JP2018000790A - 車両用シートパッド及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献2は、ビーズ発泡体(本発明でいう「ビーズ発泡成形体」)に「…易接着化処理を施されていることを特徴とする車両用シートのクッション体」を提案している。その詳細な説明で、「各ポリエチレン発泡体12,13として、予めその表面がサンドペーパーがけされていて表面発泡セルの被膜が破られて粗面化されているものを採用している。」とある。しかるに、粗面化する新たな作業が発生し、また粗面化すると、表面硬化層が取られて内部発泡層が露出し、ガスが抜け出す虞がある。また、表面硬化層がなくなることによって、脆く崩れていく虞もある。
請求項7に記載の発明の要旨は、ブロック状に成形されたビーズ発泡成形体からなる芯パッドをインサート品にして、その表面を覆って積層されるポリウレタン発泡成形体の表層パッドを発泡成形する車両用シートパッドの製造方法において、前記表層パッドと接触する前記芯パッドの表面に、該芯パッドに係る成形体の一部分を形成して一体成形されている凹部を複数設けた該凹部付き芯パッドを、発泡成形型の一の分割型にセットし、その後、ポリウレタン発泡原料の注入及び型閉じを経て、前記芯パッドの表面に積層するポリウレタン発泡成形主部と共に該凹部を埋めるポリウレタン発泡成形部とを備えた表層パッドを発泡成形することを特徴とする車両用シートパッドの製造方法にある。請求項8の発明たる車両用シートパッドの製造方法は、請求項7で、凹部が前記表面の一地点でスポット状に窪む凹みであって、且つ各凹みが互いに離間した状態で、前記側周表面に分散して設けられており、前記ポリウレタン発泡原料の注入及び型閉じを経て、前記芯パッドの表面に積層するポリウレタン発泡成形主部と共に該凹みを埋めるポリウレタン発泡成形部とを備えた表層パッドを発泡成形することを特徴とする。請求項9の発明たる車両用シートパッドの製造方法は、請求項7で、凹部が前記芯パッドの側周表面でライン状に窪む凹溝であって、且つ各凹溝が互いに離間又は交差した状態で、前記側周表面に設けられており、前記ポリウレタン発泡原料の注入及び型閉じを経て、前記芯パッドの表面に積層するポリウレタン発泡成形主部と共に該凹溝を埋めるポリウレタン発泡成形部とを備えた表層パッドを発泡成形することを特徴とする。請求項10の発明たる車両用シートパッドの製造方法は、請求項7〜9で、ビーズ発泡成形体が発泡ポリプロピレン、発泡スチロール、又はこれらの一方を少なくとも含む成形体であることを特徴とする。
(1)実施形態1
図1〜図9は本発明のシートパッド及びその製造方法の一形態で、図1はシートパッドの全体斜視図、図2は図1の芯パッドを下面側から見た斜視図、図3は(イ)が図2の部分拡大図、(ロ)が(イ)に代わる他態様図、図4は(イ)が図2の断面図、(ロ)〜(ニ)が(イ)に代わる他態様図、図5は型開状態にある発泡成形型に芯パッドをセットし、発泡原料を注入する説明断面図、図6は型閉じした説明断面図、図7はシートパッドを発泡成形した説明断面図、図8は(イ)が図7の部分断面図、(ロ)〜(ニ)が(イ)に代わる他態様図を示す。各図は判り易くするため凹部2やポリウレタン発泡成形部52の要部を強調図示し、また本発明と直接関係しない部分を省略する。
シートパッドPは芯パッド1と表層パッド5とを備える。シートパッドPは、車両用座席シートの座部P1や背もたれに使用され、ここでは、図1に示す車両後部座席シートの座部P1を構成する三人掛けクッションパッドに適用する。図示のごとく芯パッド1の表面1aをポリウレタン発泡成形体(詳しくは「軟質ポリウレタン発泡成形体」)の表層パッド5で覆って積層するシートパッドPになっている。
