性樹脂の一般的な成形方法で成形することによって、所望形状の摩擦体を得ることができる。摩擦体の好適な形状の例については図面を参照して後述する。
摩擦体は、これに限定されないが例えば下記の方法で製造できる。まず上記の材料成分を機械的溶融混練することにより材料組成物を調製する。溶融混練には、バンバリーミキサー、各種ニーダー、単軸又は二軸押出機、等の一般的溶融混練機を用いることができる。次いで、得られた材料組成物を、射出成形、押出成形、ブロー成形等の熱可塑性樹脂の一般的な成形方法で成形することによって、所望形状の摩擦体を得ることができる。摩擦体の好適な形状の例については図面を参照して後述する。
<筆記具及び筆記具セット>
本開示は、前述した摩擦体を備える筆記具及び筆記具セットも包含する。
本開示は、前述した摩擦体を備える筆記具及び筆記具セットも包含する。
本発明の別の態様は、
熱変色性インキと、該熱変色性インキによる筆跡を摩擦熱により変色させる摩擦体とを有する筆記具であって、
摩擦体が本開示の摩擦体である、筆記具を提供する。
熱変色性インキと、該熱変色性インキによる筆跡を摩擦熱により変色させる摩擦体とを有する筆記具であって、
摩擦体が本開示の摩擦体である、筆記具を提供する。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。全図面に亘り、対応する構成要素には共通の参照符号を付す。
図1は、本発明の一実施態様に係る筆記具の部分断面図である。筆記具1は、筒状に形成された軸筒2と、軸筒2内に配置され且つ一端に筆記部3を備えた筆記体であるリフィル(図示せず)と、保持部材4を介して軸筒2の後端部に設けられた摩擦体5と、摩擦体5を覆い且つ摩擦体5に対して着脱可能なカバー部材6と、軸筒2の後端部の側面に取り付けられ且つ物品を把持するクリップ7とを有している。本開示では、筆記具1の軸線方向において、筆記部3側を「前」側と規定し、筆記部3とは反対側を「後」側と規定する。特に言及のない限り、中心軸線とは筆記具1の中心軸線をいう。
筆記具1は、熱変色性インキをリフィルに収容する熱変色性筆記具であり、摩擦体5によって擦過した際に生じる摩擦熱によって、筆記具1の筆跡を熱変色可能である。
摩擦体5は、前方に押圧することによって、軸筒2に対して移動可能である。筆記具1では、軸筒2内に配置されたスプリングの付勢力に抗して摩擦体5を前方に押圧するノック操作によって、リフィルが軸筒2内を前後方向に移動する。このとき、筆記部3が軸筒2から突出した状態を筆記状態(図1)と称し、筆記部3が軸筒2内に没入した状態を非筆記状態(図示せず)と称する。
図2は、筆記具1の摩擦体5及び保持部材4の斜視図である。図2において、下方が筆記具1の前側である。摩擦体5は、保持部材4に対して嵌合又は二色成形等によって設けられている。
摩擦体5は、略三角形の横断面形状である先細りの截頭三角錐体状に形成されている。具体的には、横断面において、三角形の頂点は丸く円弧状に形成され、その円弧の曲率半径は、摩擦体5の後端側の方がより大きくなっている。摩擦体5の後端面5aは、曲面状に形成されている。したがって、摩擦体5の後端面5aと周面5bとの境界は稜線5cを構成している。
摩擦体5においては、後端面5aを用いることによって、より広い面積を擦過することができる。また、摩擦体5は、三角形の辺に相当する稜線5cの部分を使用することにより、より広い面積を擦過することができ、三角形の頂点に相当する部分を使用することにより、より狭い面積を擦過することができる。すなわち、摩擦体が、軸心方向から見て角部(上記三角形の頂点のような)を1つ以上有する形状であることは、より広い面積とより狭い面積との両者の良好な擦過の観点から有利である。なお、当然のことながら、横断面形状は、三角形に限定されず、四角形、六角形等、その他の多角形であってもよい。
なお、摩擦体を、軸筒2の後端部ではなく、筆記具1のその他の部分、例えば軸筒2の前端部やクリップ7に設けてもよい。また、摩擦体を図1に示すようなノック式筆記具以外の熱変色性筆記具、例えばキャップ式筆記具の軸筒の後端部又はキャップの頂部に設けてもよい。
本発明の別の態様は、
熱変色性インキを有する筆記具と、該熱変色性インキによる筆跡を摩擦熱により変色させる摩擦体とを備える筆記具セットであって、
該摩擦体が本開示の摩擦体である、筆記具セットを提供する。
熱変色性インキを有する筆記具と、該熱変色性インキによる筆跡を摩擦熱により変色させる摩擦体とを備える筆記具セットであって、
該摩擦体が本開示の摩擦体である、筆記具セットを提供する。
本開示の摩擦体は、熱変色性インキを有する筆記具と別体に設け、筆記具と摩擦体とを備える筆記具セットとしてもよい。図3は、別体の摩擦体10の斜視図である。図3において、摩擦体10は、ケース11に収容された直方体形状であるが、立方体形状でも円柱状であってもよい。
[熱変色性インキ]
本開示の筆記具は、熱変色性インキを有する。本開示で、「熱変色性インキ」とは、常温(例えば25℃)で所定の色彩(第1色)を維持し、所定温度(例えば60℃)まで昇温させると別の色彩(第2色)へと変化し、随意にその後、所定温度(例えば−5℃)まで冷却させると、再び元の色彩(第1色)へと復帰する性質を有するインキを言う。第1色及び第2色のうち一方を有色、他方を無色とする組合せ、第1色及び第2色を有色とする組合せ等、用途に応じた色設計が可能である。
本開示の筆記具は、熱変色性インキを有する。本開示で、「熱変色性インキ」とは、常温(例えば25℃)で所定の色彩(第1色)を維持し、所定温度(例えば60℃)まで昇温させると別の色彩(第2色)へと変化し、随意にその後、所定温度(例えば−5℃)まで冷却させると、再び元の色彩(第1色)へと復帰する性質を有するインキを言う。第1色及び第2色のうち一方を有色、他方を無色とする組合せ、第1色及び第2色を有色とする組合せ等、用途に応じた色設計が可能である。
熱変色性インキは、熱変色性色材を含有する。熱変色性色材となる熱変色性マイクロカプセル顔料としては、摩擦熱等の熱により変色するもの、例えば、有色から無色、有色から有色、無色から有色などとなる機能を有するものであれば、特に限定されず、種々のものを用いることができ、少なくともロイコ色素、顕色剤、変色温度調整剤を含む熱変色性組成物を、マイクロカプセル化したものが挙げられる。
用いることができるロイコ色素としては、電子供与性染料で、発色剤としての機能するものであれば、特に限定されものではない。具体的には、発色特性に優れるインキを得る点から、トリフェニルメタン系、スピロピラン系、フルオラン系、ジフェニルメタン系、ローダミンラクタム系、インドリルフタリド系、ロイコオーラミン系等従来公知のものが、単独(1種)で又は2種以上を混合して(以下、単に「少なくとも1種」という。)用いることができる。
用いることができる顕色剤は、上記ロイコ色素を発色させる能力を有する成分となるものであり、例えば、フェノール樹脂系化合物、サリチル酸系金属塩化物、サリチル酸樹脂系金属塩化合物、固体酸系化合物等が挙げられる。
用いる顕色剤の使用量は、所望される色彩濃度に応じて任意に選択すればよく、特に限定されるものではないが、通常、上述したロイコ色素1質量部に対して、0.1〜100質量部程度の範囲内で選択するのが好適である。
用いることができる変色温度調整剤は、上記ロイコ色素と顕色剤の呈色において変色温度をコントロールする物質である。用いることができる変色温度調整剤は、従来公知のものが使用可能である。具体的には、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、酸アミド類、アゾメチン類、脂肪酸類、炭化水素類などが挙げられる。
この変色温度調整剤の使用量は、所望されるヒステリシス幅及び発色時の色彩濃度等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、通常、ロイコ色素1質量部に対して、1〜100質量部程度の範囲内で使用するのが好ましい。
熱変色性マイクロカプセル顔料は、少なくとも上記ロイコ色素、顕色剤、変色温度調整剤を含む熱変色性組成物を、平均粒子径が0.2〜3μmとなるように、マイクロカプセル化することにより製造することができる。マイクロカプセル化法としては、例えば、界面重合法、界面重縮合法、insitu重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライニング法などを挙げることができ、用途に応じて適宜選択することができる。
これらのロイコ色素、顕色剤、変色温度調整剤の含有量は、用いるロイコ色素、顕色剤、変色温度調整剤の種類、マイクロカプセル化法などにより変動するが、当該色素1に対して、質量比で顕色剤0.1〜100、変色温度調整剤1〜100である。また、カプセル膜剤は、カプセル内容物に対して、質量比で0.1〜1である。