ビーズ発泡成形体の見掛け密度は表層パッド5のものよりも小さい。本実施形態は、ビーズ発泡成形体を発泡ポリプロピレン、発泡スチロール、又はこれらの一方を少なくとも含む成形体としており、見掛け密度が特に小さく、大きさの割に非常に軽くなっている。そして、発泡ポリプロピレンや発泡スチロールは、例えばビーズ法発泡ポリプロピレンやビーズ法発泡スチロールの成形体にすると、内部を任意倍率にした高発泡層とし、表面を硬化皮膜層とすることができる。表面皮膜のあるビーズ発泡成形体になる。芯パッド1は、図1に示す車両設置状態で、上面が着座乗員の受面側表面12になり、側面が側周表面11になり、略垂直面を形成する。本シートパッドPには該側周表面11に凹部2が設けられている。
表層パッド5の上方表層部51aが、芯パッド1に係る着座乗員の受面側表面12を覆い、側方表層部51bが芯パッド1の側周表面11を覆う。本表層パッド5は、着座乗員の受面側表面12及び側周表面11を覆うポリウレタン発泡成形主部51を備え、さらに前記凹部2の部位で表層パッド5の内面5b側が凸状に張り出して、凹部2を埋めるポリウレタン発泡成形部52を備えている(図8)。芯パッド1をインサート成形してなる表層パッド5には、その発泡成形で、凹み3に入り込んだ凹み充填部523のポリウレタン発泡成形部52が形成される。表層パッド内面5b側で凸状に張り出すポリウレタン発泡成形部52が、ビーズ発泡成形体の芯パッド表面1aに設けられた各凹み3に入り込んで埋め尽くしている。該ポリウレタン発泡成形部52と凹み3との機械的嵌合により、表層パッド5が芯パッド1に対しずれ難く、両者の一体化に優れた所望のシートパッドPに仕上がっている。該シートパッドPに図示しない表皮を被せれば、車両後部座席の座部側シートクッションが出来上がる。
図中、符号P2はバックレストとの接続部、符号53は側方表層部51bが芯パッド1の下面を越えて突き出している張出部、符号50は表層パッド5の開口で、これにシートベルトが取付けられる。
車両用シートパッドの製造方法は、前記芯パッド1と発泡成形型7を用い、芯パッド1をインサート品にして、その表面1aを覆って積層されるポリウレタン発泡成形体の表層パッド5を発泡成形する製法である。発泡成形型7に芯パッド1をセットした後、発泡原料gの注入及び型閉じを経て、図1,図7のようなシートパッドPを成形する。製造に先立ち、芯パッド1と発泡成形型7が用意される。
まず、発泡成形型7を型開状態とする。次いで、この型開状態の上型9へ芯パッド1をセットする。芯パッド裏面1bを上型キャビティ面91へ当接させるようにして、芯パッド1をセットする(図5)。
続いて、上型9を作動させ型閉じする(図6)。上型9と下型8との型閉じで、芯パッド1がインサートセットされたシートパッド用キャビティCができる。本実施形態は発泡原料gを注入後に型閉じしたが、型閉じした後、発泡原料gを注入することもできる。
表層パッド5の発泡成形を終え、脱型すれば、芯パッド1を埋設一体化した所望のシートパッドPが得られる。図中、符号89、符号99は型合わせ面を示す。他の構成は(1)シートパッドPの説明と同様で、省略する。
(2a)シートパッド
本実施形態は、図9ごとくのクッションパッドである。凹部2が芯パッド1の側周表面11で溝状に窪む凹溝4で、且つ各凹溝4が互いに離間した状態で、側周表面11に複数設けられると共に、各凹溝4が表層パッド5のポリウレタン発泡成形部52で埋められている。凹溝4は側周表面11で上下方向に走る縦溝41であり、且つその上端411が図12〜図14のように芯パッド1に係る着座乗員の受面側表面12にまで達している。ここでは、さらに凹溝4の下端412が芯パッド1の裏面1b側に達するようにしている。表層パッド5の発泡成形時に、側方表層部51bの成形を良好にするためである(詳細後述)。着座乗員の受面側表面12には、実施形態1と同様の凹み3が設けられている。
図9〜図16に示す本シートパッドの製造方法は、実施形態1と同様の発泡成形型7を用いるが、本実施形態の芯パッド1は、図10のような縦溝41の凹部2を有するブロック状ビーズ発泡成形体を用いる。この芯パッド1,発泡成形型7を用いて、図9のシートパッドPが次のように製造される。