熱変色性マイクロカプセル顔料は、上記ロイコ色素、顕色剤及び変色温度調整剤の種類、量などを好適に組み合わせることにより、各色の発色温度(例えば、0℃以上で発色)、消色温度(例えば、50℃以上で消色)を好適な温度に設定することができ、本開示の摩擦体によって与えられる摩擦熱により有色から無色となることが好ましい。
熱変色性マイクロカプセル顔料では、描線濃度、保存安定性、筆記性の更なる向上の点から、壁膜がウレタン樹脂、ウレア/ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、あるいはアミノ樹脂で形成されることが好ましい。マイクロカプセル色材の壁膜の厚さは、必要とする壁膜の強度や描線濃度に応じて適宜決められる。
熱変色性インキにおいて、上記熱変色性マイクロカプセル顔料の他、残部として溶媒である水(水道水、精製水、蒸留水、イオン交換水、純水等)の他、各筆記具用(ボールペン用、マーキングペン用等)の用途に応じて、その効果を損なわない範囲で、水溶性有機溶剤、増粘剤、潤滑剤、防錆剤、防腐剤もしくは防菌剤などを適宜含有することができる。
熱変色性インキを製造するには、従来から知られている方法が採用可能であり、例えば、上記熱変色性、光変色性マイクロカプセル顔料の他、上記水性における各成分を所定量配合し、ホモミキサー、もしくはディスパー等の攪拌機により攪拌混合することによって得られる。さらに必要に応じて、ろ過や遠心分離によって熱変色性インキ中の粗大粒子を除去してもよい。
熱変色性インキの粘度値は、25℃、剪断速度3.83/sにおいて、500〜2000mPa・s、剪断速度383/sにおいて20〜100mPa・sであることが好ましい。上記粘度範囲に設定することによって、筆記性と経時安定性に優れたインキとすることができる。
熱変色性インキの表面張力は、25〜45mN/m、さらには30〜40mN/mであることが好ましい。この範囲内であれば、ペン先内部とインキの濡れ性のバランスが適切となり、インキバックの発生を防止することが可能となる。
熱変色性インキの更なる詳細については、例えば特開2015−229708号公報、国際公開第2015/033750号パンフレット、及び国際公開第2011/070966号パンフレット等に記載されている。
以下、本発明の具体的態様について実施例を挙げて更に説明するが、本発明は実施例に何ら限定されない。
<使用した材料>
成分(A)
(A−1)株式会社クラレ セプトン4077(商品名)
SEEPS、質量平均分子量330,000
(A−2)株式会社クラレ セプトン4055(商品名)
SEEPS、質量平均分子量260,000
(A−3)株式会社クラレ セプトン2005(商品名)
SEPS、質量平均分子量250,000
(A−4)クレイトンポリマー社 クレイトンG1651H(商品名)
SEBS、質量平均分子量260,000
(A−5)株式会社クラレ セプトンV9461(商品名)
スチレンをp−メチルスチレンに置き換えたSEEPS、質量平均分子量300,000
(A−6)株式会社クラレ セプトンV9827(商品名)
スチレンをp−メチルスチレンに置き換えたSEBS、質量平均分子量90,000
(A−7)株式会社クラレ セプトン4033(商品名)
SEEPS、質量平均分子量100,000
(A−8)ダウ・ケミカル社 エンゲージEG8100(商品名)
エチレン−αオレフィン共重合体系エラストマー
(A−1)株式会社クラレ セプトン4077(商品名)
SEEPS、質量平均分子量330,000
(A−2)株式会社クラレ セプトン4055(商品名)
SEEPS、質量平均分子量260,000
(A−3)株式会社クラレ セプトン2005(商品名)
SEPS、質量平均分子量250,000
(A−4)クレイトンポリマー社 クレイトンG1651H(商品名)
SEBS、質量平均分子量260,000
(A−5)株式会社クラレ セプトンV9461(商品名)
スチレンをp−メチルスチレンに置き換えたSEEPS、質量平均分子量300,000
(A−6)株式会社クラレ セプトンV9827(商品名)
スチレンをp−メチルスチレンに置き換えたSEBS、質量平均分子量90,000
(A−7)株式会社クラレ セプトン4033(商品名)
SEEPS、質量平均分子量100,000
(A−8)ダウ・ケミカル社 エンゲージEG8100(商品名)
エチレン−αオレフィン共重合体系エラストマー
成分(B)
(B−1)サンアロマー株式会社 VS200A(商品名)
プロピレン単独重合体、MFR0.5、融点165℃
(B−2)サンアロマー株式会社 PM940M(商品名)
プロピレン−エチレンランダム共重合体、MFR30、融点136℃
(B−1)サンアロマー株式会社 VS200A(商品名)
プロピレン単独重合体、MFR0.5、融点165℃
(B−2)サンアロマー株式会社 PM940M(商品名)
プロピレン−エチレンランダム共重合体、MFR30、融点136℃
成分(C)
(C−1)出光興産株式会社 ダイナプロセスオイル PW−380(商品名)
パラフィン系鉱物油
(C−1)出光興産株式会社 ダイナプロセスオイル PW−380(商品名)
パラフィン系鉱物油
成分(D)
(D−1)東レ・ダウコーニング株式会社 BY27−001(商品名)
シリコーン系化合物(ポリプロピレンと超高分子量シリコーンポリマーとのアロイ品、超高分子量シリコーンポリマー比率50wt%)
(D−2)ダイキン工業株式会社 ネオフロンETFE(商品名)
フッ素系化合物(テトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体)
(D−1)東レ・ダウコーニング株式会社 BY27−001(商品名)
シリコーン系化合物(ポリプロピレンと超高分子量シリコーンポリマーとのアロイ品、超高分子量シリコーンポリマー比率50wt%)
(D−2)ダイキン工業株式会社 ネオフロンETFE(商品名)
フッ素系化合物(テトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体)
成分(E)
(E−1)日油株式会社 パーヘキサ25B(商品名)
有機過酸化物、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン
(E−1)日油株式会社 パーヘキサ25B(商品名)
有機過酸化物、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン
成分(F)
(F−1)日本化成株式会社 TAIC(商品名)
トリアリルイソシアヌレート
(F−1)日本化成株式会社 TAIC(商品名)
トリアリルイソシアヌレート
<摩擦体の作製>
表1に示す成分を含む材料組成物を二軸押出機にて混練し、摩擦体を得た。
表1に示す成分を含む材料組成物を二軸押出機にて混練し、摩擦体を得た。
<評価>
(エラストマー成分の質量平均分子量)
(A−1)〜(A−7)の質量平均分子量を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(日本分光株式会社製、高速液体クロマトグラフィシステム「LC−2000Plus(商品名)」)を用い、クロロホルムを移動相として標準ポリスチレン換算にて得た。
(エラストマー成分の質量平均分子量)
(A−1)〜(A−7)の質量平均分子量を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(日本分光株式会社製、高速液体クロマトグラフィシステム「LC−2000Plus(商品名)」)を用い、クロロホルムを移動相として標準ポリスチレン換算にて得た。
(摩擦体評価)
圧縮永久歪
JIS K6262−2013に準拠し、6.3mm厚さプレスシートから小形試験片を作製し、25%の圧縮率にて、70℃×22時間、及び120℃×72時間における圧縮永久歪を測定した。
圧縮永久歪
JIS K6262−2013に準拠し、6.3mm厚さプレスシートから小形試験片を作製し、25%の圧縮率にて、70℃×22時間、及び120℃×72時間における圧縮永久歪を測定した。
ショアーA硬度
JIS K 6253−3−2012に準拠し、6.3mm厚さプレスシートをデュロメータタイプAを用いて15秒後値を測定した。
JIS K 6253−3−2012に準拠し、6.3mm厚さプレスシートをデュロメータタイプAを用いて15秒後値を測定した。
変色性
ISO12757−1に規定の試験用紙に、当該熱変色性インキをバーコータ―(安田精機製No.6)にて均一に引き伸ばした試料片を作製した。その試料片が十分乾燥した後、当該摩擦体を紙面から60度で接触させ、荷重5Nがかかる状態で8〜10m/sec程度の速さを維持した状態で、紙面を往復擦過した。その後、擦過した部分を分光測色計(スガ試験機社製SC−P)にて汚染等級Ns値を測定し、下記基準で変色性を評価した。
◎:Ns値4.0以上