まず、表面1aに芯パッド1に係る成形体の一部分を形成して一体成形されている凹溝4を複数有する芯パッド1を、上型9にセットする。
その後、型閉じ状態を所定時間維持し、表層パッド5を発泡成形する。上方表層部51a,側方表層部51bのポリウレタン発泡成形主部51を成形すると共に、凹み3を埋めるポリウレタン発泡成形部52を成形する。
しかるに、縦溝41を設け、該縦溝41の上端411が芯パッド1の表面1a側に達していることで、凹溝4がつくる溝深さhの通路が新たに追加され(図15のイ)、発泡原料gや余剰発泡ガスの通りが良好になる。縦溝41の下端412が芯パッド裏面1b側に達していると、発泡原料gや余剰ガスの通りが一層良好になる。発泡成形過程で、発泡原料gが図13の矢印のごとく縦溝41を経由して、縦溝41のみならず横溝42を設けた場合はその横溝42にまで円滑に浸入する。
表層パッド5の発泡成形を終え、脱型すれば、芯パッド1を埋設し一体強化が図られた所望のシートパッドPが得られる。
他の構成は実施形態1と同様で、その説明を省く。実施形態1と同一符号は同一又は相当部分を示す。
このように構成した車両用シートパッド及びその製造方法は、ビーズ発泡成形体で、軽い芯パッド1にポリウレタン発泡成形部52が積層されたシートパッドPになるので、シートパッドの軽量化が図られる。芯パッド1に発泡ポリプロピレン、発泡ポリスチロール、又はこれらの一方を少なくとも含む成形体が用いられると、芯パッド1を非常に軽くでき、シートパッドPの軽量化が一段と進む。
芯パッド1と該芯パッド1をインサート成形した表層パッド5との接合力を越える外力が、この表層パッド5に加わっても、凹部2と嵌合するポリウレタン発泡成形部52がストッパになって、外力の動きを止める。凹部2が芯パッド1の側周表面11の一地点でスポット状に窪む凹み3で、各凹み3は互いに離間した状態で、側周表面11に分散して複数設けることが可能であり、外力を受け易い必要な領域に重点的に配備できる。
また、芯パッド1の相方になる表層パッド5は、その発泡成形を行えば、芯パッド表面1aを覆うポリウレタン主部と一緒に凸状ポリウレタン発泡成形部52を、自らの発泡成形で自律的に作り出すので、作業負担を増やすこともない。発泡成形で内面5b側が凸状に張り出してなるポリウレタン発泡成形部52が凹み3や凹溝4の各凹部2を埋めて自然と嵌合する。
また、図9のように、芯パッド1の側周表面11に縦溝41が互いに離間した状態で複数設けられ、且つ各縦溝41をポリウレタン発泡成形部52が埋めていると、縦溝41のラインに対し、直交方向の外力は縦溝41に埋まるポリウレタン発泡成形部52で容易に止めることができる。車室内での乗員の横移動で、芯パッド1からの表層パッド5の剥がれ防止,ズレ防止に威力を発揮する。縦溝41に加えて横溝42が設けられると、縦溝41のラインに対し直交方向の外力にとどまらず、表層パッド5に係る側方表層部51bの意匠面5a上で、縦横のあらゆる方向からの外力に耐えることができる。
加えて、縦溝41が側周表面11で上下方向に走り、且つその上端411が芯パッド1に係る着座乗員の受面側表面12に達していると、表層パッド5の発泡成形時に、縦溝41が図13の矢印のように発泡原料gの通り道を新たに作るので、厚みの薄い側方表層部51bで発泡原料gが硬化してしまう成形不良を解消する。
さらに、縦溝41の下端412が芯パッド裏面1bに達していると、縦溝41を使って、発泡成形時に発泡原料gが側方表層部51bの形成用キャビティC中を円滑に上昇進出し、さらにいえば、余剰発泡ガスのガス抜きもスムーズに行なわれる。シートパッドPの歩留まり向上に役立つ。
このように、車両用シートパッドP及びその製造方法は、上述した種々の優れた効果を発揮し極めて有益である。
1a 表面(芯パッド表面)
11 側周表面(側壁面)
12 着座乗員の受面側表面
2 凹部
3 凹み
4 凹溝
41 縦溝
42 横溝
5 表層パッド
5a 内面(表層パッド内面)
51 ポリウレタン発泡成形主部