○:Ns値3.0以上〜4.0未満
△:Ns値2.0以上〜3.0未満
×:Ns値2.0未満
ISO12757−1に規定の試験用紙に、当該熱変色性インキをバーコータ―(安田精機製No.6)にて均一に引き伸ばした試料片を作製した。その試料片が十分乾燥した後、当該摩擦体を紙面から60度で接触させ、荷重5Nがかかる状態で8〜10m/sec程度の速さを維持した状態で、紙面を往復擦過した。その後、擦過した部分を分光測色計(スガ試験機社製SC−P)にて汚染等級Ns値を測定し、下記基準で変色性を評価した。
◎:Ns値4.0以上
○:Ns値3.0以上〜4.0未満
△:Ns値2.0以上〜3.0未満
×:Ns値2.0未満
耐汚染性
当該摩擦体を紙面(ISO12757−1に規定の試験用紙)に60度〜90度の角度で押し当て、荷重15〜20N程度がかかる状態で8〜10m/sec程度の速さを維持した状態で、往復擦過し、紙面上にカスの付着や紙面そのものの破壊等がないか確認する方法で汚染試験を行い、下記基準で耐汚染性を評価した。
◎:紙面上にカスの付着や紙面そのものの破壊が全く見られない状態
○:紙面上にカスの付着や紙面そのものの破壊がごく少量程度見られる状態
×:紙面上にカスの付着や紙面そのものの破壊が見られる状態
当該摩擦体を紙面(ISO12757−1に規定の試験用紙)に60度〜90度の角度で押し当て、荷重15〜20N程度がかかる状態で8〜10m/sec程度の速さを維持した状態で、往復擦過し、紙面上にカスの付着や紙面そのものの破壊等がないか確認する方法で汚染試験を行い、下記基準で耐汚染性を評価した。
◎:紙面上にカスの付着や紙面そのものの破壊が全く見られない状態
○:紙面上にカスの付着や紙面そのものの破壊がごく少量程度見られる状態
×:紙面上にカスの付着や紙面そのものの破壊が見られる状態
本開示の摩擦体は、熱変色性の筆跡を摩擦熱によって変色させるように構成された筆記具又は筆記具セットにおいて好適に用いられる。
1 筆記具
2 軸筒
3 筆記部
4 保持部材
5 摩擦体
6 カバー部材
7 クリップ
10 摩擦体
11 ケース
2 軸筒
3 筆記部
4 保持部材
5 摩擦体
6 カバー部材
7 クリップ
10 摩擦体
11 ケース
Claims (6)
- 熱変色性を有する像を摩擦熱により変色させる摩擦体であって、
スチレン系エラストマーを含み、
120℃における圧縮永久歪:80%以下、及び
ショアーA硬度:60〜98、
を有する、摩擦体。 - 前記スチレン系エラストマーが架橋されている、請求項1に記載の摩擦体。
- 前記スチレン系エラストマーが、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン(SEPS)、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレン(SEEPS)及びスチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン(SEBS)からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の摩擦体。
- 潤滑剤を0.1〜3.0質量%含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の摩擦体。
- 熱変色性インキと、前記熱変色性インキによる筆跡を摩擦熱により変色させる摩擦体とを有する筆記具であって、
前記摩擦体が請求項1〜4のいずれか一項に記載の摩擦体である、筆記具。 - 熱変色性インキを有する筆記具と、前記熱変色性インキによる筆跡を摩擦熱により変色させる摩擦体とを備える筆記具セットであって、
前記摩擦体が請求項1〜4のいずれか一項に記載の摩擦体である、筆記具セット。
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- 2016-06-30 JP JP2016130701A patent/JP2018001573A/ja active Pending
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- 2021-03-17 JP JP2021044040A patent/JP7007507B2/ja active Active
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