52 ポリウレタン発泡成形部
7 発泡成形型
9 一の分割型(上型)
P シートパッド
g 発泡原料
Claims (10)
- ブロック状に成形されたビーズ発泡成形体の芯パッドをポリウレタン発泡成形体の表層パッドで覆って積層されている車両用シートパッドにおいて、
該表層パッドと接触する前記芯パッドの表面に複数設けられ、且つ該芯パッドに係る成形体の一部分を形成して一体成形されている凹部と、
前記表層パッドの一部を形成し、前記凹部の部位で、該表層パッドの内面側が凸状に張り出して前記凹部を埋めているポリウレタン発泡成形部と、を具備することを特徴とする車両用シートパッド。 - 前記凹部が前記芯パッドの側周表面の一地点でスポット状に窪む凹みであって、且つ各凹みが互いに離間した状態で、前記側周表面に分散して設けられると共に、各凹部を前記ポリウレタン発泡成形部が埋めている請求項1記載の車両用シートパッド。
- 前記凹部が前記芯パッドの側周表面でライン状に窪む凹溝であって、且つ各凹溝が互いに離間又は交差した状態で、前記側周表面に複数設けられると共に、各凹溝を前記ポリウレタン発泡成形部が埋めている請求項1記載の車両用シートパッド。
- 前記凹溝が前記側周表面で上下方向に走る縦溝であり、且つその上端が前記芯パッドに係る着座乗員の受面側表面に達している請求項3記載の車両用シートパッド。
- 前記芯パッドの側周表面に、前記縦溝が離間して複数設けられ、且つ隣接する縦溝同士をつなぐ水平方向の横溝が前記芯パッドに係る成形体の一部分を形成して一体成形され、さらに該縦溝と共に該横溝もポリウレタン発泡成形部が埋めている請求項4に記載の車両用シートパッド。
- 前記ビーズ発泡成形体が発泡ポリプロピレン、発泡スチロール、又はこれらの一方を少なくとも含む成形体である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の車両用シートパッド。
- ブロック状に成形されたビーズ発泡成形体からなる芯パッドをインサート品にして、その表面を覆って積層されるポリウレタン発泡成形体の表層パッドを発泡成形する車両用シートパッドの製造方法において、
前記表層パッドと接触する前記芯パッドの表面に、該芯パッドに係る成形体の一部分を形成して一体成形されている凹部を複数設けた該凹部付き芯パッドを、発泡成形型の一の分割型にセットし、その後、ポリウレタン発泡原料の注入及び型閉じを経て、前記芯パッドの表面に積層するポリウレタン発泡成形主部と共に該凹部を埋めるポリウレタン発泡成形部とを備えた表層パッドを発泡成形することを特徴とする車両用シートパッドの製造方法。 - 前記凹部が前記表面の一地点でスポット状に窪む凹みであって、且つ各凹みが互いに離間した状態で、前記側周表面に分散して設けられており、前記ポリウレタン発泡原料の注入及び型閉じを経て、前記芯パッドの表面に積層するポリウレタン発泡成形主部と共に該凹みを埋めるポリウレタン発泡成形部とを備えた表層パッドを発泡成形する請求項7記載の車両用シートパッドの製造方法。
- 前記凹部が前記芯パッドの側周表面でライン状に窪む凹溝であって、且つ各凹溝が互いに離間又は交差した状態で、前記側周表面に設けられており、前記ポリウレタン発泡原料の注入及び型閉じを経て、前記芯パッドの表面に積層するポリウレタン発泡成形主部と共に該凹溝を埋めるポリウレタン発泡成形部とを備えた表層パッドを発泡成形する請求項7記載の車両用シートパッドの製造方法。
- 前記ビーズ発泡成形体が発泡ポリプロピレン、発泡スチロール、又はこれらの一方を少なくとも含む成形体である請求項7乃至9のいずれか1項に記載の車両用シートパッドの製造方法。
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JP6723645B2 (ja) | 2020-07-15 |
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